説明

クリーニング方法、クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】 本発明の課題は、像担持体や異物除去部材の寿命を長くできると共に画像品質の維持を図れるクリーニング方法、クリーニング装置及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 像担持体21、31と、像担持体21、31に接触しつつ像担持体表面の異物を除去する異物除去部材51と、像担持体21、31に接触する対向部材33と、対向部材に振動を与える振動付与手段70とを備え、対向部材33に振動を付与して対向部材33に接触する像担持体21、31を振動させると共に、像担持体表面に付着した異物を異物除去部材51で掻き取っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙粉や転写後の残留トナーを除去するクリーニング方法、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置のクリーニング装置において、像担持体に異物除去部材(ブレード)を当接させて用紙から出てくる紙粉や残留トナーを掻き取って、像担持体上に紙粉や残留トナーが体積するのを防止している。
【0003】
また、特許文献1には異物除去部材に超音波装置を備え、超音波により異物除去部材を小刻みに振動させて、像担持体上の紙粉や残留トナーを除去する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、叩打部材を像担持体の内側に設け、叩打部材で像担持体を叩いて像担持体に振動を与えて紙粉や残留トナーを除去する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第2983308号
【特許文献2】特開平5―181395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の従来技術では、異物除去部材自体を小刻みに振動させているので、異物除去部材と像担持体との摩擦による異物除去部材の磨耗が激しく、部材の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載の従来技術では、叩打部材で像担持体を直接叩いて像担持体に振動を与えているので、像担持体の表面に傷が発生して画像劣化の原因になるという問題があった。
【0008】
本発明は、像担持体や異物除去部材の寿命を長くできると共に画像品質の維持を図れるクリーニング方法、クリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する為に、請求項1に記載された発明は、像担持体と、像担持体に接触しつつ像担持体表面の異物を除去する異物除去部材と、像担持体に接触する対向部材と、対向部材に振動を与える振動付与手段とを備え、対向部材に振動を付与して対向部材に接触する像担持体を振動させると共に、像担持体表面に付着した異物を異物除去部材で掻き取ることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、像担持体は中間転写ベルトであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、異物除去部材はクリーニングブレードであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、対向部材は金属ローラであることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、振動付与手段は超音波であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のクリーニング方法を用いたクリーニング装置であることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載された発明は、入力された画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置において、請求項6に記載のクリーニング装置を用いたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載の発明において、使用するトナーの平均円形度が0.90〜0.99であることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載された発明は、請求項7に記載の発明において、使用するトナーの形状係数SF−1が120〜180であり、形状係数SF−2が120〜190であることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載された発明は、請求項7に記載の発明において、トナーの体積平均粒径をDv、個数平均粒径をDnとした時、トナーの粒度分布を表すパラメータDv/Dnが1.05〜1.30であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、対向部材に振動を付与し、対向部材から像担持体に伝わる振動と異物除去部材による掻き取りにより像担持体上の異物を除去するので、従来技術のように異物除去部材自体に直接振動を付与しないので、異物除去部材の磨耗を抑えることができ、異物除去部材の寿命を長くできる。また、像担持体に直接振動を付与しないので、像担持体の表面に傷が発生し難く、像担持体の寿命を長くでき且つ画像品質の維持を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図1は図7に示すクリーニング装置を拡大して示す概略図、図2は図7に示す画像形成装置の像担持ベルトの配置を示す概略図、図3は第1の画像形成ユニットにおける感光体の一つを抜き出して示す拡大図、図4は第2の画像形成ユニットにおける感光体の一つを抜き出して示す拡大図、図5及び図6はトナーの形状係数に関する説明図である。図7は本発明に係るクリーニング装置が適用される画像形成装置の内部の構成を示した縦断面図である。
【0021】
図7に示す画像形成装置本体100の内部において、記録媒体搬送路43Aを境にして、上部には矢印方向に無端移動する第1像担持ベルト(中間転写ベルト)21(耐熱ベルト;表面粗さ(Rz)が10μ以下)を備えた第1像担持体ユニット20を備え、下部には矢印方向に無端移動する第2像担持ベルト(中間転写ベルト)31(耐熱ベルト;表面粗さ(Rz)が10μ以下)を備えた第2像担持体ユニット30が配備されている。
