ガラス突起スペーサを備えた真空絶縁ガラス窓
ガラス突起スペーサ(50)および2以上の窓用板ガラス(20)を採用する真空絶縁ガラス(VIG)窓(10)が開示される。ガラス突起スペーサが、1つの窓用板ガラス(20)の表面(24)に形成され、かつその窓用板ガラスの本体部分(23)のガラス材料から構成される。すなわち、窓用板ガラスに追加して固定する必要がある別個のスペーサ部材とは対照的に、ガラス突起スペーサは窓用板ガラスに一体形成される。VIG窓を形成する方法が同じく開示される。この方法は、レーザ(110)からの集束ビーム(112F)で窓用板ガラスを照射することによりガラス突起スペーサを形成する工程を含む。ガラスにおける加熱効果がガラスを局所的に膨張させ、それによりガラス突起スペーサが形成される。このプロセスを窓用板ガラスの別の位置で繰り返し、ガラス突起スペーサのアレイを形成する。第2の窓用板ガラスをこのガラス突起スペーサと接触させ、さらにエッジ(28F,28B)をシールする。得られたシールされた内部領域(40)は、その後1気圧未満の真空圧力まで真空にされる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本明細書は、「ガラス突起スペーサを備えた真空絶縁ガラス窓」と題する、2008年11月5日に出願された米国特許出願第12/265,192号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に真空絶縁ガラス窓に関し、特にガラス突起スペーサを採用している真空絶縁ガラス窓に関する。
【背景技術】
【0003】
真空絶縁ガラス(VIG)窓は、典型的には2以上の窓用板ガラスの間を真空にして構成され、この窓では通常のガラス窓と比較して、絶縁および防音特性を改善することができる。窓用板ガラスの撓みを防止するために別個のスペーサを窓用板ガラス間に配置して、窓用板ガラスが互いに接触することを防いでいる。スペーサは典型的には、アルミニウム、プラスチック、セラミック、またはガラスから作製され、そして窓用板ガラスとは別に、すなわち別個の要素として、窓用板ガラスの間に配置され固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のスペーサは、窓用板ガラスを分離させるには効果的であるが、窓を見たときに視認されやすく、窓の見栄えを悪くする傾向にある。さらに、窓用板ガラスの間に別個のスペーサを配置し、そしてこのスペーサを窓用板ガラスに固定させる必要があるため、VIG窓の製造プロセスはより費用がかかり、また複雑なものになっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、VIG窓である。このVIG窓は、第1ガラス材料で形成された第1本体部分を有しさらに第1の対向する表面と第1外側エッジとを有する、第1窓用板ガラスを含む。このVIG窓はさらに、第1窓用板ガラスから第1距離だけ間隔を空けて、かつ第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第2窓用板ガラスであって、第2ガラス材料で形成された第2本体部分を有し、さらに第2の対向する表面と第2外側エッジとを有する、この第2窓用板ガラスを含む。第1エッジシールが、第1および第2窓用板ガラスの間に1気圧未満の真空圧力を有する第1のシールされた内部領域を画成するよう、第1および第2外側エッジ夫々の周囲に形成される。第1窓用板ガラスの第1の表面の一方に一体形成されかつ第1本体部分の第1ガラス材料から成るものであり、さらに間隔の第1距離を維持するよう第2窓用板ガラスと接触する、第1の複数のガラス突起スペーサを、このVIG窓はさらに含む。
【0006】
本発明の別の態様は、VIG窓を形成する方法である。この方法は、第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスにおいて、第1表面に、第1本体部分の第1ガラス材料から成る第1の複数のガラス突起スペーサを一体形成させる工程を含む。この方法はさらに、第2表面と第2エッジとを有する第2本体部分を備えかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、第1の複数のガラス突起スペーサと接触させ、このとき第1および第2窓用板ガラスが第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法は、第1および第2エッジをシールして、第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程と、その後、内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程とをさらに含む。
【0007】
本発明の別の態様は、あるプロセスにより形成されるVIG窓製品であり、このプロセスは、第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスを提供する工程、および、第1窓用板ガラスの第1表面に、第1本体部分の第1ガラス材料から成る複数のガラス突起スペーサを形成する工程、を含む。このプロセスは、第2表面と第2エッジとを有する第2本体部分を備えかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、ガラス突起スペーサと接触させ、このとき第1および第2窓用板ガラスが第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程をさらに含む。このプロセスはさらに、第1および第2エッジをシールして、第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程を含む。このプロセスは、内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程をさらに含む。
【0008】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は以下の詳細な説明の中で明らかにされ、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、請求項の他、添付の図面を含め、本書で説明されたように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0009】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の実施の形態を示していること、さらに、請求される本発明の本質および特性を理解するための概要または構想を提供するよう意図されていることを理解されたい。添付の図面は、本発明をさらに理解することができるように含まれているものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は本発明の種々の実施形態を示し、そしてその説明とともに、本発明の原理および動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による2枚ガラスVIG窓の一例を示す前面図
【図2】図1のVIG窓の方向CS−CSから見た断面図
【図3】一例のガラス突起スペーサの拡大断面図
【図4A】両面にガラス突起スペーサが形成されている中間板ガラスを備えた、3枚ガラスVIG窓の実施形態例を示している図2に類似した断面図
【図4B】第2組のガラス突起スペーサが中間板ガラスではなく後板ガラスに形成されていることを除き、図4Aに類似した図
【図5A】UVおよび可視波長スペクトルにおける、透過性アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスに対する典型的な透過率曲線(透過率(%)対波長(mm))を示す図
【図5B】UVおよび可視波長スペクトルにおける、透過性ソーダ石灰ガラスに対する典型的な透過率曲線(透過率(%)対波長(mm))を示す図
【図6】VIG窓を形成する過程で窓用板ガラスにガラス突起スペーサを形成するために使用される、レーザベースのガラス突起形成装置の一例を示す概略図
【図7】パルスレーザからの光パルスにより形成されたレーザ光ビームの一実施形態例を示す概略図
【図8】ソーダ石灰窓用板ガラスに対する、レーザ出力(W)、距離DF、およびガラス突起スペーサの高さHを、実験データに基づいてプロットした棒グラフ
【図9】3mmのソーダ石灰窓用板ガラスサンプルに形成された、ガラス突起スペーサの3次元イメージ
【図10】図9のガラス突起スペーサをライン走査した、略半球状の形状を示している図
【図11】ガラス突起スペーサが略平坦な上端部分を有していることを除き、図9に示したものに類似しているガラス突起スペーサの3次元イメージ
【図12】赤外線反射コーティングを有している窓用板ガラスの例を示す概略側面図
【図13】図12の窓用板ガラスに形成された、コーティングされていないガラス突起スペーサを示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明のため、本書において、用語「前」、「後」、「中間」、およびこれらの派生語は、本発明の装置および方法の説明を助けるために使用される相対語である。したがって、本発明は、明確にその反対を明記している場合を除き、種々の別の配向やステップの順序を想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面に図示され、かつ以下の明細書の中で説明される具体的な装置およびプロセスは、添付の請求項において画成される発明の概念の実施の形態であることも理解されたい。したがって、本書において開示される実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、請求項において明確に他に記載されていなければ、限定するものと考えるべきではない。
【0012】
「光誘起吸収」という用語は、窓用板ガラスを局所的に光学的放射に露出する(照射する)ことにより生じる、窓用板ガラスの吸収スペクトルの局所的変化を意味すると広く理解されている。光誘起吸収は、限定するものではないが、紫外線、近紫外線、可視、近赤外線、および/または赤外線、の波長を含む、波長または波長範囲での吸収の変化を含み得る。透過性の窓用板ガラスにおける光誘起吸収の例として、例えば限定するものではないが、色中心の形成、一時的なガラス欠陥の形成、および永久的なガラス欠陥の形成が挙げられる。
【0013】
ガラス突起スペーサが窓用板ガラス「に形成されている」という説明は、ガラス突起スペーサが、略平坦であった窓用板ガラスの表面から外側に凸状に突き出すようにして窓用板ガラスの本体部分から成長し、かつ窓用板ガラスを構成しているガラス材料から形成されていることを意味する。
【0014】
本書において使用される窓は、紫外線、近紫外線、可視、近赤外線、および/または赤外線、の波長を有する電磁(EM)放射を含むEM放射に対して少なくとも部分的に透過性の、2以上の窓用板ガラスを備えた製品である。
【0015】
一体形成されたガラス突起を有するVIG窓
図1は、本発明による2枚ガラスVIG窓10の実施形態例を示す前面図である。図2は、図1のVIG窓10例の、方向CS−CSから見た断面図である。参照のため、デカルト座標が図示されている。VIG窓10は、2つの窓用板ガラス20、すなわち、互いに対向しかつ略平行に配置される、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20Bを含む。前板ガラス20Fは、第1ガラス材料から作製された本体部分23Fを有し、さらに外側および内側表面22Fおよび24Fと、外側エッジ28Fとを有する。同様に、後板ガラス20Bは、第2ガラス材料から作製された本体部分23Bを有し、さらに外側および内側表面22Bおよび24Bと、外側エッジ28Bとを有する。一実施形態例において、本体部分23Fおよび23Bを構成している第1および第2ガラス材料は同一のものである。
【0016】
前板ガラス20Fおよび後板ガラス20Bは、夫々の内側表面24Fおよび24Bから測定して、距離DGを隔てて分離されている。外側エッジ28Fおよび28B夫々には、各外側エッジの少なくとも一部を包囲して気密シールを提供する、エッジシール30が提供される。エッジシール30と、前および後板ガラスの内側表面24Fおよび24Bとで、シールされた内部領域40が画成される。シールされた内部領域40は、1気圧未満の真空圧力を有するように少なくとも部分的に真空にすることが好ましく、これにより所望の絶縁および防音特性を備えたVIG窓10が提供される。
