説明

コネクタ

【課題】レセプタクルコネクタのシェル内にそのシェルよりも小さなプラグコネクタが挿入された場合にそのプラグコネクタの抜けを防止できるようにする。
【解決手段】コネクタ1は、前側が開口して、筒状に設けられたシェル4と、シェル4内に配置されたインシュレータ22と、シェル4内に配置され、インシュレータ22と並列されたインシュレータ23と、インシュレータ22に配設されたコンタクト5と、インシュレータ23に配設されたコンタクト6と、シェル4外からシェル4内に突き出て、シェルを前側から見て前記シェル内の空洞を領域47と領域48に仕切るようにしてシェル4内に配置された仕切部32と、仕切部32をシェル4外からシェル4内に突き出すよう仕切部32を保持するバネ部31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特に、異なる種類の相手方コネクタを嵌合し得るコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、レセプタクルコネクタ(11)は、一般に、導電性のシェル(14)と、このシェル(14)の内側に収容されるインシュレータ(13)と、このインシュレータ(13)に搭載された複数の導電性コンタクト(12)と、を有するものである。レセプタクルコネクタ(11)に嵌合するプラグコネクタ(1)は、筒状のインシュレータ(3)と、その筒状の内側に設けられた複数の導電性コンタクト(2)と、を有するものである。プラグコネクタ(1)をレセプタクルコネクタ(11)に嵌合すべく、プラグコネクタ(1)のインシュレータ(3)をレセプタクルコネクタ(11)のシェル(14)に挿入すると、レセプタクルコネクタ(11)のインシュレータ(13)がプラグコネクタ(1)のインシュレータ(3)に挿入され、これらコネクタ(1,11)のコンタクト(2,12)同士が接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3425688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レセプタクルコネクタにおいて、2つのインシュレータを並列してシェル内に収容することが行われている。どちらのインシュレータにも複数のコンタクトが設けられている。このようなレセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタとしては、レセプタクルコネクタの1つのインシュレータが挿入されるプラグコネクタ(以下、第1のプラグコネクタという。)と、レセプタクルコネクタの2つのインシュレータが挿入されるプラグコネクタ(以下、第2のプラグコネクタという。)がある。
【0005】
第2のプラグコネクタのインシュレータには、2つの挿入口が設けられ、第2のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルに嵌め込まれると、レセプタクルコネクタの2つのインシュレータが2つの挿入口にそれぞれ挿入される。一方、第1のプラグコネクタのインシュレータには、1つの挿入口が設けられ、第1のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルに挿入されると、レセプタクルコネクタの1つのインシュレータが1つの挿入口に挿入される。
【0006】
第2のプラグコネクタのインシュレータの外形はレセプタクルコネクタのシェルとほぼ同形状であり、第2のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルに隙間無く嵌め込まれる。そのため、第2のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルから抜けにくくなっている。一方、レセプタクルコネクタのシェル内に2つのインシュレータがあるため、第1のプラグコネクタのインシュレータの外形はレセプタクルコネクタのシェルよりも小さく、第1のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルに挿入されても、レセプタクルコネクタのシェル内に大きな空洞が出来てしまう。そのため、第1のプラグコネクタのインシュレータが空洞側に荷重を掛けられると、第1のプラグコネクタのインシュレータがレセプタクルコネクタのシェルから抜けてしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、レセプタクルコネクタのシェル内にそのシェルよりも小さなプラグコネクタが挿入された場合にそのプラグコネクタの抜けを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、コネクタは、前側が開口して、筒状に設けられたシェルと、前記シェル内に配置された第1インシュレータと、前記シェル内に配置され、前記第1インシュレータと並列された第2インシュレータと、前記第1インシュレータに配設された第1コンタクトと、前記第2インシュレータに配設された第2コンタクトと、前記シェル外から前記シェル内に突き出て、前記シェルを前側から見て前記シェル内の空洞を前記第1インシュレータの存する第1領域と前記第2インシュレータの存する第2領域に仕切るようにして、前記シェル内に配置され、前記シェルの外に移動可能に設けられた仕切部と、を備えることとした。
