コンデンサ接続具及びコンデンサユニット
【課題】 分電盤に対する電力線通信の信号漏れ対策や、分電盤を挟んだグループ間の干渉対策を容易に行えるコンデンサ接続具を提供する。
【解決手段】 本発明のコンデンサ接続具は、分電盤1の内部にあるブスバー7にコンデンサ素子9を接続するためのコンデンサ接続具である。この接続具16は、ブスバー7の幅方向両側縁に係脱可能な取付金具17と、この取付金具17をブスバー7に押し付けて固定する押圧部材18と、取付金具17に導通可能に固定されており、コンデンサ素子9のリード線10を接続可能な接続部19とを備えている。
【解決手段】 本発明のコンデンサ接続具は、分電盤1の内部にあるブスバー7にコンデンサ素子9を接続するためのコンデンサ接続具である。この接続具16は、ブスバー7の幅方向両側縁に係脱可能な取付金具17と、この取付金具17をブスバー7に押し付けて固定する押圧部材18と、取付金具17に導通可能に固定されており、コンデンサ素子9のリード線10を接続可能な接続部19とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信の信号通過を抑制する機能を分電盤に付加する際に使用する、コンデンサ接続具及びコンデンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線通信(PLC:Power Line Communication)は、電力線に高周波信号を重畳して高速通信を行う通信方式であり、新たに通信用ケーブルを設ける必要が無いという利点を有する(非特許文献1参照)。また、近年、LAN(ローカルエリアネットワーク)を構成する手段としての電力線通信が注目されている。
例えば、新規に通信線を敷設することが困難なホテルでは、既存の屋内配電線を信号伝送路とするPLCが至便である。このようなホテルのPLC−LANでは、各部屋にPLCモデムの子機が設置され、一定の子機数ごとに親機が一台設置され、各フロアごとに親機と複数の子機との間でLANのグループが構成される。
【0003】
しかし、屋内配電線は1つの変圧器の下で共通の電路であるため、信号伝送路が複数のグループに共有されている。信号伝送路の距離が長くなるとPLCの通信はつながり難くなるが、近接しているとつながりやすい。そのため、例えば、ある階の子機からその階の親機と通信を行いたいのに、他の階の親機とつながってしまい、通信の混乱が生じる場合があり得る。
また、一方の信号が他方から見てノイズとなり、正常な通信がし難くなり、信号の伝送速度が低下するという問題が生じ得る。その結果として、例えばVOD (ビデオオンデマンド) サービスの様な高速な情報提供に支障が出る恐れがある。
【0004】
そこで、配電の起点となる分電盤の主幹ブレーカと分岐ブレーカとの間にブロッキングフィルタを設け、分岐ブレーカに繋がっているPLC−LANの電力線通信の伝送信号(PLC信号)がネットワーク外に漏洩するのを防止することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−115481号公報(図6)
【非特許文献1】Interface、第70〜81頁、「電力線搬送(PLC: Power Line Communication)の現状」、江藤潔著、CQ出版社、2000年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記PLC用のブロッキングフィルタは例えばLCフィルタで構成できるが、電力線には配電のための大電流が流れるため、PLC用のブロッキングフィルタの場合は電子機器に使用されるLCフィルタよりも格段に大型となる。
一方、分電盤の内部では、通常、主幹ブレーカと分岐ブレーカが銅製の複数本のブスバーで接続されているが、分電盤をコンパクトに構成するために、複数本のブスバーが密に配列されていることが多い。
【0007】
このため、通常のPLC用のブロッキングフィルタを主幹ブレーカと分岐ブレーカの間に接続しようとしても、上記ブスバーと干渉するために当該ブロッキングフィルタを設置するスペースが取れないことが多い。このため、ブレーカやブスバーの配置を大幅に変更しないと分電盤の内部にブロッキングフィルタを設置できないことが多く、ブロッキングフィルタの取り付け作業が非常に困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置できるようにして、電力線通信の信号漏れ対策や、分電盤を挟んだグループ間の干渉対策を容易に行えるコンデンサ接続具及びコンデンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンデンサ接続具(請求項1)は、分電盤を構成するブスバーにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサ接続具であって、前記ブスバーの幅方向両側縁に係脱可能な金属製の取付金具と、この取付金具を前記ブスバーに押し付けて固定する押圧部材と、前記取付金具に導通可能に固定されており、前記コンデンサ素子のリード線を接続可能な接続部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記コンデンサ接続具を分電盤内の既設のブスバーに装着するには、取付金具の両掛止爪部をブスバーの左右両側縁に引っ掛け、押圧部材でブスバーを押圧するようにすればよく、このさい、コンデンサ接続具がブスバーに対して導通状態で固定される。
そして、このようにして複数本のブスバーにコンデンサ接続具を取り付けた後、各接続具の接続部にコンデンサ素子のリード線を接続することにより、分電盤の内部の電路であるブスバー間にコンデンサ素子を挿入することができる。
【0011】
このように、本発明のコンデンサ接続具によれば、分電盤内の既設のブスバーにコンデンサ素子を接続することができるので、主幹ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置することができる。
【0012】
本発明のコンデンサ接続具において、前記取付金具としては、天板部と、この天板部の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部と、この各側板部の下端部から幅方向内方に延びる掛止爪部と備えたものを採用することができる(請求項2)。
この場合、前記押圧部材は、先端を下方に向けて前記天板部を貫通する締め付けねじより構成することができる。従って、押圧部材を汎用品(ねじ部材)で構成でき、コンデンサ接続具の材料コストを低減できる。
【0013】
また、本発明のコンデンサ接続具において、前記取付金具を、前記ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピースより構成し、この金具ピースを、前記ブスバーの幅方向端縁に対する嵌合部と、この嵌合部から上方に延びる対向板部とを有するものを採用することもできる(請求項3)。
この場合、前記押圧部材は、前記対向板部同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじより構成することができる。従って、この場合も、押圧部材を汎用品(ねじ部材)で構成でき、コンデンサ接続具の材料コストを低減できる。
【0014】
本発明のコンデンサユニット(請求項4)は、分電盤を構成するブレーカの端子ねじにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサユニットであって、前記ブレーカの端子間寸法よりも大きい長さを有する取付フレームと、この取付フレームに間隔をおいて取り付けられた複数の接触端子と、この各接触端子にリード線が導通可能に接続されたコンデンサ素子と、前記各接触端子をそれぞれ前記ブレーカの端子ねじに接触させた状態で、前記取付フレームを前記ブレーカに取り付けるための取付部材とを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明のコンデンサユニットによれば、取付フレームに設けられた複数の接触端子にコンデンサ素子のリード線が導通可能に接続されており、その各接触端子をそれぞれブレーカの端子ねじに接触させた状態で、取付フレームをブレーカに取り付けられるようになっているので、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置することができる。
【0016】
本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記接触端子を前記端子ねじに磁力で吸着させるべく当該接触端子に設けられたマグネット部材により構成することができる(請求項5)。
この場合、マグネット部材の磁力によって接触端子が端子ねじに吸着されるので、両者の導通を確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームをその外周側から巻き付けて固定するための締結バンドにより構成することもできる(請求項6)。
この場合、締結バンドを巻き付けるだけで取付フレームをブレーカに確実に固定できるので、コンデンサユニットの装着作業を簡単に行うことができる。
【0018】
更に、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームを当該ブレーカにねじ止めするための取付ねじにより構成することもできる(請求項7)。