【0017】
VIG窓10は、後板ガラス20Bの内側表面24Bに一体形成された、複数のガラス突起スペーサ50をさらに含む。図3はガラス突起スペーサ50例の拡大図である。ガラス突起スペーサ50は後板ガラス20Bに一体形成されたものであり、VIG窓10と分離した、すなわち別個の要素として追加されたものではないことに留意されたい。つまり、ガラス突起50は後板ガラス20Bと同一の材料で形成された(すなわち同一の材料から成る)ものであり、事実上は本体部分23Bの拡張部である。ガラス突起50を形成する方法の例について、以下に詳細に論じる。
【0018】
一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50は互いに規則的に間隔を空けて設けられる。ガラス突起スペーサ50は本体部分23Bに一体形成されているため、VIG窓10を通常の(すなわち、略垂直入射の)視角で見ると、ガラス突起スペーサ50は実質的に視認されない。そのため、図1ではガラス突起50を実態のないもののように図示している。ガラス突起50は、図3に示すように、「先端」すなわち「上端部分」51を有する。以下で論じるが、上端部分51は図3に示されているように丸みを帯びた状態である必要はない。ガラス突起スペーサ50は前板ガラスの内側表面24Fと接し、そして前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B間の分離距離DGを維持する働きをする。
【0019】
一実施形態例において、窓用板ガラス20Fおよび20Bはソーダ石灰ガラスの板ガラスから形成され、これらの窓用板ガラスは、さらに一実施形態例において、2mmから3mmの間の厚さTGを有する。一実施形態例において、ソーダ石灰ガラスに形成されたガラス突起スペーサ50の高さ(「突起高さ」)Hは、75μmから170μmの範囲内であり、より好適には100μmから170μmの範囲内であり、そしてさらに好適には150μmから170μmの範囲内である。一実施形態例において、窓用板ガラス20Fおよび20Bは略同じ厚さTG(図6参照)を有する。
【0020】
図4Aは図2に類似した断面図であり、前板ガラス20Fと後板ガラス20Bとの間に中間板ガラス20Mを挟んで含む、3枚ガラスVIG窓10の実施形態例を示したものである。中間板ガラス20Mは、第3ガラス材料からなる本体部分23Mを有し、さらに前面22M、後面24M、およびエッジ28Mを有する。第1組および第2組のガラス突起スペーサ50が、中間板ガラス20Mの前面22Mおよび後面24Mに夫々形成され、そして中間板ガラス20Mと前板ガラス20Fとの間の距離DGA、中間板ガラス20Mと後板ガラス20Bとの間の距離DGBを夫々維持する働きをする。図4Aに示した実施形態例においては、単一のエッジシール30が、エッジ28F、28Mおよび28Bをシールする働きをする。別の実施形態例においては複数のエッジシール30が使用され、この場合は、1つのエッジシールがエッジ28Fおよび28M夫々の少なくとも一部をシールする働きをし、そして他のエッジシールがエッジ28Mおよび28B夫々の少なくとも一部をシールする働きをする(図4B参照)。
【0021】
エッジシール30と窓用板ガラスの表面24Fおよび22Mとで第1のシールされた内部領域40Aが画成され、一方エッジシール30と窓用板ガラスの表面24Mおよび24Bとで第2のシールされた内部領域40Bが画成される。シールされた内部領域40Aおよび40Bは、1気圧未満の真空圧力を夫々が有するように真空にすることが好ましく、これにより、所望の、そして特に図1および図2に示した2枚ガラスVIG窓10の約2倍の、絶縁および防音特性を備えた、3枚ガラスVIG窓10が提供される。
【0022】
図4Bは図4Aに類似した、3枚ガラスVIG窓10の別の実施形態例を示したものであり、ここでは第2組のガラス突起スペーサ50が、中間板ガラス20Mではなく後板ガラス20Bの内側表面24Bに形成されている。図4Bはさらに、上述したように、複数のエッジシール30を使用した実施形態例を示している。
【0023】
一実施形態例において、中間板ガラス20Mはソーダ石灰ガラスで形成され、そしてさらに一実施形態例において、この板ガラスは2mmから3mmの間の厚さTGを有する。一実施形態例において、前、中間、および後板ガラスの本体部分23F、23Mおよび23Bは、同一のガラス材料から作製されている。
【0024】
ソーダ石灰ガラスは最も一般的な窓用ガラスであるが、本書において開示されるVIG窓の発明は、以下に詳細に説明する方法を用いて一体型ガラス突起スペーサ50を形成することが可能な、任意の種類のガラスに適用させることができる。例えば、本書において開示されるVIG窓の発明は、低鉄の(「高透明の」)窓用ガラスの他、以下で紹介および論じられる他のガラスにも適用される。
【0025】
ガラス突起スペーサの形成
窓用板ガラスに使用されている市販の透過性ガラスは、高出力レーザを利用可能な、例えば約800μmから1600μmの間の近赤外(NIR)域や、約340nmから約380nmの間の紫外(UV)域などの波長をほとんど吸収しない傾向にある。例えば、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスおよびアルミノケイ酸ナトリウムガラス(全てNY州コーニングのコーニング社(Corning Incorporated)から入手可能な、Eagle2000(登録商標)ガラス、EagleXG(商標)ガラス、1317ガラス、およびGorilla(商標)ガラスなどのガラス)は、典型的には図5Aに示すような透過スペクトルを有し、そしてソーダ石灰ガラスは、典型的には図5Bに示すような透過スペクトルを有している。図5Aおよび図5Bから明らかであるように、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスおよびソーダ石灰ガラスの透過率は、波長355nmで約85%超(ガラス/空気界面での反射によるフレネル損失を含む)であり、これは数百ワットの出力が利用可能なレーザを使用しない限り、容積が小さいガラスであっても作業点(〜105ポアズ)に近い温度まで加熱するには不十分である。
【0026】
意外なことに、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス(例えば、前述のEagle2000ガラスおよびEagleXGガラスなどのLCDガラス)、ソーダ石灰ガラス、およびアルミノケイ酸ナトリウムガラス(例えば、前述の1317ガラスおよびGorillaガラス)から形成されたものを含む、特定の透過性の窓用板ガラスでは、強力なUVレーザビームをこの透過性の窓用板ガラスに通して伝送することによって、そのレーザ波長での吸収を十分なレベルに上昇させ得ることが分かっている。特に、高繰返し率のナノ秒パルス幅のUVレーザが最も効果的であることが分かった。このようなパルスのUVレーザビームに数秒間露出すると、本来であれば比較的低吸収の透過性ガラスに、光誘起吸収を生じさせることが分かった。この誘起されたガラスの吸収はUV波長で著しく増加し、窓用板ガラスをその作業温度まで(同一のレーザまたは別のレーザを使用して)局所的に加熱することを可能にし、そしてガラス突起スペーサ50の形成を可能にする。UVにより生成された吸収は、一旦照射が終了すると短時間(例えば、数秒)で弱まる。
【0027】
中赤外線波長レーザなどの他の種類のレーザを、ほとんどの透過性ガラス材料に対してUVレーザの代わりに使用することができる。一例の中赤外線波長レーザは、約2.7μmの波長を有するレーザビームを生成する。説明のため、本発明の方法を実施するために使用する装置と関連付けて、UVレーザを以下において説明および検討する。
【0028】
図6は、VIG窓10を形成する過程で窓用板ガラス20にガラス突起スペーサ50を形成するために使用される、レーザベースの装置(「装置」)100の一例を示す概略図である。装置100は、光軸A1に沿って配列されるレーザ110を含む。レーザ110は、出力Pを有するレーザビーム112を光軸に沿って放射する。一実施形態例において、レーザ110は電磁スペクトルの紫外線(UV)領域で動作する。
【0029】
さらに図7を参照すると、特定の実施形態例において、レーザ110はレーザビーム112を構成する光パルス112Pを生成するパルスレーザであり、このとき光パルスはUV波長(例えば、約355nm)を有し、そしてナノ秒スケールの時間的パルス幅τPを有する。一実施形態例において、光パルス112Pは、20ns≦τP≦80nsの範囲の時間的パルス幅τPと、50kHz≦R≦200kHzの範囲の繰返し率Rとを有する。さらにこの実施形態例において、レーザ110は20ワットのレーザ(すなわち、P=20W)である。一実施形態例において、レーザ110は第3高調波のNdベースレーザを含む。図7に示すように、光パルス112Pは時間量Δtだけ間隔が空いているものであり、それにより繰返し率はR=1/Δtと定義される。
【0030】
装置100は光軸A1に沿って配列された集光光学系120をさらに含み、この集光光学系は焦点FPを含む焦点面PFを画成する。一実施形態例において、集光光学系120は、レーザ110から順に光軸A1に沿って、デフォーカスレンズ124と第1集束レンズ130の組合せ(この組合せがビーム拡大器を形成する)、および第2集束レンズ132を含む。一実施形態例において、デフォーカスレンズ124の焦点距離はfD=−5cmであり、第1集束レンズ130の焦点距離はfC1=20cmであり、そして第2集束レンズ132の焦点距離はfC2=3cm、開口数はNAC2=0.3である。一実施形態例において、デフォーカスレンズ124と第1および第2集束レンズ130および132は、石英ガラスから作製され、かつ反射防止(AR)コーティングを含む。集光光学系120の別の実施形態例は、レーザビーム112から集束レーザビーム112Fを生成するよう構成された、ミラー、またはミラーおよびレンズ部材の組合せ、を含む。
【0031】
装置100は、レーザ110に電気的に接続され、かつレーザの動作を制御するよう適合された、コントローラ150をさらに含み、このコントローラとしては、例えばレーザコントローラ、マイクロコントローラ、コンピュータ、マイクロコンピュータなどが挙げられる。一実施形態例においては、レーザ制御信号SLによりレーザ110を「オン」および「オフ」にするのではなく、レーザビーム112の経路内にシャッター160を提供し、レーザビームを選択的に遮断できるようにこのシャッターをコントローラ150に電気的に接続させて、シャッター制御信号SSによりレーザビームを「オン」および「オフ」にしてもよい。
【0032】
装置100の操作を開始する前に、前表面22および後表面24を備えた本体部分23を有する窓用板ガラス20がこの装置に対して配置される。具体的には、窓用板ガラスの前表面22および後表面24が光軸に対し略直角を成すようにして、窓用板ガラスの後表面24が焦点面PFから軸方向に沿ってレーザ110に向かう方向へ(すなわち+z方向へ)距離DFだけわずかに変位した位置となるように、窓用板ガラス20は光軸A1の途中に配置される。一実施形態例において、窓用板ガラス20は、1mm≦TG≦6mmの範囲の厚さTGを有している。さらに一実施形態例においては、0.5m≦DF≦2mmである。この配列では、ガラス突起スペーサは窓用板ガラス表面24に形成され、この表面が図2の後板ガラス20Bの表面24Bに対応する。
【0033】
レーザ110はその後、コントローラ150からの制御信号SLにより駆動され、レーザビーム112を生成する。シャッター160を使用する場合には、レーザ110が駆動された後、コントローラ150からのシャッター制御信号SSによってシャッターを駆動しかつ「オン」の位置として、シャッターがレーザビーム112を通過させるようにする。次にレーザビーム112は集光光学系120に受け入れられ、そして集光光学系の中のデフォーカスレンズ124が、レーザビームを発散させてデフォーカスレーザビーム112Dを形成する。デフォーカスレーザビーム112Dは次に第1集束レンズ130に受け入れられ、この第1集束レンズは、デフォーカスレーザビームから、拡大されたコリメートレーザビーム112Cを形成するように配列される。コリメートレーザビーム112Cは次に第2集束レンズ132に受け入れられ、この第2集束レンズが集束レーザビーム112Fを形成する。集束レーザビーム112Fは窓用板ガラス20を通過し、光軸A1に沿って焦点FPで焦点スポットSを形成するが、この焦点は、上述したように窓用板ガラスの後表面24から距離DFの位置にあり、すなわち本体部分23の外側に存在している。集束レーザビーム112Fは窓用板ガラスを通過して収束するため、窓用板ガラス20は光学系120の焦点FPの位置に若干影響することにここで留意されたい。しかしながら、窓用板ガラス20の厚さTGは典型的には十分薄いため、この焦点シフトの影響は無視することができる。
