説明

ケースモールド型コンデンサ

【課題】産業用、自動車用等のインバータ回路に使用されるケースモールド型コンデンサの最適設計と低価格化を図ることを目的とする。
【解決手段】機能が異なる第1/第2のコンデンサ1、2をバスバーで並列接続し、これらをケース10内に収容して樹脂モールドし、上記バスバーのうち少なくともN極電極側に接続されるバスバーを、第1のコンデンサ1の各N極電極に接続される第1のN極バスバー5と、第2のコンデンサ2の各N極電極に接続される第2のN極バスバー6に分離し、この第1のN極バスバー5と第2のN極バスバー6を上記ケース10内で締結した構成により、N極バスバーが不要に長尺化することがなくなり、バスバーの歩留まりを向上させて低コスト化、小型軽量化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に使用され、特に、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路の平滑用、フィルタ用、スナバ用に最適な金属化フィルムコンデンサをケース内に収容して樹脂モールドしたケースモールド型コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、あらゆる電気機器がインバータ回路で制御され、省エネルギー化、高効率化が進められている。中でも自動車業界においては、電気モータとエンジンで走行するハイブリッド車(以下、HEVと呼ぶ)が市場導入される等、地球環境に優しく、省エネルギー化、高効率化に関する技術の開発が活発化している。
【0003】
このようなHEV用の電気モータは使用電圧領域が数百ボルトと高いため、このような電気モータに関連して使用されるコンデンサとして、高耐電圧で低損失の電気特性を有する金属化フィルムコンデンサが注目されており、更に市場におけるメンテナンスフリー化の要望からも極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が目立っている。
【0004】
そして、このようにHEV用として用いられる金属化フィルムコンデンサには、使用電圧の高耐電圧化、大電流化、大容量化等が強く要求されるため、バスバーによって並列接続した複数の金属化フィルムコンデンサをケース内に収納し、このケース内にモールド樹脂を注型したケースモールド型コンデンサが開発され、実用化されている。
【0005】
図5(a)、(b)はこの種の従来のケースモールド型コンデンサの構成を示した斜視図と樹脂モールド前の平面図であり、図5において、20は第1の金属化フィルムコンデンサ(以下、コンデンサと呼ぶ)、21は上記第1のコンデンサ20とは機能が異なる第2の金属化フィルムコンデンサ(以下、コンデンサと呼ぶ)を示し、このコンデンサ20、21は、ポリプロピレンからなる誘電体フィルムの片面または両面に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを一対とし、上記金属蒸着電極が誘電体フィルムを介して対向する状態で巻回し、両端面に亜鉛を溶射したメタリコン電極を形成することによってP極とN極の一対の取り出し電極を夫々設けて構成されたものである。
【0006】
22は第1のP極バスバー、22aはこの第1のP極バスバー22の一端に設けられた外部接続用のP極端子であり、この第1のP極バスバー22は上記第1のコンデンサ20を複数個密着して並べた状態で各コンデンサ20の一方の端面に形成されたP極電極と夫々接合され、また、P極端子22aはこのコンデンサ20の上方へ引き出され、後述するケース25から表出するようにしているものである。
【0007】
23は第2のP極バスバー、23aはこの第2のP極バスバー23の一端に設けられた外部接続用のP極端子であり、この第2のP極バスバー23は上記第2のコンデンサ21を複数個密着して並べた状態で各コンデンサ21の一方の端面に形成されたP極電極と夫々接合され、また、P極端子23aはこのコンデンサ21の上方へ引き出され、後述するケース25から表出するようにしているものである。
【0008】
24はN極バスバー、24aはこのN極バスバー24の一端に設けられた外部接続用のN極端子であり、このN極バスバー24は上記第1のコンデンサ20と第2のコンデンサ21を複数個密着して並べた状態で各コンデンサ20、21の他方の端面に形成されたN極電極と夫々接合され、また、N極端子24aはこのコンデンサ20、21の上方へ引き出され、後述するケース25から表出するようにしており、これにより、複数個のコンデンサ20、21が第1のP極バスバー22と第2のP極バスバー23とN極バスバー24により並列接続状態で連結されているものである。
【0009】
25は樹脂製のケース、26はこのケース25内に充填されたモールド樹脂であり、このモールド樹脂26は上記第1のP極バスバー22と第2のP極バスバー23とN極バスバー24により並列接続されて連結された複数個のコンデンサ20、21をケース25内に収納して樹脂モールドしたものである。
【0010】
