説明

クッションシート付ウエハ収納容器

【課題】搬送中の衝撃等による半導体ウエハの破損を防止することができるだけでなく、半導体ウエハを平坦な状態と反った状態とが繰り返されない平坦な状態に常に保って状態変化による半導体ウエハの破損発生を防止することができ、しかも半導体ウエハを取り出す際には半導体ウエハを破損することなく安全かつ容易に取り出すことができるクッションシート付ウエハ収納容器を提供すること。
【解決手段】ウエハ載置クッションシート5の表面に、半導体ウエハWに対して着脱自在に吸着される自己吸着部5Aが形成されると共に、半導体ウエハWに対して吸着されることなく分離した状態を保つ非吸着部5Bが半導体ウエハWの外縁部の一部又は全部に面する位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハを搬送あるいは保管するために用いられるクッションシート付ウエハ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程において、薄い半導体ウエハを各工程間あるいは各々の工程内で搬送あるいは保管する際に半導体ウエハを破損したり汚損したりするおそれのないよう、半導体ウエハはウエハ収納容器内に収納される。そのようなウエハ収納容器として、半導体ウエハを一枚一枚独立して安全に収納することができるように、複数のウエハ載置トレイを重ね合わせて、二つのウエハ載置トレイの間に形成される内側空間内に半導体ウエハを一枚ずつ個別に収納するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、近年のように極薄化が進んで脆弱になった半導体ウエハを安全に収納するために、二つのウエハ載置トレイの間に形成される内側空間内で一枚の半導体ウエハを二枚のクッションシートの間に挟み込んだクッションシート付ウエハ収納容器が提案されている。半導体ウエハを二枚のクッションシートの間に挟み込むことにより、半導体ウエハが振動や衝撃等の外力によって破損することが防止される(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−168731
【特許文献2】特開2005−191419
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエハは、重ね合わされた二つのウエハ載置トレイの間において二枚のクッションシートの間に挟み込まれた状態では平坦な状態になっているが、ウエハ載置トレイが上下で分離されて半導体ウエハがクッションシートの間に挟み込まれていない状態になると、半導体ウエハが内部応力の存在等により反った状態になり、そのような状態変化が数多く繰り返されると半導体ウエハが破損する場合がある。そこで、半導体ウエハをその下側のクッションシートに吸着させて半導体ウエハが常に平坦な状態を保つようにすることが考えられるが、半導体ウエハが極薄になってくると、クッションシートから剥離させて取り出す際に吸着力により半導体ウエハが破損してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、搬送中の衝撃等による半導体ウエハの破損を防止することができるだけでなく、半導体ウエハを平坦な状態と反った状態とが繰り返されない平坦な状態に常に保って状態変化による半導体ウエハの破損発生を防止することができ、しかも半導体ウエハを取り出す際には半導体ウエハを破損することなく安全かつ容易に取り出すことができるクッションシート付ウエハ収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のクッションシート付ウエハ収納容器は、半導体ウエハを一枚ずつ載せて保持するための複数のウエハ載置トレイが重ね合わされて、各ウエハ載置トレイに載せられた半導体ウエハがそのウエハ載置トレイとその上側に隣接して重ね合わされたウエハ載置トレイとの間に形成される内側空間内に収納された状態になり、各ウエハ載置トレイ上面の半導体ウエハ載置位置に弾力性のあるウエハ載置クッションシートが配置されたクッションシート付ウエハ収納容器において、ウエハ載置クッションシートの表面に、半導体ウエハに対して着脱自在に吸着される自己吸着部が形成されると共に、半導体ウエハに対して吸着されることなく分離した状態を保つ非吸着部が半導体ウエハの外縁部の一部又は全部に面する位置に形成されているものである。
【0007】
