説明

コンテンツデータの再生端末装置、配信システムおよびプログラム

【課題】配信サーバとの接続が切断された場合に他の再生端末装置に接続してコンテンツデータを取得し、再生を継続することができるコンテンツデータの再生端末装置、配信システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】再生端末装置は、バッファに空き容量が確保されたら(S12:YES)、ユーザの嗜好情報を配信サーバに送信し(S18)、ストリーミング形式によってユーザの好みに合う楽曲データの配信を受ける(S21)。通信障害により配信サーバとの接続ができなくなったら(S22:YES)、無線電波の届く範囲に存在する他の再生端末装置に接続し(S40)、その再生端末装置のバッファに削除されずに残る楽曲データの楽曲情報を取得する(S42)。そして、ユーザの好みに合う楽曲情報の取得先の再生端末装置から楽曲データを取得しつつ(S47)、同時再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を介して接続する配信サーバからストリーミング形式によってコンテンツデータが配信される再生端末装置、配信システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既存のネットワーク網のアクセスポイントに接続する、いわゆるインフラストラクチャモードによる通信を無線通信によって行い、ネットワーク上に公開された配信サーバから、ストリーミング形式によってコンテンツデータの配信を受けることができる再生端末装置が知られている。ストリーミング形式は、配信サーバにおいてコンテンツデータを断片化して送信し、再生端末装置側でデータの断片を受信(ダウンロード)しながら、同時に、ダウンロードした断片から順次再生する、データの取得および再生の形式である。ストリーミング形式によってコンテンツデータを再生すれば、1つのコンテンツデータをまるごとダウンロードしてから再生を行う、いわゆるダウンロード形式と比べて、ダウンロードから再生までのユーザの待ち時間が少なくて済む。また、ストリーミング形式では、コンテンツデータの再生中の断片だけでなく、未再生分の断片についても先行してダウンロードし、バッファに記憶しておき、バッファからコンテンツデータの断片を順次読み出して再生する方法が採用されている。
【0003】
無線通信の通信方式としては、例えばWiFi(登録商標)や、WiMAX(登録商標)、3G、HSPAなどの通信方式が、一般的に知られている。これらの通信方式は通信電波の到達距離や通信速度等に違いがあり、用途に応じて使い分けられている。特に3GやHSPAなどの通信方式は、ユーザが再生端末装置を携帯して移動する際に利用されることが多い。
【0004】
ところで、ネットワーク接続においては、通常、複数の通信経路のうち、経路において通過する中継点が最も少ない経路が選択される。しかし、経路途中の中継点間において通信状態の不安定なところがあると、その中継点間を経由する通信経路を介したネットワーク接続が不安定となる。すると、その通信経路を介したコンテンツデータのダウンロードの速度が低下したり、ネットワーク接続が途切れたりする虞がある。このような場合、ストリーミング形式によるコンテンツデータの配信では、再生が途切れ途切れになり、また、ダウンロード形式によるコンテンツデータの配信では、再生できなくなる。
【0005】
そこで、将来、不安定になる虞のある通信経路を予測し、その代替となる通信経路を探索することで、ネットワーク接続の安定性を維持できるようにする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法によりネットワーク接続を安定して維持することができれば、ユーザは、再生を途切れさせることなくコンテンツデータを楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−336767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようにネットワーク接続の安定性の維持を図っても、例えばユーザが通信電波の届かない場所に移動することにより、無線通信自体が切断され、すべての通信経路が途絶されてしまう場合がある。このような場合、再生端末装置に記憶されている分のコンテンツデータの再生が終わってしまっても新たなコンテンツデータが取得されず、配信サーバとのネットワーク接続が回復するまで、コンテンツデータの再生が停止されたままになっていた。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、配信サーバとの接続が切断された場合に他の再生端末装置に接続してコンテンツデータを取得し、再生を継続することができるコンテンツデータの再生端末装置、配信システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様によれば、ストリーミング形式によってコンテンツデータを配信可能な配信サーバに、既存のネットワーク網を経由する第1の通信形態による無線通信を介して接続し、自身の備える記憶手段に前記配信サーバから受信する前記コンテンツデータを一時的に記憶しつつ、前記コンテンツデータを再生するコンテンツデータの再生端末装置であって、前記配信サーバとの接続が通信障害の発生によって切断されたか否かを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記配信サーバとの切断が検知されたら、前記無線通信を、前記再生端末装置同士が直接接続を行う第2の通信形態に切り換える切換手段と、前記切換手段によって切り換えられた前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身に接続可能な他の再生端末装置を接続先端末装置とし、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続する接続手段と、前記接続手段によって接続された前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを取得する第1取得手段と、を備えるコンテンツデータの再生端末装置が提供される。
【0010】
第1態様の再生端末装置は、配信サーバとの無線通信による接続が通信障害の発生によって切断された場合でも、自身に接続可能な他の再生端末装置からコンテンツデータを取得することができるので、コンテンツデータの再生を途切れることなく継続することができる。
【0011】
第1態様において、前記コンテンツデータは、当該コンテンツデータによって表されるコンテンツを類似性によって分類するための分類情報が対応付けられている。第1態様は、自身の備える前記記憶手段に記憶された少なくとも1以上の前記コンテンツデータを前記分類情報に基づいて分類し、前記再生端末装置を利用するユーザが嗜好するコンテンツの分類を表す嗜好情報を生成する第1生成手段と、前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶されている少なくとも1以上の前記コンテンツデータのそれぞれに対応付けられた前記分類情報を取得する第2取得手段と、前記第2取得手段によって取得された前記分類情報のなかから、前記第1生成手段によって生成された自身の前記嗜好情報に最も類似する前記分類情報を類似分類情報として決定する第1決定手段と、をさらに備えてもよい。この場合に、前記第1取得手段は、前記接続先端末装置から、前記第1決定手段によって決定された前記類似分類情報に対応付けられた前記コンテンツデータを取得してもよい。
【0012】
再生端末装置は、他の再生端末装置からコンテンツデータを取得する際に、自身のユーザの嗜好情報に最も類似する分類情報に対応付けられたコンテンツデータ、すなわち自身のユーザの好みに最も合うコンテンツデータを取得することができる。このため、再生端末装置は、配信サーバとの接続を行えず、配信サーバから自身のユーザの好みのコンテンツデータを取得できない場合でも、他の再生端末装置から取得したコンテンツデータを再生して、ユーザにコンテンツを十分に楽しんでもらうことができる。
【0013】
第1態様の再生端末装置は、自身に接続可能な少なくとも1以上の他の再生端末装置に自身の前記嗜好情報を送信する第1送信手段をさらに備えるとともに、他の再生端末装置の前記第1送信手段から、その再生端末装置の前記嗜好情報を受信した場合には、自身の備える前記記憶手段に記憶されている前記コンテンツデータに対応付けられた前記分類情報のうち、前記受信した前記嗜好情報との類似性が所定の類似範囲に含まれる前記分類情報を決定する第2決定手段と、前記第2決定手段によって決定された前記分類情報を、前記嗜好情報の送信元の前記再生端末装置に送信する第2送信手段と、をさらに備えてもよい。この場合に、前記第1決定手段は、自身に接続可能な少なくとも1以上の他の再生端末装置のそれぞれの前記第2送信手段から受信する前記分類情報のなかから、自身の前記嗜好情報に最も類似する前記分類情報を前記類似分類情報として決定し、前記第1取得手段は、前記類似分類情報の送信元の前記再生端末装置から、前記類似分類情報に対応付けられた前記コンテンツデータを取得してもよい。
【0014】
再生端末装置が他の再生端末装置からコンテンツデータを取得する際に、接続可能な他の再生端末装置が多かったり、他の再生端末装置の保持するコンテンツデータが多かったりすると、取得するコンテンツデータを決定するのに時間がかかってしまう。そこで、あらかじめ、自身のユーザの嗜好情報を他の再生端末装置に送信し、その嗜好情報との類似性が所定の類似範囲に含まれる分類情報、すなわち自身のユーザの好みに合いそうなコンテンツデータの分類情報だけを、他の再生端末装置から取得する。その上であらためて、自身のユーザの嗜好情報に最も類似する分類情報に対応するコンテンツデータを、そのコンテンツデータを保持する他の再生端末装置から取得する。このようにすれば、自身のユーザの好みに合うコンテンツデータを効率よく取得でき、コンテンツデータの再生を途切れることなく継続できるとともに、ユーザにコンテンツを十分に楽しんでもらうことができる。
【0015】
第1態様は、前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身との接続が可能な他の再生端末装置を候補端末装置とし、少なくとも1以上の当該候補端末装置から、当該候補端末装置に現在接続している再生端末装置の台数をそれぞれ取得する第3取得手段をさらに備えてもよい。この場合に、前記接続手段は、1以上の前記候補端末装置のうち、前記第3取得手段によって取得された前記台数が最も少ない前記候補端末装置を前記接続先端末装置として、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続してもよい。
