説明

クリップ装着構造

【課題】組み付け部品を本体部品に組み付けるためのクリップを組み付け部品に装着する場合に、設備費及び工数を低減しながら、クリップを組み付け部品に脱落しないように装着可能にして低コスト化を図る。
【解決手段】センターパネル1には取付座10を突設する。クリップ20は、頭部21と、頭部21から延びる第1挟持片部22及び第2挟持片部23とを有している。このクリップ20は、頭部21が取付座10の突出方向先端側に位置し、第1及び第2挟持片部22、23が取付座10を挟むようにして取付座10に取り付けられるようになっている。取付座10には、取付状態にあるクリップ20の頭部21よりも突出方向先端側へ向けて突出する延長部18を設ける。延長部18には、クリップ20の頭部21に対向するようにストッパ部19を設ける。ストッパ部19により、クリップ20が取付座10の突出方向へ移動するのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み付け部品をクリップによって本体部品に組み付ける際に、そのクリップを組み付け部品に装着しておくためのクリップ装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のインストルメントパネル等の本体部品に対してセンタパネル等の組み付け部品を組み付ける際に、樹脂製のクリップを組み付け部品に予め装着しておき、この組み付け部品のクリップを本体部品に形成された孔部に嵌入することによって、組み付け部品を本体部品に組み付けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、クリップを組み付け部品に予め装着しておくクリップ装着構造として、組み付け部品に、クリップの取付座を設ける構造が開示されている。この取付座は、組み付け部品から突出するリブを有している。一方、クリップは、頭部と、頭部から互いに離間した状態で延びる一対の挟持片部とを有している。クリップの頭部には、取付座のリブの突出方向先端部が挿通する貫通孔が形成されている。そして、クリップを組み付け部品に装着する際には、クリップの頭部の貫通孔に取付座のリブの先端部を挿通させるとともに、一対の挟持片によりリブを挟むようにして仮組み付けした後、リブの先端部を溶融させてクリップの貫通孔から抜けないような形状に変形させて固化させるようにしている。これにより、クリップが組み付け部品から脱落しないようになっている。
【特許文献1】特開2001−74008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1のクリップ装着構造では、取付座のリブをクリップの頭部の貫通孔に挿通した後に溶融させることにより、クリップが組み付け部品から脱落しないようにしている。このため、クリップを組み付け部品に装着するにあたり、リブを溶融させるための設備が必要になって設備費が高騰し、コスト高となる。さらに、クリップを取付座に仮組み付けする工程と、その後にリブを溶融する工程との少なくとも2つの工程が必要になり、さらに、溶融後の樹脂を固化させる時間も必要になって工数の増加を招き、このこともコスト高の要因となる。
【0004】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組み付け部品を本体部品に組み付けるためのクリップを組み付け部品に装着する場合に、設備費及び工数を低減しながら、クリップを組み付け部品に脱落しないように装着可能にして低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明では、組み付け部品を本体部品に組み付けるためのクリップを該組み付け部品に装着するクリップ装着構造であって、上記組み付け部品には、上記クリップの取付座が突設され、上記クリップは、頭部と、該頭部から互いに離間して延びる第1及び第2片部とを有するとともに、上記頭部が上記取付座の突出方向先端側に位置し、上記第1及び第2片部が上記取付座を挟むようにして該取付座に取り付けられ、上記取付座の本体部分における突出方向先端側には、取付状態にある上記クリップの頭部よりも突出方向先端側へ向けて突出する延長部が設けられ、該延長部には、上記クリップの頭部に対向するようにストッパ部が設けられ、上記ストッパ部により、上記クリップが上記取付座の突出方向へ移動するのが阻止される構成とする。
