説明

クリップ

【課題】被取付部材の取付穴に挿入される固定部に弾性の係止爪を有するクリップにおける係止爪の係止力を増大する。
【解決手段】クリップ1の固定部3は、中空の箱形ブロックで成り、横断面において一対の対向する長辺L1、L2と一対の対向する短辺S1、S2とを有する矩形又は長円の輪郭を持ち、固定部3の係止爪15は、長辺の一部を形成するように形成され、固定部横断面において一方の係止爪が他方の係止爪に対して対角方向に配置され、一方の係止爪と他方の係止爪とは、固定部の中央の空間18において弾性の係止爪連結片19によって相互に連結され、係止爪連結片19は、係止爪に外方に張り出す弾性を加えるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル等の被取付部材の取付穴に挿入して取付けられるクリップに関し、例えば、ワイヤハーネス等の長尺部材を保持して、保持した長尺部材を被取付部材に取付けるのに適したクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネス等の長尺部材を保持して、保持した長尺部材をパネル等の被取付部材に取付けるのに適したクリップの1例が、特許文献1に記載されている。このクリップは、本体にバンドとバックルとが形成されてワイヤハーネスを巻回して保持することができ、本体に一体に連結された固定部には、被取付部材の取付穴に挿入して係止する係止爪が形成されて、固定部の挿入によって被取付部材にクリップが取付けられる。固定部は、横断面が一対の長辺と一対の短辺とを有する矩形の輪郭を有するように形成されて、クリップを被取付部材に対するぐらつきを阻止せんとしている。また、係止爪は固定部の長辺側に形成されて、固定部の横断面において一方の係止爪が他方の係止爪に対して対角方向に位置するように配置され、成形を容易にしている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−072123号公報
【特許文献2】実公昭51−005933号公報
【特許文献3】実開平3−030682号公報
【特許文献4】特開平8−142730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のクリップは、被取付部材の取付穴への取付後において、固定部が取付穴に係止する力は、係止爪の係止力だけに依存しているので、改良の余地がある。
【0005】
特許文献2に記載のクリップでは、固定部を形成する錨脚形状の一対の係止爪の先端が中央の柱部に可撓性の連結片で連結され、両係止爪の開きが一定範囲に制限されている。これによって、錨脚形状の係止爪の開き過ぎを防止する。かかるクリップには、係止爪そのものの係止力を増大させる構成はない。
【0006】
特許文献3及び特許文献4に記載のクリップは、被取付部材の取付穴に固定部を挿入して係止爪を取付穴縁部に係止することによって、被取付部材に取付けた後、係止爪を破損せずにクリップを取外しできる構成を有する。特許文献3のクリップにおいては、錨脚形状の一対の係止爪の先端を帯条片で連結しておき、取付穴縁部に係止した係止爪の係止を解除するため、帯条片を工具先端で押込むと、一対の係止爪先端が相互に近づいて係止が解除される。特許文献4のクリップにおいては、一対の係止爪の中間に工具先端を挿入できる筒状部が設けられ、その筒状部が両係止爪の先端に帯条片で連結されて、筒状部に工具先端を挿入して回転させると、両係止爪が内側に撓んで係止が解除される。これらのクリップには、係止爪の係止の解除のための連結片があるが、係止爪の係止力を増大させる構成はない。
【0007】
従って、本発明の目的は、被取付部材の取付穴に挿入される固定部に弾性の係止爪を有するクリップにおける係止爪の係止力を増大することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るクリップは、被取付部材の取付穴に挿入される固定部と固定部に一体に形成された本体とを備え、固定部には弾性の係止爪が形成され、固定部が被取付部材の取付穴に挿入されると係止爪が取付穴の縁部に係止して係止爪と本体とが被取付部材を挟持することによって被取付部材に取付けられるクリップであって、固定部は、本体から延びる中空の箱形ブロックで成り、且つ、固定部の横断面において一対の対向する長辺と一対の対向する短辺とを有する矩形又は長円の輪郭を持つように形成されており、係止爪は、一対の長辺のそれぞれに、長辺の一部を形成するように1つずつ形成され、