説明

ゲート駆動回路

【課題】駆動マージンが向上して長時間使用でも信頼性が維持されるゲート駆動回路を提供する。
【解決手段】ゲート駆動回路は、複数のステージが従属的に接続されたシフトレジスタを備え、ステージは、第1入力信号が印加される第1ノードの信号に応答して第1クロック信号をゲート信号として出力するプルアップ部と、第2入力信号が印加されるとゲート信号をオフ電圧に放電させるプルダウン部と、第2入力信号に応答して第1ノードの信号をオフ電圧に放電させる放電部と、第1クロック信号の遅延信号に応答して第1ノードの信号を、オフ電圧に放電されたゲート信号に維持させるホールディング部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート駆動回路に関し、より詳細には、駆動マージンが向上して長時間使用でも信頼性が維持されるゲート駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会の高度の情報化につれ表示装置は、大型化及び薄型化に対する市場の要求に直面しており、従来のCRT装置ではこのような要求を充分に満足させることができないため、PDP(Plasma Display Panel)装置、PALC(Plasma Address Liquid Crystal display panel)装置、液晶表示(Liquid Crystal Display:LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置などで代表されるフラットパネル表示装置に対する需要が爆発的に増えている。特に、液晶表示装置は、画質が鮮明で軽量化、薄型化が可能であり、各種電子機器に広く使用されている。
【0003】
一般的に液晶表示装置は、薄膜トランジスタが配列された下部表示板、これに対向する上部表示板及び両表示板の間に介在する液晶層で構成され、液晶層に印加される電界の強度を調節して画像を表示する装置である。このような表示装置は表示パネルを駆動するゲート駆動部とデータ駆動部を含む。
【0004】
表示装置は、表示パネルを駆動するゲート駆動部にゲート駆動IC(integrated circuit)を含み、ゲート駆動ICはTCP(tape carrier package)又はCOG(chip on the glass)などの方法で実装されてきた。しかし、製造原価又は製品のサイズ、設計の側面で有利な他の方法が摸索されている。例えば、ゲート駆動ICを採択せず、非晶質−シリコーン薄膜トランジスタ(amorphous silicon Thin Film Transistor、以下「a−Si TFT」という)を利用してゲート信号を発生させるゲート駆動部を表示パネルのガラス基板に実装している。
【0005】
このようにゲート駆動部を表示パネルに直接実装することによって表示パネルの空間利用上の問題をもたらし得るため、ゲート駆動部を更に小さく形成しても駆動能力が維持され、且つ長時間使用にも耐え得る信頼性を確保しなければならない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開第2006−0036244号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、駆動マージンが向上して長時間使用でも信頼性が維持されるゲート駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴によるゲート駆動回路は、複数のステージが従属的に接続されたシフトレジスタを備え、前記ステージは、第1入力信号が印加される第1ノードの信号に応答して第1クロック信号をゲート信号として出力するプルアップ部と、第2入力信号が印加されると前記ゲート信号をオフ電圧に放電させるプルダウン部と、前記第2入力信号に応答して前記第1ノードの信号を前記オフ電圧に放電させる放電部と、前記第1クロック信号の遅延信号に応答して前記第1ノードの信号を、オフ電圧に放電された前記ゲート信号に維持させるホールディング部と、を含む。
前記第1クロック信号の遅延信号は、前記第1クロック信号の時定数を増加することにより得ることができる。
前記第1クロック信号は、キャパシタを通過して前記ホールディング部に提供することができる。
前記キャパシタは、薄膜トランジスタの寄生キャパシタであり得る。
