説明

クロメン誘導体及びそのロイコトリエン生合成阻害のための使用

本発明は(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの新規な塩及びその結晶型を提供する。該化合物は5−LO阻害剤であり、喘息、アレルギー性鼻炎、COPD、及びアテローム性動脈硬化症のような症状の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(S)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの新規な塩型及びその結晶型、及びそのロイコトリエン生合成阻害剤としての、単独での又は他の活性薬剤と組合せにおける、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、及びアテローム性動脈硬化症のような症状を治療するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン生合成の阻害は、何年にもわたり、薬学研究の活発な領域となってきた。ロイコトリエンは、生体系においてアラキドン酸から生成される、局所活性型ホルモンの一群を成す。ロイコトリエンは、収縮及び炎症の強力な媒介物質であり、5−リポキシゲナーゼによるアラキドン酸の酵素的酸素化によって誘導される。ロイコトリエン生合成阻害剤の1つのクラスは、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の阻害を通して作用することが知られるものである。
【0003】
主要なロイコトリエンは、ロイコトリエンB(LTBと略記)、LTC、LTD、及びLTEである。これらのロイコトリエンの生合成は、酵素5−リポキシゲナーゼの、アラキドン酸に対する作用で始まり、ロイコトリエンA(LTA)として知られるエポキシドを産生し、これが後続の酵素的工程により、別のロイコトリエンに変換される。ロイコトリエンの生合成並びに代謝についてのさらなる詳細は、書籍、ロカチ(J.Rokach)編、「Leukotrienes and Lipoxygenases(ロイコトリエン及びリポキシゲナーゼ)」、1989年、エルゼビア(Elsevier)、アムステルダム、に見出される。生体系におけるロイコトリエンの作用、及びその種々の疾患状態に対する寄与もまた、ロカチ(Rokach)による書籍の中で議論されている。
【0004】
一般に、5−LO阻害剤は、アレルギー性鼻炎、喘息、及び、関節炎を含む炎症性症状の治療用に探求されてきた。5−LO阻害剤の一例は、喘息の治療用に指示されている市販薬ザイリュートン(ZYLOFT(登録商標))である。より最近では、5−LOがアテローム生成過程の重要な要因の一つである可能性があると報告されている;メラビアン(Mehrabian M.)ら、「Circulation Research」、2002年、7月26日、第91巻、第2号、p.120−126参照。
【0005】
化合物4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンは、その(−)及び(+)エナンチオマー種、及びその薬学的に許容される塩を含め、公開番号WO2006/099735を有する、PCT出願番号CA2006/000432において開示されている。本発明は、医薬としての使用に有利な特性をもつ、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの新規な塩、及びその結晶型を提供する。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
遊離塩基化合物(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの構造を、以下に示す:
【0007】
【化1】

【0008】
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの絶対配置は、(S)であり、それ故この化合物はまた、(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンとしても同定される。簡略のため、化合物(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン(遊離塩基)はまた、本明細書では「化合物I」とも呼ばれる。
【0009】
本発明の1つの目的は、5−LO阻害剤である(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの、新規なベシラート及びトシラート塩を提供することである。別の目的は、新規な無水結晶性(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オントシラート塩、並びにその溶媒和型を提供することである。本発明はまた、これらの塩を含んでなる医薬組成物も提供する。
【0010】
本発明の別の目的は、ロイコトリエンの合成、作用、及び放出を防止するため、及び炎症性症状を治療するための方法であって、本発明の塩の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含んでなる該方法を提供することである。
【0011】
本発明はさらに、喘息、アレルギー性鼻炎、又は慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療法であって、本発明の塩の治療有効量を、上記記載の治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0012】
加えて、本発明の塩は、アテローム発生を遅くするか停止させるための医薬として有用である。それ故本発明は、ひとたび臨床的に顕性化したアテローム性動脈硬化症の進行を停止又は遅くすることを含む、アテローム性動脈硬化症を治療するための方法であって、本発明の塩の治療有効量を、かかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法を提供する。本発明はまた、アテローム性動脈硬化症事象をもつリスクを防止又は低減するための方法であって、本発明の塩の予防有効量を、アテローム性動脈硬化症を発症するか又はアテローム性動脈硬化症事象を有するリスクのある患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0013】
本発明はさらに、他の治療上有効な薬剤と組合せた、本発明の塩の使用を提供する。追加の実施態様は、以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】無水結晶性化合物Iトシラート塩(A型;Form A)の特徴的なX線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図2】無水結晶性化合物Iトシラート塩(A型)の固体炭素−13交差分極マジック角回転(cross−polarization magic−angle spinning;CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図3】無水結晶性化合物Iトシラート塩(A型)の固体フッ素−19交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図4】無水結晶性化合物Iトシラート塩(A型)の典型的な示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
【図5】化合物Iトシラート塩の結晶性i−プロピルアセテート(iPAc)溶媒和物(B型)の特徴的なX線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図6】化合物Iトシラート塩の結晶性i−プロピルアセテート(iPAc)溶媒和物(B型)の固体炭素−13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図7】化合物Iトシラート塩の非晶型の、固体フッ素−19交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図8】化合物Iトシラート塩の非晶型の、典型的な変調型示差走査熱量計(modulated differential scanning calorimeter;MDSC)曲線を示す図である。
【図9】結晶性化合物Iベシラート塩の、特徴的なX線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図10】結晶性化合物Iベシラート塩の、典型的な示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
【0015】
発明の詳細な記載
化合物1は、薬学的に活性のある遊離塩基化合物である。本発明の塩は、遊離塩基化合物Iを、ベンゼンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸のいずれかと結合させて、それぞれベシラート塩及びトシラート塩を得ることにより調製することができる。化合物Iトシラート塩が好ましい。明瞭にするため、以下の塩の名称は同義的に使用可能であり、かつ同じ意味をもつものとする:化合物Iのp−トルエンスルホン酸塩はまた、化合物Iのp−トルエンスルホナート塩、4−メチルフェニルスルホナート塩、又はトシラート塩と呼ぶこともできる;そして化合物Iのベンゼンスルホン酸塩はまた、化合物Iのベンゼンスルホナート又はベシラート塩と呼ぶこともできる。
【0016】
化合物Iの塩は、化合物I遊離塩基を、有機溶媒(例えば1,2−ジクロロエタン、酢酸イソプロピル(iPAc)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリル、アセトン、並びにニトロメタン、シクロヘキサン、i−プロピルアルコール、及びメチルイソブチルケトン)の中で、適当な酸と接触させておくこと、加熱し、必要であれば還流までして、溶液を得て、その後に冷却して沈殿を誘発することにより調製してもよい。固体型の塩は、単一の溶媒から沈殿させてもよく、又は、沈殿を非溶媒(anti solvent)の添加によって開始させてもよく、そして濾過により収集することができる。
【0017】
化合物Iのトシラート塩は、有機溶媒、例えば、制限されることなく、iPAc、ヘプタン、メチルクロロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、及びアセトン、並びにニトロメタン、シクロヘキサン、i−プロピルアルコール、及びメチルイソブチルケトン(MBK)と、容易に溶媒和物を形成する。かかる溶媒和物は、化合物Iのトシラート塩の無水結晶型(以降、A型(Form A)と呼ぶ)を、有機溶媒と混合させ、そして、攪拌してスラリーを生じさせることにより生成させることができる。無水型から溶媒和型への変換は、様々なタイムフレーム、例えば数時間ないし数日間、で起こすことが可能であり、かつXRPDのような既知の分析技術によってモニターすることができる。溶媒和物の形成を検出するための分析は、スラリーの試料について行なうことができ、又はスラリーを濾過して、得られたウェットケークについて分析を行うことができる。ウェットケークについて分析を行う場合には、結晶性化合物からの溶媒の蒸発/脱溶媒に先立つ充分な時間の中で行なう必要がある。
【0018】
溶媒和された化合物Iトシラート塩は、容易に無水A型へ脱溶媒和する。脱溶媒和は、当該技術分野における技術上周知の標準的な方法により、例えば、溶媒和化合物を開放容器中で、室温(すなわち、約25℃)において、溶媒が蒸発するまで放置することによるか、或いは、高温及び/又は真空を使用して溶媒の蒸発を加速することにより、達成することができる。
【0019】
