説明

コレステロール低下薬、レニン・アンギオテンシン阻害剤およびアスピリンを含有する組み合わせ剤形

【課題】心臓血管性の危険性増大に直面した患者を処置するための、医薬品処方物の剤形を課題とする。
【解決手段】上記課題は、活性剤として、コレステロール低下薬、レニン・アンギオテンシン系阻害剤、アスピリン、ならびに任意にビタミンB6、B12および葉酸塩のうちの少なくとも1つを組み合わせ、活性剤は各々、1日1回投与に適した単位用量で存在し、1つの活性剤のうちの少なくとも1つは、それと他の活性剤から物理的に分離する剤形内の投薬単位中に含入される、経口投与可能な医薬品処方物を提供することによって解決された。この処方物は、心臓血管性危険増大に直面した個体、例えば全身性紅斑性狼瘡を有する個体における心臓血管性事象の危険性を低減するための簡単且つ便利な療法として提供される。この処方物は、急性心筋梗塞の発症中のまたは発症直後の個体のための治療薬でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的に、心臓血管性の危険性増大に直面した患者を処置するための医薬品処方物に関し、特に、コレステロール低下剤、レニン・アンギオテンシン系阻害剤およびアスピリンを組み合わせる剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人が、致命的な心臓血管性事象、例えば重度の心筋梗塞(心臓発作)、心停止、鬱血性心不全、卒中、末梢血管性疾患および/または跛行に苦しむ危険性増大に直面している。危険因子は、世界人口全体で多数でかつ広範にわたる。それらの例としては、喫煙、糖尿病、高コレステロール血症(高血清コレステロール)、高血圧、狭心症、全身性紅斑性狼瘡、前心臓発作または卒中、血液透析、ホモシステインレベル上昇、肥満症、座位ライフスタイル、臓器移植片受容等が挙げられる。これらの危険因子の多くは、心臓血管性事象の一大危険因子であるアテローム性動脈硬化により媒介される。これらの危険因子を有する個体において心臓血管事象を招く危険性を有効に低減する安全且つ便利な医薬品処方物が必要とされる。
【0003】
米国特許第5,622,985号(Olukotun等)は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG CoA)還元酵素の阻害剤(コレステロール低下薬)、特にプラバスタチンが、単独で、またはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と一緒に用いた場合、実質的に正常なコレステロールレベルを有する患者における二次心臓発作の危険を低減する、ということを開示している。ACE阻害剤との組み合わせは任意であり、HMG CoA還元酵素阻害剤を他のレニン・アンギオテンシン系阻害剤と、またはアスピリンと組み合わせることについては言及されていない。さらに、二次心臓発作以外の心臓血管性事象の予防は、考慮されていない。
【0004】
同様に、米国特許第5,140,012号(McGovern等)は、血管形成術後の再狭窄の開始を予防するための、プラバスタチンの、単独での、またはACE阻害剤との組み合わせでの使用を開示している。プラバスタチン以外のHMG CoA還元酵素阻害剤は考慮されておらず、HMG CoA還元酵素阻害剤を他のレニン・アンギオテンシン系阻害剤と、またはアスピリンと組み合わせることについての言及もない。血管形成術後の再狭窄以外の心臓血管性障害の予防は考察されていない。
【0005】
米国特許第5,461,039号および第5,593,971号(Tschollar等)は、インスリン耐性を有する正常血圧個体における高血圧を抑制するための、コレステロール低下薬の、単独でのまたはACE阻害剤と組み合わせた使用を開示している。コレステロール低下薬をACE阻害剤以外のレニン・アンギオテンシン系阻害剤と、またはアスピリンと組み合わせることについては、言及されていない。さらに、開示された方法は、インスリン耐性である正常血圧個体に限定されており、心臓血管性事象を直接予防することについては言及がなされていない。
【0006】
米国法定発明登録H1286号において、Eisman等は、1つまたは複数のコレステロール低下薬の、それ自体またはACE阻害剤と一緒の使用による、あるいはACE阻害剤単独の使用による、末梢アテローム硬化性疾患および/または間欠性跛行の治療方法を開示している。コレステロール低下薬と、ACE阻害剤以外のレニン・アンギオテンシン系阻害剤との、またはアスピリンとの組み合わせについての言及はない。末梢性アテローム硬化性疾患以外の心臓血管性障害の治療または予防は考慮されていない。
【0007】
Bergey等は、ヨーロッパ特許明細書EP457,514において、アテローム性動脈硬化の後退を防止するか、安定化するかまたは引き起こすために、ACE阻害剤と共にコレステロール低下薬剤を使用することを開示している。コレステロール低下薬剤を、ACE阻害剤以外のレニン・アンギオテンシン系阻害剤と、またはアスピリンと組み合わせることは言及されていない。アテローム性動脈硬化以外の心臓血管性疾患の治療または予防は考慮されていない。
【0008】
米国特許第6,235,311号(Ullah等)は、スタチン(HMG CoA還元酵素阻害剤)に加えてアスピリンを含有し、任意にビタミンB、B12または葉酸を含有する薬学的組成物、ならびに、血清コレステロールを下げ、アテローム性動脈硬化を予防し、抑制し、または治療し、あるいは心臓血管性事象または疾患、冠動脈疾患あるいは脳血管性疾患の危険を低減するかまたはそれを治療するためのそれら薬学的組成物の使用方法を開示している。この参考文献は、レニン・アンギオテンシン系阻害剤については言及しておらず、いかなる点でも考察していない。
【0009】
米国特許第6,248,729号(Coniglio等)は、ADP受容体遮断抗血小板薬、抗高血圧薬(例えばアンギオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤またはACE/NEP阻害剤)、ならびに任意にアスピリンの組み合わせを患者に投与することによる脳梗塞の予防方法を開示している。これらの薬剤の組み合わせを含む薬学的組成物も開示されている。しかしながら、開示された方法および組成物は、ADP受容体遮断抗血小板薬(アスピリンを含まない)を要し、Coniglio等は、脳梗塞以外の心臓血管性事象について言及も考察もしていない。
【0010】
国際特許公開WO 01/15674(Schoelkens等)は、心臓血管性事象の予防における、レニン・アンギオテンシン系阻害剤の、任意に別の抗高血圧薬、コレステロール低下薬、利尿薬またはアスピリンを伴う使用を開示している。レニン・アンギオテンシン系阻害剤およびコレステロール低下薬を含有するこの目的のための組み合わせ品も開示されている。さらに、心臓血管性事象の予防のための薬剤の製造におけるレニン・アンギオテンシン系阻害剤の、別の抗血圧薬またはコレステロール低下剤または利尿薬またはアスピリンを伴う使用が開示されている。患者の治療方法において、あるいは薬学的製品の製造において、3つまたはそれを超える活性剤を組み合わせる可能性は、言及も考慮もされていない。ある種のレニン・アンギオテンシン系阻害剤、コレステロール低下薬およびアスピリンについて言及され、レニン・アンギオテンシン系阻害剤を、コレステロール低下薬またはアスピリンと一緒に包含する組み合わせ治療薬が開示されているものの、単一剤形中に3つすべてを組み合わせることについては考察されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記の処方物および剤形の制限を克服する薬学的組成物を提供することが、本発明の主な目的である。
【0012】
心臓血管性事象の危険増大に直面した患者を治療するための1日1回経口投与可能な薬学的組成物であって、治療上有効な単位投薬量のコレステロール低下剤、レニン・アンギオテンシン系阻害剤、アスピリン、ならびに任意にビタミンB、ビタミンB12および葉酸のうちの1つまたはそれ以上に加えて、薬学的に受容可能な担体の組み合わせを含有する単一剤形を含み、各単位投薬量が1日用量であり、活性剤のうちの少なくとも1つが、他の活性剤からそれを物理的に分離する剤形内の投薬単位中に存在する、薬学的組成物を提供することが、本発明の一目的である。
【0013】
活性剤のうちの少なくとも2つが他の活性剤および互いから物理的に分離する投薬単位中に存在する経口投与可能な固形剤形を提供することは、本発明の別の目的である。
【0014】
活性剤のうちの少なくとも1つが制御放出投薬単位中に、すなわち持続放出および/または遅延放出の投薬単位中に存在する経口投与可能な固形剤形を提供することが、本発明の別の目的である。
【0015】
コレステロール低下剤がHMG CoA還元酵素阻害剤であり、レニン・アンギオテンシン系阻害剤がACE阻害剤またはアンギオテンシンIIアンタゴニストである組成物を提供することが、本発明の別の目的である。
【0016】
ビタミンB、ビタミンB12および葉酸の3つすべてがその中に組み入れられるような組成物を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【0017】
本発明のさらなる目的、利点および新規の特徴は、一部は以下の説明中に記載されており、一部は以下の試験で当業者に明らかになるか、または本発明の実施により習得され得る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、治療上有効な単位用量のコレステロール低下剤、治療上有効な単位用量のレニン・アンギオテンシン系阻害剤および治療上有効な単位用量のアスピリンの組み合わせを、任意にさらに少なくとも1つのビタミンB物質と組み合わせて含む1日1回経口剤形であって、活性剤のうちの少なくとも1つが、他の活性剤からそれを物理的に分離する剤形内の投薬単位中に存在する剤形を提供する。好ましくは、活性剤のうちの少なくとも2つが、他の活性剤および互いから物理的に分離する投薬単位中に存在し、さらに好ましくは活性剤のうちの少なくとも1つが制御放出投薬単位中に、すなわち持続放出および/または遅延放出の投薬単位中に存在する。本発明は、1日ベースで剤形を投与することにより心臓血管性の危険増大に直面した患者を治療するための方法も提供する。活性剤間の任意の有害相互作用が最小限にされるかまたは排除される活性剤の上記の組み合わせを含有する単一経口剤形が1日1回便宜的に投与されるので、本明細書中に記載されるような剤形の投与は、これらの患者における心臓血管事象の危険を低減するための安全且つ有効な方法を提供する。このような簡単なレジメンは、高度の患者コンプライアンスを有し、有効性の実質的な改良をもたらす。3つまたはそれ以上の活性成分の組み合わせは、活性成分の投薬量の低減をおそらくは可能にし、療法の安全性を増大するという付加的利点を提供する。
【0019】
好ましい実施形態では、本発明の剤形は、以下のものを含む:
アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシムバスタチンからなる群から選択される約10mg〜約120mg、好ましくは約25mg〜約90mgのHMG CoA還元酵素阻害剤;
カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルからなる群から選択される約1mg〜約60mg、好ましくは約15mg〜約45mgのACE阻害剤;
約20〜約600mg、好ましくは約20mg〜約150mgのアスピリン;ならびに任意に
約25mg〜約75mg、好ましくは約40mg〜約60mgのビタミンB
約0.25mg〜約2mg、好ましくは約0.5mg〜約1.5mgのビタミンB12;および
約0.5mg〜約8mg、好ましくは約1.5mg〜約5mgの葉酸
のうちの少なくとも1つ。
【0020】
本発明は例えば以下を提供する。
(項目1)
心臓血管性の危険増大に直面した患者を処置するための経口投与可能な薬学的剤形であって、以下の:
(a)第一の活性剤としての治療上有効な1日投薬量のコレステロール低下薬と、
(b)第二の活性剤としての治療上有効な1日投薬量のレニン・アンギオテンシン系阻害剤と、
(c)第三の活性剤としての治療上有効な1日投薬量のアスピリンと
の組み合わせを含み、該活性剤の少なくとも1つは、他の活性剤から、該少なくとも1つの活性剤を物理的に分離する投薬単位中に存在する、剤形。
(項目2)
前記活性剤のうちの少なくとも2つは、他の活性剤および互いから、該少なくとも2つの活性剤を物理的に分離する投薬単位中に存在する、項目1に記載の剤形。