一対の係止爪は、横断面において一方の係止爪が他方の係止爪に対して対角方向となるように配置されており、更に、一方の係止爪と他方の係止爪とは、固定部の中央の空間において弾性の係止爪連結片によって相互に連結され、係止爪連結片は、一対の係止爪に、一対の係止爪を外方に張り出す弾性を加えるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記のクリップは、固定部がその横断面において矩形又は長円の輪郭を持つように形成され、長辺に沿って且つ対角方向に配置された一対の係止爪が弾性の係止爪連結片によって相互に連結され、一対の係止爪の弾性に加えて一対の係止爪を外方に張り出す弾性を付与するので、係止爪の係止力を増大させ、これによって、係止爪の低い剛性を補って、クリップの被取付部材への固定を強固にする。なお、係止爪は、一対の長辺のそれぞれに長辺の一部を形成するように形成されており、被取付部材の長穴形状の取付穴に対してその長手方向に位置をずらすことができるので、複数の取付穴に挿入する場合のクリップの取付位置のピッチのばらつき又は取付穴のピッチのばらつきを吸収できる。
【0010】
上記クリップにおいて、固定部は、横断面において2つの短辺の部分がそれぞれ剛性の柱で成り、長辺部分は、係止爪と、係止爪と短辺部分との間の空間とで形成されており、固定部の箱形ブロックの端部は、2つの柱の端部を相互に連結する剛性の板状体で形成されている。かかる構成によって、固定部自体の剛性が強固になり、被取付部材の取付穴への取付けにおいてぐらつきを減少でき、取付け強度も向上する。その場合、係止爪は、板状体で成る固定部端部から本体の方向に延びる弾性片で成る。係止爪連結片は、一対の係止爪の先端を相互に連結する薄肉の帯条片で成り、係止爪連結片は、固定部を被取付部材の取付穴に挿入した場合の係止爪の内側への倒れ込みによって横断面においてほぼS字形状に撓められる形状に形成されている。これによって、係止爪が内側へ撓む場合に係止爪連結片が邪魔せずに、固定部の容易な挿入が維持される。また、本体には、固定部に隣接する位置に、弾性の外周縁部を有するフランジが形成されている。かかる弾性外周縁部によって、被取付部材の挟持におけるぐらつきを吸収でき、係止爪の係止を強化している。
【0011】
本体には、ワイヤハーネス等の長尺部材を巻回するバンドと、バンドが長尺部材を巻回した状態に保持するバックルとが設けられ、バンドとバックルとが、長尺部材はその長手方向が固定部の長辺に沿う状態で本体に保持されるように、本体に形成される。かかる構成によって、ワイヤハーネス等の長尺部材がパネル等の被取付部材に取付けでき、また、長尺部材が複数の個所で被取付部材に取付けられる場合において、被取付部材の取付穴がワイヤハーネスの長手方向に長い長穴として形成されていれば、クリップの長手方向における位置ずれ又は取付穴のピッチのばらつきを吸収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の1実施形態に係るクリップを説明する。図示の実施形態において、クリップ1は、ワイヤハーネス等の長尺部材を保持してパネル等の被取付部材に取付ける、バンドクリップとして形成されている。図面において、図1(A)、(B)は、1実施形態に係るクリップ1の全体を示している。図2〜図6は、図1(A)の円Aで囲んだ、クリップ1の本体2及び固定部3の部分の詳細を示している。図7は、クリップ1は、長尺部材としてのワイヤハーネス5を保持して、被取付部材としてのパネル6の取付穴7に取付ける前の状態を示している。図8は、クリップ1が、取付穴のピッチのばらつき又はクリップの取付ピッチのばらつきを吸収できるのを示している。
【0013】
クリップ1は、プラスチックで一体成形されている。図1(A)、(B)に示す1実施形態において、クリップ1は、ワイヤハーネス5等の長尺部材を保持する本体2と、パネル6等の被取付部材に固定する固定部3とから成る。本体2には、長尺部材を抱持するバンド9とバンド9を長尺部材の抱持状態に巻回してその状態にロックするバックル10とが形成されている。バックル10には、バンド9を受入れるガイド穴が形成され、ガイド穴には長尺部材を強固に巻回した状態にバンド9をロックするロック爪11(図4参照)が形成されている。バンド9にはロック爪に係止する面に長手方向に多段のラチェット爪が形成されて、ワイヤハーネス等に長尺部材をしっかりと包持した状態にロックする。なお、図示の実施形態においては、クリップ1は、ワイヤハーネス等の長尺部材を保持するバンドクリップとして示されているが、例えば、バンドを持たずに取付部材を被取付部材に取付けるクリップ等であってもよく、被取付部材の取付穴に固定部を挿入して固定するタイプのクリップであればよい。
