説明

グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)アナログ

[hGly2]GLP−2に比べてより多くの置換のうちの1つを含み、インビボでの生物活性を改善し、かつ/又は例えばインビトロ安定性検定において査定されるように化学的安定性を改善したGLP−2アナログが開示されている。より特定的には、本書で開示されている好ましいGLP−2アナログは、任意には(序文で言及されているような)位置2及び位置3、5、7、10及び11のうちの単数又は複数の位置におけるさらなる置換及び/又はアミノ酸31〜33のうちの単数又は複数のものの欠失及び/又はN末端又はC末端安定化ペプチド配列の付加と組合せた状態で、野生型GLP−2配列の任意8、16、24及び/又は28のうちの単数又は複数の位置における置換を含んでいる。該アナログは、胃及び腸関連障害の予防又は治療のため及び化学療法の副作用を改善するために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)アナログ及び、例えば胃及び腸関連障害の予防又は治療における及び化学療法及び放射線療法の副作用を改善する目的でのその医学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
GLP−2は、腸の腸内分泌L細胞内及び脳幹の特定の領域内でのプログルカゴンの翻訳後プロセッシングから放出された33−アミノ酸ペプチドである。これは、栄養摂取に応答してグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、オキシントモジュリン及びグリセンチンと共に同時分泌される。
【0003】
GLP−2は、クリプト内の基幹細胞増殖の刺激及びビラス上のアポトーシスの阻害を介して小腸粘膜上皮の有意な成長を誘発する(Druckerら、Proc, Natl Acad Sci USA,1996、93;7911−6)。GLP−2は同様に、胃内容排出及び胃酸分泌(Wojdemann ら、 I. Clin Endocrinol Metab.1999、84;2513−7)をも阻害し、腸内障壁機能を増強し(Benjamin ら、. Gut,2000、47;112−9)、グルコース輸送担体のアップレギュレーションを介して腸内ヘキソース輸送を刺激し(Cheeseman, Am J Phygiol.1997、R1965−71)、腸管血流(Guan ら、 Gastroenterology.2003、125、136〜47)を増大させる。
【0004】
GLP−2は、クラスIIのグルカゴンセクレチンファミリーに属する単一Gタンパク質カップリング受容体に結合する(1)。GLP−2受容体は、GLP−2に対する応答性をもつものとして知られる部位である小腸、結腸及び胃の中でのみ位置特定されてきた(Yustaら、Gastroenterology,.2000、119;744−55)。しかしながら、胃腸管内のGLP−2受容体刺激のための標的細胞はなおも不明瞭であり、GLP−2受容体にカップリングされた下流側細胞内メディエータはほとんど理解されていない。
【0005】
小腸内のGLP−2がもつ特異的かつ有益な効果が実証されたことから、腸疾患又は腸障害の治療におけるGLP−2の使用に大きな関心が寄せられることとなった(Sinclair及びDrucker, Physiology 2005;357−65)。さらに、GLP−2は、化学療法誘発型粘膜炎、虚血再かん流障害、硫酸デキストラン誘発型大腸炎及び感染性腸疾患の遺伝モデルを含めた、広範な数多くの腸管障害の前臨床的モデルにおいて粘膜上皮障害を予防又は削減することが示されてきた(Sinclair及びDrucker Physiology 2005;357−65)。
【0006】
GLP−2は、H−His−Ala−Asp−Gly−Ser−Phe−Ser−Asp−Glu−Met−Asn−Thr−Ile−Leu−Asp−Asn−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−Ile−Asn−Trp−Leu−Ile−Gln−Thr−Lys−Ile−Thr−Asp−OHという配列をもつ33アミノ酸ペプチドとして分泌される。これは、酵素DPPIVによりNH2末端の位置2のアラニン(A)において不活性ヒトGLP−2(3−33)へと急速に解裂される。この細胞P−2(1−33)の急速な酵素分解は腎クリアランスに加えて、ペプチドについて約7分の半減期を結果としてもたらす(Tavaresら、Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab.278:E134−E139、2000年)。
【0007】
米国特許第5,994,500号(Druckerら)は、GLP−2のアンタゴニスト及び胃腸組織の成長に対するその効果について記述している。該アンタゴニストを、過形成の治療において又は形成不全を誘発するために使用すべき調合薬として処方することが示唆されている。米国特許第5,994,500号では、哺乳動物GLP−2の構造は、置換及び欠失といったような突然変異により改変された。
【0008】
米国特許第6,184,208号、同第5,789,379号及び同第6,184,201号は、GLP−2アナログ及びその医学的用途について開示している。該アナログは、全て、ヒトGLP−2の置換及び/又は欠失によって得られたものである。
【0009】
Da Cambraら、(Biochemistry 2000、39、8888〜8894)は、GLP−2の活性のための構造的決定因子について記述している。かかる決定因子の例としては、GLP−2受容体の結合及び活性化にとって決定的なものとして言及されているPhe6及びThr5である。
【0010】
国際公開第97/39031号では、GLP−2アナログ、[Gly2]GLP−2が開示されている。ここでは、位置2のアラニンは、DPPIV解裂に対する耐性をペプチドに付与するべくグリシンで置き換えられている。アラニンの置き換えはペプチドの安定性及び効力を増大させることが示されている。該特許出願は、腸上皮粘膜の炎症及び破壊に関連する疾病に対しGLP−2アナログをいかに使用できるかを記述している。これらの疾病としては、小腸の広範囲切除、炎症性腸疾患、化学療法誘発型粘膜炎及び虚血性障害が含まれる。
【0011】
国際公開第02/066511は、インビボで長い半減期をもつGLP−2アナログ及び炎症性腸疾患といったような胃腸障害の治療における薬剤としてのそれらの使用について記述している。
【0012】
国際公開第01/41779は、化学療法誘発型アポトーシスを阻害し細胞の存続を促進するための前処置としてのh[Gly2]GLP−2の使用について記述する。
【0013】
本書中に引用された全ての参考文献は、その全体が本書に参考として明示的に内含される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
数多くの科学者により、さまざまな疾患の治療におけるGLP−2又はそのGLP−2アナログの使用が提案されてきた。しかしながら、改良型の安定したGLP−2アナログに対するニーズはなおも存在している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の概要
広義には、本発明は野生型GLP−2に比べてより多くの置換のうちの1つを含み、インビボでの改善された生物活性及び/又は例えばインビトロ安定性検定において査定されるような改善された化学的安定性を有するGLP−2アナログに関する。より特定的には、本発明の好ましいGLP−2アナログは、任意には(序文で言及されているような)位置2及び位置3、5、7、10及び11のうちの単数又は複数の位置におけるさらなる置換及び/又は野生型GLP−2配列の位置31〜33に対応するアミノ酸のうちの単数又は複数のものの欠失及び/又はN末端又はC末端安定化ペプチド配列の付加と組合せた状態で、野生型GLP−2配列の任意8、16、24及び/又は28のうちの単数又は複数の位置における置換を含んでいる。改良された化学的安定性及び/又は生物活性を有し得るGLP−2アナログを提供することと同様に、本発明は又、特に野生型GLP−2の位置Asp3及び/又はSep8及び/又はAsn16及び/又はAsn24及び/又はGln28のうちの単数又は複数において修飾を含み入れることにより、結腸に比べ小腸内での活性を促進しかつその逆の形でも促進する優先的な腸内成長を有する化合物を提供することにも関する。
【0016】
従って、1態様において、本発明は、
1−Z1−His−X2−X3−Gly−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−Ala−X19−X20−X21−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2
という一般構造式Iにより表わされるGLP−2アナログにおいて、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X2はGly、Ala又はSarであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X6はPhe又はProであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X9はGlu又はAspであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X12はThr又はLysであり、
− X13はIle、Glu又はGlnであり、
− X14はLeu、Met又はNleであり、
− X15はAsp又はGluであり、
− X16はAsn又はAlaであり、
− X17はLeu又はGluであり、
− X18はAla又はAibであり、
− X19はAla又はThrであり、
− X20はArg又はLysであり、
− X21はAsp又はIleであり、
− X24はAsn、Ala又はGluであり、
− X28はGln、Ala又はAsnであり、
− X31はPro、Ileであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAsp、Asnであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含む、
GLP−2アナログ、又はその薬学的に許容される塩又は誘導体を提供する。
【0017】
さらなる実施形態においては、該発明は、
1−Z1−His−Gly−X3−Gly−X5−Phe−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−Ala−X19−Arg−Asp−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2、という一般構造式IIにより表わされ、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X9はGlu又はAspであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X12はThr又はLysであり、
− X13はIle、Glu又はGlnであり、
− X14はLeu、Met又はNleであり、
− X15はAsp又はGluであり、
− X16はAsn又はAlaであり、
− X17はLeu又はGluであり、
− X19はAla又はThrであり、
− X20はArg又はLysであり、
− X24はAsn又はAlaであり、
− X28はGln、Ala又はAsnであり、
− X31はPro、Ileであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAspであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された単数又は複数の置換を含む、GLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体を提供する。
【0018】
さらなる実施形態においては、該発明は、
1−Z1−His−Gly−X3−Gly−X5−Phe−X7−X8−Glu−X10−X11−Thr−Ile−Leu−Asp−X16−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2
という一般構造式IIIにより表わされ、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X24はAsn又はAlaであり、
− X28はGln又はAlaであり、
− X31はProであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAspであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含む、
GLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体を提供する。
【0019】
一部の実施形態においては、Z1が存在する場合、R1はHであり得、Z2が存在する場合、R2はOHであり得る。
【0020】
本発明の一部の実施形態においては、GLP−2アナログは、該出願の序文に記された配列を有する野生型GLP−2(1−33)に対する少なくとも60%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも63%の配列同一性、より好ましくは少なくとも66%の配列同一性そしてさらに一層好ましくは少なくとも69%の配列同一性を有する。
【0021】
GLP−2ポリペプチド配列との関係における「アミノ酸配列同一性百分率(%)」というのは、配列を整列させ必要とあらば最大配列同一性百分率を達成するべく空隙を導入した後の、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮に入れない、野生型GLP−2配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の百分率として定義づけされる。配列の整列は、例えばBLAST、BLAST2及びAlignソフトウェアといったような公開ソフトウェアを用いて当該技術分野において周知の技術を用いて当業者により実施され得る。例えばAlontschulら、(Methods in Enzymology, 266:460〜480(1996年); http://blast.wustl/edu/blast/README.html)又はPearsonら(Genomics, 46、24、36、1997年)そしてAlignプログラムについてはhttp://molbiol.soton.ac.uk/compute/align.htmlを参照のこと。
【0022】
本書で本発明に従って使用される配列同一性百分率は、そのデフォルト設定値と共にこれらのプログラムを使用して決定される。より一般的には、当業者であれば、比較中の配列の全長にわたり最大の整列を達成するのに必要とされるあらゆるアルゴリズムを含めて、整列を決定するための適切なパラメータを容易に決定することができる。
【0023】
一部の好ましい実施形態においては、構造式I、II又はIIIにより表わされたGLP−2ペプチドアナログは、位置X8、X16、X24、及び/又はX28のうちの2つ以上の位置での置換、及び/又はこれらの置換とその他の置換、好ましくは位置X3、X5、X7、X10及び/又はX11における置換の組合せを含む。
【0024】
構造式I〜III内に入るX8、X16、X24及び/又はX28の置換の組合せの例としては、以下のものが含まれる;
Ser8、Ala16;
Ser8、Ala24;
Ser8、Ala28;
Ala16、Ala24;
Ala16、Ala28;
Ala24、Ala28;
Ser8、Ala16、Ala24;
Ser8、Ala16、Ala28;
Ser8、Ala24、Ala28;
Ala16、Ala24、Ala28;
Ser8、Ala16、Ala24、Ala28。
【0025】
構造式I〜III内に入るか又は位置X8、X16、X24及び/又はX28での置換と組合わされ得る位置X3、X5、X7、X10及び/又はX11における置換の例としては、
Glu3、Leu10、Ala11、24;
Glu3、Thr5、Leu10、Ser11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Leu10、Ser11、Ala16、24、28;
Glu3、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28、Ile21;
Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Leu10、Ala11、16、24、28;
Thr7、Leu10、Ala11、24;
Thr7、Leu10、Lys11、Ala24;
Thr7、Leu10、Ser11、Ala24;
Thr7、Leu10、Ser8、11、Ala24;
Thr7、Ser8、Leu10、Ala11、24;
Thr7、Ser8、Leu10、Lys11、Ala24;
Ser8、Leu10、Ala11、24;
Leu10、Ala24;
Leu10、Ala11、Ala24;
Leu10、Ala11、24、28;
Leu10、Ala11、16、24、28;
Leu10、Lys11、Ala24;
Leu10、Ser11、Ala24;
Leu10、Ser8、11、Ala24;
又は、位置8、16、24及び/又は28での上述の変更と組合せた状態での位置X31〜X33のうちの1又は複数のものにおける欠失、が含まれる。
【0026】
本発明のGLP−2化合物の特定的な例は、以下の詳細な説明の中で記されている。
【0027】
改善された化学的安定性及び生物活性を有し得るGLP−2アナログを提供することに加えて、本発明は又、結腸に加えて小腸内での活性を促進しかつその逆の形でも促進する優先的成長を有する化合物を提供することにも関する。特に、本書で記述する実験は、野生型GLP−2の位置Asp3及び/又はSer8及び/又はAsn16及び/又はGln28における置換が、テスト動物に投与された場合に、結腸質量の増加に比べ小腸重量の優先的増加を提供するということを示している。これらの発見事実は、結腸に対し比較的少ない効果しかもたない一方で小腸における効果を促進する及びその逆の形で促進する成長の増加を得ることが有利である身体条件を治療するために、例示された化合物が有益であることを意味している。
【0028】
かくして、小腸の成長をひき起こすために好ましい化合物は標準的に野生型GLP−2の位置3、8、16及び/又は28に単数又は複数の置換を含んでいる。かかる化合物は選択的に結腸よりもむしろ小腸の成長をひき起こし得る。従ってこれらは、小腸に影響を及ぼす又は小腸に関連する身体条件のために使用可能である。
【0029】
好ましくは、かかる小腸−選択的化合物は、位置X3、X7、X16、X24、X28、X31、X32及び/又はX33のうちの複数の位置における置換を含む。かくして、小腸選択的化合物は、X3がGlu、X7がSer、X16がAla、X24がAla、X28がAla、X31がIle、X32がThr及びX33がAspである置換のうちの2つ以上の置換を含み得る、任意には、位置X31、X32及びX33のアミノ酸残基を欠失させることができる。
【0030】
小腸内の上皮成長を優先的に刺激する例示されている化合物には、1809、1818、1819、1820、1826、1827、1844、1845、1846、1848、1849、1850、1851、1852、1853、1855、1857、1858、1859が含まれる。
【0031】
一方、これらの修飾を有していない本発明の化合物、例えば位置10、11及び/又は24に単数又は複数の置換を含んでいない本発明の化合物は、小腸ではなくむしろ結腸の優先的成長を誘発するために好まれる可能性がある。従って、これらを結腸に影響を及ぼす又は結腸に関連する身体条件の治療のために使用することができる。
【0032】
このような結腸選択的化合物は、位置X3、X8及び/又はX24における置換のうちの2つ以上のものを含み得る。例えば、これらはX3がAsp、X8がAsp及びX24がAlaであることの中から選択された2つ以上の置換を含み得る。任意には、位置X31、X32及びX33におけるアミノ酸残基を欠失させることができる。
【0033】
結腸内の上皮成長を優先的に刺激する例示された化合物には、1830、1831、1835、1836、1839、1840、1841及び1843が含まれる。
【0034】
小腸又は結腸内の優先的成長の無い例示された化合物:[Gly2]GLP−2(すなわち参照分子)、1559、1821、1822、1823、1825、1828、1829、1832、1833、1834、1842、1854。
【0035】
該発明の化合物は、同様に、化学的安定性、例えば酸加水分解、酸化及び脱アミドに対する安定性をも増大させた。位置X3及び/又はX33における置換は、酸加水分解に対する安定性を改善させ得ると考えられている。位置X10における置換は、酸化安定性を改善し得る。位置X11、X16及び/又はX24のうちの単数又は複数の位置における置換は、脱アミドに対する安定性を増大させ得る。従って、該発明のGLP−2アナログは、Gly2−GLP−2に比べて、酸性溶液内での分解、脱アミド、及び/又は酸化的分解に対する増強された安定性を示し得る。
【0036】
好ましくは、GLP−2アナログは、以下の例7で記述される分解試験のうちの少なくとも1つにおいて、初期純度に比べ少なくとも70%の観察された純度を維持している。付加的に又は代替的に、このGLP−2アナログは、0.1MのHCl溶液中で12日後初期純度に比べ少なくとも60%の観察純度を維持し得る。付加的に又は代替的に、GLP−2アナログは、0.1MのNH4HCO3溶液中で6日後に、初期純度に比べ少なくとも70%の観察純度を維持し得る。
【0037】
さらなる態様においては、本発明は、本書で定義づけされているようなGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体を担体との混和状態で含む組成物を提供している。好ましい実施形態においては、組成物は、薬学的に許容される組成物であり、担体は薬学的に許容される担体である。GLP−2ペプチドアナログは、GLP−2アナログの薬学的に許容される酸付加塩であり得る。
【0038】
さらなる態様においては、本発明は、医療に使用するための本書で定義づけされている通りのGLP−2アナログ又はその塩を提供している。
【0039】
さらなる態様においては、本発明は、腸機能の障害をもつ新生児、骨粗しょう症及びDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)媒介身体条件の治療といったような胃及び腸関連障害の治療及び/又は予防のための医薬の製造のための、GLP−2アナログ又はその塩又は誘導体の使用を提供する。一例を挙げると、胃及び腸関連障害としては、潰瘍、消化障害、吸収不良症候群、短腸症候群、盲管症候群、炎症性腸疾患、セリアック病(例えばグルテン性腸症又は小児脂肪便症から発生するもの)、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血スプルー、腸炎、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎、下痢が付随する過敏性腸症候群、小腸損傷又は短腸症候群が含まれる。
【0040】
該発明のGLP−2アナログで治療することができるか又は予防的又は治療的にGLP−2アナログが有用であり得るその他の身体条件としては、放射線腸炎、感染性又は感染後腸炎又は毒性その他の化学療法薬に起因する小腸損傷が含まれる。これには、下痢、腹部疝痛及び嘔吐といったような化学療法の副作用を低減させかつ化学療法又は放射線療法の結果としての腸上皮の構造的及び機能的損傷を削減させるべく、化学療法又は放射線療法の1治療単位の前、又はそれと同時、又はその後にGLP−2アナログを投与することが必要とされ得る。
【0041】
従って該発明は同様に、各々任意には薬学的に許容される担体と組合せた形での本発明のGLP−2アナログ及び癌化学療法薬を含む治療用キットをも提供する。2つの治療薬は、別々に投与するため(例えば別々のバイアル内で)個別に包装され得、そうでなければ同じ組成物中で提供することもできる。かくして、該発明はさらに、癌治療薬及び本発明のGLP−2アナログを薬学的に許容される担体と組合せた形で含む医薬組成物をもさらに提供している。
【0042】
胃腸粘膜新生組織形成を有するか又は胃腸粘膜新生組織形成のリスクが高い患者については、胃腸粘膜新生組織形成の刺激又は悪化といったような低い副作用のリスクを削減又は消滅させるように化合物を選択することが望ましい可能性がある。例えば、結腸新生組織形成(良性又は悪性のいずれであろうと)を有するか又は結腸新生組織形成が発生するリスクのある患者を治療するための化合物を選択する場合、非選択的化合物又は小腸に比べ結腸に対する選択性の高い化合物よりも、結腸に比べ小腸に対する選択性が高い化合物を選択することが、より適切であり得る。
【0043】
その他の態様においては、本発明は、例えば消耗性症候群悪液質及び拒食症といったような身体条件などの栄養失調の治療及び/又は予防のための医薬を製造のためのGLP−2アナログの使用をも提供する。
【0044】
さらなる態様においては、本発明は、本書に定義づけされている通りのGLP−2アナログをコードする核酸配列を含む核酸分子を提供している。
【0045】
さらなる態様においては、本発明は、任意にはその発現を導くための配列と組合された状態での上述の核酸配列を含む発現ベクター、及び該発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。好ましくは、宿主細胞はGLP−2アナログを発現し分泌する能力をもつ。さらな態様においては、本発明は、GLP−2アナログを発現するのに適した条件下で宿主細胞を培養する段階及びかくして生産されたGLP−2アナログを精製する段階を含む、GLP−2アナログの生産方法を提供する。
【0046】
該発明はさらに、療法中で使用するための該発明の核酸、該発明の発現ベクター、該発明のGLP−2アナログを発現し分泌する能力をもつ宿主細胞を提供する。該核酸、発現ベクター及び宿主細胞は、GLP−2アナログ自体で治療され得る本書中に記述した障害のいずれかの治療のために使用可能なものである、ということがわかるだろう。従って、該発明のGLP−2アナログを含む治療用組成物又は該発明のGLP−2アナログの投与に対する言及は、前後関係からその他の必要性がある場合を除き、該発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞の投与を包含するものとみなされるべきである。
【0047】
さらなる態様においては、本発明は、本書で定義された通りのGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体、又は該発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞を有効量投与することによる、それを必要とする患者の体内で胃及び腸関連の障害を治療する方法を提供している。胃及び腸関連の障害の例は、以上で提供されている。
