説明

コンバイン

【課題】伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構を操作対象部材に簡単に連係させることができ、かつ小型の駐車ブレーキを採用しても、走行装置に適切な制動力を作用させることができるコンバインでありながら、油圧機構と操作弁機構とを接続する油圧回路の面、操作弁機構の点検や修理の面、駐車ブレーキと操作具を連係させる連係手段の面のそれぞれにおいて有利な状態に得ることを可能にする。
【解決手段】伝動ミッション、及び伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構を、ミッションケース21の内部に設けてある。油圧機構を操作する操作弁機構を、ミッションケース21の刈取り前処理部フレーム11aに対向する横側壁部21aに設けてある。走行装置に作用する駐車ブレーキ190を、ミッションケース21の運転部5に対向する横側壁部21bに設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転部を有した走行車体の前記運転部の横側方に位置する箇所に連結された刈取り前処理部と、前記刈取り前処理部の刈取り前処理部フレームと前記運転部との間に配置して前記走行車体に設けたミッションケースとを備え、エンジンからの駆動力を走行装置に伝達する伝動ミッションを、前記ミッションケースに収容してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、たとえば特許文献1に記載されたコンバインがあった。特許文献1に記載されたコンバインでは、走行用副変速装置、操向クラッチ及び旋回補助クラッチが備えられた伝動ミッションとしての走行用連動機構がミッションケースに収容され、操向クラッチを油圧ピストンによって操作する油圧機構、旋回補助クラッチを油圧ピストンによって操作する油圧機構をミッションケースの内部に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−192972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構をミッションケースの内部に設けると、油圧機構の操作力を操作対象部材に仲介部材を介さずに作用させるなど、油圧機構と操作対象部材とを構造簡単に連係させることが可能となる。しかし、油圧機構の操作弁機構がミッションケースから離れて位置することになれば、油圧機構と操作弁機構とを接続する油圧回路の長さが長くなるなど不利になる。また、操作弁機構が手の届きにくい箇所に位置することになれば、操作弁機構の点検や修理が行ないにくくなる。
【0005】
駐車ブレーキをミッションケースに設けると、駐車ブレーキを伝動ミッションを介して走行装置に作用させ、比較的小型の駐車ブレーキを採用しても、伝動ミッションをトルク調整手段に利用して、走行装置に適切な強さの制動力を掛けることが可能となる。しかし、駐車ブレーキが運転部から離れた箇所に位置することになれば、運転部に設ける操作具と駐車ブレーキとを連係させるのに、連係用の距離が長い連係手段が必要になって不利になる。
【0006】
本発明の目的は、伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構を操作対象部材に簡単に連係させることができ、かつ小型の駐車ブレーキを採用しても、走行装置に適切な制動力を作用させることができるものでありながら、油圧機構と操作弁機構とを接続する油圧回路の面、操作弁機構の点検や修理の面、駐車ブレーキと操作具を連係させる連係手段の面のそれぞれにおいて有利な状態に得ることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、運転部を有した走行車体の前記運転部の横側方に位置する箇所に連結された刈取り前処理部と、前記刈取り前処理部の刈取り前処理部フレームと前記運転部との間に配置して前記走行車体に設けたミッションケースとを備え、エンジンからの駆動力を走行装置に伝達する伝動ミッションを、前記ミッションケースに収容してあるコンバインにおいて、
前記伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構を、前記ミッションケースの内部に設け、
前記油圧機構を操作する操作弁機構を、前記ミッションケースの前記刈取り前処理部フレームに対向する横側壁部に設け、
前記走行装置に作用する駐車ブレーキを、前記ミッションケースの前記運転部に対向する横側壁部に設けてある。
【0008】
本第1発明の構成によると、伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構をミッションケースの内部に設けたものだから、油圧機構の操作力を操作対象部材に仲介部材を介さずに作用させるなど、油圧機構と操作対象部材とを構造簡単に連係させることができる。
【0009】
本第1発明の構成によると、油圧機構の操作弁機構を、ミッションケースの刈取り前処理部フレームに対向する横側壁部に設けたものだから、油圧機構と操作弁機構とを接続する油圧回路を構造簡単なもので済ませることができ、かつ操作弁機構の点検や修理を簡単かつ容易に行なえるようにできる。
【0010】
つまり、油圧機構及び操作弁機構を互いに近くに位置し合う状態で装備して、油圧機構と操作弁機構を回路長さが短いなど構造簡単な油圧回路によって接続することができる。
【0011】
コンバインでは、刈取り前処理部を作業用の閉じ状態と点検用の開き状態とに切り換え自在に構成されることがあり、刈取り前処理部を点検用の開き状態に切り換え操作するだけで、刈取り前処理部フレームをミッションケースの操作弁機構が位置する横側壁部から離間させて操作弁機構の付近を開放できるなど、操作弁機構の点検や修理が容易となる作業用スペースを確保しやすくできる。
【0012】
本第1発明の構成によると、走行装置に作用する駐車ブレーキをミッションケースの運転部に対向する横側壁部に設けてあるものだから、比較的小型の駐車ブレーキを採用しても、伝動ミッションを制動力調整手段に利用して走行装置に適切な強さの制動力を掛けることができ、かつ、駐車ブレーキと運転部に位置する操作具を連係させる連係手段を、連係用の距離が短い構造簡単なもので済ませることができる。
【0013】
従って、伝動ミッションの切り換えを油圧機構によってスムーズに行なうことができ、かつ走行装置に適切な強さの制動力で駐車ブレーキを掛けることができるものでありながら、油圧機構を操作対象部材に連係させる連係手段、油圧操作機構と操作弁機構を接続する油圧回路、駐車ブレーキと操作具を連係させる連係手段のそれぞれを構造簡単なものに済ませて、かつ駐車ブレーキを小型なものに済ませて全体として安価に得ることができる。
【0014】
本第2発明では、前記操作弁機構を、前記ミッションケースの前記刈取り前処理部フレームに対向する横側壁部に脱着自在に支持された油圧ブロックに組み付けてある。
【0015】
本第2発明の構成によると、油圧ブロックをミッションケースに対して脱着することにより、操作弁機構の全体をミッションケースに対して一挙に脱着することができる。
【0016】
従って、操作弁機構を点検や修理する作業を行なうに当たり、操作弁機構の全体のミッションケースに対する脱着を迅速に行なって能率よく行なうことができる。
【0017】
本第3発明では、前記駐車ブレーキを、前記伝動ミッションの伝動軸の前記ミッションケース外に突出した端部に装着した状態で前記ミッションケースの前記運転部に対向する横側壁部の外面側に組み付けてある。
【0018】
本第3発明の構成によると、ミッションケースを開放せずに駐車ブレーキをミッションケースに対して脱着することができる。
【0019】
従って、駐車ブレーキを点検や修理あるいは交換する作業を行なうに当たり、駐車ブレーキのミッションケースに対する脱着の面から能力よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】走行伝動装置を示す線図である。
