説明

グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機及びこれを用いたイメージデータ送・受信方法

【課題】グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機及びこれを用いたイメージデータ送・受信方法を提供する。
【解決手段】グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTキーと、マイクから提供される使用者の音声を符号化するボコーダーと、多様なイメージデータを格納しているメモリと、前記ボコーダーから提供される音声データと前記メモリから読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成したり、受信したパケットからイメージを分離して出力を制御する制御部と、前記制御部から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部と、を備えてなることを特徴とする、グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末機を用いたイメージデータ送信及び受信方法に関し、より詳細には、プッシュ・ツー・トーク(Push To Talk)機能を持つグループ通信システムでイメージデータを音声データと共に転送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1対多の通信またはプッシュ・ツー・トーク(Push To Talk:以下、‘PTT’と略す。)通信として知られたグループ通信は、限定された時間にいわゆる排他的な送信特権を持つ一人の使用者にのみ他のネットワークメンバーへの情報送信を許すシステムのことをいう。通常、かかるグループ通信システムは、複数個の端末機(transceiver)を有し、これら端末機は同じチャンネル、すなわち同じ周波数にチューニングされる。送信特権を持っており、音声信号を送信しようとする任意の使用者が、図1に示すように端末機100の一側に構成されたPTTスイッチ110を押すと、端末機100は、当該の音声信号を転送する。このボタン110から手を離すと端末機は受信モードに入る。どの使用者が次に転送するかを決定するためのある方法が存在する場合には、任意の数の使用者が同一の周波数を共有する。
【0003】
図2は、グループ通信を行うためのシステムを概略的に示す構成図である。このシステムは、複数の無線電話機211,212,213と、第1及び第2基地局221,222と、インターネット、イントラネットまたはエクストラネットサーバー230と、を備える。第1無線電話機211と第2無線電話機212は、第1基地局221と無線通信し、第1基地局221は、インターネット、イントラネットまたはエクストラネットを介してインターネット、イントラネットまたはエクストラネットサーバ230と通信する。本システムには、事実上数多くのルータ及びその他装置がさらに備えられる。第3無線電話機213は、第2基地局222と無線通信し、第2基地局222は、インターネット、イントラネットまたはエクストラネットを介してインターネット、イントラネットまたはエクストラネットサーバ230と通信する。
【0004】
このようなシステムを使用する通信方式では、話し合おうとする使用者同士間に音声交換サービスだけを提供している。このため、例えば、ある団体の集いがある場合、集い場所を説明をするためには多くの苦労があった。PTTを用いて正確な位置を言葉で説明する際に、長時間にわたって数回も説明しなければならないことが多い。そこで、集い場所の位置を表す略図を転送する場合もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、略図を転送するに際して、イメージの生(RAW)データをそのまま送信すると、データ量が増加してしまう。また、グループ通信送話者がファイル形態のイメージを送信する場合には大きく問題にならないが、LCDに実時間で描かれるイメージを送信する場合には、送話者が描画していくにつれて変化される箇所を実時間で特定装置を用いてチェックしなければならないが、この特定デバイスは複雑な構造を有することがあった。その結果、ネットワークにかかる負荷が大きくなり、通話品質に悪影響を及ぼすという問題が生じてきた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためのもので、グループ通信を行いながら同一ネットワークメンバーに正確な位置情報が伝達されるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、グループ通信を行いながら同一ネットワークメンバーに発信者の意図をより容易に理解してもらうように音声とイメージを同時に送ることができる移動通信端末機及びこれを用いたデータ送・受信方法を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、ネットワークの負荷変動無しでグループ通信メンバー同士間に実時間でイメージを送・受信することができる移動通信端末機及びこれを用いたデータ送・受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法は、グループ通信を行うための一連の呼設定過程と、送信特権を獲得した通話者の端末機において、エンコーディングされた音声データにイメージデータを組み合わせてパケットを生成し、該パケットを基地局に転送する転送過程と、同一ネットワークメンバーの端末機において、前記基地局からパケットを受信し、該受信パケットからイメージデータを分離し、音声及びイメージを表示する受信過程と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記イメージデータは、送信特権を獲得した端末機使用者が入力したイメージ作成信号を、コードグラフィックデータに変換して形成されることを特徴とする。
【0011】
また、前記コードグラフィックデータは、スクリプト(script)形態で表現されたメタファイル(Meta file)であることを特徴とする。
