コネクタ、その製造方法及び接続装置
【課題】防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタ、その製造方法及び接続装置を提供することである。
【解決手段】コネクタ2は、コネクタ側端子3,3とハウジング4とを有する。ハウジング4は、第1の溶着面41sを有し且つコネクタ側端子3,3が取り付けられる樹脂製の第1のハウジング要素41と、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製の第2のハウジング要素42と、を備えて構成されている。第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されており、ハウジング4において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面は、溶着により接合されている。
【解決手段】コネクタ2は、コネクタ側端子3,3とハウジング4とを有する。ハウジング4は、第1の溶着面41sを有し且つコネクタ側端子3,3が取り付けられる樹脂製の第1のハウジング要素41と、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製の第2のハウジング要素42と、を備えて構成されている。第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されており、ハウジング4において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面は、溶着により接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ側端子とこれを収容するハウジングとを有し、防水性のあるコネクタ、その製造方法及び接続装置に関する。
【0002】
以下においては、本発明のエアバックシステムへの適用を中心に説明するが、本発明はより広範な適用が可能であり、多くの異なる環境及び各種の目的に適用できる。
【背景技術】
【0003】
例えば、エアバッグシステムは、車両の運転室内の隠れた区画部分に取り付けられた制御システムとエアバッグ組立体とを有して構成され、この制御システム及びエアバッグ組立体は、ワイヤーハーネス(電線・ケーブルを加工した製品を総称したもの)によって接続される。ここで、エアバッグ組立体には、エアバッグを着火させるためのスクイブ(エアバッグ着火装置)が含まれる。また、制御システム及びエアバッグ組立体は、それぞれの所定位置へ別個に取り付けられる。そして、これらの電気的接続を容易にするために、上記のワイヤーハーネスには電気的接続装置が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献2の技術を参照して説明すると、このような電気的接続装置1には、第1の構成要素2と、第1の構成要素2に嵌挿される第2の構成要素3が含まれる。第1の構成要素2はスクイブの一部であり、第1の構成要素2には、第2の構成要素3が嵌挿されるソケット11が形成されている(特許文献2の図1等参照)。
【0004】
特許文献2の電気的接続装置1において、第2の構成要素3は、下側部分34と上側部分36とを有している。上側部分(カバー部分)36は、下側部分34に対して折り返せるように一体になっている。これらの2つの部分34,36は、上側部分36の端から下方に伸長する、離間された弾性的な一対のタブ伸長部37と、下側部分34の端に形成された一対の掛け止め部の係合により、略直方体の一体になる。これにより、第2の構成要素3の2つの部分34,36は、適正な関係の係合状態に係止される(特許文献2の図7参照)。
【0005】
一方、特許文献3の技術における中継コネクタ10は、合成樹脂材により略L字形に形成されるハウジング11と、このハウジング11にインサート成形される一対の端子金具20,21とを備えている(特許文献3の図1等参照)。
【0006】
このような構成により、特許文献2の電気的接続装置1、特許文献3の中継コネクタ10において、それぞれ、電気端子30、端子金具20,21を収容する収容部分がカバーされる。そして、これにより、これらの端子が外部から絶縁され、また、構造的強度が確保される。
【0007】
【特許文献1】特開2002−324638号公報
【特許文献2】特許第3650034号公報
【特許文献3】特許第3634210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような電気的接続装置、中継コネクタを、水等の液体に晒されるような環境で用いる場合には、防水性能上の問題が生じ、端子を収容している収容部分に水等が浸入する可能性がある。以下、具体的に説明する。
【0009】
まず、特許文献2のような、二つの構成要素の(機械的組立による)組立品の場合、これらの二つの構成要素間に水等が浸入しやすくなるために、防水性を確保するための工夫が必要となる。このような組立品の場合、第2の構成要素には、嵌挿時にソケット側のピン等(コネクタ要素)が挿入される嵌挿口と、端子に接続される電線(又は端子)が配置される貫通空間と、端子を取り付けるための挿入口と、が設けられていることになる。ここで、嵌挿口については、嵌挿が完了すると、ソケットとの接続により防水性の確保が可能であるし、通路については、防水用のゴム栓等を装着することにより、防水性の確保が可能である。
【0010】
一方、挿入口については、従来、二つの構成要素間にOリングやシールゴムを配置して防水性を確保している。しかし、Oリングについては、防水性に問題がある場合も考えられる。また、シールゴムの使用については、部品点数が増加してしまうこと、また、シールゴムが取り付けられるだけのスペースが必要となるために電気的接続装置が大型化してしまうこと、等の理由により、シールゴムを使わずに防水性を確保することが望ましい。
【0011】
さらに、組立品の場合には、上記のように二つの構成要素を、タブ伸長部等の係合により機械的に接続することになるが、係合部には必ずクリアランス(遊び)が設けられており、それによりガタつきが発生するため、防水性の向上には限界がある。
【0012】
また、特許文献3のように、インサート成形を用いることで、端子金具とハウジングとを一体的に成形できるが、インサート成形の場合、成形に係るサイクルタイムが長く、それに伴って人件費が高くなるために、その生産性は低い。さらに、インサート成形による成形品においては、端子金具とハウジングとは密着してはいるが、一体化されているわけではないので、これらの間に水が入ることを防止することはできず、インサート成形による防水性の向上には限界がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタ、その製造方法及び接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、単数又は複数のコネクタ側端子と、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間を備えて形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、前記ハウジングは、第1の溶着面を有し且つ前記コネクタ側端子が取り付けられる樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素と、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素と、を備えて構成されている。そして、前記第1のハウジング要素には、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部が設けられており、前記第1の溶着面は、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されており、前記ハウジングにおいて、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面は、溶着により接合されている。
【0015】
この構成によると、第1の溶着面は、開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されているので、第1の溶着面及び第2の溶着面の溶着によって、開口部の全方向についての防水が確保される。また、開口部(挿入口)の防水用として、シールゴムのためのスペースが不要なので、シールゴムを使用する場合に比べて、コネクタが大型化することがない。また、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴム等を使用せず、二つのハウジング要素を接合するために、部品点数が削減される。また、係合部のクリアランスが全くないために、ガタつきが発生することがなく、組立品のコネクタに比べて防水性が向上する。また、インサート成形品の場合に比べて、成形に係るサイクルタイムが短いため、それに伴って人件費が低くなり、生産性が向上する。さらに、溶着によって二つのハウジング要素同士が分子レベルで結合するので、インサート成形による成形品と比べて、防水性が向上する。以上のように、組立品、インサート成形品の場合に比べて防水性が向上する。その結果、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタが得られる。
【0016】
なお、組立前の状態において、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素とは、一体形成されていてもよく、別体として設けられていてもよい。また、溶着方法としては、レーザー溶着、インパルス溶着、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着等を用いることができる。また、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素は、それぞれ、樹脂製及びゴム製のどちらであってもよい。
【0017】
前記溶着は、レーザー溶着であってもよい。これによると、品質に関しては、局部加熱ができるために、熱による歪がほとんど発生せず、精密な溶着が可能となる。そのため、ハウジング形状の設計自由度が高くなる。また、非接触溶着であるために、製品の外観が良好なものとなる。また、バリや微粒子ダストがほとんど発生しない。作業環境面に関しては、振動、騒音を抑えた作業が可能になる。
【0018】
前記第1の溶着面が、同一平面上に位置していてもよい。これによると、第1のハウジング要素、第2のハウジング要素の溶着面を簡易に形成することができる。また、レーザー溶着の場合には、溶着時のレーザースキャンの制御が簡易なものとなり、溶着が容易となる。
【0019】
前記コネクタ側端子は、曲折部を有するL字状に形成されており、前記ハウジングは、前記コネクタ側端子の形状に沿うようにL字状に形成されていてもよい。これによると、従来、コネクタをL字状にすることにより低背化している。しかし、コネクタにおいて、防水性を高くしようとした場合に、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、上記のように部品点数が増加することに加えて、大型化につながってしまう。そのため、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、コネクタをL字状としても、シールゴムのスペース分だけ小型化ができない。また、Oリングはスペース的には有効だが防水性が悪い。そこで、上記のような構成とすることにより、コネクタの防水性を確保しつつ、コネクタを低背化できる。
【0020】
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の相手側端子を支持する相手側ソケットに対して嵌挿されるものであり、前記第1のハウジング要素は、筒状に形成され且つ前記相手側ソケットに対して嵌挿される部分である筒状部と、箱状に形成され且つ前記筒状部の一方の端部から突出する箱状部と、を有してL字状に構成されており、前記第1の溶着面は、前記筒状部の前記一方の端部の端面を含んで形成されていてもよい。これによると、L字状のコネクタを簡易な構成で実現できる。
【0021】
前記第1の溶着面は、前記環状領域の内部又は外部に、溶着領域をさらに含んでいてもよい。これによると、環状領域以外にも溶着面が確保され、防水性がより向上する
【0022】
また、本発明にかかる接続装置は上記のいずれかのコネクタと、当該コネクタに取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の電線と、を有し、前記電線、及び、前記コネクタ側端子は、レーザー溶接によって接合されている。抵抗溶接により接合する場合には、ハウジングに、電極挿入用の孔部が必要になってしまい、防水性が低下してしまう。そこで、このような構成としてレーザー溶接を用いることで、防水性を低下させずに、コネクタ側端子に対して電線を接続することができる。
【0023】
また、本発明に係るコネクタの製造方法は、第1の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素、及び、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素を形成するハウジング要素形成工程と、第1のハウジング要素に単数又は複数のコネクタ側端子を取り付ける端子取り付け工程と、前記コネクタ側端子が取り付けられた前記第1のハウジング要素に対して、第2のハウジング要素を、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面が密着するように設置して前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素において、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面を、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有している。そして、前記ハウジング要素形成工程においては、前記第1のハウジング要素に、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部を設け、且つ、前記第1の溶着面を、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで形成し、前記ハウジング組立工程において組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素には、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間が形成されている。これによると、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素を加圧しつつ溶着することで、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタを効率的に製造することができる。
