説明

キャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法

【課題】本発明は、第2電極の誘電層に接する面積の偏差を最小化することができ、結果的に、キャパシタの静電容量の誤差を減らすことができるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板は、絶縁層と、絶縁層の一面に形成される第1電極と、第1電極の一面に形成される第2電極と、第2電極の一面に形成される誘電層と、誘電層の一面に形成される第3電極とを備え、第1電極の一面に第2電極を形成する二重構造にキャパシタの電極を構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャパシタ内蔵型の印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで大部分の印刷回路基板の表面には、一般的な個別チップ抵抗(Discrete chip resistor)、または一般的な個別チップキャパシタ(Discrete chip capacitor)を実装してきているが、最近、抵抗またはキャパシタなどの受動素子を内蔵した印刷回路基板が開発されている。
【0003】
このような受動素子内蔵型の印刷回路基板技術とは、新たな材料及び工程を用いて基板の外部、あるいは内層に抵抗またはキャパシタなどの受動素子を挿入して既存のチップ抵抗及びチップキャパシタの役割を代替する技術を言う。
【0004】
すなわち、受動素子内蔵型の印刷回路基板は、基板自体の内層あるいは外部に受動素子、例えば、キャパシタが埋め込まれている形態である。例えば、基板自体の大きさにかかわらず受動素子のキャパシタが印刷回路基板の一部分として結合されていると、これを内蔵型キャパシタと言い、このような基板をキャパシタ内蔵型の印刷回路基板(Embedded Capacitor PCB)と言う。
【0005】
従来技術によれば、銅箔積層板(CCL)の銅層を部分エッチングして下部電極を形成し、下部電極に誘電層と上部伝導層とを積層し、上部伝導層を部分エッチングして上部電極を形成する工程からキャパシタ内蔵型の印刷回路基板を作製する。
【0006】
しかし、この方法に従うと、下部電極の形成の際にエッチングによる偏差が発生して、誘電層と下部電極とが接する面積に誤差が発生することになり、結果的にキャパシタの静電容量(capacitance)値にも誤差が発生してキャパシタの信頼性の問題点となってきた。
【0007】
従って、下部電極の形成の際に、エッチングから発生する下部電極の面積の偏差を減らすことができるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板及びその製造方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した従来技術の問題点を解決するために、本発明は、二重構造でキャパシタの電極を構成することにより、電極と誘電層とが接する面積の偏差を最小化し、結果的に、キャパシタの静電容量の誤差を減らすことができるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、絶縁層と、絶縁層の一面に形成される第1電極と、第1電極の一面に形成される第2電極と、第2電極の一面に形成される誘電層と、誘電層の一面に形成される第3電極と、を備えるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板が提供される。
【0010】
第1電極と第2電極とは、異なるエッチング液に反応する材料からなることができ、第1電極は銅(Cu)を含むことができ、第2電極はニッケル(Ni)、または錫(Sn)の中の少なくともいずれか一つを含むことができる。第2電極の厚みは第1電極の厚み以下であることができる。
【0011】
また、本発明の他の実施形態によれば、絶縁層の一面に形成される第1伝導層を用いてキャパシタが内蔵された印刷回路基板を作製する方法であって、第1伝導層の一面に第2伝導層を形成する段階と、第2伝導層の一部を除去して第2電極を形成する段階と、第2電極に対応するように第1伝導層の一部を除去して第1電極を形成する段階と、第2電極の一面に、誘電層及び第3伝導層を形成する段階と、を含むキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0012】
第2伝導層を形成する段階は、電解メッキ、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング(sputtering)及び化学気相蒸着(chemical vapor deposition:CVD)の中の少なくともいずれか一つにより行われることができる。
【0013】
