説明

コンフィデンス・メトリックに基づく閉ループ型送信ダイバーシチを実施する装置及び方法

【課題】 コンフィデンス・メトリックに基づく閉ループ型送信ダイバーシチを実施する方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 閉ループ型送信ダイバーシチのためのアンテナアレイを適合する方法が、時間周期のアンテナアレイの重み付けパターンに対応する適応信号を受信する工程と、複数の符号を供給するために適応信号復調する工程と、複数の各符号のコンフィデンス・メトリックを決定する工程と、好ましいコンフィデンス・メトリックを有する複数の各符号と、好ましくないコンフィデンス・メトリックを有する複数の各符号の最後に使用された符号とを比較する一式の順序付けされた符号を形成する工程と、一式の順序付けされた符号に対応するアンテナアレイの重み付けパターンを選択する工程と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に通信装置、特に、閉ループ型送信ダイバーシチを実施するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムを設計する際の多くの目的は、通信システムによって同時にサービスを受けるユーザ数を増やすことである。これをシステム容量の増加と呼ぶ。符号分割多元接続(CDMA)の無線通信システムを含む、多重アクセス通信システムにおいて、送受信機への適応アンテナアレイの利用が、システム容量を増やす方法として提案されてきた。
【0003】
適応アレーアンテナは、それぞれの寸法、位置、方向性及び放射配列を有する複数の放射部品からなり、それによって、ある方向には強く、他の方向には弱い個々の部品から放射される複数の電界を組み合わせた電界を生成する。適応アレイアンテナはシステム容量の増加を支援する。なぜならば、複数のビームやローブ(lobe)からなる適応アレイアンテナの電界パターンや放射パターンは、選択されたユーザを対象とした信号が、選択されたユーザの方向に向けて、より高利得のアンテナローブを有し、他のユーザ向けのアンテナパターンは殆どゼロであるように構成されている。従って、選択されたユーザのアンテナがゼロの状態ならば他のユーザを対象とした信号は、選択されたユーザを対象とした電力によって悪影響を及ぼされたり低下したりしないので、システム容量は増加する。
【0004】
アンテナアレイまたは適応アンテナアレイの設定は、通常、アンテナアレイへ供給される信号の処理におけるアンテナアレイ重み付けまたはアンテナ・アレイの重み付けパターンを設定することによって達成される。適応アンテナアレイの性能を改善するために、発信源またはアンテナアレイと、ユーザまたはターゲットアンテナまたはアンテナと、の間の関連動作等によるチャネル変動に応答するのに十分な頻度で、アンテナアレイは絶えず再設定され、アンテナアレイの重み付けパターンは、更新されなければならない。殆どの適応アレイアンテナ装置、あるいは適応アレイを使用するシステムは、目標の受信機や加入者ユニットが、チャネルを準継続的に計測もしくは評価し、発信源または基地局が適切なアンテナアレイの重み付けパターンを決定することを可能にするようなフィードバック情報を提供し、それによって、重み付けパターンは目標の受信機への適切なチャネルを維持するために、現行のチャネル状況へアレイを適応させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による実施例を用いるのに適した通信システムのコンテクスト・ダイヤグラムを簡略化した典型的なフォームで示す図。
【図2】本発明による無線通信ユニットの好ましい実施例を示すブロックダイヤグラム。
【図3】本発明による基本的な送信機の好ましい実施例を示すブロックダイヤグラム。
【図4】本発明による適応アレイ重み付け復号器の好ましい実施例による更に詳細なブロックダイヤグラムを示す図。
【図5】本発明によるアンテナアレイを適合させる好ましい方法を示すフローチャート。
【図6】本発明によるアンテナアレイを適合する代替の好ましい方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明による実施例を用いるのに適した通信システム100の簡略化した典型的な説明ダイヤグラムである。図1は、モトローラ等の製造業者から入手可能なセルラー方式の基本的な送信器システムである、基本の送信器101を表す。この送信器は、携帯可能な、携帯電話、携帯情報端末等のような無線通信や加入者、選択コールユニット107で通信するための2つのアンテナ素子103、105を含む送信アンテナアレイを使用し、ルート108に沿って移動できる。アンテナ素子103からの信号は、チャネル109を介して送信、放射され、アンテナ素子105から放射する信号は、チャネル111を介して伝播される。この例示ダイヤグラムの各チャネルは、放射アンテナ素子から無線通信ユニットへの複数の経路からなり、具体的には図示のように直接経路および、建造物、地質構造等の障害物113、115から反射される経路からなる。留意すべきは、全てのアンテナ素子から受信アンテナシステムへの全経路を合成して通常、チャネルあるいは合成チャネルと呼び、指定する。必要ならば、我々はここで、チャネルと合成チャネルとを識別しようとするが、明確に区別されない場合、チャネルは合成チャネルと見なし得る。
