説明

コード化小分子ライブラリーからのオーロラキナーゼ阻害剤

本発明は、少なくとも一部において、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩(ここで、Z1、Z2、Z3、R1、x、y、R2、R3、R4a、R4b、R5、R6およびR7は本明細書に記載されている)、ならびにそれらの同定方法、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、治療(例えば癌および他の増殖性障害の治療)におけるオーロラAキナーゼ阻害剤としてのそれらの使用を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年7月31日に出願された米国仮出願番号第60/820,869号に関するものであって、その優先権を主張するものであり、その内容は全体としてこの言及をもって本明細書の記載とする。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、細胞周期の異なる段階およびチェックポイント間の移行を促進または遅延させるのに重要な役割を果たす。ヒトにおいて、3種類のセリン/スレオニンプロテインキナーゼの最も関連するサブグループ(オーロラキナーゼ)は、細胞周期の分裂期を調節するタンパク質リン酸化事象において重要な役割を果たすと考えられる。オーロラキナーゼは、結腸腫瘍、乳腺腫瘍および他の固形腫瘍のような数種類のヒトの癌細胞において過剰発現される。オーロラA遺伝子およびオーロラB遺伝子は、乳癌および結腸直腸癌において増幅するが、一方、オーロラC遺伝子は、数種類の癌細胞において再編成されるかまたは欠失している領域に位置する。齧歯類線維芽細胞におけるオーロラAの過剰発現はトランスフォーメーションを誘発し、これは、オーロラAが発癌性を有することを示している。オーロラA mRNA発現は、ヒトの乳癌における染色体不安定性に結び付けられている。かくして、癌および他の増殖性障害の治療においてオーロラキナーゼのいずれかまたは全てを阻害する化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、一の態様では、本発明は、式I:
【化1】

[式中、
1、Z2およびZ3は、各々独立して、C−RまたはNであり、ここで、Rは、H、(C1〜C6)アルキル、ハロ、CN、または(C1〜C6)アルコキシであり、これらは各々、炭素上にて−OH、ハロまたは(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
1は、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキルであり;
xおよびyは、各々独立して、0または1であり;
2は、水素、(C1〜C6)アルキル、シアノ、−CO2H、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、CON((C1〜C6)アルキル)2であり、これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよく;
3は、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、ヘテロアリールがNHを含有する場合、この窒素は(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
4aは、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキル(炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい)であり;
4bは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであるか(ここで、これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい);または
4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、アリールまたはヘテロアリール基を形成し;
5は、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキルであり;
6は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、−NH(C1〜C6)アルキル、−N((C1〜C6)アルキル)2、アリール、ヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アルケニルオキシ、(C2〜C6)アルキニルオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、(C1〜C6)アルキルスルフィニル、(C1〜C6)アルキルスルホニル、アミノ、(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ−[(C1〜C6)アルキル]アミノ、ホルミル、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、カルボキシ、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、−CON((C1〜C6)アルキル)2、−OC(O)(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH2、−OC(O)NH(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH((C1〜C6)アルキル)2、−NHC(O)(C1〜C6)アルキル、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)(C1〜C6)アルキル、−NH−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル、N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−(C1〜C6)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(C1〜C6)アルキル]スルファモイル、(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ、または−N−(C1〜C6)アルキル−(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノであり(ここで、これらは、炭素上にてR7で置換されていてもよい);
7は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を対象とする。
【0004】
本発明はまた、
【化2】

