説明

コネクタ

【課題】コネクタ接続部とパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタにおいて、コンパクトで、かつ嵌合操作が容易なコネクタを提供する。
【解決手段】第1コネクタハウジング10および第2コネクタハウジング50に設けられて、メインフード11内において互いに接続する一対のパイプ接続部10P,50Pおよび一対のコネクタ接続部10C,50Cと、前記一対のパイプ接続部10P,50Pの間をシールするパイプシール部材35と、前記一対のコネクタ接続部10C,50Cの間をシールするコネクタシール部材18と、前記第1コネクタハウジング10および第2コネクタハウジング50の一方に設けられたカムピン52と他方に設けられたカム溝44とのカム作用により前記第1コネクタハウジング10と前記第2コネクタハウジング50とを引き寄せて嵌合させるレバー41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続部とパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の排気管に取り付けられて、排気ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物などの含有量を測定するセンサが知られている(例えば特許文献1)。このセンサは、排気管に取り付けられる金属製のケースを有し、ケースから引き出されたリード線はコネクタを介してセンサ駆動装置に接続される。
【特許文献1】特開2008−3076公報
【特許文献2】特開2001−210423公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のようなコネクタを接続するコネクタ接続部と、排気管のようなパイプ部材を接続するパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタの開発が要望されている。そのようなコネクタの一例として、例えば特許文献2に記載のものが知られている。
このコネクタは、コネクタの嵌合に伴って互いに接続するコネクタ接続部とパイプ接続部とを有し、パイプ接続部は、コネクタ接続部から側方へ突出して設けられたパイプ保持部に保持され、比較的大型であるという問題がある。
【0004】
そこで、パイプ接続部とコネクタ接続部とをメインフードの内側に設けて、コネクタをコンパクトにしたいという要望がある。しかし、パイプ接続部とコネクタ接続部とを一括してメインフードで囲う場合には、パイプ接続部からの気体の漏れを確実に防止することが必要である。なぜなら、例えばコネクタを排気管に接続したときに、メインフードの内側にパイプ接続部から漏れた排気ガスが滞留すると、水と反応して硫酸や硝酸が発生し、コネクタ接続部を傷めるおそれがあるからである。このため、パイプ接続部とコネクタ接続部との間に、それぞれシール部材を備える必要がある。しかし、パイプ接続部とコネクタ接続部とにそれぞれシール部材を装着すると、コネクタを嵌合させる際、シール部材の弾性収縮に伴って大きな嵌合抵抗が生じ、コネクタの嵌合操作が容易でなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタ接続部とパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタにおいて、コンパクトで、かつ嵌合操作が容易なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メインフードを有する第1コネクタハウジングと、前記メインフードに内嵌する第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングおよび第2コネクタハウジングに設けられて、前記メインフード内において互いに接続する一対のパイプ接続部および一対のコネクタ接続部と、前記一対のパイプ接続部の間をシールするパイプシール部材と、前記一対のコネクタ接続部の間をシールするコネクタシール部材と、前記第1コネクタハウジングおよび第2コネクタハウジングの一方に設けられたカムピンと他方に設けられたカム溝とのカム作用により前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを引き寄せて嵌合させるレバーとを備えることに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、パイプ接続部とコネクタ接続部とをメインフード内に設けたから、コネクタをコンパクトにすることができる。そして、パイプ接続部の間とコネクタ接続部の間とは、それぞれパイプシール部材とコネクタシール部材とによりシールされているから、一対のパイプ接続部の間から排気ガス等の気体が漏れてコネクタ接続部に悪影響を及ぼすことを防止することができる。また、レバーを操作することにより、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが引き寄せられて嵌合するから、パイプシール部材とコネクタシール部材とを備えた場合であっても、コネクタを容易に嵌合することができる。すなわち、本発明の構成によれば、コネクタ接続部とパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタにおいて、コンパクトで、かつ嵌合操作が容易なコネクタとすることができる。
