説明

コールセンタ管理システム、コールセンタ管理方法、およびコールセンタ管理プログラム

【課題】突発的な稼電に対応し易く、導入や運用のコスト面にも優れたコールセンタシステムの技術を提供する。
【解決手段】自コールセンタの稼働率の情報を他コールセンタに送信する稼働率算定部110と、他コールセンタから稼働率の情報を受信する稼働率取得部111と、自コールセンタの稼働率が所定基準以上である時、他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し稼電受け入れ依頼を送る受入依頼部112と、他コールセンタより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、稼電に際して案件IDを採番して稼電情報を登録し、案件IDを他コールセンタに送信し、他コールセンタの電話番号に宛てて稼電を転送する転送実行部113と、他コールセンタより対応履歴情報を受信し稼電情報と照合し、案件IDが一致した時、課金可との通知を返信する課金処理部114とからコールセンタ管理システム100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタ管理システム、コールセンタ管理方法、およびコールセンタ管理プログラムに関するものであり、具体的には、突発的な稼電に対応し易く、導入や運用のコスト面にも優れたコールセンタシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタにおいては、需要予測や求める応対率(オペレータへの電話のつながり易さ)等のサービス品質に基づき、ネットワークやCTI等のインフラストラクチャ(以下インフラ)の整備がなされている。こうしたコールセンタに関する技術として、例えば、コールセンタの応答率を向上することができる、着信呼分配システム、着信呼分配方法、及び着信呼分配制御装置(特許文献1参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−340912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コールセンタに関し、例えば、需要予測に対して大き目の処理能力を用意する場合、インフラの導入費用や維持費等が増大し、運用コストも肥大化するおそれがある。一方、一箇所に機能を集中させたセンタ型のコールセンタではなく、各地に点在させた複数のコールセンタをネットワークやCTI等のインフラを統合化して一つのコールセンタとして運用するバーチャルなコールセンタがある。だが、運用規模が大きくなるのみで、基本的にインフラを共通化しているために、センタ型のコールセンタと運用面、保守面の手間やコストはそれほど変わらない。
【0005】
こうした現状において、例えば、昨今頻発している食品や家電等の事故に際して、大規模なクレームを消費者らから受けるコールセンタを構築する場合、突発的に多量の稼電(問合せの電話が入る)が発生する事態にも対応すべく、大規模なインフラを有する余裕度の大きなコールセンタを想定しなければならない。このようなコールセンタを立ち上げるためには、インフラの構築や準備に多くのコストと時間が必要である一方、突発的な稼電のない通常運用時にはそのインフラ能力が無駄になりがちで、運用コスト等が高いものとなってしまう恐れがある。
【0006】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、突発的な稼電に対応し易く、導入や運用のコスト面にも優れたコールセンタシステムの技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のコールセンタ管理システムは、コールセンタの管理システムであって、他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部と、自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する稼働率算定部と、他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する稼働率取得部と、自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する受入依頼部と、前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する転送実行部と、自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する、課金処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のコールセンタ管理方法は、他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部とを備えたコールセンタの管理システムが、以下の処理を実行するものである。
【0009】
すなわち、前記コールセンタの管理システムは、自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する処理と、他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する処理と、自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する処理と、前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する処理と、自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する処理と、を実行する。
【0010】
また、本発明のコールセンタ管理プログラムは、他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部とを備えたコールセンタの管理システムに、以下の処理を実行させるプログラムである。
【0011】
すなわち、前記コールセンタ管理プログラムは、前記コールセンタの管理システムに、自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する処理と、他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する処理と、自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する処理と、前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する処理と、自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0012】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、突発的な稼電に対応し易く、導入や運用のコスト面にも優れたコールセンタシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のコールセンタ管理システムを含むネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態のコールセンタ管理システムの機能構成図である。
【図3】本実施形態の管理テーブル(自コールセンタ保持)のデータ構造例を示す図である。
【図4】本実施形態の管理テーブル(他コールセンタ保持)のデータ構造例を示す図である。
【図5】本実施形態の対応管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】本実施形態の通話処理情報テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】本実施形態の運用管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】本実施形態の対応モードマトリクスのデータ構造例を示す図である。
【図9】本実施形態の稼働状況対照表のデータ構造例を示す図である。
【図10】本実施形態の履歴テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図11】本実施形態のマッチングテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】本実施形態の課金テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図13】本実施形態の顧客テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図14】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例1を示す図である。
【図15】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例2を示す図である。
【図16】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例3を示す図である。
【図17】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例4を示す図である。
【図18】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例5を示す図である。
【図19】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例6を示す図である。
【図20】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例7を示す図である。
【図21】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例8を示す図である。
【図22】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例9を示す図である。
【図23】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例10を示す図である。
【図24】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例11を示す図である。
