説明

コンテンツを確実に頒布するためのシステム

【課題】コンテンツを確実に頒布するためのシステムを提供する。
【解決手段】ディジタルコンテンツ配布システム200は、ディストリビュータ・サーバ220と、クライアントコンピュータ230と、を含む。サーバ220は、複数の文書222を配布用にウェブページの形式で記憶している。サーバ220はさらに、文書222、ユーザ、及び/又は支払い金額もしくはその他の条件のうちの特定の1つに対応付けられる使用権を記憶し管理するための、権利管理モジュール224を含む。クライアント230は、レンダリングエンジンを有する標準アプリケーションプログラムとしてブラウザ232を含む。クライアント230はさらに、ユーザインタフェース(UI)モジュール234と接続モジュール236を有し、これらは、ブラウザ232の修正変更を必要とすることなく、ブラウザ232に接続されるのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディジタルコンテンツの配布に係り、詳細には、インターネットウェブブラウザ等の標準アプリケーションプログラムのレンダリングエンジンとともに表示される被保護文書の配布を容易にするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットは、TCP/IP(転送制御プロトコル/インターネットプロトコル)として知られるプロトコルの標準スーツを実行させる種々のハードウェア通信リンクによって結合される、コンピュータの世界規模のネットワークである。最近数年間におけるインターネットの成長は爆発的であり、HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)表示及びHTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)ナビゲーションの双方を可能にする(「ブラウザ」として周知の)ソフトウェアツールの広範囲に及ぶ使用によって、その大部分がさらに加速されている。ブラウザは、単純GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を使用してインターネット上での通信を可能にする。ブラウザは一般に、インターネット上のコンテンツにアクセスするために使用されるコンピュータ、即ち、クライアントコンピュータ上に存在する。HTTPはTCP/IPの上位層の構成要素であり、HTMLとして周知の標準ページ記述言語や、より最近では、XML(拡張可能マークアップ言語)やXHTML(拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語)、及びHTMLのXMLへの書式変更を用いて種々のフォーマットの文書へのアクセスをユーザに提供する。HTML/HTTPを用いたインターネット上のサーバの集合は、「ワールドワイドウェブ」又は単に「ウェブ」として知られている。
【0003】
HTML、XHTML、及び会話型(インタラクティブ)プログラミングプロトコルを介して、コンテンツの著作者は、インターネットウェブサーバ上でウェブページの形式にそのコンテンツを設定することによって、他者にもそのコンテンツが利用可能なようにすることができる。サーバへのネットワーク経路はURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ)によって識別され、一般に、ウェブブラウザを実行するクライアントは、URLを用いてウェブサーバにアクセス可能である。ブラウザを実行するクライアントコンピュータは、周知の方法でURL要求をインターネットを介してウェブに発行することによってウェブサーバ上に記憶されたウェブページの表示を要求することができる。
【0004】
ウェブは標準プロトコル及び標準レンダリングエンジン、即ち、ブラウザのレンダリングエンジンを利用するので、ウェブは誰もがいつでもどこでも利用できること(ユビキタス)になる。ウェブの主要アプリケーションの1つは、文書形式のコンテンツの配布であった。「文書」は本明細書において使用されるように、通信文、書籍、雑誌、定期刊行物、新聞、その他の書類、ソフトウェア、写真及び他の画像、音声及びビデオクリップ、ならびにその他のマルチメディア・プレゼンテーションに限定されないが、これらを含む、配布又は転送の対象になる情報の単位である。文書は、記憶媒体上のディジタルデータとして紙に印刷された形式、又は、他の既知の方法で種々の媒体上に具体化されることもできる。
【0005】
しかしながら、ディジタル文書、即ち、コンピュータによる読み取り可能な形式の文書の、電子手段及び、特にインターネットを介した広範囲にわたる配布を妨げる最も重要な問題の1つは、これらディジタル文書の配布及び使用の際にコンテンツ所有者の知的所有権の保護が現状では不十分であることである。この問題を解決するための取り組みは、「知的所有権管理(IPRM)」、「ディジタル所有権管理(DPRM)」、「知的財産管理(IPM)」、「権利管理(RM)」、「電子著作権管理(ECM)」、これらを総称して「ディジタル権利管理(DRM)」と称される。
【0006】
印刷された文書の世界では、作家によって作成された作品は通常、出版者に供与され、その作品の多数の複写を書式設定し印刷する。これら印刷物は流通業者によって本屋や他の小売販売店に送られ、そこから最終消費者によって購入される。複写品質が低いことと、印刷物の配布コストが高いことがほとんどの印刷物の無断コピーに対する抑止力となってきた一方、保護されていないディジタル文書を複写し、修正変更し、再配布することが、あまりに簡単に出来すぎる。従って、許可なしにそれらを複写し配布することをより困難にするため、ディジタル文書を保護する何らかの方法が必要である。
【0007】
残念なことに、現在の汎用コンピューティング及び通信システム、たとえば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、及びローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、インターネット等の通信ネットワーク上で接続される他の装置内で人々が電子文書の無断配布を行なうことを防止、即ち、阻止するのが困難であることは広く認識されている。無断コピーを防止するためにハードウェアに基づく解決法を付与する多くの試みが不成功であったことがわかっている。「ブロードバンド」通信技術(NII)の急増により、映画全編等のビデオファイルを含む大きな文書を電子的に配布することが更に好都合とされ、このようにして、文書の無許可配布に対し残りの抑止力が取り除かれることになる。したがって、DRM技術は非常に有効になりつつある。
【0008】
文書保護問題を解決しようとする試みに用いられる2つの基本的な方式は、安全なコンテナと信頼できるシステムである。「安全なコンテナ」(あるいは単に暗号化された文書)は、一組の許可条件が満たされ、一部の著作権期間が終了される(例えば、使用のための支払い)まで、文書の内容を暗号化状態にする方法を提供する。種々の条件及び期間が文書提供者によって確認された後で、その文書は明文の形式でユーザに公開される。IBM(商標)及びインタートラスト(InterTrust's、商標)のデジボックス(Digibox)によるクリプトロープ(Cryptolope)等の商品はこの分類に入る。明らかに、安全なコンテナの手法は、不安定なチャネル上に配信する間に文書を保護することに解決法を提供するが、正当なユーザがクリア文書を取得し、コンテンツ所有者の知的所有権に違反してそれを使用し再配布することを防止するメカニズムの提供はしない。
【0009】
暗号化メカニズムは一般に、公式に配布されて記憶され、最終的に、許可されたユーザによって個々に暗号解読、即ち、非暗号化される文書を暗号化(即ち、「暗号文」に)するために使用される。これは、不安定な媒体に文書を記憶させる際と同様、文書ディストリビュータからパブリックネットワーク上で許可されたユーザに文書を配信する際の基本的な保護形式を提供する。
【0010】
「信頼できるシステム」手法では、システム全体が文書の無断使用及び無断配布を防止することに責任を持つ。信頼できるシステムを構築することは通常、安全なプロセッサ、安全な記憶装置、及び安全なレンダリング装置等の新しいハードウェアを導入することを必然的に伴なう。これはまた、信頼できるシステム上でラン(稼動)するすべてのソフトウェアアプリケーションが信頼できると証明されることを必要とする。改ざん防止の信頼できるシステムを構築することは、既存の技術に対する更なる実質的な挑戦である一方、現在の市場動向は、ブラウザを用いてウェブにアクセスするPCやワークステーション等の開放型の信頼性の低いシステムが著作権のある文書にアクセスするのに用いられる有力なシステムであることを示唆する。その意味では、普及されているオペレーティングシステム(例えば、ウィンドウズ(登録商標)、リナックス(商標)、ユニックス(UNIX(登録商標))、及びブラウザ等のレンダリングアプリケーションを備えたPC及びワークステーション等の既存のコンピュータ環境は信頼できるシステムではなく、それらのアーキテクチャを大幅に変更させることなく信頼できる状態にすることはできない。当然、アーキテクチャの変更は、ウェブの主要目的、即ち、柔軟性及び互換性を無効化する。
【0011】
米国特許第5,715,403号には、ディジタル文書の配布を制御するためのシステムが開示され、その開示コンテンツは参照によって本明細書に組み込まれる。各レンダリング装置は各自対応付けられるリポジトリを有する。使用権ラベルはディジタルコンテンツと対応付けられる。このラベルは、コンテンツの使用法を指定する使用権と、その使用法を行使するための先例となる条件を含む。さらに、米国特許第5,052,040号は、異なるユーザが同じファイルに対して特定の暗号化機能及び権利を有することが可能であるようにディジタルファイルの前に付けられるラベルの使用を開示している。
【0012】
ウェブ上の文書の配布を制御するために2つの基本的な手法が採られている。第1の手法は、ユーザが受信料を支払った後にだけコンテンツへのアクセスが許可されるという申し込みに基づくサービスの使用である。しかしながら、いったん受信料が支払われ、文書がブラウザによってレンダリングされると、ユーザはその文書を複写し、印刷し、修正変更することができ、即ち、発行者による文書のすべての制御が失われる。
【0013】
第2の手法は、発行者の権利を実施するように義務付けられる選択レンダリングエンジンによってのみ文書がレンダリングされ得るような所有権(を主張できる)フォーマットを利用することである。当然、この手法は、単一の所有権フォーマットの使用を必要とし、複数の公共フォーマットを結合する能力と、それに対応付けられるコンテンツの豊富さを維持できなくなる。また、この手法は、ユーザがそのコンピュータ上で取得されインストールされなければならない所有権レンダリングアプリケーションを使用することを要求するとともに、安全な方法でレンダリングされる各フォーマットごとのレンダリングアプリケーションの開発を必要とする。さらに、文書は非標準ツールを用いて生成又は変換されなければならない。
【0014】
さらに、ウェブブラウザ等の標準レンダリングエンジンに対し機能性を付加することのできる種々の周知のメカニズムがある。例えば、ActiveXコントロール(ActiveX Control)は自動的にダウンロードされ、ウェブブラウザによって実行されることが可能である。ActiveXは、アプリケーションが情報を共有する方法についての規則の集合であり、ActiveXコントロールは、C、C++、ビジュアルベーシック(Visual Basic)、及びJava(登録商標)(Java(登録商標))を含む種々のプログラミング言語において開発可能である。
【0015】
ActiveXコントロールは、Java(登録商標)アプレットと類似している。しかしながら、Java(登録商標)アプレットとは異なり、ActiveXコントロールはウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムに対し完全なアクセスを有する。マイクロソフト(商標)では、ブラウザがダウンロードする前にActiveXコントロールを識別し認証できるように登録システムを開発している。Java(登録商標)アプレットはすべてのプラットフォーム上でランすることができ、一方、ActiveXコントロールは現在のところウィンドウズ(登録商標)環境に限定されている。