【0024】
なお、ハウジング要素形成工程、端子取り付け工程、ハウジング組立工程、接合工程は、この順序に沿って行なわれるが、これらの工程の前後、工程間には他の工程が設けられていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態例のみを示すが、これにより本発明を限定するものではない。
【0026】
(全体構成について)
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る電気的接続装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電気的接続装置の構成概略図である。
【0027】
図1に示すように、接続装置1は、コネクタ2、及び、一対の電線7,7を有して構成されている。コネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3、ハウジング4を有して構成されており、一対の相手側端子6,6を支持する相手側ソケット5に対して接続可能なものである。本実施形態において、相手側ソケット5は、エアバッグ用インフレータのハウジングであり、相手側端子6,6を支持している。そして、ハウジング4は、一対の相手側端子6,6に対して電気的に接続される一対のコネクタ側端子3,3を支持しており、相手側ソケット5に嵌挿される。相手側ソケット5は、嵌挿口となるソケット5hと、相手側端子6,6を電気的に短絡させる短絡片5mとを有している。
【0028】
この接続装置1のコネクタ側端子3,3は、電線7,7に接続されており、相手側端子6,6は、電線57,57に接続されている。また、電線57,57は、スクイブ(エアバッグ着火装置)5sに接続されている。スクイブ5sは、十分な電気エネルギが付与されたときに着火動作を行なうものである。そして、図1に矢印で示すように、コネクタ2が相手側ソケット5に接続されることで、すなわち、コネクタ側端子3,3及び相手側端子6,6が電気的に接続されることで、図示しないエアバッグ制御システムからの指令に基づいた、スクイブ5sの発熱を可能とする直流回路が形成されることになる。そして、この発熱により図示しないガス発生材料が着火されてガスが発生し、図示しないエアバッグが展開することになる。
【0029】
図2は、接続装置1の構成をより具体的に示した説明概略図である。図2は、図1の側面図(A−A’矢視図)に相当するものであり、図1では一対のものとして示している相手側端子6,6及びコネクタ側端子3,3は、それぞれ片方のみ示している。図2においては、外表面に表れない内部構造は破線で示しており、また、電線57,57及びスクイブ5sは省略して示している。以下、各部の具体的構成について説明する。なお、以下の説明において、「嵌挿方向」とは、コネクタ2が、相手側ソケット5に対して嵌挿される方向を指すものとする(各図中の矢印方向参照)。
【0030】
(相手側ソケット)
まず、相手側ソケット(インフレータのハウジング)5、及び、相手側端子6,6の詳細について、図2等を参照しつつ説明する。相手側ソケット5は、上面部において角が面取りされた円柱状に形成されたものであり、その外面(図2における上部)にソケット(凹部)5hを有している。ソケット5hは、凹部として相手側ソケット5に形成されており、図2における上方向へと開口している。また、相手側ソケット5は、一対のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の相手側端子6,6を支持するものである。そして、相手側ソケット5のソケット5hの内部には、係止部が凹状に形成されている(図示せず)。
【0031】
(相手側端子)
一対の相手側端子6,6は、エアバッグを着火させるためのスクイブ5sに対して、電線57,57(図2では省略)を介して電気的に接続されており、上記のように、ソケット5hの径方向についての中心部において、それぞれ、ソケット5hの底面5fから開口縁付近まで立ち上がるように配置されている。相手側端子6,6は、このような構成で相手側ソケット5により支持されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子3,3の数に合わせて二つの相手側端子6,6が設けられているが、コネクタ側端子の数に合わせて単数又は複数の相手側端子が設けられていればよく、一つ、又は、三つ以上の相手側端子が設けられていてもよい。
【0032】
(短絡片)
次に短絡片5mについて、図2を参照しつつ説明する。短絡片5mは、一対の相手側端子6,6を電気的に短絡させるものであり、相手側ソケット5に設けられた円柱状空間であるソケット5hに係合して配置されている。
【0033】
短絡片5mは、ばね鋼のような弾性的な導電性材料で形成され、製造中に漏洩する電荷及び誤接続によりエアバッグ組立体が誤作動することがないようにするための安全手段として設けられている。この短絡片5mの一部は、一対の相手側端子6,6に当接する方向に向けて偏向され、その間に電気的な短絡回路を形成する。短絡片5mは、(図2において)上下方向に伸びる板状の基部5kと、基部5kの上部で折り曲げられ斜め下方に伸長する一対の脚部5jと、一対の脚部5jの各々の下方で折り曲げられ水平方向へ伸びる一対の当接部5zと、を備えている(図2参照)。脚部5jの各々は、基部5kから離れる方向にステップ状に折り曲げられ、偏向して双方の相手側端子6,6の側部に当接部5zが当たることで、短絡片5mと相手側端子6,6とが電気的に接続されるようになっている(図2参照)。
【0034】
そして、相手側ソケット5に対する、コネクタ2(接続装置1)の嵌挿が完了すると、短絡片5mが相手側端子6から離れ(図2の矢印F方向参照)、これによって短絡が解除されるので、スクイブ5sによる着火動作が可能となるように回路が形成される。図2には、短絡片5mと相手側端子6,6とが当接した状態が示されている。
【0035】
(コネクタ)
次に、図9等を参照しつつ、コネクタ2の詳細について説明する。上記のように、コネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3と、ハウジング4とを有して構成されている。コネクタ2は、フェライト35、シールリング36、ゴム栓37をさらに有して構成されている。また、ハウジング4は、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sを有して形成されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子は一対(二つ)設けられているが、コネクタ側端子は単数又は複数であればよく、一つ、又は、三つ以上設けられていてもよい。以下、コネクタ側端子3、ハウジング4、フェライト35、シールリング36、ゴム栓37の詳細について説明する。
【0036】
(コネクタ側端子)
図2、3を参照しながら、コネクタ側端子3について説明する。図2、3においては、コネクタ側端子3,3に、電線7,7が取り付けられた状態を示している。コネクタ2に取り付けられている一対のコネクタ側端子3,3のそれぞれは同様に構成されているので、以下の説明においては、一方のコネクタ側端子3を中心に説明し、他方のコネクタ側端子3については説明を省略することがある(電線7,7についても同様である)。
【0037】
上記のように、コネクタ側端子3は、相手側端子6と電気的に接続されるものであり、コネクタ側端子3は、曲折部を有するL字状に形成されている(図2、3参照)。具体的には、径方向断面が四角形状である角筒状に形成された外周壁部3wと、外周壁部3w中に設けられた図示しないバネ部とを有する。そして、これらから構成されるコネクタ側端子3は、一枚の金属板から各種加工を経て形成されており、相手側端子6を受け入れられるような形状及び寸法を有している。なお、コネクタ側端子は複数部品から構成されていてもよい。
【0038】
コネクタ側端子3は、外周壁部3wから延長されてほぼL字状に向きを変え、そこで電線7に接続される(図2参照)。電線7は絶縁外装されており、この外装部の端部においては、コネクタ側端子3との電気的接続のために内部の導体が露出している。そして、本実施形態においては、電線7はコネクタ側端子3に対し、レーザー溶着によって取り付けられる(後述する)。
【0039】
バネ部は、外周壁部3wの内部に形成されており、相手側端子6への接続時に相手側端子6に接触する部分となる。バネ部は、外周壁部5wの軸方向に沿って長板状に形成されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子はこのような形状となっているが、これ以外の形状であってもよい。例えば、外周壁部は、円筒状に形成されていてもよい。また、本実施形態においては、ハウジング4は、L字状に形成されているが、このような形態には限られず、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0040】
(ハウジング)
次に、図2、4、5を参照しながら、ハウジング4について説明する。ハウジング4は、第1のハウジング要素と、第2のハウジング要素とを有して構成されている。図4は、第1のハウジング要素の斜視概略図である。また、図5は第2のハウジング要素の概略説明図であり、(a)は下面視斜視概略図、(b)は(a)のB矢視図に相当する下面視概略図である。
【0041】
ハウジング4は、コネクタ2の機械的・構造的強度の確保等のための構造体であり、ハウジング4は、コネクタ側端子3の形状に沿うようにL字状に形成されている。また、ハウジング4は、相手側ソケット5に対して嵌挿される。また、ハウジング4内部に、上記のコネクタ側端子3,3が取り付けられる。なお、本実施形態においては、ハウジング4は、L字状に形成されているが、このような形態には限られず、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0042】
上記のように、ハウジング4は、第1のハウジング要素41と、第2のハウジング要素42とを有して構成されている。相手側ソケット5に対して直接嵌挿されるのは第1のハウジング要素41であり、第2のハウジング要素42は、第1のハウジング要素41の蓋部等として機能する。そして、ハウジング4においては、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sと、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sとが、レーザー溶着により接合されている(図2等参照)。以下、第1のハウジング要素41、第2のハウジング要素42のそれぞれについて、図4、5を参照しながら説明する。
【0043】
(第1のハウジング要素)
第1のハウジング要素41は樹脂製であり、その内部に一対のコネクタ側端子3,3が取り付けられる。また、第1のハウジング要素41は、第1の溶着面41sを有している(図4参照)。また、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hが設けられており、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されている。図4において、環状領域41tの説明のため、第1の溶着面41sの一部である環状領域41tを、第1のハウジング要素41からの投影図として、第1のハウジング要素41の上方に示している。また、図4において、第1の溶着面41sを、第1のハウジング要素41からの投影図として、環状領域41tの投影図のさらに上方に示している。
【0044】
図4に示すように、第1の溶着面41sは、同一平面上に位置している。なお、本実施形態においてはこのように構成されているが、第1の溶着面は、同一平面上に位置するように構成されていなくてもよく、例えば、溶着面が二つの平面上に位置する二段構成となっていてもよい。
【0045】
また、第1のハウジング要素41は、筒状に形成され且つ相手側ソケット5に対して嵌挿される部分である筒状部41cと、箱状に形成され且つ筒状部41cの一方の端部から突出する箱状部41bと、を有してL字状に構成されている。そして、箱状部41bの内部には、貫通空間41fが形成されている。また、箱状部41bの両側部には、突出形成された被係止部41g,41gが設けられている。
【0046】
また、図4に示すように、第1の溶着面41sは、筒状部41cの一方の端部の端面41dを含んで形成されている。より詳細には、第1の溶着面41sは、筒状部の一方の端部の端面41dと、箱状部41bの端面の一部41eとを含んで構成されている。また、第1の溶着面41sは、環状領域41tの内部に溶着領域41vをさらに含んで構成されている。すなわち、第1の溶着面41sは、環状領域41tと、溶着領域41vと、から構成されている。なお、本実施形態においては、このように構成されているが、第1の溶着面は、環状領域の外部に、又は、内部及び外部の両方に、溶着領域をさらに含んで構成されていてもよい。
【0047】
また、第1のハウジング要素41は、一対のコネクタ側端子3,3同士を絶縁するように構成されている。例えば、溶着領域41vは、一対のコネクタ側端子3,3同士の絶縁のための内壁の上端部である。このようにすることで、別途溶着領域を設けることなく、絶縁壁の上端部を溶着領域として有効に利用することができる。その他にも、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の外周壁部3w,3wの、径方向についての周囲を包囲するように筒状に形成された一対の端子保護部4g,4gが設けられている(図10参照)。
【0048】
また、ハウジング4が有する、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sは、第1のハウジング要素41に形成されている(図4等参照)。
【0049】
また、第1のハウジング要素41は、光吸収性を有する樹脂材料により形成されており、レーザーを吸収して発熱するように構成されている。具体的には、レーザー吸収性の高い色素(黒色等)が用いられた樹脂が用いられる。着色材料としては、顔料系吸収色素と染料系吸収色素との組み合わせが望ましい。
【0050】
(第2のハウジング要素)
第2のハウジング要素42は、樹脂製であり、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面42sを有して構成されている(図5(b)参照)。また、第2のハウジング要素42は、筒状に形成され且つ筒状部41cに被せられる筒状部42cと、箱状に形成され且つ筒状部42cの一方の端部から突出する箱状部42bと、を有してL字状に構成されている(図5(b)等参照)。また、第2のハウジング要素42は、筒状部42cの両側部において、突出形成された被係止部42h,42hを有している(図5(a)、(b)参照)。また、第2のハウジング要素42の、箱状部42bの内側には、係止部42gが形成されている(片方のみ図示)。
