説明

クレンジング化粧料

【課題】
保湿剤を併用しても塗布時に伸びのある使用感を持ち、メーク汚れや皮脂汚れに対する洗浄性やすすぎ性に優れ、かつ洗い流した後も皮膚保湿性が持続するクレンジング化粧料を提供すること。
【解決手段】
下記の成分(A)を0.01〜50質量%、成分(B)を0.01〜30質量%、成分(C)を0.01〜80質量%含有することを特徴とするクレンジング化粧料。
(A)下記の式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体。
O−(AO)−(CHCHCHCHO)−(AO)−R (I)
(式中、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、RとRは炭素数6〜24の脂肪酸残基、炭化水素基または水素原子であり、かつ該水素原子の割合は0.5以下である。lは、オキシテトラメチレン基の平均付加モル数で、1≦l≦40、m+nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦150を満たし、さらに、0.02≦l/(m+n)≦1を満たす。)
(B)保湿剤
(C)油性成分

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布時に伸びのある使用感を持ち、メーク汚れや皮脂汚れに対する洗浄性やすすぎ性に優れ、かつ洗い流した後も皮膚保湿性が持続するクレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【背景技術】
【0002】
クレンジング化粧料は、メークアップ化粧料や皮脂などに起因する脂汚れを落とすために日常的に使用されおり、一般的に、洗浄効果を付与するために炭化水素油、エステル油、油脂もしくはトリグリセリドといった油性成分と界面活性剤が配合されている。
クレンジング化粧料には、拭き取りタイプや、水もしくは湯で洗い流すタイプの商品があるが、近年では、肌への負担が少なく、しかもより簡便な洗い流すタイプの商品が好まれるようになってきている。このようなタイプは、一般的に洗い流す際にO/Wに転相乳化させることでメークアップ化粧料を除去している。そのため、界面活性剤としては、前述の油性成分との相溶性に優れ、なおかつ、転相乳化が容易で肌への負担が少ないポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が特に汎用されている。
一方で、近年のメークアップ化粧料は、シリコーン系やフッ素系基剤を含有させ耐水性を持たせた化粧もちに優れたものが消費者に好まれているが、一度の洗浄でこれらを除去するために、クレンジング化粧料に油性成分が高配合されると、皮膚に油性感が残ってしまう。そこで、非イオン性界面活性剤を高配合して洗い上がりのさっぱり感(すすぎ性)を追求すると、皮膚のうるおい成分まで除去されてしまう。これを補うために、保湿剤が配合されるが、高配合するとべたつき感を生じてしまい、塗布時の伸びを損なうことがあった。
【0003】
そこで、これまでに非イオン性界面活性剤を必須成分とする様々な組成物の提案がなされてきた。ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを必須成分としたゲル型クレンジング用組成物の提案がなされている(例えば特許文献1)。しかし、これらの組成物は、油性成分との相溶性に優れるものの、塗布時の伸びが十分ではなかった。そのため、保湿剤の配合量が制限され、洗浄後の保湿効果も十分ではなかった。また、ラウリルアルコールおよび2−エチルヘキサノールのオキシプロピレン/テトラヒドロフランのランダム共重合体や、エチレングリコールのエチレンオキシド/テトラヒドロフランのランダム共重合体を含む化粧品用ポリエーテル組成物の提案がなされているが(例えば特許文献2)、これらのランダム共重合体では、乳化性能に劣ることがあり、クレンジング化粧料に配合したときに、洗浄性および洗い流す際のすすぎ性に満足行くものではなかった。
つまり、洗い流すタイプのクレンジング化粧料において、保湿剤を併用しても皮膚に塗布時の伸び、洗い上がりのさっぱり感(すすぎ性)、洗浄後の保湿感を同時に満たすものは得られていなかった。
【特許文献1】特開平8−127512号公報
【特許文献2】特開2005−162782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち本発明の目的は、保湿剤を併用しても塗布時に伸びのある使用感を持ち、メーク汚れや皮脂汚れに対する洗浄性やすすぎ性に優れ、かつ洗い流した後も皮膚保湿性が持続するクレンジング化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は以下に示されるものである。
(1)組成物全量に対し、下記の成分(A)を0.01〜50質量%、成分(B)を0.01〜30質量%、成分(C)を0.01〜80質量%含有することを特徴とするクレンジング化粧料
(A)下記の式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体
O−(AO)−(CHCHCHCHO)−(AO)−R (I)
(式中、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、RとRは、同一または異なってもよい炭素数6〜24の脂肪酸残基、炭化水素基または水素原子であり、かつ該水素原子の割合は0.5以下である。lは、オキシテトラメチレン基の平均付加モル数で、1≦l≦40、m+nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦150を満たし、さらに、0.02≦l/(m+n)≦1を満たす。)