(項目3)
前記コレステロール低下薬は、第一の投薬単位中に存在し、前記レニン・アンギオテンシン系阻害剤は、第二の投薬単位中に存在し、かつ前記アスピリンは、第三の投薬単位中に存在する項目1に記載の剤形。
(項目4)
カプセルであり、前記投薬単位は、各々、その中に含入される複数のビーズまたは顆粒を含む、項目3に記載の剤形。
(項目5)
カプセルであり、前記投薬単位は各々、その中に含入される錠剤を含む、項目3に記載の剤形。
(項目6)
圧縮錠剤であり、前記投薬単位は各々、物理的に分離するセグメントを含む、項目3に記載の剤形。
(項目7)
前記圧縮錠剤は層状錠剤であり、前記投薬単位は各々、該層状錠剤の層を含む項目6に記載の剤形。
(項目8)
圧縮錠剤であり、前記投薬単位は各々、その混合物中に含有される複数のビーズまたは顆粒を含む項目3に記載の剤形。
(項目9)
少なくとも2つの同心層で被覆される内部コアから構成される、項目3に記載の剤形。
(項目10)
2つの同心層を含む、項目9に記載の剤形。
(項目11)
前記内部コアは、前記投薬単位のうちの1つから構成され、前記同心層は各々、前記投薬単位のうちの1つを含有する、項目10に記載の剤形。
(項目12)
前記内部コアは不活性な材料から構成される、項目9に記載の剤形。
(項目13)
3つの同心層を含む、項目12に記載の剤形。
(項目14)
前記同心層は各々、前記投薬単位の1つを含有する、項目13に記載の剤形。
(項目15)
前記投薬単位のうちの少なくとも1つは、即時放出投薬単位である、項目2〜項目14のいずれか一項に記載の剤形。
(項目16)
前記投薬単位のうちの少なくとも1つは、遅延放出投薬単位である、項目2〜項目15のいずれか一項に記載の剤形。
(項目17)
前記投薬単位のうちの少なくとも1つは、投薬単位は持続放出性投薬単位である、項目2〜項目15のいずれか一項に記載の剤形。
(項目18)
ビタミンB、ビタミンB12および葉酸のうちの少なくとも1つをさらに含む、項目1〜17のいずれか一項に記載の剤形。
(項目19)
前記コレステロール低下薬は、HMG CoA還元酵素阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤、プロブコール、フィブリン酸薬およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1〜項目18のいずれか一項に記載の剤形。
(項目20)
前記コレステロール低下薬は、HMG CoA還元酵素阻害剤である、項目19に記載の剤形。
(項目21)
前記HMG CoA還元酵素阻害剤は、アトルバスタチン、セリビスタチン、フルインドスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチンおよびベロスタチンからなる群から選択される、項目20に記載の剤形。
(項目22)
前記HMG CoA還元酵素阻害剤は、ロバスタチンおよびプラバスタチンからなる群から選択される、項目21に記載の剤形。
(項目23)
前記レニン・アンギオテンシン系阻害剤は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびアンギオテンシンIIアンタゴニストからなる群から選択される、項目19に記載の剤形。
(項目24)
前記レニン・アンギオテンシン系阻害剤は、ACE阻害剤である、項目23に記載の剤形。
(項目25)
前記ACE阻害剤は、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、フェンチアプリル、フォシノプリル、インドラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、ピボプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、トランドラプリルおよびゾフェノプリルからなる群から選択される項目24に記載の剤形。
(項目26)
前記ACE阻害剤は、エナラプリルである、項目25に記載の剤形。
(項目27)
前記レニン・アンギオテンシン系阻害剤は、アンギオテンシンIIアンタゴニストである、項目23に記載の剤形。
(項目28)
前記第一の投薬単位は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシムバスタチンからなる群から選択される約10〜約120mgのHMG CoA還元酵素阻害剤を含有し、前記第二の投薬単位は、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリルおよびゾフェノプリルからなる群から選択される約1〜約60mgのレニン・アンギオテンシン系阻害剤を含有し、前記第三の投薬単位は、約20〜約600mgのアスピリンを含有する、項目20に記載の剤形。
(項目29)
(a)約25mg〜約75mgのビタミンB
(b)約0.25mg〜約2mgのビタミンB12、および
(c)約1mg〜約8mgの葉酸のうちの少なくとも1つをさらに含む、項目28に記載の錠形。
(項目30)
心臓血管性の危険増大に直面した患者のために、該危険について適応される経口剤形の自己投与に用いるためのパッケージキットであって、項目28または項目29に記載の複数の経口剤形を収容するパッケージ容器ならびに前記経口剤形を用いて薬剤投与を実行するための使用説明書を含むキット。
(項目31)
前記HMG CoA還元酵素阻害剤はロバスタチンであり、前記レニン・アンギオテンシン系阻害剤はエナラプリルである項目30に記載のパッケージキット。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の詳細な説明
I.定義および名称:
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、特定の剤形、担体等(このようなものは変わり得るので)に限定されない、と理解されるべきである。本明細書中で用いられる専門用語は特定の実施形態のみを説明するためであり、限定されるよう意図されない、ということも理解されるべきである。
【0022】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本文中に明らかに別記しない限り、複数の指示対象を含む、ということに留意しなければならない。したがって例えば「1つの(an)活性剤」または「1つの(a)薬理学的活性剤」についての言及は、単一活性剤、ならびに2つまたはそれを超えるの異なる活性剤を組み合わせて含み、「1つの(a)担体」についての言及は2つまたはそれを越える担体の混合物ならびに単一担体を含む等である。
【0023】
本発明を記載し、特許請求するに際して、以下の専門用語が以下に記述の定義に従って用いられる。
【0024】
「活性剤」、「薬理学的活性剤」および「薬剤」という用語は、所望の薬理学的、生理学的効果を誘導する化学的化合物を指すために、本明細書中で互換的に用いられる。本明細書中の主要な活性剤は、コレステロール低下薬、レニン・アンギオテンシン系阻害剤およびアスピリンである。その他の活性剤としては、ビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩が挙げられる。本用語は、本明細書中で特定的に記述されたその活性剤の薬学的に受容可能な薬理学的活性誘導体も包含し、その例としては、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物、類似体等が挙げられるが、これらに限定されない。「活性剤」、「薬理学的活性剤」および「薬剤」という用語が用いられる場合には、あるいは活性剤、例えばHMG CoA還元酵素阻害剤またはACE阻害剤が特定的に同定される場合、出願人等は、活性剤それ自体、ならびに薬学的に受容可能な薬理学的活性塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝産物、類似体等を含むよう意図する、と理解されるべきである。
【0025】
「コレステロール低下剤」および「コレステロール低下薬」という用語は、本明細書中で用いる場合、高コレステロール血症を患うヒト被験者に投与される場合に血清コレステロールレベルを効果的に変化させる作用を有する薬理学的活性な薬学的に受容可能な薬剤を指す。特にコレステロール低下剤は、血清低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルを下げるか、またはLDLコレステロールの酸化を抑制し、一方、高密度リポタンパク質(HDL)血清コレステロールレベルは低下され、同一のままであり、あるいは増大され得る。好ましくはコレステロール低下作用物質は、LDLコレステロールおよびHDLコレステロールの血清中のレベル(さらに好ましくはトリグリセリドレベル)を正常またはほぼ正常レベルにする。
【0026】
「レニン・アンギオテンシン系阻害剤」という用語は、本明細書中で用いる場合、アンギオテンシン、特にアンギオテンシンIIの副作用を直接または間接的に抑制する薬理学的活性な薬学的に受容可能な薬剤を指す。例としては、アンギオテンシンII合成を阻害し、AT受容体とのアンギオテンシンII結合を阻害し、あるいはレニン活性を阻害する作用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「薬学的に受容可能な」とは、例えば「薬学的に受容可能な担体」または「薬学的に受容可能な酸付加塩」といったように、生物学的にまたは別の状況で望ましくないというわけではない物質を本明細書中では意味し、すなわち該物質は、任意の望ましくない生物学的作用を引き起こしたりまたはそれが含入される組成物の他の構成成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される薬学的組成物中に混入され得る。「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)とは、「薬理学的に活性な」誘導体または代謝産物の場合のように、親化合物と同じ種類の、そしてほぼ等価な薬理学的活性を有する誘導体または代謝産物を指す。「薬学的に受容可能な」という用語が活性剤の誘導体(例えば塩)を指すために用いられる場合、化合物は同様に薬理学的に活性であり、すなわち心臓血管性の危険増大を低減するのに治療的に有効である、と理解されるべきである。
【0028】
「担体」または「賦形剤」とは、本明細書中で用いる場合、薬剤投与に適した従来の薬学的に受容可能な担体物質を指し、例としては、非毒性であり、そして有害方法で薬学的組成物または薬剤送達系のその他の構成成分と相互作用しない当該分野で既知の任意のこのような物質が挙げられる。
【0029】
「制御放出」という用語は、薬剤の放出が即時でない任意の薬剤含有処方物を指し、すなわち「制御放出」処方物を用いた場合、経口投与は吸収プールへの薬剤の即時放出を生じない。本用語は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed. (Easton,PA: Mack Publishing Company,1995)に定義されているように、「非即時放出」と互換的に用いられる。その中で考察されているように、即時および非即時放出は、以下の式を参照して動力学的に定義され得る:

剤形 → 吸収プール → 標的領域 →
薬剤放出 吸収 排除 。
【0030】
「吸収プール」とは、特定吸収部位で投与される薬剤の溶液を表し、そしてk、kおよびkは、それぞれ(1)処方物からの薬剤放出、(2)吸収および(3)排除に関する一次速度定数である。即時放出剤形に関しては、薬剤放出に関する速度定数kは、吸収速度定数kよりはるかに大きい。制御放出処方物に関しては、すなわち本発明の処方物に関しては、反対のことが言える。すなわち、k<<kであって、したがって剤形からの薬剤の放出速度は、標的領域への薬剤の送達における速度限定過程である。「制御放出」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意の非即時放出処方物を包含し、その例としては持続放出、遅延放出および拍動放出処方物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「持続放出」という用語は、その慣用的意味で、長期間に亘って薬剤の漸次放出を提供し、好ましくは、必ずというわけではないが、長期間に亘る薬剤の実質的に一定の血中レベルを生じる薬剤処方物を指す。
【0032】
