説明

グリセロール処理方法

グリセロールアルキルエーテルの少なくとも一部をグリセロールに転化するために少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物を処理するための方法であって、グリセロール生成物が処理中に導入される少なくとも1種のハロ−脱アルコキシル化剤との反応にかけられ、そしてハロ−脱アルコキシル化剤の総量対処理前のグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比が0.1以上および1,000,000以下である方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、その内容が参照により本明細書に援用される、2008年12月8日出願の特許出願FR 0858362号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明はグリセロール処理方法に関する。本発明は、より具体的にはグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロールの処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
グリセロールは、様々な用途に、特にジクロロプロパノール、エピクロロヒドリンおよびエポキシ樹脂の製造における反応中間体の製造に使用することができる(非特許文献1)。
【0004】
SOLVAY SAの名義で出願された国際出願(特許文献1)は、グリセロールの塩素化によるジクロロプロパノールの製造方法であって、グリセロールが先ずグリセロールアルキルエーテルから精製される方法を開示している。開示されている精製処理は、蒸発濃縮、蒸発結晶化、蒸留、分別蒸留、ストリッピングまたは液/液抽出処理である。これらの処理は、ジクロロプロパノール製造方法を複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2007/144335号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,1992,Vol.2,156ページ,John Wiley & Sons,Inc.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、グリセロールアルキルエーテルの少なくとも一部をグリセロールに転化するために少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物を処理するための方法であって、グリセロール生成物が少なくとも1種のハロ−脱アルコキシル化剤との反応にかけられ、そして処理中に導入されるハロ−脱アルコキシル化剤の総量対処理前のグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比が0.1以上および1,000,000以下である方法を提供することによってこの問題を解決することを目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法において、この処理は一般に、グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有し、かつ、グリセロールアルキルエーテルでもグリセロールハロヒドリンのアルキルエーテルでもない少なくとも1種の化合物の形成にさらにつながる。この化合物は一般にグリセロールアルキルエーテルより低い沸点を有し、それはグリセロールアルキルエーテルから得られる。
【0009】
本発明の本質的な特徴の1つは、グリセロールへのおよびグリセロールハロヒドリンへの可能性もあるグリセロールアルキルエーテルの転化にある。
【0010】
国際出願国際公開第2007/144335号パンフレットに開示されている方法によるグリセロールアルキルエーテルの除去と比較して、本発明による方法は、次の利点:
a)ハロ−脱アルコキシル化の後に再使用することができるグリセロールの回収;
b)このアルキル基を含有する化合物の、グリセロールアルキルエーテルの揮発度と比較してこの化合物のより大きい揮発度の結果として、反応媒体からのより容易な分離
を有する。
【0011】
グリセロール生成物中に汚染量で存在するグリセロールアルキルエーテルはグリセロールへ転化することができ、そして一方本処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するかまたは本処理中に形成されるグリセロールはハロ−脱アルコキシル化剤での処理による影響を大きく受けないままであることが意外にも見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これ以降、本文書で表現「少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物」は「汚染されたグリセロール生成物」で表される。
【0013】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理前の汚染されたグリセロール生成物のグリセロール含有率は、一般に200g/kg以上、しばしば500g/kg以上、頻繁に750g/kg以上、通常900g/kg以上、とりわけ950g/kg以上、特に990g/kg以上、とりわけ995g/kg以上、中でも999g/kg以上である。
【0014】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールアルキルエーテルは、グリセロールアルキルモノエーテル、グリセロールアルキルジエーテル、グリセロールアルキルトリエーテル、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。これらのグリセロールアルキルエーテルにおいて、アルキル基は一般に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびそれらの少なくとも2つの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される。これらのグリセロールアルキルエーテルは、その内容が、より具体的には2ページ、6行〜3ページ、25行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義で出願された出願国際公開第2007/144335号パンフレットに記載されている通りである。
【0015】
グリセロールオリゴマーはグリセロールアルキルエーテルであるとは見なされない。
【0016】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールアルキルエーテルは好ましくは、グリセロールメチルモノエーテル、グリセロールメチルジエーテル、グリセロールメチルトリエーテル、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択される。グリセロールメチルモノエーテル、すなわち3−メトキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−メトキシ−1,3−プロパンジオール、ならびにそれらの混合物がより好ましい。
【0017】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理前の汚染されたグリセロール生成物中のグリセロールアルキルエーテル含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001g以上、しばしば0.005g/kg以上、頻繁に0.01g/kg以上、通常0.04g/kg以上、ふつう0.1g/kg以上である。この含有率は、一般に100g/kg以下、しばしば90g/kg以下、通常50g/kg以下、頻繁に10g/kg以下、ふつう1g/kg以下、通例0.5g/kg以下、特に0.2g/kg以下である。
【0018】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールアルキルエーテルは好ましくは、上に定義されたようにグリセロールメチルエーテルであり、処理前の汚染されたグリセロール生成物中のグリセロールメチルエーテルの含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001g以上、しばしば0.005g/kg以上、頻繁に0.01g/kg以上、通常0.04g/kg以上、ふつう0.1g/kg以上である。この量は、一般に100g/kg以下、しばしば90g/kg以下、通常50g/kg以下、頻繁に10g/kg以下、ふつう1g/kg以下、通例0.5g/kg以下、特に0.2g/kg以下である。
【0019】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理前の汚染されたグリセロール生成物中のグリセロール含有率は、好ましくは汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり900g以上、より好ましくは950g/kg以上、特に好ましくは990g/kg以上であり、処理前の汚染されたグリセロール生成物中のグリセロールメチルエーテルの含有率は上記の通りである。