【0016】
VBスクリプト(VBScript)と称されるスクリプト言語により、ウェブの著作者はHTML文書にインタラクティブ要素を組み込み、ActiveXコントロールのダウンロードやインストール、及びその他の機能を起動させることができる。現在、マイクロソフト社のウェブブラウザであるインターネット・エクスプローラ(商標)は、Java(登録商標)、Java(登録商標)スクリプト、及びActiveXをサポートし、一方、ネットスケープ社のナビゲータ(商標)のブラウザはJava(登録商標)及びJava(登録商標)スクリプトのみをサポートするが、そのプラグインはVBスクリプト及びActiveXのサポートを使用可能にできる。しかしながら、ブラウザ用の種々のプラグイン及びアドオン式ソフトウェアの利用可能性は、ユーザが体験することをさらに複雑にするとともに、ウェブ又は他のオープンネットワーク上で信頼できるDRMシステムを実施する際に種々の問題を提起する。
【0017】
VYOU.COMは、ウェブ上に配布される文書における知的所有権を保護するためのシステムを開発している。このシステムは、ユーザのウェブブラウザに対するソフトウェアのプラグインを含む。プラグインは、文書が表示され転送される所有権を主張できるフォーマットのための所有権レンダリングエンジンを含む。従って、文書は所有権フォーマットに書式変更されなければならず、適切な最終表示フォーマット用のプラグイン・レンダリングエンジンが標準ブラウザレンダリングエンジンの代わりに使用される。この構成は各フォーマットごとにレンダリングエンジンが開発されることを必要とする。したがって、このシステムを実施することは困難であり、オープンアーキテクチャとしてのウェブの利点を維持できなくなる。
【0018】
ウェブの拡散、及び文書配布におけるその有効性により、レンダリングエンジンの書き換えを必要とすることなくウェブブラウザ及びその他の標準レンダリングエンジンに対しDRM特徴を付加することが望ましいとされる。しかしながら、従来のDRM技術はウェブブラウザ及びその他の標準レンダリングエンジンとともに使用することに容易には適用されないが、これは、ウェブのオープンアーキテクチャに相反する、所有権フォーマット及びレンダリングエンジンを必要とするからである。これらのレンダリングエンジンとは無関係にウェブブラウザ等のアプリケーションプログラムを制御できないことが、配布ネットワーク上でDRM特徴を付加することを困難にしている。
【0019】
ウェブ上でDRMシステムを実現することに対して更に障害となるものは、所有権(を主張できる)文書、特に、所有権文書における限られた権利に対し支払われる料金が比較的少ないという事実である。例えば、多くの場合、所有権文書における限られた権利に対する料金は1米ドル未満である。このような場合、アクセス料金、取引手数料等を含むクレジットカード使用料を処理するのに対応付けられる費用は、文書料金全体と比べ相対的に高い。「マイクロトランザクション」としばしば称されるこのような比較的小さなトランザクションに対し、対応する「小額決済(マイクロペイメント)」、即ち、比較的少ない支払いに対するクレジットカードの使用は非実用的である。さらに、各クレジットカードのトランザクションが個々の料金として処理されるので、種々のトランザクションにおいて大容量の文書を購入する顧客は、クレジットカードのトランザクションに対し効率的でない多数の小さなトランザクションを生み出すことになる。
【0020】
インターネット上でマイクロペイメント及びその他の支払いを処理するための種々の所有権を主張できる解決法が開発されている。例えば、CyberCash(商標)社、及びePayment Systems(商標)社はそれぞれこのような解決法を提示している。また、Intellicent(商標)では、マイクロペイメント用の特定の解決法を提示している。しかしながら、このような解決法はDRM環境において一体化されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
コンテンツを確実に頒布するためのシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の1つの態様によれば、コンテンツを確実に頒布するためのシステムであって、コンテンツが記憶されるサーバと、前記コンテンツに関連するタスクを完了するよう動作可能なクライアント装置であって、前記コンテンツをレンダリングするためのレンダリングエンジンを含むアプリケーションプログラムを有する、前記クライアント装置と、前記サーバに接続され、前記クライアント装置からの前記コンテンツへのアクセス要求により前記クライアント装置に一つ以上のセキュリティ・コンポーネントがインストールされているかを判定し、前記クライアント装置に前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントがインストールされていないと判定した場合に、前記コンテンツの安全な配布を確実にするために、前記サーバから前記クライアント装置へ前記コンテンツを送付する前に、前記クライアント装置にインストールされていないと判定された前記セキュリティ・コンポーネントのうちの少なくとも一つを前記クライアント装置にダウンロードしてインストールするよう構成される権利管理モジュールと、を有し、前記管理モジュールは、前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを前記レンダリングエンジンに接続するよう動作可能であり、前記管理モジュールは、さらに、前記コンテンツをチェックして、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求するかを判定し、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求しない場合に、前記レンダリングエンジンから前記クライアント側セキュリティ・コンポーネントを除去するよう動作可能であり、前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つが前記コンテンツに関連する使用ルールを実施するよう動作可能である、前記システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は好ましい実施の形態を参照して以下に説明される。本発明が種々様々な形式で具体化されることができ、その一部が示された実施の形態とは全く異なるものでもよいことは理解されるだろう。このため、本明細書に示された特定の構造上及び機能上の詳細は単に代表的なものにすぎず、本発明の範囲を限定しない。
【0024】
図1は、ディジタル文書の電子配布のためのシステムのモデルを示したブロック図である。著作者110はオリジナルコンテンツ112を作成し、それを配布用のディストリビュータ120に送信する。本来、著作者110はコンテンツの作成者である。しかしながら、ここで用いられる「著作者」という表現は、作成者、所有者、編集者、又はコンテンツ若しくは実在物の1つのエージェント(例えば、発行者)を制御する他のエンティティである可能性がある。さらに、著作者110はディストリビュータ120等の別の関係者を必要とすることなく、文書を直接配布することができるので、著作者及びディストリビュータは同一エンティティであってもよい。しかしながら、図1に示される機能の分割がさらに効果的であり、これは、著作者110を配布の管理機能ではなく、コンテンツの作成に集中させることができるからである。さらに、このようなブレークダウンは、ディストリビュータ120をある数の著作者110と対応付けることによって規模の経済性を促進する。「文書」という表現は本明細書中で使用されるように、一般には、暗号化、フォーマット化等を含む、テキスト、オーディオ、又は他のデータ等のいかなるタイプのコンテンツをも指す。「コンテンツ」という表現は本明細書に使用されるように、一般には、文書の基礎となる情報を指す。しかしながら、これらの表現は重複し、したがって本明細書では交換可能に使用される。
【0025】
ディストリビュータ120は、要求に応じてユーザ130に文書を配布する。代表的な電子配布モデルにおいて、コンテンツは暗号化形式の文書として配布される。ディストリビュータ120はランダムキーでそのコンテンツを暗号化し、ユーザ130に対応するパブリックキーでランダムキーを暗号化する。このようにして、暗号化された文書は特定のユーザ130に対してのみカストマイズされる。ユーザ130は、これらの個人用キーを用いてランダムキーを非暗号化し、それを用いて文章を非暗号化し表示させることができる。
【0026】
文書料金の支払い(決済)は、ユーザ130及び特定の文書の表示を希望する他のユーザからの要求を収集するクリアリングハウス150を介して、ユーザ130からディストリビュータ120に送られる。クリアリングハウス150はさらに、支払い情報、例えば、デビット・トランザクション、クレジットカード・トランザクション、又は他の周知の電子支払い方式を収集し、その収集された支払いを支払いバッチとしてディストリビュータ120に転送する。もちろん、クリアリングハウス150は、上述のサービスに対する料金として支払いの共有を維持することもできる。ディストリビュータ120は配布サービスのためにクリアリングハウス150からのバッチ支払いの一部を維持し、著作者110に支払い(例えば、著作権使用料)を転送することができる。ディストリビュータ120は文書を配布する前に、単一の文書に対する大量のユーザ要求を待ち受けることがある。このような場合、単一の暗号化文書は要求中のユーザ130のすべてによる非暗号化のために作成可能である。
【0027】
ユーザ130が文書を要求(又は使用)するたびに、会計メッセージが監査サーバ140に送信され、監査サーバ140はユーザ130による各要求がディストリビュータ120によって送信される文書と整合することを確実にする。会計情報は、直接的にディストリビュータ120から、監査サーバ140によって受信される。何か不一致があれば、レポートを介してクリアリングハウス150に伝送され、クリアリングハウス150はそれに応じてディストリビュータ120に対してなされる支払いバッチを調整することができる。この会計方式は、電子文書配布における不正行為の可能性を低減し、料金が結果としての使用期間又はその他の使用範囲に応じて変化する時間に依存した使用許可を処理することを示す。監査サーバ140及びクリアリングハウス150は結合された状態で、ある時間にわたって複数のトランザクションを統合し、ディストリビュータ120の会計オーバヘッドを低減するために適切な方法でディストリビュータ120に請求するように機能するトランザクション・アグリゲータ160としての働きをすることができる。図1に示された電子文書配布用のモデルは、本明細書に示された好ましい実施の形態による電子文書配布システムに適用可能である。さらに、コンテンツは上記したような使用権を含む可能性がある。
【0028】
図2は、本発明の好ましい実施の形態による文書配布システムのコンピュータアーキテクチャの概略図である。上記のように、本発明は、クリアリングハウス及び監査サーバの使用等、料金の会計及び支払いを実施するための周知のモデルに関連して使用可能である。さらに、本発明は種々のコマース・モデルに関連して使用可能である。したがって、配布を監査し、支払いを実施し、文書を著作するための装置は本明細書には詳述されず、説明を簡単にするために好ましい実施形態の説明からは省略される。
【0029】