本明細書に記載の化合物Iトシラート塩の結晶性溶媒和物は、溶媒和した結晶型のものであり、これが脱溶媒和すると、無水結晶A型が生成する。かかる結晶性溶媒和物は、結晶無水A型の溶媒和した対応物であることから、固体分析からデータを得る場合、溶媒和した結晶型は、いくつかの物理特性データをA型と共有してもよい。例えば、化合物Iトシラート塩の結晶性溶媒和物と無水A型とは、1個以上の同じか又は論理的に類似した格子面間隔をそのXRPDにおいて、或いは、同じか又は論理的に類似した化学シフトを固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルにおいて共有してもよい。したがって、かかる溶媒和物は、本発明の範囲内にある。
【0020】
化合物Iの非晶性トシラート塩は、結晶性トシラート塩を粉砕、噴霧乾燥、又は溶融−冷却することにより生成することができる。非晶性トシラート塩は、有機溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン、酢酸イソプロピル酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ヘプタン、メチルクロロヘキサン、アセトニトリル、アセトン、並びにニトロメタン、シクロヘキサン、i−プロピルアルコール、及びメチルイソブチルケトン)の中で、加熱し、必要であれば還流までして、溶液を得て、その後に冷却して沈殿を誘発することにより、再結晶化して、結晶性トシラート塩とすることができる。再結晶化は、高い相対湿度及び/又は高温において、加速することができる。例えば、非晶質を、100℃より高温に加熱し、そして、再結晶化の完了がMDSC又はXRPDといった分析技術により検出されるまで、それを等温に保持することである。
【0021】
ベシラート塩
化合物Iのベシラート塩は、以下のようなプロトン磁気共鳴スペクトルによって特徴づけることができる:
H NMR(DMSO−d,400.1MHz)δ8.56(t,J=6.0Hz,1H),7.63−7.58(オーバーラップm,4H),7.44−7.38(オーバーラップm,4H),7.35−7.30(オーバーラップm,4H),6.42(s,1H),4.52(d,J=6.0Hz,2H),2.14−2.05(m,1H),2.02−1.93(m,1H),0.89(t,J=7.2Hz,3H)。
【0022】
ベシラート塩はまた、示差走査熱量計(DSC)によって特徴づけることもできる。データは、TAロボティックDSC(Q1000)を使用して得た。DSC分析(n=2)は、クリンプしたアルミニウムパン内で行なった(10℃/分、50mL/分、窒素)。DSCは、温度及び熱流について、インジウム(グッドフェロー(Goodfellow)、純度99.999%)、及びスズ(NIST SRM 2220)を用いて測定した。図10は、結晶性ベシラート塩の示差熱量測定走査を示す。DSC曲線は、156℃の融解開始温度(ピーク温度159℃)を示す。
【0023】
XRPDパターンは、Scintag XDS−2000、Si(Li)ペルチエ(Peltier)冷却固体検出器、CuKα線源を使用し、発生器出力45kV、及び電流40mAを用いて測定した。2mm及び4mmの発散ビームと、0.5mm及び0.2mmのレシービングビームスリットとを使用した。走査範囲は、ステップモードで2−50°2θに設定し、0.02°のステップサイズ、及びステップ当たり2秒のカウントタイムを使用した。試料は、石英ディスク上で測定した。ピーク位置は、標準のコランダムプレート(NIST SRM 1976)を使用して確認した。
【0024】
図9は、化合物Iの結晶性ベシラート塩のX線粉末回折パターンを示す。ベシラート塩は、27.89、26.46、24.15、19.24、18.62、17.34、15.78、15.13、5.35オングストロームの格子面間隔(d−spacing)に対応する、特徴的な回折ピークを有する。特に、ベシラート塩は、27.89、26.46、24.15、19.24、18.62、17.34、15.78、15.13、5.35オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも1つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、ベシラート塩は、27.89、26.46、24.15、19.24、18.62、17.34、15.78、15.13、5.35オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも2つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、ベシラート塩は、27.89、26.46、24.15、19.24、18.62、17.34、15.78、15.13,5.35オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも3つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。
【0025】
化合物Iの結晶性ベシラート塩はまた、図9のX線回折パターンによっても特徴づけることができる。
【0026】
トシラート塩
化合物Iのトシラート塩のプロトン磁気共鳴スペクトルを、ブルーカー(Bruker)DRX−600核磁気共鳴(NMR)分光計を使用し、周波数600.13MHzで操作して得た。試料濃度は、CDOD中約4.4%(w/v)であった。基準化合物は、CDHOD(3.31ppm)であった。シグナル帰属を、以下に示した化合物Iのトシラート塩の、番号を付した構造式に従って作表した。
【0027】
【化2】

【0028】
A型及び化合物Iのトシラート塩の結晶性iPAc(i−プロピルアセテート)溶媒和物の、X線粉末回折パターンは、PW3040/60コンソールを具備したフィリップス(Philips)分析用X’Pert PRO X線回折システムで生成した。PW3373/00セラミックCu LEF X線管K−アルファ照射を、線源として使用した(波長=1.54オングストローム)。
【0029】
上記のX線粉末回折研究に加えて、A型及び化合物Iのトシラート塩の結晶性iPAc溶媒和物はまた、固体炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトルによっても特徴づけした。固体炭素−13NMRスペクトルは、ブルーカーDSX 500WB NMRシステムで、ブルーカー4mm H/X/Y CPMASプローブを使用して得た。炭素−13NMRスペクトルは、変動振幅交差分極、全サイドバンド抑制、及び100kHzにおけるSPINALデカップリングを用いた、プロトン/炭素−13交差分極マジック角回転を利用した。試料を、10.0kHzで回転し、3秒のリサイクル遅れで全20480スキャンを収集した。FTを行う前に、10Hzの線幅増大を、スペクトルに対して適用した。化学シフトは、グリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m.)を二次基準として使用するTMSスケールで記録する。
【0030】
A型はまた、固体フッ素−19NMRによっても特徴づけした。固体フッ素−19NMRスペクトルは、ブルーカーDSX 500WB NMRシステムで、ブルーカー4mm H/X/Y CPMASプローブを使用して得た。フッ素−19NMRスペクトルは、変動振幅交差分極と、63kHzにおけるTPPMデカップリングとを用いた、プロトン/フッ素−19交差分極マジック角回転を利用した。試料を、12.0kHzで回転し、全1024スキャンを5秒のリサイクル遅れで収集した。FTを行う前に、10Hzの線幅拡大を、スペクトルに対して適用した。化学シフトは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(テフロン(登録商標)(Teflon))を、−122ppmの化学シフトに帰属された外部二次基準として使用して記録する。
【0031】
示差走査熱量計(DSC)データは、TAインスツルメンツ(Instrluments)DSC 2910、又は同等の機器を使用して得た。1ないし6mgの試料を、オープンパン内に秤量した。次いで、このパンをクリンプし、そして熱量計セル内の試料位置に置いた。空のパンを、基準位置に置いた。熱量計セルを閉じ、そして窒素流をセルに通した。加熱プログラムを、10℃/分の加熱速度で、約200℃の温度まで試料を加熱するべく設定する。加熱プログラムを開始する。ランの完了時、システムソフトウェアに含まれるDSC分析プログラムを用いてデータを分析する。溶融吸熱は、吸熱が観察される温度範囲の上方と下方の、ベースライン温度点間で積分される。記録されたデータは、開始温度、ピーク温度、及びエンタルピーである。
【0032】
変調型示差走査熱量計(modulated differential scanning calorimeter;MDSC)データは、TAインスツルメンツDSC Q1000、又は同等の機器を使用して得た。1ないし10mgの試料を、オープンパン内に秤量し、そして蓋を軽く置いて、試料をカバーした。このカバーされたパンを、次に熱量計セル内の試料位置に置いた。蓋つきの空のパンを、基準位置に置いた。熱量計セルを閉じ、そして窒素流をセルに通した。MDSC用のメソッドパラメータは、10℃/分の速度で80℃まで加熱すること、80℃の等温で10分間、10℃/分の速度で−40℃まで冷却すること、及び3℃/分の速度で175℃まで加熱することを、+/−1℃/分の変調と共に包含する。加熱プログラムを開始する。ランの完了時、システムソフトウェアに含まれるDSC分析プログラムを用いてデータを分析した。ガラス転移温度(Tg)は、可逆熱流曲線についてベースラインシフトが観察される温度範囲の上方と下方で積分された。ある非晶試料では、再結晶化が観察される。記録されたデータは、ガラス転移の開始温度、中間点温度、及び終了温度である。再結晶化発熱は、発熱が観察される温度範囲の上方と下方の、ベースライン温度点間で積分される。この場合、記録されたデータは、ピーク温度及びエンタルピーである。
【0033】
図1は、化合物Iの無水結晶性トシラート塩(A型;Form A)のX線粉末回折パターンを示す。A型は、17.77、8.90、5.17、4.45、4.09、3.32、7.29、4.20、及び3.81オングストロームの格子面間隔(d−spacing)に対応する、特徴的な回折ピークを有する。特に、A型は、17.77、8.90、5.17、4.45、4.09、3.32、7.29、4.20、及び3.81オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも1つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、A型は、17.77、8.90、5.17、4.45、4.09、3.32、7.29、4.20、及び3.81オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも2つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、A型は、17.77、8.90、5.17、4.45、4.09、3.32、7.29、4.20、及び3.81オングストロームからなる群より選択される格子面間隔に対応する少なくとも3つの回折ピークを含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。
【0034】
A型はまた、17.77、8.90、及び5.17オングストロームから選択される少なくとも1個の格子面間隔;又は、17.77、8.90、及び5.17オングストロームから選択される少なくとも2個の格子面間隔を有することによって特徴づけることもできる。
【0035】
A型はまた、17.77、8.90、及び5.17オングストロームの格子面間隔に対応する特徴的な回折ピークを有することによって特徴づけることもでき;或いは、A型は、4.45、4.09、及び3.32オングストロームの格子面間隔に対応する特徴的な回折ピークを有することによって特徴づけることができ;或いは、A型は、7.29、4.20、及び3.81オングストロームの格子面間隔に対応する特徴的な回折ピークによって特徴づけることができる。さらに、A型は、(a)17.77、8.90、及び5.17オングストローム、(b)4.45、4.09、及び3.32オングストローム、及び(c)7.29、4.20、及び3.81オングストロームからなる群より選択される、2又は3個の格子面間隔グルーピングの組合せによって特徴づけることができる。
