説明

コンピュータ画像解析を使用する光学系を焦点調節するための方法、ソフトウェア、および装置

本発明は、生物学的機器における、画像計測におけるマシンビジョンベースの焦点調節において有用な方法、ソフトウェア、および装置に関する。生物学的機器における画像を焦点調節するための方法、ソフトウェア、および、装置が開示される。焦点調節エレメントが、焦点調節エレメントのストロークの範囲内で様々な焦点位置に移動され、サンプルの画像が、様々な焦点位置で撮られる。サンプルの画像は、部分領域に分解され、最適な焦点位置が、規定された部分領域内で統計的分散に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般的に、例えば、生物学的機器における、画像計測におけるマシンビジョンベースの焦点調節において有用な方法、ソフトウェア、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヌクレオチド配列決定またはマイクロアレイ処理を含む生物学的解析のような画像化操作の間に、光検出器が、選択された標的検体に対応する標識サンプルまたはプローブ特性から生じる信号を検出するために使用される。これらの信号は、標識サンプルまたはプローブの形態から生じる信号強度を定量化すために望ましくも解析され、かつ、サンプル内の標的検体の存在を量的または質的に評価するために引き続き分解される電磁気放射の形態をとり得る。しばしば、そのような生物学的解析に関連するイメージは、高密度マイクロアレイのような非常に詳細なイメージの読み込みに対応するために超高解像度のものである。高密度マクロアレイは、1平方ミリメートルあたり4つの結合部位または特性の密度、あるいは、1平方ミリメートルあたり10の結合部位または特性までの密度を有し得る。結合部位は、ピンスポット、インクジェット、フォトリソグラフ、および高密度堆積の当該分野で既知の他の方法によってサブストレイトに位置され得る。従って、高度に緻密な画像化が要求される。画像検出器がそのような緻密な画像化を適切に行うためには、画像検出器に関連する光学系は、画像化される特定の標的サンプル内の別個の部分を区別することを画像検出器に可能とするように十分にシャープフォーカスであることが望ましい。
【0003】
しかしながら、望ましいコストおよび複雑さの光学系は、焦点調整のプロセスを複雑にする様々なタイプの光学収差に悩まされる。一般的な光学収差は、像面湾曲であり、それは、例えば、1つの焦点位置で、画像の中心は明瞭かつシャープフォーカスであるが、画像の端がぼやけかつ焦点がずれているような状況の原因となる。同様に、像面湾曲収差の下では、他の焦点位置で、端は鮮明であり得るが、中心はぼやける。これは、一般的な光学系と関連する焦点面は、構成において平面ではなくむしろ実質的に球状であり得るからである。焦点に関して非対称であり得る光学系において高次の収差も存在する。一部の光学系においては、画像化される形態のサイズが、シャープフォーカスの一方の側の方が、他方の側においてより速く大きくなり得る。
【0004】
さらに、生物学的機器において画像化され得る様々な標的サンプルに対して、画像化されるサンプルの表面は、高さにおいても変動する。これらサンプル内での高さの変動は、光学系の焦点面からの異なる距離の原因となる。焦点の鮮明さは焦点面に対する標的の近さに関連するので、これらの高さのばらつきは、標的サンプル上の様々なポイントでの鮮明さに違いも生じる。
【0005】
さらに、標的サンプルを画像化するために使用される一般的な検出器は、1次元ポイント検出器ではなくむしろ2次元であり、従ってチップ(tip)やチルトに影響される。理想的には、画像検出器の平面的な表面は、標的サンプルの表面に完全に平行であろう。しかしながら、現実のシステムでは、一般的に、画像検出器の平面と標的サンプルの平面との間には、いくらかのチップおよび/またはチルトがある。
【0006】
しばしば、画像化機器は、超高密度なマイクロアレイのような標的サンプルを画像化するために画像化検出プロセスを用いる。様々な実施形態においては、画像化機器と関連して使用されるマイクロアレイ技術は、マイクロアレイの各エレメントは、特定のマイクロアレイエレメントの反応性に比例する光を放つというものである。マイクロアレイは、個々のエレメントによって放たれる光を定量化しかつそれによって各マイクロアレイエレメントの検体反応性を識別するために、マイクロアレイの画像を記録しかつ解析することによって「読まれる」。
【0007】
超高密度マイクロアレイの場合には、例えば、画像における不鮮明さまたはぼやけは、個々のマイクロアレイエレメント信号の間での相互干渉を増大し、かつ、個々のマイクロアレイエレメントを区別するための機器の能力を減少させる。しかしながら、特定の生物学的機器にとっては、機器が、標的サンプルにおける実質的に全ての領域を「読む」(いわば、区別しかつ強度を計測する)ことが可能であるという要求は、一般的なものである。従って、適切な焦点が、標的サンプルの記録された画像の実質的に全ての領域において一般的に要求される。
【0008】
サンプル相互の厚さのばらつき、サンプル内の表面高さのばらつき、像面湾曲および他の収差、並びに、チップおよび/またはチルトのような機器の焦点合わせの問題を克服するために、機器が適切に作動することを許すような十分に鮮明な焦点位置を得るために、機器の光学エレメントの焦点位置を調節することが必要である。さらに、画像化機器が効果的に作動するために、機器がすばやく焦点調節できるということが望ましい。従って、光学的ばらつき、標的サンプルの表面高さにおけるばらつき、および検出器のチップおよび/またはチルトを補完し得るマシンビジョンデバイスにおいて、すばやい、自動的な焦点調節に対するニーズがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
標的サンプルおよび/または標的サンプルに関連する光学系が、理想的な焦点位置を目指す一連の位置を通って移動される間に、標的サンプルの画像が記録される。記録された画像の解析は、光学系の焦点面に対して標的サンプルの表面のマップを生成する。様々な実施形態においては、標的サンプルの表面高さの分布が、標的サンプルに対する実質的に最適な焦点位置を選択するために解析される。さらに、本教示は、標的サンプルの物理的欠陥に関する情報を提供し得、それによって、標的サンプルを画像化するための自動的な焦点調節光学素子に加えて、有益なサンプル品質管理手順を提供する。
【0010】