図2に示されるように、ディジタルコンテンツ配布システム200は、上述のディストリビュータ120に対応するディストリビュータ・サーバ220と、上述のユーザ130に対応するクライアントコンピュータ230と、を含む。サーバ220とクライアントコンピュータ230は、所望の機能を達成するためにプログラミングされた汎用コンピュータである。例えば、サーバ220は、ウィンドウズ(登録商標)NTオペレーティングシステムを実行し、アパッチ(商標)等のHTTPサーバ・ソフトウェア226又は他のHTTPサーバを含む標準サーバ又はワークステーションである可能性がある。クライアント230は、ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムを実行するパーソナルコンピュータである。好ましい実施の形態において、サーバ220及びクライアント230は、インターネット、即ち、具体的には、ウェブ等の通信ネットワーク300にそれぞれ結合される。したがって、クライアント230は、レンダリングエンジンを有する標準アプリケーションプログラムとしてブラウザ232を含む。ブラウザ232は、マイクロソフト社のインターネット・エクスプローラ(商標)又はネットスケープ・ナビゲータ(商標)等のHTTPコンプライアント・ブラウザであってもよい。本明細書で使用される「標準アプリケーションプログラム」という言葉は、文書作成、表示、編集等の、レンダリングエンジンを有するタスクを達成するように設計されたアプリケーションプログラムを指す。標準アプリケーションプログラムの例は、ワードプロセッサ、ウェブブラウザ、エディタ、ビューアー、スプレッドシートプログラム、データベースプログラム等を含む。
【0030】
サーバ220は、複数の文書222を配布用にウェブページの形式で記憶している。文書222は、暗号化書式で記憶されることができる。本明細書で使用される「暗号化」という言葉は、非対称又は対称性暗号化アルゴリズム、スクランブル用アルゴリズム等の使用により、コンテンツのアクセス可能性が部分的又は完全に禁止されるメカニズムを指す。サーバ220はさらに、文書222、ユーザ、及び/又は支払い金額もしくはその他の条件のうちの特定の1つに対応付けられる使用権を記憶し管理するための、ソフトウェア形式のディジタル権利管理モジュール224を含む。権利管理モジュール224の他の機能は以下に詳述される。ディストリビュータ・サーバ220は、サーバファーム又はその他のコンピュータグループの一部である可能性があり、これは図2に示されるようにディストリビュータ・サーバ220'を含むこともある。
【0031】
クライアント230はさらに、ユーザインタフェース(UI)モジュール234と接続モジュール236を有し、これらはそれぞれソフトウェアの形式で、ブラウザ232の修正変更を必要とすることなく、ブラウザ232に接続されるのに適している。例えば、UIモジュール234及び接続モジュール236は、プラグインや、ActiveXコントロールの形式、あるいはブラウザ232のコードを修正変更することを必要とすることなくブラウザ232のレンダリングエンジンに対する接続を可能にする形式である可能性がある。結合された状態で、UIモジュール234及び接続モジュール236は、以下に詳述されるセキュリティ・モジュールを構成する。セキュリティ・モジュール237はクライアントコンピュータ230中に存在するものとして示されるが、セキュリティ・モジュール237はクライアント側構成要素及びサーバ側構成要素を含む可能性があることが明らかになる。例えば、後述されるDRMモジュール224はセキュリティ・モジュール237のサーバ側構成要素である可能性がある。
【0032】
権利管理モジュール224は、使用権のラベルを記憶し、どの権利が各文書222に対応付けられるかを識別するサーバ側構成要素である。この使用権はさらに、文書222へのアクセスを要求するユーザの識別、クリアリングハウス等を介してのユーザによる支払い、及びその他の条件に基づいて変化する可能性がある。例えば、ユーザは周知のように、文書222を見るための料金や、同じ文書222を見て印刷するためのより高額な料金を支払う選択権を持つこともできる。権利管理モジュール224は、通信ネットワーク300を介して、後述されるようにクライアント230の接続モジュール236に対して適切な権利のリストを文書とともに転送するように作動する。
【0033】
接続モジュール236は、UIモジュール234がブラウザ232に接続されていることを確認することによってクライアント230の環境の保全性を検証し、クライアント230のユーザ、即ち、コンテンツを要求する人間を識別し、文書と権利管理モジュール224によって送信される適切な権利のリストを検索し、適切な状況において、暗号化された検索済みの文書を非暗号化し、必要な署名及び/又はキーを作成する、クライアント側ソフトウェア構成要素である可能性がある。UIモジュール234は、文書222のコンテンツにアクセスするためにユーザからの要求を監視し、接続モジュール236によって検索される権利のリストに基づいて要求を許可又は拒絶するクライアント側構成要素である可能性がある。さらに、UIモジュール234は、オペレーティングシステムAPIとインタフェースし、コマンド等を傍受しリダイレクトすることによって、以下に示した方法で権利のリストに基づいてブラウザ232の特定機能と、クライアント230のオペレーティングシステムを使用禁止にすることができる。接続モジュール236は、クライアント230の環境でランする工業標準レンダリングエンジンが、UIモジュール234をバイパスするようにしてユーザを保護されたコンテンツにアクセスさせることを可能にするような方法で不正操作あるいは暗号漏えいを受けなかったことを確認する。
【0034】
本発明は、標準クライアントソフトウェア、サーバソフトウェア、及びレンダリングエンジンを修正変更したり、除去したり、あるいはバイパスすることなく、ウェブ等の周知のクライアント/サーバ・ネットワークアーキテクチャに連結して実施可能である。権利管理モジュール224は、既存のサーバソフトウェア226と一緒にサーバ220にインストールされる。上述したように、権利管理モジュール224は、サーバ220に存在するか又は後でサーバ220に記憶される文書222に対しどの権利が対応付けられるかを識別する。例えば、権利管理モジュール224は、各文書222に対応付けられる種々の権利と、よく知られた方法によるユーザの同一性とユーザによる支払い等の他の変数と、を含む、プログラマブル・データベース、ルックアップテーブル等を有することができる。権利管理モジュール224はさらに、サーバ220のオペレーティングシステムAPIとインタフェースして、サーバソフトウェア226を接続モジュール236及びUIモジュール234等のセキュリティモジュール237の適切な構成要素を有するクライアント230からの接続に応答させるにすぎない。また、権利管理モジュール224は後述されるデータベース225とのインタフェースとしての働きをする。
【0035】
例えば、権利管理モジュール234がインストールされると、図3に示される手続きが実行される。ステッブ302では、新しいDRM開始ウェブページ、又は他のセキュア・インタフェース・ディスプレイが作成され、UIモジュール234及び既存のサーバ開始ウェブページを参照する。ステップ304では、サーバ220上のウェブサイトの種々のウェブページがランダムラベルを有するディレクトリ、又は未知のディレクトリに置かれることができる。ステップ306において、権利管理モジュール224がこのディレクトリへのポインタを含むようにプログラミングされ、ステップ308では、権利管理モジュール224はこのディレクトリのURLを暗号化する。ステップ310では、DRM開始ウェブページがUIモジュール235を参照するように修正変更され、接続モジュール236に対し、暗号化されたURLを非暗号化するように指示して、元の開始ページ及びウェブサイトの残りの部分に対するアクセスを可能にすることができる。クライアント230がUIモジュール234及び接続モジュール236を有していない場合、URLは非暗号化することができず、このため、サーバ220上のウェブサイトにアクセスできない。
【0036】
あるいは、接続モジュール236は署名を生成し、その署名をサーバ220へのURL要求とともに、サーバ220に送信することができる。サーバ220上のウェブサイトへのアクセスは、署名が存在し有効である場合に認められるにすぎない。この代替例では、権利管理モジュール224が、署名の妥当性を検査するためのコードを含むことができる。
【0037】
クライアントコンピュータ230のユーザが権利管理モジュール224を有するサーバ220にアクセスしようとする場合、権利管理モジュール224は、UIモジュール234等のセキュリティモジュール237のすべての必要とされる構成要素が上述したようにクライアント230にインストールされるかどうかを確認する。そうでなければ、Java(登録商標)アプレット、ActiveXコントロール等の形式にあるDRM開始ウェブページにおける命令が、ブラウザ232に対し、以下に詳述される方法でUIモジュール234をダウンロードしインストールするように指示する。ダウンロードは、サーバ220、又は通信ネットワーク300に結合される別のサーバからも実行可能である。このようなダウンロード及びインストールは従来のメカニズムを用いて周知の方法で実行可能であり、ユーザはインストールを許可し、インストール・ファイルをどこに記憶させるか等の他の必要な情報を入力するように指示されることができる。接続モジュール236は、UIモジュール234とともに、ダウンロードされ、同時に又は別個のダウンロード/インストールプロセスを介してインストールされることができる。もちろん、UIモジュール234がサーバ230上にインストールされていることが検出されると、そのインストールステップはスキップ可能である。UIモジュール234がクライアント230にインストールされず、ユーザがこのようなインストールを許可しない場合、サーバ222上の文書へのアクセスは禁止されるか、又は自由に配布可能なものと特定される文書にのみ限定される。
【0038】
上述したように、UIモジュール234及び接続モジュール236は、ブラウザ232のコードを修正変更することなく、ブラウザ232に接続可能な形式にある。モジュールに関して本明細書で使用される「接続された」という言葉は、ブラウザ232のコードを修正変更することなくブラウザと組み合わされる又は結合される可能性のあるソフトウェアモジュールであることを指す。例えば、UIモジュール234及び接続モジュール236は、ネットスケープ・ナビゲータ(商標)の場合はプラグインの形式であり、インターネット・エクスプローラ(商標)の場合はActiveXコントロールの形式である。このような構成要素を開発しインストールするためのメカニズムはよく知られている。
【0039】
サーバ220上に記憶される、文書222の形式の保護コンテンツにアクセスするための手順は図4に示される。ステップ402では、DRM開始ウェブページが周知の方法でURLを介してアクセスされる。ステップ404では、DRM開始ウェブページがUIモジュール234を、元の開始ページ又は上記の方法の1つを用いてDRAM開始ウェブページによって参照されるページに方向付ける。ステップ406において、UIモジュール234は周知の技術を用いて、ブラウザ232のレンダリングエンジンの別のインスタンスを作成し、元の開始ウェブページをロードし、オペレーティングシステムに対しブラウザウィンドウにおいて新しいインスタンスを表示するように指示する。この新しいインスタンスはステップ408において、接続モジュール236を介してサーバ220からのコンテンツを検索するように、UIモジュール234によって方向付けられる。言い換えれば、好ましい実施の形態において、UIモジュール234がブラウザ232からのコマンドを遮断し、それらを接続モジュール236を介してリダイレクトする。UIモジュール234は、以下に詳述されるように、その新しいインスタンスに対し接続モジュール236を介して安全な非同期プロトコルを利用するように指示することができる。このため、UI保護は有効化され、すべてのユーザインタフェース事象はステップ410において遮断され制御される。例えば、ユーザがブラウザ232の標準ユーザインタフェースを介して「印刷」又は「複写」コマンドを起動させる時、UIモジュール234はその要求を遮断し、接続モジュール236によって受信された一組の権利が要求された機能を実行できるようにする場合、に応答を許可するにすぎない。
【0040】
さらに具体的には、接続モジュール236がブラウザ232のレンダリングエンジンから要求を受信すると、接続モジュール236は、レンダリングエンジンがUIモジュール234によって保護されること、即ち、UIモジュール234が接続されることを確認し、レンダリングエンジンが不正操作、又は暗号漏えいを受けなかったことを確認する。もしそうならば、接続モジュール236がサーバ220の権利管理モジュール224への接続を許可し、サーバ220上の元の開始ウェブページと、当該ウェブページ用のユーザの権利の集合を検索するための許可を取り決める。権利管理モジュール224は、サーバ220のサーバ・ソフトウェア226と、クライアント230の接続モジュール236との接続を開始する。この接続は、HTTPやHTTPS、あるいは他の標準若しくは所有権を主張できる接続プロトコル等のプロトコルを用いて設定可能である。