【0016】
配信サーバとの接続を行えない場合、再生端末装置同士が互いに接続してコンテンツデータの送受信を行うため、コンテンツデータを送信する側となった再生端末装置が他の多くの再生端末装置から接続されると、送信側の再生端末装置には負荷がかかる。そこで、再生端末装置が他の再生端末装置からコンテンツデータを取得する際に、自身との接続が可能な他の再生端末装置のそれぞれに、それらの再生端末装置に現在接続している再生端末装置の台数を問い合わせる。そして、最も接続台数の少ない再生端末装置に接続してコンテンツデータを取得すれば、接続先の再生端末装置(コンテンツデータの送信側の再生端末装置)にかかる負荷を低減でき、接続先の再生端末装置から送信されるコンテンツデータの送信速度を確保することができる。よって、コンテンツデータの再生を途切れることなく継続することができる。
【0017】
本発明の第2態様によれば、請求項2から4のいずれかに記載の再生端末装置と、前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバと、を備えるコンテンツデータの配信システムであって、前記配信サーバは、前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得手段と、前記再生端末装置から、当該再生端末装置の備える前記記憶手段に記憶されている少なくとも1以上の前記コンテンツデータのそれぞれに対応付けられた前記分類情報、および、当該再生端末装置の前記第1生成手段によって生成された前記嗜好情報を取得する第5取得手段と、前記第4取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定手段と、前記第5取得手段によって取得された前記第1再生端末装置の前記分類情報と、前記第5取得手段によって取得された前記第2再生端末装置の前記嗜好情報とを比較して、前記第2再生端末装置のなかから、類似性が最も低い前記嗜好情報を有する前記第2再生端末装置を第3再生端末装置として特定する第2特定手段と、前記第5取得手段によって取得された前記第1再生端末装置の前記嗜好情報との類似性と、前記第2特定手段によって特定された前記第3再生端末装置の前記嗜好情報との類似性との差異が所定差以下である前記分類情報に対応付けられる前記コンテンツデータを、前記第1再生端末装置に配信する配信手段と、を備えるコンテンツデータの配信システムが提供される。
【0018】
配信サーバは、再生端末装置にコンテンツデータの配信を行う際に、位置情報と嗜好情報と分類情報とを取得する。位置情報に基づけば、コンテンツデータの配信を所望する第1再生端末装置の近くに存在し、通信障害が発生した場合に、第1再生端末装置にコンテンツデータを送信可能な第2再生端末装置を特定することができる。そこで、第2再生端末装置のなかから、第1再生端末装置の保持するコンテンツデータの分類情報との類似性が最も低い嗜好情報を持った第3再生端末装置を特定し、第1再生端末装置の嗜好情報と第3再生端末装置の嗜好情報との類似性の差異が小さいコンテンツデータを第1再生端末装置に配信する。このように、再生端末装置にコンテンツデータを配信する際に、その再生端末装置のユーザの好みに合い、近くに存在する他の再生端末装置のユーザの好みにも合うコンテンツデータを選定した上で、配信しておく。すると、通信障害が発生して再生端末装置同士でコンテンツデータの送受信を行うこととなった場合に、再生端末装置は、容易に、ユーザの好みに合うコンテンツデータを取得できるので、コンテンツデータの再生を途切れることなく継続できるとともに、ユーザにコンテンツを十分に楽しんでもらうことができる。
【0019】
本発明の第3態様によれば、請求項2から4のいずれかに記載の再生端末装置と、前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバと、を備えるコンテンツデータの配信システムであって、前記配信サーバは、前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得手段と、前記第4取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定手段と、前記第1特定手段によって特定された前記第2再生端末装置のうち、最も、前記第1再生端末装置との距離が近い前記第2再生端末装置を、前記第1再生端末装置に通知する通知手段と、を備え、前記再生端末装置の前記接続手段は、前記配信サーバとの前記無線通信が切断された場合において、前記配信サーバの前記通知手段から通知された前記第2再生端末装置に前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続することを特徴とするコンテンツデータの配信システムが提供される。
【0020】
配信サーバは、再生端末装置にコンテンツデータの配信を行う際に、位置情報を取得する。位置情報に基づけば、コンテンツデータの配信を所望する第1再生端末装置の近くに存在し、通信障害が発生した場合に、第1再生端末装置にコンテンツデータを送信可能な第2再生端末装置を特定することができる。そこで、第2再生端末装置のなかから、第1再生端末装置に最も近い第2再生端末装置を特定し、第1再生端末装置に通知しておけば、通信障害が発生して再生端末装置同士でコンテンツデータの送受信を行うこととなった場合に、再生端末装置は、通知された再生端末装置に接続してコンテンツデータを取得すればよい。このようにすれば、再生端末装置は、自身が接続可能な他の再生端末装置があっても、それらの再生端末装置を探さなくとも済むので、コンテンツデータの取得を素早く行うことができ、コンテンツデータの再生を途切れることなく継続することができる。
【0021】
本発明の第4態様によれば、ストリーミング形式によってコンテンツデータを配信可能な配信サーバに、既存のネットワーク網を経由する第1の通信形態による無線通信を介して接続し、記憶手段に前記配信サーバから受信する前記コンテンツデータを一時的に記憶しつつ、前記コンテンツデータを再生するコンテンツデータの再生端末装置として機能させるためのプログラムであって、前記再生端末装置のコントローラに、前記配信サーバとの接続が通信障害の発生によって切断されたか否かを検知する検知ステップと、前記検知ステップによって前記配信サーバとの切断が検知されたら、前記無線通信を、前記再生端末装置同士が直接接続を行う第2の通信形態に切り換える切換ステップと、前記切換ステップによって切り換えられた前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身に接続可能な他の再生端末装置を接続先端末装置とし、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続する接続ステップと、前記接続ステップによって接続された前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを取得する第1取得ステップと、を実行させるプログラムが提供される。第4態様に係るプログラムを実行してコントローラを再生端末装置として機能させることで、第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0022】
本発明の第5態様によれば、前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される、請求項2から4のいずれかに記載の前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバとして機能させるためのプログラムであって、前記配信サーバのコントローラに、前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得ステップと、前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置から、当該第1再生端末装置の備える記憶手段に記憶されている前記コンテンツデータに対応付けられた前記分類情報を取得する第5取得ステップと、前記第4取得ステップによって取得された前記位置情報に基づいて、前記第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定ステップと、前記第1再生端末装置と、前記第1特定ステップに特定された前記第2再生端末装置とを利用するそれぞれのユーザが嗜好するコンテンツの分類を表す前記嗜好情報を生成する第2生成ステップと、前記第5取得ステップによって取得された前記第1再生端末装置の前記分類情報と、前記第2生成ステップによって生成された前記第2再生端末装置の前記嗜好情報とを比較して、前記第2再生端末装置のなかから、類似性が最も低い前記嗜好情報を有する前記第2再生端末装置を第3再生端末装置として特定する第2特定ステップと、前記第2生成ステップによって生成された前記第1再生端末装置の前記嗜好情報との類似性と、前記第2特定ステップによって特定された前記第3再生端末装置の前記嗜好情報との類似性との差異が所定差以下である前記分類情報に対応付けられる前記コンテンツデータを、前記第1再生端末装置に配信する配信ステップと、を実行させるプログラムが提供される。第5態様に係るプログラムを実行してコントローラを配信サーバとして機能させることで、第2態様と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンテンツデータの配信システム1の全体の構成を示す図である。
【図2】配信サーバ2のデータベース3に記憶される端末情報を模式的に示す図である。
【図3】端末Pの近接端末を特定する過程について説明するための図である。
【図4】類似性(類似距離)について説明するための図である。
【図5】端末Pに配信する楽曲データを選定する過程について説明するための図である。
【図6】再生端末装置5において実行される楽曲再生処理のフローチャートである。
【図7】再生端末装置5において実行されるメインプログラムのフローチャートである。
【図8】配信サーバ2において実行される楽曲選定処理のフローチャートである。
【図9】再生端末装置5のメインプログラムの変形例を示すフローチャートである。
【図10】配信サーバ2の楽曲選定処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について、配信サーバ2と再生端末装置5とがネットワーク10を介して接続されるコンテンツデータの配信システム1を一例に、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。また、以下の説明においては、「再生端末装置」を「端末」と表記する場合もある。