【0020】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/000773号パンフレット、2ページ、11行〜3ページ、21行に記載されているように少なくとも1種のジオールを含有するかもしれない。
【0021】
このジオールは好ましくは、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオールがしばしば存在する。
【0022】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中のジオール含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001gジオール以上、しばしば0.005g/kg以上、頻繁に0.01g/kg以上、通常0.04g/kg以上、ふつう0.1g/kg以上である。この含有率は、一般に100gジオール/kg以下、しばしば90g/kg以下、通常50g/kg以下、頻繁に10g/kg以下、ふつう1g/kg以下、通例0.5g/kg以下、特に0.2g/kg以下である。
【0023】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での国際出願国際公開第2007/144335号パンフレットに、3ページ、26〜31行に記載されているように少なくとも1種のモノアルコールを含有するかもしれない。
【0024】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中のモノアルコール含有率は、ふつう汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001g以上、しばしば0.01g/kg以上である。この含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり20g未満、しばしば2g/kg以下である。
【0025】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた水を含有するかもしれない。
【0026】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中の含水率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.1g以上である。この含有率は、一般に100g/kg以下、しばしば50g/kg以下、頻繁に20g/kg以下、とりわけ100g/kg以下、特に1g/kg以下である。
【0027】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2007/144335号パンフレットに、5ページ、12〜20行に記載されているように、アルキルエステル、例えば、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸、グリセロールエステル、塩、およびこれらの化合物の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するかもしれない。
【0028】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中のアルキルエステル、例えば、脂肪酸のアルキルエステルの含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.1g以上、しばしば1g/kg以上、頻繁に5g/kg以上である。この含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり50g未満、しばしば30g/kg以下、よりしばしば10g/kg以下である。
【0029】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中のグリセロールエステルの含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.1g以上、しばしば1g/kg以上、頻繁に5g/kg以上である。この含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり50g未満、しばしば30g/kg以下、よりしばしば10g/kg以下である。
【0030】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中の塩含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.0005g以上、しばしば0.001g/kg以上、頻繁に0.01g/kg以上である。この含有率は、一般に10g/kg未満、しばしば1g/kg以下、よりしばしば0.1g/kg以下である。
【0031】
処理前の汚染されたグリセロール生成物中の脂肪酸含有率は、一般に汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001g以上、しばしば0.01g/kg以上、頻繁に0.05g/kg以上である。この含有率は、一般に10g/kg未満、しばしば5g/kg以下、よりしばしば1g/kg以下である。
【0032】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/077528号パンフレットに、2ページ、22行〜3ページ、17行に記載されているように少なくとも1種の窒素含有化合物を含有するかもしれない。
【0033】
元素状窒素として表される処理前の汚染されたグリセロール生成物中の窒素含有化合物の全含有率は、ふつう汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり1gのN以下、しばしば0.5gのN/kg以下、頻繁に0.1gのN/kg以下、通常0.05gのN/kg以下、とりわけ0.03gのN/kg以下、特に0.01gのN/kg以下である。この含有率は一般に0.1mgのN/kg以上である。
【0034】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物はまた、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/121853号パンフレット、より具体的には3ページ、2行〜6ページ、19行の節に記載されているように少なくとも1種のグリセロールオリゴマーを含有するかもしれない。
【0035】
グリセロールオリゴマーは好ましくは、線状構造のグリセロール二量体、分岐構造のグリセロール二量体、環状構造のグリセロール二量体、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されるグリセロール二量体である。
【0036】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールの環状オリゴマー、好ましくはグリセロールの環状二量体の含有率は、しばしば汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり10g以下の環状オリゴマー、頻繁に5g/kg以下、通例2.5g/kg以下、とりわけ1g/kg以下、よりとりわけ0.5g/kg以下、特に0.1g/kg以下である。この含有率はしばしば0.05g/kg以上である。
【0037】
ジオール、グリセロールアルキルエーテル、モノアルコール、水、アルキルエステル、例えば脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸、グリセロールエステル、塩、窒素含有化合物およびグリセロールオリゴマーは、例えば、エステル交換、および/または鹸化および/または加水分解および/またはアンモニア分解反応による動物および/または植物起源の油および脂肪の転化方法などのグリセロール製造方法の副生物であってもよい。
【0038】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤は、固体、液体、ガス、溶液、分散系、エマルジョン、懸濁液、およびこれらの形態の少なくとも2つの任意の組み合わせからなる群から選択される任意の形態で使用されてもよい。
【0039】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤の少なくとも一部はしばしばガス形態で使用される。本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤の少なくとも一部は、しばしば反応中にガス形態で供給される。
【0040】
ガス形態で使用されるまたは供給されるハロ−脱アルコキシル化剤の部分は、処理中に使用されるまたは供給されるハロ−脱アルコキシル化剤の総量のふつう少なくとも50%モル、好ましくは少なくとも75%モル、より好ましくは少なくとも90%モル、さらにより好ましくは少なくとも95%モル、一層より好ましくは少なくとも99%モル、最も好ましくは少なくとも99.9%モルである。
【0041】
ガス形態で本質的に使用されるまたは供給されるハロ−脱アルコキシル化剤が便利である。
【0042】
ガス形態でのとき、ハロ−脱アルコキシル化剤は、任意に少なくとも1種の他のガス状化合物との混合物で使用されてもよい。他のガス状化合物は、窒素、酸素、二酸化炭素、スチーム、希ガス、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。混合物中のハロ−脱アルコキシル化剤の含有率は、ふつう50%モル以上、しばしば80%モル以上、頻繁に90%モル以上、よりとりわけ99%モル以上である。ハロ−脱アルコキシル化剤から本質的になるガス混合物が特に便利である。