(B)保湿剤
(C)油性成分
(2)式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体において、AOがオキシエチレン基である前記のクレンジング化粧料である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクレンジング化粧料は、塗布時に伸びのある使用感を持ち、メーク汚れや皮脂汚れに対する洗浄性やすすぎ性に優れ、かつ洗い流した後も皮膚保湿性が持続するものであり、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に更に詳細に発明の説明をする。
式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体において、RとRは、同一または異なってもよい炭素数6〜24の脂肪酸残基、炭化水素基または水素原子であり、かつ該水素原子の割合は0.5以下であり、好ましくは0.3以下である。0.5を超えると、塗布時の伸びおよび洗浄性に劣ることがあり好ましくない。水素原子の割合はRおよびRが水素原子である割合を示すものであり、水酸基価から算出される。
およびRで用いる炭素数6〜24の脂肪酸残基または炭化水素基の炭素数は、好ましくは炭素数8〜22であり、さらに好ましくは炭素数12〜18である。炭素数が6より小さいと洗浄効果に劣り、24より大きいと、塗布時ののびが悪化してしまい好ましくない。脂肪酸残基としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸または分岐脂肪酸の残基でもよく、さらには、ヒドロキシル基置換脂肪酸の残基でもよい。脂肪酸残基は、脂肪酸由来のアシル基である。脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、テトラデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、アラキジン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、リグノセリン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコセン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、べヘン酸、エルカ酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられ、天然原料由来の混合脂肪酸であるヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等でもよい。これらを1種または2種以上を用いても良い。好ましくは、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ミリスチン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、オクタデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸であり、さらに好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸である。
【0008】
炭素数6〜24の炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基あるいは分岐炭化水素基でもよく、さらには、ヒドロキシ置換炭化水素基でもよい。例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、イソパルミチル基、イソステアリル基、2−エチルへキシル基、2−デシルテトラデシル基、オレイル基、ヒドロキシステアリル基などの炭化水素基が挙げられ、天然原料由来の混合物であるヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基、硬化牛脂アルキル基でもよい。これらを1種または2種以上を用いても良い。好ましくは、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、イソパルミチル基、イソステアリル基、2−エチルヘキシル基、2−デシルテトラデシル基、オレイル基、ヒドロキシステアリル基、ヤシ油アルキル基である。
【0009】
オキシテトラメチレン基は、塗布時の伸びおよびすすぎ性を良好にするための必須成分である。lはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数で1≦l≦40、好ましくは1≦l≦30であり、より好ましくは1≦l≦20である。lが40より大きいと塗布時の伸び、すすぎ性に劣り、安定配合させるのに困難であるため、好ましくない。
式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体は、主骨格にオキシテトラメチレン基を持つことを必須としており、オキシテトラメチレン基を持たずに、その他の構造、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基といった分岐鎖を持つ骨格や、グリセリン、ソルビトールといった多鎖型の骨格では、求める塗布時の伸びやすすぎ性が得られず好ましくない。さらに、炭素数5以上の直鎖オキシアルキレン基を骨格に有しても、塗布時の伸びやすすぎ性が得られずに好ましくない。
AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられる。AO中のオキシエチレン基の割合は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上であるが、100質量%がすすぎ性の面から特に好ましい。炭素数2〜3のオキシアルキレン基は、1種または2種以上の混合物であってもよく、2種以上の混合物である場合の付加形態はブロック状でもランダム状でも構わない。
m+nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1≦m+n≦150、好ましくは1≦m+n≦70、より好ましくは1≦m+n≦50である。m+nが1より小さい場合すすぎ性劣ることがあり、またm+nが150より大きい場合、目的の洗浄効果および塗布時の伸びが得られないことがあり好ましくない。
さらに、オキシアルキレン基の平均付加モル数に対する、オキシテトラメチレン基の平均付加モル数の割合l /(m+n)は、0.02≦l /(m+n)≦1を満たす。0.02を下回るか、もしくは1を超えると、塗布時の伸びおよびすすぎ性を得ることができず好ましくない。
式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体は、l/(m+n)の割合、AO中のオキシエチレン基の割合および炭化水素基、脂肪酸残基の組み合わせで、親油性、親水性を調整することも可能である。
式(I)の化合物は通常はクレンジング化粧料に0.01〜50質量%含有され、好ましくは0.01〜30質量%である。0.01質量%より少ないと、塗布時の伸びや求める洗浄効果を得ることができず、50質量%より多いと、求めるすすぎ性が得られず好ましくない。式(I)の化合物は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
本発明のクレンジング化粧料は保湿剤を含有する。保湿剤は、洗い流した後の保湿効果を付与するための必須成分であるが、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体と併用することにより、保湿剤のべたつき感を抑え、塗布時の伸びが良好なものになる。含有量は0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%である。0.01質量%より少ないと、洗浄後の保湿効果が得られないことがあり好ましくない。また、30質量%より多いと塗布時の伸びを損なうこともあり好ましくない。保湿剤としては、クレンジング料に通常使用される任意の成分を含有することができる。例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グルコース、メチルグルコシド、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトールなどといった多価アルコールおよびそれらのアルキレンオキシド誘導体、キトサン、尿素、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リボ核酸ナトリウム、アスパラギン酸、アルギン酸ナトリウム、アラニン、グリシン、シスチン、システイン、セリン、アルギニン、リシン、アシタバエキス、アルテアエキス、アロエエキス、オイスターエキス、海藻エキス、カリンエキス、キイチゴエキス、キュウリエキス、クインスシードエキス、ゼニアオイエキス、プラセンタエキス、ヘチマエキス、ユリエキス、リンゴエキス、ローヤルゼリー、ラクトフェリンなどが挙げられる。好ましくは、多価アルコールおよびそれらのアルキレンオキシド誘導体であり、これらは、1種または2種以上を用いることができる。
【0011】
本発明のクレンジング化粧料は、水洗可能なクレンジング料であるが、油性汚れの除去を増すためには、さらに油性成分を配合する。油性成分の配合量は、0.1〜80質量%であり、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは1〜70質量%である。0.1質量%より少ないと、求める洗浄効果を得ることができず、80質量%より多いと洗浄性に優れるが、すすぎ性に劣る可能性もあり好ましくない。
油性成分としては、クレンジング料に通常使用される成分を含有することができる。例えば、ワセリン、スクワラン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリイソブテン、セレシンなどの炭化水素;オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、イソセチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、アラキルアルコール、べへニルアルコール、ホホバアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノールなどの炭素数8以上の高級アルコール;カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、べヘン酸、アラキドン酸、エルカ酸などの炭素数6以上の高級脂肪酸およびこれらのトリグリセリド;セバシン酸ジエチル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチルプロパン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコールなどのエステル油;オリーブ油、トウモロコシ油、落花生油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、アマニ油、ホホバ油、ひまわり油、マカダミアナッツ油、茶実油、綿実油、シソ油、サフワラー油、キョウニン油、牛脂、豚脂などの動植物油脂;直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーンなどが挙げられる。