説明

キャブおよび作業機械

【課題】キャブ本体の強度を確保しつつオペレータの視界を拡げたキャブを提供する。
【解決手段】強度部材51を前桟位置P2よりも後方の待機位置に待機させることで、オペレータの前側上方の視界を確保できる。油圧ショベルが転倒しそうな場合などには、強度部材51を待機位置から前桟位置P2まで移動させる駆動手段57を傾斜センサ54にて起動させることで、前桟位置P2まで移動した強度部材51により、側方荷重に対するキャブ本体11の強度を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブ本体の上部に設けられた強度部材を有するキャブおよびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械の機械本体に搭載されるこの種のキャブは、箱形のキャブ本体を備え、このキャブ本体は、床面部の前部両側から立上がる左右のフロントピラーの下部間にフロントクロス部材が設けられているとともに上部間に強度部材としてのフロントヘッダが設けられており、これらフロントピラー、フロントクロス部材およびフロントヘッダにより、前側面部に前窓が開口形成されている。そして、このキャブ本体の内部に、オペレータが座る座席部が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−279721号公報(第4−6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば解体仕様、あるいはトンネル仕様などの作業機械においては、作業性を確保するために、特にオペレータの前側上方の視界を確保することが望ましい。
【0004】
しかしながら、上述のキャブでは、解体仕様機、あるいはトンネル仕様機などに適用した場合に、座席部に座ったオペレータの前側上方の視界をフロントヘッダが遮り、オペレータの視界を充分に確保できないという問題点を有している。
【0005】
そこで、フロントヘッダを除去することでオペレータの前側上方の視界を拡げることも考えられるものの、フロントヘッダは、左右のフロントピラー間を構造的に支持する重要な強度部材であるため、単純にフロントヘッダを除去しただけでは、特に側方荷重に対するキャブ本体の強度が充分でない。
【0006】
すなわち、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をすることがある油圧ショベルなどにおいては、このような場所での作業の際に、場合によっては油圧ショベルが傾倒するおそれがあり、このように傾倒した際にオペレータを確実に保護できるように、側方荷重に対する強度を確保することが望ましい。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、キャブ本体の強度を確保しつつオペレータの視界を拡げたキャブおよびこれを備えた作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、キャブ本体と、このキャブ本体の前側上部の前桟位置とこの前桟位置よりも後方の待機位置との間で移動自在に設けられた強度部材と、この強度部材を待機位置から前桟位置まで移動させる駆動手段と、この駆動手段を起動させる制御手段とを具備したキャブである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャブにおいて、駆動手段が、強度部材を待機位置と前桟位置との間でガイドするガイド手段と、強度部材を前方に付勢する付勢手段と、強度部材を待機位置で係止する係止手段とを備え、制御手段が、係止手段による強度部材の係止を解除して駆動手段を起動させるものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のキャブにおいて、制御手段が、キャブ本体の傾倒角度を検出する傾斜センサを備え、駆動手段が、傾斜センサにより検出したキャブ本体の傾倒角度が所定角度となった状態で起動するものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のキャブにおいて、制御手段が、操作により駆動手段を起動させるスイッチであるものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載のキャブにおいて、キャブ本体が、強度部材の待機位置の前方に開口された上側窓部と、この上側窓部を開閉可能な開閉蓋とを備えているものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、機械本体と、この機械本体に設けられた請求項1乃至5のいずれか記載のキャブと、機械本体に設けられた作業装置とを具備した作業機械である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、強度部材を前桟位置よりも後方の待機位置に待機させることで、オペレータの前側上方の視界を確保でき、かつ、必要時には、強度部材を待機位置から前