この場合、取付フレームを取付ねじでねじ止めするだけで取付フレームをブレーカに確実に固定できるので、コンデンサユニットの装着作業を簡単に行うことができる。
また、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記コンデンサ素子と並列接続となるように発光素子を前記各接触端子に接続してもよい(請求項8)。
この場合、発光素子の点灯如何によってコンデンサ素子が電路に対して正常に接触しているか否かを簡単に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の通り、本発明によれば、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置できるので、電力線通信の信号漏れ対策や、分電盤を挟んだグループ間の干渉対策を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔分電盤〕
図1は、電力線通信の信号漏れの改修工事が行われる分電盤の内部構造を示す正面図である。
図1に示すように、この分電盤1は、開閉自在な蓋部材(図示せず)を有する前方開口状の中空箱体よりなる筐体2と、この筐体2の内部の上部よりに配置された主幹ブレーカ3と、筐体2の内部の下部よりに配置された複数(図例では8つ)の分岐ブレーカ4とを備えている。
【0021】
筐体2の内部の背面板には、図示しない取付フレームが設けられており、この取付フレームに、上記主幹ブレーカ3や分岐ブレーカ4がねじ止めによって取り付けられている。本実施形態の分電盤1は単相三線方式であり、主幹ブレーカ3は一次側と二次側にそれぞれ三つの接点5,6を有している。
一次側の各接点5は、一方の活線R(以下、赤相R)に繋がる第一接点5Rと、他方の活線B(以下、黒相B)に繋がる第二接点5Bと、中性線W(以下、白相W)に繋がる第三接点5Wとからなる。
【0022】
二次側の各接点6には、それぞれ、導電性を有する銅製のブスバー7がねじ止めによって接続され、これらのブスバー7は、赤相R用の第一ブスバー7Rと、黒相B用の第二ブスバー7Bと、白相W用の第三ブスバー7Wとからなる。
これら第一〜第三ブスバー7R,7B,7Wは、同じ横断面形状の真っ直ぐな銅製の板材よりなり、二列配置の分岐ブレーカ4の間、すなわち、左列の四つの分岐ブレーカ4と右列の四つの分岐ブレーカ4の間を通って下方に延設されている。
【0023】
また、第一〜第三ブスバー7R,7B,7Wは、その上端部において主幹ブレーカ3の二次側の各接点6R,6B,6Wにねじ止めされ、互いに平行でかつほぼ等間隔で並ぶ三列の状態で配列されている。そして、第一ブスバー7Rと第三ブスバー7Wは、左列の分岐ブレーカ4の二つの接点にそれぞれ接続され、第二ブスバー7Bと第三ブスバー7Wは、右列の分岐ブレーカ4の二つの接点にそれぞれ接続されている。
このため、各分岐ブレーカ4の接点には、赤相R又は黒相Bによる単相100Vの交流電圧が印加されるようになっている。なお、分岐ブレーカ4の各接点に第一ブスバー7Rと第二ブスバー7Bを接続して、単相200Vの交流電圧が印加される場合もある。
【0024】
〔第一実施形態〕
図2(a)は、本発明の第一実施形態に係るコンデンサ接続具16の斜視図であり、図2(b)は、その装着状態を示す断面図である。
図2(a)に示すように、このコンデンサ接続具16は、分電盤1の内部にある前記ブスバー7にコンデンサ素子9を接続するためのものであり、ブスバー7の幅方向両側縁に係脱可能な金属製の取付金具17と、この取付金具17をブスバー7に押し付けて固定する押圧部材18と、取付金具17に導通可能に固定された接続部19とを備えている。
【0025】
上記取付金具17は、導電性を有する金属板を断面ほぼ台形状に屈曲形成することによって構成されており、天板部20と、この天板部20の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部21とを備えている。また、この各側板部21の下端部からは、幅方向内方に延びる掛止爪部22が一体に突設されている。
押圧部材18は、先端を下方に向けて天板部20を貫通する締め付けねじよりなる。天板部20の下面側にはほぼ正方形状のナット部材23が収納され、締め付けねじ18の軸部はそのナット部材23を螺合状態で貫通している。
【0026】
上記接続部19は、コンデンサ素子9のリード線10の先端導通部を着脱自在に接続可能であり、本実施形態では、下端部が取付金具17の側板部21に半田付けされたピンソケットを採用している。
本実施形態のコンデンサ接続具16をブスバー7に装着するには、取付金具17の両掛止爪部22をブスバー7の左右両側縁に引っ掛け、この状態でドライバー等の回動工具で締め付けねじ18を回動させて締め付け、その締め付けねじ18の先端でブスバー7を押圧するようにすればよい。
【0027】
すると、図2(b)に示すように、コンデンサ接続具16がブスバー7に対して導通状態で固定されることになる。
そして、上記のようにして複数本のブスバー7(図例では第一ブスバー7Rと第二ブスバー7B)にコンデンサ接続具16を取り付けた後、各接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続することにより、分電盤1の内部の電路であるブスバー7間にコンデンサ素子9を挿入することができる。
【0028】
なお、図3に示すように、3本のブスバー7のうちの100V電路間にコンデンサ素子9を挿入する場合には、すべてのブスバー7R,7B,7Wにそれぞれ上記コンデンサ接続具16を装着し、その各コンデンサ接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続すればよい。
このように、本実施形態のコンデンサ接続具16を用いることにより、主幹ブレーカ3の二次側については、当該主幹ブレーカ3の接点6ではなく、ブスバー7に対してコンデンサ素子9を挿入することもできる。
【0029】
本実施形態のコンデンサ接続具16によれば、分電盤1内の既設のブスバー7にコンデンサ素子9を接続することができるので、主幹ブレーカ3やブスバー7の配置を変更せずにコンデンサ素子9を分電盤1の内部に設置することができる。
このため、分電盤1に対する電力線通信の信号漏れ対策のための改修工事や、分電盤1を挟んだグループ間の干渉対策のための改修工事を容易に行うことができる。
なお、図2に一点鎖線で示すように、取付金具17の外表面については、ブスバー7との電気接触部となる箇所以外の部分を樹脂モールド等よりなる被覆層17Aで被覆することにしてもよい。この場合、隣接ブスバー7との離隔が小さくなる欠点を解消することができる。また、同様の理由で、締め付けねじ18は、樹脂ねじ或いは樹脂被覆ねじであってもよい。
【0030】
図4(a)は、コンデンサ接続具16の変形例を示す斜視図であり、図4(b)は、その装着状態を示す断面図である。
この変形例のコンデンサ接続具16では、取付金具17が、ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピース24により構成されている。この左右一対の金具ピース24は、ブスバー7の幅方向端縁に対して嵌合可能となるように断面ほぼコの字状に屈曲形成された嵌合部25と、この嵌合部25から上方に延びる対向板部26とを有している。
【0031】
また、この変形例のコンデンサ接続具16では、押圧部材18は、上記対向板部26同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじより構成され、ピンソケット等よりなる接続部19は上記嵌合部25に固定されている。
この変形例のコンデンサ接続具16をブスバー7に装着するには、両金具ピース24の嵌合部25をブスバー7の左右両側縁に嵌合させ、この状態でドライバー等の回動工具で締め付けねじ18を回動させて締め付け、両金具ピース24でブスバー7を幅方向両側から挟圧するようにすればよい。
【0032】
すると、図4(b)に示すように、両金具ピース24よりなる取付金具17がブスバー7に対して導通状態で固定されることになる。
そして、上記のようにして複数本のブスバー7(図例では第一ブスバー7Rと第二ブスバー7B)にコンデンサ接続具16を取り付けた後、各接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続することにより、分電盤1の内部の電路であるブスバー7間にコンデンサ素子9を挿入することができる。
なお、図4に一点鎖線で示すように、この場合の取付金具17の外表面についても、ブスバー7との電気接触部となる箇所以外の部分を樹脂モールド等よりなる被覆層17Aで被覆することにしてもよい。また、この場合も締め付けねじ18も、樹脂ねじ或いは樹脂被覆ねじであってもよい。
【0033】
〔第二実施形態〕
図5は、本発明の第二実施形態に係るコンデンサユニット28を示し、図6は、そのコンデンサユニット28の主幹ブレーカ3への装着状態を示している。
図5に示すように、本実施形態のコンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の端子間寸法よりも大きい長さを有するほぼ長方形板状の取付フレーム29と、この取付フレーム29に予め取り付けられたコンデンサ素子9及びヒューズ13とからなる。
