説明

コレステロール及びトリグリセリドの減少で使用するための、ジアシルグリセロール及びフィトステロールエステルを富化させた油

本発明は、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させることができ並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止することができる栄養サプリメント及び経口的に投薬可能な薬物製剤の製造に於ける、食用油及び/又は食用脂肪、特にオリーブ油、カノラ油及び魚油中に溶解又は分散させた、ジアシルグリセロール(群)(DAG)、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)(PSE)の組合せを含有する組成物の使用に関する。更に、本発明の組成物及びその薬物製剤は、アテローム硬化症、例えば、心血管疾患(CVD)、冠状動脈性心疾患(CHD)及び真性糖尿病の病状の治療及び予防のために適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血清レベルを低下させることができ、またLDL抗酸化特性を示し、そして心血管疾患(CVD)及び冠状動脈性心疾患(CHD)の治療及び予防のために適している、栄養サプリメント及び経口的に投薬可能な薬物製剤の製造に於ける、食用油及び/又は食用脂肪中に溶解又は分散させた、ジアシルグリセロール(群)(DAG)、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノール(phytostanol)エステル(群)(PSE)の組合せを含有する組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本件特許出願を通して記載した全ての刊行物は、それらの中に引用されている全ての引用文献を含めて、ここに参照して完全に取り込まれる。
【0003】
(アテローム硬化症のような)冠状動脈疾患は、西洋世界に於ける罹患率及び死亡率の主要原因であり、そしてその病因論には、動脈壁の細胞、血球及び血漿リポタンパク質の間の合併した相互作用が含まれる[Ross R.、(1993年)、Nature 第362巻、第801−809頁;Glass C.K.及びWitztum J.L.、(2001年)、Cell、第104巻、第503−516頁]。今日、コレステロールレベルを低下させることによって、心臓発作、卒中及びアテローム硬化症血管疾患の他の形態の危険性が減少することは常識である。更に、多くの最近の研究によって、酸化ストレスが、アテローム硬化症、癌及びその他の慢性疾患の病因論に於いて中心的役割を有する機構であることが示された。このシナリオに於いて、重要な役割は、酸化された低密度リポタンパク質(ox−LDL)によって活性化される、内皮下腔内のマクロファージによって果たされる。最近、酸化ストレスに起因する内皮機能不全が、アテローム硬化症プラークの発達の過程に於けるプライミング因子(priming factor)として同定された。
【0004】
初期のアテローム硬化症病変は、コレステロール含有マクロファージから誘導される泡沫細胞によって特徴付けられる[Gerrity R.G.、(1981年)、Am.J.Pathol.、第103巻、第181−190頁;Schaffner T.ら、(1980年)、Am.J.Pathol.、第100巻、第57−80頁]。マクロファージコレステロール蓄積及び泡沫細胞生成は、初期のじゅく腫形成の特徴であり、そしてこれらの細胞中のコレステロールの大部分は、血漿低密度リポタンパク質(LDL)から誘導される。しかしながら、天然のLDLは、多量のマクロファージコレステロール蓄積を起こすために、幾らかの変性を受けなくてはならない[Brown M.S.及びGoldstein J.L.、(1983年)、Annu.Rev.Biochem.、第52巻、第223−261頁;Kaplan M.及びAviram M.、(1999年)、Clin.Chem.Lab.Med.、第37巻、第777−787頁;Aviram M.、(1993年)、Atherosclerosis、第98巻、第1−9頁;Steinberg D.ら、(1989年)、N.Engl.J.Med.、第320巻、第915−924頁]。潜在的病理学的重要性を有する最も研究された変性は、LDL酸化である[Aviram M.、(1996年)、Europ.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.、第34巻、第599−608頁;Aviram M.、(1995年)、Isr.J.Med.Sci.、第31巻、第41−249頁;Chisolm G.M.及びSteinberg D.、(2000年)、Free Radic.Biol.Med.、第28巻、第1815−1826頁]。この変性は、変性されたリポタンパク質の増加したマクロファージ摂取、続く脂質含有泡沫細胞の生成になる細胞コレステロール蓄積に至る[Aviram、(1996年)、同書;Aviram、(1995年)、同書;Chisolm、(2000年)、同書、Aviram M.、(1999年)、Antiox.Redox.Signal、第1巻、第585−594頁]。
【0005】
幾つかの報告が、酸化ストレスを、アテローム硬化症を引き起こす主要な因子として関係づけている[Heinecke,J.W.、(2003年)、Am.J.Cardiol.、第91巻、第12A−16A頁;Ceconi,C.ら、(2003年)、Arch.Biochem.Boiphys.、第420巻、第217−221頁;Dhalla,N.S.ら、(2000年)、J.Hypertens.、第18巻、第655−673頁]。酸化ストレスは、細胞膜との接触でもたらされ、そして生物学的分子、例えば、脂質、炭水化物、タンパク質及び核酸中で酸化的損傷に至り得る、フリーラジカル(FR)の過剰の結果として定義される[Thomas C.E.及びAust,S.D.、(1986年)、Ann.Emerg.Med.、第15(9)巻、第1075−83頁]。FRによって攻撃され得る分子の一種は、ox−LDLを形成するLDLであり、その高いレベルはアテローム硬化症に至る。
【0006】
実験的及び臨床的研究に於ける増加しつつある証拠によって、酸化ストレスが、真性糖尿病の両タイプの病因論に於いて主要な役割を果たすことが示唆されている。反応性酸素種の過剰産生のための可能性のある原因は広範囲であり、これには、酵素経路、グルコースの自動酸化及びミトコンドリアが含まれる。これらのフリーラジカルの異常に高いレベル及び自動酸化防御機構の同時低下は、増加した脂質過酸化、細胞小器官及び酵素の損傷並びにCVDの発達に至り得る。従って、糖尿病に於ける酸化ストレスの予防は、多数の研究者によって、糖尿病性血管疾患の発達に対する主要な防御であると考えられている。更に、幾つかの最近の研究は、酸化ストレスに於いて、ソルビタール(sorbital)経路の活性化、改良されたグリケーション(advanced glycation)最終生成物(AGE)及びAGE前駆体を、これらの患者に於いて、高血糖症ではなくて、CVDに至る基本的異常として指摘している[Duckworth W.C.、(2001年)、Curr.Atheroscler.Rep.、第3巻、第383−91頁;Yorek M.A.、(2003年)、Free Radic.Res.、第37巻、第471−80頁;Maritim A.C.、(2003年)、J.Biochem.Mol.Toxicol.、第17巻、第24−38頁]。
【0007】
パラオキソナーゼ(paraoxonase)(PON1)は、HDLの成分として、血漿中に移送された糖タンパク質である。インビトロで、PON1がLDLの酸化変性を阻害することが示された。従って、HDL中のPON1の存在は、これらのリポタンパク質の抗酸化特性の一定の比率を占めるであろう[Mackness,M.I.ら、(1991年)、FEBS Lett.、第286巻、第152−154頁]。
【0008】
アテローム硬化症のLDL酸化仮説は、おびただしい研究を、アテローム硬化症の可能な予防的治療としてのLDL酸化に対する抗酸化剤の役割に向けた。LDLの酸化に対する増加した耐性が、種々の合成薬剤による治療の後で観察されたけれども、LDL酸化に対する抗酸化性防御を提供する、自然食品製品を同定するための努力がなされてきた。
【0009】
オリーブ油がLDL酸化を阻害することが示され、この効果は、それの高いオレイン酸含有量並びに幾つかのフェノール系物質(ヒドロキシトルエン、オレオロペイン(oleoropein))及びフィトステロール、例えばシトステロールに関連付けることができた[Aviram M.及びKasem E.、(1993年)、Ann.Nutr.Metabol.、第37巻、第75−84頁;Visioli F.ら、(1995年)、Atherosclerosis、第117巻、第25−32頁]。
【0010】
LDL酸化に加えて、冠状動脈性心疾患(CHD)−環状動脈内のアテローム硬化症の結果−のための公知の危険因子には、高い血清LDLコレステロール濃度が含まれる。血清全コレステロール及びLDLコレステロール濃度と、CHDの危険又はCHDからの死亡率との間に、正の直線関係が存在する[Jousilahtuら、(1998年)、Circulation、第97巻、第1084−1094頁]。
【0011】
血清トリアシルグリセロールの高い濃度は、また、CHDに寄与するであろう[Austin,M.A.、(1989年)、Am.J.Epidemiol.、第129巻、第249−259頁]が、証拠はあまり明らかではない。ジアシルグリセロール(DAG)は、健康なヒトに於いて、トリアシルグリセロールと比較して、血清トリアシルグリセロールレベルの食後上昇を下げることが示された[Taguchiら、(2000年)、J.Am.Coll.Nutr.、第19巻、第789−796頁]。44gのDAG油の摂取後の血清トリグリセリド(TG)濃度は、44gのTG油の摂取後のものと比較して、食後六時間で著しく低かった。この差は、低い脂肪用量(10g及び20g)でも再現可能であった[Robert A.Moreauら、(2002年)、Progress in Lipid Research、第41巻、第457−500頁]。