前記ゲート駆動回路は、前記第1クロック信号を遅延させる第1トランジスタ及び第2トランジスタを含み、前記第1及び第2トランジスタのドレーン電極及び前記第1トランジスタのゲート電極に前記第1クロック信号が印加され、前記第1トランジスタのソース電極は、前記第2トランジスタのゲート電極に接続され、前記第2トランジスタのソース電極は、前記ホールディング部に前記第1クロック信号の遅延信号を提供することができる。
前記第2トランジスタのドレーン電極と前記第2トランジスタのゲート電極との間に第1キャパシタを更に含み得る。
前記第2トランジスタのゲート電極と前記第2トランジスタのソース電極との間に第2キャパシタを更に含み得る。
前記ホールディング部は、前記第1クロック信号の遅延信号が印加されるゲート電極、前記第1ノードに接続されるドレーン電極、及びゲート線に接続されるソース電極を有する第3トランジスタを含み得る。
前記第3トランジスタは、移動度が2〜10cm/Vsであり得る。
その他の実施形態による具体的な特徴は詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゲート駆動回路によれば、駆動マージンが向上して長時間使用でも信頼性が維持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置のブロック図である。
【図2】図1に示す一画素の等価回路図である。
【図3】図1に示すゲート駆動部を説明するための例示的なブロック図である。
【図4】図3に示す第jステージの例示的な回路図である。
【図5】図3に示す第jステージに含まれる信号遅延回路の例示的な回路図である。
【図6】図3に示す第jステージの動作を説明するための信号図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の利点、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、異なる多様な形態で具現することが可能である。本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らしめるために提供されるものである。なお、明細書全体にかけて、同一の参照符号は同一の構成要素を指すものとする。
【0012】
以下、本発明のゲート駆動回路を実施するための形態を、ゲート駆動回路を含む表示装置と共に、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による表示装置のブロック図である。図2は、図1に示す一画素の等価回路図である。図3は、図1に示すゲート駆動部を説明するための例示的なブロック図である。図4は、図3に示す第jステージの例示的な回路図である。図5は、図3に示す第jステージに含まれる信号遅延回路の例示的な回路図である。図6は、図3に示す第jステージの動作を説明するための信号図である。
【0014】
先ず図1を参照すると、本発明の一実施形態による表示装置1は、表示パネル300、信号提供部100、ゲート駆動部400、及びデータ駆動部200を含む。信号提供部100は、タイミングコントローラ110とクロック生成部120を含む。
【0015】
表示パネル300は、画像が表示される表示部(DA)と画像が表示されない非表示部(PA)に区分される。
【0016】
表示部(DA)は、第1〜第nゲートライン(G1〜Gn、n>2)、第1〜第mデータライン(D1〜Dm、m>2)、スイッチング素子(図示せず)、及び画素電極(図示せず)が形成された第1基板(図示せず)と、カラーフィルタ(図示せず)と共通電極(図示せず)が形成された第2基板(図示せず)、第1基板(図示せず)と第2基板(図示せず)との間に介在する液晶層(図示せず)を含み、画像が表示される部分になる。第1〜第nゲートライン(G1〜Gn)は、略行方向に配列されて互いにほぼ平行であり、第1〜第mデータライン(D1〜Dm)は略列方向に配列されて互いにほぼ平行である。
【0017】
非表示部(PA)は、表示部(DA)の外郭周辺に位置し、画像が表示されない部分になる。
【0018】