【0012】
また、前記コードグラフィックデータは、実時間で変化されたイメージのデータのみを含むことを特徴とする。
【0013】
前記コードグラフィックデータは、あらかじめ定義された図形をオブジェクト(object)とし、各図形を表現するための動作をスクリプトデータで表現したことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る移動通信端末機は、グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTキーと、マイクから提供される使用者の音声を符号化するボコーダーと、多様なイメージデータを格納しているメモリと、前記ボコーダーから提供される音声データと前記メモリから読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成したり、受信したパケットからイメージを分離して出力を制御する制御部と、前記制御部から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部と、を備えてなることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
グループ通信を行うための一連の呼設定過程と、
送信特権を獲得した通話者の端末機において、エンコーディングされた音声データにイメージデータを組み合わせてパケットを生成し、該パケットを基地局に転送する転送過程と、
同一ネットワークメンバーの端末機において、前記基地局からパケットを受信し、該受信パケットからイメージデータを分離し、音声及びイメージを表示する受信過程と、
を備えてなる、移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目2)
前記イメージデータは、送信特権を獲得した端末機使用者が入力したイメージ作成信号を、コードグラフィックデータに変換することによって形成されることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目3)
前記コードグラフィックデータは、スクリプト(script)形態で表現されたメタファイル(Meta file)であることを特徴とする項目2に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目4)
前記コードグラフィックデータは、実時間で変化されたイメージのデータのみを含むことを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目5)
前記コードグラフィックデータは、あらかじめ定義された図形をオブジェクト(object)とし、各図形を表現するための動作をスクリプトデータで表現したことを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目6)
前記コードグラフィックデータは、グループ通信のためのPTTスイッチとナビゲーションキーの組み合わせにより形成されることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目7)
前記パケットのPTTヘッダーは、
PTTヘッダーの長さ値(PHL)と、
イメージデータの長さ値(IDL)と、
音声データの長さ値(VDL)と、
PTTヘッダーを含めたPTTデータ全体に対するCRC値と、
から構成されることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目8)
前記パケットの形成過程は、
パケットのヘッダー長さを記録する段階と、
イメージデータの長さを記録する段階と、
イメージデータを記録する段階と、
音声データの長さを記録する段階と、
音声データを記録する段階と、
CRCを記録する段階と、
を備えてなることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目9)
前記イメージデータは、設定された長さだけ分割されて記録されることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目10)
前記転送過程は、保安モード(secure mode)でなされることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目11)
前記受信過程は、
受信されたパケットのヘッダーを読む取る段階と、
パケットに含まれたイメージデータと音声データとを分離する段階と、
分離された音声データをスピーカーから出力する段階と、
イメージデータを液晶表示装置に表示する段階と、
を備えてなることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目12)
前記イメージデータを表示する段階は、イメージパケットの受信時ごとに実時間で行われることを特徴とする項目11に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目13)
分離されたイメージを臨時格納するための段階をさらに備えることを特徴とする項目11に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目14)
前記移動通信端末機は、符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDMA)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目15)
前記移動通信端末機は、GSM(Global System for Mobile communication)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
(項目16)
グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTキーと、
マイクから提供される使用者の音声を符号化するボコーダーと、
多様なイメージデータを格納しているメモリと、