なお、非吸着部が、半導体ウエハより小さな径の円形状に形成された自己吸着部の周囲を囲む状態に形成されていてもよく、あるいはウエハ載置クッションシートの外縁部に面する位置において複数領域に分かれて形成されていてもよい。また、自己吸着部が、半導体ウエハに面する位置において複数領域に分かれて形成されていてもよい。
【0008】
また、非吸着部の表面が自己吸着部と同面位置に形成されていてもよく、あるいは、非吸着部が吸着性のないシートを自己吸着部の表面に積層して形成されていてもよい。また、非吸着部が自己吸着部の表面の一部を非吸着性に加工して形成されていてもよく、その場合、非吸着部が自己吸着部の表面の一部に凹凸加工を施して形成されていてもよい。
【0009】
また、自己吸着部が多数の微細吸盤により形成されていて、微細吸盤を半導体ウエハに押し付けることにより微細吸盤と半導体ウエハとが吸着固定された状態になるようにしてもよく、そのような自己吸着部が、弾力性を有する発泡エラストマー系高分子材料、発泡ゴム系高分子材料、又は発泡ウレタン系高分子材料により形成されていてもよい。
【0010】
また、自己吸着部の一部又は全部が、半導体ウエハをウエハ載置クッションシートから取り外す際に半導体ウエハを吸着する搬送チャックの外縁より内側位置に形成されていてもよい。
【0011】
また、ウエハ載置クッションシートがウエハ載置トレイに対し着脱可能に設けられていてもよく、半導体ウエハをウエハ載置クッションシートに対して押し付けるための弾力性のあるウエハ押付クッションシートがウエハ載置トレイの裏面側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウエハ載置クッションシートの表面に、半導体ウエハに対して着脱自在に吸着される自己吸着部が形成されていることにより、搬送中の衝撃等による半導体ウエハの破損を防止することができるだけでなく、半導体ウエハを平坦な状態と反った状態とが繰り返されない平坦な状態に常に保って状態変化による半導体ウエハの破損発生を防止することができ、しかも、半導体ウエハに対して吸着されることなく分離した状態を保つ非吸着部が半導体ウエハの外縁部の一部又は全部に面する位置に形成されていることにより、半導体ウエハを自己吸着部から剥がす際にはその外縁部分から自己吸着部に空気が入って吸着状態が解除されるので、半導体ウエハを破損することなく安全かつ容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2はクッションシート付ウエハ収納容器の全体構成を示しており、円盤状に形成された極薄の半導体ウエハWを載せて保持するための複数のウエハ載置トレイ1が、水平な状態で上下に重ね合わされて配置されている。なお図2には、複数重ね合わされたウエハ載置トレイ1の一部を途中で分離した状態が図示されている。重ね合わされた複数のウエハ載置トレイ1の上下両端に取り付けられたベーストレイ2には、図示されていない機械的インターフェイス装置と結合させるための結合溝3が形成されている。
【0014】
各ウエハ載置トレイ1は、例えばポリカーボネート樹脂等のようなプラスチック材で形成されていて、複数のウエハ載置トレイ1が重ね合わされることにより、ウエハ載置トレイ1に載せられた半導体ウエハWが、各ウエハ載置トレイ1とその上側に隣接して重ね合わされたウエハ載置トレイ1との間に形成される内側空間内に収納された状態になる。その際、半導体ウエハWはウエハ載置トレイ1の上面に取り付けられたウエハ載置クッションシート5(以下、「載置クッション5」と略称する)に載せられた状態になる。
【0015】
載置クッション5には、半導体ウエハWに対して着脱自在に吸着される自己吸着部5Aと、半導体ウエハWに対して吸着されることなく分離した状態を保つ非吸着部5Bとが形成されているが、その詳細については後述する。6は、載置クッション5の周囲をそれより外側位置で全周にわたって囲む状態に配置された弾力性のある部材からなる環状シール部材。7は、ウエハ載置トレイ1を個別に機械装置で持つことができるように、各ウエハ載置トレイ1の外縁部の180°対称位置に形成された把持部である。
【0016】
各ウエハ載置トレイ1の上面側には、の環状シール部材6より外縁寄りの位置に、そのウエハ載置トレイ1の上側に位置するウエハ載置トレイ1と結合させるための結合孔8が例えば4箇所に形成されている。それに対応して、各結合孔8と係脱自在に係合する結合フック9が、各ウエハ載置トレイ1の裏面から下方に向けて4箇所に突出形成されている。このように、複数のウエハ載置トレイ1を互いに重ね合わされた状態で任意の重ね合わせ位置において解除自在に結合するためのトレイ結合機構が、結合孔8と結合フック9とで構成されている。結合孔8と結合フック9との係合の解除は、ウエハ載置トレイ1の側面に形成されたキー差し込み孔10から図示されていないフック外しキー等を差し込んで、結合フック9を弾性変形させることにより行うことができる。
