説明

クッション要素

本発明は、カバーと、充填材と、前記カバーに加えて、発泡体に囲まれた少なくとも1つの織物シートとを備えるクッション要素に関する。膨脹式乗員保護装置の作動は、信頼性と再現性の高い方法でのカバーの開放をもたらし、少なくとも1つの織物シートは、前記膨脹式乗員保護装置が作動されたときにカバーの開放を制御するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両シート用のクッション要素に関するものである。より詳細には、本発明は、膨脹式乗員保護装置を有するクッション要素の配置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
その場で成形され又は発泡体封入されたカバーを使用するパッド入りクッション要素を製造するための既知の方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、その場成形されたクッション要素のカバーが設けられるか又は発泡体封入されたカバーが使用され、膨脹式乗員保護装置が膨脹式乗員保護装置を作動させるとカバーが開かれるようにクッション要素と相互作用する、クッション要素及びクッション要素の製造方法を提供することである。本発明によれば、充填材は液体状態で、すなわち、現場注入法として知られる方法で、カバーに注入される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、カバーと、充填材と、カバーに加えて発泡体封入された少なくとも1つの織物シートとを有し、カバーの開放は、膨脹式乗員保護装置が作動されたときに確実に且つ再現性よく行われ、少なくとも1つの織物シートは、膨脹式乗員保護装置が作動されたときにカバーの開放に影響を与えるよう意図されているクッション要素によって実現される。
【0005】
このように、本発明によれば、有利なことに、カバーの一定の開放をなし得ることと、その結果、乗員保護装置による特に信頼できる保護作用があることが可能である。
【0006】
上記目的はまた、カバーと、少なくとも1つの織物シートとを有し、膨脹式乗員保護装置が作動されたときにカバーの開放が確実に且つ再現性よく行われるように、少なくとも1つの織物シートがカバーに加えて発泡体封入されるクッション要素によって実現される。
【0007】
本発明によれば、クッション要素の外側面がA面(見える面)とB面(見えない面)とを有し、膨脹式乗員保護装置が作動されたときにカバーの開放がクッション要素のB面から行われることが好ましい。このように、本発明によれば、クッション要素が魅力的な外観を有し、それにもかかわらず、事故が発生した場合に膨脹式乗員保護装置の始動によって優れた保護作用が達成されることが容易になし得る。
【0008】
また、本発明によれば、少なくとも1つの織物シートが接合個所でカバーに接合され、接合個所がクッション要素のA面にあるカバーの内側面に対応することが好ましくは提供される。代わりに、又はこれに加えて、本発明によれば、少なくとも1つの織物シートが接合個所でカバーに接合され、接合個所がクッション要素のB面にあるカバーの内側面に対応することが好ましい。これにより、少なくとも1つの織物シートは、さまざまな構成を有利になし得るように、クッション要素のどちら側にも取り付けることができる。
【0009】
また、本発明によれば、少なくとも1つの織物シートがクッション要素のB面にあるカバーを通って延びることが好ましい。このように、有利なことに、カバーから垂れ下がる一方の端部又は両方の端部によって、織物シートを、膨脹式乗員保護装置に直接接合するか、又は膨脹式乗員保護装置に結合された要素、例えば、エアバッグ発射フレーム等に取り付けることが可能である。
【0010】
本発明はまた、クッション要素と膨脹式乗員保護装置とから構成されるシステムであって、クッション要素が、カバーと、充填材と、カバーに加えて発泡体封入された少なくとも1つの織物シートとを有し、カバーの開放は、膨脹式乗員保護装置が作動されたときに確実に且つ再現性よく行われ、少なくとも1つの織物シートは、膨脹式乗員保護装置が作動されたときにカバーの開放に影響を与えることを目的とするシステムに関する。
【0011】
このようなシステムによって、本発明によれば、有利なことに、クッション要素が自動車に魅力的に装着されることと、それにもかかわらず膨脹式乗員保護装置による乗員の効果的な保護が保証されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による方法によってクッション要素を製造するための型と、カバーに発泡材料が供給され又は充填され、発泡材料がカバー内に、すなわち、その場で成形されるクッション要素の概略断面図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態によるクッション要素の広がりの主方向に対して横方向の概略断面図を示す。
【図3】本発明の第2実施形態によるクッション要素の広がりの主方向に対して横方向の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は図示された例示的な実施形態に基づいて以下に詳細に説明されており、それにより更なる利点および特徴が明らかになる。
【0014】
図1には、クッション要素10(図1の下部)と型1(図1の上部)とが概略的に示されており、型1はクッション要素10を製造するのに利用できる。これは、クッション要素10のカバー11を型1に配置することと、少なくとも部分的に充填材12を、詳細には発泡材料12を充填することとを含む。これは、予め成形された発泡体要素でカバー11を覆う必要性をなくし、その代わりに充填材12または発泡材料12がその場でカバー11内に注入される。充填材12を注入する方向が概略的に矢印12’によって示されている。