【図25】本実施形態のコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例12を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態のコールセンタ管理システム100を含むネットワーク構成図であり、図2は本実施形態のコールセンタ管理システムの機能構成図である。前記コールセンタ管理システム100(以下、システム100という)は、電話回線40を通じて顧客(コールセンタに電話を掛ける利用者を指す、以下同様)からの稼電を所定の電話番号で受信し、これをオペレータ端末14に割り当ててオペレータ対応を実現するコールセンタ10の管理システムである。この実施例においては、一例として運営母体やインフラ仕様が異なるコールセンタが複数存在し、これらコールセンタがそれぞれ前記コールセンタ管理システムの機能を備えている状況を想定する。また、これら複数のコールセンタの各管理システムは、互いにインターネットなどのWAN50で通信可能に結ばれている。また、説明の簡便のため、ある時に稼電の転送元となるコールセンタを自コールセンタ10、稼電の転送を前記自コールセンタ10から受け入れる(或いは候補となる)コールセンタを他コールセンタ20と称する。勿論、各コールセンタが本実施形態のコールセンタ管理システムとしての全ての機能を備えている場合、いずれのコールセンタも自コールセンタ10、他コールセンタ20のどちらの役割も担うことができる。つまり、状況により自コールセンタ10にも他コールセンタ20にもなりうる。
【0016】
こうした自コールセンタ10(他コールセンタ20も同様)には、前記システム100以外に、PBX11、IVRなどの自動応答装置12(音声自動応答装置)、コールセンタ管理者であるスーパーバイザのコンピュータ端末=スーパーバイザ端末13、各オペレータのコンピュータ端末=オペレータ端末14、電話機15、CTI装置161などが設けられている。前記PBX(private branch exchange:構内電話交換機)11は、自コールセンタ10内の各電話機15間の相互接続や、自コールセンタ10と電話回線40との接続などを行う。自コールセンタ10の電話回線40は、契約により、電話回線キャリア事業者から提供されている。前記スーパーバイザ端末13や各オペレータ端末14は、例えば通常のパーソナルコンピュータなどであり、本実施形態のこれら端末13、14および前記電話機15は、CTI(Computer Telephony Integration)装置16により連動するものとする。
【0017】
前記自コールセンタ10への顧客からの稼電(呼)は、顧客からの稼電は、前記電話回線キャリア事業者の局内交換機を経由し、前記電話回線40(VoIPの場合も含む)を介して前記PBX11へと接続される。また、システム100は、LAN(Local Area Network:構内通信網)55を介し、自コールセンタ10内の前記PBX11や自動応答装置12、スーパーバイザ端末13および各オペレータ端末14、CTI装置16等に接続されている。これらの接続手段は、それぞれWANやLANに限定されるものではなく、その他の種類の通信ネットワークによるものであってもよい。
【0018】
前記システム100は、コールセンタ管理方法を実行する機能を実現すべく、ハードディスクドライブなどの記憶部101にプログラム102を備えて、このプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記システム100は、各種ボタン類やキーボード、マイクなどの入力部105や、ディスプレイやスピーカなどの出力部106を有しているとしてもよい。また、前記システム100は、WAN50を介し、他コールセンタ20の管理システム200などの外部装置との間で、データ授受を実行したり、LANを介してコールセンタ内部のPBX11や自動応答装置12、スーパーバイザ端末13および各オペレータ端末14、CTI装置16などとの間でデータ授受を実行したりする、通信部107を有している。以上の構成要素は他コールセンタ20のコールセンタ管理システム200においても同様に備わっている(同一内容のため説明は省略)。
【0019】
続いて、前記システム100が、例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記システム100の前記記憶部101には、他コールセンタ20の管理システム200のネットワーク50上のアドレスと、他コールセンタ20の電話番号とを格納した管理データベース150(後述する)が記憶されている。勿論、他コールセンタ20のコールセンタ管理システム200も同様の記憶部201や各機能部を備えているとすれば好適である。
【0020】
前記システム100は、自コールセンタ所属のオペレータ端末14における稼電への対応状況を監視するCTI装置16より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部107を介して他コールセンタ20の管理システム200に送信する稼働率算定部110を備えている。この稼働率の算定式は、例えば、稼働率(%)=(稼電対応中のオペレータ数/全オペレータ数)×100、となる。
【0021】
また、前記システム100は、他コールセンタ20の管理システム200から送信されてくる、他コールセンタ20における稼働率の情報を前記通信部107を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部101に格納する稼働率取得部111を備えている。
【0022】
また、前記システム100は、自コールセンタ10の稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部101において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタ20を特定し、該当他コールセンタ20の管理システム200に対し、前記通信部107を介して稼電受け入れ依頼を送信する受入依頼部112を備えている。
【0023】
また、前記システム100は、前記他コールセンタ20の管理システム200より稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部101(の履歴管理データベース170の履歴テーブル131)に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタ20の管理システム200に対し前記通信部107を介して送信し、前記記憶部101における前記他コールセンタ20の電話番号に宛てて前記稼電を転送する転送実行部113を備えている。
【0024】
また、前記システム100は、自コールセンタ10への稼電について対応を行った他コールセンタ20の管理システム200より、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部107を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部101に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタ20の管理システム200に返信する、課金処理部114を備えている。
【0025】
なお、前記通信部107は、他コールセンタ20の管理システム200との間でメッセージの送受信を行うための、自動応答システム12、メーラー120、インスタントメッセンジャー121、およびチャット用アプリケーション122の少なくともいずれかを備えているか、或いは記憶部101から呼び出して利用することができるものとすれば好適である。またこの時、前記記憶部101は、他コールセンタ20の電話番号に加えて、他コールセンタ20の管理システム200のネットワーク上のアドレスとして、メールアドレス、インスタントメッセンジャー121の連絡先情報、およびチャット用の連絡先情報の少なくともいずれかを格納している。前記インスタントメッセンジャー121は、インターネット上で同じソフトを利用している仲間がオンラインかどうかを調べ、オンラインであればチャットやファイル転送などを行なうことができるアプリケーションソフトである。
【0026】
この場合、前記転送実行部113は、前記案件IDを前記他コールセンタ20の管理システム200に対し前記通信部107を介して送信するに際し、前記記憶部101の他コールセンタの電話番号に宛てて前記通信部107の自動応答システム12により前記案件IDの音声データを発話させるか、前記記憶部101の他コールセンタのメールアドレスに宛てて前記通信部107のメーラー120により前記案件IDのテキストデータを記載したメールを送信させるか、前記記憶部101の他コールセンタのインスタントメッセンジャー121の連絡先情報に宛てて前記通信部107のインスタントメッセンジャー121により前記案件IDのテキストデータを送信させるか、前記記憶部101の他コールセンタのチャット用の連絡先情報に宛てて前記通信部107のチャット用アプリケーション122により前記案件IDのテキストデータを送信させる、とすれば好適である。
【0027】
また、前記転送実行部113は、前記他コールセンタ20の管理システム200への案件IDの送信に対して、前記通信部107の自動応答システム12が、前記他コールセンタより所定音声データを受話したか、前記通信部107のメーラー120が、前記他コールセンタ20より所定テキストデータを記載したメールを受信したか、前記通信部107のインスタントメッセンジャー121が、前記他コールセンタ20より所定テキストデータを受信したか、前記通信部107のチャット用アプリケーション122が所定テキストデータを受信したことを受けて、前記記憶部101における前記他コールセンタ20の電話番号に宛てて前記稼電を転送する、としてもよい。
【0028】
また、前記転送実行部113は、前記案件IDに加えて、稼電時に得られる利用者の電話番号、記憶部101に予め保持する利用者個人情報より前記利用者の電話番号をキーに得られる前記利用者の個人情報、および記憶部101に予め保持する稼電対応業務の内容、の少なくともいずれかの情報を含む稼電情報を、前記他コールセンタ20の管理システム200に対し前記通信部107を介して送信する、とすれば好適である。
【0029】
前記記憶部101は、稼電の処理件数、処理した稼電の業務内容、および稼電の処理に要した対応時間、の少なくともいずれかに応じた単位課金額のデータを(履歴管理データベース170の課金テーブル133に)格納しており、
前記課金処理部114は、前記対応履歴情報を前記記憶部101の稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した対応履歴情報を特定し、ここで特定した対応履歴情報の件数、対応履歴情報が示す業務内容、および対応時間の少なくともいずれかの情報を前記記憶部101の(前記課金テーブル133での)単位課金額のデータに照合し、前記対応履歴情報が示す稼電に関する課金額を特定し、当該課金額について自コールセンタ10に対し課金可との通知を前記他コールセンタ20の管理システム200に返信する、とすれば好適である。
【0030】
前記稼働率取得部111は、自コールセンタ10から稼電の転送を受け入れ中である他コールセンタ20の管理システム200から、他コールセンタ20における稼働率の情報を前記通信部107を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部101に格納し、前記他コールセンタ20に関する他センタ稼働率を前記受入依頼部112に通知するとしてもよい。
