説明

コアレスモーター、ロボットハンドおよびロボット

【課題】同一方向の回転であれば電流の流れる方向を切り替える必要が無く、よって簡単な構造でブラシレスとし、且つコアレスレスモーターを提供する。
【解決手段】回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸方向にN極とS極とを配置し、前記回転軸の回転中心を中心として円柱状に形成された永久磁石を備える磁石体と、前記磁石体の前記永久磁石の前記N極面、もしくは前記S極面に対向配置される第1の面を有し、前記磁石体の前記回転中心において前記磁石体と相対的に回転可能に配置される半導体装置と、を備え、前記半導体装置は、前記第1の面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の導体配線と、前記半導体装置は、少なくとも前記導体配線に流す電流の方向を切り替える回路を含む駆動回路と、前記磁石体と前記半導体装置との相対的な回転位置を検出する検出回路と、を含むコアレスモーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアレスモーター、ロボットハンドおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型モーターとしては、ブラシモーターと呼ばれるDCモーターが良く知られている。このDCモーターでは、ローターに巻かれている巻線に流れる電流の向きを、ステーターに配置された永久磁石のNS極に対応して、変化させてローターを回転させている。巻線の電流の向きはモーターに配置されたブラシと整流子によって機械的に切り替える簡単な構造ではあるが、ブラシ寿命が短いという課題があった(特許文献1)。
【0003】
この課題を解決するために、ブラシレスモーターが提案された。ブラシレスモーターでは巻線をステーター側に配置し、磁石がローター側に配置される。このように配置しステーター側に配置したローターの位置検出センサーによって、巻線に適切な方向の電流を流してローターを回転させるため、ブラシを必要としない。例えば、特許文献2に開示されているブラシレスモーターでは磁気センサーを用いてローターの位置検出を行い、位置検出結果の出力によって巻線へ流す電流の制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−26354号公報
【特許文献2】特開2010−93911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献2であっても、磁気センサーの出力値からの位置情報を得るための演算回路、位置情報から電流の切り換えを行う制御回路、などを組み込んだ駆動回路部を必要とし、小型モーターを実現することが困難であった。
【0006】
そこで、同一方向の回転であれば電流の流れる方向を切り替える必要が無く、よって簡単な構造でブラシレスとし、且つコアレスレスモーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0008】
〔適用例1〕本適用例のコアレスモーターは、回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸方向にN極とS極とを配置し、前記回転軸の回転中心を中心として円柱状に形成された永久磁石を備える磁石体と、前記磁石体の前記永久磁石の前記N極面、もしくは前記S極面に対向配置される第1の面を有し、前記磁石体の前記回転中心において前記磁石体と相対的に回転可能に配置される半導体装置と、を備え、前記半導体装置は、前記第1の面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の導体配線と、前記半導体装置は、少なくとも前記導体配線に流す電流の方向を切り替える回路を含む駆動回路と、前記磁石体と前記半導体装置との相対的な回転位置を検出する検出回路と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上述の適用例によれば、円柱状の磁石の回転軸方向の一方側にN極、他方側にS極を配置した磁石と、N極とS極のどちらか一方、もしくは両方に対向するように、且つ回転軸を中心とする放射状に配置された放射配線とによって、放射配線に一方向、例えば中心側から外側へ、あるいは外側から中心側へ、の向きの電流を流すことにより、磁石と放射配線を備えた半導体装置とを相対的に一方向に回転させることができる。すなわち、電流の向きを変換させる必要が無いので、簡単な構造のコアレスモーターを得ることができる。
【0010】
更に、放射配線を半導体装置に形成することにより、コアレスモーター内に駆動回路などの電気回路を備えることができるため、外部回路を必要とせず小型で構造の単純なコアレスモーターを得ることができる。