である化合物またはその医薬上許容される塩を対象とする。
【0005】
いくつかの態様では、本発明また、式Iで示される化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を対象とする。
【0006】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の化合物または組成物の治療における使用を対象とする。
【0007】
いくつかの態様では、本発明はまた、対象体または生物学的試料におけるオーロラキナーゼ活性の阻害方法であって、式Iで示される化合物を該対象体に投与するかまたは生物学的試料に接触させて、結果としてオーロラキナーゼ活性が阻害されることを含む方法を対象とする。いくつかの態様では、本発明はまた、対象体におけるオーロラキナーゼ媒介状態の治療方法であって、式Iで示される化合物を含む組成物を該対象体に投与して、結果としてオーロラキナーゼ媒介状態が治療されることを含む方法を対象とする。
【0008】
いくつかの態様では、対象体における増殖性障害から選択される状態を有する疾患を治療するかまたはその重篤度を軽減する方法であって、式Iで示される化合物の有効量を該対象体に投与して、結果として該増殖性障害が治療されるかまたは該増殖性障害の重篤度が軽減されることを含む方法を対象とする。
【0009】
いくつかの態様では、本発明は、対象体における癌の治療方法であって、式Iで示される化合物の有効量を対象体に投与して、結果として癌が治療されることを含む方法を対象とする。
【0010】
いくつかの態様では、本発明はまた、患者におけるオーロラ媒介状態を治療するための薬剤の製造のための式Iで示される化合物の使用を対象とする。いくつかの態様では、本発明はまた、患者におけるオーロラ媒介状態を治療するための薬剤の製造のための、式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩、および医薬上許容される担体を含む組成物の使用を対象とする。
【0011】
いくつかの態様では、本発明は、対象体における癌を治療するための薬剤の製造のための式Iで示される化合物の使用を対象とする。
【0012】
いくつかの態様では、本発明はまた、下記スキーム1に示される工程を含む、式Iで示される化合物の製造方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、(A)化学的エラボレーションのためのDNA鎖とペンダントアミンとの間の共有結合を示す「ヘッドピース」の化学構造;(B)ケミカルディスプレイライブラリーの合成スキーム;(C)ヘッドピース、スペーサー、コード領域およびプライマーの略図;ならびに(D)ライブラリー分子の空間充填モデルを示す。「小分子」は、全分子量の2%未満を占める。
【図2】図2は、ケミカルディスプレイライブラリーを照合する方法を示す。
【図3】図3は、以下のものを示す。(A)Spotfire(登録商標)Decision Site 8.1.1(Spotfire U.S.、マサチューセッツ州サマービル)を使用して三次元で視たライブラリー集団。立方体の各軸は所定の合成サイクルで使用したシントンを表している912個の位置からなっている;その結果として、7,077,088個の成分の各々が立方体スペースにおける単一の点によって一意的に同定され得る;(B)ノー・ターゲット(No Target)選択により得られた未選別集団;(C)発生率が低い分子について選別した後の同集団。ランダムノイズが残っているだけである;(D)方法Aを使用したオーロラAキナーゼに対する選択により得られた未選別集団;(E)発生率が低い分子について選別した後の同集団。6−アミノキノリン・ファミリーが線で表される(上向き矢印)。7−アザトリプトファン・ファミリーは、同平面を占めている一連の点によって表される(左向きの矢印);(F)方法Aを使用したオーロラAキナーゼに対する独立的選択により得られた選別集団;(G)方法Bを使用してオーロラAキナーゼに対して濃縮された集団;(H)VX−680の存在下でオーロラAに対する方法A選択により得られた集団;(I)方法AおよびBを使用した選択の結果を合わせたもの。合成され、試験された分子は、黒っぽく表示されており、数字を付して示されている;(J)p38 MAPキナーゼに対する選択により濃縮された集団。選択された化合物は全て、サイクル1において公知の阻害剤の下部構造を共有する;(K)オーロラAキナーゼ(明るいグレー)およびp38 MAPキナーゼ(暗いグレー)により選択された集団のオーバーレイ。
【図4】図4は、オーロラA選択(1〜8)およびp38選択(9〜12)により得られた代表的な化合物の化学構造を示す。表は、2つのキナーゼに対する化合物のIC50値を示す。プロットは、オーロラAキナーゼに対する化合物1〜8の阻害曲線を示す。
【図5】図5A〜Bは、本発明の代表的な実施態様の主要ピークのUVトレースおよびマススペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の一の実施態様の精製ライブラリーのUVトレースである。
【図7】図7は、本発明の一の実施態様のライブラリーの生マススペクトログラムである。
【図8】図8は、本発明の一の実施態様のライブラリーのデコンボリュートされた質量である。
【図9】図9は、本発明の代表的な組成物の阻害パーセント対濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
定義
他に特記しない限り、以下の定義を使用する。
【0015】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、またはヨード(I)を意味する。
【0016】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「炭化水素」なる用語は、炭素原子14個までの炭素原子および水素原子だけを含む構造をいう。
【0017】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「炭化水素基」または「ヒドロカルビル」なる用語は、炭化水素から1個またはそれ以上の水素を取り除いた結果としての構造をいう。
【0018】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルキル」なる用語は、1〜約12個の炭素原子を含む一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基をいう。
【0019】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルキレン」なる用語は、2つの構造を一緒に連結する役割を果たす、1〜約12個の炭素原子を含む二価の直鎖または分枝鎖炭化水素基をいう。
【0020】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「シクロアルキル」なる用語は、少なくとも3個であって約12個までの炭素原子を含む飽和もしくは部分不飽和の一価の環含有炭化水素基をいう。
【0021】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アリール」なる用語は、芳香族性を有する1個またはそれ以上の多不飽和炭素環を有しており、5個〜約14個までの炭素原子を含む一価の炭化水素基をいう。
【0022】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ヘテロサイクル」なる用語は、環構造の一部としてN、OおよびSから独立して選択される1個またはそれ以上の多価ヘテロ原子を有しており、環中に少なくとも3個であって約20個までの原子を含む環含有構造または分子をいう。ヘテロサイクルは、飽和であっても、1個またはそれ以上の二重結合を含有する不飽和であってもよく、また、ヘテロサイクルは、2個以上の環を含有していてもよい。ヘテロサイクルが2個以上の環を含有する場合、これらの環は、縮合されていても、縮合されていなくてもよい。縮合環とは、一般的に、それらの間で2個の原子を共有する少なくとも2個の環をいう。ヘテロサイクルは、芳香族性を有していても、有していなくてもよい。
【0023】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ヘテロサイクリック基」、「ヘテロサイクリック部分」、「ヘテロサイクリック」または「ヘテロシクロ」なる用語は、1個またはそれ以上の水素を取り除くことによりヘテロサイクルから誘導された基をいう。
【0024】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ヘテロサイクリル」なる用語は、1個の水素を取り除くことによりヘテロサイクルから誘導された一価の基をいう。
【0025】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ヘテロアリール」なる用語は、芳香族性を有するヘテロサイクリルをいう。
【0026】
ヘテロサイクルは、例えば、単環式ヘテロサイクル、例えば、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ジオキソラン、スルホラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、チオピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジヒドロピリジン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジオキサン、ホモピペリジン、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン、ホモピペラジン、1,3−ジオキセパン、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン、およびヘキサメチレンオキシドを包含する。
【0027】
さらに、ヘテロサイクルは、芳香族ヘテロサイクル(ヘテロアリール基)、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、フラザン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,3−トリアゾール、テトラゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、および1,3,4−オキサジアゾールを包含する。
【0028】
さらに、ヘテロサイクルは、多環式ヘテロサイクル、例えば、インドール、インドリン、イソインドリン、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1,4−ベンゾジオキサン、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、フェノキサチイン、チアントレン、インドリジン、イソインドール、インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、チオキサンチン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、ピロリジジン、およびキノリジジンを包含する。
【0029】
上記多環式ヘテロサイクルに加えて、ヘテロサイクルは、2個またはそれ以上の環の間の環縮合が両方の環に共通している2つ以上の結合および両方の環に共通している3個以上の原子を含む多環式ヘテロサイクルを含む。かかる架橋ヘテロサイクルの例としては、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
【0030】
ヘテロサイクリルは、例えば、単環式ヘテロサイクリル、例えば、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジオキソラニル、スルホラニル、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオファニル、ピペリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、2,3−ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニル、ジオキサニル、ホモピペリジニル、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピニル、ホモピペラジニル、1,3−ジオキセパニル、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピニル、およびヘキサメチレンオキシジルを包含する。
【0031】
さらに、ヘテロサイクリルは、芳香族ヘテロサイクリルまたはヘテロアリール、例えば、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、および1,3,4−オキサジアゾリルを包含する。
【0032】
さらに、ヘテロサイクリルは、多環式ヘテロサイクリル(芳香族または非芳香族の両方を含む)、例えば、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、1,4−ベンゾジオキサニル、クマリニル、ジヒドロクマリニル、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、フェナントリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニル、およびキノリジジニルを包含する。
【0033】
上記多環式ヘテロサイクリルに加えて、ヘテロサイクリルは、2個またはそれ以上の環の間の環縮合が両方の環に共通している2つ以上の結合および両方の環に共通している3個以上の原子を含む多環式ヘテロサイクリルを包含する。かかる架橋ヘテロサイクルの例としては、キヌクリジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;および7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルが挙げられる。
【0034】
接頭辞として使用される「6員」なる用語は、6個の環原子を含有する環を有する基をいう。
【0035】
接頭辞として使用される「5員」なる用語は、5個の環原子を含有する環を有する基をいう。
【0036】
5員ヘテロアリール環は、5個の環原子(ここで、1、2または3個の環原子は、独立して、N、OおよびSから選択される)を有する環を有するヘテロアリールである。代表的な5員環ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、および1,3,4−オキサジアゾリルである。
【0037】
6員環ヘテロアリールは、6個の環原子(ここで、1、2または3個の環原子は、独立して、N、OおよびSから選択される)を有する環を有するヘテロアリールである。代表的な6員環ヘテロアリールは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルおよびピリダジニルである。
【0038】
「アラルキル」なる用語は、アリール基で置換されているアルキル基をいう。
【0039】
「ヘテロアラルキル」なる用語は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基をいう。
【0040】
他に特記しない限り、「置換されている」なる用語は、接頭辞として用いられる場合には、1個またはそれ以上の水素が1個またはそれ以上のアルキル基、またはN、O、S、F、Cl、Br、I、およびPから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する1個またはそれ以上の化学基と置き換わっている、構造、分子または基をいう。1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する代表的な化学基としては、ヘテロサイクリル、−NO2、−O−アルキル、ハロ、−CF3、−CO2H、−CO2R、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−−S(O)R、−CN、−OH、−C(O)NR2、−−NRC(O)R、オキソ(=O)、イミノ(=NR)、チオ(=S)、および オキシイミノ(=N−OR)(ここで、各「R」は、上記で定義したアルキルである)が挙げられる。例えば、置換フェニルは、ニトロフェニル、ピリジルフェニル、メトキシフェニル、クロロフェニル、アミノフェニルなどをいうことができる(ここで、該ニトロ、ピリジル、メトキシ、クロロ、およびアミノ基は、フェニル環上の適当な水素と置き換わることができる)。
【0041】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルコキシ」なる用語は、一般的な−O−アルキルで示される基をいう。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、イソブトキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシ、およびプロパルギルオキシが挙げられる。
【0042】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アミン」または「アミノ」なる用語は、−NH2をいう
【0043】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルキルアミノ」なる用語は、-NH(アルキル)をいう。
【0044】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ジアルキルアミノ」なる用語は、−NH(アルキル)2をいう。
【0045】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アシル」は、−C(O)−R(ここで、Rは、水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアルコキシであり、これらは、上記「置換されている」の定義によって規定されているように置換されていてもよい)を意味する。アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、フェニルアセチル、カルボエトキシ、およびジメチルカルバモイルが挙げられる。
【0046】
本発明の化合物には、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何異性体を包含する立体異性体として存在するものがある。(R)、(S)、エピマー、ジアステレオマー、シス、トランス、syn、anti、溶媒和物(水和物を含む)、互変異性体、およびその混合物を包含するこれらの形態はすべて、本発明の化合物において意図される。
【0047】
本発明はまた、本発明の化合物の塩、特に、医薬上許容される塩に関する。「医薬上許容される塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ、望ましくない毒物学的効果をもたらさない塩である。該塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸および同類のもの;酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、安息香酸、パモン酸、アルギン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸および同類のもののような適当な酸との塩であり得る。また、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、銅、バリウム、ビスマス、カルシウムおよび同類のもののような陽イオンの塩;またはテトラアルキルアンモニウム陽イオンおよびトリアルキルアンモニウム陽イオンのような有機陽イオンの塩が挙げられる。
【0048】
上記の塩の組合せもまた有用である。トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、およびトリクロロ酢酸との塩のような他の酸および/または陽イオンの塩もまた包含される。
【0049】
本発明はまた、本発明の化合物の種々の結晶形態、水和物、および溶媒和物にも関する。
【0050】
本発明の化合物
一の態様では、本発明は、式I:
【化3】

[式中、
1、Z2、およびZ3は、各々独立して、C−RまたはNであり、ここで、Rは、H、(C1〜C6)アルキル、ハロ、CN、または(C1〜C6)アルコキシであり、これらは各々、炭素上にて−OH、ハロ、または(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
1は、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキルであり;
xおよびyは、各々独立して、0または1であり;
2は、水素、(C1〜C6)アルキル、シアノ、−CO2H、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、CON((C1〜C6)アルキル)2であり、これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよく;
3は、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはヘテロアリールがNHを含有する場合には、この窒素が(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
4aは、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキルであり(ここで、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい)
4bは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか(これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい);または
4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、アリールまたはヘテロアリール基を形成し;
5は、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキルであり;
6は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、−NH(C1〜C6)アルキル、−N((C1〜C6)アルキル)2、アリール、ヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アルケニルオキシ、(C2〜C6)アルキニルオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、(C1〜C6)アルキルスルフィニル、(C1〜C6)アルキルスルホニル、アミノ、(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ−[(C1〜C6)アルキル]アミノ、ホルミル、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、カルボキシ、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、−CON((C1〜C6)アルキル)2、−OC(O)(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH2、−OC(O)NH(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH((C1〜C6)アルキル)2、−NHC(O)(C1〜C6)アルキル、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)(C1〜C6)アルキル、−NH−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル、N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−(C1〜C6)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(C1〜C6)アルキル]スルファモイル、(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ、または−N−(C1〜C6)アルキル−(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノであり(ここで、炭素上にてR7で置換されていてもよい);および
7は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を対象とする。
【0051】
いくつかの実施態様では、Z1はNである。いくつかの実施態様では、Z1はC−Hである。いくつかの実施態様では、Z2はNである。いくつかの実施態様では、Z2はC−Hである。いくつかの実施態様では、Z3はNである。いくつかの実施態様では、Z3はC−Hである。
【0052】
いくつかの実施態様では、R1は、
【化4】

であり、ここで、
【化5】

は、結合点を示す。いくつかの実施態様では、R1は、
【化6】

である。いくつかの実施態様では、R1は、
【化7】

である。いくつかの実施態様では、R1は、
【化8】

である。いくつかの実施態様では、R1は、
【化9】

である。
【0053】
いくつかの実施態様では、xは0である。いくつかの実施態様では、xは1である。
【0054】
いくつかの実施態様では、yは0である。いくつかの実施態様では、yは1である。
【0055】
いくつかの実施態様では、R2は水素である。いくつかの実施態様では、R2はCO2Hである。いくつかの実施態様では、R2はCO2Meである。いくつかの実施態様では、R2はCO2Etである。いくつかの実施態様では、R2はCONH2である。
【0056】
いくつかの実施態様では、R3は、
【化10】