【0012】
適応アンテナアレイを使用して各要素に重み付け(利得および位相)をすることにより、これらのチャネルが最適化され、無線通信ユニットでの通信が少なくとも改善され得る。無線通信装置が経路108に沿って移動するにつれて、チャネルは、移動の仕方や異なる障害物による経路のせいで、急激に変化する。経路108に沿った異なる場所において、適応アンテナアレイは、無線通信ユニットにサービスを提供し続けるために、利用可能で変更するチャネルと相関するための重み付けを変更することによって、適合される必要がある。これは、既知の特性を有する信号を送信し、ユニット107に何が受信されたかを判断し、次にこの情報を、無加工あるいは加工して、発信者へのフィードバック情報として報告し、それに対応するアンテナアレイを適合させることによって、終了する。チャネルが変更する速度の大部分は、無線通信ユニットと送信拠点との間の相対速度の関数である。フィードバック情報は、チャネルによる歪みの影響を受け、それによるエラーは特に問題となり得る。なぜならば、エラーが不適切なアンテナアレイの重み付けをする可能性があるので、アンテナアレイの性能を更に劣化させる。ここに開示された原理および概念の重要な特徴は、チャネル諸経費に悪影響を及ぼさずに、このフィードバック情報のエラーによる影響を最小にするための手順およびメカニズムにある。
【0013】
方法および以下に例示する装置が、IS−95,CDMA2000,2.5G,3GやW−CDMA等の符号分割多元接続(CDMA)通信システムを主に参照しているが、本発明による原理および概念は、周波数分割多元接続(FDMA)および時分割多重アクセス(TDMA)システムへ限定せずにグローバル・システム・モバイル(GSM)やGPRSシステム等を更に含む、様々な多元接続方式を使用する多くの通信システムに活用できることを理解すべきである。更に、送信拠点や送信器、および無線通信ユニットあるいは加入者ユニットを参照しているが、本発明が、フィードバック情報がエラーの影響を受ける信号を参照、もしくは用いて、受信者がチャネルを処理する、あらゆる適応アレイシステムに利用できることを理解すべきである。携帯ユニットまたは加入者ユニットは、送受信器や移動通信器が相互に通信できると同時に、アンテナや適応アンテナアレイや基本となる送信器に活用されてもよく、携帯ユニットは、互いに通信できる。
【0014】
図2は、加入者ユニットや無線通信ユニット(WCU)200の好ましい実施例のブロックダイヤグラムを詳述したものである。前述の説明から理解されるように、本発明の多くの実施例および改変が利用できる。例えば、本発明の実施例に基づいた好ましい例示であるCDMAが、図2に示すWCU200で実施され得る。通常、これは広く利用可能なCDMAトランシーバとして知られている。従って、本発明による発明原理および概念を説明する際に、その既知の機能についてしばしば論ずる。WCU200は:受信した無線周波数エネルギーを受信器204へ結合するアンテナを備える。受信器204は増幅、フィルタリングして、無線周波数をベースバンド周波数に変換し、ターミナル205において、ベースバンド信号をインパルス応答推定器206へ結合し、ベースバンドプロセッサ216へベースバンドトラヒック信号を結合する。ベースバンドプロセッサ216は、既知の、拡散を元に戻し、レイク結合し、等化し、復調し、更に機能を復号することによって、ベースバンド信号からのチャネルトラヒックビットを決定する。205においてベースバンド信号へ結合される、チャネルのインパルス応答推定器206は、既知の方法によるチャンネルのインパルス応答推定を、好ましくはベクトル表示(例えば、基地局におけるアンテナアレイのアンテナ素子から加入者ユニットまでのチャネル延長のために)を決定し、この推定が重み付け計算器208へ提供される。
【0015】
