説明

クリップ取付座

【課題】搬送時の振動等によるクリップ取付座からのクリップの脱落を防止するとともに取付体の被取付体からの取外しを容易にしつつ、クリップのクリップ取付座への取付作業を容易にする。
【解決手段】クリップ係止孔19fの一端にクリップ抜去用開放口19gを設け、着座部19eに、クリップ27の抜去方向Xと交差する方向に延びて一端がクリップ係止孔19fに連通する連通スリット19hを形成して、連通スリット19hの隣接部に空間部S1側へ撓む可撓部19iを構成する。クリップ27取付け時には、クリップ27の挿入基部31を可撓部19iに押し付けながら摺接させることにより、可撓部19iを空間部S1側に撓ませて首部30をクリップ係止孔19fに案内し、取付体1の被取付体3からの取外し時には、首部30をクリップ抜去用開放口19gを通過させることによりクリップ27をクリップ係止孔19fから抜去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップを取り付けるクリップ取付座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般によく用いられている取付体のクリップ取付座は、クリップ係止孔に連通する開放口をクリップの首部の径よりも若干小さく設定してクリップがクリップ係止孔から脱落し難くしている。
【0003】
しかし、クリップがクリップ取付座に取り付けられた取付体を搬送する際に、振動等によりクリップがクリップ係止孔から抜去し、クリップ取付座から脱落することがある。
【0004】
そこで、特許文献1では、脱落防止用の爪部を開放口の正面に設け、クリップがクリップ係止孔から抜け出ようとするのを上記爪部で規制するようにしている。
【特許文献1】特開2003−314516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにすると、メンテナンス等で取付体を被取付体から取り外す必要が生じた際、クリップが上記爪部に当接して取付体から抜去できないため、取付体を被取付体から取外すことができなくなる。
【0006】
一方、特許文献1のような脱落防止用の爪部を設けずに、取付体の搬送時にクリップがクリップ係止孔から抜去できない程度に開放口をさらに小さくすれば、クリップの不慮の脱落を防止できる。しかし、このようにすると、クリップをクリップ取付座に取り付ける際に多大な挿入力を必要とし、取付体の取外し作業に比べて頻度の多いクリップのクリップ取付座への取付作業に支障をきたす。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、搬送時の振動等によるクリップの脱落を防止するとともに取付体の被取付体からの取外しを容易にしつつ、クリップのクリップ取付座への取付作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、クリップ係止孔に連通する連通スリットを着座部に形成し、該連通スリットに隣接する可撓部にクリップを押し付けながら摺接させることによりクリップの取付けを行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、本発明は、樹脂製の取付体の裏面に一体に突設された脚部と、該脚部先端に上記取付体の裏面との間に空間部を有するように一体に形成されクリップ係止孔を有する板状の着座部とを備え、被取付体の取付孔に挿入係止される差し込み部と、該差し込み部の基端側に形成された板部と、該板部に首部を介して一体に形成された略板状の挿入基部とを備えた樹脂製のクリップが上記着座部に取り付けられるクリップ取付座を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記クリップ係止孔は、クリップ抜去用開放口を一端に有し、上記着座部には、上記クリップの抜去方向と交差する方向に延びて一端が上記クリップ係止孔に連通する連通スリットが、該連通スリットの隣接部に上記空間部側へ撓む可撓部を構成するように少なくとも1条形成され、クリップ取付け時には、上記クリップの挿入基部を上記可撓部に押し付けながら摺接させることにより、該可撓部を空間部側に撓ませて首部をクリップ係止孔に案内し、板部と挿入基部とで着座部のクリップ係止孔周りを挟持して上記クリップを着座部に取り付ける一方、クリップ抜去時には、上記首部をクリップ抜去用開放口を通過させることによりクリップをクリップ係止孔から抜去するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリップ取付座において、上記連通スリットは1条形成され、上記着座部には、上記連通スリットの他端に連結され、該連通スリットと交差するように上記クリップの略抜去方向に延びる交差スリットがさらに形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のクリップ取付座において、上記連通スリットは、上記クリップの抜去方向に間隔をあけて2条形成され、該2条の連通スリット間が上記可撓部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、クリップを取付けた取付体を被取付体から取外す際に、該クリップが取付体のクリップ抜去用開放口から抜去できる程度にクリップ抜去用開放口を狭くすることにより、特許文献1のような爪部を設けることなくクリップの脱落を防止した場合でも、クリップの取付けに際して、クリップにより可撓部を撓ますことによりクリップを着座部に容易に取り付けることができるとともに、狭いクリップ抜去用開放口からクリップを取り付ける必要がないので、クリップ取付けが容易である。