【0006】
第2の発明では、第1の発明において、取付座の本体部分は、取付状態にあるクリップの第1及び第2片部に挟まれる中央板部と、該中央板部の幅方向両側にそれぞれ設けられた側板部とを有し、延長部は、上記側板部から突出するように設けられ、上記側板部の延長部側と、上記中央板部との間には、切欠部が形成されている構成とする。
【0007】
第3の発明では、第1の発明において、取付座の本体部分には、延長部が、クリップにおける第1及び第2片部の幅方向両側にそれぞれ位置するように設けられ、ストッパ部は、一方の延長部と他方の延長部とを連結するように形成されている構成とする。
【0008】
第4の発明では、第3の発明において、取付座の本体部分とストッパ部との少なくとも一方には、クリップを取付座への装着方向へ案内するガイド面が設けられている構成とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、クリップを組み付け部品の取付座に装着した状態で、取付座のストッパ部がクリップの頭部に対向するように位置し、このストッパ部によってクリップが取付座の突出方向へ移動するのを阻止することができる。これにより、従来例のように取付座を溶融させることなく、クリップが組み付け部品から離脱するのを防止できるので、取付座を溶融させるための設備が不要になるとともに、工数を低減でき、よって、低コスト化を図ることができる。
【0010】
第2の発明によれば、取付座の本体部分が、クリップの第1及び第2片部に挟まれる中央板部と、中央板部の幅方向両側にそれぞれ設けられた側板部とを有し、側板部に延長部を設け、側板部の延長部側と、中央板部との間に切欠部を形成したので、クリップを取付座に取り付ける際に、延長部を中央板部に対し容易に変形させて、ストッパ部をクリップの取り付けの邪魔にならないように位置付けることができる。これにより、クリップの取り付け作業性を向上させることができる。
【0011】
第3の発明によれば、取付座の本体部分に、クリップにおける第1及び第2片部の幅方向両側にそれぞれ位置するように延長部を設け、これら延長部を連結するようにストッパ部を形成したので、クリップが取付座の突出方向へ移動するのを確実に阻止することができる。
【0012】
第4の発明によれば、クリップを取付座に取り付ける際に、ガイド面によって案内することができるので、クリップの取り付け作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る組み付け部品としてのセンターパネル1を示すものである。このセンターパネル1は、自動車の車室内に配設される本体部品としてのインストルメントパネル(図示せず)に取り付けられるものである。センターパネル1には、クリップ20(図6に示す)が取り付けられるようになっており、このクリップ20をセンターパネル1に予め装着した後、センターパネル1のクリップ20をインストルメントパネルに形成された孔部に嵌入することによって、センターパネル1がインストルメントパネルに組み付けられるようになっている。
【0015】
センターパネル1は、樹脂材を射出成形してなり、インストルメントパネルの上下方向に長い矩形の枠状部材である。センターパネル1の下半部は、車両後側へ向けて下降傾斜しながら延びている。センターパネル1の上下方向中間部には、車幅方向に延びる仕切部2が一体成形されている。このセンターパネル1の表面は、車室に露出する意匠面とされている。センターパネル1の上縁部の裏面には、クリップ20が取り付けられる一対の取付座10、10が車両前方へ突出するように、センターパネル1の本体部分と一体成形されている。これら取付座10、10は、車幅方向に間隔あけて配置されている。図1における符号3は、センターパネルの本体部分と一体成形された取付用突起である。尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
【0016】
図示しないが、インストルメントパネルには、センターパネル1が嵌る大きさの開口部が形成されている。この開口部の周縁部には、センターパネル1の取付座10及び取付用突起3に対応する部位に孔部がそれぞれ形成されている。取付座10に装着されたクリップ20が、インストルメントパネルの対応する孔部に嵌入して孔部の周縁部と係合し、また、取付用突起3が、対応する孔部に嵌入して孔部の周縁部と係合するようになっている。
