説明

コンセント装置

【課題】コンセント装置に流れる負荷電流値をデジタルで把握することができるとともに、負荷電流値を外部制御機器に出力することができ、離れたところからでも負荷電流値を監視することができるコンセント装置を提供すること。
【解決手段】コンセント装置Aは、複数の差し込み口2と該コンセント装置Aに接続された全ての電気機器に流れる負荷電流を監視する電流監視装置Bとを備え、この電流監視装置Bは上記コンセント装置Aに流れる負荷電流を検出する検出部20と、該検出部20の検出した負荷電流値をデジタルで表示する表示部8と、報知する電流値を設定する設定部23と、上記検出部20の検出した負荷電流値が設定電流値を越えたことを知らせる報知部12と、上記検出部20が検出した電流値が設定値を超えたか否かを判断し、上記報知部12を作動させるか否かを判断する制御部22とを備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセント装置、詳しくはコンセント装置に接続された電気機器に流れる電流値を表示装置に表示するとともに、電流値が所定値を越えたときに報知部が働くコンセント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンセント装置に接続された機器に流れる電流が設定値を越えたことをユーザーに知らせるコンセント装置が提案されている(例えば、特許文献1)。このコンセント装置は、検出した負荷電流値が所定の電流値を越えると表示ランプが点灯し、この点灯によりユーザーに注意を促すことができるようにしたものであった。
【特許文献1】登録実用新案第3015728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のコンセント装置は、表示ランプの点灯の有無でユーザーに負荷電流の状況を知らせるようになっているが、電気機器を増設して接続する際、表示ランプが消灯していてもどの程度余裕があるか否かが判らず電気機器の増設をしてもよいか否かの判断できない点であり、負荷電流の状態は表示ランプを見なければ判らず、離れたところで監視することができない点であった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、コンセント装置に流れる負荷電流値をデジタルで把握することができるとともに、負荷電流値を外部制御機器に出力することができ、離れたところからでも負荷電流値を監視することができるコンセント装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係るコンセント装置は、複数の電気機器を接続するコンセント装置において、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記コンセント装置は、複数の差し込み口を有し、該コンセント装置に接続された全ての電気機器に流れる電流を検出する検出部と、該検出部の検出した電流値を表示する表示部と、上記検出部の検出した電流値が所定値を越えたことを知らせる報知部と、上記検出部が検出した電流値が設定値を超えたか否かを判断し、上記報知部を作動させる制御部とを備えたこと
(ロ)上記表示部は上記検出部の検出した電流値をデジタル表示すること
(ハ)上記コンセント装置は、報知する電流値を設定する設定部を備えたこと
【0006】
なお、前記コンセント装置は、上記検出部が検出した電流値を計測信号として外部制御機器に出力する出力端子を備え、外部制御機器でコンセント装置の状態を把握できるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、コンセント装置に接続した電気機器に流れる負荷電流をデジタルに把握することができ、ブザーだけや表示ランプだけで負荷電流を監視する従来のコンセント装置では、コンセント装置に負荷としての電気機器を増設することができるか否かを容易に判断することができる。しかも、監視する電流の設定値を視覚で確認できるので設定値を確実に設定することができるコンセント装置を提供することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、検出した負荷電流値を計測信号として出力端子から出力できるようにしたので、出力端子に接続した外部制御機器で負荷電流を監視することが可能になり、コンセント装置から離れた場所で監視することができるコンセント装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係るコンセント装置Aの上面図及び正面図を示し、このコンセント装置Aは複数の電気機器を接続することができるとともに、負荷電流の状況を把握し、その負荷電流値が設定値を超えた場合はユーザーに知らせることができるようにするとともに、負荷電流値をパソコンなどの外部制御機器で把握できるようにした電流監視装置Bを備えたもので、このコンセント装置Aは上ケース体3と下ケース体4とを上下に組合わせることにより角筒状に形成された器体1に複数の差し込み口2を複数(本実施例では4個)備えるとともに、電流監視装置Bを備えたもので、差し込み口2の間に形成された長孔6に固定用のネジを差し込んでラックや壁面などにネジで固定することができるようになっているものである。
【0010】
電流監視装置Bは、下ケース4にネジ7で固定できるようにユニット化され、図2(a)(b)に示すように、上面から表示部である3桁のデジタル表示LED8が透明カバー9を透して視認できるようにカバー10には方形の開口部11が形成され、この開口部11を挟んで内部に配置された報知部である圧電ブザー12の音を放出するためのスリット13と押しボタン14を突出させる開口部15と、出力端子16の差し込み口を開放する開口部17とがそれぞれ形成され、このカバー10をネジ7で下ケース体4に固定することにより電流監視装置Bを器体1に固定できるようになっている。
【0011】
電流監視装置Bは、図3(a)(b)に示すように、負荷電流を検出する検出部(カレントトランスで構成)20、検出部20の検出した電流値が所定値を越えたことを知らせる報知部(圧電ブザーで構成)12が主に配置された下基板21と、検出部20の検出した電流値を表示するデジタル表示LED8、検出部20が検出した電流値が設定値を超えたか否かを判断し、上記報知部12を作動させる制御部22、報知する負荷電流を設定する設定部であるタクトスイッチ23、上記検出部20が検出した電流値を外部に出力するための出力端子16が主に配置された上基板24とが配置され、この下基板21と上基板24とは2本の支柱25と接続用プリント基板26とで連結されるとともに、接続用プリント基板26に形成されたプリント配線27で電気的に接続されている。