【0008】
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとが嵌合する際の、前記パイプシール部材の弾性収縮と前記コネクタシール部材の弾性収縮とに起因する嵌合抵抗の発生時期が異なるものとしてもよい。
このような構成によれば、パイプシール部材およびコネクタシール部材の弾性収縮に起因する嵌合抵抗の発生時期が分散されるので、それらが同時に発生する場合に比べて、コネクタを容易に嵌合することができる。
【0009】
前記第2コネクタハウジングは、前記コネクタ接続部および前記パイプ接続部を囲うとともに前記メインフード内に嵌合する第2メインフードを有し、また前記一対のコネクタ接続部は、一方のコネクタ接続部がサブフードを有して他方のコネクタ接続部が前記サブフード内に嵌合するものとされ、前記一方のコネクタ接続部を前記第2コネクタハウジングに設け、前記サブフードの一部分を前記第2メインフードの一部分と共用してもよい。これにより、コネクタをさらにコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクタ接続部とパイプ接続部とを一体に組み付けてなるコネクタにおいて、コンパクトで、かつ嵌合操作が容易なコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図1〜図14によって説明する。
本実施形態におけるコネクタCは、互いに嵌合可能な第1コネクタハウジング10および第2コネクタハウジング50を備えている。第1コネクタハウジング10は、第1フード11(本発明のメインフードに該当する)を有しており、第2コネクタハウジング50は、第1フード11の内側に嵌合するものである。
【0012】
第1コネクタハウジング10および第2コネクタハウジング50は、第1フード11内において互いに接続する一対のコネクタ接続部(第1コネクタ接続部10Cおよび第2コネクタ接続部50C)と、一対のパイプ接続部(第1パイプ接続部10Pおよび第2パイプ接続部50P)とを備えている。以下、各構成部材において、両コネクタハウジング10,50における嵌合面側をそれぞれ前方とし、また、図1の上側を上方、下側を下方、左側を左方、右側を右方として説明する。
【0013】
第1コネクタハウジング10は、合成樹脂製(120度の耐熱性を有する耐熱性樹脂)であって、第1フード11は、図2に示すように、略正方形状の筒状をなして前方に開口している。第1フード11の両外側面には、後述するレバー41を組み付けるための一対の軸突部12が設けられている(図4参照)。また、第1フード11の両側壁には、第2コネクタハウジング50に設けられたカムピン52の通過を許容する切欠き部13が形成されている。
【0014】
第1コネクタハウジング10は、第1コネクタ接続部10Cを有している。第1コネクタ接続部10Cは、第1コネクタハウジング10の下側の略半部分に設けられている。
第1コネクタ接続部10Cは、第1フード11の奥壁14と一体に形成された端子収容部15を備えている。端子収容部15は、後述する第2コネクタ接続部50Cのサブフード54内に嵌合可能な横長断面の柱状をなし、奥壁14の前方および後方に突出している。この端子収容部15内には、第1端子20を後方から挿入可能な4つのキャビティ16が、2つずつ2段にわけて前後方向に貫通して形成されている。各キャビティ16の側面には、第1端子20を一次係止するランス16Aが、前方に向かって片持ち状に延出されている(図2および図3参照)。
【0015】
端子収容部15の前面側には、フロントタイプのリテーナ17が装着されている。このリテーナ17は、ランス16Aの撓み変形を規制するとともに、後述するシールリング18の抜け止めを兼ねるものである。このリテーナ17は耐熱性樹脂よりなり、端子収容部15に対して前方から装着可能なキャップ状に形成されている。リテーナ17には、各キャビティ16と対応した位置ごとに、第2端子60のタブ61の挿入を許容するタブ挿入口17Aが開口されている。
第1コネクタ接続部10Cの前端位置(端子収容部15に装着されリテーナ17の前面位置)は、図5に示すように、第1フード11の前端位置よりも後方に配されている。
【0016】
