説明

コンデンサの端子接続構造

【課題】簡単な構成で容易に端子の電流密度を小にでき、そのため発熱を抑制できるコンデンサの端子接続構造を提供する。
【解決手段】コンデンサ素子11の電極13に複数の板状端子25、26を重ね合わせた状態で接続したコンデンサの端子接続構造である。複数の板状端子25、26は互いに異なる幅を有し、かつ、幅の広い端子25をコンデンサ素子11の電極側に配置して上記電極13に半田接続した。幅の広い板状端子を電極側(電極板側)に配置し、その上に幅の狭い板状端子を重ね合せているので、各板状端子に半田19を用意に馴染ませることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサの端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スナバやフィルタ用途のコンデンサのリード引出し部は、外部機器との接続用端子に接続され電流の出し入れによって電流が集中する部分であり、板状端子が用いられることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−133172
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなコンデンサにおいて、板状端子の幅を広くすれば電流密度が小になり発熱を抑制できるが、複数のコンデンサ素子を接続した構成で小型化する場合、構造上の制約から板状端子の幅がとれない場合がある。このような場合、電流密度が大になって発熱が大になるおそれがある。このため、寸法的に限られた範囲内で電流密度を小にして発熱を抑制する対策が必要である。
【0004】
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡単な構成で容易に端子の電流密度を小にでき、そのため発熱を抑制できるコンデンサの端子接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、この請求項1のコンデンサの端子接続構造は、コンデンサ素子11の電極13に複数の板状端子25、26を重ね合わせた状態で接続したコンデンサの端子接続構造であって、上記複数の板状端子25、26は互いに異なる幅を有し、かつ、幅の広い端子25をコンデンサ素子11の電極側に配置して上記電極13に接続したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2のコンデンサの端子接続構造は、複数のコンデンサ素子51、52を共通接続する電極板59に複数の板状端子63、64を重ね合わせた状態で接続したコンデンサの端子接続構造であって、上記複数の板状端子63、64は互いに異なる幅を有し、かつ、幅の広い端子63を電極板側に配置して上記電極板59に接続したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1及び請求項2のコンデンサの端子接続構造によれば、2枚の板状端子を重ね合せることにより、1枚の板状端子についての電流密度が半分になり発熱も小になる。しかも幅の広い板状端子を電極側(電極板側)に配置し、その上に幅の狭い板状端子を重ね合せているので、各板状端子に半田19を容易に馴染ませることができることになり、その結果、電極に確実に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、この発明のコンデンサの端子接続構造の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、第1実施形態の端子構造を示すもので、一対の扁平状コンデンサ素子11、12を並設し、一方端側のメタリコン電極13、14に板状端子17、18を接続したものである。他方端側のメタリコン電極15、16は導電体23(例えば銅箔)により共通接続されている。板状端子17、18は、コンデンサ素子の上部に引き出され外部接続用端子とされるか、又は外部接続用の別の端子に接続される。コンデンサ素子11、12及び板状端子17、18は樹脂でモールドされて外部接続用の端子が外方に露出した樹脂モールドコンデンサとされる。また、ケースに収納し樹脂または絶縁油を充填したコンデンサとすることもできる。
【0009】
板状端子17は、図2に示すように、幅の異なる2枚の導電体25、26(例えば銅箔)を重ね合せた状態で、かつ、幅の広い導電体25をメタリコン電極側にして半田19でメタリコン電極13に接続されている。板状端子18も同様に構成される。板状端子17、18が外部機器と電流を出し入れする部分であり、コンデンサの寸法的な制約から板状端子の幅が十分確保できない場合、電流密度が大きく発熱が大となるが、上記のように2枚の導電体を重ね合せることにより導電体1枚についての電流密度が半分になり発熱も小になる。しかも幅の広い導電体25をメタリコン電極側に配置してその上に幅の狭い導電体26を重ね合せているので、各導電体25、26に半田19を容易に馴染ませることができメタリコン電極13に確実に接続することができる。
【0010】
図3には、第2実施形態を示している。このコンデンサの端子接続構造は、4個のコンデンサ素子31〜34を並設し、一方の一対のコンデンサ素子31、32のメタリコン電極35、36に板状端子39(導電体41、42)を、他方の一対のコンデンサ素子33、34のメタリコン電極37、38に板状端子40(導電体43、44)をそれぞれ半田45により接続したものである。4個のコンデンサ素子31〜34の他方のメタリコン電極側は共通接続されている。
【0011】
また、上記図1〜図3に示す第1、及び第2実施形態では、板状端子をメタリコン電極に直接的に接続しているが、以下に説明する第3実施形態のように、板状端子とメタリコン電極との間に電極板を介在させてもよい。すなわち、図4に示すように、一方の一対のコンデンサ素子51、52のメタリコン電極55、56に電極板(銅箔)59を半田61で接続し、また、他方の一対のコンデンサ素子53、54のメタリコン電極57、58に電極板(銅箔)60を半田62で接続しておき、図5に示すように、一方の電極板59に板状端子65(導電体63、64)を半田70により接続し、同様に他方の電極板60に板状端子66(導電体67、68)を半田71により接続するのである。
【0012】
この第3実施形態のコンデンサの端子接続構造は、上記第1実施形態のものと同様の効果を奏するが、コンデンサ素子が縦方向及び横方向に多数配列されて予め共通接続される場合に特に有用である。
【0013】
以上にこの発明のコンデンサの端子接続構造につき、その実施形態の説明をしたが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することが可能である。例えば、重ね合わせる板状端子の枚数、コンデンサ素子の個数は上記実施形態に例示したものから変更可能である。また、コンデンサ素子は扁平な形状でなくてもよく、さらに板状端子の形状も任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明のコンデンサの端子接続構造についての第1実施形態を示す全体の斜視図である。
【図2】上記第1実施形態の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】この発明のコンデンサの端子接続構造についての第2実施形態を示す側面図である。
【図4】この発明のコンデンサの端子接続構造についての第3実施形態における電極板取り付け状態を示す側面図である。
【図5】この発明のコンデンサの端子接続構造についての第3実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0015】
1・・・ケース、2、2a、2b・・・コンデンサ素子、3・・・充填樹脂、3a・・・通常の充填樹脂、3b・・・高熱伝導の充填樹脂、4・・・開口部、6・・・絶縁シート(絶縁体)、7・・・押圧手段、10、20・・・電極板、11、21・・・端子部、15、25・・・接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子(11)の電極(13)に複数の板状端子(25)(26)を重ね合わせた状態で接続したコンデンサの端子接続構造であって、上記複数の板状端子(25)(26)は互いに異なる幅を有し、かつ、幅の広い端子(25)をコンデンサ素子(11)の電極側に配置して上記電極(13)に接続したことを特徴とするコンデンサの端子接続構造。
【請求項2】
複数のコンデンサ素子(51)(52)を共通接続する電極板(59)に複数の板状端子(63)(64)を重ね合わせた状態で接続したコンデンサの端子接続構造であって、上記複数の板状端子(63)(64)は互いに異なる幅を有し、かつ、幅の広い端子(63)を電極板側に配置して上記電極板(59)に接続したことを特徴とするコンデンサの端子接続構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−60300(P2008−60300A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235067(P2006−235067)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)
【Fターム(参考)】