様々な実施形態においては、本教示は、生物学的機器における画像を焦点調節する方法を提供し得、それは、焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に対して焦点調節エレメントを動かすこと、複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮ること、サンプル画像を複数の部分領域に分解すること、複数の部分領域内での画像強度の統計的分散値を計算すること、計算された画像強度の統計的分散値に基づき複数の部分領域に対する部分領域焦点位置を規定すること、および、規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することを含み、標的サンプルは高密度マイクロアレイである。
【0011】
様々な実施形態においては、本教示は、生物学的機器における画像を焦点調節する方法を提供し得、それは、焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に対して焦点調節エレメントを動かすこと、複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮ること、サンプル画像を複数の部分領域に分解すること、複数の部分領域内での画像強度の統計的分散値を計算すること、計算された画像強度の統計的分散値に基づき複数の部分領域に対する部分領域焦点位置を規定すること、および、規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することを含み、標的サンプルは生体サンプルコンテナである。
【0012】
様々な実施形態においては、本教示は、生物学的機器における画像を焦点調節する方法を提供し得、それは、焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に対して焦点調節エレメントを動かすこと、標的サンプルの表面に電磁気放射を散乱させること、散乱された電磁気放射に基づき複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮ること、複数の部分領域にサンプル画像を分解すること、複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算すること、画像強度の統計的分散値に基づき複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定すること、および、規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することを含み、標的サンプルは、高密度マイクロアレイである。
【0013】
様々な実施形態においては、本教示は、画像化機器における画像に焦点調節するためのソフトウェアを提供し得、それは、焦点調節エレメントの移動範囲内における複数の焦点位置に焦点調節エレメントを動かすために電子機械的作動装置に移動させる命令、複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像をディジタルカメラに撮らせる命令、複数の部分領域にサンプル画像を画像プロセッサに分解させる命令、および、複数の部分領域内の画像強度の統計的分散値を計算し、かつ画像強度の統計的分散値に基づき複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定し、かつ規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定するための命令を含み、標的サンプルは高密度マイクロアレイまたは高密度生体サンプルコンテナである。
【0014】
様々な実施形態においては、本教示は、生体サンプルを解析するための機器を提供し得、それは、焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に対して焦点調節エレメントに連結され、かつその移動操作が可能な電子機械的作動装置、複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮る操作が可能な画像化機器に連結されるディジタルカメラ、複数の部分領域にサンプルを分解する操作が可能な画像プロセッサ、および、複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算するために命令を実行し、計算された画像強度の統計的分散値に基づき複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定し、規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定するように操作可能なディジタルプロセッサを含み、標的サンプルは、高密度マイクロアレイまたは高密度生体サンプルコンテナである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
当業者は、添付された図面が様々な実施形態の例示のためだけに意図されることを理解する。添付された図面は、何ら本教示の範囲を限定するものではない。
【0016】
一部の実施形態に対して詳細に言及され、その例が添付の図面に示される。可能な限り、同じ参照数字は、同一または同様の部分を意味するように図面を通して使用される。
【0017】
様々な実施形態においては、本教示は、個々のマイクロアレイエレメントを区別するために十分な解像度で超高密度マイクロアレイを画像化する能力を提供する。本教示と整合性が取れた機器は、特定の画像において計測され得るアレイエレメントの数を最大化するように設計される電荷結合素子(CCD)および高解像度画像光学素子のような、高密度画像検出器を用いる。様々な実施形態においては、光学系は、マイクロアレイが高密度スポッティング技術を使用して「プリント」された平らなサブストレイトの表面を画像化するように設計される。様々な実施形態においては、機器は、マイクロアレイの蛍光(FL)または化学発光(CL)モードの一方または両方を使用してマイクロアレイを画像化する。
【0018】
様々な実施形態においては、核酸物質、プライマー、プローブのような生物学的試薬を収容するリアクションプレートが、例えば、特定の生体サンプルの遺伝子配列を決定するために、様々な生物学的試験法に関連して画像化される。そのようなリアクションプレートは、標準96、384、1536またはそれより多いウェルトレーであり得ることが理解される。さらに、生物学的リアクションは、特注のマルチウェルトレーで生じる生物学的リアクションもまた画像化され得る。
【0019】
様々な実施形態においては、電気泳動分離システムと関連して使用されるような毛細管アレイは、毛細管のアレイに関連して実行される生物学的解析を容易にするために画像化される。様々な実施形態においては、マイクロ流体カードもまた画像化され得る。同様に、生物学的解析が実施されるチューブのアレイが、本教示に整合して画像化され得る。
【0020】