【図4】ミッションケースの展開状態を示す縦断正面図である。
【図5】主変速部、第1副変速部及び第2副変速部を示す縦断正面図である。
【図6】操向機構部の展開状態を示す縦断正面図である。
【図7】操向機構部を示す断面図である。
【図8】第2副変速部を示す断面図である。
【図9】操向機構部を示す断面図である。
【図10】伝動ミッションを切り換え操作する操作装置、及び主変速部に作動油を補給する給油装置を示す油圧回路図である。
【図11】ミッションケースを示す左側面図である。
【図12】ミッションケースを示す右側面図である。
【図13】ミッションケースを示す正面図である。
【図14】刈取り前処理部の閉じ状態を示す平面図である。
【図15】刈取り前処理部の開き状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施の形態に係るコンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1,1によって自走する走行車体と、この走行車体の車体フレーム2の前部に連結された刈取り前処理部10と、車体フレーム2の後部側に刈取り前処理部10の走行車体後方側に配置して設けた脱穀装置3と、車体フレーム2の後部側に脱穀装置3と走行車体横方向に並べて設けた穀粒タンク4とを備えて構成してある。
【0022】
走行車体は、車体フレーム2の前端側の横端部に設けた運転部5を備えている。運転部5は、穀粒タンク4の走行車体前側に位置した運転座席6を有した搭乗型になっており、走行車体は、運転部5に搭乗して操縦するように乗用型になっている。走行車体は、運転座席6の下方に設けたエンジン7が装備された原動部を備え、このエンジン7が出力する駆動力によって左右一対の走行装置1,1を駆動して自走する。
【0023】
刈取り前処理部10は、走行車体の車体フレーム2の前端部に運転部5の横側方に配置して設けた支持部8に上下揺動自在に連結された刈取り前処理部フレーム11を備えている。この刈取り前処理部フレーム11は、車体フレーム2の支持部8に基端側が回動自在に支持される走行車体前後向きの主フレーム部11aと、この主フレーム部11aの前端部に走行車体横方向に所定間隔を隔てて並べて連結された走行車体前後向きの複数本の分草フレーム12とを備えている。
【0024】
刈取り前処理部10は、刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aと車体フレーム2とにわたって取り付けられた油圧シリンダ9によって刈取り前処理部フレーム11が上下に揺動操作されることにより、各分草フレーム12の前端部に取り付けてある分草具13が圃場面の近くに下降した下降作業位置と、各分草具13が圃場面から高く上昇した上昇非作業位置とに昇降操作される。
【0025】
コンバインは、刈取り前処理部10が下降作業位置に下降された状態で走行車体が走行されることにより、稲、麦などの作物の収穫を行なう。
【0026】
すなわち、刈取り前処理部10は、分草具13によって刈取り対象の植立穀稈を隣り合う分草フレーム12どうしの間に導入し、分草フレーム12どうしの間に入り込んだ植立穀稈を引起し装置14によって引起し処理し、各引起し装置14が引起し処理する植立穀稈の株元をバリカン形の刈取り装置15によって刈取り、刈取穀稈を供給装置16によって刈取り前処理部10の後端側に搬送して脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの始端部に供給する。
【0027】
脱穀装置3は、刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン3aによって挟持して脱穀装置3の後側に向けて搬送し、刈取り穀稈の穂先側を脱穀室に供給して脱穀処理し、脱穀粒を揚穀装置3bによって穀粒タンク4の上部に位置する投入口に揚送して投入口から穀粒タンク4の内部に供給する。穀粒タンク4は、供給された脱穀粒を貯留する。
【0028】
走行車体は、車体フレーム2の前端部に運転部5と刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aとの間に配置して設けたミッションケース21を有した走行伝動装置20を備えており、この走行伝動装置20により、エンジン7からの動力を左右一対の走行装置1,1に伝達する。
【0029】
図2に示すように、走行車体横方向に並ぶ複数の分草具13のうちの最も走行車体左側に位置する分草具13の先端13aの走行車体横方向での位置と、走行車体左側に位置する走行装置1におけるクローラベルトの走行車体横方向での外側端の走行車体横方向での位置とがほぼ一致するように、かつ、走行車体横方向に並ぶ複数の分草具13のうちの最も走行車体右側に位置する分草具13の先端13bの走行車体横方向での位置と、走行車体右側に位置する走行装置1におけるクローラベルトの走行車体横方向での外側端の走行車体横方向での位置とがほぼ一致するように、刈取り前処理部10を構成してある。
つまり、中割り形態での作業走行を行なう場合、左右一対の走行装置1,1による植立穀稈の踏み付けを容易に回避しながら走行できるようになっている。
【0030】
走行伝動装置20について説明する。
図3は、走行伝動装置20を示す線図である。図4は、ミッションケース21の展開状態を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、走行伝動装置20は、ミッションケース21を備える他、ミッションケース21の上端部に走行車体横向きに設けた入力軸22と、ミッションケース21の下端部に走行車体横向きに設けた左右一対の走行駆動軸1a,1aと、入力軸22と左右一対の走行駆動軸1a,1aとにわたって設けた伝動ミッション23とを備えて構成してある。
【0031】
図3に示すように、入力軸22は、入力軸22のミッションケース21の外部に突出している端部に一体回転自在に設けられた入力ベルトプーリ24を備えており、この入力ベルトプーリ24に伝動ベルト25を介してエンジン7の出力軸7aから伝達された駆動力をミッションケース21に入力する。
【0032】
左側の走行駆動軸1aは、左側の走行装置1のクローラ駆動輪体1bに一体回転自在に連結されており、伝動ミッション23によって伝達された駆動力によってクローラ駆動輪体1bを駆動して左側の走行装置1を駆動する。右側の走行駆動軸1aは、右側の走行装置1のクローラ駆動輪体1bに一体回転自在に連結されており、伝動ミッション23によって伝達された駆動力によってクローラ駆動輪体1bを駆動して右側の走行装置1を駆動する。
【0033】
伝動ミッション23は、入力軸22を有した主変速部30と、この主変速部30の出力ギヤ31に入力ギヤ41が噛み合っている第1副変速部40と、この第1副変速部40の低速出力ギヤ42及び高速出力ギヤ43に入力軸51が一体回転自在に連結している第2副変速部50と、この第2副変速部50の出力ギヤ52に入力ギヤ61が噛み合っている操向機構部60とを備えて構成してある。
【0034】
図5は、主変速部30を示す縦断正面図である。この図及び図3,4に示すように、主変速部30は、前記入力軸22をポンプ軸として有した油圧ポンプ32と、この油圧ポンプ32からの圧油によって駆動されるように油圧ポンプ32に接続された油圧モータ33とを備えて構成してある。
【0035】
油圧ポンプ32は、可変容量形の油圧ポンプによって構成してある。油圧モータ33は、出力軸34をモータ軸として備えている。
【0036】
主変速部30は、油圧ポンプ32の斜板角の変更操作が行なわれることにより、前進状態と中立状態と後進状態とに切り換わるように、かつ前進状態および後進状態において出力軸34の回転速度を無段階に変更するように静油圧式無段変速部になっている。
【0037】
