キャブのフロア構造
【課題】キャブ全体の捻り剛性を確保しつつ、ベッド上における居住性の向上を図ることが可能なキャブのフロア構造の提供。
【解決手段】シャシフレーム上に配置され、着座シート21の後方にベッド23を有するフロア構造11であって、フロアパネル12と、補強部材13と、を備えている。フロアパネル12は、キャブ3の前端下部から後方へ延び、着座シート21を下方から支持するシート取付部22を有するフロントフロア部16と、フロントフロア部16の後端から上方へ曲折して延びる立上り部17と、立上り部17の上端から後方へ曲折して延び、ベッド23を載置可能なベッド取付部24を有するリアフロア部18と、を有している。補強部材13は、リアフロア部18の下面と対向し、フロントフロア部16の下面若しくは立上り部17の後面の少なくとも一方とリアフロア部18の下面とに接合されて、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する。
【解決手段】シャシフレーム上に配置され、着座シート21の後方にベッド23を有するフロア構造11であって、フロアパネル12と、補強部材13と、を備えている。フロアパネル12は、キャブ3の前端下部から後方へ延び、着座シート21を下方から支持するシート取付部22を有するフロントフロア部16と、フロントフロア部16の後端から上方へ曲折して延びる立上り部17と、立上り部17の上端から後方へ曲折して延び、ベッド23を載置可能なベッド取付部24を有するリアフロア部18と、を有している。補強部材13は、リアフロア部18の下面と対向し、フロントフロア部16の下面若しくは立上り部17の後面の少なくとも一方とリアフロア部18の下面とに接合されて、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席の着座シートの後方にベッドを有する従来のキャブのフロア構造として、例えば、特許文献1に記載の構造がある。特許文献1の構造は、キャブの床面を形成するフロアパン(フロアパネル)を備え、フロアパンは、車両の略中央に位置する中央部と、この中央部の車幅方向両側に設けられ、乗員用シートを設置可能な両側部と、中央部及び両側部との後端に接合され、乗員用のベッドを載置可能な水平部と、を有している。フロアパンは、メインシル上に配置され、このメインシルは、フロアパンの両側部の前端から水平部に亘って両側部の下面に固着される並行部と、並行部の後端に連接され、車幅方向に亘ってフロアパンの水平部の下面に固着される基部と、を有している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−129531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、ベッドが載置される水平部の後端部に、メインシルの基部を車幅方向に亘って配置することにより、キャブの後端下部(ベッドの配置位置の下方)が補強される。
【0005】
ここで、一般に、フロアパンに対して補強部材等を車幅方向に亘って配置すると、キャブ全体の捻り剛性が向上し、車両の操縦安定性が確保される。しかしながら、特許文献1の構造では、単に、メインシルの基部がフロアパンの水平部の後端部にのみ固着されているに過ぎないため、この基部による補強が不十分である場合には、キャブに必要な捻り剛性を確保することが困難である。
【0006】
かかる不都合は、フロアパンの水平部の下面に固着される基部の板厚の増大化、若しくは、基部の車両前後方向の幅の拡大化により回避することが可能である。しかし、このような基部の増大化は、車両の重量の増大化を招く。
【0007】
また、一般に、フロアパンの下方には、エンジン等の動力源及びタイヤが配置されているため、フロアパンと、動力源やタイヤとの間に音の透過を妨げる板材等の部材が配置されていない場合、走行時における動力源やタイヤからの騒音は、フロアパネルに直接到達し、当該フロアパネルを介してキャブ内に透過される。このため、特許文献1の構造のように、ベッドが載置される水平部の下方に、このような部材が配置されていない場合には、走行時における騒音が水平部を介してベッドに透過されてしまい、ベッド上における居住性の低下を招く。
【0008】
そこで、本発明は、キャブ全体の捻り剛性を確保しつつ、ベッド上における居住性の向上を図ることが可能なキャブのフロア構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、シャシフレーム上に配置され、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造であって、フロアパネルと、補強部材と、を備えている。フロアパネルは、キャブの前端下部から後方へ延び、着座シートを下方から支持するシート取付部を有するフロントフロア部と、フロントフロア部の後端から上方へ曲折して延びる立上り部と、立上り部の上端から後方へ曲折して延び、ベッドを載置可能なベッド取付部を有するリアフロア部と、を有している。補強部材は、リアフロア部の下面と対向し、フロントフロア部の下面若しくは立上り部の後面の少なくとも一方とリアフロア部の下面とに接合されて、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する。
【0010】
上記構成では、ベッドは、運転席の着座シートの後方で車幅方向に亘って設けられるリアフロア部に載置される。リアフロア部の下方には、リアフロア部の下面と対向し、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する補強部材が配置される。従って、車幅方向に亘って形成される閉断面形状は、車両前後方向に比較的大きな幅を有するため、キャブ全体の捻り剛性を確実に向上させることができる。また、リアフロア部の下方に閉断面形状を形成することにより、キャブ全体の捻り剛性が確保されるため、重量の増大を抑えた構造とすることができる。