【0034】
集束レーザビーム112Fの一部は、前述した窓用板ガラスにおける光誘起吸収により、窓用板ガラス20を通過するときに吸収される。これは窓用板ガラス20を局所的に加熱する働きをする。光誘起吸収の量は比較的低く、例えば、約3%から約4%である。集束レーザビーム112Fが窓用板ガラス20に局所的に吸収されると、急速な温度変化が本体部分23においてガラスの膨張を誘発し、本体部分23内に限定的な膨張区域を生成する。膨張区域は、この膨張区域を包囲している、ガラスの非加熱の(そのため膨張していない)領域に制約されるため、膨張区域内のガラスは上方に変形して内部応力を解放することを強いられ、こうしてガラス突起スペーサ50が形成される。図6の挿入図に示すように、ガラス突起スペーサ50は、最も高いビーム強度の位置に対応しているピーク51を有する。一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50はガラスの加熱された領域を急速に冷却することによって固定される。一実施形態例において、この固定は集束レーザビーム112Fへの露出(すなわち、集束レーザビーム112Fでの照射)を終了することで達成される。
【0035】
集束レーザビーム112Fがガウシアン分布のような円対称の断面強度分布を有している場合には、局所加熱およびその付随するガラスの膨張は窓用板ガラス本体23の円形領域上で生じ、そして得られるガラス突起スペーサ50は実質的に円対称となる。
【0036】
一実施形態例においては、複数のガラス突起スペーサ50が上述の方法を用いて窓用板ガラス20に形成され、さらにこの窓用板ガラスは、VIG窓10を形成するために使用される。一実施形態例において、装置100はX・Y・Zステージ170を含み、このX・Y・Zステージは、コントローラ150に電気的に接続され、かつ窓用板ガラス20を集束レーザビーム112Fに対して、大きな矢印172で示すようなX、YおよびZ方向に移動させるように構成されている。このため、コントローラ150からのステージ制御信号STを用いてステージ170を選択的に移動させて、そして窓用板ガラス20の様々な位置を照射することにより、複数のガラス突起スペーサ50を形成することができる。
【0037】
一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50は図1に示すように規則的なアレイの状態で形成される。一実施形態例において、隣接するガラス突起スペーサ50間の間隔は、約2インチ(すなわち、約5.08cm)と6インチ(すなわち、約15.24cm)との間である。さらに一実施形態例において、ガラス突起スペーサの形成はガラス突起スペーサ50の成長を監視するフィードバック装置またはシステムを用いて制御されるため、ガラス突起スペーサを、その組のガラス突起スペーサに亘り略均一な選択された高さHを有するように形成することができる。
【0038】
一実施形態例においては、ガラス突起スペーサの形成を、窓用板ガラス20を通る集束レーザビーム112Fの透過率Tを測定することにより監視する。一実施形態例においては、光検出器180を軸A1に沿って窓用板ガラス20の出力側に配列し、かつこの光検出器をコントローラ150に電気的に接続することによって、この監視が可能となる。ガラス突起50が形成されると、集束レーザビーム112Fの透過率Tが急速に減少することが分かっている。したがって、集束レーザビーム112Fの透過光の検出に応答して光検出器180が生成する電気的検出器信号SDの変化により、この急速な透過率の低下は検出される。集束レーザビーム112Fの照射(露出)を(例えば、コントローラ150の上述したような制御信号SLまたはSSを用いる操作によって)終了させると、局所的加熱が停止され、そしてガラス突起スペーサ50が固定される。一実施形態例においては、測定された透過率Tを用いて照射線量を制御する。
【0039】
一実施形態例においては、光検出器180を窓用板ガラス20の入力側に隣接させて配列し、照射プロセス中の窓用板ガラス本体23からの蛍光をこの光検出器で検出する。検出された蛍光の閾値変化を、露出を終了させるために、または照射線量を調節するためにその後使用する。
【0040】
別の実施形態例においては、照射を制御することによって各ガラス突起スペーサの突起高さを制御するために、フィードバックサブシステムを使用してもよい。例えば、フィードバックサブシステムを実行して、第1の窓用板ガラスを通過する集束レーザビームの透過強度、各ガラス突起スペーサ夫々の温度、各ガラス突起スペーサ夫々から発せられる蛍光強度、および各ガラス突起スペーサ夫々の突起高さ、のうちの1以上を監視し、そして監視された変数について既定値が測定されたときに照射を終了させることによって、照射を制御してもよい。
【0041】
別の実施形態例においては、窓用板ガラス20のガラス突起スペーサ50が形成される位置に集束レーザビーム112Fを選択的に導き得るよう、集光光学系120を走査に適したものとする。
【0042】
突起高さHは、レーザ出力P、繰返し率R、集束条件、および窓用板ガラス20を構成するガラス材料を含む、いくつかの要因に依存する。図8の棒グラフは、集束レーザビーム112Fのレーザ出力(W)、焦点面PFと窓用板ガラスの後表面24との間の距離DF、および、厚さTG=3mmのソーダ石灰ガラスから作られた窓用板ガラスの突起高さH、をプロットしたものである。図8の棒グラフは実験データに基づくものであり、特定の種類の窓用板ガラス20に装置100を用いてガラス突起スペーサ50を形成する操作パラメータの、範囲の一例を提供する。使用した露出(照射)時間は2秒から2.5秒の間であり、この変化は突起高さHに著しい影響を与えないことが認められた。UVレーザの最適な繰返し率は、R=150kHzであることが分かった。突起高さHの範囲は、DFが約0.6mmでありレーザ出力Pが約9Wであるときの約75μmから、DFが約1.1mmでありレーザ出力が約13Wであるときの約170μmにまで及ぶ。
【0043】
突起高さHが小さ過ぎる場合、内部領域40に加えることができる真空の量を減少させることになり得、隣接する窓用板ガラス20間の間隔が小さくなり過ぎるとともに、絶縁特性を低下させることに繋がり得ることに留意されたい。内部領域の容積が小さくなると、同様に絶縁特性の低下に繋がる。さらに、突起高さHが小さいと、近接して配列されたガラス表面間の光の干渉に起因して、「ニュートンリング」を生じさせる可能性がある。突起高さH≧100μmであれば、ほとんどのVIG窓10に対するこれら2つの潜在的な問題を克服するのに十分であると推定される。
【0044】
図9は、厚さTG=3mmのソーダ石灰窓用板ガラスに形成された、ガラス突起スペーサ50の3次元イメージである。図10は、図9のガラス突起スペーサ50をライン走査したものである。このライン走査は、ガラス突起スペーサ50が、略半球状の形状と、約75μmの突起高さHと、そして約250μmのベース直径DBとを有していることを表している。
【0045】
図11は、ガラスプレートの形の成長制限面を窓用板ガラスの表面24に隣接させて置いた後に上記のように窓用板ガラスを照射した点以外は図9に示したものに類似している、ガラス突起スペーサ50の3次元イメージである。得られたガラス突起スペーサ50は、特定の突起高さHまで成長した後、隣接するガラスプレートによってこの成長が制限されたものである。この得られたガラス突起スペーサ50は、略平坦な直径DTの上端部分51を有するものであった。この手法では、ガラス突起50のサイズ、高さ、および形状は、ある程度まで制御することが可能であり、そして特に略平坦な上端部分51の直径DT(したがって表面積)を制御することができる。一実施形態例において、略平坦な上端部分51は略円形の形状を有しているため、その表面積SAは関係SA=π[DT/2] 2により十分に近似される。n個のガラス突起スペーサ50からなる組により生じる総接触面積SATは、SAT=πn[DT/2] 2により近似される。
【0046】
ガラス突起スペーサ50のサイズ、形状、および高さは、より複雑な成長制限構造を用いることによって、あるいは集束レーザビーム112Fの断面形状を変化させることによって、より正確に制御することができる。突起高さHの制御による利益は、ガラスの非均一性や僅かなレーザの不安定性に起因する突起高さのばらつきが、これにより軽減されることである。これら2つの要因は、検査されていない場合には、ガラス突起スペーサ50の突起間に最大で±5μmの高さのばらつきを生じさせることもある。上端が略平坦なガラス突起スペーサ50による別の利益は、先端部分51とガラス20Fとの間の接触部分において機械的応力が低減(最小化を含む)されることである。
【0047】
装置100はガラス突起スペーサ50が半球状の形状を有することを可能にするが、これは主に、突起形成の基となるガラスの増大が、溶融ガラスの表面張力により制御されるためである。この効果は、円対称の断面を有する集束レーザビーム112Fを使用することによって引き出される。ガラス突起スペーサ50の丸みを帯びた形状は、ガラス突起スペーサと隣接する窓用板ガラスとの間の総接触面積SATを最小にするのを可能にし、これにより2つの窓用板ガラス間の熱伝導を減少させるという点で有利である。総接触面積SATが増加すると絶縁性が低下するため、VIG窓10におけるこの熱伝達機構を減少させる(さらに好適には最小化する)ことは重要である。一方、ガラス突起スペーサ50ごとの接触面積SAが極小さいと、局所的な応力集中につながり得、さらに、隣接する窓用板ガラス20および/またはガラス突起スペーサ50に潜在的に損傷を与える可能性がある。図11に関連して上述したように、ガラス突起スペーサ50は、サイズ(すなわち、直径DTとその接触面積SA)の制御が可能な、略平坦な上端部分51を有するものとすることができる。
【0048】
VIG窓10の一実施形態例においては、絶縁性を増加させ、好適には絶縁性を最適化するように、総接触面積SATが選定される。ベース直径DBが約300μmから約700μmの範囲のガラス突起スペーサ50において、略平坦な上端部分51の「上端」直径DTはDT≦100μmであることが好ましく、より好適にはDT≦75μmであり、さらに好適にはDT≦50μmであると推定される。
【0049】
レーザで成長させたVIG窓10内のガラス突起スペーサ50の可視性と、従来のVIG窓で使用された別個のスペーサの可視性とを評価するため、VIG窓に垂直な表面に対して様々な傾斜角度で、いくつかの写真を撮影した。グレージング入射角から見たときにはガラス突起スペーサ50は視認されたが、より通常のよくある視角付近ではほとんど見えなくなった。次に、事実上同じ条件下で撮影された、別個のセラミックスペーサを有する市販の窓用板ガラスの写真と、VIG窓10の写真を比較した。別個のセラミックスペーサは、特に通常のよくある視角付近で、非常によく視認された。
【0050】
図4Aに示すように、一実施形態例においては、ガラス突起スペーサ50が中間板ガラス20Mの両面22Mおよび24Mに形成され、この図に示されているような3枚ガラスVIG窓10を形成する。両面のガラス突起スペーサ50は、一実施形態例において、片面の突起形成と照射条件を変えて形成する。例として、1つの手法では、窓用板ガラス20Mの片面22Mにガラス突起スペーサ50を形成し、その後この板ガラスを回転させて向きを変え、他方の面24Mにさらにガラス突起を形成する。この実施形態においては、それまでに形成されたガラス突起スペーサを照射しないよう、中間板ガラス20Mの夫々の面に形成された2組のガラス突起スペーサ50を若干ずらす必要があるかもしれない。このずれの量は、例えば、ベース直径DBの約2倍以下であるが、この量は典型的にはおよそ200μmから700μmであって、このように典型的なVIG窓10のサイズと比較すると極めて小さいものである。
【0051】
VIG窓10に、一体形成されたガラス突起スペーサ50を使用すると、窓用板ガラスに別個の(すなわち、一体化されていない)スペーサを配置および固定するよりも、費用効果が高いであろうと予想される。これは主に、別個のスペーサを正確な位置に配置し、そしてVIG窓を組み立てる間これらを所定の位置で保持するための設備やプロセスの必要性が、本発明によれば排除されるためである。ガラス突起50の上端部分51と隣接する窓用板ガラス20との間の接触面積SAが、より小さくかつ制御可能であるため、熱伝導によってVIG窓10を通る熱伝達は、別個のスペーサを使用した場合に比べて減少(および好適には最小化)する。3枚ガラスVIG窓の製造の場合には、コストの優位性はより一層明らかになり、この場合には別個のスペーサの取扱いおよび設置は極めて難題である。
