説明

コルゲート部を備えた構造体の製造方法およびMEMSデバイス

【課題】両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部を形成することが可能なコルゲート部を備えた構造体の製造方法およびMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】半導体基板1の一表面側に形成するコルゲート部4の曲面形状に応じて半導体基板1との接触パターンを設計した陽極2を半導体基板1の他表面側に形成する陽極形成工程と、陽極2と電解液中で半導体基板1の上記一表面側に配置される陰極との間に通電して多孔質部3を形成する陽極酸化工程と、多孔質部3を選択的にエッチング除去することにより上記曲面形状に対応する曲面1cを形成する曲面形成工程と、半導体基板1の上記一表面側にコルゲート部4の基礎となるコルゲート部材料層4aを形成するコルゲート部材料層形成工程と、半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部を選択的にエッチング除去することでコルゲート部4を形成する選択エッチング工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲート部を備えた構造体の製造方法およびMEMS(micro electro mechanical systems)デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロマシニング技術を利用してコルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスおよびその製造方法が各所で研究開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ここにおいて、上記特許文献1には、コルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスとして、図6に示す構成のマイクロバルブおよびその製造方法が記載されている。
【0004】
図6に示す構成のマイクロバルブは、流体の流入口111および流出口(弁口)112が厚み方向に貫設され一表面側において流出口112の周部に弁座113が突設された弁座形成基板110と、弁座形成基板110の上記一表面側に固着されるフレーム121およびフレーム121の内側に連続一体に設けられ弁座形成基板110の上記一表面から離間した第1のダイヤフラム部122および第1のダイヤフラム部122の中央部から弁座形成基板110側へ突出して設けられ流出口112を開閉する弁体123を有する弁体形成基板120と、弁体形成基板120における弁座形成基板110側とは反対側に固着され弁体形成基板120との間に閉鎖空間136を形成する閉鎖空間形成用基板130とを備えている。また、上述のマイクロバルブは、弁体形成基板120がシリコン基板120aを用いて形成されるとともに、弁座形成基板110および閉鎖空間形成用基板130がそれぞれガラス基板110a,130aを用いて形成されており、弁体形成基板120と弁座形成基板110とが陽極接合により固着されるとともに、弁体形成基板120と閉鎖空間形成用基板130とが陽極接合により固着されている。
【0005】
ところで、上述のマイクロバルブでは、第1のダイヤフラム部122および後述の第2のダイヤフラム部125それぞれが、断面コルゲート板状のコルゲート部を構成しており、弁体形成基板120が、コルゲート部を備えた構造体を構成している。
【0006】
上述のマイクロバルブは、静電駆動型のマイクロバルブであり、流出口112を開放する向きに弁体123を変位させる駆動手段として、第1のダイヤフラム部122の中央部に設けられた不純物拡散層(例えば、ボロンを高濃度に拡散した不純物拡散層)からなる可動電極124と、閉鎖空間形成用基板130に設けられ可動電極124と対向する金属膜からなる固定電極131とを備えており、可動電極124に電気的に接続されたパッド127aと固定電極131に電気的に接続されたパッド(図示せず)との間に電圧を印加したときに可動電極124と固定電極131との間に発生する静電力によって流出口112を開放する向きに弁体123を変位させるようになっている。すなわち、上述のマイクロバルブは、可動電極124と固定電極131との間に電圧を印加していない状態では、図6に示すように弁体123により流出口112が閉止されている。これに対して、可動電極124と固定電極131との間に駆動電圧源から規定電圧以上の電圧を印加すると、弁体123が流出口112から離れる向きに変位して流出口112が開放される。要するに、上述のマイクロバルブは、ノーマリクローズ型のマイクロバルブを構成している。
【0007】
また、上述のマイクロバルブでは、流出口112が弁体123により閉止された状態において、流入口111を通して流出口側内部空間S2に流れ込んだ流体の圧力により弁体123が浮き上がって流出口112が開放されるのを防止するために、弁体形成基板120のフレーム121の上記一表面側に第2のダイヤフラム部125が形成されており、上記閉鎖空間136には、例えば、不活性ガスや空気などの気体からなる受圧媒体が大気圧に等しい圧力で封入されている。したがって、上述のマイクロバルブでは、駆動手段により弁体123を変位させていない状態で流入口111を通して弁座形成基板110と第2のダイヤフラム部125との間の流入口側内部空間S1へ流入した流体の圧力を受けて、流入口側内部空間S1と閉鎖空間136とを仕切る第2のダイヤフラム部125が撓む(閉鎖空間形成用基板130側へ凸となる形で変形する)ことによって弁体123が流出口112を閉止する向きの力である閉止力が作用する。