【0031】
前記受入依頼部112は、前記他センタ稼働率の通知を受けて、この他センタ稼働率と所定基準とを比較し、前記他センタ稼働率が所定基準以下となった時、自コールセンタ10の稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部101において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタ20をあらためて特定し、該当他コールセンタ20の管理システム200に対し、前記通信部107を介して稼電受け入れ依頼を送信する、とすれば好適である。
【0032】
また、前記システム100は、他コールセンタ20の管理システム200より、前記稼電受け入れ依頼を前記通信部107を介して受信した時、前記稼働率算定部110より自コールセンタ10における稼働率を取得し、この稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以下である時、前記他コールセンタ20の管理システム200に宛てて稼電受け入れ可能との応答を送信する、受入応答部115を備えているとしてもよい。
【0033】
また、前記システム100は、他コールセンタ20からの稼電転送を受けて自コールセンタ所属のオペレータ端末14においてなされた稼電への対応結果の情報をCTI装置16より取得し、前記対応結果として取得した該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部107を介して前記他コールセンタ20の管理システム200に送信する履歴送信部116を備えているとしてもよい。
【0034】
なお、これまで示した前記システム100における機能部110〜116(ないしシステム200における機能部210〜216)は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリ103やHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶部に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、前記システムのCPUが、プログラム実行に合わせて記憶部より該当プログラムをメモリに読み出して、これを実行することとなる。
【0035】
−−−データベース構造−−−
次に、本実施形態のシステム100が利用するデータベース類のデータ構造について説明する。なお、特に示さない場合であっても、自コールセンタ10の管理システム100と同様に、他コールセンタ20のコールセンタ管理システム200も同様のデータベース類を備えているものとする。本実施形態において、前記システム100が記憶部101に備える管理データベース150には、センタ情報テーブル125、対応管理テーブル126が格納されている。
【0036】
図3は本実施形態のセンタ情報テーブル125(自コールセンタ保持)のデータ構造例を示す図である。前記センタ情報テーブル125は、例えば稼電が集中していわゆる「溢れ」状態となっているコールセンタ=自コールセンタ10の管理システム100が保持しているテーブルであり、各コールセンタ(自コールセンタ10および他コールセンタ20)に関する情報を格納するテーブルである。
【0037】
このセンタ情報テーブル125は、例えば、コールセンタのIDをキーとして、センタ名、稼働状況、処理能力回線数(例:スーパバイザ端末13から設定受付)、受入要請先フラグ、受入可能フラグ、更新日時、受入業務(該当コールセンタで対応している業務)、転送先電話番号、メールアドレス、インスタントメッセンジャーの連絡先情報、およびチャット用の連絡先情報、といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。ここで例示したセンタ情報テーブル125においては、コールセンタのIDとして、「001」が自コールセンタ10に関するレコードに対応し、その他のIDは他コールセンタ20(自コールセンタ10が稼電の転送について受入要請できるコールセンタ)に対応する例を示している。従って例えば、前記「受入要請先フラグ」は、稼電の転送を受け入れた他コールセンタについては「○」となり、前記自コールセンタ10の自業務に関しては「×」となる。
【0038】
一方、図4に示すように他コールセンタ20で保持しているセンタ情報テーブル225は、コールセンタのIDをキーとして、センタ名、稼働状況、処理能力回線数(例:スーパバイザ端末13から設定受付)、受入要請元フラグ、受入可能フラグ、更新日時、受入業務、転送先電話番号、メールアドレス、インスタントメッセンジャーの連絡先情報、およびチャット用の連絡先情報、といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。この場合、稼電転送を受け入れることになった前記自コールセンタ10に関するレコード=ID“001”のレコードにおいて、「受入要請元フラグ」が「○」、「受入可能フラグ」が「×」、他コールセンタ自身に関するレコード=ID“003”のレコードにおいて、「受入要請元フラグ」が「×」、「受入可能フラグ」が「○」となっている。
【0039】
図5は、本実施形態の対応管理テーブル126のデータ構造例を示す図である。この対応管理テーブル126は、前記自コールセンタ10の管理システム100が保持するものであるが、前記他コールセンタ20の管理システム200が保持するものも同様である。前記対応管理テーブル126は、コールセンタ配下のオペレータ端末14の稼働状況に関する情報を格納するテーブルであり、オペレータIDをキーとして、オペレータの名、電話機15の内線番号、稼働状況、権限、特別対応フラグ、交信日次といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。前記「稼働状況」は、各オペレータ端末14における稼電への対応状況を監視するCTI装置16より得る情報であり、例えば、「着信待ち」、「対応中」、「管理」といった情報が想定される。また、前記「特別対応フラグ」は、例えば、クレームなど他の電話を無視して現在の案件に注力する許可を示すフラグであり、スーパバイザ端末13からの設定で当該フラグが設定される。
【0040】
図6は本実施形態の通話処理情報テーブル127のデータ構造例を示す図である。本実施形態の前記システム100が備えるCTIログデータベース160には、通話処理情報テーブル127および運用管理テーブル128が含まれている。前記通話処理情報テーブル127は、前記CTI装置16で把握している稼電の情報を格納するテーブルであり、例えば、各稼電に一意の処理IDをキーとして、状態変化時間(該当稼電について状況が変化した時間)、転送先電話番号(該当稼電の転送先となったオペレータ端末14の内線番号ないし他コールセンタ20の転送先電話番号)、着信電話番号(稼電してきた顧客の電話番号)、変化後の状態(例:稼電に対してオペレータが“通話中”、他コールセンタ20へ“転送完了”、通話終了し“後処理中”)といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0041】
また、前記運用管理テーブル128は、前記システム100が実行するプログラムをモード毎に規定したテーブルであり、モードIDおよびモードをキーとして実行設定のデータを対応付けたレコードの集合体となっている。前記「モード」は、「受入要請」(他のコールセンタから稼電の受入を要請されたモード)、「着信優先」(オペレータの稼働率が所定基準以上であるなどの状況に対応するモード)、「現状維持」(運転制御は行わない)、「他処理」(他の処理:メール対応など)、「受入許可」(他のコールセンタから稼電受入を許可するモード)、「転送中」(他のコールセンタへ稼電を転送中のモード)、「転送完了」(他のコールセンタへの稼電転送を完了した際のモード)、「転送失敗」(他のコールセンタへの稼電転送に失敗した際のモード)といった各モードが想定できる。この“モード”は、業務負荷を目標に誘導するため「現状」に応じて行う運転制御といえる。また、前記「実行設定」は、前記各モードの内容に対応した処理を実行するためのプログラム(またはパラメータ)を示し、該当プログラムを実行(またはパラメータを設定)することでPBX11の動作が制御される。
【0042】
図8は本実施形態の対応モードマトリクス129のデータ構造例を示す図である。前記対応モードマトリクス129は、各コールセンタにおけるオペレータの稼働状況に応じて、前記運用管理テーブル128のどのモードで処理を実行するのかを規定したマトリクスとなる。なお、ここでの「稼働状況」は、「稼働率」を稼働状況対照表130の所定基準に照合して定まる情報であり、該当コールセンタでの業務負荷の状況を示すものとなる。また、前記「稼働率」は、前記システム100の稼働率算定部110が、前記CTI装置16より、自コールセンタ所属のオペレータ端末14における稼電への対応状況の情報=稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合として算定したものとなる(全オペレータ数は予め記憶部101に保持)。
【0043】
この対応モードマトリクス129では、例えば、前記稼働状況として「溢れ状態」、「高負荷」、「通常」、「軽負荷」、「空き状態」を想定し、この各稼働状況に対し、前記運用管理テーブル128の“モード”と同意の「対応モード」が関係づけされている。なお、前記稼働状況のうち「溢れ状態」は、コールセンタの許容量を超えて着信している状態、「高負荷」は稼電量が許容量に近い状態、「通常」は想定内の通常負荷状態、「軽負荷」は想定を下回る負荷の状態、「空き状態」は他センタを受け入れることが可能な状態、と言える。なお、図8で例示する対応モードマトリクス129においては、スーパバイザ端末13などを介して管理者指示を受けて変更可能な領域(図中の“手動変更可”の領域)を設けて、稼電の状況に応じた柔軟な対応を可能としている。
【0044】
図9は本実施形態の稼働状況対照表130のデータ構造例を示す図である。前記稼働状況対照表130は、コールセンタの稼働状況=混雑度の判定に用いるテーブルである。この稼働状況対照表130は、例えば、「稼働状況」として、前記「溢れ状態」、「高負荷」、「通常」、「軽負荷」、「空き状態」を想定し、この各稼働状況に対し、前記稼働率の範囲が関係づけされている。図の例では、「溢れ状態」は稼働率が98%超、「高負荷」は稼働率が70%超〜98%以下、「通常」は稼働率が40%超〜70%以下、「軽負荷」は稼働率が20%超〜40%以下、「空き状態」は稼働率が0%超〜20%以下としている。
【0045】