【0012】
フィトステロールとCHD
用語「フィトステロール」は、植物ステロール及び植物スタノール(stanol)をカバーする。植物ステロールは、植物油の少量成分として食物中に存在する天然に生じる物質である。植物ステロールは、哺乳動物に於けるコレステロールのものと同様の、植物中に於ける役割、例えば、細胞膜構造を形成する役割を有する。ヒト栄養学に於いて、植物ステロール及び植物スタノールの両方は、全血漿コレステロールレベル及びLDL−コレステロールを下げる際に有効である。
【0013】
植物ステロール及び植物スタノールの消費は、小腸からの、食事の及び内因的に産生されたコレステロールの吸収を阻害することによって、血液コレステロールレベルを低下させる。植物ステロール/スタノールは、非常に劣った吸収性の化合物である。この阻害は、植物ステロール及びスタノールの物理化学的特性に於ける、コレステロールに対する類似性に関連している。
【0014】
植物ステロールの血液コレステロール低下効果は、3年もの長い期間、一日当たり25グラムのように高い用量を使用する、2,400を越える検体を含む大量の臨床的試行に於いて研究されてきた。数十年間の医学的に管理された臨床的効能試験又は植物ステロールの一般的臨床的使用を通して、顕著な悪影響は観察されなかった。更に、薬物シテリン(主としてβ−シトステロール)は、20年間以上も処方され、そして優れた安全記録を有していた。
【0015】
更に、植物ステロール及び植物スタノールの両方は、厳格な毒物学的評価に付されてきた。吸収、分布、代謝及び排泄での研究は、植物ステロールが腸から殆ど吸収されない(1〜10%)ことを示した。
【0016】
4週間の、8.6グラム以下の植物ステロール/日の摂取量での、スプレッド(spread)中の植物油植物ステロールエステルでの一連のヒト研究を実施した。臨床化学、血液学、腸微生物叢の細菌プロフィール及び一般的物理的条件を評価した。全ての他の研究に於けるように、悪影響は検出されなかった。
【0017】
米国に於いて、独立専門家のパネルは、適切な食品グレード規格に適合し、そして現在の良好な製造実施(21C.F.R.§182.1(b))によって製造された、植物油ステロールエステルは、20%の植物ステロールエステルを超えない量で、植物油スプレッド中の成分として使用するために安全であると結論した。植物油ステロールエステルを、使用するために安全であるとして認定したこと、即ち、植物油ステロールエステルがGRAS状態(安全であるとして一般的に認定された)として認可されたことが、有資格専門家と一緒のパネルの意見である。GRAS認可に基づいて、米国食品医薬品局(FDA)は、20%以下の植物ステロールエステル及び植物スタノールエステルを含有する他のものを含有するスプレッドを使用することを許可した。同様の承認が、異なったヨーロッパ諸国並びにアジア及びオーストラリアで与えられた。
【0018】
心疾患の促進又は予防に於ける食事の役割は、多数の研究の主題である。しかしながら、LDL−コレステロール及びトリグリセリドレベルを下げ、そしてLDL酸化を阻害することができる、天然に生じる物質を使用することは、合成薬物の使用を超えて有利であろう。
【0019】
最近の概説は、近年、機能性食品に於ける増大している関心と共に、血清コレステロールレベルを低下させるためにフィトステロールを使用することが、顕著な勢いを得てきたことを教示している[Stark,A.H.ら、(2002年)、Nutrition Reviews、第60(6)巻、第170−176頁]。これは、とりわけ、フィトステロール含有食品、例えばマーガリンの商業的規模の生産をもたらす、脂肪酸によるフィトスタノールのエステル化(スタニルエステル(stanyl ester))に起因すると考えるべきである。スタニルエステルと同様に、フィトステリルエステル(ステリルエステル)は、臨床研究に於いて、HDL−コレステロール(HDL−C)値に於いて変化が見られることなく、血清LDL−コレステロール(LDL−C)レベルを着実に低下させる(約10%以下又はそれ以上低下させる)ことが示された。この概説は、適切に配合された遊離フィトステロール及びスタノールが、ヒトに於いてLDL−Cレベルを低下させる際に、スタニルエステル及びステリルエステルと同様に有効であろうことを示唆している。
【0020】
国際特許出願公開第01/32035号明細書には、植物スタノールエステル及び/又は植物ステロールエステルを含有する、特別に高品質のオリーブ油(例えば、バージンオリーブ油)をベースにする、オリーブ油ベース製品が教示されている。
【0021】
米国特許第5,843,499号明細書には、フェルラ酸エステル(フェルラ酸にエステル化されているフィトステロールエステル)、特にシトスタニルエステルを含有する、トウモロコシ繊維から抽出可能な油が開示されており、これは、コレステロール低下活性を有することが示された。トウモロコシ繊維油(約73%の脂肪(トリアシルグリセロール)、8%のステロール(脂肪アシル)エステル、4%の遊離ステロール、6%のジアシルグリセロール及び6%のフェルラ酸エステル(ステロールエステル)を含有する)が、コレステロールレベルを低下させるための補助食品への添加物として使用されることが記載されている。
【0022】
米国特許第6,326,050号明細書には、油又は脂肪、油又は脂肪中に溶解又は分散された、ジアシルグリセロール、遊離フィトステロール及びトコフェノロールからなる組成物が開示されている。この組成物は、コレステロール過剰血症個体の血液コレステロールを低下させる際に役割を果たす。上述の刊行物の何れにも、コレステロール血清レベル及びトリグリセリド血清レベルの両方の低下は記載されていない。
【0023】
他の記載した植物油(例えば、トウモロコシ繊維油、食卓油、大豆油、菜種油、米ぬか油及びパーム油)とは対照的に、オリーブ油は、とりわけ、55〜85%のモノ不飽和脂肪酸(MUFA)、特にオレイン酸(これは、この油の高い栄養価に寄与する)からなっている。オリーブ油を使用することの、他の植物油を超えた幾つかの明確な利点が存在する。オリーブ油に富んだ食事は、高レベルのMUFAを含有しない従来の食事療法よりも、全コレステロール及びLDL−コレステロールを低下させる際に一層有効であることが示された[Brown M.S及びGoldstein J.L.、(1983年)、Ann.Rev.Biochem.、第52巻、第223−261頁]。
【0024】
更に、オリーブ油は、地中海性食の不可欠成分であり、蓄積データは、これが、冠状動脈性心疾患の危険因子の減少、数種の癌の予防並びに免疫性及び炎症性応答の変性を含む、健康利点を有するであろうことを示唆している[Brown及びGoldstein(1983年)、同書]。
【0025】
本件特許出願人の、出願係属中のイスラエル特許出願第147942号明細書には、油及び/又は脂肪中に分散された、ジアシルグリセロール(群)、主として1,3−ジアシルグリセロール(DAG)並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)(PSE)を含有する物質組成物が記載されている。
【0026】
組み合わせ効果栄養サプリメント及び/又は薬物についての調査に於いて、本発明者らは、IL第147942号明細書の該混合物、即ち、油及び/又は脂肪中のジアシルグリセロール(群)、主としてDAG及びPSEの組合せが相乗効果を有し、そして血液中のLDL−コレステロール及びトリグリセリドレベルの両方を低下させることを見出した。この組成物は、更に、CHD及び動脈疾患のための危険性の低下になる、増加した血清及びマクロファージ抗酸化特性、特にLDL抗酸化特性を示すことができる。これらの新規な治療的使用は、本発明の主な目的である。
【0027】
本発明の更なる目的は、油中に該二種の成分(DAG及びPSE)のそれぞれを別々に使用することによって得られる、コレステロール及びトリグリセリドレベルの組み合わせた低下と比較して、より大きい程度まで血液コレステロールレベルを低下させることが見出された該組成物の投薬によって、血液コレステロール及びトリグリセリドのレベルを低下させ、その結果、哺乳動物に於けるCHDについての危険性を低下させることである。このような相乗効果は、先行技術には記載もされず、示されてもいなかった。前記のように、米国特許第6,326,050号明細書は、ジアシルグリセロール及び遊離フィトステロールの組合せに言及している。この特許には、ジアシルグリセロールの量が80重量%を超えるとき、脂質代謝への相乗効果が期待できることが記載されているけれども、このような効果は、この特許には示されてもおらず、検討もされていない。
【0028】
これに関して、本発明に従って、増加した抗酸化特性と一緒に、コレステロール血清レベル及びトリグリセリド血清レベルの両方を低下させる効果が、僅かに20重量%のDAG及び11重量%のフィトステロールエステルを含有する組成物を適用するときでも観察されることを強調することができる。
【0029】
本発明の更なる目的は、食物/栄養サプリメント(食品添加物)として又は薬物剤形で、該組成物を使用することである。
【0030】
本発明のこれらの及びその他の目的は、説明の進行と共に明らかになるであろう。
【特許文献1】国際特許出願公開第01/32035号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、DAG、主として1,3−DAG(群)及びPSEの組合せを含有する、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための食用組成物を含有する、食物栄養剤又は食品サプリメントに関する。この組合せは、該食用油及び/又は脂肪中にそのように溶解又は分散させたとき、また、本明細書に於いてマルトオイル(MultOil)として参照される。
【0032】
該組成物中に含有される油は、どのような天然油、例えば、オリーブ油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、カノラ油、ゴマ油、パーム油、アボカド油又は魚油であってもよい。好ましくは、この油はオリーブ油、カノラ油又は魚油である。