第1伝導層と第2伝導層とは反応するエッチング液が異なる材料からなり、第2電極を形成する段階は、第2伝導層の一部に第2エッチング液を塗布して第2伝導層の一部を除去する段階を含み、第1電極を形成する段階は、第1伝導層の一部に第1エッチング液を塗布して第1伝導層の一部を除去する段階を含むことができる。
【0014】
第1伝導層は銅を含むことができ、第2伝導層はニッケルまたは錫の中の少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0015】
誘電層及び第3伝導層を形成する段階以前に、第1伝導層及び第2伝導層が除去された部分に絶縁物質を充填する段階をさらに行うことができる。
【0016】
誘電層及び第3伝導層を形成する段階は、第2電極の一面にRCC(resin coated copper)層を積層する段階を含むことができる。
【0017】
誘電層及び第3伝導層を形成する段階以後に、第2電極に対応するように第3伝導層の一部を除去して第3電極を形成する段階をさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、第1電極の一面に第2電極が形成される二重構造にキャパシタの電極を構成することにより、第2電極と誘電層とが接する面積の偏差を最小化し、結果的に、キャパシタの静電容量の誤差を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の一実施例を示す断面図である。
【図2】キャパシタの電極厚みに応ずるエッチング偏差を示す断面図である。
【図3】キャパシタの電極厚みに応ずるエッチング偏差を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板及びその製造方法の実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。添付図面を参照して説明することにおいて、同一かつ対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複される説明は省略する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の一実施例を示す断面図であり、図2及び図3は、キャパシタの電極の厚みに応ずるエッチング偏差を示す断面図である。
【0022】
一方、上部電極と下部電極とは、相対的な概念であって、場合により、互いに置換可能な名称であるが、以下、図1に基づいて、誘電層の上部に位置するものを上部電極、誘電層の下部に位置するものを下部電極と称する。
【0023】
すなわち、第1電極と第2電極から構成された二重構造を下部電極に、第3電極を上部電極に対応させ、第1伝導層と第2伝導層から構成された二重構造を下部伝導層に、第3伝導層を上部伝導層に対応付けて説明する。
【0024】
また、以下で使用する第1、第2などの用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎなく、同一または対応する構成要素は第1、第2などの用語で限定されるものではない。
【0025】
図1〜図3を参照すると、絶縁層110、210、310、第1電極122、第2電極124、下部電極120、220、320、絶縁物質130、誘電層140、240、340、上部電極150、ビア(via)160、ビアホール(via hole)165が示されている。
【0026】
本実施例によれば、第1電極122の一面に第2電極124が形成される二重構造にキャパシタの下部電極120を構成して、誘電層140に接する第2電極124が誘電層140と接する面積の偏差を最小化するキャパシタ内蔵型の印刷回路基板100を提示する。
【0027】
キャパシタは、対向する上部電極150及び下部電極120と、その間に介在される誘電層140とを基本的な構成とし、対向する上部電極150及び下部電極120に電圧が印加されると、それに比例して電荷を蓄えることになる。
【0028】
絶縁層110は、銅箔積層板(CCL)の一部であって、電気が流れない絶縁樹脂などを用いることができる。すなわち、第1電極122が形成される絶縁層110の一面に所定の回路パターンが形成されると、回路パターン間の短絡が防止されて回路を構成することができる。
【0029】
下部電極120は、絶縁層110の一面に形成される第1電極122と、第1電極の一面に形成され、誘電層140に接する第2電極124からなることができ、第1電極122と第2電極124とは、銅箔積層板の銅層である第1伝導層(図5の522参照)と、その上に形成される第2伝導層(図5の524)の一部とを除去することにより形成できる。
【0030】
また、本実施例では、銅箔積層板の一部である第1電極122を一例として提示したが、これだけでなく、第1電極122は両面印刷回路基板または多層印刷回路基板などに形成される所定パターンの一部であることができる。