【0041】
要求された文書222は、サーバ220上で暗号化される場合、検索され、文書222を非暗号化にする接続モジュール236に転送され、非暗号化形式の文書を、文書に対応付けられる権利の集合とともに、ブラウザ232のレンダリングエンジンの新しいインスタンスに転送する。さらにもう一度、権利の集合の内容は、文書、ユーザの同一性、ユーザによる支払い、又はその他の適切なパラメータに基づいて決定されることもある。接続モジュール236は、上記のようにブラウザ236のレンダリングエンジンの新しいインスタンスを制御することによって、権利の集合に基づいてユーザに利用可能な機能を限定するUIモジュール234に対し権利の集合を伝送する。
【0042】
文書の内容(コンテンツ)は、他のウェブページのどれもがそうであるように、ブラウザ232のウィンドウ内で目で見ることができる。しかしながら、ブラウザ232は、後述されるようにUIモジュール234又はセキュリティモジュール237の他の構成要素によって「ラップ」されるので、文書のウェブページへ直接アクセスすることができない。UIモジュール234は、ブラウザ232が文書に対し権利の集合の範囲外で禁止された機能を実行しないようにする。
【0043】
好ましい実施の形態は、ブラウザ、ワードプロセッサ、その他のアプリケーション又はディスプレイプログラム等の、アプリケーションプログラムの標準レンダリングエンジンを利用する。好ましい実施の形態では、アプリケーションとインタフェースをとり、アプリケーションと文書との間に位置して文書に対するアクセスを制御することによってこれを実現する。したがって、各文書フォーマットごとの個別の所有権を主張できるレンダリングエンジンは必要とされない。また、アプリケーションによってサポートされるデータフォーマットは、修正変更なく本発明によってサポートされる。好ましい実施の形態により、DRMシステムが、TCP/IP、及びHTMLをレンダリングするブラウザの使用等の標準化されたものに適合可能とされることは理解できる。さらに、好ましい実施の形態が、DRMをユーザから見えない方法でシステムに適用可能とする種々の機能性を容易化する。文書配布システム200の操作方法の数例は後述される。
【0044】
第1の例において、クライアントコンピュータ230は当初、セキュリティモジュール237の必要な構成要素のすべてをインストールしているわけではない。図5に示されるように、クライアントコンピュータ230はステップ502において、1つ以上の文書222に対しディストリビュータ・サーバ220を要求する。ディストリビュータ・サーバ220はその要求を分析し、(セキュリティモジュール237の構成要素がクライアントコンピュータ230へロードされていないことを指示する)要求内の署名情報の欠如に基づいて、クライアントコンピュータ230に応答を送信してセキュリティモジュール237の必要な構成要素をロードする(ステップ504)。上述したように、セキュリティモジュール237はクライアントコンピュータ230における使用権を実施する機能がある。ステップ504において送信された応答は、コンテンツを要求するクライアントのタイプに特定である。クライアントコンピュータ230のクライアントソフトウェアがウェブブラウザである場合、例えば、ディストリビュータ・サーバ220が実行可能なソフトウェア構成要素を含むウェブページである応答を送信することになる。例えば、ソフトウェア構成要素は、Java(登録商標)スクリプト又はアクティブ・サーバ・ページ(Active Server Pages)等の標準形式であってもよい。さらに、応答、即ち、好ましい実施の形態におけるウェブページは、ステップ502で送信されたコンテンツの無署名の要求の複写を含む可能性がある。
【0045】
クライアントコンピュータ230はウェブページを受信し、構成要素の複写を要求するために、ステップ506においてセキュリティモジュール237の構成要素をどこで取得するかに関する情報を含むソフトウェア構成要素を実行する。クライアントコンピュータ230は、ステップ508において、セキュリティモジュール237の構成要素を受信しインストールする。セキュリティモジュール237は、一例として上述されたメカニズムを用いて自動的にブラウザ232においてランを開始するように構成される。ステップ510では、セキュリティモジュール237が、同モジュール237を呼び出したウェブページに含まれるコンテンツ222に対する元の要求の複写を読み取り、ディジタルセキュリティ署名とともにディストリビュータ・サーバ220に対しその要求を再実行する。ステップ512では、ディストリビュータ・サーバ220が署名された要求を受信し、要求上の署名の妥当性を確認する。この要求はセキュリティモジュール237によって適切に署名されるので、ディストリビュータ・サーバ220は、文書のコンテンツ222に対応付けられる使用権及び使用条件にしたがって、ブラウザ232によるレンダリングのためにクライアントコンピュータ230にインストールされるセキュリティモジュール237に対し文書222を送付する。図5に示された方法は、ユーザが安全な方法でコンテンツ222をレンダリングする必要があるソフトウェアを途切れなく且つユーザが気付くことなくクライアントに提供するために、自動結合セキュリティ制御を提供する。セキュリティモジュール237は、クライアント環境が安全であることを確認するために、ステップ508において、レンダリングエンジン、又はクライアントコンピュータ230の他の構成要素を分析するように作動するソフトウェア・エージェントを含む可能性がある。セキュリティモジュール237は、このような確認をした後に、ステップ510において要求を再実行することができる。
【0046】
図6は、好ましい実施の形態による操作の方法の別の例を示している。ステップ602において、セキュリティモジュール237は、ディストリビュータ・サーバ220からの文書222を検索するように指示される。この例では、文書222は「クリア・コンテンツ(明文のコンテンツ)」であり、言い換えれば、暗号化されず、又は隠ぺいされたり制限され、使用制約を何も持っていない。文書222はステップ604において、サーバ220によってセキュリティモジュール237に戻される。文書222が署名されてなかったり、暗号化されてなかったり、あるいは、セキュリティモジュール237によって処理される必要があるコンテンツとしてマーク付けされてないので、セキュリティモジュール237は同文書がもはや要求されていないことを認識する。ステップ606では、セキュリティモジュール237は、ブラウザ232がコンテンツの元の要求をサーバ220に直接送信することによって文書222を要求すべきであることをブラウザ232に通知する。セキュリティモジュール237は、ステップ608においてクライアントコンピュータ230のリソース(資源)を保存するために、それ自身を実行中の構成要素として除去し、即ち、非活動状態にする。ステップ610では、ブラウザ232は、当初セキュリティモジュール237によって送信された文書222の要求を再実行する。ディストリビュータ・サーバ220はステップ612で、文書222を直接ブラウザ232に転送する。
【0047】
セキュリティを維持し使用権を行使するために、コンテンツへのすべての要求は最初、セキュリティモジュール237を介して行なわれる。しかしながら、要求がセキュリティを要求しないコンテンツを戻す時、セキュリティモジュール237はコンピュータリソースを利用するために、潜在的に不都合なものとなる。この例では、セキュリティ構成要素237が必要とされない場合、実行状態から移動される。
【0048】
システム200は、PKI暗号化技術、又はその他の暗号化、サイファリング(ciphering)、若しくはウォータマーキング技術を使用することができる。もちろん、これらの技術では、コンテンツへの要求をするクライアントが許可されたユーザとして識別されることが必要とされる。ディジタル証書や署名は識別する目的のために使用可能である。言い換えれば、識別する目的のために使用される電子メッセージへの添付物はメッセージとともに送信される。ディジタル証書や署名の最も一般的な用途は、メッセージを送信するユーザが主張している本人であることを確認し、受信者に対して応答を符号化する手段、例えば、暗号化キーを付与することである。暗号化メッセージの送信を希望する個人は、認証局(CA)からのディジタル証書を申請することができる。認証局は、申し込み者の公開鍵(パブリックキー)及び他の種々の識別情報を含む暗号化ディジタル証書を発行する。認証局はその公開鍵を、例えば、インターネットを介して容易に利用できるようにする。暗号化メッセージの受信者は認証局の公開鍵を用いてメッセージに添付されたディジタル証書を復号化し、それを認証局により発行されたものとして確認し、送信者の公開鍵、及び証書内に含まれる識別情報を取得する。この情報によって、受信者は暗号化された応答を送信することができる。ディジタル証書の最も広範囲に使用される規格はX.509である。
【0049】
この識別プロセスは、コンテンツが要求される各サーバにおいて繰り返される時に扱いにくい可能性がある。図7は、複数のサーバにおける識別手順が効率化される好ましい実施の形態による操作の方法の別の例を示している。
【0050】
図7に示されるように、ステップ702では、クライアントコンピュータ230が、ディストリビュータ・サーバ220からの文書222を要求する。PKI暗号化方式が使用されると仮定すれば、その要求は、クライアントコンピュータ230の秘密鍵(プライベートキー)で暗号化される「PrivateClient[request]」の形式である可能性がある。ディストリビュータ・サーバ220は要求の署名を見て、その要求が許可されたクライアントからでないことを認識し、クライアントコンピュータ230に戻される固有の「チャレンジ」トークンを生成する(ステップ704)。好ましい実施の形態では、チャレンジトークンは、ディストリビュータ・サーバ220の秘密鍵を用いて元の暗号化要求が再び暗号化される「PrivateServer[PrivateClient[request]」の形式であってもよい。
【0051】
クライアントコンピュータ230は、ステップ706において、チャレンジを固有の方法で変換する、即ち、チャレンジトークンを署名することによってそのチャレンジトークンに応答する。例えば、その変換は、ディストリビュータ・サーバ220の秘密鍵によるチャレンジトークンの暗号化の形式をとる可能性がある。このような場合、変換は「PublicClient[PrivateServer[PrivateClient[request]]]の形式になる。クライアントコンピュータ230はステップ708において、変換されたチャレンジトークンでディストリビュータ・サーバ220への要求を再実行する。ディストリビュータ・サーバ220は、その変換を認識することによって、即ち、チャレンジトークンをそれ自身として認識することによってクライアントによる認証を設定し、要求された文書222を戻す(ステップ710)。
【0052】
多くの場合、ディストリビュータ・サーバ220は、サーバファーム、又は上記のような関連コンピュータの他の集合の一部である。したがって、このセッションへの次の要求を取得するサーバが実際、「チャレンジ」トークンを生成した同じサーバであることを保証するものではない。例えば、次のセッション要求はディストリビュータ・サーバ220'によって受信されることもできる。クライアントコンピュータ230が同じチャレンジトークンを再使用する別の要求を送信し、その要求がディストリビュータ・サーバ220'によって受信される時(ステップ712)、ディストリビュータ・サーバ220'はチャレンジトークンの署名を探し、その署名がディストリビュータ・サーバ220'に所属することを見い出す(ステップ714)。ディストリビュータ・サーバ220がディストリビュータ・サーバ220'と信頼関係にあるので、ディストリビュータ・サーバ220'はディストリビュータ・サーバ220のチャレンジトークンを引き受けることになる。特に、ディストリビュータ・サーバ220'は、クライアントによって実行されるチャレンジトークンの変換を評価し、サーバ220をチャレンジトークンの作成者として識別することによってそのクライアントを認証する。ステップ716では、コンテンツ222'がディストリビュータ・サーバ220'からクライアントコンピュータ230に転送される。