【0048】
さらなる一態様においては、本発明は、本書で定義された通りのGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体又は該発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞を有効量投与する段階を含む、それを必要とする患者における化学療法又は放射線療法の副作用を治療又は予防する方法を提供している。
【0049】
さらなる態様においては、本発明は、本書で定義された通りのGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体又は該発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞を有効量投与する段階を含む、それを必要とする患者における、消耗性症候群悪液質及び拒食症といったような身体条件などの栄養失調を治療又は予防する方法を提供する。
【0050】
本発明の実施形態についてここで、添付図面を参照しながら、制限ではなく例を用いてより詳細に記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明の詳細な説明
定義
相反する規定のないかぎり、上述の記述中で使用されている特定の用語に対しては以下の定義が与えられる。
【0052】
明細書及び請求の範囲全体を通して、天然アミノ酸についての従来の1文字及び3文字コードならびに、サルコシン(Sar)、ノルロイシン(Nle)及びα−アミノイソ酪酸(Aib)といったようなその他のα−アミノ酸に対する一般的に受容されている3文字コードが使用される。該発明のペプチト中の全てのアミノ酸残基は、好ましくはL−立体配置を有する。しかしながらD−立体配置のアミノ酸も同様と存在し得る。
【0053】
本発明の好ましい化合物は、特に腸の成長をひき起こす上で少なくとも1つのGLP−2生物活性を有する。これは、例えばテスト動物をGLP−2アナログで治療するか又は腸又はその一部分の質量を決定する実施例中で記述されているように、インビボ検定において査定することができる。
【0054】
本発明のGLP−2アナログは、以上で定義されている通り、未変性GLP−2に比べて単数又は複数のアミノ酸置換、欠失、反転又は付加を有する。この定義には同様に、同義語GLP−2ミメティック及び/又はGLP−2アゴニストが含まれる。さらに、本発明のアナログは、そのアミノ酸側基、α−炭素原子、末端アミノ基又は末端カルボン酸基のうちの単数又は複数のものの化学的修飾を有し得る。化学的修飾には、化学的部分の付加、新しい結合の創造及び化学的部分の除去が含まれるがこれらに制限されるわけではない。アミノ酸側基における修飾には、制限的意味なく、リジンε−アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン又はリジンのN−アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸カルボン酸基のアルキル化、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミドが含まれる。末端アミノの修飾には、制限的意味なく、des−アミノ、N−低級アルキル、N−ジ−低級アルキル及びN−アシル修飾が含まれる。末端アルボキシ基の修飾には、制限的意味なく、アミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド及び低級アルキルエステル修飾が含まれる。好ましくは、本書では、低級アルキルはC1−C4アルキルである。さらに、単数又は複数の側鎖又は末端基を、通常の技能をもつペプチド科学者にとって既知の保護基で保護することも可能である。アミノ酸のα−炭素は、モノ又はジメチル化され得る。
【0055】
存在する場合、酸化的に安定したMet−交換アミノ酸というのは、Met(O)(メチオニンスルホキシド)、Met(O)2(メチオニンスルホン)、Val、Ile、Asn、Glx(Glu又はGln)、Tyr、Phe、Trp及び好ましくはLeu、Nle、Ala、Ser及びGlyから成る群の中から選択されるものを意味する。
【0056】
該発明のペプチドを、塩又はその他の誘導体の形で提供することも同様に可能であることを理解すべきである。塩には、酸付加塩及び塩基性塩といったような薬学的に許容される塩が含まれる。酸付加塩の例としては、塩酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩が含まれる。塩基性塩の例としては、カチオンが、ナトリウム及びカリウムといったアルカリ金属、カルシウムといったアルカリ土類金属及びR3及びR4が独立して任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールを表わすものとしてアンモニアイオン+N(R33(R4)の中から選択されている塩が含まれる。薬学的に許容される塩のその他の例は、「レミントンの薬学」第17版、Ed.Alfonso R.Gennaro C.編)、Mark Publishing Company、Easton、ペンシルバニア州、米国、1985年及びさらに最新版、ならびにEncyclopaedia of Pharmaceutical Technologyの中で記述されている。
【0057】
該発明のGLP−2アナログのその他の誘導体としては、Mn2+及びZn2+といった金属イオンとの配位錯体、インビボ加水分解可能エステルといったエステル、遊離酸又は塩基、水和物、プロドラッグ又は脂質が含まれる。当該技術分野において周知の技術を用いて、化合物中に存在するヒドロキシ又はカルボン酸基と適切なカルボン酸又はアルコール反応パートナーとの間でエステルを形成させることが可能である。化合物のプロドラッグとしてインビボ又はインビトロで親化合物の1つへと転換可能である誘導体。標準的には、化合物の生物活性のうちの少なくとも1つが、その化合物のプロドラッグ形態において削減されることになり、化合物又はその代謝生成物を放出するべくプロドラッグの転換により、これを活性化することが可能である。プロドラッグの例としては、インサイチュで除去されて活性化合物を放出し得るか又はインビボで薬物のクリアランスを阻害するのに役立ち得る保護基の使用が含まれる。
【0058】
存在する場合、Z1及びZ2は各々独立して3〜20又は4〜20個のアミノ酸残基、例えば4〜15の範囲内、より好ましくは4〜10の範囲内、特に4〜7の範囲内のアミノ酸残基、例えば、4、5、6又は7個のアミノ酸残基、例えば6個のアミノ酸残基のペプチド配列を表わしている。ペプチド配列Z内のアミノ酸残基の各々は独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met、Ornの中から選択され得る。好ましくは、アミノ酸残基は、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Orn及びMet、ならびに国際公開第01/04156号に定義されているような構造式Iの中に入るアミノ酸、例えばDbu(2,4ジアミノ酪酸)又はDpr(2,3−ジアミノプロパン酸)、より好ましくはGlu、Lys及びMet、特にLysから選択される。上述のアミノ酸は、D又はLのいずれかの立体配置を有し得るが、好ましくは上述のアミノ酸はL−立体配置を有する。特に好ましい配列Zは4、5又は6個の連続するリジン残基、特に6個の連続するリジン残基の配列である。配列例又は国際公開第01/04156号の中で示されている。
【0059】
一部の実施形態においては、Z1は不在である。このような場合には、Z2は存在していてもいなくてもよい。
【0060】
本発明は、以下の実験区分の中でさらに記述されている以下のペプチドを内含する。
【0061】
基準GLP−2アナログ
1559H−[Gly2]hGLP−2−OH
H−HGDGSFSDEMNTILDNLAARDFINWUQTKITD−OH。
【0062】
本発明のGLP−2アナログの例:
1809[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2−(Lys)6−NH2
HGEGTFSDELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1810[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28、Ile21]hGLP−2(1−30)−(Lys)6−NH2
HGEGTFSDELATILDALAARIFIAWLIATK6−NH2
1811[Gly2、Pro6、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2−NH2
HGDGSPSDELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1812[Gly2、Glu3、Leu10、Ala11、24]hGLP−2−NH2
HGEGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTKITD−NH2
1813[Gly2、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2−NH2
H−HGDGSFSDELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1814[Gly2、Leu10、Ala11、24、28]hGLP−2−NH2
H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIATKITD−NH2
1815[Gly2、Glu3、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2−NH2
H−HGEGSFSDELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1818[Gly2、Ser8、Leu10、Ala11、24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFSSELATILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1819[Gly2、Leu10、Ser11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFSDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1820[Gly2、Thr7、Ser8、Leu10、Ala11、24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFTSELATILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1821[Gly2、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFSDELKTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
【0063】
1822[Gly2、Thr7、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFTDELKTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1823[Gly2、Thr7、Ser8、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFTSELKTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1824[Gly2、Thr7、Leu10、Ala11、24]hGLP−2(1−30)−Ks−NH2
H−HGDGSFTDELATILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1825[Gly2、Ser8、Leu10、Ala11、24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFSSELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1826[Gly2、Leu10、Ala24]hGLP−2−K6−NH2
H−HGDGSFSDELNTILDNLAARDFIAWLIQTKITDK6−NH2
1827[Gly2、Thr7、Leu10、Ser11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFTDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1828[Gly2、Thr7、Leu10、Ser8、11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFTSELSTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
【0064】
1829[Gly2、Leu10、Ser8、11、Ala24]hGLP−2(1−30)−K6−NH2
H−HGDGSFSSELSTILDNLAARDFIAWLIQTK6−NH2
1830[Gly2、Leu10、Ser11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFSDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1831[Gly2、Thr7、Leu10、Ser11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFTDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1832[Gly2、Thr7、Leu10、Ser8、11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFTSELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1833[Gly2、Leu10、Ser8、11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFSSELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1834[Gly2、Thr7、Ser8、Leu10、Ala11、24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFTSELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1835[Gly2、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFSDELKTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
【0065】
1836[Gly2、Thr7、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFTDELKTILDNLAARDFIAWUQTK−NH2
【0066】
1839[Leu10、Ala11、Ala24]hGLP−2(1−33)−K6−NH2
H−HGDGSFSDELATILDN LAARDFIAWLIQTKITDK6−NH2
1840[Leu10、Ala11、Ala24]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTKITD−NH2
1841[Leu10、Ala11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1842[Thr7、Ser8、Leu10、Lys11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2NH2
H−HGDGSFTSELKTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1843[Thr7、Leu10、Ala11、Ala24]hGLP−2(1−30)−NH2
H−HGDGSFTDELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1844[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGTFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
【0067】
1845[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Ser11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGTFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1846[Gly2、Glu3、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6NH2
1847[Gly2、Glu3、Leu10、Ser11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGSFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1848[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1849[Gly2、Glu3、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1850[Gly2、Glu3、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGSFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
【0068】
1851[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−(Lys)6−NH2
H−HGEGTFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1852[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGTFSSELKTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1853[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGTFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1854[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Ser11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGTFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1855[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1856[Gly2、Glu3、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGSFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
【0069】
1857[Gly2、Glu3、Leu10、Ser11 、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1858[Gly2、Glu3、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1859[Gly2、Glu3、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGSFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1860[Gly2、Glu3、Thr5、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
H−HGEGTFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1861[Gly2、Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Lys11、Ala16、24、28]hGLP−2(1−33)−NH2
HGEGTFSSELKTILDALAARDFIAWLIATKITD。
【0070】
本発明の特に好ましい化合物には、化合物1834、1846、1847、1848、1849、1855、1857及び1858が含まれる:
1834 H−HGDGSFTSELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1846 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6NH2
1847 H−HGEGSFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1848 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1849 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1855 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1857 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1858 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
【0071】
安定性試験
当業者であれば、例えば以下で記述されているものに基づいてGLP−2アナログの分解生成物の検出のための適切な方法(例えば定量的方法)を設計することができる。分解は、任意の与えられたGLP−2アナログ内のアミノ酸の同一性及び位置及びpH、溶液及び温度といった条件に応じて、酸化、加水分解及び脱アミドとして起こり得る。化合物は、それをストレスの加わった条件(すなわち分解をひき起こす可能性のある条件)の下でインキュベートし、その後残りの無傷のペプチドの含有量について分析した時点で、化合物安定性に従って格付けすることができる。さらに、ストレスの加わった条件下で得た主要分解生成物について得られた知識は、後のあらゆる分析方法の開発にとって重要になる。
【0072】
GLPアナログを検出するための定量分析
当業者であれば同様に、インビトロ細胞系の機能的研究の一部として又は哺乳動物に対する投与の後のGLPアナログの吸収、分配、代謝及び排泄を調査するため、複雑な環境又は溶液(例えば血漿、尿、組織ホモジネート、細胞ホモジネート、唾液又はそれに類似するもの)の中のGLPアナログの検出のための方法(例えば定量的方法)を設計することもできるだろう。
【0073】
1つの実施形態においては、定量的検定はGLPアナログ又はそのフラグメントに対して発生させられた抗体に基づくことができる。免疫化された動物から得た抗体は、定量的検定のために使用可能である。1つの例では、マルチウェル平板内に不動化された分子の1部分の親和力をもつ第1の抗体を用いて、直接的サンドイッチELISAを準備することができる。このとき、標本をウェルに適用し、第1の抗体によりGLPアナログを捕捉する。捕捉されたGLPアナログを次に、GLPアナログのもう1つの部分に対する親和力を有する第2の抗体によって認識する。第2の抗体は、酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はベータガラクトシダーゼ)又は放射性同位元素で標識され得る。このとき、捕捉されたGLPアナログの量を、発色基質の付加又は放射線放射の直接的計数又はシンチレーションにより検出することができる。代替的には、捕捉されたGLPアナログの量を、第2の抗体に対する親和力をもつ標識された抗体の付加により間接的に検出することができる。標本中の濃度は、GLPアナログを既知の量含む外部標準曲線から得た応答から推定可能である。代替的には、直接的競合、免疫検定を準備するために抗体を使用することができ、この場合GLPアナログに特異的な抗体がマルチウェル平板上に固定化され、標本は予め定義された固定濃度の標識されたGLPアナログと共にウェル内でインキュベートされる。該標識は、酵素、蛍光プローブ、放射性同位元素又はビオチンであり得、例えば酵素に特異的な基質(例えば発色基質、蛍光基質又は化学発光基質)、シンチレーション又は酵素に連結されたアビジンを用いて検出可能であり、それに続いて上述の通りの検出が行われる。結合し標識されたGLPアナログの量は、適切な方法により検出可能であり、上述の通りの外部標準曲線から得られる応答から、標本中に存在するGLPアナログの濃度が導出される。
【0074】
もう1つの実施形態においては、定量的検定は、液体クロマトグラフィタンデム質量分光分析法に基づくものであり得る。このようなセットアップでは、研究すべきGLPアナログに特異的なフラグメントからの応答は、不活性ガス(He又はAr)との衝突により誘発される親化合物のフラグメント化の時点で監視される。フラグメント化に先立ち、標本の構成要素を逆相クロマトグラフィにより分離することができ、そうでなければ、標本を直接質量分析計の中に注入することができる。適切な場合には、標本を前処理(プロテアーゼ阻害物質の添加、タンパク質沈降、固相抽出、免疫親和性抽出などに付すことができる。標本中に存在するGLPアナログの濃度は、潜在的には、研究すべきGLPアナログに類似する内部標準を用いて応答の補正の後、上述のとおりの外部標準曲線から得られた応答から導出される。
【0075】
特異的抗体の作製