【0011】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記半導体装置の前記第1の面の反対面である第2の面に、前記回転中心から放射状に配置される1以上の前記導体配線が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上述の適用例によれば、より高い回転力(回転トルク)を備えるコアレスモーターを得ることができる。
【0013】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記半導体装置は、2以上の半導体素子を積層して形成され、前記半導体素子の接合面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の前記導体配線が形成されていることを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、積層された複数の導体配線の放射配線により、更に大きい電流を流すことが可能となり、高い回転力(回転トルク)を備えるコアレスモーターを得ることができる。
【0015】
〔適用例4〕上述の適用例において、前記半導体装置が、前記磁石体の前記N極側と前記S極側と、に少なくとも1以上、配置されていることを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、磁石体を挟んで両側に半導体装置を配置することで、実質的に大きい電流を流すことが可能となり、高い回転力(回転トルク)を備えるコアレスモーターを得ることができる。
【0017】
〔適用例5〕上述の適用例において、前記半導体装置に対して、前記磁石体を回転させることを特徴とする。
【0018】
上述の適用例によれば、半導体装置が固定されていることで、半導体装置と外部回路との接続が容易になり、装置への装着を容易にすることができる。
【0019】
〔適用例6〕上述の適用例のコアレスモーターを複数、前記回転軸方向に配置し、前記回転軸の前記回転軸端部同士が固着され一体化させた、もしくは一体の前記回転軸を備えることを特徴とする。
【0020】
上述の適用例によれば、回転軸に固定されるコアレスモーターの数に比例して、大きな出力(トルク)のモーターを得ることができる。
【0021】
〔適用例7〕本適用例のロボットハンドは、上述の適用例のコアレスモーターを備える。
【0022】
本適用例のロボットハンドは、小型のコアレスモーターを用いることで、汎用性が高く、複雑な電子機器の組み立て作業や検査等が可能なロボットに適用することができる。
【0023】
〔適用例8〕本適用例のロボットは、上述の適用例のロボットハンドを備える。
【0024】
上述の適用例によれば、汎用性が高く、複雑な電子機器の組み立て作業や検査等が可能なロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のコアレスモーターを示す、(a)は分解斜視図、(b)は概略平面図、(c)は(b)A−A´部の概略断面図。
【図2】第1実施形態の半導体装置を示す、(a)は上平面図、(b)は(a)B−B´部の断面図、(c)は下平面図。
【図3】第1実施形態のコアレスモーターの動作を説明する、(a)は平面模式図、(b)は断面模式図。
【図4】第1実施形態の半導体装置にかかる回路ブロック図。
【図5】第1実施形態のコアレスモーターのその他の実施形態を示す概略断面図。
【図6】第2実施形態のロボットハンドを示す概略外観図。
【図7】第3実施形態のロボットの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るコアレスモーターの概略を示す、(a)は分解状態の斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)A−A´部の組み立て概略断面図である。
【0028】
図1(a)に示すコアレスモーター100(以下、モーター100という)は、磁石体10と、磁石体10の磁石10aの磁極面である10b、10cに対向配置され、磁石体10の回転軸10dが挿通する貫通孔21aを有する半導体装置21と貫通孔22aを有する半導体装置22と、磁石体10と半導体装置21、22とを収納する収納容器30とにより構成されている。
【0029】
磁石体10は、回転軸10dに磁石10aが一体的に固着されている。回転軸10dは、モーターの回転を効率良く動作させるために、非磁性材により形成されることが望ましく、例えば硬質プラスチックス、セラミックス、ガラス、非磁性金属であればTi、Alの単体もしくはその合金が好ましい。
【0030】
磁石10aは、回転軸10dの軸方向に磁極(N極、S極)が配置されるように形成されている。図1(a)では、図面指示上方側の磁極面10bにはN極が、下方側の磁極面10cにはS極が、配置される磁石10aを例示したが、図面指示上方側の磁極面10bにS極が、下方側の磁極面10cにN極が、配置された磁石10aであっても良い。