【0051】
また、第2のハウジング要素42は、光透過性を有する樹脂材料により形成されており、レーザーを透過させるように構成されている。第2のハウジング要素42に用いられる樹脂材料の例としては、非晶性樹脂、結晶性樹脂が挙げられる。また、着色材料については、染料系着色材料は、レーザービームを透過させるので使用上の問題がなく、黒色の着色も可能である。
【0052】
また、ハウジング4においては、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sがレーザー溶着により接合されている(図2、18等参照。詳細については後述する)。なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41、及び、第2のハウジング要素42の両方が樹脂製であるが、第1、第2のハウジング要素の片方又は両方がゴム製であってもよい。
【0053】
(フェライト)
次に、フェライトの構成について図6を参照しつつ説明する。第1のハウジング要素41の収容空間4sの奥側には、フェライト35が配置される(実際の配置については後述する)。フェライト35は、ノイズ除去のために設けられるもので、図6に示すような形状を有するほぼ箱状の均質体であり、互いに平行な二つの貫通穴35h,35hを有している。そして、一対のコネクタ側端子3,3は、この貫通穴35h,35hに嵌挿配置される。
【0054】
(シールリング)
次に、シールリングの構成について、図7を参照しつつ説明する。シールリング36は、リング状に形成されたゴム製部材であり、第1のハウジング要素41の筒状部41cの下端部に取り付けられるものである(図2、図11等参照)。そして、シールリング36により、コネクタ2の相手側ソケット5への嵌挿方向についての防水性が確保される。
【0055】
(ゴム栓)
次に、ゴム栓の構成について、図8を参照しつつ説明する。ゴム栓37は、コネクタ2の電線7,7の貫通部における防水性確保のために、貫通空間41f内に密着配置されるのもので、図8に示すようにほぼ箱状に形成され、互いに平行な二つの貫通穴37h,37hを有している。そして、電線7,7は、この貫通穴37h,37hの内部を通過するように配置される。また、電線7,7の径の大きさと、貫通穴37h、37hの径の大きさとを比べると、両者は等しいか、又は、貫通穴37h,37hの径の方が小さくなっている。
【0056】
(接続装置)
また、接続装置1は、コネクタ2と一対の電線7,7とを有して構成されている(図9参照)。上記のように、一対の電線7,7は、コネクタ2に取り付けられる一対のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続されるものである。また、接続装置1において、電線7,7、及び、コネクタ側端子3,3は、レーザー溶接によって接合されている。なお、本実施形態においては、電線は一対(二つ)設けられているが、コネクタ側端子の数に合わせて、単数又は複数の電線が設けられていればよく、一つ、又は、三つ以上の電線が設けられていてもよい。本実施形態例に係るコネクタ2及び接続装置1は、以上のように構成される。
【0057】
(接続動作)
次に、コネクタ2及び接続装置1の接続動作について図を参照しつつ説明する。始めの状態においては、図2に示すように、短絡片5mが相手側ソケット5において、相手側端子6,6に接触しており、相手側端子6,6は短絡した状態となっている。
【0058】
ここで、例えば、ハウジング要素4の側面を手で持ち、筒状部41cが相手側ソケット5のソケット5hに挿入されるように、コネクタ2を相手側ソケット5に対して挿入する。
【0059】
コネクタ2の嵌挿が完了すると、コネクタ側端子3,3内に相手側端子6,6が完全に挿入される。さらに、相手側ソケット5とコネクタ2との接続動作と同時に、コネクタ2との接触により、相手側端子6から当接部4zが退避して短絡片5mによる相手側端子6,6間の短絡状態も解除される。これにより、コネクタ側端子3,3と相手側端子6,6との電気的接続が達成される。
【0060】
そして、コネクタ2が、ソケット5hに嵌りこむことにより、被係止部42hが相手側ソケット5の係止部に係止されて、コネクタ2が相手側ソケット5に対して係合する。以上のようにして、コネクタ2の相手側ソケット5に対する接続が完了する。
【0061】
(製造方法)
次に、コネクタ2及び接続装置1の製造方法について、図を参照しながら説明する。図11乃至17は、コネクタ2及び接続装置1の製造方法の各段階を示す斜視概略図である。
【0062】
(ハウジング要素形成工程)
まず、第1の溶着面41sを有する樹脂製の第1のハウジング要素41、及び、第2の溶着面42sを有する樹脂製の第2のハウジング要素42を形成する(ハウジング要素形成工程、図4、5参照)。そして、このハウジング要素形成工程においては、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hを設け、且つ、第1の溶着面41sを、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで形成する。
【0063】
(シールリング取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41の筒状部41cの下端部に、シールリング36を取り付ける(シールリング取り付け工程)。図11は、シールリング取り付け工程が完了した状態を示している。シールリング36により、コネクタ2のソケットハウジング5への嵌挿方向についての防水性が確保される。その結果、第1のハウジング要素41の裏面41z(図10参照)側から、水等が収容空間4sに浸入することを防止できる。
【0064】
(フェライト取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41の収容空間4sの奥側に、フェライト35を取り付ける(フェライト取り付け工程、図12参照)。
【0065】
(端子取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3を取り付ける(端子取り付け工程、図13参照)。この際に、開口部41hが、コネクタ側端子3,3の挿入孔として用いられる。この取り付け工程を経ることで、コネクタ側端子3,3が、収容空間4sに収容された状態となる。
【0066】
(ゴム栓取り付け取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41に、ゴム栓37を取り付ける(ゴム栓取り付け工程、図14参照)。具体的には、第1のハウジング要素41の貫通空間41fに対して取り付けられる。ゴム栓37により、コネクタ2の電線7,7の貫通部における防水性が確保される。
【0067】
(電線接合工程)
次に、第1のハウジング要素41に対して電線7,7が取り付けられる(電線接合工程、図15参照)。具体的には、電線7,7を、ゴム栓37に対して、貫通穴37h,37hの内部を貫通するように挿入し、その奥のコネクタ側端子3,3に、露出した内部導体が接触するように配置する。そして、図15の丸で囲ったB部分にレーザーを照射することにより、レーザー溶着によって、電線7,7をコネクタ側端子3,3に対して接合する。図16には、電線接合工程が完了した状態を示す。
【0068】
例えば、ここで抵抗溶接を用いる場合には、ハウジングの下部から電極を挿入して端子と電線とを接合することになる。そして、この場合、ハウジングの下部に電極挿入用の孔部を設ける必要がある。そのため、抵抗溶接による接合は、防水性の確保という観点から問題がある。そこで、本実施形態のようにレーザー溶着を用いることで、抵抗溶接の場合に比べて、防水性を確保しつつ、電線とコネクタ側端子とを接合することができる。
【0069】
(ハウジング組立工程)
次に、記コネクタ側端子3,3が取り付けられた第1のハウジング要素41に対して、第2のハウジング要素42を、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sが密着するように設置して、第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42が組み立てられた状態とする(ハウジング組立工程、図17参照)。そして、ハウジング組立工程において組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42には、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sが形成されている。
【0070】
なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41に収容空間4sが形成されているが(すなわち、ハウジング要素形成工程においてすでに収容空間が形成されているが)、例えば、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素のそれぞれに、収容空間が部分的に形成されており、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素との組み合わせにより収容空間が形成される(ハウジング組立工程において収容空間が形成される)ように、第1、第2のハウジング要素が構成されていてもよい。
【0071】
また、このハウジング組立工程においては、第1のハウジング要素41に形成された被係止部41gと、第2のハウジング要素42に形成された係止部42gとの係合により、第2のハウジング要素42と、第1のハウジング要素41とが機械的に接続される。しかし、この状態では、第1のハウジング要素41と第2のハウジング要素42との間にクリアランスがあるために、収容空間4sに水等が浸入する可能性がある。
【0072】
(接合工程)
次に、組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する(接合工程、図18参照)。ここでは、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、レーザー溶着により接合する。
【0073】
レーザー溶着による接合についてより詳細に説明する。レーザーの照射方向は、図18に示すように、コネクタ2の嵌挿方向に沿った方向となっている。また、レーザーの照射範囲は、第1の溶着面41sに沿った範囲となる。まず、図の上方から照射されたレーザーは、第2のハウジング要素42(透過性樹脂)を通過し、第1のハウジング要素41(吸収性樹脂)に吸収される。その結果、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sが発熱して溶融する。そして、第1のハウジング要素41の熱が、熱伝導により、第1の溶着面41sと接触している第2のハウジング要素42に伝わり、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sも溶融する。そして、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sと、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sとが分子レベルで接合した状態となる。これにより、開口部41hの防水が完全なものとなり、収容空間4sへの水等の浸入が抑止される。
【0074】
ここで、レーザーとしては、YAGレーザーやレーザーダイオード(LD)等が用いられる。経済性、ビーム品質、コストの点で、レーザー樹脂溶着にはLDが効率的である。
【0075】
以上のようにしてコネクタ2及び接続装置1が製造される(図9参照)。なお、上記の工程の前後、工程間には他の工程が設けられていてもよい。
【0076】
(効果)
本発明に係るコネクタ2、その製造方法及び接続装置1により、以下のような効果が得られる。まず、本発明に係るコネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3と、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sを備えて形成されたハウジング4と、を有するコネクタであって、ハウジング4は、第1の溶着面41sを有し且つコネクタ側端子3,3が取り付けられる樹脂製の第1のハウジング要素41と、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面42sを有する樹脂製の第2のハウジング要素42と、を備えて構成されている。そして、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hが設けられており、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されており、ハウジング4において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sは、溶着により接合されている。
【0077】
これにより、コネクタ2において、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されているので、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sの溶着によって、開口部41hの全方向についての防水が確保される。また、開口部(挿入口)の防水用として、シールゴムのためのスペースが不要なので、シールゴムを使用する場合に比べて、コネクタが大型化することがない。また、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴム等を使用せず、二つのハウジング要素を接合するために、部品点数が削減される。また、係合部のクリアランスが全くないために、ガタつきが発生することがなく、組立品のコネクタに比べて防水性が向上する。また、インサート成形品の場合に比べて、成形に係るサイクルタイムが短いため、それに伴って人件費が低くなり、生産性が向上する。さらに、溶着によって二つのハウジング要素同士が分子レベルで結合するので、インサート成形による成形品と比べて、防水性が向上する。以上のように、組立品、インサート成形品の場合に比べて防水性が向上する。その結果、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタが得られる。
【0078】
なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41と第2のハウジング要素42とは別体として構成されているが、組立前の状態において、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素とは、一体形成されていてもよい。また、溶着方法としては、レーザー溶着だけでなく、インパルス溶着、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着等を用いることができる。
【0079】
また、本実施形態においては、環状領域41tは、その内側部分において収容空間4sと直接接触するように配置されているが、環状領域は、開口部を囲んで環状に形成されていればよく、収容空間と直接接していなくてもよい。また、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素は、それぞれ、樹脂製及びゴム製のどちらであってもよい。
【0080】
また、コネクタ2において、溶着がレーザー溶着であることにより、以下のような効果が得られる。まず、品質に関しては、局部加熱ができるために、熱による歪がほとんど発生せず、精密な溶着が可能となる。そのため、ハウジング形状の設計自由度が高くなる。また、非接触溶着であるために、製品の外観が良好なものとなる。また、バリや微粒子ダストがほとんど発生しない。また、作業環境面に関しては、振動、騒音を抑えた作業が可能になる。
【0081】
また、コネクタ2において、第1の溶着面41sが、同一平面上に位置していているので、第1のハウジング要素、第2のハウジング要素の溶着面を簡易に形成することができる。また、レーザー溶着の場合には、溶着時のレーザースキャンの制御が簡易なものとなり、溶着が容易となる。
【0082】
また、コネクタ2において、コネクタ側端子3は、曲折部を有するL字状に形成されており、ハウジング4は、コネクタ側端子3の形状に沿うようにL字状に形成されている。従来、コネクタをL字状にすることにより低背化している。しかし、コネクタにおいて、防水性を高くしようとした場合に、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、上記のように部品点数が増加することに加えて、大型化につながってしまう。そのため、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、コネクタをL字状としても、シールゴムのスペース分だけ小型化ができない。また、Oリングはスペース的には有効だが防水性が悪い。そこで、コネクタ2を上記のような構成とすることにより、コネクタの防水性を確保しつつ、コネクタを低背化できる。なお、コネクタはL字状のものには限られない。
【0083】
また、コネクタ2において、ハウジング4は、コネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の相手側端子6,6を支持する相手側ソケット5に対して嵌挿されるものであり、第1のハウジング要素41は、筒状に形成され且つ相手側ソケット5に対して嵌挿される部分である筒状部41cと、箱状に形成され且つ筒状部41cの一方の端部から突出する箱状部41bと、を有してL字状に構成されており、第1の溶着面41sは、筒状部41cの一方の端部の端面41dを含んで形成されているので、L字状のコネクタを簡易な構成で実現できる。なお、L字状のコネクタの形態としては、このようなものには限られず、別の形態であってもよく、例えば、筒状部は、第1のハウジング要素にのみ設けられており、箱状部は第2のハウジング要素にのみ設けられていてもよい。
【0084】
また、コネクタ2において、第1の溶着面41sは、環状領域41tの内部に、溶着領域をさらに含んでいるので、環状領域以外にも溶着面が確保され、防水性がより向上する。なお、第1の溶着面は、環状領域のみであってもよい。
【0085】
また、接続装置1は、上記のコネクタ2と、当該コネクタ2に取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の電線7,7と、を有し、電線7,7、及び、コネクタ側端子3,3は、レーザー溶接によって接合されている。抵抗溶接により接合する場合には、ハウジングに、電極挿入用の孔部が必要になってしまい、防水性が低下してしまう。そこで、このような構成としてレーザー溶接を用いることで、防水性を低下させずに、コネクタ側端子に対して電線を接続することができる。
【0086】
また、本発明に係るコネクタの製造方法は、第1のハウジング要素41、及び、第2のハウジング要素42を形成するハウジング要素形成工程と、第1のハウジング要素41に一対のコネクタ側端子3,3を取り付ける端子取り付け工程と、コネクタ側端子3,3が取り付けられた第1のハウジング要素41に対して、第2のハウジング要素42を、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sが密着するように設置して第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有している。そして、ハウジング要素形成工程においては、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hを設け、且つ、第1の溶着面41sを、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで形成し、ハウジング組立工程において組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42には、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sが形成されている。これによると、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素を加圧しつつ溶着することで、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタを効率的に製造することができる。
【0087】
(変形例)
次に、上記の実施形態に係るコネクタ、接続装置の変形例について、図19を参照しながら、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。図19は本変形例に係るコネクタの分解状態(組立前の状態)を示す分解斜視概略図を示している。なお、上記の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
本変形例に係るコネクタ、接続装置においては、第2のハウジング要素142が、一枚の板状樹脂材料(光透過性を有する樹脂材料)となっており、第2のハウジング要素142は、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有して構成されている。図19には、第1のハウジング要素41と、第2のハウジング要素142との溶着による接合が完了した状態を示している。そして、さらに、第1のハウジング要素41に形成された被係止部41gと、第3のハウジング要素143に形成された係止部との係合により、第3のハウジング要素143が、第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素142の組立体に対して機械的に接続されることで、コネクタの組立が完了する。
【0089】
コネクタ及び接続装置はこのように構成されていてもよい。本変形例に係るコネクタ及び接続装置においては、Oリングやシールゴム等のシール専用部材を使用する必要がないために、部品点数が少ないコネクタが得られる。なお、本変形例において、第3のハウジング要素も、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素に対してレーザー溶着により接合されてもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0091】
例えば、上記の実施形態においては、被係止部41g、係止部42gが第1、第2のハウジング要素に形成されているが、これらが係合しているが、これらの被係止部、係止部を設けずに、溶着のみによってこれらのハウジング要素を接合することも可能であり、この場合には、上記の特許文献2におけるタブ伸長部のようなロック部を設ける必要がないので、組立品のコネクタの場合に比べて、コネクタを簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ及び接続装置の構成概略図。
【図2】図1のコネクタ及び接続装置の構成をより具体的に示した説明概略図。
【図3】図2のコネクタ側端子の斜視概略図。
【図4】図2のハウジングにおける第1のハウジング要素の斜視概略図と、第1の溶着面及び環状領域の投影図。
【図5】図2のハウジングにおける第1のハウジング要素の概略説明図。(a)は下面視斜視概略図、(b)は(a)のB矢視図に相当する下面視概略図。
【図6】図2のフェライトの斜視概略図。
【図7】図2のシールリングの斜視概略図。
【図8】ゴム栓の斜視概略図。
【図9】図2のコネクタ及び接続装置の斜視概略図。
【図10】図2のコネクタ及び接続装置の下面視概略図。
【図11】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法において、シールリング取り付け工程が完了した状態を示す斜視概略図。
【図12】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、フェライト取り付け工程を示す斜視概略図。
【図13】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、端子取り付け工程を示す斜視概略図。
【図14】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、ゴム栓取り付け工程を示す斜視概略図。
【図15】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、電線接合工程を示す斜視概略図。
【図16】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、電線接合工程が完了した状態を示す斜視概略図。
【図17】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、ハウジング組立工程を示す斜視概略図。
【図18】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、接合工程を示す斜視概略図。
【図19】変形例に係るコネクタ及び接続装置の分解状態を示す分解斜視概略図。
【符号の説明】
【0093】
1 接続装置
2 コネクタ
3 コネクタ側端子
4 ハウジング
4s 収容空間
41 第1のハウジング要素
41b 箱状部
41c 筒状部
41d 端面
41h 開口部
41s 第1の溶着面
41t 環状領域
41v 溶着領域
42 第2のハウジング要素
42s 第2の溶着面
5 相手側ソケット
6 相手側端子
7 電線
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ側端子とこれを収容するハウジングとを有し、防水性のあるコネクタ、その製造方法及び接続装置に関する。
【0002】
以下においては、本発明のエアバックシステムへの適用を中心に説明するが、本発明はより広範な適用が可能であり、多くの異なる環境及び各種の目的に適用できる。
【背景技術】
【0003】
例えば、エアバッグシステムは、車両の運転室内の隠れた区画部分に取り付けられた制御システムとエアバッグ組立体とを有して構成され、この制御システム及びエアバッグ組立体は、ワイヤーハーネス(電線・ケーブルを加工した製品を総称したもの)によって接続される。ここで、エアバッグ組立体には、エアバッグを着火させるためのスクイブ(エアバッグ着火装置)が含まれる。また、制御システム及びエアバッグ組立体は、それぞれの所定位置へ別個に取り付けられる。そして、これらの電気的接続を容易にするために、上記のワイヤーハーネスには電気的接続装置が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献2の技術を参照して説明すると、このような電気的接続装置1には、第1の構成要素2と、第1の構成要素2に嵌挿される第2の構成要素3が含まれる。第1の構成要素2はスクイブの一部であり、第1の構成要素2には、第2の構成要素3が嵌挿されるソケット11が形成されている(特許文献2の図1等参照)。
【0004】
特許文献2の電気的接続装置1において、第2の構成要素3は、下側部分34と上側部分36とを有している。上側部分(カバー部分)36は、下側部分34に対して折り返せるように一体になっている。これらの2つの部分34,36は、上側部分36の端から下方に伸長する、離間された弾性的な一対のタブ伸長部37と、下側部分34の端に形成された一対の掛け止め部の係合により、略直方体の一体になる。これにより、第2の構成要素3の2つの部分34,36は、適正な関係の係合状態に係止される(特許文献2の図7参照)。
【0005】
一方、特許文献3の技術における中継コネクタ10は、合成樹脂材により略L字形に形成されるハウジング11と、このハウジング11にインサート成形される一対の端子金具20,21とを備えている(特許文献3の図1等参照)。
【0006】
このような構成により、特許文献2の電気的接続装置1、特許文献3の中継コネクタ10において、それぞれ、電気端子30、端子金具20,21を収容する収容部分がカバーされる。そして、これにより、これらの端子が外部から絶縁され、また、構造的強度が確保される。
【0007】
【特許文献1】特開2002−324638号公報
【特許文献2】特許第3650034号公報
【特許文献3】特許第3634210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような電気的接続装置、中継コネクタを、水等の液体に晒されるような環境で用いる場合には、防水性能上の問題が生じ、端子を収容している収容部分に水等が浸入する可能性がある。以下、具体的に説明する。
【0009】
まず、特許文献2のような、二つの構成要素の(機械的組立による)組立品の場合、これらの二つの構成要素間に水等が浸入しやすくなるために、防水性を確保するための工夫が必要となる。このような組立品の場合、第2の構成要素には、嵌挿時にソケット側のピン等(コネクタ要素)が挿入される嵌挿口と、端子に接続される電線(又は端子)が配置される貫通空間と、端子を取り付けるための挿入口と、が設けられていることになる。ここで、嵌挿口については、嵌挿が完了すると、ソケットとの接続により防水性の確保が可能であるし、通路については、防水用のゴム栓等を装着することにより、防水性の確保が可能である。
【0010】
