説明

キャップ内面殺菌装置

【課題】狭い設置スペースに長い転倒搬送区間を設けるとともに、リターン部6Hを短縮する。
【解決手段】複数のスプロケット10、12間に掛け回された搬送コンベヤ6は、容器2の胴部2bを支持する支持面6bを有しており、案内ガイド18によって姿勢を制御される。搬送コンベヤ6は、供給コンベヤ4から起立した状態で受け取った容器2を転倒させる傾倒部6Aと、転倒した状態で容器2を搬送する転倒搬送部6B、6C、6D、6E、6Fと、転倒した容器2を起立させる起立部6Gと、リターン部6Hとを備えている。転倒搬送部には、供給コンベヤ4による容器供給方向Aと逆方向に走行する逆方向走行部6Dが設けられ、かつ、排出コンベヤ8は、供給コンベヤ4と同方向Aに走行して容器2を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップ内面殺菌装置に係り、特に、容器内に高温の液体を充填しキャッピングを行った後この容器を傾倒させることにより、前記高温の液体をキャップの内面に接触させて殺菌を行うキャップ内面殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温の液体を充填してキャッピングをした後容器を次第に傾けて転倒させることによりキャップ内面の殺菌を行う殺菌装置は従来から知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された瓶キャップ内面殺菌装置は、容器を搬送するコンベアの搬送ユニットと、傾斜する容器を支承するコンベアの支承ユニットを組み合わせて同方向に等速で回動させ、双方のコンベアチェイン部分が当初の直角を維持しながら傾斜することによって容器を傾斜させ、内容液をキャップ内面に到達させてこれを殺菌するようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載された搬送装置は、液体容器を起立状態から水平状態に傾倒させる傾倒用搬送機構と、傾倒用搬送機構に搬入ポートを介して液体容器を受け渡す搬入用搬送機構と、傾倒用搬送機構から搬出ポートを介して液体容器を搬出する搬出用搬送機構とを備えている。前記傾倒用搬送機構は、駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に架けられたチェーンによって走行する載置部の列を備えている。この載置部は液体容器の底面を保持する載置台と、液体容器の側面を保持する側面保持部とを備えており、側面保持部が4本の走行レールに沿って走行するように構成されている。走行レールは、搬入ポートでは載置部の側面保持部を垂直状態に保持し、徐々に側面保持部を水平状態まで傾倒させ、ついで徐々に起立させて、搬出ポートでは側面保持部を垂直状態に保持するように構成されている。
【0005】
従って、傾倒用搬送機構では、液体容器は搬入ポートにて搬入用搬送機構から起立した状態で載置部に受け渡され、徐々に傾倒していき、水平状態でしばらく搬送された後徐々に起立していき、搬出ポートにて起立した状態で搬出用搬送機構に受け渡されるようになっている。
【特許文献1】特公平7−77894号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特許第3228669号公報(第2−3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容器内に高温の液体を充填した後、その容器を傾倒させてキャップ内面の殺菌を行うキャップ内面殺菌装置では、完全な殺菌を行うために所定時間以上容器を転倒させておく必要があり、前記各特許文献に開示された構成のように搬送コンベヤを直線に配置した構成では、容器を転倒させておく区間が長くなるため装置全体の設置スペースが大きくなってしまうという問題があった。