【0031】
また、磁石10aは回転軸10dを中心として回転させるため、外形状は回転軸10d中心を中心とする円形が望ましい。しかし円形に限定されるものではなく、回転軸10dに磁石体10の回転によって回転軸10dに振れを生じさせない形状であれば良く、例えば回転軸10dの中心を図心とする多角形、好ましくは正多角形として適用することができる。
【0032】
また、磁石材料としては、特に限定されないが、より高い磁力を保持する材料を用いることが好ましいが、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ネオジウムなどが好適に用いられる。
【0033】
図1(c)に示すように、半導体装置21、22の一方の面21b、22bを磁石体10の磁石10aの磁極面10b、10cに対向させて、半導体装置21、22が配置される。図2は半導体装置21、22の(a)は上平面図、(b)は(a)B−B´部の断面図、(c)は下平面図を示し、半導体装置21、22には、磁石10aに対向する面21b、22bには導体配線41、43が備えられ、磁石10aに対向する面21b、22bと反対の面21c、22cには導体配線42、44が備えられている。このように配置された磁石体10、半導体装置21、22を、収納容器31、32により密閉収納し、モーター100を得る。
【0034】
上述の半導体装置21、22について図2を用いて、詳しく説明する。半導体装置21と半導体装置22は、同じ構成を備える装置であるので、半導体装置21を例に説明する。
【0035】
図2(b)に示すように、半導体装置21は半導体素子21A、21B、21Cを積層して形成されても良い。本例では3層構造を例に説明するが、これに限定されず、1層以上であれば要求仕様に基づいて適宜、積層する半導体素子数を決めれば良い。このように形成された半導体装置21には、磁石10aの磁極面10bに対向する面21bと、面21bの反対の面21cには導体配線41、42が形成されている。
【0036】
また、面21bを有する半導体素子21Aと、面21cを有する半導体素子21Cと、中間に配置される半導体素子21Bと、の接合部にも導体配線4A、4Bが形成されている。これら導体配線4A、4Bは導体配線41、42と同じ形態の配線である。
【0037】
図2(a)(c)に示すように、導体配線41、42は、貫通孔21aの中心から放射状に延伸される放射配線41a、42aと、放射配線41a、42aを貫通孔21a側で接続する内環状配線41b、42bと、半導体装置21の外周側で放射配線41a、42aを接続する外環状配線41c、42cと、が形成されている。この、内環状配線41b、42bと、外環状配線41c、42cと、は図示しない接続端子によって半導体装置21に形成された駆動回路部に電気的に接続される。また、導体配線4A、4Bにおいても図示しない内環状配線および外環状配線は、半導体装置21の駆動回路部に電気的に接続されている。
【0038】
導体配線41、42は、例えばAu、Ag、Alなどの導電性に高い金属を蒸着あるいはスパッタリングにより半導体素子表面に形成する。放射配線41a、42aは本例では8本の配線が等角度の点対称に配置されているが、これに限定はされない。しかし、モーター100の磁石体10の変動の少ない回転を得るためには、放射配線41a、42aは本例のように等角に配置することが好ましい。また、放射配線41a、42aの本数も、本例に限定はされない。例えば、1本であっても磁石体10を回転させることはできる。しかし、上述同様に磁石体10の変動の少ない回転を得るためには、回転中心に対して点対称に配置されることが好ましく、従って、放射配線41a、42aは偶数本配置されることが好ましい。
【0039】
なお、本例では半導体装置21、22の面21b、22b、および面21c、22cの両面に導体配線41、42、43、44を配置する構成としたが、半導体装置21、22の面21b、22b、および面21c、22cのどちらか一方の面に導体配線を備える構成としても良い。また、半導体装置21、22のどちらか一方の両面に導体配線を形成し、他の一方の半導体装置には片面に導体配線を形成する構成としても良い。
【0040】
また、半導体装置21、22の面21b、22b、および面21c、22cの両面に導体配線41、42、43、44を配置する構成とした場合、例えば半導体装置21における導体配線41、42において放射配線41a、42aが、図2の図示例では平面視において、重なる配置となっているが、平面視において重ならない配置であっても良い。
【0041】
更に、本例では磁石10aを挟んで半導体装置21、22を配置する構成としたが、半導体装置21、22のどちらか一方だけ、すなわち1個を配置する構成としても良く、その場合でも、半導体装置の両面もしくは片面に導体配線を備える構成としても良い。
【0042】