【0014】
図2〜図6を参照して、クリップ1の本体2及び固定部3の構造を詳細に説明する。本体2には、上面に、既述のバンド9及びバックル10を有し、下面に、固定部3が一体に垂下するように連結されている。固定部3に連結する本体2の部分には、固定部3に隣接する位置に、大径のフランジ13が形成されている。フランジ13は、被取付部材の取付穴を通過しない大きさの直径を有し、その外周縁部は、吸盤形状に形成されて弾性的に被取付部材に押圧する弾性を有する。これによって、クリップ1が被取付部材に取付けられた後のぐらつきを吸収でき、固定部の係止爪の係止を強化する。
【0015】
固定部3は、図2、図3及び図6に図示のように、本体2から延びる中空の箱形ブロックで成る。固定部3は、その横断面(図2の線C−Cでの横断面を示す図5及び図6(C−C線より下方向に見た斜視図)参照)において、一対の対向する長辺L1及びL2と一対の対向する短辺S1及びS2とを有する矩形又は長円の輪郭を持つように形成されている。図示の実施形態においては、長円に形成されている。固定部3は、図6に図示のように、2つの短辺S1及びS2の部分がそれぞれ剛性の半円の柱14で成り、2つの柱14の間は空間に形成され、それぞれの長辺L1、L2の部分は、係止爪15(後述)と、係止爪14と短辺部分の柱14との間の空間とで形成されている。固定部3の箱形ブロックの端部(下端部)は、2つの柱14の端部(下端部)を相互に連結する剛性の板状体17で形成されている。固定部3が、剛性の柱14と端部の板状体17とで箱形のブロックを構成することによって、固定部自体の剛性が強固になり、被取付部材の取付穴への取付けにおいてぐらつきを減少でき、取付け強度も向上する。なお、本体2に形成されたバンド9とバックル10とは、図1(A)及び図7に図示のように、長尺部材としてのワイヤハーネス5が長手方向が固定部3の長辺L1、L2に沿う状態で本体2に保持されるように形成されている。
【0016】
固定部3には弾性の係止爪15が一対形成されている。係止爪15は、固定部3が被取付部材の取付穴に挿入されると、取付穴の縁部に係止して係止爪15と本体2のフランジ13とが被取付部材を挟持することによって被取付部材に取付けられる。係止爪15は、一対の長辺L1及びL2に沿って、長辺の一部を形成するように1つずつ形成されている(図3、図5及び図6)。一対の係止爪15は、横断面において一方の係止爪15が他方の係止爪15に対して対角方向となるように配置されている。詳細には、図5及び図6に示すように、横断面において、一方の長辺L1側の係止爪15は、対面する長辺L2の側の空間に対面し、他方の長辺L2側の係止爪15は、対面する長辺L1の側の空間に対面する配置されている。これによって、成形において、スライドを必要とせずに容易に成形でき、また、固定部3を取付穴に挿入するときに、2つの係止爪15が内側に倒れ込むときに相互に干渉することがなく、容易な挿入が維持できる。更に、係止爪15は、一対の長辺L1及びL2のそれぞれに長辺の一部を形成するように形成され、被取付部材の長穴形状の取付穴に対してその長手方向に位置をずらすことができる。従って、複数の取付穴に挿入する場合のクリップの取付位置のピッチのばらつき又は取付穴のピッチのばらつきを吸収できる。各係止爪15は、図6及び図4に示されるように、固定部3の端部の板状体17から立ち上がってフランジ13に向けて延びている。そして、係止爪15は、先端の係止肩の部分が、固定部3を形成する箱形ブロックの側面より横方向において外側に突出している。被取付部材の取付穴へ固定部3を挿入した場合、各係止爪15は、その弾性によって内側に倒れ込み、取付穴を係止爪15が貫通すると、その弾性によって元の姿勢に復帰して、係止爪15の係止肩が取付穴の縁部に係止する。係止爪15と本体2のフランジ13とが被取付部材を挟持することになり、これによって、クリップ1が被取付部材に取付けられる。なお、係止爪の先端には、多段の係止肩が形成されており、これによって、被取付部材の板厚の違いに対応できる
【0017】