【0011】
ベッドが載置されるリアフロア部の下面と補強部材との間には、閉断面が区画形成されるため、フロアパネルの下方に配置されるエンジン等の動力源やタイヤ等の走行時における透過騒音は、先ず、補強部材により有効に遮断され、その後、リアフロア部を介してベッドに到達する。従って、ベッドへの透過騒音が低減されるため、ベッド上における居住性を向上させることができる。また、リアフロア部の下方に騒音の透過を妨げる板材等の部材を別途設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
また、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する補強部材は、ベッドが載置されるリアフロア部の下方に配置されるため、補強部材の配置位置により、リアフロア部の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッドの車両前後方向の幅寸法に影響が及ぶことがない。従って、ベッドの車両前後方向の幅寸法を確保することが可能なため、ベッド上における居住性を向上させることができる。
【0013】
さらに、ベッドが載置されるリアフロア部は、立上り部の上端から後方へ曲折して延びているため、ベッドの厚みを均一にすることができる。従って、ベッドの弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)の均一化を図ることが可能なため、ベッド上における居住性を確保することができる。
【0014】
また、キャブの前端下部は、シャシフレームの前端部に回転自在に支持されてもよく、補助部材には、キャブをシャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構を設けてもよい。
【0015】
上記構成では、フロアパネルの後端側に配置される補強部材には、チルト可能なキャブをシャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構が設けられている。すなわち、ロック機構は、フロアパネルと接合することによりキャブ全体の捻り剛性を向上させることが可能な補強部材に設けられているため、キャブに対する取付強度を確実に向上させることができる。
【0016】
また、ロック機構が設けられる補強部材は、フロアパネルとは別体であるため、フロアパネルの厚肉化を伴うことなく、補強部材の板厚のみをロック機構の支持強度を満たす大きさに設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単な構成により、キャブ全体の捻り剛性及びベッド上における居住性を確実に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のキャブオーバトラックの側面図、図2は図1の要部拡大模式側面図、図3はフロアパネルの斜視図、図4は本発明に係るフロア構造以外のフロア構造の側面図、図5は本発明に係るフロア構造の側面図である。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方をそれぞれ示している。また、以下の説明における左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0019】
図1及び図2に示すように、キャブオーバトラック1は、車幅方向両側で車両前後方向に延設されたシャシフレーム2と、シャシフレーム2の前部に下方から支持されるキャブ3と、キャブ3を下方から支持するキャブアンダメンバ4と、シャシフレーム2の後部に下方から支持される荷台8と、を備えている。
【0020】
シャシフレーム2は、略矩形閉断面形状を有し、その前端部には、後述するキャブアンダメンバ4の回転支持部39を回転自在に支持するフロントキャブマウント5が溶接等により固着されている。また、シャシフレーム2の間には、車幅方向に沿って複数のサイドメンバ10が架設されている。この複数のサイドメンバ10のうち所定位置に配設されるサイドメンバ10には、その車幅方向の略中央の位置にリアキャブマウントブラケット7が立設されている。
【0021】
図2に示すように、キャブ3は、その車室内の床部を構成するフロア構造11を備え、フロア構造11は、フロアパネル12と、断面略L字状の補強部材13と、を備えている。
【0022】
キャブ3の前端は、後述するキャブアンダメンバ4の回転支持部39を介してフロントキャブマウント5のチルト軸6によって傾動自在に支持されている。キャブ3の後端は、リアキャブマウントブラケット7に後述するロック機構31を介して係脱自在に支持されている。
【0023】
図3及び図5に示すように、フロアパネル12は、キャブ3(図2参照)の前端下部から後方へ延びるフロントフロア部16と、フロントフロア部16の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる立上り部17と、立上り部17の上端から折曲して車両後方へ略水平に延びるリアフロア部18と、を備え、これらは溶接やボルト締め等により固着されている。
【0024】
フロントフロア部16は、車幅方向中央に設けられるセンタフロアパネル19と、センタフロアパネル19の車幅方向両端から相反する方向へ略水平に延びるサイドフロアパネル20と、を有し、これらは溶接やボルト締め等により固着されている。センタフロアパネル19は、断面略U字形状を有し、その下部には、エンジン等の動力源9が配設される。サイドフロアパネル20は、その上面に着座シート21をボルト等により支持可能なシート取付部22を有する。