このように構成された従来のケースモールド型コンデンサは、複数個のコンデンサ20、21をモールド樹脂26にてケース25内にモールドしたことにより、機械的強度、耐熱性、耐水性に優れた高信頼性のケースモールド型コンデンサを提供することができるというものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2004−146724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記従来のケースモールド型コンデンサでは、機能が異なる2種類のコンデンサ(例えば、第1のコンデンサ20としてインバータ回路の平滑用を、第2のコンデンサ21として同フィルタ用を等)を並列接続して1つのケース25内に収納して樹脂モールドする場合には、この第1のコンデンサ20と第2のコンデンサ21を1つのN極バスバー24で一体に接合することにより、コンデンサ20、21以外の電流を上記コンデンサ20、21の内部を通過させるようにしているものであるが、このような構成によりN極バスバー24が長尺化してしまい、結果としてバスバー24の歩留まりを悪化させてコストアップになるという課題があった。
【0013】
また、生産性の観点から、2種類のコンデンサ20、21を夫々同一方向(巻回軸を同一方向)に配置してメタリコン電極(半田付け面)を同じ方向に配置したり、2種類のコンデンサ20、21の金属化フィルムの幅寸法を略同じ寸法にしなければならないという制約を受けることになり、2種類のコンデンサ20、21の各機能に最適な性能、形状を選定することが困難になるという課題もあった。
【0014】
更に、2種類のコンデンサ20、21を一つのN極バスバー24で並列接続する構造上、同じ電流に対応することが要求されるために、一方のコンデンサでは過剰設計になるという課題も有しているものであった。
【0015】
本発明はこのような従来の課題を解決し、機能が異なる2種類のコンデンサを1つのケース内に収納して樹脂モールドする場合に、低コスト、小型軽量で効率の良い設計を行うことができるケースモールド型コンデンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、機能が異なる第1/第2の金属化フィルムコンデンサをバスバーで並列接続し、これらをケース内に収容して樹脂モールドしたケースモールド型コンデンサにおいて、上記バスバーのうち少なくともN極電極側に接続されるバスバーを、第1の金属化フィルムコンデンサの各N極電極に接続される第1のバスバーと、第2の金属化フィルムコンデンサの各N極電極に接続される第2のバスバーに分離し、この第1のバスバーと第2のバスバーを上記ケース内で締結した構成にしたものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によるケースモールド型コンデンサは、N極電極側に接続されるバスバーを分割構造にした構成により、N極バスバーが不要に長尺化することがなくなり、歩留まりを向上させて低コスト化を図ることができるという効果が得られるものである。
【0018】
また、2種類のコンデンサの配置方向を同一にする必要が無くなることから、2種類のコンデンサの金属化フィルムの幅寸法を略同寸法にしなければならないという制約を受けることが無くなるため、2種類のコンデンサの各機能に最適な性能、形状を選定することが可能になるという効果も得られるものである。
【0019】
また、バスバー設計において、耐電流設計に対する過剰設計がなくなり、小型軽量化が可能になるという効果も得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2、4、5に記載の発明について説明する。
【0021】
図1(a)〜(c)は本発明の実施の形態1によるケースモールド型コンデンサの構成を示した斜視図、樹脂モールド前の平面図、N極バスバーの締結部近傍を示した要部斜視図であり、図1において、1は第1の金属化フィルムコンデンサ(以下、第1のコンデンサ1と呼び、本実施の形態においてはインバータ回路の平滑用コンデンサを用いた)、2は上記第1のコンデンサ1とは機能が異なる第2の金属化フィルムコンデンサ(以下、第2のコンデンサ2と呼び、本実施の形態においては同フィルタ用を用いた)を示し、この第1のコンデンサ1と第2のコンデンサ2は、ポリプロピレンからなる誘電体フィルムの片面または両面に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを一対とし、上記金属蒸着電極が誘電体フィルムを介して対向する状態で巻回し、両端面に亜鉛を溶射したメタリコン電極を形成することによってP極とN極の一対の取り出し電極を夫々設けて構成されたものである。
【0022】
3は第1のP極バスバー、3aはこの第1のP極バスバー3の一端に設けられた外部接続用のP極端子であり、この第1のP極バスバー3は上記第1のコンデンサ1を複数個(本実施の形態では3個であるが、本発明はこれに限定されるものではない)密着して並べた状態で各コンデンサ1の一方の端面に形成されたP極電極と夫々接合され、また、P極端子3aはこの第1のコンデンサ1の上方へ引き出され、後述するケース10から表出するようにしているものである。