本発明の特定の局面が、例示的なマイクロアレイリーダーの実施形態との関連で以下に記述される。しかしながら、本教示がマイクロアレイリーダーの実施形態に範囲を限るものではなく、それに限定するものではないが、先に列挙されたものを含む任意のタイプの生物学的解析手法の画像化に関連して使用され得ることが理解される。本教示を開示するために使用されるいくつかの用語を明確にするために、いくつかの定義が以下に示される。
【0021】
本明細書で使用される「光学系」という用語は、様々な実施形態においては、電磁気放射を操作および/または焦点調節するために使用されるレンズまたは他の光学素子を意味する。しかしながら、本教示は、例えば、電子顕微鏡検査における電子ビームの経路を操作するための電磁場を使用する電子のような粒子の操作にも、レンズの屈折に類似する態様で適用する。従って、本明細書で使用される場合には、「光学系」は、標的サンプルの画像化のために電磁気放射または粒子ビームを焦点調節することに役立つように使用される任意のシステムを含む。
【0022】
本明細書で使用される「標的サンプル」という用語は、画像化される物を意味する。様々な実施形態においては、標的サンプルは、高密度マイクロアレイであるが、標的サンプルは、本教示に整合する画像機器によって画像化される任意の物であり得ることが理解される。他の標的サンプルは、光学顕微鏡検査および電子顕微鏡検査を含む任意のタイプの顕微鏡検査を使用して画像化される他の生体サンプルおよび任意の物を含む。
【0023】
本明細書で使用される「焦点面」という用語は、標的サンプルが実質的にシャープフォーカスである距離での間隔における1式のポイントを意味する。様々な実施形態においては、本記述の光学素子に関連する焦点面は、2次元的に平面ではなく、むしろその構成において球面の一部に似ている。
【0024】
本明細書で使用される「部分領域焦点位置」、「部分領域ピーク」、「部分領域マキシマム」という用語は、特定の部分領域に対する最もシャープフォーカスな焦点に対応するフォーカスステージ(または他の光学系の可動エレメント)を意味する。様々な実施形態においては、部分領域焦点位置は、フォーカスステージに対する部分領域画像強度分布のカーブにおけるピークまたはマキシマムとして規定される。様々な実施形態においては、部分領域焦点位置は、フォーカスステージの移動によって複数の位置で画像を記録することおよび部分領域内でピクセル強度の標準偏差を計算することによって決定される。これらの様々な実施形態においては、部分領域内でピクセル強度の標準偏差が最も高い位置が、「部分領域焦点位置」に対応する。
【0025】
本明細書で使用される「極限焦点」または「極限部分領域焦点」という用語は、特定の焦点位置のウィンドウ内で、画像デバイスに対して最も近いおよび最も離れた部分領域焦点位置を意味する。
【0026】
本明細書で使用される「焦点ウィンドウ」という用語は、標的サンプルの実質的に全ての領域が十分な鮮明さまたは明瞭さで画像化され得る画像デバイスから標的サンプルの表面までの距離のウィンドウを意味する。焦点ウィンドウの絶対的サイズは、「像面深さ」または「焦点深さ」とも呼ばれ得、それは、標的サンプルの特定の部分が許容可能なレベルの鮮明さで画像化され得るうちの焦点面から標的サンプル表面への距離の範囲である。
【0027】
本明細書で使用される「統計的分散」という用語は、特定の数の組のうちでの数値的多様性の指標を意味する。統計的分散は、同じ大きさの数の1式に対してはゼロであり、数の組の間での多様性が増大するほど増大する。統計的分散の計測値は、様々な例を含む。統計的分散の計測値の1つは、範囲であり、それは、その数の組における最大値と最小値との間での差である。別の統計的分散の計測値は、「標準偏差」であり、それは、分散の平方根である。様々なアルゴリズムが、一式の数に対する標準偏差および分散の計算に対して既知である。
【0028】
本明細書で使用される「画像強度の統計的分散」という用語は、特定の画像または画像内の部分領域に対するピクセル強度値の数値的多様性の指標を意味する。画像強度値は、CCDまたは他の検出器におけるピクセルから、または、例えば、電子顕微鏡検査の場合における電子ビーム検出器と接続して、電気的に取得され得る。
【0029】
図1は、画像検出組立品110、光学素子108、およびリモート制御されるフォーカスステージ102を含む例示的な画像機器100の概略図を示す。様々な実施形態においては、フォーカスステージ102は、画像システムの光学素子108の焦点面と相対的にサンプルプラットフォーム103上の標的サンプルを位置づけるために使用されるリモート制御可能な電動のフォーカスステージである。様々な実施形態においては、フォーカスステージ102は、予想されるおおよその焦点位置がフォーカスステージのストロークの中心近くに置かれるように、光学素子108および画像検出器と相対的に位置される。様々な実施形態においては、フォーカスステージ102は、標的サンプルが最適な焦点位置より下から最適な焦点位置の上まで動かされ得るのを保証するために、十分なストローク範囲を有して提供される。様々な実施形態においては、付加的なフォーカスステージのストロークが、サンプル相互の焦点のばらつきおよび/または異なる画像モードに対して異なる焦点位置に対応するために提供される。フォーカスステージの位置を調節するのではなくレンズまたは検出器の位置が調節され得るということが、本発明の教示から逸脱することなく理解される。
【0030】
以下に記述するように、様々な実施形態においては、異なる波長の電磁エネルギに対する焦点位置の間には関連性がある。従って、様々な実施形態においては、一旦、機器が1つの波長に焦点を調節されたならば、キャリブレーションしたオフセットが、別の他の波長における焦点位置に機器を位置するために使用され得る。様々な実施形態においては、焦点調節は、追加的な自動焦点ステップなしに、そのぶん波長が異なるキャリブレーションされたオフセット距離だけフォーカスステージ102を単に動かすことによって実行され得る。
【0031】
図1の画像システム100に関連して、様々な実施形態においては、自動焦点作動は以下のように実行される。マイクロアレイサンプルは、リモート制御のフォーカスステージ102の頂上であるフォーカスステージプラットフォーム103の上に置かれる。フォーカスステージ102は、画像光学素子108と相対して取り付けられる。様々な実施形態においては、フォーカスステージは、サンプルをロードポジションから画像を撮るポジションに動かすサンプル挿入ステージの上に位置され得る。様々な実施形態においては、機器における適切な焦点を保証するために、本教示と整合する自動焦点プロセスが、生物学的解析のためにサンプルを実際に画像化するのに先立ち実行される。さらに十分に以下で述べるように、自動焦点プロセスは、フォーカスステージ102の異なる位置で撮られた一連の画像を記録しかつ解析することを含む。自動焦点プロセスは、機器が適切に作動することを可能とするために、標的画像の実質的に全体が、十分に鮮明に焦点調節されるフォーカスステージに対する位置を識別するために、異なる位置で撮られた画像を解析することを含む。自動焦点が完了した後には、サンプルの定量的な画像が、生物学的解析のためのサンプルと関連する個々の要素信号のレベルを決定するために計測され解析される。