重み付け計算器208は、基地局においてインパルス応答推定器206によって提供されるチャネルインパルス応答から、適応アンテナアレイのためのアレイ重み付けを決定するのが好ましい。CDMAシステムにおけるタイムスロット等の各時間や間隔のために、このタイムスロットのチャネル状態に対応する情報やフィードバック信号として送受局へ伝送するために送信器212へ提供される。アレイ重み付け情報は、ある時間間隔や、複数の時間間隔にわたり同時に送信される1つ以上のビットで構成される。好ましいW−CDMA(広帯域符号分割多元接続)形式におけるこの情報の形式は、タイムスロット間の、ここにはない他の個別物理制御チャネル(DPCCH)上の関連情報と共に同時に1ビットが送信される。適応アレイ重み付けは、通常、受信した信号対雑音・干渉電力比(SINR)を最大にすべく選択される。適応アレイ重み付けの選択によるSINRは、受信器の使用、特にどのような等化器が使用されたかに左右される。留意すべきは、フィードバック情報に用いられるアップリンクチャネルの容量を最小にするために、通常、有限個のアンテナアレイ重み付けのパターンが可能になり、従って、フィードバック情報はSINRを最大にするパターンに対応するコード語であるということである。
【0016】
マルチパスの組み合わせ受信器が用いられると仮定すると(CDMAシステムにおいて共通に使用されるRAKE受信器等、”Digital Communications”,Second Edition,McGraw−Hill publishing,1989,pp729−739 of Proakisに詳述)、移動中における受信信号(結合器の出力端にて測定)は、単一符号時間において、以下の式でモデル化される。
【0017】
【数1】

【0018】
ここで、Mは「受信経路の数」:受信器における全アンテナのチャネルインパルス応答のタップ数。よってチャネルのインパルス応答を特徴づけるのに必要なL個の受信アンテナとK個のタップが存在する場合、M=KLと、各アンテナに同数のタップを使用するのが一般的である。同式および以下の式全てがあらゆる数の受信アンテナに適用できるが、好ましい実施例による検討は、単一の受信アンテナ(L=1)に関してである。Nは伝送係数の数である。非周波数選択性適応アレイは、1つの素子につき1つの係数を有するので、この場合、Nはアンテナ素子の数になる。周波数選択性適応アレイが用いられる場合、Nは素子数より多くなる。bはトラヒックチャネル符号(複雑なスカラ量)である。pは平均的な伝送されたトラヒックチャネル電力である。
w ・・・(v1)
は、N個の要素の列ベクトルで、このベクトルは伝送制御データによって示されている。v ・・・(v2)
は、受信器に用いられるマルチパスの組み合わせ重み付けを含むM個の要素の列ベクトルである。留意すべきは、1つ以上のアンテナが受信器に用いられる場合、経路およびアンテナ出力の双方が組み合わさる。
H ・・・(v3)
は、アンテナアレイの各素子から移動局の各アンテナ素子までのチャネルのインパルス応答を含む、M行N列の行列である。
n ・・・(v4)
は、各受信アンテナにおいて、それぞれのマルチパスのタップのための1要素である、ノイズサンプルのMx1列ベクトルである。
xH ・・・(v5)
は、変数xの複素共役転置である。
RAKE受信器が用いられる場合、重み付けと組み合わせるマルチパスは:
【0019】
【数2】

【0020】
である。
ここで、
Σ―1は、ノイズ自己相関行列の逆数の行列平方根である。ノイズ相関行列は、
【0021】
【数3】

【0022】
である。RAKE受信器は通常、ノイズは無相関で、0を除く対角上の各経路におけるノイズ電力を含む対角行列を仮定する。E{x}は変数xの期待値である。伝送符号bがユニット等級を有すると仮定した場合、移動中のRAKE組み合わせ後の受信電力は、以下の式で表される:
【0023】
【数4】

【0024】
ここで、ρは、移動中における「瞬時受信SINR」である。
上述のように、適応アンテナアレイに基づくフィードバックを用いたシステムは、一般に有限個の実現可能なアレイ重み付けベクトルwを有する。これらのシステムは、一般にρを最大にする有効ベクトルwを選択し、フィードバック情報としてそこに対応するコード語を送信する。例えば、3GやW−CDMAシステムでは、16もの異なる重み付けベクトルが提案され、従って4ビットコード語でベクトルの意図が独自に決定される。
【0025】
図3は、基本の送信器300の好ましい実施例のブロックダイヤグラムである。上述の説明から理解できるように、本発明では多くの実施例および改変が可能である。例えば、本発明の実施例に基づく好ましい例示であるCDMAは、図3に示すように基本の送信器300中で実施され得る。一般に、これは広範囲で利用可能な既知のCDMAベースのトランシーバであるが、このトランシーバは、ここで説明および開示された発明原理および概念によって適合や修正がなされてきた。従って、本発明による発明原理および概念について説明する際に、多くの既知の機能が検討される。基本送信器300は、閉ループダイバーシチ方式を用いたアンテナアレイ302を介して信号を送信するために設計、構築されており、アンテナアレイ302やそこに供給される信号は、CDMAシステムにおけるタイムスロット等の通常の時間間隔(regular time interval)におけるアンテナアレイの重み付けによって適合される。アンテナアレイの重み付けや重み付けパターンは、図2を参照して前述で検討したように、アンテナ302から発する信号を測定、処理する加入者ユニットから得られた、WCUや加入者ユニットから受信したアレイコード語に対応するフィードバックされたビットや情報に基づく。