【0052】
VIG窓10の実施形態例では、様々な材料組成を有する窓用板ガラス20が採用される。例えば、ある窓用板ガラス20(例えば、図2の後板ガラス20B)は第1のガラス種類で形成され、別の窓用板ガラス(例えば、前板ガラス20F)は第2のガラス種類で形成される。例えば、第1のガラス種類はソーダ石灰窓用ガラスであり、一方第2のガラス種類はアルミノケイ酸ナトリウムガラス(例えば、1317、2317、および他)であり、あるいはその逆も同様である。さらに、VIG窓10の一実施形態例においては、構造的強度を提供するために1つの窓用板ガラス20をより厚いもの(例えば、3mmから6mm)とし、一方VIG窓10の総厚さおよび総重量を最小限に抑えるため、他方の窓用板ガラスを、増大する能力がより高くかつより薄い(例えば、1mmから2mm)ものとする。
【0053】
アルミノケイ酸ナトリウムガラス1317(「1317ガラス」)において実施されたガラス突起形成の実験では、高度な増大能力が示され、厚さTG=1.3mmのサンプルに形成された突起の高さHは155μmであった。ここで、ソーダ石灰窓用ガラスおよび1317ガラスは、同様の熱膨張係数(CTE)約9ppm/℃を有することに留意されたい。
【0054】
鉄の含有量が非常に少ない(すなわち緑がかった色を有していない)「高透明の」窓用板ガラス20において実施された実験においては、上述の方法を用いて、突起高さHが約212μmのガラス突起スペーサ50が形成された。すなわち、一実施形態例において、鉄の含有量が少ないガラスに形成されたガラス突起スペーサ50の突起高さHは、75μmから225μmの範囲であり、より好適には100μmから225μmの範囲であり、さらに好適には150μmから225μmの範囲である。
【0055】
図12は、後表面24に赤外線反射コーティング210を有している窓用板ガラス20の例を示す概略側面図である。この窓用板ガラスは、伝達される熱の量をさらに低減するため、VIG窓に有用である。
【0056】
図13は図12に類似した拡大断面図であるが、図12のIR反射窓用板ガラス20に対し、その上に形成されたガラス突起スペーサ50を示したものである。コーティング210の溶融点は窓用板ガラス20よりも大幅に低いため、ガラス突起スペーサ50の近傍ではコーティングが溶融して失われ、スペーサをコーティングされていない状態にする。残留してしまったコーティング210は、標準的なガラス洗浄技術を用いて後表面24を洗浄することによって、いかなるものでも容易に除去される。
【0057】
VIG窓の形成
本発明の一態様は、上述したようなガラス突起スペーサ50を形成する方法を使用して、例えばVIG窓10のようなVIG窓を形成するものに関する。すなわち、再び図1および図2を参照すると、VIG窓10を形成する一例の方法は、第1ガラス材料を含む第1(後)板ガラス20Bに、その第1本体部分の第1ガラス材料で構成される、複数のガラス突起スペーサ50を形成する工程を含む。この方法は次に、第2ガラス材料の第2(前)板ガラス20Fを第1の複数のガラス突起スペーサ50と接触させ、このとき第1および第2板ガラスが夫々の表面24Fおよび24B間において図2に示すように第1距離DGだけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法はさらに、第1および第2エッジ28Fおよび28B夫々の少なくとも一部をエッジシール30でシールして、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B間に内部領域40を画成する工程を含む。内部領域40はその後、1気圧未満の真空圧力を内部に形成するように、少なくとも部分的に真空にされる。特定の実施形態例において、第1および第2ガラス材料は同一のものである。
【0058】
3枚ガラスVIG窓10を形成する方法は、2枚ガラスVIG窓の形成に類似しており、ここで図4Aおよび図4Bを参照して論じる。図4Aを参照すると、3枚ガラスVIG窓10の形成の実施形態例は、前(第2)板ガラス20Fおよび後(第3)板ガラス20Bの間に存在している中間(「第1」)板ガラス20Mに2組のガラス突起スペーサを形成する工程を含む。中間板ガラス20Mは、すなわち、第1および第2の複数(組)のガラス突起スペーサ50を各表面22Mおよび24Mに有する。中間板ガラス20Mはさらに外側エッジ28Mを有し、また中間板ガラス20Mは第1ガラス材料から作製されている。
【0059】
この方法は、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B(夫々、第2および第3ガラス材料で構成されている)を、第1および第2の複数のガラス突起スペーサ50と夫々接触させ、このとき前板ガラス20Fおよび中間板ガラス20Mが表面24Fおよび22M間において距離DGAだけ間隔が空くようにし、そして中間板ガラス20Mおよび後板ガラス20Bが表面24Mおよび24B間において距離DGBだけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法は次に、この3つの前、中間、および後板ガラスのエッジ28F、28M、および28B夫々の少なくとも一部を、1以上のエッジシール30(図4Aには1つのエッジシール30が図示されている)でシールする工程を含む。これは、前板ガラス20Fおよび中間板ガラス20Mの間と、中間板ガラス20Mおよび後板ガラス20Bの間の、夫々、第1内部領域40Aおよび第2内部領域40Bを画成する働きをする。内部領域40Aおよび40Bはその後、1気圧未満の真空圧力を夫々内部に形成するように、少なくとも部分的に真空にされる。特定の実施形態例において、第1、第2、および第3ガラス材料は、全て同一のものである。
【0060】
図4Bに示した別の実施形態においては、第2の組のガラス突起スペーサ50を中間板ガラス20Mに形成するのではなく、後板ガラス20Bの内側表面24Bに形成する。さらに、図4Bに示すように、3枚ガラスVIG窓10を形成する方法は、エッジ28Fおよび28M夫々の少なくとも一部をシールして第1内部領域40Aに真空シールを形成するために1つのエッジシール30を使用し、かつエッジ28Mおよび28B夫々の少なくとも一部をシールして第2内部領域40Bに真空シールを形成するために別のエッジシールを使用する工程を、代わりに含む。
【0061】
前述の説明において、ここで開示された概念から逸脱することなく、本発明の改変を作製し得ることは当業者には容易に明らかであろうが、このような改変は、以下の請求項においてその言葉で他に明確に記述されていなければ、この請求項の中に含まれると考えるべきである。
【符号の説明】
【0062】
10 VIG窓
20B 後板ガラス
20F 前板ガラス
20M 中間板ガラス
23B、23F、23M 本体部分
28B、28F、28M エッジ
30 エッジシール
40、40A、40B 内部領域
50 ガラス突起スペーサ
【関連出願の説明】
【0001】
本明細書は、「ガラス突起スペーサを備えた真空絶縁ガラス窓」と題する、2008年11月5日に出願された米国特許出願第12/265,192号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に真空絶縁ガラス窓に関し、特にガラス突起スペーサを採用している真空絶縁ガラス窓に関する。
【背景技術】
【0003】
真空絶縁ガラス(VIG)窓は、典型的には2以上の窓用板ガラスの間を真空にして構成され、この窓では通常のガラス窓と比較して、絶縁および防音特性を改善することができる。窓用板ガラスの撓みを防止するために別個のスペーサを窓用板ガラス間に配置して、窓用板ガラスが互いに接触することを防いでいる。スペーサは典型的には、アルミニウム、プラスチック、セラミック、またはガラスから作製され、そして窓用板ガラスとは別に、すなわち別個の要素として、窓用板ガラスの間に配置され固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のスペーサは、窓用板ガラスを分離させるには効果的であるが、窓を見たときに視認されやすく、窓の見栄えを悪くする傾向にある。さらに、窓用板ガラスの間に別個のスペーサを配置し、そしてこのスペーサを窓用板ガラスに固定させる必要があるため、VIG窓の製造プロセスはより費用がかかり、また複雑なものになっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、VIG窓である。このVIG窓は、第1ガラス材料で形成された第1本体部分を有しさらに第1の対向する表面と第1外側エッジとを有する、第1窓用板ガラスを含む。このVIG窓はさらに、第1窓用板ガラスから第1距離だけ間隔を空けて、かつ第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第2窓用板ガラスであって、第2ガラス材料で形成された第2本体部分を有し、さらに第2の対向する表面と第2外側エッジとを有する、この第2窓用板ガラスを含む。第1エッジシールが、第1および第2窓用板ガラスの間に1気圧未満の真空圧力を有する第1のシールされた内部領域を画成するよう、第1および第2外側エッジ夫々の周囲に形成される。第1窓用板ガラスの第1の表面の一方に一体形成されかつ第1本体部分の第1ガラス材料から成るものであり、さらに間隔の第1距離を維持するよう第2窓用板ガラスと接触する、第1の複数のガラス突起スペーサを、このVIG窓はさらに含む。
【0006】
本発明の別の態様は、VIG窓を形成する方法である。この方法は、第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスにおいて、第1表面に、第1本体部分の第1ガラス材料から成る第1の複数のガラス突起スペーサを一体形成させる工程を含む。この方法はさらに、第2表面と第2エッジとを有する第2本体部分を備えかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、第1の複数のガラス突起スペーサと接触させ、このとき第1および第2窓用板ガラスが第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法は、第1および第2エッジをシールして、第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程と、その後、内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程とをさらに含む。
【0007】
本発明の別の態様は、あるプロセスにより形成されるVIG窓製品であり、このプロセスは、第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスを提供する工程、および、第1窓用板ガラスの第1表面に、第1本体部分の第1ガラス材料から成る複数のガラス突起スペーサを形成する工程、を含む。このプロセスは、第2表面と第2エッジとを有する第2本体部分を備えかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、ガラス突起スペーサと接触させ、このとき第1および第2窓用板ガラスが第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程をさらに含む。このプロセスはさらに、第1および第2エッジをシールして、第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程を含む。このプロセスは、内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程をさらに含む。