【0017】
図3は、ウエハ載置トレイ1の一つに半導体ウエハWが載せられた状態を示している。ただし、結合フック9等の断面を一つの図面に図示するために、異なる断面位置の図を複合して示してある。環状シール部材6は、各ウエハ載置トレイ1の上面の外縁より少し内側位置に形成された環状溝内に、下半部が嵌め込まれた状態に配置されている。そして、各ウエハ載置トレイ1は、環状シール部材6より内側に位置する部分が上下両面共に下方に落ち込んだ皿状に形成されて、その底面13に載置クッション5が配置されている。
【0018】
載置クッション5は、全ての部分において半導体ウエハWに対し化学的悪影響を及ぼさない、例えば不純物ガスの発生が規定値以下であるような材料により、半導体ウエハWの略全面を載せられる大きさの円盤状に形成されている。載置クッション5の裏面(ウエハ載置トレイ1の底面13に面する側の面)側は例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の材料からなる基材シート5Cで形成されていて、表面(半導体ウエハWに面する側の面)側は、図4にも示されるように、円盤状の自己吸着部5Aの周囲を非吸着部5Bが全周にわたって囲んでいて、そのような表面側と裏面側の二層が積層一体化された構成になっている。
【0019】
図3に示されるように、この実施の形態では、基材シート5Cがウエハ載置トレイ1の底面13に接着されている。ただし、ウエハ載置トレイ1の底面13に対して着脱自在な枠体等に基材シート5Cを固着(又は着脱自在に取着)することにより、載置クッション5をウエハ載置トレイ1の底面13に対し任意に着脱できるように構成することができる。また、載置クッション5を三層構造にして表面側の自己吸着部5Aと同様の自己吸着層を基材シート5Cの裏面側に積層一体化することによっても、載置クッション5をウエハ載置トレイ1に対し着脱自在に構成して、容易に洗浄したり交換したりすることができる。なお、その場合には、ウエハ載置トレイ1に対する吸着力を半導体ウエハWに対する吸着力より大きく設定する必要がある。
【0020】
自己吸着部5Aは、クッション性を有していて且つ周囲に化学的悪影響を及ぼし難い例えばアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックス等のような発泡ゴム系高分子材料、発泡エラストマー系高分子材料又は発泡ウレタン系高分子材料等で形成されていて、多数形成された気泡のうち外気に向かって開口する気泡が各々微細吸盤として機能する。したがって、自己吸着部5Aはその露出する面の全面が微細吸盤になっており、微細吸盤を吸着相手である半導体ウエハWに押し付けることにより、半導体ウエハWが自己吸着部5Aに吸着固定された状態になる。なお、気泡は連続気泡又は独立気泡のどちらでもよく、気泡の平均直径が10μm程度以上で50μm程度以下であることが望ましい。
【0021】
図4に明示されるように、この実施の形態においては、自己吸着部5Aが半導体ウエハWの直径より小さな径の円盤状に形成されて、その周囲を非吸着部5Bが全周にわたって囲んでいる。図4に二点鎖線で示されるW′は、半導体ウエハWが載置クッション5に載せられた時の半導体ウエハWの外縁位置であり、非吸着部5Bの外縁の方が半導体ウエハWより大きく形成されていて、半導体ウエハWの外縁位置W′が非吸着部5Bに位置している。
【0022】
非吸着部5Bの素材としては、自己吸着部5Aと同程度のクッション性を有していて自己吸着性のない例えば発泡ウレタン等のような発泡高分子材料やエラストマー系高分子材料等を用いることができ、図3に示されるように、非吸着部5Bの表面が自己吸着部5Aと同面位置になるように形成されている。したがって、半導体ウエハWが載置クッション5に押し付けられた時、半導体ウエハWには載置クッション5からの反力が全体に均一に作用し、半導体ウエハWを歪みなく安全に格納することができる。
【0023】
図1と図5は、二つのウエハ載置トレイ1が分離された状態と重ね合わされた状態とを示している。なお、二つのウエハ載置トレイ1が分離された時、半導体ウエハWは実際には図3に示されるように載置クッション5に吸着された状態を保っているが、半導体ウエハWの存在を明瞭に図示するため、図1には半導体ウエハWを単独で分離して図示してある。
【0024】