【0022】
第1像担持ベルト21の上部張架面には、4個の第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kが配置されており、第2像担持ベルト31の傾斜した張架面には、4個の第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kが配備されている。これら第1、第2画像形成ユニットの番号に備えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応させているもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。第1、第2画像形成ユニット20、30に備えられ、第1像担持ベルト21と第2像担持ベルト31と共に回転する感光体1にもY、C、M、Kを備えている。尚、感光体1Yから1Kは同間隔で配置され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ像担持ベルト21、31との張架部の一部と接触する。この接触する面を受像面と呼び、互いの位置関係を図2に示す。
【0023】
第1画像形成ユニット80と第2画像形成ユニット81とは扱うトナーの色は異なるが、構成は同じであるので、代表として第1画像形成ユニット80の構成を図3により説明する。図3において、画像形成装置100の動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう回転可能に支持された円筒状の感光体1の周囲に、静電写真プロセスに従い帯電手段であるスコロトロンチャージャ3、露光装置4、現像装置5、感光体クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や電位センサS1、画像センサS2が配設されている。
【0024】
感光体1は、例えば直径30〜120mm程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)を形成したものである。アモルファスシリコン(a−Si)層を形成した感光体も採用可能である。またベルト状の感光体も採用できる。感光体クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2cを備え、感光体表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
【0025】
露光装置4は、各色ごとの画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示した露光装置4は、発光素子としてLED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置であるが、レーザ光源、ポリゴンミラー等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザスキャン方式の露光装置も採用できる。
【0026】
現像装置は、トナーとキャリヤからなる2成分現像剤を採用している現像方式である。負荷電の感光体1に対しレーザビームにより各感光体1の表面に形成された色毎の静電潜像は、感光体を帯電極性と同極性(マイナス極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる。いわゆる反転現像が行われる。イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナーは、各色を扱う現像装置で消費されると、透磁式のトナー検知手段5eにより検知され、画像形成装置100内部のトナーカートリッジ収納部85に備えるトナーカートリッジ86から、不図示の供給手段により、各色のトナーを各現像装置5に供給される。
【0027】
供給手段として、公知のモーノポンプを用いる方式のものが採用できる。この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ない為、画像形成装置100内部のスペース配分に対し有利である。またトナーが適時補給できる為、現像装置5に大きなトナー貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【0028】
現像装置5には、トナーとキャリヤの攪拌、搬送用のスクリュー5cや5dが備えてある。現像装置5が画像形成装置100に装着されている時、上記トナー補給手段の一端が、スクリュー5dの一部に接続されている。スクリュー5cによりトナーは、矢印方向に回転する現像ローラ5aに供給されるが、ブレード5bにより、現像ローラ5a表面のトナー層の厚みは、所定の厚みになるよう規制される。
【0029】
現像ローラ5aは、ステンレスやアルミニュウム製の円筒で、回転可能にかつ感光体との距離が正規に確保されるように現像装置5のフレームに支持され、内部には所定の磁力線が構成されるようにマグネットが備えてある。使用するトナーは平均円形度が0.90
〜0.99、形状係数SF−1が120〜180、形状係数SF−2が120〜190でありDv/Dnが1.05〜1.30である。〔Dvは体積平均粒径(μm)、Dnは個数平均粒径(μm)〕。またキャリヤも従来公知の方法で得られるものが用いられる。キャリヤの粒径として、体積平均粒径が25μmから60μm程度である。
【0030】
第2の像担持体ユニット30に使われる第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kについても、代表して第2の画像形成ユニット81として、図4により説明する。第2の画像形成ユニット81は、第1の画像形成ユニット80と構成部材が同じであるが、図3のものと比べ感光体1の回転方向が異なっている。しかし互いに、図中の矢印で示す感光体1の回転軸1aを通るy軸に対し対象の形をしている。この形状は、感光体1の周囲に配備する画像形成用部材の配置にも関係するが、重要な事項である。つまり画像形成装置100との結合部、例えば駆動手段との結合部、電気的接続部、トナー供給部、トナー排出部の結合方法を配慮しておけば、第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kと、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kとに互換性をもたせることができる。従って第1の画像形成ユニットと第2の画像形成ユニット用に個別に現像装置、クリーニング装置、部品を製造する必要がなく、部品製造、部品の管理上での効率が高く、全体のコスト低減が図れる。