一方、挿入口については、従来、二つの構成要素間にOリングやシールゴムを配置して防水性を確保している。しかし、Oリングについては、防水性に問題がある場合も考えられる。また、シールゴムの使用については、部品点数が増加してしまうこと、また、シールゴムが取り付けられるだけのスペースが必要となるために電気的接続装置が大型化してしまうこと、等の理由により、シールゴムを使わずに防水性を確保することが望ましい。
【0011】
さらに、組立品の場合には、上記のように二つの構成要素を、タブ伸長部等の係合により機械的に接続することになるが、係合部には必ずクリアランス(遊び)が設けられており、それによりガタつきが発生するため、防水性の向上には限界がある。
【0012】
また、特許文献3のように、インサート成形を用いることで、端子金具とハウジングとを一体的に成形できるが、インサート成形の場合、成形に係るサイクルタイムが長く、それに伴って人件費が高くなるために、その生産性は低い。さらに、インサート成形による成形品においては、端子金具とハウジングとは密着してはいるが、一体化されているわけではないので、これらの間に水が入ることを防止することはできず、インサート成形による防水性の向上には限界がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタ、その製造方法及び接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、単数又は複数のコネクタ側端子と、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間を備えて形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、前記ハウジングは、第1の溶着面を有し且つ前記コネクタ側端子が取り付けられる樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素と、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素と、を備えて構成されている。そして、前記第1のハウジング要素には、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部が設けられており、前記第1の溶着面は、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されており、前記ハウジングにおいて、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面は、溶着により接合されている。
【0015】
この構成によると、第1の溶着面は、開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されているので、第1の溶着面及び第2の溶着面の溶着によって、開口部の全方向についての防水が確保される。また、開口部(挿入口)の防水用として、シールゴムのためのスペースが不要なので、シールゴムを使用する場合に比べて、コネクタが大型化することがない。また、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴム等を使用せず、二つのハウジング要素を接合するために、部品点数が削減される。また、係合部のクリアランスが全くないために、ガタつきが発生することがなく、組立品のコネクタに比べて防水性が向上する。また、インサート成形品の場合に比べて、成形に係るサイクルタイムが短いため、それに伴って人件費が低くなり、生産性が向上する。さらに、溶着によって二つのハウジング要素同士が分子レベルで結合するので、インサート成形による成形品と比べて、防水性が向上する。以上のように、組立品、インサート成形品の場合に比べて防水性が向上する。その結果、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタが得られる。
【0016】
なお、組立前の状態において、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素とは、一体形成されていてもよく、別体として設けられていてもよい。また、溶着方法としては、レーザー溶着、インパルス溶着、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着等を用いることができる。また、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素は、それぞれ、樹脂製及びゴム製のどちらであってもよい。
【0017】
前記溶着は、レーザー溶着であってもよい。これによると、品質に関しては、局部加熱ができるために、熱による歪がほとんど発生せず、精密な溶着が可能となる。そのため、ハウジング形状の設計自由度が高くなる。また、非接触溶着であるために、製品の外観が良好なものとなる。また、バリや微粒子ダストがほとんど発生しない。作業環境面に関しては、振動、騒音を抑えた作業が可能になる。
【0018】
前記第1の溶着面が、同一平面上に位置していてもよい。これによると、第1のハウジング要素、第2のハウジング要素の溶着面を簡易に形成することができる。また、レーザー溶着の場合には、溶着時のレーザースキャンの制御が簡易なものとなり、溶着が容易となる。
【0019】
前記コネクタ側端子は、曲折部を有するL字状に形成されており、前記ハウジングは、前記コネクタ側端子の形状に沿うようにL字状に形成されていてもよい。これによると、従来、コネクタをL字状にすることにより低背化している。しかし、コネクタにおいて、防水性を高くしようとした場合に、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、上記のように部品点数が増加することに加えて、大型化につながってしまう。そのため、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、コネクタをL字状としても、シールゴムのスペース分だけ小型化ができない。また、Oリングはスペース的には有効だが防水性が悪い。そこで、上記のような構成とすることにより、コネクタの防水性を確保しつつ、コネクタを低背化できる。
【0020】
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の相手側端子を支持する相手側ソケットに対して嵌挿されるものであり、前記第1のハウジング要素は、筒状に形成され且つ前記相手側ソケットに対して嵌挿される部分である筒状部と、箱状に形成され且つ前記筒状部の一方の端部から突出する箱状部と、を有してL字状に構成されており、前記第1の溶着面は、前記筒状部の前記一方の端部の端面を含んで形成されていてもよい。これによると、L字状のコネクタを簡易な構成で実現できる。
【0021】
前記第1の溶着面は、前記環状領域の内部又は外部に、溶着領域をさらに含んでいてもよい。これによると、環状領域以外にも溶着面が確保され、防水性がより向上する
【0022】
また、本発明にかかる接続装置は上記のいずれかのコネクタと、当該コネクタに取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の電線と、を有し、前記電線、及び、前記コネクタ側端子は、レーザー溶接によって接合されている。抵抗溶接により接合する場合には、ハウジングに、電極挿入用の孔部が必要になってしまい、防水性が低下してしまう。そこで、このような構成としてレーザー溶接を用いることで、防水性を低下させずに、コネクタ側端子に対して電線を接続することができる。
【0023】
また、本発明に係るコネクタの製造方法は、第1の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素、及び、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素を形成するハウジング要素形成工程と、第1のハウジング要素に単数又は複数のコネクタ側端子を取り付ける端子取り付け工程と、前記コネクタ側端子が取り付けられた前記第1のハウジング要素に対して、第2のハウジング要素を、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面が密着するように設置して前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素において、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面を、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有している。そして、前記ハウジング要素形成工程においては、前記第1のハウジング要素に、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部を設け、且つ、前記第1の溶着面を、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで形成し、前記ハウジング組立工程において組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素には、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間が形成されている。これによると、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素を加圧しつつ溶着することで、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタを効率的に製造することができる。
【0024】
なお、ハウジング要素形成工程、端子取り付け工程、ハウジング組立工程、接合工程は、この順序に沿って行なわれるが、これらの工程の前後、工程間には他の工程が設けられていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態例のみを示すが、これにより本発明を限定するものではない。
【0026】
(全体構成について)
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る電気的接続装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電気的接続装置の構成概略図である。
【0027】
図1に示すように、接続装置1は、コネクタ2、及び、一対の電線7,7を有して構成されている。コネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3、ハウジング4を有して構成されており、一対の相手側端子6,6を支持する相手側ソケット5に対して接続可能なものである。本実施形態において、相手側ソケット5は、エアバッグ用インフレータのハウジングであり、相手側端子6,6を支持している。そして、ハウジング4は、一対の相手側端子6,6に対して電気的に接続される一対のコネクタ側端子3,3を支持しており、相手側ソケット5に嵌挿される。相手側ソケット5は、嵌挿口となるソケット5hと、相手側端子6,6を電気的に短絡させる短絡片5mとを有している。
【0028】
この接続装置1のコネクタ側端子3,3は、電線7,7に接続されており、相手側端子6,6は、電線57,57に接続されている。また、電線57,57は、スクイブ(エアバッグ着火装置)5sに接続されている。スクイブ5sは、十分な電気エネルギが付与されたときに着火動作を行なうものである。そして、図1に矢印で示すように、コネクタ2が相手側ソケット5に接続されることで、すなわち、コネクタ側端子3,3及び相手側端子6,6が電気的に接続されることで、図示しないエアバッグ制御システムからの指令に基づいた、スクイブ5sの発熱を可能とする直流回路が形成されることになる。そして、この発熱により図示しないガス発生材料が着火されてガスが発生し、図示しないエアバッグが展開することになる。
【0029】
図2は、接続装置1の構成をより具体的に示した説明概略図である。図2は、図1の側面図(A−A’矢視図)に相当するものであり、図1では一対のものとして示している相手側端子6,6及びコネクタ側端子3,3は、それぞれ片方のみ示している。図2においては、外表面に表れない内部構造は破線で示しており、また、電線57,57及びスクイブ5sは省略して示している。以下、各部の具体的構成について説明する。なお、以下の説明において、「嵌挿方向」とは、コネクタ2が、相手側ソケット5に対して嵌挿される方向を指すものとする(各図中の矢印方向参照)。
【0030】
(相手側ソケット)
まず、相手側ソケット(インフレータのハウジング)5、及び、相手側端子6,6の詳細について、図2等を参照しつつ説明する。相手側ソケット5は、上面部において角が面取りされた円柱状に形成されたものであり、その外面(図2における上部)にソケット(凹部)5hを有している。ソケット5hは、凹部として相手側ソケット5に形成されており、図2における上方向へと開口している。また、相手側ソケット5は、一対のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の相手側端子6,6を支持するものである。そして、相手側ソケット5のソケット5hの内部には、係止部が凹状に形成されている(図示せず)。
【0031】
(相手側端子)
一対の相手側端子6,6は、エアバッグを着火させるためのスクイブ5sに対して、電線57,57(図2では省略)を介して電気的に接続されており、上記のように、ソケット5hの径方向についての中心部において、それぞれ、ソケット5hの底面5fから開口縁付近まで立ち上がるように配置されている。相手側端子6,6は、このような構成で相手側ソケット5により支持されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子3,3の数に合わせて二つの相手側端子6,6が設けられているが、コネクタ側端子の数に合わせて単数又は複数の相手側端子が設けられていればよく、一つ、又は、三つ以上の相手側端子が設けられていてもよい。
【0032】
(短絡片)
次に短絡片5mについて、図2を参照しつつ説明する。短絡片5mは、一対の相手側端子6,6を電気的に短絡させるものであり、相手側ソケット5に設けられた円柱状空間であるソケット5hに係合して配置されている。
【0033】
短絡片5mは、ばね鋼のような弾性的な導電性材料で形成され、製造中に漏洩する電荷及び誤接続によりエアバッグ組立体が誤作動することがないようにするための安全手段として設けられている。この短絡片5mの一部は、一対の相手側端子6,6に当接する方向に向けて偏向され、その間に電気的な短絡回路を形成する。短絡片5mは、(図2において)上下方向に伸びる板状の基部5kと、基部5kの上部で折り曲げられ斜め下方に伸長する一対の脚部5jと、一対の脚部5jの各々の下方で折り曲げられ水平方向へ伸びる一対の当接部5zと、を備えている(図2参照)。脚部5jの各々は、基部5kから離れる方向にステップ状に折り曲げられ、偏向して双方の相手側端子6,6の側部に当接部5zが当たることで、短絡片5mと相手側端子6,6とが電気的に接続されるようになっている(図2参照)。