即ち、クリップ取付用の可撓部と、取付体の取外し用のクリップ抜去用開放口とをそれぞれ単独に形成したので、可撓部の撓み力(可撓部への押し付け力)に関係なく、クリップ抜去用開放口を取付体の取外し時に最適な抜去力を有するような開放幅に設定することができる。また、可撓部を連通スリットにより構成したので、該連通スリットの長さにより可撓部の撓み力を任意に設定することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、連通スリットと交差する交差スリットを形成したので、該交差スリットによっても可撓部の撓み力を任意に設定することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、2条の連通スリットの間の可撓部に挿入基部からの押力が集中するので、可撓部を小さい力で容易に撓ませることができる。また、2条の連通スリットの間隔(幅)が可撓部の最適な撓み力になるように連通スリットによって設定できるとともに、可撓部の幅をクリップの挿入基部の大きさに対応するように設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、取付体としての自動車の右側サイドシルプロテクタ1の車体前方部分を示す。該サイドシルプロテクタ1は、樹脂製で、図2に示すように、車体側部の金属製サイドシル3に車体前後方向に延びるように取り付けられている。該サイドシルプロテクタ1の上方にはサイドドア2が配置される。
【0018】
上記サイドシルプロテクタ1は、プロテクタ本体15を備え、該プロテクタ本体15は、略垂直方向に広がる側壁部5と、該側壁部5の下端縁に一体に連続して略水平に車体内側方向に広がる底壁部7と、側壁部5の上端縁に一体に連続して略水平に車体内側方向に突出する第1突出壁部9と、該第1突出壁部9の突出端縁から上方に突出する第2突出壁部11と、該第2突出壁部11の突出端縁から略水平に車体内側方向に突出する第3突出壁部13とを有している。プロテクタ本体15の車体前方端部近傍では、第2突出壁部11と第3突出壁部13とが形成されておらず、第1突出壁部9の突出長さが短くなっている。また、プロテクタ本体15の車体前後方向両端には、上記側壁部5及び底壁部7を橋絡するように橋絡壁部17が突設されている。
【0019】
上記プロテクタ本体15の車体前方端部近傍には、本発明の実施形態1に係るクリップ取付座19,21(図2〜図4に示す)が車体後方から順に形成されている。上記クリップ取付座19,21には、クリップ27がそれぞれ取り付けられている。
【0020】
ここで、クリップ27の構成について説明する。クリップ27は、被取付体としてのサイドシル3に形成された取付孔4に挿入係止される差し込み部29を備え、該差し込み部29は、三角形板状の軸部29bと、該軸部29b先端に一体に形成され、基端側に向かって徐々に軸部29bから遠ざかるように傾斜する1対の板状可撓性爪部29cとを備えている。差し込み部29の基端側には、外側方に延出する円板部29dが一体に形成され、該円板部29dの延出端には、上記差し込み部29側に張り出して上記サイドシル3の外面に当接するテーパー板状の当接片部29eが全周に亘って一体に形成されている。
【0021】
上記円板部29dの略中央の反差し込み部29側には、円柱状の首部30が一体に形成され、該首部30の反円板部29d側には、略円板状の挿入基部31が円板部29dと略平行に張り出すように一体に形成されている。その結果、上記円板部29dには、首部30を介して挿入基部31が一体に形成されている。
【0022】
両クリップ取付座19,21は、上記プロテクタ本体15の裏面に一体に突設された脚部19a,21aを備えている。車体後方側のクリップ取付座19の脚部19aは、第2突出壁部11の突出端近傍から略水平に突出する上側側壁部19bと、上記底壁部7の側壁部5側端部近傍から上側側壁部19bと対向するように突出して上方に屈曲する下側側壁部19cと、上側側壁部19b及び下側側壁部19cの車体前方側を連結する連結壁部19dとを有し、該連結壁部19dの車体後側が開放している。脚部19aの先端には、上記プロテクタ本体15の裏面との間に空間部S1を有するように矩形板状の着座部19eが一体に形成されている。
【0023】