第1コネクタ接続部10Cに保持される第1端子20は、所定形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工することで形成され、その前端部には第2端子60のタブ61が挿入接続される略箱型の端子接続部21を有している。端子接続部21の内部には、弾性的にタブ61を挟持する弾性接触片22が設けられ、弾性接触片22は、端子接続部21の前端から後側へ向かってなだらかな山形をなして片持ち状に延出し、その頂上にはタブ61に接触する接点部22Aが突出して設けられている。
【0017】
第1端子20は、後端にバレル部23を備え、このバレル部23は、各電線Wの端末部に装着されたゴム栓24に圧着している。ゴム栓24は、その内周面と外周面とに複数条のリップ24Aを有し、各キャビティ16のうち第1フード11の奥壁14から後方に突出した部分に収容され、電線Wとキャビティ16の周面とに弾性的に密着して、各キャビティ16を個別にシールしている。
【0018】
第1コネクタ接続部10Cには、第1コネクタ接続部10Cと第2コネクタ接続部50Cとの間に挟み付けられることで、両コネクタ接続部10C,50C間をシールするシールリング18(本発明のコネクタシール部材に該当する)が備えられている。シールリング18は、端子収容部15の外周面における第1フード11の奥壁14の前面からリテーナ17の後側までの部分に嵌着している。
【0019】
シールリング18は、耐熱性に優れた弾性部材(例えばゴム)により形成され、全体として前後に開口した角筒状をなし、その内周面および外周面には、防水効果を良好にする複数条のリップ18Aが設けられている。また、シールリング18の後端には、外周面に設けられたリップ18Aよりも外側に突出する耳部18Bが設けられ、耳部18Bは、第1フード11の奥壁14と第2コネクタ接続部50Cの前端との間で前後方向に挟み付けられる。
【0020】
第1コネクタハウジング10は、第1パイプ接続部10Pを有している。第1パイプ接続部10Pは、第1コネクタハウジング10のうち上側の略半部分に設けられている。
第1パイプ接続部10Pは金属製であって、全体として前後方向に長い略円筒状をなし、第1コネクタハウジング10の幅方向に3本が並列して設けられている。第1パイプ接続部10Pは、それぞれ第1フード11の奥壁14を前後方向に貫く姿勢で、インサート成形により第1コネクタハウジング10に一体に設けられている。
【0021】
第1パイプ接続部10Pのうち第1フード11の奥壁14から後方へ突出した部分は、チューブTの端部に取り付けられた継手部材31が接続されるチューブ接続部32とされている。チューブ接続部32は、第1フード11の奥壁14から前方へ突出した部分よりも内径寸法がひとまわり大きく薄肉とされている。チューブ接続部32の内周面はねじ切りされ、継手部材31に突出して設けられたねじ軸部31Aが螺合可能とされている。ねじ軸部31Aとチューブ接続部32との螺合により、継手部材31がチューブ接続部32に接続され、チューブTと第1パイプ接続部10Pとが連通状態に保持される。各チューブ接続部32は、その後端部を除いて、全周が第1コネクタハウジング10に埋め込まれている。第1パイプ接続部10Pのうちチューブ接続部32より前側には、突条部33が設けられている。
【0022】
第1パイプ接続部10Pの前端部は、第2パイプ接続部50Pの内側に嵌合する第1嵌合部34とされている。第1嵌合部34は、第1パイプ接続部10Pのうち第1フード11の奥壁14から前方に突出した部分の略前半部分(第1コネクタ接続部10Cに装着されたシールリング18よりも前側の部分)に形成され、略後半部分に比べて外形寸法がひとまわり小さく、薄肉とされている。
【0023】
第1パイプ接続部10Pの前端位置は、第1コネクタ接続部10Cの前端よりも後方であってキャビティ16に収容された第1端子20の前端が配される位置と略同一の位置に配されている。
【0024】
第1嵌合部34の外周面には、第2パイプ接続部50Pとの間をシールするOリング35(本発明のパイプシール部材に該当する)を装着する装着溝36が全周にわたって形成されている。装着溝36は、第1嵌合部34の前後方向中央位置よりも若干後寄りの位置、言い換えると、第1コネクタ接続部10Cに収容された第1端子20の弾性接触片22の接点部22Aよりも後側の位置に配されている。
【0025】
Oリング35は、耐熱性に優れた弾性部材によりなり、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50との嵌合に伴って、第1パイプ接続部10Pと第2パイプ接続部50Pとに弾性的に密着することで、両パイプ接続部10P,50Pの間をシールし、排気ガス等の気体が両パイプ接続部10P,50Pから外側へ漏れ出すことを防止する。
【0026】