桟位置まで移動させる駆動手段を制御手段にて起動させることで、前桟位置まで移動した強度部材により、キャブ本体の強度を確保できる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、強度部材を付勢手段で前方に付勢した状態で係止手段により待機位置で係止することで、必要時に制御手段が係止手段による強度部材の係止を解除すると、付勢手段の付勢により、強度部材がガイド手段にガイドされて前桟位置まで射出され、前桟位置まで移動した強度部材により、キャブ本体の強度を確保できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、傾斜センサで検出したキャブ本体の傾倒角度が所定角度となると駆動手段を起動させることで、キャブ本体が所定角度以上傾倒した際に強度部材を自動的に前桟位置まで射出できる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、制御手段を、操作により駆動手段を起動させるスイッチとすることで、オペレータがスイッチを操作して所望のタイミングで駆動手段を起動させて強度部材を前桟位置まで射出できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、強度部材の待機位置よりも前方に開口された上側窓部を開閉蓋にて開閉可能とすることで、強度部材が待機位置にある状態では、開閉蓋により開けた上側窓部からオペレータがキャブ本体の外部を直接望むことができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、オペレータの視界を拡げたキャブを備えることで、作業性を向上できるとともに、必要時には強度部材によりキャブ本体の強度を確保することで、信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図6に作業機械としての油圧ショベル1を示し、この油圧ショベル1は、下部走行体2の上部に旋回部3を介して上部旋回体4が旋回可能に設けられた機械本体5を有し、上部旋回体4の前側上部左側に、オペレータの運転空間を囲むキャブ6が搭載されているとともに、上部旋回体4の前部中央に、作業装置7が作動可能に突設されている。
【0022】
そして、キャブ6は、図1、図2および図5に示されるように、箱形のキャブ本体11と、このキャブ本体11の上部に設けられたキャブ用補強部12とを有している。
【0023】
キャブ本体11は、上部旋回体4(図6)の旋回フレーム上に、図示されないマウント部材を介して搭載される前後に長い略四角形状の図示されない床面部と、この床面部の左右両側部から上方に立上がる左側面部16および右側面部17と、床面部の前後両端部から上方に立上がる前側面部18および後側面部19と、これら側面部16,17,18,19の上部に設けられた天井部20とを備えている。
【0024】
そして、このキャブ本体11は、床面部15の四隅にそれぞれ設けられた柱状体としての左フロントピラー22、右フロントピラー23、左リアピラー24および右リアピラー25を備えている。さらに、左フロントピラー22の上端部は、左リアピラー24の上端部へと屈曲されて左サイド部26を形成し、右フロントピラー23の上端部は、右リアピラー25の上端部へと屈曲されて右サイド部27を形成し、両リアピラー24,25の上端部間は、リアヘッダ29により連結され、また、両フロントピラー22,23の下端部間は、フロントクロス部材30により連結され、両リアピラー24,25の下端部間は、リアクロス部材31により連結されている。
【0025】
床面部上には、図示しないが、オペレータが座るシートおよびオペレータが操作するコンソールなどが適宜配設されている。
【0026】
左側面部16は、左フロントピラー22と左サイド部26と左リアピラー24とにより区画され、これら左フロントピラー22と左リアピラー24との間に、上端部が左サイド部26に連結された柱状体としてのドア取付用ピラー32が配設され、このドア取付用ピラー32と左フロントピラー22との間に、オペレータがキャブ本体11内に対して乗降する際に開閉されるドア33が設けられているとともに、ドア取付用ピラー32と左リアピラー24との間に、左サイドパネル34が一体に設けられている。
【0027】
右側面部17には、右フロントピラー23と右サイド部27と右リアピラー25とにより区画され、右フロントピラー23と右リアピラー25との下部間に図示されない右サイドパネルが一体に設けられ、この右サイドパネルの上部に、右窓が開口形成されている。
【0028】
前側面部18は、両フロントピラー22,23とフロントクロス部材30とにより区画されて全体に前側窓部としての前窓41が略全面に開口形成され、この前窓41は、透光性部材G1により閉塞されている。
【0029】
後側面部19は、両リアピラー24,25とリアヘッダ29とリアクロス部材31とにより区画され、両リアピラー24,25の下部間かつリアクロス部材31の上部に、例えば1枚板で形成されたリアパネル43が一体に設けられ、このリアパネル43の上部に後窓44が開口形成されている。この後窓44は、四角形状に形成され、透光性部材G2により開閉可能となっている。