【0008】
ところで、上述の弁体形成基板120の各ダイヤフラム部122,125の形成にあたっては、シリコン基板120aの一表面側において各ダイヤフラム部122,125それぞれの形成予定領域に複数の凹溝122a,125aを形成するためのマスク層を形成してから、シリコン基板120aを上記一表面側から等方性エッチングすることにより各凹溝122a,125aを形成し、その後、マスク層を除去し、続いて、シリコン基板200の上記一表面側にボロンを固相拡散させることにより可動電極124および各ダイヤフラム部122,125の基礎となる高濃度の不純物拡散層を形成し、その後、シリコン基板200の他表面側において適宜パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとしてシリコン基板200を上記他表面側から不純物拡散層に達する深さまでエッチングすることにより各ダイヤフラム部122,125を形成している。
【0009】
また、上記特許文献2には、コルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスとして、図7に示す構成の静電容量型の半導体圧力センサおよびその製造方法が記載されている。
【0010】
図7に示す構成の半導体圧力センサは、矩形枠状のフレーム部221の内側にダイヤフラム部222が形成されるとともにダイヤフラム部222の中央部に可動電極224が形成された可動電極形成基板220と、ガラス基板230aを用いて形成されて可動電極224に対向する固定電極231を有し可動電極形成基板220に接合された固定電極形成基板230とを備えている。ここにおいて、上述の半導体圧力センサでは、可動電極形成基板220がシリコン基板220aを用いて形成されており、ダイヤフラム部222が、断面コルゲート板状のコルゲート部を構成しており、可動電極形成基板220が、コルゲート部を備えた構造体を構成している。
【0011】
ところで、上記特許文献2では、上述の可動電極形成基板220のダイヤフラム部222の形成にあたっては、シリコン基板220aの一表面側においてダイヤフラム部222の形成予定領域に複数の凹溝を形成するためのマスク層を形成してから、シリコン基板220aを上記一表面側からプラズマエッチングすることにより凹溝を形成し、その後、マスク層を除去し、続いて、シリコン基板220aの上記一表面側に可動電極224およびダイヤフラム部222の基礎となる低抵抗のポリシリコン膜を成膜し、その後、シリコン基板220aの他表面側において適宜パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとしてシリコン基板220aを上記他表面側からポリシリコン膜に達する深さまでエッチングすることによりダイヤフラム部222を形成している。
【0012】
なお、コルゲート部を備えた構造体を利用したMEMSデバイスとしては、マイクロバルブや半導体圧力センサに限らず、例えば、音響センサ、流体制御デバイス、半導体加速度センサ、赤外線センサなどが提案されている。
【特許文献1】特開2007−2924号公報
【特許文献2】特開2001−267588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上記特許文献1,2に開示されたコルゲート部を備えた構造体の製造方法では、コルゲート部を構成するダイヤフラム部122,125,222を形成するにあたって、マスク層を利用した等方性エッチングやプラズマエッチングにより複数の凹溝を所定のピッチで形成しているので、ダイヤフラム部122,125,222に角部が形成されてしまい、応力集中による破損の原因や特性ばらつきの原因になることがあった。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部を形成することが可能なコルゲート部を備えた構造体の製造方法およびMEMSデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、半導体基板を用いて形成され当該半導体基板に比べて薄いコルゲート部を備えた構造体の製造方法であって、半導体基板の一表面側に形成するコルゲート部の曲面形状に応じて半導体基板との接触パターンを設計した陽極を半導体基板の他表面側に形成する陽極形成工程と、前記陽極と電解液中で半導体基板の前記一表面側に配置される陰極との間に通電して半導体基板の前記一表面側に多孔質部を形成する陽極酸化工程と、陽極酸化工程の後で多孔質部を選択的にエッチング除去することにより前記曲面形状に対応する曲面を形成する曲面形成工程と、曲面形成工程の後で半導体基板の前記一表面側にコルゲート部の基礎となるコルゲート部材料層を形成するコルゲート部材料層形成工程と、コルゲート部材料層形成工程の後で半導体基板におけるコルゲート部材料層の周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部を形成する