また、直線状に配置したコンベヤでは転倒させて搬送する区間と同じ長さの戻り区間(リターン部)が必要であり、コンベヤのチェーンにかかる負荷が大きくなってしまうという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、容器の胴部を支持する支持面を有し、駆動スプロケットと係合して走行する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの姿勢を制御する案内ガイドとを備え、起立した状態で供給された容器を、傾倒部で前記搬送コンベヤを次第に傾斜させて容器を転倒した状態にし、転倒搬送部を搬送する間に、容器内に充填されている液体をキャップの内面に接触させて殺菌を行った後、起立部で搬送コンベヤを次第に起こすことにより転倒している容器を起立させて排出するキャップ内面殺菌装置において、前記搬送コンベヤの転倒搬送部に、容器が供給されてきた方向と逆方向に走行する区間を設け、かつ、殺菌後の容器を前記供給方向と同方向に排出するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載した発明は、前記起立部から前記傾倒部へのリターン部を前記転倒搬送部よりも短く配置したことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、請求項3に記載した発明は、容器の供給される位置と排出される位置とを接続するバイパスコンベヤを配置し、殺菌しない容器は、このバイパスコンベヤを介して転倒させずに搬送することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載した発明は、容器を起立状態で供給する供給コンベヤと、キャップ内面の殺菌が終了した容器を起立状態で排出する排出コンベヤと、容器を転倒した状態で搬送する転倒搬送部に設けられ、前記搬送コンベヤに係合して湾曲させる湾曲案内部材とを備え、これら供給コンベヤ、排出コンベヤおよび前記駆動スプロケットと前記湾曲案内部材とを、前記搬送コンベヤの高さが供給コンベヤから排出コンベヤに向かって次第に上昇し、または下降するように高さを異ならせて配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のキャップ内面殺菌装置は、キャップ内面の殺菌をするために必要とする十分な長さの転倒搬送区間を設けながら、チェーンの戻り区間を短くすることができ、しかも、設置スペースを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
容器の胴部を支持する支持面を有する搬送コンベヤを、スプロケット間に掛け回し、案内ガイドによって姿勢を制御して傾斜させて、起立した状態で供給されてきた容器を転倒状態にして搬送し、キャップの内面を殺菌した後、再び起立させるようにしたものにおいて、搬送コンベヤに、容器が供給されてきた方向と逆方向に走行させる区間を設け、しかも、排出時には前記容器供給方向と同方向に走行させるという構成により、十分な容器転倒区間の長さを確保しながら、搬送コンベヤの戻り区間を短縮し、設置スペースをコンパクトにするという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るキャップ内面殺菌装置の平面図、図2は正面図、図3はその要部の拡大図である。このキャップ内面殺菌装置によって殺菌される容器2(図3参照)は、上流側の図示しないフィラーで高温の液体が充填され、キャッパーでキャッピングが行われた後、供給コンベヤ4によって起立した状態で供給される。供給コンベヤ4によって供給された容器2は、起立した状態から次第に傾倒されて搬送コンベヤ6に引き渡され、ほぼ水平に転倒した状態(図2および図3に示すように容器2を横倒しにした状態)で搬送コンベヤ6によって所定区間搬送される間に、内部に充填されている高温の液体がキャップ2aの内面に接触することにより殺菌される。キャップ2aの内面の殺菌が終了した容器2は、転倒した状態から次第に起こされて起立した状態に戻り、排出コンベヤ8に引き渡されてこのキャップ内面殺菌装置から排出される。なお、この実施例では、容器2を完全に横倒しにして水平な状態にしているが、必ずしも完全に水平にする必要はなく、キャップ2a内面全体に容器6内の液体が接触する状態まで横倒しにすればよい。