【0030】
天井部20は、リアヘッダ29と両サイド部26,27とにより区画され、後側に、例えば1枚板で形成されたルーフパネル47が嵌合され、この後側が略平面状に形成されているとともに、このルーフパネル47の前方に上側窓部としての天窓48が開口形成されている。この天窓48は、四角形状に形成され、開閉蓋としてのハッチ49が取り付けられている。
【0031】
ここで、ハッチ49は、後端部に設けられたヒンジH,Hにより上下方向に回動可能に軸支され、キャブ本体11内部のオペレータがキャブ本体11の内部から操作することで天窓48を開閉可能となっている。
【0032】
各フロントピラー22,23は、Aピラーとも呼ばれるものであり、ドア取付用ピラー32は、Bピラーとも呼ばれるものであり、また、各リアピラー24,25は、Cピラーとも呼ばれるものであり、これらピラー22,23,24,25,32は、それぞれ鋼板により形成された異型鋼管である。
【0033】
一方、キャブ用補強部12は、キャブ6に図4に示される側方荷重Fが加わった際に想像線Cに示されるようなキャブ本体11の変形を防止するもので、補強用の強度部材51と、この強度部材51を前後方向にガイドするガイド手段としての一対のガイドレール52,52と、強度部材51を前方へと付勢する付勢手段としての一対のスプリング53,53と、キャブ本体11の左右方向への傾倒角度を検出する傾斜センサ54と、強度部材51を係止する係止手段としての一対のシリンダ55,55とを有し、スプリング53,53、傾斜センサ54およびシリンダ55,55のそれぞれが、ルーフパネル47の上方に設けられたケース部56に収容されている。そして、ガイドレール52,52と、スプリング53,53と、シリンダ55,55とにより、強度部材51をケース部56に対して射出する駆動手段57が構成されている。
【0034】
強度部材51は、キャブ本体11の左右方向に長尺状のヘッダ部61と、このヘッダ部61の後方に突設された一対の被付勢部62,62とを備えている。そして、この強度部材51は、ハッチ49および天窓48よりも後方の図2に示される待機位置P1と、ハッチ49および天窓48の前端部寄りの位置である図1に示される前桟位置P2との間で移動自在に設けられている。
【0035】
ヘッダ部61は、ケース部56の外部に位置し、左右両側部がガイドレール52,52からそれぞれ突出している。このため、このヘッダ部61は、強度部材51が前桟位置P2に位置している状態で、ハッチ49の前側寄りの位置で両サイド部26,27に亘って位置している。また、ヘッダ部61の左右両側近傍の下部には、図3に示されるように、各ガイドレール52に上側から嵌合される嵌合凸部64(一方のみ図示)がそれぞれ突設されている。各嵌合凸部64は、各ガイドレール52に挿入される挿入部66と、この挿入部66の下端部に幅広に形成された抜止部67とにより、正面視で略凸字状に形成されている。
【0036】
図1および図2に戻って、被付勢部62,62は、ケース部56に対して進退可能に設けられ、後端部がスプリング53,53に接続されて、これらスプリング53,53によりそれぞれ前方へと付勢されている。
【0037】
各ガイドレール52は、両サイド部26,27の上部に沿って配設され、ケース部56の前部からハッチ49の前端部の両側近傍に亘って直線状に連続している。また、ガイドレール52,52の前端部には、板状のストッパ69,69が両フロントピラー22,23との間で溶接されている。さらに、各ガイドレール52の上部には、図3に示されるように、強度部材51の嵌合凸部64が挿入される嵌合凹部71がガイドレール52の前後方向全体に亘ってそれぞれ設けられている。そして、各ガイドレール52には、図示しないが、前桟位置P2まで進出した強度部材51が後方に戻らないように係止する戻り止め部が設けられている。
【0038】
各ストッパ69は、前側に進出した強度部材51の前端部が当接することでこの強度部材51の前進を止めるものである。すなわち、これらストッパ69は、強度部材51の前桟位置P2を規定している。
【0039】
また、各嵌合凹部71は、ガイドレール52の上部に連通して挿入部66が挿入される開口部72と、この開口部72の下部に幅広に形成され抜止部67が嵌合される抜止開口部73とにより、正面視で略凸字状に形成されている。したがって、強度部材51の抜止部67と抜止開口部73との嵌合により、強度部材51が各ガイドレール52に保持され、強度部材51が各ガイドレール52から抜けにくく構成されている。
【0040】
再度図1および図2に戻って、各スプリング53は、ケース部56内の後部に後端が固定され、強度部材51の被付勢部62,62の後端部に前端が固定されている。
【0041】