一方の係止爪15と他方の係止爪15とは、固定部3の中央の空間18において、弾性の係止爪連結片19によって相互に連結されている。係止爪連結片19は、一対の係止爪15に、それぞれの係止爪15を外方に張り出す弾性を加えるように形成されている。係止爪連結片19は、一対の係止爪15の先端を相互に連結する、薄肉の弾性の帯条片で成る。係止爪連結片19は、固定部3を被取付部材の取付穴に挿入した場合の係止爪15の内側への倒れ込みによって、横断面においてゆるやかな(大きな)ほぼS字形状に撓められる形状に形成されている。これによって、係止爪が内側へ撓む場合に係止爪連結片19が邪魔せずに、固定部の容易な挿入が維持される。図5及び図6には、係止爪15に内側に倒れ込む力が加わらない状態にあっても、係止爪連結片19が、大きくS字形に形成されていることが示されている。このように、固定部3の横断面において長辺L1及びL2に沿って且つ対角方向に配置された一対の係止爪15が、弾性の係止爪連結片19によって相互に連結されているので、一対の係止爪15に総合的な剛性を付与するとともに、係止爪自身の弾性に加えて、一対の係止爪15を外方に張り出す弾性を付与する。従って、係止爪15の係止力を増大させ、これによって、係止爪15の低い剛性を補って、クリップ1の被取付部材への固定を強固にする。取付け後においても、クリップ1に抜け外れる外力が加わった場合にも、係止爪連結片19は係止爪15に十分な張り出し方向の力を加えるので、抜け外れ防止効果が高い。
【0018】
上記構成のクリップ1を用いて、長尺部材としてのワイヤハーネス5を被取付部材としてのパネル6に取付ける操作を、図7を参照して説明する。ワイヤハーネス5が本体2のバックル10の上面に形成された台部分に載置されて、バンド9がワイヤハーネス5を包持するように巻回されてバンド9がバックル10のガイド穴に挿入され、バンド先端が強く引出される。バンド9のラチェット爪にバックル10のロック爪11が係止してクリップ1はワイヤハーネス5の所定位置に固定される。ワイヤハーネス5は通常長いものであり、複数の個所にクリップ1が配置される。クリップ1は、パネル6の所定位置に形成された取付穴7に固定部3を挿入することで、パネル6に固定される。取付穴7に固定部3を挿入すると、本体2のフランジ13がパネル6に接面し、強く押込むことによって、フランジ13の弾性外周縁部がパネル6を弾性的に押圧する。他方、固定部3の係止爪15の先端の係止肩がパネル6を貫通して取付穴7の縁部に係止する。パネル6の取付穴7へ固定部3を挿入した場合、各係止爪15は、その弾性によって内側に倒れ込み、取付穴7を係止爪15の係止肩が貫通すると、その弾性によって元の姿勢に復帰して、係止爪15の係止肩が取付穴の縁部に係止する。係止爪15と本体2のフランジ13とがパネル6を挟持することになり、これによって、ワイヤハーネス5を保持したクリップ1がパネル6に取付けられ、ワイヤハーネス5がパネル6に取付けられる。一対の係止爪15は、弾性の係止爪連結片19によって相互に連結されており、一対の係止爪15の弾性に加えて係止爪連結片19が係止爪15を更に外方に張り出す弾性を付与する。従って、係止爪15の係止力を増大させ、これによって、係止爪の低い剛性を補って、クリップの被取付部材への固定を強固にする。また、フランジ13の外周縁部は、吸盤形状に形成されて弾性的にパネル5に押圧する弾性を有するので、クリップ1がパネル5に取付けられた後のぐらつきを吸収でき、固定部3の係止爪15の係止を強化する。
【0019】
上記のように、ワイヤハーネス5は通常長いものであり、多くの場合、複数の個所にクリップ1が配置され、クリップ1は、パネル6の複数の所定位置の取付穴7に取付けられる。その場合において、クリップ1の間隔すなわちピッチと取付穴7の間隔すなわちピッチがずれることがある。図示の実施形態におけるクリップ1は、そのピッチずれを修正して、ピッチずれを吸収できる。図7及び図8において、パネル6の取付穴7はワイヤハーネス5の長手方向に長い長穴として形成されている。他方、本体2に形成されたバンド9とバックル10とは、ワイヤハーネス5を、その長手方向が固定部3の長辺L1、L2に沿う状態で本体2に保持するように形成されている。更に、固定部3は、その横断面において矩形又は長円の輪郭を持つように形成され、係止爪15は、固定部3の横断面における長辺L1、L2に沿ってその一部を形成するように形成されている。図8において、係止爪15は、2つの矢印21で示すように、外側方向に張り出す。複数のクリップ1のピッチと複数の取付穴7のピッチにずれがある場合、図7及び図8の矢印22に示す方向にずらすことができ、これによって、複数の取付穴に挿入する場合のクリップの取付位置のピッチのばらつき又は取付穴のピッチのばらつきを吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の1実施形態に係るクリップを示しており、(A)はクリップの正面図、(B)はクリップの右側面図である。