【0043】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤は、ハロゲン化水素、ルイス酸、およびハロトリアルキルシランの少なくとも1つを含有してもよい。ハロゲン化水素が特に好適である。少なくとも2つのハロゲン化水素の混合物もまた好適である。
【0044】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤は、少なくとも1つのハロゲン化水素を含有してもよい。
【0045】
ハロゲン化水素は、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0046】
ハロゲン化水素は、ガスのもしくは水溶液のもしくは非水性溶媒中の溶液の、またはこれらの形態の少なくとも2つの組み合わせの形態にあってもよい。
【0047】
ハロゲン化水素が水溶液の形態にあるとき、ハロゲン化水素のおよび水の量の合計に対するハロゲン化水素の量は、ふつう70重量%以下、しばしば50重量%以下、頻繁に40重量%以下、特に25重量%以下、とりわけ10重量%以下である。この量はふつう1重量%以上である。
【0048】
ハロゲン化水素が水溶液の形態にあるとき、ハロゲン化水素のおよび水の量の合計に対するハロゲン化水素の量は40重量%以上、好ましくは50重量%以上であることがまた有利であるかもしれない。
【0049】
塩化水素は、非常に好適である1種のハロゲン化水素である。
【0050】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、ハロゲン化水素は塩化水素を含有してもよい。
【0051】
塩化水素は、ふつうガスの形態で、しばしば水溶液の形態で、頻繁にガスのおよび水溶液の混合物の形態で使用される。
【0052】
ガス状塩化水素の使用が特に好適である。
【0053】
ガス形態でのとき、塩化水素は、任意に少なくとも1種の他のガス状化合物との混合で使用されてもよい。他のガス状化合物は、窒素、酸素、二酸化炭素、スチーム、希ガス、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。混合物中の塩化水素の含有率は、ふつう50%モル以上、一般に80%モル以上、多くの場合に90%モル以上、しばしば99%モル以上、頻繁に99.5%モル以上、よりとりわけ99.9%モル以上である。塩化水素から本質的になるガス混合物が特に便利である。
【0054】
ガス状ハロ−脱アルコキシル化剤の使用は、同じ試剤の水溶液の使用よりも次の利点:
(a)グリセロールアルキルエーテルのより高い転化率
(b)処理の点でグリセロールから分離されるべき水のより低い量
(c)相当するアルキルアルコールよりもグリセロールから分離するのが容易なアルキルクロリド共生成物の形成
を有する。
【0055】
全てのこれらの利点は、ハロ−脱アルコキシル化剤が塩化水素であるときに特に遭遇する。
【0056】
ルイス酸は、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウムおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。ハロゲン化物は、BF、BCl、(CHBBr、BBr、BI、AlClおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群からしばしば選択される。
【0057】
ハロトリアルキルシランは頻繁にヨードトリメチルシランである。
【0058】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する形成される化合物は、ハロゲン化アルキル、アルコール、アルコレート、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0059】
グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する形成される化合物は、ふつうハロゲン化アルキル、時々アルコール、頻繁にこれら2つの混合物である。
【0060】
グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する形成される化合物は、好ましくはアルコール、より好ましくはメタノールである。
【0061】
グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する形成される化合物は、同等に好ましい方法では、塩化アルキル、より具体的には塩化メチルである。
【0062】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、グリセロールアルキルエーテルの少なくとも一部は、グリセロールハロヒドリンに転化されてもよい。
【0063】
グリセロールハロヒドリンは、グリセロールモノハロヒドリンもしくはグリセロールジハロヒドリンまたはそれらの混合物であってもよい。グリセロールハロヒドリンは好ましくはグリセロールモノハロヒドリンである。
【0064】
グリセロールハロヒドリンは、グリセロールフルオロヒドリン、グリセロールクロロヒドリン、グリセロールブロモヒドリン、グリセロールヨードヒドリンおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。グリセロールクロロヒドリンが好ましい。グリセロールモノクロロヒドリンが特に好ましい。
【0065】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物の処理は、回分モードで、半連続モードでまたは連続モードで実施されてもよい。
【0066】
表現「連続モード」は、反応体、すなわち少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを含有するグリセロールおよびハロ−脱アルコキシル化剤が連続的に反応媒体に供給され、そして反応生成物の少なくとも1種、すなわちグリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物または処理されたグリセロールが連続的に前記反応媒体から抜き出される操作モードを意味すると理解される。
【0067】
表現「回分モード」は、半連続または流加モードを包含する、任意の他の操作モードを意味すると理解される。
【0068】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理は、一般に20℃以上、しばしば40℃以上、頻繁に60℃以上、特に75℃以上の温度で行われる。この温度は、ふつう160℃以下、しばしば140℃以下、頻繁に120℃以下、特に100℃以下である。
【0069】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理は、一般に0.3バール絶対以上、しばしば0.5バール絶対以上、頻繁に0.7バール絶対以上、中でも0.9バール絶対以上の圧力で行われる。この圧力は、一般に100バール絶対以下、しばしば50バール絶対以下、頻繁に20バール絶対以下、多くの場合10バール絶対以下、中でも5バール絶対以下である。
【0070】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、およびハロ−脱アルコキシル化剤が塩化水素を含む場合には、処理は、一般に0.3バール以上、しばしば0.5バール以上、頻繁に0.7バール以上、中でも0.9バール以上の塩化水素の分圧で行われる。この圧力は、一般に100バール以下、しばしば50バール以下、頻繁に20バール以下、多くの場合10バール以下、中でも5バール以下である。
【0071】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理が回分モードで実施されるとき、処理時間は、一般に10分以上、しばしば20分以上、頻繁に30分以上、中でも1時間以上である。この時間は、一般に100時間以下、しばしば50時間以下、頻繁に30時間以下、多くの場合20時間以下、中でも10時間以下、よりとりわけ5時間以下である。
【0072】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理が連続モードで実施されるとき、反応媒体の容積対反応体の供給流量の合計の比と定義される、処理の滞留時間は、一般に10分以上、しばしば20分以上、頻繁に30分以上、中でも1時間以上である。この滞留時間は、一般に100時間以下、しばしば50時間以下、頻繁に30時間以下、多くの場合20時間以下、中でも10時間以下、よりとりわけ5時間以下である。
【0073】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、処理中に導入されるハロ−脱アルコキシル化剤の総量対処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比は、しばしば1以上、頻繁に10以上、多くの場合50以上、中でも100以上である。この比は、しばしば100,000以下、頻繁に10,000以下、多くの場合1000以下、中でも500以下である。