【0008】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は以下の詳細な説明の中で明らかにされ、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、請求項の他、添付の図面を含め、本書で説明されたように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0009】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の実施の形態を示していること、さらに、請求される本発明の本質および特性を理解するための概要または構想を提供するよう意図されていることを理解されたい。添付の図面は、本発明をさらに理解することができるように含まれているものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は本発明の種々の実施形態を示し、そしてその説明とともに、本発明の原理および動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による2枚ガラスVIG窓の一例を示す前面図
【図2】図1のVIG窓の方向CS−CSから見た断面図
【図3】一例のガラス突起スペーサの拡大断面図
【図4A】両面にガラス突起スペーサが形成されている中間板ガラスを備えた、3枚ガラスVIG窓の実施形態例を示している図2に類似した断面図
【図4B】第2組のガラス突起スペーサが中間板ガラスではなく後板ガラスに形成されていることを除き、図4Aに類似した図
【図5A】UVおよび可視波長スペクトルにおける、透過性アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスに対する典型的な透過率曲線(透過率(%)対波長(mm))を示す図
【図5B】UVおよび可視波長スペクトルにおける、透過性ソーダ石灰ガラスに対する典型的な透過率曲線(透過率(%)対波長(mm))を示す図
【図6】VIG窓を形成する過程で窓用板ガラスにガラス突起スペーサを形成するために使用される、レーザベースのガラス突起形成装置の一例を示す概略図
【図7】パルスレーザからの光パルスにより形成されたレーザ光ビームの一実施形態例を示す概略図
【図8】ソーダ石灰窓用板ガラスに対する、レーザ出力(W)、距離DF、およびガラス突起スペーサの高さHを、実験データに基づいてプロットした棒グラフ
【図9】3mmのソーダ石灰窓用板ガラスサンプルに形成された、ガラス突起スペーサの3次元イメージ
【図10】図9のガラス突起スペーサをライン走査した、略半球状の形状を示している図
【図11】ガラス突起スペーサが略平坦な上端部分を有していることを除き、図9に示したものに類似しているガラス突起スペーサの3次元イメージ
【図12】赤外線反射コーティングを有している窓用板ガラスの例を示す概略側面図
【図13】図12の窓用板ガラスに形成された、コーティングされていないガラス突起スペーサを示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明のため、本書において、用語「前」、「後」、「中間」、およびこれらの派生語は、本発明の装置および方法の説明を助けるために使用される相対語である。したがって、本発明は、明確にその反対を明記している場合を除き、種々の別の配向やステップの順序を想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面に図示され、かつ以下の明細書の中で説明される具体的な装置およびプロセスは、添付の請求項において画成される発明の概念の実施の形態であることも理解されたい。したがって、本書において開示される実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、請求項において明確に他に記載されていなければ、限定するものと考えるべきではない。
【0012】
「光誘起吸収」という用語は、窓用板ガラスを局所的に光学的放射に露出する(照射する)ことにより生じる、窓用板ガラスの吸収スペクトルの局所的変化を意味すると広く理解されている。光誘起吸収は、限定するものではないが、紫外線、近紫外線、可視、近赤外線、および/または赤外線、の波長を含む、波長または波長範囲での吸収の変化を含み得る。透過性の窓用板ガラスにおける光誘起吸収の例として、例えば限定するものではないが、色中心の形成、一時的なガラス欠陥の形成、および永久的なガラス欠陥の形成が挙げられる。
【0013】
ガラス突起スペーサが窓用板ガラス「に形成されている」という説明は、ガラス突起スペーサが、略平坦であった窓用板ガラスの表面から外側に凸状に突き出すようにして窓用板ガラスの本体部分から成長し、かつ窓用板ガラスを構成しているガラス材料から形成されていることを意味する。
【0014】
本書において使用される窓は、紫外線、近紫外線、可視、近赤外線、および/または赤外線、の波長を有する電磁(EM)放射を含むEM放射に対して少なくとも部分的に透過性の、2以上の窓用板ガラスを備えた製品である。
【0015】
一体形成されたガラス突起を有するVIG窓
図1は、本発明による2枚ガラスVIG窓10の実施形態例を示す前面図である。図2は、図1のVIG窓10例の、方向CS−CSから見た断面図である。参照のため、デカルト座標が図示されている。VIG窓10は、2つの窓用板ガラス20、すなわち、互いに対向しかつ略平行に配置される、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20Bを含む。前板ガラス20Fは、第1ガラス材料から作製された本体部分23Fを有し、さらに外側および内側表面22Fおよび24Fと、外側エッジ28Fとを有する。同様に、後板ガラス20Bは、第2ガラス材料から作製された本体部分23Bを有し、さらに外側および内側表面22Bおよび24Bと、外側エッジ28Bとを有する。一実施形態例において、本体部分23Fおよび23Bを構成している第1および第2ガラス材料は同一のものである。
【0016】
前板ガラス20Fおよび後板ガラス20Bは、夫々の内側表面24Fおよび24Bから測定して、距離DGを隔てて分離されている。外側エッジ28Fおよび28B夫々には、各外側エッジの少なくとも一部を包囲して気密シールを提供する、エッジシール30が提供される。エッジシール30と、前および後板ガラスの内側表面24Fおよび24Bとで、シールされた内部領域40が画成される。シールされた内部領域40は、1気圧未満の真空圧力を有するように少なくとも部分的に真空にすることが好ましく、これにより所望の絶縁および防音特性を備えたVIG窓10が提供される。
【0017】
VIG窓10は、後板ガラス20Bの内側表面24Bに一体形成された、複数のガラス突起スペーサ50をさらに含む。図3はガラス突起スペーサ50例の拡大図である。ガラス突起スペーサ50は後板ガラス20Bに一体形成されたものであり、VIG窓10と分離した、すなわち別個の要素として追加されたものではないことに留意されたい。つまり、ガラス突起50は後板ガラス20Bと同一の材料で形成された(すなわち同一の材料から成る)ものであり、事実上は本体部分23Bの拡張部である。ガラス突起50を形成する方法の例について、以下に詳細に論じる。
【0018】
一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50は互いに規則的に間隔を空けて設けられる。ガラス突起スペーサ50は本体部分23Bに一体形成されているため、VIG窓10を通常の(すなわち、略垂直入射の)視角で見ると、ガラス突起スペーサ50は実質的に視認されない。そのため、図1ではガラス突起50を実態のないもののように図示している。ガラス突起50は、図3に示すように、「先端」すなわち「上端部分」51を有する。以下で論じるが、上端部分51は図3に示されているように丸みを帯びた状態である必要はない。ガラス突起スペーサ50は前板ガラスの内側表面24Fと接し、そして前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B間の分離距離DGを維持する働きをする。
【0019】
一実施形態例において、窓用板ガラス20Fおよび20Bはソーダ石灰ガラスの板ガラスから形成され、これらの窓用板ガラスは、さらに一実施形態例において、2mmから3mmの間の厚さTGを有する。一実施形態例において、ソーダ石灰ガラスに形成されたガラス突起スペーサ50の高さ(「突起高さ」)Hは、75μmから170μmの範囲内であり、より好適には100μmから170μmの範囲内であり、そしてさらに好適には150μmから170μmの範囲内である。一実施形態例において、窓用板ガラス20Fおよび20Bは略同じ厚さTG(図6参照)を有する。
【0020】
図4Aは図2に類似した断面図であり、前板ガラス20Fと後板ガラス20Bとの間に中間板ガラス20Mを挟んで含む、3枚ガラスVIG窓10の実施形態例を示したものである。中間板ガラス20Mは、第3ガラス材料からなる本体部分23Mを有し、さらに前面22M、後面24M、およびエッジ28Mを有する。第1組および第2組のガラス突起スペーサ50が、中間板ガラス20Mの前面22Mおよび後面24Mに夫々形成され、そして中間板ガラス20Mと前板ガラス20Fとの間の距離DGA、中間板ガラス20Mと後板ガラス20Bとの間の距離DGBを夫々維持する働きをする。図4Aに示した実施形態例においては、単一のエッジシール30が、エッジ28F、28Mおよび28Bをシールする働きをする。別の実施形態例においては複数のエッジシール30が使用され、この場合は、1つのエッジシールがエッジ28Fおよび28M夫々の少なくとも一部をシールする働きをし、そして他のエッジシールがエッジ28Mおよび28B夫々の少なくとも一部をシールする働きをする(図4B参照)。
【0021】
エッジシール30と窓用板ガラスの表面24Fおよび22Mとで第1のシールされた内部領域40Aが画成され、一方エッジシール30と窓用板ガラスの表面24Mおよび24Bとで第2のシールされた内部領域40Bが画成される。シールされた内部領域40Aおよび40Bは、1気圧未満の真空圧力を夫々が有するように真空にすることが好ましく、これにより、所望の、そして特に図1および図2に示した2枚ガラスVIG窓10の約2倍の、絶縁および防音特性を備えた、3枚ガラスVIG窓10が提供される。
【0022】
図4Bは図4Aに類似した、3枚ガラスVIG窓10の別の実施形態例を示したものであり、ここでは第2組のガラス突起スペーサ50が、中間板ガラス20Mではなく後板ガラス20Bの内側表面24Bに形成されている。図4Bはさらに、上述したように、複数のエッジシール30を使用した実施形態例を示している。
【0023】
一実施形態例において、中間板ガラス20Mはソーダ石灰ガラスで形成され、そしてさらに一実施形態例において、この板ガラスは2mmから3mmの間の厚さTGを有する。一実施形態例において、前、中間、および後板ガラスの本体部分23F、23Mおよび23Bは、同一のガラス材料から作製されている。
【0024】
ソーダ石灰ガラスは最も一般的な窓用ガラスであるが、本書において開示されるVIG窓の発明は、以下に詳細に説明する方法を用いて一体型ガラス突起スペーサ50を形成することが可能な、任意の種類のガラスに適用させることができる。例えば、本書において開示されるVIG窓の発明は、低鉄の(「高透明の」)窓用ガラスの他、以下で紹介および論じられる他のガラスにも適用される。
【0025】
ガラス突起スペーサの形成
窓用板ガラスに使用されている市販の透過性ガラスは、高出力レーザを利用可能な、例えば約800μmから1600μmの間の近赤外(NIR)域や、約340nmから約380nmの間の紫外(UV)域などの波長をほとんど吸収しない傾向にある。例えば、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスおよびアルミノケイ酸ナトリウムガラス(全てNY州コーニングのコーニング社(Corning Incorporated)から入手可能な、Eagle2000(登録商標)ガラス、EagleXG(商標)ガラス、1317ガラス、およびGorilla(商標)ガラスなどのガラス)は、典型的には図5Aに示すような透過スペクトルを有し、そしてソーダ石灰ガラスは、典型的には図5Bに示すような透過スペクトルを有している。図5Aおよび図5Bから明らかであるように、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスおよびソーダ石灰ガラスの透過率は、波長355nmで約85%超(ガラス/空気界面での反射によるフレネル損失を含む)であり、これは数百ワットの出力が利用可能なレーザを使用しない限り、容積が小さいガラスであっても作業点(〜105ポアズ)に近い温度まで加熱するには不十分である。
【0026】