【0025】
まず、図1,図2を参照して、コンテンツデータの配信システム1の概要について説明する。コンテンツデータの配信システム1は、配信サーバ2のデータベース3に蓄積されるコンテンツデータを、ストリーミング形式により、ネットワーク10を介して再生端末装置5に配信するシステムである。コンテンツデータとは、楽曲や映像などを再生端末装置5において再生可能とするデータである。本実施の形態では、MP3やAACなどの公知の音声圧縮コーデックによって楽曲を記録した楽曲データをコンテンツデータの一例として説明する。楽曲データは、例えばラジオの音楽番組のように、配信サーバ2から再生端末装置5へ順次配信されるものとする。しかし、すべての再生端末装置5に対して同じ楽曲データが一斉に配信されるわけではなく、個々の再生端末装置5のユーザの嗜好に合わせた楽曲データが、それぞれの再生端末装置5に配信されるものとする。なお、嗜好の詳細については後述するが、ユーザの楽曲データに対する嗜好は、本実施の形態では、「ジャンル」および「年代」の2つの要素に基づいて決定されるものとする。
【0026】
配信システム1は、ネットワーク10に接続される配信サーバ2と、ネットワーク10に接続された複数のアクセスポイント(AP)7,8を介し、無線通信により、ネットワーク10に接続可能な再生端末装置5とを備える。AP7は、例えば、3GやHSPAなどの通信方式を採用した無線通信の基地局である。AP8は、WiFi(登録商標)やWiMAX(登録商標)など、公知の無線LANのアクセスポイントである。
【0027】
配信サーバ2は、例えば、周知のパーソナルコンピュータ(PC)であり、制御を司るCPU21を備える。CPU21には、バス24を介して、ROM22、RAM23、入出力(I/O)インタフェイス25が接続されている。ROM22は、CPU21が実行するBIOS等のプログラムを記憶する読出し専用の記憶装置である。RAM23は、データを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置である。
【0028】
入出力インタフェイス25には、データベース3、ハードディスクドライブ(HDD)28、ディスクドライブ26、ネットワーク通信部29、表示制御部27、キーボード33およびマウス32が接続されている。データベース3は、楽曲データと楽曲情報とを対応付けて記憶する記憶装置である。楽曲情報の詳細については後述するが、楽曲情報は、楽曲データによって表される楽曲に関する情報である。楽曲データの配信は、再生端末装置5が配信サーバ2に接続し、楽曲情報に対応付けられた楽曲データをデータベース3から受信(ダウンロード)することによって行われる。なお、本実施の形態においては、情報の送受信において、特に、コンテンツデータ(楽曲データ)を受信することを「ダウンロード」ともいう。また、配信サーバ2がコンテンツデータを送信することを「配信」ともいう。
【0029】
ディスクドライブ26は、ディスクROM30からデータやプログラム等の読み込みを行う装置である。ディスクROM30は、例えばCD−ROMやDVD−ROMなど、データが記憶された記憶媒体である。PCを配信サーバ2として稼働させるためのOSやプログラム等が、ディスクROM30に記憶されて提供される。
【0030】
記憶装置であるHDD28には、ディスクROM30から読み出されたOSやプログラム等がインストールされる。なお、OSやプログラム等は、フラッシュROMなど、その他の記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。あるいは、ネットワーク通信部29を介して接続されるネットワーク10上の図示しない端末から、ダウンロードにより、提供されてもよい。
【0031】
また、HDD28の所定の記憶領域には、図2に示す、端末情報が記憶される。端末情報は、配信サーバ2に接続される再生端末装置5から送信される、嗜好情報、位置情報および楽曲情報を、それぞれの再生端末装置5について記憶したテーブルである。嗜好情報、位置情報および楽曲情報の詳細については後述するが、配信サーバ2において、再生端末装置5にそれぞれのユーザの嗜好に合わせた楽曲データを配信するため、楽曲データの選定において利用される情報である。また、後述する楽曲選定処理(図8参照)のプログラムは、HDD28の所定の記憶領域にインストールされている。
【0032】
図1に示す、表示制御部27は、配信サーバ2で稼働されるOSやプログラム等の操作画面をモニタ31に表示するための描画処理を行う。キーボード33、マウス32は、配信サーバ2で稼働されるOSやプログラム等の操作画面における操作を行う際に用いられる。
【0033】
次に、再生端末装置5について説明する。再生端末装置5は、例えば、携帯電話やスマートフォン、ネットワーク接続機能を有する携帯音楽プレーヤーなど、ユーザが携帯でき、無線通信によってネットワーク10上で公開された配信サーバ2に接続可能な端末装置である。
【0034】
再生端末装置5は、制御等を司るCPU50を備える。CPU50は、ROM61、RAM62およびフラッシュメモリ56と電気的に接続され、それぞれの記憶領域にアクセスできる。ROM61は、CPU50が実行するBIOS等のプログラムを記憶する読出し専用の記憶装置である。RAM62は、データを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置である。フラッシュメモリ56は読み書き可能な不揮発性の記憶装置であり、再生端末装置5で使用されるアプリケーション等のプログラムやデータ等が記憶される。また、後述する楽曲再生処理(図6参照)およびメイン処理(図7参照)のプログラムは、フラッシュメモリ56の所定の記憶領域にインストールされている。
【0035】
本実施の形態において、RAM62の所定の記憶領域は、配信サーバ2からストリーミング形式によって配信される楽曲データを一時的に記憶するバッファとして使用される。配信サーバ2は楽曲データを断片化して送信し、再生端末装置5は、受信(ダウンロード)した楽曲データの断片をバッファに一時的に記憶しつつ再生し、再生の終わった断片から順次削除する。より詳細には、再生の終わった断片が記憶されている記憶領域に対し、新たな断片の上書き記憶が許可されるのであり、データそのものが消去されるわけではないが、便宜上、削除されたものとみなすこととする。
【0036】
バッファの記憶容量は、一般的に、例えば、再生時間で1分程度に相当する分の楽曲データの断片を先行してダウンロードして記憶できる容量が確保される。具体例として、楽曲データは、例えば標準的なコーデックの設定に従って圧縮された場合、再生時間1分あたり約1MBの容量が必要とされ、1曲あたりでは4〜5MBの容量が必要とされる。よって、通常、バッファには5〜10MB程度の記憶容量が割当てられる。これにより、再生端末装置5は、ネットワーク10への接続が一時的に途絶えた場合でも楽曲データの再生を維持することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、後述するが、再生端末装置5は、ネットワーク10に接続できない場合に、他の再生端末装置5と直接接続を行う。そして、バッファに削除されずに残っている楽曲データ(すべての断片が残っているもの)が、他の再生端末装置5に送信される。したがって、バッファの記憶容量は、未再生の楽曲データが先行してダウンロードされて再生済みの楽曲データが削除されても、削除されずに残る楽曲データを1曲以上保持するのに必要な容量が設定される。本実施の形態では、説明の便宜上、バッファには、削除されずに残る楽曲データを少なくとも3曲分、保持するのに必要な記憶容量として、例えば25MBが割当てられているものとする。
【0038】
CPU50にはさらに、表示制御部57、入力制御部59、通信制御部52、電源コントローラ54が接続されている。表示制御部57は、自身に接続される表示部58の駆動制御を行う。CPU50は、表示制御部57を介して表示部58に所望の画像を表示させることができる。入力制御部59には操作キー60が接続されている。入力制御部59は操作キー60に駆動電流を流し、操作キー60のオン・オフの状態を検出してCPU50に出力する。
【0039】
通信制御部52は、無線通信部51,53の駆動制御を行う。無線通信部51は、例えば3G規格による無線通信のインタフェイスであり、無線通信により接続するAP7を介してネットワーク10との接続を行う。無線通信部53は、例えばWiFi(登録商標)規格による無線通信のインタフェイスであり、AP8を介したネットワーク10への接続や、他の再生端末装置5の無線通信部53との直接接続を行う。なお、AP7,8を介して接続されるネットワーク10を経由して配信サーバ2等への接続を行う場合における通信制御部52の駆動状態をインフラストラクチャモードという。また、他の再生端末装置5との直接接続を行う場合における通信制御部52の駆動状態をWiFi Directモードとよぶ。WiFi Directモードにおける無線通信は、WiFi Direct(商標)規格による無線通信を行うことにより、端末同士の1対1の接続だけでなく、1対多の接続を行うことも可能である。
【0040】
電源コントローラ54は、再生端末装置5に内蔵されて電力を供給するバッテリ55の充放電を制御する。電源コントローラ54は、図示しない、USBケーブルやACアダプタを介して供給される電力をバッテリ55に供給し、バッテリ55の充電を行うことができる。なお、バッテリ55は、再生端末装置5に着脱可能に装着されてもよい。
【0041】
次に、配信システム1における配信サーバ2および再生端末装置5の動作の流れについて、図1〜図5を参照し、図6〜図8のフローチャートに従って説明する。なお、説明の便宜上、AP7,8を介して配信サーバ2と接続される5台の再生端末装置5を区別する際には、それぞれ端末A,B,C,D,Pと呼ぶこととする。また、フローチャートにおいて各処理を「S」と略記し、ダウンロードを「DL」と表記する。また、図6、図7に示す各処理は、再生端末装置5のCPU50によって実行され、図8に示す各処理は、配信サーバ2のCPU21によって実行される。
【0042】
図1に示す、配信システム1では、再生端末装置5がネットワーク10を介して配信サーバ2に接続できる状態においては、前述したように、例えばラジオの音楽番組のように、楽曲データが配信サーバ2から再生端末装置5へ順次配信される。しかし、例えば通信障害等が発生し、ネットワーク10への接続ができない状態になると、再生端末装置5は、無線電波の届く範囲内にいる他の再生端末装置5との接続を試みる。そして、接続できた他の再生端末装置5から、その再生端末装置5のバッファに削除されずに残る楽曲データを取得することで、配信サーバ2と接続できない状態でも楽曲データの再生を継続することができる。