該着座部19eは、車体前後方向に長い長円形状のクリップ係止孔19fを着座部19eの上下方向略中央に有し、該クリップ係止孔19fは、着座部19eの板厚方向に貫通して形成され、クリップ抜去用開放口19gを車体後方側一端に有している。クリップ係止孔19fの上下方向の幅はクリップ27の首部30の直径よりも若干大きく、かつ円板部29d及び挿入基部31の直径よりも小さく設定されている。また、クリップ抜去用開放口19gの幅は、上記クリップ27の首部30の直径よりも小さく設定されている。すなわち、クリップ抜去用開放口19gの幅は、クリップ27をクリップ係止孔19fに挿着した状態で、サイドシルプロテクタ1を搬送しても該搬送時の振動等でクリップ27がクリップ抜去用開放口19gから抜け落ちることがなく、かつサイドシルプロテクタ1をサイドシル3から取外す際、クリップ27の首部30がクリップ抜去用開放口19gを通過可能な幅に設定されている。そして、上記クリップ係止孔19fの下方の着座部19eには、クリップ係止孔19fの長径方向略中央に略上下方向、つまり、クリップ27の抜去方向X(車体後方向)と交差する方向に延びる連通スリット19hが1条形成され、該連通スリット19hの一端(上端)がクリップ係止孔19fに連通している。また、上記着座部19eの連通スリット19hの他端(下方)側には、該連通スリット19hの他端(下端)に連通され、該連通スリット19hと略T字状に交差するように上記クリップ27の略抜去方向Xに延びる交差スリット19jが形成されている。これら連通スリット19h及び交差スリット19jは、着座部19eの板厚方向に貫通して形成されている。そして、上記連通スリット19hの両側隣接部に上記空間部S1側へ撓む可撓部19iが形成されている。また、クリップ係止孔19fの内周面における上記連通スリット19hの一端(クリップ係止孔19f側)を挟む位置、及びその対向箇所には、クリップ係止孔19fの厚み方向に延び、クリップ係止孔19f側に突出する突条部19kが1対ずつ、計4条形成されている。4条の上記突条部19kは、クリップ27の首部30の周面に当接し、該クリップ27のクリップ係止孔19fの長径方向の位置決めを行うとともにサイドシルプロテクタ1をサイドシル3から取外す際、クリップ27の首部30が対向する突条部19k間を通過可能な離間幅と突出高さに設定されている。
【0024】
上記クリップ取付座19の着座部19eのプロテクタ本体15側には、上記上側側壁部19bと下側側壁部19cとを橋絡する橋絡壁部23が着座部19eと略平行に形成されている。該橋絡壁部23の上下方向略中央、すなわちクリップ係止孔19fに対向する箇所には、該クリップ係止孔19fに向かって突出するストッパー部25が形成されている。
【0025】
また、車体前方側のクリップ取付座21の脚部21aは、上記側壁部5の上端部近傍から壁面を略水平にして突出する上側側壁部21bと、上記底壁部7の側壁部5側端部近傍から上側側壁部21bと対向するように突出する下側側壁部21cと、該上側側壁部21b及び下側側壁部21cの車体前方側を連結する連結壁部21dとを有し、該連結壁部21dの車体後側が開放している。脚部21aの先端には、上記プロテクタ本体15の裏面との間に空間部を有するように矩形板状の着座部21eが一体に形成されている。
【0026】
着座部21eには、車体後方側の上記着座部19eにクリップ係止孔19f、クリップ抜去用開放口19g、連通スリット19h、可撓部19i、交差スリット19j、及び突条部19kが形成されているのと同様に、クリップ係止孔21f、クリップ抜去用開放口21g、連通スリット21h、及び可撓部21i、交差スリット21j、及び突条部21kが形成されている。
【0027】
上記のように構成されたクリップ27をクリップ取付座19に取り付けるには、まず、図5(a)に示すように、クリップ27を傾けてクリップ27の円板部29dと挿入基部31との間に、連通スリット19hと対向するクリップ係止孔19fの周縁が対応するように位置合わせするとともにクリップ27の挿入基部31をクリップ取付座19の一対の可撓部19iに当接させる。その後、図5(b)に示すように、挿入基部31を可撓部19iに押し付けながら連通スリット19hと対向するクリップ係止孔19f周縁方向に摺接させることにより、該可撓部19iを空間部S1側に撓ませる。そして、図5(c)に示すように、首部30がクリップ係止孔19fに案内されると、可撓部19iのクリップ係止孔19f周縁がクリップ27の円板部29dと挿入基部31との間に挿入され、この時点でクリップ27の押し付け力を解除すると、可撓部19iが撓んだ状態から元の形状に復帰し、円板部29dと挿入基部31とで着座部19eのクリップ係止孔19f周りを挟持してクリップ27を着座部19eに取り付ける。この状態では、上記クリップ27の首部30が4条の突条部19kで4方から囲まれているので、クリップ係止孔19f内での首部30の移動が防止されてクリップ27が安定して着座部19eに取り付けられる。また、クリップ抜去用開放口19gが、首部30の直径よりも幅狭になっているので、首部30がクリップ抜去用開放口19gから脱落することが防止される。