意外なことに、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス(例えば、前述のEagle2000ガラスおよびEagleXGガラスなどのLCDガラス)、ソーダ石灰ガラス、およびアルミノケイ酸ナトリウムガラス(例えば、前述の1317ガラスおよびGorillaガラス)から形成されたものを含む、特定の透過性の窓用板ガラスでは、強力なUVレーザビームをこの透過性の窓用板ガラスに通して伝送することによって、そのレーザ波長での吸収を十分なレベルに上昇させ得ることが分かっている。特に、高繰返し率のナノ秒パルス幅のUVレーザが最も効果的であることが分かった。このようなパルスのUVレーザビームに数秒間露出すると、本来であれば比較的低吸収の透過性ガラスに、光誘起吸収を生じさせることが分かった。この誘起されたガラスの吸収はUV波長で著しく増加し、窓用板ガラスをその作業温度まで(同一のレーザまたは別のレーザを使用して)局所的に加熱することを可能にし、そしてガラス突起スペーサ50の形成を可能にする。UVにより生成された吸収は、一旦照射が終了すると短時間(例えば、数秒)で弱まる。
【0027】
中赤外線波長レーザなどの他の種類のレーザを、ほとんどの透過性ガラス材料に対してUVレーザの代わりに使用することができる。一例の中赤外線波長レーザは、約2.7μmの波長を有するレーザビームを生成する。説明のため、本発明の方法を実施するために使用する装置と関連付けて、UVレーザを以下において説明および検討する。
【0028】
図6は、VIG窓10を形成する過程で窓用板ガラス20にガラス突起スペーサ50を形成するために使用される、レーザベースの装置(「装置」)100の一例を示す概略図である。装置100は、光軸A1に沿って配列されるレーザ110を含む。レーザ110は、出力Pを有するレーザビーム112を光軸に沿って放射する。一実施形態例において、レーザ110は電磁スペクトルの紫外線(UV)領域で動作する。
【0029】
さらに図7を参照すると、特定の実施形態例において、レーザ110はレーザビーム112を構成する光パルス112Pを生成するパルスレーザであり、このとき光パルスはUV波長(例えば、約355nm)を有し、そしてナノ秒スケールの時間的パルス幅τPを有する。一実施形態例において、光パルス112Pは、20ns≦τP≦80nsの範囲の時間的パルス幅τPと、50kHz≦R≦200kHzの範囲の繰返し率Rとを有する。さらにこの実施形態例において、レーザ110は20ワットのレーザ(すなわち、P=20W)である。一実施形態例において、レーザ110は第3高調波のNdベースレーザを含む。図7に示すように、光パルス112Pは時間量Δtだけ間隔が空いているものであり、それにより繰返し率はR=1/Δtと定義される。
【0030】
装置100は光軸A1に沿って配列された集光光学系120をさらに含み、この集光光学系は焦点FPを含む焦点面PFを画成する。一実施形態例において、集光光学系120は、レーザ110から順に光軸A1に沿って、デフォーカスレンズ124と第1集束レンズ130の組合せ(この組合せがビーム拡大器を形成する)、および第2集束レンズ132を含む。一実施形態例において、デフォーカスレンズ124の焦点距離はfD=−5cmであり、第1集束レンズ130の焦点距離はfC1=20cmであり、そして第2集束レンズ132の焦点距離はfC2=3cm、開口数はNAC2=0.3である。一実施形態例において、デフォーカスレンズ124と第1および第2集束レンズ130および132は、石英ガラスから作製され、かつ反射防止(AR)コーティングを含む。集光光学系120の別の実施形態例は、レーザビーム112から集束レーザビーム112Fを生成するよう構成された、ミラー、またはミラーおよびレンズ部材の組合せ、を含む。
【0031】
装置100は、レーザ110に電気的に接続され、かつレーザの動作を制御するよう適合された、コントローラ150をさらに含み、このコントローラとしては、例えばレーザコントローラ、マイクロコントローラ、コンピュータ、マイクロコンピュータなどが挙げられる。一実施形態例においては、レーザ制御信号SLによりレーザ110を「オン」および「オフ」にするのではなく、レーザビーム112の経路内にシャッター160を提供し、レーザビームを選択的に遮断できるようにこのシャッターをコントローラ150に電気的に接続させて、シャッター制御信号SSによりレーザビームを「オン」および「オフ」にしてもよい。
【0032】
装置100の操作を開始する前に、前表面22および後表面24を備えた本体部分23を有する窓用板ガラス20がこの装置に対して配置される。具体的には、窓用板ガラスの前表面22および後表面24が光軸に対し略直角を成すようにして、窓用板ガラスの後表面24が焦点面PFから軸方向に沿ってレーザ110に向かう方向へ(すなわち+z方向へ)距離DFだけわずかに変位した位置となるように、窓用板ガラス20は光軸A1の途中に配置される。一実施形態例において、窓用板ガラス20は、1mm≦TG≦6mmの範囲の厚さTGを有している。さらに一実施形態例においては、0.5m≦DF≦2mmである。この配列では、ガラス突起スペーサは窓用板ガラス表面24に形成され、この表面が図2の後板ガラス20Bの表面24Bに対応する。
【0033】
レーザ110はその後、コントローラ150からの制御信号SLにより駆動され、レーザビーム112を生成する。シャッター160を使用する場合には、レーザ110が駆動された後、コントローラ150からのシャッター制御信号SSによってシャッターを駆動しかつ「オン」の位置として、シャッターがレーザビーム112を通過させるようにする。次にレーザビーム112は集光光学系120に受け入れられ、そして集光光学系の中のデフォーカスレンズ124が、レーザビームを発散させてデフォーカスレーザビーム112Dを形成する。デフォーカスレーザビーム112Dは次に第1集束レンズ130に受け入れられ、この第1集束レンズは、デフォーカスレーザビームから、拡大されたコリメートレーザビーム112Cを形成するように配列される。コリメートレーザビーム112Cは次に第2集束レンズ132に受け入れられ、この第2集束レンズが集束レーザビーム112Fを形成する。集束レーザビーム112Fは窓用板ガラス20を通過し、光軸A1に沿って焦点FPで焦点スポットSを形成するが、この焦点は、上述したように窓用板ガラスの後表面24から距離DFの位置にあり、すなわち本体部分23の外側に存在している。集束レーザビーム112Fは窓用板ガラスを通過して収束するため、窓用板ガラス20は光学系120の焦点FPの位置に若干影響することにここで留意されたい。しかしながら、窓用板ガラス20の厚さTGは典型的には十分薄いため、この焦点シフトの影響は無視することができる。
【0034】
集束レーザビーム112Fの一部は、前述した窓用板ガラスにおける光誘起吸収により、窓用板ガラス20を通過するときに吸収される。これは窓用板ガラス20を局所的に加熱する働きをする。光誘起吸収の量は比較的低く、例えば、約3%から約4%である。集束レーザビーム112Fが窓用板ガラス20に局所的に吸収されると、急速な温度変化が本体部分23においてガラスの膨張を誘発し、本体部分23内に限定的な膨張区域を生成する。膨張区域は、この膨張区域を包囲している、ガラスの非加熱の(そのため膨張していない)領域に制約されるため、膨張区域内のガラスは上方に変形して内部応力を解放することを強いられ、こうしてガラス突起スペーサ50が形成される。図6の挿入図に示すように、ガラス突起スペーサ50は、最も高いビーム強度の位置に対応しているピーク51を有する。一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50はガラスの加熱された領域を急速に冷却することによって固定される。一実施形態例において、この固定は集束レーザビーム112Fへの露出(すなわち、集束レーザビーム112Fでの照射)を終了することで達成される。
【0035】
集束レーザビーム112Fがガウシアン分布のような円対称の断面強度分布を有している場合には、局所加熱およびその付随するガラスの膨張は窓用板ガラス本体23の円形領域上で生じ、そして得られるガラス突起スペーサ50は実質的に円対称となる。
【0036】
一実施形態例においては、複数のガラス突起スペーサ50が上述の方法を用いて窓用板ガラス20に形成され、さらにこの窓用板ガラスは、VIG窓10を形成するために使用される。一実施形態例において、装置100はX・Y・Zステージ170を含み、このX・Y・Zステージは、コントローラ150に電気的に接続され、かつ窓用板ガラス20を集束レーザビーム112Fに対して、大きな矢印172で示すようなX、YおよびZ方向に移動させるように構成されている。このため、コントローラ150からのステージ制御信号STを用いてステージ170を選択的に移動させて、そして窓用板ガラス20の様々な位置を照射することにより、複数のガラス突起スペーサ50を形成することができる。
【0037】
一実施形態例において、ガラス突起スペーサ50は図1に示すように規則的なアレイの状態で形成される。一実施形態例において、隣接するガラス突起スペーサ50間の間隔は、約2インチ(すなわち、約5.08cm)と6インチ(すなわち、約15.24cm)との間である。さらに一実施形態例において、ガラス突起スペーサの形成はガラス突起スペーサ50の成長を監視するフィードバック装置またはシステムを用いて制御されるため、ガラス突起スペーサを、その組のガラス突起スペーサに亘り略均一な選択された高さHを有するように形成することができる。
【0038】
一実施形態例においては、ガラス突起スペーサの形成を、窓用板ガラス20を通る集束レーザビーム112Fの透過率Tを測定することにより監視する。一実施形態例においては、光検出器180を軸A1に沿って窓用板ガラス20の出力側に配列し、かつこの光検出器をコントローラ150に電気的に接続することによって、この監視が可能となる。ガラス突起50が形成されると、集束レーザビーム112Fの透過率Tが急速に減少することが分かっている。したがって、集束レーザビーム112Fの透過光の検出に応答して光検出器180が生成する電気的検出器信号SDの変化により、この急速な透過率の低下は検出される。集束レーザビーム112Fの照射(露出)を(例えば、コントローラ150の上述したような制御信号SLまたはSSを用いる操作によって)終了させると、局所的加熱が停止され、そしてガラス突起スペーサ50が固定される。一実施形態例においては、測定された透過率Tを用いて照射線量を制御する。
【0039】
一実施形態例においては、光検出器180を窓用板ガラス20の入力側に隣接させて配列し、照射プロセス中の窓用板ガラス本体23からの蛍光をこの光検出器で検出する。検出された蛍光の閾値変化を、露出を終了させるために、または照射線量を調節するためにその後使用する。
【0040】
別の実施形態例においては、照射を制御することによって各ガラス突起スペーサの突起高さを制御するために、フィードバックサブシステムを使用してもよい。例えば、フィードバックサブシステムを実行して、第1の窓用板ガラスを通過する集束レーザビームの透過強度、各ガラス突起スペーサ夫々の温度、各ガラス突起スペーサ夫々から発せられる蛍光強度、および各ガラス突起スペーサ夫々の突起高さ、のうちの1以上を監視し、そして監視された変数について既定値が測定されたときに照射を終了させることによって、照射を制御してもよい。
【0041】
別の実施形態例においては、窓用板ガラス20のガラス突起スペーサ50が形成される位置に集束レーザビーム112Fを選択的に導き得るよう、集光光学系120を走査に適したものとする。
【0042】
突起高さHは、レーザ出力P、繰返し率R、集束条件、および窓用板ガラス20を構成するガラス材料を含む、いくつかの要因に依存する。図8の棒グラフは、集束レーザビーム112Fのレーザ出力(W)、焦点面PFと窓用板ガラスの後表面24との間の距離DF、および、厚さTG=3mmのソーダ石灰ガラスから作られた窓用板ガラスの突起高さH、をプロットしたものである。図8の棒グラフは実験データに基づくものであり、特定の種類の窓用板ガラス20に装置100を用いてガラス突起スペーサ50を形成する操作パラメータの、範囲の一例を提供する。使用した露出(照射)時間は2秒から2.5秒の間であり、この変化は突起高さHに著しい影響を与えないことが認められた。UVレーザの最適な繰返し率は、R=150kHzであることが分かった。突起高さHの範囲は、DFが約0.6mmでありレーザ出力Pが約9Wであるときの約75μmから、DFが約1.1mmでありレーザ出力が約13Wであるときの約170μmにまで及ぶ。
【0043】
突起高さHが小さ過ぎる場合、内部領域40に加えることができる真空の量を減少させることになり得、隣接する窓用板ガラス20間の間隔が小さくなり過ぎるとともに、絶縁特性を低下させることに繋がり得ることに留意されたい。内部領域の容積が小さくなると、同様に絶縁特性の低下に繋がる。さらに、突起高さHが小さいと、近接して配列されたガラス表面間の光の干渉に起因して、「ニュートンリング」を生じさせる可能性がある。突起高さH≧100μmであれば、ほとんどのVIG窓10に対するこれら2つの潜在的な問題を克服するのに十分であると推定される。