【0025】
リアフロア部18は、その上面に略水平なベッド23を載置可能なベッド取付部24を有し、その下方には動力源9が配設されている。
【0026】
なお、フロアパネル12は、本実施形態のように分割して設ける場合に限られず、一体的に形成することも可能である。
【0027】
補強部材13は、断面略L字形状を有し、フロアパネル12の下方で且つキャブアンダメンバ4(図2参照)の間に設けられている。補強部材13は、略水平に設けられる略板状の水平部26と、水平部26の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる折曲部27とを有している。水平部26は、その前端が立上り部17の後面の所定位置に溶接等により固着されている。折曲部27は、その上端がリアフロア部18の下面の所定位置に溶接等により固着されている。なお、水平部26の前端を立上り部17の後面に固着したが、リアフロア部18の下面に固着してもよい。
【0028】
補強部材13がフロアパネル12に対して固着された状態では、水平部26の上面がリアフロア部18の下面と対向し、補強部材13とリアフロア部18との間で車幅方向に亘って閉断面が区画形成される。
【0029】
折曲部27の後面の所定位置には、後述するロック機構31の一部を構成する略U字状のストライカ(ロック機構)32が下方へ向けて溶接やボルト締め等により固着されている。
【0030】
図2及び図5に示すように、ロック機構31は、補強部材13側に設けられるストライカ32と、リアキャブマウントブラケット7の上部に溶接やボルト締め等により固着されるロック部材33と、を備えている。ロック部材33は、凹溝(図示省略)と、係合部(図示省略)と、操作レバー(図示省略)と、を有する。凹溝は、ストライカ32が上方から進入可能な進入口を有し、ストライカ32の上下方向への移動を許容する。係合部は、ストライカ32が凹溝に沿って固定位置に移動したときに、ストライカ32と係合する。ストライカ32と係合部との係合状態(ロック状態)は、操作レバーを操作すること解除される。
【0031】
このように構成されたロック機構31は、キャブ3の後端側が固定位置に向かって移動すると、ストライカ32が、凹溝に進入して当該凹溝の底面に当接し、ロック部材の係合部と係合する。キャブ3は、ストライカ32と係合部との係合により固定位置に保持される。一方、ロック機構31のロック状態の解除は、操作レバーを操作することにより行われる。これにより、ストライカ32とロック部材33の係合部との係合状態が解除されて、キャブ3の後端側は、前方へ傾動し得る状態となる。なお、ストライカ32とロック部材33とをそれぞれ補強部材13とリアキャブマウントブラケット7とに固着したが、それぞれリアキャブマウントブラケット7と補強部材13とに取り付けることも可能である。
【0032】
図2に示すように、キャブアンダメンバ4は、断面略U字形状を有し、キャブ3の車幅方向両側で車両前後方向に延設されている。キャブアンダメンバ4は、車両前方側に略水平に配設される前方部36と、前方部36の後端から折曲し車両上方へ傾斜して車両上方へ傾斜して延びる立上り部37と、立上り部37の上端から折曲して車両後方へ略水平に延びる後方部38と、を備えている。前方部36は、その前端に回転支持部39を有し、シャシフレーム2の前端に固定されるフロントキャブマウント5のチルト軸6によって傾動自在に支持されている。
【0033】
キャブアンダメンバ4は、キャブ3のフロアパネル12の下面と当接した状態で、その当接部分を溶接等することによりキャブ3に対して固着されている。キャブアンダメンバ4がフロアパネル12に固着された状態では、キャブアンダメンバ4の前方部36と、立上り部37と、後方部とがそれぞれフロアパネル12のフロントフロア部16と、立上り部17と、リアフロア部18とに当接する。また、かかる状態では、補強部材13の水平部26の前端及び折曲部27の上端の車幅方向両端部は、キャブアンダメンバ4と近接した位置に配置される。
【0034】
次に、本発明に係るフロア構造を採用しない車両と、採用する車両とに分けて、図4及び図5に基づいて説明する。
【0035】
図4に示すように、本発明に係るフロア構造を採用しない車両では、フロア構造41として、フロアパネル42と、補強部材43と、を備えている。
【0036】
フロアパネル42は、着座シート51をその上面に配置可能なフロントフロア部44と、フロントフロア部44の後端から上方へ曲折して延びる第1立上り部45と、第1立上り部45の上端から後方へ曲折して延び、ベッド52を載置可能なベッド支持部46と、ベッド支持部46の後端から上方へ曲折して延びる第2立上り部47と、第2立上り部47の上端から後方へ曲折して延びるリアフロア部48と、を有している。また、フロントフロア部44及びベッド支持部46の下方には、エンジン等の動力源53が配置されている。
【0037】
補強部材43は、断面略L字状に形成され、略水平に設けられる略板状の水平部49と、水平部49の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる折曲部50と、を有する。また、補強部材43の車幅方向の幅は、フロアパネル42の車幅方向の幅と略同一の幅を有している。水平部49の前端と、折曲部50の上端とは、それぞれベッド支持部46の下面と、リアフロア部48の下面とに溶接やボルト締め等により固着されている。補強部材43がフロアパネル42に固着された状態では、第2立上り部47と補強部材43との間で閉断面が車幅方向に亘って形成されている。かかる補強部材43の配置により、キャブ3全体の捻り剛性の向上が図られている。
【0038】