GLPアナログ又はそのフラグメントに対する特異的抗体は、哺乳動物の中で誘発され、血清から精製され得る。GLPアナログ又はフラグメントは、ウサギ、マウス又はその他の哺乳動物を免疫化するためにアジュバントと共に直接使用され得、そうでなければ、GLPアナログ又はそのフラグメントを担体分子(すなわちキーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、アルブミンなど)に対して化学的に連結させアジュバントと共に注射することもできる。抗体の親和性及び選択性を改善するため長期間にわたり2〜4週間の間隔をおいて注射をくり返すことができる。ポリクローナル抗体を血清から直接収穫することができる。モノクローナル抗体を得るためには、抗体生産ハイブリドーマを形成するべく、好ましくはマウスといった免疫化した動物から単離したβ細胞を腫瘍細胞と融合させるべきである。適切なクローン及び抗体のスクリーニング及び選択は、固定化したGLPアナログ又はそのペプチドを用いて実施可能であり、それに続いて標識された抗抗体での検出が行われる。代替的には、スクリーニング及び選択は、固定化された抗体に基づくものであり得、それに続いて標識されたGLPアナログ又はそのフラグメントでの検出が行われる。全てのケースにおいて、標識は、放射性同位元素、酵素、螢光プローブ又はビオチンであり得、例えば酵素に特異的な基質(例えば発色基質、螢光基質又は化学発光基質)、シンチレーション又は酵素に連結されたアビジンを用いて検出され得、それに続いて記述された通りの検出が行われる。
【0076】
GLP−2アナログの合成
固相又は液相ペプチド合成を用いて、該発明のアナログを合成することが好ましい。これに関連して、国際公開第98/11125号そして中でもFields、GBら、2002年、「固相ペプチド合成の原則と実践」、Synthetic Peptides(第2版)などの数多くの文献中及びその中の例に対する参照が指示される。
【0077】
かくして、GLP−2アナログは、
(a) 固相又は液相ペプチド合成を用いてペプチドを合成し、このようにして得られた合成ペプチドを回収する段階;又は
(b) ペプチドが天然発生アミノ酸により構成される場合、宿主細胞内のペプチドをコードする核酸構成体を発現させ宿主細胞培養から発現生成物を回収する段階;又は
(c) ペプチドが天然発生アミノ酸により構成される場合、該ペプチドをコードする核酸構成体の無細胞インビトロ発現をもたらし、発現生成物を回収する段階;
を含む方法、又は
該ペプチドのフラグメントを得るための(a)、(b)及び(c)の方法の組合せ、その後ペプチドを得るためにフラグメントをライゲートする段階及び該ペプチドを回収する段階;
を含めた数多くの方法で合成可能である。
【0078】
かくして、該発明の一部のアナログについては、遺伝子工学技術を開発することが有利であるかもしれない。これは、ペプチドが充分に大きい場合(又は融合構成体として生産された場合)及び該ペプチドが、生体内でRNAから翻訳され得る天然発生のアミノ酸しか含まない場合にあてはまる。
【0079】
組換え型遺伝子工学の目的では、該発明のペプチドをコードする核酸フラグメントが重要な化学的生成物である。従って、本発明のさらなる態様では、該発明のGLP−2アナログをコードする核酸配列を含む核酸分子が提供されており、ここでペプチドは、天然発生アミノ酸で構成されている。該発明の核酸フラグメントはDNA又はRNAフラグメントのいずれかである。
【0080】
該発明の核酸フラグメントは、通常、該発明の核酸フラグメントを担持するクローニング又は発現ベクターを形成するべく適切なベクターの中に挿入されることになる。該発明のこれらのベクターの構築に関する詳細は、形質転換された細胞及び微生物に関連して以下で論述されることになる。ベクターは、利用の目的及びタイプに応じて、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体又はウィルスの形をとる可能性があるが、一部の細胞中で過渡的にのみ発現される裸のDNAも重要なベクターであり得る。該発明の好ましいクローニング及び発現ベクター(プラスミドベクター)は、自己複製の能力を有し、かくして、その後のクローニングのための高レベルの発現又は高レベルの複製を目的とする高いコピー数を可能にする。
【0081】
該発明のベクターの概要には、5’→3’の方向でかつ作用可能に連結された形で、以下の要素が含まれる。すなわち、該発明の核酸フラグメント発現を駆動するためのプロモータ、任意にはポリペプチドフラグメントの膜内への組込み又はペプチドを補正するための組合せられた分泌、精製タグ及び酸素トリミングなどの数多くの用途のためのリーダーペプチド又は(細胞外位相へ又は該当する場合にはペリプラズマ内への)その分泌を可能にするリーダーペプチドをコードする核酸配列、該発明のペプチドをコードする核酸フラグメント、そして任意にはターミネータをコードする核酸配列。生産株又は細胞系列の中で発現ベクターを操作する場合、宿主細胞内に導入された時点でベクターが宿主細胞ゲノム内に組込まれるのは、好ましい形質転換済み細胞の遺伝的安定性を目的としてのことである。
【0082】
該発明のベクターは、該発明の修飾ペプチドを生産するべく宿主細胞を形質転換するのに使用される。同じく該発明の一部を成すかかる形質転換細胞は、該発明のベクター及び核酸フラグメントの伝播のために使用されるか又は該発明のペプチドの組換え体生産のために使用される培養細胞又は細胞系列であり得る。
【0083】
該発明の好ましい形質転換細胞は、細菌(例えばエシェリキア属(例えばE.cob(大腸菌))、バシラス属(Bacillus subtilis(枯草菌))、サルモネラ又はマイコバクテリア属(好ましくは、非病原性、例えばM. bovis BCGなど)、酵母(例えばSaccharomyces cerevisiae)及び原生動物といった微生物である。代替的には、形質転換細胞は、多細胞生体に由来する。すなわちこれは真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞であり得る。同様に、ヒトに由来する細胞も有利であり得る。以下の細胞系列及びベクターについての論述を参照のこと。クローニング及び/又は最適化された発現を目的とする場合、形質転換細胞が該発明の核酸フラグメントを複製する能力をもつことが好ましい。核フラグメントを発現する細胞が該発明の好ましい有用な実施形態である。これらは、該発明のペプチドの小規模又は大規模調製のために使用可能である。
【0084】
形質転換細胞を用いて該発明のペプチドを生産する場合、不可欠であるというには程遠いが、発現生成物が培地内に移出されるか又は形質転換細胞の表面上に担持されることが望ましい。
【0085】
有効な生産細胞が同定された場合、それを基礎として、該発明のベクターを担持しペプチドをコードする核酸フラグメントを発現する安定した細胞系列を確立することが好ましい。好ましくは、この安定した細胞系列は、該発明のペプチドを分泌するか又は担持し、かくしてその精製を促進する。
【0086】
一般的には、宿主細胞と相容性ある種に由来するレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターを宿主と結びつけて使用する。ベクターは通常複製部位ならびに、形質転換細胞内での表現型選択を提供する能力をもつマーキング配列を担持している。例えば、E. coliは標準的に、E. coli種から誘導されたプラスミドであるPBR322を用いて(ただし他にも有用なプラスミドは数多く存在する)形質転換される(例えば、Bolirarら、1977年を参照のこと)。PBR322プラスミドは、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含有し、かくして、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供する。PBRプラスミド又はその他の微生物プラスミド又はファージは、発現のため原核微生物により使用され得るプロモータをも含有するか又はこれを含有するように修飾されなくてはならない。
【0087】
原核生物組換えDNA構築において最も一般的に使用されているプロモータとしてはβ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラクトースプロモータ系(Chang ら、1978年;Itakura ら、1977年;Goeddel ら、1979年)及びトリプトファン(trp)プロモータ系(Goeddel ら、1979年、欧州特許第0036776A号)が含まれる。これらが最も一般的に使用されているものの、その他の微生物プロモータも発見され利用されており、そのヌクレオチド配列に関する詳細が公表され、当業者がそれらをプラスミドベクターで機能的にライゲートできるようにしている(Siebwenlistら、1980年)。
【0088】
原核動物に加えて、酵母培養といったような真核微生物も使用可能であり、同じくここでは、プロモータは発現を駆動する能力をもたなくてはならない。Saccharomyces cerevisiaeつまり一般的パン酵母は、真核微生物の間で最も一般的に使用されているが、数多くのその他の菌株が一般的に入手可能である。Saccharomyces(サッカロミセス)内での発現のためには、例えば、プラスミドYRP7が一般的に使用される(Stinchcombら、1979、Kingsmanら、1979、Tschemperら、1980)。このプラスミドはすでに、例えばATCCNo.44076又はPEP4−1といったようなトリプトファン内で成長する能力が欠如している酵母の突然変異体菌株のための選択マーカーを提供するtrpl遺伝子を含有する(Jones、1977年)。このとき、酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてのtrpl病変の存在は、トリプトファンの不在下での成長によりトク形質転換を検出するための効果的な環境を提供する。
【0089】
酵母ベクター内の適切な促進配列としては、3−ホスホグリセラートキナーゼ(Hitzmanら、1980年)又はその他の糖分解酵素(Hessら、1968年;Hallandら、1978年)例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスファートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼのためのプロモータが含まれる。適切な発現でラスミドを構築する上で、これらの遺伝子と結びつけられた終止配列は同様に、mRNAのポリアデニル化及び終結を提供するべく発現されることが望まれる配列の3’のところで発現ベクター内にライゲートされる。
【0090】
成長条件により制限される転写というさらなる利点を有するその他のプロモータは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝と結びつけられた分解酵素及び前述のグリセルアルデヒド−3−ホスファートデヒドロゲナーゼ及びマルトース及びガラクトース利用を担当する酵素のためのプロモータ領域である。酵母コンパチブル・プロモータ、複製起点及び終結配列を含むあらゆるプラスミドベクターが適切である。
【0091】
微生物に加えて、多細胞生体に由来する細胞培養も同様に、宿主として使用可能である。原則として、脊椎動物又は無脊椎動物のいずれの培養からであれ、あらゆるこのような細胞培養が実際に使用可能である。しかしながら、脊椎動物細胞では最も有利であり、培養(組織培養)中の脊椎動物の増殖は、近年日常的な手順となっている(組織培養、1973年)。このような有用な宿主細胞系列の例は、VERO及びHeLa細胞、チャイニーズハムスタ卵巣(CHO)細胞系列、及びW138、BHK、COS−7293、Spodoptera frugiperda(SF)細胞(i.a.Protein Sciences,1000 Risearch Parkway, Meriden, CT06450、米国及びInvitrogenなどから、完全な発現系として市販)、POBox2312、9704CH Groningen,オランダのInvitrogenから入手可能なD. Melanogaster細胞系S2、及びMDCK細胞系列である。
【0092】
かかる細胞のための発現ベクターは、通常(必要とあらば)、任意の必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位及び転写ターミネータ配列と共に、発現されるべき遺伝子の前にあるプロモータである複製起点を含む。
【0093】
哺乳動物細胞の中での使用向けには、発現ベクター上の制御機能は往々にしてウィルス材料により提供される。例えば、一般に使用されるプロモータは、ポリオーマ、アデノウィルス、そして最も高い頻度ではシミアンウィルス40(SV40)から誘導される。SV40ウィルスの早期及び晩期プロモータは、両方共、SV40ウィルス複製起点を同様に含むフラグメントとして容易に得られることから、特に有用である(Fiersら、1978年)、HindIII部位からウィルス複製起点内にあるBgII部位に向かって延びる約250bpの配列が内含されていることを条件として、より小さい又はより大きいSV40フラグメントも同様に使用可能である。さらに、かかる制御配列が宿主細胞系と相容性をもつことを条件として、所望の遺伝子配列と通常結びつけられているプロモータ又は制御配列を利用することも可能である。
【0094】
SV40又はその他のウィルス(例えばポリオーマ、アデノ、VSV、BPV)から誘導され得るような外因性起点を内含するように、ベクターの構築によって複製起点を提供することもできるし、或いは又、宿主細胞染色体複製機序によりこれを提供することもできる。ベクターが宿主細胞染色体の中に組込まれる場合には、往々にして後者で充分である。
【0095】
組換え体生産プロセスにおいて満足な収率を得るためには、(精製を容易にするための)親和性タグとして役立ち得る融合パートナーにペプチドを融合させることによって及び/又はペプチドの多重反復を有することによって、融合タンパク質としてアナログを調製することが有利であり得る。これらの方法には、ペプチダーゼのための適切な解裂部位の存在が必要であるが、当業者であれば、その基調を成す遺伝構成体をいかに調製するかがわかるだろう。
【0096】
組換え体の調製の後、該発明のペプチドを、多段階クロマトグラフィ(イオン交換、サイズ排除及び親和性クロマトグラフィ技術)を含めた、当該技術分野において一般に知られた方法により精製することができる。
【0097】
代替的には、天然発生アミノ酸から成るペプチドを、無細胞系内でインビトロで調製することができる。これは、ペプチドが推定上の宿主細胞について毒性を有し得る場合に、特に好都合である。かくして、本発明は同様に、該発明のペプチドを調製するために無細胞インビトロ翻訳/発現の使用をも考慮している。これに関係して例えば米国Ambion Inc、2130 Woodward, Austin, Tx 78744-1832,から市販のインビトロ翻訳キット、材料及び技術文書の参照が指示される。
【0098】
最後に、例えば半合成アナログを調製するように、利用可能な方法を組合わせることも同様に可能である。このようなセットアップにおいては、少なくとも2つの別々の段階又は方法を用いてペプチドフラグメントを調製し、その後、最終的ペプチド生成物を得るべく該フラグメントをライゲートする。
【0099】
医薬組成物及び投与
本発明のGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体は、貯蔵又は投与のために調製され、薬学的に許容される担体中の治療上有効な量の本発明のGLP−2ペプチド又はその塩又は誘導体を含む医薬組成物として処方され得る。
【0100】
本発明の化合物の治療上有効な量は、投与経路、治療対象の哺乳動物のタイプ及び考慮中の特定の哺乳動物の身体的特徴によって左右されることになる。これらの因子及びこの量を決定することに対するそれらの関係は、ペプチドを大腸に送達するべく最適な効能を達成するように調整され得るが、医術の当業者にとっては周知である体重、食餌、同時投薬治療その他の因子によっても左右される。
【0101】
胃及び腸関連の障害を治療又は予防するのに有効な量でGLP−2アナログ又はその塩が存在している医薬組成物を提供することは、該発明の範囲内に入る。
【0102】
酸性部分を有する該発明の化合物の薬学的に許容される塩を、有機及び無機塩基を用いて形成することができる。塩基を用いて形成される適切な塩としては、金属塩例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩;アンモニア塩及び有機アミン塩、例えばモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジ又はトリ低級アルカリアミン(例えばエチル−tert−ブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチル又はジメチルプロピルアミン)、又はモノ、ジ又はトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例えばモノ、ジ又はトリエタノールアミン)で形成されたものが含まれる。内部塩も形成可能である。同様にして、本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合には、有機及び無機酸を用いて塩を形成することができる。例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びカンファースルホン酸ならびにその他の既知の薬学的に許容される酸といった酸から塩を形成することができる。リジン、グリシン又はフェニルアラニンといったようなアミノ酸でアミノ酸付加塩を形成することもできる。
【0103】
医術の当業者にとって明白であるように、「治療上有効な量」の本発明のペプチド又は薬学組成物は、治療対象の年令、体重及び哺乳動物種、利用される特定の化合物、特定の投与様式及び所望の効果及び治療指標に応じて変動することになる。これらの因子及びこの量の決定とそれらの関係は、医術において周知であることから、治療上有効な投薬量レベル、本書中で記述されている腸及び胃に関連する疾病を予防しかつ/又は治療するという所望の結果を達成するのに必要な量ならびに本書で開示されているその他の医学的適応症の決定は、当業者の技量範囲内に入るものである。
【0104】
本書で使用する通り、「治療上有効な量」というのは、一定の与えられた身体条件又は病理の症候を低減させ、好ましくは該身体条件又は病理を患う個体の体内において生理学的応答を正規化する量である。症候の削減又は生理学的応答の正規化は、当該技術分野において日常的な方法を用いて決定され得、一定の与えられた身体条件又は病理に応じて変動し得る。1つの態様では、単数又は複数のGLP−2アナログ又は単数又は複数のGLP−2アナログを含む医薬組成物の治療上有効な量というのは、実質的に該身体条件又は病理を患わない個体におけるパラメータの同じ値まで(好ましくはその値の+30%以内、より好ましくは+20%以内、そしてさらに一層好ましくは10%以内まで、測定可能な生理学的パラメータを回復する量である。
【0105】
該発明の1実施形態においては、本発明の化合物又は医薬組成物の投与はより低い投薬量レベルで開始され投薬量レベルは、腸及び胃関連の疾病といったような関連する医学的適応症を予防/治療する所望の効果が達成されるまで増加させられる。これが、治療上有効な量を定義づけることになる。単独で又は医薬組成物の一部としての本発明のペプチドについては、かかる投与量は体重1kgあたり約0.01mg〜100mgの間、例えば約0.01mg〜10mgの間、例えば10〜100μgの間にあり得る。
【0106】
治療用途のためには、選択されたGLP−2アナログは、薬学的に許容される担体と共に処方され、選択された投与経路によりペプチドを送達するのに適している。本発明の目的では、末梢非経口経路には、静脈内、筋肉、皮下及び腹腔内投与経路が含まれる。本発明において使用される一部の化合物は同様に、経口、直腸内、鼻腔内又は下気道経路による投与にも適したものであり得る。これらがいわゆる経口でない経路である。当該薬学組成物は、該発明のGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体及び薬学的に許容される担体を含む。適切な薬学的に許容される担体は、希釈剤、賦形剤などといったようなペプチドベースの薬剤と共に従来使用されるものである。治療用途のための薬学的に許容される担体は、薬学において周知であり、例えば「レミントンの薬学」、Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro 編、1985年)の中で記述されている。例えば、わずかに酸性又は生理的pHのリン酸緩衝生理食塩水及び無菌食塩水を使用することができる。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス/ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、重炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、好ましい緩衝剤であるヒスチジン、アルギニン、リジン又は酢酸塩又はその混合物であり得る。好ましい緩衝液範囲はpH4〜8、pH6.5〜8、より好ましくはpH7〜7.5である。パラ、メタ及びオルト−クレゾール、メチル及びプロピルパラベン、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ベンジル安息香酸塩、ソルビン酸、プロパン酸、p−ヒドロキン安息香酸エステルといったような防腐剤を医薬組成物内に提供することができる。例えばアスコルビン酸、メチオニン、トリプトファン、EDTA、アスパラギン、リジン、アルギニン、グルタミン及びグリシンといったような、酸化、脱アミド、異性化、ラセミ化、環化、ペプチド加水分解を防止する安定化剤を該医薬組成物中に提供することができる。ドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、カルホキンメチルセルロース、シクロデキストリンといったような、凝集、フィブリル化及び沈降を防止する安定化剤を、該医薬組成物内に提供することができる。エタノール、酢酸又は酢酸塩又はその塩といったような、可溶化用の又は凝集を防止するための有機修飾剤を該医薬組成物内に提供することができる。塩化ナトリウムなどの塩又は最も好ましい炭水化物例えばデキストロース、アンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース又はその混合物といったような等張性生成剤を該医薬組成物内に提供することができる。
【0107】
トゥイーン20、 トゥイーン80、SDS(マ)、ポロキサマー例えばプルロニックF−68、フルオロニックF−127といったような洗浄剤を、該医薬組成物内に提供することができる。該医薬組成物は、染料さらには着香剤さえ提供することができる。もう1つの実施形態においては、GLP−2ペプチドアナログの薬学的に許容される酸付加塩が提供される。懸濁剤を使用することが可能である。
【0108】
凍結乾燥製品の凍結乾燥のため、医薬処方物中にエタノール、tert−ブタノール、2−プロパノール、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコールを提供することができる。凍結乾燥のため、医薬組成物内に、膨張性薬剤及び等張性生成剤例えば塩、例えば塩化ナトリウム、炭水化物例えばデキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース又はその混合物、アミノ酸例えばグリシン、グルタマート、又は賦形剤例えばシステイン、レシチン又はヒト血清アルブミン又はそれらの混合物を提供することができる。
【0109】
本発明の医薬組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル又はエリキシル剤:直腸投与のための座薬;好ましくは注入投与向けの無菌溶液又は無菌粉末又は懸濁液などとして処方され使用され得る。投与量及び投与方法は、最適な効能を達成するべく調製可能であるが、これは、医術の当業者であれば認識するであろう。体重、食餌、同時投薬治療及びその他の因子といったような因子により左右されることになる。
【0110】
投与が、1日1回の静脈内又は皮下といったような非経口投与となる場合には、水溶液又は懸濁液として、使用直前の再調製又は注入に先立つ液体中の懸濁に適した凍結乾燥された固形形態として、又はエマルジョンとして、従来の形態で、注射可能な医薬組成物を調製することが可能である。
【0111】
凍結乾燥された製品の再調製のための希釈剤は、以上のリストからの適切な緩衝液、水、塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン;又は洗浄剤例えばトゥイーン20、トゥイーン80、ポロキサマー例えばプルロニックF−68又はプルロニックF−27、ポリエチレングリコールを添加した状態及び/又は防腐剤例えばパラ、メタ及びオルトクレゾール、メチル及びプロピルパラベン、フェノール、ベンジンアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ベンジル−安息香酸、ソルビン酸、プロパン酸、P−ヒドロキン安息香酸を添加した状態及び/又は有機修飾剤例えばエタノール、酢酸、クエン酸、乳酸又はそれらの塩を添加した状態での注射用の水であり得る。
【0112】
さらに、望ましい場合には、注射可能な医薬組成物は、湿潤剤又はpH緩衝剤といったような少量の非毒性補助物質を含有し得る。吸収増強調製物(例えばリポゾーム、洗浄剤及び有機酸)を利用することが可能である。
【0113】
該発明の1つの実施形態においては、該化合物は、例えば完全非経口栄養療法中の患者(例えば新生児、又は悪液質又は拒食症患者)のための液体栄養サプリメントとして使用される場合などの輸液投与又は例えば皮下、腹腔内又は静脈内注射といった注入投与向けに処方され、従って無菌で発熱物質の無い形態で水溶液として利用され、例えばわずかに酸性又は生理的pHまで緩衝される。筋肉投与のための処方は、植物油、例えば菜種油、トウモロコシ油又は大豆油中での溶液又は懸濁液をベースにしたものであり得る。これらのオイルベースの処方物は、例えばBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)及びBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)といった酸化防止剤により安定化され得る。
【0114】
かくして、当該ペプチド化合物は、蒸留水といったようなビヒクル中又は塩水、リン酸緩衝生理食塩水、5%デキストロース溶液又は油中で投与され得る。GLP−2アナログの溶解度は、望ましい場合、洗浄剤及び乳化剤といったような溶解度向上剤を取入れることにより向上させることが可能である。
【0115】
水性担体又はビヒクルを注入物質として使用する目的で、望ましい作用部位まで緩慢に放出されるよう注入部位に又は注入部位の近くにGLP−2アナログを被着させるのに役立つ量のゼラチンで補完することができる。ヒアルロン酸といったような代替的ゲル化剤も同様にデポー剤として有用であり得る。
【0116】
本発明の1実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 0.5mM〜300mM、好ましくは3〜200mM、最も好ましくは20〜100mMの最終濃度を得るべく水中に溶解させられたL−ヒスチジン;
b. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマシニトール;及び
c. 最高200mM、好ましくは0.05〜100mM、最も好ましくは0.5〜50mMを溶液中に得るための酢酸。
