説明

コンパクト型折畳み携帯電話機

【課題】 常時使用する表示機能を備えたまま、化粧用鏡として利用できるようになったコンパクト型携帯電話機を提供する。
【解決手段】 携帯電話機の情報を表示する表示部分が常時表示部分と、切換え表示部分とに分割されている。常時表示部分は、常に携帯電話機を使用するための情報を表示しており、切換え表示部分は、ユーザが切換えボタンを選択することにより、電話及びメール機能を表示したり、または鏡として利用できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクト型携帯電話機に関する。より詳細には、本発明は、情報を表示するディスプレイ部分の一部が鏡として利用できるようになっている化粧用具コンパクト形状の携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の携帯電話機の普及にはめざましいものがあり、これに伴いメーカも様々の種類の独自の携帯電話機を開発してきている。特に、最近では、本来の電話機能を利用する場合よりメール機能またはインターネットを気軽に利用するユーザが増大してきているために、メールもしくはインターネットに関する情報を表示するディスプレイ部分を可能なかぎり大きくすることが要求されている。このため、メーカは折畳み式携帯電話機を採用することにより、ストレートタイプ(折畳みできない形状)の携帯電話機より大きなディスプレイ部分を確保しようとしている。さらに、折畳み式携帯電話機は、従来のストレートタイプの携帯電話機よりも小型化されることになり、女性が携帯する場合であっても、気軽にバックにしまったり、また女性のブラウスやスカートのポケットに収めることができるようになっている。一般的に、このような折畳み式携帯電話機は、女性が利用する化粧用具のコンパクト形状であるため、折畳み式の携帯電話機は女性により圧倒的支持を受けているように見られる。このような折畳み式携帯電話機のなかでも、人前でも携帯電話機を利用する風を装いながら、気軽に鏡として利用できるように鏡機能のついた携帯電話機がある。
【0003】このような携帯電話機の1例が特開2000-299719号に開示されている。この携帯電話機は、折畳み式電話機の操作キーが配置された蓋体と、ディスプレイ表示部の本体とから形成され、ディスプレイ表示部は、ハーフミラーを介して所定の表示内容を発光させるようになっている。これにより、蓋体を開いてディスプレイ表示部に設けたハーフミラーを実際の化粧鏡として使用できるようになっている。
【0004】別の携帯電話機の例が特開2001-136253号に開示されている。この携帯電話機は、使用者が信号切換えスイッチをオン/オフすることにより、鏡面反射型液晶からなる表示部が通常のディスプレイ機能となったり、または鏡の用途に使用できるようになっている。すなわち、この特許出願の折畳み型携帯電話機は液晶画面として鏡面反射型液晶を用い、携帯電話機能の未使用時には、鏡面反射型液晶を鏡として使用できるようになっている。
【0005】しかし、これらのいずれもが、携帯電話機の表示部分を鏡として利用する際には電話機能またはメール機能等に関する情報を表示することができないという欠点を有する。
【0006】このような折畳み式携帯電話機の別の例として、特開2000−32102号に開示された鏡付き携帯電話機がある。この携帯電話機は、ボタン操作キー等をカバーするためのカバーの内側またはバッテリーバックの裏側に鏡体を両面接着テープ等の接着材により取付けている。この携帯電話機は、上述2つの公知技術の欠点、すなわち携帯電話機を鏡として利用する間は、電話機能等の表示ができないという欠点を回避したものであるが、鏡体を別個に携帯電話に取付けるために携帯電話機の重量が増大することになる。また接着材で鏡体を固定するために、鏡体が電話機本体から簡単にはずれてしまったり、携帯電話機を落とすといったような衝撃を加えることにより破損することがあるので、危険である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、本発明は、上述した先行技術の欠点を回避するためになされたものである。
【0008】本発明の目的は、携帯電話機として必要な情報を常に表示しながら、化粧用鏡として、または鏡として利用しない場合には、一般的なメールや電話機能の情報を表示できるようになった、コンパクト型携帯電話機を提供することである。本発明の携帯電話機は、小型・軽量であり、化粧用具のコンパクト形状である。