【0014】
搬送コンベヤ6は、下流側(図1および図2の右側)に配置された駆動スプロケット10と、上流側に配置された従動スプロケット(湾曲案内部材)12とに掛け回されるとともに、2カ所のターンテーブル14、16に係合してその周囲を回転走行するようになっている。この搬送コンベヤ6は、前記スプロケット10、12およびターンテーブル(湾曲案内部材)14、16に掛け回されたチェーン6aと、このチェーン6aに固定され、容器2の胴部2bを支持する支持面6bとを有しており、そのその支持面6bの背後には、搬送コンベヤ6の姿勢を制御する案内ガイド18(図4参照)が取り付けられている。搬送コンベヤ6は、その走行経路に沿って配置された案内ガイド18によって垂直な状態から水平な状態までの間で姿勢が制御される。
【0015】
供給コンベヤ4によって直立した状態で搬送されてきた容器2は、この搬送コンベヤ6の傾倒部6Aで、搬送コンベヤ6が垂直の状態から傾斜していくのに伴って、ガイド部材20によって上部側が搬送コンベヤ6方向へ押されることにより、起立した状態から次第に傾き、最終的には、ほぼ水平状態になった搬送コンベヤ6の支持面6b上に転倒した状態で受け渡される。搬送コンベヤ6に設けられた支持面6bは、容器2の胴部2bを支持するもので、通常はかまぼこ型のパッド等が多数連続して取り付けられており、転倒した状態の容器2を安定して支持することができる。但し、支持面6bの形状は前記かまぼこ型等に限定されるものではなく、容器2の胴部2bを安定した姿勢で支持できるものであればよい。また、供給コンベヤ4の下流部を搬送コンベヤ6の傾倒部6Aと同じように傾斜させ、ガイド部材20を用いずに供給コンベヤ4と搬送コンベヤ6とで容器2を傾斜させても良い。
【0016】
図4は、搬送コンベヤ6が前記傾倒部6Aおよび後に説明する起立部6Gにおいて姿勢が変化する状態を順次示したもので、傾倒部6Aでは、垂直の状態(Wの状態)から、案内ガイド18によって次第に傾斜され(X、Yの状態)、傾倒部6Aの終了時にはほぼ水平状態(Zの状態)になる。また、起立部6Gでは逆に、水平の状態(Zの状態)で走行してきた搬送コンベヤ4が、案内ガイド18によって次第に立ち上がり(Y、Xの状態)、垂直な状態(Wの状態)になったときに容器2を起立させて排出する。図1および図2中の符号8は、殺菌終了後、起立部6Gにおいて起立された容器2を排出して次の工程に送る排出コンベヤであり、この実施例では、前記供給コンベヤ4と同一の直線上を、同一の方向(矢印A方向)に走行して、起立した状態で搬送コンベヤ6から受け取った容器2を排出する。
【0017】
搬送コンベヤ6は、前記供給コンベヤ4から容器2を受け取って転倒させる傾倒部6Aから、前記排出コンベヤ8の方向へ向かって直線的に走行する区間6B(以下、第1直線走行部と呼ぶ)を経て、第1ターンテーブル14に係合し、この第1ターンテーブル14の周囲を回転しつつ走行する(以下、この区間を第1回転走行部6Cと呼ぶ)。この第1ターンテーブル14は、この実施例では前記供給コンベヤ4よりもやや高い位置に配置されている。搬送コンベヤ6は、第1ターンテーブル14の周囲の第1回転走行部6Cを走行した後、前記供給コンベヤ4から排出コンベヤ8へ向かう前記第1直線走行部6Bと逆方向に向かって直線的に走行する区間6D(以下、逆方向走行部と呼ぶ)を有している。さらに、この搬送コンベヤ6は、第2ターンテーブル16に係合して、この第2ターンテーブル16の周囲を回転しつつ走行する(以下、この区間を第2回転走行部6Eと呼ぶ)。この第2ターンテーブル16は前記第1ターンテーブル14よりもやや高い位置に配置されている。第1ターンテーブル14の周囲を回転する第1回転走行部6Cと、第2ターンテーブル16の周囲を回転する第2回転走行部6Eには、転倒した状態で搬送される容器2の底部側を支持する底面支持ガイド14a、16a(図1および図3参照)が設けられている。
【0018】