【0009】
本発明によれば、プラグコネクタがシェル内の第1領域及び第2領域全体に嵌め合う大きさであれば、そのプラグコネクタがシェル内に挿入されると、仕切部がプラグコネクタによって押されてシェルの外に移動し、第1インシュレータと第2インシュレータがプラグコネクタに挿入される。
一方、プラグコネクタがシェル内の第1領域に嵌め合う大きさであれば、そのプラグコネクタがシェル内の第1領域に挿入されると、仕切部がプラグコネクタによって押されずにシェル内に配置されたままであり、第1インシュレータがプラグコネクタに挿入される。その状態でプラグコネクタが第2領域側に押されても、プラグコネクタが仕切部によって受けられるから、プラグコネクタを抜けにくくすることができる。プラグコネクタがシェル内の第2領域に嵌め合う大きさであり、そのプラグコネクタがシェル内の第2領域に挿入された場合でも、同様である。
【0010】
好ましくは、前記コネクタが、前記仕切部を前記シェル外から前記シェル内に突き出すよう前記仕切部を保持するバネ部を更に備え、前記仕切部が前記シェルの外に移動すると、前記バネ部が弾性変形することとした。
以上によれば、シェル内の第1領域及び第2領域全体に嵌め合う大きさのプラグコネクタがそのシェル内に挿入されると、仕切部がプラグコネクタによって押され、バネ部が弾性変形する。そのプラグコネクタが抜けると、バネ部が元に戻って、仕切部がシェル内に突き出る。
また、シェル内の第1領域又は第2領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域又は第2領域に挿入されても、仕切部は、プラグコネクタによって押されずにバネ部によって保持され、シェル内に配置されたままである。そのため、プラグコネクタを抜けにくくすることができる。
【0011】
好ましくは、前記コネクタが、前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部と、前記シェルの内から前記シェルの外に前記凸部を貫通した貫通孔と、を更に備え、前記バネ部が前記シェルの外側であって前記凸部の反対側に配置され、前記仕切部が前記バネ部に設けられるとともに、前記貫通孔を通じて前記シェル内に突き出ていることとした。
以上によれば、バネ部がシェルの外側であって凸部の反対側に配置されているから、コネクタの構造をシンプルにすることができる。
また、シェル内の第1領域又は第2領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域又は第2領域に挿入されると、バネ部の弾性力によってプラグコネクタが仕切部と、凸部に相対するシェルの内壁によって挟まれるからから、そのプラグコネクタの抜けを防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記バネ部が前記シェルの外側であって前記凸部の反対側において前後に延在した板バネ部であり、前記バネ部が前に向かって前記貫通孔に近づく向きに傾斜し、前記仕切部が前記バネ部の前部に設けられていることとした。
以上によれば、バネ部が板バネ部であるから、コネクタの構造をシンプルにすることができる。
【0013】
好ましくは、前記仕切部が前記第1領域と前記第2領域の間において前後に移動可能に設けられ、前記バネ部が前記仕切部をその後ろから保持することとした。
更に好ましくは、前記コネクタが、前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部を更に備え、前記仕切部が前記凸部上において前後に移動可能に設けられている。
以上によれば、シェル内の第1領域及び第2領域全体に嵌め合う大きさのプラグコネクタがそのシェル内に挿入されると、仕切部がプラグコネクタによって後ろに押され、バネ部が弾性変形する。そのプラグコネクタが抜けると、バネ部が元に戻って、仕切部が前に移動して、シェル内に突き出る。
また、シェル内の第1領域又は第2領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域又は第2領域に挿入されても、仕切部は、プラグコネクタによって押されずにバネ部によって保持され、シェル内に配置されたままである。そのため、プラグコネクタを抜けにくくすることができる。
【0014】
好ましくは、前記コネクタが、前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部を更に備え、前記仕切部が、前記シェルの内側であって前記凸部に相対する位置に設けられ、前記シェルの外側へ弾性変形する板バネであることとした。
以上によれば、シェル内の第1領域及び第2領域全体に嵌め合う大きさのプラグコネクタがそのシェル内に挿入されると、仕切部がプラグコネクタによって押され、バネ部が弾性変形する。そのプラグコネクタが、仕切部の弾性力によって仕切部と凸部の間に挟まれているから、そのプラグコネクタの抜けを防止することができる。