前記ボコーダーから提供される音声データと前記メモリから読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成したり、受信したパケットからイメージを分離して出力を制御する制御部と、
前記制御部から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部と、
を備えてなることを特徴とする、グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。
(項目17)
前記移動通信端末機は、符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDM)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする項目16に記載のグループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。
(項目18)
前記移動通信端末機は、GSM(Global System for Mobile communication)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする項目16に記載のグループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるイメージ送・受信方法は、ネットワークの負荷変動無しでグループ通信メンバー同士間に実時間でイメージを送・受信し、音声と共にイメージを転送できるため、同一ネットワークのメンバーに正確な位置情報を伝達できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面に基づき、本発明による移動通信端末機及びこれを用いたイメージデータ送・受信方法について詳細に説明する。
【0018】
図3は、本発明による移動通信端末機を用いた、グループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法の手続を示す流れ図である。本発明による移動通信端末機を用いたデータ通信方法は、大きく、グループ通信を行うための呼設定過程と、送信特権を持っている通話者の端末機において、エンコーディングされた音声データにイメージデータを組み合わせてパケットを生成し、基地局に転送する過程と、同一のネットワークメンバーの端末機において、基地局からパケットを受信し、パケットに含まれたイメージデータを分離して音声出力と共にイメージを表示する受信過程と、からなる。
【0019】
まず、所定のグループネットワークに属する通信メンバー同士間のグループ通信を行うための一連の基本呼設定を経てグループ通信がなされる(ステップS1)。
【0020】
このときに、送信権を獲得した端末機の使用者が、イメージ転送のために設定された所定のキーを押すと(ステップS2)、入力信号に応じてコードグラフィックデータを生成する。通常、大部分の移動通信端末機にはタッチパッドが含まれており、大部分の使用者は、そのタッチパッドを用いて詳細な絵を描く代わりに簡略な絵を描くのを好むだろう。使用者がグループ通信において集い場所の位置を知らせる用途の略図や簡単な絵を希望する場合、あらかじめ定義された図形を組み合わせて描くことができる。あらかじめ定義された図形をオブジェクト(object)とし、各図形を表現するための動作についてもあらかじめ定義しておく。
【0021】
下記の(表1)は、使用されるオブジェクトの種類であり、(表2)は、使用される動作に対する定義を示す例である。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

使用者は、図4に示すように、PTTスイッチ110とナビゲーションキーパッド120を組み合わせて図形を描く。図形を描き始めるに当たり、ナビゲーションキー120を用いて描きたい位置にカーソルを移す。PTTスイッチ110を押しながらナビゲーションキー120を反復的に押し、所望の図形を描く。これにより図形が完成すると、PTTスイッチ110から手を離すことで動作を完了する。
【0024】
生成されるグラフィックデータは、生データがそのまま表現されるのではなく、メタファイル(meta file)の形態で表現される。例えば、四角形を表現するときに、DRAW(RECTANGLE、START_X、START_Y、WIDTH、HEIGHT、LINE_COLOR、FILL_COLOR)のようなスクリプト(script)形態で表現される。このときに、各オブジェクトの属性についても、下記の(表3)のようにあらかじめ定義される。
【0025】
【表3】

このように、スクリプト形態で表現されると、格納すべきデータ量を大幅に減らすことができる以外に、実時間で描かれるイメージに対しても変わった箇所のみを表示することで済む。また、変わった箇所を確認する部分も容易に具現されることができる。
【0026】
図5a及び図5bは、キーパッドを用いて描画している例を示す図である。ナビゲーションキーとキーパッドを用いてカーソルを移動させて図形を描く。ここで、図5bには四角形が含まれている点が図5aと違っている。すなわち、図5bには四角形が含まれている。この相違点が、生成されるコードグラフィックデータとなる(ステップS3)。
【0027】
ステップS2でイメージ転送キーが押されなかったものと判断された場合には、音声データのみを符号化する(ステップS4)。
【0028】
転送されるイメージがある場合には、符号化した音声データとイメージデータを組み合わせ(ステップS5)、パケットを生成する(ステップS6)。仮に、イメージがない場合には、符号化した音声データを用いてパケットを生成する(ステップS6)。その後、無線送・受信部を用いてグループ通信メンバーたちの端末機に、形成されたパケットを転送する(ステップS7)。
【0029】
該グループ通信ネットワークに属した他のメンバーたちの端末機では、パケットを受信し(ステップR1)、受信パケットにイメージデータが含まれているか否か把握する(ステップR2)。
【0030】