図10は本実施形態の履歴テーブル131のデータ構造例を示す図である。前記履歴管理データベース170は、履歴テーブル131、マッチングテーブル132、課金テーブル133を含んでいる。そのうち前記履歴テーブル131は、例えば前記システム100の転送実行部113が、顧客から受けた各稼電に関して、その転送先となったオペレータ端末14や他コールセンタ20についての情報をCTI装置16より得て格納するテーブルである。この履歴テーブル131は、例えば、稼電を一意に特定する案件ID(前記転送実行部113が稼電毎に採番したID)をキーとして、該当稼電に対応したコールセンタのID(自コールセンタ10の場合は「001」、他コールセンタ20の場合「002」など)、コールセンタ名、対応日時、情報の更新日時、電話番号(着信/顧客)、転送先電話番号、対応者(=オペレータ)、問い合わせ者氏名(=顧客氏名)、顧客の住所、問い合わせ詳細といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。各レコードが「稼電情報」となる。
【0046】
前記「電話番号(着信/顧客)」の情報は、稼電時に得られる顧客の電話番号であり、前記PBX11等から得られる。また、前記「転送先電話番号」の情報は、該当稼電を実際に転送した先=自コールセンタ10のオペレータ端末14の内線番号ないし他コールセンタ20の「転送先電話番号」であり、前記CTI装置16より得られる。また、「対応者(=オペレータ)」の情報は、稼電の転送に際してCTI装置16ないし他コールセンタ20の管理システム200から得られる。また、前記「問い合わせ者氏名(=顧客氏名)」や、「顧客の住所」の各情報は、前記記憶部101に予め保持する顧客テーブル134(=利用者個人情報)より該当顧客の電話番号をキーに得られる。また前記「問い合わせ詳細」の情報は、稼電対応を行ったオペレータが入力したデータであり、該当オペレータが用いた自コールセンタ10のオペレータ端末14、ないし他コールセンタ20の管理システム200(実際には、稼電対応を行った他コールセンタ20のオペレータが入力したデータであり、該当オペレータが用いた他コールセンタ20のオペレータ端末24がシステム200に渡したデータ)より得られる。
【0047】
図11は本実施形態のマッチングテーブル132のデータ構造例を示す図である。前記マッチングテーブル132は、自コールセンタ10への稼電について対応を行った他コールセンタ20の管理システム200より受信した、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を、前記履歴テーブル131のレコード=稼電情報と照合した際の照合結果を格納したテーブルである。このマッチングテーブル132は、例えば、照合対象となった稼電の案件IDをキーとして、稼電に対応したコールセンタのセンタID、コールセンタ名、マッチング結果、更新日時、承認者(例:マッチング結果を承認したスーパバイザなど)といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。前記「照合結果」は、対応履歴情報と稼電情報との照合の結果、例えば案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可であるとして「○」が設定される。
【0048】
図12は本実施形態の課金テーブル133のデータ構造例を示す図である。前記課金テーブル133は、稼電の処理件数、処理した稼電の業務内容、および稼電の処理に要した対応時間、の少なくともいずれかに応じた単位課金額のデータを格納したテーブルである。この課金テーブル133は、例えば、前記単位課金額の適用対象である他コールセンタ20のセンタID、センタ名をキーとして、基本料金(月額の固定料金など)、1案件対応料金、業務内容別の対応料金、単位対応時間毎の対応料金、更新日時、承認者(例:センタ毎の課金体系を承認した管理者など)といったデータを対応づけたレコードの集合体となっている。
【0049】
図13は本実施形態の顧客テーブル134のデータ構造例を示す図である。前記顧客テーブル134は、稼電をしてくる顧客の個人情報を格納したテーブルであり、例えば、顧客の電話番号をキーとして、顧客の氏名、住所などのデータを対応づけたレコードの集合体となっている。
【0050】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態におけるコールセンタ管理方法に対応する処理フロー例について、図に基づき説明する。なお、以下で説明するコールセンタ管理方法に対応する各種動作は、前記システム100が、適宜なメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そして、こうしたプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードからそれぞれ構成されている。図14は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例1を示すフロー図である。また、前記自コールセンタ10を「Aセンタ」、前記他コールセンタ20を「Bセンタ」として説明を行う。
【0051】
ここではまず、前記システム100(システム200でも同様)における初期設定について説明する。この場合、前記スーパバイザ端末13は管理用画面表示の指示を前記システム100に送る(s100)。なお、前記指示には前記AセンタのセンタID「001」が検索キーとして含まれている。一方、前記システム100は、前記スーパバイザ端末13から管理用画面表示の指示を受けて、前記管理テーブル125より、センタID「001」のレコードを抽出し(s101)、前記スーパバイザ端末13に送信する(s102)。
【0052】
前記スーパバイザ端末13では、前記抽出結果たるレコードの情報を前記システム100より受信して、前記管理用画面にて表示させる(s103)。また、前記スーパバイザ端末13では、前記管理用画面に表示したレコードにおける設定対象のパラメータの選択(スーパバイザが選択する)を、キーボードやマウス等の入力部で受け付ける(s104)。また、前記スーパバイザ端末13は、前記ステップs104で受け付けたパラメータについての設定指示を前記入力部においてスーパバイザより受け付けて、この設定指示を、前記システム100に対し送信する(s105)。
【0053】
前記システム100では、前記スーパバイザ端末13から送信されてくる前記設定指示を受信し、前記管理テーブル125の該当レコードにおける該当パラメータに対し、前記設定指示が示す設定内容(例:センタ名、処理能力回線数、受入業務、転送先電話番号など)を設定する(s106)。
【0054】
−−−処理フロー例2−−−
図15は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例2を示すフロー図である。ここでは、前記管理テーブル125の更新処理について説明する。この場合、前記システム100の稼働率算定部110は、自コールセンタ=Aセンタ所属のオペレータ端末14における稼電への対応状況を監視するCTI装置16より、稼電対応中オペレータないし空きオペレータの情報を取得する(s110)。或いは前記CTIログデータベース160の通話処理情報テーブル127より稼電対応中オペレータないし空きオペレータの情報を取得する。
【0055】
また前記稼働率算定部110は、前記ステップs110で取得した稼電対応中オペレータないし空きオペレータの情報=該当オペレータ数が、全オペレータに占める割合を算定し、稼働率を算出する(s111)。この稼働率の算定は、例えば、(稼電対応中のオペレータ数/全オペレータ数)×100=(99/100)×100=稼働率99(%)、などとなる。また前記稼働率算定部110は、この稼働率の情報を前記稼働状況対照表130に照合して、前記Aセンタの稼働状況を「溢れ状態」などと判定し、ここで判定した稼働状況でもって、前記管理テーブル125におけるAセンタ(センタID「001」)のレコード中の「稼働状況」を更新する(s112)。更に、前記稼働率算定部110は、前記稼働率の情報=稼働状況を前記通信部107を介して前記Bセンタ=コールセンタ20の管理システム200に送信する(s113)。
【0056】
一方、前記Bセンタの管理システム200では、稼働率取得部211が、前記Aセンタの管理システム100から送信されてくる、Aセンタにおける稼働率の情報=前記稼働状況を前記通信部107を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部101の管理テーブル225において、前記Aセンタに対応するレコード(=センタID「001」のレコード)の稼働状況欄に格納する(s114)。
【0057】
なお、他コールセンタが複数存在する場合には、前記Aセンタの管理システム100に接続されている全ての他コールセンタの管理システムに対し、例えば同報通信で前記稼働状況の送信を行うとすればよい(或いは、直接通信が可能な隣接する管理システムに対し、前記稼働状況の送信を行い、インターネットのルーティング処理と同じく、いわゆるバケツリレー方式で稼働状況の伝達を全管理システムに対して行うとしてもよい)。
【0058】
上記ステップs110〜s114の処理は、例えば5分に1回など比較的短時間ごとに繰り返し実行することが想定できる。ただし、前記稼働率は稼電の突発的な増大等に応じて瞬間的に変化しやすい為、前記稼働率算定部110は、現在の瞬間値をそのまま稼働状況に反映させないという処理を行ってもよい。この場合、例えば、過去の同時期の稼働率(管理システムで保持)と現在の稼働率とを比較し、その乖離が所定値以下であれば、現在の稼働率を用いて稼働状況を判定し、前記乖離が所定値以上であれば、過去の同時期の稼働率を用いて稼働状況を判定するといった処理を実行すると好適である。或いは、前記稼働率算定部110は、過去の同時期の稼働率ではなく、当日のそれまでの稼働率平均を算定し、この稼働率平均値からの現在の稼働率の乖離が所定値以下であれば、現在の稼働率を用いて稼働状況を判定し、前記乖離が所定値以上であれば、当日の稼働率平均値を用いて稼働状況を判定するといった処理を実行するとしてもよい。或いは、前記乖離が所定値以上である時、前記稼働率算定部110は、前記管理テーブル125におけるAセンタ(センタID「001」)のレコード中の「稼働状況」の更新処理(s112)や、前記稼働率の情報=稼働状況の前記Bセンタ=コールセンタ20の管理システム200への送信処理(s113)を実行しない、としてもよい。
【0059】
−−−処理フロー例3−−−
図16は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例3を示すフロー図である。ここでは、稼働率に従って対応するモードへと処理を分岐させるフローについて説明する。この場合まず、前記システム100の受入依頼部112は、当該Aセンタの稼働状況について、前記管理テーブル125におけるセンタID「001」のレコード(=Aセンタのレコード)より抽出する(s120)。また前記受入依頼部112は、前記稼働状況を前記対応モードマトリクス129に照合し(s121)、以降の処理を判定する(s122)。
【0060】