【0026】
単純化して示した基本の送信器300は、従来の送信プロセッサ機能316や適応アレイプロセッサ321を介して基本チャネルCH1の経路を決める開/閉ループ型制御信号で制御される2つのスイッチ319のうちの第1のスイッチへの入力である、基本チャネルCH1から始まる。従来の送信プロセッサ機能316は、特有の通信サービスの規格によって構築された特性、または、チャネル特性によって時々構築された特性を有するフィルタ構成でもよい。通常、基本の送信器が開ループ型ダイバーシチモードで動作する場合、信号は、従来の送信プロセッサ316を介した経路を辿る。
【0027】
適応アレイプロセッサ321は、調整可能な重み付け(利得および位相係数)を有する複素フィルタであり、公知のように、アンテナアレイ302から異なる方向へ放射される電力の量を変動させる。準継続的にアレイを適合させることによって、受信器への経路が変わる毎に、干渉に対してより適した信号が、受信器へ提供され得る。これが、周知の閉ループ型ダイバーシチ動作に関するものである。第2のスイッチ319からの出力はベースバンド送信信号であり、これは、加算器320に提供される。CDMAシステムでは、既知の特性を持つパイロット信号と電力が追加され、その結果が、他のベースバンド送信器のチャネル信号を追加したアナログ加算器320へ提供される。この複合信号は、ベースバンド信号を無線周波数信号へ高周波数に周波数変換する出力段階326に提供され、無線信号をフィルタリングし、増幅して、フィルタリングされ増幅された無線周波数信号がアンテナアレイ302へ提供される。
【0028】
更に図3の実施例は、アンテナアレイ302、またはアンテナ構造の一部分に結合された入力部と、適応アレイ重み付け復号器332へ結合された出力部とを有する、DPCCHのアップリンクのデータ受信器330である。全体として、図3の基本送信器は、図2のWCUや加入者ユニットで動作する目的であり、好ましい形では、データ受信器330は、フィードバック信号や情報信号、または、現在のタイムスロットのためのアンテナアレイの重み付けパターンや次の送信のために用いられるパターンに対応する、WCUや加入者ユニットからの適合信号、を受信する。この受信された適合信号は、適応アレイ重み付け復号器332へ結合される。既述のように、適合信号には、アップリンクや入りチャネルによって引き起こされるエラーや不規則信号の問題がある。復号器332は、適切なアンテナアレイ重み付けベクトルやパターンを決定し、適応アレイプロセッサへパターンを供給し、それによって閉ループ型送信ダイバーシチのアンテナアレイを適合する。
【0029】
図4は、適応性アレイ重み付け復号器332を、説明した、好ましい実施例のさらに詳細なブロックダイヤグラムである。図4の例によって、4ビットコード語が所望のアンテナアレイ重み付けパターンを表す状況を実証する。アンテナ302は、符号や連続した複数の符号を順次提供するために、適合制御チャネル信号やアップリンク制御チャネル信号を受信する、DPCCH受信器330へ結合されることを示す。1つの実施例において、符号は、フィードバック符号に応答するBPSK(Binary Phase Shift Keyed)符号であり、それによって、フィードバックビットや情報にビットごとに対応する端子401における符号付き等級を示す+/−1を比較する。これらのソフト符号は、復調器403へ提供され、ビットごとに論理1や0に変換され、それぞれの大きさが、各符号に対しコンフィデンス・メトリック(confidence metric)を決定するために、しきい値を比較する比較器405へ提供される。大きさは、電力が厳密に制御され、その大きさが既知の期待値を有するCDMAシステムにおいて、特に的確である。留意すべきは、仮にフィードバックビットがDPCCHでエラー符号化されると、受信ラインナップは復号器も含み、更に確率評価が復号器によって比較器405へ移される。
【0030】
復調器403の出力および比較器405の出力は、それぞれ整流器407、409へ供給される。好ましい実施例において、この復調器403は、タイムスロットあたり1ビットもしくは1符号を生成する。第1の符号、あるいはビットは、ラッチ413から、最後に使用されたbへ結合される第2の入力部によって、入力指定されたbのスイッチ411へ提供される。スイッチは、整流器409から得られる信号やコンフィデンス・メトリックによって制御されて、コンフィデンス・メトリックが有効な場合、ソフト符号の大きさがしきい値より大きい、またはしきい値を満足する場合は現在の符号を選択し、そうでない場合は最後に使用したビットbを選択する。同様に、スイッチとラッチ415,419および419の組み合わせにより、コンフィデンス・メトリック2,1,0に依存して、現在の符号b、b、bや最後に使用したバージョン等が選択される。これによって得られた4つのビットコード語は、復号器421へ供給され、送信アンテナアレイ重み付けベクトルやパターンが決定され、アレイプロセッサ321へ供給される。代わりの実施例において、特に図示しないが、整流器407からの個別の符号やビットb−b