信号提供部100は、タイミングコントローラ110とクロック生成部120を含み、外部のグラフィック制御機(図示せず)から入力画像信号(R、G、B)及びこれの表示を制御する入力制御信号を受信して第1画像信号(DAT)、データ制御信号(CONT)をデータ駆動部200に提供する。具体的に説明すると、タイミングコントローラ110は、水平同期信号(Hsync)、メイン第1クロック信号(Mclk)、データイネーブル信号(DE)などの入力制御信号の入力を受けてデータ制御信号(CONT)を出力する。ここで、データ制御信号(CONT)は、データ駆動部200の動作を制御する信号であり、データ駆動部200の動作を開始する水平開始信号、2つのデータ電圧の出力を指示するロード信号などを含む。
【0019】
これによって、データ駆動部200は、第1画像信号(DAT)及びデータ制御信号(CONT)の提供を受けて第1画像信号(DAT)に対応する画像データ電圧を各データライン(D1〜Dm)に提供する。
【0020】
データ駆動部200は、ICとしてテープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package:TCP)形態で表示パネル300と接続することができ、これに限定されず、表示パネル300の非表示部(PA)上に形成することができる。
【0021】
また信号提供部100は、外部のグラフィック制御機(図示せず)から垂直同期信号(Vsinc)及びメイン第1クロック信号(Mclk)の提供を受け、電圧生成部(図示せず)からゲートオン電圧(Von)及びゲートオフ電圧(Voff)の提供を受け、第1スキャン開始信号(STVP)、第1クロック信号(CKV)、第2クロック信号(CKVB)、及びゲートオフ電圧(Voff)をゲート駆動部400に提供する。具体的に説明すると、タイミングコントローラ110が第2スキャン開始信号(STV)、第1クロック生成制御信号(OE)及び第2クロック生成制御信号(CPV)を提供する。クロック生成部120は第2スキャン開始信号(STV)の提供を受けて第1スキャン開始信号(STVP)を出力し、第1クロック生成制御信号(OE)及び第2クロック生成制御信号(CPV)の入力を受けて第1クロック信号(CKV)及び第2クロック信号(CKVB)を出力する。ここで、第1クロック信号(CKV)は第2クロック信号(CKVB)と逆位相である信号である。
【0022】
ゲート駆動部400は、第1スキャン開始信号(STVP)により動作し、第1クロック信号(CKV)、第2クロック信号(CKVB)、及びゲートオフ電圧(Voff)を利用して多数のゲート信号を生成し、第1〜第nゲートライン(G1〜Gn)に各ゲート信号を順次に提供する。
【0023】
図2を参照して図1に示す一画素について説明すると、第1基板10の画素電極(PE)と対向するように第2基板20の共通電極(CE)の一部領域にカラーフィルタ(CF)が形成され得る。第1基板10と第2基板20との間には液晶層30が介在する。
【0024】
一方、i番目(i=1〜n)ゲート線(Gi)とj番目(j=1〜m)データ線(Dj)に接続された画素(PX)は、ゲート線(Gi)及びデータ線(Dj)に接続されたスイッチング素子(Q)を含み、スイッチング素子(Q)は液晶キャパシタ(liquid crystal capacitor:Clc)及びストレージキャパシタ(storage capacitor:Cst)が接続される。ストレージキャパシタ(Cst)は必要に応じて省略することができる。スイッチング素子(Q)は、a−Si(amorphous−silicon)から成る薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「a−Si TFT」という)である。
【0025】
図3を参照してゲート駆動部400を具体的に説明すると、ゲート駆動部400は多数のステージ(ST1〜STn+1)を含み、各ステージ(ST1〜STn+1)はカスケード(cascade)方式で接続されており、最後のステージ(STn+1)を除いた各ステージ(ST1〜STn)はゲートライン(G1〜Gn)と一対一で接続され、各々ゲート信号(Gout1〜Gout(n))を出力する。各ステージ(ST1〜STn+1)にはゲートオフ電圧(Voff)、第1クロック信号(CKV)、第2クロック信号(CKVB)、及び初期化信号(INT)が入力される。ここで、初期化信号(INT)はクロック生成部120から提供され得、最後のステージ(STn+1)のキャリー信号(Cout(n+1))であり得る。
【0026】