第1コネクタハウジング10は、カムピン52とカム溝44とのカム作用により第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50とを引き寄せて嵌合させるレバー41を備えている。
レバー41は、第1コネクタハウジング10の両外側面に接して配される一対のアーム部42と、一対のアーム部42を連結する連結部43とを有し、全体として門型状をなしている。一対のアーム部42は、第1コネクタハウジング10に設けられた軸突部12に組み付けられ、この軸突部12を中心としてレバー41が回動可能とされている。
【0027】
一対のアーム部42の内側面(対向面)には、第2コネクタハウジング50に設けられたカムピン52が挿入されるカム溝44が形成されている。レバー41が回動前の位置(初期位置)にあるときには、一対のアーム部42は第1コネクタハウジング10の前端において直立し、カム溝44の入り口が前方を向いた状態になる。レバー41の回動操作に従って、カム溝44の入り口に進入したカムピン52はカム溝44に沿って移動し、レバー41が回動し終える位置(終期位置)に達すると、一対のアーム部42は横倒しになる。
【0028】
連結部43には、レバー41の回動方向に向かって片持ち状に延びるロックアーム45が設けられている。ロックアーム45には、レバー41の回動動作に伴なって後述するロック突部19に当接し、ロックアーム45を弾性撓みさせつつロック突部19に乗り上げ、レバー41が終期位置に至ると、ロック突部19を乗り越えてロック突部19に係合する係合部45Aが設けられている。係合部45Aとロック突部19との係合により、両コネクタハウジング10,50は正規の嵌合状態にロックされる。なお、ロック突部19は、第1コネクタハウジング10の後端に設けられ、ロック突部19の上面(レバー41の回動方向後側の面)は、係合部45Aの乗り上げ動作を案内する案内面19Aとされている。
【0029】
また、連結部43には、検知体46が取り付けられている。検知体46は、ロックアーム45の延び方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられている。検知体46は、レバー41が終期位置に至るまでは、その略半部分をレバー41の回動方向後方へ突出させた位置(待機位置)に保持される。
【0030】
検知体46は、片持ち状をなす撓み片47を有している。撓み片47の自由端部には係止爪47Aが設けられ、係止爪47Aがロックアーム45の係合部45Aに突き当たることで、それ以上の押し込みが規制される。そして、レバー41が終期位置に到達して係合部45Aがロック突部19の奥方に嵌まると、係止爪47Aは、ロック突部19の案内面19Aに案内されて係合部45Aを乗り越えることが可能となる(図13参照)。
【0031】
第2コネクタハウジング50は、図示しないセンサが収容された金属製のケースKに形成された取付孔Hに嵌め込まれてケースKに取り付けられる。
第2コネクタハウジング50は、第1コネクタハウジング10と同様、耐熱性合成樹脂によりなり、第1フード11よりもひとまわり小さい略正方形の筒状をなして前方に開口する第2フード51(本発明の第2メインフードに該当する)を備えている(図6参照)。第2フード51部の両外側面には、レバー41のカム溝44に嵌合するカムピン52が突設されている。
【0032】
第2コネクタハウジング50は、第2コネクタ接続部50C(本発明の一方のコネクタ接続部に該当する)を有している。第2コネクタ接続部50Cは、第2コネクタハウジング50の下側の略半部分に設けられている。
【0033】
第2コネクタ接続部50Cは、第2フード51の奥壁53と一体に形成されたサブフード54を有している。サブフード54は、第1コネクタ接続部10Cの外周に嵌合可能な横長の長方形の筒状をなして前方に開口し、その前端は、第2フード51の前端と略同位置に達している(図10参照)。サブフード54は、開口端に向かって2段階で内径寸法が大きくなる形状、言い換えると、開口端に向かって2段階で厚さ寸法(径方向寸法)が小さくなる形状とされている。
【0034】
サブフード54は、その一部分を第2フード51と共用している。詳しくは、サブフード54の上下両縁部のうち下側の縁部が、第2フード51の上下両縁部のうち下側の縁部と一体に形成されている(以後、一体に形成された部分を共用部Sと称する)。共用部Sの厚さ寸法は、第2フード51の他の部分と略同一の寸法とされている。
【0035】
サブフード54の内側には、第2端子60の略前半部分を保持するフロントハウジング55が装着されている。フロントハウジング55は、サブフード54とは別体であって耐熱性樹脂よりなり、後方から第2端子60を挿入可能な4個のフロントキャビティ57が、第1コネクタ接続部10Cのキャビティ16と対応する位置に形成されている。各フロントキャビティ57内における側面には、第2端子60に係止するランス57Aが前方に向かって片持ち状に延出している。また、フロントハウジング55は、第2端子60のタブ61の根元部分の傾斜に沿い、第2端子60の前止まりを行う前壁部55Bを有している。第2端子60は、タブ61を前方に突出させた姿勢でフロントハウジング55に保持される。