【0034】
このコンデンサユニット28は、分電盤1の内部にある主幹ブレーカ3の端子ねじ11に単数又は複数のコンデンサ素子9を接続するためのものであり、上記取付フレーム29に間隔をおいて取り付けられた金属製の複数の接触端子30と、この各接触端子30に導通可能に固定された接続部31とを備えている。
なお、図5に示すコンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の100V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、3つの接触端子30を備えている。
【0035】
この3つの接触端子30は、良好な導電性を有する銅合金製の金属片よりなり、側面視においてほぼL字形に屈曲形成されている。取付フレーム29は2枚のプレートを積層してなり、このプレート間に接触端子30の縦向き片を挟み込むことにより、当該接触端子30の横向き片が取付フレーム29の下端縁から片持ち状に突出している。
また、3つの接触端子30は、主幹ブレーカ3の一次側又は二次側にある3つの接点5,6に対応する位置に来るように、取付フレーム29の下端縁に等間隔おきに配置されている。
【0036】
上記接続部31は、コンデンサ素子9及びヒューズ13のリード線10の先端導通部を着脱自在に接続可能であり、本実施形態においても、導通端部が接触端子30に半田付けされたピンソケットを採用している。もっとも、リード線10の先端部を接触端子30に直接半田付けすることにしてもよい。
また、各接触端子30の横向き片の上面には、永久磁石等よりなるマグネット部材32が固着されており、このマグネット部材32の磁力で主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部を吸着することにより、各接触端子30をそれぞれ端子ねじ11に接触させた状態でコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に取り付けられるようになっている。
【0037】
また、隣接する接触端子30同士の間のスペースには、コンデンサ素子9とこれに直列接続されたヒューズ13が架設されている。このコンデンサ素子9とヒューズ13は、リード線10の先端導通部を前記接続部31に挿入して接続することにより、各接触端子30と導通している。
本実施形態のコンデンサユニット28を用いて、電力線通信の信号通過を抑制する機能を分電盤1に付加する改修工事を行うには、各接触端子30の横向き片を主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部にそれぞれ当接させ、当該ユニット28を主幹ブレーカ3に装着するだけでよい。
【0038】
すると、図6に示すように、マグネット部材32の磁力で各接触端子30の横向き片が端子ねじ11の頭部と導通状態で接触し、コンデンサ素子9がPLC信号の通過を抑制するフィルタ用として機能することになる。
なお、マグネット部材32の磁力で所望の固定力が発揮できない場合には、図6(b)に一点鎖線で示すように、主幹ブレーカ3の端面に当接した取付フレーム29に対してマジックテープ等よりなる締結バンド33をその外周側から巻き付け、これによってコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3により確実に装着することにしてもよい。
【0039】
また、マグネット部材32を設けずに、締結バンド33だけを用いてコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着することにしてもよい。
この場合、接触端子30の構成材料として板ばね等の弾性を有するばね材料を使用すれば、弾性変形によって端子ねじ11の頭部に対する接触圧が高まり、電路に対する導通をより確実にすることができる。
【0040】
上記の通り、本実施形態のコンデンサユニット28によれば、これを主幹ブレーカ3に装着するだけで、既設の主幹ブレーカ3の端子ねじ11にコンデンサ素子9を接続することができ、主幹ブレーカ3やブスバー7の配置を変更せずにコンデンサ素子9を分電盤1の内部に設置することができる。
このため、分電盤1に対する電力線通信の信号漏れ対策のための改修工事や、分電盤1を挟んだグループ間の干渉対策のための改修工事を容易に行うことができる。
【0041】
図7は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の変形例を示し、図8は、その装着状態を示している。
この変形例に使用されるコンデンサユニット28も、分電盤1の内部にある主幹ブレーカ3の端子ねじ11にコンデンサ素子9を接続するためのものであるが、主幹ブレーカ3の200V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものである点で、図5及び図6のコンデンサユニット28と異なる。このため、当該変形例の場合には、2つの接触端子30のみが設けられている。
【0042】
また、この変形例に係るコンデンサユニット28では、ヒューズ13と直列接続されたネオン管等よりなる発光素子14を備えており、この発光素子14のリード線10は、コンデンサ素子9のリード線10とともに、接触端子30の接続部31に挿通されている。
すなわち、発光素子14は、コンデンサ素子9と並列接続となりかつヒューズ13と直列接続となるように各接触端子に30に接続されている。
このため、発光素子14の点灯如何によってコンデンサ素子9が電路に対して正常に接触しているか否かを確認できるとともに、発光素子14が雷サージや過電圧等で故障しても、その故障に伴う電源断の危険性を減少させることができる。
【0043】
図9は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図10は、その装着状態を示している。
図9に示すように、この変形例に使用されるコンデンサユニット28は、取付フレーム29が断面L字型である。すなわち、この場合の取付フレーム29は、主幹ブレーカ3の正面に当接する取付板部34と、この取付板部34の幅方向一端から直交状に延設されたカバー板部35とから構成されている。
【0044】
上記取付板部35には、主幹ブレーカ3に螺合する取付ねじ36の挿通孔37が形成されている。また、取付板部34の内面には、コイルばねよりなる付勢部材38が取り付けられ、この付勢部材38の下端部に接触端子30が固定されている。
この変形例に係るコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着するには、各接触端子30を主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部にそれぞれ当接させた状態で、付勢部材38のばね力に抗して取付フレーム29の取付板部34を主幹ブレーカ34の正面部に沿わせ、その後、挿通孔37に取付ねじ36を挿通してねじ止めすればよい。
【0045】
図11は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図12は、その装着状態を示している。
図11に示すように、この変形例に使用されるコンデンサユニット28では、先端側に開口する切り欠き凹部30Aが接触端子30に形成されており、これによって接触端子30が平面視において二股状に形成されている。この切り欠き凹部30Aは、主幹ブレーカ3の端子ねじ11の軸部よりも広い幅寸法で、かつ、同端子ねじ11の頭部よりも狭い幅寸法を有する。
【0046】
従って、図11に示すコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着するには、まず、主幹ブレーカ3の端子ねじ11をいったん緩め、その端子ねじ11の軸部に接触端子30を差し込んだ状態で当該端子ねじ11を再度締め付けるようにすればよい。
なお、図11に示すコンデンサユニット28では、主幹ブレーカ3の100V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、3つの接触端子30を備えている。
【0047】
図13は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図14は、その装着状態を示している。
この変形例に使用されるコンデンサユニット28においても、先端側に開口する切り欠き凹部30Aが形成された二股状の接触端子30を採用しており、この点で、図11及び図12の場合と共通する。
もっとも、図13に示すコンデンサユニット28では、主幹ブレーカ3の200V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、2つの接触端子30を備えている。
【0048】
図15は、コンデンサユニット28の別の取り付け方を示す側面図である。
図15において、主幹ブレーカ3と分電盤1の内部フレーム47との間には、取付台座48が介在されており、これにより、コンデンサユニット28の設置スペース49を確保している。
そして、コンデンサユニット28は、図14の場合とは逆向きの状態、すなわち、取付フレーム29の幅方向自由端側が分電盤1の内部側(図15の右側)に向く状態で、接触端子30を端子ねじ11に差し込んである。
【0049】