【0032】
図2は、例示的なマイクロアレイ読み取り機器によって作られた画像の一部の拡大図を示す。画像は、暗い背景に明るいポイントの通常のパターンを示す。光の領域は、個々のアレイエレメントから放出された光によって作られる。暗い領域は、マイクロアレイのサブストレイトである隙間の領域に対応する。個々のマイクロアレイエレメントは、CCDカメラで少数のピクセルによって分離されている。等間隔で配置される明るい領域202、204は、個々のマイクロアレイエレメントに対応する。様々な実施形態においては、以下で記述するように、そのような画像から個々のマイクロアレイエレメントを抽出するように十分にシャープフォーカスな焦点位置を決定するために、コンピュータ画像解析が実行される。
【0033】
図3A〜3Cは、本教示の自動焦点作動に影響するいくつかの要因を示す。本教示に整合する自動焦点プロセスは、サンプル相互の厚さのばらつき(図3A)、サンプル内での高さのばらつき(図3B)、および像面湾曲効果(図3C)を補完する。画像光学素子の像面湾曲によって、平らなマイクロアレイの表面は、画像の各領域が完全に鮮明であるマイクロアレイの画像を得ることにおいて問題を提示する。像面湾曲は、光学軸からの距離の関数として変化する(平らなマイクロアレイのサブストレイトを想定)特定のポイントに最適な焦点を生じさせる。焦点が画像の中心に最適化された場合には、画像の端はより不鮮明な焦点となる。サンプル内の高さのばらつきは、サンプルの高い点および低い点で焦点を同時に最適化することにおける問題を提示する。サンプル内の高さのばらつきは事実上ランダムでありがちであって、それは、画像化に先立ち高い点と低い点との位置決定を行う必要があることを示唆する。検出器のチップおよび/またはチルト、および平らでないサンプルのサブストレイトは、実質的に平行なサンプルと検出器とを有することに問題を提示する。
【0034】
様々な実施形態においては、光学系は、一般的に遭遇するサンプルの大半の像面湾曲およびサンプル内の高さのばらつきに対応するために、焦点深さが十分に大きいように選ばれる。自動焦点作動が実行された後には、標的サンプルの表面の部分だけが、実質的にシャープフォーカスで画像化されるが、他の領域は、適切な画像解決を提供する焦点に十分に近い。様々な他の実施形態においては、標的サンプル内の実質的にどのポイントも実質的にはシャープフォーカスではないが、それにもかかわらず、標的サンプル内の実質的に全てのポイントは、画像機器が適切な品質の画像を作ることを可能とするためには十分に鮮明である。様々な実施形態においては、本教示は、標的サンプルのどの領域も光学系の焦点深さからはずれないように標的サンプルを位置づけることが可能である自動焦点アルゴリズムを提供する。
【0035】
図3Aは、サンプル相互の厚さのばらつきを示す2つの例示的なマイクロアレイの合成断面図を示す。サンプル306がサンプル308より大きい厚さを有することが認められ得る。従って、2つの厚さに対する最適な焦点距離には、ほぼ図3Aに示される厚さのばらつき302だけオフセットがある。さらに、接着剤310またはガラスのサブストレイト312の厚さにおける厚さのばらつきは、本教示に整合する自動焦点手法を用いることによって、サンプルごとベースで補完され得るサンプル相互の厚さのばらつきという結果になり得る。様々な実施形態においては、サンプル相互の厚さのばらつき302は、おおよそ0μmから400μmの範囲にある。
【0036】
図3Bは、サンプル内の表面高さのばらつきの例示的なグラフを示す。平均面323は、サンプル内表面高さのばらつきカーブ322に沿うポイントの値を平均することによって計算され得る。この例においては、平均面323より120μm上であるサンプル内最高点および平均面323より80μm下である最低点があることが認められ得る。従って、最高点および最低点全てが十分に鮮明であるためには、サンプルを画像化する光学系は、図3Bに示されるように、約120+80、すなわち200μmの焦点深さを要求する。
【0037】
図3Cは,像面湾曲収差に起因する例示的な湾曲した焦点面を示す。光学軸324は、一般的に、画像機器の光学系に関連するレンズの中心を通るように示されている。平らなサンプル328は、焦点面326の下に示されている。平らなサンプル328の表面に適切に焦点調節するために、平らなサンプル328は、焦点面326に向けて上方に位置され得る。
【0038】
図4は、画像検出器のチップおよび/またはチルトが存在する場合のサンプル表面内の高さのばらつきの例示的なグラフを示す。様々な実施形態においては、チップおよび/またはチルトのために、焦点ウィンドウ410は画像検出器の平面に平行であるが、標的サンプル420に関してはチップおよび/またはチルトされている。様々な実施形態においては、わずかなチップおよび/またはチルトの偏差は、本教示に整合する自動焦点作動と関連して補完され得る。よく似たサンプル内の表面高さ変動のカーブが与えられた場合には、例えば、チルトが、表面のより高い点が画像検出器により近くなる原因となる場合、または、より低い点がなおさらに離れる場合には、チップおよび/またはチルトが導入されるので、さらに深い焦点深さが必要となり得ることが、図3Bと4とを比較することによって理解され得る。
【0039】
図5Aは、25の部分領域に分割されたサンプルのキャリブレーション画像502を示す。様々な実施形態においては、画像検出器は、画像検出器におけるピクセルに受け取られた電磁気放射の強度に対応するピクセル強度値のマトリクスを提供するCMOSまたはCCDタイプの画像検出器である。特定の部分領域における鮮明度の指標は、複数のピクセルで受け取られた強度値の多様性の程度、すなわち、ピクセル強度の統計的分散によって記述され得る。様々な実施形態においては、ピクセル強度のばらつき量的指標は、標的サンプル画像の特定の部分領域のピクセル強度の標準偏差である。従って、本教示に整合して、自動焦点作動の間に、フォーカスステージの様々な位置で、標的サンプル画像は記録され解析される。部分領域焦点を生成するために記録された画像を解析するために、記録された画像は、まず、部分領域504に分割される。
【0040】