【0036】
無水結晶A型はまた、図1のX線回折パターンによっても特徴づけることができる。
【0037】
図2は、化合物Iの無水結晶性トシラート塩(A型)の、固体炭素−13 CPMAS NMRスペクトルを示す。A型は、48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5百万分率(parts per million)(p.p.m.又はppm)の化学シフト値をもつ特徴的なシグナルを示す。特に、A型は、48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、A型は、48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、A型は、48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも3つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。
【0038】
A型はまた、48.5及び124.1;又は、48.5及び152.4p.p.m.の化学シフト値をもつ、固体炭素−13 CPMAS NMRにより得られるシグナルによっても特徴づけることができる。
【0039】
A型は、48.5、124.1及び152.4p.p.m.の化学シフト値をもつ、固体炭素−13 CPMAS NMRにより得られるシグナルによって特徴づけることができ;或いは、A型は、28.4、141.3、及び162.1p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができ;或いは、A型は、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができる。
さらに、A型は、(a)48.5、124.1、及び152.4p.p.m.、(b)28.4、141.3、及び162.1p.p.m.、及び(c)74.8、154.4、及び164.5p.p.m.から選択される2ないし3個の化学シフト値のグルーピングの組合せによって特徴づけることができる。
【0040】
無水結晶A型はまた、図2の固体炭素−13 CPMAS NMRスペクトルによっても特徴づけることができる。
【0041】
図3は、化合物Iの無水結晶トシラート塩(A型)についての、固体フッ素−19 CPMAS NMRスペクトルを示す。A型は、−50.2、−75.6、−101.3、−24.6、及び−110.9p.p.m.の化学シフト値をもつ特徴的なシグナルを示した。特に、A型は、−50.2、−75.6、−101.3、−24.6、及び−110.9p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、A型は、−50.2、−75.6、及び−101.3、−24.6、及び−110.9p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、A型は、−50.2、−75.6、及び−101.3、−24.6、及び−110.9p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも3つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。
【0042】
A型はまた、−50.2、−75.6、及び−101.3からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRによって得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することにより、又は、さらに詳細には、−50.2、−75.6、及び−101.3からなる群より選択される少なくとも2つの化学シフト値を有することにより特徴づけることができる。
【0043】
A型はまた、−50.2、−75.6、及び−101.3p.p.m.の化学シフト値をもつ、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られるシグナルによっても特徴づけることができ;或いは、A型は、−24.6、及び−110.9p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができる。無水結晶A型はまた、図3の固体フッ素−19 CPMAS NMRスペクトルによっても特徴づけることができる。
【0044】
図4は、結晶性無水トシラート塩A型についての示差熱量測定走査を示す。A型は、160.1℃の開始温度をもつ融解による単一の吸熱を示した。A型はまた、162.7℃のピーク温度も示した。A型はさらに、61.7J/gのエンタルピー変化を示した。
【0045】
化合物Iのトシラート塩の結晶性iPAc溶媒和物を、本明細書ではB型(Form B)と呼ぶ。図5は、結晶性iPAc溶媒和トシラート塩B型の、X線粉末回折パターンを示す。B型は、19.00、6.36、4.77、5.74、4.25、3.19、5.50、5.27、及び3.60オングストロームの格子面間隔に対応する特徴的な回折ピークを有する。特に、B型は、19.00、6.36、4.77、5.74、4.25、3.19、5.50、5.27、及び3.60オングストロームからなる群より選択される少なくとも1つの格子面間隔を含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、B型は、19.00、6.36、4.77、5.74、4.25、3.19、5.50、5.27、及び3.60オングストロームからなる群より選択される少なくとも2つの格子面間隔を含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、B型は、19.00、6.36、4.77、5.74、4.25、3.19、5.50、5.27、及び3.60オングストロームからなる群より選択される少なくとも3つの格子面間隔を含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけることができる。
【0046】
B型はまた、19.00、6.36、及び4.77オングストロームから選択される少なくとも1つの格子面間隔;又は19.00、6.36、及び4.77オングストロームから選択される少なくとも2つの格子面間隔を有することによって特徴づけることもできる。
【0047】
B型はまた、19.00、6.36、及び4.77オングストロームの格子面間隔に対応する、特徴的な回折ピークを有することによって特徴づけることができ;或いは、B型は、5.74、4.25、及び3.19オングストロームの格子面間隔に対応する、特徴的な回折ピークを有することによって特徴づけることができ;或いは、B型は、5.50、5.27、及び3.60オングストロームの格子面間隔に対応する回折ピークによって特徴づけることができる。さらに、B型は、(a)19.00、6.36、及び4.77オングストローム、(b)5.74、4.25、及び3.19オングストローム、及び(c)5.50、5.27、及び3.60オングストロームからなる群より選択される、2又は3個の格子面間隔グルーピングの組合せによって特徴づけることができる。
【0048】
B型はまた、図5のX線回折パターンによっても特徴づけることができる。
【0049】
図6は、B型についての、固体炭素−13 CPMAS NMRスペクトルを示す。B型は、73.6、127.5、159.7、124.2、140.9、152.5、116.4、131.9、及び154.9の化学シフト値をもつ特徴的なシグナルを示す。特に、B型は、73.6、127.5、159.7、124.2、140.9、152.5、116.4、131.9、及び154.9p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、B型は、73.6、127.5、159.7、124.2、140.9、152.5、116.4、131.9、及び154.9p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、B型は、73.6、127.5、159.7、124.2、140.9、152.5、116.4、131.9、及び154.9p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも3つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。
【0050】
B型はまた、73.6、127.5、及び159.7p.p.m.から選択される少なくとも1つの化学シフト値;又は、73.6、127.5、及び159.7p.p.m.から選択される少なくとも2つの化学シフト値をもつ、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られるシグナルによっても特徴づけることができる。
【0051】
B型はまた、73.6、127.5、及び159.7p.p.m.の化学シフト値をもつ固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られるシグナルによっても特徴づけることができ;或いは、B型は、124.2、140.9、及び152.5p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができ;或いは、B型は、116.4、131.9、及び154.9p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができる。
さらに、B型は、(a)73.6、127.5、及び159.7p.p.m.、(b)124.2、140.9、及び152.5p.p.m.、及び(c)116.4、131.9、及び154.9p.p.m.から選択される2又は3個の化学シフト値のグルーピングの組合せによって特徴づけることができる。
【0052】
B型はまた、図6の固体炭素−13 CPMAS NMRスペクトルによっても特徴づけることができる。
【0053】
図7は、化合物Iの非晶性トシラート塩ついての、固体フッ素−19 CPMAS NMRスペクトルを示す。化合物Iの非晶性トシラート塩は、−53.2、−78.7、−104.7、−28.0、及び−110.6p.p.m.の化学シフト値をもつ特徴的なシグナルを示した。特に、非晶性トシラート塩は、−53.2、−78.7、−104.7、−28.0、及び−110.6p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。さらに詳細には、非晶性トシラート塩は、−53.2、−78.7、−104.7、−28.0、及び−110.6p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。なおさらに詳細には、非晶性トシラート塩は、−53.2、−78.7、−104.7、−28.0、及び−110.6p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも3つの化学シフト値を有することによって特徴づけることができる。
【0054】
加えて、化合物I非晶性トシラート塩は、−53.2、−78.7、及び−104.7p.p.m.の化学シフト値をもつ、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られるシグナルによって特徴づけることができ;或いは、非晶性トシラート塩は、−28.0及び−110.6p.p.m.の化学シフト値をもつシグナルによって特徴づけることができる。
【0055】
化合物Iの非晶性トシラート塩はまた、図7の固体フッ素−19 CPMAS NMRスペクトルによっても特徴づけることができる。
【0056】
図8は、化合物1の非晶性トシラート塩についての、変調示差熱量測定走査を示す。中点温度81.95℃の可逆熱流曲線において観察された熱容量変化は、非晶性トシラート塩のガラス転移に対応する。開始温度116.8℃、ピーク温度126.9℃、及びエンタルピー変化41.4J/gをもつ、結晶性トシラート塩A型への再結晶化に起因する、単一の発熱もまた観察される。次いで結晶性トシラート塩を、約160℃において溶解する。再結晶化発熱は、いくつかの非晶性トシラート塩では、常に観察されるのでなくてもよい。