選択エッチング工程とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、陽極形成工程にて形成する陽極と半導体基板の他表面との接触パターンにより陽極酸化工程において半導体基板に流れる電流の電流密度の面内分布が決まり、陽極酸化工程にて形成する多孔質部の厚みの面内分布を制御することが可能であり、陽極形成工程において、半導体基板の一表面側に形成するコルゲート部の曲面形状に応じて半導体基板との接触パターンを設計した陽極を半導体基板の前記他表面側に形成しているので、曲面形成工程で多孔質部を選択的にエッチング除去することで滑らかな曲面が形成されるから、当該曲面形成工程の後に、半導体基板の前記一表面側にコルゲート部の基礎となるコルゲート部材料層を形成するコルゲート部材料層形成工程を行い、続いて、コルゲート部材料層形成工程の後で半導体基板におけるコルゲート部材料層の周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部を形成する選択エッチング工程を行うことによって、両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部を形成することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記半導体基板が単結晶シリコン基板であり、前記コルゲート部材料層形成工程では、前記コルゲート部材料層として絶縁膜を形成することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、前記コルゲート部材料層の材料としてSiO、SiN、SiONなどの半導体製造プロセスにおいて一般的な絶縁材料を採用することで、前記コルゲート部材料層をCVD法やスパッタ法などによって容易に形成することができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記半導体基板が単結晶シリコン基板であり、前記コルゲート部材料層形成工程では、前記コルゲート部材料層として不純物拡散層を形成することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、前記コルゲート部材料層をイオン注入法や拡散法などによって容易に形成することができ、また、前記コルゲート部を配線に兼用することが可能となる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたコルゲート部を備えた構造体を有することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、コルゲート部の両面が滑らかな曲面により形成されたMEMSデバイスを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明では、両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部を形成することが可能となるという効果がある。
【0024】
請求項4の発明では、コルゲート部の両面が滑らかな曲面により形成されたMEMSデバイスを提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
以下、半導体基板を用いて形成されコルゲート部を備えた構造体の製造方法について図1(a)〜(e)を参照しながら説明する。
【0026】
まず、単結晶のシリコン基板からなる半導体基板1の一表面側(図1(a)における上面側)に形成するコルゲート部4(図1(e)参照)の曲面形状に応じて半導体基板1との接触パターンを設計した陽極2を半導体基板1の他表面側(図1(a)における下面側)に形成する陽極形成工程を行うことによって、図1(a)に示す構造を得る。この陽極形成工程では、半導体基板1の上記他表面側に陽極2の基礎となる所定膜厚(例えば、1μm)の導電性膜(例えば、Al膜、Al−Si膜など)からなる導電性層を形成する導電性層形成工程を行い、その後、導電性層をパターニングするパターニング工程を行うことで、陽極2を形成する。ここにおいて、導電性層形成工程では、例えばスパッタ法や蒸着法などによって半導体基板1の上記他表面上に導電性層を成膜した後、NガスおよびHガス雰囲気中で導電性層のシンタ(熱処理)を行うことで、導電性層と半導体基板1とのオーミック接触を得ている。また、パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して導電性層をパターニングする。また、陽極形成工程において形成する陽極2は、上述のコルゲート部4の曲面形状に応じて半導体基板1との接触パターンを設計してある。具体的には、半導体基板1の上記他表面のうち厚み方向において所望の曲面形状のコルゲート部4(図1(e)参照)の山部4bに対応する部位が露出し、厚み方向において上記コルゲート部4の谷部4bに対応する部位に陽極2が接触するようにし、谷部4bのピッチに合わせて陽極2のピッチを設定してある。なお、本実施形態では、上述の単結晶のシリコン基板からなる半導体基板1の上記一表面を(100)面としてある。
【0027】