【0009】本発明の別の目的は、折畳み式携帯電話機を開いた状態であっても、常時表示部分があるために、不用であれば切換え式表示部分をディスプレイとして利用する必要がないので、バックライトによる電力の消費を節約できるようになったコンパクト型携帯電話機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のコンパクト型折畳み携帯電話機は、情報を表示する表示部分とそのフレーム部分とからなるディスプレイ側本体と、ユーザが文字入力等を含む操作を行うための操作キーとそのフレーム部分とからなる操作側本体から構成されており、ディスプレイ側本体と操作側本体とが相互にヒンジ部を介し折畳まれるようになっている。表示部分は第1表示部と第2表示部とに分割されている。第1表示部は、時刻と、電波受信状態及びバッテリー残量の少なくとも1つを表示するようになっている常時表示部である。第2表示部は、ユーザの選択により電話機能または電子メール機能、その他の電話機内蔵の機能を使用するときには該機能に関する表示を行い、それ以外の場合には化粧用鏡として使用できるようになっている切換え式表示部である。切換え式表示部の選択は、操作部分に配置されている表示/非表示切替ボタンによりなされるようになっている。
【0011】表示部分には、スクリーンプレートが嵌め込まれており、該スクリーンプレートの裏側には、前記常時表示部を除いた部分にハーフミラー塗料が付着されている。これにより、ユーザが表示/非表示ボタンを非表示に選択したときには、切換え式表示部が化粧用鏡として使用できるようになっている。
【0012】常時表示部及び切換え式表示部以外のスクリーンプレートは遮光されており、この遮光領域に対応する前記ハーフミラーのスクリーンプレートに対向する側に透過性の低い塗料を塗布しバックライトの透過を防ぐようになっていればよい。
【0013】さらに、常時表示部及び切換え式表示部以外のスクリーンプレートは遮光されており、この遮光領域に対応するスクリーンプレートの裏側には遮光フィルムが張り付けられて、バックライトの透過を防ぐようになっていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る折畳み式携帯電話機は、電話機能及びメール機能等の表示を必要としないときは鏡として利用できるディスプレイと、常時最低限必要とされる情報を表示するためのディスプレイとを有するものであり、実用性が極めて向上したものである。
【0015】本発明の携帯電話機の構造について図1、図2及び図3を参照して説明する。図1は本発明に係る携帯電話機の外観図であり、図2は携帯電話機のディスプレイ側本体の表示部分に嵌め込まれるスクリーンプレートの斜視図であり、図3は本発明の携帯電話機10に使用される液晶表示器の斜視図である。本発明の携帯電話機10は、図1に示すように、常時表示ディスプレイ12と、切換え表示式ディスプレイ14とからなるディスプレイ側本体16と、ユーザが使用する複数の操作キー22を備える操作側本体20とを有する。操作キーの中にはディスプレイ表示切換えボタン18を含む。ディスプレイ側本体16と操作側本体20とは、ほぼ同一の大きさであり、相互にヒンジ部24を介し折畳めるようになっている。携帯電話機10は折畳まれると、一般的な化粧用具のコンパクトのような形状となることが好ましい。なお、図1からわかるように、携帯電話機10は、もちろん一般的なアンテナ、着信ランプ、スピーカ及びマイク等も設けられているが、簡略にするために、これらの説明を省略する。
【0016】次に、図2及び図3を参照してディスプレイ側本体16を具体的に説明する。ディスプレイ側本体16の表示部分の表面となるスクリーンプレート28の裏側には、常時表示ディスプレイ12の領域を除いた全体に、ハーフミラーの塗料が、例えば光透過率が30−80%となるように付着されている。そして、スクリーンプレート28の常時表示ディスプレイ部分12と切換え表示式ディスプレイ部分14とを除く部分、すなわち図2において斜線部で示されている遮光領域26に対応するハーフミラーのスクリーンプレートに対向する側には光透過性の低い、反射塗料が塗布されている。これにより、後に説明するバックライトが点灯したときでも、遮光領域26において光の透過を防ぐことになる。すなわち、遮光領域26は、常にバックライトの影響を受けることなく鏡として機能することになる。または、低透過性の塗料を塗布する代わりに、遮光領域26のバックライトの光透過を防ぐためにスクリーンプレートの下側に遮光領域26の形状の遮光フィルムを張り付けてもよい。
【0017】ここで、常時表示ディスプレイ12の寸法は、携帯電話機が必要とする常時表示する情報を表示できる程度の大きさであればよい。切換え表示式ディスプレイ14は、常時表示ディスプレイ12からわずかの間隔をあけてディスプレイ本体側16に配置されるようになっていればよく、ディスプレイ14の寸法はディスプレイ本体側16において最大限に利用できるような大きさであることが好ましい。
【0018】スクリーンプレート28の下側には図3に図示した液晶表示器(LCD)30が嵌め込まれている。さらにLCD30の背面には発光ダイオード(LED)などによるバックライトが配置されている。バックライトからの光が液晶に入射し、液晶の動作により、常時表示ディスプレイ12及び切換え式表示ディスプレイ14は様々な色や文字等を表現することになる。