ウエハ載置トレイ1の裏面14には、半導体ウエハWを下側のウエハ載置トレイ1の載置クッション5に対して押し付けるための弾力性のあるウエハ押付クッションシート15(以下、「押付クッション15」と略称する)が取り付けられている。この実施の形態の押付クッション15は、載置クッション5と同様に、半導体ウエハWに対し化学的悪影響を及ぼさない材料により半導体ウエハWの所定の領域又は略全面を押圧できる大きさの円盤状に形成されている。
【0025】
具体的には、半導体ウエハWの表面に押し付けられる状態に接触して弾力的なクッションとして機能する例えば発泡ウレタン等の発泡高分子材料やウレタン系高分子材料、又はポリエステルエラストマー等のエラストマー高分子材料等からなる弾性高分子シート15Aと、ウエハ載置トレイ1の裏面(下面)14に取り付けられる例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の材料からなる基材シート15Bとを積層一体化して構成されている。半導体ウエハWとの接触面は、半導体ウエハWに吸着しないように若干の凹凸面に形成するとよい。なお、ウエハ載置トレイ1に対する押付クッション15の取り付けは載置クッション5の取り付けと同様である。即ち、この実施の形態では押付クッション15がウエハ載置トレイ1の裏面14に接着されているが、ウエハ載置トレイ1の底面13に対して着脱自在な枠体等を用いたり、自己吸着層を形成したりすることで、押付クッション15をウエハ載置トレイ1に対して着脱自在に構成し、容易に洗浄したり交換したりすることができる。
【0026】
このように構成された実施の形態のクッションシート付ウエハ収納容器において、半導体ウエハWを搬送及び保管する際には、図5に示されるように、半導体ウエハWが、クッション性に富んだ載置クッション5と押付クッション15との間に弾力的に挟まれた状態で、ウエハ載置トレイ1とその上側に隣接して重ね合わされたウエハ載置トレイ1との間に形成される内側空間内に安全に格納される。
【0027】
そして、重なり合わされていたウエハ載置トレイ1が分離されても、図3に示されるように、半導体ウエハWは載置クッション5の自己吸着部5Aに吸着された状態になっているので、二つのウエハ載置トレイ1の分離作業や半導体ウエハWの検査等の際にウエハ載置トレイ1が傾いた状態にされても、載置クッション5がウエハ載置トレイ1上から滑り落ちるおそれがなく、且つ半導体ウエハWが載置クッション5上から滑り落ちるおそれもない。また、半導体ウエハWが載置クッション5の上面に吸着固定された状態になることにより、半導体ウエハWが常に反りのない平坦な状態に保たれるので、半導体ウエハWが平坦な状態と反った状態を繰り返すことにより破損する現象の発生を未然に防止することができる。
【0028】
そして、半導体ウエハWをウエハ載置トレイ1から取り出す際には、半導体ウエハWの外縁部分が非吸着部5Bに面していて載置クッション5に対し吸着された状態になっていないので、半導体ウエハW全体(又は、少なくとも外縁部を含む広い範囲)に対し載置クッション5から引き離す力を作用させれば、半導体ウエハWと載置クッション5の外縁部どうしの間に生じる隙間から自己吸着部5Aの微細吸盤に順次空気が入って自己吸着部5Aの吸着力がなくなるので、半導体ウエハWを反らせることなく載置クッション5から容易に引き離してウエハ載置トレイ1外に取り出すことができる。
【0029】
図6は、半導体ウエハWをウエハ載置トレイ1から取り外すための搬送チャック30が、半導体ウエハWの開放面である上面を吸着した状態を示しており、載置クッション5の自己吸着部5Aが搬送チャック30の外縁より内側位置になるように構成されていることにより、半導体ウエハWの外縁部分が搬送チャック30で持ち上げられて、前述のように半導体ウエハWを載置クッション5から容易に取り外すことができる。なお、搬送チャック30としては、例えば空気流を被搬送物との間に流すことで発生する負圧を利用して被搬送物を非接触状態で吸引するいわゆるベルヌーイハンドや、静電気の吸着力を利用したいわゆる静電ハンド等を用いることができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、載置クッション5の構成は、例えば図7に示されるように、載置クッション5全体のための基材シート5Cと自己吸着部5Aのための基材シート5A′とを別設してもよい。また、図8に示されるように、極薄の(例えば10〜20μm程度の)吸着性のない非吸着部5Bを自己吸着部5Aの外縁部の表面に載せた状態で積層一体化してもよい。あるいは、図9に示されるように、自己吸着部5Aの外縁部分付近の表面に凹凸加工を施す等、自己吸着部5Aの表面の一部を非吸着性に加工することで非吸着部5Bを形成してもよい。そのような凹凸面は、例えば加熱した金属板等を樹脂材に押し付けるいわゆる焼印等の手段により形成することができる。