である。いくつかの実施態様では、R3は、
【化11】

である。
【0057】
いくつかの実施態様では、R4aは水素である。いくつかの実施態様では、R4aはメチルである。いくつかの実施態様では、R4bは水素である。いくつかの実施態様では、R4bは、n−プロピルおよびイソプロピルを含むプロピルである。いくつかの実施態様では、R4bはエテニルである。いくつかの実施態様では、R4bはフェニルである。いくつかの実施態様では、R4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、フェニルである。いくつかの実施態様では、R4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、
【化12】

である。いくつかの実施態様では、R4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、
【化13】

である。
【0058】
5についての特定の意味は水素である。R5についての別の特定の意味はメチルである。R5についての別の特定の意味は、シクロヘキシルである。
【0059】
6についての特定の意味はクロロである。R6についての別の特定の意味はフルオロである。R6についての別の特定の意味はトリフルオロメチルである。R6についての別の特定の意味はトリフルオロメトキシである。R6についての別の特定の意味はシアノである。R6についての別の特定の意味はニトロである。R6についての別の特定の意味はヒドロキシルである。R6についての別の特定の意味はアミノである。R6についての別の特定の意味はメチルである。
【0060】
7についての特定の意味はクロロである。R7についての別の特定の意味はフルオロである。R7についての別の特定の意味はトリフルオロメチルである。R7についての別の特定の意味はトリフルオロメトキシである。R7についての別の特定の意味はシアノである。R7についての別の特定の意味はニトロである。R7についての別の特定の意味はヒドロキシルである。
【0061】
本発明の化合物の特定の群は、式I−1:
【化14】

で示される化合物である。
【0062】
本発明の化合物の別の特定の群は、式I−2:
【化15】

で示される化合物である。
【0063】
本発明の化合物の別の特定の群は、式I−3:
【化16】

で示される化合物である。
【0064】
本発明の化合物の別の特定の群は、
2が水素、(C1〜C6)アルキル、−CO2H、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−CONH(C1〜C6)アルキル、CON((C1〜C6)アルキル)2であり;
3がアリールまたはヘテロアリールである
式I−3で示される化合物である。
【0065】
本発明の化合物の別の特定の群は、式I−4:
【化17】