しかし、フロア構造41では、第2立上り部47の後方に補強部材43を配置するためのスペースを確保する必要がある。このため、場合によっては、ベッド支持部46の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッド52の車両前後方向の幅寸法が短縮され、ベッド52上における居住性が低下してしまう。
【0039】
かかる不都合は、ベッドを載置可能な範囲を、ベッド支持部46のみならずリアフロア部48にまで拡大することにより回避することが可能である。しかし、第2立上り部47により連結されるベッド支持部46とリアフロア部48とでは、そのベッドを載置する取付面の高さが相違するため、ベッドの上面を均一にすると、ベッドのうちリアフロア部48に載置される部分の厚み(高さ方向の幅)がベッド支持部46に載置される部分の厚みよりも薄くなってしまう。このため、ベッドの上面を押圧する位置(寝る位置)によっては、ベッドの弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)が異なるため、ベッド上における居住性を確保することが難しい。
【0040】
一方、図5に示すように、本発明に係るフロア構造11では、ベッド23は、着座シート21の後方で車幅方向に亘って設けられるリアフロア部18に載置される。リアフロア部18の下方には、リアフロア部18の下面と対向し、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する補強部材13が配置される。従って、車幅方向に亘って形成される閉断面形状は、車両前後方向に比較的大きな幅を有するため、キャブ3全体の捻り剛性をより向上させることができる。
【0041】
また、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する補強部材13は、ベッド23が載置されるリアフロア部18の下方に配置されるため、補強部材13の配置位置により、リアフロア部18の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッド23の車両前後方向の幅寸法に影響が及ぶことがない。従って、ベッド23の車両前後方向の幅寸法を確保することが可能なため、ベッド23上における居住性を向上させることができる。
【0042】
さらに、ベッド23が載置されるリアフロア部18は、立上り部17の上端から後方へ曲折して延びているため、ベッド23の厚みを均一にすることができる。従って、ベッド23の弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)の均一化を図ることが可能なため、ベッド23上における居住性を確保することができる。
【0043】
図4に示すように、ベッド支持部46の下方に直接動力源53が配置されるフロア構造41では、走行時における動力源53及びタイヤからの騒音がベッド支持部46を介してベッド52に透過されるため、ベッド52上における居住性が低下してしまう。
【0044】
これに対し、図5に示すように、本発明に係るフロア構造11では、ベッド23が載置されるリアフロア部18の下面と補強部材13との間には、閉断面が区画形成される。このため、フロアパネル12の下方に配置されるエンジン等の動力源9やタイヤ61(図1参照)等の走行時における透過騒音は、先ず、補強部材13により有効に遮断され、その後、リアフロア部18を介してベッド23に到達する。従って、ベッド23への透過騒音が低減されるため、ベッド上における居住性を向上させることができる。また、リアフロア部18の下方に騒音の透過を妨げる板材等の部材を別途設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、簡単な構成により、キャブ全体の捻り剛性及びベッド上における居住性を確実に向上させることができる。
【0046】
また、フロアパネル12の後端側に配置される補強部材43には、チルト可能なキャブ3をシャシフレーム2に対して係脱自在に連結するストライカ32が設けられている。すなわち、ストライカ32は、フロアパネル12と接合することによりキャブ3全体の捻り剛性を向上させることが可能な補強部材13に設けられているため、キャブ3に対する取付強度を確実に向上させることができる。
【0047】
ストライカ32が設けられる補強部材13は、フロアパネル12とは別体であるため、フロアパネル12の厚肉化をともなうことなく、補強部材13の板厚のみをストライカ32の支持強度を満たす大きさに設定することができる。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態のキャブオーバトラックの側面図である。
【図2】図1の要部拡大模式側面図である。
【図3】フロアパネルの斜視図である。
【図4】本発明に係るフロア構造以外のフロア構造の側面図である。
【図5】本発明に係るフロア構造の側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 キャブオーバトラック
2 シャシフレーム
3 キャブ
11 フロア構造
12 フロアパネル
13 補強部材
16 フロントフロア部
17 立上り部
18 リアフロア部
21 着座シート
22 シート取付部
23 ベッド
24 ベッド取付部
31 ロック機構