「遅延放出」という用語は、その慣用的意味で、剤形の経口投与とそれからの薬剤の放出との間に時間遅延が存在する薬剤処方物を指す。「遅延放出」は、長期間にわたる薬剤の漸次放出を含む場合も含まない場合もあり、したがって「持続放出」であり得るし、そうでない場合もある。好ましい「制御放出性」処方物とは、本明細書中では、「遅延放出」であり、特に好ましい「遅延放出」処方物は、腸溶性(enterically)被覆組成物である。
【0033】
「腸溶被覆」または「腸溶被覆される」とは、本明細書中で用いる場合、胃中での崩壊に対する薬剤耐性の増大を生じる薬剤処方物中の高分子物質の存在に関する。代表的には、高分子物質は薬剤含有コア周囲の被覆として存在するが、高分子物質は被覆された処方物内の薬剤それ自体との混和物中にも存在し得る。
【0034】
薬剤または薬理学的活性剤の「有効」量または「治療上有効な量」とは、非毒性であるが、所望の作用を提供するのに十分な薬剤または活性剤の量を意味する。本発明の組み合わせ療法においては、組み合わせの一構成成分の「有効量」は、組み合わせの他の構成成分との組み合わせで用いた場合に所望の作用を提供するのに有効であるその化合物の量である。「有効」である量は、各人の年齢および全身状態、1つまたは複数の特定の活性剤等によって、被験者により変わる。したがって、正確な「有効量」を特定することは常に可能であるわけではない。しかしながら任意の個々の場合における適切な「有効」量は、慣用的な実験を用いて当業者により測定され得る。
【0035】
「処置する」および「処置」という用語は、本明細書中で用いる場合、症候の重症度および/または発症頻度の低減、症候および/または根本原因の解消、症候の発生および/またはそれらの根源的原因の予防、ならびに損傷箇所の回復または改善を指す。したがって例えば患者を「処置する」とは、感受性個体における特定の障害または悪性生理学的事象の予防、ならびに臨床的症候性個体の治療を包含する。
【0036】
「心臓血管性危険増大」という用語は、本明細書中で用いる場合、個体における心臓血管性事象、末梢血管性疾患、冠動脈性心疾患、再狭窄またはアテローム性動脈硬化を招く危険性の増大を指し、このような危険は、障害、疾患、遺伝的因子、挙動、食事またはその他の状態または因子によるものである。心臓血管性危険増大をもたらす状態または因子としては、全身性紅斑性狼瘡、最近のまたは以前の喫煙、糖尿病、血液透析、臓器移植の経験、顕性冠動脈疾患、心筋梗塞の病歴、一過性虚血発作または卒中の病歴、末梢血管性疾患の病歴、狭心症、高血圧、高コレステロール血症、肥満、アテローム性動脈硬化、腎臓病、クラミジア感染、バルトネラ感染および閉塞性肺疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「心臓血管性事象」という用語は、本明細書中で用いる場合、かなり突然の発症を示す心臓血管系の障害または疾患を指す。それは、このような障害または疾患のかなり突然の悪化も指す。心臓血管性事象の例としては、心停止、心筋梗塞、虚血、卒中、狭心症の悪化およびうっ血性心不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
II.活性剤
A.コレステロール低下剤
本発明は、任意の有効なコレステロール低下剤またはこのような薬剤の組み合わせを用いる。好ましいコレステロール低下剤は、HMG CoA還元酵素阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤、プロブコールおよびフィブリン酸剤である。特に好ましいのは、HMG CoA還元酵素阻害剤、特にアトルバスタチン、セリビスタチン、フルインドスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチンおよびベロスタチンである。最も好ましい薬剤は、ロバスタチンおよびプラバスタチン、特にロバスタチンである。コレステロール低下剤は当該分野で周知であり、多数の出版物中で考察され、概説されている。有用な概説は、Witztum,J.L.,”Drugs used in the treatment of hyperlipidemia”,in Hardman,J.G.,Gilman,A.G.,and Limbird,L.E.,editors,Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Edition,pp. 875−897 (New York: McGraw−Hill,1996)により示されている。本発明に用いられ得るコレステロール低下剤のクラスのいくつかの簡単な説明を以下に示す。
【0039】
HMG CoA還元酵素阻害剤:このクラスの化合物の成員は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル助酵素A(HMG CoA)還元酵素を阻害する。この酵素は、HMG
CoAのメバロン酸への変換を触媒するが、これは、コレステロールの生合成における初期および律速段階である。用いられ得るHMG CoA還元酵素阻害剤の例としては、ロバスタチン(米国特許第4,231,938号参照)、シムバスタチン(米国特許第4,444,784号参照)、プラバスタチン(米国特許第4,346,227号参照)、フルバスタチン(米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチン(米国特許第5,273,995号参照)、セリバスタチン(リバスタチンとも呼ばれる;米国特許第5,177,080号参照)、メバスタチン(米国特許第3,883,140号参照)、フルインドスタチン(Sandoz XU−62−320)、ベロスタチン(シンビノリンとも呼ばれる;米国特許第4,448,784号および米国特許第4,450,171号参照)および引用文献中に記載されたようなこれらに関連する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。用いられ得るHMG CoA還元酵素阻害剤のいくつかのその他の例は、米国特許第6,264,938号の表1ならびに米国特許第5,622,985号の第3〜6欄に示されているが、これらに限定されない。薬学的に受容可能なHMG
CoA還元酵素阻害剤はすべて、本発明に含まれる。HMG CoA還元酵素の活性を阻害する化合物は、当該分野で周知のアッセイを用いることにより、容易に同定され得る。例として、米国特許第4,231,938号の第6欄に、ならびに国際特許公開WO84/02131の第30〜33頁に記載されるかまたは引用されたアッセイを参照されたい。「HMG CoA還元酵素阻害剤」という用語は、HMG CoA還元酵素阻害活性を有する化合物のすべての薬学的に受容可能な塩、エステル、およびラクトン形態を含み、したがってこのような塩、エステルおよびラクトン形態の使用は、本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
HMG CoA還元酵素阻害剤は、それらが他のコレステロール低下薬より少ない望ましくない副作用が少なく、安全性および耐性問題の点でより望ましく、滴定される必要がなく、コレステロールを低下する他に1つまたはそれ以上の有益な作用、例えば骨量の減少の低減を示す傾向がある限り、本明細書中の特に好ましいコレステロール低下薬である。
【0041】
胆汁酸金属イオン封鎖剤:脂質の消化および吸収を助けるために腸内に分泌される胆汁酸は、肝臓中でコレステロールから合成される。正常では、約97%の胆汁酸が再吸収され、再使用される。大量の胆汁酸が分泌された場合には、肝臓はより多くのコレステロールを胆汁酸に変換して、血清コレステロールレベル、特にLDLコレステロールレベルを低下しなければならない。コレステロールの生合成はこの場合増加するが、ほとんどの個体における胆汁酸合成増大の最終的作用は、血清中のコレステロール、特にLDLコレステロールレベルを下げることである。
【0042】
胆汁酸金属イオン封鎖剤は、腸内で胆汁酸に結合して、封鎖する、十分吸収されない樹脂またはその他の物質である。封鎖胆汁酸は、その後、糞便中に排出される。任意の薬学的に受容可能な胆汁酸金属イオン封鎖剤は、本発明の実施に際して用いられ得る。本発明に用いられ得る胆汁酸金属イオン封鎖剤の例としては、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポール、ポリ[メチル−(3−トリメチルアミノプロピル)イミノ−トリメチレン二ハロゲン化物]、ならびに米国特許第6,271,264号、国際特許公開WO95/34585および欧州特許明細書EP O 622,078に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
プロブコール:この化合物は、LDLコレステロールの酸化を抑制する強力な親油性酸化防止剤である。LDLコレステロールの酸化は、アテローム硬化性病変の発症における重要な、そしておそらくは不可欠な因子であり得るので、プロブコールはアテローム性動脈硬化を予防しまたは治療するのに有用であり得る。プロブコールが血清コレステロールレベルを下げることは既知であるが、作用メカニズムは十分理解されていない。プロブコールはしばしば、他のコレステロール低下薬効果が現れない患者、例えば同型接合性家族性高コレステロール血症を有する患者を治療するのに有用である。
【0044】
フィブリン酸誘導体:「フィブリン酸塩」としても既知のこれらの化合物は、トリグリセリドレベルを下げ、高密度リポタンパク質(HDL)レベルを上げ、そして血中のLDLコレステロールレベルに及ぼす種々の作用を有する。本発明に用いられ得るフィブリン酸誘導体の例としては、ベザフィブレート(ベザリップ(商標))、ベクロブレート、ビニフィブレート、シプロフィブレート、クリノフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブレート(リピジル(商標)リピジルミクロ(商標)、ゲムフィブロジル(ロピド(商標))、ニコフィブレート、ピリフィブレート、ロニフィブレート、シムフィブレートおよびテオフィブレート、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
B.レニン・アンギオテンシン系阻害剤
レニン・アンギオテンシン系は、血圧の調節において主要な役割を演じる。腎臓により合成され、貯蔵され、そして分泌される酵素であるレニンは、血圧を強力に上昇させる。その分泌は、血圧が低いと増大し、血圧が高い場合に低減する。レニンは、アンギオテンシノーゲンに作用を及ぼすことにより機能して、デカペプチドアンギオテンシンIを生成する。アンギオテンシンIは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)により迅速にオクタペプチドアンギオテンシンIIに変換される。アンギオテンシンIIは、多数のメカニズムにより作用して、血圧を上げ、例えば総末梢耐性を上げ(一部は前毛管細動脈を、そしてより低い程度に後毛管細静脈を狭窄する事により;末梢ノルアドレナリン作動性神経伝達により;ならびに中枢神経系作用により)、腎臓によるカリウム排出を増大しながらナトリウム排出を低減し、そして副腎皮質によるアルドステロン分泌を増大する(アルドステロンは、ナトリウムを保持し、カリウムおよび水素イオンを排出するよう作用する)ことにより作用する。アンギオテンシンIIは、心臓血管系の病理学的構造変化、例えば心肥大(過剰組織塊)、心繊維症(うっ血性心不全および心筋梗塞に関連)および血管壁の内膜肥厚(アテローム性動脈硬化に関連)に関与するとも考えられる。
【0046】
レニン・アンギオテンシン系におけるいくつかの経路を首尾よく標的化する血圧を下げるための薬剤が開発されてきた。最もよく知られ、そして最も広範に用いられるのはACE阻害剤であって、これはアンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの変換を阻害する。レニン・アンギオテンシン系を標的化するさらに別の薬剤は、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストおよびレニン阻害剤である。これらのクラスの薬剤は、以下で簡単に考察されている。非常に多くの情報が出版文献中で容易に利用可能である(例えばJackson,E.K. and Garrison,J.C.,in Hardman,J.G.,Gilman,A.G.,and Limbird,L.E.,editors,Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Edition,pp.