各ステージ(ST1〜STn+1)は、第1クロック端子(CK1)、第2クロック端子(CK2)、セット端子(S)、リセット端子(R)、電源電圧端子(GV)、フレームリセット端子(FR)、ゲート出力端子(OUT1)及びキャリー出力端子(OUT2)を有することができる。
【0027】
例えば、j番目(j≠1)ゲートライン(Gj)と接続された第jステージ(STj)のセット端子(S)には前段ステージ(STj−1)のキャリー信号(Cout(j−1))が、リセット端子(R)には後段ステージ(STj+1)のゲート信号(Gout(j+1))が入力され、第1クロック端子(CK1)及び第2クロック端子(CK2)には各々第1クロック信号(CKV)及び第2クロック信号(CKVB)が入力され、電源電圧端子(GV)にはゲートオフ電圧(Voff)が入力され、フレームリセット端子(FR)には初期化信号(INT)又は最後のステージ(STn+1)のキャリー信号(Cout(n+1))が入力される。ゲート出力端子(OUT1)はゲート信号(Gout(j))を出力し、キャリー出力端子(OUT2)はキャリー信号(Cout(j))を出力する。
【0028】
但し、最初のステージ(ST1)には前段キャリー信号の代わりに第1スキャン開始信号(STVP)が入力され、最後のステージ(STn+1)には後段ゲート信号の代わりに第1スキャン開始信号(STVP)が入力される。
【0029】
各ステージ(ST1〜STn)のゲート出力端子(Gout(1)〜Gout(n))では第1クロック端子(CK1)に提供されるクロック端子のハイ区間が出力される。即ち、奇数番目ステージ(ST1、ST3、…)のゲート出力端子(OUT1)では第1クロック信号(CKV)のハイ区間が出力され、偶数番目(ST2、ST4、…)のゲート出力端子(OUT1)では第2クロック信号(CKVB)のハイ区間が出力される。従って、各ステージは順次にゲート信号(Gout1〜Gout(n))を出力することができる。
【0030】
図4及び図5を参照して図3に示す第jステージ(STj)について更に詳細に説明する。
【0031】
先ず、図4を参照して説明すると、第jステージ(STj)は、バッファ部410、充電部420、プルアップ部430、キャリー信号生成部470、プルダウン部440、放電部450、及びホールディング部460を含み得る。第jステージ(STj)はトランジスタを含み、各トランジスタ(T1〜T15)は薄膜トランジスタで形成することができる。
【0032】
このような第jステージ(STj)に前段キャリー信号(Cout(j−1))、第1クロック信号(CKV)及び第2クロック信号(CKVB)が提供される。第1クロック信号(CKV)はローレベルに維持される維持区間と、ローレベルからハイレベルに遷移してハイレベルからローレベルに遷移する遷移区間を含む。
【0033】
先ず、バッファ部410はゲート電極及びドレーン電極がセット端子(S)に共通に接続され、ソース電極が第1ノード(N1)に接続されたトランジスタ(T4)を含む。このようなバッファ部410は、セット端子(S)を通じて入力された前段キャリー信号(Cout(j−1))を充電部420、キャリー信号生成部470、及びプルアップ部430に提供する。
【0034】
充電部420は、一端がトランジスタ(T4)のソース、プルアップ部430、及び放電部450と接続された第1ノード(N1)に接続され、他端がゲート出力端子(OUT1)に接続されたキャパシター(C1)から成る。
【0035】
プルアップ部430は、トランジスタ(T1)を含み、トランジスタ(T1)のドレーン電極が第1クロック端子(CK1)に接続され、ゲート電極が第1ノード(N1)に接続され、ソース電極がゲート出力端子(OUT1)に接続される。
【0036】
キャリー信号生成部470は、ドレーン電極が第1クロック端子(CK1)に接続され、ソース電極がキャリー出力端子(OUT2)に接続され、ゲート電極がバッファ部410と接続されているトランジスタ(T15)と、ゲート電極とソース電極に接続されたキャパシタ(C2)を含む。このようなキャリー信号生成部470は、第1ノード(N1)の電位がハイレベルに転換されることによってキャリー出力端子(OUT2)に第1クロック信号(CKV)のハイ区間を出力する。
【0037】