【0023】
4は第2のP極バスバー、4aはこの第2のP極バスバー4の一端に設けられた外部接続用のP極端子であり、この第2のP極バスバー4は上記第2のコンデンサ2を複数個(本実施の形態では2個であるが、本発明はこれに限定されるものではない)密着して並べた状態で各コンデンサ2の一方の端面に形成されたP極電極と夫々接合され、また、P極端子4aはこの第2のコンデンサ2の上方へ引き出され、後述するケース10から表出するようにしているものである。
【0024】
5は第1のN極バスバー、5aはこの第1のN極バスバー5の一端に設けられた外部接続用のN極端子、5bは後述する第2のN極バスバー6と重なり合う部分の一部を曲げ起こすように折り曲げて設けた締結部であり、この第1のN極バスバー5は上記第1のコンデンサ1を複数個密着して並べた状態で各コンデンサ1の他方の端面に形成されたN極電極と夫々接合され、また、N極端子5aはこの第1のコンデンサ1の上方へ引き出され、後述するケース10から表出するようにしているものである。
【0025】
6は第2のN極バスバー、6aはこの第2のN極バスバー6の一端に設けられた外部接続用のN極端子、6bは上記第1のN極バスバー5に設けた締結部5bと重なり合う部分の一部を曲げ起こすように折り曲げて設けた締結部であり、この第2のN極バスバー6は上記第2のコンデンサ2を複数個密着して並べた状態で各コンデンサ2の他方の端面に形成されたN極電極と夫々接合され、また、N極端子6aはこの第2のコンデンサ2の上方へ引き出され、後述するケース10から表出するようにしているものである。
【0026】
7はボルト、8は端子台、9はこの端子台8内に嵌め込まれたナットであり、上記第1のN極バスバー5に設けられた締結部5bと第2のバスバー6に設けられた締結部6bとを重ね合わせた状態で、図中の矢印で示すように締結部5bの下部側に端子台8を配設し、夫々の締結部5b、6bを貫通するように設けられた孔の上部からボルト7を挿通し、端子台8内に嵌め込まれたナット9にボルト7を螺合することにより、第1のN極バスバー5と第2のN極バスバー6を機械的、かつ電気的に連結するようにしたものであり、これにより、複数個のコンデンサ1、2が第1のP極バスバー3、第2のP極バスバー4、第1のN極バスバー5、第2のN極バスバー6により並列接続状態で連結されているものである。
【0027】
10は樹脂製のケース、11はこのケース10内に充填されたモールド樹脂であり、このモールド樹脂11は上記第1のP極バスバー3、第2のP極バスバー4、第1のN極バスバー5、第2のN極バスバー6により並列接続されて連結された複数個のコンデンサ1、2をケース10内に収容して樹脂モールドしたものであり、上記端子台8の一部もこのモールド樹脂11によりモールドされて固定されるようにしているものである。
【0028】
このように構成された本実施の形態によるケースモールド型コンデンサは、第1のコンデンサ1と第2のコンデンサ2の各N極電極側に接続されるN極バスバーを分割構造にして夫々独立した構成にしたことにより、N極バスバーが不要に長尺化することがなくなるため、材料歩留まりを向上させて低コスト化を図ることができると共に、上記分割した2つのN極バスバー5、6の締結をケース10内で行うことができるため、ケース10が大型化することがないという格別の効果を奏するものである。
【0029】
また、N極バスバーを分割構造にして夫々独立した構成にしたことにより、機能が異なる2種類のコンデンサの配置方向を同一にする必要が無くなり、配置方向が夫々異なるようにすることができるようになるため、2種類のコンデンサの金属化フィルムの幅寸法を略同寸法にしなければならないという生産性の観点からの制約を受けることが無くなり、2種類のコンデンサの各機能に最適な性能、形状を選定することが可能になるという格別の効果も奏するものである。
【0030】
また、N極バスバーを分割構造にして夫々独立した構成にしたことにより、機能が異なる2種類のコンデンサを樹脂モールドした後でも、分割したN極バスバーどうしを未締結状態にすれば、個々のコンデンサの検査を行うことができるようになるという格別の効果も奏するものである。
【0031】
なお、本実施の形態においては、分割した2つのN極バスバー5、6の締結をボルト7とナット9を用いて行う例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、別の手段を用いて締結しても構わないものである。
【0032】
また、本実施の形態においては、第1のコンデンサ1としてインバータ回路の平滑用を用い、第2のコンデンサ2として同フィルタ用を用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の機能のコンデンサを用いたものであっても良い。更に、機能が異なる2種類のコンデンサに限定することなく、3種類以上であっても良い。
【0033】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0034】