ステップR2でイメージが含まれずに音声データのみからなるパケットを受信したものと判断された場合、音声データを変換しスピーカーから可聴音として出力する(ステップR6)。
【0031】
一方、ステップR2でイメージが含まれたパケットを受信したものと判断された場合には、パケットからイメージデータを分離する(ステップR3)。分離されたイメージデータは、あらかじめ指定されたディスプレイフォーマットに変換される(ステップR4)。変換されたデータは、端末機の液晶表示装置(LCD)にディスプレイされる(ステップR5)。
【0032】
ここで、送信特権を獲得した端末機使用者が液晶表示装置に実時間で描く図形の変化された箇所だけが、コードグラフィックデータに変換されて転送され、したがって、転送されるデータ量が大幅に減少する。このときに、グループ通信ネットワークメンバーの端末機では、受信したパケットを分析し、以前に描かれた絵をアップデートして表示するようになる。
【0033】
このように、本発明では、イメージデータと音声データの2種類のデータを組み合わせて一つのまとめられたデータとして受信者に提供し、パケットの効率性を向上させている。すなわち、両データを音声データパケットとイメージデータパケットとに分けて送ると、各パケットにRTP、UDP、IPヘッダーを付けなければならず、オーバーヘッドが増加することにつながるため、非効率的である。
【0034】
図6は、本発明によるデータ通信方法を実現するためのパケットの構成を示す例示図である。同図において、パケットは、IPヘッダー310と、UDPヘッダー320と、RTPヘッダー330と、PTTデータ340とから構成される。PTTデータ340は、PTTヘッダー350、イメージデータ360及び音声データ370から構成される。一方、PTTヘッダー350は、PTTヘッダーの長さ値(PHL)351、イメージデータの長さ値(IDL)352、音声データの長さ値(VDL)353、及びPTTヘッダーを含めたPTTデータ全体に対するCRC値(CRC)354からなる。PTTヘッダーの長さ値(PHL)は、固定された値である。
【0035】
図7は、本発明によるデータ通信方法を実現するための移動通信端末機の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0036】
図7に示すように、移動通信端末機は、マイク410から提供される使用者の音声を符号化するボコーダー420と、グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTスイッチ430と、イメージデータを格納しているメモリ440と、ボコーダー420から提供される音声データとメモリ450から読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成する制御部440と、制御部440から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部460と、制御部440から提供される音声データを可聴音として出力するスピーカー470と、制御部440から提供されるイメージデータを使用者が認識できるように表示する液晶表示装置(LCD)480と、を備えてなる。
【0037】
本発明では黒/白のイメージデータを例に挙げて説明しているが、ベアラー(bearer)が良好であると、より多種の色を含むイメージを送信することができる。イメージデータは、設定された長さだけ分割されてパケットデータに記録されることができ、受信側においてバッファーに臨時格納する方法を取ることができる。
【0038】
図8は、呼設定がなされた状態で音声データにイメージデータを組み合わせて転送する手続を示す流れ図である。
【0039】
図8に示すように、まず、一連の基本呼設定過程を経てグループ通信を行う(ステップS11)。
【0040】
グループ通信中に、イメージデータを転送するための制御キーまたはイメージデータを転送する制御命令信号が検出されるか否か判断する(ステップS12)。
【0041】
イメージデータ転送を要求する制御命令が発生し、かつ、転送するイメージがある場合、作成されたイメージデータを読み取る(ステップS13)。イメージデータに含まれている情報からイメージデータの大きさ情報を抽出し、転送するパケットのPTTヘッダーのうち、イメージデータ長さ情報領域(IDL:Image Data Length)にイメージデータ長さ情報を記録する(ステップS14)。
【0042】
イメージデータを、設定された長さだけ分割してパケットのデータ領域に記録する。このときに、イメージは、黒/白のイメージデータとして格納されても良く、場合によってはカラーイメージの形態で格納されても良い(ステップS15)。
【0043】
一方、ステップS12でイメージ転送のための制御命令の入力がない場合には、ステップS16に進行し、イメージデータ長さ情報領域(IDL:Image Data Length)を“0”として格納する。仮に、イメージ転送中であるか、イメージデータが全部送信され、それ以上イメージデータがない場合にも同様に、イメージデータ長さ情報領域(IDL)を“0”として格納する。これは、受信側において受信パケットからイメージを分離するときに容易に使用されることができる。
【0044】
その後、音声データの有無を確認する(ステップS17)。すなわち、PTT送話者が途中に話を止めると音声データがない。このように、移動通信端末機は、PTT送話者が送信特権を持っている状態でイメージ転送を行う間に音声データの存在有無を確認するのである。
【0045】
一方、ステップS17で転送する音声データがあるものと確認された場合には、パケットのPTTヘッダーのうち音声データ長さ情報領域(VDL:Voice Data Length)に、エンコーディングされた音声データの長さ情報を格納する(ステップS18)。
【0046】
イメージデータが格納された領域を除外したPTTデータ領域に、エンコーディングされた音声データを格納することによって、イメージデータと音声データが組み合わせられたパケットデータ領域を形成する(ステップS19)。
【0047】