【0043】
配信システム1における再生端末装置5の一例として、端末A,C,D,Pは、インフラストラクチャモードによる無線通信によってAP7を介してネットワーク10に接続し、端末Bは、同様にAP8に接続する。端末A,C,D,Pは、3G規格の無線通信によりネットワーク10に接続するが、同時に、端末A,C,Dは、WiFi規格の無線通信における無線電波が端末Pから届く範囲内にいるものとする。一方、端末Bは、WiFi規格の無線通信における無線電波が端末Pから届かないところにいるものとする。
【0044】
端末A〜D,P(再生端末装置5)において、配信サーバ2から楽曲データの配信を受けるためのアプリケーションが起動されると、図7に示す、メイン処理が実行される。メイン処理では図示しない初期設定が行われ、RAM62にバッファが確保され、次いで楽曲再生処理(図6参照)が起動される(S11)。図6に示す、楽曲再生処理は、メイン処理と並列に実行され、メイン処理の実行中は、楽曲再生処理の実行も継続される(S1,S2,S3:NO,S1)。そしてメイン処理が終了されると(S3:YES)、楽曲再生処理の実行も終了される。
【0045】
楽曲再生処理では、まず、S1で、バッファの監視が行われる(S1)。ストリーミング形式により配信サーバ2からダウンロードした楽曲データの断片で未再生の断片がバッファになければS3に進む(S1:NO)。そして、メイン処理が終了でなければS1に戻り(S3:NO)、待機が行われる。一方、バッファに未再生の楽曲データの断片があれば(S1:YES)、S2において、その断片分の楽曲データの再生が行われる(S2)。なお、S2において再生される楽曲データは、楽曲データの1つの断片分に限らず、所定数の断片分の再生であってもよいし、あるいは楽曲データの所定時間分の再生であってもよい。
【0046】
図7のメイン処理では、楽曲再生処理の起動が行われた後、ユーザによってメイン処理の終了が指示されるまで、S12〜S50の処理が繰り返される(S12〜S50,S55:NO,S12)。そのうちのS12〜S25の処理は、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が可能な状態(通信障害等が発生していない状態)において実行される。一方、S31〜S50の処理は、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が不可能となった状態(通信障害等が発生した状態)において実行される。まず、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が可能な状態における配信システム1の動作の流れについて説明する。
【0047】
端末A〜D,Pでは、それぞれのバッファの記憶容量が監視され(S12)、所定の空き容量を確保できなければ(S12:NO)、待機が行われる。所定の空き容量を確保できない状態とは、配信サーバ2から配信される楽曲データの断片がバッファの記憶容量がいっぱいになるまで記憶され、バッファの記憶容量に空きを生じていない状態をいう。なお、バッファの空き容量には、すでに再生の終わった断片が記憶されている領域の容量も含まれる。
【0048】
上記したように、楽曲データは例えば1曲あたり4〜5MBの容量が必要とされる。よって、例えば1曲分を記憶可能な5MBの記憶容量が所定の空き容量として確保された場合(S12:YES)、S13〜S25の処理が行われ、ネットワーク10上の配信サーバ2から、各端末A〜D,Pのそれぞれに応じた楽曲データの配信を受ける。
【0049】
楽曲データの配信は、概略、以下のように行われる。各端末A〜D,Pから、それぞれ嗜好情報、位置情報、およびバッファに残る楽曲データの楽曲情報が、配信サーバ2に送信される(S13〜S18)。配信サーバ2において、各端末A〜D,Pから受信した嗜好情報、位置情報および楽曲情報に基づいて、各端末A〜D,Pそれぞれのユーザの嗜好に合う楽曲データが選定される(楽曲選定処理(図8参照))。そして、選定された楽曲データに対応付けられている楽曲情報が、各端末A〜D,Pに通知される(S75(図8参照))。各端末A〜D,Pでは、通知された楽曲情報に対応する楽曲データが、データベース3からダウンロードされる(S20〜S25)。
【0050】
より具体的に、楽曲データの配信について、例を挙げて説明する。例えば端末Pが配信サーバ2から楽曲データの配信を受ける場合、端末Pは、ユーザの嗜好情報と、自身の位置情報と、バッファに削除されずに残る3曲の楽曲データの楽曲情報とを、配信サーバ2に送信する。なお、上記したように、本実施の形態ではバッファに全断片が未削除のまま残っている楽曲データが3曲あるものとする。
【0051】
嗜好情報は、ユーザの好みの楽曲のジャンルと年代とを、上記した分類情報と同じ尺度による2軸の座標によって表される情報である。嗜好情報は、S13において、例えば以下のように生成される。まず、再生端末装置5のCPU50は、配信システム1の初回利用時にユーザの好むジャンルと年代を入力させ、上記のように座標で表すことにより、嗜好情報の基礎となる情報を生成する。以降、配信される楽曲データの再生時に、ユーザがその楽曲を気に入った場合に、例えば「いいね!」ボタンをユーザに押させる。「いいね!」ボタンの押された楽曲データに対応する分類情報は、次回の楽曲データのダウンロード時まで記憶される。そしてダウンロード時に、それまでに記憶した分類情報と、現在の嗜好情報(初めて更新される場合には初回利用時に入力された嗜好情報の基礎情報)との平均値(すなわち平均座標)が求められ、嗜好情報が更新される(S13)。
【0052】
次に、位置情報が取得される(S15)。位置情報は、設置場所の緯度および経度が既知のアクセスポイントを2カ所以上検索して電界強度を測定し、電界強度の差異に基づく公知の演算によって求められる。位置情報は、緯度および経度によって示される座標で表される。本実施の形態では、説明の便宜上、図3に示すように、各軸がそれぞれ1〜10の範囲の尺度をもつ2軸の座標によって、位置情報が表されるものとする。
【0053】
そして、バッファが参照され、全断片が未削除のまま残っている楽曲データ(ここでは3曲分)の楽曲情報が取得される(S16)。楽曲情報は、上記したように、個々の楽曲データにそれぞれ対応付けられている情報であり、属性情報と分類情報とを含む。属性情報は、例えば楽曲名、ID番号、アーティスト名、ジャンル名、リリース時期などの情報を含む。分類情報は、楽曲データを類似性によって分類するための情報である。本実施の形態では、分類情報は、「ジャンル」および「年代」の2種類の要素をそれぞれ軸とする2軸の座標によって表されるものとする(図4参照)。
【0054】
分類情報の具体例を、以下に示す。一方の軸をなす楽曲の「ジャンル」には、例えば、クラシック、イージーリスニング、ポップ、ロック、ハードロック、メタルなどがある。第1の軸(ジャンル軸)上において、テンポや曲調などが近いジャンル同士(つまり類似性の高いもの同士)を近隣に配置し、これらを、例えば1〜18の範囲の尺度で表す。楽曲の「年代」についても同じように、第2の軸(年代軸)上において、例えば80年代、90年代、00年代など、近い年代同士を近隣に配置し、これらを、例えば1〜15の範囲の尺度で表す。すると、楽曲データを、ジャンルおよび年代によって決まる座標で分類することができる。したがって、2つの楽曲データの類似性を、それぞれの座標の間の距離(以下、「類似距離」という。)によって表すことができる。すなわち、2つの楽曲データの類似性は、類似距離が近ければ高く、類似距離が遠ければ低いといえる。後述する嗜好情報も、分類情報と同じ尺度の座標によって表される情報であり、同じ座標空間において、分類情報との類似距離が求められる。
【0055】
端末Pにおいて、嗜好情報、位置情報および楽曲情報の取得が完了したら、通信制御部52が駆動されて無線通信部51によるAP7とのインフラストラクチャモードにおける無線通信が行われる。AP7を介したネットワーク10への接続が完了したら、端末Pは、次にネットワーク10に公開された配信サーバ2への接続を行う(S17)。配信サーバ2に接続できたら、端末Pは、嗜好情報、位置情報および楽曲情報を、配信サーバ2に送信する(S18)。そして端末Pは、配信サーバ2から、端末Pがダウンロードすべき楽曲データに対応する楽曲情報が通知されるのを待つ(S20)。
【0056】
一方、配信サーバ2では、図8に示す、楽曲選定処理が実行されている。楽曲選定処理では、再生端末装置5からの接続要求を受けるまで待機が行われている(S61:NO,S61)。配信サーバ2は、再生端末装置5(ここでは端末P)から接続要求を受けたら(S61:YES)、端末Pとの接続が行われる。さらに端末Pから楽曲データのダウンロード要求を受けなければ(S62:NO)、S65〜S75の処理において、端末Pがダウンロードすべき楽曲データの楽曲情報の選定が行われる。
【0057】
配信サーバ2は、自身に接続した端末P(他の端末との区別のため「配信先端末」という場合もある。)から嗜好情報、位置情報および楽曲情報を受信すると(S65)、受信した情報を、図2に示す、端末情報としてHDD28に記憶する(S67)。すなわち、各再生端末装置5(ここでは端末A〜D,P)が配信サーバ2から楽曲データの配信を受ける度に、それぞれの嗜好情報、位置情報および楽曲情報が配信サーバ2に通知され、端末情報が追加あるいは更新される。
【0058】
端末Pの嗜好情報、位置情報および楽曲情報を受信した配信サーバ2では、端末Pに配信する楽曲データの選定が行われる。端末Pに配信される楽曲データとして、端末Pの嗜好情報との類似性が高い分類情報を含む楽曲情報に対応付けられ、且つ、端末Pの近くの他の再生端末装置5の嗜好情報との類似性も高い楽曲データが、以下のように選定される。
【0059】
まず、図2の端末情報が参照され、位置情報に基づいて、端末Pと位置的な距離が近い再生端末装置5(配信先端末との区別のため、配信先端末に近接する「近接端末」ともいう場合もある。)が特定される(S68)。すなわち、端末Pの位置情報に示される座標と、各端末A〜Dの位置情報に示される座標との間の距離が、WiFi規格の無線通信における無線電波の到達可能な所定の距離範囲内である近接端末が特定される。例えば、図3に示す、位置情報のグラフに各端末A〜D,Pをプロットした場合に、端末Pを中心に無線電波の届く所定の距離範囲内(図中、座標枠内が白色のもの)に含まれる位置情報を持った端末A,C,Dが、近接端末として特定される。