【0019】前述したように、携帯電話機10の操作側本体には、表示/非表示切換えボタン18が配置されており、このボタン18を“表示”に選択した場合には、バックライトが点灯し、切換え表示式ディスプレイ14が様々な情報、例えば電話またはメール機能に関する情報をディスプレイ上に表示することになる。この場合には、常時表示ディスプレイ12も情報を表示した状態である。また、ボタン18を“非表示”に選択した場合には、バックライトは点灯せず、切換え表示式ディスプレイ14は鏡として機能することになる。すなわち、上述したように、スクリーンプレート28の常時表示ディスプレイ12に対応する領域を除いた部分にはハーフミラーが付着されているので、切換え表示式ディスプレイ14及び遮光領域26が鏡として機能することになる。一方、この場合、常時表示ディスプレイ12に対応するスクリーンプレートには、バーフミラー塗料が付着されていないので鏡としては機能せず、常時必要な表示機能、例えば、時刻、電波受信状態及びバッテリー残量等を表示したままである。
【0020】図4は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機の構成ブロック図である。本発明の携帯電話機10は、図4に示すように、制御手段32、送信手段34、受信手段36、操作キー手段38、折畳み検出手段40、切換えスイッチ手段42、メモリ手段44、電力供給手段46、常時表示手段48、及び切換え表示手段50を備える。
【0021】以下、各部を具体的に説明する。送信手段34は、入力された信号を変調してアンテナを介して送信し、受信手段36は、アンテナを介して受信した信号を復調するものである。操作キー手段38は、ユーザが各機能を使用する際にキーを操作すると、その入力信号を制御手段32に送る。電力供給手段46は、制御手段32からの信号に従い携帯電話機10の各部に電力を供給するようになっている。メモリ手段44は、必要なデータを記録したり、制御部からのプログラムを記録する。切換えスイッチ手段42は、表示切換えボタン18のON、OFF状態を検出するものである。折畳み検出手段40は、携帯電話機10が折畳まれているか、否かを判別し、これに関する検出信号を制御手段32に送信する。折畳み検出手段40から携帯電話機10が開いている状態であることを通知されると、制御手段32は、電力供給手段46に電力を供給させ、電話機10が閉じている状態であることが通知されると、電力を必要な部分にのみ供給させるようにする。折畳み検出手段40が、電話機10が開かれている状態であることを検出し、切換えスイッチ手段42から切換えボタン18がON状態である信号を受信すると、制御手段25は電力供給手段40に信号を送信する。この信号により、電力供給手段40は、バックライトを点灯させ切換え表示手段50を介して切換え表示ディスプレイ14に文字等の情報を表示させる。折畳み検出手段40が、携帯電話機10が開いている状態であることを検出し、切換えスイッチ手段42は、切換えボタン18がOFF状態であることを検出した場合、折畳み検出手段から制御手段32への信号は遮断される。すなわち、携帯電話機10が、実際は開かれた状態であっても、制御手段32は、電話機10が開かれていないものと認識することになる。このため、バックライトは点灯せず、表示切換え表示式ディスプレイは鏡として機能することになる。一方、折畳み検出手段40から携帯電話機10が閉じていることを通知されると、制御手段32は、電力供給手段46に必要な部分にのみ電力を供給するように信号を送信する。このように、電力供給手段46は、制御手段32からの指示に従って、携帯電話機10が閉じた状態であっても、開かれた状態であっても携帯電話機10の必要な部分に電力を供給するようになっているので、消費電力を節約することができる。すなわち、一般的に液晶ディスプレイの電力消費の大部分はバックライトによるものであり、必要なときのみバックライトを利用することで、消費電力を大幅に削減できる。常時表示手段42は、主電源のON、OFF及び電話機10が開かれた状態か、または閉じた状態かにより常時表示ディスプレイ12に常時使用する情報、例えば時刻、電波受信状態、バッテリー残量等を表示させるようにする。切換え表示手段44は、制御手段32により指示を受けて、上述したように、切換え表示ディスプレイ14に通常の電話及びメール機能等に利用する情報を表示させるか、鏡として機能させるかのいずれかを行うようになっている。
【0022】このような携帯電話機の構成において、携帯電話機の電源がON状態のときに、携帯電話機を開くと、通常は、常時表示ディスプレイ12が、通常の携帯電話が必要な使用情報、すなわち時刻、電波受信状態、及びバッテリー残量等を表示し、それ以外のスクリーンプレート28及び切換え表示ディスプレイ14は、鏡として機能することになる。また電話、メール機能等の情報を要する場合には、表示/非表示切換えボタン18を押すことにより、バックライトが点灯し、鏡から通常の情報を表示するディスプレイに変更することができる。表示/非表示切換えボタン18の操作キーは、図1において操作側本体20の端に配置されているが、その位置はユーザが使用しやすい位置であればいずれの位置でもよい。