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1を用いて説明したケースモールド型コンデンサの端子台ならびにケースの構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
【0035】
図2(a)、(b)は本発明の実施の形態2によるケースモールド型コンデンサの構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図と端子台位置決め後の要部斜視図であり、図2においては構成を分かり易くするために、第1のコンデンサならびに第2のN極バスバーを省略して図示したものである。
【0036】
図2において、12は端子台、12aはこの端子台12に設けられた係合部であり、この係合部12aには所定の間隔で2個の丸孔が設けられているものである。更に、図示はしないが、この端子台12にも上記実施の形態1で説明した端子台8と同様にナットが嵌め込まれているものである。13は樹脂製のケース、13aはこのケース13の内壁の一部に設けられた係合部であり、この係合部13aには所定の間隔で2本の円柱状のピンが設けられているものである。
【0037】
このように構成された本実施の形態によるケースモールド型コンデンサは、図2(b)に示すように、第1のN極バスバー5に設けられた締結部5bの下部側に上記端子台12を配設し、この状態でケース13に設けた係合部13aのピンを端子台12に設けた係合部12aの丸孔に挿入することにより、端子台12をケース13に位置決め固定するようにしたものであり、このような位置決め手段をケース13内に設けることができるためにケース13が大型化することがなく、端子台12の位置決めが容易になるという格別の効果を奏するものである。
【0038】
なお、この図2(b)に示すように、端子台12をケース13に位置決め固定した後に、第1のN極バスバー5の締結部5b上に図示しない第2のN極バスバー6の締結部6bを重ね合わせて配置し、ボルト7を介して締結することは上記図1を用いて説明した実施の形態1と同様である。
【0039】
また、図3(a)、(b)は本発明の実施の形態2によるケースモールド型コンデンサの他の構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図と端子台位置決め後の要部斜視図であり、図3においては構成を分かり易くするために、第1のコンデンサならびに第2のN極バスバーを省略して図示したものである。
【0040】
図3において、14は端子台、14aはこの端子台14に設けられた係合部であり、この係合部14aには切り欠きを有する小判形の孔が設けられているものである。15は樹脂製のケース、15aはこのケース15の内壁の一部に設けられた係合部であり、この係合部15aには小判形のピンが設けられているものである。
【0041】
このように構成された本実施の形態によるケースモールド型コンデンサは、図3(b)に示すように、第1のN極バスバー5に設けられた締結部5bの下部側に上記端子台14を配設し、この状態でケース15に設けた係合部15aの小判形のピンを端子台14に設けた係合部14aの小判形の孔に挿入することにより、端子台14をケース15に位置決め固定するようにしたものであり、このような位置決め手段をケース15内に設けることができるためにケース15が大型化することがなく、端子台14の位置決めが容易になり、かつ、係合部15aの小判形のピンの強度アップが図れるという格別の効果を奏するものである。
【0042】
また、この図3(b)に示すように、端子台14をケース15に位置決め固定した後に、第1のN極バスバー5の締結部5b上に図示しない第2のN極バスバー6の締結部6bを重ね合わせて配置し、ボルト7を介して締結することは上記図1を用いて説明した実施の形態1と同様である。
【0043】
このように構成された本実施の形態によるケースモールド型コンデンサは、端子台12(14)とケース13(15)に端子台12(14)を位置決め固定する位置決め固定手段を設けた構成により、第1のN極バスバー5ならびに第2のN極バスバー6に夫々設けられたN極端子5a、6aの位置精度を向上させることができるようになるという格別の効果を奏するものであり、端子台をケースに位置決め固定することができる形状、構造であれば、図2、図3に示した形状、構造の係合部に限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0045】
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1を用いて説明したケースモールド型コンデンサの端子台ならびに第1のN極バスバーの構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
【0046】