【0074】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物とハロ−脱アルコキシル化剤との反応は、ポリヒドロキシル化アルカンのハロゲン化用の少なくとも1種の触媒の存在下に実施されてもよい。この触媒は、カルボン酸および/またはカルボン酸誘導体であってもよい。カルボン酸誘導体は、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2005/054167号パンフレット、6ページ、28行〜7ページ、35行に、ならびにその内容が、より具体的には12ページ、20行〜18ページ、3行が参照により本明細書に援用される、出願国際公開第2006/020234号パンフレットに、ならびにその内容が、より具体的には10ページ、4〜6行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2009/077528号パンフレットにそれらの幾つかが記載されている、カルボン酸エステル、カルボン酸塩化物、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、ニトリル、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0075】
触媒はまた、Catalysis Communications 9、1920−1923(2008)に、Sang Hee Leeらによって記載されているような、HPMo12−x40(xは、1〜12の整数、またはゼロである)、HSiMo12−x40(xは、1〜12の整数、またはゼロである)、H3+xPW12−x40(xは、1〜3の整数、またはゼロである)およびH3+xPMo12−x40などのヘテロポリ酸であってもよい。触媒はまた、元素の周期表の族IIB、IIIB(例えばSc)、IVB(例えば、Ti)、VB(例えばV)、IIIA(例えばAl)、IVA(例えばSn)およびVA(例えばBi)からの、Fe、Co、Ni、PdおよびPtなどの、元素の周期表の族VIIIからの、Znなどの、元素の周期表の族IIBからの金属の金属酸化物、混合金属酸化物、ハロゲン化物、ならびにまたランタノイドおよびアクチノイド、ゼオライト、ヘテロポリ酸塩、BPO、AlPOなどのオキソ酸またはオキソ酸塩、ポリリン酸、リン酸およびそれの塩、ホウ酸およびそれの塩、ニオブ酸から選択される化合物あるいは特開2008−214290号公報に記載されているような任意にイオン交換樹脂の形態でのスルホン酸などの強酸性有機化合物であってもよい。
【0076】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、汚染されたグリセロール生成物とハロ−脱アルコキシル化剤との反応は、触媒の不存在下にしばしば実施される。
【0077】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法の一実施形態では、ハロ−脱アルコキシル化剤はガス状塩化水素を含み、処理は、次の条件:連続モードでは、70℃以上および90℃以下の温度で、0.9バール絶対以上および5バール絶対以下の圧力で、10分以上および10時間以下の滞留時間、ならびに10以上および10,000以下の、処理中に導入される塩化水素の総量対処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比についての少なくとも1つのもとで実施される。
【0078】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法のより特定の一実施形態では、ハロ−脱アルコキシル化剤はガス状塩化水素から本質的になり、処理は、次の条件:連続モードでは、70℃以上および90℃以下の温度で、0.9バール絶対以上および5バール絶対以下の圧力で、10分以上および10時間以下の滞留時間、ならびに10以上および10,000以下の、処理中に導入される塩化水素の総量対処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比についての少なくとも1つのもとで実施される。
【0079】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理方法は、処理の終わりに得られるグリセロールの少なくとも一部および処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの少なくとも一部が、グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物からグリセロールを分離するために少なくとも1つの分離操作にかけられる補助処理を含んでもよい。
【0080】
分離操作は、その内容が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2007/144335号パンフレット、6ページ、23行〜8ページ、31行に記載されているように、蒸発濃縮、蒸発結晶化、蒸留、分別蒸留、ストリッピングおよび液/液抽出操作からなる群の少なくとも1つを含んでもよい。
【0081】
ハロ−脱アルコキシル化処理および分離操作は、引き続いてまたは同時に実施されてもよい。用語「引き続いて」は、グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物の処理されたグリセロールからの分離のための操作がハロ−脱アルコキシル化処理中に全く実施されない状況を意味すると理解される。用語「同時に」は全ての他の状況を意味すると理解される。ハロ−脱アルコキシル化処理および分離操作はしばしば同時に実施される。
【0082】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理の終わりに、グリセロールアルキルエーテルの転化率は、一般に5モル%以上、ふつう10モル%以上、多くの場合に20モル%以上、しばしば50モル%以上、頻繁に70モル%以上、多くの場合85モル%以上、中でも90モル%以上、とりわけ95モル%以上、より特に99.5モル%以上である。この転化率は一般に99.9モル%以下である。転化率は、処理の終わりに転化したグリセロールアルキルエーテルのモル数対処理にかけられたグリセロールアルキルエーテルのモル数の比と定義される。
【0083】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理の終わりに、グリセロールへのおよび/またはグリセロールハロヒドリンへのグリセロールアルキルエーテルの転化率(ハロ−脱アルコキシル化度)は、一般に5モル%以上、ふつう10モル%以上、多くの場合に20モル%以上、しばしば50モル%以上、頻繁に70モル%以上、多くの場合85モル%以上、中でも90モル%以上、とりわけ95モル%以上、より特に99.5モル%以上である。この転化率は一般に99.9モル%以下である。
【0084】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理の終わりに、グリセロールアルキルエーテルのハロゲン化生成物へのグリセロールアルキルエーテルの転化率は、一般に80モル%以下、しばしば50モル%以下、頻繁に30モル%以下、多くの場合15モル%以下、中でも10モル%以下、とりわけ5モル%以下、非常に特に0.5モル%以下である。この転化率は一般に0.1モル%以上である。
【0085】
本発明による汚染されたグリセロール生成物の処理の終わりに、処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの転化率は、一般に0.01モル%以上、しばしば0.1モル%以上、頻繁に0.5モル%以上、多くの場合1モル%以上、中でも2モル%以上である。この転化率は、一般に50モル%以下、しばしば40モル%以下、頻繁に30モル%以下、多くの場合20モル%以下、中でも10モル%以下である。この転化率は、処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在し、そして処理の終わりに転化したグリセロールのモル数対処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールのモル数の比と定義される。
【0086】
本発明はまた、
a)グリセロールアルキルエーテルの少なくとも一部をグリセロールに、およびグリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する、そしてグリセロールアルキルエーテルでもグリセロールハロヒドリンのアルキルエーテルでもない少なくとも1種の化合物に転化するために少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物を処理する第1ステップであって、このグリセロールが少なくとも1種のハロ−脱アルコキシル化剤との反応にかけられ、処理中に導入されるハロ−脱アルコキシル化剤の総量対処理前のグリセロール生成物中に存在するグリセロールアルキルエーテルの総量のモル比が0.1以上および1,000,000以下である第1ステップ、
b)任意に、ステップa)の終わりに存在するグリセロールの少なくとも一部が、前記グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物から前記グリセロールを分離するために少なくとも1つの分離操作にかけられる第2ステップ;