【0060】
次に、端末Pにおいて削除されずに残る3曲の楽曲データそれぞれの楽曲情報に含まれる分類情報と、近接端末として特定された端末A,C,Dのそれぞれの嗜好情報との類似性(類似距離)が求められる(S71)。例えば、端末Pは、P−1,P−2,P−3という曲名(属性情報)の3曲の楽曲データを保持しているとする。端末Pから受信した最新の各情報によって図2に示す端末情報が更新され、現在のP−1,P−2,P−3のそれぞれの分類情報は、[8,11],[6,4],[8,7]である。また、現在、端末情報に記録されている端末A,C,D(近接端末)のそれぞれの嗜好情報は、[9,1],[11,12],[17,6]である。
【0061】
例えば、図4に示すように、ジャンル軸と年代軸との2軸のグラフに、端末Pの保有する楽曲データの分類情報に示される座標(図中、P−1,P−2,P−3と表記する。)と、各端末A,C,Dの嗜好情報に示される座標(図中、A,C,Dを太枠で囲んで示す。)とをプロットする。このようにすれば、P−1,P−2,P−3のそれぞれの分類情報と、端末A,C,Dのそれぞれの嗜好情報との互いの類似性の高さを、類似距離(各座標間の距離)の近さとして図示することができる。図4によれば、端末Aの嗜好情報にはP−2の分類情報が近く、端末Cの嗜好情報にはP−1の分類情報が近く、また、端末Dの嗜好情報には、P−3の分類情報が近いことがわかる。そして図4からは、端末DとP−3との類似距離が、端末AとP−2との類似距離や、端末CとP−1との類似距離に対し、遠いこともわかる。
【0062】
そこで、より具体的な比較を行うため、P−1,P−2,P−3のそれぞれの分類情報と、端末A,C,Dのそれぞれの嗜好情報との類似距離を算出し、図5の表に、類似距離の算出結果を示す。さらに、端末A,C,Dごとに、算出した類似距離の上位の2つ(図5の表において点線で囲う部分)を抽出し、平均値を求める。求めた平均値を、便宜上、相関距離と呼ぶが、相関距離は、端末Pの保有する楽曲データが、各端末A,C,Dそれぞれのユーザの嗜好にどれだけ近いかを示す指標となる。相関距離は、類似距離と同様に、近いほど(値が小さいほど)、端末Pの保有する楽曲データの分類情報と、各端末A,C,Dの嗜好情報との類似性が高いと判断することができる。
【0063】
例えば端末Aの場合、P−1,P−2,P−3との類似距離は、それぞれ、10.0,4.2,6.1であり、上位2つの類似距離である4.2と6.1との平均値5.2が、相関距離として算出される。同様に、端末C,Dについてもそれぞれ上位2つの類似距離の平均値4.5,9.7が相関距離として求められる。その結果、端末Dの相関距離は、端末A,Cの相関距離よりも遠いことがわかる。つまり、端末Pの保持する楽曲データは、端末Dのユーザの嗜好よりも、端末A,Cそれぞれのユーザの嗜好に、より近い楽曲データであるといえる。言い換えると、端末Pは、端末A,C,Dのなかでは端末Dのユーザ向けの楽曲データを現在保持していないといえる。このように、端末Pの保持する楽曲データの分類情報との類似性が最も低い嗜好情報をもつ端末Dが、相関距離に基づき特定される(S72)。よって、配信サーバ2では、端末Pに配信する楽曲データとして、相関距離が端末A,Cよりも遠く、類似性の低い、端末D向けの楽曲データの選定が行われる。
【0064】
端末Pに配信する楽曲データには、端末Pの嗜好情報からの類似距離と、端末Dの嗜好情報からの類似距離との差異が、所定差以下となる分類情報を含む楽曲情報に対応する楽曲データが選定される。すなわち、図4に示す、ジャンル軸と年代軸との2軸のグラフにおいて、端末Pの嗜好情報が示される座標と、端末Dの嗜好情報が示される座標との中間付近に位置する座標(図中「★」で示す。)を分類情報とする楽曲データが選定される。図5に示すように、端末Pの嗜好情報[6,8]と、端末Dの嗜好情報[17,6]との中間付近の座標を求めると、[12,7](ただし四捨五入)となる。よって、配信サーバ2では、データベース3が参照され、分類情報が[12,7]である楽曲情報が検索される。検索された楽曲情報が複数ある場合には無作為に1つの楽曲情報が選定され(S73)、その楽曲情報が、端末Pに送信される(S75)。なお、過去に再生端末装置5に配信した楽曲データ(楽曲情報)のログをHDD28やデータベース3に保持しておき、端末Pおよび端末Dの少なくとも一方のログに含まれる楽曲情報を除いた上で、無作為に選定してもよい。また、楽曲情報の上記選定方法は無作為に限らず、例えば、楽曲情報の属性情報に含まれる楽曲のID番号の小さい順またはその逆順としてもよいし、楽曲名の五十音順(アルファベット順)またはその逆順としてもよい。
【0065】
図7に示すように、配信サーバ2から楽曲情報を受信した端末Pは(S20:YES)、再度、配信サーバ2に接続して、受信した楽曲情報に対応する楽曲データのダウンロード要求を送信する。図8に示すように、配信サーバ2は、端末Pからダウンロード要求を受けると(S62:YES)、端末Pから通知される楽曲情報に対応する楽曲データをデータベース3から読み出し、断片化して、端末Pへの送信を開始する(S63)。配信サーバ2における楽曲データの配信処理は、楽曲選定処理と並列に実行され、楽曲データの送信開始後はS61に戻り、次の再生端末装置5からの接続要求待ちが行われる。
【0066】
図7に戻り、端末Pは、配信サーバ2から送信される楽曲データの断片を順次ダウンロードして、バッファに記憶する(S21)。配信サーバ2との接続状態に、例えば通信障害等の発生による問題が生じなければ(S22:NO)、ダウンロードが継続される(S23:NO,S21)。なお、ダウンロード中も、バッファに未再生の楽曲データの断片が記憶され次第、上記の楽曲再生処理(図6参照)によって、楽曲データの再生が行われる。そして、楽曲データのダウンロードが完了したら(S23:YES)、端末Pは、配信サーバ2との接続を終了し、また、AP7との接続を終了して、ネットワーク10との接続を切断する(S25)。上記したように、ユーザによってメイン処理の終了が指示されなければ(S55:NO)、S12に戻り、バッファに新たに空き容量が確保されたら、端末Pは、配信サーバ2から次の楽曲データの配信を受ける。
【0067】
次に、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が不可能となった状態における配信システム1の動作の流れについて説明する。前述したように、例えば、通信障害等の発生により、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が不可能となった場合、再生端末装置5のメイン処理では、S31〜S50の処理が実行される。通信障害等の発生は、S20において配信サーバ2からダウンロードすべき楽曲データに対応する楽曲情報の通知を待つ間に、あらかじめ設定された時間が経過しても通知されなかった場合に検知される(S20:NO)。また、配信サーバ2から楽曲データのダウンロード中に、配信サーバ2との接続が途切れてしまった場合にも、通信障害等が発生したとして検知される(S22:YES)。なお、通信障害は、例えば、配信サーバ2とのデータの送受信が途切れてから所定時間が経過した場合(いわゆる通信のタイムアウトが生じた場合)に、通信障害が発生したものとして検知すればよい。
【0068】
通信障害等の発生が検知された場合、再生端末装置5では、通信制御部52の駆動状態がWiFi Direct(商標)などの端末間通信に切り換えられる(S31)。上記したように、WiFi Directモードにおいては無線通信部53が制御され、本実施の形態ではWiFi(登録商標)規格による無線通信が行われる。WiFi Directモードにおける無線通信では、再生端末装置5は、無線電波の届く他の再生端末装置5との直接接続を試みる。上記したように、WiFi規格の無線通信における無線電波が、再生端末装置5のうちの端末Pから届く範囲内には、他の再生端末装置5として、端末A,C,Dが存在する。通信障害等が発生した場合において、端末A,C,Dも同様に、端末Pを含む他の再生端末装置5との直接接続を試みている。
【0069】
再生端末装置5同士における楽曲データの送受信は、以下のように行われる。なお、再生端末装置5同士の直接接続が行われる場合において、接続する側の再生端末装置5を「クライアント端末」とよび、接続される側の再生端末装置5を「ホスト端末」とよぶこととする。クライアント端末は、他のクライアント端末から接続要求を受ければホスト端末として動作する。同様に、ホスト端末も、バッファに空き容量が確保され、楽曲データの取得が行われる場合には、クライアント端末として動作する。ゆえに、メイン処理には、クライアント端末およびホスト端末として動作するための双方の処理が含まれる。
【0070】
端末Pが端末A,C,Dからの接続要求を受けておらず(S32:NO,S33:NO)、クライアント端末として動作する場合、メイン処理ではS40〜S48の処理が行われる。端末Pは、まず、無線電波の届く範囲内にある他の再生端末装置5を探す。未接続の再生端末装置5があれば、その再生端末装置5が保有する楽曲データに対応する楽曲情報を取得するため、端末Pは、その再生端末装置5をホスト端末として接続を試みる(S40)。例えば端末Aに接続できたら、端末Pは、端末Aに、S13において生成した自身(端末Pの)のユーザの嗜好情報を送信する(S41)。
【0071】
詳細は後述するが、端末Aからは、端末Pの嗜好情報に基づいて抽出される端末P向けの楽曲情報が、端末Pに送信される。端末Pは、端末Aの楽曲情報を取得すると(S42)、端末Aとの接続を切断する。無線電波の届く範囲内にまだ未接続の再生端末装置5があればS32に戻り(S43:NO)、S33を経てS40において同様に、端末Pは、未接続の再生端末装置5との接続を試みる。このように、S40〜S43の処理を繰返し、端末Pが、自身の無線電波の届く範囲内に存在する端末A,C,Dからそれぞれの楽曲情報を取得できたら(S43:YES)、CPU50はS45に進む。
【0072】
S45では、各端末A,C,Dから取得されたそれぞれの楽曲情報に含まれる分類情報が、端末Pの嗜好情報と比較される。例えば、図4に示すように、ジャンル軸と年代軸との2軸のグラフに、端末Pの嗜好情報に示される座標(図中、Pを太枠で囲んで示す。)と、各端末A,C,Dの保持する楽曲データの分類情報に示される座標(図中、A−1〜A−3,C−1〜C−3,D−1〜D−3と表記する。)とをプロットする。このようにすれば、A−1〜A−3,C−1〜C−3,D−1〜D−3のそれぞれの分類情報と、端末Pの嗜好情報との互いの類似性の高さを、類似距離(各座標間の距離)の近さとして図示することができる。図4によれば、端末Pの嗜好情報には端末Cが保持するC−1やC−3の分類情報や、端末Aの保持するA−2の分類情報の類似距離が近いことがわかる。