したがって、主変速部30は、前進状態に切り換えられると、入力軸22の駆動力を前進駆動力に変換して出力ギヤ31から第1副変速部40の入力ギヤ41に伝達し、入力ギヤ41に伝達する回転速度を無段階に変更する。主変速部30は、中立状態に切り換えられると、出力ギヤ31を停止させて第1副変速部40の入力ギヤ41に対する伝動を停止する。主変速部30は、後進状態に切り換えられると、入力軸22の駆動力を後進駆動力に変換して出力ギヤ31から第1副変速部40の入力ギヤ41に伝達し、入力ギヤ41に伝達する回転速度を無段階に変更する。
【0038】
図5は、第1副変速部40を示す縦断正面図である。この図及び図3,4に示すように、第1副変速部40は、前記入力ギヤ41、前記低速出力ギヤ42及び前記高速出力ギヤ43を備える他、入力ギヤ41が一体回転自在に連結している入力軸44と、この入力軸44に一体回転及び摺動操作自在に支持されたシフトギヤ45と、シフトギヤ45の両横側に振り分けて入力軸44に相対回転自在に支持させた低速変速ギヤ46と高速変速ギヤ47とを備えて構成してある。
【0039】
つまり、第1副変速部40は、シフトギヤ45がシフト操作されてシフトギヤ45と、低速変速ギヤ46の横側部に位置するギヤ部とが咬合することにより、低速状態に切り換わる。第1副変速部40は、低速状態に切り換わると、入力ギヤ41の駆動力を、入力軸44、シフトギヤ45、低速変速ギヤ46を介して低速出力ギヤ42に伝達して低速出力ギヤ42から第2副変速部50の入力軸51に伝達する。
【0040】
第1副変速部40は、シフトギヤ45がシフト操作されてシフトギヤ45と、高速変速ギヤ47の横側部に位置するギヤ部とが咬合することにより、高速状態に切り換わる。第1副変速部40は、高速状態に切り換わると、入力ギヤ41の駆動力を、入力軸41、シフトギヤ45、高速変速ギヤ47を介して高速出力ギヤ43に伝達して高速出力ギヤ43から第2副変速部50の入力軸51に伝達する。
【0041】
図3,4,5に示すように、第1副変速部40の入力軸44は、ミッションケース21の外部に突出している端部に一方向回転クラッチ48を介して取り付けられた出力ベルトプーリ49を備えており、この出力ベルトプーリ49から伝動ベルト186を介して刈取り前処理部10の刈取り前処理部フレーム11に動力伝達する。
【0042】
図5は、第2副変速部50を示す縦断正面図である。図8は、第2副変速部50を示す断面図である。これらの図及び図3.4に示すように、第2副変速部50は、前記入力軸51及び前記出力ギヤ52を備える他、入力軸51に相対回転自在に支持されたシフトギヤ53と、このシフトギヤ53と第1副変速部40の低速出力ギヤ42とにわたって設けた噛み合いクラッチ54と、入力軸51に相対回転自在に支持された高速変速ギヤ55と、この高速変速ギヤ55と入力軸51とにわたって設けた多板式の摩擦クラッチ56と、出力ギヤ52を一体回転自在に支持する伝動軸57と、出力ギヤ52の両横側に振り分けて伝動軸57に一体回転自在に支持させた低速伝動ギヤ58と高速伝動ギヤ59とを備えて構成してある。
【0043】
シフトギヤ53と低速伝動ギヤ58とは、噛み合っている。シフトギヤ53と低速伝動ギヤ58との噛み合いは、シフトギヤ53のシフト操作にかかわらず維持される。高速変速ギヤ55と高速伝動ギヤ59とは噛み合っている。
【0044】
第2副変速部50は、シフトギヤ53が第1副変速部40の低速出力ギヤ42に向けてシフト操作されて噛み合いクラッチ54によって低速出力ギヤ42に係合操作され、摩擦クラッチ56が切り状態に切り換え操作されることにより、低速状態に切り換わる。第2副変速部50は、低速状態に切り換わると、第1副変速部40の低速出力ギヤ42の駆動力を、噛み合いクラッチ54、シフトギヤ53、低速伝動ギヤ58、伝動軸57を介して出力ギヤ52に伝達して出力ギヤ52から操向機構部60の入力ギヤ61に伝達する。
【0045】
第2副変速部50は、シフトギヤ53が第1副変速部40の低速出力ギヤ42から離脱操作され、摩擦クラッチ56が入り状態に切り換え操作されることにより、高速状態に切り換わる。第2副変速部50は、高速状態に切り換わると、入力軸51の駆動力を、摩擦クラッチ56、高速変速ギヤ55、高速伝動ギヤ59、伝動軸57を介して出力ギヤ52に伝達して出力ギヤ52から操向機構部60の入力ギヤ61に伝達する。
【0046】
図6は、操向機構部60の展開状態を示す縦断正面図である。図7は、操向機構部60を示す断面図である。図9は、操向機構部60を示す断面図である。これらの図及び図3,4に示すように、操向機構部60は、前記入力ギヤ61を備える他、入力ギヤ61を相対回転自在に支持する支軸62と、入力ギヤ61の左横側に配置して支軸62に相対回転及び摺動自在に支持させた左操向クラッチギヤ63と、入力ギヤ61の右横側に配置して支軸62に相対回転及び摺動自在に支持させた右操向クラッチギヤ64と、左側の走行駆動軸1aの端部に一体回転自在に設けた左走行駆動ギヤ65と、右側の走行駆動軸1aの端部に一体回転自在に設けた右走行駆動ギヤ66とを備えている。
【0047】
左操向クラッチギヤ63及び右操向クラッチギヤ64は、支軸62に沿わせて摺動操作されることにより、入力ギヤ61の内周側に設けた内周歯部に係脱操作される。左操向クラッチギヤ63と左走行駆動ギヤ65とは、噛み合っている。左操向クラッチギヤ63と左走行駆動ギヤ65との噛み合いは、左操向クラッチギヤ63の摺動操作にかかわらず維持される。右操向クラッチギヤ64と右走行駆動ギヤ66とは、噛み合っている。右操向クラッチギヤ64と右走行駆動ギヤ66との噛み合いは、右操向クラッチギヤ64の摺動操作にかかわらず維持される。
【0048】
操向機構部60は、入力ギヤ61の横側部に一体回転自在に設けた小径伝動ギヤ67と、この小径伝動ギヤ67に噛み合った伝動ギヤ68と、この伝動ギヤ68を相対回転自在に支持する伝動軸69と、この伝動軸69と伝動ギヤ68とにわたって設けた減速伝動クラッチ70と、伝動軸69の左側端部とミッションケース21の左側の横側壁部21aとにわたって設けた操向ブレーキ71と、伝動軸69に一体回転自在に設けた左右一対の減速ギヤ72,72と、左側の減速ギヤ72に噛み合った状態で支軸62に相対回転自在に支持されている左減速伝動ギヤ73と、この左減速伝動ギヤ73と左操向クラッチギヤ63とにわたって設けた多板式の左摩擦クラッチ74と、右側の減速ギヤ72に噛み合った状態で支軸62に相対回転自在に支持された右減速伝動ギヤ75と、この右減速伝動ギヤ75と右操向クラッチギヤ64とにわたって設けた多板式の右摩擦クラッチ76とを備えている。
【0049】
従って、操向機構部60は、左操向クラッチギヤ63及び右操向クラッチギヤ64が入力ギヤ61の内周歯部に噛み合い操作され、左摩擦クラッチ74及び右摩擦クラッチ76が切り状態に操作されると、直進状態に切り換わる。
【0050】
操向機構部60は、左操向クラッチギヤ63と右操向クラッチギヤ64の一方が入力ギヤ61の内周歯部に噛み合い操作され、左操向クラッチギヤ63と右操向クラッチギヤ64の他方が入力ギヤ61の内周歯部から離脱操作され、入力ギヤ61の内周歯部に対して離脱している左操向クラッチギヤ63又は右操向クラッチギヤ64に対応する左摩擦クラッチ74又は右摩擦クラッチ76が入り状態に操作されると、旋回状態に切り換わる。
【0051】
操向機構部60は、旋回状態に切り換わった場合、減速伝動クラッチ70が入り状態に切り換え操作されると、入り状態になっている左摩擦クラッチ74又は右摩擦クラッチ76に対応する左側の走行装置1又は右側の走行装置1を、入力ギヤ61の内周歯部に係合している右操向クラッチギヤ67又は左操向クラッチギヤ64に対応する右側の走行装置1又は左側の走行装置1よりも低速で駆動する。
【0052】
操向機構部60は、旋回状態に切り換わった場合、操向ブレーキ71が入り状態に切り換え操作されると、入り状態になっている左摩擦クラッチ74又は右摩擦クラッチ76に対応する左側の走行装置1又は右側の走行装置1にブレーキを掛ける。
【0053】