で示される化合物である。
【0066】
本発明の化合物の別の特定の群は、式I−5:
【化18】

で示される化合物である。
【0067】
いくつかの態様では、本発明は、以下の化合物:
【化19】

またはその医薬上許容される塩を対象とする。
【0068】
本発明の化合物の同定および製造
7,000,000を超えるメンバーを含むDNAコード化小分子ライブラリーから本発明の化合物を同定した。概括的な注釈として、極めて大規模な小分子のライブラリーを創造しスクリーンする能力は、新しい化合物の同定に関する念願の目標であった。この構想を達成する方法として、1980年代および1990年代初期にコンビナトリアル・ケミストリーが開発され受け入れられたが、小さい混合物からでさえ活性成分を同定するのに利用可能な無益な方法が大いに起因して支持が減った(P. Landers, “Drug Industry's Big Push Into Technology Falls Short,” Wall Street Journal, Feb. 24, 2004)。一方、同じ時代に、ペプチドおよびタンパク質に由来する療法の発見へのロバストでかつ有益な取り組みとしてコンビナトリアル生物学的方法が現れた(N. Scheinfeld, J. Drugs Dermatol. 2, 375 (2003);J.-H. Lee, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 18902 (2005))。これらの生化学的技術の成功は、複雑な混合物をデコンボリュートするための核酸ベースのコード化スキームの顕著な使用が大いに起因した。
【0069】
コンビナトリアル・ケミストリーに関するデコンボリューション問題に取り組むために、ペプチドライブラリーに関するいくつかのグループによって、核酸をベースとする標識法が開発された(S. Brenner, R. A. Lerner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 5381 (1992);S. E. Cwirla, E. A. Peters, R. W. Barrett, W. J. Dower, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6378 (1990);D. R. Halpin, J. A. Lee, S. J, Wrenn, P. B. Harbury, PLoS Biology, 2, 1031 (2004);S. Wilson, A. D. Keefe, J. W. Szostak, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 3750 (2001);A. Frankel, S. Li, S. R. Starck, R. W. Roberts, Curr. Opin. Struct. Biol. 13, 506 (2003))。最近では、化学反応を駆動するための鋳型としてDNAを利用する方法が開発されており、その結果、DNAで標識される小分子ライブラリーを生成することができるようになった(X. Li, D. R. Liu, Angew. Chem. Int. Ed. 43, 4848 (2004))。これらの進歩にもかかわらず、核酸標識化を使用して大規模な小分子のライブラリーを創造し、スクリーンし、デコンボリュートする能力は制限されていた。
【0070】
核酸コード化スキームを使用して、7,077,888個の成分からなる小分子ライブラリーが開発された(以下、「ケミカルディスプレイライブラリー」と呼ぶ)。該ライブラリーは、化学的合成法と酵素的合成法を組み合わせて使用して構築されており、図2に示すように、アフィニティーに基づく捕獲を使用して、オーロラAキナーゼおよびp38 MAPキナーゼ(医薬的に重要なターゲット)に対してスクリーンされた。該アフィニティー工程の後に、結合分子をコードする核酸をPCRにより増幅した。ウルトラハイスループットDNA配列決定法を用いてデコンボリューションが行われた。配列決定データの解析および翻訳は、ターゲット酵素と結合した推定構造体のファミリーを同定した。これらの分子は、DNA標識を用いずに合成され、慣用の生化学的および細胞ベースの方法を使用して試験された。これらの研究は、ケミカルディスプレイライブラリーが2つのキナーゼの新規な阻害剤を同定する能力を立証した。特に、該ライブラリースクリーンから直接、構造活性相関(SAR)が得られた。
【0071】
ケミカルディスプレイライブラリーの構築
ケミカルディスプレイライブラリーの作成のためのスキームを図2に示す。ライブラリー合成のための前駆体(「ヘッドピース」と称される)は、短い共有結合DNA二本鎖であった(アイオワ州コーラルビルのIDT, Inc.から購入)(ここで、共有結合性リンカーは、スペーサー鎖にぶら下がっている第一級アミンを含んでいた)。相補DNA鎖間の共有結合は、鎖交換を伴わずにライブラリー合成の間に用いられる高温化学反応を可能にするように特異的に選択された。ヘッドピースは、6組の塩基対および二塩基不対3'オーバーハングを含有していた。該オーバーハングは、さらなるDNAコード種のライゲーションのための基質を提供する(Y. Kinoshita K. Nishigaki. Nucleic Acids Symposium Series No. 34, Oxford University Press, 1995, pp 201-202)。DNAから距離を置いて化学合成の位置を定めるために、さらなる16原子スペーサー鎖をもって該ヘッドピースを付加した。さらに、ライブラリー合成の前に、PCRのためのプライマー配列としての役割を果たすために20bp配列を該ヘッドピースにライゲートした。
【0072】
該ライブラリーの作成に用いたDNA標識は、合成、選択および配列決定の間に最適な特性を有するように設計された。該標識は、一定のG/C含量を含有しており、その結果、全てのライブラリーメンバーは、同様の融解温度を有した。オーバーハング配列は、各サイクルに特有のものであって、その結果、各標識セットは、先行サイクルからのセットとだけライゲートすることができ、切断配列とはライゲートすることができなかった。
【0073】
該ライブラリーの化学的多様性要素(本明細書では、「シントン」という)は、いくつかの基準を念頭に置いて選択された。サイクル1で使用されるFmoc−アミノ酸ならびにサイクル2および3で使用されるアミンは、全て、商業的に入手可能であり、ニトロ基のような毒性または変異原性官能基を含まなかった。該ライブラリーにおいては、高収率で反応することが立証されたシントンだけが許された。各潜在的シントンを1種類またはそれ以上の代表的な反応で試験し、実施例のセクションに示されるように80%またはそれ以上の変換をもたらしたものだけが含まれた。400種類を超えるFmoc−アミノ酸を求電子試薬および求核試薬として試験して、サイクル1で192個のシントンを得た。1000種類を超えるアミンを試験して、サイクル2およびサイクル3のアミンセットを得た。p38 MAPキナーゼの阻害剤がライブラリー中に存在する可能性を増加させるために、サイクル2では3−アミノ−4−メチル−N−メトキシベンズアミドを含んだ(K. Leftheris, et. al. J. Med. Chem. 47, 6283 (2004))。
【0074】
該合成を行うためにスプリット・アンド・プール法の溶液変種を用いた。かくして、合成の第一サイクルを以下のとおり行った:修飾ヘッドピース20μmolをライゲーション・バッファーに溶解し、4つの96ウェルプレート中に整列させた。各ウェルに384個の特有の二本鎖DNA標識の1つを移した(各々、出発二本鎖に対して相補的な二塩基3'オーバーハング、および次の標識とアニール化するための別の3'オーバーハングを含有していた)。各標識をヘッドピースの2倍過剰で加えた。酵素的ライゲーションを行い、ゲル電気泳動法によって確認した。次いで、伸長したDNAをエタノールの添加によって沈殿させた。遠心分離後、整列したDNAペレットを反応バッファー(pH9.5、15mMボラート)に溶解した。次いで、各ウェルに50倍過剰の192種類のFmoc保護アミノ酸の1つ(1つのシントンにつき2つのウェル)およびカップリング試薬を添加した。逆相HPLC/エレクトロスプレー質量分析法により、該化学反応をモニターした(Y. Kinoshita K. Nishigaki. Nucleic Acids Symposium Series No. 34, Oxford University Press, 1995, pp 201-202;M. Hail, B. Elliot, K. Anderson, Amer. Biotech. Laboratory, January 2004, p.12)。
【0075】
完了後、ウェルをプールし、逆相液体クロマトグラフィーによりライブリーを精製した。この方法で、コード化標識配列とシントンとの間で特有の一致が確立された。各シントンは、2つの標識配列によってコードされた;かかる二重標識化は、その後のPCRバイアスをモニターする一手段として用いられた。その後の2回の合成サイクルは、異なる合成化学を用いるが、操作的には最初の合成サイクルと同様であった。該合成の注目すべき一の態様は、サイクル3の反応が80℃で行われたことである。実施例に示すように、比較的厳しい反応条件下でもDNA損傷は観察されなかった。
【0076】
図1Bにまとめて記載するように、合成の各サイクルで192個のシントンを使用し、最終収量3.9μmol(19%)を得た(260nmで光学密度により測定した)。7,077,888成分ライブラリーにおいて得られた小分子は、各々、特有の53bpDNA二本鎖に結合していた。アフィニティー選択の前に、該ライブラリーのアリコートを密接なプライマー配列とライゲートした。該プライマーは、縮重領域を含有しており、その後の増幅および配列決定の間にPCR複製を評価するために用いられた。
【0077】
オーロラキナーゼに対するアフィニティー選択
ケミカルディスプレイライブラリーにオーロラAキナーゼに対するアフィニティー選択を行った(E. Harrington, et. al., Nature Med. 10, 262 (2004))。選択条件を実証するために、オーロラAの公知の阻害剤であるVX−680の誘導体を合成し、特異的標識化DNA二本鎖と結合させた(J.-D. Charrier, F. Mazzei, D. Kay, A. Miller、WO 2004/00083)。コード化したポジティブコントロール分子は、ターゲットキナーゼに対するアフィニティーを保持することが立証され(データは示さない)、他の700万個の分子の濃度と同等の濃度にてケミカルディスプレイライブラリーで希釈された。
【0078】
2つのアフィニティー選択法を調べた。方法Aでは、ライブラリーのアリコート(5nmolの全ライブラリー、またはライブラリーメンバー1つにつき700amol、ポジティブコントロールを含む)を選択バッファー60μL中にて6His標識化オーロラAキナーゼタンパク質(30pmol)と一緒にインキュベートした。該DNAのターゲーットとの非特異的会合を最小限にするために、該バッファー中には遮断薬(剪断されたサケ精子DNA、ウシ血清アルブミン)が含まれていた。次いで、ターゲットおよびターゲット結合ライブラリーメンバーを磁気IMAC(固定化金属アフィニティークロマトグラフィー)ビーズ上で捕獲した。方法Bでは、まず、該タンパク質を飽和濃度(理論値約900pmol)でIMACピペットチップ(5μL、Phynexus, Inc.)上に固定化した。次いで、捕獲されたターゲットを選択バッファー中にてライブラリーと一緒にインキュベートした。両方の方法では、洗浄により非結合ライブラリーメンバーを取り除き、結合した集団をタンパク質ターゲットの熱変性によって回収した。次いで、回収した集団に対してさらに2回のアフィニティー選択のサイクルを行った。アフィニティー選択のサイクルの回数は、PCRおよび配列決定のための分子の産出量、ならびに潜在的SAR分析のための低および高アフィニティー分子を保持するという要求に基づいて経験的に決定した。対照として、対応する選択をオーロラAキナーゼの存在無しで行った(ノー・ターゲット・コントロール)。最終的な濃縮集団にPCRを行い、増幅したアウトプットを配列決定した(M. Margulies, et. al., Nature 437, 326(2005))。
【0079】
3回のアフィニティー選択サイクルの後に得られた濃縮ライブラリー集団は、典型的には、選択のストリンジェンシーに依存して、104〜106個のメンバーからなっていた。慣用の配列決定技術は、かかる多量のDNA配列を調査することはできない。したがって、ウルトラハイスループット配列決定技術を使用した;選択試料1つにつき約50,000個の独立した配列を評価した。
【0080】
未選択ライブラリーとオーロラA選択による増幅したアウトプットとの比較により、方法Aを用いて選択を3回行った後、ポジティブコントロールの100,000倍の濃縮が明らかになった。ポジティブコントロールは1:7×106の割合でスパイクされた。選択を3回行った後、ポジティブコントロールは、66,201個の配列中に971回、または1:70の割合で観察された。これは、100,000倍の濃縮に想到する。この結果は、酵素が選択の間にその活性コンフォメーションを保持していることを示した;その結果として、次に、濃縮ライブラリー集団を試験した。
【0081】
これらの実験からそれらのコード化分子への配列の翻訳は、多くの濃縮分子が構造的に関連しており、しばしば1または2個のシントン(図3におけるグラフにて面または線として表されている)を享有することを示した。図3Eおよび3Fは、方法Aを用いる2つの独立した選択の後のライブラリー集団を示す。選択された集団の分析は、ノー・ターゲット・コントロールと比べて高い頻度で生じた分子のファミリーを明らかにした。2つの実験の間に良好な再現性があり、選択された分子の63%が両方の集団において生じた。方法Bを用いて得られた濃縮集団が図3Gに示される。図3Eおよび3Fに示されるものと構造的に酷似しているものがある化合物のファミリーを再び選択した。別の実験では、VX−680(10〜50μM、DNAと共有結合していない)の存在下でオーロラキナーゼと一緒にアフィニティー選択を繰り返した(方法Aを使用)。この集団のPCR、配列決定およびデータ解析は、濃縮ファミリーが識別できなかったことを示した(図3H)。この実験は、選択されたファミリーの構造がVX−680としてオーロラキナーゼの同様の部位と結合することができることを示した。
【0082】
オーロラキナーゼ阻害剤とP38阻害剤との比較
本明細書に記載したオーロラキナーゼ阻害剤は、公知のオーロラAキナーゼ阻害剤(A. A. Mortlock, et. al., Curr. Top. Med. Chem. 5, 807 (2005))と構造的に全く異なる。両方のアフィニティー選択法によって強く選択された1つのファミリーは、サイクル2シントンとしての6−アミノキノリンの存在によって定義された(サイクル3においてはいくつかのアミンが好ましく、サイクル1においては観察できる優先がない)。興味深いことに、6−アミノキノリン面内で垂直な線の異なる部分によって立証されるように、異なるサイクル3アミンは、方法Bを用いるよりも方法Aを用いるほうが好ましかった。他のファミリーは、サイクル1における7−アザトリプトファンの存在下によって定義された(サイクル2および3では種々のアミンが許容される)。このファミリーは、両方の方法によって選択されるが、方法Aを使用するのが最も明らかである。
【0083】
選択された分子の代表的なセットを合成した(図4)。小分子合成の目的のために、サイクル1のアミノ酸は、しばしば、それらのデスカルボキシアナログと交換された:かくして、7−アザトリプトファンが7−アザトリプトアミンと交換された。アッセイデータは、結合しているカルボキシアミドの欠失が阻害能にマイナスの影響を与えなかったことを示した(化合物1および2を参照)。精製後、該分子に対して種々の生化学アッセイを行った。化合物がターゲット酵素と結合していることを明らかにするために、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた。放射測定キナーゼアッセイを用いて阻害活性を調べた。阻害定数は、450nM〜7.6μMの範囲であった。この範囲の効力は、企業によるスクリーニング収集の標準的HTSから得られたものに匹敵する(S. J. Teague, A. M. Davis, P. D. Leeson, T. Oprea, Angew. Chem. Int. Ed. 38, 3743 (1999))。加えて、ヒト癌細胞株を用いて細胞増殖アッセイを行った。
【0084】
酵素アッセイにおいて活性な化合物のいくつかは、増殖アッセイにおいても同様に活性であった。例えば、化合物1は、細胞増殖アッセイにおいてEC50=3.6μMを有しており、一方、化合物2、3および7は、それぞれ、3.6μM、10μM、および10μMのEC50値を有した。この結果は、選択された分子が細胞透過性であり、リード最適化のための良好な出発点であり得ることを示している。
【0085】
本明細書に記載のケミカルディスプレイライブラリー法を用いて、p38 MAPキナーゼの阻害剤も同定した。トリアジン骨格に基づくp38 MAPキナーゼの阻害剤は記載されている(K. Leftheris, et. al. J. Med. Chem. 47, 6283 (2004))。6His標識p38 MAPキナーゼに対するライブラリーの選択、次いで、PCRおよびDNA配列決定によって、ファミリー内の存在する数千個の分子を同定した(図3J)。該方法を使用して同定されたP38 MAPキナーゼ阻害剤は、スキーム1に記載の化合物を包含していた。
【0086】
【化20】