【0012】
なお、上記タクトスイッチ23の上には押しボタン14が配置され、この押しボタン14を押し続けることにより数秒ごとにデジタル表示LED8の表示が順次、変り、その表示の時に押すことをやめれば表示されている電流値が設定電流になるようプログラミングされている(本実施例では、16、18、20、24、27、30Aの6段階に設定)。
【0013】
図4は、上記電流監視装置Bのブロック図を示し、この電流監視装置Bは電源線30の電圧側用電線30a、接地側用電線30b、接地極用電線30cは差し込み口2の刃受端子にそれぞれ接続されるとともに、電圧側用電線30a、接地側用電線30bは電源回路31にも接続され、電源回路31では交流100Vが電流監視装置Bを駆動する直流5Vに変換され、制御部22、デジタル表示LED8等に電力を供給している。
【0014】
電圧側用電線30aはカレントトランス20の中央を挿通して差し込み口2の刃受端子に接続され、差し込み口2に電気機器を接続したときに電源線30に流れる電流は負荷電流としてカレントトランス20で検出される。そして、真の実効値演算回路32はカレントトランス20で検出された負荷電流に基づいて電流の真の実効値を演算し、演算結果は電圧値として制御部22に入力され、AD変換回路33でデジタル信号に変換され、このデジタル信号は7セグメントの信号に変換され、3桁のデジタル表示LED8に負荷電流値として表示するようになっている。
【0015】
上記制御部22にはさらにタクトスイッチ23、圧電ブザー12、フォトカプラ34を介して出力端子(モジュラージャック)16が接続され、タクトスイッチ23をONさせ続けることにより、デジタル表示LED8に設定電流が数秒ごとに順次切換わり表示され、タクトスイッチ23がOFFされるとCPU35はその時の表示電流を設定値として内部メモリに記憶される。
【0016】
そして、CPU35は負荷電流と設定電流値とを比較判断し、負荷電流が設定電流値を超える場合は圧電ブザー12を作動させ、警報音を発生させてユーザーに知らせるようになっている。
【0017】
一方、制御部22は負荷電流値を計測信号として出力するが、この計測信号は負荷電流に対応してリニアに変化する電圧値に変換されてフォトカプラ34を介してアイソレートされた信号を出力端子(モジュラージャック)16に送られ、この計測信号は出力端子16から、外部制御機器に出力できるようになっている。
【0018】
この計測信号は外部制御機器側でどのように使用するかは、外部制御機器側に委ねられるが、例えば、現在のコンセント装置Aに接続された電気機器の負荷電流がどの程度であるのか、また、負荷電流が設定電流値を超えたか否かを外部制御機器側で判断できるなど、様々な処理を行なわせることが可能になる。しかも、コンセント装置Aと外部制御機器とが離れていても負荷電流を監視することができるので、例えば多数の機器を使用するコンピュータルームなどで、一々コンセント装置Aの側に行って確認する必要がなく、トラブル発生の事前に対応することも可能になるとともに、コンセント装置Aを集中管理することが可能になる。
【0019】
上記構成のコンセント装置Aによれば、このコンセント装置Aに接続した電気機器を使用すると、負荷電流が常に表示部8に表示されるので現状把握が容易にできる。しかも、設定電流値を選択する際は、その設定値が表示部8に表示されるので正確に設定値を確認することができる。
【0020】
そして、負荷電流値が設定値を超えると圧電ブザー12が警報音を出力するので視覚だけではなく聴覚でも負荷電流が設定値を超えたことを確認することができる。
【0021】
また、検出した負荷電流値を計測信号として出力する出力端子16を備えているので、この出力端子16にパソコンなどの外部制御機器を接続し、離れたところで監視することも可能になり、単に電気機器に電力を供給するコンセント装置ではなく多機能のコンセント装置Aを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るコンセント装置の上面図及び側面図
【図2】電流監視装置の上面図及び要部縦断面図
【図3】上記電流監視装置の構成を説明する正面図及び右側面図
【図4】上記電流監視装置の電気的構成を説明するブロック図
【符号の説明】
【0023】
A コンセント装置
B 電流監視装置
2 差し込み口
8 表示部(デジタル表示LED)
12 報知部(圧電ブザー)
20 検出部(カレントトランス)
22 制御部
23 設定部(タクトスイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器を接続するコンセント装置において、以下の要件を備えることを特徴とするコンセント装置。
(イ)上記コンセント装置は、複数の差し込み口と該コンセント装置に接続された全ての電気機器に流れる負荷電流を監視する電流監視装置とを備えること
(ロ)上記電流監視装置は上記コンセント装置に接続された全ての電気機器に流れる負荷電流を検出する検出部と、該検出部の検出した負荷電流値を表示する表示部と、上記検出部の検出した負荷電流値が所定値を越えたことを知らせる報知部と、上記検出部が検出した電流値が設定値を超えたか否かを判断し、上記報知部を作動させる制御部とを備えたこと
(ハ)上記表示部は上記検出部の検出した電流値をデジタル表示すること
(ニ)上記電流監視装置は、報知する負荷電流値を設定する設定部を備えたこと
【請求項2】
前記コンセント装置は、上記検出部が検出した電流値を計測信号として外部制御機器に出力する出力端子を備えた、請求項1記載のコンセント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−139728(P2007−139728A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337811(P2005−337811)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(390005038)神保電器株式会社 (50)
【Fターム(参考)】