【0033】
該組成物中に含有される脂肪は、どのような適切な脂肪、例えば、バター脂肪、カカオバター、無水乳脂肪又はラードであってもよい。
【0034】
該組成物中のDAGの脂肪酸残基は、使用した油の脂肪酸残基に対応することができる。代表的残基は、オレイン酸残基、パルミチン酸残基、パルミトレイン酸残基、ステアリン酸残基、リノール酸残基、リノレン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、エイコサペンタエン酸残基及びエイコサン酸残基である。
【0035】
該組成物中のフィトステロールエステル(群)は、どのような脂肪酸エステル、例えば、これらに限定されないが、スチグマステロール、シトステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール(brassicasterol)、カンペステロール、5−アベナステロール並びにこれらの異性体及び誘導体の、オレイン酸及びパルミチン酸エステルであってもよい。
【0036】
本発明に従った食物栄養剤又は食品サプリメントに於いて、該組成物には、更に、従来の栄養組成物の成分が含有されていてよい。
【0037】
好ましい態様に於いて、本発明の食物栄養剤又は食品サプリメントに含まれる組成物に於いて、ジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)との間のモル比は、約1:5〜約5:1である。
【0038】
該組成物中のジアシルグリセロール(群)の量は、好ましくは少なくとも1重量%であり、そしてフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量は、好ましくは少なくとも1重量%である。
【0039】
特別の態様に於いて、本発明は、該組成物中のジアシルグリセロール(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは7〜48重量%であり、そして該組成物中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%である、該食物栄養剤又は食品サプリメントに関する。
【0040】
他の好ましい態様に於いて、本発明は、該組成物が、オリーブ油中に溶解又は分散された、15重量%のDAG、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及び25重量%の全PSEからなる、該食物栄養剤又は食品サプリメントに関する。代表的組成物に於いて、フィトステロールエステルは、約0.4重量%のブラシカステロールエステル、3.1重量%のカンペステロールエステル、2.0重量%のスチグマステロールエステル、5.3重量%のβ−シトステロールエステル、0.2重量%のアベナステロールエステルからなり、そしてDAGには、下記の脂肪酸残基、即ち、オレイン酸(65重量%)、パルミチン酸(15重量%)、リノール酸(10重量%)並びに10重量%の、パルミトレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸及びアラキジン酸を含む脂肪酸残基が含有されている。特別の態様に於いて、該組成物は、オリーブ油中に溶解又は分散された、15重量%のDAG、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及び25重量%の全フィトステロールエステル(群)(PSE)からなる。
【0041】
本明細書に於いて参照するとき、用語「食物栄養剤」は、また、食品物品又は食品製品に関する。
【0042】
第二の面に於いて、本発明は、食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、DAG、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及びPSEの組合せを含有し、そして任意に、更に、薬物的に許容される添加物、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を含有する、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、経口的に投薬可能な薬物組成物に関する。
【0043】
本発明の薬物組成物に於いて、該組合せ中のジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)との間のモル比は、好ましくは、約1:5〜約5:1である。
【0044】
本発明の薬物組成物に於いて、該組合せ中のジアシルグリセロール(群)の量は、少なくとも1重量%である。
【0045】
更に、本発明の薬物組成物に於いて、該組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量は、好ましくは少なくとも1重量%である。
【0046】
特別の態様に於いて、本発明の薬物組成物中に含まれる組合せは、1〜99重量%、好ましくは7〜48重量%の量のジアシルグリセロール(群)からなり、そして該組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量は、1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0047】
他の特別の態様に於いて、本発明の薬物組成物は、オリーブ油中に溶解又は分散された、15重量%のDAG、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及び25重量%の全PSEから実質的になる。この組成物は、血液コレステロールレベル及びトリグリセリドレベルの低下への効果を示す。代表的組成物に於いて、フィトステロールエステルは、0.4重量%のブラシカステロールエステル、3.1重量%のカンペステロールエステル、2.0重量%のスチグマステロールエステル、5.3重量%のβ−シトステロールエステル及び0.2重量%のアベナステロールエステルからなる。DAG(群)には、オレイン酸残基(65重量%)、パルミチン酸残基(15重量%)、リノール酸残基(10重量%)並びに10重量%の、主としてパルミトレイン酸残基、ステアリン酸残基、リノレン酸残基及びアラキジン酸残基である他の脂肪酸残基が含有されている。
【0048】
本発明の薬物組成物は、心血管異常症及びこれに関連する疾患、例えば、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症並びに脂質関連酸化ストレス又はリポタンパク質及びマクロファージじゅく腫形成性に付随する全ての異常症の治療及び/又は予防のために特に適している。
【0049】
別の面に於いて、本発明は、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、経口的に投薬可能な薬物組成物の製造に於ける、食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、DAG、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及びPSEの該組合せ、そして任意に、更に、薬物的に許容される添加物、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を含有する組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
下記の略語を明細書中で使用する。
【0051】
カノラマルトオイル(マルトオイル−c):ベースがカノラ油であるマルトオイル。
【0052】
CHD:冠状動脈性心疾患
CVD:心血管疾患
DAG:ジアシルグリセロール(群)、主として1,3−ジアシルグリセロール
DHA:ドコサヘキサン酸
魚マルトオイル(マルトオイル−f):ベースが魚油であるマルトオイル
HBSS:ハンクスの平衡塩類溶液
HDL:高密度リポタンパク質
LDL:低密度リポタンパク質
MPM:マウス腹膜マクロファージ
マルトオイル: 油及び/又は脂肪ベース中の、ジアシルグリセロール(群)、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトステロールエステルの組合せ
オリーブマルトオイル(マルトオイル−o):ベースがオリーブ油であるマルトオイル
ox−LDL:酸化されたLDL
PBS:リン酸塩緩衝食塩水
PSE:フィトステロール又はフィトスタノールエステル(群)。
【0053】
本発明は、動物モデル系アポEマウスを使用し、この場合、重いコレステロール過剰血症及びアテローム硬化症プラークが、プラシーボ及び/又はカノラ油と比較して、本明細書に於いてマルトオイル−o、マルトオイル−c及びマルトオイル−fとして参照される新規な食物組成物の抗アテローム硬化症特性を評価するために、初期齢で発生される。
【0054】
前記のように、本発明者らは、油及び/又は脂肪中のDAG、主として1,3−DAG及びPSEの組合せ(マルトオイルとも言う)が、血液中のLDL−コレステロール及びトリグリセリドレベルの両方を低下させることによって、増強された効果をもたらすことを見出した。この組合せ及びこれを含有する組成物は、更に、増加した、血清、血清LDL及びマクロファージ抗酸化特性を示し、並びに、泡沫細胞の生成を阻害し及び/又は脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止し、CHD及び動脈関連疾患、例えば糖尿病についての危険性の低下になる。
【0055】
該組合せのためのベースとして使用される油に依存して、それが、オリーブ、カノラ又は海洋起源のものである場合、本発明の組合せは、本明細書を通して、それぞれマルトオイル−o(オリーブマルトオイル)、マルトオイル−c(カノラマルトオイル)又はマルトオイル−f(魚マルトオイル)として参照される。
【0056】