仮に、PTT送話者が話を止め、転送する音声データがない場合には、PTTヘッダーの音声データ長さ情報(VDL)を“0”とする(ステップS20)。
【0048】
その後、PTTヘッダーの残りの領域であるCRC領域に、PTTヘッダーを含めたPTTデータ全体に対するCRC値を格納することで、転送されるパケットの生成を完結する(ステップS21)。
【0049】
音声データ長さ情報とイメージデータ長さ情報の両方とも“0”であるか確認し(ステップS22)、音声データ及びイメージデータの両方ともないと、転送するデータがない場合であるので、パケットを廃棄する(ステップS24)。一方、音声データまたはイメージデータがある場合には、グループ内のメンバーたちに音声とイメージが組み合わせられたパケットを転送する(ステップS23)。
【0050】
PTT通信の特性によってグループネットワーク外部へデータが転送されるのを防ぐために保安モード(secure mode)を設定することもできる。このときの保安モードもまた、グループ内の特定メンバーについてのみ遮断されたり許されたりするように個別に制御することも可能である。
【0051】
図9は、グループネットワークの各メンバーたちの移動通信端末機において、受信したパケットを処理する受信手続を示す流れ図である。
【0052】
送信特権を持っているグループ内のあるメンバーからPTT通信によるパケットを受信した各メンバーの端末機では、受信パケットのヘッダーを読む(ステップR11)。上にも説明したように、PTTヘッダーには、PTTヘッダーの長さ値(PHL)、イメージデータの長さ値(IDL)、音声データの長さ値(VDL)、及びCRC値が含まれている。受信されたパケットのヘッダーは3つの場合に分類される。例えば、イメージデータも音声データもある場合、イメージデータはあるが、音声データがない場合、及びイメージデータはないが、音声データがある場合に分けられる。しかしながら、イメージデータと音声データの両方ともない場合は発生しない。これは、図5でも説明したように、イメージデータ(IDL)も音声データ(VDL)もない場合(IDL=0&VDL=0)には、該当のパケットを廃棄するからである。
【0053】
続いて、まずイメージデータの長さ値(IDL)が“0”であるか確認する(ステップR12)。この確認結果、イメージデータ(IDL)がないと、音声データ(VDL)のみある場合なので、このときには音声データをスピーカーから可聴音の形態で出力する(ステップR16)。
【0054】
一方、ステップR12の確認結果、イメージデータの長さ値(IDL)が“0”でないと、これは、2通りの場合のうち一つとなる。すなわち、イメージデータ(IDL)と音声データ(VDL)の両方ともある場合であるか、あるいは、イメージデータ(IDL)はあるが、音声データ(VDL)がない場合に該当する。したがって、音声データ(VDL)があるか確認する(ステップR13)。すなわち、音声データの長さ値(VDL)が“0”であるか確認する。
【0055】
もし、音声データ及びイメージデータがあると、音声を出力すべきであり、よって、パケットに含まれたデータを分離する(ステップR14)。その後、音声データはスピーカーから可聴音の形態で出力する(ステップR15)。
【0056】
一方、音声データ(VDL)はなく、イメージデータ(IDL)のみ含まれたパケットであると、イメージデータをメモリに格納する(ステップR17)。上にも言及したように、イメージを、設定された長さだけ分割し転送して表示する(ステップR18)。このときに、イメージは、メモリに臨時格納しておいてから一度に表示することが好ましい。
【0057】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【0058】
グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機及びこれを用いたイメージデータ送・受信方法を提供する。
【0059】
グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTキーと、マイクから提供される使用者の音声を符号化するボコーダーと、多様なイメージデータを格納しているメモリと、前記ボコーダーから提供される音声データと前記メモリから読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成したり、受信したパケットからイメージを分離して出力を制御する制御部と、前記制御部から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部と、を備えてなることを特徴とする、グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】グループ通信に一般に使用されるPTT端末機を示す例示図である。
【図2】グループ通信を行うためのシステムを概略的に示す構成図である。
【図3】本発明によるイメージ送・受信方法の手続を示す流れ図である。
【図4】本発明により図形を表現するときに使用されるPTTスイッチとナビゲーションキーパッドを示す図である。
【図5A】キーパッドを用いた描画例を示す図である。
【図5B】キーパッドを用いた描画例を示す図である。
【図6】本発明によるデータ通信方法を実現するためのパケットの構成を示す例示図である。
【図7】本発明によるデータ通信方法を実現するための移動通信端末機の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】呼設定過程がなされた状態で音声データにイメージデータを組み合わせて転送する過程を示す流れ図である。
【図9】グループネットワークの各メンバーたちの移動通信端末機において受信したパケットを処理する過程を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ通信を行うための一連の呼設定過程と、
送信特権を獲得した通話者の端末機において、エンコーディングされた音声データにイメージデータを組み合わせてパケットを生成し、該パケットを基地局に転送する転送過程と、