【0087】
トリアジン上における3−アミノベンズアミド誘導体での置換は、阻害にとって非常に重大であることは従前に分かっており、実際に、選択された集団は、サイクル2におけるシントン、3−アミノ−4−メチル−N−メトキシベンズアミドに支配されていた。加えて、トリアジン上での第2の置換基としては短い分枝アルキルアミンが好ましく、第3の置換基としてはジアミンが好ましいことが分かった。このファミリーのいくつかのメンバーの合成によって、p38 MAPキナーゼの強力な阻害剤であり(IC50=4〜10nM、図4)、LPS刺激ヒト単球からのTNF−αの分泌を阻害した化合物が得られた。例えば、化合物9は33nMのEC50を有しており、一方、化合物10、11および12は、それぞれ、22nM、11nMおよび122nMのEC50値を有していた。ライブラリー選択によって定義されたSARは、概して先の報告と一致した。加えて、選択された化合物の効力は、慣用的な医薬化学法によって得られたものと比べて遜色がなかった(K. Leftheris, et. al. J. Med. Chem. 47, 6283 (2004))。
【0088】
p38 MAPおよびオーロラAキナーゼの両方に対するケミカルディスプレイライブラリーの選択による結果は、図3Kに重ねて示される。これらのデータは、各キナーゼに関して選択されたファミリーが重複しなかったことを示しており、選択性についての可能性を示唆している。各ファミリーのメンバーについてのキナーゼ阻害能を表1に示しており、アッセイの濃度範囲内では、阻害活性の重複がないことが明らかである。p38阻害剤は、オーロラAの阻害を示さず(>10,000の選択性比)、オーロラ阻害剤は、p38を阻害しない(少なくとも10〜200の選択性比)。
【0089】
医薬製剤
本発明のさらなる態様によると、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を医薬上許容される希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物が提供される。
【0090】
本発明の組成物は、経口使用に適した剤形(例えば、錠剤、ロゼンジ剤、ハードもしくはソフトカプセル剤、水性もしくは油性懸濁剤、乳剤、分散可能な散剤もしくは顆粒剤、シロップ剤、またはエリキシル剤)、局所使用に適した剤形(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性液剤もしくは懸濁剤)、吸入による投与に適した製剤(例えば、微粉または液体エアゾール剤)、インサフレーションによる投与に適した剤形(例えば、微粉)または非経口投与に適した剤形(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与もしくは筋肉内投与用の滅菌水性もしくは油性液剤、または直腸投与用の坐剤)であり得る。
【0091】
本発明の組成物は、当該技術分野で周知の慣用の医薬賦形剤を使用して慣用の方法によって得ることができる。かくして、経口使用のための組成物は、例えば、1種類またはそれ以上の着色剤、甘味剤、香味剤、および/または保存剤を含有することができる。
【0092】
錠剤のための適当な医薬上許容される賦形剤としては、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムのような不活性希釈剤;コーンスターチまたはアルギン酸のような顆粒化剤および崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはプロピルのような保存剤;およびアスコルビン酸のような抗酸化剤が挙げられる。錠剤は、被覆されていなくてもよいか、または、消化器官内でのそれらの崩壊および活性成分の次なる吸収を改変するために、または、それらの安定性および/または外観を改良するために、どちらの場合にも当該技術分野で周知の慣用的なコーティング剤およびコーティング方法を使用して被覆されていてもよい。
【0093】
経口使用のための組成物は、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合したハードゼラチンカプセル剤の剤形であり得るか、または、活性成分を水または油(例えば、落花生油、流動パラフィン、大豆油、ヤシ油、または好ましくはオリーブ油)または他の許容されるビヒクルと混合したソフトゼラチンカプセル剤としてであり得る。
【0094】
水性懸濁剤は、一般的に、微粉形態の活性成分を、1種類またはそれ以上の懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム;分散剤または湿潤剤、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導した部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導した部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導した部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)と一緒に含有する。該水性懸濁剤はまた、1種類またはそれ以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピル)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、着色剤、香味剤、および/または甘味剤(例えば、シュークロース、サッカリンまたはアスパルテーム)を含有することもできる。
【0095】
油性懸濁剤は、植物油(例えば、アラキス油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)に活性成分を懸濁することによって製剤化することができる。該油性懸濁剤はまた、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含有することもできる。上記したような甘味剤、および香味剤を加えて美味な経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存され得る。
【0096】
水の添加による水性懸濁剤または液剤の製剤化に適した分散可能なまたは凍結乾燥した粉末および顆粒剤は、一般的に、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種類またはそれ以上の保存剤と一緒に活性成分を含有する。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上記したものによって例示される。甘味剤、香味剤および着色剤のようなさらなる賦形剤が存在してもよい。
【0097】
本発明の医薬組成物は、水中油滴型エマルションの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えば、オリーブ油またはアラキス油、または鉱油、例えば、流動パラフィンまたはこれらの混合物であり得る。適当な乳化剤は、例えば、天然ガム、例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム、天然リン脂質、例えば、大豆、レシチン、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導したエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)および該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。該乳剤はまた、甘味剤、香味剤および保存剤を含有することもできる。
【0098】
シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはシュークロースのような甘味剤を用いて製剤化することができ、粘滑薬、保存剤、香味剤および/または着色剤を含有することもできる。
【0099】
該医薬組成物はまた、滅菌注射用水性または油性懸濁剤、液剤、乳剤または特定の系の剤形であり得、上記した1種類またはそれ以上の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の方法に従って製剤化され得る。滅菌注射用製剤はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、ポリエチレングリコール中溶液であり得る。
【0100】
坐剤製剤は、活性成分を、常温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって、直腸で融解して薬物を放出するであろう適当な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。適当な賦形剤としては、例えば、カカオ脂およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0101】
クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤および水性または油性液剤または懸濁剤のような局所製剤は、一般的に、当該技術分野に周知の慣用の方法を用いて慣用の局所的に許容されるビヒクルまたは希釈剤で活性成分を製剤化することによって得られる。
【0102】
インサフレーションによる投与のための組成物は、活性成分を単独でまたは1種類またはそれ以上の生理学的に許容される担体(例えば、ラクトース)で希釈して含む微粉の形態であり得る。次いで、インサフレーション用の粉末は、好都合には、例えば、公知の剤であるクロモグリク酸ナトリウムのインサフレーションのために使用されるようなターボ吸入装置と一緒に用いるために活性成分1〜50mgを含有するカプセル中に保持される。
【0103】
吸入による投与のための組成物は、微細な固体または液滴を含有するエアゾールとして活性成分を投薬するようにアレンジされた慣用の加圧式エアゾールの剤形であり得る。揮発性フッ化炭化水素または炭化水素のような慣用のエアゾール噴射剤を使用することができ、エアゾール装置は、好都合には、定量した量の活性成分を投薬するようにアレンジされている。
【0104】
製剤についてさらなる情報について、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990の第5巻の第25.2章を参照する。
【0105】
したがって、本発明のさらなる態様では、治療において用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0106】
用途
また、薬剤として用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。本発明の別の態様は、癌、特に、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌もしくは膵癌、または白血病またはリンパ腫のような過剰増殖疾患の治療のための薬剤として用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0107】
さらに、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩は、治療によるヒトのような温血動物の治療方法において用いるために提供される。本発明の別の態様は、癌、特に、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌もしくは膵癌、または白血病またはリンパ腫のような過剰増殖疾患の治療方法において用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0108】
本発明の別の態様では、1種類またはそれ以上のオーロラキナーゼの阻害が有益である疾患の治療のための薬剤の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0109】
本発明の別の態様では、癌、特に、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌もしくは膵癌、または白血病またはリンパ腫のような過剰増殖疾患の治療のための薬剤の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0110】
さらに別の態様によると、1種類またはそれ以上のオーロラキナーゼの阻害が有益である疾患に罹患しているヒトの治療方法であって、該治療を必要とするヒトに式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の治療上有効量を投与する工程を含む方法において用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。特に、オーロラAキナーゼおよび/またはオーロラBキナーゼの阻害が有益であり得ると考えられる。
【0111】
上記治療用途のために、投与量は、用いられる化合物、投与形態、望ましい治療、所定の障害、ならびに動物または患者の年齢および性別に応じて異なるであろう。かくして、投薬のサイズは、周知の医薬原理に従って算出されるであろう。
【0112】
本明細書で定義した治療は、単独の療法として施されてもよいか、または、本発明の化合物に加えて、慣用の外科手術または放射線療法もしくは化学療法を含むことができる。かかる化学療法は、以下の抗腫瘍剤カテゴリーの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0113】
治療薬におけるそれらの用途に加えて、式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される塩はまた、新しい治療薬の探索の一環としての、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスのような研究動物における細胞周期活性の阻害剤の効果の評価のためのインビトロおよびインビボ試験システムの開発および標準化における薬理学的ツールとして有用である。上記の他の医薬組成物、プロセス、方法、使用および薬剤製造特性には、本明細書に記載した本発明の化合物の別の好ましい実施態様もまた当てはまる。
【0114】
本発明の化合物は、オーロラキナーゼ(特に、オーロラAキナーゼ)のセリン−スレオニンキナーゼ活性を阻害し、かくして、細胞周期および細胞増殖を阻害する。これらの特性は、例えば、以下に記載する方法の1つまたはそれ以上を使用して評価することができる。
【0115】
参照による援用
本願の全体にわたって引用される全て文献、特許および特許出願の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0116】
本発明の化合物およびそれらの製造は、これらの化合物が製造または使用される方法のいくつかを例示する実施例によってさらに理解され得る。しかしながら、当然のことながら、これらの実施例は本発明を限定するものではない。現在知られているかまたはこれから生じる本発明の変更は、本明細書および特許請求の範囲に記載されるように本発明の範囲内となるとみなされる。
【0117】
本明細書に記載のスキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法の単なる例示であり、これらのスキームの対する様々な変更を行うことができると解すべきである。
【0118】
シントン検証
ライブラリー様条件を使用して96ウェルプレートにて全てのシントンを検証した。分析は、HPLC/ESMS(陰イオン)を使用して行った。一例として、単一ウェル分析法を下記スキーム2に示す:
【0119】
【化21】