がバッファにロードされ、コンフィデンス・メトリック3−0が同様にバッファリングされ、制御信号を3−0で提供するべく論理的にAND処理される。いずれかのコンフィデンス・メトリックが好ましくない場合、その前のコード語がそのまま用いられるのに対し、全てのコンフィデンス・メトリックが順調な場合、現在の符号b3−b0は、4ビットコード語として復号器421へ供給される。
【0031】
閉ループ型送信ダイバーシチシステム内のアンテナアレイ用いる基本送信器によってアンテナアレイ重み付けパターンを選択する装置の概観を示し、説明する。含まれるものは、一連の符号、個別、一連の対応するコンフィデンス・メトリック、および、前記の一連の符号の各符号が信頼性があるかどうかを判定するために、対応する一連のコンフィデンス・メトリックの各コンフィデンス・メトリックをしきい値と比較するための比較器405を提供するための、アップリンク制御チャネル信号を受信、復調する受信器330、403である。最後に、レジスタ410が、信頼性のある符号の各符号の順序が決められた、信頼性のない一連の符号のおのおののためには、最後に使用された符号を含むコード語、および、レジスタからのコード語に対応するアンテナアレイ重み付けパターンを選択するための復号器421から構成されるべく配置される。
【0032】
アップリンク制御チャネル信号を受信する工程は、アンテナアレイ302から発する前方パスについての、加入者ユニットからの受信フィードバック情報を含む。フィードバック情報は一連の符号、あるいは、それぞれが時間周期中に、複数回繰り返される一連の符号、あるいは誤り制御符号としての一連の符号、で構成され得る。フィードバック情報は、チャネル上で直接送信可能であり、反復や、誤り制御符号を介してさらに信頼性のあるフィードバック情報が作られる。フィードバック符号が繰り返される場合、受信器330は、最大比率結合器を用いてフィードバック符号を組み合わせ(当該分野において周知である、「ディジタル通信」,Second Edition,McGraw−Hill publishing,1989年,原理の説明,pp719−728 of Proakis参照)、前述の復調器403で復調された、組み合わされた符号を形成する。フィードバック符号がBPSK変調である好ましい実施例において、組み合わされた符号が次に、比較器405のしきい値に対して比較される。
【0033】
誤り制御符号は、更にフィードバックの信頼性を改善すべく用いられる。フィードバックビットは、コンボリューション符号、ブロック符号他を含む、多くの既知の符号化方法によって符号化される。誤り制御符号が用いられる場合、受信器330は、「1」がフィードバックされたWCUが起こる確率、および「0」ビットがフィードバックされた確率を計算し、比較器405への最大の確率を報告する。確率は、「誤り率を最小にする線形符号の最適復号」,by L.R.Bahl,J.Cocke,F.Jelinek,and J.Raviv,IEEE Transactions on Information Theory,March 1974,pp.284−287,に記述された方法等の、あらゆる多くの誤り制御符号の復号アルゴリズムを用いて計算される。この場合、しきい値比較器405は、確率しきい値とフィードバックビットの確率を比較する。復号器がすでにこの機能を実行しているので、復調器403は、この場合において、最大の確率ビットを単に受信し、変換を必要としない。
【0034】
好ましいフォームにおいて、フィードバック情報は、所望のアンテナアレイ重み付けパターンに対応するコード語を形成するフィードバックビットを表す、一連のBPSK符号であり、コンフィデンス・メトリックに対応する列は、符号の列に対応する符号の大きさ、あるいはエネルギーの列である。
【0035】
符号は、フィードバックビットが望ましく、符号の大きさは、ビットの大きさである。レジスタ410は、信頼性のある符号の各列を選択する比較器によって制御されたスイッチへ結合されたレジスタの各段階、および信頼性のない符号の各列のための最後に使用された符号を備えるラッチレジスタである。留意すべきは、代わりの実施例において検討された上記一連の符号は、全ての符号が信頼性があり、かつその前の列が使われていない場合に、選択される。コード語は、グレイ符号化が望ましいので、1つの符号やビットが変化した時のみ、類似で高度に相関したアンテナアレイ重み付けパターンに対応する。このフィードバックワードのグレイ符号によって、第3世代パートナーシッププログラム(3GPP)、「テクニカル・スペシフィケーション・グループ・レディオ・アクセス・ネットワーク(Technical Specification Group Radio