図4,5,6,7,8に示すように、第2副変速部50は、シフトギヤ53の入力軸51に外嵌するボス部に一体成形した油圧ピストン81を有した第1の油圧機構80と、摩擦クラッチ56のクラッチボディの内部に位置した状態で入力軸51に外嵌している油圧ピストン86を有した第2の油圧機構85とを備え、第1及び第2の油圧機構80,85によって低速状態と高速状態とに切り換え操作される。
【0054】
すなわち、第1の油圧機構80は、前記油圧ピストン81を備える他、入力軸51に外嵌している部材とシフトギヤ53とによってシフトギヤ53の内部に形成される油室82(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン81は、油室82に油圧が供給されることにより、この油圧によって第1副変速部40の低速出力ギヤ42から離間する側に摺動操作されてシフトギヤ53を低速出力ギヤ42に対して離脱操作する。油圧ピストン81は、油室82から油圧が排出されることにより、スプリング83によって摺動操作されてシフトギヤ53をスプリング83によって低速出力ギヤ42に係合操作させる。
【0055】
第2の油圧機構85は、前記油圧ピストン86を備える他、摩擦クラッチ56のクラッチボディと入力軸51とによってクラッチボディの内部に形成される油室87(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン86は、油室87に油圧が供給されることにより、この油圧によって押圧操作されて摩擦クラッチ56の摩擦プレートを有したクラッチ本体を圧接操作して摩擦クラッチ56を入り状態に操作する。油圧ピストン86は、油室87から油圧が排出されることにより、油圧による押圧操作が解除されてクラッチ本体の圧接操作を解除して摩擦クラッチ56を切り状態に操作する。
【0056】
図4,5,6,7,9に示すように、操向機構部60は、左操向クラッチギヤ63の内周側に一体成形した油圧ピストン91を有した第3の油圧機構90と、右操向クラッチギヤ64の内周側に一体成形した油圧ピストン96を有した第4の油圧機構95と、左摩擦クラッチ74のクラッチボディの内部に設けた油圧ピストン101を有した第5の油圧機構100と、右摩擦クラッチ76のクラッチボディの内部に設けた油圧ピストン106を有した第6の油圧機構105と、減速伝動クラッチ70のクラッチボディの内部に設けた油圧ピストン111を有した第7の油圧機構110と、ミッションケース21の左側の側壁部21aに取り付けられた油圧ブロック185に組み付けられた油圧ピストン116を有した第8の油圧機構115とを備えている。
【0057】
操向機構部60は、第3の油圧機構90による左操向クラッチギヤ63の切り換え操作、第4の油圧機構95による右操向クラッチギヤ64の切り換え操作、第5の油圧機構100による左摩擦クラッチ74の切り換え操作、第6の油圧機構105による右摩擦クラッチ76の切り換え操作、第7の油圧機構110による減速伝動クラッチ70の切り換え操作、第8の油圧機構115による操向ブレーキ71の切り換え操作により、直進状態と普通旋回状態とソフト旋回状態とブレーキ旋回状態とに切り換え操作される。
【0058】
すなわち、第3の油圧機構90は、前記油圧ピストン91を備える他、左操向クラッチギヤ63と支軸62とによって左操向クラッチギヤ63の内部に形成される油室92(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン91は、油室92に油圧が供給されることにより、この油圧によって摺動操作されて左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61の内周歯部に対して離脱操作する。油圧ピストン91は、油室92から油圧が排出されることにより、スプリング93によって摺動操作されて左操向クラッチギヤ63をスプリング93によって入力ギヤ61の内周歯部に係合させる。
【0059】
第4の油圧機構95は、前記油圧ピストン96を備える他、右操向クラッチギヤ64と支軸62とによって右操向クラッチギヤ64の内部に形成される油室97(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン96は、油室97に油圧が供給されることにより、この油圧によって摺動操作されて右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61の内周歯部に対して離脱操作する。油圧ピストン96は、油室97から油圧が排出されることにより、スプリング98によって摺動操作されて右操向クラッチギヤ64をスプリング98によって入力ギヤ61の内周歯部に係合させる。
【0060】
第5の油圧機構100は、前記油圧ピストン101を備える他、左摩擦クラッチ74のクラッチボディによってこのクラッチボディの内部に形成された油室102(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン101は、油室102に油圧が供給されることにより、この油圧によって押圧操作されて左摩擦クラッチ74の摩擦プレートを有したクラッチ本体を圧接操作して左摩擦クラッチ74を入り状態に操作する。油圧ピストン101は、油室102から油圧が排出されることにより、油圧による押圧操作が解除されてクラッチ本体の圧接操作を解除して左摩擦クラッチ74を切り状態に操作する。
【0061】
第6の油圧機構105は、前記油圧ピストン106を備える他、右摩擦クラッチ76のクラッチボディによってこのクラッチボディの内部に形成された油室107(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン106は、油室107に油圧が供給されることにより、この油圧によって押圧操作されて右摩擦クラッチ76の摩擦プレートを有したクラッチ本体を圧接操作して右摩擦クラッチ76を入り状態に操作する。油圧ピストン106は、油室107から油圧が排出されることにより、油圧による押圧操作が解除されてクラッチ本体の圧接操作を解除し、右摩擦クラッチ76を切り状態に操作する。
【0062】
第7の油圧機構110は、前記油圧ピストン111を備える他、減速伝動クラッチ70のクラッチボディと入力軸69とによってクラッチボディの内部に形成される油室112(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン111は、油室112に油圧が供給されることにより、この油圧によって押圧操作されて減速伝動クラッチ70の摩擦プレートを有したクラッチ本体を圧接操作して減速伝動クラッチ70を入り状態に操作する。油圧ピストン111は、油室112から油圧が排出されることにより、スプリング113によって押圧操作されてクラッチ本体の圧接操作を解除し、減速伝動クラッチ70を切り状態に操作する。
【0063】
第8の油圧機構115は、前記油圧ピストン116を備える他、油圧ブロック185の内面側に設けた油室117(図10参照)を備えて構成してある。油圧ピストン116は、油室117に油圧が供給されることにより、この油圧によって押圧操作されて操向ブレーキ71の摩擦ディスクを有したブレーキ本体を圧接操作して操向ブレーキ71を入り状態に操作する。油圧ピストン116は、油室117から油圧が排出されることにより、油圧による押圧操作が解除されてブレーキ本体の圧接操作を解除し、操向ブレーキ71を切り状態に操作する。
【0064】
図10は、伝動ミッション23を切り換え操作する操作装置Sを示す油圧回路図である。この図に示すように、伝動ミッション23を切り換え操作する操作装置Sは、第1の油圧機構80の油室82に油路121を介して接続され、かつ第2の油圧機構85の油室87に油路122を介して接続されたパイロット操作弁123を有した副変速の操作弁機構120と、第3及び第5の油圧機構90,100の油室92,102に油路131を介して接続されたパイロット操作弁132を有した左旋回の操作弁機構130と、第4及び第6の油圧機構95,105の油室97,107に油路141を介して接続されたパイロット操作弁142を有した右旋回の操作弁機構140と、第7の油圧機構110の油室112に油路151を介して接続され、かつ第8の油圧機構115の油室117に油路152を介して接続されたパイロット操作弁153を有した旋回モード設定の操作弁機構150とを備えて構成してある。