従って、本発明は、主として、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させることができる並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止することができる、薬剤としてジアシルグリセロール並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)を含有する組合せの新規な使用に関する。
【0057】
実施例及び図面に示すように、種々のマルトオイルは、動物モデル系に於いて、プラシーボ治療と比較して、血液トリグリセリド及びコレステロールのレベルを実質的に低下させることができた。
【0058】
本発明によって使用された組合せは、食用油及び/又は脂肪中に分散された、フィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)並びにジアシルグリセロール(群)、主として1,3−ジアシルグリセロールから本質的になる。更に特に、この組合せには、該油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、少なくとも1重量%のジアシルグリセロール(群)並びに少なくとも1重量%のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)が含有されている。
【0059】
油及び/又は脂肪中に含有されているジアシルグリセロール(群)の量は、1重量%〜約99重量%、好ましくは約7重量%〜約48重量%、最も好ましくは約10重量%〜約22重量%の範囲内であってよい。
【0060】
油中に含有されているフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量は、1重量%〜約99重量%、好ましくは約5重量%〜約50重量%、最も好ましくは約20重量%〜約35重量%の範囲内であってよい。
【0061】
ジアシルグリセロール(群)は、主として不飽和脂肪酸残基を含有する1,3−ジアシルグリセロール(群)から実質的になる。ジアシルグリセロール(群)の構造は、フィトステロールエステル(群)を溶解又は分散させるために使用される特別の油及び/又は脂肪に依存する。例えば、オリーブ油を使用するとき、ジアシルグリセロールは、主として、1,3−ジオレイルグリセロールからなる。一般的に言って、DAGの脂肪酸成分には、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸及びエイコサン脂肪酸が含まれる(DAGは、1,2−ジオレイル、1,3−ジオレイル、1,2−オレイルパルミトイル及び1,3−オレイルパルミトイルグリセロールである)。
【0062】
フィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)は、どのようなフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステルであってもよい。このようなエステルの例は、スチグマステリルオレエート、スチグマステリルパルミテート、シトステリルオレエート、シトステリルパルミテート、ベータシトステリルオレエート及びベータシトステリルパルミテートである。
【0063】
油中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)のジアシルグリセロール(群)に対するモル比は、約5:1〜約1:5、好ましくは約2:1である。
【0064】
本発明の組成中に含有される油は、これらに限定されないが、オリーブ油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、カノラ油、ゴマ油、パーム油、アボカド油又は魚油を含む、どのような食用油であってもよい。好ましくは、この油はオリーブ油、カノラ油又は魚油の少なくとも一種である。本発明の組成物中に含有される脂肪は、どのような適切な脂肪、例えば、バター脂肪、無水乳脂肪、カカオバター及びラードのような動物脂肪又は魚油濃縮物であってもよい。
【0065】
ジアシルグリセロール(群)は、全ての従来式の酵素的又は非酵素的方法によって得ることができる。好ましくは、これらは、油及び/又は脂肪中に存在するフィトステロール(群)とトリグリセリド(群)との間のエステル交換反応によって得られる。フィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)は、全ての従来式の酵素的又は非酵素的方法によって得ることができる。好ましくは、これは、食用油又は脂肪中に存在するフィトステロール(群)及び/又はフィトスタノールとトリグリセリド(群)との間のエステル交換反応によって得られる。本発明によって使用される組合せを得るための方法は、該IL第147942号明細書(参照してここに全部取り込まれる)に詳細に記載されている。IL第147942号明細書に記載されているように、本発明の組成物は、また、所望量のジアシルグリセロール(群)並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)を、油及び/又は脂肪と混合(又はブレンド)することによって製造することができる。
【0066】
下記の実施例に示されているように、血清ox−LDL及びマクロファージ酸化を防止及び/又は減少する際に、試験した組成物の顕著な効果が得られた。従って、血液LDL−コレステロール及びトリグリセリドレベルの低下への効果を有することに加えて、該組合せ及びこれを含有する組成物は、血清LDL及びマクロファージ抗酸化特性を示す。実施例は、更に、オリーブ油、カノラ油及び/又は魚油マルトオイル製剤が、泡沫細胞の生成を阻害し及び/又は脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止する、顕著な抗酸化特性を示したことを示す。
【0067】
特に、図5、7、8及び9は、異なったマルトオイル製剤が、下記の酸化ストレスパラメーター、即ち、血清酸化ストレス、腹膜マクロファージによるox−LDL摂取、マクロファージ酸化状態並びにマクロファージからのPMA誘発スーパーオキシドアニオン放出をどのように下げることができるかを示す結果を表している。
【0068】
本発明者らは、また、血清中のPON1活性を測定した。PON1は、ox−LDLを除くことができるHDL会合エステラーゼである。興味深いことに、図6の結果は、カノラ油はPON1活性を低下させるけれども、本発明のマルトオイル組合せは、PON1をより高いレベルに維持できたことを示し、本発明が、アテローム硬化症環境に於いてPON1活性を保護できることを示唆している。
【0069】
マルトオイル組合せは、それ自体食品物品として使用することができる。その代わりに、これは、更に任意に、食品工業で使用されている一般的な添加物、例えば、保存剤、着色剤、矯味矯臭剤、香料、酸化防止剤及び硬化剤、ビタミン、カルシウム、他のミネラル微量元素、プロバイオティック剤(probiotic agent)、イソフラボン、カロリー剤などを含有してよい、食品物品又はサプリメントの成分であってよい。
【0070】
更に、本発明の食品サプリメントは、機能性食品、機能性飲料又は食物サプリメントの何れか一種の製造に於いて使用することができる。該食品サプリメントは、該食品、飲料又は食物サプリメントの中に、それらの製造の間にそれを混合、添加又は含有させることによって導入することができる。
【0071】
その代わりに、この組合せは、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、薬物組成物の活性成分として含有させることができる。薬物組成物には、薬物的に許容される添加物、希釈剤、賦形剤及び担体が含有されていてよい。
【0072】
薬物組成物の製剤は当該技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,736,519号明細書、米国特許第5,733,877号明細書、米国特許第5,554,378号明細書、米国特許第5,439,688号明細書、米国特許第5,418,219号明細書、米国特許第5,354,900号明細書、米国特許第5,298,246号明細書、米国特許第5,164,372号明細書、米国特許第4,900,549号明細書、米国特許第4,755,383号明細書、米国特許第4,639,435号明細書、米国特許第4,457,917号明細書及び米国特許第4,064,236号明細書参照。本発明によって使用される組合せは、好ましくは、当該技術分野で公知であるような、賦形剤、担体及び/又は希釈剤並びに任意に保存剤又は類似の薬物的に許容されるビヒクルと混合することができる。例えば、前記の米国特許を参照。賦形剤の例には、グルコース、マンニトール、イノシトール、スクロース、ラクトース、フルクトース、デンプン、トウモロコシデンプン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。任意に、増粘剤、例えば天然ゴム、セルロース誘導体、アクリル又はビニルポリマーなどを添加することができる。
【0073】
この薬物組成物は、好ましくは、液体形、固体形又は半固体形で提供される。液体剤形は、好ましくは、水性懸濁液、油懸濁液又はマイクロカプセル組成物として提供される。半固体組成物は、好ましくは水性又は油性のゲル又はクリームとして提供される。
【0074】
本発明の組合せを含有する、錠剤、硬質錠剤、カプセル剤及び特に軟質ゼラチンカプセル剤が、食物サプリメントとして又は薬物調剤形として好ましいであろう。本質的に、経口投薬のために適しているどのような薬物調剤形も、本発明の組合せを付与するために使用することができる。
【0075】
本発明のマルトオイル組合せの用量は、治療すべき状態、患者の年齢、性別及び体重に依存し、担当医師又は栄養士によって決定されるであろう。成人のための好ましい用量は、一日当たり約4〜約6gのマルトオイル、好ましくは5g(これは、約1300mgのPSE及び800mgのDAGを含有するであろう)であろう。
【0076】