Access Network);フィジカル・レイヤ・プロシージャ(Physical layer procedures(FDD))、3GPP TS 25.214V5.0.0,March 2002,section8.3,として示すように、達成される。アンテナアレイの重み付けは、システムに依存するタイムスロットの周期性を用いた他のコード語によってアップデートされるのが望ましい。しきい値は、最後に使用された符号に有利になるように受信された廃棄符号がもたらすエラーに対する、受信された一連の符号におけるエラーによって、選択されたアンテナアレイの重み付けパターンのエラーの影響を均衡に保つべく選択される。言い換えれば、しきい値は、間違って復号化しそうである符号を不合格にすべく十分高くなるように選択されるが、符号は、適応アレイ重み付けがチャネル内の変化を記録可能にする速度で受け入れるには、未だ低い。
【0036】
図に示すように、ガウシアンノイズ中のBPSK信号の受信について検討する。BPSK符号がガウシアンノイズ中で受信された場合、ベースバンド受信信号の確率は、既知の
【0037】
【数5】

【0038】
で表され、ここで、σは、ノイズの標準偏差であり、rは、受信信号、
【0039】
【数6】

【0040】
は、BPSK符号(一般的な損失なく受信強度を1に正規化)である。フィードバック符号がおおよそ等しいと仮定する、絶対値T未満の受信信号を不合格にした場合、符号を不合格にし、正確に検出し、間違って検出する確率は、それぞれ:
【0041】
【数7】

【0042】
【数8】

【0043】
【数9】

【0044】
である。ここで、P+P+P=1なので、不合格の確率が増加するにしたがって、Pは、検出の確率、あるいはエラーの確率双方、もしくはどちらかが減少しなければならない。更に、しきい値の増加が検出された符号の損失以上にエラーレートを減少させる、Tが増加した時、Pより低い速度でPが減少することがわかる。例えば、ノイズの標準偏差σが1、フィードバック符号の16%がエラーである、T=0,P=0.84,P=0.16,P=0のしきい値を選んだ場合、84%は正しく受信され、不合格はない。しきい値T=0.7に設定する場合、P=0.62,P=0.04,P=0.34を得る。正しく検出された符号の数がおおよそ0.7の因数によって落ち込む一方で、エラーレートは、約4の因数によって落ち込むことがわかる。その結果、不合格のしきい値が増加することによって、常に正しく復号化はできないが、間違って復号化されることは稀になる。筆者らは、不合格の符号数が許容できるレベルのエラーレートを最小にする、しきい値Tを選択する。本例において、筆者らは、わずか34%の符号が不合格になるに過ぎないと推定する。
【0045】
繰返しが用いられる場合、受信器の範囲外である組み合わされた符号のノイズの標準偏差が用いられ、その確率が、上述のように直ちに計算され、しきい値が同様にして設定される。誤り制御符号化が用いられる場合、検出、エラーおよび不合格の確率は、誤り制御符号の利用、およびチャネル状況によって計算され、比較器405におけるしきい値の確率は、エラーが最小になるレベルに設定されるが、不合格の確率が高くなりすぎるようには動作しない。結局、このしきい値は、発明に役立つ様に選択され、選ばれた特別なシステムのシミュレーションを介して、検討を与えられた通常の実行者の技術の範囲内にある。
【0046】
図5は、本発明の検討および詳述による、アンテナアレイを適合する、第1の好ましい方法を示すフローチャートである。方法500は、閉ループ型送信ダイバーシチのためのアンテナアレイを適合する方法で、503において、好ましくは、制御チャネル上の加入者ユニット、時間周期のアンテナアレイ重み付けパターンに対応する適応信号からの受信から開始する。505において、この方法によって、符号が複数回、もしくは誤り制御符号化が繰り返される時間周期によって、1つ以上の符号を提供するために適応信号が復調され始める。
【0047】
過程が指定された507において、時間周期の1つ以上の符号から1つ以上の好ましい符号と、その前の時間周期の符号を決定する工程が開始される。例えば、現在、もしくは最後に使われたか、その前の符号のエネルギーを組み合わせた工程、符号やビットが変化したかを確認した結果を用いる工程等、このタスクを行う様々な方法が、意図して含まれる。別のアプローチとして、1つ以上の好ましい符号が、時間周期の現在の符号とその前の時間周期の符号、もしくは交互に選択することによって決定され、時間周期の複数の符号か、その前の時間周期の複数の符号のどちらかを選択する。しきい値が1つ以上の大きさ、511において、好ましい1つ以上の符号として選択することによって満たされる場合、これは、509において、1つ以上のしきい値への符号の大きさを比較することによって達成される。如何なる大きさによってもしきい値が満たされない場合、513において、1つ以上の好ましい符号として1つ以上前の符号の選択が開始される。通常よりやや頻繁に、複数の好ましい符号を決定する工程が更に、この工程のための複数の符号、現在の時間周期およびその前の時間周期の複数の符号の、どちらかを選択する工程を含む。しきい値が複数の符号における全ての符号、好ましい複数の符号としての複数の符号を選択する工程、好ましい複数の符号としてその前の複数の符号を選択する工程を満たす場合、選択する工程は、しきい値への複数の各符号の大きさを比較する工程を含むのが望ましい。