【0053】
この操作の方法では、他の関連サーバによってサポートされるトークンが、要求を受信するサーバによって引き受けられる。このプロセスを簡略化するために、鍵は再び交換されない。関連サーバとの前回の鍵交換の承認は、認証のプロセスを加速化するために関連サーバのグループにおける他のサーバに対し使用される。
【0054】
上述したように、標準レンダリングエンジンの使用は、DRMシステムに対し著しく複雑な状態を示している。例えば、ブラウザをレンダリングエンジンとして使用する場合、標準ユーザインタフェースは複写及び印刷コマンド、及びDRMシステムとは必ずしも互換性のない他のコマンドを含む。ウィンドウズ(登録商標)GUI等の大部分のGUIが使用禁止コマンドに対応するメニュー選択を影付け(シャドーイング)するようなコマンドを使用禁止にすることは周知である。しかしながら、これは多くの場合、複雑であり、欲求を抑える上で満足できるものではない。また、支払われる料金等の使用権及びその行使のための条件の選択などの、コンテンツ特有のメニュー選択を提供することは望ましい。さらに、コンテンツのベンダーが所有権を主張できるブランドが付いたユーザインタフェースや、他のベンダーと整合するユーザインタフェースを提示しようとすることもある。また、ある状況のもとで印刷ボタン等のメニュー選択を強調表示することも望ましい。
【0055】
図8は、コンテンツ特有のツールバーをブラウザ232のユーザインタフェースとして表示可能とする好ましい実施の形態による操作の方法を示している。文書222は上記のように、レンダリングアプリケーション、即ち、好ましい実施の形態ではウェブページ、と互換性のある形式でディストリビュータ・サーバ220に記憶される。文書222は図9において詳細に示され、ソフトウェア構成要素220aに対する参照Aと、ブラウザのツールバーとUI220bの記述に対する参照Bと、を含む。ソフトウェア構成要素220aは、Java(登録商標)アプレット、ActiveXコントロール等の形式をとる可能性がある。コンテンツがレンダリングされると、ソフトウェア構成要素に対する参照がブラウザ、即ち、ActiveXコントロール、Java(登録商標)アプレットによって識別される。
【0056】
図8を参照すると、ステップ802において、ブラウザ232は文書222を要求する。ブラウザ232は文書222をレンダリングしようと試み、参照Aに従って、ソフトウェア構成要素220aを実行する(ステップ804)。ソフトウェア構成要素220aは、それを呼び出したコンテンツ222を見て、ステップ806においてツールバーとUI220bの記述に対する参照Bを識別する。ソフトウェア構成要素220aは、ステップ808において、記述220bに基づいてプラットフォーム/ブラウザ特有のツールバーとUIを構築するように作動する。ステップ810では、ソフトウェア構成要素220aが、標準ブラウザUI及びツールバーを削除又は隠ぺいし、それらをステップ808で構築されたものに置き換える。この操作方法により、ウェブサイト(この場合、サーバ200用のディストリビュータ)がナビゲーションのモチーフ、見た目、及び外観を決定し、これにより、サイト、カスタマイズ・ボタン、色、パターン、アニメーション、メニュー、及びツールバーに対しユーザのブラウザを調整する。
【0057】
図10は、クライアント特有の又は更にはインスタンス特有のウォータマークがセキュリティ及びトラッキングの目的のためにコンテンツに適用可能である、好ましい実施の形態による操作の別の方法を示している。ディジタル「ウォータマーキング」の概念は一般に周知であり、コンテンツの所有者にグラフィックス及びこれらの作業に対する所有者の権利を識別するために使用できるオーディオ・ファイル内に情報を組み込ませることができる。「ディジタル・ウォータマーク(電子透かし)」という用語は、高品質レターヘッド及び一定のカレンシーに存在する従来のウォータマークから来ている。従来のウォータマークは一般に、リーダーから視覚的にはっきり見えないが、光にさらされると、製紙会社の名称又はロゴ、あるいはレターヘッドを用いたエンティティを明らかにする。同様に、ディジタル・ウォータマークはまた、品質を識別し、信憑性を保証する目的を果たす。ディジタル・ウォータマークを有するグラフィック又はオーディオファイルは、コンテンツの所有者に関する情報や、他の情報を含む可能性がある。ディジタル・ウォータマークは、例えば、コンテンツが無許可の方法で印刷されるような時、ある条件のもとでのみ知覚可能であることもある。グラフィック画像では、例えば、ディジタル・ウォータマークは画像を変更して、ウォータマークを組み込んだ当事者によって供給されるディジタル情報を提供する。ウォータマークは、スタンドアロン又はプラグインのソフトウェアで見られ、例えば、著作権の所有者又他は更に完全な著作権者情報にトレース可能な固有の識別コードを明らかにすることができる。
【0058】
図10に示されるように、クライアントコンピュータ230は通信チャネル300上でディストリビュータ・サーバ220から文書222を要求する(ステップ1002)。ディストリビュータ・サーバ220は文書222をセキュリティモジュール237に転送する(ステップ1004)。セキュリティモジュール237に送られた文書222にはウォータマークが組み込まれていてもいなくてもよいものとする。ステップ1006では、セキュリティモジュール237は、上述のような方法でレンダリングするために、文書222をレンダリングエンジンのインスタンス、好ましい実施の形態ではブラウザ232に転送する。セキュリティモジュール237は、レンダリングエンジンのインスタンスが使用するウィンドウにクライアント特有のウォータマークを適用するためにコンテンツ222をレンダリングするために使用されるレンダリングエンジンのインスタンスに関するインスタンス特有の情報を使用する。クライアント特有のウォータマークは、ウォータマーキングのための技術又はアルゴリズムを用いて適用可能である。さらに、クライアント特有のウォータマークは既存のウォータマークに付加して適用可能である。クライアント特有のウォータマークデータはいずれの方法で記憶又は生成することができる。
【0059】
いずれの場合も、ウォータマークがクライアント上に付加されるので、そのクライアントに固有であり、したがって追跡可能である。ディストリビュータ・サーバ220は同一の文書222をすべてのクライアントに伝送することができる(したがって、サーバ側の性能の影響を最小限にする)。クライアントは、例えば、半透明なウィンドウを用いて、画像に固有のウォータマークを付加する。コンテンツの需要者がスクリーンキャプチャ又は別の無許可メカニズムを用いてコンテンツを取得する場合、取得されたコンテンツは、トラッキング及び実施する目的のためにそのユーザに固有のIDでウォータマーク付けされる。
【0060】
図11は、トランザクションの支払いが容易に統合される好ましい実施の形態による使用法を示している。ステップ1102において、クライアントコンピュータ230は、セキュリティモジュール237の必要な構成要素のインストールの前に、ディストリビュータ・サーバ220から文書222を要求する。ステップ1104では、ディストリビュータ・サーバ220がクライアントコンピュータ230に対し、文書222が保護され、クライアントコンピュータ230が文書222をレンダリングするためにセキュリティモジュール237を有する必要があることを通知し、そこでセキュリティモジュール237が取得できる。この場合、セキュリティモジュール237は、トランザクション・アグリゲータ160(図1参照)と対応付けられるコンピュータから取得できる。ステップ1106では、クライアントコンピュータ230は、トランザクション・アグリゲータ160と対応付けられるコンピュータでセッションをオープンすることによってトランザクション・アグリゲータ160からのセキュリティモジュール237の必要な構成要素を要求する。ステップ1108において、トランザクション・アグリゲータ160は、例えば、従来の方法でビリング(請求書作成)情報等を含む種々のユーザ情報を要求し収集する。
【0061】
トランザクション・アグリゲータ160は、固有の隠し公開鍵/秘密鍵の対又はクライアントコンピュータ230の同一性を示すその他指標で固有のセキュリティモジュール237を生成し、ステップ1110においてセキュリティモジュール237をクライアントコンピュータ230に戻す。セキュリティモジュール237は、ブラウザ232の保護されたインスタンス、又は他の第三者のレンダリング・アプリケーションを作成し、その周辺でアクセス保護を実行し、ディストリビュータ・サーバ220からの保護されたコンテンツ222を検索しレンダリングするように指示する(ステップ1112)。ディストリビュータ・サーバ220は、セキュリティモジュール237によって保護されているレンダリングエンジンによって文書222が要求中であることを認識する。そして文書222を戻す。
【0062】
保護されたレンダリングアプリケーション、例えば、セキュリティモジュール237が添付されたブラウザ232は、セキュリティモジュール237に、文書222をレンダリングしようとしていることを通知する。ステップ1114において、セキュリティモジュール237は、どのディジタル権利が文書222に対応付けられるかを分析し、トランザクション・アグリゲータ160に戻って適切な料金を記録する。トランザクション・アグリゲータ160は、この公開鍵/秘密鍵のインスタンスによってアクセスされるコンテンツの多くの形式に対して実行される多くの小さなトランザクションをトラッキングし、それらを定期的に金融機関又はセキュリティモジュール237におけるインデックスに対応付けられる相手方に対し単一の料金に統合する。
【0063】
図11の方法は、ユーザを新しいウェブサイトにログオンさせて、トランザクションを開始することを可能にする。ユーザの情報が信頼できるサイト(トランザクション・アグリゲータ160等)で既にファイル上にある場合、新しいウェブサイトがその信頼できるサイトにわたってユーザを確認する。信頼できるサイトはトランザクションのすべてを調整し、例えば月一回等の、定期的に適切なエンティティに対し結果を送信する。したがって、(しばしば小額料金の)トランザクションを処理する負担はディストリビュータ又はクレジットエージェンシー(信用調査機関)からアグリゲータにシフトされ、このことはトランザクションの全体コストを低減する。
【0064】
新しいウェブサイトは、ユーザの詳細な情報を得る必要がなく、これはプライバシーの問題に対する懸念を低減する。さらに、新しいウェブサイトへのログインプロセスは簡略化される。ウェブサイトが信頼できるサイトに送信された匿名IDのみを使用し、その信頼できるサイトのみがユーザの個人・信用情報を有するので、ユーザの情報はユーザが処理している新しいウェブサイトから保護される。
【0065】
好ましい実施の形態による別の方法では、サーバ側の実行可能構成要素を必要とせずにセキュリティのためのディレクトリの不明化(obfuscation)が利用されている。図12に示されるように、コンテンツの所有者、又は文書222に関心のある相手方は、ランダムな名称又は見付けるのが困難な名称によって、ディストリビュータ・サーバ200上にサブディレクトリを作成して、ここが文書222の安全な場所としての役割を果たす(ステップ1202)。関係者は、セキュリティモジュール237に対する参照、及び文書222の新しい安全な場所の暗号化形式を有するウェブページを作成する(ステップ1204)。保護された文書222は、ステップ1206においてウェブページと置き換えられ、その保護された文書222は安全なディレクトリに移動される。
【0066】