【0117】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0118】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調整され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0119】
本発明のもう1つの実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 0.5mM〜300mM、好ましくは3〜200mM、最も好ましくは20〜100mMのL−ヒスチジンという最終濃度を得るべく水中に溶解させられたL−ヒスチジン;
b. 最高200mM、好ましくは0.5〜100mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのL−アルギニン;
c. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール;及び
d. 最高200mM、好ましくは0.05〜100mM、最も好ましくは0.5〜50mMを溶液中に得るための酢酸。
【0120】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0121】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調製され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0122】
本発明のさらにもう1つの実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 最高200mM、好ましくは3〜100mM、最も好ましくは5〜50mMのL−ヒスチジンという最終濃度を得るべく水中に溶解させられたL−ヒスチジン;
b. 最高200mM、好ましくは0.5〜100mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのL−アルギニン:
c. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール;及び
d. 最高200mM、好ましくは0.05〜100mM、最も好ましくは0.5〜50mMを溶液中に得るための酢酸。
【0123】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0124】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調製され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0125】
本発明のさらにもう1つの実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 0.5mM〜300mM、好ましくは3〜200mM、最も好ましくは20〜100mMのL−ヒスチジンという最終濃度を得るべく水中に溶解させられたL−ヒスチジン;
b. 最高200mM、好ましくは0.5〜100mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのL−アルギニン;
c. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール;及び
d. 最高200mM、好ましくは0.05〜100mM、最も好ましくは0.5〜50mMを溶液中に得るための酢酸。
【0126】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0127】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調整され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0128】
本発明のさらにもう1つの実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 最高200mM、好ましくは3〜100mM、最も好ましくは5〜50mMのL−ヒスチジンという最終濃度を得るべく水中に溶解させられたL−ヒスチジン;
b. 最高200mM、好ましくは0.5〜100mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール;
c. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール;及び
d. 最高200mM、好ましくは0.05〜100mM、最も好ましくは0.5〜50mMを溶液中に得るための酢酸。
【0129】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0130】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調製され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0131】
本発明のさらにもう1つの実施形態においては、処方物には以下のものが含まれる:
a. 0.5mM〜300mM、好ましくは3〜200mM、最も好ましくは20〜100mMのL−ヒスチジンという最終濃度を得るべく水中に溶解させられたN−酢酸塩;
b. 最高350mM、好ましくは30〜300mM、最も好ましくは100mM〜230mMを得るためのマンニトール。
【0132】
1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、最も好ましくは10〜30mg/mlの濃度を得るべく適切な量の治療用化合物が添加される。
【0133】
pHは、4〜8、好ましくは6.5〜7.5、最も好ましくは6.7〜7.3という最終pHに調整される。結果として得られる溶液は、標的重量に調整され、無菌ろ過され、薬学的用途のためバイアル内の適切なアリコートへと送り出される。処方物は、液体製品か又は凍結乾燥製品かに応じてさらに加工される。
【0134】
該発明のGLP−2アナログは同様に、GLP−2ペプチドアナログの長時間の持続的投与のための低速放出植込みデバイスとしても処方され得る。このような持続放出処方物は、体外に位置づけされたパッチの形をとることもできる。持続放出処方物の例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コーグリュール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、シアル酸、ケイ酸塩、コラーゲン、リポソームなどといった生体適合性ポリマーの複合材料を含む。持続放出型処方物は、高い局所的濃度の該発明のGLP−2アナログを提供することが望ましい場合に特に有利なものであり得る。
【0135】
GLP−2アナログは、単位投与又は多回投与量のいずれかで、腸栄養量のペプチドの入った無菌充填されたバイアル又はアンプルの形で利用可能である。バイアル又はアンプルは、直ちに投与可能な処方物として、GLP−2アナログ及び所望の担体を含有し得る。代替的には、バイアル又はアンプルは、滅菌水又はリン酸緩衝生理食塩水といったような適切な担体の中での再調製に適した凍結乾燥形態といった形でGLP−2ペプチドを収納し得る。
【0136】
注射製剤の代替案として、GLP−2アナログはその他の経路による投与向けに処方可能である。錠剤、カプセルなどといったような経口剤形を、標準的な薬学的実践方法に従って処方することが可能である。本発明に従うと、GLP−2アナログは、小腸組織の成長からの利益を享受することになる個体を治療するために投与される。
【0137】
キトサン又は洗浄剤例えばトゥイーン20、トゥイーン80、ポロキサマー例えばプルロニックF−68、プルロニックF−127;ブリッジ35、ブリッジ72、クレモフォールELといったようなエンハンサーを添加して、鼻腔剤形を処方することができる。
【0138】
本発明のペプチド化合物は、単独で、又は改炎症効果をもつ化合物と組合わせた形で使用可能である。理論により束縛されることを望むわけではないが、かかる組合せ治療が当該ペプチドアナログの有益な治療効果を強化することが想定される。
【0139】
患者の治療にとって最も適切である治療的投薬及び投薬計画は、当然のことながら、治療すべき疾病又は身体条件に応じて及び患者の体重及びその他のパラメータに応じて変動する。何らかの特定の理論によって束縛されることは望まないものの、μg/kg単位の範囲内の投与量及びより短い又はより長い治療期間又は頻度が、特に小腸質量の統計学的に有意な増加といったような治療上有用な結果を生み出し得ることが予想されている。一部のケースでは、治療的投薬計画には、初期治療の停止後に発生する組織の回帰を予防するのに適した維持投与量の投与が含まれていてよい。ヒト用に最も適した投薬量サイズ及び投薬計画は、本発明で得られた結果によって誘導され得、適切に設計された臨床試験の中で確認可能である。
【0140】
有効な投薬量及び治療プロトコルは、実験動物の体内で低投与量で開始し次に効果を監視しながら投薬量を増加させ、投薬計画を系統的に変動もさせる従来の手段によって決定可能である。一定の与えられた対象のための最適な投薬量を決定する場合、臨床医は数多くの因子を考慮に入れることができる。
【0141】
該発明に従ったGLP−2ペプチドのヒト投与量は、1つの実施形態において、一日体重1kgにつき約10μgから約10mg、好ましくは約50μgから約5mg、そして最も好ましくは約100μg〜1mgであり得る。
【0142】
病状
本発明のペプチドは、本書で記述されているような有効量のGLP−2アナログ又はその塩を投与することによる、食道の上部消化管を含む胃腸障害を患う個体の予防又は治療のための医薬品として有用である。胃及び腸関連の障害としては、あらゆる原因の潰瘍(例えばペプチド潰瘍、薬物誘発型潰瘍、感染又はその他の病原体に関係する潰瘍)、消化障害、吸収不良症候群、短腸症候群、盲管症候群、炎症性腸疾患、セリアック病(例えばグルテン性腸症又は小児脂肪便症から発生するもの)、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血スプルー、腸炎、潰瘍性大腸炎、小腸損傷及び化学療法誘発型下痢/粘膜炎(CID)が含まれる。
【0143】
一般に上述の通り、増大した小腸質量及びその結果としての正常な小腸粘膜構造及び機能の維持の利益を享受することになる個体は、当該GLP−2アナログでの治療に対する候補である。GLP−2アナログで治療可能な特定の身体条件としては、熱由来のアルファーグリアジンに対する毒性反応の結果発生し、グルテン誘発型腸疾患又はセリアック病の結果でもあり得、小腸のビラスの著しい喪失を特徴とするセリアック病を含むさまざまな形態のスプルー;感染の結果発生し、ビラスの部分的な平坦化を特徴とする熱帯性スプルー;分類不能型免疫不全又は低ガンマグロブリン血症患者においてよく見られ、ビラス高さの著しい減少を特徴とする低ガンマグロブリン血症スプルーが含まれる。GLP−2アナログの治療的効能は、ビラス形態を調べるための腸内生検、栄養素吸収の生化学査定、患者の体重増加又はこれらの身体条件に付随する症候群の改善によって監視することができる。
【0144】
該発明のGLP−2アナログで治療可能であるか又はGLP−2アナログが予防的に有用であり得るその他の身体条件には、上述の放射線腸炎に加えて感染性又は感染後腸炎及び癌化学療法又は毒性作用物質に起因する小腸損傷が含まれる。
【0145】
GLP−2アナログは同様に、栄養失調、例えば悪液質及び拒食症の治療用にも使用可能である。
【0146】
該発明の特定の実施形態は、腸損傷及び機能不良の予防及び/又は治療のための当該ペプチドの使用に関する。かかる損傷及び機能不良は、癌化学療法治療の周知の副作用である。化学療法投与は、往々にして、粘膜炎、下痢、細菌転位(Bacterial translocation)、吸収不良、腹部けいれん、胃腸出血及び嘔吐といったような胃腸系に関係する望ましくない副作用と結びつけられる。これらの副作用は、腸上皮の構造的及び機能的損傷の臨床的結果であり、往々にして化学療法の投与量及び頻度を減少させることを必要とする。当該GLP−2ペプチドアゴニストの投与は、腸クリプト内の栄養作用を増強させることができ、化学療法後の損傷した腸上皮と交換するための新しい細胞を急速に提供する。当該ペプチドを投与することにより達成される究極的な目標は、癌治療のための最適な化学療法投薬計画を作り上げながら化学療法治療を受けている患者の胃腸損傷に関連する病的状態を軽減させることにある。本発明に従って、予防的又は治療的な同時処置を、放射線療法を受けているか又は受ける直前の患者に対して提供することができる。
【0147】
小腸粘膜の基幹細胞は、その速い増殖速度に起因して、化学療法の細胞毒性効果を受ける可能性が特に高い(Keefeら、Gut2000 ;47;632〜7)。小腸粘膜に対する化学療法誘発型損傷は、臨床的に胃腸粘膜炎と呼ばれることが多く、小腸の吸収性及び障壁機能障害により特徴づけされる。例えば、広く使用されている化学療法薬である5−FU、イリノテカン及びメトトレキナートは、げっ歯類の小腸内のクリプト減形成及びビラス萎縮を導くアポトーシスを増大させることが示されてきた(Keefeら、Gut 47: 632〜7、2000年;Gibson ら、J Gastroenterol Hepatol. Sep;18(9):1095〜1100、2003年; Tamaki ら、J lnt Med Res. 31(1):6〜16、2003年)。
【0148】
化学療法薬は、投与から24時間後に腸クリプト内のアポトーシスを増大させ、その後ビラス面積、クリプト長、1クリプトあたりの有系分裂計数及びヒトの体内での化学療法から3日後の腸細胞高さを減少させることが示されてきた(Keefeら、Gut 2000;47:632〜7)。かくして、小腸内部の構造的変化は、腸の機能不全そして一部のケースでは直接下痢を誘発する。
【0149】
癌療法後の胃腸粘膜炎は、漸進的には寛解するものの、ひとたび確立すると基本的に治療不可能であることから、増々重大な問題になっている。一般的に用いられている癌細胞増殖抑制剤5−FU及びイリノテカンで実施された研究は、これらの薬物での有効な化学療法が小腸の構造的無欠性及び機能に主に影響を及ぼし、一方結腸は比較的感応性が低く、主として粘液形成の増加で応答する、ということを実証した(Gibsonら、J Gastroenterol Hepatol. Sep; 18(9): 1095〜1100、2003年;Tamaki ら、J lnt Med Res. 31(1):6〜16、2003年)。
【0150】
本発明の新規GLP−2アナログは、胃腸障害及び化学療法の副作用の予防及び/又は治療において有用であり得る。この潜在的に重要である治療的利用分野は、5−FU、アルトレタミン、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クリサンタスパーゼ(Crisantaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、リポゾーマル・ドキソルビシン、ロイコボリン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ストレプトゾシン、テガフール・ウラシル、テモゾロミド、チオテパ、チオグアニン(Tioguanine/Thioguanine)、トポテカン、トレオスルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、リポゾーマル・ドキソルビシン、ロイコボリン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ストレプトゾシン、テガフール・ウラシル、テモゾロミド、チオテパ、チオグアニン(Tioguanine/Thioguanine)、トポテカン、トレオスルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビンといったような(ただしこれらに制限されるわけではない)現在使用されている化学療法薬に適用可能である。
【0151】
当該ペプチドは、GLP−2アナログ又はその塩を有効量投与することにより新生児を治療する方法において利用可能であると想定されている。腸の発達不足に起因する新生児摂食合併症は、当該ペプチドアゴニストを用いることによって克服可能である。
【0152】
もう1つの実施形態においては、該発明は、必要としている患者に対しGLP−2アナログ又はその塩を有効量投与することによりDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)媒介条件を治療する方法を記述している。かかる疾病には、DPP−IV酵素が過剰発現される身体条件が含まれる。
【0153】
薬学組成物は1つの実施形態においては、上述のとおりの前記GLP−2アナログ又はその塩又は誘導体の低速放出をひき起こすように処方され得る。
【0154】
当該ペプチドは、有効量のGLP−2アナログ又はその塩を投与することにより新生児を治療する方法において利用可能であると予想されている。腸の発達不足に起因する新生児摂食合併症は、当該ペプチドアゴニストを用いることによって克服可能である。
【0155】
もう1つの実施形態においては、該発明は、必要としている患者に対しGLP−2アナログ又はその塩を有効量投与することによりDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)媒介条件を治療する方法を記述している。かかる疾病には、DPP−IV酵素が過剰発現される身体条件が含まれる。
【実施例】
【0156】
以下の実施例は、該発明の好ましい態様を例示するように提供されており、該発明を制限することが意図されているわけではない。
【0157】
一般的ペプチド合成
器具及び合成戦略
ペプチドは、側鎖官能基のための適切な保護基及びN−α−アミノ保護基として9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)を用いて、ろ過用のポリプロピレンフィルタが備わったポリエチレン容器の中でバッチ式に合成された。
【0158】
溶剤
強いカチオン交換樹脂(Lewatit S 100 MB/H強酸、Bayer AG Leverkusen, ドイツ)が詰まったカラムを通過させることにより、溶剤DMF(N.N−ジメチルホルムアミド、Riedel de-Haen、ドイツ)を精製し、遊離アミンが存在する場合に黄色(Dhbt−O−アニオン)を発生させる3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(Dhbt−OH)を添加することにより使用前に遊離アミンについて分析した。溶剤DCM(ジクロロメタン、分析グレード、Riedelde - Haen、ドイツ)を精製なく直接使用した。アセトニトリル(HPLCグレード、Lab-Scan、ダブリン、アイルランド)を精製なく直接使用した。
【0159】
アミノ酸
Fmoc保護されたアミノ酸を、適切な側鎖保護形態でAdvanced Chem Tech (ACT)から購入した。
【0160】
カップリング試薬
Riedel de - Haen、ドイツから、カップリング試薬ジイソプロビルカルボジイミド(DIC)を購入した。
【0161】
固体支持体
TentaGelS樹脂0.22−0.31mmol/g上でペプチドを合成した。C末端アミド化ペプチドが好ましい場合には、TentaGelS−Ram、TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc(Rapp polymere、ドイツ)を使用し、一方C末端遊離カルボン酸が好まれる場合には、TentaGelS PHB、TentaGelS PHB Lys(Boc)Fmocを使用した。
【0162】
触媒及びその他の試薬
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)をAldrich、ドイツから購入し、ピペリジル及びピリジンをRiedel - de Haen、フランクフルト、ドイツから購入した。エタンジチオールをRiedel - de Haen、フランクフルト、ドイツから購入した。3.4−ジヒドロ−3−ヒドロキジ−4−オキソ−1、2、3−ベンゾトリアジン(Dhbt−H)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HoBt)(HoAt)をFluka、スイスから得た。無水酢酸をFlukaから得た。
【0163】
カップリング手順
DMF中のDICを用いて、HObt又はHOAt及び適切なNa保護されたアミノ酸から作られたインサイチュ生成のHObt又はHOAtエステルとして、アミノ酸をカップリングした。試験中のFmoc脱保護を防止するべく80℃で実施されたニンヒドリン試験によりアジル化を検査した(Larsen,B. D. and Holm, A., Int. J. Peptide Protein Res. 43、1994年、1〜9)。
【0164】
N−α−アミノ保護基(Fmoc)の脱保護
DMF中の20%のピペリジンを用いて処理(1×5及び1×10分)した後、ドレン済みDMFへのDhbt−OHの添加後いかなる黄色も検出できなくなるまでDMF(5×15ml、各5分)で洗浄することによって、Fmoc基の脱保護を実施した。
【0165】
HOBt−エステルのカップリング
3当量のN−α−アミノ保護されたアミノ酸を3当量のHObt及び3当量のDICとともにDMF中に溶解し、そしてその後樹脂に添加した。
【0166】
酸を用いた樹脂からのペプチドの解裂
95%のトリフルオロ酢酸(TFA、Riedel−de Haen、フランクフルト、ドイツ)−水v/v又は95%のTFA及び5%のエタンジチオールv/vで、室温2時間の処理により樹脂からペプチドを解裂させた。ろ過した樹脂を95%のTFA−水で洗浄し、減圧下でろ過物及洗液を蒸発させた。残渣をエーテルで洗浄し、酢酸−水から凍結乾燥させた。粗製凍結乾燥製品を高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析し、質量分析(MS)により同定した。
【0167】
TentaGel樹脂(PEG−PS)上のバッチ式のペプチド合成
ろ過用のポリプロピレンフィルタが備わったポリエチレン容器中にTentaGel樹脂(1g、0.23〜0.24mmol/g)を入れた。樹脂をDMF(15ml)中で膨潤させ、DMF中の20%ピペリジンで処理して、リンカ−TentaGelS RAM上か又は樹脂TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc上の第1のアミノ酸上のいずれかで初期Fmoc基を除去した。樹脂をドレンして、ドレン済みDMFに対するDhbt−OHの添加後にいかなる黄色も検出できなくなるまでDMFで洗浄した。配列に従ったアミノ酸を、上述の通り予め形成されたFmoc−保護されたHObtエステル(3当量)としてカップリングした。相反する既定のないかぎり、カップリングを2時間続けた。樹脂をドレンし、DMF(5×15ml、各5分)で洗浄して、余剰の試薬を除去した。上述の通りのニンヒドリン試験により全てのアシル化を検査した。合成完了後、ペプチド−樹脂をDMF(3×15ml、各5分)、DCM(3×15ml、各1分)及び最終的にジエチルエーテル(3×15ml、各1分)で洗浄し、真空下で乾燥させた。ペプチドを、以上で記述した通り樹脂から解裂し、以下で記述する通りに粗製ペプチド生成物を分析し精製した。
【0168】
HPLC条件
HP 1100クォータナリポンプ、HP 1100オートサンプラー、HP 1100カラムサーモスタット及びHP 1100多波長検出器から成るHew Lett Pachard HP1100HPLCシステムを用いて、グラジエントHPLC分析を行なった。計器制御及びデータ収集のためには、LCソフトウェア(rev. A. 06.01)用のHewlett Packard Chemstationを使用した。以下のカラム及びHPLC緩衝液系を用いた:
カラム:VYDAC238TP5415、C−18.5mm、300Å、150×4.6mm。
緩衝液:A:MQV中の0.1%TFA;B:0.085%のTFA、10%のMQV、90%MeCN。
グラジエント:0〜1.5分、0%のB
1.5〜25分、50%のB
25〜30分、100%のB
30〜35分、100%のB
35〜40分、0%のB
フロー1、ml/分、オーブン温度40℃、UV検出:1=215nm
【0169】
粗製ペプチドのHPLC精製
粗製ペプチド生成物をPer Septive Biosystems VISIONワークステーションで精製した。計器制御及びデータ収集のためには、VISION3.0ソフトウェアを使用した。以下のカラム及びHPLC緩衝液系を用いた。
カラム:Kromasil KR 100Å, 10mmのC−8,250×50.8mm。
緩衝液系:緩衝液:A:MQV中の0.1%TFA、B:0.085%のTFA、10%のMQV、90%のMeCN。
グラジエント:0〜37分、0〜40%のB
フロー 35ml/分、UV検出:1=215nm及び280nm。
【0170】
質量分析
ペプチドを、超グラジエントメタノール(Labscan、ダブリン、アイルランド)、Milli−Q水(Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ州)及びギ酸(Merch、ダルムシュタット、ドイツ)(50:50:0.1v/v/v)の中に溶解させて、1〜10mg/mlの間の濃度を得た。LCT質量分析計(Micromass、マンチェスター、英国)、精度+/−0.1m/zを用いてESI−TOF−MSにより正の極性モードでペプチド溶液(20ml)を分析した。
【0171】
基本合成手順
全ての合成において、ろ過用ポリプロピレンフィルタが備わったポリエチレン容器の中に乾燥TentaGet−S−Ram樹脂(1g、0.22〜0.31mmol/g)を入れた。樹脂をDMF(15ml)中で膨潤させ、DMF中の20%ピペリジンで処理して、樹脂上の非プロトン化アミノ基の存在を確保した。樹脂をドレンして、ドレン済みDMFに対するDhbt−OHの添加後にいかなる黄色も検出できなくなるまでDMFで洗浄した。配列に従ったアミノ酸を、上述の通り予め形成されたFmoc−保護されたHOBtエステル(3当量)としてカップリングした。相反する既定のないかぎり、カップリングを2時間続けた。樹脂をドレンし、DMF(5×15ml、各5分)で洗浄して、余剰の試薬を除去した。80℃で行ったニンヒドリン試験により全てのアシル化を検査した。合成完了後、ペプチド−樹脂をDMF(3×15ml、各5分)、DCM(3×15ml、各1分)及び最終的にジエチルエーテル(3×15ml、各1分)で洗浄し、真空下で乾燥した。次にペプチドを、以上で記述した通り樹脂から解裂し、凍結乾燥させた。上述の通り分取HPLCを用いた精製の後、ペプチド生成物を収集し、ペプチドの同一性をES−MSにより確認した。以下でさらに例示した全てのペプチドの合成のためにこの手順を使用した。
【0172】
合成された化合物
上述の技術を用いて、上述の方法(表1)を使用して化合物1809〜1861及び参照化合物1559(H−[Gly2]hGLP−2−OH)を合成した。
【0173】
【表1】