【0036】
フロントハウジング55の前端は、サブフード54の前後方向略中央位置よりも若干後側の位置に配されている。フロントハウジング55から突出した第2端子60のタブ61の先端は、タブ61の突出寸法と同等の寸法分だけサブフード54の前端から後方に入った位置に配されている。
【0037】
また、第2コネクタ接続部50Cは、第2フード51の奥壁53から後方へ突出する形状をなして奥壁53と一体に形成されたリアハウジング56を有している。リアハウジング56には、第2端子60の略後半部分を収容する4つのリアキャビティ58が設けられている。
【0038】
第2端子60は、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50との嵌合に伴って第1端子20と接続するものであり、所定形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工することで形成され、前端部は第1端子20の端子接続部21に挿入されるタブ61とされている。第2端子60は、第1端子20と同様、後端に設けられたバレル部62が電線Wに装着されたゴム栓24に圧着され、ゴム栓24はリアキャビティ58に収容されている。
【0039】
第2コネクタハウジング50は、第2パイプ接続部50Pを有している。第2パイプ接続部50Pは、第2コネクタハウジング50の上側の略半部分に設けられている。
【0040】
第2パイプ接続部50Pは金属製であって、全体として前後方向に長い略円筒状をなし、第2コネクタハウジング50の幅方向に3本、第1パイプ接続部10Pと対応する間隔で並列して設けられている。第2パイプ接続部50Pの外径寸法は、前後にわたり略一定とされている。
【0041】
第2パイプ接続部50Pは、第2フード51の奥壁53を前後方向に貫通する姿勢で、インサート成形により第2コネクタハウジング50に一体に設けられている。第2パイプ接続部50Pは、第2フード51の奥壁53から後方に突出する部分を除き、第2コネクタハウジング50に埋め込まれている。また、3本の第2パイプ接続部50Pのうち幅方向の両端に配された第2パイプ接続部50Pは、一部分が第2フード51に埋め込まれている(図6参照)。
【0042】
第2パイプ接続部50Pのうち第2フード51の奥壁53から後方へ突出した部分は、第1パイプ接続部10Pと同様、チューブTに取り付けられた継手部材31が螺合するチューブ接続部71とされている。
【0043】
第2パイプ接続部50Pの前端部は、第1パイプ接続部10Pの第1嵌合部34の外側に嵌合する第2嵌合部72とされている。第2嵌合部72は、第2パイプ接続部50Pのうち第2フード51の奥壁53から前方に突出した部分の略前半部分に形成され、略後半部分に比べて内径寸法が若干大きく薄肉とされている。なお、第2パイプ接続部50Pのうち第2嵌合部72の後側には、周方向に延びる溝部73が形成されている。
【0044】
第2パイプ接続部50Pの前端は、第2コネクタハウジング50の前端(フロントハウジング55の前端)よりも前方の位置であって、フロントハウジング55から突出した第2端子60のタブ61の前端よりも若干前方の位置に達している。
【0045】
第2コネクタハウジング50は、その全周から側方に突出する形状をなしてケースKの外面に沿って配されるフランジ部81を有している。フランジ部81は、横方向に長い略長円形の板状をなしている。フランジ部81は、第2フード51の奥壁53の位置において第2コネクタハウジング50に一体に設けられ、第2コネクタハウジング50がケースKに取り付けられた状態では、第2パイプ接続部50Pのチューブ接続部71と、第2コネクタ接続部50Cのリアハウジング56とがケースKの内側に突出して配される。
【0046】
フランジ部81には、第2コネクタハウジング50をケースKにネジ固定するためのネジ締め部82が設けられている。ネジ締め部82は、フランジ部81の長手方向の両端に一対設けられている。
【0047】
フランジ部81のうちケースKの外面と対向して配される面(後面)には、ケースKとフランジ部81とに密着してこの間をシールするシール板83が装着されている。シール板83は、耐熱性に優れた弾性部材(例えばゴム)により形成され、全体として取付孔Hよりも大きく、また第2フード51よりも一回り大きい略長方形の板状をなしている(図7参照)。シール板83の周縁部にはリップ83Aが形成され、リップ83Aはシール板83の前面と後面とに2条ずつ、前後に重なる位置に形成されている。シール板83は、フランジ部81の後面に形成された装着凹部84に嵌め込まれている。