【0023】本発明の携帯電話機のように構成することにより、例えば、電車に乗っている間、女性または男性が自分の身だしなみをチェックするようなとき、わざわざ鏡を出すことなく、携帯電話機を開くことにより鏡として利用し、自然な状態で身だしなみ等をチェックすることができる。また、携帯電話機に別個に鏡が付加されているわけではないので、従来の携帯電話機と変わらず軽量なままであり、また万が一落としたりするようなことがあっても、通常の鏡のように破損する恐れもない。また、例え、携帯電話機のディスプレイ部分を鏡として利用する間であっても、携帯電話機の利用状態の表示を見ることができるので、携帯電話機としての機能と鏡としての機能双方を同時に利用できることになる。
【0024】また、本発明の携帯電話機は、通常液晶ディスプレイの電力消費のほとんどがバックライトによるが、必要なときのみバックライトを利用すればよいので消費電力を大幅に削減できるという大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る折畳み携帯電話機の全体の外観図である。
【図2】図1に図示した折畳み携帯電話機の表示部に嵌め込まれるスクリーンプレートの斜視図である。
【図3】本発明の携帯電話機に使用される液晶表示器(LCD)の斜視図である。
【図4】本発明の携帯電話機に係る構成のブロック図である。
【符号の説明】
10 折畳み携帯電話機
12 常時表示ディスプレイ
14 切換え表示ディスプレイ
16 ディスプレイ側本体
18 表示/非表示切換えボタン
20 操作側本体
22 操作キー
24 ヒンジ
26 遮光範囲
28 スクリーンプレート
30 結晶表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報を表示する表示部分とそのフレーム部分とからなるディスプレイ側本体と、ユーザが文字入力等を含む操作を行うためのダイヤルキーとそのフレーム部分とからなる操作側本体からなり、前記ディスプレイ側本体と前記操作側本体とが相互にヒンジ部を介し折畳まれるようになっている化粧具コンパクト形状の筐体からなるコンパクト型折畳み携帯電話機であって、前記表示部分は第1表示部と第2表示部とに2分割されており、前記第1表示部は、時刻と、電波受信状態及びバッテリー残量の少なくとも1つを表示するようになっている常時表示部であり、前記第2表示部は、ユーザの選択によりユーザが電話機内蔵の機能を使用するときには該機能に関する表示を行い、それ以外の場合には化粧用鏡として使用できるようになっている切換え式表示部であることを特徴とするコンパクト型折り畳み携帯電話機。
【請求項2】 前記切換え式表示部の選択は、前記操作側本体に配置されている表示/非表示切替ボタンによりなされることを特徴とする請求項1に記載のコンパクト型折畳み携帯電話機。
【請求項3】 前記表示部分には前記スクリーンプレートが嵌め込まれており、該スクリーンプレートの裏側には、前記常時表示部を除いた部分にハーフミラー塗料が付着されており、前記表示/非表示選択ボタンが非表示に選択されているときには、前記スクリーンプレートの前記常時表示部に対応する部分を除いた領域が化粧用鏡として使用できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のコンパクト型折畳み携帯電話機。
【請求項4】 前記スクリーンプレートの前記常時表示部及び前記切換え式表示部以外の領域は遮光されており、該遮光領域に対応した、前記ハーフミラーの前記スクリーンプレートに対向する側に透過性の低い塗料を塗布しバックライトの透過を防ぐようになっていることを特徴とする請求項1または3に記載のコンパクト型折畳み携帯電話機。
【請求項5】 前記スクリーンプレートの前記常時表示部及び前記切換え式表示部以外の領域は遮光されており、該遮光領域に対応する前記ハーフミラーの前記スクリーンプレートに対向する側に遮光フィルムが張り付けられて、バックライトの透過を防ぐようになっていることを特徴とする請求項1または3に記載のコンパクト型携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2003−92619(P2003−92619A)
【公開日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−284602(P2001−284602)
【出願日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【出願人】(500142073)株式会社インクス (51)
【Fターム(参考)】