【0031】
この時、第2伝導層(図5の524)は、電解メッキ、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング及び化学気相蒸着(CVD)の中の少なくともいずれか一つにより、第1伝導層(図5の522)の一面に形成されることができる。
【0032】
第1電極122及び第2電極124は、第1伝導層(図5の522)及び第2伝導層(図5の524)をエッチングすることにより形成できる。先ず、誘電層140に接する第2電極124は、フォトリソグラフィ(photo-lithography)方式を用いて、第2伝導層(図5の524)にエッチングレジストを塗布し、露光及び現像工程を経た後、第2伝導層(図5の524)の一部に第2エッチング液を塗布して第2伝導層(図5の524)の一部を除去することにより形成できる。
【0033】
この時、第1伝導層(図5の522)と、誘電層140に接する第2伝導層(図5の524)、及び、第1電極122と、誘電層140に接する第2電極124は、反応するエッチング液が異なる材料からなるのが好ましい。第2伝導層(図5の524)及び第2電極124はニッケル(Ni)または錫(Sn)からなることができる。このため、第2エッチング液としてニッケルまたは錫のみに反応するエッチング液を用いることにより、銅箔積層板の銅層である第1伝導層(図5の522)には影響を与えないで第2電極124を形成することができる。
【0034】
次に、銅箔積層板の一部の第1電極122も、第2電極124の形成と同じくエッチングで第1伝導層(図5の522)の一部を除去することにより、誘電層140に接する第2電極124に対応するように形成することができる。
【0035】
この時、第2電極124をエッチングレジストとして用いることができるので、別途のレジストがなくても第1伝導層(図5の522)の一部に第1エッチング液を塗布して第1電極122を形成することができる。すなわち、第1伝導層(図5の522)及び第1電極122は銅(Cu)からなることができので、第1エッチング液として銅のみに反応するエッチング液を用いて第1電極122を形成することができる。
【0036】
これにより、第2伝導層(図5の524)をそれに対応する第2エッチング液で一部除去した後、残留する第2電極124が第1伝導層(図5の522)のレジストとして用いられる。これを第1伝導層(図5の522)に反応する第1エッチング液で、第2電極124に対応するように一部除去することにより第1電極122を形成することができるので、キャパシタ内蔵型の印刷回路基板100の製造工程を単純化することができる。
【0037】
この時、エッチングで金属層の一部を除去して所定のパターンを形成する場合、エッチング工程自体の属性から、基板などにより支持されないパターンの上端部は面積が狭くなるので所定の偏差が発生する。これをエッチング偏差といい、以下、図2及び図3を参照して、下部電極120の厚みに応ずるエッチング偏差の差を説明する。
【0038】
図2及び図3を参照し、絶縁層210、310上に金属層が形成された銅箔積層板にキャパシタを形成するために金属層の一部をエッチングで除去して下部電極220、320を形成する場合について説明する。この場合、誘電層240、340に接する下部電極220、320の上端部が銅箔積層板の絶縁層210、310に接する下部電極220、320の下端部に比して面積が狭く形成されるので、結局、誘電層240、340に接する面積にエッチング偏差d1、d2が発生してキャパシタの静電容量に誤差が発生する。
【0039】
ここで、図3に示すように、下部電極の厚みh2が、図2に示されている下部電極の厚みh1より小さくなる場合、エッチング偏差d2が図2のエッチング偏差d1より小さく形成されるので、結局、下部電極の厚みh2が小さい場合には静電容量の誤差が小くなる。
【0040】
従って、本実施例のように、キャパシタの下部電極120を二重構造に形成する場合、第2電極124が誘電層140に接する面積によるエッチング偏差だけが発生するので、全体電極の厚みに比して静電容量の誤差を減らすことができるようになる。
【0041】
この場合、第2電極の厚みt2は、第1電極の厚みt1以下にすることができるので、第2電極124のエッチング偏差は第1電極の厚みt1と第2電極の厚みt2とを合した全体厚みに比して微小値になり、キャパシタの信頼性を向上できる。
【0042】
絶縁物質130は、第1伝導層(図5の522)と第2伝導層(図5の524)からエッチングで除去された部分に充填されることができる。すなわち、第1電極122及び第2電極124以外の空間部を絶縁物質130で充填し、誘電層140及び上部電極150の形成のために、例えば、表面研磨で上面を平らにすることにより、誘電層140及び上部電極150を形成した後にキャパシタの性能を向上させることができる。
【0043】