第2ターンテーブル16の周囲の第2回転走行部6Eを走行した搬送コンベヤ6は、再び供給コンベヤ4から排出コンベヤ8の方向へ向かう直線区間6F(以下、第2直線走行部と呼ぶ)を走行する。排出コンベヤ8は第2ターンテーブル16よりもさらに高い位置に配置されており、第2ターンテーブル16からのこの第2直線走行部6Fが、前記供給コンベヤ4から第1ターンテーブル14へ向かう第1直線走行部6Bと干渉することはない。この第2直線走行部6Fが排出コンベヤ8と並行して走行する部分には、転倒していた容器2を起立させる起立部6Gが設けられており、搬送コンベヤ6は案内ガイド18によって姿勢を制御されて、水平な状態から次第に傾斜して最終的に垂直な状態になる(図4のZから、Y、Xの状態を経てWの状態になる)。この搬送コンベヤ6の姿勢の変化により、水平な状態の搬送コンベヤ6上で転倒した状態で搬送されていた容器2が起立されて排出コンベヤ8上に引き渡される。搬送コンベヤ6が案内ガイド18によって水平な状態(Zの状態)から次第に立ち上がって垂直な状態(Wの状態)になるのに伴って、容器2は搬送コンベヤ6の向かい側に配置された容器起立用のガイド部材22によって支持される。
【0019】
前述のように、傾倒部6Aで搬送コンベヤ6が垂直な状態(図4のW参照)から水平な状態(図4のZ)になり、また、起立部6Gで水平な状態(図4のZ)から垂直な状態(図4のW)に戻るようになっており、これら傾倒部6Aと起立部6Gとの間の区間(6B、6C、6D、6E、6F)が、搬送コンベヤ6が水平な状態で走行し、容器2を転倒した姿勢で搬送する転倒搬送部を構成している。なお、この実施例では、供給コンベヤ4から、第1ターンテーブル14、第2ターンテーブル16および排出コンベヤ8へと順次高さが高くなっており、前記転倒搬送部を搬送される間に殺菌された容器2は最も高い位置で排出される。但し、これら供給コンベヤ4、第1ターンテーブル14、第2ターンテーブル16および排出コンベヤ8が、順次高さが高くなるように配置する必要はなく、例えば、第1ターンテーブル14と第2ターンテーブル16を同じ高さに配置する等、その他の構成とすることもできる。
【0020】
起立部6Gで垂直な状態(図4のW参照)になった搬送コンベヤ6は、駆動スプロケット10の周囲を回転し、垂直な状態のまま上流側の従動スプロケット12方向に戻る。この駆動スプロケット10から従動スプロケット12へと戻る区間6Hがリターン部を構成している。このリターン部6Hでは、複数のプーリー25、26によってテンションを加えられている。リターン部6Hでは、搬送コンベヤ6が、最も高い位置の排出コンベヤ8から最も低い位置の供給コンベヤ4へ向かって下降するようになっている。
【0021】
さらに、この実施例では、キャップ2aの殺菌をする必要がない容器2を転倒させずそのまま搬送するために、同一の直線上に配置されている供給コンベヤ4と排出コンベヤ8に沿ってバイパスコンベヤ24が設けられている。搬送コンベヤ6の従動スプロケット12よりも上流側の、供給コンベヤ4とバイパスコンベヤ24とが並行している部分上に、供給コンベヤ4上の容器2をバイパスコンベヤ24上に移すためのガイド(図示せず)が設けられており、必要な場合には、このガイドにより供給コンベヤ4上の容器2をバイパスコンベヤ24上に移すようになっている。また、搬送コンベヤ6の駆動スプロケット10よりも下流側の、排出コンベヤ8とバイパスコンベヤ24とが並行している部分上にバイパスコンベヤ24上の容器2を排出コンベヤ上に移すためのガイド(図示せず)が設けられており、バイパスコンベヤ24上を搬送されてきた容器2を排出コンベヤ8上に移すようになっている。
【0022】
前記各コンベヤ4、6、8、24、ターンテーブル14、16および駆動スプロケット10は、それぞれモーターによって駆動されるようになっている。この実施例では、容器2を起立した状態で供給する供給コンベヤ4が第1モーター26によって駆動される。また、排出コンベヤ8およびバイパスコンベヤ24は1台の第2モーター28によって駆動される。さらに、搬送コンベヤ6の駆動スプロケット10は第3モーター30によって駆動され、第1ターンテーブル14および第2ターンテーブル16は、図2に示すように、それぞれ第4モーター32および第5モーター34によって駆動されるようになっている。