傾斜センサ54は、例えば各シリンダ55の中間位置であるキャブ本体11の左右方向の中心域に配設されている。また、この傾斜センサ54は、図示されない制御部としてのコントローラなどを介して各シリンダ55に電気的に接続され、検出したキャブ本体11の傾倒角度が所定角度以上の場合には、各シリンダ55を駆動させる信号をこれらシリンダ55に出力可能となっている。そして、この傾斜センサ54と制御部などとにより、駆動手段57を起動させる制御手段74が構成されている。
【0042】
各シリンダ55は、例えば電動シリンダであり、左右方向に配設され、ピストンロッド75が突出した状態で、強度部材51の各被付勢部62の後部に設けられた図示されない係止孔に挿入されることで、待機位置P1に位置した強度部材51をこの待機位置P1に閂状に係止するとともに、傾斜センサ54から信号が出力された際には、ピストンロッド75が退避して係止孔から外れることで、強度部材51の係止を解除するものである。
【0043】
ケース部56は、偏平な形状に形成され、リアヘッダ29に沿う後端部に、スプリング53,53の後端が固定される壁部77が形成されている。また、このケース部56の前端部には、強度部材51の被付勢部62,62が進退可能に挿入される図示されない開口が設けられている。
【0044】
なお、上記キャブ補強部12は、シートなどに設けられた各種センサによりハッチ49を使用していることを検出した場合には作動しないように構成されている。
【0045】
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
【0046】
通常の作業の際には、キャブ用補強部12において、強度部材51が後方に退避し、被付勢部62,62の係止孔にシリンダ55,55のピストンロッド75,75が挿入されることで、強度部材51が図2に示す待機位置P1に保持され、スプリング53,53が縮み、強度部材51が前方へと付勢されている。
【0047】
このとき、強度部材51は、オペレータの前側上方の視界を遮らない位置であるため、オペレータの前側上方の視界が確保される。また、ハッチ49を開けて天窓48からキャブ本体11の外部を望みながら作業する。
【0048】
例えば、不整地、傾斜地などで作業をする際には、不安定な足場において油圧ショベル1が大きく傾斜することがある。
【0049】
このとき、傾斜センサ54がキャブ本体11の傾倒を検出し、その検出した傾倒角度が所定角度以上となると、シリンダ55,55へ信号を送信し、各ピストンロッド75,75が縮んで係止孔から外れ、スプリング53,53が伸張されて強度部材51がガイドレール52,52に沿って待機位置P1から前桟位置P2へと直線状に移動し、キャブ本体11を側方荷重F(図4)に対して補強する。
【0050】
次に、上記第1の実施の形態の効果を列記する。
【0051】
強度部材51を前桟位置P2よりも後方の待機位置P1に待機させることで、オペレータの前側上方の視界を確保でき、かつ、必要時、例えば油圧ショベル1が転倒しそうな場合などには、強度部材51を待機位置P1から前桟位置P2まで移動させる駆動手段57を傾斜センサ54にて起動させることで、前桟位置P2まで移動した強度部材51により、側方荷重Fに対するキャブ本体11の強度を確保できる。
【0052】
具体的に、強度部材51をスプリング53,53で前方に付勢した状態でシリンダ55,55のピストンロッド75,75により待機位置P1で係止することで、傾斜センサ54がシリンダ55,55のピストンロッド75,75による強度部材51の係止を解除すると、スプリング53,53の付勢により、強度部材51がガイドレール52,52にガイドされて前桟位置P2まで射出されるので、この前桟位置P2まで射出された強度部材51により、側方荷重Fに対するキャブ本体11の強度を確保できる。
【0053】
傾斜センサ54で検出したキャブ本体11の傾倒角度が所定角度となると駆動手段57を起動させることで、キャブ本体11が所定角度以上傾倒した際に強度部材51を自動的に前桟位置P2まで射出でき、また、駆動手段57を起動させる制御手段74を、傾斜センサ54により安価に提供できる。
【0054】
待機位置P1よりも前方に開口された天窓48をハッチ49にて開閉可能とすることで、強度部材51が待機位置P1にある状態では、ハッチ49により開けた天窓48からオペレータがキャブ本体11の外部を直接望むことができる。
【0055】
しかも、ハッチ49を使用している場合には、シートに設けたセンサなどによりキャブ用補強部12を作動させないため、ハッチ49を開けたままの状態で強度部材51が誤って動作することを防止できる。
【0056】
また、強度部材51は、オペレータの前側上方の視界を遮らないため、サイズを大きくすることができ、強度部材51による補強の際の強度を向上できる。
【0057】
そして、オペレータの視界を拡げたキャブ6を備えることで、油圧ショベル1の作業性を向上できるとともに、必要時には強度部材51によりキャブ本体11の強度を確保することで、作業可能な領域を拡げることができ、信頼性を向上できる。
【0058】