32 ストライカ(ロック機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席の着座シートの後方にベッドを有する従来のキャブのフロア構造として、例えば、特許文献1に記載の構造がある。特許文献1の構造は、キャブの床面を形成するフロアパン(フロアパネル)を備え、フロアパンは、車両の略中央に位置する中央部と、この中央部の車幅方向両側に設けられ、乗員用シートを設置可能な両側部と、中央部及び両側部との後端に接合され、乗員用のベッドを載置可能な水平部と、を有している。フロアパンは、メインシル上に配置され、このメインシルは、フロアパンの両側部の前端から水平部に亘って両側部の下面に固着される並行部と、並行部の後端に連接され、車幅方向に亘ってフロアパンの水平部の下面に固着される基部と、を有している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−129531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、ベッドが載置される水平部の後端部に、メインシルの基部を車幅方向に亘って配置することにより、キャブの後端下部(ベッドの配置位置の下方)が補強される。
【0005】
ここで、一般に、フロアパンに対して補強部材等を車幅方向に亘って配置すると、キャブ全体の捻り剛性が向上し、車両の操縦安定性が確保される。しかしながら、特許文献1の構造では、単に、メインシルの基部がフロアパンの水平部の後端部にのみ固着されているに過ぎないため、この基部による補強が不十分である場合には、キャブに必要な捻り剛性を確保することが困難である。
【0006】
かかる不都合は、フロアパンの水平部の下面に固着される基部の板厚の増大化、若しくは、基部の車両前後方向の幅の拡大化により回避することが可能である。しかし、このような基部の増大化は、車両の重量の増大化を招く。
【0007】
また、一般に、フロアパンの下方には、エンジン等の動力源及びタイヤが配置されているため、フロアパンと、動力源やタイヤとの間に音の透過を妨げる板材等の部材が配置されていない場合、走行時における動力源やタイヤからの騒音は、フロアパネルに直接到達し、当該フロアパネルを介してキャブ内に透過される。このため、特許文献1の構造のように、ベッドが載置される水平部の下方に、このような部材が配置されていない場合には、走行時における騒音が水平部を介してベッドに透過されてしまい、ベッド上における居住性の低下を招く。
【0008】
そこで、本発明は、キャブ全体の捻り剛性を確保しつつ、ベッド上における居住性の向上を図ることが可能なキャブのフロア構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、シャシフレーム上に配置され、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造であって、フロアパネルと、補強部材と、を備えている。フロアパネルは、キャブの前端下部から後方へ延び、着座シートを下方から支持するシート取付部を有するフロントフロア部と、フロントフロア部の後端から上方へ曲折して延びる立上り部と、立上り部の上端から後方へ曲折して延び、ベッドを載置可能なベッド取付部を有するリアフロア部と、を有している。補強部材は、リアフロア部の下面と対向し、フロントフロア部の下面若しくは立上り部の後面の少なくとも一方とリアフロア部の下面とに接合されて、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する。
【0010】
上記構成では、ベッドは、運転席の着座シートの後方で車幅方向に亘って設けられるリアフロア部に載置される。リアフロア部の下方には、リアフロア部の下面と対向し、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する補強部材が配置される。従って、車幅方向に亘って形成される閉断面形状は、車両前後方向に比較的大きな幅を有するため、キャブ全体の捻り剛性を確実に向上させることができる。また、リアフロア部の下方に閉断面形状を形成することにより、キャブ全体の捻り剛性が確保されるため、重量の増大を抑えた構造とすることができる。
【0011】
ベッドが載置されるリアフロア部の下面と補強部材との間には、閉断面が区画形成されるため、フロアパネルの下方に配置されるエンジン等の動力源やタイヤ等の走行時における透過騒音は、先ず、補強部材により有効に遮断され、その後、リアフロア部を介してベッドに到達する。従って、ベッドへの透過騒音が低減されるため、ベッド上における居住性を向上させることができる。また、リアフロア部の下方に騒音の透過を妨げる板材等の部材を別途設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
また、リアフロア部との間で閉断面を区画形成する補強部材は、ベッドが載置されるリアフロア部の下方に配置されるため、補強部材の配置位置により、リアフロア部の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッドの車両前後方向の幅寸法に影響が及ぶことがない。従って、ベッドの車両前後方向の幅寸法を確保することが可能なため、ベッド上における居住性を向上させることができる。
【0013】
さらに、ベッドが載置されるリアフロア部は、立上り部の上端から後方へ曲折して延びているため、ベッドの厚みを均一にすることができる。従って、ベッドの弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)の均一化を図ることが可能なため、ベッド上における居住性を確保することができる。
【0014】
また、キャブの前端下部は、シャシフレームの前端部に回転自在に支持されてもよく、補助部材には、キャブをシャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構を設けてもよい。
【0015】