同一ネットワークメンバーの端末機において、前記基地局からパケットを受信し、該受信パケットからイメージデータを分離し、音声及びイメージを表示する受信過程と、
を備えてなる、移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項2】
前記イメージデータは、送信特権を獲得した端末機使用者が入力したイメージ作成信号を、コードグラフィックデータに変換することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項3】
前記コードグラフィックデータは、スクリプト(script)形態で表現されたメタファイル(Meta file)であることを特徴とする請求項2に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項4】
前記コードグラフィックデータは、実時間で変化されたイメージのデータのみを含むことを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項5】
前記コードグラフィックデータは、あらかじめ定義された図形をオブジェクト(object)とし、各図形を表現するための動作をスクリプトデータで表現したことを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項6】
前記コードグラフィックデータは、グループ通信のためのPTTスイッチとナビゲーションキーの組み合わせにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項7】
前記パケットのPTTヘッダーは、
PTTヘッダーの長さ値(PHL)と、
イメージデータの長さ値(IDL)と、
音声データの長さ値(VDL)と、
PTTヘッダーを含めたPTTデータ全体に対するCRC値と、
から構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項8】
前記パケットの形成過程は、
パケットのヘッダー長さを記録する段階と、
イメージデータの長さを記録する段階と、
イメージデータを記録する段階と、
音声データの長さを記録する段階と、
音声データを記録する段階と、
CRCを記録する段階と、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項9】
前記イメージデータは、設定された長さだけ分割されて記録されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項10】
前記転送過程は、保安モード(secure mode)でなされることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項11】
前記受信過程は、
受信されたパケットのヘッダーを読む取る段階と、
パケットに含まれたイメージデータと音声データとを分離する段階と、
分離された音声データをスピーカーから出力する段階と、
イメージデータを液晶表示装置に表示する段階と、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項12】
前記イメージデータを表示する段階は、イメージパケットの受信時ごとに実時間で行われることを特徴とする請求項11に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項13】
分離されたイメージを臨時格納するための段階をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項14】
前記移動通信端末機は、符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDMA)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項15】
前記移動通信端末機は、GSM(Global System for Mobile communication)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機を用いたグループ通信ネットワークでのイメージデータ送・受信方法。
【請求項16】
グループ通信に参入する際に、送信特権を要請するためのPTTキーと、
マイクから提供される使用者の音声を符号化するボコーダーと、
多様なイメージデータを格納しているメモリと、
前記ボコーダーから提供される音声データと前記メモリから読み取ったイメージデータを組み合わせてパケットを生成したり、受信したパケットからイメージを分離して出力を制御する制御部と、
前記制御部から提供されるパケットデータをグループ通信管理センターに転送したり、グループ通信管理センターからパケットデータを受信する送・受信部と、
を備えてなることを特徴とする、グループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。
【請求項17】
前記移動通信端末機は、符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDM)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする請求項16に記載のグループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。
【請求項18】
前記移動通信端末機は、GSM(Global System for Mobile communication)システムで動作可能な端末機であることを特徴とする請求項16に記載のグループ通信ネットワークでイメージデータ送・受信機能を持つ移動通信端末機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−109483(P2006−109483A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291796(P2005−291796)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】