【0065】
図10に示すように、副変速の操作弁機構120は、パイロット操作弁123を備える他、第2の油圧機構85の油室87に油路124を介して接続された開閉弁125と、パイロット操作弁123に油路126を介して接続された副変速電磁弁127とを備えて構成してある。開閉弁125は、第1の油圧機構80の油圧ピストン81に連係されている。第2の油圧機構85の油室87に油路124を介してアキュムータ128の吐出部が接続されている。アキュムレータ128の吸入部が油路129を介して油路126に接続されている。
【0066】
図10に示すように、左旋回の操作弁機構130は、パイロット操作弁132を備える他、このパイロット操作弁132にパイロット油路133を介して接続された左旋回電磁弁134を備えて構成してある。
【0067】
図10に示すように、右旋回の操作弁機構140は、パイロット操作弁142を備える他、このパイロット操作弁142にパイロット油路143を介して接続された右旋回電磁弁144を備えて構成してある。
【0068】
図10に示すように、旋回モード設定の操作弁機構150は、パイロット操作弁153を備える他、このパイロット操作弁153にパイロット油路154を介して接続されたモード設定電磁弁155を備えて構成してある。パイロット操作弁153は、給油路157を介して第3及び第4の油圧機構90,95の油室92,97に接続される。給油路157は、電磁比例弁158を備えている。給油路157の電磁比例弁158と第3及び第4の油圧機構90,95との間にリリーフ油路159が接続されている。
【0069】
図10に示すように、伝動ミッション23を切り換え操作する操作装置Sは、ミッションケース21の油取り出し部に一端側が接続された吸引油路160と、この吸引油路160の他端側に吸入部が接続された油圧ポンプ161と、この油圧ポンプ161の吐出部を副変速電磁弁127、左旋回電磁弁134、右旋回電磁弁144及びモード設定電磁弁155に接続する給油路162と、この給油路162の途中をパイロット操作弁132及びパイロット操作弁142に接続することにより、パイロット操作弁132及びパイロット操作弁142に油圧ポンプ161の吐出部を接続する給油路163とを備えている。
【0070】
図10に示すように、吸引油路160は、ミッションケース21の油取り出し部に一端側が連通された1本の上流側油路部160aと、この上流側油路部160aの他端側から分岐して延出している2本の下流側油路部160b、160cとを備えて構成してある。油圧ポンプ161は、2本の下流側油路部160b、160cの一方の下流側油路部160bに接続されている。吸引油路160は、上流側油路部160aに設けられた吸引側フィルター164を備えている。
【0071】
図10に示すように、主変速部30は、これのドレンポート35から延出されたドレン油路165を備えている。このドレン油路165の延出端が、吸引油路160の下流側油路部160bに設けてあることによって吸引油路160のうちの吸引側フィルター164と油圧ポンプ161との間の位置する排油箇所166に連通されており、ドレン油路165は、主変速部30から排出したドレン油を油圧ポンプ161にミッションケース21を介さないで吸引されるように吸引油路160に排出する。
【0072】
したがって、操作装置Sは、油圧ポンプ161のポンプ作用により、ミッションケース21に伝動ミッション23の潤滑用に貯留されている潤滑油をミッションケース21から取り出して吸引側フィルター164に流入させてろ過処理し、ろ過処理した後の潤滑油と、ドレン油路165によって吸引油路160の下流側油路部160bに排出された主変速部30からのドレン油とを合流させ、合流した油を給油路162によって副変速電磁弁127、左旋回電磁弁134、右旋回電磁弁144及びモード設定電磁弁155に作動油として供給し、かつ合流した油を給油路163によってパイロット操作弁132及びパイロット操作弁142に作動油として供給し、副変速電磁弁127が切り換え操作されることによって伝動ミッション23における第2副変速部50の切り換え操作を行い、左旋回電磁弁134、右旋回電磁弁144、モード設定電磁弁155及び電磁比例弁158が切り換え操作されることによって伝動ミッション23における操向機構部60の切り換え操作を行う。
【0073】
つまり、副変速電磁弁127が低速状態に切り換え操作されると、副変速電磁弁127が油路126から油圧を排出して油路126がパイロット操作弁123に対するパイロット油圧の供給を解除し、パイロット操作弁123が排油状態に切り換えられて第1の油圧機構80の油室82から油圧を排出し、シフトギヤ53をスプリング83の操作力によって低速出力ギヤ42に係合させる。この場合、開閉弁125が低速ギヤ42の摺動によって開き状態に切り換え操作されて第2の油圧機構85の油室87から油圧を排出して油圧ピストン86が摩擦クラッチ56を切り状態に切り換え操作する。
【0074】
副変速電磁弁127が高速状態に切り換え操作されると、副変速電磁弁127が油路126に油圧を供給して油路126がパイロット操作弁123にパイロット油圧を供給し、パイロット操作弁123が給油状態に切り換え操作されて第1の油圧機構80の油室82に油圧を供給し、油圧ピストン81がスプリング83に抗して摺動操作されてシフトギヤ53を低速出力ギヤ42から離脱操作する。この場合、開閉弁125がシフトギヤ53の摺動によって閉じ状態に切り換え操作され、アキュムレータ128が第2の油圧機構85の油室87に油圧を供給して油圧ピストン86が摩擦クラッチ56を入り状態に切り換え操作する。
【0075】
左旋回電磁弁134が非旋回状態に切り換え操作されると、左旋回電磁弁134がパイロット油路133から油圧を排出してパイロット油路133がパイロット操作弁132に対するパイロット油圧の供給を解除し、パイロット操作弁132が排油状態に切り換えられて第3及び第5の油圧機構90,100の油室92,102から油圧を排出し、スプリング93が左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61に係合操作し、油圧ピストン101が左摩擦クラッチ74を切り状態に切り換え操作する。
【0076】
左旋回電磁弁134が旋回状態に切り換え操作されると、左旋回電磁弁134がパイロット油路133に油圧を供給してパイロッド油路133がパイロット操作弁132にパイロット油圧を供給し、パイロット操作弁132が給油状態に切り換えられて第3及び第5の油圧機構90,100の油室92,102に油圧を供給し、油圧ピストン91がスプリング93に抗して操作されて左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61から離脱操作し、油圧ピストン101が左摩擦クラッチ74を入り状態に切り換え操作する。
【0077】
右旋回電磁弁144が非旋回状態に切り換え操作されると、右旋回電磁弁144がパイロット油路143から油圧を排出してパイロット油路143がパイロット操作弁142に対するパイロット油圧の供給を解除し、パイロット操作弁142が排油状態に切り換えられて第4及び第6の油圧機構95,105の油室97,107から油圧を排出し、スプリング98が右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61に係合操作し、油圧ピストン106が右摩擦クラッチ76を切り状態に切り換え操作する。
【0078】