【0120】
反応後、該溶液のアリコートを逆相クロマトグラフィーカラム(Targa C18、5μ、2.1×40mm)上に注入し、260nmでモニターしながら溶離した(7分間にわたって15〜70%溶媒B、流速0.36mL/分;溶媒A:脱イオン水中の0.75%ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/0.38%トリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)/10μM EDTA;溶媒B:メタノール/水(90/10)中の0.75%HFIP/0.38%TEAA/10μM EDTA)。流出液を陰イオンモードでのアトバンテージ・エレクトロスプレー質量分析計にて分析した。UVトレースを図5Aに示し、主要ピークの質量スペクトログラフを図5Bに示す。出発物質に相当する観察可能な質量は観察されなかった。
【0121】
ライブラリー合成
材料
全ての化学的構成要素(Fmoc保護アミノ酸;アミン)は商業的供給源から入手した。DNAヘッドピースおよび様々なDNA標識は、アイオワ州コーラルビルのIDT, Inc.から入手した。T4 DNA Ligaseは、Fermentasから入手した(30u/ulまたは5000u/管)。ライブラリー合成前に、DNAヘッドピースを、標識長ピースのDNAとのライゲーションによって伸長した。この目的は、最終的3サイクル生成物の長さを4サイクル・ライブラリーを用いて得られたものと同一に保持するためであった。
【0122】
DNA「ヘッドピース」:
配列: 5'−/5Phos/GAGTCA/iSp9/iUniAmM/iSp9/TGACTCCC−3'
【0123】
塩基対の観点から:
【化22】

【0124】
化学構造:
【化23】

【0125】
化学的スペーサーの設置
ヘッドピースDNAの1mM溶液(43μmol、43mL)を、40当量のFmoc−15アミノ−4,7,10,13−テトラオキサペンタデカン酸(200mM DMF溶液8.6mL)、次いで、40当量の4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM、Acros)(200mM水溶液8.6mL)でアシル化した。該アシル化反応は、室温で18時間行った。完了後、該反応物をエタノールで沈殿させた。次いで、凍結乾燥ペレットを水中10%ピペリジン20mLに暴露することにより脱保護した。脱保護生成物をエタノール中にて沈殿させ、逆相HPLCにより精製して、下記化合物を得た。
【0126】
【化24】

【0127】
プレライブラリー・プライマー・ライゲーション
ヘッドピース(20μmol)を水18mLに溶解した。伸長配列を加え(水中1mM溶液28mL、1.4当量)、次いで、水(25mL)および10Xライゲーションバッファー(8mL、2mM ATPを含有)を添加した。該溶液を1分間95℃に加熱し、次いで、10分間にわたって16℃に冷却した。次いで、T4 DNAリガーゼの溶液(800μL、30U/μL)を添加し、該ライゲーションを16℃で16時間インキュベートした。DNA生成物をエタノールで沈殿させ、さらなる精製は行わずにライブラリー合成の第1サイクルに用いた。
【0128】
伸長配列の配列:
【化25】

【0129】
伸長したヘッドピースの配列:
【化26】

【0130】
標識
標識は、2つの2塩基3'オーバーハングが両側にある7塩基対コード領域を含有していた:
【化27】

【0131】
5'末端はすべてリン酸化された。標識配列は、一定のG/C含量を有し、パリンドロームを有さず、ホモポリマーストレッチを有しないように設計された。
【0132】
化学的構成要素
全ての化学的構成要素を貯蔵溶液として調製した(Fmoc−アミノ酸に対してDMF、アミンに対してMeCN)。貯蔵溶液をバーコード付追跡管(ペンシルベニア州マクマレーのMicronic North America, LLC)中にて−20℃で貯蔵した。
【0133】
サイクル1
伸長ヘッドピースDNAの1mM溶液(19.2μmol、19.2mL)を384個のウェルに分けた(50nmol/ウェル)。次いで、各ウェルに10×ライゲーションバッファー(Roche)20μL、T4 DNAリガーゼ(Roche)2.0μL、および水25μLを添加した。384個の標識溶液のうち1個のアリコート(水中1mM貯蔵溶液100μL)を各ウェルに添加し、16℃で16時間ライゲーションを行った。ライゲーション後、各容器に5M NaCl(10容量%)および冷エタノール2.5容量を添加して、DNAを沈殿させた。遠心分離後に回収したDNAペレットを各々pH9.5の150mMホウ酸バッファー50μLに溶解した。該プレートを4℃に冷却し、各ウェルに、192個のFmoc保護アミノ酸のうち1個の40当量(150mM DMF溶液12.6μL)、次いで、40当量の4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM、Acros)(250mM水溶液7.6μL)を添加した。該アシル化反応を4℃で18時間行った。完了後、該反応物をプールし、エタノールで沈殿させ、逆相HPLCにより精製した。次いで、凍結乾燥した生成物を水中10%ピペリジン20mLに暴露させることにより脱保護した。脱保護生成物を沈殿させた。192個の化学的構成要素が存在したが384個の標識が使用されたので、各成分は、2つの別個のウェルに設置され、かくして、2種類の標識によってコードされた。
【0134】
サイクル2
サイクル1の生成物(7.4μmol)を水7.4mLに溶解し、384個のウェルに分けた(19.2μL/ウェル)。次いで、各ウェルに10Xライゲーションバッファー7.8μL、T4 DNAリガーゼ0.77μL、および水10.9μLを添加した。次いで、DNA標識(水中1mM貯蔵液38.4μL)を添加し、ライゲーションを16℃で16時間行った。DNAを上記に従って沈殿させ、ペレットをウェルごとにpH9.5の150mMホウ酸バッファー19.2μLに溶解した。ライブラリーを4℃に冷却した。各ウェルに10当量の塩化シアヌル(アセトニトリル中200mM貯蔵液1μL)を添加した。1時間後、各ウェルに50当量のアミン(アセトニトリルまたはジメチルアセトアミド中200mM貯蔵液4.8μL)を添加した。合計192個のアミノ酸を用い、その結果、各々、2種類のDNA標識と対応した。置換を4℃で16時間行った。次いで、該ライブラリーをプールし、沈殿させた。
【0135】
サイクル3
サイクル2の生成物(7.4μmol)を水7.4mLに溶解し、192個のウェルに分けた(38.4μL/ウェル)。次いで、各ウェルに10Xライゲーションバッファー15μL、T4 DNAリガーゼ1.5μL、および水21μLを添加した。次いで、DNA標識(水中1mM貯蔵液95μL、2.5当量の標識)を添加し、ライゲーションを16℃で16時間行った。DNAを上記に従って沈殿させ、ウェルごとにpH9.5の150mMホウ酸バッファー38.4μLに溶解した。各ウェルに45当量のアミン(アセトニトリルまたはジメチルアセトアミド中200mM貯蔵液9μL)を添加した。合計192個のアミンを使用した。置換を80℃で6時間行った。次いで、ライブラリーをプールし、沈殿させ、精製して、3.9μmolの生成物を得た(最終収率19%)。
【0136】
ライブラリーの分析
精製したライブラリーのUVトレース、ライブラリーの正味のマススペクトログラムおよびライブラリーのデコンボリュートされた質量は、それぞれ、図6、7および8に見ることができる。観察された平均質量は、34,835ダルトンであり、予想された平均質量は、34,795ダルトンであった。
【0137】
ポストライブラリー・プライマー・ライゲーション
プライマーライゲーションを、通常の条件を使用して100nmolのアリコートに対して行った。
【0138】
ポジティブコントロール合成
【化28】