次に、本実施形態に係るモーター100の動作について説明する。図3は、モーター100における磁石体10と、磁石10aに対向配置される導体配線41、43を模式的に表した図であり、図3(a)は、図3(b)の断面図におけるP方向からの矢視図を図面左側に、Q方向からに矢視図を図面右側に、表わした平面図である。なお、図3においては、半導体装置21、22の素子部分、収納容器30は省略してある。
【0043】
図3(a)に示す、C11、C21は半導体装置21内の配線L1、L2と電気的に接続する接点を示し、C12、C22は半導体装置21内の駆動回路部と接続する設定を示す。同様に、C31、C41は半導体装置22内の配線L3、L4と電気的に接続する接点を示し、C32、C42は半導体装置21内の駆動回路部と接続する設定を示す。
【0044】
図3(b)に示す磁石体10は、磁石10aの磁極面10b側にN極、磁極面10c側にS極を配置している。このように配置された磁石10aからは、磁界はN極側からS極側に向かう磁界Mfとなる。この磁石10aのN極側となる磁極面10bと、磁極面10bに対向配置される導体配線41とにおいては、図3(a)の左側に示すように、放射配線41aに内環状配線41bから外環状配線41cに向かって電流Ioutを流す。すなわち、接点C22に+(プラス)、接点C12に−(マイナス)の電圧を印加する。これにより、放射配線41aには磁石10aの磁力線方向に対して図示の時計回り方向の力Fwaが発生する。しかし、放射配線41aが形成される半導体装置21は収納容器30により回転不可に固定されているため、その反作用として磁石10aに反時計回り方向の力fuwが発生し、磁石体10は反時計回りの方向Ruwに回転する。
【0045】
また、放射配線41aに外環状配線41cから内環状配線41bに向かって電流Iinを流す。すなわち、接点C22に−(マイナス)、接点C12に+(プラス)の電圧を印加する。これにより、放射配線41aには磁石10aの磁力線方向に対して図示の反時計回り方向の力Fuwが発生する。しかし、放射配線41aが形成される半導体装置21は収納容器30により回転不可に固定されているため、その反作用として磁石10aに時計回り方向の力fwaが発生し、磁石体10は反時計回りの方向Rwaに回転する。
【0046】
次に、図3(b)に示す磁石10aのS極側となる磁極面10cと、磁極面10cに対向配置される導体配線43とにおいては、図3(a)の右側に示すように、放射配線43aに内環状配線43bから外環状配線43cに向かって電流I´outを流す。すなわち、接点C42に+(プラス)、接点C32に−(マイナス)の電圧を印加する。これにより、放射配線43aには磁石10aの磁力線方向に対して図示の反時計回り方向の力F´uwが発生する。しかし、放射配線43aが形成される半導体装置22は収納容器30により回転不可に固定されているため、その反作用として磁石10aに時計回り方向の力f´waが発生し、磁石体10は時計回りの方向R´waに回転する。
【0047】
また、放射配線43aに外環状配線43cから内環状配線43bに向かって電流I´inを流す。すなわち、接点C42に−(マイナス)、接点C32に+(プラス)の電圧を印加する。これにより、放射配線43aには磁石10aの磁力線方向に対して図示の時計回り方向の力F´waが発生する。しかし、放射配線43aが形成される半導体装置22は収納容器30により回転不可に固定されているため、その反作用として磁石10aに反時計回り方向の力f´uwが発生し、磁石体10は反時計回りの方向R´uwに回転する。
【0048】
図3の説明に記述したとおり、図3(a)は左側図のP方向矢視図と、右側図のQ方向矢視図とは反転した関係にあるため、右側図のQ方向矢視図における反時計回りの回転R´uwは左側図のP方向矢視図における時計回り回転Rwaと同じ方向である。すなわち、図3(b)に示す磁石10aの配置において、放射配線41a、43aに対して内環状配線41b、43bから外環状配線41c、43cに向かって電流Iout、I´outを流すことで、磁石体10は図3(a)に示す反時計回り回転Ruwを発生させることができる。また、放射配線41a、43aに対して外環状配線41c、43cから内環状配線41b、43bに向かって電流Iin、I´inを流すことで、磁石体10は図3(a)に示す時計回り回転Rwaを発生させることができる。
【0049】
上述の通りモーター100は内環状配線41b、43bと接続される接点C22、C42に同電位(+または−)を付加し、外環状配線41c、43cと接続される接点C12、C32に接点C22、C42とは逆の電位を付加することで、所望の回転方向に制御できるモーター100を得ることができ。すなわち、放射配線41a、43aに対して、内環状配線41b、43bから外環状配線41c、43cに向けて、あるいは、外環状配線41c、43cから内環状配線41b、43bに向けて電流を流すことにより、モーター100の回転方向を制御することができる。
【0050】