この図15に示す取付構造によれば、コンデンサユニット28の取付フレーム29を分電盤1の内部側に向けて取り付けるようになっているので、例えば、ブスバー7が特殊な形状であるために、ブスバー7の外面側(図15の左側)にコンデンサユニット28を装着するのが困難である場合に、特に有効な取付構造である。
【0050】
〔電力線通信システム〕
図16は、電力線通信(PLC)システムを適用したホテルの配線系統図である。
図16に示すPLCシステム40は、6階建てのホテル41に適用したものであり、2〜6階が客室となっている。ホテル41の屋上には受電用のキュービクル42が設置され、このキュービクル42から延びる配電用の幹線43が、各階のダクトスペース44内に設置された前記分電盤1に引き込まれている。このため、各階での各部屋へのコンセントや照明等の給電は、同一階の分電盤1から延びる枝線45から行われる。
【0051】
各部屋への配電のための幹線43と枝線45が敷設された上記ホテル41にPLCシステム40を構築するには、分電盤1から分岐する枝線45に対して、電力線通信を行う各モデムMS,LSをそれぞれ接続する工程と、PLC信号の通過を抑制する機能を分電盤1に付加する改修工事を行う工程とを、各階で順次行うようにすればよい。
【0052】
そこで、図16に示すホテル41では、PLCモデムの親機MSが、各階の分電盤1から延びる枝線45に接続され、ダクトスペース44内に収納されている。
この親機MSは、光通信で外部ネットワークと繋がるメディアコンバータ(図示せず)と接続されており、そのコンバータとの間でイーサネット(登録商標)での信号の送受信を行い、子機LSとの間では、電力線(枝線35)を通信媒体としてPLC信号の送受信を行う。
【0053】
一方、PLCモデムの子機LSは、各階の各部屋(一部でも全部でもよい。)に設置され、その各部屋のコンセントを通じて、分電盤1から延びる枝線45に接続されている。従って、各階に一つずつ設置された親機MSとその配下の複数の子機LSにより、一つのLAN(ローカルエリアネットワーク)が構成される。
上記PLCシステム40において、各階の分電盤1(その筐体2の近傍の被覆電線12を含む。)には、これまで説明したフィルタ用コンデンサ8を設ける改修工事が施され、これにより、PLC信号の通過を抑制する機能が当該分電盤1に付加されている。
【0054】
すなわち、主幹ブレーカ3の一次側及び二次側に位置する各接点5,6に、フィルタ用コンデンサ8を挿入したり、或いは、二次側のブスバー7にフィルタ用コンデンサ8を挿入したりすることにより、PLC信号の通過を抑制する機能を付加する改修工事が、各階の分電盤1に施される。
従って、このようなPLC信号の通過抑制機能が付加された分電盤1により、PLC信号が異なる階に跨って送受信されることが防止され、ネットワーク外へのPLC信号の漏洩が防止される。換言すると、PLC信号による通信範囲が、各階のLAN内での通信に制限される。
【0055】
なお、図16では、ホテル41の配線系統図を例示しているが、集合住宅や戸建て住宅の場合にも、本発明の分電盤1に対する改修工法を適用することができ、この場合、PLC信号の通過抑制機能が分電盤1に付加されることにより、他の住宅への信号の漏洩を防止することができる。
【0056】
上記実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
例えば、前記コンデンサ接続具16は、主幹ブレーカ3に繋がるブスバー7だけでなく、分岐ブレーカ4に繋がるブスバーに対する接続具として構成することにしてもよい。
【0057】
また、前記コンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の端子ではなく、分岐ブレーカ4の端子にコンデンサ素子9を接続するための構造にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の改修工法に適した分電盤の内部構造を示す正面図である。
【図2】第一実施形態に係る改修工法に使用するコンデンサ接続具を示し、(a)はその斜視図、(b)はその装着状態を示す断面図である。
【図3】コンデンサ接続具の別の装着状態を示す正面図である。
【図4】コンデンサ接続具の変形例を示し、(a)はその斜視図、(b)はその装着状態を示す断面図である。
【図5】第二実施形態に係る改修工法に使用するコンデンサユニットを示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図6】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図7】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図8】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図9】コンデンサユニットの別の変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図10】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図11】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図12】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図13】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図14】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図15】コンデンサユニットの別の取り付け方を示す側面図である。
【図16】電力線通信システムを適用したホテルの配線系統図である。
【符号の説明】
【0059】
1:分電盤 2:筐体 3:主幹ブレーカ 4:分岐ブレーカ
5:一次側の接点 5R:第一接点 5B:第二接点 5W:第三接点
6:二次側の接点 6R:第一接点 6B:第二接点 6W:第三接点
7:ブスバー 7R:第一ブスバー 7B:第二ブスバー 7W:第三ブスバー
8:フィルタ用コンデンサ 9:コンデンサ素子 9A:本体部
10:リード線 11:端子ねじ 13:ヒューズ 14:発光素子
16:コンデンサ接続具 17:取付金具 18:押圧部材(締め付けねじ)
19:接続部 20:天板部 21:側板部 22:掛止爪部 23:ナット部材
24:金具ピース 25:嵌合部 26:対向板部
28:コンデンサユニット 29:取付フレーム 30:接触端子 31:接続部
32:マグネット部材 33:締結バンド 34:取付板部 35:カバー板部
36:取付ねじ 37:挿通孔 38:付勢部材
40:PLCシステム 41:ホテル 42:キュービクル 43:幹線
44:ダクトスペース 45:枝線 47:内部フレーム 48:取付台座
49:設置スペース
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信の信号通過を抑制する機能を分電盤に付加する際に使用する、コンデンサ接続具及びコンデンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線通信(PLC:Power Line Communication)は、電力線に高周波信号を重畳して高速通信を行う通信方式であり、新たに通信用ケーブルを設ける必要が無いという利点を有する(非特許文献1参照)。また、近年、LAN(ローカルエリアネットワーク)を構成する手段としての電力線通信が注目されている。
例えば、新規に通信線を敷設することが困難なホテルでは、既存の屋内配電線を信号伝送路とするPLCが至便である。このようなホテルのPLC−LANでは、各部屋にPLCモデムの子機が設置され、一定の子機数ごとに親機が一台設置され、各フロアごとに親機と複数の子機との間でLANのグループが構成される。
【0003】
しかし、屋内配電線は1つの変圧器の下で共通の電路であるため、信号伝送路が複数のグループに共有されている。信号伝送路の距離が長くなるとPLCの通信はつながり難くなるが、近接しているとつながりやすい。そのため、例えば、ある階の子機からその階の親機と通信を行いたいのに、他の階の親機とつながってしまい、通信の混乱が生じる場合があり得る。
また、一方の信号が他方から見てノイズとなり、正常な通信がし難くなり、信号の伝送速度が低下するという問題が生じ得る。その結果として、例えばVOD (ビデオオンデマンド) サービスの様な高速な情報提供に支障が出る恐れがある。
【0004】
そこで、配電の起点となる分電盤の主幹ブレーカと分岐ブレーカとの間にブロッキングフィルタを設け、分岐ブレーカに繋がっているPLC−LANの電力線通信の伝送信号(PLC信号)がネットワーク外に漏洩するのを防止することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−115481号公報(図6)
【非特許文献1】Interface、第70〜81頁、「電力線搬送(PLC: Power Line Communication)の現状」、江藤潔著、CQ出版社、2000年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記PLC用のブロッキングフィルタは例えばLCフィルタで構成できるが、電力線には配電のための大電流が流れるため、PLC用のブロッキングフィルタの場合は電子機器に使用されるLCフィルタよりも格段に大型となる。