なお、前記受入依頼部112は、前記CTIログデータベース160の通話処理情報テーブル127より稼電対応中オペレータないし空きオペレータの情報を取得し、前記処理フロー例1のステップs111と同様に稼働率を算出するとしてもよい。この時、前記受入依頼部112は、この稼働率を前記稼働状況対照表130(=所定基準)と比較し、稼働状況を判定して前記ステップs120までの処理を完了することになる。
【0061】
本実施形態では、図8の対応モードマトリクス129に示した「対応モード」の中から、何れか一つあるいは複数の対応モードに対応する一連の処理が、前記受入依頼部112により自動的に選択されるように分岐することになる。ただし、これら「対応モード」の選択は、コールセンタ管理者などが、手動的にも追加、および/または変更できるとしてもよい。
【0062】
図8の対応モードマトリクス129での対応モードにおいて、「受入要請」とは、前記Aセンタのシステム100が、前記Bセンタのシステム200に対し、稼電の受け入れを依頼するモードである。また「着信優先」とは、オペレータが、例えば通話相手たる顧客と一旦対応した上で、後ほどコールバックする旨を告げてただちに通話を終了するモードである。また、「現状維持」とは、通常のコールセンタ運用を維持する処理モードである。また、「その他処理」とは、例えば、オペレータや管理者が、電子メールへの対応など様々な処理を行うためのモードである。また、「受入許可」とは、当該Aセンタに空き状態のオペレータが存在する(「溢れ状態」以外の稼働状況である)ため、Bセンタなど他のコールセンタからの稼電受入依頼に応えて稼電受入許可の情報を当該他のコールセンタに対し通知するモードである。また、「コールバック」とは、比較的稼働率が低く、手すきのオペレータが存在するため、それらのオペレータに、コールバック業務を実行させるためのモードである。
【0063】
−−−処理フロー例4−−−
図17は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例4を示すフロー図である。ここでは、上記処理フロー例3で、稼働状況が「溢れ状態」の場合に分岐された処理について説明する。この場合、前記システム100の受入依頼部112は、PBX11の運転設定を「着信優先」に変更する指示をCTI装置16に通知する(s130)。一方、前記CTI装置16は前記指示を受けてPBX11の運転設定を、「着信優先」に設定する(s131)。
【0064】
次に、前記受入依頼部112は、前記記憶部101の管理テーブル125において「稼働状況」が最も「空き状態」に近い(=他センタ稼働率が所定基準以下である)他コールセンタ20を特定する(s132)。図3に例示した管理テーブル125では、例えば、稼働状況が「通常」であるBセンタ=センタID「003」が特定される。なお、こうした稼電転送先としての他センタを特定する際には、空き状況が最大なものの他に、コスト最小(前記課金テーブル133で単位課金額が最小)、転送距離最小(センタ間の距離を各システムが保持)、規模最大(各センタのシステムがオペレータ数のデータ保持)、などのパターンで実施する場合もある。
【0065】
また前記受入依頼部112は、前記ステップs132で特定した他コールセンタ=Bセンタの管理システム200に対し、前記通信部107を介して稼電受け入れ依頼を送信する(s133)。
【0066】
一方、前記Bセンタのシステム200における受入応答部215は、前記Aセンタの管理システム100より前記稼電受け入れ依頼を受信して、稼働率算定部210より当該Bセンタの稼働率を取得する(s134)。そしてこの稼働率を稼働状況対照表230に照合し、前記稼働率が98%超=「溢れ状態」、など所定基準以上である時(s135:拒否)、前記Aセンタの管理システム100に宛てて稼電受け入れ拒否の応答を送信する(s136)。他方、前記稼働率が98%以下=「溢れ状態」以外、など所定基準以下である時(s135:可能)、前記受入応答部215は、前記Aセンタの管理システム100に宛てて稼電受け入れ可能との応答を送信する(処理フロー例5で説明)。
【0067】
前記ステップs136で前記Bセンタより送られた「稼電受け入れ拒否」の応答は、前記Aセンタの受入依頼部112が受信する。そして前記受入依頼部112は、前記管理テーブル125において、前記Bセンタ=センタID「003」のレコードにおいて、「受入要請先フラグ」を「×」に変更するか、或いは該当レコードを削除する(s137)。前記受入依頼部112は、前記ステップs132〜s137の処理を、他センタより「稼電受入可能」との応答を得られるまで、前記管理テーブル125における全ての他センタについて実行する(s138:N→s132)。全ての他センタについて前記ステップs132〜s137の処理を実行しても、稼電受入可能との応答が得られなかった場合(s138:N)、本フローを終了する。
【0068】
−−−処理フロー例5−−−
図18は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例5を示すフロー図である。ここでは、前記処理フロー例4のステップs135で「受入可能」と判定された場合(s136:可能)の処理について説明する。この場合、前記Bセンタの前記受入応答部215は、前記Aセンタの管理システム100に宛てて「稼電受け入れ可能」との応答を送信する(s140)。
【0069】
一方、前記ステップs140で前記Bセンタより送られた「稼電受け入れ可能」の応答は、前記Aセンタの受入依頼部112が受信する。そして前記受入依頼部112は、前記管理テーブル125において、前記Bセンタ=センタID「003」のレコードにおいて、「受入要請先フラグ」を「○」に変更するか、或いは前記Bセンタのレコードを追加する(s141)。
【0070】
また、前記受入依頼部112は、稼電の転送先として前記Bセンタの「転送先電話番号」を、前記管理テーブル125より抽出し、この「転送先電話番号」の前記PBX11への設定指示を、前記CTI装置16に通知する(s142)。CTI装置16ではこの通知を受けて、前記Bセンタの「転送先電話番号」を転送先としてPBX11に設定し(s143)、さらには、PBX11の運転設定を「受入要請」に設定する(s144)。
【0071】
−−−処理フロー例6−−−
図19は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例6を示すフロー図である。ここでは、前記処理フロー例5のステップs144の実行後の処理について説明する。この場合、前記PBX11およびCTI装置16が顧客からの稼電を着信させ(s150、s151)、前記Aセンタのシステム100における転送実行部113は、この着信を受けて、当該Aセンタ内で対応可能か否か、前記稼働率算定部110より現在の稼働率を得て稼働状況対照表130に照合して「溢れ状態」以外であるか判定するか、或いは、前記管理テーブル125でAセンタ=センタID「001」のレコードより「稼働状況」の情報を読み取って、この稼働状況が「溢れ状態」以外であるか判定する(s152)。この判定で、当該Aセンタの稼働状況が「溢れ状態」以外=Aセンタ内で対応可能、であると判定された場合(s152:Yes)、当該Aセンタ所属のオペレータ端末14に該当稼電の転送を行うべく、前記転送実行部113は、前記CTI装置16に通知することになる。他方、この判定で、当該Aセンタの稼働状況が「溢れ状態」=Aセンタ内で対応不可、であると判定された場合(s152:NO)、他センタへの稼電の転送処理を実行する(処理フロー例7で説明)。
【0072】
前記転送実行部113より指示を受けたCTI装置16では、前記対応管理テーブル126において「稼働状況」が例えば「着信待ち」であるオペレータを特定し、該当オペレータ端末14に前記稼電を転送する(s153)。また、前記CTI装置16は、この稼電の着信に関する情報(例:採番した処理ID、状態変化時間、転送先電話番号、着信電話番号、変化後の状態など)を、前記CTIログデータベース160の通話処理情報テーブル127に登録する(s155)。
【0073】
他方、前記稼電の転送を受けたオペレータ端末14では、前記履歴テーブル131のレコードが含む項目(例:顧客の電話番号、対応者=オペレータ、問合せ者氏名=顧客名、顧客の住所、問い合わせ内容、など)に対応した入力画面を表示し(s154)、オペレータからの入力を受け付ける(s156)。またここで受け付けたデータは、当該オペレータ端末14から前記システム100の転送実行部113に送られる。
【0074】
前記転送実行部113は、前記オペレータ端末14で入力されたデータを受信し、これを前記履歴テーブル131に登録する(s157)。前記転送実行部113は、この登録を行うにあたって、前記稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報として登録する。
【0075】
−−−処理フロー例7−−−
図20は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例7を示すフロー図である。ここでは、前記処理フロー例6におけるステップs152の判定で、前記Aセンタの稼働状況が「溢れ状態」=Aセンタ内で対応不可、であると判定された場合(s152:NO)、の以降の処理について説明する。この場合、前記転送実行部113は、前記管理テーブル125において「受入要請フラグ」が「○」であるレコード、図3の例ではセンタID「003」であるBセンタのレコードを特定し、このBセンタに対し、稼電受入可否をあらためて問う確認要求を通知する(s160)。
【0076】
一方、前記Bセンタの受入応答部215は、前記確認要求の通知を受信し(s161)、稼働率算定部210より当該Bセンタにおける稼働率を取得し、この稼働率と前記稼働状況対照表130とを比較し、前記稼働率が「溢れ状態」以外である時、前記Aセンタの管理システム100に宛てて「稼電受け入れ可能」との応答を、前記稼働率が「溢れ状態」である時、前記Aセンタの管理システム100に宛てて「稼電受け入れ不可」との応答を、送信する(s162)。
【0077】
他方、前記Aセンタの前記転送実行部113は、前記Bセンタからの応答を受信し、これが「受入不可」を示すものであれば(s163:NO)、前記CTI装置16に該当稼電に関する切断指示を通知する(s164)。CTI装置16では前記切断指示を受けて稼電の切断処理を行い(s165)、この稼電に関して処理IDを採番し情報(例:状態変化時間、変化後の状態=切断)を前記CTIログデータベース160の通話処理情報テーブル127に登録する(s166)。
【0078】
他方、前記Bセンタからの応答が「受入可」を示すものであれば(s163:Yes)、前記Aセンタの前記転送実行部113は、前記PBX11に設定されている前記Bセンタの転送先電話番号への稼電転送をCTI装置16に対し指示する(s167)。これを受けたCTI装置16ではPBX11に対して前記転送先電話番号への前記稼電の転送を指示することになる。
【0079】
また、前記Aセンタの前記転送実行部113は、前記稼電に対応する案件IDを採番し(s168)、この案件IDを含む稼電情報を記憶部101(の履歴管理データベース170の履歴テーブル131)に登録する(s169)。案件IDの採番処理は、単純に採番順にIDの数値部分をインクリメントするなどして新たな案件IDを生成すればよい。