ステップ1208では、クライアントコンピュータ230は要求を発行して、上記の方法で元のディレクトリからの文書222を検索する。暗号化されたコンテンツの安全な場所を内部に有するセキュリティウェブページは要求された文書の代わりに戻される(ステップ1210)。セキュリティモジュール237は、ウェブページによって参照されたコンテンツの場所を暗号解読し、安全な場所からの文書222を要求する(ステップ1212)。このコンテンツは、保護されたレンダリングエンジンのインスタンス、例えば、好ましい実施の形態ではブラウザ232、を作成するセキュリティモジュール237に伝送され、文書222をレンダリングする(ステップ1214)。
【0067】
上記の操作の方法では、サーバ側の実行可能構成要素を必要とせず、このため、適切な、但し、必ずしも最大限でないセキュリティを提供する低コストの方法である。この例では、コンテンツは、セキュリティの目的上、ランダム数(あるいは擬似ランダム数)によって決定されるアドレスを有する位置に記憶される。ユーザがトランザクションを開始する時、ユーザには暗号化形式の位置を有するHTMLページが提示される。セキュリティ構成要素がその位置を解読し、クライアントがその位置を決して見つけることはない。
【0068】
図13は、セキュリティのための相対アドレス指定を利用する好ましい実施の形態による操作の別の方法を示している。ステップ1302では、クライアントコンピュータ230のウェブブラウザ232がディストリビュータ・サーバ220からのコンテンツを要求する。ディストリビュータ・サーバ220はそのコンテンツ要求が適切なセキュリティモジュール237から来ていないことを(例えば、適切な署名の欠如によって)認識するので、クライアントコンピュータ230にセキュリティモジュール237の必要な構成要素をロードさせるように指示する(ステップ1304)。ステップ1306では、セキュリティモジュール237が、子(チャイルド)HTMLレンダリングエンジン、即ち、ブラウザ232のインスタンス、をブラウザ232の既存のインスタンス内部で生じさせるので、子HTMLレンダリングエンジンを完全に制御することができる。セキュリティモジュール237は子インスタンスに、通常のHTTPプロトコル及びアドレス指定を介する代わりにセキュリティモジュール237にインストールされた非同期プロトコルを介してコンテンツを検索するように指示する(ステップ1308)。例えば、非同期プロトコルは、安全で許可された通信チャネルを確立するために組み込まれたActiveXコントロールを備えたHTMLであってもよい。非同期プロトコルは、好ましくないか又は無許可のユーザからのアクセスを避けるためのフィルター技術を含む別のウェブサイトを介してコンテンツを検索するようにブラウザ232を方向付ける。ステップ1310では、文書222がレンダリングされる。
【0069】
例えば、非同期プロトコルは、ユーザが要望されて許可されることを検証するために第三者に対しユーザのアドレスを送信することができる。非同期プロトコルは、ブラウザ232の子インスタンスに、指定された安全なウェブサイトを介して最上位HTMLページを要求させることができる。最上位ページがロードした後で、子インスタンスはページの構成部分のすべてを検索するためにアドレスプレフィックスを使用することができる。保護されていないコンテンツは標準HTTPを介して検索可能である。
【0070】
一般に、セキュリティはレンダリングのためにHTMLに付与される。しかしながら、この例では、コンテンツは所有権を有する非同期プロトコルを用いて検索される。したがって、HTMLレンダリングエンジンの単一のインスタンスはコンテンツの複合部分を「引き出す(プルする)」ために使用できる。一例として、標準HTMLレンダリングは、内部にActiveXコントロールを含む開始ウェブページにアクセスするために使用可能である。このコントロールは、特定のサーバを介してコンテンツを検索し、サーバ側にアクセスし、フィルタリング技術等を含む、子レンダリングエンジンを生じさせる。ウェブページ(複合文書)が他のファイル及び画像に対し参照を有することに留意すべきである。従来、上位(HTMLページ)のみが保護され、その参照先は保護されていなかった。しかしながら、この例では、要求が保証されたサーバを介して処理されるので、上位及びその参照がともに安全である。
【0071】
図14は好ましい実施の形態による操作の別の方法を示している。この方法は、プラグイン及びダイナミックリンク・ライブラリ(DLL)等のコードが暗号漏えいセキュリティではないとして認証されなければ、該コードのレンダリンクエンジンへのローディングを禁止することによってセキュリティを提供する。この方法では、認証がダイナミックプロセスであり、認証されるとすぐにユーザが認証されたソフトウェアを使用することを許可すべきであると認識される。
【0072】
ステップ1402では、クライアントコンピュータ230のセキュリティモジュール237は、レンダリングアプリケーション、即ち、好ましい実施の形態ではブラウザ232のインスタンスをロードする。ブラウザ232はDLL等の第三者のアドイン・プラグラムをロードするように要求する(ステップ1404)。セキュリティモジュール237はその要求を傍受し、信頼且つ認証された第三者のアドイン・プラグラムのリストを含むローカルデータベース225に問い合わせる(ステップ1406)。セキュリティモジュール237がロードしようとする第三者のプログラムを見付けられない場合、セキュリティモジュール237は信頼できるサーバにコンタクトして、ステップ1408で認証されている信頼できる第三者のプログラムのデータベースを更新する。第三者のプログラムが更新リスト内に見出されると、セキュリティモジュール237が第三者のプログラムをレンダリングエンジンへローディングすることを許可する(ステップ1410)。ステップ1406においてプログラムがデータベース225にリストアップされていることによって認証されると判断された場合、この方法は直接ステップ1410へ進む。ステップ1408においてプログラムが認証されているものとして更新されたデータベースにないと判断された場合、ローディングは禁止される(ステップ1412)。
【0073】
レンダリングアプリケーションが実行可能コードをロードすることを要望する時はいつでも、それは暗号漏えいセキュリティを回避するために、承認(即ち、認証)される。セイキュリティ構成要素の出荷時に第三者の製品が認証される状態にない場合、セキュリティモジュールの承認されたリストに含まれることはできない。プログラムが後で承認される場合、プログラムの署名が、認証データベース、例えば、データベース225を更新して有するサーバにログオンすることによって更新されるリストと比較される。
【0074】
図15は、ビデオ形式又は他の大きなファイル形式にあるコンテンツの転送に好適な好ましい実施の形態による操作の方法を示している。データの一部のみを暗号化してセキュリティのレベルを依然として付与しながらオーバーヘッド及びデータ転送速度を低減することはよく知られている。しかしながら、図15に示された方法において、データストリームの暗号化の割合は、ネットワーク待ち時間、接続速度、及びその他の要因に基づいて適応できる。ステップ1502において、文書222はクライアントコンピュータ230によって要求される。ディストリビュータ・サーバ220は、データベース、使用権、又は文書222に対応付けられる暗号化の他の表示を検査することによって使用する暗号化の割合を決定する。このような情報はディジタル権利マネジャーモジュール2に記憶されることができる。例えば、暗号化の表示は、暗号化が特定の割合よりも大きいか、又は特定の割合の範囲内にあるかを特定することができる。
【0075】
ステップ1506では、ディストリビュータ・サーバ220が、文書222のファイルサイズ、ネットワーク待ち時間、通信速度等のデータ転送に関する種々の条件を周知の方法で監視する。ステップ1508において、ディストリビュータ・サーバ220がステップ1506で監視された条件及びステップ1504において決定された暗号化の量に基づいて文書222の一部を暗号化する。ステップ1506及び1508は、文書222のすべてが転送されるまで連続的又は繰り返して実施される。ステップ1510では、セキュリティモジュール237がコンテンツを解読し、それをレンダリングアプリケーション、即ち、好ましい実施の形態ではブラウザ232に伝送する。
【0076】
データストリームの可変部分(割合)は暗号化が可能である。コンテンツデータは時間間隔又はバイトサイズに基づいて分割可能である。例えば、10バイトが暗号化され、90バイトは暗号化されない。暗号化の割合は適応性がある。即ち、異なった時間におけるデータファイルサイズ及びその他の条件に応じて、暗号化の割合はプロセスを加速化するために特定された値の範囲で変動することができる。
【0077】
署名及び他のセキュリティ情報をHTTP文書の本体に組み込むことは周知である。しかしながら、このような方法は特別なセキュリティタグを必要とし、セキュリティ情報が文書から解析されなければならないために管理するのが困難である。しかしながら、図16に示された好ましい実施の形態による操作の方法は、セキュリティ情報を伝達するためにHTML文書のヘッダのみを使用することによってこの操作を簡略化する。
【0078】
ステップ1602では、セキュリティモジュール237によって調整されるブラウザ232はディストリビュータ・サーバ220からの文書222を要求し、セキュリティモジュール237はディストリビュータ・サーバ220への標準HTTP又はHTTPS接続を開通させる。ステップ1604では、標準HTTPサーバとしての働きをするディストリビュータ・サーバ220は、ダウンロードするために文書222を検索又は構築する。特に、ディジタル権利管理モジュール224又はディストリビュータ・サーバ220の別のセキュリティモジュール構成要素は、HTTP要求のヘッダに組み込まれたセキュリティ情報を分析することによって要求中のクライアントを認証し、標準HTTP応答を構築する。
【0079】
ステップ1606では、ディストリビュータ・サーバ220がセキュリティ情報をHTTP応答のヘッダに挿入する。例えば、署名等のセキュリティ情報は、以下に示すHTML文書における<Header>タグの属性であってもよい。
<Header>signature=13490680486724869 MY BOOK<Header/>
【0080】
上記の例では、HTMLページのタイトルは「MY BOOK」であり、標準HTML規則に従ってレンダリングされる。署名はヘッダの属性としての数であり、レンダリングされないが、セキュリティの目的のために選別除去可能である。ステップ1608では、応答がクライアントコンピュータ230のセキュリティモジュール237に送信される。ステップ1610では、セキュリティモジュール237が応答ヘッダのセキュリティ情報を分析し、セキュリティ情報によって記述されるか、セキュリティ情報に対応付けられる使用権に従ってレンダリングするために、文書222のコンテンツをブラウザ232に送信する。
【0081】
セキュリティ情報のすべてがヘッダに含まれるので、結果としてのDRMシステムは侵入度が低下し、より管理し易くなる。また、新しいセキュリティタグ方式又はその他の詳細は不要である。セキュリティ構成要素はセキュリティ情報を得るために、ただヘッダを見て識別するだけでよい。
【0082】
多くの場合、コンテンツ及び使用権は動的である。例えば、コンテンツは時間とともに変化し、使用権も時間とともに変化し、コンテンツへの要求がどこに由来しているかによっても左右されることがある。例えば、その文書がサイト内から、あるいは安全なコンピュータから要求される場合、会社は従業員に対しその文書を印刷又は保存させることを要望することがある。しかしながら、同じ文書をホームから要求する同じ従業員はその文書を見ることが許可されるだけである。図17は、これらの問題をアドレスするためにアドレス及びURLフィルタリングをともに提供する、好ましい実施の形態による使用法を示している。
【0083】
ステップ1702において、セキュリティモジュール237を有するクライアントコンピュータ230は安全な文書222を要求する。ステップ1704では、ディストリビュータ・サーバ220がコンテンツ222の静的又は動的ソースから情報を収集し、周知の方法で応答を構築する。応答が構築された後で、セキュリティモジュール237のサーバ側構成要素は、URLの正規表現を使用権にマップするデータベース225にアクセスする(ステップ1706)。セキュリティモジュール237のサーバ側構成要素は、データベース225におけるURLに対応する権利を選択することによって、要求のURLに基づく応答に対応付けられる権利を挿入する(ステップ1708)。この応答は、セキュリティモジュール237のクライアント側構成要素による制御のもとで、挿入された使用権に従って要求されたコンテンツ222のレンダリングのためにクライアントコンピュータ230に送信される。