上記構成では、フロアパネルの後端側に配置される補強部材には、チルト可能なキャブをシャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構が設けられている。すなわち、ロック機構は、フロアパネルと接合することによりキャブ全体の捻り剛性を向上させることが可能な補強部材に設けられているため、キャブに対する取付強度を確実に向上させることができる。
【0016】
また、ロック機構が設けられる補強部材は、フロアパネルとは別体であるため、フロアパネルの厚肉化を伴うことなく、補強部材の板厚のみをロック機構の支持強度を満たす大きさに設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単な構成により、キャブ全体の捻り剛性及びベッド上における居住性を確実に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のキャブオーバトラックの側面図、図2は図1の要部拡大模式側面図、図3はフロアパネルの斜視図、図4は本発明に係るフロア構造以外のフロア構造の側面図、図5は本発明に係るフロア構造の側面図である。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方をそれぞれ示している。また、以下の説明における左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0019】
図1及び図2に示すように、キャブオーバトラック1は、車幅方向両側で車両前後方向に延設されたシャシフレーム2と、シャシフレーム2の前部に下方から支持されるキャブ3と、キャブ3を下方から支持するキャブアンダメンバ4と、シャシフレーム2の後部に下方から支持される荷台8と、を備えている。
【0020】
シャシフレーム2は、略矩形閉断面形状を有し、その前端部には、後述するキャブアンダメンバ4の回転支持部39を回転自在に支持するフロントキャブマウント5が溶接等により固着されている。また、シャシフレーム2の間には、車幅方向に沿って複数のサイドメンバ10が架設されている。この複数のサイドメンバ10のうち所定位置に配設されるサイドメンバ10には、その車幅方向の略中央の位置にリアキャブマウントブラケット7が立設されている。
【0021】
図2に示すように、キャブ3は、その車室内の床部を構成するフロア構造11を備え、フロア構造11は、フロアパネル12と、断面略L字状の補強部材13と、を備えている。
【0022】
キャブ3の前端は、後述するキャブアンダメンバ4の回転支持部39を介してフロントキャブマウント5のチルト軸6によって傾動自在に支持されている。キャブ3の後端は、リアキャブマウントブラケット7に後述するロック機構31を介して係脱自在に支持されている。
【0023】
図3及び図5に示すように、フロアパネル12は、キャブ3(図2参照)の前端下部から後方へ延びるフロントフロア部16と、フロントフロア部16の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる立上り部17と、立上り部17の上端から折曲して車両後方へ略水平に延びるリアフロア部18と、を備え、これらは溶接やボルト締め等により固着されている。
【0024】
フロントフロア部16は、車幅方向中央に設けられるセンタフロアパネル19と、センタフロアパネル19の車幅方向両端から相反する方向へ略水平に延びるサイドフロアパネル20と、を有し、これらは溶接やボルト締め等により固着されている。センタフロアパネル19は、断面略U字形状を有し、その下部には、エンジン等の動力源9が配設される。サイドフロアパネル20は、その上面に着座シート21をボルト等により支持可能なシート取付部22を有する。
【0025】
リアフロア部18は、その上面に略水平なベッド23を載置可能なベッド取付部24を有し、その下方には動力源9が配設されている。
【0026】
なお、フロアパネル12は、本実施形態のように分割して設ける場合に限られず、一体的に形成することも可能である。
【0027】
補強部材13は、断面略L字形状を有し、フロアパネル12の下方で且つキャブアンダメンバ4(図2参照)の間に設けられている。補強部材13は、略水平に設けられる略板状の水平部26と、水平部26の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる折曲部27とを有している。水平部26は、その前端が立上り部17の後面の所定位置に溶接等により固着されている。折曲部27は、その上端がリアフロア部18の下面の所定位置に溶接等により固着されている。なお、水平部26の前端を立上り部17の後面に固着したが、リアフロア部18の下面に固着してもよい。
【0028】
補強部材13がフロアパネル12に対して固着された状態では、水平部26の上面がリアフロア部18の下面と対向し、補強部材13とリアフロア部18との間で車幅方向に亘って閉断面が区画形成される。
【0029】
折曲部27の後面の所定位置には、後述するロック機構31の一部を構成する略U字状のストライカ(ロック機構)32が下方へ向けて溶接やボルト締め等により固着されている。
【0030】
図2及び図5に示すように、ロック機構31は、補強部材13側に設けられるストライカ32と、リアキャブマウントブラケット7の上部に溶接やボルト締め等により固着されるロック部材33と、を備えている。ロック部材33は、凹溝(図示省略)と、係合部(図示省略)と、操作レバー(図示省略)と、を有する。凹溝は、ストライカ32が上方から進入可能な進入口を有し、ストライカ32の上下方向への移動を許容する。係合部は、ストライカ32が凹溝に沿って固定位置に移動したときに、ストライカ32と係合する。ストライカ32と係合部との係合状態(ロック状態)は、操作レバーを操作すること解除される。
【0031】