【0080】
前記転送実行部113は、前記案件IDを前記Bセンタのの管理システム200に対し前記通信部107を介して送信するに際し、前記自動応答システム12ないしインスタントメッセンジャー121のいずれを用いるか判定する(s170)。なお、自動応答システム12かインスタントメッセンジャー121のいずれかを選択する場合の他、これら選択肢に、メーラー120、およびチャット用アプリケーション122を加えるとしてもよい。
【0081】
また、前記Bセンタに送る情報を前記案件IDだけとせず、稼電時に得られる顧客の電話番号、前記顧客テーブル134より前記顧客の電話番号をキーに得られる個人情報、および管理テーブル125に予め保持する稼電対応業務の内容、の少なくともいずれかの情報を含む稼電情報を含めるとすれば好適である。
【0082】
前記ステップs170での判定は、例えば、当該Aセンタのシステム100において、前記案件ID等を他センタに送信する手段(1種類しか保持しない場合)として備えるものが、前記自動応答システム12とインスタントメッセンジャー121など選択肢のいずれであるか特定することで実行できる。或いは、記憶部101において前記各選択肢の優先度が記憶されており、優先度が最も高い手段を特定することで実行できる。
【0083】
前記ステップs170での判定で、前記転送実行部113は、例えば、自動応答システム12を特定した場合(s170:音声)、前記自動応答システム12に対し、前記案件ID等の音声データを発話させる指示を行うことになる。一方、自動応答システム12は、この指示を受けて、前記案件ID等の音声データ転送を前記CTI装置16に指示する(s171)。
【0084】
他方、前記ステップs170での判定で、前記転送実行部113は、例えば、インスタントメッセンジャー121を特定した場合(s170:メッセンジャー)、前記インスタントメッセンジャー121に対し、前記案件ID等のテキストデータを送信させる指示を行うことになる。一方、前記インスタントメッセンジャー121は、この指示を受けて、前記案件ID等のテキストデータの転送を実行する(s172)。
【0085】
−−−処理フロー例8−−−
図21は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例8を示すフロー図である。ここでは、前記処理フロー例7のステップs170において、案件ID等の送信手段が自動応答システム12であり、前記ステップ171が実行された以降の処理について説明する。この場合、前記CTI装置16は、前記Bセンタの「転送先電話番号」への稼電実行と、前記案件ID等の転送を行う(s180)。
【0086】
一方、前記BセンタのCTI装置26では、前記Aセンタからの稼電と前記案件ID等の情報を受けて、対応管理テーブル226で「稼働状況」が「着信待ち」となっているオペレータ端末24に対し前記稼電の割当て処理を行う(s181)。また、この稼電に関する情報(例:処理IDを採番し、状態変化時間、転送先電話番号=前記オペレータ端末24の内線番号、着信電話番号、変化後の状態=通話中)を前記通話処理情報テーブル127に登録する(s182)。なお、前記転送実行部113は、前記Bセンタへの案件ID等の送信に対して、前記自動応答システム12が、前記Bセンタより「確認しました」などといった所定音声データを受話したことをもって、前記Bセンタへの該当稼電の転送を実行するとしてもよい。
【0087】
他方、前記オペレータ端末24は前記CTI装置26から稼電の割り当てを受けて(s183)、該当稼電に対するオペレータによる対応を受け付けることになる。この時、前記オペレータ端末24は、前記履歴テーブル231のレコードが含む項目(例:顧客の電話番号、対応者=オペレータ、問合せ者氏名=顧客名、顧客の住所、問い合わせ内容、など)に対応した入力画面を表示し(s184)、オペレータからの入力を受け付ける(s185)。またここで受け付けたデータは、当該オペレータ端末24から前記システム200の転送実行部213に送られる。
【0088】
前記転送実行部213は、前記オペレータ端末24で入力されたデータを受信し、これを履歴テーブル231に登録する(s186)。前記転送実行部213は、この登録を行うにあたって、前記稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報として登録する。
【0089】
その後、前記Bセンタの履歴送信部216は、前記Aセンタからの稼電転送を受けて自コールセンタ=Bセンタのオペレータ端末24においてなされた稼電への対応結果の情報として、前記履歴テーブル231より該当案件のレコードを抽出し(ないしCTI装置16や通話処理情報テーブル227より該当件のレコードを抽出)、ここで抽出したレコードの情報をスーパバイザ端末23に表示させる(s187)。
【0090】
前記スーパバイザ端末23では、前記レコードの情報をディスプレイなど出力部に表示するとともに(s188)、スーパバイザによる承認指示を入力部で受けて(s189)、これを前記システム200に送信する。前記システム200の履歴送信部216ではこれを受けて、前記Aセンタに関する該当レコードのデータを、Aセンタのシステム100に送信する(s190)。
【0091】
前記Aセンタのシステム100における課金処理部114は、当該Aセンタへの稼電について対応を行った前記Bセンタの管理システム200より、前記レコードのデータ=該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報、を受信する(s191)。また、この課金処理部114は、この対応履歴情報を当該Aセンタのスーパバイザ端末13に送信する。スーパバイザ端末13ではこの対応履歴情報を受信して出力部に表示し(s192)、スーパバイザによる登録承認の指示を入力部で受け、これを前記システム100の課金処理部114に通知する(s193)。
【0092】
一方、前記課金処理部114は、この登録承認の通知を受けて、前記対応履歴情報を前記履歴テーブル131に登録されている前記稼電情報と照合し、案件IDが一致したものを特定する(s194)。この時、前記課金処理部114は、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記Bセンタのシステム200に返信する(s197)としてもよいが、本実施形態では、前記ステップs194で前記履歴テーブル131のレコードと案件IDが一致したレコード(=対応履歴情報)について、例えば案件数を集計し(s195)、この集計値を前記課金テーブル133の「1案件対応料金」に乗じて課金額を算定するものとする(s196)。或いは、前記ステップs194で前記履歴テーブル131のレコードと案件IDが一致したレコード(=対応履歴情報)について、例えば対応時間を集計し、この集計値を前記課金テーブル133の「単位対応時間毎の対応料金」に乗じて課金額を算定するとしてもよい。対応業務についての課金も同様である。
【0093】
前記課金処理部114は前記ステップs196までで得た課金額の集計結果を、前記Bセンタのシステム200ないし、当該Aセンタのスーパバイザ端末13に送信する。例えば、前記集計結果の送信先が前記スーパバイザ端末13である時、このスーパバイザ端末13は、前記集計結果を受信してこれを前記Bセンタのスーパバイザ端末23に送信する(s197)。この時、前記Bセンタのスーパバイザ端末23では前記集計結果を受信し、出力部に表示して(s198)、処理を終了する。或いは、前記集計結果の送信先が前記Bセンタのシステム200である時、前記システム200は、前記集計結果を受信し(s199)、これをスーパバイザ端末23に表示させるか(s120)、或いは適宜な決済手段(金融機関システムへの決済依頼サーバなど)に渡して、処理を終了する。
【0094】
−−−処理フロー例9−−−
図22は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例9を示すフロー図である。ここでは、前記処理フロー例7のステップs170において、案件ID等の送信手段がインスタントメッセンジャー121であり、前記ステップ172が実行された以降の処理について説明する。この場合、前記インスタントメッセンジャー121は、前記案件ID等のテキストデータ転送を前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221に行う(s200)。前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221へのデータ転送に当たっては、前記Aセンタのインスタントメッセンジャー121は、前記管理テーブル125より前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221の「連絡先情報」(インスタントメッセンジャー221のIDなど)を抽出し、この連絡先情報をキーに前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221と通信を確立する。なお、前記ステップs170において、案件ID等の送信手段がインスタントメッセンジャー121ではなく、メーラー120であった場合、前記Bセンタのメーラー220へのデータ転送に当たっては、前記Aセンタのメーラー120は、前記管理テーブル125より前記Bセンタのメールアドレスを抽出し、このメールアドレスに宛ててデータ転送を行うことになる。チャット用アプリケーション122の場合はインスタントメッセンジャー121と同様の処理となる。
【0095】
前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221は、前記テキストデータを受信し(s201)、これを当該Bセンタのシステム200に送る(s202)。前記システム200はこれを受信し、案件IDを採番してレコードを生成し、前記履歴テーブル131にレコード登録する(s203)。また、前記システム200は前記テキストデータをオペレータ端末24に送信する(s204)。オペレータ端末24では前記テキストデータを出力部に表示し、オペレータによる確認済みの指示を入力部で受け、これを前記システム200のインスタントメッセンジャー221を介して前記Aセンタのインスタントメッセンジャー121に返信する(s205)。
【0096】
前記Aセンタのインスタントメッセンジャー121は、前記Bセンタのオペレータが前記テキストデータを確認済みとした旨を前記インスタントメッセンジャー221から受信したことを受けて、前記Bセンタの「転送先電話番号」への稼電実行指示をCTI装置16に通知する(s206)。なお、前記Bセンタのインスタントメッセンジャー221より前記テキストデータに関して確認済みとの応答を受けずとも、前記s200と同時に前記ステップs206を実行するとしてもよい。また、前記通信手段がメーラー120である場合、前記Aセンタのメーラー120は、前記Bセンタのメーラー220から、前記テキストデータを確認済みとした旨を受信したことを受けて、前記Bセンタの「転送先電話番号」への稼電実行指示をCTI装置16に通知することになる。チャット用アプリケーション122の場合は、前記インスタントメッセンジャー121と同様である。