誘電層140は第2電極124の一面に積層され、上部電極150は誘電層140の一面に積層されることができる。誘電層140はキャパシタの静電容量を決定する因子であって、静電容量は誘電層140が有した誘電定数に比例し、ガラス、セラミックス、酸化タンタル、またはポリスチレンタイプのプラスチックやポリカーボネートなどからなることができ、空気層であることもできる。また、上部電極150は銅などの金属物質からなることができる。
【0044】
誘電層140及び上部電極150は、第2電極124の一面に誘電層140を積層し、誘電層140の一面に上部伝導層(図5の550)を積層した後に、上部伝導層(図5の550)の一部を除去することにより形成できる。
【0045】
先ず、第2電極124の一面に、誘電層140を積層し、順次誘電層140の一面に上部伝導層(図5の550)を積層し、フォトリソグラフィ方式を用いて上部伝導層(図5の550)の一部を除去することにより、下部電極120に対応するように上部電極150を形成できる。これにより、キャパシタとして必要とする上部電極150と下部電極120、及びその間に介在される誘電層140を備えることができる。
【0046】
また、誘電層140の一面には上部伝導層(図7の750)が形成されていることもあり、この場合、上部伝導層(図7の750)の積層は省略可能である。すなわち、第2電極124の一面に、例えば、誘電層140部分が第2電極124を向くようにRCC層を積層した後、上部伝導層(図7の750)の一部を除去して上部電極150を形成することもできるので、誘電層140の一面に別個の上部伝導層(図7の750)を積層する必要はなく、よって、キャパシタ内蔵型の印刷回路基板100の製造工程をより単純化することができる。
【0047】
RCC層は、銅などの金属物質からなった上部伝導層(図7の750)に直接絶縁材料をコーティングして誘電層140を形成することにより、誘電層140及び上部伝導層(図7の750)の厚みを最小化したものであって、RCC層を用いると、内蔵型キャパシタをより薄く構成することができる。
【0048】
誘電層140及び上部伝導層(図7の750)としてRCC層を用いれば、誘電層140及び上部伝導層(図7の750)を一体に積層することができるので、キャパシタ内蔵型の印刷回路基板100の製造工程を単純化し、かつ、より薄くて軽いキャパシタ内蔵型の印刷回路基板100を提供することができる。
【0049】
ビア160は、キャパシタの電極を外部と電気的に接続させるために誘電層140及び上部伝導層(図5の550)に形成されることができる。すなわち、誘電層140に接する第2電極124との接続のために、上部伝導層(図5の550)及び誘電層140に、例えば、ドリル(drill)などでビアホール165を穿孔し、ビアホール165の内部に伝導性物質を充填することによりビア160を形成することができる。
【0050】
先ず、上部伝導層(図5の550)及び誘電層140に第2電極124の位置に対応するようにビアホール165を穿孔する。例えば、ドリリングで上部伝導層(図5の550)及び誘電層140にビアホール165を穿孔することができる。また、必要により、デバリングやデスミアのような後処理工程も行うことができる。その後に、ビアホール165の内部に伝導性物質を充填する。ビアホール165の内部に、例えば、銅メッキ、パネルメッキ、パターンメッキなどの工程で伝導性物質を形成することにより、キャパシタの下部電極120は外部と電気的に接続できるようになる。
【0051】
本実施例によれば、キャパシタの下部電極120を、異なるエッチング液に反応する材料からなった二重構造に形成し、誘電層140に接する第2電極の厚みt2を第1電極122より小さくすることにより、下部電極120のエッチング偏差を最小化することができ、結果的にキャパシタの静電容量の誤差を減らしてキャパシタの信頼性を高めることができる。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板製造方法の第1実施例を説明する。
【0053】
図4は本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板製造方法の第1実施例を示すフローチャートであり、図5は本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板製造方法の第1実施例を示す工程図である。図4及び図5を参照すると、絶縁層510、第1伝導層522、第2伝導層524、下部伝導層520、第1電極522’、第2電極524’、下部電極520’、絶縁物質530、誘電層540、上部伝導層550、上部電極550’、ビア560、ビアホール565が示されている。
【0054】