図4は半導体装置21、22の回路ブロック図である。モーター100に備える半導体装置21、22は、モーター100を備える図示しない機器が有する装置制御部300からの制御信号を駆動回路部210で受ける。駆動回路部210には、装置制御部300から送られる電源を、所定出力の調整などを行う電源回路部210aと、導体配線41、42、43、44に出力する電源の電流方向切換、出力端子C12、C22〜Cyzへの電源投入を制御する切換回路部210bを備えている。
【0051】
切換回路部210bによって、所定の電源が投入され、導体配線41、42、43、44に備える接続端子C11、C21〜Cwxを介して、導体配線41、42、43、44の放射配線に所定の方向の電流を流し、磁石体10を回転させる。
【0052】
また、磁石体10の回転位置を検出し、回転制御を行う場合には、半導体装置21、22のいずれか一方、もしくは両方に備える検出回路部200に含む、図示しないセンシング手段、例えば磁気センサー、光センサーなどによって得られる信号を取得する検出手段200bによって取得した信号を、演算手段200aに送り磁石体10の位置信号として駆動回路部210へ送出し、所定の回転制御を実行する。
【0053】
なお、切換回路部210bは、例えば、磁石体10を一方向にのみ回転させるモーター100である場合には、備えなくても良い。また、検出回路部200は、磁石体10の回転位置検出、あるいは回転位置制御を行う必要に無い仕様のモーター100であれば、備えなくても良い。
【0054】
上述の駆動回路部210には、上述の駆動制御に関する回路部を備えることに限定されない。例えば、放射配線へ流す電流値などを制御して回転速度を制御する電流制御回路など、モーター100の要求仕様に合わせて適宜、必要な回路構成とすることができる。また、制御方法として、アナログ方式、デジタル方式のどちらでも良い。
【0055】
(変形例)
本実施形態に係るモーター100の、その他の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係るモーター100の、その他の形態を模式的に示す断面図である。図5(a)は、モーター100に対して、図示しない導体配線を備える半導体装置20が磁石体10のN極側、S極側、それぞれに複数備える構成としたモーター110を示す。本例では、半導体装置20は、N、S極側それぞれに2個配置したが、これに限定されない。また、N極側に配置される半導体装置20の数と、S極側に配置される半導体装置20の数が同じでなくても良い。但し、同数であるほうが安定した磁石体10の回転を得易いので好ましい。
【0056】
図5(b)は、複数の磁石11aを備える磁石体11を備え、磁石11aに挟まれるように半導体装置20を複数配置する構成としたモーター120を示す。本例に示すモーター120では、半導体装置20は2個配置されるが、これに限定されない。
【0057】
図5(c)は、複数の磁石12aを備える磁石体12を備え、磁石12aを挟むように半導体装置20を配置する構成としたモーター130を示す。本例に示すモーター130では、磁石12a、半導体装置20の数に限定されず、例えば図5(d)に示すように、磁石13aを3個以上配置し、この磁石13aを挟むように半導体装置20を4個以上配置する構成としたモーター140でも良い。また、モーター130および140の構成において、磁石12a、13aの間に複数の半導体装置20を配置しても良い。
【0058】
図5(e)は、第1実施形態に係るモーター100と同様の構成の磁石14aと半導体装置20を備えるモーターユニット150aを複数、回転軸14bによって連結した構成としたモーター150を示す。本例のモーター150は、モーター100の構成を基本としたモーターユニット150aを例示しているが、上述のその他の実施形態に係るモーター110、120、130、140などの構成を基本とするモーターユニット150aを構成しても良い。
【0059】
(第2実施形態)
図6は、本実施形態のモーター100を備えるロボットハンド1000の構成を示す図である。ロボットハンド1000は、基部1100と、基部1100に接続された指部1200とを備えている。基部1100と指部1200との接続部と、指部1200の間接部とには、モーター100が設けられている。モーター100が駆動することによって、指部1200が屈曲し、物体を把持することができる。超小型モーターであるモーター100を用いることによって、小型でありながら多数のモーターを備えるロボットハンドを実現することができる。
【0060】
(第3実施形態)
図7は、第2実施形態のロボットハンド1000を備えるロボット2000の構成を示す図である。ロボット2000は、本体部2100、アーム部2200およびロボットハンド1000等から構成されている。本体部2100は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上などに固定される。アーム部2200は、本体部2100に対して可動に設けられており、本体部2100にはアーム部2200を回転させるための動力を発生させる図示しないアクチュエーターや、アクチュエーターを制御する制御部等が内蔵されている。