右旋回電磁弁144が旋回状態に切り換え操作されると、右旋回電磁弁144がパイロット油路143に油圧を供給してパイロット油路143がパイロット操作弁142にパイロット油圧を供給し、パイロット操作弁142が給油状態に切り換えられて第4及び第6の油圧機構95,105の油室97,107に油圧を供給し、油圧ピストン96がスプリング98に抗して操作されて右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61から離脱操作し、油圧ピストン106が右摩擦クラッチ76を入り状態に切り換え操作する。
【0079】
モード設定電磁弁155がソフト旋回モードの状態に切り換え操作されると、モード設定電磁弁155がパイロット油路154から油圧を排出してパイロット油路154がパイロット操作弁153に対するパイロット油圧の供給を解除し、パイロット操作弁153がクラッチ状態に切り換えられて第3及び第4の油圧機構90,95の油室92,97から電磁比例弁158を介して供給される油圧を第7の油圧機構110の油室112に供給して油圧ピストン111が減速伝動クラッチ70を入り状態に切り換え操作する。この場合、パイロット操作弁153が第8の油圧機構115の油室117から油圧を排出して油圧ピストン116が操向ブレーキ71を切り状態に切り換え操作する。
【0080】
モード設定電磁弁155がブレーキ旋回モードの状態に切り換え操作されると、モード設定電磁弁155がパイロット油路154に油圧を供給してパイロット油路154がパイロット操作弁153にパイロット油圧を供給し、パイロット操作弁153がブレーキ状態に切り換え操作されて第3及び第4の油圧機構90,95の油室から電磁比例弁158を介して供給される油圧を第8の油圧機構115の油室117に供給して油圧ピストン116が操向ブレーキ71を入り状態に切り換え操作する。この場合、パイロット操作弁153が第7の油圧機構110の油室112から油圧を排出して油圧ピストン111が減速伝動クラッチ70を切り状態に切り換え操作する。
【0081】
したがって、操作装置Sは、副変速電磁弁127が低速状態に切り換え操作されることにより、伝動ミッション23における第2副変速部50を低速状態に切り換え、副変速電磁弁127が高速状態に切り換え操作されることにより、第2副変速部50を高速状態に切り換える。
【0082】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134及び右旋回電磁弁144が非旋回状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63及び右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61に係合操作し、かつ左摩擦クラッチ74及び右摩擦クラッチ76を切り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を直進状態に切り換え操作する。操向機構部60は、直進状態に切り換えられると、走行車体が直進走行するように左右の走行装置1,1を等速度で駆動する。
【0083】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が非旋回状態に切り換え操作され、電磁比例弁158が排油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61から離脱操作し、左摩擦クラッチ74を入り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61に係合操作し、右摩擦クラッチ76を切り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を及び操向ブレーキ71を切り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を左旋回の普通旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、左旋回の普通旋回状態に切り換えられると、走行車体が左向きに大旋回半径で旋回走行するように左側の走行装置1を停止させながら右側の走行装置1を駆動する。
【0084】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が非旋回状態に切り換え操作され、モード設定電磁弁155がソフト旋回モードの状態に切り換え操作れ、電磁比例弁158が給油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61から離脱操作し、左摩擦クラッチ74を入り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61に係合操作し、右摩擦クラッチ76を切り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を入り状態に操作し、操向ブレーキ71を切り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を左旋回のソフト旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、左旋回のソフト旋回状態に切り換えられると、走行車体が左向きに中旋回半径で旋回走行するように右側の走行装置1を駆動するとともに左側の走行装置1を右側の走行装置1よりも低速で駆動する。
【0085】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が非旋回状態に切り換え操作され、モード設定電磁弁155がブレーキ旋回モードの状態に切り換え操作れ、電磁比例弁158が給油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61から離脱操作し、左摩擦クラッチ74を入り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61に係合操作し、右摩擦クラッチ76を切り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を切り状態に操作し、操向ブレーキ71を入り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を左旋回のブレーキ旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、左旋回のブレーキ旋回状態に切り換えられると、走行車体が左向きに小旋回半径で旋回走行するように左側の走行装置1にブレーキを掛けながら右側の走行装置1を駆動する。
【0086】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が非旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が旋回状態に切り換え操作され、電磁比例弁158が排油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61に係合操作し、左摩擦クラッチ74を切り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61から離脱操作し、右摩擦クラッチ76を入り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を切り状態に操作し、操向ブレーキ71を切り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を右旋回の普通旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、右旋回の普通旋回状態に切り換えられると、走行車体が右向きに大旋回半径で旋回走行するように右側の走行装置1を停止させながら左側の走行装置1を駆動する。