プルダウン部440は、多結晶シリコーン薄膜トランジスタ(TR)を含み、ゲート信号(Gout(j))をゲートオフ電圧(Voff)に下降させる。第1プルダウントランジスタ(T2)はドレーン電極がトランジスタ(T1)のソース及びキャパシター(C1)の他端に接続され、ソース電極が電源電圧端子(GV)に接続され、ゲート電極がリセット端子(R)に接続される。第2プルダウントランジスタ(T14)はソース電極に電源電圧端子(GV)が接続され、ドレーン電極は表示パネル300の第jゲートライン(Gj)に接続される。
【0038】
放電部450は、ゲート電極がリセット端子(R)に接続され、ドレーン電極が第1ノード(N1)に接続され、ソース電極が電源電圧端子(GV)に接続され、次のステージ(STj+1)のゲート信号(Gout(j+1))に応答して充電部420を放電させるトランジスタ(T9)と、ゲート電極がフレームリセット端子(FR)に接続され、ドレーン電極がキャパシター(C3)の一端に接続され、ソース電極が電源電圧端子(GV)に接続され、初期化信号(INT)に応答して充電部420を放電させるトランジスタ(T6)を含む。
【0039】
ホールディング部460は、多数のトランジスタ(T3、T5、T7、T8、T10、T11、T12、T13)を含み、ゲート信号(Gout(j))がローレベルからハイレベルに転換されるとハイレベル状態を維持させ、ゲート信号(Gout(j))がハイレベルからローレベルに転換された後には第1クロック信号(CKV)及び第2クロック信号(CKVB)の電圧レベルに拘わらず一フレームの間ゲート信号(Gout(j))をローレベルに維持させる動作を行う。
【0040】
ホールディング部460は、第1クロック信号(CKV)の時定数を増加させて遅延信号を発生させることができる2つのトランジスタ(T7、T12)と2つのキャパシタ(C3、C4)を含む。説明の便宜上、第1クロック信号(CKV)の遅延信号と関係ある2つのトランジスタ(T7、T12)を第1トランジスタ(T12)と第2トランジスタ(T7)と称し、2つのキャパシタ(C3、C4)は各々第1キャパシタ(C3)及び第2キャパシタ(C4)と称する。
【0041】
図5を参照すると、第1クロック端子(CK1)を通じて第1クロック信号(CKV)が入力され、第1トランジスタ(T12)、第2トランジスタ(T7)、第1キャパシタ(C3)、及び第2キャパシタ(C4)を含む信号遅延回路を通過し、第2ノードを通じて第1クロック信号(CKV)の遅延信号(CKV_d)が出力される。
【0042】
但し、ホールディング部460は、第1トランジスタ(T12)及び第2トランジスタ(T7)、第1キャパシタ(C3)及び第2キャパシタ(C4)を必ず含むものに限定されない。即ち、ホールディング部460は、図4に示す符号460に含まれるトランジスタ(T3、T5、T7、T8、T10、T11、T12、13)すべてを含むものに限定されず、そのうちの一部を含み、第1クロック信号(CKV)の遅延信号(CKV_d)に応答して第1ノード信号を、オフ電圧に放電されたゲート信号(Gout(j))に維持できれば良い。
【0043】
第1クロック信号(CKV)の時定数を増加させて遅延信号を発生させることができる遅延回路は、ホールディング部460の構成要素に含まれるか、又は含まれずに別途のユニットで構成され得る。
【0044】
第1トランジスタ(T12)は、ゲート電極とドレーン電極が第1クロック端子(CK1)と接続され、ソース電極が第2トランジスタ(T7)のゲート電極に接続される。第1トランジスタ(T12)のゲート電極とドレーン電極には第1クロック信号(CKV)が印加される。
【0045】
第2トランジスタ(T7)のドレーン電極は、第1クロック端子(CK1)と接続され、ソース電極は第2ノードに接続される。第2トランジスタ(T7)のドレーン電極にも第1クロック信号(CKV)が印加される
【0046】
第2トランジスタ(T7)のゲート電極及びドレーン電極との間に第1キャパシタ(C3)が形成される。第1キャパシタ(C3)は、第2トランジスタ(T7)の動作時点を遅延させることができる。
【0047】
一方、第2トランジスタ(T7)のゲート電極及びソース電極との間に第2キャパシタ(C4)が形成される。このような第1キャパシタ(C3)及び第2キャパシタ(C4)は電圧が充電される時間のあいだ信号を遅延させることができる。
【0048】