上述の陽極形成工程の後、陽極2と電解液中で半導体基板1の上記一表面側に配置される陰極(図示せず)との間に通電して半導体基板1の上記一表面側に多孔質シリコン部からなる多孔質部3を形成する陽極酸化工程を行うことによって、図1(b)に示す構造を得る。ここにおいて、陽極酸化工程では、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用い、電解液中で半導体基板1の上記一表面側に対向配置される陰極と陽極2との間に所定電流密度の電流を所定時間だけ通電して半導体基板1の上記一表面側に多孔質部3を形成する。なお、電解液としては、半導体基板1の構成元素であるSiの酸化物であるSiOをエッチング除去する溶液として、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合したフッ酸系溶液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。また、フッ化水素水溶液と混合する液体もエタノールに限らず、メタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)などのアルコールなど、陽極酸化反応で発生した気泡を除去できる液体であれば、特に限定するものではない。また、陽極酸化工程の処理条件は特に限定するものではなく、上述の所定電流密度および上記所定時間はそれぞれ適宜設定すればよい。また、陽極酸化処理工程では、所定電流密度の条件で通電を行っているが、所定電圧の条件で通電を行うようにしてもよい。なお、本実施形態では、半導体基板1として、導電形がp形のものを用いているので、陽極酸化工程において半導体基板1の上記一表面側に光を照射する必要はないが、半導体基板1として導電形がn形のものを用いる場合には光を照射する必要がある。
【0028】
ところで、本実施形態では、半導体基板1として単結晶のシリコン基板を用いているので、半導体基板1の一部を陽極酸化工程において多孔質化する際には、ホールをh、電子をeとすると、以下の反応が起こっていると考えられる。
Si+2HF+(2−n)h→SiF+2H+ne
SiF+2HF→SiF+H
SiF+2HF→SiH
すなわち、シリコン基板からなる半導体基板1の陽極酸化では、Fイオンの供給量とホールhの供給量との兼ね合いで多孔質化あるいは電解研磨が起こることが知られており、Fイオンの供給量の方がホールの供給量よりも多い場合には多孔質化が起こり、ホールhの供給量がFイオンの供給量よりも多い場合には電解研磨が起こる。したがって、本実施形態のように半導体基板1としてp形のシリコン基板を用いている場合には、陽極酸化による多孔質化の速度はホールhの供給量で決まるから、半導体基板1中を流れる電流の電流密度で多孔質化の速度が決まり、多孔質部3の厚みが決まることになる。ここにおいて、半導体基板1の上記一表面側では、半導体基板1の厚み方向に沿った陽極2の中心線から離れるほど電流密度が徐々に小さくなるような電流密度の面内分布を有することとなり、半導体基板1の上記一表面側に形成される多孔質部3は、陽極2の中心線から離れるほど徐々に薄くなっている。なお、上述の電流密度の面内分布は、陽極2と陰極との間に通電しているときに陽極2と半導体基板1との接触パターンなどにより決まる半導体基板1内の電界強度の分布に応じて発生し、電界強度が強いほど電流密度が大きくなり、電界強度が弱いほど電流密度が小さくなる。
【0029】
上述の陽極酸化工程の後、半導体基板1に対して多孔質部3を選択的にエッチング除去することにより半導体基板1の上記一表面側に上述の曲面形状に対応する曲面1cを形成する曲面形成工程を行うことによって、図1(c)に示す構造を得る。
【0030】
曲面形成工程の後、半導体基板1の上記一表面側にコルゲート部4の基礎となるコルゲート部材料層4aを形成するコルゲート部材料層形成工程を行うことによって、図1(d)に示す構造を得る。ここにおいて、コルゲート部材料層4aを絶縁膜(例えば、SiO膜、SiN膜、SiON膜やこれらの積層膜など)により構成する場合には、コルゲート部材料層4aを例えばCVD法やスパッタ法などによって形成すればよく、コルゲート部材料層4aを不純物拡散層(例えば、ボロンを高濃度にドーピングした不純物拡散層)により構成する場合には、コルゲート部材料層4aをイオン注入法や拡散法などによって形成すればよく、コルゲート材料層4aを例えばポリシリコン膜により構成する場合には、コルゲート部材料層4aをCVD法などにより形成すればよい。また、本実施形態におけるコルゲート部材料層形成工程では、コルゲート部材料層4aを上述の絶縁膜により構成する場合には、半導体基板1の上記一表面側の全面に絶縁膜を成膜した後、当該絶縁膜を所望のコルゲート部4の平面形状に応じてパターニングし、コルゲート部材料層4aを上述の不純物拡散層により構成する場合には、当該不純物拡散層を所望のコルゲート部4の平面形状に応じた領域に選択的に形成し、コルゲート部材料層4aを上述のポリシリコン膜により構成する場合には、半導体基板1の上記一表面側の全面にポリシリコン膜を成膜した後、当該ポリシリコン膜を所望のコルゲート部4の平面形状に応じてパターニングする。
【0031】