第1実施例によれば、第1伝導層522の一面に第2伝導層524が形成される二重構造にキャパシタの下部伝導層520を構成し、順次にエッチングを実施して下部電極520’を形成することにより、下部電極520’が誘電層540に接する面積の偏差を最小化できるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板500製造方法を提供することができる。
【0055】
先ず、段階S410で、図5の(a)に示すように、第1伝導層の一面に第2伝導層を形成する。すなわち、銅箔積層板の一部であり、絶縁層510の一面に形成された銅層の第1伝導層522の一面に、誘電層540と接する第2伝導層524を形成する。第2伝導層524は電解メッキ、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング及び化学気相蒸着の中の少なくともいずれか一つにより第1伝導層522の一面に形成されることができる。
【0056】
また、本実施例では、第1伝導層522が銅箔積層板の一部である場合を一例として提示したが、これだけでなく、第1伝導層522は両面印刷回路基板または多層印刷回路基板などの一部の金属層であることもできる。
【0057】
これにより、二重構造の下部伝導層520を構成することにより、下部電極520’のエッチング偏差を減らすことができるようになり、これに関しては、後述する第1電極522’及び誘電層540に接する第2電極524’を形成する所で説明する。
【0058】
次に、段階S420で、図5の(b)に示すように、第2伝導層の一部を除去して第2電極を形成する。すなわち、誘電層540に接する第2電極524’は、フォトリソグラフィ方式を用いて第2伝導層524にエッチングレジストを塗布し、露光及び現像工程を経った後、第2伝導層524の一部に第2エッチング液を塗布して第2伝導層524の一部を除去することにより形成できる。
【0059】
この時、第1伝導層522と、誘電層540に接する第2伝導層524とは反応するエッチング液が異なる材料からなることができ、第2伝導層524はニッケルまたは錫からなることができるので、ニッケルまたは錫のみに反応する第2エッチング液を用いて銅箔積層板の銅層の第1伝導層522に影響を与えないで第2電極524’を形成することができる。
【0060】
次に、段階S430で、図5の(c)に示すように、第1伝導層の一部を除去して第2電極に対応するように第1電極を形成する。すなわち、第1電極522’も誘電層540に接する第2電極524’の形成と同じく、エッチングで第1伝導層522の一部を除去することにより形成できる。
【0061】
この時、第2電極524’をエッチングレジストとして用いることにより、別途のレジストがなくても第1伝導層522の一部に第1エッチング液を塗布して第1電極522’を形成することができる。すなわち、第1伝導層522が銅からなることができるので、銅だけに反応する第1エッチング液を用いて第1電極522’を形成できる。
【0062】
第2伝導層524を、それに対応する第2エッチング液で一部除去した後に、その他の第2電極524’を第1伝導層522のレジストとして用いることにより、別途のマスク及びレジストの必要がなくなり、キャパシタ内蔵型の印刷回路基板500の製造工程を単純化できる。
【0063】
また、エッチングで金属層の一部を除去して所定パターンを形成する場合、エッチング工程自体の属性から、基板などにより支持されないパターンの上端部は、面積が狭くなってエッチング偏差が発生するが、本実施例のように、下部伝導層520を二重構造に形成する場合、第2電極524’が誘電層540に接する面積による偏差だけが発生するので、全体下部電極520’の厚みに比して静電容量の誤差を減らすことができる。
【0064】
次に、段階S440で、図5の(d)に示すように、第1伝導層及び第2伝導層の一部が除去された部分に絶縁物質を充填する。すなわち、第1伝導層522及び誘電層540に接する第2伝導層524の除去された部分を絶縁物質530で充填し、例えば、表面研磨で上面を平らにすることにより誘電層540及び上部伝導層550を形成した後に、キャパシタの性能を向上できる。
【0065】
次に、段階S450で、図5の(e)に示すように、第2電極の一面に誘電層を形成する。すなわち、キャパシタを形成するために上部電極550’と下部電極520’との間に介在される誘電層540を積層する。
【0066】
次に、段階S460で、図5の(f)に示すように、誘電層の一面に第3伝導層を積層する 。第2電極524’の一面に誘電層540及び上部伝導層550を積層し、上部伝導層550の一部を除去して上部電極550’を形成することにより、キャパシタとしての機能を発揮できるようになる。
【0067】
次に、段階S470で、第2電極と電気的に接続するビアを形成する。ビア560を形成する工程は、次のように分けて説明する。
【0068】