第1クロック端子(CK1)を通じて入力された第1クロック信号(CKV)は、第1トランジスタ(T12)、第2トランジスタ(T7)、第1キャパシタ(C3)、及び第2キャパシタ(C4)から成る信号遅延回路を通過しながらRC時定数が増加して信号が遅延され得る。第1クロック信号(CKV)のRC時定数を増加させる要素は、第1キャパシタ(C3)及び第2キャパシタ(C4)だけでなく、第1トランジスタ(T12)と第2トランジスタ(T7)の寄生キャパシタも共に作用する。即ち、第1クロック信号(CKV)の時定数を増加させるために、必ずしも第1トランジスタ(T12)、第2トランジスタ(T7)、第1キャパシタ(C3)、及び第2キャパシタ(C4)のすべてを含んで回路を構成する必要はなく、そのうちの一部の素子を利用することができる。
【0049】
ホールディング部460は、リップル(ripple)を防止して第1ノードを安定化させる役割をするトランジスタ(T10)を含み、説明の便宜上、このトランジスタ(T10)を第3トランジスタ(T10)と称する。
【0050】
第3トランジスタ(T10)は、ドレーン端子が第1ノードに接続されており、ソース端子がゲート出力端子(OUT1)と接続されており、ゲート端子が第2ノードに接続される。第2ノードと接続されたゲート端子には第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)が印加される。第3トランジスタ(T10)のゲート端子に第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)が印加されることによって、第1クロック信号(CKV)が直接印加される場合に比べてゲートの動作時点が遅延される。従って、N1ノードに電圧が充分に充電できる時間が保障される。
【0051】
第3トランジスタ(T10)を移動度が2〜10cm/Vsの非晶質シリコーン薄膜トランジスタで形成する場合にも第1ノードに電圧が充分に充電される時間を保障することができる。
【0052】
図4及び図6を参照して上述した各ユニットの動作を詳細に説明する。
【0053】
先ず、ゲート信号(Gout(j))がゲートオフ電圧からゲートオン電圧に転換される過程を説明する。
【0054】
充電部420は、前段キャリー信号(Cout(j−1))の提供を受けて電荷を充電する。例えば、充電部420は、第1維持区間(PH_1)で前段キャリー信号(Cout(j−1))又は第1スキャン開始信号(STVP)の提供を受けて充電され、第1ノード(N1)の電圧が徐々に増加する。第1遷移区間(PT_1)のうちローレベルからハイレベルに遷移する第1クロック信号(CKV)が入力されると、トランジスタ(T1)と第1ノード(N1)の寄生キャパシタ(図示せず)によって第1ノード(N1)の電圧が更に上昇する。
【0055】
充電部420の電圧、即ち第1ノード(N1)の電圧が第1充電レベル、例えば図6に示すように正の電圧に上昇すると、プルアップ部430のトランジスタ(T1)は完全にターンオンし、第1クロック端子(CK1)を通じて入力された第1クロック信号(CKV)を、ゲート出力端子(OUT1)を通じてゲート信号(Gout(j))に提供する。即ち、ゲート信号(Gout(j))はゲートオン電圧レベルになる。またキャリー信号生成部470のトランジスタ(T15)がターンオンして第1クロック信号(CKV)を、キャリー出力端子(OUT2)を通じてキャリー信号(Cout(j))として出力する。
【0056】
次にゲート信号(Gout(j))がゲートオン電圧からゲートオフ電圧に転換される過程を説明する。
【0057】
第2維持区間(PH_2)のうち第1クロック信号(CKV)がハイレベルからローレベルに遷移するとき、第1ノード(N1)の電圧が、上述した寄生キャパシタ(図示せず)によって下降する。このとき、次のステージのゲート信号(Gout(j+1)がハイレベルになることによって放電部450のトランジスタ(T9)がターンオンして第1ノード(N1)にゲートオフ電圧(Voff)を提供する。但し、第2クロック信号(CKVB)は、ローレベルからハイレベルに遷移するため、ホールディング部のトランジスタ(T11)がターンオンして正の電圧の前段キャリー信号(Cout(j−1))を第1ノード(N1)に提供する。従って、第1ノード(N1)の電圧は、放電部450が第1ノード(N1)にゲートオフ電圧(Voff)を提供するとしても、正の電圧の前段キャリー信号(Cout(j−1))が第1ノード(N1)に提供されるため、急激にゲートオフ電圧(Voff)に下降せず徐々に減少するようにすることができる。