より好ましくは炭化水素、エステル油、油脂である。またこれらを1種または2種以上用いてもよい。
【0012】
本発明のクレンジング化粧料は(A)を0.01〜50質量%、成分(B)を0.01〜30質量%、成分(C)を0.01〜80質量%含有することを特徴とするクレンジング化粧料であり、(A)、(B)および(C)の合計が100質量%を超えることはない。
本発明のクレンジング化粧料においてはさらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬品などに一般的に用いられている各種成分、すなわち、ビタミン類、紫外線吸収剤、水溶性高分子、酸化防止剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、金属イオン封鎖剤、エタノール、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、防腐剤、色素、粉体類などが例示できる。
本発明のクレンジング化粧料は、式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体、保湿剤、油性成分、その他の任意成分を配合することができるが、上記の配合量において、合計して100質量%を越えない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0013】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。合成例中の水酸基価は、JIS K1557 6.4に準じて測定した。
<合成例1> 誘導体1 ポリオキシエチレン(m+n=7)トリテトラメチレングリコール(l=3)のイソステアリン酸エステル(水素原子の割合0.10、l/(m+n)=0.43)
トリテトラメチレングリコール(l=3、TERATHANE250, インビスタジャパン(株)製)200gと触媒として水酸化カリウム0.5gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ内の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら150℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置によりエチレンオキシド285gを滴下させ、1時間撹拌した。その後オートクレーブより反応組成物をとりだし、リン酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するために、減圧−0.095MPa(ゲージ圧、50mmHg)、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するためろ過を行い、ポリオキシエチレン(m+n=7)トリテトラメチレングリコール400gを得た。水酸基価は215.0であった。
得られたポリオキシエチレン(m+n=7)トリテトラメチレングリコール390gとイソステアリン酸(EMERSOL874;コグニスジャパン(株)製)200gを200℃にて8時間反応させ、ポリオキシエチレン(m+n=7)トリテトラメチレングリコールイソステアリン酸エステルを530g得た。水酸基価は22.0であることから、水素原子の割合は0.10であった。
【0014】
<合成例2> 誘導体2 ポリオキシエチレン(m+n=40)ポリテトラメチレングリコール(l=9)のイソステアリン酸エステル(水素原子の割合0.25、l/(m+n)=0.23)
ポリテトラメチレングリコール(l=9、PTG650SN, 保土谷化学工業(株)製)300gと触媒として水酸化カリウム1.5gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ内の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら150℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置によりエチレンオキシド815gを滴下させ、1時間撹拌した。その後オートクレーブより反応組成物をとりだし、リン酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するために、減圧−0.095MPa(ゲージ圧、50mmHg)、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するためろ過を行い、ポリオキシエチレン(m+n=40)ポリテトラメチレングリコール990gを得た。水酸基価は46.6であった。