【0048】
シール板83は、各第2パイプ接続部50Pの外周に沿って円形状をなす3つのパイプ貫通孔85と、リアハウジング56の外周に沿って略正方形をなすハウジング貫通孔86とを有している。
【0049】
また、シール板83は、3つのパイプ貫通孔85の周縁部から前方へ突出し、各第2パイプ接続部50Pの外周に密着するパイプ嵌着部87を有している。パイプ嵌着部87のうち第2パイプ接続部50Pと装着凹部84とに密着する面には、複数条のリップ87Aが形成されている。
【0050】
次に、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50との嵌合操作について説明する。
まず、レバー41が初期位置にセットされ、検知体46が待機位置に保持された第1コネクタハウジング10を、ケースKに固定された第2コネクタハウジング50に浅く嵌合させ、カム溝44の入り口にカムピン52を進入させる。そして、レバー41を回動すると、レバー41のてこ作用を受けつつカムピン52がカム溝44に沿って変位し、両コネクタハウジング10,50の嵌合が進行する。
【0051】
そして、第1コネクタ接続部10Cの前端が第2端子60の前端に達するとともに、第1パイプ接続部10Pの先端が第2パイプ接続部50Pの先端に達した状態になる(図11参照)。ついで、第2端子60のタブ61がリテーナ17のタブ挿入口17Aを通過し、またサブフード54の先端がシールリング18の手前側のリップ18Aの外周側に至ってシールリング18を内側に押圧して弾性収縮させる(図12参照)。このとき、シールリング18の弾性復元力に起因して嵌合抵抗が増し、サブフード54が手前側のリップ18Aを乗り越えるときにピークを迎えてその後減少する。
【0052】
次いで、第1パイプ接続部10Pの第1嵌合部34に外嵌した第2パイプ接続部50PがOリング35の外周側に至り、Oリング35を内側に押圧して弾性収縮させる。このとき、Oリング35の弾性復元力に起因して嵌合抵抗が増し、第2嵌合部72の先端がOリング35を乗り越えるときにピークを迎えてその後減少する。
【0053】
そして、Oリング35の弾性収縮に伴う嵌合抵抗がピークを過ぎたころ、第2端子60のタブ61が、弾性接触片22の接点部22Aを乗り越える。このとき、弾性接触片22の弾性復元力に起因する嵌合抵抗はピークを迎えてその後減少する。
【0054】
やがて、レバー41は終期位置に接近し、ロックアーム45の係合部45Aがロック突部19に突き当たった後これを乗り超えてロック突部19に係合し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50とが離間不能に保持される(図13参照)。このとき、サブフード54の先端がシールリング18の耳部18Bを第1フード11の奥壁14に押し付けた状態になり、また第1パイプ接続部10Pの第1嵌合部34と第2パイプ接続部50Pの第2嵌合部72とが正規嵌合し、第1コネクタ接続部10Cと第2コネクタ接続部50Cとが正規嵌合して第1端子20と第2端子60とが正規の接続になって、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50とが正規嵌合した状態になる。
【0055】
次いで、作業者は検知体46を押し込むと、撓み片47の係止爪47Aがロック突部19の案内面19Aに案内されてこれを乗り越え、その向こうに続く係合部45Aを乗り越えて係合部45Aに係合する(図14参照)。ここで、レバー41が終期位置まで回動されていない場合には、係合部45Aがロック突部19の手前側にあり、係止爪47Aが係合部45Aに突き当たって押し込めず、未だレバー41が終期位置に至っていないことに気付くことができる。すなわち、レバー41が終期位置まで回動され、両コネクタハウジング10,50が正規嵌合してはじめて、検知体46によるロックが可能となり、検知体46のロックにより両コネクタハウジング10,50はさらに強固に離間不能に保持される。
【0056】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
一対のパイプ接続部10P,50Pと一対のコネクタ接続部10C,50Cとを第1フード11内に設けたから、コネクタCをコンパクトにすることができる。そして、一対のパイプ接続部10P,50Pの間および一対のコネクタ接続部10C,50Cの間は、それぞれOリング35とシールリング18とによってシールされているから、パイプ接続部10P,50Pの間から気体が漏れ出して第1フード11内に滞留することを防止でき、またコネクタ接続部10C,50Cの間から内側(第1端子20および第2端子60が収容されている側)に気体が入り込むことを確実に防止することができる。したがって、コネクタCを排気管に接続して使用する場合であっても、問題なく使用することができる。
【0057】