本発明は、また、高いコレステロール及びトリグリセリド血液レベル、血清酸化ストレス、マクロファージによるox−LDL摂取、マクロファージ酸化状態、泡沫細胞生成及び脂質誘導酸化ストレスの何れか一個に関する状態の治療及び/又は予防方法であって、必要な被検者に、治療的に有効用量の食品サプリメント又はそれらの組成物を経口的に投薬することからなる方法に関する。従って、この方法は、また、心血管異常症、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症の治療のために有効である。
【0077】
その代わりに、このような状態は、本発明に従った食物製品の消費によって治療されるべきである。
【0078】
最後に、本発明は、必要な被検者に、治療的に有効用量の本発明の食物栄養剤又はそれらの薬物組成物を投薬することからなる、健康の改善方法を提供する。
【0079】
本発明は、特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の内容は、明細書の開示の範囲内に含まれるとして読まれるべきである。
【0080】
開示され、記載されたことから、プロセス工程及び材料は幾らか変化し得るので、本発明は、本明細書に開示されている、特別の実施例、プロセス工程及び材料に限定されないことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、付属する特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるので、本明細書中に使用された専門用語は、特別の態様のみを記載する目的のために使用され、限定されることを意図しないことも理解されるべきである。
【0081】
本明細書及び付属する特許請求の範囲中に使用されるとき、内容が他の様式で明示していない限り、単数形には複数の指示物が含まれることが、注目されるべきである。
【0082】
本明細書及び付属する特許請求の範囲を通して、文脈が他の様式を要求していない限り、語「を含有する」及びその変形は、全ての他の完全体若しくは工程又は完全体若しくは工程のグループを排除しないで、記載された完全体若しくは工程又は完全体若しくは工程のグループの包含を意味すると理解されるであろう。
【0083】
下記の実施例は、本発明の一面を実施する際に本発明者らによって使用された技術の代表である。これらの技術は本発明の実施のための好ましい態様の代表であるけれども、当業者は、本明細書の開示に照らして、本発明の意図される範囲から逸脱することなく多数の修正を行うことができることを認識するであろうことが認められるべきである。
【実施例1】
【0084】
材料
オリーブ油:メシェク・エゲー社(Meshek Eger)(Yokeneam HaMoshava、イスラエル国)によって製造された、市販の特性バージンオリーブ油。
【0085】
カノラ油:シェメン・ターシオト社(Shemen Taasiot)(Haifa、イスラエル国)によって製造された、市販のカノラ油。
【0086】
魚油:プロノバ社(Pronova)(Lysaker、ノルウェー国)によって製造された、市販の魚油。
【表1】

【0087】
全ての材料は、25℃を超えない温度で、光及び臭いを出す製品から保護した。
【0088】
方法
フリーラジカル捕獲能力
オリーブ油、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルのフリーラジカル捕獲能力を、DPPHアッセイによって分析した。DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリル−ヒドラジル)は、種々の酸化防止剤のフリーラジカル捕獲能力(電子を供与するための化合物の能力)をモニターするために広く使用されている、ラジカル発生物質である[Belinky,P.A.ら、(1998年)、Free Radic.Biol.Med.、第24巻、第1419−29頁]。DPPHラジカルは、それの壊れた電子のために深紫色を有し、ラジカル捕獲は、薄黄色非ラジカル形が生成されるので、517nmでの吸光度の損失によって分光光度法的に追跡することができる。それぞれのサンプルの貯蔵溶液からの15μLを、1mLの、エタノール中の0.1ミリモルDPPH/Lと混合し、517nmでの光学濃度に於ける変化を連続的にモニターした。
【0089】
マウス腹膜マクロファージの単離
マウス腹膜マクロファージ(MPM)を、食塩水(3mL)中のチオグリコレート(24g/L)の腹腔内注射の四日後に、Eマウス(15〜25g)の腹膜液から採取した。細胞(10〜20×10/マウス)を、PBSで三回洗浄し、そして5%のウシ胎仔血清(56℃で三十分間、熱不活性化)、100Uのペニシリン/mL、100μgのストレプトマイシン/mL及び2mMのグルタミンを含有するDMEM中で、10/mLにまで再懸濁させた。この細胞懸濁液を培養皿の中に平板培養し、加湿したインキュベーター(5%CO、95%空気)内で二時間インキュベーションした。この皿をDMEMで一回洗浄して、付着していない細胞を除去し、そして単層を同様の条件下で十八時間インキュベーションした。マウス腹膜マクロファージを、それぞれのグループからの六匹のマウスから単離し、プールし、そしてそれぞれのアッセイについて、二重に又は三重に分析した。
【0090】
マクロファージスーパーオキシド放出
マウス腹膜マクロファージによるスーパーオキシドアニオン(O2−)の産生を、シトクロムCのスーパーオキシドジスムターゼ抑制性還元として測定した[Yanagitani Y.ら、(1999年)、Hypertension、第33巻、第335−9頁]。細胞(1×10/ウエル)を、アセチルシトクロムC(80μモル/L)を含有するHBSS1mL中でインキュベーションした。細胞によるスーパーオキシド産生を、ホルボールミリステートアセテート(0.5μg/mL)の添加によって一時間賦活させた。幾つかの対照サンプルに、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD、30mg/L)を添加した。スーパーオキシド放出の量を媒体中で決定し、そしてE550=21ミリモル/L−1cm−1の消衰係数を使用して、nモルのスーパーオキシド/mg細胞タンパク質として表した。
【0091】
マクロファージ過酸化物含有量
細胞過酸化物レベルを、ジクロロフルオロレシン−ジアセテート(DCFH−DA)を使用するフローサイトメトリーによって決定した[Goupy,P.ら、(2003年)、Fr.Journal of Agricultural and Food Chemistry、第51(3)巻、第615−622頁]。DCFH−DAは、細胞の中に拡散する非極性染料である。細胞内で、これは非蛍光誘導体2’,7’−DCFHに加水分解され、この誘導体は極性であって、細胞内に捕捉される。酸化ストレス下で、DCFHはDCF(2’,7’−ジクロロフルオレセイン)に酸化され、これは蛍光化合物である。腹膜マクロファージ(2×106)を2.5×10−5モル/LのDCFH−DAと共に、37℃で三十分間インキュベーションした。PBSで4℃で洗浄することによって、反応を停止させた。細胞蛍光を、フローサイトメトリー装置(FACS−SCAN、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)、米国カリフォルニア州サンホゼ(San Jose))で決定した。測定は、アルゴンイオンレーザーによって488nmで細胞を励起した後、510〜540nmで行った。
【0092】
血清脂質プロフィール
血清サンプルを、それらの全コレステロール及びトリグリセリドを含む脂質プロフィールについて、市販のキット(ロッシュ・ダイアグノスチックス社(Roche Diagnostics)、ドイツ国ベンツベルク(Penzberg))を使用することによって分析した[Rosenblat,M.ら、(2002年)、Clin.Chem.Lab.Med.、第40巻、第9−14頁]。
【0093】
血清脂質過酸化
血清を、PBS中で1:4に希釈した。酸化に対する血清感受性は、血清サンプルを、100mMの、フリーラジカル発生化合物である2’,2’−アゾビス−2’−アミジノプロパン塩酸塩(AAPH)(これは、熱分解して、一定速度でペルオキシル(peroxyl)ラジカルを生成する水溶性アゾ化合物である)と共にインキュベーションすることによって決定した。チオバルビツル反応性物質(TBARS)及び脂質過酸化物の生成を測定し、AAPH無し以外は同様の条件下でインキュベーションした血清と比較した。
【0094】
PON1活性測定
血清中のPON1活性は、基質として酢酸フェニルを使用して、アリールエステラーゼ活性を測定することによって決定した。加水分解の初期速度は、270nmで分光光度法的に決定した。このアッセイ混合物には、20mMのトリスHCl、pH8.0中に、1.0mMの酢酸フェニル及び0.9mMのCaClが含有されていた。酢酸フェニルの非酵素的加水分解は、加水分解の全速度から差し引いた。この反応についてのE270は、1,310M−1cm−1であった。アリールエステラーゼ活性の一単位は、1μモルの加水分解された酢酸フェニル/分/mLに等しい。精製した酵素は、ほぼ2000単位のアリールエステラーゼ活性/mgタンパク質を有していた。
【0095】
マクロファージ酸化状態
細胞酸化ストレスを、DCF含有マクロファージ中で、フローサイトメトリーによって、インデックスとして、非蛍光DCFH−DAの、それの蛍光片割れDCFへの転化を使用して検査した。
【0096】
LDLのマクロファージ媒介酸化
MPMを、LDL(100μgのタンパク質/mL)と共に、十八時間、酸化ストレス下で(2μモル/LのCuSOの存在下)インキュベーションし、その後、LDL酸化の程度を、TBARSアッセイによって決定した。
【0097】
酸化されたLDLのマクロファージ摂取
MPMを125I−標識化酸化LDL(10μgのタンパク質/mL)と共にインキュベーションし、そしてこれらの細胞によるリポタンパク質細胞会合及び分解を決定した。リポタンパク質細胞分解は、集めた媒体中で、トリクロロ酢酸(TCA)可溶性、非脂質放射能(これは遊離ヨウ化物に起因しなかった)として測定した。無細胞系中のリポタンパク質分解は、同一条件下で測定し、そして全分解から差し引いた。残留する細胞を、冷PBSで三回洗浄し、そしてタンパク質及び細胞会合リポタンパク質決定のために、0.1N NaOH中に溶解させた。