【0174】
【表2】

【0175】
例1:化合物1846の合成
TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc上のH−His−Gly−Glu−Gly−Ser−Phe−Ser−Ser−Glu−Leu−Ser−Thr−lie−Leu−Asp−Ala−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−lle−Ala−T rp−Leu−lle−Ala−Thr−Lys−lle−Thr−Asp−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2
ろ過用フィルタの備わったポリエチレン容器の中に乾燥TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc(0.24mmol/g、1g)を入れ、N末端ヒスチジンのカップリングを終了するまで、「TentaGel樹脂上のバッチ式ペプチド合成」の下で記述された通りに処理した。すべてのカップリングを一晩続行した。アシル化を、先に記述した通り検査した。合成の完了及びN末端Fmoc基の脱保護の後、ペプチドを上述の通り樹脂から解裂した。先に記述した通り分取HPLCを用いて精製した後、90%より優れた純度で28.8mgのペプチド生成物を収集し、ペプチドの同一性をMSにより確認した(M実測値4315.38、M計算値4315.41)。
【0176】
例2:化合物1846の合成
TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc上のH−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Ser−Ser−Glu−Leu−Ala−Thr−lle−Leu−Asp−Ala−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−lle−Ala−T rp−Leu−lle−Ala−Thr−Lys−lle−Thr−Asp−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2
ろ過用フィルタの備わったポリエチレン容器の中に乾燥TentaGelS RAM−Lys(Boc)Fmoc(0.24mmol/g、1g)を入れ、N末端ヒスチジンのカップリングを終了するまで、「TentaGel樹脂上のバッチ式ペプチド合成」の下で記述された通りに処理した。すべてのカップリングを一晩続行した。アシル化を、先に記述した通り検査した。合成の完了及びN末端Fmoc基の脱保護の後、ペプチドを上述の通り樹脂から解裂した。先に記述した通り分取HPLCを用いて精製した後、90%より優れた純度で230mgのペプチド生成物を収集し、ペプチドの同一性をMSにより確認した(M実測値4313.63、M計算値4313.43)。
【0177】
例3:化合物1855の合成
TentaGelS RAM−Asp(OtBu)Fmoc上のH−His−Gly−Glu−Gly−Ser−Phe−Ser−Ser−Glu−Leu−Ser−Thr−lle−Leu−Asp−Ala−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−lle−Ala−Trp−Leu−lie−Ala−Thr−Lys−lle−Thr−Asp−NH2
ろ過用フィルタの備わったポリエチレン容器の中に乾燥TentaGelS RAM−Asp(OtBu)Fmoc(0.2mmol/g、1g)を入れ、N末端ヒスチジンのカップリングを終了するまで、「TentaGel樹脂上のバッチ式ペプチド合成」の下で記述された通りに処理した。すべてのカップリングを一晩続行した。アシル化を、先に記述した通り検査した。合成の完了及びN末端Fmoc基の脱保護の後、ペプチドを上述の通り樹脂から解裂した。先に記述した通り分取HPLCを用いて精製した後、96%より優れた純度で27.3mgのペプチド生成物を収集し、ペプチドの同一性をMSにより確認した(M実測値3547、M計算値3546.84)。
【0178】
例4:化合物1857の合成
TentaGelS RAM−Asp(OtBu)Fmoc上のH−His−Gly−Glu−GIy−Thr−Phe−Ser−Ser−Glu−Leu−Ala−Thr−lle−Leu−Asp−Ala−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−lle−Ala−Trp−Leu−lle−Ala−Thr−Lys−lle−Thr−Asp−NH2
ろ過用フィルタの備わったポリエチレン容器の中に乾燥TentaGelS RAM−Asp(OtBu)Fmoc(0.2mmol/g、1g)を入れ、N末端ヒスチジンのカップリングを終了するまで、「TentaGel樹脂上のバッチ式ペプチド合成」の下で記述された通りに処理した。すべてのカップリングを一晩続行した。アシル化を、先に記述した通り検査した。合成の完了及びN末端Fmoc基の脱保護の後、ペプチドを上述の通り樹脂から解裂した。先に記述した通り分取HPLCを用いて精製した後、94%より優れた純度で39.3mgのペプチド生成物を収集し、ペプチドの同一性をMSにより確認した(M実測値3544.88、M計算値3544.86)。
【0179】
例5:化合物1846A(酢酸塩)の合成
化合物1846のトリフルオロ酢酸塩から酢酸塩への対イオン交換。化合物1846の精製合成ペプチド生成物を、粗製合成ペプチド生成物の精製のために使用されたHPLC緩衝液内のトリフルオロ酢酸の存在(0.1%v/v)に起因して、トリフルオロ酢酸塩として単離する。
【0180】
対イオントリフルオロ酢酸塩を酢酸塩と交換するために、酢酸塩上の強塩基イオンを詰めたカラムにペプチドの溶液を通した(Dowex 1×8)。365mgの化合物1を40mlの水の中に溶解させる。酢酸塩上の40mlの強塩基イオン交換樹脂が入ったカラムに溶液を通す(Dowex 1×8;容量1.33meq/ml樹脂)。その後、樹脂を4×30mlの水で洗浄し、溶出液を収集し、凍結乾燥させ、HPLC分析に従って97%という純度で312mgの酢酸塩を結果として得る。
【0181】
例6:化合物1848C(塩化物)の合成
化合物1848のトリフルオロ酢酸塩(Tfa)から塩化物(Cl-)への対イオン交換。
50mlの0.1Mの塩酸中に100mgの化合物1を溶解させ、結果としての溶液を凍結乾燥した。残留磁気を50mlの水中で溶解させ、再び凍結乾燥させ、その結果、HPLCに従って93%という純度をもつ塩化物86mgを得た。
【0182】
例7:化学的安定性試験
GLP−2アナログを精製水の中に溶解させ、その後HCl、NaOH、H22又はNH4HCO3を含有する溶液中に希釈させた。溶液を40℃でインキュベートして、加水分解、脱アミド及び酸化生成物を生産した。標本をRP−HPLCにより分析し、残りの無傷化合物の百分率を、相対的安定性の尺度として決定した。主要分解生成物をLC−MSにより試しに同定した。使用したペプチドは表3に列挙されている。
【0183】
【表3】

【0184】
その他の試験対象GLP−2アナログのための基準として化合物ZP1559、Gly2−GLP−2を使用した。GLP−2アナログの中で、配列が参照化合物ZP1559と異なっている位置が太字フォントで示されている。配列は表3に列挙されている。
【0185】
化合物は、その配列に従って対としてかつC末端−K6拡張を伴って及び伴わずに列挙されている。
【0186】
【表4】

【0187】
実験に使用する化学物質は表4中で列挙されている。
【0188】
【表5】

【0189】
まず水を≧18MΩcmの抵抗に対し脱塩し、次にMilli−Qシステム(Milliporp, Bedford、米国)を通過させた。最終的にMilli−Q精製水(MQW)を最終的に0.22μgの無菌フィルタ(Millipak 40 Gamma Gald, Millipore)を通して抜栓した。
【0190】
試験対象のGLP−2アナログ及び基準Gly2−GLP−2、ZP1559を水中で溶解させ、その後HCl、NaOH、H22又はNH4HCO3を含有する溶液中に希釈させた。標本を40℃でインキュベートさせて、それぞれに加水分解、脱アミド及び酸化生成物を生成させた。元の主ピークの純度についてはRP−HPLCにより化合物を分析し、主ピーク及び主要分解生成物の質量による同一性確認のためLC−MSにより、化合物を分析した。
【0191】
ストレス溶液の調製
0.2MのHCl: MQW4mL及び1MのHCl1mL。
0.02MのNaOH: MQW4mL及び0.1MのNaOH0.1M。
0.2MのNH4HCO3、pH8: 50mLのMAW中で0.79gのNH4HCO3を溶解させた。
1%のH23: MQW5.8mL及び30%のH220.2mL。
【0192】
サンプル溶液:
GLP−2アナログをまず最初に、4mg/mLの濃度までMQW中で溶解させ、次に1:1の比率でストレス溶液中にてさらに希釈した(例えば125μLプラス125μL)。最終濃度は、それぞれ0.1MのHCl、0.01MのNaOH、0.1MのNH4HCO3及び0.5%のH22でのストレス条件についてGLP−2アナログ2mg/mLであった。
【0193】
溶液を暗所で40℃でインキュベートし、次に、RP−HPLC及びLC−MSによる分析に先立ち0.5mg/mLの濃度(750μLの添加)まで溶出液A中で希釈した。
【0194】
【表6】