【0023】
次に、前記構成のキャップ内面殺菌装置の作動について説明する。このキャップ内面殺菌装置によって殺菌される容器2は、上流側に設置されたフィラー(図示せず)において高温の液体が充填され、続くキャッパー(図示せず)においてキャッピングが行われた後、供給コンベヤ4によって起立した状態のまま搬送されて、このキャップ内面殺菌装置に供給される。
【0024】
搬送コンベヤ6の供給コンベヤ4と並行している部分には、起立して供給されてきた容器2を傾けて転倒した状態にする傾倒部6Aが設けられている。この傾倒部6Aの上流端では、搬送コンベヤ6は垂直の状態(図4のW参照)になっており、傾倒部6Aを移動する間に、その容器支持面6bと逆側に取り付けられた案内ガイド18によって次第に傾斜されて(図4のX、Y参照)、水平の状態(図4のZ参照)にされる。搬送コンベヤ6が次第に傾斜して水平状態に角度を変えるとともに、供給コンベヤ4上から搬送コンベヤ6方向へ向かって斜めに配置されたガイド部材20によって、容器2が傾斜していく搬送コンベヤ6に向かって倒され、傾倒部6Aの終了時点では、水平な状態になった搬送コンベヤ6の支持面6b上に容器2が転倒した状態で載せられる。
【0025】
搬送コンベヤ6は、支持面6b上に容器2を転倒した状態で載せ、転倒搬送部(第1直線走行部6B、第1回転走行部6C、逆方向走行部6D、第2回転走行部6Eおよび第2直線走行部6F)を走行する。容器2は長い区間に渡って転倒した状態のまま搬送され、内部に充填されている高温の液体がキャップ2aの内面に長時間接触することにより完全に殺菌が行われる。
【0026】
その後、起立部6Gに到達すると、搬送コンベヤ6は案内ガイド18によって水平な状態(図4のZ)から徐々に起こされ(図4のY、X)、垂直な状態(図4のW)になる。搬送コンベヤ6の支持部6b上に載せられていた容器2は搬送コンベヤ6の立ち上がる動作によって次第に起こされ起立した状態で排出コンベヤ8上に載せられる。排出コンベヤ8上の、搬送コンベヤ6の向かい側にはガイド部材22が配置されており、次第に立ち上げられる容器2を支持して起立させる。排出コンベヤ8上に起立した状態で載せられた容器2は、前記供給コンベヤ4の走行方向Aと同方向に搬送されて、このキャップ内面殺菌装置から排出され次の工程に送られる。
【0027】
起立部6Gにおいて垂直な状態になった搬送コンベヤ6は、排出コンベヤ8側から供給コンベヤ4側へほぼ直線的に戻るリターン部6Hを通って、再び傾倒部6Aへ向かう。この実施例に係るキャップ内面殺菌装置は、十分な長さの転倒搬送部6B、6C、6D、6E、6Fを有しており、高温の液体を長時間キャップ2aの内面に接触させてキャップ2を完全に殺菌することができるようになっているが、転倒搬送部6B、6C、6D、6E、6Fは、従来の装置のように供給コンベヤ4から排出コンベヤ8へ向かう直線状ではなく、2つのターンテーブル14、16を介して、供給コンベヤ4の搬送方向Aと逆方向へ走行する区間(逆方向走行部6D)を設けているので、設置スペースを従来の直線状に配置したものよりも大幅にコンパクトにすることができる。また、この転倒搬送部6B、6C、6D、6E、6Fに比較してリターン部6Hが非常に短い構成になっているので、搬送コンベヤ6のチェーン6aに過大な負荷がかかることがない。しかも、供給コンベヤ4による容器2の供給方向Aと排出コンベヤ8による排出方向Aが同方向なので、図示しない上流側の装置と下流側の装置の間に、従来と同様のレイアウトで設置することができる。
【実施例2】
【0028】
図5は第2の実施例に係るキャップ内面殺菌装置の平面図である。この実施例では、駆動スプロケット110と従動スプロケット112の間に掛け回された搬送コンベヤ106が、垂直の状態(図4のWの状態)から水平の状態(図4のZの状態)へと傾斜して、容器2を起立した状態で搬送する供給コンベヤ104から容器2(図3参照)を受け取る傾倒部106Aと、4つのターンテーブル114、115、116、117に順次係合して方向転換をしつつ水平状態で容器2を搬送する転倒搬送部と、殺菌が終了した容器2を起立させて排出コンベヤ108に引き渡す起立部106Lとを備えている。