733−754 (New York: McGraw−Hill,1996による再検討参照)。ACE阻害剤は、本発明の組成物と一緒に用いるためのレニン・アンギオテンシン系の好ましい阻害剤である。血圧を下げる他に、ACE阻害剤はTGF−βの血漿レベルを低減するが、これは多くの患者、例えば全身性紅斑性狼瘡に罹患している患者においては付加的利点である、ということにも留意すべきである。
【0047】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤:記述したように、ACE阻害剤は、アンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの変換を阻害する。アンギオテンシンIはアンギオテンシンIIの高血圧活性の約1%を有するに過ぎないため、ACE阻害剤は一般に、血圧およびアンギオテンシンIIにより引き起こされるその他の悪性心臓血管作用を低減するのに有効である。ACEは、アンギオテンシンI以外の多数の基質、例えばブラジキニンを有する。ブラジキニンの変換に干渉することにより、ACE阻害剤はブラジキニンレベルを増大させる。このメカニズムは、ACE阻害剤の効能に寄与し得る。
【0048】
ACE/NEP阻害剤も本発明に含まれる。これは、心房性ナトリウム利尿ペプチドを分解する酵素である中性エンドペプチダーゼ(NEP)に及ぼす阻害作用も有するACE阻害剤である。NEPの阻害は、容積拡張性抗血圧を制御するのに特に有効である。
【0049】
多数のACE阻害剤が合成されてきた。これらの化合物のほとんどが、それらの化学構造に基づいて、3つの群に分類され得る:(1)スルフヒドリル含有ACE阻害剤、例えばカプトプリルおよびカプトプリルと構造的に関連する作用物質、例えばフェンチアプリル、ピバロプリル、ゾフェノプリルおよびアラセプリル;(2)ジカルボキシル含有ACE阻害剤、例えばエナラプリルおよびエナラプリルに構造的に関連する作用物質、例えばリシノプリル、ベナゼプリル、キナプリル、モエキシプリル、ラミプリル、スピラプリル、ペリンドプリル、インドラプリル、ペントプリル、インダラプリルおよびシラザプリル;ならびに(3)リン含有ACE阻害剤(フォシノプリルに構造的に関連)。ACE阻害剤の多くは、高経口的生物利用能を有するよう開発されたが、それ自体低能力のエステルである。それらは、身体中で強力な活性を有する特定代謝産物に変換されねばならない。
【0050】
ACE阻害剤は当該分野で周知であり、任意の薬学的に受容可能なACE阻害剤、例えば前段落に記述されたもの、例えばそれらの混合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩が本発明に含まれる。本発明の実施に用いられ得るACE阻害剤のいくつかの更なる例は、AB−103、アンコベニン、ベナゼプリラット、BRL−36378、BW−A575C、CGS13928C、CL242817、CV−5975、エクアテン、EU−4865、EU−4867、EU−5476、フォロキシミチン、FPL66564、FR−900456、Hoe−065、15B2、インドラプリル、ケトメチルウレア、KRI−1177、KRI−1230、L681176、リベンザプリル、MCD、MDL−27088、MDL−27467A、モベルチプリル、MS−41、ニコチアナミン、ペントプリル、フェナセイン、ピボプリル、レンチアプリル、RG−5975、RG−6134、RG−6207、RGH0399、ROO−911、RS−10085−197、RS−2039、RS5139、RS−86127、RU−44403、S−8308、SA−291、スピラプリラット、SQ26900、SQ−28084、SQ−28370、SQ−28940、SQ−31440、シネコル(Synecor)、ウチバプリル、WF−10129、Wy−44221、Wy−44655、Y23785、イッスム(Yissum)、P−0154、ザビシプリル、朝日麦酒(Asahi Brewery)AB−47、アラトリオプリル、BMS182657、旭化成(Asahi Chemical)C−111、旭化成(Asahi Chemical)C−112、大日本製薬(Dainippon)DU−1777、ミキサンプリル、プレンチル(Prentyl)、ゾフェノプリラット、(1−(1−カルボキシ−6−(4−ピペリジニル)ヘキシル)アミノ)−1−オキソプロピルオクタヒドロ−IH−インドール−2−カルボン酸、バイオプロジェクト(Bioproject)BP1.137、Chiesi CHF1514、Fisons FPL−66564、イドラプリル、ペリンドプリラット、Servier S−5590、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、フォシノプリラット、イミダプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、ラミプリラット、酢酸サララシン、テモカプリル、トランドラプリル、トランドラプリラット、セラナプリル、モエキシプリル、キナプリラット、スピラプリルおよび米国特許第6,248,729号に列挙されたものであるが、これらに限定されない。
【0051】
好ましいACE阻害剤は、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、フェンチアプリル、フォシノプリル、インドラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、ピボプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、トランドラプリルおよびゾフェノプリルであり、特に好ましいのはカプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルであり、最も好ましいのはエナラプリルである。
【0052】
本明細書中で用いるためのACE/NEP阻害剤のいくつかの例としては、米国特許第5,508,272号、米国特許第5,362,727号、米国特許第5,366,973号、米国特許第5,225,401号、米国特許第4,722,810号、米国特許第5,223,516号、米国特許第5,552,397号、米国特許第4,749,688号、米国特許第5,504,080号、米国特許第5,612,359号および米国特許第5,525,723号、ならびに欧州特許出願0481,522、0534363A2、534,396および534,492に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのは、上記の米国特許において好ましいと指摘されたACE/NEP阻害剤である。特に好ましいのは、ACE/NEP阻害剤オマパトリラット(米国特許第5,508,272号に開示)およびMDL100240(米国特許第5,430,145号に開示)である。
【0053】
アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(アンギオテンシンIIアンタゴニストとしても既知である):アンギオテンシンIIは、アンギオテンシンサブタイプ1(AT)およびサブタイプ2(AT)受容体、ならびにいくつかのその他の受容体と結合する。アンギオテンシンIIの既知の生理学的作用はすべて、明らかに、アンギオテンシンIIにより影響を及ぼされる組織中に豊富に発現されるAT受容体とのその結合およびそれの活性化による。AT受容体は、いくつかの胎児組織において一般的であるが、成人組織中には乏しい。今日まで、それに関する既知の機能は発見されていない。多数の経口的に活性な非ペプチドアンギオテンシンII受容体アンタゴニストが開発されてきた。これらのほとんどがAT受容体に向けられるが、AT受容体の非平衡活性化についての問題のため、いくつかのより新しいアンギオテンシンII受容体アンタゴニストはATおよびAT受容体の両方を標的化する。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストは一般に、高特異的で、他のホルモン受容体またはイオンチャンネルに非常に少ししか作用を及ぼさない。
【0054】
ATアンギオテンシンII受容体の任意の経口的活性アンタゴニストは、本発明に用いられ得る。本明細書中に用いるのに適したアンギオテンシンII受容体アンタゴニストのいくつかの例は、サララシン(例えば酢酸サララシン)、カンデサルタン(例えばカンデサルタンシレキセチル)、CGP−63170、EMD−66397、KT3−671、LRB/081、バルサルタン、A−81282、BIBR−363、BIBS−222、BMS−184698、CV11194、EXP−3174、KW−3433、L−161177、L−162154、LR−B/057、LY−235656、PD150304、U−96849、U−97018、UP−275−22、WAY−126227、WK−1492.2K、YM−31472、ロサルタン(例えばロサルタンカリウム)、E−4177、EMD−73495、エプロサルタン、HN−65021、イルベサルタン、L−159282、ME−3221、SL−91.0102、タソサルタン、テルミサルタン、UP−269−6、YM−358、CGP−49870、GA−0056、L−159689、L−162234、L−162441、L−163007、PD−123177、A81988、BMS−180560、CGP−38560A、CGP−48369、DA−2079、DE−3489、DuP−167、EXP−063、EXP−6155、EXP−6803、EXP−7711、EXP−9270、FK−739、HR−720、ICI D6888、ICI−D7155、ICI−D8731、イソテオリン、KRI−1177、L−158809、L−158978、L−159874、LR B087、LY−285434、LY−302289、LY−315995、RG−13647、RWJ−38970、RWJ−46458、S−8307、S−8308、サプリサルタン、サルメシン、WK−1360、X−6803、ZD−6888、ZD−7155、ZD−8731、BIBS39、CI−996、DMP−811、DuP−532、EXP−929、L163017、LY−301875、XH−148、XR−510、ゾラサルタンおよびPD−123319である。
【0055】
好ましいアンギオテンシンII受容体アンタゴニストとしては、ロサルタン(これは原型であり、最もよく知られたアンギオテンシンII受容体アンタゴニストである)、イルベサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、ゾラサルチンおよびタソサルタンが挙げられる。特に好ましいのはロサルタンである。
【0056】
レニン阻害剤:レニン活性を阻害する化合物としては、レニン抗体、レニンのプロセグメントの類似体、ペプスタチンの類似体、およびレニン基質アンギオテンシノゲンの類似体が挙げられる。これらの化合物のほとんどがペプチドであるので、それらは低経口的生物利用能を有する傾向がある。非ペプチドレニン阻害剤は、本発明における最も重要なものである。好ましいレニン阻害剤は、レミキレン(Ro42−5892)、A−72517およびA−74273であり、レミキレンが最も好ましい。
【0057】
C.アスピリン
アスピリン(アセチルサリチル酸)は、心臓血管性事象に関する危険に直面した患者に長期間にわたって低い1日用量で投与した場合、心筋梗塞および血栓による卒中を予防することが十分に確定されている。二次心臓発作、卒中および心臓血管性死亡は、低用量(約80mg)のアスピリンの毎日投与により少なくとも25%低減される。
【0058】
多数のメカニズムが心臓血管性防御活性に関与していると思われるが、その抗血栓性、抗血小板凝集活性が、おそらくはこれに関しては非常に有意であると思われる。アスピリンは酵素シクロオキシゲナーゼを不可逆的にアセチル化して、それを非機能性にする。シクロオキシゲナーゼは、(他の化合物の中でも特に)プロスタグランジン(その多くが前炎症性である);トロンボキサンA(血小板により合成されて、血小板凝集を促し、終局的に血栓を促す(血液凝固));ならびにプロスタシクリン(抗血小板凝集特性を有する)の合成に不可欠である。シクロオキシゲナーゼは、内皮細胞中で合成されるが、血小板では合成されない。低用量のアスピリンは、血小板中で選択的にシクロオキシゲナーゼを中和する一方で、内皮細胞中でのシクロオキシゲナーゼおよびプロスタシクリン合成を継続させる。正味の作用は、炎症および血管中の血小板凝集を、したがって血栓を、低減することである。