【0057】
化合物Iは、5−LO阻害活性を有する薬学的に活性のある薬剤であり、したがって化合物Iの塩も同様に、有効な5−LO阻害剤である。化合物I及びその塩は、ロイコトリエン生合成の阻害能をもつことから、ロイコトリエンによりヒト患者において誘発される症状を、防止又は後退させるのに役立つ。したがって、本発明は、ロイコトリエンの合成、作用、又は放出を哺乳類において防止するための方法であって、本発明の医薬組成物中の化合物Iの塩の、5−LO阻害有効量を、前記哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。かかる5−LO阻害活性は、本明細書に記載の、ヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイ及び5−リポキシゲナーゼヒト全血アッセイを用いて測定することができる。ロイコトリエンは強力な炎症媒介物質であることから、本発明の化合物の治療有効量を、かかる治療を必要とする哺乳類へ投与することを含んでなる、哺乳類の炎症性症状を治療するための方法も提供される。
【0058】
哺乳類のロイコトリエン生合成の阻害はまた、化合物Iの塩及びその医薬組成物が、哺乳類、及び特にヒトにおいて、アテローム性動脈硬化症を、治療、予防、又は改善するために有用であることを示す。それ故本発明化合物は、本発明化合物の治療有効量をかかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる、アテローム性動脈硬化症の治療のために使用することができる。
【0059】
本発明の方法は、アテローム性動脈硬化症の新たな病変又はプラーク形成を防止又は遅くするため、及び既存の病変又はプラークの進行を防止又は遅くするため、並びに既存の病変又はプラークの退縮を引き起こすために役立つ。したがって、アテローム性動脈硬化症の治療の範囲内に包含される本発明の1つの態様は、アテローム性プラークの進行を止めるか又は遅くすることを含めた、アテローム性動脈硬化症の進行を止めるか又は遅くするための方法であって、本発明化合物の治療有効量を、かかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法を包含する。この方法は、本治療が開始される時点で存在しているアテローム性プラーク(すなわち、「既存のアテローム性プラーク」)の進行を止めるか遅くすること、並びにアテローム性動脈硬化症の患者における新たなアテローム性プラークの形成を止めるか遅くすることを包含する。
【0060】
アテローム性動脈硬化症の治療の範囲内に包含される本発明の別の態様は、本治療が開始される時点で存在しているアテローム性プラークの退縮をもたらすことを含めた、アテローム性動脈硬化症の退縮をもたらすための方法であって、本発明化合物の治療有効量を、かかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法を包含する。
【0061】
また、本発明化合物を、アテローム性動脈硬化症の患者に対し、アテローム性プラークの破裂のリスクを防止又は低減する目的で投与することを含んでなる方法も提供する。それ故、本発明は、本発明化合物の予防有効量を、アテローム性プラークを有する患者に投与することを含んでなる、アテローム性プラークの破裂のリスクを防止又は低減するための方法を提供する。
【0062】
本発明はまた、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクを防止又は低減するための方法であって、本発明化合物の予防有効量を、例えば、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクにある患者を含む、かかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も包含する。
【0063】
アテローム性動脈硬化症は、大型及び中型動脈の壁の最内層上の、コレステロール及び脂質を含有するアテローム性プラークの沈着によって特徴づけられる。アテローム性動脈硬化症は、医学の関連分野に従事する医師により認識及び理解される、血管の疾患及び症状を包含する。血管再生術後の再狭窄を含むアテローム性動脈硬化性心血管疾患、冠動脈性心疾患(冠動脈疾患又は虚血性心疾患としても知られる)、多発梗塞性痴呆を含む脳血管疾患、及び勃起不全を含む末梢血管疾患は、全てアテローム性動脈硬化症の臨床症状であり、それ故、用語「アテローム性動脈硬化症」及び「アテローム性動脈硬化性疾患」によって包含される。
【0064】
本発明の化合物は、冠動脈性心疾患(CHD)事象、脳血管疾患事象、及び/又は間欠性跛行の可能性が存在する場合に、発症又は再発のリスクを防止又は低減するべく投与してもよい。冠動脈性心疾患事象は、CHD死、心筋梗塞(すなわち心臓発作)、及び冠動脈再生術を包含することが意図されている。脳血管疾患事象は、虚血性又は出血性脳卒中(脳血管アクシデントとしても知られる)、及び一過性脳虚血発作を包含することが意図されている。間欠性跛行は、末梢血管疾患の臨床症状である。用語「アテローム性動脈硬化性疾患事象」は、本明細書で用いる場合、冠動脈性心疾患事象、脳血管疾患事象、及び間欠性跛行を包含することが意図されている。過去に1回以上の非致命的なアテローム性動脈硬化性疾患事象を経験したことのある人は、かかる事象の再発の可能性が存在する人であることを意味している。
【0065】
したがって、本発明はまた、アテローム性動脈硬化性疾患事象の最初の発症又は後続の発症のリスクを防止又は低減するための方法であって、本発明化合物の予防有効量を、かかる治療を必要とする患者、例えば、かかる事象のリスクにある患者、に投与することを含んでなる該方法も提供する。かかる治療を必要とする患者は、投与の時点で、既にアテローム性動脈硬化性疾患を有していてもよく、又はその発症のリスクにあってもよい。
【0066】
本発明はまた、狭心症及び/又は心筋虚血を、治療、予防、又は改善するための方法であって、本発明化合物の治療又は予防有効量を、適宜、かかる治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0067】
加えて本化合物は、ロイコトリエン生合成阻害剤としての活性があるため、1)喘息、慢性気管支炎、及び関連する閉塞性気道疾患といった疾患を含めた、肺障害、2)アレルギー及びアレルギー性反応、例えば、アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎など、3)炎症、例えば関節炎又は炎症性腸疾患、4)疼痛、5)皮膚障害、例えば、アトピー性湿疹など、6)心血管障害、例えば、高血圧、血小板凝集など、7)免疫学的又は化学的(シクロスポリン)病因により誘発される虚血から生じる腎不全、8)片頭痛又は群発頭痛、9)眼性症状、例えば、ブドウ膜炎、10)化学的、免疫学的、又は感染性の刺激に起因する肝炎、11)外傷又はショック状態、例えば火傷、内毒素血症など、12)同種移植片拒絶、13)サイトカイン、例えばインターロイキンII及び腫瘍壊死因子の治療的投与に付随する副作用の予防、14)慢性肺疾患、例えば嚢胞性線維症、気管支炎、及び他の末梢気道及び中枢気道疾患、15)胆嚢炎、16)多発性硬化症、17)骨髄芽球性白血病、18)肺線維症、19)RSウイルス、20)ニキビ、及び21)睡眠時無呼吸症の、治療、予防、又は改善に役立つ。さらに、本発明化合物は、成人及び小児患者を含む、患者に対し、季節性アレルギー性鼻炎を含む、アレルギー性鼻炎の症状緩和のために投与することができる。
【0068】
特に、本発明の化合物は、成人及び小児患者を含む患者に対し、喘息の予防のため、及び喘息の長期治療のために投与し得る。本発明の化合物は、成人及び小児患者を含む患者に対し、喘息の治療のため:(1)軽症持続性喘息患者用の低用量の吸入コルチコステロイド(ICS)に代わるものとして、(2)軽症持続性喘息患者用の低用量の吸入コルチコステロイド(ICS)との併用療法として、又は(3)吸入コルチコステロイド(ICS)について、又は併用ICS/長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)療法について、十分に制御されていない持続性喘息患者における併用療法として投与し得る。当該化合物は、制限されることなく、ステロイド抵抗性/ノンレスポンダーの喘息患者、既にロイコトリエンモディファイヤーに失敗している喘息患者、喫煙喘息患者、及びアスピリン感受性喘息患者を含む、喘息患者の治療に使用することができる。
【0069】
当該化合物は、患者に対し、(1)FEV1(1分間の強制呼気容量)を改善するため、(2)朝晩のPEF(最大呼気流量)を改善するため、(3)ベータアゴニストの使用(パフ/日により測定)を低減するため、(4)吸入/全身性のステロイドの使用を低減するため、(5)日中喘息症状を改善するため、(6)夜間覚醒の回数を低減するため、(7)喘息制御日を改善するため、(8)喘息増悪の回数を低減するため(ここで、喘息増悪は次のように定義される:ステロイドの全身性投与、救急室訪問、入院、臨時の喘息関連医師の訪問の必要、A.M.PEF>20%、又はA.M.PEF<180 l/分までの低下、ベースライン(最小増加2パフ)から>70%のSABA(短時間作用型ベータアゴニスト)の使用増加、又は、>50%の症状スコア増加、(9)喘息発作の回数(特定の期間の全日数に対し、少なくとも1回の発作があった日の%として測定)を低減するため(ここで、発作は、全身性ステロイドの使用、救急室訪問、入院、又は臨時の喘息関連医師の訪問を必要とするものである)、(10)急性の喘息発作の回数を低減するため、(11)血液及び痰の好酸球を低減するため、及び/又は(12)EIB(運動誘発性気管支収縮)を予防及び治療するために投与することができる。
【0070】
本発明の化合物はまた、哺乳類(特にヒト)の病的状態、例えば、びらん性胃炎;びらん性食道炎;下痢;脳痙攣;早産;自然流産;月経困難;虚血;肝臓、膵臓、腎臓、又は心筋組織での、有害薬剤誘発性の損傷又は壊死;CCl及びD−ガラクトサミンのような肝臓毒性物質によって引き起こされる肝実質損傷;虚血性腎不全;疾患誘発性肝損傷;胆汁酸塩誘発性の膵臓又は胃の損傷;外傷又はストレス誘発性の細胞損傷;及びグリセロール誘発性腎不全を、治療又は予防するべく使用してもよい。ロイコトリエン生合成阻害剤はまた、腫瘍転移阻害剤としても作用し、かつ細胞保護作用を示す。
【0071】
化合物の細胞保護活性は、動物及びヒトの双方において、強力な刺激物の有害作用、例えば、アスピリン又はインドメタシンの潰瘍発生作用に対する、胃腸粘膜の抵抗性の増大に注目することによって観察してもよい。非ステロイド系抗炎症剤の、消化管に対する作用を和らげることに加えて、動物実験では、細胞保護化合物が、強酸、強塩基、エタノール、高張食塩水などの経口投与により誘発される胃損傷を予防できることが示されている。2つのアッセイを、細胞保護能を測定するために使用することができる。これらのアッセイは、(A)エタノール誘発損傷アッセイ及び(B)インドメタシン誘発潰瘍アッセイであり、これらはEP140,684に記載されている。特に、本発明の化合物は、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))及びセレコキシブ(CELEBREX(登録商標))のようシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と、低用量アスピリンとの同時投与によって引き起こされる、胃びらんを低減するために有用であろう。
【0072】