一方、シェル内の第1領域又は第2領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域又は第2領域に挿入されても、仕切部がシェル内に配置されたままである。そのため、プラグコネクタを抜けにくくすることができる。
【0015】
好ましくは、前記凸部のうち前記第一領域側の部分が傾斜していることとした。
以上によれば、シェル内の第1領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域に挿入されると、凸部のうち第一領域側の部分が傾斜しているから、そのプラグコネクタが第2領域側に押されると抜けやすくなる。しかし、そのような抜けを仕切部によって防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シェル内の第1領域又は第2領域に嵌め合う大きさのプラグコネクタが第1領域又は第2領域に挿入されても、そのプラグコネクタの抜けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図2】同実施形態におけるコネクタ及び2つのプラグコネクタの斜視図である。
【図3】同実施形態におけるコネクタの正面図である。
【図4】同実施形態におけるコネクタの断面図である。
【図5】同実施形態におけるコネクタのシェルの展開図である。
【図6】同実施形態におけるコネクタ及びそれに差し込まれたプラグコネクタの断面図である。
【図7】同実施形態におけるコネクタ及びそれに差し込まれた別のプラグコネクタの断面図である。
【図8】同実施形態の変形例におけるコネクタの斜視図である。
【図9】同実施形態の変形例におけるコネクタの斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図12】同実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【図13】同実施形態におけるコネクタの断面図である。
【図14】同実施形態におけるコネクタ及びそれに差し込まれたプラグコネクタの断面図である。
【図15】同実施形態におけるコネクタ及びそれに差し込まれた別のプラグコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、レセプタクル型のコネクタ1の斜視図である。図2は、このコネクタ1及びプラグ型のプラグコネクタ90,100の斜視図である。図3は、コネクタ1の正面図である。図4は、図3に示された切断線IV−IVに沿った面の矢視断面図である。
図1〜図4に示すように、レセプタクル型のコネクタ1は、樹脂成形部材2、弾性片3、シェル4及び複数のコンタクト5,6等を備える。
【0020】
シェル4は、筒状に設けられ、導電性金属により形成されている。シェル4の前側が開口し、相手方コネクタ90,100に嵌合できるようになっている。
【0021】
シェル4は、上壁41と、下壁42と、左壁43と、右壁44とを有する。上壁41と下壁42が対向し、上壁41の左右両側に左壁43、右壁44がそれぞれ設けられ、下壁42の右側に右壁44が設けられている。上壁41と左壁43の間の入隅部には、傾斜壁45が設けられている。傾斜壁45は右に向かって下りに傾斜している。
【0022】
下壁42の左端と右端の間には、上壁41に向かって突き出た凸部46が設けられている。シェル4の内側の空間が、凸部46によって凸部46よりも左壁43側の領域47と、凸部46よりも右壁44側の領域48と、に分けられている。凸部46は、右側の起立壁部46aと、右側の傾斜部46bと、頭頂部46cと、を有する。起立壁部46aが下壁42に対して立てた状態に設けられている。傾斜部46bが起立壁部46aの左方に配置されている。また、この傾斜部46bは下壁42に対して傾斜しており、具体的には、右に向かって上りに傾斜している。傾斜部56bと傾斜壁45は左右対称に設けられている。頭頂部46cは、起立壁部46aの上端部と傾斜部46bの右上端部との間に設けられている。傾斜部46bの右上端部(頭頂部46cの左端部)には、貫通孔46dが形成されている。
【0023】
凸部46の起立壁部46aと、下壁42の右部(起立壁部46aよりも右側の部分)と、右壁44と、上壁41の右部とによって囲まれた領域が領域48である。傾斜部46bと、下壁42の右部(傾斜部46bよりも左側の部分)と、左壁43と、上壁41の左部とによって囲まれた領域が領域47である。凸部46の頭頂部46cが上壁41から離れており、その頭頂部46cと上壁41が対向し、頭頂部46cと上壁41との間に隙間49がある。領域47と領域48が隙間49によって連なっている。
【0024】