c)ステップa)の終わりに得られた処理されたグリセロール生成物の少なくとも一部および/またはステップb)の終わりに得られた分離されたグリセロールの少なくとも一部が、前記グリセロールの少なくとも一部をグリセロールクロロヒドリンに転化するために塩化水素との反応にかけられる第3ステップ
を含むグリセロールクロロヒドリンの製造方法に関する。
【0087】
グリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)は、少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物の処理方法について上に記載された条件下に実施されてもよい。
【0088】
グリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップb)は、グリセロールとグリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物との分離処理について上記の条件下に実施されてもよい。
【0089】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法の好ましい実施形態では、ステップa)に使用されるハロ−脱アルコキシル化剤は、塩化水素、好ましくは上記の通りガス状塩化水素を含む。ステップa)に使用されるハロ−脱アルコキシル化剤は、より好ましくは塩化水素から、さらにより好ましくは上記の通りガス状塩化水素から本質的になる。
【0090】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、および本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、汚染されたグリセロール生成物は、その内容が、より具体的には1ページ、26行〜4ページ、2行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているように、その内容が、より具体的には3ページ、29行〜5ページ、24行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100312号パンフレットに記載されているように、ならびにその内容が、より具体的には10ページ、16〜23行のおよび11ページ、4〜25行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/000773号パンフレットに記載されているように、化石原材料および/または再生可能な原材料から出発して、好ましくは再生可能な原材料から出発して得られてもよい。
【0091】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、および本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、汚染されたグリセロール生成物は、その内容が、より具体的には7ページ、11行〜9ページ、10行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100315号パンフレットに記載されているようなアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の含有率を有するかもしれない。
【0092】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、および本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、汚染されたグリセロール生成物は、その内容が、より具体的には2ページ、3〜8行および6ページ、20行〜9ページ、14行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100319号パンフレットに記載されているようなアルカリおよびアルカリ土類金属以外の元素を含有するかもしれない。
【0093】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、および本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、汚染されたグリセロール生成物は、その内容が、より具体的には15ページ、32行〜17ページ、33行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100316号パンフレットに記載されているように、グリセロール以外の重質化合物であって、1バール絶対の圧力下の沸点がグリセロールクロロヒドリンの沸点より少なくとも15℃高い重質化合物を含有するかもしれない。
【0094】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法では、および本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、ハロ−脱アルコキシル化剤が塩化水素であるとき、この塩化水素は、その内容が、より具体的には4ページ、32行〜5ページ、18行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているようなプロセスに、その内容が、より具体的には2ページ、10行〜3ページ、20行および11ページ、1行〜18ページ、29行の節が参照により本明細書に援用される、出願国際公開第2006/106153号パンフレットに記載されているようなプロセスに、ならびにその内容が、より具体的には12ページ、14行〜14ページ、21行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2007/144335号パンフレットに記載されているようなプロセスに、少なくとも部分的に由来してもよい。この塩化水素は、その内容が、より具体的には2ページ、31行〜16ページ、12行の節が参照により本明細書に援用される、出願PCT/EP2009/061812号明細書に記載されているように精製されてもよい。
【0095】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、ステップc)は、その内容が、より具体的には14ページ、15行〜17ページ、10行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/106154号パンフレットに記載されているような反応媒体中で実施されてもよい。
【0096】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法ならびに本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法は、その内容が、より具体的には6ページ、3〜33行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているような塩素化剤に耐性がある材料から製造されたまたは材料で被覆された反応器で、ならびにその内容が、より具体的には2ページ、29行〜3ページ、7行および23ページ、22行〜27ページ、25行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100317号パンフレットに記載されているような、およびその内容が、より具体的には1ページ、30行〜9ページ、17行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/043796号パンフレットに記載されているような、塩素化剤に耐性がある材料から製造されたまたは材料で被覆された装置で実施されてもよい。
【0097】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法ならびに本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)は、その内容が、より具体的には6ページ、24行〜7ページ、35行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに、ならびにその内容が、より具体的には12ページ、20行〜18ページ、3行の節が参照により本明細書に援用される、出願国際公開第2006/020234号パンフレットに、ならびにその内容が、より具体的には10ページ、4〜6行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/077528号パンフレットに記載されているような触媒の存在下に実施されてもよい。
【0098】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップc)は、その内容が、より具体的には8ページ、6〜15行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているような触媒濃度で実施されてもよい。
【0099】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップc)は、その内容が、より具体的には1ページ、24〜31行および2ページ、6行〜6ページ、18行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2007/054505号パンフレットに記載されているように実施されてもよい。