上述のコルゲート部材料層形成工程の後、半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部4を形成する選択エッチング工程を行うことによって、図1(e)に示す構造のコルゲート部4を備えた構造体を得ることができる。ここにおいて、本実施形態における選択エッチング工程では、半導体基板1の上記他表面側の全面をレジスト層などからなるマスク層により覆い、その後、半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部をアルカリ系溶液(例えば、KOH水溶液、TMAH水溶液など)により異方性エッチングすることで空洞部5を形成することによってコルゲート部4を形成し、その後、マスク層を除去する。
【0032】
以上説明した本実施形態のコルゲート部4を備えた構造体の製造方法によれば、陽極形成工程にて形成する陽極2と半導体基板1の上記他表面との接触パターンにより陽極酸化工程において半導体基板1に流れる電流の電流密度の面内分布が決まり、陽極酸化工程にて形成する多孔質部3の厚みの面内分布を制御することが可能であり、陽極形成工程において、半導体基板1の上記一表面側に形成するコルゲート部4の曲面形状に応じて半導体基板1との接触パターンを設計した陽極2を半導体基板1の上記他表面側に形成しているので、曲面形成工程で多孔質部3を選択的にエッチング除去することで滑らかな曲面が形成されるから、当該曲面形成工程の後に、半導体基板1の上記一表面側にコルゲート部4の基礎となるコルゲート部材料層4aを形成するコルゲート部材料層形成工程を行い、続いて、コルゲート部材料層形成工程の後で半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部4を形成する選択エッチング工程を行うことによって、両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部4を形成することが可能となる。また、コルゲート部材料層形成工程においてコルゲート部材料層4aとして絶縁膜を形成するようにすれば、コルゲート部材料層4aの材料としてSiO、SiN、SiONなどの半導体製造プロセスにおいて一般的な絶縁材料を採用することで、コルゲート部材料層4aをCVD法やスパッタ法などによって容易に形成することができる。また、コルゲート部材料層形成工程においてコルゲート部材料層4aとして不純物拡散層を形成するようにすれば、コルゲート部材料層4aをイオン注入法や拡散法などによって容易に形成することができ、また、コルゲート部4を配線に兼用することが可能となる。
【0033】
(実施形態2)
以下、半導体基板を用いて形成されコルゲート部を備えた構造体の製造方法について図2(a)〜(e)を参照しながら説明するが、実施形態1と同様の工程については説明を適宜省略する。また、実施形態1と同様の構成要素には同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0034】
本実施形態では、単結晶のシリコン基板からなる半導体基板1の一表面側(図2(a)における上面側)に形成するコルゲート部4(図2(e)参照)の曲面形状に応じて半導体基板1との接触パターンを設計した陽極2を半導体基板1の他表面側(図2(a)における下面側)に形成する陽極形成工程を行う前、半導体基板1におけるコルゲート部4の形成予定領域を含む所定領域の厚みを薄くするために凹所1bを形成する凹所形成工程を行うことによって、図1(a)に示す構造を得る。ここにおいて、凹所形成工程では、半導体基板1の上記一表面側にマスク層を形成するとともに上記他表面側に凹所形成用のマスク層を形成した後、半導体基板1を上記他表面側からアルカリ系溶液(例えば、KOH水溶液、TMAH水溶液など)により異方性エッチングすることにより凹所1bを形成している。
【0035】
上述の凹所形成工程の後、上述の陽極形成工程を行うことによって、図2(b)に示す構造を得る。この陽極形成工程では、半導体基板1の上記他表面側に、所定形状の絶縁膜12を形成してから、半導体基板1の上記他表面側の全面に陽極2となる導電性層を形成する導電性層形成工程を行う。ここにおいて、導電性層形成工程では、例えばスパッタ法や蒸着法などによって半導体基板1の上記他表面側に導電性層を成膜した後、NガスおよびHガス雰囲気中で導電性層のシンタ(熱処理)を行うことで、導電性層と半導体基板1とのオーミック接触を得ている。また、陽極形成工程において形成する絶縁膜12は、陽極2と半導体基板1との接触パターンが、上述のコルゲート部4の曲面形状に応じて設計した接触パターンとなるようにパターン設計してある。具体的には、絶縁膜12は、厚み方向において所望の曲面形状のコルゲート部4(図2(e)参照)の谷部4cに対応する部位が開口されて陽極2が接触するようにパターン設計してある。
【0036】
上述の陽極形成工程の後、陽極2と電解液中で半導体基板1の上記一表面側に配置される陰極(図示せず)との間に通電して半導体基板1の上記一表面側に多孔質シリコン部からなる多孔質部3を形成する陽極酸化工程を行うことによって、図2(c)に示す構造を得る。この陽極酸化工程において、半導体基板1の上記一表面側に形成される多孔質部3は、陽極2のうち半導体基板1に接触している部位の中心線から離れるほど徐々に薄くなっている。なお、上述の電流密度の面内分布は、陽極2と陰極との間に通電しているときに陽極2と半導体基板1との接触パターンなどにより決まる半導体基板1内の電界強度の分布に応じて発生し、電界強度が強いほど電流密度が大きくなり、電界強度が弱いほど電流密度が小さくなる。
【0037】