シェル4の後ろ側が開口し、樹脂成形部材2がシェル4の後ろ側開口に挿入されている。樹脂成形部材2は本体部21及びインシュレータ22,23を有し、本体部21及びインシュレータ22,23が樹脂により一体成形されている。本体部21がシェル4内の後端側に嵌め込まれている。インシュレータ22,23が本体部21の前面から前方に突出している。インシュレータ22,23はシェル4内において左右に並列され、具体的には、インシュレータ22が領域47内に配置され、インシュレータ23が領域48内に配置されている。インシュレータ22,23が板状に設けられ、インシュレータ22,23と上壁41が上下に対向している。
【0025】
コンタクト5,6は本体部21を前後に貫通することで、コンタクト5,6の後部が本体部21に支持されている。コンタクト5の前部がインシュレータ22の表面に沿って配置されている。コンタクト6の前部がインシュレータ23の表面に沿って配置されている。
【0026】
弾性片3がシェル4に対して一体に設けられている。その弾性片3が自然状態となっている場合には、その弾性片3の先端部が凸部46の貫通孔46dから凸部46の頭頂部46cの上に突き出ている。これにより、凸部46の頭頂部46cと上壁41との間の隙間49が弾性片3の先端部によって塞がれている。一方、弾性片3の先端部がその上から下に押されると、弾性片3が弾性変形して、弾性片3の先端部が貫通孔46d内に引き込む。これにより、隙間49が空けられる。弾性片3の先端部の押し込みを解除すると、弾性片3が自然状態に復元し、弾性片3の先端部が凸部46の頭頂部46cの上に突き出る。
【0027】
ここで、弾性片3は板バネ部31及び仕切部32を有する。
板バネ部31の一端部は、シェル4の上壁41の後端に連結している。そして、板バネ部31は、上壁41の後端から樹脂成形部材2の本体部21の後ろ側を通って凸部46の下側にまで回り込むように設けられている。凸部46の下側に回り込んだ板バネ部31は、凸部46の起立壁部46aと傾斜部46bとの間であって頭頂部46cの下に配置されている。
【0028】
仕切部32は、板バネ部31の他端部(前端部)に連結されている。具体的には、仕切部32は、板バネ部31の他端部の左側から上に曲げられて、板バネ部31に対して立てた状態に設けられている。
板バネ部31が自然状態である場合に、凸部46の下側に回り込んだ部分が、頭頂部46cの下側において、前に向かって貫通孔46dに近づく向きに傾斜している。つまり、板バネ部31のうち凸部46の下側に回り込んだ部分が、前に向かって上りに傾斜している。板バネ部31が自然状態である場合には、仕切部32が貫通孔46dから凸部46の頭頂部46cの上に突き出ている。
一方、仕切部32がその上から下に押されると、板バネ部31が弾性変形して、仕切部32が貫通孔46dに引き込む。また、仕切部32の前上部が、前に向かって下りに傾斜する面となっている。
【0029】
なお、板バネ部31が、上壁41の後端以外の箇所においてシェル4に連結していてもよい。例えば、板バネ部31が、凸部46の傾斜部46bの左下端部において下壁42に連結するとともに、その連結部から凸部46の下側に右方に延出してもよい。逆に、板バネ部31が、凸部46の起立壁部46aの下端部において下壁42に連結するとともに、その連結部から凸部46の下側に左方に延出してもよい。
【0030】
図5は、シェル4及び弾性片3の展開図である。
シェル4及び弾性片3は、図5に示された1枚の金属板60から曲げ加工によって形成される。樹脂成形部材2の本体部21を金属板60の帯状部61によって囲うようにして、帯状部61を折り曲げ線62〜70で折り曲げ、帯状部61の一端部に設けられた嵌合部71を帯状部61の他端部に設けられた嵌合部72に嵌合することで、シェル4が形成される。帯状部61から延出した舌片73を折り曲げ線74〜76で折り曲げることによって、弾性片3が形成される。
【0031】
図2に示すように、シェル4には、2種類のプラグ型のプラグコネクタ90,100を接続することができる。
一方のプラグコネクタ90のシェル92がシェル4の全体に嵌め合う形状となっており、シェル92をシェル4の全体に差し込むことができる。シェル92内にはインシュレータ93が設けられており、インシュレータ93には、2つの挿入口94,95が設けられ、挿入口94,95内には、コンタクト96,97が設けられている。
【0032】
図6の断面図に示すように、シェル92及びインシュレータ93がシェル4に差し込まれると、仕切部32がシェル92によって下に押されて、貫通孔46dの下に引き込む。板バネ部31が弾性変形し、板バネ部31の反発力が仕切部32からシェル92に掛かるから、シェル92をシェル4から抜けにくくすることができる。シェル92及びインシュレータ93がシェル4に差し込まれると、インシュレータ22が挿入口94内に嵌め込まれ、インシュレータ23が挿入口95内に嵌め込まれる。シェル92をシェル4から取り外すと、板バネ部31が自然状態に復元し、仕切部32が貫通孔46dから凸部46の頭頂部46cの上に突き出る。
【0033】
他方のプラグコネクタ100のシェル102がシェル4のうち領域47に嵌め合う形状となっており、シェル102をシェル4の領域47に差し込むことができる。シェル102内にはインシュレータ103が設けられており、インシュレータ103には、挿入口104が設けられ、挿入口104内には、コンタクト105が設けられている。