さらに、本発明の化合物はまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療用にも使用し得る。キルフェザー(S.Kilfeather)著、「チェスト(Chest)」、2002年、第121巻、p.197に記載されたように、COPD患者の気道好中球増加は、炎症の寄与原因であると考えられており、かつ気道リモデリングに関連づけられる。好中球の存在は、一部はLTBによって媒介されており、本発明の化合物による治療を用いて、COPD患者における好中球性炎症を低減し、かつCOPD増悪の速度を低減することも可能である。特に、本発明の化合物を、慢性気管支炎及び肺気腫を含む、COPDに関連した気道閉塞の、毎日の、好ましくは毎日1回の、維持療法に使用することも可能である。
【0073】
加えて、本発明の5−LO阻害剤化合物は、例えば抑うつ及び不安といった、精神障害の治療に有用であってもよい;マネフ(Manev,R.)及びマネフ(Manev,H.)著、「5−Lipoxygenase as a Putative Link Between Cardiovascular and Psychiatric Disorders(心血管疾患と精神障害との間の推定上の接点としての5−リポキシゲナーゼ)、Critical Reviews in Neurobiology」、2004年、第16巻、p.181−186参照。本発明の5−LO阻害化合物はまた、骨形成を促進するための治療有効量で、かかる治療を必要とする患者において使用することもできる。例えば、該化合物を使用して骨生成を促進して、骨折治癒を促進又は増強し、骨欠損を治療し、かつ骨形成を促進することも可能である。該化合物は、単独で、或いは、骨吸収を阻害し、骨からのカルシウム吸収を調節し、骨蓄積を促進し、骨形成を促進し、骨形成を誘導し、微生物の増殖を損なわせ、炎症を低減し、及び/又は疼痛を低減する、1種以上の追加の活性薬剤と併用して投与することができる。
【0074】
用語「患者」は、医学的症状の予防又は治療のため、本活性薬剤を使用する哺乳類、特にヒトを包含する。患者への薬剤の投与は、自己投与及び他者による患者への投与の双方を包含する。患者は、既存の疾患又は医学的症状のための治療を必要としてもよく、或いは、ロイコトリエン生合成の阻害により影響を及ぼされる疾患及び医学的症状のリスクを、防止又は低減するための予防的処置を所望してもよい。
【0075】
用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている、組織、系、動物、又はヒトの、生物学的又は医学的応答を誘発することができる薬剤又は医薬の量を意味することが意図されている。用語「予防有効量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって、組織、系、動物、又はヒトにおいて予防されることが求められている、生物学的又は医学的事象の発生のリスクを防止又は低減することができる医薬の量を意味することが意図されている。
【0076】
本明細書に記載された薬用量は、薬学的に活性のある遊離塩基化合物Iの重量に基づいている。本発明化合物の予防用又は治療用の用量の大きさは、もちろん、治療されるべき症状の重さの特性、及びその投与経路によって異なるであろう。それはまた、個々の患者の年齢、体重、及び反応によっても異なるであろう。特定の1日用量が、同時に、例えば既存のアテローム性動脈硬化症の進行を遅くする治療のための治療有効量と、例えばアテローム性動脈硬化性疾患事象又は新たな病変の形成の予防のための予防有効量との双方であり得ることが理解される。一般的に、抗喘息、抗炎症(COPD治療を含む)、抗アレルギー(アレルギー性鼻炎を含む)、又は抗アテローム性動脈硬化症用途、及び一般的な、細胞保護以外の用途のための1日用量範囲は、単回用量又は分割用量で、好ましくは、単回の1日用量、哺乳類、特にヒトのkg体重当たり、約0.01mgないし約3mg、好ましくは、kg当たり約0.1mgないし約2.5mgの範囲内にある。一方、場合によっては、これらの範囲外の用量を使用することが必要であってもよい。
【0077】
経口用組成物を用いる場合、ヒトの抗喘息、抗炎症、抗アレルギー、又は抗アテローム性動脈硬化症用途のための適当な1日用量範囲は、好ましくは単回の1日用量で、例えば、約1mgないし約200mg、さらに詳細には、約10mgないし約150mgである。例えば、抗喘息用途には、1日用量は約10mgないし約100mg、例えば、10mg、50mg、又は100mgを使用してもよい。COPD治療用には、1日用量は、例えば100mgでもよく、アテローム性動脈硬化症治療用には、1日用量は、例えば150mgでもよい。しかしながら、適当な1日用量は、これらの例に制限されない。錠剤及びカプセル、例えば乾燥充填カプセルは、成人患者における使用のための、好ましい経口用製剤である。咀嚼用又は経口崩壊性製剤もまた、特に小児用を意図した製剤に使用してもよい。
【0078】
吸入製剤用には、投与当たりの薬用量は、一般に、錠剤又はカプセルといった経口製剤用のものよりも低い。例えば、吸入製剤によって投与される活性化合物の1日用量は、0.010mgないし10mg、及び特に0.010mgないし2.5mgの範囲でよい。一日当たり単回又は複数回の吸入用量を使用してもよいが、単回の吸入用量が好ましい。
【0079】
活性化合物は、小児における、喘息並びにアレルギー性鼻炎の予防及び/又は治療に使用してもよい。小児使用には、1日用量範囲は、成人使用のためのものよりも低いことが期待される。例えば、適当な小児用の1日用量は、1日当たり1mgないし200mg、特に、1日当たり1mgないし50mgの範囲でよい。小児使用のための、経口製剤及び吸入製剤中に含有される薬用量は、それに応じて調整する必要があるであろう。単回の1日用量が好ましいが、分割用量もまた使用できる。好ましい小児用経口製剤は、経口用顆粒製剤(例えば、スプリンクル)、咀嚼用錠剤、及び経口用崩壊性固形製剤、例えば崩壊性錠剤を包含する。ドリンク用シロップもまた使用してもよい。味覚マスキング技術もまた、これらの、又は本明細書に記載された任意の他の製剤について、必要に応じて使用してもよい。
【0080】
静脈内投与用の組成物が用いられる使用には、抗喘息、抗炎症、抗アテローム性動脈硬化症、又は抗アレルギー使用のための適当な1日用量範囲は、1日当たり体重kg当たり約0.001mgないし約25mg(好ましくは0.01mgないし約1mg)の本発明化合物であり、細胞保護用の使用には、1日当たり体重kg当たり約0.1mgないし約100mg(好ましくは約1mgないし約100mg、及びさらに好ましくは約1mgないし約10mg)の本発明化合物である。眼疾患の治療用には、許容される眼用製剤中に0.001ないし1重量%の本発明化合物の溶液又は懸濁液を含んでなる、眼投与用の眼用製剤を使用してもよい。
【0081】
細胞保護用の使用には、適当な1日用量範囲は、1日当たり体重kg当たり0.1mgないし約100mg、好ましくは約1mgないし約100mg、及びさらに好ましくは約10mgないし約100mgの本発明化合物である。細胞保護剤として使用されるべき本発明化合物の正確な量は、とりわけ、それが損傷細胞を治癒するためか又は将来の損傷を避けるために投与されるのかということ、損傷細胞の性質(例えば、胃腸潰瘍対腎壊死)、及び原因物質の性質に依存するであろう。将来の損傷の回避における本発明化合物の使用の一例は、本発明化合物と、別の方法ではかかる損傷を引き起こすかもしれないNSAID(例えば、インドメタシン)との同時投与であろう。かかる用途には、本発明化合物を、NSAID投与の30分前ないし30分後に投与する。好ましくは、これを、NSAIDに先行するか、又は同時に投与する(例えば、併用剤形において)。経口製剤が好適である。
【0082】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物Iの塩及び薬学的に許容される担体、及び任意で他の治療用成分を含んでなる。医薬組成物中の化合物Iの塩は、非晶型であってよく、又は結晶型、例えば上記において特徴づけられた結晶型であってもよい。任意の適当な投与経路を、本発明化合物の有効用量を、哺乳類、特にヒトに与えるために使用してもよい。例えば、経口、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)、経眼(点眼)、経肺(経鼻又はバッカル吸入)などを使用してもよいが、いかなる所与の場合にも、最適な経路は、治療される症状の性質及び重さに依存するであろう。それらは、単位剤形として便利に提供してもよく、また、薬学の技術分野において周知の任意の方法により調製してもよい。剤形は、例えば、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、乾燥充填カプセルを含むカプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを包含する。経口製剤は、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アテローム性動脈硬化症、及びアテローム性疾患事象の予防に関連した使用に好適である。加えて、吸入製剤は、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎の治療用に望ましい。治療される症状の性質に合わせて、別の製剤を使用してもよい。
【0083】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、各々が所定の量の活性成分を含有する個別の単位、例えば、カプセル、カシェ剤、又は錠剤として、粉末又は顆粒として、或いは、水性液、非水性液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中の、溶液又は懸濁液として提供してもよい。かかる組成物は、任意の薬学の方法によって調製してよいが、全ての方法は、活性成分を、1種以上の必須成分を構成する担体と、集合させていく工程を包含する。一般に組成物は、活性成分を、液体担体若しくは超微粒子状の固形担体、又はその双方と、均一及び均質に混合すること、及び次に、必要であれば、生成物を所望のプレゼンテーションの形態にすることにより調製する。例えば、錠剤は、任意で1種以上の補助的成分とともに、圧縮又は成形することにより調製してもよい。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒といった流動性の形態にある活性成分を、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、又は分散剤と混合して、適当な機器で圧縮することにより調製してもよい。成型錠剤は、不活性な液体希釈剤で加湿された粉末化した化合物の混合物を、適当な機器において成型することにより製してもよい。望ましくは、各固体剤形、例えば、錠剤又はカプセルは、約1mgないし約200mgの活性成分を、遊離塩基重量ベースで、例えば、これに制限されないが、1mg、5mg、10mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、及び200mgを含有する。
【0084】
吸入による投与用には、本発明の化合物Iの塩は、肺への薬物送達に適したエアロゾルの形態で、便利に送達される。これらのエアロゾル剤形は、制限されることなく、ネブライズされた溶液及び懸濁液、定用量吸入剤、又は乾燥粉末吸入剤を包含する。噴霧療法用には、活性成分は、典型的には、水性ビヒクル中で製剤し、そして微細なエアロゾルクラウドを発生し得る、噴射又は電子装置によって投与する。定量噴霧吸入器(MDI)は、ハイドロフルオロカーボンのような噴射剤を使用して、散布用エアロゾルを生成し得る加圧容器中で、活性成分を可溶化又は懸濁化する。乾燥粉末吸入用には、化合物Iの塩を、単独で又は賦形剤と共に、活性物質の肺への送達が可能な送達装置と一緒に使用する。
【0085】
本発明化合物の適当な局所製剤は、経皮装置、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散粉剤などを包含する。
【0086】