このように構成されたロック機構31は、キャブ3の後端側が固定位置に向かって移動すると、ストライカ32が、凹溝に進入して当該凹溝の底面に当接し、ロック部材の係合部と係合する。キャブ3は、ストライカ32と係合部との係合により固定位置に保持される。一方、ロック機構31のロック状態の解除は、操作レバーを操作することにより行われる。これにより、ストライカ32とロック部材33の係合部との係合状態が解除されて、キャブ3の後端側は、前方へ傾動し得る状態となる。なお、ストライカ32とロック部材33とをそれぞれ補強部材13とリアキャブマウントブラケット7とに固着したが、それぞれリアキャブマウントブラケット7と補強部材13とに取り付けることも可能である。
【0032】
図2に示すように、キャブアンダメンバ4は、断面略U字形状を有し、キャブ3の車幅方向両側で車両前後方向に延設されている。キャブアンダメンバ4は、車両前方側に略水平に配設される前方部36と、前方部36の後端から折曲し車両上方へ傾斜して車両上方へ傾斜して延びる立上り部37と、立上り部37の上端から折曲して車両後方へ略水平に延びる後方部38と、を備えている。前方部36は、その前端に回転支持部39を有し、シャシフレーム2の前端に固定されるフロントキャブマウント5のチルト軸6によって傾動自在に支持されている。
【0033】
キャブアンダメンバ4は、キャブ3のフロアパネル12の下面と当接した状態で、その当接部分を溶接等することによりキャブ3に対して固着されている。キャブアンダメンバ4がフロアパネル12に固着された状態では、キャブアンダメンバ4の前方部36と、立上り部37と、後方部とがそれぞれフロアパネル12のフロントフロア部16と、立上り部17と、リアフロア部18とに当接する。また、かかる状態では、補強部材13の水平部26の前端及び折曲部27の上端の車幅方向両端部は、キャブアンダメンバ4と近接した位置に配置される。
【0034】
次に、本発明に係るフロア構造を採用しない車両と、採用する車両とに分けて、図4及び図5に基づいて説明する。
【0035】
図4に示すように、本発明に係るフロア構造を採用しない車両では、フロア構造41として、フロアパネル42と、補強部材43と、を備えている。
【0036】
フロアパネル42は、着座シート51をその上面に配置可能なフロントフロア部44と、フロントフロア部44の後端から上方へ曲折して延びる第1立上り部45と、第1立上り部45の上端から後方へ曲折して延び、ベッド52を載置可能なベッド支持部46と、ベッド支持部46の後端から上方へ曲折して延びる第2立上り部47と、第2立上り部47の上端から後方へ曲折して延びるリアフロア部48と、を有している。また、フロントフロア部44及びベッド支持部46の下方には、エンジン等の動力源53が配置されている。
【0037】
補強部材43は、断面略L字状に形成され、略水平に設けられる略板状の水平部49と、水平部49の後端から折曲し上方へ傾斜して延びる折曲部50と、を有する。また、補強部材43の車幅方向の幅は、フロアパネル42の車幅方向の幅と略同一の幅を有している。水平部49の前端と、折曲部50の上端とは、それぞれベッド支持部46の下面と、リアフロア部48の下面とに溶接やボルト締め等により固着されている。補強部材43がフロアパネル42に固着された状態では、第2立上り部47と補強部材43との間で閉断面が車幅方向に亘って形成されている。かかる補強部材43の配置により、キャブ3全体の捻り剛性の向上が図られている。
【0038】
しかし、フロア構造41では、第2立上り部47の後方に補強部材43を配置するためのスペースを確保する必要がある。このため、場合によっては、ベッド支持部46の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッド52の車両前後方向の幅寸法が短縮され、ベッド52上における居住性が低下してしまう。
【0039】
かかる不都合は、ベッドを載置可能な範囲を、ベッド支持部46のみならずリアフロア部48にまで拡大することにより回避することが可能である。しかし、第2立上り部47により連結されるベッド支持部46とリアフロア部48とでは、そのベッドを載置する取付面の高さが相違するため、ベッドの上面を均一にすると、ベッドのうちリアフロア部48に載置される部分の厚み(高さ方向の幅)がベッド支持部46に載置される部分の厚みよりも薄くなってしまう。このため、ベッドの上面を押圧する位置(寝る位置)によっては、ベッドの弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)が異なるため、ベッド上における居住性を確保することが難しい。
【0040】
一方、図5に示すように、本発明に係るフロア構造11では、ベッド23は、着座シート21の後方で車幅方向に亘って設けられるリアフロア部18に載置される。リアフロア部18の下方には、リアフロア部18の下面と対向し、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する補強部材13が配置される。従って、車幅方向に亘って形成される閉断面形状は、車両前後方向に比較的大きな幅を有するため、キャブ3全体の捻り剛性をより向上させることができる。
【0041】
また、リアフロア部18との間で閉断面を区画形成する補強部材13は、ベッド23が載置されるリアフロア部18の下方に配置されるため、補強部材13の配置位置により、リアフロア部18の車両前後方向の幅寸法、即ち、ベッド23の車両前後方向の幅寸法に影響が及ぶことがない。従って、ベッド23の車両前後方向の幅寸法を確保することが可能なため、ベッド23上における居住性を向上させることができる。
【0042】
さらに、ベッド23が載置されるリアフロア部18は、立上り部17の上端から後方へ曲折して延びているため、ベッド23の厚みを均一にすることができる。従って、ベッド23の弾力性や復元性等のクッション性能(寝心地)の均一化を図ることが可能なため、ベッド23上における居住性を確保することができる。