様々な実施形態においては、画像の大きさ約2k×2kピクセル大の画像は、図5Aに示されるように25の部分領域に分割される。ビニング(binning)は、CCDにおける2つの隣り合うピクセルからの強度値が、CCD画像と関連するデータの量を減らすために結合されるプロセスである。様々な実施形態においては、2×2CCDカメラビニングは、CCDから転送されるべき必要なデータ量を減らして自動焦点作動を円滑にするために用いられる。4×4(またはより高いレベル)のビニングが、本教示の範囲を逸脱することなく用いられ得ることが理解される。
【0041】
大きなピクセルアレイが、本教示を逸脱することなく用いられ得ることが理解される。さらに、任意の数の部分領域が、本教示を逸脱することなく用いられ得ることも理解される。様々な実施形態においては、スピードを最適化する目的のために、並びに、例えば、画像化される標的サンプルの流体の一部にバブルがあるとき、および/または、たとえ画像検出器が標的サンプルに対してある程度のチップおよび/またはチルトを有していても、最適な焦点位置となるように、それが十分に大きい数の部分領域を提供するという理由のために、25の部分領域となる5×5グリッドが、選ばれ得る。様々な実施形態においては、4、9、16、または36の部分領域が用いられ得る。部分領域が対称または等サイズである必要はないことも理解される。様々な実施形態においては、画像強度の統計的分散計算の実行のためにコントラストを提供するために、少なくとも1つの照らされたマイクロアレイのスポット、例えば、基準点が、部分領域それぞれの中にあることが保証されるように、部分領域のサイズは選ばれる。様々な実施形態においては、部分領域は十分に小さく、いくつかの部分領域は基準点または照らされたマイクロアレイスポットを1つも含み得ない。これらの様々な実施形態においては、明暗対照的なピクセルを1つも含まない部分領域は、廃棄され、自動焦点作動に対して使用されない。
【0042】
図5Bは、自動焦点作動のために記録されたサンプル画像の例示的な部分領域の焦点位置に対する画像ピクセル強度標準偏差のプロットを示す。画像標準偏差が最大のとき、すなわち、約113のときに、部分領域の画像は、その最も鮮明に焦点調節された位置にあるということが認められる。この例の部分領域512および516においては、像面湾曲、チップおよび/またはチルト、および/またはサンプル厚さのばらつきを含む要因によってかなりのぼやけが引き起こされている。対照的に、ピクセル強度標準偏差のピークに対応する部分領域514は、実質的にシャープフォーカスである。
【0043】
図6は、フォーカスステージの位置に対する部分領域画像のばらつきのプロットを示す。極限焦点が、最大および最小の焦点位置を示すカーブとして識別される。様々な実施形態においては、自動焦点アルゴリズムは、2つの極限焦点の位置を使用することによって適切なフォーカスステージの位置を決定する。極限焦点間の距離が焦点ウィンドウより小さい場合には、画像の各領域は、画像化の間適切に焦点調節される。図6においては、部分領域カーブ602は、低いほうの極限フォーカスステージ位置を表し、一方で、部分領域カーブ604は、高いほうの極限フォーカスステージ位置を表す。様々な実施形態においては、最適な焦点位置は、極限焦点の間の中間であるように、特定の標的サンプルに対する焦点位置は極限焦点の平均の値であるように選ばれる。図6においては、最適な焦点位置は、フォーカスステージの位置603である。
【0044】
図7Aは、部分領域の焦点の100パーセントが焦点ウィンドウ内に位置づけられる部分領域焦点カーブのパターンを示す。図6におけるように、フォーカスステージの位置は、極限焦点である部分領域焦点カーブの最大値の平均に、すなわち、カーブ702および704の最大値の中間点に位置づけられ得る。
【0045】
図7Bは、部分領域の焦点の80パーセントだけが焦点ウィンドウ内に位置づけられる部分領域焦点カーブのパターンを示す。ここでは、フォーカスステージの位置は、焦点ウィンドウ内に入る極限焦点の中間点であるように選ばれ、それは、焦点ウィンドウ内の部分領域のピークの数を最大化する。焦点ウィンドウが自動焦点プロセスを通して動くにつれて特定の焦点ウィンドウにおける部分領域のピークの数を数えること、および、1セットの可能な焦点ウィンドウ位置を通して繰り返しかつそのセットにおける可能な焦点ウィンドウのそれぞれの内で部分領域のピークの数を数えることを含む、任意の方法で、焦点ウィンドウ内の部分領域のピークの最大数が確認され得るということが理解される。
【0046】
図7Cは、わずか20パーセントの部分領域の焦点が焦点ウィンドウ内に位置付けられ得る部分領域焦点カーブのパターンを示す。この場合には、できるだけ多くの部分領域カーブの最大が焦点ウィンドウ内に位置づけられるように、極限焦点が再び選ばれるが、しかしながら、フォーカスステージ位置の軸に沿う位置についての変動は、標的サンプルが正確には画像化され得ないことを示唆する。様々な実施形態においては、画像機器は、標的サンプルの一部だけが明瞭に画像化され得るということを示すエラー指示を生成する。様々な実施形態においては、複数の画像が、シャープフォーカスで部分領域を分離して画像化する焦点位置の範囲を超えて作られ、その後、鮮明に画像化された部分領域の合成画像が作られる。
【0047】
図7Dは、85パーセントの部分領域の焦点が焦点ウィンドウ内に位置づけられ得、かつ、奇形の部分領域焦点カーブが、部分領域の画像エリアについての問題を示唆する部分領域の焦点カーブのパターンを示す。アウトライアの部分領域カーブ710、712、および714は、カーブ710、712、および714に対応する部分領域での異常を示すということが認識され得る。様々な実施形態においては、そのような異常は、マイクロアレイと関連するサンプル液中のバブルのような標的サンプル内の欠陥を示し得る。様々な実施形態においては、そのような異常の検出は、画像機器によるエラー指示という結果となる。様々な実施形態においては、アウトライアのカーブは無視される。アウトライアのカーブは、標的サンプルの欠陥のない部分領域に対応する焦点位置が使用される場合には、標的サンプルの適切な画像化を妨げない標的サンプル中の欠陥に対応し得る。
【0048】
様々な実施形態においては、マイクロアレイのサンプルまたは他の標的サンプルは、調整液に浸された比較的平らなサブストレイトを含む。様々な実施形態においては、調整液は、何のトップカバーも無しにサブストレイトの上に収容される。様々な実施形態においては、調整液は、サブストレイトとサブストレイトの端でシールされた透明なカバーガラスの表面との間に位置づけられる。様々な欠陥がサンプルの調整中に生じ得、それは、機器の性能に支障を来たす。欠陥は、調整液中のバブルの存在、カバーガラスの表面またはサブストレイトのよごれ、および、画像品質に影響し得る様々な他の不規則を含み得る。本教示は、計測に先立ちこれらの欠陥を検出する手段を提供し、それにより、ユーザが問題を修正し、またはアレイの欠陥領域と関連する結果にフラッグを立てる機会を提供する。
【0049】