【0073】
より具体的な比較を行うため、図7のS45では、上記した配信サーバ2の楽曲選定処理のS71で行われた処理と同様に、端末Pの嗜好情報と各端末A,C,Dの分類情報との類似距離が、それぞれ算出される。そして、算出された類似距離が互いに比較され、端末Pの嗜好情報に最も近い類似距離が算出された分類情報が、端末Pの嗜好情報との類似性が最も高い分類情報を指す類似分類情報として決定される(S45)。例えば、端末Pの嗜好情報に対する類似距離が最も近い分類情報が端末CのC−3(図4参照)であれば、C−3が類似分類情報として決定される。
【0074】
端末Pは、類似分類情報として決定されたC−3を含む楽曲情報に対応する楽曲データをダウンロードするため、C−3の取得先である端末Cをホスト端末として、再度、接続を試みる(S46)。端末Cに接続できたら、端末Pは、C−3を含む楽曲情報に対応する楽曲データのダウンロード要求を端末Cに送信する。そして端末Pは、端末Cから送信されるC−3に対応する楽曲データの断片を順次ダウンロードして、バッファに記憶する(S47)。端末Cとの接続はダウンロードが完了するまで継続される(S48:NO,S47)。なお、ダウンロード中も、バッファに未再生の楽曲データの断片が記憶され次第、上記の楽曲再生処理(図6参照)によって、楽曲データの再生が行われる。そして、C−3に対応する楽曲データのダウンロードが完了したら(S48:YES)、端末Pは、端末Cとの接続を終了する(S50)。その後S55に戻り、バッファに新たに空き容量が確保された際に、通信障害等が解消していれば、端末Pは、配信サーバ2から次の楽曲データの配信を受け、解消していなければ、他の再生端末装置5が保持する楽曲データの取得を行う。
【0075】
一方、端末Pが端末A,C,Dからの接続要求を受け(S32:YES/S32:NO,S33:YES)、ホスト端末として動作する場合、メイン処理ではS35〜S38の処理が行われる。端末Pが、無線電波の届く範囲に存在するクライアント端末(端末A、CまたはD)から、端末Pの保持する楽曲データの楽曲情報を取得するための接続要求を受けたら(S32:YES)、端末Pはホスト端末として動作し、クライアント端末との接続を図る。例えば、クライアント端末として端末Cと接続した場合、端末Pは、端末Cから送信される、端末Cのユーザの嗜好情報(S41参照)を取得する(S36)。
【0076】
次に、端末PのCPU50は、バッファに削除されずに残る楽曲データの楽曲情報を取得し、楽曲情報に含む分類情報と、端末Cから取得した嗜好情報との比較を行う。例えば、図4に示すように、ジャンル軸と年代軸との2軸のグラフに、端末Pの保持する楽曲データの分類情報に示される座標(図中、P−1〜P−3と表記する。)と、端末Cの嗜好情報に示される座標(図中、Cを太枠で囲んで示す。)とをプロットする。このようにすれば、P−1〜P−3のそれぞれの分類情報と、端末Cの嗜好情報との互いの類似性の高さを、類似距離(各座標間の距離)の近さとして図示することができる。図4によれば、端末Cの嗜好情報には、端末Pの保持するP−1とP−3の分類情報は類似距離が近いが、P−2の分類情報は遠いことがわかる。
【0077】
より具体的な比較を行うため、図7のS37では、上記同様に、端末Cの嗜好情報と端末Pの分類情報との類似距離が、それぞれ算出される。そして、算出された類似距離が、所定の類似範囲に含まれる分類情報を含む楽曲情報が、決定される。所定の類似範囲とは、あらかじめ定められた類似距離のしきい値である。よって、端末Cの嗜好情報との類似距離が、しきい値よりも近い(値の小さい)類似距離が算出された分類情報(例えばP−1およびP−3)を含む楽曲情報が、端末C向けの楽曲情報として決定される。端末PのCPU50は、端末Cに、P−1およびP−3の楽曲情報を送信したら(S38)、ホスト端末としての動作を終了し、S40に進む。
【0078】
端末Cでは、端末Cの無線電波の届く範囲に存在する他の再生端末装置5かも同様に端末C向けに抽出された楽曲情報が取得され、例えばP−1が類似分類情報として決定される。端末CはP−1に対応する楽曲データをダウンロードするため、P−1の取得先である端末Pをホスト端末として、再度、接続を試み、端末Pにダウンロード要求を送信する。端末Pは、端末Cからのダウンロード要求を受けると(S32:NO,S33:YES)、端末Cとの接続を行い、ダウンロード要求に基づき、P−1に対応する楽曲データを断片化して、順次端末Cに送信する(S35)。そして、端末PのCPU50は、端末CへのP−1に対応する楽曲データの送信が完了したら、ホスト端末としての動作を終了し、S40に進む。
【0079】
以上説明したように、再生端末装置5は、配信サーバ2との無線通信による接続が通信障害の発生によって切断された場合でも、自身(クライアント端末)に接続可能な他の再生端末装置5(ホスト端末)から楽曲データを取得することができるので、楽曲データの再生を途切れることなく継続することができる。また、クライアント端末は、ホスト端末から楽曲データを取得する際に、クライアント端末のユーザの嗜好情報に最も類似する分類情報に対応付けられた楽曲データ、すなわちクライアント端末のユーザの好みに最も合う楽曲データを取得することができる。このため、クライアント端末は、配信サーバ2との接続を行えず、配信サーバ2からクライアント端末のユーザの好みの楽曲データを取得できない場合でも、ホスト端末から取得した楽曲データを再生して、ユーザに楽曲を十分に楽しんでもらうことができる。
【0080】
再生端末装置5(クライアント端末)が他の再生端末装置5(ホスト端末)から楽曲データを取得する際に、接続可能なホスト端末が多かったり、ホスト端末の保持する楽曲データが多かったりすると、取得する楽曲データを決定するのに時間がかかってしまう。そこで、あらかじめ、クライアント端末のユーザの嗜好情報をホスト端末に送信し、その嗜好情報との類似性が所定の類似範囲に含まれる分類情報、すなわちクライアント端末のユーザの好みに合いそうな楽曲データの分類情報だけを、ホスト端末から取得する。その上であらためて、クライアント端末のユーザの嗜好情報に最も類似する分類情報に対応する楽曲データを、その楽曲データを保持するホスト端末から取得する。このようにすれば、クライアント端末のユーザの好みに合う楽曲データを効率よく取得でき、楽曲データの再生を途切れることなく継続できるとともに、ユーザに楽曲を十分に楽しんでもらうことができる。
【0081】
また、配信サーバ2は、再生端末装置5に楽曲データの配信を行う際に、位置情報と嗜好情報と分類情報とを取得する。位置情報に基づけば、楽曲データの配信を所望する再生端末装置5(配信先端末)の近くに存在し、通信障害が発生した場合に、配信先端末に楽曲データを送信可能な再生端末装置5(近接端末)を特定することができる。そこで、近接端末のなかから、配信先端末の保持する楽曲データの分類情報との類似性が最も低い嗜好情報を持った端末を特定し、配信先端末の嗜好情報と特定した端末の嗜好情報との類似性の差異が小さい楽曲データを配信先端末に配信する。このように、再生端末装置に楽曲データを配信する際に、その再生端末装置のユーザの好みに合い、近くに存在する他の再生端末装置のユーザの好みにも合う楽曲データを選定した上で、配信しておく。すると、通信障害が発生して再生端末装置同士で楽曲データの送受信を行うこととなった場合に、再生端末装置は、容易に、ユーザの好みに合う楽曲データを取得できるので、楽曲データの再生を途切れることなく継続できるとともに、ユーザに楽曲を十分に楽しんでもらうことができる。
【0082】
なお、上記の実施形態に示される配信システム1、配信サーバ2および再生端末装置5の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことは言うまでもない。本実施の形態では、コンテンツデータの一例として、楽曲データを挙げて説明を行ったが、楽曲データに限るものではなく、映像データや音声データ、画像データ、テキストデータなど、文字や音声、映像などを使用して作成され、再生端末装置5のユーザの娯楽や教養に供するデータであればよい。
【0083】
また、バッファには、3曲の楽曲データが削除されずに残る分の記憶容量が割当てられているとして説明を行ったが、少なくとも1曲以上残る分の記憶容量が割当てられていればよい。また、RAM62の記憶領域の一部をバッファとしたが、バッファとして使用する記憶装置を別途設けてもよい。また、S12では、空き容量の基準として5MBを例に挙げたが、これに限らず、1MBでも10MBでもよく、取り扱うコンテンツデータの容量に応じて適宜設定されればよい。
【0084】
また、無線通信は、配信サーバ2や他の再生端末装置5から楽曲データのダウンロードが完了したら接続を切断することとしたが、常時接続が維持されていてもよい。また、分類情報や嗜好情報は、2軸の座標で表すことで数値化したが、その軸数は2軸に限るものではなく、1軸でも、あるいは3軸以上であってもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、配信サーバ2との接続が行えない場合に、WiFi Directモードでの無線通信によって他の再生端末装置5と接続して楽曲データを取得するが、その際の再生端末装置5同士の接続(クライアント端末とホスト端末との接続)は、1対1であっても、1対多であってもよい。1対多による接続の場合、ホスト端末に接続するクライアント端末が多いほど、ホスト端末には負荷がかかり、また、無線通信の速度も低下する場合がある。この場合、クライアント端末では、楽曲データの断片の取得が再生速度に追いつかなくなり、再生が途切れ途切れになってしまう虞がある。
【0086】
そこで、再生端末装置5同士の接続を行う際に、接続先の再生端末装置5に現在接続する他の再生端末装置5の台数を問い合わせ、最も接続台数の少ない再生端末装置5をホスト端末として接続するとよい。具体的には、図7のS31〜S55の処理の代わりに、図9に示す、S81〜S98の処理を行えばよい。
【0087】
通信障害等の発生により、再生端末装置5と配信サーバ2との接続が切断された場合(図7、S20:NO/S22:YES)、再生端末装置5では、図9に示す、S81において、通信制御部52の駆動状態がWiFi Direct(商標)規格に準拠し1対多による接続が可能なWiFi Directモードに切り換えられる(S81)。
【0088】