実用には、本発明の化合物Iの塩は、均質混和物中の活性成分として、通常の医薬調合技術に従い、薬学的に許容される担体と混ぜ合せることができる。担体は、投与のために所望される剤形、例えば経口又は非経口(静脈内を含む)、に依存して、広く多様な形態をとってよい。経口投与剤形用の組成物の調製においては、任意の通常の薬学的媒体を使用してもよく、例えば懸濁液、エリキシル、及び溶液のような経口用液体製剤の場合には、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤など;或いは、例えば粉末、カプセル、及び錠剤のような経口用固形製剤の場合には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などといった担体であり、固形の経口用製剤が液体製剤よりも好適である。固形の薬学的担体が明らかに使用される場合には、その投与の容易さの故に、錠剤及びカプセルが、最も有利な経口用の単位剤形である。所望であれば、錠剤を標準的な水性又は非水性の技術によりコートしてもよい。
【0087】
上記に述べた一般的な剤形に加えて、本発明の化合物Iの塩はまた、制御放出手段及び/又は送達装置、例えば、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;3,630,200;4,008,719;及び5,366,738号(これらの開示は参考として本明細書に含まれる)に記載のものにより、投与してもよい。
【0088】
以下は、本発明の化合物Iの塩(活性化合物と呼ぶ)のための、代表的な医薬剤形の例である:
【0089】
【化3】

【0090】
本発明はまた、本発明の化合物を、薬学的に許容される担体と混ぜ合せることを含んでなる、医薬組成物を調製するためのプロセスも包含する。また、本発明の化合物を、薬学的に許容される担体と混ぜ合せることにより調製される、医薬組成物も包含する。
【0091】
治療有効量の本発明の化合物は、本明細書に記載の投薬用量において、本明細書に記載された医学的症状のいずれかを治療又は予防するために有用な、医薬調製のために使用することができる。例えば、本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化性疾患の発症のリスクを防止又は低減するため、アテローム性動脈硬化性疾患の進行を、ひとたびそれが臨床的症状となった後に停止又は遅くするため、及び、アテローム性動脈硬化性疾患事象の最初の又は後続の発症のリスクを防止又は低減するために有用な、医薬調製のために使用することができる。さらに、本発明化合物は、喘息、アレルギー及びアレルギー性症状、炎症、COPD、又はびらん性胃炎の治療のために有用な医薬の調製に使用することができる。本発明化合物を含んでなる医薬はまた、1種以上の追加の活性薬剤、例えば、以下に記載のものと共に調製してもよい。
【0092】
1種以上の追加の活性薬剤を、単一剤形において、本発明の化合物と組合せて使用してもよく、或いは、その組合せの活性薬剤を、別個の剤形で患者に投与してもよく、これによって活性薬剤の同時又は逐次的な投与が可能となる。他に特定しない限り、本明細書おいて、他の活性薬剤と併用して使用されるか、又は併用療法などの一部として使用されている、本発明の化合物に対する言及は、本発明の化合物と1種以上の追加の活性薬剤とを含んでなる単一の医薬組成物、並びに1種以上の他の別個に製剤された活性薬剤との併用療法の一部として投与される本発明化合物を含んでなる医薬組成物、の双方を包含する。
【0093】
本発明の化合物に加えて、本発明の医薬組成物はまた、他の活性薬剤(すなわち成分)も含有することができ、また本発明の化合物を含んでなる医薬組成物を、1種以上の他の別個に製剤された活性薬剤、例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、末梢系鎮痛剤、例えばゾメピラクジフルニサルなどとの併用療法に使用してもよい。本発明の化合物の、第二の活性成分に対する重量比は変化し、各成分の有効用量に依存するであろう。一般的には、それぞれの有効用量を使用することができる。したがって、例えば、本発明の化合物をNSAIDと併用する場合、前記化合物対NSAIDの、化合物重量比は、一般に、約1000:1ないし約1:1000、好ましくは約200:1ないし約1:200の範囲であろう。本発明の化合物と他の活性成分との組合せもまた、一般的に、上記の範囲内であるが、各々の場合に、各活性成分の有効用量を使用するべきである。
【0094】
NSAIDは、5つの群:(1)プロピオン酸誘導体、例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン;(2)酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、これは好適なNSAIDである、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラク;(3)フェナミン酸誘導体、例えば、フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、ニフルミン酸、及びトルフェナミン酸;(4)オキシカム、例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカム;及び(5)ビフェニルカルボン酸誘導体、例えば、ジフルニサル、及びフルフェニサル;又はその薬学的に許容される塩、に特徴づけることができる。
【0095】
インドメタシンに加えて、他の好適なNSAIDは、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、及びトルメチンである。本発明の化合物を含んでなる医薬組成物及び組合せはまた、EP138,481(1985年4月24日)、EP115,394(1984年8月8日)、EP136,893(1985年4月10日)、及びEP140,709(1985年5月8日)(これらはここに参考として本明細書に含まれる)に開示されたような、ロイコトリエンの生合成の阻害剤を含有してもよい。
【0096】
本発明の化合物はまた、ロイコトリエンアンタゴニスト、例えば、EP106,565(1984年4月25日)及びEP104,885(1984年4月4日)(これらはここに参考として本明細書に含まれる)に開示されたもの、及び当該技術分野において知られる他のもの、例えば、EP出願番号56,172(1982年7月21日)及び61,800(1982年6月10日);及び英国特許明細書第2,058,785号(1981年4月15日)(これらはここに参考として本明細書に含まれる)に開示されたものと組合せて使用してもよい。
【0097】
本発明の化合物を含んでなる医薬組成物及び組合せはまた、プロスタグランジンアンタゴニスト、例えばEP11,067(1980年5月28日)に開示されたもの、又はトロンボキサンアンタゴニスト、例えば米国特許第4,237,160号に開示されたものを、第2の活性成分として含んでなるか、又は併用療法において一緒に使用してもよい。それらはまた、ヒスチジンデカルボキシラーゼ阻害剤、例えば、米国特許第4,325,961号に記載された、α−フルオロメチルヒスチジン、を含有するか、又は一緒に使用してもよい。本発明化合物はまた、H又はH受容体アンタゴニスト、例えば、EP40,696(1981年、12月2日)に開示された、アセトアマゾール(acetamazole)、アミノチアジアゾール;ベナドリル、シメチジン、ファモチジン、フラマミン(framamine)、ヒスタジル(histadyl)、フェネルガン、ラニチジン、テルフェナジン、及び同様の化合物、例えば米国特許第4,283,408;4,362,736;及び4,394,508号に開示されたものと有利に組合せてもよい。医薬組成物はまた、K/HATPアーゼ阻害剤、例えば、米国特許第4,255,431号に開示された、オメプラゾールなどを含有するか、又は一緒に使用してもよい。本発明化合物はまた、肥満細胞安定化剤、例えば、英国特許明細書1,144,905及び1,144,906に記載された、1,3−ビス(2−カルボキシクロモン−5−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン及び関連化合物と便利に組合せてもよい。別の有用な医薬組成物は、本発明化合物を、セロトニンアンタゴニスト、例えば、「Nature」、1985年、第316巻、p.126−131に記載されたセロトニンアンタゴニスト、メチセルジドなどと組合せて含んでなる。この段落において引用された参考文献の各々は、ここに参考として本明細書に含まれる。
【0098】
他の有利な薬剤の組合せは、本発明の化合物を、抗コリン作動薬、例えば、臭化イプラトロピウム及びチオトロピウム、気管支拡張剤、例えば、ベータアゴニスト、サルブタモール、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、サルメテロール、フォルモテロールなど、及び抗喘息剤、テオフィリン、コリンテオフィリナート、及びエンプロフィリン、カルシウムアンタゴニスト、二フェジピン、ジルチアゼム、ニトレンジピン、ベラパミル、ニモジピン、フェロジピン、その他、及びコルチコステロイド、ハイドロコーチゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾンなどと組合せて含んでなる。
【0099】
特に、喘息の予防及び治療用には、本発明化合物は、経口吸入コルチコステロイド、例えば、ベクロメタゾン(例えば、QVAR(登録商標)インハレーション・エアロゾル(Inhalation Aerosol))、ブデソニド(例えば、パルミコート・レスパルス(Pulmicort Respules)、フルニソリド(例えば、AEROBID(登録商標)及びAEROBID(登録商標)−Mインヘイラー・システム(Inhaler System))、フルチカソン(例えば、FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)吸入粉末、FLOVENT(登録商標)HFAインハレーション・エアロゾル)、モメタゾン(例えば、ASMANEX(登録商標)TWISTHALER(登録商標))、及びトリアムシノロン(例えば、AZMACORT(登録商標)インハレーション・エアロゾル)、及びトリアムシノロン(例えば、AZMACORT(登録商標)インハレーション・エアロゾル)との、そしてまた、吸入コルチコステロイド/LABA製品、例えば、プロピオン酸フルチカゾン/サルメテロール(例えば、ADVAIR DISKUS(登録商標))との併用において使用することができる。本化合物はまた、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、モンテルカスト(例えば、SINGULAIR(登録商標));ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、例えば、ロフルミラスト、N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド、及びPCT公開WO2003/018579に開示された化合物;及び、超遅延型抗原4(VLA4)阻害剤、例えば、米国特許第6,229,011号に開示された化合物、特に、R411(N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル(これは、活性成分、N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニンの、エステルプロドラッグである)、及びPCT公開WO2006/023396に開示された化合物と併用して使用することもできる。
【0100】