【0015】
本発明によれば、クッション要素10は、膨脹式乗員保護装置が作動されたときに開かれる所定の破壊点15、詳細にはシーム15を有する。このような膨脹式乗員保護装置は、以下エアバッグとも称される。知られているように、エアバッグは、エアバッグが作動されたときに乗員を保護するためにクッション要素10の所定の破壊点15から出てくるエアクッションを備えたモジュールを有する。
【0016】
図2および図3には、クッション要素10の広がりの主方向に対して横方向の概略断面図がそれぞれ示されており、図2の断面表現は型1を含み、一方、図3にはクッション要素10のみが示されている。ここで、図2は本発明の第1実施形態を示し、図3は本発明の第2実施形態を示す。
【0017】
図2に示される本発明の第1実施形態によれば、第1および第2織物シート16、17が所定の破壊点15の領域でクッション要素10のカバー11に取り付けられ、第1織物シート16は、(エアバッグが作動された場合に破れて開く)所定の破壊点15の一方の側にある点16’で固定され、第2織物シート17は、(エアバッグが作動された場合に破れて開く)所定の破壊点15の反対側にある点17’で固定されている。エアバッグが作動された場合、この構成により、クッション要素10及びカバー11がエアバッグを信頼できる方法で展開させ又は展開できるようにすることが保証される。
【0018】
図3に示される本発明の第2実施形態によれば、第3の織物シート18は、クッション要素10の、所定の破壊点15と反対側の領域に配置され、第3織物シート18は、充填材12の注入と共に、クッション要素10内に成形されるか又はクッション要素10に接合される。第3織物シート18は、所定の破壊点15の正反対の領域に開口又はスリット18’を有し、開口又はスリット18’は、所定の破壊点の信頼性及び再現性のある開放と、その結果としてエアバッグの展開とが、簡単な手段により可能であるという効果を有する。
【符号の説明】
【0019】
1 型
10 クッション要素
11 カバー
12 充填材/発泡材料
12’ 矢印
15 所定の破壊点/シーム
16 第1織物シート
16’ 固定点
17第2織物シート
17’ 固定点
18 第3織物シート
18’ スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(11)と、充填材(12)と、前記カバー(11)に加えて発泡体封入された少なくとも1つの織物シート(16、17、18)とを含むクッション要素(10)であって、
前記カバー(11)の開放は、膨脹式乗員保護装置が作動されたときに確実に且つ再現性よく行われ、
前記少なくとも1つの織物シート(16、17、18)は、前記膨脹式乗員保護装置が作動されたときに前記カバー(11)の開放に影響を与えることを目的とする、クッション要素(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のクッション要素(10)であって、
前記クッション要素(10)の外側面がA面(見える面)とB面(見えない面)とを有し、
前記膨脹式乗員保護装置が作動されたときに前記カバー(11)の開放が前記クッション要素(10)の前記B面から行われることを特徴とする、クッション要素(10)。
【請求項3】
請求項2に記載のクッション要素(10)であって、
前記少なくとも1つの織物シート(16、17、18)が前記カバー(11)に接合個所で接合され、前記接合個所が前記クッション要素(10)の前記A面にある前記カバー(11)の内側面に相当することを特徴とする、クッション要素(10)。
【請求項4】
請求項2に記載のクッション要素(10)であって、
前記少なくとも1つの織物シート(16、17、18)が前記カバー(11)に接合個所で接合され、前記接合個所が前記クッション要素(10)の前記B面にある前記カバー(11)の内側面に相当することを特徴とする、クッション要素(10)。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載のクッション要素(10)であって、
前記少なくとも1つの織物シート(16、17、18)が前記クッション要素(10)の前記B面にある前記カバー(11)を通って延びることを特徴とする、クッション要素(10)。
【請求項6】
クッション要素(10)と膨脹式乗員保護装置から構成されるシステムであって、
前記クッション要素(10)が、カバー(11)と、充填材(12)と、前記カバー(11)に加えて発泡体封入された少なくとも1つの織物シート(16、17、18)とを有し、
前記カバー(11)の開放は、膨脹式乗員保護装置が作動されたときに確実に且つ再現性よく行われ、
前記少なくとも1つの織物シート(16、17、18)は、前記膨脹式乗員保護装置が作動されたときに前記カバー(11)の開放に影響を与えることを目的とする、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−507284(P2013−507284A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532477(P2012−532477)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005792
【国際公開番号】WO2011/042119
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】