【0031】
第1と第2の画像形成ユニットをy軸中心にした軸対象の形で、第1の像担持体ユニット20と第2の像担持体ユニット30で使用できる第1条件として、感光体1の周囲で画像形成の為の部材を配備していない周面が確保されていること、つまり像担持ベルトが当接可能な範囲が広く確保されていることが挙げられる。そして第2条件として、第1の像担持ベルト21と第2の像担持ベルト31の配置角度が適切であることが挙げられる。
【0032】
上記の第1条件、第2条件について図3、図4により説明する。図3又は図4において、像担持ベルト21或いは31は、矢印A1とA2の間に設置可能である。つまりA1側は現像装置5で、A2側はクリーニング装置2にベルトが接触しない範囲に像担持ベルトが設置できることを示している。図3に第2の像担持ベルト31を含めているのは、感光体1の回転軸1aを含むy軸に対し対象の画像形成ユニットが配置できる像担持ベルトを示している。
【0033】
もし、画像形成ユニット80をy軸に直交する軸を対象に上下反転して画像形成ユニット81として使うとすると、地球重力の影響があり、少なくとも現像装置5において、トナーの攪拌、現像ローラ5aへのトナー補給等の条件は異なり、それぞれ最適化しなければならず、部品の共通化も不可能となる。
【0034】
図2に示すように、第1像担持ベルト21の受像面に対し第2像担持ベルト31の受像面との位置関係として角度αが180度を越えて270度、好ましくは210度から255度とした時、画像形成ユニットとして、第1像担持ベルトには図3に示す形態、第2像担持ベルトには図4に示す形態のものが採用できる。つまり上記のごとく部品の共通化を不可能にしてしまう画像形成ユニットとなることが回避できた。
【0035】
また図2のように、第2の画像形成ユニット81の上方に、記録体搬送路をほぼ水平にかつ直線的に確保できるので、記録体の搬送・信頼性に優れ、画像形成装置全体のまとまりが良好となる。特に第1像担持ベルト21を水平方向に長く且つ扁平に張架し、第2像担持ベルト31を縦方向に長くかつ傾斜させて張架したので、記録体搬送路を境にして下方に第2像担持ベルト31の高さ方向のスペースが大きくなるが、この第2像担持ベルト31の占める高さとほぼ同じ高さの給紙装置が並べて設置できる。これにより大量の用紙が収納可能な給紙装置が設置でき、しかも給紙装置の上面の給紙面と記録体搬送路とがほぼ同じ高さにでき、用紙の給紙・搬送信頼性が確保できる。このように、本発明においては、感光体周囲の画像形成用装置の配置と、像担持ベルトの配置、つまり上記第2条件の実現により、画像形成ユニット80と81で共通点を多く有しており、製造面でも非常に有利となっている。
【0036】
複数のローラ23〜29により支持されて矢印方向に走行する、像担持体としての第1像担持ベルト21が、第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kの下部に設けられている。この像担持ベルト21は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。また第1像担持ベルト21の内周部には各感光体1Y、1C、1M、1Kに対向させて1次転写ローラ22が設けられている。
【0037】
第1像担持ベルト21の外周部には、ローラ23に対向する位置に異物除去装置50Aが設けられている。この異物除去装置50Aは、像担持ベルトベルト21の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。上記の像担持ベルト21に関連する部材は、第1像担持体ユニット20として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱可能である。
【0038】
第2像担持ベルト31は複数のローラ33〜38により支持されており、図中矢印方向に走行する。また第2像担持ベルト31は、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kに接触している。像担持ベルト31は無端状で、各感光体1の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。像担持ベルト31の内周部には各感光体1Y、1C、1M、1Kに対向させて1次転写ローラ32が設けられている。
【0039】
第2像担持ベルト31の外周部には、ローラ33に対向する位置に異物除去装置(クリーニング装置)50Bが設けられている。この異物除去装置50Bは、像担持ベルト31の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。像担持ベルト31に関連する部材は、第2像担持体ユニット30として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱可能である。
【0040】
次に像担持ベルトの構成、材質について説明する。像担持ベルト21、31は基体の厚さが50〜600μmの樹脂フィルム或いはゴムを基体とするベルトであり、各感光体1が担持するトナー像を、1次転写ローラ22、32に印加するバイアスにより静電的にベルト表面に転写を可能とする抵抗値を有する。また、像担持ベルトの表面にはポリアミドにカーボンを分散し、その体積抵抗値は、106〜1012Ωcm程度に抵抗が調整されている。またベルトの走行を安定させる為のベルト寄り止めリブを、ベルト片側或いは両側端部に設けてある。
【0041】
1次転写ローラ22、32は芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。導電性ゴム材料はウレタンゴムにカーボンが分散され、体積抵抗105Ωcm程度に抵抗が調整されている。
【0042】