【0058】
即ち、次のステージのゲート信号(Gout(j+1)がハイレベルになったとき、プルアップ部430のトランジスタ(T1)がターンオフせず、ローレベルの第1クロック信号(CKV)をゲート信号(Gout(j))として出力する。プルダウン部440がゲート信号(Gout(j))をゲートオフ電圧(Voff)に下降させ、またプルアップ部430もローレベルの第1クロック信号(CKV)をゲート信号(Gout(j))として提供するため、ゲート信号(Gout(j))の電圧レベルは迅速にゲートオフ電圧にプルダウンされる。従って、ゲート信号(Gout(j))が次のステージのゲート信号(Gout(j+1))とオーバーラップすることはない。
【0059】
次にゲート信号(Gout(j))がゲートオフ電圧にプルダウンされた後、一フレームのあいだゲートオフ電圧に維持される動作を説明する。
【0060】
ゲート信号(Gout(j))がゲートオフ電圧にプルダウンされると、トランジスタ(T8、T13)はターンオンする。トランジスタ(T13)は、トランジスタ(T7)をターンオフさせてハイレベルの第1クロック信号(CKV)がトランジスタ(T3)に提供されることを遮断し、トランジスタ(T8)はトランジスタ(T3)をターンオフさせる。従ってゲート信号(Gout(j))がハイレベルに維持される。
【0061】
次にゲート信号(Gout(j))がハイレベルからローレベルに転換された後にはトランジスタ(T8、T13)はターンオフする。第1クロック信号(CKV)がハイレベルであれば、トランジスタ(T7、T12)はトランジスタ(T3)をターンオンさせてゲート信号(Gout(j))をローレベルに維持する。またトランジスタ(T10)がターンオンしてトランジスタ(T1)のゲート電極がローレベルに維持され、従って、ハイレベルの第1クロック信号(CKV)がゲート出力端子(OUT1)に出力されない。第2クロック信号(CKVB)がハイレベルであり、トランジスタ(T5、T11)がターンオンする。ターンオンされたトランジスタ(T5)はゲート信号(Gout(j))をローレベルに維持させ、ターンオンされたトランジスタ(T11)はキャパシタ(C1)の一端をローレベルに維持させる。従って、ゲート信号(Gout(j))が一フレームのあいだローレベルに維持される。
【0062】
但し、第jステージ(STj)は、キャリー信号生成部470を含まないことがある。このような場合、第jステージ(STj)は前段ステージ(STj−1)のキャリー信号(Cout(j−1))の代わりに前段ステージ(STj−1)のゲート信号(Gout(j−1))を、セット端子(S)を通して入力することで動作させることができる。
【0063】
次に、第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)がホールディング部460に印加されてホールディング部460が第1ノード(N1)の電圧を下降させる動作を説明する。
【0064】
第1クロック信号(CKV)は、信号遅延回路を通過しながら時定数が増加して第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)となる。第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)は、図6に示すように、第1クロック信号(CKV)に同期されるが、電圧が上昇又は下降するとき、時間遅延が発生する。
【0065】
第1維持区間(PH_1)中で第1クロック信号(CKV)がハイレベルからローレベルに遷移するとき、第1ノード(N1)は第1スキャン開始信号(STVP)の提供を受けて充電され、第1ノード(N1)の電圧が徐々に増加する。第1遷移区間(PT_1)中でローレベルからハイレベルに遷移する第1クロック信号(CKV)が印加されると、トランジスタ(T1)と第1ノード(N1)の寄生キャパシタ(図示せず)によって第1ノード(N1)の電圧が更に上昇する。このとき、ホールディング部460は、第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)の入力を受けて第1ノード(N1)の電圧をゲート信号(Goutj)と同じくなるように下降させる。
【0066】