【0195】
RP−HPLC
Agilent Technologres, Inc製のChem Station(Revision A.08.03[847])ソフトウェアの制御下でAgilent Series 1100 HPLCシステム上でRP−HPLC分析を実施した。ピーク積分の生データをAgilent Techrologies Revision BOL.03ソフトウェアを用いてChem Store C/Sサーバーに入れた。
【0196】
【表7】

【0197】
LC−MS
分析LC−MS分析を、オンライン脱ガス装置、クォーテナリグラジェントポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、UV検出器から成るAgilent Technologres 1100 HPLC計器上で実施した。英国Micro Mass製のMasslynx×3.5ソフトウェアの制御下でMicromass LCT(ESI−TOF)質量分析計とHPLC計器をインタフェースさせた。
【0198】
【表8】

【0199】
【表9】

【0200】
ストレス条件下でのインキュベーション後にRP−HPLCにより測定された化合物純度として、結果を表9に示す。この純度は、T=0で測定された純度との関係におけるストレス溶液中でのインキュベーションの後の残りの無傷化合物についての1つの尺度である。これらの結果は、この分析的RP−HPLC方法により観察されていない、隠れている可能性のある分解生成物を考慮に入れていない。
【0201】
LC−MS方法により、ストレス試験標本中の主要な分解生成物を試しに同定した。この分析的LC−MS方法によっては、親化合物及び副次的分解生成物に対する異性体は全く観察されなかった。試験的同定が表11〜15に列挙されている。
【0202】
試験対象のGLP−2アナログは、C末端−K6拡張を伴う及び伴わないその配列に応じて対として列挙されている。
【0203】
【表10】

【0204】
NaOH中でインキュベートされた化合物についての結果は、安定性の差異が全く観察されなかったことから、列挙されていない。分解生成物及び主要ピークは全て、LC−MS分析による同じ質量を有している。これらの化合物はおそらく経時的にラセミ化された。表9中の結果は、試験対象のGLP−2アナログが全般的に、Gly2−GLP−2基準、ZP1559よりもさらに化学的に安定していることを示している。
【0205】
酸加水分解の間、試験対象のGLP−2アナログは、ZP1820及びZP1834以外、Gly2−GLP−2基準ZP1559よりも安定している。これは主として、位置3にあるアミノ酸Aspに起因する。AspではなくGluがアミノ酸3と4Asp−Glyの間の解裂を最小限におさえることができる。試験対象のその他のZPGLP−2アナログはまさに同じ安定性をもつが、C末端−K6、ZP1855、ZP1857及びZP1858の無い化合物についてわずかに高い安定性を伴う。この差異は、位置33Aspのアミノ酸によって説明がつく。C−末端−K6の無い化合物においては、このアミノ酸はC末端であり、アミノ酸32と33Tyr−Aspの間の解裂は、アミノ酸33及び34Asp−Lysの間の解裂よりも緩慢に発生する。安定性の差異はAspに起因するものであり、C−末端−K6に起因するものではない。
【0206】
加速された酸化の条件下(H22、同様に表10及び13参照)では、試験対象のGLP−2アナログは、Gly2−GLP−2基準ZP1559よりもはるかに安定している。これはおそらく、ZP1559内の位置10のMetの酸化に起因するものである。例外としては、ZP1855があり、これは説明のつかない低い安定性を示す。これは、ZP1855のバッチに特異的であり得、これを説明するためにはさらなる研究が必要となる。
【0207】
脱アミド化を促進する条件下での安定性、試験対象のGLP−2アナログは、Gly2−GLP−2基準、ZP1559よりもさらに安定している。これはおそらくは、試験対象GLP−2アナログのための配列中に存在しない位置11、16及び24でのZP1559、Asn内の複数の脱アミド部位に起因している。
【0208】
LC−MSによる主要な分解生成物の試験的同定
【表11】

【0209】
HClによるストレスを受けた溶液
【表12】

【0210】
【表13】

【0211】
表12中の結果は、試験対象のGLP−2アナログについての計測された分子量及びGly2−GLP−2基準、ZP1559が理論分子量に対応していることを示している。
【0212】
最も豊富な分解生成物は、アミノ酸3と4;ZP1559、ZP1820及びZP1834中のAsp及びGlyの間の解裂である。C−末端−K6を伴う化合物ZP1846、ZP1848及びZP1849については、位置33〜39内のC−末端−K6(Lys6)の喪失に対応する分解生成物が検出された。C−末端−K6が無い化合物ZP1855及びZP1857については、位置33におけるC末端Aspの喪失に対応する分解生成物が検出された。
【0213】
検出された少数の分解生成物は、アミノ酸15及び16(AspとAsn又はAspとAla)、アミノ酸4及び5(Gly及びSer)、アミノ酸21及び22(AspとPhe)の間の解裂であった。
【0214】
22によるストレスを受けた溶液
【表14】

【0215】
表13中の結果は、試験対象のGLP−2アナログについての計測された分子量及びGly2−GLP−2基準、ZP1559が、理論分子量に対応することを示している。ZP1559については、+16DaのMW(分子量)をもつ主要分解生成物が観察され、これは恐らく、位置10のMetの酸化された生成物であり得ると思われる。ZP1820及びZP1834については、+18DaのMWをもつ主要分解生成物が観察される。これらは恐らくは脱アミド化前駆体中の水の喪失であり得る。さらに、−2DaのMWをもつ少数生成物が見られ、これは2つの部位における脱アミド化であり得る。+16DaのMWを持つ少数生成物がすべての化合物中に見られ、これらは恐らく、Trpの酸化であり得る。全てC末端−K6の無いものである化合物ZP1855、ZP1857及びZP1858については、−137Da及び−65DaのMWをもつ少数分解生成物が検出され、これらは、それぞれ位置1のHisの喪失及び未同定の分解生成物に対応する。
【0216】
NaOHによるストレスを受けた溶液
【表15】

【0217】
LC−MS分析は、各化合物についての全てのピークにおける同じ分子量を示す。このことはすなわち、最も豊富な分解生成物が、配列内のアミノ酸うちの単数又は複数のもののL形態からD形態へのラセミ化であることを意味している。このとき、主ピークは単数又は複数のラセミ化生成物を隠している可能性があり、かくして、無傷のペプチドの残留純度は全く決定できなかった。解裂による主要な分解生成物は全く検出されなかった。
【0218】
NH4HCO3によるストレスを受けた溶液
【表16】

【0219】
表14中の結果は、試験対象のGLP−2アナログについての計測された分子量及びGly2−GLP−2基準、ZP1559が、理論MWに対応することを示している。ZP1559については、+1DaのMW(分子量)をもつ少数分解生成物が観察され、これは恐らく脱アミド化された生成物であり得ると思われる。ZP1820、ZP1834及びZP1846については、主要化合物の場合と同じMWをもつ少数分解生成物が観察される。これらはおそらくは、ラセミ化生成物又は脱アミド化であり得ると思われる。ただし、当該計器のMS分解能は、これを確認するか又は拒絶するのに適切なものではなかった。さらに、これらの生成物は、その他の化合物の中に存在したものの主要ピーク下に隠されている可能性があったため検出されなかった可能性がある。
【0220】
試験対象の当該GLP−2アナログは、加水分解、酸化及び脱アミド化のためのストレス条件下で参照化合物Gly2−GLP−2;1559と比べて優れた化学的安定性を有している。化合物1820及び1834は、酸加水分解に起因して残りの6つの候補よりも低い安定性を有している。最高の化学的安定性は、アミノ酸A3がAspではなくむしろGluである場合に見られた。
【0221】
残りの6つの候補の化学的安定性の有意な差異は、C−末端−K6を有する候補内の−K6の喪失及びAspの後の不安定な部位を主な原因として、−K6の不在による安定性がわずかに優れている点を除き全く観察されなかった。
【0222】
例8:C57BLマウスにおける化合物の腸成長効果についてのスクリーニング
腸成長を刺激する当該化合物の能力を、雄のC57BLマウスにおいて判定した。個別のマウスグループ(n=6)に、各化合物を30nmol/kgずつs.c.で毎日2回連続10日間投与した。比較を目的として、その他の動物グループには、同じ投薬計画の中で等モル投与量の[Gly2]GLP−2又はビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)のいずれかを投与した。最後の化合物投与量が投与されてから24時間後に、マウスを屠殺し、(幽門から盲腸までの)小腸及び結腸(盲腸から遠位の腸)を空にして秤量した。体重(BW)のわずかな差異を補正するため、小腸(SI)及び結腸の器官質量をBWとの関係において表現した。非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2は、食道、胃、小腸及び結腸の両方における胃腸の成長を刺激することが報告されてきており、化合物により誘発された成長パターンの差異を評価するために、化合物Xの小腸−結腸感度指数を次のように計算した:
【0223】
(SI/Colon)X/(SI/Colon)[Gly2]GLP-2
【0224】
1.05以上の小腸−結腸感応性をもつ化合物を、小腸に対する相対的選択性があるものとみなした(表15)。
【0225】
0.95以下の小腸−結腸感応性をもつ化合物を、結腸に対する相対的選択性があるものとみなした(表15)。
【0226】
表15. 選択的GLP−2アナログのリスト
【0227】
【表17】