【0029】
転倒搬送部には4つのターンテーブル114、115、116、117が配置されており、搬送コンベヤ106は、傾倒部106Aに続く第1直線走行部106B、第1ターンテーブル114の周囲を回転走行する第1回転走行部106C、第1ターンテーブル114から第2ターンテーブル115へ向かって、供給コンベヤ104による容器2の搬送方向Aとほぼ逆方向に走行する第1逆方向走行部106D、第2ターンテーブル115の周囲を回転走行する第2回転走行部106E、第2ターンテーブル115から第3ターンテーブル116へ向かって、供給コンベヤ104の搬送方向Aと同方向へ走行する第2直線走行部106F、第3ターンテーブル116の周囲を回転走行する第3回転走行部106G、第3ターンテーブル116から第4ターンテーブル117へ向かって、供給コンベヤ104による容器2の搬送方向Aとほぼ逆方向に走行する第2逆方向走行部106H、第4ターンテーブル117の周囲を回転走行する第3回転走行部106J、第4ターンテーブル117から起立部106Lへ向かう第3直線走行部106Kからなる長い転倒搬送部を有している。この実施例では、狭い設置スペースの中に、前記第1実施例よりもさらに長い転倒搬送部を確保することができる。
【0030】
起立部106Lで垂直な状態になった搬送コンベヤ6は、複数のプーリー125、126に掛け回されて上流側の従動スプロケット112に戻るリターン部106Mを有している。また、供給コンベヤ104と排出コンベヤ108に沿って、直線的に走行するバイパスコンベヤ124が設けられており、転倒させる必要のない容器2はこのバイパスコンベヤによって搬送する。この実施例でも、容器2のキャップ2aの殺菌を行う転倒搬送部106B、106C、106D、106E、106F、106G、106H、106J、106Kに比較してリターン部106Mの長さをきわめて短くすることができる。従って、前記第1実施例と同様の効果を奏することができる。なお、この実施例では、搬送コンベヤ106の走行経路に上下にオーバーラップする部分がないので、供給コンベヤ104、排出コンベヤ108および第1ないし第4ターンテーブル114、115、116、117を同一平面上に配置することができる。
【実施例3】
【0031】
図6は第3実施例に係るキャップ内面殺菌装置の平面図である。この実施例では、供給コンベヤ204から起立した状態で搬送されてきた容器2(図3参照)を受け取って転倒させる搬送コンベヤ206の傾倒部206Aと、転倒した状態の容器2を起立させて排出コンベヤ208に引き渡す起立部206Gとの間の転倒搬送部が、供給コンベヤ204と同一方向(矢印A方向)に走行する第1直線走行部206B、第1ターンテーブル214の周囲を回転する第1回転走行部206C、供給コンベヤ204の搬送方向Aとほぼ逆方向に走行する逆方向走行部206D、第2ターンテーブル216の周囲を回転走行する第2回転走行部206E、供給コンベヤ204と同一方向に走行して起立部206Gへ向かう第2直線走行部206Fとから構成されている。また、駆動スプロケット210から従動スプロケット212へ向かって戻るリターン部206Hが、複数のプーリー225、226に掛け回されて供給コンベヤ204へに戻るようになっている。この実施例では、供給コンベヤ204と排出コンベヤ208とは、平行しているが同一直線上ではなくずれて配置されており、供給コンベヤ204と排出コンベヤ208との間に配置されたバイパスコンベヤ224が湾曲している。この実施例でも、転倒搬送部206B、206C、206D、206E、206Fを長く取ることができ、また、リターン部206Hを転倒搬送部に比較して大幅に短くすることができるので、前記各実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