本実施の形態に係る画像形成装置ではカラーによる記録のみならず、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。モノクロ記録の場合には、使用されない感光体が存在する。そこで使用されない感光体1Y、1C、1M或いは現像装置5を稼動させないだけでなく、使用されない感光体1と像担持ベルト21或いは31とを非接触に保つ為の機構を備えている。本実施の形態では、ローラ26と1次転写ローラ22を支持する内部フレーム(不図示)を設けておき、ある点を中心に回動可能に支持している。そして、感光体1から遠ざかる方向に回動させることにより、感光体1Kだけが像担持ベルト21、31と接触して、作像工程を実行することにより、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。このようにモノクロ画像の形成時には使用しない感光体を像担持ベルト21、31に接触しないようにしているので、感光体の寿命向上を図ることができる。
【0043】
第1像担持ベルト21の外周側で且つ支持ローラ28の対向位置には、第1の2次転写ローラ46が設けてある。二次転写ローラ46は芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴムを被覆したものであり、芯金部に、不図示の電源からバイアスが印加される。上記ゴムにはカーボンが分散されており、体積抵抗は107Ωcm程度に抵抗が調整されたものである。第1像担持ベルト21と二次転写ローラ46の間に記録媒体(以下用紙P)を通過させながら、第1の2次転写ローラ46にバイアスを印加することで第1像担持ベルト21が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。
【0044】
第2像担持ベルト31の外周側で且つ支持ローラ34の対向位置には、第2の二次転写手段である転写チャージャ47が設けてある。転写チャージャ47は公知タイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に電源から転写電流が印加される。像担持ベルト31と転写チャージャ47の間に用紙Pを通過させながら、転写電流を印加することで第2像担持ベルト31が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。上記二次転写ローラ46と転写チャージャ47に印加される転写電流の極性は、共にトナーの極性と逆のプラス極性である。
【0045】
画像形成装置100の右側には用紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されている。給紙装置40は複数段に設けてあり、上段に大量の用紙を収納した給紙トレイ40a、その下方に3段の給紙カセット40b、40c、40dがそれぞれ紙面に対し直角手前側(操作面側)に引出し可能に配設されている。これら給紙トレイ40aや給紙カセット40b、40c、40d内に収納された用紙Pのうち、最上位置の用紙は、対応する給紙・分離手段41A〜41Dにより選択的に給紙、分離され、確実に一枚だけが複数の搬送ローラ対42Bにより記録体搬送経路43B、43Aに送られる。
【0046】
記録体搬送経路43Aには、二次転写位置へ用紙Pを送り出す給送タイミングをとる為、一対のレジストローラ45が設けられている。更に用紙の搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にする為のジョガー44が、記録体搬送経路43Aに設けてある。ジョガー44は、用紙の搬送方向に対し両側から用紙の端部に向け移動するガイド部材を備えていて、走行中の用紙の両側からガイドが用紙を一瞬押しつけることで用紙を所定の位置に整合させる。用紙Pは、レジストローラ対45から、第1像担持ベルト21と二次転写ローラ46で構成される第1の転写ステーションたる転写領域に向けて搬送される。その後、第2像担持ベルト31と転写チャージャ47で構成される第2の転写ステーションたる転写領域に向けて搬送される。
【0047】
搬送ローラ対42Cを有する記録体搬送路43Cには、その搬送方向上流に設置可能な別の給紙装置300から用紙が供給可能となっている。給紙トレイ40aの最上位の用紙が給紙され、その後曲げられることなく、ほぼ水平に真直ぐ搬送されるように、給紙トレイ40aの上部給紙面が配備してある。そのため厚い用紙、剛性の高い板紙でも確実に給紙できる。尚給紙トレイ40aには、多様な特性の用紙が収納されても確実に給紙できるよう、バキューム機構からなるエアー給紙を採用すると好都合である。尚、記録体搬送路43Cの要所に用紙を検知する為のセンサを設けて、用紙の存在を基準とする各種信号のトリガーとしている。
【0048】
記録体搬送路43Aの延長上には記録体移送手段150を備えている。記録体移送手段150は第2の転写ステーションを通過した用紙を、記録体の搬送方向下流に備えた定着装置160における定着ニップまで平面状態を保って搬送させている。記録体移送手段150は、矢印方向に無端移動する搬送ベルト151を支持するローラ152〜156を有し、搬送ベルト151の外側には、搬送ベルトクリーニング装置155、記録体Pを吸着させ吸着用チャージャ157、除電・分離チャージャ158を備えている。搬送ベルト151は吸着用チャージャ157により、トナーの極性と同極性のマイナス帯電が施される。搬送ベルト151として、金属ベルト、ポリイミドベルト、ポリアミドベルトなどが採用できる。表面にトナーとの離型性を与えると共に、帯電可能の抵抗値を備える。このベルト151の走行速度は、定着装置における記録体の走行速度と合わせてある。
【0049】
記録体搬送手段150の用紙搬送方向下流側には、加熱手段を有する定着装置160が設けられている。定着装置160はローラ内部にヒータを備えるタイプ、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、加熱の方式に誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。また用紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにする為、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、或いは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるように制御している。
【0050】