【0017】
センターパネル1の一対の取付座10、10は、同じ形状であるため、以下、一方の取付座10の構造について詳しく説明する。図2に示すように、取付座10は、センターパネル1の裏面から前方へ突出する基部11と、基部11から前方へ突出する中央板部12と、基部11から前方へ突出し、中央板部12の車幅方向(左右方向)両側に位置する左側板部13及び右側板部14とを備えている。これら基部11、中央板部12、左側板部13及び右側板部14によって、取付座10の本体部分が構成されている。
【0018】
基部11の上面には、肉抜き用の凹部11aが形成されている。この凹部11aにより、成形時に、センターパネル1の表面にヒケが生じ難くなっている。また、基部11の左右方向両側には、左側及び右側へ向けてそれぞれ延びる薄板部11bが形成されている。
【0019】
中央板部12の突出方向中間部、即ち前後方向中間部には、上下方向に貫通する矩形の貫通孔12aが形成されている。図3に示すように、この貫通孔12aは、上側に行くに従って前側に位置するように傾斜して延びている。この貫通孔12aの延びる方向は、センターパネル1の成形型の移動方向Yと同じ方向である。つまり、成形型の移動方向Yに沿うように貫通孔12aの形状が設定されている。
【0020】
図2に示すように、中央板部12の前部の上面は、前端側へ向かって下降傾斜する傾斜面12bで構成されている。これにより、中央板部12の前部は、その前端に近づくほど薄肉となる。尚、詳細は後述するが、図4に示すように、クリップ20は、中央板部12を挟むように取り付けられるようになっている。
【0021】
図2に示すように、左側板部13は、中央板部12の左縁部に沿って延び、左側板部13と一体成形されている。左側板部13の上下方向の寸法は、全体として、中央板部12の上下方向の寸法(肉厚)よりも長く設定されており、左側板部13は、中央板部12の上面よりも上方へ突出するとともに、下面よりも下方へ突出している。左側板部13の前側約半分の上下方向の寸法は、前端に近づくほど短くなるように設定されている。
【0022】
左側板部13の側面には、左リブ15が左側へ向けて突設されている。左リブ15の突出高さは、左側板部13の前端側へ行くほど低くなるように設定されている。また、左側板部13の前端部には、中央板部12よりも前方へ延出する左側延長部16が一体成形されている。図4に示すように、この左側延長部16は、中央板部12に取り付けられたクリップ20の頭部21よりも前方へ延びている。図2に示すように、左側延長部16の左側面には、上記左リブ15が連続して形成されている。左側延長部16の上下方向の寸法は、前端に近づくほど短くなるように設定されている。
【0023】
左側延長部16の前端部には、右側へ向けて突出する左ストッパ部17が一体成形されている。この左ストッパ部17の突出高さは、図5に示すように、該左ストッパ部17が中央板部12に取り付けられた状態のクリップ20の頭部21に対向するように設定されている。つまり、左側延長部16を前端側から見たとき、左ストッパ部17が、中央板部12に取り付けられた状態のクリップ20の頭部21に重複するようになっている。左ストッパ部17におけるクリップ20と対向する対向面17aは、上側へ行くほど前方に位置するように傾斜している。また、左ストッパ部17の突出方向の先端面17bは、前側へ行くほど左側に位置するように傾斜している。
【0024】
また、図2に示すように、右側板部14は、上記左側板部13と同様に、中央板部12の右縁部に沿って延び、中央板部12と一体成形され、右リブ(図示せず)、右側延長部18及び右ストッパ部19を有している。右リブ、右側延長部18及び右ストッパ部19の形状は、左側のものと左右対称の形状となっている。右ストッパ部19には、左ストッパ部17と同様に、クリップ20の頭部21に対向する対向面19aと、前側へ行くほど右側に位置するように傾斜する先端面19b(図5に示す)とが設けられている。
【0025】
上記クリップ20は、図6に示すように、例えばPOM等の弾性変形可能な樹脂材料を射出成形してなる一体成形品であり、頭部21と、頭部21から互いに間隔をあけて延びる第1挟持片部(第1片部)22及び第2挟持片部(第2片部)23と、頭部21の第2挟持片部23側から第2挟持片部23と間隔をあけて延びる係止片部24とを有している。
【0026】