【0028】
次に、図5に示すようにしてクリップ27を取り付けたサイドシルプロテクタ1を、該クリップ27の差し込み部29がサイドシル3の取付孔4に対応するようにしてサイドシル3側に押し付けることにより、クリップ27を上記取付孔4に挿入係止させてサイドシルプロテクタ1をサイドシル3に取り付ける。この際、クリップ取付座19のストッパー部25先端がクリップ27の挿入基部31に間隔を有して対向しているので、サイドシルプロテクタ1のサイドシル3への押し付け力によってクリップ取付座19が変形しても、ストッパー部25先端がクリップ27に当接してクリップ27を挿入基部31側から支持するので、ストッパー部25を設けない場合に比べて、クリップ27の位置が安定し、クリップ27の取付孔4への挿入が容易になる。そして、クリップ27の差し込み部29がサイドシル3の取付孔4に挿入された状態のクリップ27が、一対の爪部29cと当接片部29eとでサイドシル3の取付孔4周縁部を挟持しているため、クリップ27は上記取付孔4の貫通方向に抜けることがない。
【0029】
また、上記のように取り付けられたサイドシルプロテクタ1をサイドシル3から取り外す際には、サイドシルプロテクタ1を車体前方向(抜去方向Xの反対方向)に押す。この押し力がサイドシルプロテクタ1に作用しても、クリップ27はサイドシル3の取付孔4に挿入された状態で動かないので、サイドシルプロテクタ1におけるクリップ取付座19のクリップ抜去用開放口19gの幅方向側縁部がクリップ27の首部30と摺接しながら車体前方向に移動する。すなわち、クリップ27は、クリップ取付座19に対して抜去方向Xに相対的に移動する。この際、クリップ27の首部30が、クリップ係止孔19fのクリップ抜去用開放口19g側の突条部19kを乗り越えるとともに、クリップ抜去用開放口19gを押し広げて通過する。これにより、クリップ27が該クリップ27及びクリップ取付座19を破壊することなく、サイドシル3の取付孔4に係止した状態でクリップ取付座19から離脱してサイドシルプロテクタ1がサイドシル3から取外される。
【0030】
なお、クリップ取付座21にも同様の方法でクリップ27の取付け及び取り外しが行われる。
【0031】
したがって、本実施形態によれば、クリップ27を取付けたサイドシルプロテクタ1をサイドシル3から取外す際に、該クリップ27がサイドシルプロテクタ1のクリップ抜去用開放口19g,21gから抜去できる程度にクリップ抜去用開放口19g,21gを狭くすることにより、特許文献1のような爪部を設けることなくクリップ27の脱落を防止した場合でも、クリップ27の取付けに際して、クリップ27により可撓部19i,21iを撓ますことによりクリップ27を着座部19e,21eに容易に取り付けることができるとともに、狭いクリップ抜去用開放口19g,21gからクリップ27を取り付ける必要がないので、クリップ27の取付けが容易である。即ち、クリップ27取付用の可撓部19i,21iと、サイドシルプロテクタ1の取外し用のクリップ抜去用開放口19g,21gとをそれぞれ単独に形成したので、可撓部19i,21iの撓み力(可撓部19i,21iへの押し付け力)に関係なく、クリップ抜去用開放口19g,21gをサイドシルプロテクタ1の取外し時に最適な抜去力を有するような開放幅に設定することができる。また、可撓部19i,21iを連通スリット19h,21hにより構成したので、該連通スリット19h,21hの長さにより可撓部19i,21iの撓み力を任意に設定することができる。
【0032】
また、各着座部19e,21eに連通スリット19h,21hと交差する交差スリット19j,21jを形成したので、該交差スリット19j,21jによっても可撓部19i,21iの撓み力を任意に設定することができる。
【0033】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係るクリップ取付座19を示す。実施形態1では、連通スリット19hを1条形成するとともに、該連通スリット19hと交差する交差スリット19jを形成したが、この実施形態2では、連通スリット19hがクリップ27の抜去方向Xに間隔をあけて略等しい長さで一端がクリップ係止孔19fに連通するように2条形成され、該2条の連通スリット19h間が可撓部19iとなっている。また、交差スリット19jが形成されていない。そして、クリップ係止孔19fの内周面における可撓部19iに対応する箇所、及びその対向箇所には、突条部19kがクリップ係止孔19fの長径方向(抜去方向X)に離間して2条ずつ突設されている。また図示しないが、クリップ取付座21の着座部21eにも、連通スリット21hがクリップ27の抜去方向Xに間隔をあけて略等しい長さで一端がクリップ係止孔19fに連通するように2条形成され、該2条の連通スリット21h間が可撓部21iとなっている。また、この実施形態2では、交差スリット21jが形成されていない。そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、クリップ27のクリップ取付座19への取付けに際して2条の連通スリット19hの間の可撓部19iにクリップ27の挿入基部31からの押し付け力が集中するので、可撓部19iを小さい力で容易に撓ませることができる。また、2条の連通スリット19hの間隔(幅)が可撓部19iの最適な撓み力になるように連通スリット19hの長さ及び離間幅によって設定できるとともに、可撓部19iの幅をクリップ27の挿入基部31の大きさに対応するように設定できる。