【0059】
アスピリンは本発明に用いるために最も好ましいが、他のサリチル酸塩、例えばサリチル酸マグネシウム、ならびにその他の抗血小板凝集薬、例えばアナグレリド、ジピリダモール、クロピドグレルおよびチクロピジンも本明細書中で用いられ得る。その他のシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えばその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、例えばイブプロフェン、スリンダック、硫化スリンダック、スリンダックスルホン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、メクラフェナミン酸およびピロキシカムも本発明に用いられ得る。
【0060】
D.ビタミンB化合物
タンパク質中には見いだされないアミノ酸であるホモシステインの血清レベルの上昇は、アテローム性動脈硬化、心臓疾患、卒中および末梢血管性疾患と高度に相関する。ビタミンB(ピリドキシンとも呼ばれる)、ビタミンB12(シアノコバラミンとも呼ばれる)および葉酸(または葉酸塩)の経口投与サプリメントは、ホモシステインレベルを低減し、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞および卒中の発生率を低減する、ということを多数の研究が示してきた。葉酸および葉酸塩は、この点で特に効力があると思われる。近年の調査では、米国人の約88%が毎日摂取している葉酸は、正常ホモシステインレベルを維持するために推奨された400μg/日より低い、ということが見出された。本発明の実施に際して、フォリン酸または葉酸塩が葉酸の代わりに用いられ得るが、葉酸が好ましい。用いられ得る葉酸塩としては、5−メチルテトラヒドロ葉酸(5MeTHF)、テトラヒドロ葉酸(THF)および5−ホルミルテトラヒドロ葉酸(5CHOTHF)が挙げられる。
【0061】
E.誘導体
いずれの活性剤も、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物、類似体等の形態で投与され得るが、但し、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物または類似体は、本発明のコンテキストにおいて薬学的に受容可能であり、かつ薬理学的に活性である。活性剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝産物、類似体およびその他の誘導体は、合成有機化学の当業者に既知の、例えばJ. March,Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms and Structure,4th Edition (New York: Wiley−Interscience,1992)に記載された標準手法を用いて調製され得る。
【0062】
例えば、酸付加塩は、遊離塩基と酸との反応を包含する従来の方法を用いて遊離塩基の形態の薬剤から調製される。酸付加塩を調製するのに適した酸としては、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等、ならびに無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の両方が挙げられる。酸付加塩は、適切な塩基での処理により、遊離塩基に再変換され得る。逆に、活性剤上に存在し得る酸部分の塩基性塩の調製は、薬学的に受容可能な塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミン等を用いて、同様の方法で実行され得る。エステルの調製は、カルボニル炭素でのRO部分の求核攻撃を包含する従来のエステル化反応によるカルボン酸基の変換を包含する。エステル化は、ヒドロキシル基とエステル化試薬、例えば酸塩化物との反応によっても実行され得る。エステルは、所望により、従来の水素化分解または加水分解手法を用いて、遊離酸に再変換され得る。アミドは、適切なアミン反応体を用いてエステルから調製され得るか、あるいは、アンモニアまたは低級アルキルアミンとの反応により、無水物または酸塩化物から調製され得る。プロドラッグおよび活性代謝産物も、当業者に既知の、あるいは関連文献に記載された技法を用いて調製され得る。プロドラッグは代表的には、個体の代謝系により修飾されるまで治療的に不活性である化合物を生じる部分の共有結合により調製される。
【0063】
活性剤のその他の誘導体および類似体は、合成有機化学の当業者に既知の標準技法を用いて調製され得るか、あるいは関連文献を参照することにより推定され得る。さらに、キラル活性剤は異性体的に純粋な形態であり得るか、あるいは異性体のラセミ混合物として投与され得る。
【0064】
III.薬学的組成物および剤形:
2つまたはそれを超える活性剤が単一の薬学的剤形中に併用される場合、活性剤間の、ならびに活性剤と賦形剤との間の、可能な相互作用が考慮されねばならない。このような考慮は、十分に医薬品処方物の当業者の認識の範囲内である。例えば、アスピリンは酸性であり、アスピリンの加水分解および/または他の化合物の分解を引き起こすような方法で、塩基性化合物またはアルカリエステルと反応し得る。アスピリンは、例えば、酸不安定化合物、例えばプラバスタチンと反応して、それらを分解する。したがって、本発明の組成物は、錠剤(例えば二層または三層錠剤)の別個の平坦層、同心層、被覆ビーズまたは顆粒(圧縮錠剤中に、またはカプセル中に組み入れられ得る)におけるように、例えば薬学的剤形内で潜在的相互作用化合物を互いから単離することにより、および/または緩衝剤(例えば米国特許第6,235,311号参照)を用いることにより、2つ以上の活性剤が薬学的剤形内で互いから分離される薬学的組成物を包含する。2つ以上の活性剤が他の活性剤から物理的に分離されるような剤形は、異なる活性剤が異なる放出プロフィールを有するように、例えばある活性剤が腸溶性被覆を用いて配合される場合、別の活性剤は持続放出マトリクス中に配合されるといったように製造され得る、ということも当業者に理解される。あるいは、例えばアスピリンの代わりに中性サリチル酸塩を用いるといったように、1つまたはそれを超える潜在的に相互作用する化合物の非反応性の薬学的活性誘導体が用いられ得る。
【0065】
本発明は、互いから物理的に分離される2つまたはそれを超える多重投薬単位を含有する薬学的剤形であって、種々の投薬単位が異なる放出プロフィールを有し得る剤形を提供する。例えば、1つまたはそれ以上の投薬単位が、活性剤の即時放出(例えば経口摂取後約1時間以内)を提供し、1つまたはそれ以上の投薬単位が、活性剤の持続放出(その中の活性剤が長時間にわたって漸次放出されるように)を提供し、1つまたはそれ以上の投薬単位が、活性剤の遅延放出を提供し得るが、この場合、最初の「遅延」後の放出は、持続放出であってもよく、そうでなくてもよい。薬剤放出は、2つ以上の薬剤が別個の時間間隔で放出される「拍動性(pulsatile)」に成され得る。
【0066】
一実施形態では、剤形は少なくとも2つの薬剤を含有する投薬単位を収容する、閉鎖された、好ましくは密封されたカプセルであって、カプセル内の各投薬単位は、異なる薬剤放出プロフィールを提供してもしなくてもよい。遅延放出投薬単位(単数または複数)の制御は、投薬単位上の制御放出ポリマー被覆により、あるいは制御放出ポリマーマトリクス中に活性剤を配合することにより成し遂げられる。各投薬単位は、圧縮または成形錠剤を含み得るが、この場合、カプセル内の各錠剤は、異なる薬剤放出プロフィールを提供する。あるいはカプセル内の各投薬単位は、複数の薬剤含有ビーズ、顆粒または粒子を含み得る。当該分野で既知であるように、薬剤含有「ビーズ」は、薬剤および1つまたはそれ以上の賦形剤またはポリマーを用いて作られたビーズである。薬剤含有ビーズは、薬剤を不活性な支持体に塗布することにより(例えば薬剤で被覆された不活性糖ビーズ)、あるいは薬剤および1つまたはそれ以上の賦形剤の両方を含む「コア」を作製することにより、製造され得る。当該分野で既知であるように、薬剤含有「顆粒」および「粒子」は、1つまたはそれ以上の付加的な賦形剤またはポリマーを含んでも含まなくてもよい薬剤粒子を含む。薬剤含有ビーズと対照的に、顆粒および粒子は、不活性支持体を含有しない。下流は一般に薬剤粒子を含み、さらなる加工を要する。一般に粒子は顆粒より小さく、さらに加工されない。ビーズ、顆粒および粒子は、即時放出を提供するよう配合され、ビーズおよび顆粒は一般に、遅延放出を提供するために用いられる。
【0067】
別の実施形態では、個々の投薬単位は単一錠剤中に詰まっており、その一体的ではあるが別個のセグメント(例えば層)を示し得るか、あるいは混和物中に存在し得る。各層が異なる活性剤を含有し、かつ/または異なる放出プロフィールを提供する層状錠剤は、いくつかの製造上の利点を提供する。このような錠剤は、単一段階圧縮により作製され、それにより被覆されたコア剤形の調製に必要な方法の操作がなくなる。層状錠剤はさらに、2つ以上の異なる錠剤を製造するための製造過程の付随段階および品質制御を排除する。さらに、賦形剤のみを含有する層が、活性剤を含有する層間に差し込まれて、活性剤間の考え得る相互作用を防止し得る。混和物中に異なる投薬単位を含有する錠剤に関しては、異なる薬剤放出プロフィール(例えば即時及び遅延放出プロフィール)を有する薬剤含有ビーズ、顆粒または粒子、および/または異なる活性剤を含有する薬剤含有ビーズ、顆粒または粒子が、従来の錠剤化手段を用いて単一錠剤中に一緒に圧縮され得る。混和物中では、異なる活性剤が互いに接触するようになる無作為の可能性が存在する。しかしながら、顆粒またはその他の投薬単位上に提供される保護および/または遅延放出被覆は物理的バリアを提供し、それにより活性剤間の直接的な物理的接触を最小にする。
【0068】
さらに別の実施形態では、本発明の剤形は、外層が活性剤からなり、1つまたはそれ以上の中間層が各々1つまたはそれ以上の付加的な活性剤を含有して任意に存在し、かつ内部コアがさらに別の活性剤を含有するかまたは不活性物質からなる、被覆コア型送達系を含む。各層および/またはコアは、異なる放出プロフィールも提供し得る。
【0069】
当業者に理解され、関連する教科書および文献中に記載されているように、種々の薬剤放出プロフィールを提供する薬剤含有錠剤、ビーズ、顆粒または粒子を調製するために、いくつかの方法が利用可能である。このような方法としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:適切な被覆材料を用いて薬剤または薬剤含有組成物を被覆する(通常は、高分子物質を必ず混入しなければならないというわけではない);薬剤粒子サイズを増大する;マトリクス内に薬剤を入れる;および薬剤と適切な錯化剤を用いて薬剤の錯体を生成する。
【0070】
遅延放出投薬単位および腸溶性被覆:固体剤形は、錠剤か、カプセルか、カプレットか、または微粒子かに関わらず、所望により、遅延放出を提供するよう被覆され得る。遅延放出被覆を有する剤形は、標準被覆手法および設備を用いて製造され得る。このような手法は当業者に既知であり、関連テキスト中に、例えばRemington(上記)に記載されている。一般に、固体剤形の調製後、遅延放出被覆組成物は、被覆パン、エアレススプレー法、流動床被覆設備等を用いて塗布される。遅延放出被覆組成物は、高分子物質、例えば酪酸フタル酸セルロース、フタル酸水素セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ジオキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそのエステルから生成されるポリマーおよびコポリマーを含む。
【0071】
本発明の実施形態のいずれにおける遅延放出投薬単位も、例えば選択された被覆物で薬剤または薬剤含有組成物を被覆することにより調製され得る。薬剤含有組成物は、例えばカプセル中に配合するための錠剤、「被覆コア」剤形中の内部コアとして用いるための錠剤、あるいは錠剤またはカプセル中に組み入れるための複数の薬剤含有ビーズ、粒子または顆粒であり得る。好ましい被覆物質は、生腐食性、漸次加水分解性、漸次水溶性および/または酵素分解性ポリマーからなり、好ましい遅延放出被覆は腸溶性被覆物質で構成される。