【0031】
また、非吸着部5Bの形成領域としては、載置クッション5に半導体ウエハWが載せられた時に、少なくとも半導体ウエハWの外縁部の一部又は全部に面する位置に非吸着部5Bが存在するようにすれば、載置クッション5の微細吸盤に外縁側から空気が送られて半導体ウエハWを反らせることなく自己吸着部5Aから取り外すことができる。搬送チャック30との関係も同様であり、自己吸着部5Aの一部又は全部が搬送チャック30の外縁より内側位置に形成されていればよい。
【0032】
図10〜図15は各々、載置クッション5の自己吸着部5Aと非吸着部5Bの配置の変形例であり、図10に示されるように、非吸着部5Bが載置クッション5の外縁の一部にのみ形成されていてもよく、図11に示されるように自己吸着部5Aの形状がC字状等であってもよい。また、図12及び図13に例示されるように、非吸着部5Bが載置クッション5の外縁部に面する位置において複数領域に分かれて形成されていてもよい。また、自己吸着部5Aを半導体ウエハWに面する位置において複数領域に分かれて形成してもよく、例えば図14に示されるように、自己吸着部5Aと非吸着部5Bとを縞模様状に交互に形成したり、図15に示されるように、自己吸着部5Aを複数の島状に形成したりしてもよい。
【0033】
また、押付クッション15は、図16に示されるように、その外縁部だけをウエハ載置トレイ1に固定して他の部分をウエハ載置トレイ1の裏面14から浮かせた状態に構成にしてもよい。このようにすると、半導体ウエハWの厚みに関係なく半導体ウエハWを適度のクッション性が作用した状態で格納することができる。また、押付クッション15を単層の弾性高分子シート等で形成することもできる。なお、この場合も、押付クッション15の半導体ウエハWに対する接触面は半導体ウエハWと吸着状態にならないように若干の凹凸面等に形成するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態において重ね合わされた二つのウエハ載置トレイが分離された状態の側面断面図である。
【図2】同ウエハ載置トレイが多数重ね合わされた状態の一部を分離して示すクッションシート付ウエハ収納容器の全体構成の斜視図である。
【図3】同ウエハ載置トレイの一つに半導体ウエハが載置された状態の側面断面図である。
【図4】同ウエハ載置クッションシート単体と半導体ウエハとが分離された状態の斜視図である。
【図5】同二つのウエハ載置トレイが重ね合わされた状態の側面断面図である。
【図6】同ウエハ載置トレイから半導体ウエハが搬送チャックで取り出される際の状態を示す側面断面図である。
【図7】同ウエハ載置クッションシートの層構造の第1の変形例の側面断面図である。
【図8】同ウエハ載置クッションシートの層構造の第2の変形例の側面断面図である。
【図9】同ウエハ載置クッションシートの層構造の第3の変形例の側面断面図である。
【図10】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第1の変形例の平面図である。
【図11】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第2の変形例の平面図である。
【図12】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第3の変形例の平面図である。
【図13】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第4の変形例の平面図である。
【図14】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第5の変形例の平面図である。
【図15】同ウエハ載置クッションシートの自己吸着部と非吸着部の配置の第6の変形例の平面図である。
【図16】同ウエハ押付クッションシートの変形例を適用したウエハ載置トレイが二つ重ね合わされた状態の側面断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ウエハ載置トレイ
5 載置クッション(ウエハ載置クッションシート)
5A 自己吸着部
5B 非吸着部
13 底面
15 押付クッション(ウエハ押付クッションシート)
30 搬送チャック
W 半導体ウエハ