【0034】
図7の断面図に示すように、シェル102がシェル4の領域47に差し込まれても、仕切部32は下に押されず、隙間49が仕切部32によって塞がれている。そして、シェル102の側壁が仕切部32に当接している。そのため、シェル102に対して右への荷重が掛かっても、シェル102が仕切部32に受けられるから、シェル102をシェル4の領域47から抜けにくくすることができる。
【0035】
以上のように、シェル4の領域47の右下が傾斜した面(傾斜部46b)となっているため、シェル4の領域47に差し込まれたプラグコネクタ100のシェル102に対して右への荷重が掛かると、シェル102が抜けやすいが、その抜けやすさを仕切部32によって防止することができる。
【0036】
プラグコネクタ90のシェル92がシェル4内に差し込まれる場合には、仕切部32が貫通孔46dの下に引き込むため、仕切部32がシェル92の差し込むのに邪魔にならない。
また、貫通孔46dに引き込んだ仕切部32は、凸部46の下側に位置する。つまり、引き込んだ仕切部32が傾斜部46bと起立壁部46aの間に位置するから、その仕切部32が下壁42よりも下方にはみ出ることを防止することができる。
また、板バネ部31も傾斜部46bと起立壁部46aの間に配置されているから、コネクタ1をコンパクトにすることができる。
【0037】
<変形例>
図8、図9に示すように、弾性片3とシェル4が一体成形されていなくてもよい。図8の場合には、板バネ部31の一端部が樹脂成形部材2の本体部21の後面に取り付けられ、板バネ部31が凸部46の下側にまで回り込むように設けられ、板バネ部31の他端部に設けられた仕切部32が貫通孔46dから上に突き出ている。図9の場合には、板バネ部31の一端部が樹脂成形部材2の本体部21の下面に取り付けられ、板バネ部31がその取付部から凸部46の下側にまで延出し、板バネ部31の他端部に設けられた仕切部32が貫通孔46dから上に突き出ている。図8、図9の何れの場合でも、板バネ部31の一端部がインサート成形によって樹脂成形部材2の本体部21に取り付けられてもよいし、アセンブリーによって樹脂成形部材2の本体部21に取り付けられてもよい。また、弾性片3が樹脂成形部材2と別体であったが、弾性片3が一体成形されていてもよい。
【0038】
<第2の実施の形態>
図10は、第2実施形態におけるコネクタ1Aの斜視図である。上記第1の実施の形態では、弾性片3の仕切部32が下から隙間49に突き出ていたが、第2の実施の形態では、図10に示すように、仕切部32Aが上から隙間49に突き出ていてもよい。
【0039】
この仕切部32Aは上壁41に設けられている。具体的には、凸部46の上方において、コ字状又はU字状の溝が上壁41に形成され、その溝によって囲まれた部分が仕切部32Aである。仕切部32Aは、折り曲げられることによってシェル4の内側に突き出ている。仕切部32Aの前部が、前に向かって上りに傾斜している。この仕切部32Aは、板バネとなっている。
【0040】
本実施形態におけるコネクタ1Aは、第1実施形態におけるコネクタ1と比較して、弾性片3が仕切部32Aに代わったことを除いて、第1実施形態におけるコネクタ1と同様に設けられている。
【0041】
プラグコネクタ90のシェル92がシェル4に差し込まれると、仕切部32Aがシェル92によって上に押され、シェル92が仕切部32Aと凸部46に挟まれる。シェル92をシェル4から取り外すと、仕切部32Aが自然状態に復元して、上壁41から下に突き出る。
一方、プラグコネクタ100のシェル102がシェル4のうち領域47に差し込まれても、仕切部32Aが押されず、自然状態を保つ。そのため、仕切部32Aが隙間49に突き出た状態であるから、シェル102の側壁が仕切部32Aに当接している。そのため、シェル102に対して右への荷重が掛かっても、シェル102が仕切部32Aに受けられるから、シェル102をシェル4の領域47から抜けにくくすることができる。
【0042】
<第3の実施の形態>
図11、図12は、第3実施形態におけるコネクタ1Bの斜視図である。図13は、縦断面図である。
本実施形態におけるコネクタ1Bは、第1実施形態におけるコネクタ1の弾性片3の代わりに、スプリング31B及び仕切部32Bを有する。仕切部32Bは、左右の側壁部及び前壁部を有し、上から見てコ字状又はU字状に設けられている。この仕切部32Bは、凸部46の頭頂部46cの上において前後にスライド可能に設けられたスライダである。具体的には、仕切部32Bは、前後方向に長尺な案内部としてのスリット41a,46eによって前後に案内される。スリット46eが凸部46の頭頂部46cに形成され、スリット41aがスリット46eの相対する位置において上壁41に形成されている。仕切部32Bの前部の上下には、それぞれピン33B,34Bが設けられ、ピン33B,34Bがスリット41a,46eに挿入されている。また、樹脂成形部材2の本体部21であって凸部46の上には通し孔21a,21bが形成され、これら通し孔21a,21bが本体部21の前面から後面に貫通し、仕切部32Bの左右の側壁部が通し孔21a,21bにそれぞれ挿入されている。