上述の陽極酸化工程の後、半導体基板1に対して多孔質部3を選択的にエッチング除去することにより半導体基板1の上記一表面側に上述の曲面形状に対応する曲面を形成する曲面形成工程を行い、その後、半導体基板1の上記一表面側にコルゲート部4の基礎となるコルゲート部材料層4aを形成するコルゲート部材料層形成工程を行うことによって、図2(d)に示す構造を得る。
【0038】
上述のコルゲート部材料層形成工程の後、半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部4を形成する選択エッチング工程を行うことによって、図2(e)に示す構造のコルゲート部4を備えた構造体を得ることができる。ここにおいて、本実施形態における選択エッチング工程では、半導体基板1の上記他表面側の全面をレジスト層などからなるマスク層により覆い、その後、半導体基板1におけるコルゲート部材料層4aの周囲の不要部をアルカリ系溶液(例えば、KOH水溶液、TMAH水溶液など)により異方性エッチングすることで空洞部5を形成することによってコルゲート部4を形成し、その後、マスク層を除去する。
【0039】
以上説明した本実施形態のコルゲート部4を備えた構造体の製造方法によれば、実施形態1と同様に、両面が滑らかな曲面からなるコルゲート部4を形成することが可能となる。また、本実施形態の製造方法によれば、陽極形成工程よりも前に半導体基板1の厚みを薄くする凹所形成工程を設けてあるので、半導体基板1の上記一表面と陽極2との間の距離を短くすることができ、陽極形成工程にて形成する多孔質部3の厚み分布の制御が容易になる。
【0040】
(実施形態3)
本実施形態では、コルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスの一例として、図3に示す構成の静電容量型のマイクロホンを例示する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0041】
図3に示す構成のマイクロホンは、半導体基板1を用いて形成され当該半導体基板1の一表面側にコルゲート部4を具備するダイヤフラム部11が形成された構造体を有するトランスデューサ用基板Aと、トランスデューサ用基板Aのダイヤフラム部11上に形成された可動電極14と、トランスデューサ用基板Aに矩形枠状の絶縁層からなるスペーサ30を介して対向配置されたシリコン窒化膜からなる固定板部20と、固定板部20における可動電極14側に形成された固定電極24とを備え、固定板部20と固定電極24との積層体からなる固定電極部には当該固定電極部と可動電極14との間の空間と当該固定電極部における当該空間側とは反対側の外部空間とを連通させる複数のアコースティックホール(図示せず)が貫設されている。ここにおいて、トランスデューサ用基板Aは、ダイヤフラム部11の平面形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、全周が矩形枠状のフレーム部13に連続一体に連結されている。本実施形態のトランスデューサ用基板Aの上記構造体は、実施形態1にて説明したコルゲート部4を備えた構造体の製造方法に準じて形成してあり、実施形態1にて形成したコルゲート部材料層形成工程で半導体基板1の上記一表面側の全面に絶縁膜からなるコルゲート部材料層4a(図1(d)参照)を形成するようにし、選択エッチング工程で半導体基板1の上記他表面側から半導体基板1を選択的にエッチングすることにより空洞部5を形成している。
【0042】
上述の静電容量型のマイクロホンでは、ダイヤフラム部11に設けられた可動電極14と固定板部20に設けられた固定電極24とでコンデンサが形成されるから、ダイヤフラム部11が音波の圧力を受けることにより可動電極14と固定電極24との間の距離が変化し、コンデンサの静電容量が変化する。したがって、可動電極14にダイヤフラム11上の配線15を介して電気的に接続されたパッド16と固定電極24に配線25を介して電気的に接続されたパッド26との間に直流バイアス電圧を印加しておけば、両パッド16,26間には音波の圧力に応じて微小な電圧変化が生じるから、音波を電気信号に変換することができる。また、上述の静電容量型のマイクロホンは、上記アコースティックホールが形成されているので、例えばダイヤフラム部11が音波の圧力を受けて振動する際に上記空間の媒質である空気により過度に制動を受けないようにすることができ、広い周波数帯域にわたる平坦な周波数特性と広いダイナミックレンジとを得ることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のマイクロホンでは、コルゲート部4の両面が滑らかな曲面により形成されているので、応力集中によるコルゲート部4の破損や配線15の断線を防止することができる。また、従来のマイクロホンにおいてダイヤフラム部の残留応力が大きくコルゲート部を有していない場合には、ダイヤフラム部が音波の圧力を受けてもダイヤフラム部の大きな変位は得られないのに対して、ダイヤフラム部の一部をコルゲート部により構成すると、ダイヤフラム部が伸縮しやすくなり、音波の圧力を受けたときの変位を大きくすることができるが、コルゲート部にはダイヤフラム部が変位する際に応力がかかりやすくなるから、ダイヤフラム部の信頼性の確保が重要であり、本実施形態のマイクロホンでは、ダイヤフラム部11が両面が滑らかな曲面により形成されたコルゲート部4を有しているので、信頼性を高めることができる。