次に、図7に基づき、キャブの第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この第2の実施の形態のキャブ6は、両フロントピラー22,23が下端部から上端部へと後方に円弧状に湾曲形成され、両リアピラー24,25と円弧状に連結されているものである。
【0060】
また、キャブ6の上部に取り付けられたキャブ用補強部12は、ガイドレール52,52のそれぞれが両フロントピラー22,23に沿って円弧状に湾曲され、これらガイドレール52,52により、強度部材51が両フロントピラー22,23に沿ってガイドされるように構成されている。
【0061】
そのほか、キャブ用補強部12は、上記第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0062】
そして、上記第1の実施の形態と同様に、傾斜センサ54(図1)がキャブ本体11の傾倒を検出し、その検出した傾倒角度が所定角度以上となると、シリンダ55,55(図1)へ信号を送信し、各ピストンロッド75,75(図1)が縮んで係止孔から外れ、スプリング53,53(図1)が伸張されて強度部材51がガイドレール52,52に沿って待機位置P1から前桟位置P2(想像線に示す)へと円弧状に移動し、キャブ本体11を側方荷重F(図4)に対して補強することで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0063】
なお、上記各実施の形態において、強度部材51の形状は、上記に限定されるものではない。
【0064】
また、キャブ用補強部12の各構成も、上記に限定されるものではなく、強度部材51を待機位置P1から前桟位置P2まで移動させる駆動手段を制御手段にて起動させることができれば、任意の構成とすることができる。
【0065】
さらに、キャブ用補強部12は、ハッチ49を開閉しないキャブ本体11にも適用できる。
【0066】
そして、上記キャブ6は、油圧ショベル1以外の任意の作業機械に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るキャブの第1の実施の形態の強度部材が前桟位置となった状態を示す平面図である。
【図2】同上キャブの強度部材が待機位置の状態を示す平面図である。
【図3】同上キャブの要部を示す縦断面図である。
【図4】同上キャブを示す正面図である。
【図5】同上キャブを示す斜視図である。
【図6】同上キャブを備えた作業機械を示す側面図である。
【図7】本発明に係るキャブの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
P1 待機位置
P2 前桟位置
1 作業機械としての油圧ショベル
5 機械本体
6 キャブ
7 作業装置
11 キャブ本体
48 上側窓部としての天窓
49 開閉蓋としてのハッチ
51 強度部材
52 ガイド手段としてのガイドレール
53 付勢手段としてのスプリング
54 傾斜センサ
55 係止手段としてのシリンダ
57 駆動手段
74 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ本体と、
このキャブ本体の前側上部の前桟位置とこの前桟位置よりも後方の待機位置との間で移動自在に設けられた強度部材と、
この強度部材を待機位置から前桟位置まで移動させる駆動手段と、
この駆動手段を起動させる制御手段と
を具備したことを特徴とするキャブ。
【請求項2】
駆動手段は、
強度部材を待機位置と前桟位置との間でガイドするガイド手段と、
強度部材を前方に付勢する付勢手段と、
強度部材を待機位置で係止する係止手段とを備え、
制御手段は、係止手段による強度部材の係止を解除して駆動手段を起動させる
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ。
【請求項3】
制御手段は、キャブ本体の傾倒角度を検出する傾斜センサを備え、
駆動手段は、傾斜センサにより検出したキャブ本体の傾倒角度が所定角度となった状態で起動する
ことを特徴とする請求項1または2記載のキャブ。
【請求項4】
制御手段は、操作により駆動手段を起動させるスイッチである
ことを特徴とする請求項1または2記載のキャブ。
【請求項5】
キャブ本体は、
強度部材の待機位置の前方に開口された上側窓部と、
この上側窓部を開閉可能な開閉蓋とを備えている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のキャブ。
【請求項6】
機械本体と、
この機械本体に設けられた請求項1乃至5のいずれか記載のキャブと、
機械本体に設けられた作業装置と
を具備したことを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−182697(P2007−182697A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1418(P2006−1418)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】