【0228】
結果
該発明に従った当該化合物の腸成長効果を、等モル投与量非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2の効果との関係におけるSI質量を投与量依存的に増加させるペプチドの能力に基づいて決定した。
【0229】
この研究からの発見事実は、野生型GLP−2配列の位置8、16、24及び/又は28にアミノ酸置換をもつGLP−2変異体が、C57BLマウスにおいて[Gly2]GLP−2に比べて生物活性を増大させたということを実証している。
【0230】
例9:C57BLマウスにおける腸成長に対する選択された化合物の投与量応答効果
1820、1855、1846、1858、1849、1848及び1857は、これらの化合物が[Gly2]GLP−2との関係において小腸の質量を増大させた(例8)と同時にストレスの多い条件下で[Gly2]GLP−2との関係において化学的安定性を増大させた(例7)ことから、リード化合物として選択された。小腸質量に対する1820、1855、ZP1846、1858、1849、1848及び1857の投与量応答効果を、雄のC57BLマウスにおいて判定した。個々のマウスグループ(n=6)に対し、各化合物を5、15、45、135又は405nmol/kgずつ、s.c.(皮下)で、毎日2回、連続3日間投与した。比較を目的として、同じ投薬計画内で、その他の動物グループに対し、等モル投与量の[Gly2]GLP−2又はビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)を投与した。最後の化合物投与量が投与されてから24時間後にマウスを屠殺し、(幽門から盲腸までの)小腸を空にして秤量して、小腸質量に対する効果を決定した。
【0231】
結果
参照化合物[Gly2]GLP−2の効果との関係における小腸質量に対する1820、1855、1846、1858、1849、1848及び1857の効果は、図1〜5に示されている。試験された各々の投与量において、小腸質量に対する[Gly2]GLP−2の効果は、100%で標準化される。該発明に従った化合物1820、1855、1846、1858、1849、1848及び1857の腸成長効果を、等モル投与量の[Gly2]GLP−2の効果との関係におけるSI質量を投与量依存的に増大させるペプチドの能力に基づいて判定した。これらの発見事実に基づき、我々は、8個の置換(GLP−2 807に比べてG2、E3、T5、L10、A11、A16、A24、A28)を含むGLP−2アナログが、[Gly2]GLP−2で治療されたマウスと比べ小腸の重量の著しい増大を生じさせるという結論を下すことができる。
【0232】
特に、Gluに代わってAsp3、及びAlaに代ってAsn16、そしてAlaに代わってGln28という置換は、結腸に比べ選択的に小腸の重量の増大をもたらす(1809と比べて1839又は1840)。かくして、3個のアミノ酸 Asp3、Asn16及びGln28の置換は、結腸質量に比べ小腸重量の選択的増大を結果としてもたらす。
【0233】
さらに、セリンに対するAsp8の置換は選択性のさらなる増大を結果としてもたらし、かくして、結腸の重量に著しい影響を及ぼすことなく小腸の重量の補足的増加をもたらす(1818、1820、1844、1846、1848、1849、1852、1853、1855、1858)。
【0234】
図1〜4は、SI−BW対結腸−BW比に対する例証された化合物1846、1855、1848、1857、1849の投与量応答効果が参照化合物[Gly2]GLP−2との関係において示されている実験結果を示す。試験対象の投与量の各々において、小腸質量に対する[Gly2]GLP−2の効果が100%で標準化されている。例証された化合物は全て、位置8、16及び/又は28での修飾を共有し、結腸との関係において小腸の成長をひきおこすための選択性の増大を示している。
【0235】
例10:5−FUの投与を受けたマウスにおける小腸萎縮に対する1846、1848、1855及び1857の投与量応答効果
小腸基幹細胞の高い増殖速度のため、これらの細胞は、抗癌療法において使用される化学療法薬の細胞傷害性効果に対する感受性標的となっている。その結果、化学療法薬5−フルオロウラシル(5−FU)の臨床的使用には往々にして小腸障害が付随する(癌患者における萎縮及び下痢)。我々は、4日間一日一回50mg/kgの5−FUを腹腔内(i.p.)投与するとC57BLマウスにおいて有意な小腸萎縮が誘発されるということを先に示した。5FUにより誘発された小腸萎縮に対するリード化合物1846、1848、1855及び1857化合物の効果をマウスにおいて調査した。我々は、4日間一日一回50mg/kgの5−FUを腹腔内(i.p.)投与すると、C57BLマウスにおいて有意な小腸萎縮が誘発されるということを先に示した。1846、1848、1855又は1857は、5−FUに先立ち3日間そして5−FU投与と共に4日間一日2回投与された。リード化合物は、健康なマウスにおいて小腸の増大を効果的に刺激することが以前に示された5つの異なる投与量(5、15、45、135及び405nmol/kg)で各々投与された(例9)。比較を目的として、1つの動物グループを405nmol/kgの[Gly2]GLP−2で治療した。小腸に対する5−FUの効果を判定するため、動物グループに対し、5−FU Iを単独で投与し、未治療のまま放置し(5−FU対照)、もう1つの動物グループにはビヒクルのみを投与した(PBS対照)。
【0236】
5−FUは、PBS対照との関係においてC57BLマウスにおけるSI−BW及びSI長の著しい減少を誘発した。5−FUが投与されたマウスにおけるSI−BW及びSI−長に対する1846、1848、1855又は1857の投与量応答効果は、図6〜9に示されている。405nmol/kgの[Gly2]GLP−2の効果も示されている。1846、1848、1855、または1857は、5−FUで誘発されたSI萎縮を投与量依存的に防止し、SI−BWをPBS対照と類似したレベルで維持した。等モル投与量で投与されたZP1848、ZP1855及びZP1857は、SI−BWに対し405nmol/kgの[Gly2]GLP−2よりもかなり高い効能があった。1848及び1857は、SI−長に対し405nmol/kgの[Gly2]GLP−2よりもかなり高い効能があった。
【0237】
例11:5−FUが投与されたSDラットにおける小腸萎縮及び下痢に対する1846の投与量応答効果
5−FUにより誘発された小腸萎縮及び下痢に対する臨床候補1846の効果をSDラットにおいて調査した。我々は、4日間一日一回75mg/kgの5−FUを腹腔内投与すると、SDラットにおいて小腸萎縮及び下痢が誘発されることを先に示した。5−FUに先立つ3日間そして5−FUの投与と合せて4日間一日2回、1846(16、80及び400nmol/kg/d;n=1投与量グループあたりラット20匹)を投与した。該研究には、5−FU対照及びPBS対照が内含された。1846の最後の投与量が投与されてから24時間後に、動物の1サブセットを屠殺して、小腸萎縮に対する1846の効果を判定した。下痢に対する1846の効果を判定するために、投薬期間中及びさらに6日間、全ての動物を一日2回(朝夕)観察した。各々の観察期間において、各々の動物に、該動物が下痢をしているか否か及び下痢の重症度を示す評点[0、下痢無し、1(軽度)、肛門のまわりに糞染色、2(中度)、後肢及び尾部の糞染色及び3(重度)、前肢及び腹部に糞染色]を与えた。
【0238】
結果
5−FUは、PBS対照に比べSDラットにおいて、SI−BW及びSI長の有意な減少を誘発した。5−FUで誘発された小腸の萎縮及び下痢に対する1846の投与量応答効果は、図10及び11に示されている。1846は、5−FU誘発型小腸萎縮を投与量依存的に防止し、SI−BW及びSI長を対照と類似のレベルに維持した。最高投与量(400nmol/kg)で投与された時点で、1846は、5−FUの投与を受けたラットにおける下痢の発生率及び重症度を低減した。
【0239】
例12:SDラットの小腸におけるクリプト・ビラス長及び筋層厚みの投与量応答効果
SDラットの小腸内でのクリプト−ビラス長及び筋層厚みに対する臨床候補1846の効果を調査した。連続5日間一日一回静脈内ボーラスとして1846(0.62、3.41又は6.2mg/kg/日、n=1投与量グループあたりラット6匹)を投与した。最終投与量が投与されてから24時間後にラットを屠殺し、組織学的処理のために、空腸(胃十二指腸接合部から30cm遠位)及び回腸(回盲接合部から30cm近位)から1cmの生検材料を切除した。
【0240】
結果
空腸及び回腸内でのクリプト−ビラス長及び筋層厚みに対する1846の投与量応答効果は、図12に示されている。1846は、空腸内の平均クリプト−ビラス長及び回腸内の回腸筋層厚を、投与量依存的に増大させた。
【0241】
例13:クローン病のインドメタシン誘発型モデルにおける小腸炎症のマーカーに対する1848の効果
クローン病は、小腸の突発性炎症をひき起こす慢性疾患である。インドメタシン誘発型クローンモデルにおける小腸の炎症に対するGLP−2アナログ1848の効果を調査した。我々は、インドメタシンの投与(2日間一日一回、皮下(s.c.))が潰瘍形成を特徴とする小腸の炎症を誘発し、炎症性サイトカイン内で腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)を増大させることを、先に示した。潰瘍形成に対するZP1848の効果を判定するために、1848(皮下、一日2回(9:00と12:00)、8、40及び200nmol/kg)をインドメタシンの初回投与量以前の4日間及びインドメタシンと併用してさらに2日間投与した。コルチコステロイドはクローン病における活性炎症の治療において一般に用いられていることから、正の対照として、コルチコステロイド、プレドニゾロン(10mg/kg、p.o.(経口))を使用した。さらに、1つの動物グループに対し、1848(200nmol/kg)とプレドニゾロンの両方を投与して、組合せ治療の効果を判定した。1848の最終投与量を投与してから24時間後に、動物を屠殺し、小腸を穏やかにきれいにフラッシングし、固定させた。潰瘍形成の範囲を判定するため、腸間膜反対側縁に沿って腸を切り開き、ポリプロピレン平板上に吊るし、Alcian Green 3 BXで表面染色した。幽門から出発して、小腸を走査し、全ての潰瘍の形状(円形対線形)及びサイズ(円形潰瘍:直径、線形潰瘍:長さ×幅)を標準的定規(分解能:0.5mm)を用いて測定した。潰瘍というのは、上皮表面が欠如した部域として定義された。最終的に、全ての個別潰瘍の面積の総和により各動物についての合計損傷面積を計算した。
【0242】
小腸内のTNF−αの濃度に対する1848の効果を判定するために、上述のとおりに1848及びインドメタシンを投与した。しかしながら、屠殺時点で、小腸を等しい長さの3つのセグメント(近位、中央及び遠位)に分けた。市販のELISAキットを用いて個々のセグメントの各々においてTNF−α濃度を測定した。
【0243】
結果
インドメタシンは、対照グループに比べて強い小腸潰瘍誘発をひき起こした(潰瘍形成の推定範囲333±21mm2対10mm2)。潰瘍形成の推定範囲(mm2)に対する1846の効果は、図13に示されている。1848での治療(8nmol/kg、40nmol/kg及び200nmol/kg)は、潰瘍形成の範囲を著しく減少させた(それぞれ230±12mm2、216±17mm2、及び178±17mm2、対インドメタシンP<0.001)。最高の投与量(200nmol/kg)で使用された時点で、ZP1848は、正の対照、プレドニゾロンよりもさらに効果的であった(P<0.05)。
【0244】
インドメタシンは、対照動物(34±7pg/mgタンパク質、対インドメタシン、P<0.05)に比べ近位セグメント(97±14pg/mgタンパク質)内でTNF−αの組織レベルの約2.9倍の増加をひき起こした。小腸TNF−α濃度に対する1846の効果は、図14に示されている。1848での治療(8、40又は200nmol/kg)は、TNF−αの組織レベルを著しく減少させ(それぞれタンパク質1mgあたり45±14pg、44±9pg、及び45±7pg、)、3回の投与量間には有意な差異は全くなかった。
【0245】
インドメタシンは、対照動物(タンパク質1mgあたり34±6pg、対インドメタシンP<0.05)に比べて中央セグメント内のTNF−αの組織レベルの約3.2倍の増加をひき起こした(タンパク質1mgあたり108±9pg)。1848(40又は200nmol/kg)は、それぞれにTNF−αの組織レベルを著しく減少させた、対インドメタシンP<0.05)。
【0246】
インドメタシンは、対照動物(タンパク質1mgあたり45±3pg、対インドメタシンP<0.05)に比べて遠位セグメント内のTNF−αの組織レベルの約1.7倍の増加をひき起こした(タンパク質1mgあたり75±5pg)。1848は、遠位セグメントにおけるTNF−αレベルに対し阻害効果を有していたが、効果は、その他のセグメントと比べてさほど顕著ではなかった。プレドニゾロン単独では、3つのセグメント全てにおいてTNF−αの組織レベルに有意な影響を及ぼさなかったが、プレドニゾロンの投与は、遠位セグメントだけにおいてTNF−αレベルに対する1848(200nmol/kg)の阻害効果を改善した。
【0247】
例14
ヒスチジン、マンニトール及び酢酸塩処方物中10mg/mLのZP1846の処方
1. 1L入りビーカー内に800mL(WFI)の水を満たす。
2. ビーカー内で13.964gのL−ヒスチジンを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
3. ビーカー内で32.200gのマンニトールを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
4. 1L入りビーカーに直接629μLの100%酢酸を添加するか又は12.58gの5%(w/v)酢酸溶液を秤量してビーカーに添加する。
6. 約950mLになるまで満たす。
7. pHを測定し、必要とあらば10%の酢酸又は0.25MのヒスチジンでpH6.9〜7.0に調整する。
8. 11.312gの薬物物質(ペプチド含有量88.4%)を秤量し、ビーカーに添加する。
9. 1.015kg(約1000mL)になるまで満たし、pH、オスモル濃度及び密度を測定する。
10. 直列に連結された2つの無菌フィルタを通して処方物を無菌ろ過する。
11. LAFベンチ内の0.5mLのアリコート中の処方物を2mLの薬学的に承認されたバイアル内に送り出す。
12. 滅菌され4℃に予め冷却された凍結乾燥機内に投入する前に凍結乾燥ストッパを部分的に設置する。
13. 凍結、アニール、一次乾燥及び二次乾燥段階から成る凍結乾燥サイクルを40.5時間にわたり実施する。凍結乾燥機チャンバ内にある間に、窒素下でバイアルにストッパを設置する。
14. バイアルを仕分けし、オーバーシール及び圧着を適用する。
【0248】
例15
ヒスチジン、アルギニン、マンニトール及びトレハロース中10mg/mLのZP1846の処方
1. 1L入りビーカー内に800mL(WFI)の水を満たす。
2. ビーカー内で6.205gのL−ヒスチジンを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
3. ビーカー内で3.484gのL−アルギニンを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
4. ビーカー内で33.46gのマンニトールを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
5. ビーカー内で11.16gのトレハロースを秤量し、1L入りビーカーに添加する。
6. 約950mLになるまで満たす。
7. pHを測定し、必要とあらば10%の酢酸又は0.25MのヒスチジンでpH6.9〜7.0に調整する。
8. 11.312gの薬物物質(ペプチド含有量88.4%)を秤量し、ビーカーに添加する。
9. 1.015kg(約1000mL)まで充填し、pH、オスモル濃度及び密度を測定する。
10. 直列に連結された2つの無菌フィルタを通して処方物を無菌ろ過する。
11. LAFベンチ内の0.5mLのアリコート中の処方物を2mLの薬学的に承認されたバイアル内に送り出す。
12. 滅菌され4℃に予め冷却された凍結乾燥機内に投入する前に凍結乾燥ストッパを部分的に設置する。
13. 凍結、アニール、一次乾燥及び二次乾燥段階から成る凍結乾燥サイクルを40.5時間にわたり実施する。凍結乾燥機チャンバ内にある間に、窒素下でバイアルにストッパを設置する。
14. バイアルを仕分けし、オーバーシール及び圧着を適用する。
【0249】
該発明について上述の実施例と併せて記述してきたが、この開示が与えられた時点で当業者には数多くの同等の修正及び変形形態が明らかとなるだろう。従って、記載されている該発明の実施例は、制限的意味のない例示を目的としたものとみなされる。該発明の本質及び範囲から逸脱することなく、記述された実施形態に対しさまざまな変更を加えることが可能である。本書で引用されている全ての文書は、参考として明示的に内含される。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】C57BLマウスにおける小腸(SI)質量に関する4つの小腸選択的化合物(化合物番号1846、1855、1848及び1858の完全投与量応答データの例である。化合物は、以下の投与量で3日間皮下注射b.i.d.により投与した:0(ビヒクル)、5、15、45、135、405nmol/kg(n=1投与量グループあたり6)、各投与量レベルでの応答を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で治療した一対治療対象マウスの体内で同じ投与量レベルで得られた応答と比較した。体重(BW)変化を補正するため、SI質量をBWとの関係において表現し(SI−BW比)、各投与量レベルでの成長応答を、非選択的基本化合物[Gly2]GLP−2で観察された応答に対し正規化した。結果は、1kgあたり5〜405nmolの投与量範囲内で、小腸選択的化合物1846、1855、1848及び1858の投与量応答関係が非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2と著しく異なっており(2方向ANOVA内でP<0.05)、4つの化合物全てが[Gly2]GLP−2より著しく大きい最大応答で小腸成長を刺激することを実証した。値は平均±SEMである。*:[Gly2]GLP−2の等モル投与量との関係においてP<0.05。
【図2】マウスにおける小腸(SI)対結腸感度指数に関する4つの小腸選択的化合物(化合物番号1846、1855、1848及び1858の完全投与量応答データの例である。化合物は、C57BLマウスにおいて以下の投与量で3日間皮下注射b.i.d.により投与した:0(ビヒクル)、5、15、45、135、405nmol/kg(n=1投与量グループあたり6)。各投与量レベルでの応答を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で治療した一対治療対象マウスの体内で同じ投与量レベルで得られた応答と比較した。SI−結腸感度指数を結腸質量に対するSI質量として計算し、各投与量レベルでの感度指数を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で観察された応答に対し正規化した。結果は、1kgあたり5〜405nmolの投与量範囲内で、小腸選択的化合物1857及び1820の投与量応答関係が非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2と著しく異なっており(2方向ANOVA内でP<0.05)、化合物1846、1855及び1848が[Gly2]GLP−2に比べて増大した最大小腸感度を示すことを実証した。値は平均±SEMである。*:[Gly2]GLP−2の等モル投与量との関係においてP<0.05。
【図3】C57BLマウスにおける小腸(SI)質量に関する4つの小腸選択的化合物(化合物番号1857、1849及び1820の完全投与量応答データの例である。化合物は、以下の投与量で3日間皮下注射b.i.d.により投与した:0(ビヒクル)、5、15、45、135、405nmol/kg(n=1投与量グループあたり6)、各投与量レベルでの応答を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で治療した一対治療対象マウスの体内で同じ投与量レベルで得られた応答と比較した。体重(BW)変化を補正するため、SI質量をBWとの関係において表現し(SI−BW比)、各投与量レベルでの成長応答を、非選択的基本化合物[Gly2]GLP−2で観察された応答に対し正規化した。結果は、1kgあたり5〜405nmolの投与量範囲内で、小腸選択的化合物1857、1849及び1820の投与量応答関係が非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2と著しく異なっており(2方向ANOVA内でP<0.05)、両方の化合物が[Gly2]GLP−2より著しく大きい最大応答で小腸成長を刺激することを実証した。値は平均±SEMである。*:[Gly2]GLP−2の等モル投与量との関係においてP<0.05。
【図4】マウスにおける小腸(SI)対結腸感度指数に関する3つの小腸選択的化合物(化合物番号1857、1820及び1849の完全投与量応答データの例である。化合物は、C57BLマウスにおいて以下の投与量で3日間皮下注射b.i.d.により投与した:0(ビヒクル)、5、15、45、135、405nmol/kg(n=1投与量グループあたり6)。各投与量レベルでの応答を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で治療した一対治療対象マウスの体内で同じ投与量レベルで得られた応答と比較した。SI−結腸感度指数を結腸質量に対するSI質量として計算し、各投与量レベルでの感度指数を、非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2で観察された応答に対し正規化した。結果は、1kgあたり5〜405nmolの投与量範囲内で、小腸選択的化合物1857、1820及び1849の投与量応答関係が非選択的参照化合物[Gly2]GLP−2と著しく異なっており(2方向ANOVA内でP<0.05)、3つの化合物全てが[Gly2]GLP−2に比べて増大した最大小腸感度を示すことを実証した。値は平均±SEMである。*:[Gly2]GLP−2の等モル投与量との関係においてP<0.05。
【図5】小腸、結腸及び胃の質量に関する非選択的化合物([Gly2]GLP−2)及び小腸選択的化合物(化合物1848)の完全投与量応答データの例である。化合物は、以下の投与量で3日間、C57BLマウス体内で皮下注射b.i.d.により投与した:0(ビヒクル)、5、15、45、135、405nmol/kg(n=1投与量グループあたり6)。結果は、1kgあたり5〜405nmolの投与量範囲内で[Gly2]GLP−2が小腸、結腸及び胃の中で投与量依存性の成長刺激を生み出し、一方化合物1848は小腸内で投与量依存性成長刺激を生み出したにすぎないということを実証した。値は、平均±SEMである。*:ビヒクルとの関係においてP<0.05。
【図6】例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)で治療されているマウスにおけるA)小腸対体重比(SI−BW)及びB)小腸の長さ(SI長)に対する化合物1846(1kgあたり5、15、45、135、405及び810nmol、s.c.(皮下)b.i.d;n=6/投与量グループ)の効果を示す。化合物1846を、毎日腹腔内に50mg/kgずつ、5−FU以前に3日間そして5−FUと共に4日間投与した。基準として、1つの動物グループに対し[Gly2]GLP−2(405nmol/kg)を与えた。ビヒクル(PBS)で又は5−FU単独での治療を受けた対照動物の結果も示されている。化合物1846は、C57BLマウスにおいて5−FU誘発型小腸萎縮(器官質量の減少及び短縮)を防止した。値は平均±SEMである。*5−FUとの関係においてP<0.05。
【図7】例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)で治療されているマウスにおけるA)小腸対体重比(SI−BW)及びB)小腸の長さ(SI長)に対する化合物1848(1kgあたり5、15、45、135、405及び810nmol、s.c.(皮下)b.i.d;n=6/投与量グループ)の効果を示す。化合物1848を、毎日腹腔内に50mg/kgずつ、5−FU以前に3日間そして5−FUと共に4日間投与した。基準として、1つの動物グループに対し[Gly2]GLP−2(405nmol/kg)を与えた。ビヒクル(PBS)で又は5−FU単独での治療を受けた対照動物の結果も示されている。化合物1848は、C57BLマウスにおいて5−FU誘発型小腸萎縮(器官質量の減少及び短縮)を防止し、高い投与量の化合物1848は[Gly2]GLP−2よりもさらに効果的であった。値は平均±SEMである。*5−FUとの関係においてP<0.05。#[Gly2]GLP−2との関係においてP<0.05。
【図8】例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)で治療されているマウスにおけるA)小腸対体重比(SI−BW)及びB)小腸の長さ(SI長)に対する化合物1855(1kgあたり5、15、45、135、405及び810nmol、s.c.(皮下)b.i.d;n=6/投与量グループ)の効果を示す。化合物1855を、毎日腹腔内に50mg/kgずつ、5−FU以前に3日間そして5−FUと共に4日間投与した。基準として、1つの動物グループに対し[Gly2]GLP−2(405nmol/kg)を与えた。ビヒクル(PBS)で又は5−FU単独での治療を受けた対照動物の結果も示されている。化合物1855は、C57BLマウスにおいて5−FU誘発型小腸萎縮(器官質量の減少及び短縮)を防止し、最高の投与量の化合物1855は等モル投与量の[Gly2]GLP−2よりもさらに効果的であった。値は平均±SEMである。*5−FUとの関係においてP<0.05。#[Gly2]GLP−2との関係においてP<0.05。
【図9】例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)で治療されているマウスにおけるA)小腸対体重比(SI−BW)及びB)小腸の長さ(SI長)に対する化合物1857(1kgあたり5、15、45、135及び405nmol、s.c.(皮下)b.i.d;n=6/投与量グループ)の効果を示す。化合物1857を、毎日腹腔内に50mg/kgずつ、5−FU以前に3日間そして5−FUと共に4日間投与した。基準として、1つの動物グループに対し[Gly2]GLP−2(405nmol/kg)を与えた。ビヒクル(PBS)で又は5−FU単独での治療を受けた対照動物の結果も示されている。化合物1857は、C57BLマウスにおいて5−FU誘発型小腸萎縮(器官質量の減少及び短縮)を防止し、最高の投与量の化合物1857は高投与量の[Gly2]GLP−2よりもさらに効果的であった。値は平均±SEMである。*5−FUとの関係においてP<0.05。#[Gly2]GLP−2との関係においてP<0.05。
【0251】
【図10】例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)で治療されている雄のSpague Dawleyラットにおける化合物1846(16、80、及び400nmol/kg/日;s.c.n=6/投与量グループ)の効果を示す。化合物1846を、5−FU(毎日、i.p.(腹腔内)75mg/kg)以前に3日間そして5−FUと共に4日間投与した。結果を、ビヒクル(塩水)又は5−FU単独で治療した対照動物における応答と比較した。塩水及び5−FU対照も同様に示されている。化合物1846は、ラットにおける5−FU誘発型小腸萎縮(小腸質量の減少及び腸の短縮)を防止した。値は平均±SEMである。*5−FU単独との関係においてP<0.05。
【図11】この例は、細胞増殖抑制剤5−フルオロウラシル(5−FU)での治療により誘発された下痢に対する化合物1846の治療的効果を例示している。ラットを4日間一日一回(1日目〜4日目)75mg/kgの5−FUで治療した:(n=ラット40匹)。動物の半数が、5−FUでの4日間の治療の直前3日間(−3日目〜−1日目)及びこの治療中(0日目〜3日目)、化合物1846(一日一回s.c.(皮下)400nmol/kg)での付加的な治療を受けた。ラットを、一日2回(朝夕)観察して、動物が下痢をしているか否かを判定し、以下の尺度に従って下痢の重症度を評定した:すなわち、(0)下痢無し、(1)軽度−肛門のまわりに糞染色;(2)中度−後肢と尾部に糞染色;そして(3)重度−前肢及び腹部に糞染色。5日目に、5−FUを単独で受けたSpragne Dawleyラットの約70%が下痢を発生した(図11A)のに対し、化合物1846で同時治療されたラットのうち下痢を発生したのは30%にすぎなかった(図11B)。これらの結果は、化合物1846が小腸の障害ひいては5−FUでの細胞増殖抑制治療中の下痢の発生を効果的に予防することを示している。