【0097】
AセンタのCTI装置16は、前記通知を受けて、前記Bセンタの「転送先電話番号」への稼電を実行する(s207)。一方、前記BセンタのCTI装置26では、前記Aセンタからの稼電を受けて、対応管理テーブル226で「稼働状況」が「着信待ち」となっているオペレータ端末24に対し前記稼電の割当て処理を行う(s208)。また、この稼電に関する情報(例:処理IDを採番し、状態変化時間、転送先電話番号=前記オペレータ端末24の内線番号、着信電話番号、変化後の状態=通話中)を前記通話処理情報テーブル127に登録する(s209)。
【0098】
他方、前記オペレータ端末24は前記CTI装置26から稼電の割り当てを受けて(s210)、該当稼電に対するオペレータによる対応を受け付けることになる。この時、前記オペレータ端末24は、前記履歴テーブル231のレコードが含む項目(例:顧客の電話番号、対応者=オペレータ、問合せ者氏名=顧客名、顧客の住所、問い合わせ内容、など)に対応した入力画面を表示し(s211)、オペレータからの入力を受け付ける(s212)。またここで受け付けたデータは、当該オペレータ端末24から前記システム200の転送実行部213に送られる。
【0099】
前記転送実行部213は、前記オペレータ端末24で入力されたデータを受信し、これを履歴テーブル231に登録する(s213)。前記転送実行部213は、この登録を行うにあたって、前記稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報として登録する。
【0100】
その後、前記Bセンタの履歴送信部216は、前記Aセンタからの稼電転送を受けて自コールセンタ=Bセンタのオペレータ端末24においてなされた稼電への対応結果の情報として、前記履歴テーブル231より該当案件のレコードを抽出し(ないしCTI装置16や通話処理情報テーブル227より該当件のレコードを抽出)、ここで抽出したレコードの情報をスーパバイザ端末23に表示させる(s214)。
【0101】
前記スーパバイザ端末23では、前記レコードの情報をディスプレイなど出力部に表示するとともに(s215)、スーパバイザによる承認指示を入力部で受けて(s216)、これを前記システム200に送信する。前記システム200の履歴送信部216ではこれを受けて、前記Aセンタに関する該当レコードのデータを、Aセンタのシステム100に送信する(s217)。
【0102】
前記Aセンタのシステム100における課金処理部114は、当該Aセンタへの稼電について対応を行った前記Bセンタの管理システム200より、前記レコードのデータ=該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報、を受信する(s218)。また、この課金処理部114は、この対応履歴情報を当該Aセンタのスーパバイザ端末13に送信する。スーパバイザ端末13ではこの対応履歴情報を受信して出力部に表示し(s219)、スーパバイザによる登録承認の指示を入力部で受け、これを前記システム100の課金処理部114に通知する(s220)。
【0103】
一方、前記課金処理部114は、この登録承認の通知を受けて、前記対応履歴情報を前記履歴テーブル131に登録されている前記稼電情報と照合し、案件IDが一致したものを特定する(s221)。この時、前記課金処理部114は、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記Bセンタのシステム200に返信する(s224)としてもよいが、本実施形態では、前記ステップs221で前記履歴テーブル131のレコードと案件IDが一致したレコード(=対応履歴情報)について、例えば案件数を集計し(s222)、この集計値を前記課金テーブル133の「1案件対応料金」に乗じて課金額を算定するものとする(s223)。或いは、前記ステップs221で前記履歴テーブル131のレコードと案件IDが一致したレコード(=対応履歴情報)について、例えば対応時間を集計し、この集計値を前記課金テーブル133の「単位対応時間毎の対応料金」に乗じて課金額を算定するとしてもよい。対応業務についての課金も同様である。
【0104】
前記課金処理部114は前記ステップs223までで得た課金額の集計結果を、前記Bセンタのシステム200ないし、当該Aセンタのスーパバイザ端末13に送信する。例えば、前記集計結果の送信先が前記スーパバイザ端末13である時、このスーパバイザ端末13は、前記集計結果を受信してこれを前記Bセンタのスーパバイザ端末23に送信する(s224)。この時、前記Bセンタのスーパバイザ端末23では前記集計結果を受信し、出力部に表示して(s225)、処理を終了する。或いは、前記集計結果の送信先が前記Bセンタのシステム200である時、前記システム200は、前記集計結果を受信し(s226)、これをスーパバイザ端末23に表示させるか(s227)、或いは適宜な決済手段(金融機関システムへの決済依頼サーバなど)に渡して、処理を終了する。
【0105】
−−−処理フロー例10−−−
図23は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例10を示すフロー図である。ここでは、上記処理フロー例3で、稼働状況が「通常」の場合に分岐された処理について説明する。この場合、例えば、前記Aセンタのシステム100において、前記受入依頼部112は、前記PBX11の運転設定を「現状維持」に変更する指示をCTI装置16に通知する(s230)。一方、前記CTI装置16は前記指示を受けてPBX11の運転設定を、「現状維持」に設定する(s231)。
【0106】
また、前記システム100の受入応答部115は、前記Bセンタのシステム200に宛てて「稼電受け入れ可能」との応答を送信する(s232)。これを受けた前記Bセンタのシステム200では、前記管理テーブル225における前記Aセンタ=センタID「001」のレコードに関して、「受入要請先フラグ」を「○」に更新し(s233)、本フローを終了する。
【0107】
−−−処理フロー例11−−−
図24は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例11を示すフロー図である。
【0108】
ここでは、上記処理フロー例3で、混雑度が「軽負荷」の場合に分岐された処理について説明する。この場合、例えば、前記Aセンタのシステム100において、前記受入依頼部112は、前記PBX11の運転設定を「受入許可」に変更する指示をCTI装置16に通知する(s240)。一方、前記CTI装置16は前記指示を受けてPBX11の運転設定を、「受入許可」に設定する(s241)。
【0109】
また、前記システム100の受入応答部115は、前記Bセンタのシステム200に宛てて「稼電受け入れ可能」との応答を送信する(s242)。これを受けた前記Bセンタのシステム200では、前記管理テーブル225における前記Aセンタ=センタID「001」のレコードに関して、「受入要請先フラグ」を「○」に更新し(s243)、本フローを終了する。
【0110】
−−−処理フロー例12−−−
図25は、本実施形態のコールセンタ管理方法の実施手順例12を示すフロー図である。ここでは、上記処理フロー例3で、混雑度が「空き状態」の場合に分岐された処理について説明する。この場合、例えば、前記Aセンタのシステム100において、前記受入依頼部112は、前記PBX11の運転設定を「他処理」に変更する指示をCTI装置16に通知する(s250)。一方、前記CTI装置16は前記指示を受けてPBX11の運転設定を、「他処理」に設定する(s241)。
【0111】
また、前記システム100の受入応答部115は、前記Bセンタのシステム200に宛てて「稼電受け入れ可能」との応答を送信する(s242)。これを受けた前記Bセンタのシステム200では、前記管理テーブル225における前記Aセンタ=センタID「001」のレコードに関して、「受入要請先フラグ」を「○」に更新し(s243)、本フローを終了する。
【0112】
−−−その他の例−−−
なお、前記システム100の前記稼働率取得部111は、Aセンタなど自コールセンタ10から稼電の転送を受け入れ中であるBセンタなど他コールセンタ20の管理システム200から、他コールセンタ20における稼働率の情報を前記通信部107を介して随時受信するとしてもよい。この時、前記稼働率取得部111は、前記Bセンタのシステム200から受けたBセンタの稼働率を、前記稼働状況対照表130に照合して稼働状況を特定し、この稼働状況の情報をもって、前記管理テーブル225における該当レコードの「稼働状況」欄を更新する。また、前記稼働率取得部111は、前記Bセンタに関する他センタ稼働率としての前記稼働状況の情報を前記受入依頼部112に通知するとしてもよい。
【0113】
一方、前記Aセンタの受入依頼部112は、前記他センタ稼働率の通知を受けて、この他センタ稼働率たる前記稼働状況が、例えば、「溢れ状態」であるなど所定基準以上となった時、自コールセンタたるAセンタの稼働率を稼働状況対照表130とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時=「溢れ状態」である時、前記管理テーブル125において他センタ稼働率が所定基準以下=「溢れ状態」以外である他コールセンタ20をあらためて特定し、該当他コールセンタ20の管理システム200に対し、前記通信部107を介して稼電受け入れ依頼を送信する、とすれば好適である。
【0114】
本実施形態のコールセンタ管理システムは、以下の構成としてもよい。すなわち前記通信部は、他コールセンタの管理システムとの間でメッセージの送受信を行うための、音声自動応答装置、メーラー、インスタントメッセンジャー、およびチャット用アプリケーションの少なくともいずれかを備えており、前記記憶部は、他コールセンタの電話番号に加えて、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスとして、メールアドレス、インスタントメッセンジャーの連絡先情報、およびチャット用の連絡先情報の少なくともいずれかを格納しているとしてもよい。
【0115】
この場合、前記転送実行部は、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信するに際し、前記記憶部の他コールセンタの電話番号に宛てて前記通信部の音声自動応答装置により前記案件IDの音声データを発話させるか、前記記憶部の他コールセンタのメールアドレスに宛てて前記通信部のメーラーにより前記案件IDのテキストデータを記載したメールを送信させるか、前記記憶部の他コールセンタのインスタントメッセンジャーの連絡先情報に宛てて前記通信部のインスタントメッセンジャーにより前記案件IDのテキストデータを送信させるか、前記記憶部の他コールセンタのチャット用の連絡先情報に宛てて前記通信部のチャット用アプリケーションにより前記案件IDのテキストデータを送信させるとすれば好適である。