一方、分電盤の内部では、通常、主幹ブレーカと分岐ブレーカが銅製の複数本のブスバーで接続されているが、分電盤をコンパクトに構成するために、複数本のブスバーが密に配列されていることが多い。
【0007】
このため、通常のPLC用のブロッキングフィルタを主幹ブレーカと分岐ブレーカの間に接続しようとしても、上記ブスバーと干渉するために当該ブロッキングフィルタを設置するスペースが取れないことが多い。このため、ブレーカやブスバーの配置を大幅に変更しないと分電盤の内部にブロッキングフィルタを設置できないことが多く、ブロッキングフィルタの取り付け作業が非常に困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置できるようにして、電力線通信の信号漏れ対策や、分電盤を挟んだグループ間の干渉対策を容易に行えるコンデンサ接続具及びコンデンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンデンサ接続具(請求項1)は、分電盤を構成するブスバーにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサ接続具であって、前記ブスバーの幅方向両側縁に係脱可能な金属製の取付金具と、この取付金具を前記ブスバーに押し付けて固定する押圧部材と、前記取付金具に導通可能に固定されており、前記コンデンサ素子のリード線を接続可能な接続部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記コンデンサ接続具を分電盤内の既設のブスバーに装着するには、取付金具の両掛止爪部をブスバーの左右両側縁に引っ掛け、押圧部材でブスバーを押圧するようにすればよく、このさい、コンデンサ接続具がブスバーに対して導通状態で固定される。
そして、このようにして複数本のブスバーにコンデンサ接続具を取り付けた後、各接続具の接続部にコンデンサ素子のリード線を接続することにより、分電盤の内部の電路であるブスバー間にコンデンサ素子を挿入することができる。
【0011】
このように、本発明のコンデンサ接続具によれば、分電盤内の既設のブスバーにコンデンサ素子を接続することができるので、主幹ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置することができる。
【0012】
本発明のコンデンサ接続具において、前記取付金具としては、天板部と、この天板部の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部と、この各側板部の下端部から幅方向内方に延びる掛止爪部と備えたものを採用することができる(請求項2)。
この場合、前記押圧部材は、先端を下方に向けて前記天板部を貫通する締め付けねじより構成することができる。従って、押圧部材を汎用品(ねじ部材)で構成でき、コンデンサ接続具の材料コストを低減できる。
【0013】
また、本発明のコンデンサ接続具において、前記取付金具を、前記ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピースより構成し、この金具ピースを、前記ブスバーの幅方向端縁に対する嵌合部と、この嵌合部から上方に延びる対向板部とを有するものを採用することもできる(請求項3)。
この場合、前記押圧部材は、前記対向板部同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじより構成することができる。従って、この場合も、押圧部材を汎用品(ねじ部材)で構成でき、コンデンサ接続具の材料コストを低減できる。
【0014】
本発明のコンデンサユニット(請求項4)は、分電盤を構成するブレーカの端子ねじにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサユニットであって、前記ブレーカの端子間寸法よりも大きい長さを有する取付フレームと、この取付フレームに間隔をおいて取り付けられた複数の接触端子と、この各接触端子にリード線が導通可能に接続されたコンデンサ素子と、前記各接触端子をそれぞれ前記ブレーカの端子ねじに接触させた状態で、前記取付フレームを前記ブレーカに取り付けるための取付部材とを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明のコンデンサユニットによれば、取付フレームに設けられた複数の接触端子にコンデンサ素子のリード線が導通可能に接続されており、その各接触端子をそれぞれブレーカの端子ねじに接触させた状態で、取付フレームをブレーカに取り付けられるようになっているので、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置することができる。
【0016】
本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記接触端子を前記端子ねじに磁力で吸着させるべく当該接触端子に設けられたマグネット部材により構成することができる(請求項5)。
この場合、マグネット部材の磁力によって接触端子が端子ねじに吸着されるので、両者の導通を確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームをその外周側から巻き付けて固定するための締結バンドにより構成することもできる(請求項6)。
この場合、締結バンドを巻き付けるだけで取付フレームをブレーカに確実に固定できるので、コンデンサユニットの装着作業を簡単に行うことができる。
【0018】
更に、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームを当該ブレーカにねじ止めするための取付ねじにより構成することもできる(請求項7)。
この場合、取付フレームを取付ねじでねじ止めするだけで取付フレームをブレーカに確実に固定できるので、コンデンサユニットの装着作業を簡単に行うことができる。
また、本発明のコンデンサユニットにおいて、前記コンデンサ素子と並列接続となるように発光素子を前記各接触端子に接続してもよい(請求項8)。
この場合、発光素子の点灯如何によってコンデンサ素子が電路に対して正常に接触しているか否かを簡単に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の通り、本発明によれば、ブレーカやブスバーの配置を変更せずにコンデンサ素子を分電盤の内部に設置できるので、電力線通信の信号漏れ対策や、分電盤を挟んだグループ間の干渉対策を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔分電盤〕
図1は、電力線通信の信号漏れの改修工事が行われる分電盤の内部構造を示す正面図である。
図1に示すように、この分電盤1は、開閉自在な蓋部材(図示せず)を有する前方開口状の中空箱体よりなる筐体2と、この筐体2の内部の上部よりに配置された主幹ブレーカ3と、筐体2の内部の下部よりに配置された複数(図例では8つ)の分岐ブレーカ4とを備えている。
【0021】
筐体2の内部の背面板には、図示しない取付フレームが設けられており、この取付フレームに、上記主幹ブレーカ3や分岐ブレーカ4がねじ止めによって取り付けられている。本実施形態の分電盤1は単相三線方式であり、主幹ブレーカ3は一次側と二次側にそれぞれ三つの接点5,6を有している。
一次側の各接点5は、一方の活線R(以下、赤相R)に繋がる第一接点5Rと、他方の活線B(以下、黒相B)に繋がる第二接点5Bと、中性線W(以下、白相W)に繋がる第三接点5Wとからなる。
【0022】
二次側の各接点6には、それぞれ、導電性を有する銅製のブスバー7がねじ止めによって接続され、これらのブスバー7は、赤相R用の第一ブスバー7Rと、黒相B用の第二ブスバー7Bと、白相W用の第三ブスバー7Wとからなる。
これら第一〜第三ブスバー7R,7B,7Wは、同じ横断面形状の真っ直ぐな銅製の板材よりなり、二列配置の分岐ブレーカ4の間、すなわち、左列の四つの分岐ブレーカ4と右列の四つの分岐ブレーカ4の間を通って下方に延設されている。
【0023】
また、第一〜第三ブスバー7R,7B,7Wは、その上端部において主幹ブレーカ3の二次側の各接点6R,6B,6Wにねじ止めされ、互いに平行でかつほぼ等間隔で並ぶ三列の状態で配列されている。そして、第一ブスバー7Rと第三ブスバー7Wは、左列の分岐ブレーカ4の二つの接点にそれぞれ接続され、第二ブスバー7Bと第三ブスバー7Wは、右列の分岐ブレーカ4の二つの接点にそれぞれ接続されている。
このため、各分岐ブレーカ4の接点には、赤相R又は黒相Bによる単相100Vの交流電圧が印加されるようになっている。なお、分岐ブレーカ4の各接点に第一ブスバー7Rと第二ブスバー7Bを接続して、単相200Vの交流電圧が印加される場合もある。
【0024】
〔第一実施形態〕
図2(a)は、本発明の第一実施形態に係るコンデンサ接続具16の斜視図であり、図2(b)は、その装着状態を示す断面図である。