【図12】この例は、空腸(すなわち小腸の中央区分)内の上皮クリプト・ビラス高さ(図12A)及び筋肉厚み(図12B)に対する化合物1846の効果を例示している。Spragne Dawleyラットを5日間化合物1846(一日一回0.65、3.41又は6.2mg/kg)で静脈内治療した(n=1投与量グループあたり6)。次に動物を屠殺し、幽門括約筋から25cm離れたところで小腸生検材料(1cm)を収集した。生検材料を固定し、パラフィン内に包埋させ、切片化し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。染色した切片を顕微鏡検査し、クリプト深さ、ビラス高さ、クリプト−ビラス長及び筋層厚みを測定した。例示されている通り、化合物1846は、空腸からの腸上皮内のクリプト−ビラス長の投与量依存性増加を生み出したが、空腸の筋厚みに対してはいかなる効果も有していなかった。これらの結果は、化合物1846がまず、小上皮成長の刺激を通して小腸内でその増殖作用を及ぼすことを示唆している。値は平均±SEMである。*ビヒクル対照(0mg/kg/日)との関係においてP<0.05。
【図13】この例は、インドメタシンにより誘発された小腸潰瘍に対する化合物1848の効果を例示している。雄のSpragne Dawleyラットをビヒクル(塩水:グループ1)又はインドメタシン(2日間一日一回s.c.7mg/kg;グループ2〜7)で治療した。インドメタシンは単独で(グループ2)、又はプレドニゾロン(10mg/kg、s.c.;グループ3)と組合せて、又は一日一回s.c.で8、40又は200nmol/kgの化合物1848と組合せて(グループ4〜6)投与された。最後に1つのラットグループを、プレドニゾロン(10mg/kgs.c.)及び化合物1848(200nmol/kg、s.c.一日一回)の組合せ治療で治療した(グループ7)。化合物1848での治療は、2日間のインドメタシン治療の4日前に開始し、このインドメタシン治療中続行した。3日目にラットを屠殺し、剖検の後、小腸を穏やかに10%のホルマリンでフラッシングし、5分間ホルマリンで満たし、その後、腸を腸間膜反対側縁に沿って切り開き、ポリプロピレン平板上に吊るした。残っている腸内容物を一対のピンセットで入念に除去した。さらに24時間室温で固定させた後、組織をMilli−Q水で洗い流し、1%の酢酸中の0.5%溶液(Bie & Berntsen)として調製されたAlcian Green 3BX(Chroma)で20分間表面染色した。Milli−Q水での余剰の染色溶液の除去の後、組織調製物を70%のアルコールに移送し、低倍率(7倍)の立体顕微鏡を用いて分析した。幽門から出発して、小腸を走査し、全ての潰瘍の形状(円形対線形)及びサイズ(円形潰瘍:直径、線形潰瘍:長さ×幅)を標準定規(分解能:0.5mm)を用いて測定した。潰瘍は、上皮表面が欠如した部域として定義された。治ゆ中の潰瘍においては、たとえビラス(ビラス)構造がより大きな部域内でなおも欠如していた場合でも、なおも上皮表面が欠けていた部域のみが潰瘍とみなされた。全ての分析は、盲検によって実施された。図13に例示されている通り、インドメタシンは、小腸潰瘍の強い誘発をひき起こした(合計小腸潰瘍形成=333±21mm2)。プレドニゾロンでの治療は、約29%だけ潰瘍形成度の有意な減少をひき起こした。化合物1848での治療は、投与量依存的にインドメタシン誘発型潰瘍形成を予防し、最高の投与量では、合計潰瘍形成はほぼ50%削減された(178±17mm2)。化合物1846に対するこの最大限の応答は、プレドニゾロンの効果よりも大きく、高投与量の化合物1848と組合わせたプレドニゾロンの添加は、いかなる付加的効果も生み出さなかった。これらの結果は、化合物1848が小腸内のインドメタシン誘発型潰瘍形成を効果的に予防することを示している。値は平均±SEMである。*インドメタシンに対してP<0.05(グループ2)。#プレドニゾロンに対してP<0.05(グループ3)。
【0252】
【図14】この例は、小腸内のインドメタシン誘発型炎症を有するラットにおけるTNF−アルファの小腸含有量に対する化合物1848の効果を例示している。雄のSpragne Dawleyラットを、ビヒクル(塩水:グループ1)又はインドメタシン(2日間一日一回s.c.7mg/kg;グループ2〜7)で治療した。インドメタシンは単独で(グループ2)、又はプレドニゾロン(10mg/kg、s.c.;グループ3)と組合せて、又は一日一回s.c.で8、40又は200nmol/kgの化合物1848と組合わせて(グループ4〜6)投与された。最後に1つのラットグループを、プレドニゾロン(10mg/kg、s.c.)及び化合物1848(200nmol/kg、s.c.一日一回)の組合せ治療で治療した(グループ7)。化合物1848での治療は、2日間のインドメタシン治療の4日前に開始し、このインドメタシン治療中続行した。3日前にラットを屠殺し、剖検の後に小腸を、1)十二指腸及び近位空腸、2)中位及び遠位空腸及び3)回腸に対応する等しい長さの3つのセグメントに解裂した。標本を液体N2中で瞬間凍結させ、分析まで−80℃で貯蔵した。小腸セグメントからの細胞タンパク質の均質化及び抽出を以下の手順に従って実施した:組織セグメントを秤量し、組織1グラムあたり1.5mlの体積の氷冷(4℃)抽出緩衝液、0.05%のアジ化ナトリウム(Fluka)、1%のトゥイーン−80(Fluka)、2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF、Fluka)及び各1mg/mlずつのプロチアーゼ阻害物質アプロチニン、ロイペプチン及びペプスタチンA(Roche Diagnostics)を伴う10mMのトリス−HCL(Sigma)及び1mMのEDTA(J.T.Baker)(pH7.6))を加えた。組織をハサミを用いて小さな見本に切断し、30秒間氷上で間欠的に冷却しながら9500rpmで20秒間(IKA Ultra Turrax T25ホモジナイザー、Janke & Kunkel)3回均質化した。4℃で30分間20.000xgでホモジネートを遠心分離し、上清を収集し、TNF−αについての分析まで-20℃で保管した。メーカーの使用説明書(ラット腫瘍壊死因子α超高感度ELISAキット、Biosource International Inc.)に従って市販のELISAキットを用いて、TNF−αについて小腸タンパク質抽出物を分析した。検定の検出限界は0.7pg/mlであった。市販の検定(DCタンパク質検定、Bio-Rad Laborotories Ltd.)を用いて合計タンパク質含有量についてタンパク質抽出物を分析した。合計タンパク質との関係において、TNF−αの小腸組織レベルを表現した。化合物1848は、炎症性サイトカインTNF−αの小腸組織レベルを著しく低下させ、この効果は近位セグメント(小腸の最初の3分の1)において最も顕著であった。化合物1848は、近位及び中位セグメント(小腸の2番目の3分の1)においてプレドニゾロンよりもさらに効果的であった。興味深いことに、化合物1848は、プレトニゾンよりもさらに効果的に小腸内での炎症を抑制し、プレドニゾンは化合物1848と組合せて投与された場合にいかなる付加的効果も有していなかった。これらの結果は、化合物1848が小腸に影響を及ぼす疾病プロセスに対し顕著な改炎症性潜在能力を有することを示唆している。値は平均±SEMである。*:インドメタシンに対してP<0.05(グループ2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−Z1−His−X2−X3−Gly−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−Ala−X19−X20−X21−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2
という一般構造式Iにより表わされるグルカゴン様ペプチド(GLP−2)アナログにおいて、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X2はGly、Ala又はSarであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X6はPhe又はProであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X9はGlu又はAspであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X12はThr又はLysであり、
− X13はIle、Glu又はGlnであり、
− X14はLeu、Met又はNleであり、
− X15はAsp又はGluであり、
− X16はAsn又はAlaであり、
− X17はLeu又はGluであり、
− X18はAla又はAibであり、
− X19はAla又はThrであり、
− X20はArg又はLysであり、
− X21はAsp又はIleであり、
− X24はAsn、Ala又はGluであり、
− X28はGln、Ala又はAsnであり、
− X31はPro、Ileであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAsp、Asnであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含む、
GLP−2アナログ、又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項2】
1−Z1−His−Gly−X3−Gly−X5−Phe−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−Ala−X19−Arg−Asp−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2という一般構造式IIにより表わされ、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X9はGlu又はAspであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X12はThr又はLysであり、
− X13はIle、Glu又はGlnであり、
− X14はLeu、Met又はNleであり、
− X15はAsp又はGluであり、
− X16はAsn又はAlaであり、
− X17はLeu又はGluであり、
− X19はAla又はThrであり、
− X20はArg又はLysであり、
− X24はAsn又はAlaであり、
− X28はGln、Ala又はAsnであり、
− X31はPro、Ileであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAspであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含む、請求項1に記載のGLP−2アナログ、又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項3】
1−Z1−His−Gly−X3−Gly−X5−Phe−X7−X8−Glu−X10−X11−Thr−Ile−Leu−Asp−X16−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−Ile−X24−Trp−Leu−Ile−X28−Thr−Lys−X31−X32−X33−Z2−R2
という一般構造式IIIにより表わされ、式中、
− R1は水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり、
− X3はGlu又はAspであり、
− X5はSer又はThrであり、
− X7はSer又はThrであり、
− X8はAsp又はSerであり、
− X10はMet、Leu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸であり、
− X11はAsn、Ala、Lys又はSerであり、
− X24はAsn又はAlaであり、
− X28はGln又はAlaであり、
− X31はProであるか又は欠失しており、
− X32はThrであるか、又は欠失しており、
− X33はAspであるか又は欠失しており、
− R2はNH2又はOHであり、
− Z1及びZ2は、独立して、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met又はOrnから成る群から選択された3〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるか又は不在であり、
− X8がSerであること及び/又はX16がAlaであること及び/又はX24がAlaであること及び/又はX28がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含む、
請求項1又は2に記載のGLP−2アナログ、又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項4】
野生型GLP−2(1−33)に対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有し、インビボでの腸質量の増加をひき起こすという生物活性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項5】
位置X8、X16、X24及び/又はX28での2つ以上の置換及び/又は位置X3、X5、X7、X10及び/又はX11での1又は複数の置換と組合わされた1又は複数の前記置換を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項6】
位置X10での前記置換がLeu、Nle又は酸化的に安定したMet交換アミノ酸例えばMet(O)又はMet(O)2である、請求項5に記載のGLP−2アナログ。
【請求項7】
位置X11での前記置換がAla、Ser又はLysである、請求項5に記載のGLP−2アナログ。
【請求項8】
Ser8、Ala16;
Ser8、Ala24;
Ser8、Ala28;
Ala16、Ala24;
Ala16、Ala28;
Ala24、Ala28;
Ser8、Ala16、Ala24;
Ser8、Ala16、Ala28;
Ser8、Ala24、Ala28;
Ala16、Ala24、Ala28;
Ser8、Ala16、Ala24、Ala28;
という置換群のうちの1又は複数のものを含む、請求項4に記載のGLP−2アナログ。
【請求項9】
Glu3、Leu10、Ala11、24;
Glu3、Thr5、Leu10、Ser11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Ser8、11、Leu10、Ala16、24、28;
Glu3、Leu10、Ser11、Ala16、24、28;
Glu3、Leu10、Lys11、Ala16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Thr5、Leu10、Ala11、16、24、28、Ile21;
Glu3、Thr5、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Ser8、Leu10、Ala11、16、24、28;
Glu3、Leu10、Ala11、16、24、28;
Thr7、Leu10、Ala11、24;
Thr7、Leu10、Lys11、Ala24;
Thr7、Leu10、Ser11、Ala24;
Thr7、Leu10、Ser8、11、Ala24;
Thr7、Ser8、Leu10、Ala11、24;
Thr7、Ser8、Leu10、Lys11、Ala24;
Ser8、Leu10、Ala11、24;
Leu10、Ala24;
Leu10、Ala11、Ala24;
Leu10、Ala11、24、28;
Leu10、Ala11、16、24、28;
Leu10、Lys11、Ala24;
Leu10、Ser11、Ala24;
Leu10、Ser8、11、Ala24;
という置換群のうちの1又は複数のもの、又は位置X31〜X33のうちの1又は複数のものにおける欠失を含む、請求項5に記載のGLP−2アナログ。
【請求項10】
本書の表1中で開示されている請求項1〜9のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項11】
1834 H−HGDGSFTSELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1846 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6NH2
1847 H−HGEGSFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1848 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1849 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDK6−NH2
1855 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1857 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1858 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
である請求項10に記載のGLP−2アナログ。
【請求項12】
位置X3、X7、X16、X24、X28、X31、X32、及び/又はX33での2つ以上の置換を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項13】
X3がGluである、X7がSerである、X16がAlaである、X24がAlaである、X28がAlaである、X31がIleである、X32がThrである、及びX33がAspであることの中から選択された単数又は複数の置換を含み、位置X31、X32及びX33におけるアミノ酸残基が位置には欠失されている請求項12に記載のGLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項14】
1827 H−HGDGSFTDELSTILDNLAARDFIAWLIQTKKKKKKK−NH2
1844 H−HGEGTFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1845 H−HGEGTFSDELSTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1846 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1848 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1849 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1850 H−HGEGSFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1851 H−HGEGSFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1852 H−HGEGTFSSELKTILDALAARDFIAWLIATKITDKKKKKK−NH2
1855 H−HGEGSFSSELSTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1857 H−HGEGTFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1858 H−HGEGSFSSELATILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
1859 H−HGEGSFSDELKTILDALAARDFIAWLIATKITD−NH2
である請求項12又は13に記載のGLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項15】
位置X3、X8及び/又はX24における2つ以上の置換を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項16】
X3がAspである、X8がAspである及びX24がAlaであることの中から選択された1又は複数の置換を含み、位置X31、X32及びX33におけるアミノ酸残基が任意には欠失されている請求項15に記載のGLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項17】
1830 H−HGDGSFSDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1831 H−HGDGSFTDELSTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1835 H−HGDGSFSDELKTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1836 H−HGDGSFTDELKTILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1839 H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTKITDKKKKKK−NH2
1840 H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTKITD−NH2
1841 H−HGDGSFSDELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
1843 H−HGDGSFTDELATILDNLAARDFIAWLIQTK−NH2
である、請求項15又は16に記載のGLP−2アナログ又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。
【請求項18】
位置X3、X33、X10、X11、X16及び/又はX24のうちの1又は複数の位置に置換を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項19】
治療法に使用するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ。
【請求項20】
担体と混和した状態の、請求項1〜19のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ又はその塩又は誘導体を含む医薬組成物。
【請求項21】
GLP−2アナログが薬学的に許容される酸付加塩である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
注射又は輸液による投与に適した液体として処方されるか又は前記GLP−2アナログの徐放をひき起こすように処方されている、請求項20又は21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
胃及び腸関連の障害の治療及び/又は予防のための医薬の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログの使用。
【請求項24】
胃及び腸関連の障害が潰瘍、消化障害、吸収不良症候群、短腸症候群、盲管症候群、炎症性腸疾患、セリアック病(例えばグルテン性腸症又は小児脂肪便症から発生するもの)、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血スプルー、腸炎、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎、小腸損傷又は短腸症候群である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
胃及び腸関連障害が放射線腸炎、感染性又は感染後腸炎又は毒性その他の化学療法薬に起因する小腸損傷である、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
化学療法又は放射線治療の副作用の治療及び/又は予防のための医薬の製造のための請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログの使用。
【請求項27】
化学療法の副作用が下痢、腹部疝痛、嘔吐又は化学療法の結果としての腸上皮の構造的及び機能的損傷である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
新生児、骨粗しょう症又はDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)媒介型身体条件の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログの使用。
【請求項29】
栄養失調症が関与する身体条件の治療及び/又は予防のための医薬の製造のための請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログの使用。
【請求項30】
栄養失調症が関与する身体条件が悪液質又は拒食症である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログをコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項32】
請求項31に記載の核酸配列をその発現を導くべく制御配列とともに含む発現ベクター。
【請求項33】
請求項32に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項34】
GLP−2アナログを発現させるのに適した条件下で請求項22に記載の宿主細胞を培養する段階及びかくして生産されたGLP−2アナログの精製する段階を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログの生産方法。
【請求項35】
治療に使用するための、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞。
【請求項36】
胃及び腸関連の障害の治療及び/又は予防又は化学療法又は放射線治療の副作用の治療及び/又は予防、又は新生児、骨粗しょう症又はDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)媒介型身体条件の治療のための医薬の製造のための、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞の使用。
【請求項37】
有効量の請求項1〜17のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞を有効量投与することによる、それを必要とする患者の体内で胃及び腸関連の障害を治療する方法。
【請求項38】
胃及び腸関連の障害が潰瘍、消化障害、吸収不良症候群、短腸症候群、盲管症候群、炎症性腸疾患、セリアック病(例えばグルテン性腸症又は小児脂肪便症から発生するもの)、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血スプルー、腸炎、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎、小腸損傷又は短腸症候群である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
胃及び腸関連障害が放射線腸炎、感染性又は感染後腸炎又は毒性その他の化学療法薬に起因する小腸損傷である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞を有効量投与する段階を含む、それを必要とする患者に対する化学療法又は放射線療法の副作用を治療又は予防する方法。
【請求項41】
化学療法の副作用が下痢、腹部疝痛、嘔吐又は化学療法の結果としての腸上皮の構造的及び機能的損傷である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞を有効量投与する段階を含む、それを必要とする患者の体内での新生児障害、肥満、骨粗しょう症又はDPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)媒介型身体条件の治療方法。
【請求項43】
各々任意には薬学的に許容される担体とともに、癌化学療法薬、及び請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞を含む、治療用キット。
【請求項44】
薬学的に許容される担体とともに、癌化学療法薬及び請求項1〜18のいずれか1項に記載のGLP−2アナログ、請求項31に記載の核酸分子、請求項32に記載の発現ベクター又は請求項33に記載の宿主細胞を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−539713(P2008−539713A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509505(P2008−509505)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001633
【国際公開番号】WO2006/117565
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(502453045)ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】