定着の終了した用紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させる為、冷却機能を有した冷却ローラ対170を定着後の搬送路に備えている。冷却ローラ対170は放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された用紙は、排紙ローラ対171により、画像形成装置100の左側に設けた排紙スタック部175に排紙、スタックさせる。この排紙スタック部175は、大量の用紙をスタック可能にする為エレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。尚排紙スタック部175を通過させ、別の後処理装置に向けて用紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本の為の装置である。
【0051】
画像形成装置100の上側に設けた収納空間85には各色のトナーカートリッジ86Y、86C、86M、86Kが、着脱可能に収納空間85に収納される。不図示のトナー搬送手段により、各現像装置に必要に応じトナーを供給するようになっている。本実施例では、上下に配された画像形成ユニット80、81に対し、トナーカートリッジは共通にしているが、別々にすることもできる。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジ86Kを、特に大容量としておくことも可能である。この収納空間85は、画像形成装置上面で操作方向から見て奥側にあって、画像形成装置上面の手前側は平面部分が確保されている為、作業台として利用できる。
【0052】
画像形成装置100の上面に備えた操作、表示ユニット90には、キーボード等が備えてあり、画像形成の為の条件などがインプットできるし、装置の状態等を表示部に表示され、操作者と画像形成装置との情報交換を容易なものとする。また画像形成装置100内部に備える電装・制御装置195には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。定着装置160による熱や電装装置からの発熱により、画像形成装置100の内部は高温になるが、その対策としてファンFを設けて、内部部材の熱による機能低下を防止している。またこのファンFは冷却ローラ対170の放熱部と結合してあり、冷却ローラ対170の冷却効果を確実にしている。図中200で示すのは原稿読取装置、300は追加設置が可能の給紙装置である。
【0053】
次に上記の構成において、用紙Pの片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。片面記録の方法は基本的に2種類あり、選択が可能となっている。一つは、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する方法であり、他の方法は、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する方法である。本実施の形態では画像形成装置100の構成から、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する場合には、画像が用紙の上面に、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する場合には、画像が用紙の下面に形成される。記録するべきデータが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせるよう、第1の像担持ベルト21に画像を担持させた後、用紙に転写させる方法について説明する。
【0054】
画像形成装置100を稼動させると、第1の像担持ベルト21と第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kが回動する。同時に第2の像担持ベルト31が回動するが、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kは第2の像担持ベルト31と離間されると共に不回転状態にされる。まず、画像形成ユニット80Yによる画像形成から開始される。次にLED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置3により一様帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ5aによりイエロートナーで現像されて可視像となり、1次転写ローラ22の転写作用により感光体1Yと同期して移動する第1像担持ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が感光体1C、1M、1K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。この結果、第1像担持ベルト21上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、第1像担持ベルト21と共に矢印の方向に移動される。
【0055】
同時に給紙装置40の中の給紙トレイ40a或いは給紙カセット40b〜40dから、記録に使われる用紙Pがその供給の為の給紙・分離手段41Aから41Dの一つにより繰り出され、搬送ローラ対42B,42Cにより記録体搬送路43Cに搬送される。用紙の先端がレジストローラ対45に咥えられない前に、ジョガー44は、用紙の搬送方向に対し両方の横方向から、用紙の両辺を押すように作動し、用紙横方向の位置整合が図られる。レジストローラ対45は静止しており、用紙の先端はレジストローラ対45のニップに入り込んだ状態で静止するが、第1像担持ベルト21上の画像との位置が正規なものとなるよう、タイミングをとってレジストローラ対45が回転し、用紙を転写領域に搬送する。
【0056】
第1像担持ベルト21上のこのフルカラートナー画像は、第1像担持ベルト21と同期して搬送される用紙Pの上面に、二次転写ローラ46による転写作用を受けて転写される。二次転写ローラ46に与えられるバイアスは、トナーの帯電極性と逆のプラス極性である。その後、第1像担持ベルト21の表面が、異物除去装置50Aによりクリーニングされる。また1次転写を終了した第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kの表面に残留するトナーは感光体クリーニング装置2のクリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2bにより、各感光体1の表面から除去される。各感光体1の表面は除電装置Qによる残留電位の除電作用が行われて次の作像・転写工程に備える。除去されたトナー等の異物は、回収手段2cにより、回収部87に送られる。尚センサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御の為に不図示の制御手段に情報を出す。