【0043】
仕切部32Bの内側には、スプリング31Bが配置されている。スプリング31Bの一端部が仕切部32Bの前端に連結され、スプリング31Bの他端部が本体部21の前面に連結されている。スプリング31Bが圧縮されていない状態では、ピン33B,34Bがスリット41a,46eの前端部に位置している。これにより、隙間49が仕切部32Bによって塞がれている。
【0044】
本実施形態におけるコネクタ1Bは、第1実施形態におけるコネクタ1と比較して、弾性片3がスプリング31B及び仕切部32Bに代わったことを除いて、第1実施形態におけるコネクタ1と同様に設けられている。
【0045】
図14に示すように、プラグコネクタ90のシェル92がシェル4に差し込まれると、仕切部32Bがシェル92によって後ろに押され、スプリング31Bが圧縮される。シェル92をシェル4から取り外すと、スプリング31Bが復元して、仕切部32Bが前にスライドして前に突き出る。
【0046】
一方、図15に示すように、プラグコネクタ100のシェル102がシェル4のうち領域47に差し込まれても、仕切部32Bが押されずに前に突き出たを保つ。そのため、隙間49が仕切部32Bによって塞がれたままであり、シェル102の側壁が仕切部32Bに当接する。そのため、シェル102に対して右への荷重が掛かっても、シェル102が仕切部32Bに受けられるから、シェル102をシェル4の領域47から抜けにくくすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B コネクタ
2 樹脂成形部材
3 弾性片
4 シェル
5、6 コンタクト
22、23 インシュレータ
31 板バネ部
32 仕切部
32A 仕切部
31B スプリング(バネ部)
32B 仕切部
46 凸部
46b 傾斜部
46d 貫通孔
47、48 領域
49 隙間
90、100 プラグコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側が開口して、筒状に設けられたシェルと、
前記シェル内に配置された第1インシュレータと、
前記シェル内に配置され、前記第1インシュレータと並列された第2インシュレータと、
前記第1インシュレータに配設された第1コンタクトと、
前記第2インシュレータに配設された第2コンタクトと、
前記シェル外から前記シェル内に突き出て、前記シェルを前側から見て前記シェル内の空洞を前記第1インシュレータの存する第1領域と前記第2インシュレータの存する第2領域に仕切るようにして、前記シェル内に配置され、前記シェルの外に移動可能に設けられた仕切部と、を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記仕切部を前記シェル外から前記シェル内に突き出すよう前記仕切部を保持するバネ部を更に備え、
前記仕切部が前記シェルの外に移動すると、前記バネ部が弾性変形することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部と、
前記シェルの内から前記シェルの外に前記凸部を貫通した貫通孔と、を更に備え、
前記バネ部が前記シェルの外側であって前記凸部の反対側に配置され、前記仕切部が前記バネ部に設けられるとともに、前記貫通孔を通じて前記シェル内に突き出ていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記バネ部が前記シェルの外側であって前記凸部の反対側において前後に延在した板バネ部であり、前記バネ部が前に向かって前記貫通孔に近づく向きに傾斜し、前記仕切部が前記バネ部の前部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記仕切部が前記第1領域と前記第2領域の間において前後に移動可能に設けられ、
前記バネ部が前記仕切部をその後ろから保持することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部を更に備え、
前記仕切部が前記凸部上において前後に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1領域と前記第2領域の間において前記シェルの内側に凸設された凸部を更に備え、
前記仕切部が、前記シェルの内側であって前記凸部に相対する位置に設けられ、前記シェルの外側へ弾性変形する板バネであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記凸部のうち前記第一領域側の部分が傾斜していることを特徴とする請求項3、4、6又は7に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−18452(P2011−18452A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160319(P2009−160319)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】