【0048】
比較過程はコード語を形成するのに十分な符号を繰り返すのが望ましい。1つ以上の符号が検討されている時、コード語内の全ての符号がしきい値をみたす場合のみ、新しいコード語が選択される。1つの符号のみが検討されている時、その1つの符号に対応する異なるコード語が活用される。いずれの場合も、515は、1つ以上の好ましい符号やコード語に対応するアンテナアレイの重み付けパターンによる送信を表す。この方法は、CDMAシステムにおけるタイムスロット等の各タイムスロットによって繰り返す。留意すべきは、あらゆるものを用いるためにしきい値をみたさなければならない全ての符号よりむしろ、試験として全てに満たない数を選択するのに適している。
【0049】
図6は、アンテナアレイを適合する代わりの好ましい方法を検討し、示したフローチャートである。この方法は、類似の客観性、すなわち閉ループ型送信ダイバーシチのためのアンテナアレイを適合する、ものである。この方法は、603において、好ましくは制御チャネル上の加入者ユニット、時間周期のアンテナアレイの重み付けパターンに対応する信号を適合する工程、からの受信で開始する。次に、605において、適応信号の符号がそれぞれ複数回繰り返され、誤り制御符号化がなされる、複数の記号を提供する適応信号を復調する工程は、アンテナアレイの重み付けパターンに対応するコード語を形成するフィードバックビットを表すBPSK符号である。いずれの場合も607において、この方法は、複数の各符号に対して、符号エネルギーや大きさなどの、コンフィデンス・メトリックを決定する。
【0050】
次に、609は、順調でコンフィデンス・メトリックを有する複数のそれぞれの符号、および順調ではないコンフィデンス・メトリックを有する複数のそれぞれの符号が最後に使用された符号、を用いる要求設定を形成するのに充てられる。実施する1つのアプローチとして、ith符号のためのコンフィデンス・メトリックがしきい値と比較される611において開始し、しきい値をみたす場合、符号は、513において選ばれ、選択され、用いられる順調でコンフィデンス・メトリックを有し、コンフィデンス・メトリックがしきい値をみたさない場合、符号は順調ではないコンフィデンス・メトリックを有し、最後に使用された、あるいはその前のith符号が、615において使用、あるいは選択される。617において、最も最近のn個のコンフィデンス・メトリックが順調な場合、最も最近のn個の符号は619へ見送られる。1つ以上の最も最近のn個のコンフィデンス・メトリックが順調な場合、最後に使用されたn個の符号は619へ見送られる。第1のアプローチにおいて、nは適応アレイ重み付けベクトルを完璧に表現する符号の数である。同様にして、適応アレイ重み付けは、さらに完璧に修正されそうであり、1つ以上のビットがエラーになる歪みを回避する。一般に、nは1以上の4つの符号等の、より小さい値で設定され、符号がエラーになる場合、おおよそ頻繁にアレイ重み付けのアップデートを可能にする。619において、符号の要求設定に対応するアンテナアレイの重み付けパターンを選択する工程が開始される。その後、621において、このアンテナアレイの重み付けパターンの送信工程が実行される。この方法は、各タイムスロットでも繰り返す。
【0051】
本開示は、真実を限定し、発明の公正な範囲と精神を目的とするよりむしろ、さまざまな実施例の作り方や使い方を説明する目的である。前述の説明が完全で、開示された厳密式が発明を限定することを目的としない。改良および改変が上述の教えを考慮に入れることは可能である。例えば、多くのアンテナアレイ復号器がソフトウェアで実施されている。実施例は、本発明の原理を表す最適な表現、および実際の装置を提供するために、様々な実施例における本発明を活用する当業者にとって実現可能なように、特定の使用のために検討された様々な改良を伴って、選択され、説明したものである。公平で、平等に権利を与える度量の大きさによって解釈される場合、このような改良および改変が特許請求の範囲として決定された発明の範囲内にあり、本特許出願が未定の間に、特許、およびこれと等価な全てのものに修正されてもよい。
【0052】
なお、文中(v1)から(v5)について、国際出願の英文明細書中にJISコードで表記できない箇所があったため、具体的には、国際出願の英文明細書ではそれぞれ