【0061】
アーム部2200は、第1フレーム2210、第2フレーム2220、第3フレーム2230、第4フレーム2240および第5フレーム2250から構成されている。第1フレーム2210は、回転屈折軸を介して、本体部2100に回転可能または屈折可能に接続されている。第2フレーム2220は、回転屈折軸を介して、第1フレーム2210および第3フレーム2230に接続されている。第3フレーム2230は、回転屈折軸を介して、第2フレーム2220および第4フレーム2240に接続されている。第4フレーム2240は、回転屈折軸を介して、第3フレーム2230および第5フレーム2250に接続されている。第5フレーム2250は、回転屈折軸を介して、第4フレーム2240に接続されている。アーム部2200は、制御部の制御によって、各フレーム2210〜2250が各回転屈折軸を中心に複合的に回転または屈折し動く。
【0062】
アーム部2200の第5フレーム2250のうち第4フレーム2240が設けられた他方には、ロボットハンド1000が取り付けられており、対象物を把持することができる。
ロボットハンド1000を用いることによって、汎用性が高く、複雑な電子機器の組み立て作業や検査等が可能なロボットを提供することができる。
【0063】
以上のように実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、モーター、ロボットハンドおよびロボットの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…磁石体、21,22…半導体装置、30…収納容器、100…コアレスモーター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸方向にN極とS極とを配置し、前記回転軸の回転中心を中心として円柱状に形成された永久磁石を備える磁石体と、
前記磁石体の前記永久磁石の前記N極面、もしくは前記S極面に対向配置される第1の面を有し、前記磁石体の前記回転中心において前記磁石体と相対的に回転可能に配置される半導体装置と、を備え、
前記半導体装置は、前記第1の面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の導体配線と、
前記半導体装置は、少なくとも前記導体配線に流す電流の方向を切り替える回路を含む駆動回路と、前記磁石体と前記半導体装置との相対的な回転位置を検出する検出回路と、を含む、
ことを特徴とするコアレスモーター。
【請求項2】
前記半導体装置の前記第1の面の反対面である第2の面に、前記回転中心から放射状に配置される1以上の前記導体配線が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のコアレスモーター。
【請求項3】
前記半導体装置は、2以上の半導体素子を積層して形成され、
前記半導体素子の接合面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の前記導体配線が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコアレスモーター。
【請求項4】
前記半導体装置が、前記磁石体の前記N極側と前記S極側と、に少なくとも1以上、配置されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコアレスモーター。
【請求項5】
前記半導体装置に対して、前記磁石体を回転させる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコアレスモーター。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のコアレスモーターを複数、前記回転軸方向に配置し、
前記回転軸の前記回転軸端部同士が固着され一体化させた、もしくは一体の前記回転軸を備える、
ことを特徴とするコアレスモーター。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のコアレスモーターを備えたロボットハンド。
【請求項8】
請求項7に記載のロボットハンドをそなえたロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−110179(P2012−110179A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258651(P2010−258651)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】