図2(a)に示すように、このコンデンサ接続具16は、分電盤1の内部にある前記ブスバー7にコンデンサ素子9を接続するためのものであり、ブスバー7の幅方向両側縁に係脱可能な金属製の取付金具17と、この取付金具17をブスバー7に押し付けて固定する押圧部材18と、取付金具17に導通可能に固定された接続部19とを備えている。
【0025】
上記取付金具17は、導電性を有する金属板を断面ほぼ台形状に屈曲形成することによって構成されており、天板部20と、この天板部20の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部21とを備えている。また、この各側板部21の下端部からは、幅方向内方に延びる掛止爪部22が一体に突設されている。
押圧部材18は、先端を下方に向けて天板部20を貫通する締め付けねじよりなる。天板部20の下面側にはほぼ正方形状のナット部材23が収納され、締め付けねじ18の軸部はそのナット部材23を螺合状態で貫通している。
【0026】
上記接続部19は、コンデンサ素子9のリード線10の先端導通部を着脱自在に接続可能であり、本実施形態では、下端部が取付金具17の側板部21に半田付けされたピンソケットを採用している。
本実施形態のコンデンサ接続具16をブスバー7に装着するには、取付金具17の両掛止爪部22をブスバー7の左右両側縁に引っ掛け、この状態でドライバー等の回動工具で締め付けねじ18を回動させて締め付け、その締め付けねじ18の先端でブスバー7を押圧するようにすればよい。
【0027】
すると、図2(b)に示すように、コンデンサ接続具16がブスバー7に対して導通状態で固定されることになる。
そして、上記のようにして複数本のブスバー7(図例では第一ブスバー7Rと第二ブスバー7B)にコンデンサ接続具16を取り付けた後、各接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続することにより、分電盤1の内部の電路であるブスバー7間にコンデンサ素子9を挿入することができる。
【0028】
なお、図3に示すように、3本のブスバー7のうちの100V電路間にコンデンサ素子9を挿入する場合には、すべてのブスバー7R,7B,7Wにそれぞれ上記コンデンサ接続具16を装着し、その各コンデンサ接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続すればよい。
このように、本実施形態のコンデンサ接続具16を用いることにより、主幹ブレーカ3の二次側については、当該主幹ブレーカ3の接点6ではなく、ブスバー7に対してコンデンサ素子9を挿入することもできる。
【0029】
本実施形態のコンデンサ接続具16によれば、分電盤1内の既設のブスバー7にコンデンサ素子9を接続することができるので、主幹ブレーカ3やブスバー7の配置を変更せずにコンデンサ素子9を分電盤1の内部に設置することができる。
このため、分電盤1に対する電力線通信の信号漏れ対策のための改修工事や、分電盤1を挟んだグループ間の干渉対策のための改修工事を容易に行うことができる。
なお、図2に一点鎖線で示すように、取付金具17の外表面については、ブスバー7との電気接触部となる箇所以外の部分を樹脂モールド等よりなる被覆層17Aで被覆することにしてもよい。この場合、隣接ブスバー7との離隔が小さくなる欠点を解消することができる。また、同様の理由で、締め付けねじ18は、樹脂ねじ或いは樹脂被覆ねじであってもよい。
【0030】
図4(a)は、コンデンサ接続具16の変形例を示す斜視図であり、図4(b)は、その装着状態を示す断面図である。
この変形例のコンデンサ接続具16では、取付金具17が、ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピース24により構成されている。この左右一対の金具ピース24は、ブスバー7の幅方向端縁に対して嵌合可能となるように断面ほぼコの字状に屈曲形成された嵌合部25と、この嵌合部25から上方に延びる対向板部26とを有している。
【0031】
また、この変形例のコンデンサ接続具16では、押圧部材18は、上記対向板部26同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじより構成され、ピンソケット等よりなる接続部19は上記嵌合部25に固定されている。
この変形例のコンデンサ接続具16をブスバー7に装着するには、両金具ピース24の嵌合部25をブスバー7の左右両側縁に嵌合させ、この状態でドライバー等の回動工具で締め付けねじ18を回動させて締め付け、両金具ピース24でブスバー7を幅方向両側から挟圧するようにすればよい。
【0032】
すると、図4(b)に示すように、両金具ピース24よりなる取付金具17がブスバー7に対して導通状態で固定されることになる。
そして、上記のようにして複数本のブスバー7(図例では第一ブスバー7Rと第二ブスバー7B)にコンデンサ接続具16を取り付けた後、各接続具16の接続部19にコンデンサ素子9のリード線10を接続することにより、分電盤1の内部の電路であるブスバー7間にコンデンサ素子9を挿入することができる。
なお、図4に一点鎖線で示すように、この場合の取付金具17の外表面についても、ブスバー7との電気接触部となる箇所以外の部分を樹脂モールド等よりなる被覆層17Aで被覆することにしてもよい。また、この場合も締め付けねじ18も、樹脂ねじ或いは樹脂被覆ねじであってもよい。
【0033】
〔第二実施形態〕
図5は、本発明の第二実施形態に係るコンデンサユニット28を示し、図6は、そのコンデンサユニット28の主幹ブレーカ3への装着状態を示している。
図5に示すように、本実施形態のコンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の端子間寸法よりも大きい長さを有するほぼ長方形板状の取付フレーム29と、この取付フレーム29に予め取り付けられたコンデンサ素子9及びヒューズ13とからなる。
【0034】
このコンデンサユニット28は、分電盤1の内部にある主幹ブレーカ3の端子ねじ11に単数又は複数のコンデンサ素子9を接続するためのものであり、上記取付フレーム29に間隔をおいて取り付けられた金属製の複数の接触端子30と、この各接触端子30に導通可能に固定された接続部31とを備えている。
なお、図5に示すコンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の100V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、3つの接触端子30を備えている。
【0035】
この3つの接触端子30は、良好な導電性を有する銅合金製の金属片よりなり、側面視においてほぼL字形に屈曲形成されている。取付フレーム29は2枚のプレートを積層してなり、このプレート間に接触端子30の縦向き片を挟み込むことにより、当該接触端子30の横向き片が取付フレーム29の下端縁から片持ち状に突出している。
また、3つの接触端子30は、主幹ブレーカ3の一次側又は二次側にある3つの接点5,6に対応する位置に来るように、取付フレーム29の下端縁に等間隔おきに配置されている。
【0036】
上記接続部31は、コンデンサ素子9及びヒューズ13のリード線10の先端導通部を着脱自在に接続可能であり、本実施形態においても、導通端部が接触端子30に半田付けされたピンソケットを採用している。もっとも、リード線10の先端部を接触端子30に直接半田付けすることにしてもよい。
また、各接触端子30の横向き片の上面には、永久磁石等よりなるマグネット部材32が固着されており、このマグネット部材32の磁力で主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部を吸着することにより、各接触端子30をそれぞれ端子ねじ11に接触させた状態でコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に取り付けられるようになっている。
【0037】
また、隣接する接触端子30同士の間のスペースには、コンデンサ素子9とこれに直列接続されたヒューズ13が架設されている。このコンデンサ素子9とヒューズ13は、リード線10の先端導通部を前記接続部31に挿入して接続することにより、各接触端子30と導通している。
本実施形態のコンデンサユニット28を用いて、電力線通信の信号通過を抑制する機能を分電盤1に付加する改修工事を行うには、各接触端子30の横向き片を主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部にそれぞれ当接させ、当該ユニット28を主幹ブレーカ3に装着するだけでよい。
【0038】
すると、図6に示すように、マグネット部材32の磁力で各接触端子30の横向き片が端子ねじ11の頭部と導通状態で接触し、コンデンサ素子9がPLC信号の通過を抑制するフィルタ用として機能することになる。
なお、マグネット部材32の磁力で所望の固定力が発揮できない場合には、図6(b)に一点鎖線で示すように、主幹ブレーカ3の端面に当接した取付フレーム29に対してマジックテープ等よりなる締結バンド33をその外周側から巻き付け、これによってコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3により確実に装着することにしてもよい。
【0039】
また、マグネット部材32を設けずに、締結バンド33だけを用いてコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着することにしてもよい。