前記各実施例では、ターンテーブル(14と16、114〜117、214と216)を平面上の位置をずらして複数配置し、転倒搬送部に供給コンベヤ4、104、204の搬送方向Aと逆方向に走行する区間を設けることにより、限られたスペース内に設置される転倒搬送部の長さを拡大するようにしたが、必ずしも複数のターンテーブルの位置を平面内でずらして配置することに限るものではなく、例えば、同一の位置に上下の高さを異ならせて複数のターンテーブルを配置し、搬送コンベヤを螺旋状に走行させるようにしても良い。このように搬送コンベヤを螺旋状に上昇、または下降させることにより、容器2のキャップ2aの内面の殺菌を行うための転倒搬送部を長くすることができ、前記各実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】キャップ内面殺菌装置の平面図である。(実施例1)
【図2】前記キャップ内面殺菌装置の正面図である。
【図3】前記キャップ内面殺菌装置の要部(ターンテーブル)を拡大して示す縦断面図である。
【図4】搬送コンベヤの傾倒部および起立部の動作を説明する図である。
【図5】キャップ内面殺菌装置の平面図である。(実施例2)
【図6】キャップ内面殺菌装置の平面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0034】
2 容器
2a キャップ
2b 容器の胴部
6 搬送コンベヤ
6b 搬送コンベヤの支持面
6A 傾倒部
6D 逆方向走行部
6G 起立部
10 スプロケット(駆動スプロケット)
12 スプロケット(従動スプロケット)
18 案内ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部を支持する支持面を有し、駆動スプロケットと係合して走行する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの姿勢を制御する案内ガイドとを備え、
起立した状態で供給された容器を、傾倒部で前記搬送コンベヤを次第に傾斜させて容器を転倒した状態にし、転倒搬送部を搬送する間に、容器内に充填されている液体をキャップの内面に接触させて殺菌を行った後、起立部で搬送コンベヤを次第に起こすことにより転倒している容器を起立させて排出するキャップ内面殺菌装置において、
前記搬送コンベヤの転倒搬送部に、容器が供給されてきた方向と逆方向に走行する区間を設け、かつ、殺菌後の容器を前記供給方向と同方向に排出するように構成したことを特徴とするキャップ内面殺菌装置。
【請求項2】
前記起立部から前記傾倒部へのリターン部を前記転倒搬送部よりも短く配置したことを特徴とする請求項1に記載のキャップ内面殺菌装置。
【請求項3】
容器の供給される位置と排出される位置とを接続するバイパスコンベヤを配置し、殺菌しない容器は、このバイパスコンベヤを介して転倒させずに搬送することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ内面殺菌装置。
【請求項4】
容器を起立状態で供給する供給コンベヤと、キャップ内面の殺菌が終了した容器を起立状態で排出する排出コンベヤと、容器を転倒した状態で搬送する転倒搬送部に設けられ、前記搬送コンベヤに係合して湾曲させる湾曲案内部材とを備え、
これら供給コンベヤ、排出コンベヤおよび前記駆動スプロケットと前記湾曲案内部材とを、前記搬送コンベヤの高さが供給コンベヤから排出コンベヤに向かって次第に上昇し、または下降するように高さを異ならせて配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のキャップ内面殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−298420(P2006−298420A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121300(P2005−121300)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】