図4にも示すように、頭部21は、中央板部12の前部を覆うコ字状断面を有している。頭部21の幅(左右方向の寸法)は、中央板部12の幅よりも若干短く、かつ、左ストッパ部17の先端と右ストッパ部19の先端との間隔よりも長く設定されている。第1挟持片部22は、頭部21よりも薄肉とされて弾性変形し易くなっており、取付状態のときに、中央板部12の下面に沿って略直線状に延びるように形成されている。第1挟持片部22の幅は、頭部21の幅と略同じに設定されている。また、第1挟持片部22の長さは、中央板部12に取り付けられた状態で、先端部が中央板部12の貫通孔12aよりも後側に位置するように設定されている。第1挟持片部22の先端部には、下方へ突出して幅方向に延びる突出部22aが形成されている。この突出部22aの外周面は湾曲面で構成されている。この突出部22aに、インストルメントパネルの孔部の周縁部が係止するようになっている。また、第1挟持片部22には、貫通孔12aに対応する部位に、該貫通孔12aに入り込む爪部22bが形成されている。この爪部22bは、貫通孔12aに入り込んだ状態で貫通孔12aの周縁部に係合するようになっている。
【0027】
第2挟持片部23は、第1挟持片部22と同様に頭部21よりも薄肉とされ、取付状態のときに、中央板部12の上面に沿って略直線状に延びるように形成されている。第2挟持片部23の幅は、第1挟持片部22の幅と同じくらいに設定されている。第2挟持片部23の長さは、中央板部12に取り付けられた状態で、先端部が中央板部12の貫通孔12aに対応するように設定されている。第2挟持片部23の先端部には、下方へ突出して貫通孔12aに入り込む爪部23bが形成されている。この爪部23bは、貫通孔12aに入り込んだ状態で貫通孔12aの周縁部に係合するようになっている。
【0028】
係止片部24は、インストルメントパネルの孔部の周縁部に係止するように形成されている。係止片部24の幅は、第1挟持片部22の幅と同じくらいに設定されている。係止片部24の長さは、第2挟持片部23よりも長く、かつ、第1挟持片部22よりも短く設定されている。係止片部24は、中央板部12に取り付けられた状態で、中央板部12の上面から上方へ離れるように形成されており、中央板部12に接近する方向に弾性変形可能となっている。また、係止片部24の上面には、長手方向中間部に突起部24aが形成され、先端部に上方へ突出して幅方向に延びる突出部24bが形成されている。
【0029】
次に、上記のように構成されたクリップ20をセンターパネル1に装着する場合について説明すると、まず、クリップ20を図4に仮想線で示すように位置付けた後、左ストッパ部17と右ストッパ部19との間に差し込んでいく。このとき、左ストッパ部17と右ストッパ部19との先端面17b、19bが上記のように傾斜しているので、クリップ20が、先端面17b、19bに摺接して取付座10の左右方向の中央部に案内される。クリップ20を更に深く差し込むと、クリップ20の差し込み力によって、左側延長部16が左側へ撓んで左ストッパ部17が左側へ変位し、右側延長部18が右側へ撓んで右ストッパ部19が右側へ変位する。これにより、図4に実線で示すように、クリップ20の頭部21が、左ストッパ部17及び右ストッパ部19を乗り越えて、中央板部12の前部を覆う位置になるとともに、第1挟持片部22及び第2挟持片部23が中央板部12の下面及び上面に沿うようになり、爪部22b、23bが中央板部12の貫通孔12aに入り込む。これで、クリップ20の装着が完了する。
【0030】
この状態で、図5に示すように、左ストッパ部17及び右ストッパ部19がクリップ20の頭部21に対向するように位置することになる。これにより、クリップ20の爪22b、23bが貫通孔12aの周縁部から外れそうになった場合に、クリップ20が取付座10の突出方向である前側へ移動するのが阻止される。また、クリップ20は、左側板部13と右側板部14とによって幅方向へ移動するのも阻止される。
【0031】
以上説明したように、この実施形態に係るクリップ装着構造によれば、クリップ20をセンターパネル1の取付座10に取り付けた状態で、取付座10の左ストッパ部17及び右ストッパ部19がクリップ20の頭部21に対向するように位置し、これらストッパ部17、19によってクリップ20が取付座10の突出方向へ移動するのを阻止することができる。これにより、従来例のように取付座10を溶融させることなく、クリップ20がセンターパネル1から離脱するのを防止できるので、取付座10を溶融させるための設備が不要になるとともに、工数を低減でき、低コスト化を図ることができる。