【0098】
統計的解析
結果の統計的解析のために、スチューデントt−試験を使用した。
【実施例2】
【0099】
マウス内のマクロファージ脂質過酸化に対するオリーブ油、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルの抗酸化効果
前述のように、酸化ストレスは、アテローム硬化症の病因論に含まれる。アテローム硬化症は、血漿LDL及びマクロファージを含む動脈細胞内の脂質過酸化に付随する[Aviram M.、(2000年)、Free.Radic.Res.、第33巻、第S85−97頁;Aviram M.及びFuhrman B.、(1998年)、Mol.Cell.Biochem.、第188巻、第149−159頁]。酸化ストレス下で、マクロファージ過酸化物レベルは上昇するようになり、そしてマクロファージは反応性酸素種を発生し、それらの上昇したじゅく腫形成性に至る[Plump A.S.ら、(1992年)、Cell、第71巻、第343−353頁]。
【0100】
アポリポタンパク質E欠損(E)マウスは、それらが、食事(chow diet)で重い高コレステロール血症及びアテローム硬化症病変を発症するので、アテローム硬化症のための動物モデルとして広く使用されている。更に、Eマウスに於いて、加速されたアテローム硬化症は、血漿リポタンパク質及び動脈細胞の増加する脂質過酸化に付随する[Hayek T.ら、(1994年)、Biochem.Biophys.Res.Commun.、第201巻、第1567−1574頁;Keidar S.、(1998年)、Life Sci.、第63巻、第1−11頁]。
【0101】
レニン−アンギオテンシン系によって生成される血管収縮薬であるアンギオテンシンII(Ang−II)が、アテローム硬化症に結び付けられた。Ang−IIは、マクロファージNAD(P)H−オキシダーゼを活性化し、増加したマクロファージ脂質過酸化に至る[Rajagopalan S.ら、(1996年)、J.Clin.Invest.、第97巻、第1916−1923頁;Johnston R.B.Jr.、(1984年)、Methods Enzymol.、第105巻、第365−9頁]。
【0102】
この実施例に於いて、オリーブ油+フィトステロール、オリーブマルトオイル及びオリーブ油と指定した、三種のオリーブ油の製剤の抗酸化効果を、マクロファージ酸化ストレスに対して分析した。
【0103】
下記の油サンプルをチェックした(全て水中に1/2体積/体積で希釈した、貯蔵溶液)。
【0104】
1:オリーブ油+フィトステロール
2:オリーブマルトオイル
3:オリーブ油
オリーブ油+フィトステロール及びオリーブ油と比較した、オリーブマルトオイルのマクロファージ酸化ストレスに対する抗酸化効果を、二個のパラメーター、即ち、(i)マクロファージ過酸化物含有量を減少させるための能力及び(ii)スーパーオキシドイオンを放出するためのマクロファージ能力によって分析した。
【0105】
マウス腹膜マクロファージを、オリーブ油+フィトステロール、オリーブマルトオイル及びオリーブ油の何れかの貯蔵溶液50μL/mLと共に十五分間インキュベーションし、続いて、酸化ストレスを誘発するためにアンギオテンシンII(10−7M)と共に更に一時間インキュベーションした。対照細胞を、アンギオテンシンII単独と共にインキュベーションした。次いで、DCFHアッセイを使用してそれらの過酸化物含有量について及びスーパーオキシドイオンを放出するためのそれらの能力について、マクロファージを分析した(図2A、B)。
【0106】
1)マクロファージ過酸化物含有量への、オリーブ油+フィトステロール、オリーブマルトオイル及びオリーブ油の影響
オリーブ油単独と一緒のものを除いて、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルと一緒のマクロファージのプリインキュベーションは、アンギオテンシンII単独でインキュベーションした対照マクロファージと比較して、マクロファージ過酸化物含有量を減少させた。DCFHアッセイを使用する、マクロファージ脂質過酸化物含有量は、二個のパラメーター、即ち、第一に、DCFによって発光される平均蛍光強度及び第二に、蛍光発光のために正である細胞のパーセンテージによって評価する。
【0107】
50μL/mLのオリーブ油+フィトステロール又はオリーブマルトオイルと一緒のマクロファージのプリインキュベーションは、対照細胞と比較して、マクロファージ平均蛍光強度に於ける83%及び64%の減少に至り、一方、同じ濃度でのオリーブ油は、対照細胞と比較して、マクロファージ平均蛍光強度への影響を有しなかった(図2A)。同様に、50μL/mLのオリーブ油+フィトステロール又はオリーブマルトオイルと一緒のマクロファージのプリインキュベーションは、対照細胞と比較して、蛍光のための正細胞のパーセンテージに於ける74%及び55%の減少に至り、一方、同じ濃度でのオリーブ油は、対照細胞と比較して、蛍光のための正細胞のパーセンテージへの影響を有しなかった(図2B)。
【0108】
2)マクロファージスーパーオキシドイオン放出への、オリーブ油+フィトステロール、オリーブマルトオイル及びオリーブ油の影響
マウスから単離したマウス腹膜マクロファージを、オリーブマルトオイル、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブ油単独の何れかの50μL/mLと共に十五分間プリインキュベーションし、続いて、酸化ストレスを誘発するためにアンギオテンシンII(10−7M)と共に更に一時間インキュベーションした。対照細胞を、アンギオテンシンII単独と共にインキュベーションした。
【0109】
本研究に於いて分析した全ての三種のオリーブ油製剤は、ある程度まで、アンギオテンシンIIによって誘発されたマクロファージスーパーオキシド放出を抑制した。しかしながら、オリーブマルトオイル及びオリーブ油+フィトステロールは、オリーブ油単独よりも顕著に一層強力であった。オリーブマルトオイル、オリーブ油+フィトステロール又はオリーブ油単独の50μL/mLと共のマクロファージのプリインキュベーションは、アンギオテンシンII単独でインキュベーションした対照細胞と比較して、マクロファージスーパーオキシドアニオン放出に於ける、それぞれ29%、23%及び僅か9%の減少に至った(図3)。
【0110】
フィトステロール、特にオリーブマルトオイルを富化したオリーブ油製剤は、マクロファージ脂質過酸化に対する顕著な抗酸化特性を示した。反対に、オリーブ油単独は、如何なる影響も示さなかった。最も重要なことに、オリーブマルトオイルは、マクロファージ過酸化物含有量及びマクロファージスーパーオキシド放出を減少させるそれの能力に於いて、オリーブ油+フィトステロール製剤よりも一層強力であった。
【0111】
これらの結果は、オリーブ油及び追加の成分(フィトステロール及びジグリセリド)が、結合し、そしてマクロファージの中に内在化できることを示唆している。更に、フィトステロールでのオリーブ油富化によって、本発明の製剤が、細胞酸化系(例えば、NADPHオキシダーゼ及び/又はリポキシゲナーゼ)を抑制すること又は細胞抗酸化系(例えば、グルタチオン又はスーパーオキシドジスムターゼ系)を活性化することが可能になる。更に、オリーブ油+フィトステロール製剤へのDAGの添加(オリーブマルトオイルになる)は、マクロファージ脂質過酸化に向けた追加の抗酸化効果に至る。従って、本発明者らは、多数の細胞内シグナルトランスダクション経路に関与するDAGが、マクロファージ脂質過酸化及びスーパーオキシド放出として表される、アンギオテンシンII媒介細胞酸化ストレスに含まれる、前記の細胞酸化/抗酸化系に更に影響を与えることができたと推測する。
【実施例3】
【0112】
リポタンパク質及びマクロファージのじゅく腫形成性への及びアテローム硬化症アポリポタンパク質E欠損(E)マウスモデルへのマルトオイル−c及びマルトオイル−fの影響を研究した。八週齢のアポリポタンパク質E欠損(アポE)マウスを、以下に説明するような下記のグループ(それぞれ五匹のマウス)にランダムに指定した。マウスに通常の食事を与え、そして更に、これらに、下記のものを三日毎に一度(ガバージュを経て)供給した。
【0113】
グループI:
1.プラシーボグループ:如何なる油の添加も受け取らなかった。
【0114】
2.カノラ油グループ(対照):60μLのカノラ油を供給された。
【0115】
3.マルトオイル−cグループ:60μLのマルトオイル−cを供給された。
【0116】
グループII:
1.プラシーボグループ:如何なる油の添加も受け取らなかった。
【0117】
2.マルトオイル−f:60μLのマルトオイル−fを供給された。
【0118】
各マウスは、約5mLの水/日及び5gの食事/日を消費した。
【0119】
供給のための油製剤
マウスに供給したマルトオイル−c及びマルトオイル−fの量は、下記のことを基準にした。
【0120】
ヒト用の推奨されるフィトステロール用量は、1.5gのフィトステロール/日である。従って、それぞれのサンプル中の18.1%のフィトステロール基準で、ヒト用のマルトオイル−c及びマルトオイル−fについての用量は、1.5/0.18=8.33g/日/人である。マウスのために、体重を考慮に入れるべきであり(60,000gヒト体重/20gマウス体重=3000)、従ってマウス用の毎日用量は、8.33g/3000=2.78mg/日/マウスであり、これは2.78/0.93=2.99mL/日/マウスに等しい。実験は限定された期間行ったので、使用した用量は、五倍多かった。従って、それぞれのマウスには、15mLの油/日(60mL/四日/マウス)を投与した。
【0121】
実験期間の終わりに、全てのマウスから、血清分離及び分析のための血液サンプルを集めた。それぞれの実験グループ内で、それぞれのマウスの血液サンプルを個々に分析した。血清中の下記のパラメーターを分析した。
【0122】
1.全コレステロール及びトリグリセリドレベルを含む、脂質の決定。
【0123】