得られたポリオキシエチレン(m+n=40)ポリテトラメチレングリコール500gとイソステアリン酸(EMERSOL874;コグニスジャパン(株)製)80gを200℃にて10時間反応させ、ポリオキシエチレン(m+n=40)ポリテトラメチレングリコールイソステアリン酸エステルを510g得た。水酸基価は11.6であることから、水素原子の割合は0.25であった。
【0015】
合成例1または2に準じて、表1に示すポリアルキレングリコール誘導体3〜9を合成した。また、誘導体10は、特開2005−162782号公報の実施例1に、また、誘導体11は、特開2002−371297号公報の製造例4に準じて、それぞれ合成を行なった。
【0016】
【表1】

【0017】
<実施例1〜5及び比較例1〜6>
(A)成分として請求項1記載のポリアルキレングリコール誘導体1〜5、(A’)成分として比較物質、(B)成分としてグリセリン、1,3-ブチレングリコール、(C)成分としてパルミチン酸2−エチルヘキシル、流動パラフィンを選定したクレンジングオイルを調整した。その他共通成分として以下の成分を配合し、表2に示すような処方を調製した。
【0018】
【表2】

【0019】
<共通添加成分>
ポリオキシエチレン(7モル)モノヤシ油脂肪酸グリセリル 20%
親油型モノオレイン酸グリセリン 10%
メチルパラベン 適量
精製水 残量
<調製方法>
各成分を80℃に加熱し、攪拌して可溶化した後40℃まで冷却し、メチルパラベンを添加してクレンジング料を得た。
【0020】
<評価方法および評価基準>
パネラー10名の上腕内側部に口紅を直径2cmの円形に塗布した。30℃、相対湿度30〜40%の恒温恒湿室にて30分経過した後、本発明品および比較品2gを1分間指でなじませ、ぬるま湯で洗い流し、次の4項目について下記基準に従い評価した。
(a)塗布時の伸び
指でクレンジング化粧料をなじませた時の伸びやすさを以下の基準で判断した。
◎:9名以上が、のびが良好であると判断。
○:7〜8名が、のびが良好であると判断。
×:4〜6名が、のびが良好であると判断。
××:3名未満が、のびが良好であると判断。
(b)洗浄性
ぬるま湯で洗い流した直後の状態を以下の基準で判断した。
◎:9名以上が、洗浄性が良好であると判断。
○:7〜8名が、洗浄性が良好であると判断。
×:4〜6名が、洗浄性が良好であると判断。
××:3名未満が、洗浄性が良好であると判断。
【0021】
(c)すすぎ性
上記(b)の評価を行った後、ティッシュペーパーで水分を除いた直後の状態を以下の基準で判断した。
◎:9名以上が、べたつかずさっぱりすると判断。
○:7〜8名が、べたつかずさっぱりすると判断。
×:4〜6名が、べたつかずさっぱりすると判断。
××:3名未満が、べたつかずさっぱりすると判断。
(d)保湿性
上記(c)の評価を行った後、1時間放置したときの肌のうるおい感を以下の基準で判断した。
◎:9名以上が、うるおいが持続していると判断。
○:7〜8名が、うるおいが持続していると判断。
×:4〜6名が、うるおいが持続していると判断。
××:3名未満が、うるおいが持続していると判断。
【0022】
表2に示すように、本発明のクレンジング化粧料は、全て良好な結果となった。これに対して、オキシテトラメチレン基がない誘導体6では、塗布時の伸びおよびすすぎ性に劣る(比較例1)。RとRがメチル基である誘導体7では、洗浄性に劣り(比較例2)、炭素数2〜3のオキシアルキレン基がない誘導体8ではすすぎ性に劣る(比較例3)。さらに、水素原子の割合が1.0である誘導体9では、塗布時の伸びおよび洗浄性に劣り(比較例4)、ラウリルアルコールのオキシブチレンおよびテトラヒドロフラン誘導体10では洗浄性およびすすぎ性に劣る(比較例5)。1,12−ドデカンジオールを有する誘導体11では、塗布時の伸びおよびすすぎ性に劣る(比較例6)。このように、比較例1〜6において、塗布時の伸び、すすぎ性、洗浄性、洗浄後の保湿効果のすべてを満たすものはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)を0.01〜50質量%、成分(B)を0.01〜30質量%、成分(C)を0.01〜80質量%含有することを特徴とするクレンジング化粧料。
(A)下記の式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体。
O−(AO)−(CHCHCHCHO)−(AO)−R (I)
(式中、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、RとRは、同一または異なってもよい炭素数6〜24の脂肪酸残基、炭化水素基または水素原子であり、かつ該水素原子の割合は0.5以下である。lは、オキシテトラメチレン基の平均付加モル数で、1≦l≦40、m+nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦150を満たし、さらに、0.02≦l/(m+n)≦1を満たす。)
(B)保湿剤
(C)油性成分
【請求項2】
式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体において、AOがオキシエチレン基である請求項1に記載のクレンジング化粧料。

【公開番号】特開2008−247860(P2008−247860A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93788(P2007−93788)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】