【0032】
尚、上記実施形態では、取付座10に2つのストッパ部17、19を設けるようにしているが、これに限らず、ストッパ部は1つであってもよい。
【0033】
また、図7に示すように、クリップ20を取付座10に装着する際には、クリップ20の第1挟持片部22を、中央板部12の前端部と、左ストッパ部17及び右ストッパ部19との間から後側へ向けて差し入れていくようにしてもよい。このとき、左ストッパ部17及び右ストッパ部19の対向面17a、19aが上述の如く傾斜しているので、第1挟持片部22を後側へ案内することができ、スムーズに差し入れていくことができる。つまり、対向面17a、19aが、クリップ20を取付座10へ装着方向へ案内するガイド面となる。
【0034】
そして、クリップ20を弾性変形させながら、第2挟持片部23を中央板部12の上面に沿わせて、さらに同方向へ移動させていく。すると、頭部21が中央板部12の前部を覆う位置になるとともに、第1挟持片部22及び第2挟持片部23の形状が復元して、それぞれ中央板部12の下面及び上面に沿うようになり、爪部22b、23bが中央板部12の貫通孔12aに入り込む。これで、クリップ20の装着が完了する。
【0035】
また、図8及び図9に示す変形例1のように、左側板部13の左側延長部16側と中央板部12との間、及び右側板部14の右側延長部18側と中央板部12との間には、中央板部12の突出方向に延びるスリット形状の切欠部30、31を形成するようにしてもよい。これにより、左側延長部16及び右側延長部18の基端側が中央板部12から離れることになるので、これら延長部16、18が撓み変形し易くなる。従って、図4に示すようにしてクリップ20を取付座10に装着する際に、左側延長部16及び右側延長部18を容易に変形させて、左ストッパ部17及び右ストッパ部19をクリップ20の取り付けの邪魔にならないように変位させることができる。これにより、左ストッパ部17及び右ストッパ部19の突出量を大きくしても、クリップ20の取り付け作業性が悪化することはない。また、そのように切欠部30、31を形成することで、左側延長部16及び右側延長部18の突出長さを短くした場合においても、ストッパ部17、19を容易に変位させることができるので、取付座10を小型化できる。また、この変形例1において、切欠部は、左右の一方にのみ形成するようにしてもよい。
【0036】
また、図10に示す変形例2のように、ストッパ部32は、左側延長部16と右側延長部18とを連結するブリッジ形状にしてもよい。これにより、クリップ20が取付座10の突出方向へ移動するのを確実に阻止することができる。符号32aは、クリップ20の頭部21に対向する対向面である。この対向面32aは、上記対向面17a、19aと同様に傾斜している。この変形例2では、クリップ20を取付座10に装着する際、図11に仮想線で示すように、クリップ20の第1挟持片部22を、取付座10の中央板部12の前端部と、左ストッパ部17及び右ストッパ部19との間から後側へ向けて差し入れていく。このとき、対向面32aが、クリップ20を取付座10の装着方向へ案内するガイド面となる。
【0037】
また、図11に示す変形例3のように、中央板部12の前部の下面には、前方ヘ向かって上方へ傾斜して延びる傾斜面12dを形成してもよい。この変形例3では、クリップ2の第1挟持片部22を、中央板部12の前端部と、ストッパ部32との間から後側へ向けて差し入れていく際、傾斜面12dによって後側へ案内することができる。つまり、傾斜面12dは、本発明のガイド面を構成している。
【0038】
また、図12に示す変形例4のように、中央板部12の前部の下面に段差部12cを形成して前部を薄肉にしてもよい。このように中央板部12の前部を薄肉にすることで、クリップ20の第1挟持片部22をストッパ部32と中央板部12との間に差し入れる際に、より一層スムーズに差し入れることができる。また、この変形例4では、ストッパ部32の上下方向の寸法も短くされている。
【0039】
また、図13に示す変形例5のように、左側延長部16と右側延長部18とを連結するようにストッパ部32を形成する場合に、ストッパ部32の対向面32aを前後方向に延びるように形成してもよい。これにより、クリップ20の第1挟持片部22をストッパ部32と中央板部12との間に差し入れる際により一層スムーズに差し入れることができる。