【0100】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法ならびに本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)は、その内容が、より具体的には11ページ、12〜36行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているような溶媒の存在下に実施されてもよい。
【0101】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)は、その内容が、より具体的には2ページ、18〜25行および15ページ、32行〜17ページ、33行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2006/100316号パンフレットに記載されているように、グリセロール以外の重質化合物を含む液相の存在下に実施されてもよい。
【0102】
汚染されたグリセロール生成物の処理方法ならびに本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)は、その内容が、より具体的には1ページ、30行〜2ページ、33行および6ページ、22行〜14ページ、31行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAによる出願国際公開第2008/145729号パンフレットに記載されているような撹拌システムを撹拌が用いて実施されてもよい。
【0103】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップc)は、その内容が、より具体的には1ページ、29行〜2ページ、6行および14ページ、15行〜17ページ、10行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/106154号パンフレットに記載されているような液体反応媒体中で実施されてもよい。
【0104】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップc)は、それの供給が、その内容が、より具体的には1ページ、29行〜4ページ、27行および5ページ、34行〜9ページ、17行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2008/107468号パンフレットに記載されている通りである、反応器で実施されてもよい。
【0105】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には12ページ、1行〜17ページ、20行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されているように実施されてもよい。
【0106】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には2ページ、3〜10行および20ページ、28行〜28ページ、20行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100312号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0107】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には2ページ、1〜23行および21ページ、7行〜25ページ、25行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100313号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0108】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には2ページ、6行〜3ページ、4行および18ページ、33行〜22ページ、29行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100314号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0109】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には1ページ、30行〜2ページ、23行および6ページ、25行〜10ページ、28行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100320号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0110】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には2ページ、3〜29行および23ページ、3行〜24ページ、13行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100315号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0111】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンのおよび他の化合物の反応媒体からの分離は、その内容が、より具体的には1ページ、31行〜27ページ、25行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2008/110588号パンフレットに記載されているような方法に従って実施されてもよい。
【0112】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンがジクロロプロパノールであるとき、このジクロロプロパノールは一般に、その内容が、より具体的には23ページ、34行〜24ページ、29行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100319号パンフレットに記載されているように、異性体1,3−ジクロロプロパン−2−オールおよび2,3−ジクロロプロパン−1−オールの混合物の形態で得られる。
【0113】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、グリセロールクロロヒドリンは、その内容が、より具体的には2ページ、22〜34行および22ページ、8行〜23ページ、35行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100311号パンフレットに記載されているように、ハロゲン化ケトンを含有するかもしれない。
【0114】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法では、装置壁と接触した可能性がある水は、その内容が、より具体的には1ページ、14行〜28ページ、17行の節が参照により本明細書に援用される、出願PCT/EP2009/061546号明細書に記載されているように処理されてもよい。
【0115】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびb)は、引き続いてまたは同時に実施されてもよい。
【0116】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)は、引き続いてまたは同時に実施されてもよい。
【0117】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)、b)およびc)は、引き続いてまたは同時に実施されてもよい。用語「引き続いて」は、ステップa)中にグリセロールクロロヒドリンに転化される処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの割合が1モル%以下である状況を意味すると理解される。用語「同時に」は、グリセロール精製プロセス中にグリセロールクロロヒドリンに転化される処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの割合が1モル%超である状況を意味すると理解される。本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)およびc)はしばしば同時に実施される。本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法のステップa)、b)およびc)は頻繁に引き続いてまたは同時に実施される。
【0118】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法の特定の一実施形態では、ハロ−脱アルコキシル化剤は塩化水素を含み、本方法はステップb)を含み、ステップa)、b)およびc)は同時に実施される。
【0119】
本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法の別の特定の実施形態では、ハロ−脱アルコキシル化剤は塩化水素を含み、本方法はステップb)を含まず、ステップa)およびc)は同時に実施される。
【0120】
それらの実施形態では、ハロ−脱アルコキシル化剤は好ましくはガス状塩化水素を含み、より好ましくはガス状塩化水素から本質的になる。