【0072】
腸溶性被覆組成物は一般に、患者への剤形の経口投与後に、患者の小腸に到達するまで活性剤の放出を防止する高分子物質を含む。一般的にこれは、高分子物質、すなわち腸溶性ポリマーが、胃の酸性環境中での薬剤放出を防止するが、小腸内では十分に溶解して、漸次そこで活性剤を放出することを必要とする。したがって、腸溶性被覆物質は、約4または5未満のpHでの消化液中で溶解すべきでないが、イオン化され、したがって約5以上のpHで溶解する必要がある。したがって、最も有効な腸溶性被覆物質は特に、約3〜5の範囲のpKを有する多価酸であるが、上記のpH依存性溶解プロフィールを示す任意の物質が本発明の実施に際して腸溶性被覆として用いられて、消化管の腸部分への活性剤の送達を達成する、と予測される。特定の腸溶性被覆物質の選択は、以下の特性によっている:胃中での溶解および崩壊に対する耐性;胃中にある間は胃液および薬剤/担体/酵素に対して不透性;標的腸部位で迅速に溶解または崩壊する能力;貯蔵中の物理的および化学的安定性;無毒性;被覆としての適用の容易性;ならびに経済的実行可能性。
【0073】
腸溶性被覆は、口腔、咽頭、食道および胃の上皮および粘膜組織に対する、およびこれらの組織に関連した酵素に対する活性剤の曝露も防止する。したがって、腸溶性被覆は、所望の送達部位での薬剤放出の前に、活性剤および患者の内部組織をいかなる悪性事象からも保護するのを助ける。
【0074】
「被覆重量」または投薬単位あたりの被覆物質の相対量は一般に、摂取と薬剤放出との間の時間間隔を左右する。特定の被覆物質に関する好ましい被覆重量は、異なる量の種々の被覆物質を用いて調製された錠剤、ビーズおよび顆粒に関する個々の放出プロフィールを評価することにより、当業者により容易に確定され得る。しかしながら一般的には、約5重量%〜50重量%の被覆重量が適切である。
【0075】
適切な腸溶性ポリマーとしては、重合ゼラチン、酪酸フタル酸セルロース、フタル酸水素セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ジオキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、シェラック、ゼイン、ならびに好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよび/またはその他のビニルモノマーから形成されるアクリル酸ポリマーおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい腸溶性ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、特にユードラジット(Eudragit)(登録商標)Lおよびユードラジット(登録商標)Sの商標で市販されているものであり、この場合、遊離カルボキシル対エステル基の比はそれぞれ約1:1および1:2であり、各コポリマーは約135,000Daの分子量(重量平均)を有する。
【0076】
被覆は、胃液の浸透を可能にする孔および亀裂の形成を防止するために可塑剤を含有してもよく、通常は含有する。適切な可塑剤としては、クエン酸トリエチル(シトロフレックス2)、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、クエン酸トリエチルアセチル(シトロフレックA2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコールおよびフタル酸ジブチルが挙げられるが、これらに限定されない。被覆は、被覆物質を可溶化または分散し、かつ被覆性能および被覆製品を改良するために、その他の被覆賦形剤、例えば脱粘着剤、消泡剤、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)および安定剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、酸および塩基)も含有し得る。
【0077】
腸溶性剤形は、腸溶性錠剤か、錠剤セグメントか、カプセルか、顆粒かビーズかに関わらず、標準的腸溶性被覆手法および設備を用いて製造され得る。例えば腸溶性被覆は、被覆パン、エアレススプレー法、流動床被覆設備等を用いて、錠剤、錠剤セグメント、ビーズ、顆粒、カプレットまたはカプセルに適用され得る。被覆剤形の調製のための材料、設備および方法に関する詳細情報は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tables,eds. Lieberman et al. (New York: Marcel Dekker,Inc.,1989)に、ならびにAnsel
et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,6th Edition(Media,PA: Williams & Wilkins,1995)に見られ得る。被覆厚は、上記のように、経口剤形が腸管中の所望送達部位に到達するまで無傷のままであることを確実にするのに十分でなければならない。
【0078】
あるいは、遅延放出投薬単位は、腸溶性被覆物質またはその他の遅延放出高分子物質のような適切な物質のマトリクス内に活性剤を分散することにより配合され得る。親水性ポリマーおよびある種の脂肪化合物は、遅延放出マトリクスを提供するために特に有用である。このような親水性ポリマーは、セルロース、セルロースエステル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびビニル、あるいは上記のような酵素的に分解可能なポリマーまたはコポリマーで構成され得る。マトリクス物質として用いるための脂肪化合物としては、蝋(例えばカルナウバ蝋)および三ステアリン酸グリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。活性成分がマトリクス物質と混合されると、混合物は錠剤に圧縮され得る。
【0079】
即時放出投薬単位:本発明の剤形の即時放出単位(すなわち、カプセル内の錠剤;複数の薬剤含有ビーズ、顆粒、または粒子;多層錠剤内の層;または被覆されたコア剤形の層またはコア)は、従来の医薬品賦形剤と一緒に、治療上有効な量の特定の活性剤または活性剤の混合物を含有する。即時放出投薬単位は、保護被覆で被覆されていてもよいし、されていなくてもよい。即時放出錠剤を調製する好ましい方法(例えば、カプセルに配合されるような)は、薬剤含有ブレンド(例えば、顆粒のブレンド)を圧縮することによって、直接ブレンド、湿式造粒または乾式造粒法を用いて調製される。即時放出錠剤は、適切な水溶性潤滑剤を含有する湿潤材料で始めて、圧縮でなく成形されてもよい。しかしながら、本明細書において好ましい錠剤は、成形でなくて圧縮を用いて製造される。即時放出薬剤含有ブレンドを形成する好ましい方法は、希釈剤(または充填剤)、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、着色剤等の1つまたはそれ以上の賦形剤と一緒に、直接薬剤粒子を混合することである。即時放出形態の活性剤を含有するビーズは、通常は流体の分散液から始める多数の従来の技法のうちのいずれか1つにより調製され得る。例えば、薬剤含有ビーズを調製するための通常の方法は、活性剤を、微結晶性セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、タルク、ステアリン酸金属、二酸化ケイ素等の従来の医薬品賦形剤とブレンドすることを含む。この混合物は、約20〜60メッシュのサイズを有する糖球(sugar sphere)(またはいわゆる「ノンパレイル(non−pareil)」)等のビーズコアを被覆するのに用いられる。
【0080】
薬剤ビーズを調製するための代替的手段は、薬剤を、1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(微結晶性セルロース、ラクトース、セルロース、ポリビニルピロリドン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、崩壊剤等)とブレンドし、そのブレンドを押出し、その押出し物を球状化(spheronizing)し、乾燥し、必要に応じて被覆することによって即時放出ビーズを形成する。
【0081】
持続放出剤形および投薬単位:持続放出処方物は、長期にわたる薬剤放出のために提供され、放出が遅延されることもされないこともある。一般に当業者に認識されるように、持続放出投薬単位は、不溶性プラスチック、親水性ポリマーまたは脂肪化合物等の逐次生腐食性(加水分解性)材料のマトリクスに薬剤を分散させることにより、あるいは固体の薬剤含有剤形を、このような材料で被覆することにより配合される。不溶性プラスチックマトリクスは、例えば塩化ポリビニルまたはポリエチレンから構成されてもよい。
【0082】
持続放出被覆またはマトリクスセルロースポリマーを提供するのに有用な親水性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、ヘキサヒドロフタル酸セルロース、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロースポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等から好ましく形成される、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、および/またはメタクリル酸エチルの、好ましい一例を示すアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび塩化メタクリル酸トリメチルアンモニオエチルのターポリマー(商品名Eudragit(登録商標)RSとして販売)とのコポリマー、(特に、商品名Eudragit(登録商標)として市販されるもの);ポリビニルピロリドン、酢酸ポリビニル、フタル酸ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルクロトン酸コポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物等のビニルポリマーおよびコポリマー;カルボマー、すなわち、モノオレフィンアクリル酸モノマーを、スクロースのポリアルキルエーテルと架橋させることにより調製される、「インターポリマー」と称されるヒドロキシル化ビニルポリマー(商品名Carbopol(登録商標)としてB.F. Goodrich Chemical Companyが販売);ゼイン;およびシェラック、アンモニア化シェラック、シェラック−アセチルアルコールおよびシェラックステアリン酸n−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
持続放出マトリクス材料として、または持続放出被覆材料として使用するための脂肪化合物としては、一般的なワックス(例えば、カルナウバワックス)、トリステアリン酸グリセリル、および硬化植物油、綿実油、ヒマシ油、菜種油、パーム油、パームカーネル油および大豆油等の硬化油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
保護被覆:本発明のいかなる剤形、およびそれに含まれるいかなる投薬単位も保護被覆で被覆され得る。遅延放出または持続放出被覆も用いる場合、保護被覆はその上に塗布される。適切な保護被覆物質は当業者には既知であり、関連する文書(例えば、上記のRemington)に記載される。しかしながら、保護被覆は一般に、剤形内で様々な活性剤が物理的に互いに分離されるように、個々の投薬単位を入れる密封剤となる材料から構成される。密封剤として適切な被覆材料は一般に、シェラック、ゼイン、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニルまたはシェラック−ポリビニルピロリドンの組み合わせ等の樹脂材料から構成される。密封剤被覆を剤形全体の外表面に塗布し、錠剤またはカプセルを強化して製品の安定性を改良することもできる。