先ず、段階S472で、図5の(g)に示すように、第3伝導層及び誘電層に第2電極に対応するようにビアホールを穿孔する。例えば、ドリリングで上部伝導層550及び誘電層540にビアホール565を穿孔することができる。また、必要により、デバリングやデスミアのような後処理工程も行うことができる。
【0069】
この後に、段階S474で、図5の(h)に示すように、ビアホール565の内部に伝導性物質を充填する。ビアホール565内部に、例えば、銅メッキ、パネルメッキ、パターンメッキなどの工程で伝導性物質を形成することにより、キャパシタの下部電極520’は外部と電気的に接続できるようになる。
【0070】
最後に、段階S480で、図5の(i)に示すように、第3伝導層の一部を除去して第2電極に対応するように第3電極を形成する。例えば、フォトリソグラフィ方式を用いてエッチングで上部伝導層550の一部を除去することにより、下部電極520’に対応するようにキャパシタの上部電極550’を形成することができる。
【0071】
これにより、キャパシタとして必要とする上部電極550’と下部電極520’、及びその間に介在される誘電層540を具備することになり、対向する上部電極550’及び下部電極520’に電圧が印加されると、それに比例して電荷を蓄えることになる。
【0072】
本実施例によれば、キャパシタの下部伝導層520を、異なるエッチング液に反応する材料からなった二重構造に形成することにより、下部電極520’のエッチング偏差を最小化でき、結果的にキャパシタの静電容量の誤差を減らしてキャパシタの信頼性を向上させることができる。
【0073】
次に、本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板製造方法の第2実施例を説明する。
【0074】
図6は本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板製造方法の第2実施例を示すフローチャートであり、図7は本発明の他の実施形態に係るキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。図6及び図7を参照すると、絶縁層710、第1伝導層722、第2伝導層724、下部伝導層720、第1電極722’、第2電極724’、下部電極720’、絶縁物質730、誘電層740、上部伝導層750、RCC層755、上部電極750’、ビア760、ビアホール765が示されている。
【0075】
第2実施例によれば、第1伝導層722の一面に第2伝導層724が形成される二重構造にキャパシタの下部伝導層720を構成し、順次にエッチングを実施して下部電極720’を形成する。このため、下部電極720’が誘電層740に接する面積の偏差を最小化でき、誘電層740及び上部伝導層750の形成を単純化できるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板700製造方法を提供することができる。
【0076】
先ず、段階S610で、図7の(a)に示すように、第1伝導層の一面に第2伝導層を形成する。以後、段階S620で、図7の(b)に示すように、第2伝導層の一部を除去して第2電極を形成し、段階S630で、図7の(c)に示すように、第1伝導層の一部を除去して第2電極に対応するように第1電極を形成する。
【0077】
次に、段階S640で、図7の(d)に示すように、第1伝導層及び第2伝導層の一部が除去された部分に絶縁物質を充填し、段階S650で、図7の(e)に示すように、第2電極の一面に、一面に第3伝導層が形成されている誘電層を積層する。
【0078】
次に、段階S660で、第2電極と電気的に接続するビアを形成し、これは、段階S662で、図7の(f)に示すように、第3伝導層及び誘電層に、第2電極に対応するようにビアホールを穿孔する工程と、段階S664で、図7の(g)に示すように、ビアホールの内部に伝導性物質を充填する工程とに分けることができる。
【0079】
最後に、段階S670で、図7の(h)に示すように、第3伝導層の一部を除去して第2電極に対応するように第3電極を形成する。
【0080】
本実施例の場合、図7の(a)〜(h)に示されているように、絶縁層710上に形成された第1伝導層722に第2伝導層724を形成して下部伝導層720を形成する工程、これを順次エッチングして第1電極722’及び第2電極724’で構成される下部電極720’を形成する工程、絶縁物質730を充填する工程、ビアホール765及びビア760を形成する工程、及び、上部電極750’を形成する工程は、第1実施例と同様であるか、または対応するので、これに対する説明は省略し、以下、第1実施例との相違点である、一面に上部伝導層750が形成されている誘電層740の形成に対して説明する。
【0081】