【0040】
また、取付座10の向きや個数、配設位置等は、任意に設定することができる。
【0041】
また、本発明は、センターパネル1の組み付け以外にも、車両のドアトリム、スイッチパネル、コンソールボックスのリッド等の内装材を本体部品に組み付ける場合に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明に係るクリップ装着構造は、例えば、車両のインストルメントパネルにセンターパネルを組み付ける場合に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るセンターパネルの斜視図である。
【図2】取付座の斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】クリップが取り付けられた状態の図3相当図である。
【図5】図3におけるV−V線断面図である。
【図6】クリップの斜視図である。
【図7】クリップを別の方向から装着する場合を説明する図4相当図である。
【図8】変形例1に係る図2相当図である。
【図9】変形例1に係る図5相当図である。
【図10】変形例2に係る図2相当図である。
【図11】変形例3に係る図4相当図である。
【図12】変形例4に係る図4相当図である。
【図13】変形例5に係る図4相当図である。
【符号の説明】
【0044】
1 センターパネル(組み付け部品)
10 取付座
12 中央板部
12d 傾斜面(ガイド面)
13 左側板部
14 右側板部
16 左延長部
17 左ストッパ部
17a 対向面(ガイド面)
18 右延長部
19 右ストッパ部
19a 対向面(ガイド面)
20 クリップ
21 頭部
22 第1挟持片部(第1片部)
23 第2挟持片部(第2片部)
30 左側切欠部
31 右側切欠部
32 ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み付け部品を本体部品に組み付けるためのクリップを該組み付け部品に装着するクリップ装着構造であって、
上記組み付け部品には、上記クリップの取付座が突設され、
上記クリップは、頭部と、該頭部から互いに離間して延びる第1及び第2片部とを有するとともに、上記頭部が上記取付座の突出方向先端側に位置し、上記第1及び第2片部が上記取付座を挟むようにして該取付座に取り付けられ、
上記取付座の本体部分における突出方向先端側には、取付状態にある上記クリップの頭部よりも突出方向先端側へ向けて突出する延長部が設けられ、該延長部には、上記クリップの頭部に対向するようにストッパ部が設けられ、
上記ストッパ部により、上記クリップが上記取付座の突出方向へ移動するのが阻止されることを特徴とするクリップ装着構造。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップ装着構造において、
取付座の本体部分は、取付状態にあるクリップの第1及び第2片部に挟まれる中央板部と、該中央板部の幅方向両側にそれぞれ設けられた側板部とを有し、
延長部は、上記側板部から突出するように設けられ、
上記側板部の延長部側と、上記中央板部との間には、切欠部が形成されていることを特徴とするクリップ装着構造。
【請求項3】
請求項1に記載のクリップ装着構造において、
取付座の本体部分には、延長部が、クリップにおける第1及び第2片部の幅方向両側にそれぞれ位置するように設けられ、
ストッパ部は、一方の延長部と他方の延長部とを連結するように形成されていることを特徴とするクリップ装着構造。
【請求項4】
請求項3に記載のクリップ装着構造において、
取付座の本体部分とストッパ部との少なくとも一方には、クリップを取付座への装着方向へ案内するガイド面が設けられていることを特徴とするクリップ装着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−36234(P2009−36234A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198866(P2007−198866)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】