【0044】
図9は、厚さTG=3mmのソーダ石灰窓用板ガラスに形成された、ガラス突起スペーサ50の3次元イメージである。図10は、図9のガラス突起スペーサ50をライン走査したものである。このライン走査は、ガラス突起スペーサ50が、略半球状の形状と、約75μmの突起高さHと、そして約250μmのベース直径DBとを有していることを表している。
【0045】
図11は、ガラスプレートの形の成長制限面を窓用板ガラスの表面24に隣接させて置いた後に上記のように窓用板ガラスを照射した点以外は図9に示したものに類似している、ガラス突起スペーサ50の3次元イメージである。得られたガラス突起スペーサ50は、特定の突起高さHまで成長した後、隣接するガラスプレートによってこの成長が制限されたものである。この得られたガラス突起スペーサ50は、略平坦な直径DTの上端部分51を有するものであった。この手法では、ガラス突起50のサイズ、高さ、および形状は、ある程度まで制御することが可能であり、そして特に略平坦な上端部分51の直径DT(したがって表面積)を制御することができる。一実施形態例において、略平坦な上端部分51は略円形の形状を有しているため、その表面積SAは関係SA=π[DT/2] 2により十分に近似される。n個のガラス突起スペーサ50からなる組により生じる総接触面積SATは、SAT=πn[DT/2] 2により近似される。
【0046】
ガラス突起スペーサ50のサイズ、形状、および高さは、より複雑な成長制限構造を用いることによって、あるいは集束レーザビーム112Fの断面形状を変化させることによって、より正確に制御することができる。突起高さHの制御による利益は、ガラスの非均一性や僅かなレーザの不安定性に起因する突起高さのばらつきが、これにより軽減されることである。これら2つの要因は、検査されていない場合には、ガラス突起スペーサ50の突起間に最大で±5μmの高さのばらつきを生じさせることもある。上端が略平坦なガラス突起スペーサ50による別の利益は、先端部分51とガラス20Fとの間の接触部分において機械的応力が低減(最小化を含む)されることである。
【0047】
装置100はガラス突起スペーサ50が半球状の形状を有することを可能にするが、これは主に、突起形成の基となるガラスの増大が、溶融ガラスの表面張力により制御されるためである。この効果は、円対称の断面を有する集束レーザビーム112Fを使用することによって引き出される。ガラス突起スペーサ50の丸みを帯びた形状は、ガラス突起スペーサと隣接する窓用板ガラスとの間の総接触面積SATを最小にするのを可能にし、これにより2つの窓用板ガラス間の熱伝導を減少させるという点で有利である。総接触面積SATが増加すると絶縁性が低下するため、VIG窓10におけるこの熱伝達機構を減少させる(さらに好適には最小化する)ことは重要である。一方、ガラス突起スペーサ50ごとの接触面積SAが極小さいと、局所的な応力集中につながり得、さらに、隣接する窓用板ガラス20および/またはガラス突起スペーサ50に潜在的に損傷を与える可能性がある。図11に関連して上述したように、ガラス突起スペーサ50は、サイズ(すなわち、直径DTとその接触面積SA)の制御が可能な、略平坦な上端部分51を有するものとすることができる。
【0048】
VIG窓10の一実施形態例においては、絶縁性を増加させ、好適には絶縁性を最適化するように、総接触面積SATが選定される。ベース直径DBが約300μmから約700μmの範囲のガラス突起スペーサ50において、略平坦な上端部分51の「上端」直径DTはDT≦100μmであることが好ましく、より好適にはDT≦75μmであり、さらに好適にはDT≦50μmであると推定される。
【0049】
レーザで成長させたVIG窓10内のガラス突起スペーサ50の可視性と、従来のVIG窓で使用された別個のスペーサの可視性とを評価するため、VIG窓に垂直な表面に対して様々な傾斜角度で、いくつかの写真を撮影した。グレージング入射角から見たときにはガラス突起スペーサ50は視認されたが、より通常のよくある視角付近ではほとんど見えなくなった。次に、事実上同じ条件下で撮影された、別個のセラミックスペーサを有する市販の窓用板ガラスの写真と、VIG窓10の写真を比較した。別個のセラミックスペーサは、特に通常のよくある視角付近で、非常によく視認された。
【0050】
図4Aに示すように、一実施形態例においては、ガラス突起スペーサ50が中間板ガラス20Mの両面22Mおよび24Mに形成され、この図に示されているような3枚ガラスVIG窓10を形成する。両面のガラス突起スペーサ50は、一実施形態例において、片面の突起形成と照射条件を変えて形成する。例として、1つの手法では、窓用板ガラス20Mの片面22Mにガラス突起スペーサ50を形成し、その後この板ガラスを回転させて向きを変え、他方の面24Mにさらにガラス突起を形成する。この実施形態においては、それまでに形成されたガラス突起スペーサを照射しないよう、中間板ガラス20Mの夫々の面に形成された2組のガラス突起スペーサ50を若干ずらす必要があるかもしれない。このずれの量は、例えば、ベース直径DBの約2倍以下であるが、この量は典型的にはおよそ200μmから700μmであって、このように典型的なVIG窓10のサイズと比較すると極めて小さいものである。
【0051】
VIG窓10に、一体形成されたガラス突起スペーサ50を使用すると、窓用板ガラスに別個の(すなわち、一体化されていない)スペーサを配置および固定するよりも、費用効果が高いであろうと予想される。これは主に、別個のスペーサを正確な位置に配置し、そしてVIG窓を組み立てる間これらを所定の位置で保持するための設備やプロセスの必要性が、本発明によれば排除されるためである。ガラス突起50の上端部分51と隣接する窓用板ガラス20との間の接触面積SAが、より小さくかつ制御可能であるため、熱伝導によってVIG窓10を通る熱伝達は、別個のスペーサを使用した場合に比べて減少(および好適には最小化)する。3枚ガラスVIG窓の製造の場合には、コストの優位性はより一層明らかになり、この場合には別個のスペーサの取扱いおよび設置は極めて難題である。
【0052】
VIG窓10の実施形態例では、様々な材料組成を有する窓用板ガラス20が採用される。例えば、ある窓用板ガラス20(例えば、図2の後板ガラス20B)は第1のガラス種類で形成され、別の窓用板ガラス(例えば、前板ガラス20F)は第2のガラス種類で形成される。例えば、第1のガラス種類はソーダ石灰窓用ガラスであり、一方第2のガラス種類はアルミノケイ酸ナトリウムガラス(例えば、1317、2317、および他)であり、あるいはその逆も同様である。さらに、VIG窓10の一実施形態例においては、構造的強度を提供するために1つの窓用板ガラス20をより厚いもの(例えば、3mmから6mm)とし、一方VIG窓10の総厚さおよび総重量を最小限に抑えるため、他方の窓用板ガラスを、増大する能力がより高くかつより薄い(例えば、1mmから2mm)ものとする。
【0053】
アルミノケイ酸ナトリウムガラス1317(「1317ガラス」)において実施されたガラス突起形成の実験では、高度な増大能力が示され、厚さTG=1.3mmのサンプルに形成された突起の高さHは155μmであった。ここで、ソーダ石灰窓用ガラスおよび1317ガラスは、同様の熱膨張係数(CTE)約9ppm/℃を有することに留意されたい。
【0054】
鉄の含有量が非常に少ない(すなわち緑がかった色を有していない)「高透明の」窓用板ガラス20において実施された実験においては、上述の方法を用いて、突起高さHが約212μmのガラス突起スペーサ50が形成された。すなわち、一実施形態例において、鉄の含有量が少ないガラスに形成されたガラス突起スペーサ50の突起高さHは、75μmから225μmの範囲であり、より好適には100μmから225μmの範囲であり、さらに好適には150μmから225μmの範囲である。
【0055】
図12は、後表面24に赤外線反射コーティング210を有している窓用板ガラス20の例を示す概略側面図である。この窓用板ガラスは、伝達される熱の量をさらに低減するため、VIG窓に有用である。
【0056】
図13は図12に類似した拡大断面図であるが、図12のIR反射窓用板ガラス20に対し、その上に形成されたガラス突起スペーサ50を示したものである。コーティング210の溶融点は窓用板ガラス20よりも大幅に低いため、ガラス突起スペーサ50の近傍ではコーティングが溶融して失われ、スペーサをコーティングされていない状態にする。残留してしまったコーティング210は、標準的なガラス洗浄技術を用いて後表面24を洗浄することによって、いかなるものでも容易に除去される。
【0057】
VIG窓の形成
本発明の一態様は、上述したようなガラス突起スペーサ50を形成する方法を使用して、例えばVIG窓10のようなVIG窓を形成するものに関する。すなわち、再び図1および図2を参照すると、VIG窓10を形成する一例の方法は、第1ガラス材料を含む第1(後)板ガラス20Bに、その第1本体部分の第1ガラス材料で構成される、複数のガラス突起スペーサ50を形成する工程を含む。この方法は次に、第2ガラス材料の第2(前)板ガラス20Fを第1の複数のガラス突起スペーサ50と接触させ、このとき第1および第2板ガラスが夫々の表面24Fおよび24B間において図2に示すように第1距離DGだけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法はさらに、第1および第2エッジ28Fおよび28B夫々の少なくとも一部をエッジシール30でシールして、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B間に内部領域40を画成する工程を含む。内部領域40はその後、1気圧未満の真空圧力を内部に形成するように、少なくとも部分的に真空にされる。特定の実施形態例において、第1および第2ガラス材料は同一のものである。
【0058】
3枚ガラスVIG窓10を形成する方法は、2枚ガラスVIG窓の形成に類似しており、ここで図4Aおよび図4Bを参照して論じる。図4Aを参照すると、3枚ガラスVIG窓10の形成の実施形態例は、前(第2)板ガラス20Fおよび後(第3)板ガラス20Bの間に存在している中間(「第1」)板ガラス20Mに2組のガラス突起スペーサを形成する工程を含む。中間板ガラス20Mは、すなわち、第1および第2の複数(組)のガラス突起スペーサ50を各表面22Mおよび24Mに有する。中間板ガラス20Mはさらに外側エッジ28Mを有し、また中間板ガラス20Mは第1ガラス材料から作製されている。
【0059】
この方法は、前板ガラス20Fおよび後板ガラス20B(夫々、第2および第3ガラス材料で構成されている)を、第1および第2の複数のガラス突起スペーサ50と夫々接触させ、このとき前板ガラス20Fおよび中間板ガラス20Mが表面24Fおよび22M間において距離DGAだけ間隔が空くようにし、そして中間板ガラス20Mおよび後板ガラス20Bが表面24Mおよび24B間において距離DGBだけ間隔が空くようにする工程を含む。この方法は次に、この3つの前、中間、および後板ガラスのエッジ28F、28M、および28B夫々の少なくとも一部を、1以上のエッジシール30(図4Aには1つのエッジシール30が図示されている)でシールする工程を含む。これは、前板ガラス20Fおよび中間板ガラス20Mの間と、中間板ガラス20Mおよび後板ガラス20Bの間の、夫々、第1内部領域40Aおよび第2内部領域40Bを画成する働きをする。内部領域40Aおよび40Bはその後、1気圧未満の真空圧力を夫々内部に形成するように、少なくとも部分的に真空にされる。特定の実施形態例において、第1、第2、および第3ガラス材料は、全て同一のものである。
【0060】
図4Bに示した別の実施形態においては、第2の組のガラス突起スペーサ50を中間板ガラス20Mに形成するのではなく、後板ガラス20Bの内側表面24Bに形成する。さらに、図4Bに示すように、3枚ガラスVIG窓10を形成する方法は、エッジ28Fおよび28M夫々の少なくとも一部をシールして第1内部領域40Aに真空シールを形成するために1つのエッジシール30を使用し、かつエッジ28Mおよび28B夫々の少なくとも一部をシールして第2内部領域40Bに真空シールを形成するために別のエッジシールを使用する工程を、代わりに含む。
【0061】