【0044】
(実施形態4)
本実施形態では、コルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスの一例として、図4に示す構成の流体制御デバイスを例示する。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0045】
図4に示す構成の流体制御デバイスは、半導体基板1を用いて形成され当該半導体基板1の一表面側にコルゲート部4を具備するダイヤフラム部11が形成された構造体を有するベース基板Bと、ベース基板Bのダイヤフラム部11上に形成された可動電極34と、ベース基板Bに矩形枠状の絶縁層からなるスペーサ50を介して対向配置され固定電極44が形成された固定電極形成基板40とを備え、固定電極形成基板40に流体の流入口41と流出口42とが貫設されている。ここにおいて、ベース基板Bは、ダイヤフラム11の平面形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、全周が矩形枠状のフレーム部13に連続一体に連結されている。本実施形態のベース基板Bの上記構造体は、実施形態2にて説明したコルゲート部4を備えた構造体の製造方法に準じて形成してあり、実施形態2にて形成したコルゲート部材料層形成工程で半導体基板1の上記一表面側の全面に絶縁膜からなるコルゲート部材料層4a(図2(d)参照)を形成するようにし、選択エッチング工程で半導体基板1の上記他表面側から半導体基板1を選択的にエッチングすることにより空洞部5を形成している。
【0046】
本実施形態の流体制御デバイスは、可動電極34にダイヤフラム部11上の配線35を介して電気的に接続されたパッド31と固定電極44に配線45を介して電気的に接続されたパッド46との間に電圧を印加したときに可動電極34と固定電極44との間に発生する静電力によって可動電極34と固定電極44との間の流路を狭くする向きに可動電極34を変位させるようになっており、流入口41と流出口42との間を流れる流体の流量を制御することができる。
【0047】
また、本実施形態の流体制御デバイスでは、コルゲート部4の両面が滑らかな曲面により形成されているので、応力集中によるコルゲート部4の破損や配線35の断線を防止することができる。また、従来の流体制御デバイスにおいてダイヤフラム部の残留応力が大きくコルゲート部を有していない場合には、可動電極と固定電極とを近づけるための駆動電圧が大きくなるのに対して、ダイヤフラム部の一部をコルゲート部により構成すると、ダイヤフラム部が伸縮しやすくなり、駆動電圧の低電圧化を図れるが、コルゲート部にはダイヤフラム部が変位する際に応力がかかりやすくなるから、ダイヤフラム部の信頼性の確保が重要であり、本実施形態の流体制御デバイスでは、ダイヤフラム部11が両面が滑らかな曲面により形成されたコルゲート部4を有しているので、信頼性を高めることができる。
【0048】
(実施形態5)
本実施形態では、コルゲート部を備えた構造体を有するMEMSデバイスの一例として、図5に示す構成の赤外線センサを例示する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0049】
図3に示す構成の赤外線センサは、半導体基板1を用いて形成され当該半導体基板1の一表面側にコルゲート部4,4を具備する断熱部18が形成された構造体を有するベース基板Cと、ベース基板Cの一表面側において断熱部18上に形成された感温部(温度検知部)6と、感温部6上に形成された赤外線吸収層64とを備えている。ここにおいて、断熱部18は、感温部6の下地となる支持部18aと、支持部18aと矩形枠状のフレーム部13とを連結した2つの脚部18b,18bとを有している。ここにおいて、ベース基板Cの上記構造体は、実施形態1にて説明したコルゲート部4を備えた構造体の製造方法に準じて形成してあり、実施形態1にて形成したコルゲート部材料層形成工程で半導体基板1における断熱部18の形成予定領域に対応する領域にコルゲート部材料層4a(図1(d)参照)を形成するようにし、選択エッチング工程で半導体基板1の上記他表面側から半導体基板1を選択的にエッチングすることにより空洞部5を形成している。
【0050】
感温部6は、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメントであるサーミスタからなり、支持部18a上に形成されたクロム膜からなる下部電極61と、下部電極61上に形成されたアモルファスシリコン膜からなる抵抗体層62と、抵抗体層62上に形成されたクロム膜からなる上部電極63とで構成されている。また、赤外線吸収層64の材料として、SiONを採用しているが、SiONに特に限定するものではない。なお、本実施形態では、抵抗体層62の材料としてアモルファスシリコンを採用しているが、抵抗体層62の材料はアモルファスシリコンに限らず、例えば、酸化バナジウムなどを採用してもよい。
【0051】
ここにおいて、感温部6は、下部電極61が一方のコルゲート部4を有する脚部18b上に形成された配線65を介して一方のパッド66と電気的に接続され、上部電極63が他方のコルゲート部4を有する脚部18b上に形成された配線67を介して他方のパッド68と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、各配線65,67の材料としてCrを採用している。