さらに、追加の活性薬剤、例えば、抗アテローム性動脈硬化剤、抗糖尿病剤、抗肥満剤、及びメタボリックシンドロームの治療に使用される薬剤を、本発明の化合物と併用して使用してもよい。追加の活性薬剤又は複数の薬剤は、脂質改善化合物、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、又は他の薬学的活性をもつ薬剤、又は脂質改善作用と他の薬学的活性との双方をもつ薬剤であってよい。この目的のために有用なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例は、ラクトン型又はジヒドロキシオープン酸型のスタチン、及びその薬学的に許容される塩及びエステルを包含し、制限されることなく、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,342,767号参照);シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号参照);シヒドロキシーオープン酸であるシンバスタチン、特にそのアンモニウム塩又はカルシウム塩;プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号参照);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号参照);アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号参照);NK−104とも呼ばれるピタバスタチン(PCT国際公開番号WO97/23200参照);及びロスバスタチン(CRESTOR(登録商標);米国特許第5、260、440参照)を含む。本発明の化合物と併用して用いてもよい追加の活性薬剤は、制限されることなく、HMG−CoAシンターゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤、例えば、エゼチミブ(ZETIA(登録商標)(これは、米国特許No.Re.37721及び5,846,966に記載された、1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル])−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンである)、並びにエゼチミブとシンバスタチン(VYTORIN(登録商標))との固定用量での併用;コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤のような、HDL−上昇剤、例えばJTT−705(日本たばこ産業(Japan Tobacco Company);スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレン合成酵素阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤とも呼ばれる);アシルコエンザイムA;ACAT−1又はACAT−2の選択的阻害剤、並びにACAT−1及び−2の二重阻害剤を含む、コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;胆汁酸金属イオン封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質;血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン;一般にグリタゾンと呼ばれる化合物、例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、及びロシグリタゾン、を包含し、かつ、チアゾリジンジオンとして知られる構造クラス内に包含される化合物、並びにチアゾリジンジオン構造クラス以外のPPARγアゴニストを包含する、ヒトペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト;PPARαアゴニスト、例えば、クロフィブラート、微粉化フェノフィブラートを含むフェノフィブラート、及びゲムフィブロジル;PPAR二重α/γアゴニスト、例えば、ムラグリタザール;ビタミンB(ピリドキシンとしても知られる)、及びその薬学的に許容される塩、例えばHCl塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);葉酸及びその薬学的に許容される塩又はエステル、例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩;抗酸化ビタミン、例えばビタミンC及びE、及びベータカロテン;ベータ遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えばロサルタン及び、ロサルタン・ヒドロクロロチアジド合剤;アンギオテンシン変換酵素阻害剤、例えば、エナラプリル及びカプトプリル;カルシウムチャンネル遮断薬、例えば、二フェジピン及びジルチアザム(diltiazam);エンドセリンアンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増強する薬剤;阻害剤及びアゴニストを含む、FXR及びLXRリガンド;ビスホスホネート化合物、例えば、アレンドロネート・ナトリウム;及び、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、例えばロフェコキシブ、エトリコキシブ、及びセレコキシブを包含する。本発明化合物と組合せて使用し得る抗肥満剤は、制限されることなく、シブトラミン、オルリスタット、トピラマート、ナルトレキソン、ブプロピオン、フェンテルミン、及びフェンテルミン/トピラマート合剤(QNEXA(登録商標));NPY5アンタゴニスト;アセチル−CoAカルボキシラーゼ−1及び−2(ACC)阻害剤;MCH1Rアンタゴニスト;及びCB1アンタゴニスト/逆アゴニスト、例えばWO03/077847及びWO05/000809に記載されたものを包含する。本発明化合物と組合せて使用し得る追加の抗糖尿病剤は、制限されることなく、DPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ4)阻害剤、例えばシタグリプチン(JANUVIA(登録商標))及びビルダグリプチン(GALVUS(登録商標));スルホニル尿素、例えば、クロルプロパミド、トラザミド、グリブリド、グリピジド、及びグリメピリド;ビグアニド、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えば、アカルボーズ及びミグリトール;メグリチニド、例えば、ラパグリニド;グルカゴン受容体アンタゴニスト;及びグルコキナーゼ活性化剤を包含する。
【0101】
実施例1
工程A:化合物Iを作成するためのプロセスは、WO2006/099735の実施例7に記載されている。50mg/mlの化合物Iストック溶液は、化合物I遊離塩基1250mgを、メタノール25ml中に溶解することにより調製した。化合物Iストック溶液200uLを、96ウェルプレートの各ウェルに分注し、ウェル当たり10mg(0.02158mmol)の化合物Iを得た。次に、種々の酸を、マスタープレートの行1−5、7−9、及び11の各々に分注した。塩を形成するためには、この酸を0.1M酸ストック溶液として、手動により、以下に示したように列内の各ウェルに移した(行6、10、及び12の、それぞれHBr、HCl、及び酢酸を除外し、これらには、以下に記載のGeneVac工程の後に添加した)。0.1M酸ストック溶液216uLを、96ウェルマスタープレートのウェル当たり添加し、酸対化合物Iの、1:1モル比を得た。次に、96ウェルプレートを、GeneVac(遠心蒸発器)に入れて、溶媒を蒸発させた。HCl、HBr、及び酢酸は、遠心蒸発器内で酸が除去されるのを防ぐため、Gene Vac工程の後に、1M溶液(各々、ジエチルエーテル中1M HCl、MeOH中1M HBr、及びMeOH中1M酢酸)として、それぞれ行10、6、及び12に添加した。プレートを、1800rpmで、35℃、2−6mbar真空下で、2.5時間蒸発乾燥させた。96ウェルプレートを、行(酸)及び列(溶媒−以下の工程B参照)によってマッピングした。96ウェルプレートの酸及び溶媒のマッピングは、以下の通りであった:
【0102】
【化4】

【0103】
工程B:結晶化溶媒の添加:結晶化溶媒(列A−Hについて上記に記載)を、工程Aからのマスタープレートに分注した(800uL/ウェル)。96ウェルプレートにキャップをし、Cavroロボットのデッキ上に置き、30℃で攪拌しながら3時間平衡化した。温かいうちに、マスタープレートを2つの結晶化プレートに、手動によりサンプリングした(冷却285uL、蒸発300uL)。冷却プレートは、65−10℃の立体冷却温度プロフィールで10時間冷却した。冷却プレートを、10℃で2時間平衡化し、そして次に、分析のため20℃に温めた。蒸発プレートは、キャップなしでフード内に一晩放置して、溶媒を蒸発させた。翌日、各実験を吸い取って残留溶媒を除去し、そしてプレートを分析に移した。2つの研究(蒸発及び冷却)からの可能なリードを、XRPD及び交差偏光顕微鏡によって同定した。4つの可能な異なる結晶性リードを、最初の酸塩スクリーンにおいて、結晶性物質を含有するものとして、XRPDにより、出発遊離塩基とバルクの酸に対するディフラクトグラムにおける顕著な差異によって同定した。これら4つの結晶性リードを、実施例2に記載のスケールアップ実験用に選択した。
【0104】
実施例2
化合物Iのp−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及び酢酸塩のスケールアップ調製
化合物I遊離塩基の50mg/mlストック溶液1000uL(0.1079mmol)を、10本の4mLスケールアップ反応バイアルの各々に添加した。化合物I遊離塩基ストック溶液の分注に続き、1モル当量(0.1079mmol)の酸を、各スケールアップ実験に添加した。次いでスケールアップ実験を、GeneVac内に置き、余分な溶媒を蒸発させた。結晶化溶媒を、手動により、各スケールアップ実験に分注した(バイアル当たり2mLの全溶媒体積)。スケールアップ実験の完全な組成については、表1を参照のこと。冷却スケールアップ実験は、キャップを閉じ、そして65℃のトーリーパインズ(Torrey Pines)オーブンで3時間平衡化した。
【0105】
冷却スケールアップ実験(バイアルA1及びA2)は、65−10℃の立体冷却温度プロフィールで、10時間冷却した。冷却スケールアップ実験を、10℃で2時間平衡化し、そして次に、20℃に温めた。冷却スケールアップ実験(A2)を、オーブンから移したが、固体は何ら観察されなかった。次に、このスケールアップ実験のキャップをはずし、結晶化の誘導を試みて、室温で濃縮させた。蒸発スケールアップ実験(バイアルA3及びA4)は、キャップなしで、室温で濃縮した。スケールアップ実験から単離された固体を、交差偏光顕微鏡下で、かつ熱重量分析(TGA)により、DSC、及びXRPDによって分析した。
【0106】
【表1】

【0107】
実験A4は、化合物Iの酢酸塩を、非晶性のゲルとして生成した。実験A1及びA3は、化合物Iの結晶性トシラート塩を生成した。実験A1から単離された固体は、23.4℃ないし179.7℃で生じる0.61重量%の段階的な重量減少(おそらくは残留する溶媒の損失による)及び、180.0℃以降の分解をTGAによって示した。示差走査熱量測定(DSC)曲線は、単一のシャープな吸熱(融解)を示し、これは、162.9℃に開始を、そして166.0℃にピーク最大値を有する。プロトンNMRにより、単離された固体は、p−トルエンスルホン酸:化合物Iの1:1混合物を含有すると思われる。
【0108】
実験A2は、化合物Iの結晶性のベシラート塩を生成した。実験A2から単離された固体のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)を、図9に示す。この物質は、19.8℃ないし199.4℃で生じる4.3重量%の段階的な重量減少(おそらくは残留する溶媒の損失による)及び、200.0℃以降の分解をTGAによって示した。DSC曲線は、単一の小さな吸熱を示し、これは、62.5℃に開始を、そして64.9℃にピーク最大値を有する。144.8℃で起こる熱的事象又は段階はまた、DSC上でも観察された。プロトンNMRにより、単離された固体は、ベンゼンスルホン酸:化合物Iの1:1混合物を含有すると考えられる。
【0109】
実施例3
(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンのp−トルエンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩の調製