【0085】
剤形製造:標準的な錠剤加工手段および装置を用いて錠剤を製造し得る。錠剤を形成するための1つの方法は、活性剤(単数または複数)を含有する粉末、結晶または顆粒状の組成物を、単独でまたは1つまたはそれ以上の担体、添加剤等と組み合わせて、圧縮することによる。直接圧縮の代替法として、錠剤を湿式造粒または乾式造粒法を用いて調製することができる。錠剤は、湿潤なまたはさもなければ細工しやすい材料で始めて、圧縮でなくて成形されてもよいが、圧縮および造粒技法が好ましい。
【0086】
活性剤(単数または複数)に加えて、本発明の方法を用いて経口投与用に調製された錠剤は通常、結合剤、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、充填剤、安定化剤、界面活性剤、着色剤等の他の材料を含む。結合剤は粘着性を錠剤に付与するために用いられるため、圧縮後に錠剤を無傷のままにすることを確保する。適切な結合剤材料は、デンプン(コーンスターチおよびアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロースおよびラクト−スを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、および天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を含む)、およびVeegumが挙げられるが、これらに限定されない。希釈剤は通常、実用的なサイズの錠剤が最終的に提供されるように、体積を増加させる必要がある。適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクト−ス、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉末糖が挙げられる。潤滑剤は錠剤製造を促進するのに用いられる。適切な潤滑剤の例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸が挙げられる。ステアリン酸塩が存在する場合、わずか約2重量%の薬剤含有コアを示すことが好ましい。崩壊剤は錠剤の崩壊を促進するのに用いられ、一般に、デンプン、クレー、セルロース、アルギン、ゴムまたは架橋ポリマーである。充填剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロースおよび微結晶性セルロース等の材料、ならびにマンニトール、尿素、スクロース、ラクト−ス、デキストロース、塩化ナトリウムおよびソルビトール等の可溶性材料が挙げられる。安定化剤は、薬剤分解反応(一例として、酸化反応を含む)を阻害または抑制するのに用いられる。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性表面活性剤であり得る。
【0087】
剤形はカプセルであってもよく、この場合、活性剤含有組成物は液体または固体(顆粒、ビーズ、粉末またはペレット等の微粒子を含む)の形態でカプセル化され得る。適切なカプセルは硬質または軟質のいずれであってもよく、一般に、ゼラチン、デンプンまたはセルロース材料から作られるが、ゼラチンカプセルが好ましい。ツーピース(two−piece)硬質ゼラチンカプセルは、ゼラチンバンド等で密封されるのが好ましい(例えば、カプセル化医薬品を調製するための材料および方法が記載されている、上記Remington: The Science and Practice of Pharmacy参照)。活性剤含有組成物が液体形態でカプセル内に存在する場合、液体担体が活性剤(単数または複数)を溶解する必要がある。担体は、カプセル材料および医薬品組成物の全ての構成成分と適合性でなければならず、かつ摂取に適さなければならない。
【0088】
一実施形態においては、その後、コレステロール低下剤、レニン・アンギオテンシン系阻害剤およびアスピリンは、多層錠剤の別々の層に、それぞれ個々に含まれる(本明細書中において、前記錠剤を「錠剤ML1」と示す)。錠剤ML1は、アスピリンを含有する層と他の活性剤を含有する層(単数または複数)との間に、賦形剤(好ましくは微結晶性セルロース)の層をさらに含み得る。さらに、錠剤ML1は、ビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩のうちの少なくとも1つを含有する層を含み得る。好ましくは、1つの層が一緒にブレンドされたビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩を含有する。特に好ましい実施形態においては、コレステロール低下剤、レニン・アンギオテンシン系阻害剤およびアスピリンは、1日1回投与に適した単位用量中の多層錠剤の別々の層に、それぞれ個々に含有され、この場合、さらにコレステロール低下剤およびレニン・アンギオテンシン系阻害剤は、それぞれ制御放出投薬単位(例えば、持続放出および/または遅延放出投薬単位)中にあり、アスピリンは即時放出投薬単位中にある(本明細書中において、前記錠剤を「錠剤ML2」と示す)。特に好ましい実施形態においては、錠剤ML2は、一緒にブレンドされたビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩を含む層をさらに含む(本明細書中において、前記錠剤を「錠剤ML3」と示す)。非常に好ましい実施形態においては、錠剤ML3は、コレステロール低下剤として80mgのロバスタチン、レニン・アンギオテンシン系阻害剤として40mgのエナラプリル、81mgのアスピリン、50mgのビタミンB、1mgのビタミンB12および3mgの葉酸を含む。
【0089】
本発明の剤形が、ブレンドされたマトリクス中に活性剤を含有する錠剤を含む別の実施形態においては、少なくとも1つの活性剤がビーズに配合され、少なくとも1つの他の活性剤がビーズを囲む錠剤のマトリクスに配合される。ビーズは被覆されなくても、保護層で被覆されても、腸溶性被覆されても、持続放出のために被覆またはさもなければ配合されてもよく、または遅延放出のために被覆またはさもなければ配合されてもよい。マトリクスは、即時放出、遅延放出または持続放出のために配合されてもよい。好ましい実施形態においては、コレステロール低下剤およびレニン・アンギオテンシン系阻害剤は、複数のビーズにそれぞれ個々に配合されて、前記ビーズは持続放出のために配合される。一方、アスピリンはマトリクス内に含まれ、前記マトリクスは即時放出のために配合される(本明細書中において、前記錠剤を「錠剤B1」と示す)。特に好ましい実施形態においては、錠剤B1は、マトリクス中のアスピリンと一緒にブレンドされたビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩をさらに含み、各活性剤は1日1回投与に適した単位用量中に存在する(本明細書中において、前記錠剤を「錠剤B2」と示す)。非常に好ましい実施形態においては、錠剤B2は、コレステロール低下剤として80mgのロバスタチン、レニン・アンギオテンシン系阻害剤として40mgのエナラプリル、81mgのアスピリン、50mgのビタミンB、1mgのビタミンB12および3mgの葉酸を含む。
【0090】
本発明の剤形が、ブレンドされた即時放出錠剤またはカプセルを含むさらなる実施形態においては、全ての活性剤が、1つの投薬単位として1つの即時放出剤形(錠剤またはカプセルのいずれか)で一緒にブレンドされる。この実施形態においては、活性剤の安定性および適合性を確保するために配慮がなされる。必要な場合、前記安定性および適合性を確保するのを助けるために、適切なバッファーおよび他の賦形剤を用いる。好ましい実施形態においては、錠剤またはカプセルは、コレステロール低下剤として80mgのロバスタチン、レニン・アンギオテンシン系阻害剤として40mgのエナラプリル、81mgのアスピリン、50mgのビタミンB、1mgのビタミンB12および3mgの葉酸を含む。特に好ましい実施形態においては、6つの活性剤のそれぞれは、個々に複数の保護被覆ビーズまたは顆粒に配合され、この被覆は活性剤の間の化学的相互作用を防止または阻害するのに役立つ。
【0091】
本発明の剤形が錠剤またはカプセル中に被覆ビーズまたは顆粒を含む、さらなる実施形態においては、各活性剤は個々に複数の保護被覆ビーズまたは顆粒に配合され、この被覆は活性剤の間の化学的相互作用を防止または阻害するのに役立ち、必要に応じて、活性剤の放出を持続または遅延するのに役立つ。好ましい実施形態においては、コレステロール低下剤およびレニン・アンギオテンシン系阻害剤は、持続放出のために被覆およびさもなければ配合されたビーズまたは顆粒にそれぞれ配合される。一方、アスピリンは、即時放出のために被覆およびさもなければ配合されたビーズまたは顆粒に配合される(本明細書中において、前記錠剤またはカプセルを「錠剤またはカプセルCBG1」と示す)。特に好ましい実施形態においては、錠剤またはカプセルCBG1は、即時放出のためにビーズまたは顆粒にそれぞれ個々に配合されたビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩をさらに含み、各活性剤は1日1回投与に適した単位用量中に存在する(本明細書中において、前記錠剤またはカプセルを「錠剤またはカプセルCBG2」と示す)。非常に好ましい実施形態においては、錠剤またはカプセルCBG2は、コレステロール低下剤として80mgのロバスタチン、レニン・アンギオテンシン系阻害剤として40mgのエナラプリル、81mgのアスピリン、50mgのビタミンB、1mgのビタミンB12および3mgの葉酸を含む。
【0092】
関連する実施形態においては、カプセル(好ましくは、好ましく密封されている硬質ゼラチンカプセル)は、カプセル内に、圧縮または成形された錠剤、ビーズまたは顆粒を含み、さらに薬学的に受容可能な担体を含む。各活性剤は1つの錠剤、複数の錠剤、複数のビーズまたは複数の顆粒に個々に配合される。錠剤、ビーズまたは顆粒は、即時放出、遅延放出または持続放出のために、被覆および/またはさもなければ配合されてもよい。カプセルは、錠剤、ビーズまたは顆粒の混合物を含んでもよい。さらに、カプセルは被覆および非被覆形態で前記投薬単位の混合物を含んでもよい。好ましい剤形は、持続放出のために配合された、1つの錠剤、複数の錠剤、複数のビーズまたは複数の顆粒にそれぞれ個々に配合された、コレステロール低下剤およびレニン・アンギオテンシン系阻害剤を含み、さらに、即時放出のために配合された、1つの錠剤、複数の錠剤、複数のビーズまたは複数の顆粒にそれぞれ個々に配合された、アスピリン、ビタミンB、ビタミンB12および葉酸塩を含む、硬質で密封されたゼラチンカプセルである。
【0093】
IV.有用性および投与
本発明の方法および組成物は、心臓血管性の危険増大に直面した人を対象としており、この場合、心臓血管の危険とは、心不全、急性または慢性の心筋梗塞、冠状動脈性心臓病、虚血、脳卒中、末梢血管疾患、跛行、アンギナの悪化、再狭窄および/またはアテローム性動脈硬化の可能性を含む。心臓血管性の危険増大に直面した人とは、全身性紅斑性狼瘡を有する人;糖尿病を有する人;狭心症を有する人;顕性(manifest)冠動脈疾患を有する人;高血圧を有する人;高コレステロール血症を有する人;腎臓疾患を有する人;クラミジア感染を有する人;バルトネラ感染を有する人;閉塞性肺疾患を有する人;血液透析を受けている人;臓器移植を受けた人;肥満の人;老人;心臓疾患、アテローム性動脈硬化または脳卒中の家系を有する人;喫煙をしているまたはしていた人;または心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化または末梢血管疾患の家系を有する人が挙げられる。本発明の医薬品組成物は、急性心筋梗塞(MI)を罹患する患者に、MIの時またはその直後に投与され得る。この方法で投与される場合、本発明の組成物は、急性MIを罹患する患者がその事象を切り抜ける可能性を増大させるのに特に有用である。
【0094】