【0121】
グリセロールクロロヒドリンは、モノクロロプロパンジオール、ジクロロプロパノール、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0122】
モノクロロプロパンジオールは、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0123】
ジクロロプロパノールは、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2,3−ジクロロプロパン−1−オール、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。
【0124】
ジクロロプロパノールは、非常に好適である1種のグリセロールクロロヒドリンである。
【0125】
本発明はまた、本発明によるグリセロールクロロヒドリンの製造方法を含むエポキシドの製造方法であって、こうして得られたグリセロールクロロヒドリンが脱塩化水素反応にかけられる方法に関する。
【0126】
エポキシドは、グリシドール、エピクロロヒドリンおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。エピクロロヒドリンが非常に好適である。
【0127】
本発明によるエポキシドの製造方法は、その内容が、より具体的には19ページ、22行〜22ページ、30行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2005/054167号パンフレットに記載されている通り、その内容が、より具体的には2ページ、22〜25行、および22ページ、28行〜23ページ、35行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2006/100311号パンフレットに記載されている通り、その内容が、より具体的には2ページ、1行〜13ページ、16行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2008/101866号パンフレットに記載されている通り、その内容が、より具体的には9ページ、22行〜13ページ、31行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2008/152045号パンフレットに記載されている通り、その内容が、より具体的には6ページ、16行〜7ページ、22行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2008/152043号パンフレットに記載されている通り、ならびにその内容が、より具体的には1ページ、17行〜10ページ、21行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2009/016149号パンフレットに記載されている通りであってもよい。
【0128】
本発明によるエポキシドの製造方法は、その内容が、より具体的には2ページ、26〜31行および22ページ、10行〜23ページ、19行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/106155号パンフレットに記載されているようなグリセロールクロロヒドリンを製造するためのシステムへ統合されてもよい。
【0129】
本発明によるエポキシドの製造方法はまた、その内容が、より具体的には2ページ、23行〜3ページ、26行および24ページ、17行〜31ページ、18行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2006/100318号パンフレットに記載されているように実施されてもよい。
【0130】
本発明によるエポキシドの製造方法はまた、その内容が、より具体的には1ページ、24行〜29ページ、27行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での出願国際公開第2009/095429号パンフレットに記載されているように水性流出物を処理するステップを含んでもよい。
【0131】
本発明はまた、本発明によるエポキシドの製造方法を含む、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミド、グリシジルイミド、グリシジルアミンからなる群から選択されるエポキシ誘導体、凝固剤、湿潤強度樹脂、カチオン化剤、難燃剤、洗剤用原料、エピクロロヒドリンエラストマー、ハロゲン化ポリエーテル−ポリオール、モノクロロプロパンジオールおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物として使用することができる製品の製造方法であって、前記エポキシドがエピクロロヒドリンであり、そして前記エピクロロヒドリンが、モノアルコール、モノカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリカルボン酸、アンモニア、アミン、ポリアミノアミド、ポリイミン、アミン塩、リン酸、リン酸塩、オキシ塩化リン、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸のエステル、ホスホン酸の塩、ホスフィン酸、ホスフィン酸のエステル、ホスフィン酸の塩、ホスフィンオキシド、ホスフィン、エトキシル化アルコール、アルキレンオキシド、およびそれらの少なくとも2つの混合物から選択される少なくとも1種の化合物との反応にかけられ、または本発明によるエピクロロヒドリンがホモ重合反応にかけられ、またはエピクロロヒドリンが水との、もしくは任意にハロゲン化されていてもよいおよび/またはエーテルオキシド結合および/またはその後の段階でハロゲン化することができる二重結合を有してもよいジ−もしくはポリヒドロキシル化化合物とのオリゴマー化の、共オリゴマー化の、縮合の、脱塩化水素のおよび加水分解の反応にかけられ、またはエピクロロヒドリンが水との反応にかけられる方法に関する。
【0132】
エピクロロヒドリンおよびエピクロロヒドリンの使用は、その内容が、より具体的には1ページ、18行〜9ページ、2行および31ページ、31行〜63ページ、4行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2008/152045号パンフレットに記載されている通り、ならびにその内容が、より具体的には1ページ、24行〜10ページ、14行および13ページ、3行〜44ページ、8行の節が参照により本明細書に援用される、Solvay SAの名義での、出願国際公開第2008/152044号パンフレットに記載されている通りであってもよい。
【実施例】
【0133】
以下の実施例は本発明を例示することを意図されるが、それを限定しない。
【0134】
実施例1(本発明による)
処理されるべきグリセロールモノメチルエーテルで汚染されたグリセロール生成物(150.1g)を、熱電対、ガス状塩化水素(純度:99.995%)の導入用の毛細管、ポリテトラフルオロエチレン被覆磁気撹拌棒および苛性ソーダ(NaOH)の水溶液を供給されるスクラバーに連結された垂直冷却器付きの250ml、ガラス、丸底フラスコ、ガラスシースからなる装置に入れた。グリセロールを、撹拌しながら、および1バール絶対の圧力下に、20分にわたって温度を25℃から80℃に徐々に上げることによって、1.44モル/hの流量で、ガス状塩化水素でスパージングした。塩化水素流量を0.94モル/hに減らし、温度を80℃に維持した。塩化水素の添加を4時間40分間続行した。全体で117.6gの塩化水素(4.87モル)をこうして導入した。
【0135】
塩化水素でのスパージング前の汚染されたグリセロール生成物の組成を表1に示す。スパージング前の汚染されたグリセロール生成物のグリセロールメチルエーテル含有率は11.5g/kgであった。5時間の処理中に導入された塩化水素の総量対グリセロールメチルエーテルの総量のモル比は299であった。
【0136】
塩化水素でのスパージング後の反応器中の液相の組成を表1に示す。グリセロールメチルエーテルのハロ−脱アルコキシル化度は全体で80%に達する。処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの転化率は50%モルより低い。
【0137】
【表1】

【0138】
実施例2(本発明による)
処理されるべきグリセロールモノメチルエーテルで汚染されたグリセロール生成物(150.1g)を、熱電対、ガス状塩化水素(純度:99.995%)の導入用の毛細管、ポリテトラフルオロエチレン被覆磁気撹拌棒および室温の水で冷却される垂直冷却器付きの250ml、ガラス、丸底フラスコ、ガラスシースからなる装置に入れた。冷却器の出口を、反応混合物から蒸発する揮発性有機化合物をトラップするために0℃に維持される240gの四塩化炭素を含有する洗浄瓶に連結した。過剰の塩化水素を含有する洗浄瓶からのガス状流出物を、洗浄瓶出口に連結され、苛性ソーダ(NaOH)の水溶液を供給されたスクラバー中で中和した。グリセロールを、90℃〜100℃に維持される温度でおよび1バール絶対の圧力下に、106分の間、撹拌しながら、0.45モル/hの流量で、ガス状塩化水素でスパージングした。
【0139】