図8は、本教示に整合する自動焦点プロセスの実行のための例示的なフロー図を示す。最初、ステージは、予想焦点位置より下の開始位置に移動される(ステップ802)。例えば、自動焦点調節されるタイプの標的サンプルのグループに対する焦点位置のグループを平均することによって得られる平均焦点位置のような任意の方法で、予想焦点位置は、得られることが可能である。ステージは、予想焦点より上のような他の代替の位置にも位置づけられ得る、ということが理解される。次に、光学素子は、自動焦点モードに設定される(ステップ804)。様々な実施形態においては、これは、蛍光励起源から発生するスライドで反射される光子を透過するような、ステージと光学素子との間にフィルタを位置づけることを含む。次に、標的サンプルの画像が記録される(ステップ806)。そして、画像は、部分領域の統計的分散データを決定するために解析される(ステップ808)。上述したように、様々な実施形態においては、部分領域の統計的分散データは、画像を部分領域に分け、部分領域内のピクセルの強度の標準偏差を計算することによって得られる。画像強度の統計的分散に相当する任意の計算が、本教示の範囲を逸脱することなく用いられ得るということが理解される。様々な実施形態においては、位置カーブに対する統計的分散の解析は、2つ以上のポイントが得られると開始する。2つのポイントが計測されると、カーブの傾きが計算され得、それは、カーブのピークが、画像化された(サーチされた領域)焦点位置の上または下のいずれにあるかの予測を可能とする。3つ以上の焦点位置のポイントが計測されると、各統計的分散カーブが、ピークであるか、または、サーチされた領域の上または下にあるか、そのいずれかとして規定される。様々な実施形態においては、自動焦点作動における焦点位置のそれぞれで、すでに検出されたピーク位置は、今検出されたピークの組みに対する焦点ウィンドウの最適な位置決めのために、光学系の焦点ウィンドウの既知のサイズと関連して考慮される。
【0050】
次に、様々な位置で計算された位置カーブに対するばらつきにおいて認められたピークがカウントされる(ステップ810)。次に、全てのピークが位置づけられているかどうか、焦点調節ストロークの限界に達しているかどうか、継続してピークをサーチすることに保証があるかどうか、または、ステップ802に戻り、焦点よりさらに下の位置からサーチすることを続けることによって、サーチ領域開始位置が修正される必要あるかどうかが決定される。検出されたピークの範囲が、1つの焦点ウィンドウを超えたと認められたときに、エラー状態が識別される。この状況においては、さらなるピークのサーチが保証され得るかまたはされ得ないかは、オペレータの好みによる(ステップ812)。ユーザの好みには、焦点ウィンドウの外側にあることが許されるピークのパーセンテージの許容数を含み得る。様々な実施形態においては、これは、マイクロアレイが、標的サンプル内のバブルまたは標的サンプルの表面上の塵粒にもかかわらず画像化されることを可能とする。従って、100%より少ないピークが焦点ウィンドウ内に位置づけられる焦点調節の結果が、本教示の範囲を逸脱することなく用いられ得るということが理解される。これら条件のどれもが真でない場合には、様々な実施形態においては、予想焦点位置は下げられ(ステップ813)、そして、プロセスはステップ802において継続する。ステップ812の条件が認められる場合には、様々な実施形態においては、焦点ウィンドウ内のピークについて高い点および低い点が識別される(ステップ814)。さらに、焦点ウィンドウ内のピークについて高い点および低い点が上のステップ814で識別されると、様々な実施形態においては、高い点および低い点は平均され、ステージは、最適な焦点位置として平均位置に移動される(ステップ816)。焦点ウィンドウ内のピークの分布に基づき最適な焦点位置を決定する他のアルゴリズム、例えば、ピーク位置を平均することによって最適な焦点位置を選ぶことが、本教示の範囲を逸脱することなく用いられ得る。
【0051】
図9は、画像検出器で標的サンプルの画像を作るために散乱光を生成するように電磁気放射を使用する代替の実施形態を示す。照明源105は、鏡面反射しない(散乱)光だけが検出器110によって画像化されるようにサンプルに向けられる。この場合には、検出器110が、フォーカスステージのプラットフォーム103上の標的サンプルの表面からの散乱光を観測するように、発光フィルタは使用されない。図9と関連して示される様々な実施形態においては、散乱光906は、標的サンプルの表面のテクスチャを画像化するために使用される。この表面テクスチャの画像化は、例えば、マイクロアレイについての品質管理オペレーションにおいて有利に使用され、ナイロンの表面の高さのばらつきが許容可能な大きさの内にあるか否かを決定するために、マイクロアレイのナイロン表面が画像化される。図9と関連して開示された様々な実施形態は、例えば、光学顕微鏡検査および/または写真撮影と関連しても、一般的に使用され得ることが理解される。
【0052】
様々な実施形態においては、本教示は、高密度生体サンプルのコンテナに対する画像化を提供するが、それは、サンプル相互の深さのばらつき、サンプル内での高さのばらつき、および像面湾曲効果を含む高密度マイクロアレイと同様の問題を提示し得る。コンテナは、生物学分野における任意の既知のコンテナを含み得、それは、96、384、1536、6144などのウェルを有する高密度リアクションウェルを伴うリアクションプレート、標準消耗品ではない特注マルチウェルリアクションプレート、すなわちSBS、96毛細管アレイのような毛細管アレイ内の複数の毛細管、チューブストリップのようなアレイ構成の中に配列された複数の個々のサンプルチューブ、バキュームまたはスピン装着され得る96または384のチャンバのようなマイクロ流体カードの中の複数の個々のサンプル位置を含む。
【0053】
本明細書において使用される段落のヘディングは、文構成目的のみであって、あらゆる意味において記述された内容を限定すると解釈されるべきではない。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲の目的に対し、別に指示されない限りは、量、パーセンテージまたは比率、並びに、本明細書および特許請求の範囲で使用される他の数値を表す全ての数字は、あらゆる場合において、用語の「約」によって修正されるとして理解されるべきである。従って、それと反対に指示されない限り、本明細書の以下および特許請求の範囲において記述される数値パラメータは、概数であって、それは、本発明によって得られるために求められる所望の特性に依存して変動し得る。少なくとも、請求項の範囲に均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らし、かつ、通常の切上げ切捨て方法を適用し解釈されるべきである。