例えば端末Pが、無線電波の届く範囲に存在する端末A,C,Dから問い合わせや接続要求を受けておらず(S82:NO,S86:NO)、クライアント端末として動作する場合、メイン処理ではS90〜S98の処理が行われる。端末Pは、本実施の形態と同様に、未問合せの再生端末装置5を、ホスト端末の候補として、その再生端末装置5に現在接続している他の再生端末装置5の接続台数の問合せを行う(S90)。問合せは、無線電波の届く範囲内にあるすべての再生端末装置5(端末A,C,D)に行うまで繰り返される(S91:NO,S82)。
【0089】
端末A,C,Dそれぞれに接続台数の問合せが済んだら(S91:YES)、最も接続台数の少ない再生端末装置5が特定される。上記したように、再生端末装置5は1対多による接続が可能であり、接続台数の少ない再生端末装置5はCPU50にかかる負荷が少ない。よって端末Pは、最も接続台数の少ない再生端末装置5(例えば端末D)との接続を試みる(S92)。端末Dとの接続ができたら、端末Pは、端末Dから、端末Dの保持する楽曲データの楽曲情報を取得する(S93)。
【0090】
そして、端末Dから取得した楽曲情報に含まれる類似情報が、端末Pのユーザの嗜好情報と比較される。例えば、図4に示すように、ジャンル軸と年代軸との2軸のグラフに、端末Pの嗜好情報に示される座標(図中、Pを太枠で囲んで示す。)と、端末Dの保持する楽曲データの分類情報に示される座標(図中、D−1〜D−3と表記する。)とをプロットする。このようにすれば、D−1〜D−3のそれぞれの分類情報と、端末Pの嗜好情報との互いの類似性の高さを、類似距離(各座標間の距離)の近さとして図示することができる。図4によれば、端末Pの嗜好情報にはD−2の分類情報の類似距離が近いことがわかる。
【0091】
より具体的な比較を行うため、図9のS95では、本実施の形態と同様に、端末Pの嗜好情報と端末Dの分類情報との類似距離が、それぞれ算出される。そして、算出された類似距離が互いに比較され、端末Pの嗜好情報に最も近い類似距離が算出された分類情報(例えばD−2)が、端末Pの嗜好情報との類似性が最も高い類似分類情報として決定される(S95)。
【0092】
端末Pは、類似分類情報として決定されたD−2を含む楽曲情報に対応する楽曲データをダウンロードするため、端末Dをホスト端末として、再度、接続し、D−2を含む楽曲情報に対応する楽曲データのダウンロード要求を端末Dに送信する。そして端末Pは、端末Dから送信されるD−2に対応する楽曲データの断片を順次ダウンロードして、バッファに記憶する(S96)。端末Dとの接続はダウンロードが完了するまで継続される(S97:NO,S96)。なお、ダウンロード中も、バッファに未再生の楽曲データの断片が記憶され次第、上記の楽曲再生処理(図6参照)によって、楽曲データの再生が行われることは、本実施の形態と同様である。
【0093】
そして、D−2に対応する楽曲データのダウンロードが完了したら(S97:YES)、端末Pは、端末Dとの接続を終了する(S98)。その後図7のS55に戻り、バッファに新たに空き容量が確保された際に、通信障害等が解消していれば、端末Pは、配信サーバ2から次の楽曲データの配信を受け、解消していなければ、他の再生端末装置5が保持する楽曲データの取得を行う。
【0094】
一方、端末Pが端末A,C,Dからの問合せや接続要求を受け(S82:YES/S82:NO,S86:YES)、ホスト端末として動作する場合、メイン処理ではS83,S85、S87,S88の処理が行われる。端末Pが、無線電波の届く範囲に存在するクライアント端末(端末A、CまたはD)から、端末Pに現在接続する他の再生端末装置5の接続台数の問合せを受けたら(S82:YES)、端末PのCPU50は、現在の接続台数を確認する(S83)。そして、問合せを受けた再生端末装置5に、確認した接続台数を通知してS86に進む(S85)。
【0095】
また、端末Pが、クライアント端末からの接続要求を受けた場合(S82:NO,S86:YES)、端末Pはクライアント端末との接続を行い、クライアント端末に、バッファに保持する楽曲データの楽曲情報を送信する(S87)。そして上記のようにクライアント端末においてダウンロードする楽曲データが決定され、端末Pは、ダウンロード要求に基づき、要求された楽曲データを断片化して、順次クライアント端末に送信する(S88)。1対多による接続が可能であるため、他のクライアント端末からのダウンロード要求にも応じられるよう、ホスト端末(ここでは端末P)におけるダウンロードの処理は、他の処理と並列に実行される。
【0096】
このように、配信サーバ2との接続を行えない場合、再生端末装置5同士が互いに接続して楽曲データの送受信を行うため、楽曲データを送信する側となった再生端末装置5(ホスト端末)が他の多くの再生端末装置5(クライアント端末)から接続されると、ホスト端末には負荷がかかる。そこで、クライアント端末が他のホスト端末から楽曲データを取得する際に、自身との接続が可能なホスト端末の候補のそれぞれに、それらのホスト端末の候補に現在接続している他のクライアント端末の台数を問い合わせる。そして、最も接続台数の少ないホスト端末の候補を、ホスト端末として接続して楽曲データを取得すれば、ホスト端末にかかる負荷を低減でき、ホスト端末から送信される楽曲データの送信速度を確保することができる。よって、クライアント端末において、楽曲データの再生を途切れることなく継続することができる。
【0097】
また、配信サーバ2は、楽曲データの配信を所望する再生端末装置5(配信先端末)から取得する位置情報に基づき、配信先端末の無線電波の届く範囲に存在する近接端末のうち、最も近接する端末を配信先端末に通知してもよい。そして、通信障害等の発生により再生端末装置5が配信サーバ2に接続できない状態となった場合には、各再生端末装置5は、配信サーバ2から通知された、自身に最も近接する端末をホスト端末として接続し、楽曲データを取得してもよい。具体的に、配信サーバ2において実行される楽曲選定処理において、図10に示すように、S70とS76の処理を追加するとよい。なお、図10のフローチャートにおいて、図8と同一の処理においては同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0098】
図10に示すように、配信サーバ2は、自身に接続する配信先端末からS65において受信した嗜好情報、位置情報および楽曲情報のうちの位置情報に基づいて、S68で求めた近接端末のうち、配信先端末に最も近接する近接端末(以下、「最近接端末」とよぶ。)を特定する(S70)。具体的には、位置情報に表される座標間の距離が配信先端末に最も近い近接端末を特定すればよい。
【0099】
そして、S76においては、S70で特定した最近接端末を、配信先端末に通知する。配信先端末は、図示しないが、図7のメイン処理のS40において、ホスト端末の対象として、配信サーバ2から通知された端末のみに接続する処理を行うようにすればよい。
【0100】
このように、配信サーバ2は、再生端末装置5(配信先端末)に楽曲データの配信を行う際に、位置情報を取得する。位置情報に基づけば、楽曲データの配信を所望する配信先端末の近くに存在し、通信障害が発生した場合に、配信先端末に楽曲データを送信可能な近接端末を特定することができる。そこで、近接端末のなかから、配信先端末に最も近い最近接端末を特定し、配信先端末に通知しておけば、通信障害が発生して再生端末装置5同士で楽曲データの送受信を行うこととなった場合に、クライアント端末は、通知された最近接端末をホスト端末として接続し、楽曲データを取得すればよい。このようにすれば、クライアント端末は、自身が接続可能な他のホスト端末があっても、それらのホスト端末を探さなくとも済むので、楽曲データの取得を素早く行うことができ、楽曲データの再生を途切れることなく継続することができる。
【0101】
なお、本実施の形態においては、RAM62が「記憶手段」に相当する。S20またはS22で、配信サーバ2との接続が切断されたか否かを判断するCPU50が「検知手段」に相当する。S31で、通信制御部52の駆動状態をWiFi Directモードに切り換えるCPU50が「切換手段」に相当する。S46で、楽曲情報に対応する楽曲データをダウンロードするため、他の再生端末装置5に接続するCPU50が「接続手段」に相当する。S47で、接続先の再生端末装置5から楽曲データのダウンロードを行うCPU50が「第1取得手段」に相当する。
【0102】
また、S13で、嗜好情報の生成を行うCPU50が「第1生成手段」に相当する。S42で、接続先の再生端末装置5(ホスト端末)からバッファに削除されずに残る楽曲データに対応する分類情報を含む楽曲情報を取得するCPU50が「第2取得手段」に相当する。S45で、類似分類情報を決定するCPU50が「第1決定手段」に相当する。また、S41で、ホスト端末に、自身のユーザの嗜好情報を送信するクライアント端末のCPU50が「第1送信手段」に相当する。S37で、クライアント端末の嗜好情報との類似性が所定の類似範囲に含まれる分類情報を含む楽曲情報を決定するホスト端末のCPU50が「第2決定手段」に相当する。S38で、S37で決定した分類情報を含む楽曲情報をクライアント端末に送信するホスト端末のCPU50が「第2送信手段」に相当する。また、S90で、ホスト端末に現在接続している他の再生端末装置5の台数の問合せを行うCPU50が「第3取得手段」に相当する。
【0103】
また、S65で、再生端末装置5の位置情報を取得するCPU21が「第4取得手段」に相当する。同じくS65で、再生端末装置5の分類情報を含む楽曲情報と、嗜好情報とを取得するCPU21が「第5取得手段」に相当する。S68で、位置情報に基づいて、配信を所望する再生端末装置5(接続先端末)に、無線通信を介した接続が可能な他の再生端末装置5(近接端末)を特定するCPU21が「第1特定手段」に相当する。S71で、接続先端末の楽曲情報(分類情報)と、近接端末の嗜好情報とを比較し、S72で、両者の類似性が最も低い、嗜好情報をもった近接端末を特定するCPU21が「第2特定手段」に相当する。S73で、S72において特定された近接端末の嗜好情報と、接続先端末の嗜好情報とのそれぞれとの類似距離の差異が所定差以下の分類情報を特定し、S63で、その分類情報に対応付けられた楽曲データを接続先端末に配信するCPU21が「配信手段」に相当する。また、S76で、配信先端末に最近接端末の通知を行うCPU21が「通知手段」に相当する。
【符号の説明】
【0104】
1 配信システム
2 配信サーバ
3 データベース
5 再生端末装置
10 ネットワーク
21 CPU
28 HDD
50 CPU
51 無線通信部
52 通信制御部
53 無線通信部