【0139】
最後の工程を除いて文献に従ってポジティブコントロールVX−680を合成した(例えば、J.-D. Charrier, F. Mazzei, D. Kay, A. Miller、WO 2004/00083を参照)。かくして、シクロプロパンカルボン酸{4−[4−クロロ−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル}アミド(20mg)および2−(ピペラジン−1−イル)酢酸t−ブチル(100mg)をDMF(1ml)と混合した。該混合物にジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.4ml)を添加した。反応混合物を110℃で1時間加熱した後、LC−MSは、反応が完了したことを示した。溶媒を蒸発させて、粗生成物を得、さらに、RP−HPLCで精製して、所望の生成物を得た。
【0140】
上記生成物を、TIPS(14μl)の存在下、ジクロロメタン中50%トリフルオロ酢酸(2ml)で室温にて4時間処理した。溶媒を蒸発させ、生成物をRP−HPLCで精製して、純粋な生成物を得た。
【0141】
pH9.4のリン酸バッファー中ヘッドピース溶液(1mM、100μl、100nmol)にDMF(20μl)中の小分子阻害剤(2mg、4μmol、40当量)を添加した。該溶液を0℃に冷却し、水(20μl)中DMT−MM(1.2mg、4μmol、40当量)を添加した。反応混合物を4℃で一夜撹拌した。エタノールクラッシュにより粗生成物を得、RP−HPLCでさらに精製して、所望の生成物を得た。MS:(M−3)/3=1889.91(計算値1890.3)、(M−4)/4=1417.45(計算値1417.5)、(M−5)/5=1133.93(計算値1133.8)、(M−6)/6=944.87(計算値944.7)。
【0142】
アフィニティー選択
オーロラAキナーゼ選択実験(方法A)
適当な選択バッファー[50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% tween−20、1mg/mL断片化サケ精子DNA(Ambion)、1mg/mLウシ血清アルブミン(Ambion)および10mMβME]中にて室温で1時間、DNA上で1つのライブラリーメンバーの濃度と同等のライブラリーを1μMのHis標識オーロラAタンパク質(Upstate)および11.7pMのVX−680と一緒にインキュベートした。VX−680を競争相手として使用した場合の選択では、それは、1回目には10μMの濃度で、2回目および3回目には50μMの濃度で選択バッファーに添加した。次いで、該溶液を20μL Dynabeads(登録商標)TALONTMビーズ(約260pmolのHis標識タンパク質結合能;Dynal Biotech)と一緒に30分間インキュベートした。このインキュベーションの後、ビーズを捕獲し、選択バッファー200μLで8回洗浄した。タンパク質/結合ライブラリー分子をビーズから溶離するために、ビーズを選択バッファー30μLに再懸濁し、72℃で5分間加熱した。溶出液をビーズから分取し、新鮮なTALONTMビーズ20μLに添加し、室温で15分間インキュベートして、変性タンパク質を除去した。新鮮なビーズを用いてこの2回目を繰り返し行った。次いで、この回に得られた溶出液を2回目の選択において選択バッファー中500nM His標識オーロラAタンパク質(Upstate)と一緒にインキュベートし、次いで、上記のDynabeads(登録商標)TALONTMビーズ(ビーズ10μL)インキュベーション、洗浄および溶離工程を行った。3回目については、2回目の溶出液を選択バッファー中50nM、200nMまたは500nMのHis標識オーロラAタンパク質(Upstate)と一緒にインキュベートし、再度、次いで、上記のDynabeads(登録商標)TALONTMビーズ(ビーズ10μL)インキュベーション、洗浄および溶離工程を行った。最後の溶出液を選択分子のDNAコードのPCR増幅のための鋳型として使用した。
【0143】
オーロラキナーゼ選択実験(方法B)
900pmolのHis標識オーロラキナーゼA(Upstate)をIMAC樹脂(>20nmolのHis標識タンパク質結合能;Phynexus)5μLに固定した。選択バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% tween−20、1mg/mL断片化サケ精子DNA(Ambion)、1mg/mL BSA(Ambion)、および10mM βME)中のDELライブラリー(7.2pM濃度の各ライブラリー分子)を固定化オーロラキナーゼと一緒に室温で1時間インキュベートし、次いで、選択バッファー100μLで10回洗浄した。タンパク質/結合ライブラリー分子を溶離するために、該樹脂をイミダゾール溶離バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% tween−20、1mg/mL断片化サケ精子DNA(Ambion)、1mg/mL BSA(Ambion)、10mM βME、および100mMイミダゾール)60μLと一緒に5分間インキュベートした。溶出液を72℃で5分間加熱して、オーロラキナーゼタンパク質を変性させた。IMAC樹脂上で変性タンパク質を再捕獲するために、該溶出液を選択バッファーで10倍希釈して、イミダゾール濃度を10mMに低下させた。次いで、希釈した溶出液をIMAC樹脂(Phynexus)と一緒に15分間インキュベートして、IMAC樹脂に結合した変性タンパク質およびライブラリー分子を取り出した。後の回の選択は、先行の回からの溶出液を固定化オーロラキナーゼ(Upstate)と一緒にインキュベートし、次いで、上記の洗浄および溶離工程を行った。
【0144】
p38選択実験
選択バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% tween−20、1mg/mL断片化サケ精子DNA(Ambion)、1mg/mL BSA(Ambion)、and 1mM βME)中にて室温で1時間、DELライブラリー(11.7pM濃度の各ライブラリー分子)を500nM His標識p38αタンパク質(Roche)と一緒にインキュベートした。該溶液をIMAC樹脂(>20nmolのHis標識タンパク質結合能;Phynexus)5μLと一緒に5分間インキュベートし、次いで、選択バッファー100μLで10回洗浄した。タンパク質/結合ライブラリー分子を溶離するために、該樹脂をイミダゾールバッファー(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% tween−20、1mg/mL断片化サケ精子DNA(Ambion)、1mg/mL BSA(Ambion)、1mM βME、および100mMイミダゾール)60μLと一緒に5分間インキュベートした。該溶出液を72℃で5分間加熱して、p38αタンパク質を変性させた。IMAC樹脂上に変性タンパク質を再捕獲するために、溶出液を選択バッファーで10倍希釈して、イミダゾール濃度を10mMに低下させた。次いで、希釈溶出液をIMAC樹脂(Phynexus)と一緒に15分間インキュベートして、IMAC樹脂に結合した変性タンパク質およびライブラリー分子を取り出した。後の回の選択は、先行の回からの溶出液を、2回目の選択については選択バッファー中200nM His標識p38αタンパク質(Roche)と一緒に、そして、3回目の選択については選択バッファー中0.2nM〜200nM(10倍間隔で)のHis標識p38αタンパク質(Roche)と一緒にインキュベートし、次いで、上記の洗浄および溶離工程を行うことにより行った。溶出した分子を、選択分子のDNAコードのPCR増幅のための鋳型として使用した。
【0145】
解読
選択後、プライマー5'O(5'−GCCTTGCCAGCCCGCTCAGTGACTCCCAAATCGATGTG−3';400nM;IDT)および3'O(5'GCCTCCCTCGCGCCATCAGGCAGGTGAAGCTTGTCTG−3';400nM;IDT)を使用して、PCR(95℃で5分間、次いで、92℃で30秒間;55℃で15秒間;72℃で15秒間のサイクルを20回、次いで、72℃で10分間)によってライブラリー分子を増幅した。PCR生成物を精製して、プライマーおよびヌクレオチド(Qiagen)を除去し、配列決定した(454 Life Sciences)。
【0146】
化合物の合成
小分子の一般的な合成方法
注意:一般に、化合物合成の目的のためにサイクル1のアミノ酸をそれらのデス−カルボキシ類似体と交換した。例えば、分子が最初のポジションでフェニルアラニンを用いてライブラリーから選択された場合、それは、フェネチルアミンを使用して合成された。まれに、連結しているカルボキシアミドは、活性について重要であることが観察された。
【0147】
1回目の置換
アセトニトリル:水性バッファー(250mMボラート、pH9.4)(1:1)中にて塩化シアヌルおよびアミン#1の80mM貯蔵溶液を新しく調製した。氷上で冷却した後、等量の2つの貯蔵溶液を合わせた。混合するとすぐにモノ付加物が沈殿した。得られたコロイド溶液を室温に加温した。
【0148】
2回目の置換
10mL容器中にて上記モノ付加物溶液(100μmol)1.25mL、1当量のアミン#2、アセトニトリル5mL、およびK2CO3(過剰)50mgを合わせた。該混合物を1時間撹拌した。
【0149】
3回目の置換
粗ジ付加物反応混合物にアミン#3(5当量)500μmolを添加した。該反応混合物を室温で一夜放置した。次いで、該溶液を濃縮し、10%アセトニトリル(水溶液)5mL中にて復元し、逆相HPLCにより精製して、生成物18.18mg(38%)を得た。
【0150】
生化学アッセイ
オーロラキナーゼアッセイ
p38キナーゼアッセイと同様の96ウェルプレート放射測定キナーゼアッセイを使用して、オーロラキナーゼ活性の阻害について化合物をアッセイした。2nM活性p38キナーゼ(R&D Systems)を含有するアッセイバッファー(20mM HEPES 7.4、10mM MgCl2、25mM β−GP、1mM DTT、0.1mg/ml MBP)でオーロラキナーゼ(Upstate)を予備希釈し、ウェルに添加し、次いで、10%DMSOを含むアッセイバッファー(アッセイにおけるDMSOの最終濃度1%)で予備希釈した化合物を添加した。化合物をキナーゼと一緒に室温で20分間予備インキュベートした後、10μM ATP/0.02μCi/μl[γ−33P]ATPの添加により反応を開始させた。反応プレートを30℃で4時間インキュベートした。200mMリン酸の添加により反応を停止させ、96ウェルMilliporeホスホセルロース・フィルタープレートに移した。該フィルタープレートを100mMリン酸で繰り返し洗浄して、過剰の[γ−33P]ATPを除去し、次いで、該フィルターを乾燥させ、各ウェルにシンチレーション液(Microscint 40)20μlを添加した。該フィルタープレートをTopCount−NXTシンチレーションカウンターで計数し、Prism曲線適合ソフトウエアを使用して該データを処理した。
【0151】
P38キナーゼアッセイ
96ウェルプレート放射測定キナーゼアッセイを用いてp38キナーゼ活性の阻害について化合物をアッセイした。2nM活性p38キナーゼ(R&D Systems)を含有するアッセイバッファー(20mM HEPES 7.4、10mM MgCl2、25mM β−GP、1mM DTT、0.1mg/ml MBP)をウェルに添加し、次いで、10%DMSOを含むアッセイバッファー(アッセイにおけるDMSOの最終濃度1%)で予備希釈した化合物を添加した。化合物をキナーゼと一緒に室温で20分間予備インキュベートした後、10μM ATP/0.02μCi/μl[γ−33P]ATPの添加により反応を開始させた。反応プレートを30℃で4時間インキュベートした。200mMリン酸の添加により反応を停止させ、96ウェルMilliporeホスホセルロース・フィルタープレートに移した。該フィルタープレートを100mMリン酸で繰り返し洗浄して、過剰の[γ−33P]ATPを除去し、次いで、該フィルターを乾燥させ、各ウェルにシンチレーション液(Microscint 40)20μlを添加した。該フィルタープレートをTopCount−NXTシンチレーションカウンターで計数し、Prism曲線適合ソフトウエアを使用して該データを処理した。濃度対阻害パーセントのグラフを図9に示す。
【0152】
P38ビアコア・アッセイ
ビアコアCM5チップを使用して、10μM SB203580の存在下で、Casper(Analytical Biochem. 2004, 325: 126-136)によって記載されるような標準的なアミンカップリングによりp38a表面を調製し、次いで、続く洗浄工程で除去した。公表されたプロトコールに対して行われた唯一の変更は、活性p38を使用し、10mM酢酸ナトリウム、pH5.0を含有するバッファーを用いて固定化したことであった。固定化レベルは、3000〜5000共鳴単位(RU)の範囲であった。非誘導化フローセルは、参照表面としての役割を果たした。速度定数および解離定数は、データをLangmuir結合モデルに適合させることによって算出した。使用した異なるチップの各々を、最初に、SB203580の非リン酸化p38への結合について報告された11nMの数値(Casper)と同様に本願の系ではKd=5nMを有したSB203580を使用してアッセイした。
【0153】
細胞アッセイ
HCT−116 Cell Line HCT116(ヒト結腸直腸癌細胞)を用いるオーロラA化合物についての細胞増殖アッセイをAmerican Type Culture Collectionから入手した(Cat. No. CCL−247、メリーランド州ロックビル)。37℃で95%空気および5%CO2の加湿インキュベーター中にて、10%ウシ胎仔血清(FBS;Omega Scientific、カリフォルニア州ターザナ)、2mM L−グルタミン、50IU/mlペニシリンおよび50μg/mlストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を補充したMcCoy's 5A中の単層培養物中に細胞を保持した。
【0154】
トリプシン化により単一細胞懸濁液を調製して、それらの各培養培地中にて1mL当たり1.25E4細胞を得た。96ウェルプレートに200μl/ウェルの細胞懸濁液を播種して、初期播種密度2500細胞/ウェルを得た。該プレートを組織培養インキュベーター(5%CO2、37℃)中に一夜置いて、細胞を付着させた。
【0155】
試験化合物の段階希釈液を10mM貯蔵溶液から培養培地中にて最終濃度で調製し、三重にアッセイした。試験化合物を有するウェル中のDMSOの濃度に相当する0.1%v/vDMSOに培養培地を調整することによってビヒクルを調製した。次いで、試験プレートを3日間組織培養インキュベーター(5%CO2、37℃)中に置いた後、MTTアッセイを行った。
【0156】
MTTアッセイは、生成物を分光光度法で測定するMTTにおけるテトラゾリウム環の細胞デヒドロゲナーゼ酵素開裂に基づく細胞生存率の測定である。PBS中にて調製した5mg/mL MTT(3'[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド、Sigma Cat. No. M2128)の25μLアリコートをウェルに直接添加した。該プレートを37℃で2時間インキュベートし、MTT溶液を除去し、イソプロパノール150μLを各ウェルに添加し、プレートを室温で10分間振動させた。Labsystems Multiskanプレート分光光度計で570nmにてウェルの光学密度を定量化した。二重の測定値の平均値を求めた。結果は、対照からのODシグナルのパーセントとして表される。
【0157】
ヒトTHP−1細胞株におけるLPS誘発性TNFα生産
THP−1(ヒト、単球)細胞株をAmerican Type Culture Collection(ATCC、Cat. No. TIB 202)から購入した。37℃で95%空気および5%CO2の加湿インキュベーター中にて、10%熱失活ウシ胎仔血清(FBS;Omega Scientific、カルフォルニア州ターザナ)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を補充したRPMI 1640(GIBCO)中にて1週間に3回、細胞を継代した。
【0158】
該アッセイのために、THP−1細胞を収穫し、計数し、培養培地中にて1ml当たり1E6細胞で懸濁した。細胞懸濁液200μlを96ウェルプレートにて各ウェルに添加して、1ウェルにつき2×105細胞の密度を得た。10mM貯蔵溶液から培養培地中にて最終濃度でP38化合物の段階希釈液を調製し、三重にアッセイした。試験化合物を有するウェル中のDMSOの濃度に相当する0.1%v/vDMSOに培養培地を調整することによってビヒクルを調製した。
【0159】
P38阻害物質の存在下で30分間、細胞をインキュベートした。その後、5%CO2−インキュベーター中にて37℃で4時間、細胞をLPS(イー・コリ(E.coli) 026:B6、1μg/ml)で刺激した。試料を氷上に置き、4℃にて1500×gで10分間遠心分離することによって反応を停止させた。細胞上清を収穫し、製造者の指示に従ってELISA(BD Pharmingen、カリフォルニア州サンディエゴ、Cat. No. 555212)によってTNFの濃度を測定した。分光光度ELISAプレートリーダー(Labsystems Multiskan MCC/340)にて450nmで吸光度を測定および分析した。二重の測定値の平均値を求めた。結果を対照からのODシグナルのパーセントとして表す。
【0160】
均等物
当業者は、単に慣用の実験を用いて、本明細書に記載された本発明の特定の実施態様の多くの等価物を認識するかまたは確認できる。このような等価物は、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図される。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
1、Z2、およびZ3は、各々独立して、C−RまたはNであり、ここで、Rは、H、(C1〜C6)アルキル、ハロ、CN、または(C1〜C6)アルコキシであり、これらは各々、炭素上にて−OH、ハロまたは(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
1は、1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキルであり;
xおよびyは、各々独立して、0または1であり;
2は、水素、(C1〜C6)アルキル、シアノ、−CO2H、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、CON((C1〜C6)アルキル)2であり、これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよく;
3は、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、ヘテロアリールがNHを含有する場合、この窒素は(C1〜C6)アルキルで置換されていてもよく;
4aは、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキル(炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい)であり;
4bは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであるか(ここで、これらは、炭素上にて1、2または3個のR6で置換されていてもよい);または
4aおよびR4bは、それらが結合している炭素と一緒になって、アリールまたはヘテロアリール基を形成し;
5は、水素、(C1〜C6)アルキル、または(C3〜C6)シクロアルキルであり;
6は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、−NH(C1〜C6)アルキル、−N((C1〜C6)アルキル)2、アリール、ヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C1〜C6)アルコキシ、(C2〜C6)アルケニルオキシ、(C2〜C6)アルキニルオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、(C1〜C6)アルキルスルフィニル、(C1〜C6)アルキルスルホニル、アミノ、(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ−[(C1〜C6)アルキル]アミノ、ホルミル、−C(=O)(C1〜C6)アルキル、−C(=N)(C1〜C6)アルキル、カルボキシ、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−C(=N)NH2、−C(=N)NH(C1〜C6)アルキル)、−C(=N)N(C1〜C6)アルキル)2、−CONH(C1〜C6)アルキル、−CON((C1〜C6)アルキル)2、−OC(O)(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH2、−OC(O)NH(C1〜C6)アルキル、−OC(O)NH((C1〜C6)アルキル)2、−NHC(O)(C1〜C6)アルキル、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)(C1〜C6)アルキル、−NH−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH2、−N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル、N(C1〜C6)アルキル−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−C(O)NH(C1〜C6)アルキル)2、−NH−(C1〜C6)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(C1〜C6)アルキル]スルファモイル、(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ、または−N−(C1〜C6)アルキル−(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノであり(ここで、これらは、炭素上にてR7で置換されていてもよい);および
7は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1〜C6)アルキル 、(C1〜C6)アルコキシ、シアノ、ニトロ、またはヒドロキシルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
1が、炭素上にて1個または2個のハロゲンまたはアルコキシで置換されていてもよい、アラルキルおよびヘテロアラルキルからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
5が、水素、メチルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項1〜2いずれか1項記載の化合物。
【請求項4】
6が、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アミノおよびメチルからなる群から選択される、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
7が、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロおよびヒドロキシルからなる群から選択される、請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式I−1:
【化2】