【0057】
像担持ベルト21に重ねられて担持されていたトナー画像が転写された用紙Pは、搬送装置150の搬送ベルト151により定着装置160に向け移送される。用紙Pを確実に搬送ベルト151と共に移送できるように予め移送ベルト151の表面を、用紙の吸着用チャージャ157により帯電する。用紙Pが搬送ベルト151から分離され、確実に定着装置160に送られるように、除電・分離チャージャ158が作動する。
【0058】
用紙P上に重ねられていた各色のトナーが定着装置160の熱による定着作用を受け、溶融、混色されて完全にカラー画像となる。用紙の片面(上面)だけにトナーを有しているので、両面にトナーを有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギは少なくて済む。制御手段により画像に応じて定着装置160の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナーも用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等にこすられ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止する為、冷却手段である冷却ローラ対170が作動し、トナーと用紙を冷却する。その後、排紙ローラ171により排紙スタック部175に、画像面が上向きとなって排紙される。排紙スタック部175では若い頁の記録物が順次上に重ねられてスタックされるように、作像順序がプログラムされている。排紙スタック部175は、排紙される用紙の増加に従って下降するので、用紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。記録済みの用紙を排紙スタック部175に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施するとか、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置など後処理装置に搬送することもできる。
【0059】
用紙Pの片面に画像を形成させる他の方法では、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける画像の形成を行わないようにするのと、頁揃えの為に若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なるが、基本的には上記の片面記録の工程と同じなので、詳細を省く。
【0060】
次に用紙Pの両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。画像形成装置100に開始信号が入力されると、上述の片面記録の動作で説明した第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kで順次形成する各色ごとの画像を、第1像担持ベルト21に順次1次転写させ、第1の画像として担持させる工程とほぼ平行して、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kで順次形成する各色ごとの画像を第2像担持ベルト31に順次1次転写させ、第2の画像として担持させる工程が行われる。図7に示す構成では上記第1の画像と第2の画像が、用紙の搬送方向先端で位置的に合致する為には、第1の画像の形成開始より遅れて第2の画像の形成が開始される。また用紙はレジストローラ対45で静止と再送が行われるので、その時間も見込んで給紙され、ジョガー44で整合される。レジストローラ対45は、タイミングをとって用紙を第1の2次転写手段である転写ローラ46と第1像担持ベルト21で構成された第1転写ステーションに搬送する。転写ローラ46にプラス極性の転写電流が印加され、第1像担持ベルトから用紙Pの片面(図では上面)に画像が転写される。
【0061】
このようにして片面に画像を有した用紙Pは、転写ローラ46の搬送作用により、引き続き第2の二次転写手段たる転写チャージャ47のある第2転写ステーションに送られる。そして転写チャージャ47にプラス極性の転写電流が印加されることにより、第2像担持ベルト31に予め担持されているフルカラーの第2の画像が、一括して用紙Pの下面に転写される。
【0062】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト151により定着装置160へと移送される。吸着用チャージャ157により、搬送ベルト151の表面はトナーの極性と同じマイナス極性で帯電され、用紙下面の未定着のトナーがベルトに移らないようにしている。除電・分離チャージャ158には、交流が印加され、用紙はベルト151から分離され、定着装置160へと移送される。定着装置160の熱による定着処理を受け、用紙の両面のトナー画像が溶融、混合される。用紙は引き続いて冷却ローラ対を通過し、排紙ローラ171により排紙スタック部175上に排紙される。
【0063】
複数の頁の用紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御すると、そこから取り出し、上下面を逆にした時記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御手段(不図示)により実行される。片面記録、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。
【0064】
次に中間転写ベルト21、31の外周面に当接してトナー、紙粉を除去する異物除去装置(クリーニング装置)50A、50Bについて説明する。図1は図7に示す異物除去装置50A、50Bのうちの50Bを拡大した図である。50Aも同様な構成であるので、図示を省略した。図1において異物除去装置50Bは、中間転写ベルト31に接触する対向ローラ(対向部材)33と、中間転写ベルト31の表面からトナー、紙粉を除去するクリーニングブレード(異物除去部材)51と、その下方に除去したトナー、紙粉を一時的に受取る受け部材52を備えている。クリーニングブレード51に対向するローラ33は金属ローラである。ここでクリーニングブレード51に対向ローラを設置するのは中間転写ベルト31の波打ちを防止する為である。対向ローラ33を金属ローラとすることで、対向ローラ33に付与された振動が減衰し難く、対向ローラ33から中間転写ベルト31に振動をしっかり伝えることができる。