【0034】
そして、相手側ソケット5に対する、コネクタ2(接続装置1)の嵌挿が完了すると、短絡片5mが相手側端子6から離れ(図2の矢印F方向参照)、これによって短絡が解除されるので、スクイブ5sによる着火動作が可能となるように回路が形成される。図2には、短絡片5mと相手側端子6,6とが当接した状態が示されている。
【0035】
(コネクタ)
次に、図9等を参照しつつ、コネクタ2の詳細について説明する。上記のように、コネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3と、ハウジング4とを有して構成されている。コネクタ2は、フェライト35、シールリング36、ゴム栓37をさらに有して構成されている。また、ハウジング4は、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sを有して形成されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子は一対(二つ)設けられているが、コネクタ側端子は単数又は複数であればよく、一つ、又は、三つ以上設けられていてもよい。以下、コネクタ側端子3、ハウジング4、フェライト35、シールリング36、ゴム栓37の詳細について説明する。
【0036】
(コネクタ側端子)
図2、3を参照しながら、コネクタ側端子3について説明する。図2、3においては、コネクタ側端子3,3に、電線7,7が取り付けられた状態を示している。コネクタ2に取り付けられている一対のコネクタ側端子3,3のそれぞれは同様に構成されているので、以下の説明においては、一方のコネクタ側端子3を中心に説明し、他方のコネクタ側端子3については説明を省略することがある(電線7,7についても同様である)。
【0037】
上記のように、コネクタ側端子3は、相手側端子6と電気的に接続されるものであり、コネクタ側端子3は、曲折部を有するL字状に形成されている(図2、3参照)。具体的には、径方向断面が四角形状である角筒状に形成された外周壁部3wと、外周壁部3w中に設けられた図示しないバネ部とを有する。そして、これらから構成されるコネクタ側端子3は、一枚の金属板から各種加工を経て形成されており、相手側端子6を受け入れられるような形状及び寸法を有している。なお、コネクタ側端子は複数部品から構成されていてもよい。
【0038】
コネクタ側端子3は、外周壁部3wから延長されてほぼL字状に向きを変え、そこで電線7に接続される(図2参照)。電線7は絶縁外装されており、この外装部の端部においては、コネクタ側端子3との電気的接続のために内部の導体が露出している。そして、本実施形態においては、電線7はコネクタ側端子3に対し、レーザー溶着によって取り付けられる(後述する)。
【0039】
バネ部は、外周壁部3wの内部に形成されており、相手側端子6への接続時に相手側端子6に接触する部分となる。バネ部は、外周壁部5wの軸方向に沿って長板状に形成されている。なお、本実施形態においては、コネクタ側端子はこのような形状となっているが、これ以外の形状であってもよい。例えば、外周壁部は、円筒状に形成されていてもよい。また、本実施形態においては、ハウジング4は、L字状に形成されているが、このような形態には限られず、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0040】
(ハウジング)
次に、図2、4、5を参照しながら、ハウジング4について説明する。ハウジング4は、第1のハウジング要素と、第2のハウジング要素とを有して構成されている。図4は、第1のハウジング要素の斜視概略図である。また、図5は第2のハウジング要素の概略説明図であり、(a)は下面視斜視概略図、(b)は(a)のB矢視図に相当する下面視概略図である。
【0041】
ハウジング4は、コネクタ2の機械的・構造的強度の確保等のための構造体であり、ハウジング4は、コネクタ側端子3の形状に沿うようにL字状に形成されている。また、ハウジング4は、相手側ソケット5に対して嵌挿される。また、ハウジング4内部に、上記のコネクタ側端子3,3が取り付けられる。なお、本実施形態においては、ハウジング4は、L字状に形成されているが、このような形態には限られず、例えば直線状に形成されていてもよい。
【0042】
上記のように、ハウジング4は、第1のハウジング要素41と、第2のハウジング要素42とを有して構成されている。相手側ソケット5に対して直接嵌挿されるのは第1のハウジング要素41であり、第2のハウジング要素42は、第1のハウジング要素41の蓋部等として機能する。そして、ハウジング4においては、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sと、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sとが、レーザー溶着により接合されている(図2等参照)。以下、第1のハウジング要素41、第2のハウジング要素42のそれぞれについて、図4、5を参照しながら説明する。
【0043】
(第1のハウジング要素)
第1のハウジング要素41は樹脂製であり、その内部に一対のコネクタ側端子3,3が取り付けられる。また、第1のハウジング要素41は、第1の溶着面41sを有している(図4参照)。また、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hが設けられており、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されている。図4において、環状領域41tの説明のため、第1の溶着面41sの一部である環状領域41tを、第1のハウジング要素41からの投影図として、第1のハウジング要素41の上方に示している。また、図4において、第1の溶着面41sを、第1のハウジング要素41からの投影図として、環状領域41tの投影図のさらに上方に示している。
【0044】
図4に示すように、第1の溶着面41sは、同一平面上に位置している。なお、本実施形態においてはこのように構成されているが、第1の溶着面は、同一平面上に位置するように構成されていなくてもよく、例えば、溶着面が二つの平面上に位置する二段構成となっていてもよい。
【0045】
また、第1のハウジング要素41は、筒状に形成され且つ相手側ソケット5に対して嵌挿される部分である筒状部41cと、箱状に形成され且つ筒状部41cの一方の端部から突出する箱状部41bと、を有してL字状に構成されている。そして、箱状部41bの内部には、貫通空間41fが形成されている。また、箱状部41bの両側部には、突出形成された被係止部41g,41gが設けられている。
【0046】
また、図4に示すように、第1の溶着面41sは、筒状部41cの一方の端部の端面41dを含んで形成されている。より詳細には、第1の溶着面41sは、筒状部の一方の端部の端面41dと、箱状部41bの端面の一部41eとを含んで構成されている。また、第1の溶着面41sは、環状領域41tの内部に溶着領域41vをさらに含んで構成されている。すなわち、第1の溶着面41sは、環状領域41tと、溶着領域41vと、から構成されている。なお、本実施形態においては、このように構成されているが、第1の溶着面は、環状領域の外部に、又は、内部及び外部の両方に、溶着領域をさらに含んで構成されていてもよい。
【0047】
また、第1のハウジング要素41は、一対のコネクタ側端子3,3同士を絶縁するように構成されている。例えば、溶着領域41vは、一対のコネクタ側端子3,3同士の絶縁のための内壁の上端部である。このようにすることで、別途溶着領域を設けることなく、絶縁壁の上端部を溶着領域として有効に利用することができる。その他にも、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の外周壁部3w,3wの、径方向についての周囲を包囲するように筒状に形成された一対の端子保護部4g,4gが設けられている(図10参照)。
【0048】
また、ハウジング4が有する、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sは、第1のハウジング要素41に形成されている(図4等参照)。
【0049】
また、第1のハウジング要素41は、光吸収性を有する樹脂材料により形成されており、レーザーを吸収して発熱するように構成されている。具体的には、レーザー吸収性の高い色素(黒色等)が用いられた樹脂が用いられる。着色材料としては、顔料系吸収色素と染料系吸収色素との組み合わせが望ましい。
【0050】
(第2のハウジング要素)
第2のハウジング要素42は、樹脂製であり、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面42sを有して構成されている(図5(b)参照)。また、第2のハウジング要素42は、筒状に形成され且つ筒状部41cに被せられる筒状部42cと、箱状に形成され且つ筒状部42cの一方の端部から突出する箱状部42bと、を有してL字状に構成されている(図5(b)等参照)。また、第2のハウジング要素42は、筒状部42cの両側部において、突出形成された被係止部42h,42hを有している(図5(a)、(b)参照)。また、第2のハウジング要素42の、箱状部42bの内側には、係止部42gが形成されている(片方のみ図示)。
【0051】
また、第2のハウジング要素42は、光透過性を有する樹脂材料により形成されており、レーザーを透過させるように構成されている。第2のハウジング要素42に用いられる樹脂材料の例としては、非晶性樹脂、結晶性樹脂が挙げられる。また、着色材料については、染料系着色材料は、レーザービームを透過させるので使用上の問題がなく、黒色の着色も可能である。
【0052】
また、ハウジング4においては、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sがレーザー溶着により接合されている(図2、18等参照。詳細については後述する)。なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41、及び、第2のハウジング要素42の両方が樹脂製であるが、第1、第2のハウジング要素の片方又は両方がゴム製であってもよい。
【0053】
(フェライト)
次に、フェライトの構成について図6を参照しつつ説明する。第1のハウジング要素41の収容空間4sの奥側には、フェライト35が配置される(実際の配置については後述する)。フェライト35は、ノイズ除去のために設けられるもので、図6に示すような形状を有するほぼ箱状の均質体であり、互いに平行な二つの貫通穴35h,35hを有している。そして、一対のコネクタ側端子3,3は、この貫通穴35h,35hに嵌挿配置される。
【0054】
(シールリング)
次に、シールリングの構成について、図7を参照しつつ説明する。シールリング36は、リング状に形成されたゴム製部材であり、第1のハウジング要素41の筒状部41cの下端部に取り付けられるものである(図2、図11等参照)。そして、シールリング36により、コネクタ2の相手側ソケット5への嵌挿方向についての防水性が確保される。
【0055】
(ゴム栓)
次に、ゴム栓の構成について、図8を参照しつつ説明する。ゴム栓37は、コネクタ2の電線7,7の貫通部における防水性確保のために、貫通空間41f内に密着配置されるのもので、図8に示すようにほぼ箱状に形成され、互いに平行な二つの貫通穴37h,37hを有している。そして、電線7,7は、この貫通穴37h,37hの内部を通過するように配置される。また、電線7,7の径の大きさと、貫通穴37h、37hの径の大きさとを比べると、両者は等しいか、又は、貫通穴37h,37hの径の方が小さくなっている。
【0056】
(接続装置)
また、接続装置1は、コネクタ2と一対の電線7,7とを有して構成されている(図9参照)。上記のように、一対の電線7,7は、コネクタ2に取り付けられる一対のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続されるものである。また、接続装置1において、電線7,7、及び、コネクタ側端子3,3は、レーザー溶接によって接合されている。なお、本実施形態においては、電線は一対(二つ)設けられているが、コネクタ側端子の数に合わせて、単数又は複数の電線が設けられていればよく、一つ、又は、三つ以上の電線が設けられていてもよい。本実施形態例に係るコネクタ2及び接続装置1は、以上のように構成される。
【0057】
(接続動作)
次に、コネクタ2及び接続装置1の接続動作について図を参照しつつ説明する。始めの状態においては、図2に示すように、短絡片5mが相手側ソケット5において、相手側端子6,6に接触しており、相手側端子6,6は短絡した状態となっている。
【0058】
ここで、例えば、ハウジング要素4の側面を手で持ち、筒状部41cが相手側ソケット5のソケット5hに挿入されるように、コネクタ2を相手側ソケット5に対して挿入する。
【0059】
コネクタ2の嵌挿が完了すると、コネクタ側端子3,3内に相手側端子6,6が完全に挿入される。さらに、相手側ソケット5とコネクタ2との接続動作と同時に、コネクタ2との接触により、相手側端子6から当接部4zが退避して短絡片5mによる相手側端子6,6間の短絡状態も解除される。これにより、コネクタ側端子3,3と相手側端子6,6との電気的接続が達成される。
【0060】
そして、コネクタ2が、ソケット5hに嵌りこむことにより、被係止部42hが相手側ソケット5の係止部に係止されて、コネクタ2が相手側ソケット5に対して係合する。以上のようにして、コネクタ2の相手側ソケット5に対する接続が完了する。
【0061】
(製造方法)
次に、コネクタ2及び接続装置1の製造方法について、図を参照しながら説明する。図11乃至17は、コネクタ2及び接続装置1の製造方法の各段階を示す斜視概略図である。
【0062】
(ハウジング要素形成工程)
まず、第1の溶着面41sを有する樹脂製の第1のハウジング要素41、及び、第2の溶着面42sを有する樹脂製の第2のハウジング要素42を形成する(ハウジング要素形成工程、図4、5参照)。そして、このハウジング要素形成工程においては、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hを設け、且つ、第1の溶着面41sを、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで形成する。
【0063】
(シールリング取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41の筒状部41cの下端部に、シールリング36を取り付ける(シールリング取り付け工程)。図11は、シールリング取り付け工程が完了した状態を示している。シールリング36により、コネクタ2のソケットハウジング5への嵌挿方向についての防水性が確保される。その結果、第1のハウジング要素41の裏面41z(図10参照)側から、水等が収容空間4sに浸入することを防止できる。