W′ 半導体ウエハの外縁位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを一枚ずつ載せて保持するための複数のウエハ載置トレイが重ね合わされて、上記各ウエハ載置トレイに載せられた半導体ウエハがそのウエハ載置トレイとその上側に隣接して重ね合わされたウエハ載置トレイとの間に形成される内側空間内に収納された状態になり、上記各ウエハ載置トレイ上面の半導体ウエハ載置位置に弾力性のあるウエハ載置クッションシートが配置されたクッションシート付ウエハ収納容器において、
上記ウエハ載置クッションシートの表面に、上記半導体ウエハに対して着脱自在に吸着される自己吸着部が形成されると共に、上記半導体ウエハに対して吸着されることなく分離した状態を保つ非吸着部が上記半導体ウエハの外縁部の一部又は全部に面する位置に形成されていることを特徴とするクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項2】
上記非吸着部が、上記半導体ウエハより小さな径の円形状に形成された上記自己吸着部の周囲を囲む状態に形成されている請求項1記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項3】
上記非吸着部が、上記ウエハ載置クッションシートの外縁部に面する位置において複数領域に分かれて形成されている請求項1記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項4】
上記自己吸着部が、上記半導体ウエハに面する位置において複数領域に分かれて形成されている請求項1又は3記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項5】
上記非吸着部の表面が上記自己吸着部と同面位置に形成されている請求項1ないし4のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項6】
上記非吸着部が、吸着性のないシートを上記自己吸着部の表面に積層して形成されている請求項1ないし4のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項7】
上記非吸着部が、上記自己吸着部の表面の一部を非吸着性に加工して形成されている請求項1ないし4のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項8】
上記非吸着部が、上記自己吸着部の表面の一部に凹凸加工を施して形成されている請求項7記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項9】
上記自己吸着部が多数の微細吸盤により形成されていて、上記微細吸盤を上記半導体ウエハに押し付けることにより上記微細吸盤と上記半導体ウエハとが吸着固定された状態になる請求項1ないし8のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項10】
上記自己吸着部が、弾力性を有する発泡エラストマー系高分子材料、発泡ゴム系高分子材料、又は発泡ウレタン系高分子材料により形成されている請求項9記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項11】
上記自己吸着部の一部又は全部が、上記半導体ウエハを上記ウエハ載置クッションシートから取り外す際に上記半導体ウエハを吸着する搬送チャックの外縁より内側位置に形成されている請求項1ないし10のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項12】
上記ウエハ載置クッションシートが上記ウエハ載置トレイに対し着脱可能に設けられている請求項1ないし11のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。
【請求項13】
上記半導体ウエハを上記ウエハ載置クッションシートに対して押し付けるための弾力性のあるウエハ押付クッションシートが上記ウエハ載置トレイの裏面側に配置されている請求項1ないし12のいずれかの項に記載のクッションシート付ウエハ収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−181987(P2008−181987A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13230(P2007−13230)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】