【0065】
対向ローラ33には超音波発振器(振動付与手段)70を取り付けており、所定の振動数により強制的に対向ローラ33に振動を与えている。超音波発振器70を作動させることで対向ローラ33が振動し、それに伴って、中間転写ベルト31上の異物(紙粉及びトナー)はベルト上で振動して吸着力が弱くなり、ブレード51によって完全に掻き取られる。対向ローラ33に与える振動数は20KHzを超える超音波である。
【0066】
本実施の形態によれば、対向ローラ33から中間転写ベルト31に伝わる振動とクリーニングブレード51による掻き取りにより中間転写ベルト31上の異物を除去するので、従来技術のようにクリーニングブレード51に直接振動を付与しないので、クリーニングブレード51の磨耗を抑えることができ寿命を長くできる。
【0067】
中間転写ベルト31に直接振動を付与しないので、中間転写ベルト31の表面に傷が発生し難く、中間転写ベルト31の寿命を長くできる。
【0068】
中間転写ベルト31上に付着した紙粉や残トナーを除去することで、画像品質の不良の発生を防止できる。
【0069】
超音波発振器70によって対向ローラ33に振動を付与しているので、振動音が生じにくく耳障りになり難い。
【0070】
続いて、本明細書全体にわたって使用される用語「円形度」、「形状係数SF−1、SF−2」、「粒度分布」について以下に定義を与えると共に詳細に説明する。円形度とは、トナーの形状を表わす1つのパラメータである。本発明におけるトナーは特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.90未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。尚、形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.90〜0.99のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが分かった。より好ましくは、平均円形度が0.93〜0.97で円形度が0.94未満の粒子が10%以下である。また、平均円形度が0.99を越えた場合、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。例えば、画像面積率の低い画像を出力する場合、転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高い画像を出力する場合、更には給紙不良等で未転写の状態の画像が感光体上に残ってしまった場合、クリーニング不良が発生しやすい。上述したクリーニング不良を頻発するようになると、更には、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
【0071】
次にトナーの円形度の測定方法について説明する。トナーの円形度はフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0072】
次に形状係数(SF−1、SF−2)について説明する。SF−1、SF−2とは、トナーの形状を表すパラメータの一つであり、粉体工学の分野では馴染みのパラメータである。形状係数SF−1とは、図5に示すように、球形物質の形状の丸さの割合を示す値であり、球形物質を2次元平面上に投影してできる楕円状図形の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じた時の値で表される。
【0073】
つまり、形状係数SF−1は、
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)
で定義されるものである。
【0074】
このSF−1の値が100の場合には、物質の形状が真球状となり、SF−1の値が大きくなるほど、物質の形状は不定形となる。また、形状係数SF−2は、図6に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を2次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じた時の値で表される。
【0075】
つまり、形状係数SF−2は、次式、
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)で定義されるものである。
【0076】
SF−2の値が100の場合には、物質の表面に凹凸が存在しないことになり、SF−2の値が大きくなるほど、物質の表面の凹凸は顕著となる。尚、本発明の実施の形態では、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、ニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行ない、上式より算出したものである。
【0077】
トナーの形状が球形に限りなく近づく(SF−1、SF−2共に100に近づく)と、転写効率が高くなることが本発明者の検討により明らかになった。これは、形状効果によりトナー粒子と該トナー粒子と接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体等)との間では点接触しかしない為に、トナー流動性が高まったり、像担持体等に対する吸着力(鏡映力)が弱まって、転写電界の影響を受けやすくなる為と考えられる。
【0078】
一方、トナーの形状が球形に近づくと、機械的なクリーニング(ブレードクリーニング等)に対して不利に働く。このことは上述したように、トナー流動性が高まったり、像担持体等に対する吸着力(鏡映力)が弱まって、クリーニング部材と像担持体との僅かな間隙を容易にトナーが通過してしまう。よってクリーニング性の面からは、トナーの形状としては、ある程度異形化(SF−1の値が100より大きくなる方向)していたり、ある程度凸凹(SF−2の値が100より大きくなる方向)していた方が好ましい。
【0079】
次にDv/Dn(体積平均粒径/個数平均粒径の比)について説明する。Dv/Dnとは、トナーの粒度分布を表すパラメータの一つである。該トナーの体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.05〜1.30、好ましくは1.10〜1.25である乾式トナーによると、トナーの粒度分布が狭くなる為、以下のメリットが発生する。トナー粒径面での選択現像(画像パターンに応じた(適した)トナー粒径を持つトナー粒子が選択的に現像される)といった現象が発生しにくい為、常時安定した画像を形成することができる。