【0035】
なお、クリップ係止孔19fに形成した突条部19k及び橋絡壁部23に形成したストッパー部25は、必ずしも設けなくてもよく、必要に応じて設ければよい。
【0036】
また、上記実施形態1,2では、取付体がサイドシルプロテクタ1である場合を示したが、ピラートリム等の車両用内装品や他の自動車部品であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、クリップを取り付けるクリップ取付座として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態1に係るクリップ取付座が形成されたサイドシルプロテクタの車体前方右側部分の斜視図である。
【図2】図1のA−A線に相当する断面図である。
【図3】クリップ取付座の着座部近傍を車体内側から見た斜視図である。
【図4】クリップを取り付けた状態のクリップ取付座の着座部近傍を車体後側から見た斜視図である。
【図5】クリップをクリップ取付座に取り付ける手順を示すもので、(a)は、挿入基部を可撓部に当接させた状態を示す図2のB部相当図、(b)は、挿入基部を可撓部に押し付けた状態を示す図2のB部相当図、(c)は、クリップをクリップ取付座に取り付けた状態を示す図2のB部相当図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る図3相当図である。
【符号の説明】
【0039】
1 サイドシルプロテクタ(取付体)
3 サイドシル(被取付体)
4 取付孔
19,21 クリップ取付座
19a,21a 脚部
19e,21e 着座部
19f,21f クリップ係止孔
19g,21g クリップ抜去用開放口
19h,21h 連通スリット
19i,21i 可撓部
19j,21j 交差スリット
27 クリップ
29 差し込み部
29d 円板部(板部)
30 首部
31 挿入基部
S1 空間部
X 抜去方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の取付体の裏面に一体に突設された脚部と、該脚部先端に上記取付体の裏面との間に空間部を有するように一体に形成されクリップ係止孔を有する板状の着座部とを備え、
被取付体の取付孔に挿入係止される差し込み部と、該差し込み部の基端側に形成された板部と、該板部に首部を介して一体に形成された略板状の挿入基部とを備えた樹脂製のクリップが上記着座部に取り付けられるクリップ取付座であって、
上記クリップ係止孔は、クリップ抜去用開放口を一端に有し、
上記着座部には、上記クリップの抜去方向と交差する方向に延びて一端が上記クリップ係止孔に連通する連通スリットが、該連通スリットの隣接部に上記空間部側へ撓む可撓部を構成するように少なくとも1条形成され、
クリップ取付け時には、上記クリップの挿入基部を上記可撓部に押し付けながら摺接させることにより、該可撓部を空間部側に撓ませて首部をクリップ係止孔に案内し、板部と挿入基部とで着座部のクリップ係止孔周りを挟持して上記クリップを着座部に取り付ける一方、クリップ抜去時には、上記首部をクリップ抜去用開放口を通過させることによりクリップをクリップ係止孔から抜去するように構成されていることを特徴とするクリップ取付座。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップ取付座において、
上記連通スリットは1条形成され、
上記着座部には、上記連通スリットの他端に連結され、該連通スリットと交差するように上記クリップの略抜去方向に延びる交差スリットがさらに形成されていることを特徴とするクリップ取付座。
【請求項3】
請求項1に記載のクリップ取付座において、
上記連通スリットは、上記クリップの抜去方向に間隔をあけて2条形成され、該2条の連通スリット間が上記可撓部であることを特徴とするクリップ取付座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−144910(P2010−144910A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325966(P2008−325966)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】