【0064】
(フェライト取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41の収容空間4sの奥側に、フェライト35を取り付ける(フェライト取り付け工程、図12参照)。
【0065】
(端子取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3を取り付ける(端子取り付け工程、図13参照)。この際に、開口部41hが、コネクタ側端子3,3の挿入孔として用いられる。この取り付け工程を経ることで、コネクタ側端子3,3が、収容空間4sに収容された状態となる。
【0066】
(ゴム栓取り付け取り付け工程)
次に、第1のハウジング要素41に、ゴム栓37を取り付ける(ゴム栓取り付け工程、図14参照)。具体的には、第1のハウジング要素41の貫通空間41fに対して取り付けられる。ゴム栓37により、コネクタ2の電線7,7の貫通部における防水性が確保される。
【0067】
(電線接合工程)
次に、第1のハウジング要素41に対して電線7,7が取り付けられる(電線接合工程、図15参照)。具体的には、電線7,7を、ゴム栓37に対して、貫通穴37h,37hの内部を貫通するように挿入し、その奥のコネクタ側端子3,3に、露出した内部導体が接触するように配置する。そして、図15の丸で囲ったB部分にレーザーを照射することにより、レーザー溶着によって、電線7,7をコネクタ側端子3,3に対して接合する。図16には、電線接合工程が完了した状態を示す。
【0068】
例えば、ここで抵抗溶接を用いる場合には、ハウジングの下部から電極を挿入して端子と電線とを接合することになる。そして、この場合、ハウジングの下部に電極挿入用の孔部を設ける必要がある。そのため、抵抗溶接による接合は、防水性の確保という観点から問題がある。そこで、本実施形態のようにレーザー溶着を用いることで、抵抗溶接の場合に比べて、防水性を確保しつつ、電線とコネクタ側端子とを接合することができる。
【0069】
(ハウジング組立工程)
次に、記コネクタ側端子3,3が取り付けられた第1のハウジング要素41に対して、第2のハウジング要素42を、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sが密着するように設置して、第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42が組み立てられた状態とする(ハウジング組立工程、図17参照)。そして、ハウジング組立工程において組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42には、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sが形成されている。
【0070】
なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41に収容空間4sが形成されているが(すなわち、ハウジング要素形成工程においてすでに収容空間が形成されているが)、例えば、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素のそれぞれに、収容空間が部分的に形成されており、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素との組み合わせにより収容空間が形成される(ハウジング組立工程において収容空間が形成される)ように、第1、第2のハウジング要素が構成されていてもよい。
【0071】
また、このハウジング組立工程においては、第1のハウジング要素41に形成された被係止部41gと、第2のハウジング要素42に形成された係止部42gとの係合により、第2のハウジング要素42と、第1のハウジング要素41とが機械的に接続される。しかし、この状態では、第1のハウジング要素41と第2のハウジング要素42との間にクリアランスがあるために、収容空間4sに水等が浸入する可能性がある。
【0072】
(接合工程)
次に、組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する(接合工程、図18参照)。ここでは、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、レーザー溶着により接合する。
【0073】
レーザー溶着による接合についてより詳細に説明する。レーザーの照射方向は、図18に示すように、コネクタ2の嵌挿方向に沿った方向となっている。また、レーザーの照射範囲は、第1の溶着面41sに沿った範囲となる。まず、図の上方から照射されたレーザーは、第2のハウジング要素42(透過性樹脂)を通過し、第1のハウジング要素41(吸収性樹脂)に吸収される。その結果、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sが発熱して溶融する。そして、第1のハウジング要素41の熱が、熱伝導により、第1の溶着面41sと接触している第2のハウジング要素42に伝わり、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sも溶融する。そして、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41sと、第2のハウジング要素42の第2の溶着面42sとが分子レベルで接合した状態となる。これにより、開口部41hの防水が完全なものとなり、収容空間4sへの水等の浸入が抑止される。
【0074】
ここで、レーザーとしては、YAGレーザーやレーザーダイオード(LD)等が用いられる。経済性、ビーム品質、コストの点で、レーザー樹脂溶着にはLDが効率的である。
【0075】
以上のようにしてコネクタ2及び接続装置1が製造される(図9参照)。なお、上記の工程の前後、工程間には他の工程が設けられていてもよい。
【0076】
(効果)
本発明に係るコネクタ2、その製造方法及び接続装置1により、以下のような効果が得られる。まず、本発明に係るコネクタ2は、一対のコネクタ側端子3,3と、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sを備えて形成されたハウジング4と、を有するコネクタであって、ハウジング4は、第1の溶着面41sを有し且つコネクタ側端子3,3が取り付けられる樹脂製の第1のハウジング要素41と、第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面42sを有する樹脂製の第2のハウジング要素42と、を備えて構成されている。そして、第1のハウジング要素41には、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hが設けられており、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されており、ハウジング4において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sは、溶着により接合されている。
【0077】
これにより、コネクタ2において、第1の溶着面41sは、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで構成されているので、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sの溶着によって、開口部41hの全方向についての防水が確保される。また、開口部(挿入口)の防水用として、シールゴムのためのスペースが不要なので、シールゴムを使用する場合に比べて、コネクタが大型化することがない。また、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴム等を使用せず、二つのハウジング要素を接合するために、部品点数が削減される。また、係合部のクリアランスが全くないために、ガタつきが発生することがなく、組立品のコネクタに比べて防水性が向上する。また、インサート成形品の場合に比べて、成形に係るサイクルタイムが短いため、それに伴って人件費が低くなり、生産性が向上する。さらに、溶着によって二つのハウジング要素同士が分子レベルで結合するので、インサート成形による成形品と比べて、防水性が向上する。以上のように、組立品、インサート成形品の場合に比べて防水性が向上する。その結果、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタが得られる。
【0078】
なお、本実施形態においては、第1のハウジング要素41と第2のハウジング要素42とは別体として構成されているが、組立前の状態において、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素とは、一体形成されていてもよい。また、溶着方法としては、レーザー溶着だけでなく、インパルス溶着、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着等を用いることができる。
【0079】
また、本実施形態においては、環状領域41tは、その内側部分において収容空間4sと直接接触するように配置されているが、環状領域は、開口部を囲んで環状に形成されていればよく、収容空間と直接接していなくてもよい。また、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素は、それぞれ、樹脂製及びゴム製のどちらであってもよい。
【0080】
また、コネクタ2において、溶着がレーザー溶着であることにより、以下のような効果が得られる。まず、品質に関しては、局部加熱ができるために、熱による歪がほとんど発生せず、精密な溶着が可能となる。そのため、ハウジング形状の設計自由度が高くなる。また、非接触溶着であるために、製品の外観が良好なものとなる。また、バリや微粒子ダストがほとんど発生しない。また、作業環境面に関しては、振動、騒音を抑えた作業が可能になる。
【0081】
また、コネクタ2において、第1の溶着面41sが、同一平面上に位置していているので、第1のハウジング要素、第2のハウジング要素の溶着面を簡易に形成することができる。また、レーザー溶着の場合には、溶着時のレーザースキャンの制御が簡易なものとなり、溶着が容易となる。
【0082】
また、コネクタ2において、コネクタ側端子3は、曲折部を有するL字状に形成されており、ハウジング4は、コネクタ側端子3の形状に沿うようにL字状に形成されている。従来、コネクタをL字状にすることにより低背化している。しかし、コネクタにおいて、防水性を高くしようとした場合に、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、上記のように部品点数が増加することに加えて、大型化につながってしまう。そのため、開口部(挿入口)の防水用としてシールゴムを使うと、コネクタをL字状としても、シールゴムのスペース分だけ小型化ができない。また、Oリングはスペース的には有効だが防水性が悪い。そこで、コネクタ2を上記のような構成とすることにより、コネクタの防水性を確保しつつ、コネクタを低背化できる。なお、コネクタはL字状のものには限られない。
【0083】
また、コネクタ2において、ハウジング4は、コネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の相手側端子6,6を支持する相手側ソケット5に対して嵌挿されるものであり、第1のハウジング要素41は、筒状に形成され且つ相手側ソケット5に対して嵌挿される部分である筒状部41cと、箱状に形成され且つ筒状部41cの一方の端部から突出する箱状部41bと、を有してL字状に構成されており、第1の溶着面41sは、筒状部41cの一方の端部の端面41dを含んで形成されているので、L字状のコネクタを簡易な構成で実現できる。なお、L字状のコネクタの形態としては、このようなものには限られず、別の形態であってもよく、例えば、筒状部は、第1のハウジング要素にのみ設けられており、箱状部は第2のハウジング要素にのみ設けられていてもよい。
【0084】
また、コネクタ2において、第1の溶着面41sは、環状領域41tの内部に、溶着領域をさらに含んでいるので、環状領域以外にも溶着面が確保され、防水性がより向上する。なお、第1の溶着面は、環状領域のみであってもよい。
【0085】
また、接続装置1は、上記のコネクタ2と、当該コネクタ2に取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子3,3に対して電気的に接続される一対の電線7,7と、を有し、電線7,7、及び、コネクタ側端子3,3は、レーザー溶接によって接合されている。抵抗溶接により接合する場合には、ハウジングに、電極挿入用の孔部が必要になってしまい、防水性が低下してしまう。そこで、このような構成としてレーザー溶接を用いることで、防水性を低下させずに、コネクタ側端子に対して電線を接続することができる。
【0086】
また、本発明に係るコネクタの製造方法は、第1のハウジング要素41、及び、第2のハウジング要素42を形成するハウジング要素形成工程と、第1のハウジング要素41に一対のコネクタ側端子3,3を取り付ける端子取り付け工程と、コネクタ側端子3,3が取り付けられた第1のハウジング要素41に対して、第2のハウジング要素42を、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sが密着するように設置して第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42において、第1の溶着面41s及び第2の溶着面42sを、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有している。そして、ハウジング要素形成工程においては、第1のハウジング要素41に、コネクタ側端子3,3の取り付け時に挿入口として用いられる開口部41hを設け、且つ、第1の溶着面41sを、開口部41hを囲んで形成された環状領域41tを含んで形成し、ハウジング組立工程において組み立てられた状態の第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素42には、コネクタ側端子3,3を収容するための収容空間4sが形成されている。これによると、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素を加圧しつつ溶着することで、防水性が高いことに加え、生産性が高く且つ部品点数が少ないコネクタを効率的に製造することができる。