図4(a)、(b)は本発明の実施の形態3によるケースモールド型コンデンサの構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図と端子台位置決め後の要部斜視図であり、図4において、16は端子台、16aはこの端子台16の底面部に一対で設けた係合リブであり、この係合リブ16aは第1のN極バスバー5の締結部5bの下部に設けた切り欠き部分に嵌まり込んで位置決めされるように構成されたものであり、このように構成された端子台16は図4(b)に示すように、第1のN極バスバー5とこの第1のN極バスバー5に設けられた締結部5bに挟持されるようにして位置決め固定されるものである。
【0047】
このように本実施の形態によるケースモールド型コンデンサは、端子台16を第1のN極バスバー5に位置決め固定することができるようになり、しかも、ケース内に上記端子台16を配設することが可能なため、ケースが大型化することがなく、端子台16の位置決めが容易になるという格別の効果を奏するものである。
【0048】
なお、本実施の形態においては、端子台16の底面部に設けた一対の係合リブ16aを第1のN極バスバー5の切り欠き部分に嵌め込むことによって端子台16を第1のN極バスバー5に位置決め固定する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端子台16を第1のN極バスバー5に位置決め固定することができれば、どのような形状、構造であっても構わないものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によるケースモールド型コンデンサは、機能が異なる2種類のコンデンサの各機能に最適な性能・形状を選定することができ、かつ、安価に提供することができるという効果を有し、特に車載用のコンデンサ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)本発明の実施の形態1によるケースモールド型コンデンサの構成を示した斜視図、(b)同樹脂モールド前の平面図、(c)同N極バスバーの締結部近傍を示した要部斜視図
【図2】(a)本発明の実施の形態2によるケースモールド型コンデンサの構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図、(b)同端子台位置決め後の要部斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態2によるケースモールド型コンデンサの他の構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図、(b)同端子台位置決め後の要部斜視図
【図4】(a)本発明の実施の形態3によるケースモールド型コンデンサの構成を示した端子台位置決め前の要部斜視図、(b)同端子台位置決め後の要部斜視図
【図5】(a)従来のケースモールド型コンデンサの構成を示した斜視図、(b)同樹脂モールド前の平面図
【符号の説明】
【0051】
1 第1のコンデンサ
2 第2のコンデンサ
3 第1のP極バスバー
3a、4a P極端子
4 第2のP極バスバー
5 第1のN極バスバー
5a、6a N極端子
5b、6b 締結部
6 第2のN極バスバー
7 ボルト
8、12、14、16 端子台
9 ナット
10、13、15 ケース
11 モールド樹脂
12a、13a、14a、15a 係合部
16a 係合リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能が異なる第1/第2の金属化フィルムコンデンサを外部接続用の端子部を一端に設けたバスバーで並列接続し、これらをケース内に収容して少なくとも上記バスバーの端子部を除いて樹脂モールドしたケースモールド型コンデンサにおいて、上記バスバーのうち少なくともN極電極側に接続されるバスバーを、第1の金属化フィルムコンデンサの各N極電極に接続される第1のバスバーと、第2の金属化フィルムコンデンサの各N極電極に接続される第2のバスバーに分離し、この第1のバスバーと第2のバスバーを上記ケース内で締結したケースモールド型コンデンサ。
【請求項2】
第1のバスバーと第2のバスバーの締結をボルトとナットにより行うと共に、上記ナットが嵌まり込む端子台を設けた請求項1に記載のケースモールド型コンデンサ。
【請求項3】
端子台とケース、または端子台とN極バスバーに、端子台を位置決め固定する位置決め固定手段を設けた請求項2に記載のケースモールド型コンデンサ。
【請求項4】
第1の金属化フィルムコンデンサとしてインバータ回路の平滑用を、第2の金属化フィルムコンデンサとしてフィルタ用を用いた請求項1に記載のケースモールド型コンデンサ。
【請求項5】
第1の金属化フィルムコンデンサのケース内における配置方向と、第2の金属化フィルムコンデンサのケース内における配置方向が異なるようにした請求項1に記載のケースモールド型コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−105108(P2009−105108A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273402(P2007−273402)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】