【図2】図1(A)のクリップの円Aで囲んだ本体及び固定部の正面図である。
【図3】図2のクリップ部分の底面図である。
【図4】図2のクリップ部分のB−B線断面図である。
【図5】図2のクリップ部分のC−C線断面図である。
【図6】図2のクリップ部分をC−C線で切断した固定部の斜視図である。
【図7】図1のクリップにワイヤハーネスを保持させてクリップをパネルに取付ける前の斜視図である。
【図8】パネルの取付穴と固定部及び係止爪の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 クリップ
2 本体
3 固定部
5 ワイヤハーネス(長尺部材)
6 パネル(被取付部材)
7 取付穴
9 バンド
10 バックル
11 ロック爪
13 フランジ
14 柱
15 係止爪
17 板状体
18 固定部の空間
19 係止爪連結片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材の取付穴に挿入される固定部と該固定部に一体に形成された本体とを備え、前記固定部には弾性の係止爪が形成され、該固定部が被取付部材の取付穴に挿入されると前記係止爪が取付穴の縁部に係止して該係止爪と前記本体とが被取付部材を挟持することによって該被取付部材に取付けられる、クリップであって、
前記固定部は、前記本体から延びる中空の箱形ブロックで成り、且つ、該固定部の横断面において一対の対向する長辺と一対の対向する短辺とを有する矩形又は長円の輪郭を持つように形成されており、前記係止爪は、前記一対の長辺のそれぞれに、該長辺の一部を形成するように1つずつ形成され、該一対の係止爪は、前記横断面において一方の係止爪が他方の係止爪に対して対角方向となるように配置されており、更に、前記一方の係止爪と前記他方の係止爪とは、該固定部の中央の空間において弾性の係止爪連結片によって相互に連結されており、前記係止爪連結片は、前記一対の係止爪に、該一対の係止爪を外方に張り出す弾性を加えるように形成されている、
ことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップにおいて、前記固定部は、前記横断面において2つの短辺の部分がそれぞれ剛性の柱で成り、前記長辺部分は、前記係止爪と、該係止爪と前記短辺部分との間の空間とで形成されており、前記固定部の箱形ブロックの端部は、前記2つの柱の端部を相互に連結する剛性の板状体で形成されている、ことを特徴とするクリップ。
【請求項3】
請求項2に記載のクリップにおいて、前記係止爪は、前記板状体で成る前記固定部端部から前記本体の方向に延びる弾性片で成る、ことを特徴とするクリップ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリップにおいて、前記係止爪連結片は、前記一対の係止爪の先端を相互に連結する薄肉の帯条片で成り、前記係止爪連結片は、前記固定部を被取付部材の取付穴に挿入した場合の前記係止爪の内側への倒れ込みによって前記横断面においてほぼS字形状に撓められる形状に形成されている、ことを特徴とするクリップ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリップにおいて、前記本体には、前記固定部に隣接する位置に、弾性の外周縁部を有するフランジが形成されている、ことを特徴とするクリップ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリップにおいて、前記本体には、ワイヤハーネス等の長尺部材を巻回するバンドと、該バンドが長尺部材を巻回した状態に保持するバックルとが設けられ、前記バンドと前記バックルとは、長尺部材はその長手方向が前記固定部の前記長辺に沿う状態で前記本体に保持されるように、前記本体に形成されている、ことを特徴とするクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−151174(P2010−151174A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327755(P2008−327755)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】