ホールディング部460は、第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)の入力を受けて第3トランジスタ(T10)を動作させるため、第1ノード(N1)の電圧が充分に上昇した後に第3トランジスタ(T10)が動作する。このようにホールディング部460に第1クロック信号の遅延信号(CKV_d)を印加することによって、第1ノード(N1)の電圧が充分に上昇することができ、ゲートの駆動マージンを確保することができる。
【0067】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、フラットパネル表示装置のゲート駆動部に利用され得る。
【符号の説明】
【0069】
1 表示装置
10 第1基板
20 第2基板
30 液晶層
100 信号提供部
110 タイミングコントローラ
120 クロック生成部
200 データ駆動部
300 表示パネル
400 ゲート駆動部
410 バッファ部
420 充電部
430 プルアップ部
440 プルダウン部
450 放電部
460 ホールディング部
470 キャリー信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステージが従属的に接続されたシフトレジスタを備え、
前記ステージは、
第1入力信号が印加される第1ノードの信号に応答して第1クロック信号をゲート信号として出力するプルアップ部と、
第2入力信号が印加されると前記ゲート信号をオフ電圧に放電させるプルダウン部と、
前記第2入力信号に応答して前記第1ノードの信号を前記オフ電圧に放電させる放電部と、
前記第1クロック信号の遅延信号に応答して前記第1ノードの信号を、オフ電圧に放電された前記ゲート信号に維持させるホールディング部と、を含むことを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項2】
前記第1クロック信号の遅延信号は、前記第1クロック信号の時定数を増加することにより得られることを特徴とする請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項3】
前記第1クロック信号は、キャパシタを通過して前記ホールディング部に提供されることを特徴とする請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項4】
前記キャパシタは、薄膜トランジスタの寄生キャパシタであることを特徴とする請求項3に記載のゲート駆動回路。
【請求項5】
前記ゲート駆動回路は、前記第1クロック信号を遅延させる第1トランジスタ及び第2トランジスタを含み、
前記第1及び第2トランジスタのドレーン電極及び前記第1トランジスタのゲート電極に前記第1クロック信号が印加され、前記第1トランジスタのソース電極は、前記第2トランジスタのゲート電極に接続され、前記第2トランジスタのソース電極は、前記ホールディング部に前記第1クロック信号の遅延信号を提供することを特徴とする請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項6】
前記第2トランジスタのドレーン電極と前記第2トランジスタのゲート電極との間に第1キャパシタを更に含むことを特徴とする請求項5に記載のゲート駆動回路。
【請求項7】
前記第2トランジスタのゲート電極と前記第2トランジスタのソース電極との間に第2キャパシタを更に含むことを特徴とする請求項5に記載のゲート駆動回路。
【請求項8】
前記ホールディング部は、前記第1クロック信号の遅延信号が印加されるゲート電極、前記第1ノードに接続されるドレーン電極、及びゲート線に接続されるソース電極を有する第3トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項9】
前記第3トランジスタは、移動度が2〜10cm/Vsであることを特徴とする請求項8に記載のゲート駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−61130(P2010−61130A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188018(P2009−188018)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】