【0084】
URLアドレス指定及びディレクトリ・アドレス指定がともに使用されるので、動的コンテンツ、及びこの次の要求URLによって最適に識別されるコンテンツは適切に処理可能である。たとえURLがサーバ上に記憶されたファイルに到達するために使用されるとしても、ディストリビュータ・サーバ220上にファイルとして記憶されたコンテンツが無許可のユーザに伝送不能であるというハイレベルの信頼を提供するために、ディレクトリはフィルター処理される。両タイプのフィルターを使用することによって、コンテンツ所有者がどのコンテンツを保護すべきか、またどの程度保護すべきかを決定する時の柔軟性を備えている。さらに、セキュリティコンテンツをHTML文書のヘッダに置くことにより、動的コンテンツが容易に処理可能とされ、これは、コンテンツの本体がセキュリティのために修正変更される必要がなく、これにより、動的コンテンツが文書をオンザフライ(on the fly)で構築するために使用可能とするからである。
【0085】
特に、インターネット又はその他のネットワーク上でコンテンツを配布する際に、しばしばコンテンツのレンダリングが直面する別の問題は、ユーザが適切なレンダリングアプリケーションを常に持っているとは限らないことである。例えば、PDFファイルをダウンロードする際に、コンテンツ提供者はユーザに対し、Adobe Acrobat Reader(アドビ・アクロバット・リーダ(商標))が要求されることを通告し、ソフトウェアをダウンロードするためにリンクを提供することがある。ユーザがソフトウェアをダウンロードしない場合、コンテンツをレンダリングすることはできない。しかしながら、ソフトウェアをダウンロードすることは、見る側における重要な動作、例えば、リンク上のクリック、ダウンロード用のディレクトリの選択、導入ソフトウェアの実行等を必要とする。多くの場合、ユーザは適切なレンダリングアプリケーションをインストールする厄介なプロセスを回避するためにコンテンツをダウンロードしないように選択することになる。DRMシステムにおいて、セキュリティ構成要素が新しくインストールされたレンダリングアプリケーションに接続されない場合、多数のレンダリングアプリケーションの必要性により、セキュリティ問題が提起される。
【0086】
図18は、ユーザから見えないように適切なレンダリングアプリケーションを提供するための使用法を示している。ステップ1802において、クライアントコンピュータ230は、ブラウザ232によるレンダリングが不能なファイルフォーマットの文書222を要求する。ステップ1804では、文書222は同じフォーマットのファイルとしてパッケージされるが、HTMLファイルとして「偽装」される。例えば、ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムがファイル拡張子によってファイルタイプを識別する。このような場合、ファイル、例えば、PDFファイルは、クライアントコンピュータ230によるHTMLファイルとして識別される「HTM」拡張子で命名されることができる。
【0087】
ステップ1806では、ファイルはクライアントコンピュータ230にダウンロードされ、ユーザはクライアントコンピュータ230がHTMLファイルとして認識したファイルを「オープン」する。したがって、ブラウザ232はデフォルトHTMLビューアとして立ち上げられる。ステップ1808では、ブラウザ232はHTMLのレンダリングを開始し、ActiveXコントロール又はJava(登録商標)アプレットのような組み込み型アプリケーションに対する参照を見出す。ブラウザ組み込み型アプリケーションはブラウザ232に、参照されたアプリケーションがクライアントコンピュータ230にインストールされていないことを検出する(ステップ1810)。ブラウザは、ステップ1812においてアプリケーションをダウンロードするためにファイル内の参照に従い、アプリケーションは上記のように、クライアントコンピュータ230にインストールされ、セキュリティモジュール237に添付される。レンダリングアプリケーションとして使用されているアプリケーションは、セキュリティモジュール237によって方向付けられて、HTMLファイル内からコンテンツを検索し、そのコンテンツをレンダリングする(ステップ1814)。
【0088】
新しいファイルタイプ拡張子を配布することの欠点は、ユーザが相手方のデータファイルの1つを受信し、その要求を処理するアプリケーションが未登録である場合、ユーザがそのコンテンツで作業を続けられなかったり、手動で新しいアプリケーションをインストールしなければならないことである。しかしながら、新しいファイルタイプがHTMLファイル内部にパッケージされると、ウェブブラウザは、HTMLファイルをロードし、自動的にそのコード(Java(登録商標)スクリプト等)を見出す。そのコードがクライアントプラットフォーム上の登録されたアプリケーションを認識した場合、含まれたデータをそのクライアントアプリケーションに送信する。データタイプを処理するアプリケーションが見つからない場合、ブラウザを呼出して、適切なレンダリングアプリケーションをダウンロードするサイトにナビゲートする。
【0089】
インターネット等のネットワーク上にコンテンツを配布する際の別のセキュリティ問題は、ハッカーがメッセージを妨害し、暗号化ルーチンを「破壊」して保護されたコンテンツへのアクセスを取得する可能性があることである。しかしながら、暗号化を回避することにより、多くの場合、比較的長い時間(例えば、数秒)を必要とするのは、複雑なソフトウェアアルゴリズムを実行したり、乱数を生成する必要があるからである。図19は、暗号化回避のリスクが短時間後に失効するトークンを生成することによって軽減される、好ましい実施の形態による操作の方法を示している。
【0090】
ステップ1902において、クライアントコンピュータが安全なコンテンツ222を要求する。セキュリティモジュール237のサーバ側セキュリティ構成要素がクライアントコンピュータ230を認証していないと仮定して、ディストリビュータ・サーバ120は、タイムスタンプ(時刻表示)されたチャレンジトークンを生成する(ステップ1904)。クライアントコンピュータ230がそのトークンを受信し、その非固有の公開鍵/秘密鍵の対を使用して要求を追加しそれを周知の方法で署名し(ステップ1906)、その署名されたトークンをディストリビュータ・サーバ220に戻す。その署名されたトークンを受信すると、ディストリビュータ・サーバ220はクライアントコンピュータ230の署名を確認し、タイムスタンプを検査することによってそのトークンがいつ生成されたかをしらべる(ステップ1908)。そのトークンが所定時間、例えば、署名された方法で受信されるよりも0.5秒より以前に生成された場合、たとえ署名が正しくても、そのトークンはもはや有効ではなく、コンテンツ222へのアクセスが拒絶されることになる(ステップ1910)。
【0091】
タイムスタンプは、署名がどの程度長く有効であるか(通常、適切な署名を許可し、暗号化の漏えいを許可しない非常に短い時間)、又は、署名が作成される時間を表示することができる。無許可の相手がそのメッセージを妨害し、後でそのメッセージを模倣しようとする場合、その署名は期限切れとなって有効ではない。
【0092】
いずれのタイプの通信ハードウェア及びプロトコルを使用しても、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、直接コンピュータ接続等の通信ネットワーク上で本発明は実施可能である。種々のクライアント及びサーバに対し、いずれのタイプのハードウェア又はハードウェアの組み合わせも使用できる。したがって、本明細書において使用されるような「クライアント」及び「サーバ」という言葉は、いずれのタイプのコンピュータ装置又はデータ端末、例えば、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ダムターミナル、小型軽量クライアント、手持ち式装置、無線電話、又はこれらの装置の組み合わせに言及することができる。種々のクライアント及びサーバは、単一の場所にある単一のコンピュータであったり、単一又は多数の場所にある多数のコンピュータである可能性がある。例えば、サーバは、スケーラビリティ(拡張性)を容易にするために種々の位置における共同配置設備に配置される複数の冗長コンピュータから構成されることもある。クライアント及びサーバの数はそれぞれどのような数でもよい。クライアントは物理的にサーバと同じハードウェア上に設置される可能性がある。
【0093】
適切なサーバ又はクライアントソフトウェアであれば使用でき、何れの通信プロトコルもまた使用できる。無線周波数、赤外線、又は他の技術を用いた無線方式により、電気ケーブル、光ファイバ回線、又はその他の回線上で通信が実行できる。種々の情報はどのフォーマットでも記憶でき、従って、本明細書で使用される「データベース」という言葉は、データベースファイル、ルックアップ・テーブル等の情報の収集に言及する。文書は何れのタイプでもよく、テキスト、オーディオ情報、ビデオ情報、又は複数のタイプのコンテンツの組み合わせ等の何れのタイプのコンテンツも含むことができる。ソフトウェア構成要素として記載された上記本発明の一部はハードウェアとして実施することもできる。さらに、特定の機能ブロックが別個に、それぞれ独立して記載されているが、これらの機能ブロックは単一の汎用コンピュータ上で確立され実行されたり、さらには当該技術において認識されるようにサブ機能に分類されることもある。権利の集合は文書の使用を決定する1つ以上の権利又は規則であったり、適切な形式であったり、さらには、文書タイプ、ユーザの同一性、ユーザによる支払い等の種々のパラメータに基づくこともある。種々のソフトウェアモジュールはクライアント又はサーバ上に設置されることもある。例えば、セキュリティモジュールは、上記の種々の機能を実施するのに適切であるとしてサーバ側及び/又はクライアント側の1つ又は複数の構成要素を含むことがある。
【0094】
本発明の好ましい実施の形態を上記で詳しく述べてきたが、本発明のその他の形式、代替例、変更例、及び変形等が同様に有効であり、当業者に理解できることを認識すべきである。その開示は本発明を特定の実施の形態に限定するためのものではなく、このような形式、代替例、変更例、及び変形等をすべて包含することを目的とする。したがって、本発明の正確な範囲は添付した請求項及び法的同等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】DRM技術を用いた文書配布システムのブロック図である。
【図2】好ましい実施の形態によるDRMシステムの概略図である。
【図3】サーバを保護されたクライアントにのみ応答させるための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図4】保護されたクライアントにアクセスするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図5】セキュリティ・モジュールをインストールするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図6】セキュリティ・モジュールを非活動状態にするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図7】多数のサーバに対するクライアントの認証を容易にするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図8】クライアントのユーザインタフェースを制御するサービスを可能にするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図9】ユーザインタフェース構成要素に対し参照を有するコンテンツのブロック図である。