【0055】
本発明の広範な範囲を記述する数値範囲および数値パラメータが概数であるということにもかかわらず、本明細書の例で記述された数値は、可能な限り正確に報告されている。あらゆる数値は、しかしながら、それぞれの試験の計測値に基づく標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含む。しかしながら、本明細書で開示される全ての範囲は、そこに含まれる任意および全ての部分的範囲を含むことを理解されるべきである。例えば、「10より小(less than 10)」の範囲は、最小値ゼロと最大値10との間(かつ、それらを含む)任意のおよび全ての部分的範囲、すなわち、ゼロに等しいかまたはより大きい最小値、および、10に等しいかまたはより小さい最大値を有する任意および全ての部分的領域、例えば、1から5(1 to 5)を含む。
【0056】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるときには、単数形「a」、「an」および「the」は、1つの対象物に明示的かつ明白に限定されない限りは複数の対象物を含む。故に、例えば、「a microarray」への言及は、2つ以上のマイクロアレイを含む。
【0057】
本教示が様々な実施形態とともに記述されたが、本教示がそのような実施形態に限定されるということは意図されていない。反対に、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替、修正、均等物を含む
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、画像検出器、光学素子、およびフォーカスステージを含む例示的な画像機器の概略図を示す。
【図2】図2は、例示的なマイクロアレイ読み取り機器により生成された画像の一部の拡大図を示す。
【図3】図3Aは、サンプル相互の厚さのばらつきを示す例示的なマイクロアレイの合成断面図を示す。図3Bは、サンプル内の表面高さのばらつきの例示的なグラフを示す。図3Cは、像面湾曲に起因する例示的な湾曲した焦点面を示す。
【図4】図4は、画像検出器のチップおよび/またはチルトの存在におけるサンプル内表面高さのばらつきの例示的なグラフを示す。
【図5A】図5Aは、部分領域へのサンプル画像の例示的な分離を示す。
【図5B】図5Bは、焦点位置に対する画像ピクセル強度標準偏差のプロットおよび対応する例示的な画像を示す。
【図6】図6は、フォーカスステージ位置に対する部分領域画像分布のプロットを示す。極限焦点は、最大および最小の焦点位置を示すカーブとして規定される。
【図7】図7Aは、部分領域焦点の100パーセントが焦点ウィンドウ内に位置され得る部分領域焦点カーブのパターンを示す。図7Bは、部分領域焦点の80パーセントだけが焦点ウィンドウ内に位置され得る部分領域焦点カーブのパターンを示す。図7Cは、部分領域焦点の20パーセントだけが焦点ウィンドウ内に位置され得る部分領域焦点カーブのパターンを示す。図7Dは、部分領域焦点の85パーセントが焦点ウィンドウ内に位置され得る部分領域焦点カーブのパターンを示し、奇形な部分領域焦点カーブは部分領域画像エリアに関する問題を示唆する。
【図8】図8は、自動焦点プロセスを実行するための例示的なフロー図を示す。
【図9】図9は、画像検出器で標的サンプル画像を生成するために、電磁気放射を使用して散乱光を生成する代替の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的機器における画像を焦点調節する方法であって、該方法は、
焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に焦点調節エレメントを移動することと、
該複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮ることと、
複数の部分領域に該サンプル画像を分解することと、
該複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算することと、
該計算された画像強度の統計的分散値に基づき該複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定することと、
該規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することと
を包含し、
該標的サンプルは、高密度マイクロアレイである、方法。
【請求項2】
前記焦点調節エレメントは、フォーカスステージを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記焦点調節エレメントは、前記画像機器に関連する少なくとも1つのレンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記焦点調節エレメントは、前記画像機器に関連する画像検出器を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の焦点位置は、所定の最適な焦点位置より上および下の位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記高密度マイクロアレイは、1平方ミリメートルあたり4つの結合部位から1平方ミリメートルあたり10の結合部位までの密度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生物学的機器における画像を焦点調節する方法であって、該方法は、
焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に焦点調節エレメントを移動することと、
該複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮ることと、
複数の部分領域に該サンプル画像を分解することと、
該複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算することと、
該計算された画像強度の統計的分散値に基づき該複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定することと、
該規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することと
を包含し、
該標的サンプルは、高密度生体サンプルコンテナである、方法。
【請求項8】