【0052】
なお、感温部6は、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメントに限らず、温度に応じて誘電率が変化するセンシングエレメント、サーモパイル型のセンシングエレメント、焦電型のセンシングエレメントなどを採用してもよく、いずれのセンシングエレメントを採用した場合でも、材料を適宜選択することで一般的な薄膜形成技術を利用して形成することができる。ここで、温度に応じて誘電率の変化するセンシングエレメントの材料としては、例えば、PZT、BSTなどを採用すればよい。
【0053】
ところで、本実施形態の赤外線センサでは、各脚部18b,18bにコルゲート部4,4が形成されているので、断面波板状のコルゲート部4,4に対応する部分が平板状に形成されている場合に比べて各脚部18b,18bの長さを長くすることができて、各脚部18b,18bの熱コンダクタンスを小さくすることができ、脚部18b,18bを通した熱伝達をより抑制することができ、高感度化を図れる。
【0054】
また、本実施形態の赤外線センサでは、コルゲート部4,4の両面が滑らかな曲面により形成されているので、応力集中によるコルゲート部4,4の破損や配線65,67の断線を防止することができる。
【0055】
ところで、上記実施形態1や上記実施形態2で説明したコルゲート部を備えた構造体の製造方法に準じて製造するMEMSデバイスは、実施形態3で説明したマイクロホンや、実施形態4で説明した流体制御デバイスや、実施形態4で説明した赤外線センサに限らず、例えば、加速度センサ、マイクロバルブなどでもよい。
【0056】
また、上記各実施形態1〜5では、半導体基板1としてシリコン基板を採用しているが、半導体基板1はシリコン基板に限らず、例えば、Ge基板,SiC基板などの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体基板でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1におけるコルゲート部を備えた構造体の製造方法の説明図である。
【図2】実施形態2におけるコルゲート部を備えた構造体の製造方法の説明図である。
【図3】実施形態3におけるMEMSデバイスの概略断面図である。
【図4】実施形態4におけるMEMSデバイスの概略平面図である。
【図5】実施形態4におけるMEMSデバイスの製造方法の説明図である。
【図6】従来例のMEMSデバイスの一例を示す概略断面図である。
【図7】従来例のMEMSデバイスの他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 半導体基板
1c 曲面
2 陽極
3 多孔質部
4 コルゲート部
4a コルゲート部材料層
5 空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を用いて形成され当該半導体基板に比べて薄いコルゲート部を備えた構造体の製造方法であって、半導体基板の一表面側に形成するコルゲート部の曲面形状に応じて半導体基板との接触パターンを設計した陽極を半導体基板の他表面側に形成する陽極形成工程と、前記陽極と電解液中で半導体基板の前記一表面側に配置される陰極との間に通電して半導体基板の前記一表面側に多孔質部を形成する陽極酸化工程と、陽極酸化工程の後で多孔質部を選択的にエッチング除去することにより前記曲面形状に対応する曲面を形成する曲面形成工程と、曲面形成工程の後で半導体基板の前記一表面側にコルゲート部の基礎となるコルゲート部材料層を形成するコルゲート部材料層形成工程と、コルゲート部材料層形成工程の後で半導体基板におけるコルゲート部材料層の周囲の不要部を選択的にエッチング除去することによりコルゲート部を形成する選択エッチング工程とを有することを特徴とするコルゲート部を備えた構造体の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板が単結晶シリコン基板であり、前記コルゲート部材料層形成工程では、前記コルゲート部材料層として絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1記載のコルゲート部を備えた構造体の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板が単結晶シリコン基板であり、前記コルゲート部材料層形成工程では、前記コルゲート部材料層として不純物拡散層を形成することを特徴とする請求項1記載のコルゲート部を備えた構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたコルゲート部を備えた構造体を有することを特徴とするMEMSデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208164(P2009−208164A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51000(P2008−51000)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】