で示される化合物である請求項1〜5いずれか1項の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
式I−2:
【化3】

で示される化合物である請求項1〜6いずれか1項の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
式I−3:
【化4】

で示される化合物である請求項1〜7いずれか1項の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
2が水素、(C1〜C6)アルキル、−CO2H、−CO2(C1〜C6)アルキル、−CONH2、−CONH(C1〜C6)アルキル、CON((C1〜C6)アルキル)2であり;
3がアリールまたはヘテロアリールである
請求項8記載の化合物。
【請求項10】
【化5】

からなる群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか1項記載の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
対象体または生物学的試料中におけるオーロラキナーゼ活性の阻害方法であって、請求項11記載の組成物を該対象体に投与して、または、生物学的試料に接触させて、結果としてオーロラキナーゼ活性が阻害されることを含む方法。
【請求項13】
対象体における増殖性障害から選択される状態を有する疾患を治療するかまたはその重篤度を軽減する方法であって、請求項11記載の組成物の有効量を該対象体に投与して、結果として該増殖性障害が治療されるかまたは該増殖性障害の重篤度が軽減されることを含む方法。
【請求項14】
対象体における癌の治療方法であって、請求項11記載の組成物の有効量を対象体に投与して、結果として癌が治療されることを含む方法。
【請求項15】
癌の治療を必要とする対象体における癌を治療するための薬剤の製造のための請求項1〜10いずれか1項記載の化合物または請求項11記載の組成物の使用。
【請求項16】
患者における癌を治療するための薬剤の製造のための請求項11記載の組成物の使用。
【請求項17】
治療における請求項11記載の組成物の使用。

【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−545592(P2009−545592A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522806(P2009−522806)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/016894
【国際公開番号】WO2008/016547
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(399043691)プリーシス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】PRAECIS PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】