2.血清酸化状態の決定。
【0124】
3.アリールエステラーゼ活性として測定した、パラオキソナーゼの決定。
【0125】
心臓及び大動脈の除去の前に、MPMを採取した。マウスに、局所鼻容器内のエチルエーテルで麻酔をかけた。大動脈アテローム硬化症病変の組織病理学的分析のために、心臓及び全大動脈を全てのマウスから迅速に除去した。
【0126】
実験プロトコル(第IL−066−10−2001号)は、テクニオンイスラエル工科大学の動物保護及び使用委員会(the Animal Care and Use Committee of the Technion Israel Institute of Technology)(イスラエル国Haifa)によって承認された。
【0127】
図3は、プラシーボと比較した、マルトオイル−cの消費が、血清中のトリグリセリドのレベルに於ける顕著で有意の低下(36%)を示したことを示す(p<0.001)。
【0128】
同様に、図4は、特にマルトオイル−cであるが、マルトオイル−fも、血清中の全コレステロールレベルを低下させる傾向を示したことを示す(p<0.1)。
【0129】
図5は、マルトオイル−c治療が、(プラシーボと比較して)63%ほどの、AAPH誘導酸化に対する血清感受性の、猛烈で高度に有意の(p<0.001)低下になったことを示す。マルトオイル−fは、同様の傾向を示し、プラシーボと比較して16%ほど脂質過酸化物を減少した。
【0130】
図6は興味ある結果を示す。カノラ油消費は、アテローム硬化症のために有害であり得る血清PON1活性[Mackness,B.ら、(2003年)、Circulation、第107巻、第2775−9頁]のレベルに於ける顕著な低下を誘発したのに対して、マルトオイル−c又は−fの消費は、PON1活性を、未治療(プラシーボグループ)マウスのものに匹敵するレベルまで回復させた。従って、マルトオイル−c及びマルトオイル−fの消費は、PON1活性の有効なレベルを維持するために有利である。
【0131】
図7は、マルトオイル−cの消費が、ox−LDL会合(16%)及び分解(14%)の減少を起こし(p<0.05)、ox−LDLに耐えるための増加したMPM能力になったこと(これは、低下した酸化状態に関連付けることができる)及びより大きい程度まで、マルトオイル−fが、同様の効果を示し、また、ox−LDL会合(34%)及び分解(30%)の減少を起こしたこと(p<0.001)を示す。反対に、カノラ油消費は、ox−LDL会合及び分解の両方の僅かな増加(p値<0.05)(プラシーボと比較して、それぞれ4%及び11%)になった。
【0132】
図8は、マルトオイル−c又はマルトオイル−fの消費が、Eマウスマクロファージの酸化状態を著しく低下させた(p<0.0001)ことを示す。マルトオイル−fは、マクロファージ酸化状態をプラシーボと比較して34%ほど低下させ、一方、マルトオイル−cは、それをプラシーボと比較して29%ほど低下させた。従って、マルトオイル−f及びマルトオイル−cの両方は、マクロファージの酸化状態を低下させる際に有効である。これらの結果と一致して、図9に、本発明者らは、同様に、マルトオイル−f又はマルトオイル−cの消費が、マクロファージ中のスーパーオキシドアニオンのPMA誘発放出を顕著に減少させたことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1A】マクロファージ細胞過酸化物含有量への、オリーブ油、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルの影響。細胞平均蛍光(DCFにより発光)強度によって決定されたマクロファージ過酸化物レベル。
【図1B】マクロファージ細胞過酸化物含有量への、オリーブ油、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルの影響。蛍光ポジティブ細胞のパーセンテージによって決定されたマクロファージ過酸化物レベル。
【0134】
略語:PT、フィトステロール;cont.、対照;Ol.O.、オリーブ油;M.F.I.、平均蛍光強度;Perc.Pos.Ce.、ポジティブ細胞のパーセンテージ。
【図2】マクロファージスーパーオキシドアニオン放出への、オリーブ油、オリーブ油+フィトステロール及びオリーブマルトオイルの影響。
【0135】
マクロファージスーパーオキシドイオン放出は、シトクロムCのスーパーオキシドジスムターゼ抑制性還元によって決定した。
【0136】
略語:PT、フィトステロール;cont.、対照;Ol.O.、オリーブ油;S.O.rel.、スーパーオキシド放出;prot.、タンパク質。
【図3】血清トリグリセリドプロフィールへの、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0137】
略語:Triglyc.、トリグリセリド;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。
【図4】血清全コレステロールプロフィールへの、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0138】
略語:Chol.、コレステロール;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。
【図5】血清酸化ストレスへの、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0139】
略語:Ser.lip.Per.、血清脂質過酸化物;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。
【図6】血清PON1活性への、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0140】
略語:Ser.PON1 act.、血清PON1活性;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。
【図7】腹膜マクロファージによるox−LDL摂取への、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0141】
略語:prot.、タンパク質;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ;deg.、分解;ass.、会合。
【図8】マクロファージ酸化状態への、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0142】
略語:Rel.Fluor.U.、相対蛍光単位;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。
【図9】マクロファージ内のPMA誘発スーパーオキシドアニオン放出への、マルトオイル−c及びマルトオイル−f消費の影響。
【0143】
略語:S.O.rel.、スーパーオキシド放出;prot.、タンパク質;Plac.、プラシーボ;Can.、カノラ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、ジアシルグリセロール(群)(DAG)、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)並びにフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)(PSE)の組合せを含有する、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための食用組成物を含有する、食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項2】
前記油が、天然油及び/又は食用油、好ましくは、オリーブ油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、カノラ油、パーム油、アボカド油、ゴマ油及び魚油、更に好ましくは、オリーブ油、カノラ油又は魚油である、請求項1記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項3】
前記脂肪が、全ての天然脂肪、好ましくは、バター脂肪、無水乳脂肪、カカオバター及びラードである、請求項1記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項4】
DAGの脂肪酸残基が、それが誘導される油の脂肪酸残基、例えば、オレイン酸残基、パルミチン酸残基、パルミトレイン酸残基、ステアリン酸残基、リノール酸残基、リノレン酸残基及びエイコサン酸残基に対応する、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項5】
前記フィトステロールエステル(群)が、スチグマステロール、シトステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、5−アベナステロール並びにこれらの異性体及び誘導体の脂肪酸エステルである、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項6】
前記組成物に、更に、従来の栄養組成物の成分が含有されている、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項7】
前記組成物中のジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)との間のモル比が、1:5〜5:1である、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項8】
前記組成物中のジアシルグリセロール(群)の量が、少なくとも1重量%である、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項9】
前記組成物中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、少なくとも1重量%である、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項10】