【0053】
【数10】

【0054】
であったが、この翻訳文では便宜的に代替表記を使用し、このように表した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループ型送信ダイバーシチのためのアンテナアレイを適合する方法で:
時間周期のアンテナアレイの重み付けパターンに対応する適応信号を受信する工程と;
複数の符号を供給するために前記適応信号復調する工程と;
前記複数の各符号のコンフィデンス・メトリックを決定する工程と;
好ましいコンフィデンス・メトリックを有する前記複数の各符号と、好ましくないコンフィデンス・メトリックを有する前記複数の各符号の最後に使用された符号とを比較する一式の順序付けされた符号を形成する工程と;
前記一式の順序付けされた符号に対応するアンテナアレイの重み付けパターンを選択する工程;
からなる方法。
【請求項2】
前記適応信号が、前記アンテナアレイの重み付けパターンに対応するコード語を形成するフィードバックビットを表す一連のBPSK(Binary Phase Shift Keyed)符号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンフィデンス・メトリックを決定する工程が、前記複数の各符号の符号エネルギーを決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記好ましいコンフィデンス・メトリックを有する前記複数の各符号が、しきい値を満足する符号エネルギーを有し、好ましくないコンフィデンス・メトリックを有する前記複数の各符号は、前記しきい値を満足しない符号エネルギーを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
閉ループ型送信ダイバーシチシステム内のアンテナアレイを用いる基本送信器に使用される、アンテナアレイの重み付けパターンを選択する装置であって:
一連の符号およびそれに対応する一連のコンフィデンス・メトリックを供給するためのアップリンク制御チャネル信号を受信し、復調する受信器と;
前記一連の符号の各符号が信頼できるかどうかを決定するために、一連の対応するコンフィデンス・メトリックの各コンフィデンス・メトリックとしきい値とを比較するための比較器と;
信頼性のある前記一連の各符号と、信頼性のない一連の各符号の最後に使用された符号との順序付けされたセットからなるコード語を構成するレジスタと;
前記コード語に対応するアンテナアレイの重み付けパターンを選択する復号器と;
からなる装置。
【請求項6】
前記アップリンク制御チャネル信号を受信する工程が、アンテナアレイから放射する前方パスについて、加入者ユニットからフィードバック情報を受信する工程を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィードバック情報が、所望のアンテナアレイの重み付けパターンに対応するコード語を形成するフィードバックビットを表す一連のBPSK符号である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コンフィデンス・メトリックに対応する列が、前記一連の符号に対応する符号の大きさの列である、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記レジスタが、信頼性のある前記一連の各符号と、信頼性のない前記一連の各符号の最後に使用された符号とを選択するために、前記比較器によって制御されたスイッチに結合された前記レジスタの各段階を有するラッチレジスタである、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記コード語がグレイ符号化されていることによって、1つだけの符号を有するコード語が、近接したアンテナアレイの重み付けパターンに対応して変更する、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記しきい値が、受信した廃棄符号によるエラーに対して、前記一連の符号のエラーによって選択されるアンテナアレイの重み付けパターンにおけるエラーの影響を均衡に保つべく選択される、請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−171598(P2009−171598A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63490(P2009−63490)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2005−508229(P2005−508229)の分割
【原出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】