【0087】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が非旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が旋回状態に切り換え操作され、モード設定電磁弁155がソフト旋回モードの状態に切り換え操作され、電磁比例弁158が給油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61に係合操作し、左摩擦クラッチ74を切り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61から離脱操作し、右摩擦クラッチ76を入り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を入り状態に操作し、操向ブレーキ71を切り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を右旋回のソフト旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、右旋回のソフト旋回状態に切り換えられると、走行車体が右向きに中旋回半径で旋回走行するように左側の走行装置1を駆動するとともに右側の走行装置1を左側の走行装置1よりも低速で駆動する。
【0088】
操作装置Sは、左旋回電磁弁134が非旋回状態に切り換え操作され、右旋回電磁弁144が旋回状態に切り換え操作され、モード設定電磁弁155がブレーキ旋回モードの状態に切り換え操作され、電磁比例弁158が給油状態に切り換え操作されることにより、左操向クラッチギヤ63を入力ギヤ61に係合操作し、左摩擦クラッチ74を切り状態に操作し、右操向クラッチギヤ64を入力ギヤ61から離脱操作し、右摩擦クラッチ76を入り状態に操作し、減速伝動クラッチ70を切り状態に操作し、操向ブレーキ71を入り状態に操作して、伝動ミッション23における操向機構部60を右旋回のブレーキ旋回状態に切り換え操作する。操向機構部60は、右旋回のブレーキ旋回状態に切り換えられると、走行車体が右向きに小旋回半径で旋回走行するように右側の走行装置1にブレーキを掛けながら左側の走行装置1を駆動する。
【0089】
主変速部30は、運転部5に運転座席6の横側方に配置して設けて主変速レバー208(図2参照)によって変速操作される。第1副変速部40のシフトギヤ45は、運転部5に運転座席6の横側方に配置して設けた副変速レバー206(図2参照)に連係されており、第1副変速部40は、副変速レバー206が走行車体前後方向に揺動操作されることによって変速操作される。副変速電磁弁127は、主変速レバー208の握り部に設けた副変速スイッチ(図示せず)に連係されており、この副変速スイッチによって操作される。左旋回電磁弁134、右旋回電磁弁144、モード設定電磁弁155及び電磁比例弁158は、運転部5に運転座席6の前方に配置して設けた操作レバー207(図1,2参照)に連係されており、この操作レバー207が走行車体横方向に揺動操作されることによって操作される。
【0090】
図10は、伝動ミッション23の主変速部30に作動油を補給する給油装置Kを示す油圧回路である。この図に示すように、主変速部30に作動油を補給する給油装置Kは、前記吸引油路160と、この吸引油路160の2本の下流側油路部160b、160cのうちの前記油圧ポンプ161が接続されていない下流側油路部160cに吸入部が接続されたチャージポンプ170と、このチャージポンプ170の吐出部を主変速部30の補給ポート36に接続する補給油路171と、この補給油路171のチャージポンプ170と補給ポート36の間に接続されたリリーフ油路172とを備えている。
【0091】
リリーフ油路172は、主変速部30のハウジング内に位置するドレン流路に連通されている。補給油路171は、リリーフ油路172が接続している箇所とチャージポンプ170との間に設けた吐出側フィルー173を備えている。
【0092】
チャージポンプ170は、図4,5に示す如くミッションケース21の入力軸22を支持する部分に組み込まれ、かつポンプ歯車が入力軸22に連結されたトロコイドポンプによって構成してある。
【0093】
したがって、給油装置Kは、チャージポンプ170を伝動ミッション30の入力軸22によって駆動してチャージポンプ170にポンプ作用を発揮させ、ミッションケース21に貯留されている潤滑油をミッションケース21から取り出して操作装置用と同一の吸引側フィルター164に流入させてろ過処理し、ろ過処理後の潤滑油を吸引側フィルター164よりもろ過精度(ろ過比率)が高い吐出側フィルター173に流入させて再ろ過処理し、再ろ過処理後の潤滑油を主変速部30に作動油として補給し、余剰分の油をリリーフ油路172から主変速部30の内部のドレン流路に排出する。
【0094】
図11は、ミッションケース21を示す左側面図である。図12は、ミッションケース21を示す右側面図である。図13は、ミッションケース21を示す正面図である。これらの図に示すように、ミッションケース21の上部に走行車体前後方向に並べて設けた一対の取り付け座部180,181をミッションケース21に備えさせ、一対の取り付け座部180,181のうちの車体前方側に位置する取り付け座部180に吐出側フィルター173を取り付け、一対の取り付け座部180,181のうちの走行車体後方側に位置する取り付け座部181に吸引側フィルター164を取り付けてある。
【0095】
一対の取り付け座部180,181は、走行車体前後方向に並んでおり、吐出側フィルター173が吸引側フィルター164よりも走行車体前方側に位置する状態で吐出側フィルター173と吸引側フィルター164とを走行車体前後方向に並べて支持している。
【0096】
吐出側フィルター173を取り付けてある取り付け座部180は、ミッショケース21の主変速部30における油圧ポンプ本体及び油圧モータ本体を収容するケーシングを構成しているケース部分によって構成してある。吸引側フィルター164を取り付けてある取り付け座部181は、ミッションケース21の第1副変速部40を収容するケース部分によって構成してある。
【0097】
図11,12に示すように、吸引側フィルター164の容量が吐出側フィルター173の容量よりも大であって、吸引側フィルター164の上下高さH1が吐出側フィルター173の上下高さH2よりも大になっている。取り付け座部181に取り付けられた状態の吸引側フィルター164の上端164aと取り付け座部180に取り付けられた状態の吐出側フィルター173の上端173aとの配置高さの差が吸引側フィルター164と吐出側フィルター173の上下高さH1,H2の差よりも小になるように、吸引側フィルター164のための取り付け座部181の取り付け座面の配置高さを吐出側フィルター173のための取り付け座部180の取り付け座面の配置高さよりも低く設定してある。
【0098】
図5,6,7,11に示すように、ミッションケース21の刈取り前処理部フレーム11における主フレーム部11aに対向する横側壁部としての左側壁部21aに設けた油圧ブロック185をミッションケース21に備えさせ、副変速の操作弁機構120、左旋回の操作弁機構130、右旋回の操作弁機構140及び旋回モード設定の操作弁機構150を、油圧ブロック185に組み付けることにより、ミッションケース21の左側壁部21aに設けてある。
【0099】
油圧ブロック185をミッションケース21の左側壁部21aに対して脱着自在に構成してあり、副変速の操作弁機構120、左旋回の操作弁機構130、右旋回の操作弁機構140及び旋回モード設定の操作弁機構150は、油圧ブロック185がミッションケース21に対して脱着されることにより、ミッションケース21の左側壁部21aに対して一挙に脱着できる。
【0100】