前記コンテナは、96から1536のウェルを備えるリアクションプレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンテナは、特注のマルチウェルリアクションプレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテナは、アレイ内の複数の毛細管である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテナは、アレイ内に配列された複数の個々のサンプルチューブである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテナは、マイクロ流体カードの中の複数の個々のサンプル位置である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の部分領域の数は、4と100との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプル画像は、構成において実質的に長方形であり、前記複数の部分領域は、前記サンプル画像を行および列の小画像に分離することによって形成される実質的に長方形の画像を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプル画像は、複数のピクセルを備え、かつ、該複数のピクセルと関連するピクセル強度値の標準偏差を計算することを含む前記画像強度の統計的分散値を計算する画像検出器によって撮られる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記最適な焦点位置を決定することは、前記部分領域焦点位置の所定のパーセンテージが前記画像機器と関連する焦点ウィンドウ内に収まるか否かを決定することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記部分領域焦点位置の範囲内に極限焦点を規定することと、
該極限焦点に基づき前記最適な焦点位置を決定することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記最適な焦点位置は、前記極限焦点の間の中間点を計算することによって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記最適な焦点位置は、前記画像機器と関連する焦点ウィンドウの範囲内の前記部分領域焦点位置の平均を使用することによって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記部分領域焦点位置のうちのアウトライアの位置を無視することをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記最適な焦点位置を決定することは、受け取られた特定の波長の電磁エネルギに対して該最適な焦点位置を決定することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記最適な焦点位置を決定することは、受け取られた異なる波長の電磁エネルギに対して該最適な焦点位置を決定することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
画像機器において画像を焦点調節する方法であって、該方法は、
焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に焦点調節エレメントを移動することと、
標的サンプルの表面に電磁気放射を散乱させることと、
該散乱させられた電磁気放射に基づき該複数の焦点位置で該標的サンプルのサンプル画像を撮ることと、
該サンプル画像を複数の部分領域に分解することと、
該複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算することと、
該計算された画像強度の統計的分散値に基づき該複数の部分領域に対する部分領域焦点位置を規定することと、
該規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定することと
を包含し、
該標的サンプルは、高密度マイクロアレイである、方法。
【請求項24】
前記標的サンプルは、マイクロアレイを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロアレイと関連する基準点から散乱された光が、前記最適な焦点位置を決定するために使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
画像機器において画像を焦点調節するソフトウェアであって、該ソフトウェアは、
焦点調節エレメントの移動範囲内における複数の焦点位置に焦点調節エレメントを動かすために電子機械的作動装置に移動させる命令と、
該複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像をディジタルカメラに撮らせる命令と、
複数の部分領域に該サンプル画像を画像プロセッサに分解させる命令と、
該複数の部分領域内の画像強度の統計的分散値を計算し、かつ、該画像強度の統計的分散値に基づき該複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定し、かつ、該規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定するための命令と
を備え、
該標的サンプルは、高密度マイクロアレイまたは高密度生体サンプルコンテナである、ソフトウェア。
【請求項27】
生体サンプルを解析するための機器であって、該機器は、
焦点調節エレメントの移動範囲内で複数の焦点位置に対して焦点調節エレメントに連結され、かつ、その移動操作が可能な電子機械的作動装置と、
該複数の焦点位置で標的サンプルのサンプル画像を撮る操作が可能な画像機器に連結されるディジタルカメラと、
複数の部分領域に該サンプル画像を分解する操作が可能な画像プロセッサと、
該複数の部分領域内で画像強度の統計的分散値を計算するために命令を実行し、該計算された画像強度の統計的分散値に基づき該複数の部分領域に対して部分領域焦点位置を規定し、該規定された部分領域焦点位置に基づき最適な焦点位置を決定するように操作可能なディジタルプロセッサと
を備え、該標的サンプルは、高密度マイクロアレイまたは高密度生体サンプルコンテナである、機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−504575(P2008−504575A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518383(P2007−518383)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023305
【国際公開番号】WO2006/004947
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】