この場合、接触端子30の構成材料として板ばね等の弾性を有するばね材料を使用すれば、弾性変形によって端子ねじ11の頭部に対する接触圧が高まり、電路に対する導通をより確実にすることができる。
【0040】
上記の通り、本実施形態のコンデンサユニット28によれば、これを主幹ブレーカ3に装着するだけで、既設の主幹ブレーカ3の端子ねじ11にコンデンサ素子9を接続することができ、主幹ブレーカ3やブスバー7の配置を変更せずにコンデンサ素子9を分電盤1の内部に設置することができる。
このため、分電盤1に対する電力線通信の信号漏れ対策のための改修工事や、分電盤1を挟んだグループ間の干渉対策のための改修工事を容易に行うことができる。
【0041】
図7は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の変形例を示し、図8は、その装着状態を示している。
この変形例に使用されるコンデンサユニット28も、分電盤1の内部にある主幹ブレーカ3の端子ねじ11にコンデンサ素子9を接続するためのものであるが、主幹ブレーカ3の200V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものである点で、図5及び図6のコンデンサユニット28と異なる。このため、当該変形例の場合には、2つの接触端子30のみが設けられている。
【0042】
また、この変形例に係るコンデンサユニット28では、ヒューズ13と直列接続されたネオン管等よりなる発光素子14を備えており、この発光素子14のリード線10は、コンデンサ素子9のリード線10とともに、接触端子30の接続部31に挿通されている。
すなわち、発光素子14は、コンデンサ素子9と並列接続となりかつヒューズ13と直列接続となるように各接触端子に30に接続されている。
このため、発光素子14の点灯如何によってコンデンサ素子9が電路に対して正常に接触しているか否かを確認できるとともに、発光素子14が雷サージや過電圧等で故障しても、その故障に伴う電源断の危険性を減少させることができる。
【0043】
図9は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図10は、その装着状態を示している。
図9に示すように、この変形例に使用されるコンデンサユニット28は、取付フレーム29が断面L字型である。すなわち、この場合の取付フレーム29は、主幹ブレーカ3の正面に当接する取付板部34と、この取付板部34の幅方向一端から直交状に延設されたカバー板部35とから構成されている。
【0044】
上記取付板部35には、主幹ブレーカ3に螺合する取付ねじ36の挿通孔37が形成されている。また、取付板部34の内面には、コイルばねよりなる付勢部材38が取り付けられ、この付勢部材38の下端部に接触端子30が固定されている。
この変形例に係るコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着するには、各接触端子30を主幹ブレーカ3の端子ねじ11の頭部にそれぞれ当接させた状態で、付勢部材38のばね力に抗して取付フレーム29の取付板部34を主幹ブレーカ34の正面部に沿わせ、その後、挿通孔37に取付ねじ36を挿通してねじ止めすればよい。
【0045】
図11は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図12は、その装着状態を示している。
図11に示すように、この変形例に使用されるコンデンサユニット28では、先端側に開口する切り欠き凹部30Aが接触端子30に形成されており、これによって接触端子30が平面視において二股状に形成されている。この切り欠き凹部30Aは、主幹ブレーカ3の端子ねじ11の軸部よりも広い幅寸法で、かつ、同端子ねじ11の頭部よりも狭い幅寸法を有する。
【0046】
従って、図11に示すコンデンサユニット28を主幹ブレーカ3に装着するには、まず、主幹ブレーカ3の端子ねじ11をいったん緩め、その端子ねじ11の軸部に接触端子30を差し込んだ状態で当該端子ねじ11を再度締め付けるようにすればよい。
なお、図11に示すコンデンサユニット28では、主幹ブレーカ3の100V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、3つの接触端子30を備えている。
【0047】
図13は、主幹ブレーカ3に装着可能なコンデンサユニット28の別の変形例を示し、図14は、その装着状態を示している。
この変形例に使用されるコンデンサユニット28においても、先端側に開口する切り欠き凹部30Aが形成された二股状の接触端子30を採用しており、この点で、図11及び図12の場合と共通する。
もっとも、図13に示すコンデンサユニット28では、主幹ブレーカ3の200V端子間にコンデンサ素子9を挿入するタイプのものであり、このため、2つの接触端子30を備えている。
【0048】
図15は、コンデンサユニット28の別の取り付け方を示す側面図である。
図15において、主幹ブレーカ3と分電盤1の内部フレーム47との間には、取付台座48が介在されており、これにより、コンデンサユニット28の設置スペース49を確保している。
そして、コンデンサユニット28は、図14の場合とは逆向きの状態、すなわち、取付フレーム29の幅方向自由端側が分電盤1の内部側(図15の右側)に向く状態で、接触端子30を端子ねじ11に差し込んである。
【0049】
この図15に示す取付構造によれば、コンデンサユニット28の取付フレーム29を分電盤1の内部側に向けて取り付けるようになっているので、例えば、ブスバー7が特殊な形状であるために、ブスバー7の外面側(図15の左側)にコンデンサユニット28を装着するのが困難である場合に、特に有効な取付構造である。
【0050】
〔電力線通信システム〕
図16は、電力線通信(PLC)システムを適用したホテルの配線系統図である。
図16に示すPLCシステム40は、6階建てのホテル41に適用したものであり、2〜6階が客室となっている。ホテル41の屋上には受電用のキュービクル42が設置され、このキュービクル42から延びる配電用の幹線43が、各階のダクトスペース44内に設置された前記分電盤1に引き込まれている。このため、各階での各部屋へのコンセントや照明等の給電は、同一階の分電盤1から延びる枝線45から行われる。
【0051】
各部屋への配電のための幹線43と枝線45が敷設された上記ホテル41にPLCシステム40を構築するには、分電盤1から分岐する枝線45に対して、電力線通信を行う各モデムMS,LSをそれぞれ接続する工程と、PLC信号の通過を抑制する機能を分電盤1に付加する改修工事を行う工程とを、各階で順次行うようにすればよい。
【0052】
そこで、図16に示すホテル41では、PLCモデムの親機MSが、各階の分電盤1から延びる枝線45に接続され、ダクトスペース44内に収納されている。
この親機MSは、光通信で外部ネットワークと繋がるメディアコンバータ(図示せず)と接続されており、そのコンバータとの間でイーサネット(登録商標)での信号の送受信を行い、子機LSとの間では、電力線(枝線35)を通信媒体としてPLC信号の送受信を行う。
【0053】
一方、PLCモデムの子機LSは、各階の各部屋(一部でも全部でもよい。)に設置され、その各部屋のコンセントを通じて、分電盤1から延びる枝線45に接続されている。従って、各階に一つずつ設置された親機MSとその配下の複数の子機LSにより、一つのLAN(ローカルエリアネットワーク)が構成される。
上記PLCシステム40において、各階の分電盤1(その筐体2の近傍の被覆電線12を含む。)には、これまで説明したフィルタ用コンデンサ8を設ける改修工事が施され、これにより、PLC信号の通過を抑制する機能が当該分電盤1に付加されている。
【0054】
すなわち、主幹ブレーカ3の一次側及び二次側に位置する各接点5,6に、フィルタ用コンデンサ8を挿入したり、或いは、二次側のブスバー7にフィルタ用コンデンサ8を挿入したりすることにより、PLC信号の通過を抑制する機能を付加する改修工事が、各階の分電盤1に施される。
従って、このようなPLC信号の通過抑制機能が付加された分電盤1により、PLC信号が異なる階に跨って送受信されることが防止され、ネットワーク外へのPLC信号の漏洩が防止される。換言すると、PLC信号による通信範囲が、各階のLAN内での通信に制限される。
【0055】
なお、図16では、ホテル41の配線系統図を例示しているが、集合住宅や戸建て住宅の場合にも、本発明の分電盤1に対する改修工法を適用することができ、この場合、PLC信号の通過抑制機能が分電盤1に付加されることにより、他の住宅への信号の漏洩を防止することができる。
【0056】
上記実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
例えば、前記コンデンサ接続具16は、主幹ブレーカ3に繋がるブスバー7だけでなく、分岐ブレーカ4に繋がるブスバーに対する接続具として構成することにしてもよい。
【0057】
また、前記コンデンサユニット28は、主幹ブレーカ3の端子ではなく、分岐ブレーカ4の端子にコンデンサ素子9を接続するための構造にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の改修工法に適した分電盤の内部構造を示す正面図である。