ベンゼンスルホン酸塩:固体化合物I(400mg、0.86mmol)を、1,2−ジクロロエタン(4mL)中に溶解した。1,2−ジクロロエタン(5mL)中の、ベンゼンスルホン酸水和物(137mg、0.86mmol)の溶液を添加した。ヘキサン(1mL)を添加すると、沈殿が形成し始めた。スラリーを15分間攪拌し、濃縮し、ヘキサン(30mL)中に懸濁し、そして濾過した。固体をヘキサン(30mL)で洗浄し、そしてフリット(frit)上で乾燥して、化合物Iベシラート塩を灰色がかった白色の固体454mgとして得た。固体を、2−プロパノール/ヘキサンから再結晶化して、オフホワイトの固体を得た。
p−トルエンスルホン酸塩:固体化合物I(400mg、0.86mmol)を、1,2−ジクロロエタン(5mL)中に溶解した。固体のp−トルエンスルホン酸一水和物(164mg)を添加し、そして混合物を、完全に溶解するため70℃で5分間加熱した。溶液を室温に冷却し、そしてヘキサン(2mL)を添加した。スラリーを濾過し、ヘキサン(30mL)で洗浄し、そしてフリット上で乾燥させて、化合物Iトシラートを白色固体450mgとして得た。
【0110】
実施例4
(S)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンのp−トルエンスルホン酸塩の調製
【0111】
【化5】

【0112】
約15.5mLのiPAc中に化合物I(5.4g)の粗溶液を含有する100mLの丸底フラスコに、iPAc(40mL)を添加し、そして混合物を室温で16時間攪拌した。攪拌を停止し、そして沈殿した固体をデカンテーションにより除去した。上清のアッセイは、5.2gの化合物Iを示した。
【0113】
p−トルエンスルホン酸一水和物(2.172g、11.418mmol)を、iPAc(13.2mL)にチャージし、この懸濁液を60℃に温め、そしてTsOHが完全に溶解するまで攪拌した(約5分間)。iPAc中の熱いTsOH溶液(約60℃)に、化合物Iの溶液を2時間にわたり添加した。約20%の遊離塩基溶液を添加した後、添加を停止した。シード(1mgの化合物Iトシラート塩)を添加し、そして混合物を10分間攪拌した。次いで、追加の遊離塩基の添加を継続した。添加の終了後、バッチを2時間にわたって徐々に室温に冷却し、そして室温で16時間攪拌した。攪拌を停止し、そしてバッチを濾過した。フィルターケークをiPAc(40mL)中に懸濁し、濾過し、iPAc(40mL)中に再懸濁し、そして濾過した。次に固体を30℃の真空オーブンに移し、そして18時間乾燥させて、標題化合物を得た。
【0114】
実施例5
化合物Iトシラート塩の結晶化
(10−11.5体積(4634−5329mL)の酢酸イソプロピルの溶液中の1.00mole(463.38g)の化合物Iベース)
【0115】
p−トルエンスルホン酸一水和物(p−TSA、1.00mole、190.22g)を、酢酸イソプロピル(IPAc)1158mL中に溶解する。スラリーを57−60℃に加熱して、pTSAを溶解し、そして30分間熟成させる。溶解を、混合物の試料を目視検査することにより確認する。混合物を高温で(57−60℃)で濾過し、続いて57−60℃の酢酸イソプロピル463mLでフラッシュする。
【0116】
バッチを過飽和させるため、IPAc中の化合物Iの溶液(典型的には約10.7重量%)の25%を、57−60℃において、pTSA/IPAc混合物と混ぜ合わせる。希釈なしのIPAcを容器にチャージして、9−10重量%の化合物Iトシラート塩の目標を達成する。バッチに、4.6グラム(化合物Iをベースにして1重量%)のトシラート塩をシーディングし、そしてシードベッドを、57−60℃で30分間熟成させる。残り75%の、IPAc中の化合物Iの溶液を、バッチ温度を57−60℃に維持しながら、2−3時間にわたってバッチにチャージする。3時間にわたる、20−25℃までのバッチの調節冷却を行ない、続いて15−25℃で2時間熟成させる。次にスラリーを、15−20℃で、安定した粒子サイズが達成されるまでウェットミルする。微粉を溶解するため、オプションの加熱/冷却サイクルを行なうことができる。加熱/冷却サイクルは、バッチを57−60℃で加熱すること、15分間熟成させること、そして次に、3時間にわたり20℃に冷却することからなる。15−20℃で少なくとも2時間バッチを熟成させた後、バッチを濾過する。酢酸イソプロピル1854mLによる、2回のケークの置換洗浄を行なう。酢酸イソプロピル1390mLによる3回目の置換洗浄を、フィルターに直接チャージする。ケークを真空で乾燥させ、そして55−60℃において<0.5重量%のIPAcまで、窒素スウィープ(nitrogen sweap)する。次に、バッチをコミル(co−mill)及び混合する。
【0117】
実施例6
化合物Iトシラート塩の結晶化(代替え法)
(13.5−15.4体積(216−246mL)の酢酸イソプロピルの溶液中の0.0344mole(15.96アッセイg)の化合物Iベース)
【0118】
シード容器に、57.8mLのIPAcを、続いて0.289gのウェットミルした化合物Iトシラート塩をチャージして溶液を飽和する。混合物を57−60℃に加熱し、そして次に1.59gのウェットミルした化合物Iトシラート塩(化合物Iをベースにして10重量%)を容器に添加する。別の容器で、0.0344moleのp−トルエンスルホン酸一水和物(6.55g)を、酢酸イソプロピル84mL中に溶解する。スラリーを57−60℃に加熱して、pTSAを溶解し、そして30分間熟成させる。溶解を、混合物の試料を目視検査することにより確認する。次に、pTSA溶液を15−25℃に冷却する。次に、結晶化容器を57−60℃に維持しながら、pTSA溶液と、IPAc中の化合物Iの溶液(.0344mole、216−246mLのIPAc中15.96アッセイg)とを同時に、10時間にわたってシード容器に添加する。3時間にわたる、15−25℃までのバッチの調節冷却を行ない、続いて15−25℃で2時間熟成させる。次いで、バッチを濾過する。酢酸イソプロピル63.8mLにより、ケークの2回の置換洗浄を行なう。ケークを真空で乾燥させ、そして55−60℃において<0.5重量%のIPAcまで、窒素スウィープする。次に、バッチをコミル(co−mill)及び混合する。
【0119】
本発明を、いくつかの特定の実施態様について記載及び例示してきたが、当業者は、種々の変更、修正、及び置換を、本発明の精神及び範囲から離れることなく行ない得ることを理解するであろう。例えば、上記の本明細書に示した特定の投与量以外の有効投与量を、上記に示した本発明において使用される活性薬剤の任意の適応症に関する、治療される哺乳類の反応性の変動の結果として適用してもよい。それ故、本発明が以下のクレームの範囲によって定義されること、及びかかるクレームが妥当である限り広く解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p−トルエンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩からなる群より選択される、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの塩。
【請求項2】
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンのp−トルエンスルホン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンのベンゼンスルホン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項5】
17.77、8.90、及び5.17オングストロームから選択される少なくとも1つの格子面間隔を含有する、CuKα照射を用いて得られるXRPDパターンを有することによって特徴づけられる、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項6】
48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけられる、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項7】
48.5、124.1、152.4、28.4、141.3、162.1、74.8、154.4、及び164.5p.p.m.からなる群より選択される、固体炭素−13 CPMAS NMRによって得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけられる、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項8】
−50.2、−75.6、及び−101.3p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも1つの化学シフト値を有することによって特徴づけられる、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項9】
−50.2、−75.6、及び−101.3p.p.m.からなる群より選択される、固体フッ素−19 CPMAS NMRにより得られる少なくとも2つの化学シフト値を有することによって特徴づけられる、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの結晶性p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項10】
請求項1に記載の塩と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項11】
前記塩が、p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記塩が、結晶性p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記塩が、請求項6に記載の結晶性p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記塩が、請求項7に記載の結晶性p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記塩が、請求項8に記載の結晶性p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記塩が、請求項9に記載の結晶性p−トルエンスルホン酸塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項17】
喘息、慢性閉塞性肺疾患、及びアテローム性動脈硬化症から選択される疾患の治療のための方法であって、請求項10ないし16のいずれか1項に記載の医薬組成物の治療有効量を、その治療を必要とする患者に投与することを含んでなる該方法。
【請求項18】
喘息、慢性閉塞性肺疾患、及びアテローム性動脈硬化症から選択される疾患の、治療用医薬の製造における、(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩の使用。
【請求項19】
前記塩が、請求項2ないし9のいずれか1項に記載の塩である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記塩が、請求項4ないし9のいずれか1項に記載の塩である、請求項18に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−540518(P2010−540518A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526918(P2010−526918)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/010987
【国際公開番号】WO2009/042098
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(309041432)メルク・シヤープ・エンド・ドーム・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】