図4,13に示すように、ミッションケース21は、分割線Aによって左右一対の分割ケース21A,21Bに分割自在に構成されている。分割線Aは、ミッションケース21の走行車体左右方向での中心に対して少し走行車体左側に偏倚しており、車体右側に位置する分割ケース21Aの車体横方向での大きさが、車体左側に位置する分割ケース21Bの車体横方向での大きさよりも大になっている。左右一対の分割ケース21A,21Bのうち、車体右側に位置する分割ケース21Bが主変速部30、主変速部30のポートブロック37及びチャージポンプ170を備えている。ポートブロック37は、車体左側に位置する分割ケース21Bの上部に運転部5に対向して位置する横側部に配置されている。チャージポンプ170は、車体右側に位置する分割ケース21Bの上部に刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aに対向して位置する横側壁部に配置されている。
【0101】
図14に示すように、刈取り前処理部フレーム11は、車体フレーム2の支持部8に回動自在に支持されるように主フレーム部11aの基端側に設けた車体横向きの連結フレーム部11bを備えている。刈取り前処理部フレーム11は、連結フレーム部11bの一端側に配置した車体上下向きの開閉軸芯Pまわりに揺動自在に車体フレーム2に支持されており、刈取り前処理部10は、ミッションケース21の出力ベルトプーリ49と、刈取り前処理部フレーム11の入力ベルトプーリとに巻回された伝動ベルト186が取り外されることにより、開閉軸芯Pまわりに走行車体に対して揺動開閉できる。
【0102】
図14は、刈取り前処理部10の閉じ状態を示す平面図である。この図に示すように、刈取り前処理部10が開閉軸芯Pまわりに走行車体の内側に揺動操作され、刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aが走行車体前後向きの取り付け姿勢になると、刈取り前処理部10は、閉じ状態になって収穫作業を可能にする。
【0103】
図15は、刈取り前処理部10の開き状態を示す平面図である。この図に示すように、刈取り前処理部10が開閉軸芯Pまわりに走行車体の横外側に揺動操作され、刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aが走行車体横外向きの取り付け姿勢になると、刈取り前処理部10は、開き状態となり、各操作弁機構120,130,140,150を点検、修理及び脱着する作業が容易となるようにミッションケース21の左側壁部21a及び油圧ブロック185の付近を開放する。
【0104】
図4,12,13に示すように、ミッションケース21の運転部5に対向する横側壁部としての右側壁部21bの外面側に駐車ブレーキ190を組み付けてある。
【0105】
図5に示すように、駐車ブレーキ190は、伝動ミッション23の伝動軸57のミッションケース21の右側壁部21bからミッションケース外に突出した端部に設けたスプライン部57aに一体回転自在に連結されたブレーキドラム191と、右側壁部21bに連結ボルト192によって固定されたカバー193と、このカバー193に揺動自在に支持されたブレーキシューと、カバー193に回転自在に支持された操作カム195と、カバー193の外側に配置して操作カム195の回転支軸に一体回転自在に連結された操作アーム196とを備えて構成してある。
【0106】
図13に示すように、操作アーム196に一端側が連結された連動リンク200の他端側がペダル支軸201から一体回転自在に延出した揺動アーム202に連結されることにより、操作アーム196と、運転部5の走行車体内側の横端部に位置するブレーキペダル203とが連動されている。ブレーキペダル203は、運転部5に設けたロックレバー(図示せず)の操作によって固定機構が作用状態に切り換え操作されることにより、制動位置にロックされるようになっている。
【0107】
したがって、駐車ブレーキ190は、ブレーキペダル203が踏み込み操作されて制動位置にロックされることにより、入り状態に維持されて左右の走行装置1,1に駐車ブレーキを掛ける。
【0108】
つまり、ブレーキペダル203が踏み込み操作されると、操作アーム196が連動リンク200によって入り位置に揺動操作されて操作カム195を作用位置に回転操作し、操作カム195がブレーキシューをブレーキドラム191に圧接操作して制動力を発生させ、制動力を伝動軸57に付与することにより、伝動ミッション23の操向機構部60を介して左右の走行装置1,1にブレーキを掛ける。駐車ブレーキ190は、ブレーキペダル203が固定機構によって制動位置に維持されることにより、操作アーム196が固定機構によって入り位置に維持されて操作カム195を作用位置に維持し、左右の走行装置1,1にブレーキを掛けた状態を維持する。
【0109】
〔別の実施形態〕
駐車ブレーキ190をミッションケース21の右側壁部21bの外面側に設けるに替え、右側壁部21bの内面側に設けて実施してもよく、この場合においても、本発明の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、運転部5を走行車体の右側端部に設けたコンバインの他、運転部5を走行車体の左側端部に設け、ミッションケース21の左側の横側壁部21aが運転部5に対向した横側壁部となり、かつミッションケース21の右側の横側壁部21bが刈取り前処理部フレーム11の主フレーム部11aに対向した横側壁部となったコンバインにも利用できる。
【0111】
本発明は、刈取り穀稈の穂先側を脱穀室に供給して脱穀処理する脱穀装置を備えたコンバインの他、刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を脱穀室に供給して脱穀処理するよう構成した脱穀装置を備えたコンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 走行装置
5 運転部
7 エンジン
10 刈取り前処理部
11a 刈取り前処理部フレーム
21 ミッションケース
21a ミッションケースの側壁部
21b ミッションケースの側壁部
23 伝動ミッション
57 伝動ミッションの伝動軸
80,85,90,95,100,105,110,115 油圧機構
120,130,140,150 操作弁機構
185 油圧ブロック
190 駐車ブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部を有した走行車体の前記運転部の横側方に位置する箇所に連結された刈取り前処理部と、前記刈取り前処理部の刈取り前処理部フレームと前記運転部との間に配置して前記走行車体に設けたミッションケースとを備え、
エンジンからの駆動力を走行装置に伝達する伝動ミッションを、前記ミッションケースに収容してあるコンバインであって、
前記伝動ミッションを切り換え操作する油圧機構を、前記ミッションケースの内部に設け、
前記油圧機構を操作する操作弁機構を、前記ミッションケースの前記刈取り前処理部フレームに対向する横側壁部に設け、
前記走行装置に作用する駐車ブレーキを、前記ミッションケースの前記運転部に対向する横側壁部に設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記操作弁機構を、前記ミッションケースの前記刈取り前処理部フレームに対向する横側壁部に脱着自在に支持された油圧ブロックに組み付けてある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記駐車ブレーキを、前記伝動ミッションの伝動軸の前記ミッションケース外に突出した端部に装着した状態で前記ミッションケースの前記運転部に対向する横側壁部の外面側に組み付けてある請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−92033(P2011−92033A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246802(P2009−246802)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】