下部伝導層720の一部が除去された部分に絶縁物質730を充填した後に、段階S650で、図7の(e)に示すように、第2電極の一面に、一面に第3伝導層が形成されている誘電層を積層する。すなわち、第2電極724’の一面に、例えば、RCC層755を積層する。RCC層755の誘電層740部分が第2電極724’を向くようにRCC層755を第2電極724’の一面に積層することにより、誘電層740と上部伝導層750とを一体に構成することができる。
【0082】
本実施例によれば、誘電層740及び上部伝導層750を一体に形成することができるので、キャパシタ内蔵型の印刷回路基板700の製造工程を単純化でき、より薄くて軽いキャパシタ内蔵型の印刷回路基板700を提供することができる。
【0083】
前述した実施例以外の多くの実施例が本発明の特許請求の範囲内に存在する。
【符号の説明】
【0084】
100 キャパシタ内蔵型の印刷回路基板
110 絶縁層
122 第1電極
124 第2電極
120 下部電極
130 絶縁物質
140 誘電層
150 上部電極
160 ビア
t1 第1電極の厚み
t2 電極の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の一面に形成される第1電極と、
前記第1電極の一面に形成される第2電極と、
前記第2電極の一面に形成される誘電層と、
前記誘電層の一面に形成される第3電極と、
を備えるキャパシタ内蔵型の印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1電極と前記第2電極とは、異なるエッチング液に反応する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板。
【請求項3】
前記第2電極の厚みが、前記第1電極の厚み以下であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板。
【請求項4】
絶縁層の一面に形成される第1伝導層を用いてキャパシタが内蔵された印刷回路基板を製造する方法であって、
前記第1伝導層の一面に第2伝導層を形成する段階と、
前記第2伝導層の一部を除去して第2電極を形成する段階と、
前記第2電極に対応するように前記第1伝導層の一部を除去して第1電極を形成する段階と、
前記第2電極の一面に誘電層を形成する段階と、
を含むキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2伝導層を形成する段階が、
電解メッキ、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング及び化学気相蒸着からなる群より選ばれる少なくともいずれか一つにより行われることを特徴とする請求項4に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1伝導層と前記第2伝導層とが、異なるエッチング液に反応する材料からなり、
前記第2電極を形成する段階が、
前記第2伝導層の一部に第2エッチング液を塗布して前記第2伝導層の一部を除去する段階を含み、
前記第1電極を形成する段階が、
前記第1伝導層の一部に第1エッチング液を塗布して前記第1伝導層の一部を除去する段階を含むことを特徴とする請求項4に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記誘電層を形成する段階以前に、
前記第1伝導層及び前記第2伝導層の一部が除去された部分に絶縁物質を充填する段階をさらに含む請求項4に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記誘電層を形成する段階以後に、
前記誘電層の一面に第3伝導層を形成する段階と、
前記第2電極に対応するように前記第3伝導層の一部を除去して第3電極を形成する段階と、
をさらに含む請求項4に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記誘電層の一面には、第3伝導層が形成されることを特徴とする請求項4に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記誘電層を形成する段階以後に、
前記第2電極に対応するように前記第3伝導層の一部を除去して第3電極を形成する段階をさらに含む請求項9に記載のキャパシタ内蔵型の印刷回路基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−9785(P2011−9785A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228739(P2010−228739)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2008−136504(P2008−136504)の分割
【原出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】