そして、レバー41を操作することで、カムピン52とカム溝44とのカム作用により第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50とが引き寄せられて嵌合するから、Oリング35とシールリング18とが装着されていても、コネクタCを容易に嵌合させることができる。すなわち、本発明の構成によれば、コネクタ接続部10C,50Cとパイプ接続部10P,50Pとを一体に組み付けてなるコネクタCにおいて、コンパクトで、かつ嵌合操作が容易なコネクタCを実現することができる。
【0058】
さらに、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング50とが嵌合する際に、Oリング35の弾性収縮とシールリング18の弾性収縮とに起因する嵌合抵抗の発生時期が異なる設定とされているから、それらが同時に発生する場合に比べて、コネクタCを容易に嵌合することができる。
【0059】
また、サブフード54の一部分を第2フード51の一部分として共用しているから、第2フード51とサブフード54とを別個設ける場合に比べて、コネクタCをさらにコンパクトにすることができる。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態では、レバー41は回動式とされているが、これに限らず、例えばレバーをスライド操作するスライド式としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態にかかるコネクタの嵌合前の状態を表す側断面図
【図2】第1コネクタハウジングの正面図
【図3】同背面図
【図4】同側面図
【図5】同側断面図
【図6】第2コネクタハウジングの正面図
【図7】同背面図
【図8】同側面図
【図9】同側断面図
【図10】図6のA−A断面図
【図11】コネクタを浅く嵌合してレバーを回動する前の状態を表す側断面図
【図12】レバーを回動し始めた状態を表す側断面図
【図13】レバーが終期位置に至ったときのコネクタの状態を表す側断面図
【図14】検知体を押し込んだ状態を表す側断面図
【符号の説明】
【0063】
C…コネクタ
10…第1コネクタハウジング
10C…第1コネクタ接続部(他方のコネクタ接続部)
10P…第1パイプ接続部
11…第1フード(メインフード)
18…シールリング(コネクタシール部材)
35…Oリング(パイプシール部材)
41…レバー
44…カム溝
50…第2コネクタハウジング
50C…第2コネクタ接続部(一方のコネクタ接続部)
50P…第2パイプ接続部
51…第2フード(第2メインフード)
52…カムピン
54…サブフード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフードを有する第1コネクタハウジングと、
前記メインフードに内嵌する第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングおよび第2コネクタハウジングに設けられて、前記メインフード内において互いに接続する一対のパイプ接続部および一対のコネクタ接続部と、
前記一対のパイプ接続部の間をシールするパイプシール部材と、
前記一対のコネクタ接続部の間をシールするコネクタシール部材と、
前記第1コネクタハウジングおよび第2コネクタハウジングの一方に設けられたカムピンと他方に設けられたカム溝とのカム作用により前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを引き寄せて嵌合させるレバーとを備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとが嵌合する際の、前記パイプシール部材の弾性収縮と前記コネクタシール部材の弾性収縮とに起因する嵌合抵抗の発生時期が異なることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2コネクタハウジングは、前記コネクタ接続部および前記パイプ接続部を囲うとともに前記メインフード内に嵌合する第2メインフードを有し、
また前記一対のコネクタ接続部は、一方のコネクタ接続部がサブフードを有して他方のコネクタ接続部が前記サブフード内に嵌合するものとされ、
前記一方のコネクタ接続部を前記第2コネクタハウジングに設け、前記サブフードの一部分を前記第2メインフードの一部分と共用したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−62035(P2010−62035A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227410(P2008−227410)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】