【0043】
図4に示すように、ベッド支持部46の下方に直接動力源53が配置されるフロア構造41では、走行時における動力源53及びタイヤからの騒音がベッド支持部46を介してベッド52に透過されるため、ベッド52上における居住性が低下してしまう。
【0044】
これに対し、図5に示すように、本発明に係るフロア構造11では、ベッド23が載置されるリアフロア部18の下面と補強部材13との間には、閉断面が区画形成される。このため、フロアパネル12の下方に配置されるエンジン等の動力源9やタイヤ61(図1参照)等の走行時における透過騒音は、先ず、補強部材13により有効に遮断され、その後、リアフロア部18を介してベッド23に到達する。従って、ベッド23への透過騒音が低減されるため、ベッド上における居住性を向上させることができる。また、リアフロア部18の下方に騒音の透過を妨げる板材等の部材を別途設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、簡単な構成により、キャブ全体の捻り剛性及びベッド上における居住性を確実に向上させることができる。
【0046】
また、フロアパネル12の後端側に配置される補強部材43には、チルト可能なキャブ3をシャシフレーム2に対して係脱自在に連結するストライカ32が設けられている。すなわち、ストライカ32は、フロアパネル12と接合することによりキャブ3全体の捻り剛性を向上させることが可能な補強部材13に設けられているため、キャブ3に対する取付強度を確実に向上させることができる。
【0047】
ストライカ32が設けられる補強部材13は、フロアパネル12とは別体であるため、フロアパネル12の厚肉化をともなうことなく、補強部材13の板厚のみをストライカ32の支持強度を満たす大きさに設定することができる。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態のキャブオーバトラックの側面図である。
【図2】図1の要部拡大模式側面図である。
【図3】フロアパネルの斜視図である。
【図4】本発明に係るフロア構造以外のフロア構造の側面図である。
【図5】本発明に係るフロア構造の側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 キャブオーバトラック
2 シャシフレーム
3 キャブ
11 フロア構造
12 フロアパネル
13 補強部材
16 フロントフロア部
17 立上り部
18 リアフロア部
21 着座シート
22 シート取付部
23 ベッド
24 ベッド取付部
31 ロック機構
32 ストライカ(ロック機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシフレーム上に配置され、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造であって、
前記フロア構造は、フロアパネルと、補強部材と、を備え、
前記フロアパネルは、前記キャブの前端下部から後方へ延び、前記着座シートを下方から支持するシート取付部を有するフロントフロア部と、前記フロントフロア部の後端から上方へ曲折して延びる立上り部と、前記立上り部の上端から後方へ曲折して延び、前記ベッドを載置可能なベッド取付部を有するリアフロア部と、を有し、
前記補強部材は、前記リアフロア部の下面と対向し、前記フロントフロア部の下面若しくは前記立上り部の後面の少なくとも一方と前記リアフロア部の下面とに接合されて、前記リアフロア部との間で閉断面を区画形成する
ことを特徴とするキャブのフロア構造。
【請求項2】
請求項1に記載のキャブのフロア構造であって、
前記キャブの前記前端下部は、前記シャシフレームの前端部に回転自在に支持され、
前記補助部材は、前記キャブを前記シャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構を有する
ことを特徴とするキャブのフロア構造。
【請求項1】
シャシフレーム上に配置され、運転席の着座シートの後方にベッドを有するキャブのフロア構造であって、
前記フロア構造は、フロアパネルと、補強部材と、を備え、
前記フロアパネルは、前記キャブの前端下部から後方へ延び、前記着座シートを下方から支持するシート取付部を有するフロントフロア部と、前記フロントフロア部の後端から上方へ曲折して延びる立上り部と、前記立上り部の上端から後方へ曲折して延び、前記ベッドを載置可能なベッド取付部を有するリアフロア部と、を有し、
前記補強部材は、前記リアフロア部の下面と対向し、前記フロントフロア部の下面若しくは前記立上り部の後面の少なくとも一方と前記リアフロア部の下面とに接合されて、前記リアフロア部との間で閉断面を区画形成する
ことを特徴とするキャブのフロア構造。
【請求項2】
請求項1に記載のキャブのフロア構造であって、
前記キャブの前記前端下部は、前記シャシフレームの前端部に回転自在に支持され、
前記補助部材は、前記キャブを前記シャシフレームに対して係脱自在に連結するロック機構を有する
ことを特徴とするキャブのフロア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−100655(P2008−100655A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286565(P2006−286565)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
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