塩化水素でのスパージング前の汚染されたグリセロール生成物の組成を表2に示す。スパージング前の汚染されたグリセロール生成物のグリセロールメチルエーテル含有率は2.6g/kgであった。106分の処理の間に導入された塩化水素の総量対グリセロールメチルエーテルの総量のモル比は205であった。
【0140】
塩化水素でのスパージング後の反応器中の液相の組成は表2にある。グリセロールメチルエーテルのハロ−脱アルコキシル化度は全体で86%に達する。0.029gのモノクロロメタンが洗浄瓶に回収された。処理前の汚染されたグリセロール生成物中に存在するグリセロールの転化率は50%モルより低い。
【0141】
【表2】

【0142】
実施例3(本発明による)
処理されるべきグリセロールモノメチルエーテルで汚染されたグリセロール生成物(157.6g)を、熱電対、濃塩酸(36.4重量%の塩化水素)の導入用の管、ポリテトラフルオロエチレン被覆磁気撹拌棒および室温の水で冷却される垂直冷却器付きの500ml、ガラス、丸底フラスコ、ガラスシースからなる装置に入れた。冷却器の出口を、水を供給されるスクラバーに連結した。濃塩酸を、90℃〜100℃に維持される温度でおよび1バール絶対の圧力下に、106分の間、撹拌しながら、37ml/h(0.44モル/h)の一定の流量で加えた。処理の終わりでの混合物の重量は233.3gであった。
【0143】
塩酸での処理前の汚染されたグリセロール生成物の組成を表3に示す。処理前の汚染されたグリセロール生成物のグリセロールメチルエーテル含有率は2.18g/kgであった。106分の処理の間に導入された塩化水素の総量対グリセロールメチルエーテルの総量のモル比は238であった。
【0144】
塩酸での処理後の反応器中の液相の組成は表3にある。グリセロールメチルエーテルのハロ−脱アルコキシル化度は全体で8%に達する。
【0145】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセロールアルキルエーテルの少なくとも一部をグリセロールに転化するために少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物を処理するための方法であって、前記グリセロール生成物が少なくとも1種のハロ−脱アルコキシル化剤との反応にかけられ、そして前記処理中に導入される前記ハロ−脱アルコキシル化剤の総量対前記処理前の前記グリセロール生成物中に存在する前記グリセロールアルキルエーテルの総量のモル比が0.1以上および1,000,000以下である方法。
【請求項2】
加えて、前記グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有し、そしてグリセロールアルキルエーテルでもグリセロールハロヒドリンのアルキルエーテルでもない少なくとも1種の化合物が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリセロールアルキルエーテルが、グリセロールアルキルモノエーテル、グリセロールアルキルジエーテル、グリセロールアルキルトリエーテル、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択され、そして前記グリセロールアルキルエーテルのアルキル基が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基、およびそれらの少なくとも2つの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理前のグリセロール生成物中のアルキルエーテルの含有率が、汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり0.001g以上および汚染されたグリセロール生成物の1kg当たり100g以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ハロ−脱アルコキシル化剤が少なくとも1種のハロゲン化水素を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化水素が塩化水素を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記塩化水素が水溶液の形態で使用され、塩化水素の量が、塩化水素および水の合計量に対して40重量%以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記塩化水素が、任意に、窒素、酸素、二酸化炭素、スチーム、希ガス、およびそれらの少なくとも2つの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の他のガス状化合物との混合物であってもよい、ガス形態で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス混合物中の前記塩化水素が99%モル以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する前記化合物がハロゲン化アルキルである、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応が次の条件:
・20℃以上および160℃以下の温度で;
・0.3バール絶対以上および100バール絶対以下の圧力で;
・本方法が回分モードで実施されるときには1時間以上および100時間以下の時間、または本方法が連続モードで実施されるときには1時間以上および100時間以下の滞留時間;
の少なくとも1つのもとで行われる、回分または連続モードで実施される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
a)請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法に従って少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルで汚染されたグリセロール生成物を処理する第1ステップ;
b)任意に、ステップa)の終わりに存在するグリセロールの少なくとも一部が、前記グリセロールアルキルエーテルのアルキル基を含有する化合物から前記グリセロールを分離するために少なくとも1つの分離操作にかけられる第2ステップ;
c)ステップa)の終わりに得られた処理されたグリセロール生成物の少なくとも一部および/またはステップb)の終わりに得られた分離されたグリセロールの少なくとも一部が、前記グリセロールの少なくとも一部をグリセロールクロロヒドリンに転化するために塩化水素との反応にかけられる第3ステップ
を含むグリセロールクロロヒドリンの製造方法。
【請求項13】
ステップa)に使用される前記ハロ−脱アルコキシル化剤およびステップc)に使用される塩化水素がガス状塩化水素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載のグリセロールクロロヒドリンの製造方法を含むエポキシドの製造方法であって、このように得られた前記グリセロールクロロヒドリンが脱塩化水素反応にかけられる方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法を含む、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミド、グリシジルイミド、グリシジルアミンからなる群から選択されるエポキシ誘導体、凝固剤、湿潤強度樹脂、カチオン化剤、難燃剤、洗剤用原料、エピクロロヒドリンエラストマー、ハロゲン化ポリエーテル−ポリオール、モノクロロプロパンジオールおよびそれらの少なくとも2つの任意の混合物として使用することができる製品の製造方法であって、前記エポキシドがエピクロロヒドリンであり、そして前記エピクロロヒドリンが、モノアルコール、モノカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリカルボン酸、アンモニア、アミン、ポリアミノアミド、ポリイミン、アミン塩、リン酸、リン酸塩、オキシ塩化リン、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸のエステル、ホスホン酸の塩、ホスフィン酸、ホスフィン酸のエステル、ホスフィン酸の塩、ホスフィンオキシド、ホスフィン、エトキシル化アルコール、アルキレンもしくはフェニレンオキシド、およびそれらの少なくとも2つの混合物から選択される少なくとも1種の化合物との反応にかけられ、または本発明によるエピクロロヒドリンがホモ重合反応にかけられ、またはエピクロロヒドリンが、水との、もしくは任意にハロゲン化されていてもよいおよび/またはエーテルオキシド結合および/またはその後の段階でハロゲン化することができる二重結合を有してもよいジ−もしくはポリヒドロキシル化化合物とのオリゴマー化の、共オリゴマー化の、縮合の、脱塩化水素のおよび加水分解の反応にかけられ、またはエピクロロヒドリンが水との反応にかけられる方法。

【公表番号】特表2012−510977(P2012−510977A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539045(P2011−539045)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066478
【国際公開番号】WO2010/066660
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】