通常、有効、安全かつ便利な療法が欠乏しているために、心臓血管性の危険増大に直面した多くの人は、この状態に対して治療されない。例えば、全身性紅斑性狼瘡を有する女性は、おそらく早期(premature)アテローム性動脈硬化の傾向が増大するため、心筋梗塞および脳卒中の危険が増大した状態にあるが、この危険を低減するために適切な治療がなされることは稀である。このような療法は、心臓血管性の危険増大に直面した人にとって、おそらく患者の生命にとって慢性であるので、患者にとって容易で便利であるべきである。薬剤を1日1回(好ましくは就寝時)経口投与すると、慢性療法に対する高いコンプライアンス率が見られる。本発明は、1日1回(好ましくは就寝時)投与用の1つの単位用量錠剤またはカプセル中に含まれる、コレステロール低下剤、レニン・アンギオテンシン系阻害剤、アスピリン、および必要に応じてビタミンBの組み合わせを提供する。したがって、本発明は、心臓血管の危険が上昇した人における心臓血管性事象の危険を低減させるのに有効、安全、容易かつ便利な方法を提供することにより主な医療的必要性を解決する。このような剤形は患者に対して便利さおよび容易さを提供するため、特に既存の心臓疾患または他の疾患のために複数の薬物治療を既に受けた患者のコンプライアンスのチャンスを増大させる。
【0095】
3つまたはそれを超える活性剤が組み合わせ療法に一緒に用いられているため、各活性剤の有効性およびそれらを組み合わせることによって達成された相乗効果を考慮しなければならない。これらの因子の考慮は、治療的に有効または予防的に有効な投薬量を確定するために臨床医学の当業者の十分範囲内である。
【0096】
好ましい経口剤形は、治療的に有効な単位用量の各活性剤を含有し、この場合、単位用量は1日1回の経口投与に適している。治療的に有効な単位用量の任意の特定の活性剤は、活性剤、患者の必要性、および処方する医師に既知の他の因子次第であることはもちろんである。医薬品処方物の当業者は、様々な活性剤に対する適切な単位用量を容易に推定することができる。しかしながら一般に、各活性剤に対する治療的に有効な単位用量は以下の通りである:
アトロバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択される、約10mg〜約120mg、好ましくは約25mg〜約90mgのHMG CoA還元酵素阻害剤。
【0097】
カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルからなる群から選択される、約1mg〜約60mg、好ましくは約15mg〜約45mgのACE阻害剤。
【0098】
約20mg〜約600mg、好ましくは約20mg〜約150mgのアスピリン。
【0099】
必要に応じて、少なくとも1つの:
約25mg〜約75mg、好ましくは約40mg〜約60mgのビタミンB
【0100】
約0.25mg〜約2mg、好ましくは約0.5mg〜約1.5mgのビタミンB12
【0101】
約0.5mg〜約8mg、好ましくは約1.5mg〜約5mgの葉酸。
【0102】
好ましい実施形態においては、活性成分は以下の:
80mgのロバスタチン;
40mgのエナラプリル;
81mgのアスピリン;
50mgのビタミンB
1mgのビタミンB12;および
3mgの葉酸
である。
【0103】
本発明の処方物は、患者が心臓血管の危険が上昇した状態にある限り投与される。これは、期間の延長のためである可能性が非常に高く、おそらく患者の生命のためである。達成される最低限の利益のために、少なくとも1〜2週間の投与が求められる。毎日の投与のために設計された好ましい処方物の他に、このような処方物の持続放出形態が採用され得るが、これは、隔週、毎週、毎月等で投与するために提供され得る。
【0104】
V.パッケージキット:
別の実施形態においては、自己投与用の複数の経口剤形;剤形を保存中および使用前に収容するための容器手段(好ましくは密封される);および薬剤投与を行う患者のための使用説明書を含有する、パッケージキットが提供される。使用説明書とは通常、パッケージ挿入物、ラベルおよび/またはキットの他の構成成分の上に書かれた使用説明書であり、経口剤形とは本明細書中に記載された通りである。各剤形は、1枚の金属ホイル−プラスチック積層物などで、個々の細胞または泡中の別のものから分離された各剤形で個々に収容されてもよく、あるいは剤形は、プラスチックボトルなどで1つの容器に収容されてもよい。本発明のキットは通常、個々のキットの構成成分をパッケージするための手段(すなわち、剤形、容器手段および使用のために書かれた使用説明書)も含む。このようなパッケージ手段は、厚紙または紙の箱、プラスチックまたはホイルポーチ等の形態であり得る。
【実施例】
【0105】
(実験)
本発明の実施は、別記しない限り、医薬品処方物等の従来の技法を採用するが、これは当該技術の範囲内である。このような技法は、文献中で十分に説明される。以下の実施例においては、使用された数(例えば、量、温度等)に関して正確さを確保する努力がなされてきたが、ある程度の実験的誤差および偏差は考慮されるべきである。別記しない限り、温度はセ氏温度であり、圧力は海水準で大気圧またはほぼ大気圧である。別記しない限り、全ての試薬は購入された。
【0106】
(実施例1)
一層の持続放出ロバスタチン、一層の持続放出エナラプリル、および一緒にブレンドされた即時放出アスピリン、ビタミンB、ビタミンB12および葉酸を含む一層を含む多層錠剤は、以下の表に従って調製される。各層の成分は、別々にブレンドされ、その後適切な積層(layered)圧縮機を用いて圧縮されて層状錠剤を製造する。
【0107】
【表1】

*DowChemical Company、Midland,Michiganから入手可能なヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースのブランド
(実施例2)
ロバスタチンおよびエナラプリルの持続放出ビーズを、アスピリン、ビタミンB、ビタミンB12および葉酸を含むブレンドされたマトリクス中に含む錠剤は、以下のように調製される。
【0108】
【表2】

ビーズ処方物およびマトリクス層の各粉末成分は、別々にブレンドされる。各ビーズ処方物を作るために、精製水(700gm)を上記構成成分の粉末に添加し、混合物を混練し、押出し造粒機から押出し、棒状の顆粒を得る。その後、この顆粒をMarumerizerで丸めて55℃で3時間乾燥させる。このようにして調製されたビーズを篩にかけて、14メッシュの篩は通過するが26メッシュの篩は通過しない持続放出ビーズを得る。その後、持続放出ビーズをマトリクス処方物とブレンドし、錠剤に圧縮成形する。持続放出ビーズおよびマトリクスをブレンドし、その後、錠剤に圧縮して錠剤ごとに以下の組成物を製造する。
【0109】
【表3】

(実施例3)
持続放出ビーズを水性または非水性系中の腸溶性ポリマーで全て被覆すること以外は、実施例2と同様に錠剤を調製する。ロバスタチンおよびエナラプリル用の持続放出ビーズは別々に被覆される。10%〜15%(重量/重量)のフタル酸ジエチルを含有するEudragit L−30D−55は、水性系に用いられる。被覆懸濁液は、固体含量が10%〜30%となるように調製される。被覆懸濁液を調製するために、フタル酸ジエチルをEudragit L−30D−55に添加して、フタル酸ジエチルが完全に溶解するまで内容物を攪拌する。得られた懸濁液を水で希釈し、所望の割合の固体含量を含有する懸濁液を得る。この腸溶被覆懸濁液を用いて、例えば、Wursterインサートを用いた流動床(fluid bed)被覆系で、あるいは表面(top)噴霧被覆によってビーズを被覆することによって、腸溶ビーズを製造することができる。
【0110】
(実施例4)
全ての活性剤が即時放出のために配合された1つの投薬単位中に存在する、錠剤またはカプセルを調製する。硬質ゼラチンカプセル処方物は、以下のように調製される。以下の成分は、各カプセルに用いられる。
【0111】
【表4】

粉末成分をブレンドし、硬質ゼラチンカプセル中に密封する。胃腸の副作用および活性剤の間に起こり得る相互作用を最小限に抑えるために、必要に応じて、緩衝剤(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム)の量を調整することができる。当然のことながら、必要に応じて、これらの緩衝剤は他の適切な緩衝剤と交換されることが可能である。
【0112】
(実施例5)
全ての活性剤が保護被覆または腸溶被覆された顆粒またはビーズ中に別々に存在する、錠剤またはカプセルを調製する。硬質ゼラチンカプセル剤形において、各活性剤は、上記のRemingtonにあるような既知の薬学的手段に従って、造粒され、酢酸フタル酸セルロースで被覆される。活性剤は、各カプセル中に以下のように存在する。
【0113】
【表5】

(実施例6)
各活性剤は、標準的な薬学的技法によって被覆または非被覆圧縮錠剤中に別々に配合され、その後、これらの錠剤は硬質ゼラチンカプセル中に封入される。
【0114】
(実施例7)
実施例1のカプセル処方物は、心臓の危険が上昇した状態の250人の被験者(N=250)の、二重盲式のプラセボ比較試験において用いられる。被験者は3つのグループに分けられる:グループ1(「通常のケア」)(N=100)は、通常の医療ケア、および毎日のプラセボカプセルを受ける;グループ2(「強化した(stepped−up)危険管理」)(N=100)は、通常の医療ケアに加えて、毎日80mgのロバスタチンを含有するカプセルを受ける;グループ3(「積極的な危険管理」)は、通常の医療ケアに加えて、毎日投与用の実施例1の錠剤処方物を受ける。
【0115】
試験の参加基準:SLEのための1997の改定ACR基準によって規定されたような、全身性紅斑性狼瘡(SLE)を罹患した18歳を超える人、あるいはアメリカ・リウマチ学会(American College of Rheumatology)のメンバーによって診断、追跡調査された人は全て有資格者である。SLEの徴候/基準を記録する。
【0116】
以下の除外基準が適用される:肝臓疾患;妊娠、保育、または受容可能な避妊法を使用する不本意(unwillingness);大量のアルコール消費;コレスチラミン、ナイアシンまたはエリスロマイシンの併用(concomitant);アスピリン不耐性;リチウムの併用;カリウムサプリメントまたはカリウム保持性利尿薬の併用;シクロスポリンの併用;ACE阻害剤に対するアレルギーまたは過敏症の病歴;鬱血性心不全;腎動脈狭窄;最近6ヶ月以内の消化性潰瘍疾患;頭蓋内出血または脳腫瘍の病歴;出血体質;筋肉疾患の病歴;別の実験薬剤試験への参加。
【0117】
試験は5年間継続する。3つのグループそれぞれの約10%の被験者は、血圧測定機を与えられ、1日1回自分の血圧を測定し、記録する。グループ2および3は、心臓血管の危険の減少に関する個別の患者教育を受ける。全グループの被験者は、以下の臨床検査を受ける。
【0118】
ベースライン:血圧;ANA;C反応性タンパク質;抗リン脂質抗体;総コレステロール、HDLコレステロールおよびLDLコレステロール;CBC;クレアチニン;カリウム。血清は保存される。
【0119】
3週:血圧;SGPT;総コレステロール、HDLコレステロールおよびLDLコレステロール;CBC;クレアチニン;カリウム。血清は保存される(1レッドトップ(red top))。
【0120】
出口(Exit):血圧;総コレステロール、HDLコレステロールおよびLDLコレステロール;CBC;クレアチニン。血清は保存される(1レッドトップ(red top))。
【0121】
試験の完了時に、グループ2の被験者の心臓血管性事象は、グループ1よりも少なく、グループ3の被験者の心臓疾患の事象は、グループ2よりもかなり少ないことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2013−6857(P2013−6857A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194171(P2012−194171)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2009−183888(P2009−183888)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(509220596)マサチューセッツ カレッジ オブ ファーマシー アンド ヘルス サイエンシーズ (2)
【出願人】(503146324)ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
【Fターム(参考)】