【0080】
トナーリサイクルシステムを塔載している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされることになるが、もともとトナーの粒度分布が狭いため、上述した作用を受けにくく、このことからも常時、安定した画像を形成することができる。二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0081】
一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
【0082】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリヤの表面にトナーが融着し、キャリヤの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。
【0083】
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.30よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.05より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、細線部分を小サイズ粒子で現像、一方、ベタ画像を大サイズ粒子を中心に現像するといったトナー粒径による機能分離ができにくくなるため、かえって好ましくない。
【0084】
次にトナー粒径に関わる測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0085】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満、2、52〜3.17μm未満、3、17〜4.00μm未満、4.00〜5.04μm未満、5.0〜6.35μm未満、6、35〜8.00μm未満、8.00〜10.08μm未満、10.08〜12.70μm未満、12、70〜16.00μm未満、16.00〜20.20μm未満、20.20〜25.40μm未満、25.40〜32.00μm未満、32、00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0086】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。上述の実施形態では、異物除去部材51としてブレードを用いたがこれに限定されず、ブラシであっても良い。
【0087】
振動付与手段は超音波に限らず、振動モータであっても良い。
【0088】
帯電手段はチャージャ3に限らず、感光体1の表面に接触させるタイプ、例えば帯電ローラであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図7に示すクリーニング装置を拡大して示す概略図である。
【図2】図7に示す画像形成装置の像担持ベルトの配置を示す概略図である。
【図3】第1の画像形成ユニットにおける感光体の一つを抜き出して示す拡大図である。
【図4】第2の画像形成ユニットにおける感光体の一つを抜き出して示す拡大図である。
【図5】トナーの形状係数に関する説明図である。
【図6】トナーの形状係数に関する説明図である。
【図7】本発明に係るクリーニング装置が適用される画像形成装置の内部の構成を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0090】
21 第1像担持ベルト(像担持体)
31 第2像担持ベルト(像担持体)
33 金属ローラ(対向部材)
51 クリーニングブレード(異物除去部材)
70 超音波発生器(振動付与手段)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、像担持体に接触しつつ像担持体表面の異物を除去する異物除去部材と、像担持体に接触する対向部材と、対向部材に振動を与える振動付与手段とを備え、対向部材に振動を付与して対向部材に接触する像担持体を振動させると共に、像担持体表面に付着した異物を異物除去部材で掻き取ることを特徴とするクリーニング方法。
【請求項2】
像担持体は中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
異物除去部材はクリーニングブレードであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
対向部材は金属ローラであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
振動付与手段は超音波であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のクリーニング方法を用いたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
入力された画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置において、請求項6に記載のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
使用するトナーの平均円形度が0.90〜0.99であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
使用するトナーの形状係数SF−1が120〜180であり、形状係数SF−2が120〜190であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
トナーの体積平均粒径をDv、個数平均粒径をDnとしたとき、トナーの粒度分布を表すパラメータDv/Dnが1.05〜1.30であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−47587(P2007−47587A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233443(P2005−233443)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】