前記組成物中のジアシルグリセロール(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは7〜48重量%であり、そして前記組成物中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%である、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項11】
前記組成物が、オリーブ油、カノラ油及び魚油の何れか一種中に溶解又は分散された、15重量%のDAG、主として1,3−DAG(群)及び25重量%の全PSE(群)からなる、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項12】
心血管異常症及びこれに関連する疾患、例えば、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症を治療及び/又は予防するための、前記請求項の何れか1項記載の食物栄養剤又は食品サプリメント。
【請求項13】
食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、ジアシルグリセロール(群)(DAG)、主として1,3−ジアシルグリセロール(群)及びフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)(PSE)の組合せを含有し、そして任意に、更に、薬物的に許容される添加物、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を含有する、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、経口的に投薬可能な薬物組成物。
【請求項14】
心血管異常症及びこれに関連する疾患、例えば、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症の治療及び/又は予防のための、請求項13記載の薬物組成物。
【請求項15】
前記油が、天然油及び/又は食用油、好ましくは、オリーブ油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、カノラ油、パーム油、ゴマ油、アボカド油及び魚油、好ましくは、オリーブ油、カノラ油又は魚油である、請求項13及び14の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項16】
前記脂肪が、全ての天然脂肪、好ましくは、バター脂肪、カカオバター、無水乳脂肪及びラードである、請求項13記載の薬物組成物。
【請求項17】
前記DAGの脂肪酸残基が、それが誘導される油の脂肪酸残基、例えば、オレイン酸残基、パルミチン酸残基、パルミトレイン酸残基、ステアリン酸残基、リノール酸残基、リノレン酸残基及びエイコサン酸残基に対応する、請求項13〜16の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項18】
前記フィトステロールエステル(群)が、スチグマステロール、シトステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、5−アベナステロール並びにこれらの異性体及び誘導体の脂肪酸エステルである、請求項13〜17の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項19】
前記組合せ中の、ジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)との間のモル比が、1:5〜5:1である、請求項13〜18の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項20】
前記組合せ中のジアシルグリセロール(群)の量が、少なくとも1重量%である、請求項13〜19の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項21】
前記組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、少なくとも1重量%である、請求項13〜20の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項22】
前記組合せ中のジアシルグリセロール(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは7〜48重量%であり、そして前記組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%である、請求項13〜21の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項23】
コレステロール及びトリグリセリドの血液レベルを低下させ及び/又はLDL酸化を低下させるための、オリーブ油中に溶解又は分散された、15重量%のDAG(群)、主として1,3−DAG(群)及び25重量%の全PSE(群)から実質的になる薬物組成物であって、前記組成物が、コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための効果を有することによって特徴付けられる薬物組成物。
【請求項24】
心血管異常症及びこれに関連する疾患、例えば、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症の治療及び/又は予防のための、請求項13〜23の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項25】
コレステロール及びトリグリセリド血液レベル、血清酸化ストレス、マクロファージによる酸化LDL摂取、マクロファージ酸化状態、泡沫細胞生成及び脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響の何れか一個の低下及び/又は予防のための、請求項13〜24の何れか1項記載の薬物組成物。
【請求項26】
コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、経口的に投薬可能な薬物組成物の製造に於ける、食用油及び/又は脂肪中に溶解又は分散された、DAG(群)、主として1,3−DAG(群)及びPSE(群)の組合せ、そして任意に、更に、薬物的に許容される添加物、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を含有する組成物の使用。
【請求項27】
前記組合せ中の、ジアシルグリセロール(群)とフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)との間のモル比が、1:5〜5:1である、請求項26記載の使用。
【請求項28】
前記組合せ中のジアシルグリセロール(群)の量が、少なくとも1重量%である、請求項26及び27の何れか1項記載の使用。
【請求項29】
前記組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、少なくとも1重量%である、請求項26〜28の何れか1項記載の使用。
【請求項30】
前記組合せ中のジアシルグリセロール(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは7〜48重量%であり、そして前記組合せ中のフィトステロール及び/又はフィトスタノールエステル(群)の量が、1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%である、請求項26〜29の何れか1項記載の使用。
【請求項31】
コレステロール及びトリグリセリドの両方の血液レベルを低下させるための並びに/又は血清、血清LDL及びマクロファージ酸化レベルを低下させ、泡沫細胞の生成を阻害し及び/若しくは脂質誘導酸化ストレスにより生じる有害な影響を防止するための、経口的に投薬可能な薬物組成物の製造に於ける、オリーブ油中に溶解又は分散された、15重量%のDAG(群)、主として1,3−DAG(群)及び25重量%の全PSE(群)から実質的になる組合せの使用。
【請求項32】
機能性食品、機能性飲料及び食物サプリメントの何れか一種の製造に於いて使用するための、請求項1〜12の何れか1項記載の食品サプリメント。
【請求項33】
高いコレステロール及びトリグリセリド血液レベル、血清酸化ストレス、マクロファージによるox−LDL摂取、マクロファージ酸化状態、泡沫細胞生成及び脂質誘導酸化ストレスの何れか一個に関する状態の治療及び/又は予防方法であって、必要な被検者に、治療的に有効量の請求項1〜12記載の食品サプリメント又は請求項13〜25記載の組成物を投薬することからなる方法。
【請求項34】
心血管異常症及びこれに関連する疾患、例えば、冠状動脈性心疾患、アテローム硬化症及び真性糖尿病、特にII型糖尿病のような他の疾患によって誘発される又は顕示される心血管異常症の治療及び/又は予防のための、請求項33記載の方法。
【請求項35】
必要な被検者に、治療的に有効量の請求項1〜12記載の食物栄養剤又は請求項13〜25記載の薬物組成物を投薬することからなる、健康の改善方法。


【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2006−517222(P2006−517222A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502637(P2006−502637)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000131
【国際公開番号】WO2004/069150
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(504263439)エンジィモテック リミテッド (5)
【Fターム(参考)】