62 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリーミング形式によってコンテンツデータを配信可能な配信サーバに、既存のネットワーク網を経由する第1の通信形態による無線通信を介して接続し、自身の備える記憶手段に前記配信サーバから受信する前記コンテンツデータを一時的に記憶しつつ、前記コンテンツデータを再生するコンテンツデータの再生端末装置であって、
前記配信サーバとの接続が通信障害の発生によって切断されたか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記配信サーバとの切断が検知されたら、前記無線通信を、前記再生端末装置同士が直接接続を行う第2の通信形態に切り換える切換手段と、
前記切換手段によって切り換えられた前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身に接続可能な他の再生端末装置を接続先端末装置とし、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続する接続手段と、
前記接続手段によって接続された前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを取得する第1取得手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツデータの再生端末装置。
【請求項2】
前記コンテンツデータは、当該コンテンツデータによって表されるコンテンツを類似性によって分類するための分類情報が対応付けられており、
自身の備える前記記憶手段に記憶された少なくとも1以上の前記コンテンツデータを前記分類情報に基づいて分類し、前記再生端末装置を利用するユーザが嗜好するコンテンツの分類を表す嗜好情報を生成する第1生成手段と、
前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶されている少なくとも1以上の前記コンテンツデータのそれぞれに対応付けられた前記分類情報を取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段によって取得された前記分類情報のなかから、前記第1生成手段によって生成された自身の前記嗜好情報に最も類似する前記分類情報を類似分類情報として決定する第1決定手段と、
をさらに備え、
前記第1取得手段は、前記接続先端末装置から、前記第1決定手段によって決定された前記類似分類情報に対応付けられた前記コンテンツデータを取得することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータの再生端末装置。
【請求項3】
自身に接続可能な少なくとも1以上の他の再生端末装置に自身の前記嗜好情報を送信する第1送信手段をさらに備えるとともに、
他の再生端末装置の前記第1送信手段から、その再生端末装置の前記嗜好情報を受信した場合には、自身の備える前記記憶手段に記憶されている前記コンテンツデータに対応付けられた前記分類情報のうち、前記受信した前記嗜好情報との類似性が所定の類似範囲に含まれる前記分類情報を決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段によって決定された前記分類情報を、前記嗜好情報の送信元の前記再生端末装置に送信する第2送信手段と、
をさらに備え、
前記第1決定手段は、自身に接続可能な少なくとも1以上の他の再生端末装置のそれぞれの前記第2送信手段から受信する前記分類情報のなかから、自身の前記嗜好情報に最も類似する前記分類情報を前記類似分類情報として決定し、
前記第1取得手段は、前記類似分類情報の送信元の前記再生端末装置から、前記類似分類情報に対応付けられた前記コンテンツデータを取得することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツデータの再生端末装置。
【請求項4】
前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身との接続が可能な他の再生端末装置を候補端末装置とし、少なくとも1以上の当該候補端末装置から、当該候補端末装置に現在接続している再生端末装置の台数をそれぞれ取得する第3取得手段をさらに備え、
前記接続手段は、1以上の前記候補端末装置のうち、前記第3取得手段によって取得された前記台数が最も少ない前記候補端末装置を前記接続先端末装置として、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータの再生端末装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の再生端末装置と、
前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバと、
を備えるコンテンツデータの配信システムであって、
前記配信サーバは、
前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得手段と、
前記再生端末装置から、当該再生端末装置の備える前記記憶手段に記憶されている少なくとも1以上の前記コンテンツデータのそれぞれに対応付けられた前記分類情報、および、当該再生端末装置の前記第1生成手段によって生成された前記嗜好情報を取得する第5取得手段と、
前記第4取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定手段と、
前記第5取得手段によって取得された前記第1再生端末装置の前記分類情報と、前記第5取得手段によって取得された前記第2再生端末装置の前記嗜好情報とを比較して、前記第2再生端末装置のなかから、類似性が最も低い前記嗜好情報を有する前記第2再生端末装置を第3再生端末装置として特定する第2特定手段と、
前記第5取得手段によって取得された前記第1再生端末装置の前記嗜好情報との類似性と、前記第2特定手段によって特定された前記第3再生端末装置の前記嗜好情報との類似性との差異が所定差以下である前記分類情報に対応付けられる前記コンテンツデータを、前記第1再生端末装置に配信する配信手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツデータの配信システム。
【請求項6】
請求項2から4のいずれかに記載の再生端末装置と、
前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバと、
を備えるコンテンツデータの配信システムであって、
前記配信サーバは、
前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得手段と、
前記第4取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定手段と、
前記第1特定手段によって特定された前記第2再生端末装置のうち、最も、前記第1再生端末装置との距離が近い前記第2再生端末装置を、前記第1再生端末装置に通知する通知手段と、
を備え、
前記再生端末装置の前記接続手段は、前記配信サーバとの前記無線通信が切断された場合において、前記配信サーバの前記通知手段から通知された前記第2再生端末装置に前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続することを特徴とするコンテンツデータの配信システム。
【請求項7】
ストリーミング形式によってコンテンツデータを配信可能な配信サーバに、既存のネットワーク網を経由する第1の通信形態による無線通信を介して接続し、記憶手段に前記配信サーバから受信する前記コンテンツデータを一時的に記憶しつつ、前記コンテンツデータを再生するコンテンツデータの再生端末装置として機能させるためのプログラムであって、
前記再生端末装置のコントローラに、
前記配信サーバとの接続が通信障害の発生によって切断されたか否かを検知する検知ステップと、
前記検知ステップによって前記配信サーバとの切断が検知されたら、前記無線通信を、前記再生端末装置同士が直接接続を行う第2の通信形態に切り換える切換ステップと、
前記切換ステップによって切り換えられた前記第2の通信形態による前記無線通信を介して自身に接続可能な他の再生端末装置を接続先端末装置とし、当該接続先端末装置に前記無線通信を介して接続する接続ステップと、
前記接続ステップによって接続された前記接続先端末装置から、当該接続先端末装置の備える前記記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを取得する第1取得ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項8】
前記第1の通信形態による前記無線通信を介して接続される、請求項2から4のいずれかに記載の前記再生端末装置に、ストリーミング形式によって前記コンテンツデータを配信する配信サーバとして機能させるためのプログラムであって、
前記配信サーバのコントローラに、
前記再生端末装置から、当該再生端末装置の位置情報を取得する第4取得ステップと、
前記再生端末装置のうちの一つである第1再生端末装置から、当該第1再生端末装置の備える記憶手段に記憶されている前記コンテンツデータに対応付けられた前記分類情報を取得する第5取得ステップと、
前記第4取得ステップによって取得された前記位置情報に基づいて、前記第1再生端末装置が前記第2の通信形態による前記無線通信を介して接続可能な他の再生端末装置を第2再生端末装置として特定する第1特定ステップと、
前記第1再生端末装置と、前記第1特定ステップに特定された前記第2再生端末装置とを利用するそれぞれのユーザが嗜好するコンテンツの分類を表す前記嗜好情報を生成する第2生成ステップと、
前記第5取得ステップによって取得された前記第1再生端末装置の前記分類情報と、前記第2生成ステップによって生成された前記第2再生端末装置の前記嗜好情報とを比較して、前記第2再生端末装置のなかから、類似性が最も低い前記嗜好情報を有する前記第2再生端末装置を第3再生端末装置として特定する第2特定ステップと、
前記第2生成ステップによって生成された前記第1再生端末装置の前記嗜好情報との類似性と、前記第2特定ステップによって特定された前記第3再生端末装置の前記嗜好情報との類似性との差異が所定差以下である前記分類情報に対応付けられる前記コンテンツデータを、前記第1再生端末装置に配信する配信ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−205192(P2012−205192A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69700(P2011−69700)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】