前述の説明において、ここで開示された概念から逸脱することなく、本発明の改変を作製し得ることは当業者には容易に明らかであろうが、このような改変は、以下の請求項においてその言葉で他に明確に記述されていなければ、この請求項の中に含まれると考えるべきである。
【符号の説明】
【0062】
10 VIG窓
20B 後板ガラス
20F 前板ガラス
20M 中間板ガラス
23B、23F、23M 本体部分
28B、28F、28M エッジ
30 エッジシール
40、40A、40B 内部領域
50 ガラス突起スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空絶縁ガラス(VIG)窓において、
第1ガラス材料で形成された第1本体部分を有し、さらに第1の対向する表面と第1外側エッジとを有する、第1窓用板ガラス、
前記第1窓用板ガラスから第1距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第2窓用板ガラスであって、第2ガラス材料で形成された第2本体部分を有し、さらに第2の対向する表面と第2外側エッジとを有する、該第2窓用板ガラス、
前記第1および第2窓用板ガラスの間に、1気圧未満の真空圧力を有する第1のシールされた内部領域を画成するよう、前記第1および第2外側エッジ夫々の少なくとも一部の周囲に形成された、第1エッジシール、および、
前記第1窓用板ガラスの前記第1の表面の一方に一体形成されかつ前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成り、さらに前記間隔の第1距離を維持するよう前記第2窓用板ガラスと接触する、第1の複数のガラス突起スペーサ、
を備えていることを特徴とするVIG窓。
【請求項2】
前記第1窓用板ガラスから前記第2窓用板ガラスとは反対側に第2距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第3窓用板ガラスであって、第3ガラス材料で形成された第3本体部分を有し、さらに第3の対向する表面と第3外側エッジとを有する、該第3窓用板ガラス、
a)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第3外側エッジの少なくとも一部をさらに包囲する、前記第1エッジシール、または、b)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第1および第3外側エッジ夫々の少なくとも一部を包囲する、第2エッジシール、のいずれか一方、および、
前記第1窓用板ガラスの、前記第1の複数のガラス突起スペーサを有する表面とは反対側の前記表面に一体形成され、かつ前記第1本体部分のガラス材料から成り、さらに前記間隔の第2距離を維持するよう前記第3窓用板ガラスと接触する、第2の複数のガラス突起スペーサ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のVIG窓。
【請求項3】
前記第1窓用板ガラスから前記第2窓用板ガラスとは反対側に第2距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置され、さらに第3ガラス材料で形成された第3本体部分と、第3の対向する表面と、第3外側エッジとを有している、第3窓用板ガラスであって、前記第3本体部分のガラス材料から成りかつ前記間隔の第2距離を維持するよう前記第1窓用板ガラスと接触する、第2の複数のガラス突起スペーサを、該第3窓用板ガラスの前記第1窓用板ガラスに隣接している方の前記第3の表面に一体形成して備えている、該第3窓用板ガラス、および、
a)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第3外側エッジの少なくとも一部をさらに包囲する、前記第1エッジシール、または、b)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第1および第3外側エッジ夫々の少なくとも一部を包囲する、第2エッジシール、のいずれか一方、
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のVIG窓。
【請求項4】
真空絶縁ガラス(VIG)窓を形成する方法であって、
第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスにおいて、前記第1表面に、前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成る第1の複数のガラス突起スペーサを一体形成させる工程、
第2表面と第2エッジとを有しかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、前記第1の複数のガラス突起スペーサと接触させ、このとき前記第1および第2窓用板ガラスが前記第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程、
前記第1および第2エッジをシールして、前記第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程、および、
前記内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスを提供する工程、
前記第1窓用板ガラスの前記第1表面に、前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成る複数のガラス突起スペーサを形成する工程、
第2表面と第2エッジとを有しかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、前記ガラス突起スペーサと接触させ、このとき前記第1および第2窓用板ガラスが前記第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程、
前記第1および第2エッジをシールして、前記第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程、および、
前記内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程、
を含むプロセスにより形成される、真空絶縁ガラス(VIG)窓製品。
【請求項1】
真空絶縁ガラス(VIG)窓において、
第1ガラス材料で形成された第1本体部分を有し、さらに第1の対向する表面と第1外側エッジとを有する、第1窓用板ガラス、
前記第1窓用板ガラスから第1距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第2窓用板ガラスであって、第2ガラス材料で形成された第2本体部分を有し、さらに第2の対向する表面と第2外側エッジとを有する、該第2窓用板ガラス、
前記第1および第2窓用板ガラスの間に、1気圧未満の真空圧力を有する第1のシールされた内部領域を画成するよう、前記第1および第2外側エッジ夫々の少なくとも一部の周囲に形成された、第1エッジシール、および、
前記第1窓用板ガラスの前記第1の表面の一方に一体形成されかつ前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成り、さらに前記間隔の第1距離を維持するよう前記第2窓用板ガラスと接触する、第1の複数のガラス突起スペーサ、
を備えていることを特徴とするVIG窓。
【請求項2】
前記第1窓用板ガラスから前記第2窓用板ガラスとは反対側に第2距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置された第3窓用板ガラスであって、第3ガラス材料で形成された第3本体部分を有し、さらに第3の対向する表面と第3外側エッジとを有する、該第3窓用板ガラス、
a)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第3外側エッジの少なくとも一部をさらに包囲する、前記第1エッジシール、または、b)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第1および第3外側エッジ夫々の少なくとも一部を包囲する、第2エッジシール、のいずれか一方、および、
前記第1窓用板ガラスの、前記第1の複数のガラス突起スペーサを有する表面とは反対側の前記表面に一体形成され、かつ前記第1本体部分のガラス材料から成り、さらに前記間隔の第2距離を維持するよう前記第3窓用板ガラスと接触する、第2の複数のガラス突起スペーサ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のVIG窓。
【請求項3】
前記第1窓用板ガラスから前記第2窓用板ガラスとは反対側に第2距離だけ間隔を空けて、かつ前記第1窓用板ガラスと略平行な状態で配置され、さらに第3ガラス材料で形成された第3本体部分と、第3の対向する表面と、第3外側エッジとを有している、第3窓用板ガラスであって、前記第3本体部分のガラス材料から成りかつ前記間隔の第2距離を維持するよう前記第1窓用板ガラスと接触する、第2の複数のガラス突起スペーサを、該第3窓用板ガラスの前記第1窓用板ガラスに隣接している方の前記第3の表面に一体形成して備えている、該第3窓用板ガラス、および、
a)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第3外側エッジの少なくとも一部をさらに包囲する、前記第1エッジシール、または、b)1気圧未満の真空圧力を有する第2のシールされた内部領域を前記第1および第3窓用板ガラスの間でさらに画成するよう、前記第1および第3外側エッジ夫々の少なくとも一部を包囲する、第2エッジシール、のいずれか一方、
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のVIG窓。
【請求項4】
真空絶縁ガラス(VIG)窓を形成する方法であって、
第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスにおいて、前記第1表面に、前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成る第1の複数のガラス突起スペーサを一体形成させる工程、
第2表面と第2エッジとを有しかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、前記第1の複数のガラス突起スペーサと接触させ、このとき前記第1および第2窓用板ガラスが前記第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程、
前記第1および第2エッジをシールして、前記第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程、および、
前記内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
第1表面と第1エッジとを有する第1本体部分を備えかつ第1ガラス材料を含む、第1窓用板ガラスを提供する工程、
前記第1窓用板ガラスの前記第1表面に、前記第1本体部分の前記第1ガラス材料から成る複数のガラス突起スペーサを形成する工程、
第2表面と第2エッジとを有しかつ第2ガラス材料を含む、第2窓用板ガラスを、前記ガラス突起スペーサと接触させ、このとき前記第1および第2窓用板ガラスが前記第1および第2表面間において第1距離だけ間隔が空くようにする工程、
前記第1および第2エッジをシールして、前記第1および第2窓用板ガラスの間に内部領域を画成する工程、および、
前記内部領域に1気圧未満の真空圧力を形成する工程、
を含むプロセスにより形成される、真空絶縁ガラス(VIG)窓製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−508335(P2012−508335A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535636(P2011−535636)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063209
【国際公開番号】WO2010/053943
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063209
【国際公開番号】WO2010/053943
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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