【0087】
(変形例)
次に、上記の実施形態に係るコネクタ、接続装置の変形例について、図19を参照しながら、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。図19は本変形例に係るコネクタの分解状態(組立前の状態)を示す分解斜視概略図を示している。なお、上記の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
本変形例に係るコネクタ、接続装置においては、第2のハウジング要素142が、一枚の板状樹脂材料(光透過性を有する樹脂材料)となっており、第2のハウジング要素142は、第1のハウジング要素41の第1の溶着面41s全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有して構成されている。図19には、第1のハウジング要素41と、第2のハウジング要素142との溶着による接合が完了した状態を示している。そして、さらに、第1のハウジング要素41に形成された被係止部41gと、第3のハウジング要素143に形成された係止部との係合により、第3のハウジング要素143が、第1のハウジング要素41及び第2のハウジング要素142の組立体に対して機械的に接続されることで、コネクタの組立が完了する。
【0089】
コネクタ及び接続装置はこのように構成されていてもよい。本変形例に係るコネクタ及び接続装置においては、Oリングやシールゴム等のシール専用部材を使用する必要がないために、部品点数が少ないコネクタが得られる。なお、本変形例において、第3のハウジング要素も、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素に対してレーザー溶着により接合されてもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0091】
例えば、上記の実施形態においては、被係止部41g、係止部42gが第1、第2のハウジング要素に形成されているが、これらが係合しているが、これらの被係止部、係止部を設けずに、溶着のみによってこれらのハウジング要素を接合することも可能であり、この場合には、上記の特許文献2におけるタブ伸長部のようなロック部を設ける必要がないので、組立品のコネクタの場合に比べて、コネクタを簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ及び接続装置の構成概略図。
【図2】図1のコネクタ及び接続装置の構成をより具体的に示した説明概略図。
【図3】図2のコネクタ側端子の斜視概略図。
【図4】図2のハウジングにおける第1のハウジング要素の斜視概略図と、第1の溶着面及び環状領域の投影図。
【図5】図2のハウジングにおける第1のハウジング要素の概略説明図。(a)は下面視斜視概略図、(b)は(a)のB矢視図に相当する下面視概略図。
【図6】図2のフェライトの斜視概略図。
【図7】図2のシールリングの斜視概略図。
【図8】ゴム栓の斜視概略図。
【図9】図2のコネクタ及び接続装置の斜視概略図。
【図10】図2のコネクタ及び接続装置の下面視概略図。
【図11】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法において、シールリング取り付け工程が完了した状態を示す斜視概略図。
【図12】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、フェライト取り付け工程を示す斜視概略図。
【図13】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、端子取り付け工程を示す斜視概略図。
【図14】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、ゴム栓取り付け工程を示す斜視概略図。
【図15】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、電線接合工程を示す斜視概略図。
【図16】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、電線接合工程が完了した状態を示す斜視概略図。
【図17】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、ハウジング組立工程を示す斜視概略図。
【図18】図2のコネクタ及び接続装置の製造方法における、接合工程を示す斜視概略図。
【図19】変形例に係るコネクタ及び接続装置の分解状態を示す分解斜視概略図。
【符号の説明】
【0093】
1 接続装置
2 コネクタ
3 コネクタ側端子
4 ハウジング
4s 収容空間
41 第1のハウジング要素
41b 箱状部
41c 筒状部
41d 端面
41h 開口部
41s 第1の溶着面
41t 環状領域
41v 溶着領域
42 第2のハウジング要素
42s 第2の溶着面
5 相手側ソケット
6 相手側端子
7 電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数又は複数のコネクタ側端子と、
前記コネクタ側端子を収容するための収容空間を備えて形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、
前記ハウジングは、第1の溶着面を有し且つ前記コネクタ側端子が取り付けられる樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素と、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素と、を備えて構成され、
前記第1のハウジング要素には、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部が設けられており、
前記第1の溶着面は、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されており、
前記ハウジングにおいて、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面は、溶着により接合されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記溶着は、レーザー溶着であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1の溶着面が、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタ側端子は、曲折部を有するL字状に形成されており、
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子の形状に沿うようにL字状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の相手側端子を支持する相手側ソケットに対して嵌挿されるものであり、
前記第1のハウジング要素は、筒状に形成され且つ前記相手側ソケットに対して嵌挿される部分である筒状部と、箱状に形成され且つ前記筒状部の一方の端部から突出する箱状部と、を有してL字状に構成されており、
前記第1の溶着面は、前記筒状部の前記一方の端部の端面を含んで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1の溶着面は、前記環状領域の内部又は外部に、溶着領域をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタと、
当該コネクタに取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の電線と、を有し、
前記電線、及び、前記コネクタ側端子は、レーザー溶接によって接合されていることを特徴とする接続装置。
【請求項8】
第1の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素、及び、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素を形成するハウジング要素形成工程と、
第1のハウジング要素に単数又は複数のコネクタ側端子を取り付ける端子取り付け工程と、
前記コネクタ側端子が取り付けられた前記第1のハウジング要素に対して、第2のハウジング要素を、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面が密着するように設置して前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、
組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素において、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面を、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有し、
前記ハウジング要素形成工程においては、前記第1のハウジング要素に、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部を設け、且つ、前記第1の溶着面を、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで形成し、
前記ハウジング組立工程において組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素には、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間が形成されていることを特徴とするコネクタの製造方法。
【請求項1】
単数又は複数のコネクタ側端子と、
前記コネクタ側端子を収容するための収容空間を備えて形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、
前記ハウジングは、第1の溶着面を有し且つ前記コネクタ側端子が取り付けられる樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素と、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素と、を備えて構成され、
前記第1のハウジング要素には、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部が設けられており、
前記第1の溶着面は、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで構成されており、
前記ハウジングにおいて、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面は、溶着により接合されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記溶着は、レーザー溶着であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1の溶着面が、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタ側端子は、曲折部を有するL字状に形成されており、
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子の形状に沿うようにL字状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記コネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の相手側端子を支持する相手側ソケットに対して嵌挿されるものであり、
前記第1のハウジング要素は、筒状に形成され且つ前記相手側ソケットに対して嵌挿される部分である筒状部と、箱状に形成され且つ前記筒状部の一方の端部から突出する箱状部と、を有してL字状に構成されており、
前記第1の溶着面は、前記筒状部の前記一方の端部の端面を含んで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1の溶着面は、前記環状領域の内部又は外部に、溶着領域をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタと、
当該コネクタに取り付けられる単数又は複数のコネクタ側端子に対して電気的に接続される単数又は複数の電線と、を有し、
前記電線、及び、前記コネクタ側端子は、レーザー溶接によって接合されていることを特徴とする接続装置。
【請求項8】
第1の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第1のハウジング要素、及び、前記第1の溶着面全体に対して密着しつつ接触するように形成された第2の溶着面を有する樹脂製又はゴム製の第2のハウジング要素を形成するハウジング要素形成工程と、
第1のハウジング要素に単数又は複数のコネクタ側端子を取り付ける端子取り付け工程と、
前記コネクタ側端子が取り付けられた前記第1のハウジング要素に対して、第2のハウジング要素を、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面が密着するように設置して前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素が組み立てられた状態とするハウジング組立工程と、
組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素において、前記第1の溶着面及び前記第2の溶着面を、互いに押圧し合うように加圧しつつ、溶着により接合する接合工程と、を有し、
前記ハウジング要素形成工程においては、前記第1のハウジング要素に、前記コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部を設け、且つ、前記第1の溶着面を、前記開口部を囲んで形成された環状領域を含んで形成し、
前記ハウジング組立工程において組み立てられた状態の前記第1のハウジング要素及び前記第2のハウジング要素には、前記コネクタ側端子を収容するための収容空間が形成されていることを特徴とするコネクタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−288116(P2008−288116A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133646(P2007−133646)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】
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