【図10】クライアント特有のウォーターマークを付加するための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図11】トランザクション情報を統合(アグリゲート)するための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図12】アドレス不明化のための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図13】HTTP文書転送のための非同期式プロトコルを使用するための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図14】ソフトウェアの動的認証のための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図15】動的変数暗号化のための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図16】セキュリティ情報を文書に組み込むための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図17】要求中のURLに基づいて使用権を決定するための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図18】必要なレンダリングアプリケーションをダウンロードするための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。
【図19】タイムスタンプ検証トークンのための好ましい実施の形態による操作の方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを確実に頒布するためのシステムであって、
コンテンツが記憶されるサーバと、
前記コンテンツに関連するタスクを完了するよう動作可能なクライアント装置であって、前記コンテンツをレンダリングするためのレンダリングエンジンを含むアプリケーションプログラムを有する、前記クライアント装置と、
前記サーバに接続され、前記クライアント装置からの前記コンテンツへのアクセス要求により前記クライアント装置に一つ以上のセキュリティ・コンポーネントがインストールされているかを判定し、前記クライアント装置に前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントがインストールされていないと判定した場合に、前記コンテンツの安全な配布を確実にするために、前記サーバから前記クライアント装置へ前記コンテンツを送付する前に、前記クライアント装置にインストールされていないと判定された前記セキュリティ・コンポーネントのうちの少なくとも一つを前記クライアント装置にダウンロードしてインストールするよう構成される権利管理モジュールと、を有し、
前記管理モジュールは、前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを前記レンダリングエンジンに接続するよう動作可能であり、
前記管理モジュールは、さらに、前記コンテンツをチェックして、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求するかを判定し、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求しない場合に、前記レンダリングエンジンから前記クライアント側セキュリティ・コンポーネントを除去するよう動作可能であり、
前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つが前記コンテンツに関連する使用ルールを実施するよう動作可能である、
前記システム。
【請求項2】
前記コンテンツは、前記コンテンツに関連する使用権で保護されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記使用権は、前記コンテンツの使用法を規定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記使用権は、さらに、前記使用法を実行するために満たさなければならない条件を特定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンテンツは、実行可能なソフトウェアを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記権利管理モジュールは、前記コンテンツの管理保護のために要求される所定の構成に基づいて、前記クライアント装置が前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントを欠如しているかを判定するよう動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記権利管理モジュールは、前記クライアント装置からのコンテンツの要求が署名コンポーネントを含むかを判定することにより前記一つ以上のセキュリティモジュールが前記クライアント装置にインストールされているか判定するよう動作可能であり、前記要求が署名コンポーネントを含んでいない場合に、前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントをロードするために前記クライアント装置に応答を送信するよう動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記応答が、前記セキュリティ・プログラムのうち少なくとも一つをインストールするための実行可能なソフトウェア・コンポーネントを含むWEBページである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記WEBページは、前記セキュリティ・コンポーネントのうち少なくとも一つの位置に関連する情報を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記アプリケーションプログラムがWEBブラウザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つが、前記クライアント装置が安全であることを確認するよう動作可能なソフトウェア・エージェントを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記権利管理モジュールは、前記コンテンツが前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを要求するマークを前記コンテンツが含むかを判定することにより、前記コンテンツをチェックする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記マークは署名である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
保護メカニズムで保護されたコンテンツを頒布するよう適応されたサーバであって、
前記コンテンツにアクセスするためにクライアント装置から要求を受信する手段であって、前記クライアント装置は、前記コンテンツをレンダリングするためのレンダリングエンジンを含むアプリケーションプログラムを有し、
前記受信した要求を検査して、前記要求に関連する前記クライアント装置に一つ以上のセキュリティ・コンポーネントがインストールされているか判定し、前記セキュリティ・コンポーネントが前記クライアント装置にインストールされていないと判定した場合に、前記コンテンツの安全な頒布を確実にするため、前記サーバから前記クライアント装置に前記コンテンツを送付する前に、前記クライアント装置にインストールされていないと判定された前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを前記クライアント装置にダウンロードしてインストールするよう構成された権利管理モジュールと、を有し、
前記権利管理モジュールは、前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを前記レンダリングエンジンに接続するよう動作可能であり、
前記権利管理モジュールは、さらに、前記コンテンツをチェックして、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求するかを判定し、前記要求されたコンテンツがクライアント側のセキュリティ・コンポーネントを要求しない場合に、前記レンダリングエンジンから前記クライアント側セキュリティ・コンポーネントを除去するよう動作可能であり、
前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つが前記コンテンツに関連する使用ルールを実施するよう動作可能である、
前記サーバ。
【請求項15】
前記保護メカニズムは、前記保護されたコンテンツに関連する使用権を含んでいる、請求項14に記載のサーバ。
【請求項16】
前記使用権は、前記コンテンツの使用法と、前記使用法を実行するための条件を特定する、請求項15に記載のサーバ。
【請求項17】
前記コンテンツは、前記サーバに記憶されている、請求項14に記載のサーバ。
【請求項18】
前記保護されたコンテンツは、実行可能なソフトウェアを含む、請求項14に記載のサーバ。
【請求項19】
前記権利管理モジュールは、前記コンテンツの管理保護のために要求される所定の構成に基づいて、前記クライアント装置がセキュリティ・コンポーネント・ソフトウェアを欠如しているかを判定し、前記クライアント装置が前記所定の構成に基づいてセキュリティ・コンポーネント・ソフトウェアを欠如している場合に、前記権利管理モジュールは、前記クライアント装置に前記欠如しているセキュリティ・コンポーネント・ソフトウェアを提供するよう動作可能である、請求項14に記載のサーバ。
【請求項20】
前記権利管理モジュールは、前記クライアント装置からのコンテンツの要求が署名コンポーネントを含むかを判定することにより前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントが前記クライアント装置にインストールされているか判定するよう動作可能であり、前記要求が署名コンポーネントを含んでいない場合に、前記一つ以上のセキュリティ・コンポーネントをロードするため前記クライアント装置に応答を送信するよう動作可能である、請求項14に記載のサーバ。
【請求項21】
前記アプリケーションプログラムがWEBブラウザである、請求項20に記載のサーバ。
【請求項22】
前記応答が、前記セキュリティ・コンポーネントのうち少なくとも一つをインストールするための実行可能なソフトウェア・コンポーネントを含むWEBページである、請求項21に記載のサーバ。
【請求項23】
前記WEBページは、前記セキュリティ・コンポーネントのうち少なくとも一つの位置に関連する情報を含む、請求項22に記載のサーバ。
【請求項24】
前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つが、前記クライアント装置が安全であることを確認するよう動作可能なソフトウェア・エージェントを含む、請求項14に記載のサーバ。
【請求項25】
前記権利管理モジュールは、前記コンテンツが前記セキュリティ・コンポーネントの少なくとも一つを要求するマークを前記コンテンツが含むかを判定することにより、前記コンテンツをチェックする、請求項14に記載のサーバ。
【請求項26】
前記マークは署名である、請求項25に記載のサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−9601(P2009−9601A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214852(P2008−214852)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2007−146863(P2007−146863)の分割
【原出願日】平成14年1月16日(2002.1.16)
【出願人】(500470703)コンテントガード ホールディングズ インコーポレイテッド (54)
【氏名又は名称原語表記】ContentGuard Holdings, Inc.
【Fターム(参考)】