【図2】第一実施形態に係る改修工法に使用するコンデンサ接続具を示し、(a)はその斜視図、(b)はその装着状態を示す断面図である。
【図3】コンデンサ接続具の別の装着状態を示す正面図である。
【図4】コンデンサ接続具の変形例を示し、(a)はその斜視図、(b)はその装着状態を示す断面図である。
【図5】第二実施形態に係る改修工法に使用するコンデンサユニットを示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図6】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図7】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図8】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図9】コンデンサユニットの別の変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図10】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図11】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図12】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図13】コンデンサユニットの変形例を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図14】上記コンデンサユニットの主幹ブレーカへの装着状態を示し、(a)はその主幹ブレーカの正面図、(b)はその主幹ブレーカの側面図である。
【図15】コンデンサユニットの別の取り付け方を示す側面図である。
【図16】電力線通信システムを適用したホテルの配線系統図である。
【符号の説明】
【0059】
1:分電盤 2:筐体 3:主幹ブレーカ 4:分岐ブレーカ
5:一次側の接点 5R:第一接点 5B:第二接点 5W:第三接点
6:二次側の接点 6R:第一接点 6B:第二接点 6W:第三接点
7:ブスバー 7R:第一ブスバー 7B:第二ブスバー 7W:第三ブスバー
8:フィルタ用コンデンサ 9:コンデンサ素子 9A:本体部
10:リード線 11:端子ねじ 13:ヒューズ 14:発光素子
16:コンデンサ接続具 17:取付金具 18:押圧部材(締め付けねじ)
19:接続部 20:天板部 21:側板部 22:掛止爪部 23:ナット部材
24:金具ピース 25:嵌合部 26:対向板部
28:コンデンサユニット 29:取付フレーム 30:接触端子 31:接続部
32:マグネット部材 33:締結バンド 34:取付板部 35:カバー板部
36:取付ねじ 37:挿通孔 38:付勢部材
40:PLCシステム 41:ホテル 42:キュービクル 43:幹線
44:ダクトスペース 45:枝線 47:内部フレーム 48:取付台座
49:設置スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤を構成するブスバーにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサ接続具であって、
前記ブスバーの幅方向両側縁に係脱可能な取付金具と、
この取付金具を前記ブスバーに押し付けて固定する押圧部材と、
前記取付金具に導通可能に固定されており、前記コンデンサ素子のリード線を接続可能な接続部とを備えていることを特徴とするコンデンサ接続具。
【請求項2】
前記取付金具は、天板部と、この天板部の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部と、この各側板部の下端部から幅方向内方に延びる掛止爪部と備えており、
前記押圧部材は、先端を下方に向けて前記天板部を貫通する締め付けねじよりなる請求項1に記載のコンデンサ接続具。
【請求項3】
前記取付金具は、前記ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピースよりなり、この金具ピースは、前記ブスバーの幅方向端縁に対する嵌合部と、この嵌合部から上方に延びる対向板部とを有し、
前記押圧部材は、前記対向板部同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじよりなる請求項1に記載のコンデンサ接続具。
【請求項4】
分電盤を構成するブレーカの端子ねじにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサユニットであって、
前記ブレーカの端子間寸法よりも大きい長さを有する取付フレームと、
この取付フレームに間隔をおいて取り付けられた複数の接触端子と、
この各接触端子にリード線が導通可能に接続されたコンデンサ素子と、
前記各接触端子をそれぞれ前記ブレーカの端子ねじに接触させた状態で、前記取付フレームを前記ブレーカに取り付けるための取付部材とを備えていることを特徴とするコンデンサユニット。
【請求項5】
前記取付部材は、前記接触端子を前記端子ねじに磁力で吸着させるべく当該接触端子に設けられたマグネット部材よりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項6】
前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームをその外周側から巻き付けて固定するための締結バンドよりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項7】
前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームを当該ブレーカにねじ止めするための取付ねじよりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項8】
前記コンデンサ素子と並列接続となるように発光素子が前記各接触端子に接続されている請求項4〜7のいずれか1項に記載のコンデンサユニット。
【請求項1】
分電盤を構成するブスバーにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサ接続具であって、
前記ブスバーの幅方向両側縁に係脱可能な取付金具と、
この取付金具を前記ブスバーに押し付けて固定する押圧部材と、
前記取付金具に導通可能に固定されており、前記コンデンサ素子のリード線を接続可能な接続部とを備えていることを特徴とするコンデンサ接続具。
【請求項2】
前記取付金具は、天板部と、この天板部の幅方向両端部から下方に延びる左右一対の側板部と、この各側板部の下端部から幅方向内方に延びる掛止爪部と備えており、
前記押圧部材は、先端を下方に向けて前記天板部を貫通する締め付けねじよりなる請求項1に記載のコンデンサ接続具。
【請求項3】
前記取付金具は、前記ブスバーの幅方向に接離自在な左右一対の金具ピースよりなり、この金具ピースは、前記ブスバーの幅方向端縁に対する嵌合部と、この嵌合部から上方に延びる対向板部とを有し、
前記押圧部材は、前記対向板部同士が互いに近づく方向に締め付ける締め付けねじよりなる請求項1に記載のコンデンサ接続具。
【請求項4】
分電盤を構成するブレーカの端子ねじにコンデンサ素子を接続するためのコンデンサユニットであって、
前記ブレーカの端子間寸法よりも大きい長さを有する取付フレームと、
この取付フレームに間隔をおいて取り付けられた複数の接触端子と、
この各接触端子にリード線が導通可能に接続されたコンデンサ素子と、
前記各接触端子をそれぞれ前記ブレーカの端子ねじに接触させた状態で、前記取付フレームを前記ブレーカに取り付けるための取付部材とを備えていることを特徴とするコンデンサユニット。
【請求項5】
前記取付部材は、前記接触端子を前記端子ねじに磁力で吸着させるべく当該接触端子に設けられたマグネット部材よりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項6】
前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームをその外周側から巻き付けて固定するための締結バンドよりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項7】
前記取付部材は、前記ブレーカに当接させた前記取付フレームを当該ブレーカにねじ止めするための取付ねじよりなる請求項4に記載のコンデンサユニット。
【請求項8】
前記コンデンサ素子と並列接続となるように発光素子が前記各接触端子に接続されている請求項4〜7のいずれか1項に記載のコンデンサユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−87975(P2009−87975A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251839(P2007−251839)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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