【0116】
こうした構成を採用すれば、稼電の転送先である他コールセンタにおいて、CTI装置から前記稼電への対応を指示されたオペレータ端末では、前記稼電の案件ID(や好ましくは発信者たる利用者に関する情報など)をオペレータへ簡便に明示できる。特に、インスタントメッセンジャーやチャットの機能を用いるとすれば、転送稼電への対応をCTI装置より指示されたオペレータ端末に対し、転送元である前記自コールセンタの管理システムからのデータ送信とほぼリアルタイムに前記案件ID等の情報伝達がなされる。すなわち、このオペレータ端末を利用するオペレータに対し、稼電の案件ID等を迅速かつ確実に提示できることとなり、稼電の転送時間の短縮につながる。
【0117】
また、前記転送実行部は、前記他コールセンタの管理システムへの案件IDの送信に対して、前記通信部の音声自動応答装置が、前記他コールセンタより所定音声データを受話したか、前記通信部のメーラーが、前記他コールセンタより所定テキストデータを記載したメールを受信したか、前記通信部のインスタントメッセンジャーが、前記他コールセンタより所定テキストデータを受信したか、前記通信部のチャット用アプリケーションが所定テキストデータを受信したことを受けて、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する、としてもよい。
【0118】
このような構成を採用すれば、例えば、「確認しました」などといったオペレータの発音に対応した音声データ(=所定音声データ)、或いは「確認しました」などといったオペレータのキーインに対応したテキストデータ(=所定テキストデータ)を、他コールセンタ経由で受信できたことをもって、稼電の転送準備が整ったと前記自コールセンタの管理システムが判定できる。また稼電転送先の他コールセンタにおけるオペレータの準備が整った上で稼電の転送を実行することになり、他コールセンタのオペレータの稼電対応業務が円滑になりやすい。
【0119】
また、前記転送実行部は、前記案件IDに加えて、稼電時に得られる利用者の電話番号、記憶部に予め保持する利用者個人情報より前記利用者の電話番号をキーに得られる前記利用者の個人情報、および記憶部に予め保持する稼電対応業務の内容、の少なくともいずれかの情報を含む稼電情報を、前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信するとしてもよい。
【0120】
このような構成を採用すれば、他コールセンタのCTI装置より前記稼電への対応を指示されたオペレータ端末において、これから対応すべき転送稼電の案件IDに加えて、稼電発信者たる利用者の情報や対応すべき業務内容について表示することができる。すなわち、このオペレータ端末を利用するオペレータに対し、これから対応する稼電に関する有為な情報を提示することができる。
【0121】
また、前記記憶部は、稼電の処理件数、処理した稼電の業務内容、および稼電の処理に要した対応時間、の少なくともいずれかに応じた単位課金額のデータを格納しているとしてもよい。
【0122】
この場合、前記課金処理部は、前記対応履歴情報を前記記憶部の稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した対応履歴情報を特定し、ここで特定した対応履歴情報の件数、対応履歴情報が示す業務内容、および対応時間の少なくともいずれかの情報を前記記憶部の単位課金額のデータに照合し、前記対応履歴情報が示す稼電に関する課金額を特定し、当該課金額について自コールセンタに対し課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する、とすれば好適である。
【0123】
このような構成を採用すれば、他コールセンタで対応してもらった稼電に関し、自コールセンタにおいて、対応案件の確認や照合を経て課金額の算定を実行できる。自コールセンタは、その課金結果を他コールセンタに通知することもできる。他コールセンタでは自ら処理した前記自コールセンタ由来の転送稼電について、その処理代金の金額=課金額を認識できることになる。
【0124】
また、前記稼働率取得部は、自コールセンタから稼電の転送を受け入れ中である他コールセンタの管理システムから、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納し、前記他コールセンタに関する他センタ稼働率を前記受入依頼部に通知するとしてもよい。
【0125】
この場合、前記受入依頼部は、前記他センタ稼働率の通知を受けて、この他センタ稼働率と所定基準とを比較し、前記他センタ稼働率が所定基準以上となった時、自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタをあらためて特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する、とすれば好適である。
【0126】
このような構成を採用すれば、一旦は稼電の転送先として特定した他コールセンタにおいて繁忙状態となった時などに、この他コールセンタの状況に配慮して、稼電の転送先として新たな他コールセンタを特定することができる。つまり、稼電の転送先である他コールセンタにおける繁忙状況に対応して、転送先の再特定を柔軟に行うことができる。
【0127】
また、前記コールセンタ管理システムにおいて、他コールセンタの管理システムより、前記稼電受け入れ依頼を前記通信部を介して受信した時、前記稼働率算定部より自コールセンタにおける稼働率を取得し、この稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以下である時、前記他コールセンタの管理システムに宛てて稼電受け入れ可能との応答を送信する受入応答部と、他コールセンタからの稼電転送を受けて自コールセンタ所属のオペレータ端末においてなされた稼電への対応結果の情報をCTI装置より取得し、前記対応結果として取得した該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して前記他コールセンタの管理システムに送信する履歴送信部と、を備えるとしてもよい。
【0128】
このような構成を採用すれば、ネットワークで結ばれたコールセンタ同士のいずれもが上記の「自コールセンタ」、「他コールセンタ」の立場で稼電の転送や受け入れを行うことができる。
【0129】
以上、本実施形態によれば、突発的な稼電に対応し易く、導入や運用のコスト面にも優れたコールセンタシステムを提供できる。
【0130】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0131】
10 自コールセンタ
11、21 PBX
12、22 自動応答システム(音声自動応答装置)
13、23 スーパーバイザ端末
14、24 オペレータ端末
15、25 電話機
20 他コールセンタ
40 電話回線
50 WAN
100、200 コールセンタ管理システム
101、201 記憶部
102、202 プログラム
103、203 メモリ
104、204 CPU
105、205 入力部
106、206 出力部
107、207 通信部
110 稼働率算定部
111 稼働率取得部
112 受入依頼部
113 転送実行部
114 課金処理部
115 受入応答部
116 履歴送信部
120 メーラー
121 インスタントメッセンジャー
122 チャット用アプリケーション
125、225 センタ情報テーブル
126、226 対応管理テーブル
127、227 通話処理情報テーブル
128、228 運用管理テーブル
129、229 対応モードマトリクス
130、230 稼働状況対照表
131、231 履歴テーブル
132、232 マッチングテーブル
133、233 課金テーブル
134、234 顧客テーブル
150、250 管理データベース
160、260 CTIログデータベース
170、270 履歴管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールセンタの管理システムであって、
他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、
他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部と、
自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する稼働率算定部と、
他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する稼働率取得部と、
自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する受入依頼部と、
前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する転送実行部と、
自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する、課金処理部と、
を備えることを特徴とするコールセンタ管理システム。
【請求項2】
前記通信部は、他コールセンタの管理システムとの間でメッセージの送受信を行うための、音声自動応答装置、メーラー、インスタントメッセンジャー、およびチャット用アプリケーションの少なくともいずれかを備えており、
前記記憶部は、他コールセンタの電話番号に加えて、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスとして、メールアドレス、インスタントメッセンジャーの連絡先情報、およびチャット用の連絡先情報の少なくともいずれかを格納しており、
前記転送実行部は、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信するに際し、前記記憶部の他コールセンタの電話番号に宛てて前記通信部の音声自動応答装置により前記案件IDの音声データを発話させるか、前記記憶部の他コールセンタのメールアドレスに宛てて前記通信部のメーラーにより前記案件IDのテキストデータを記載したメールを送信させるか、前記記憶部の他コールセンタのインスタントメッセンジャーの連絡先情報に宛てて前記通信部のインスタントメッセンジャーにより前記案件IDのテキストデータを送信させるか、前記記憶部の他コールセンタのチャット用の連絡先情報に宛てて前記通信部のチャット用アプリケーションにより前記案件IDのテキストデータを送信させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコールセンタ管理システム。
【請求項3】
前記転送実行部は、前記他コールセンタの管理システムへの案件IDの送信に対して、前記通信部の音声自動応答装置が、前記他コールセンタより所定音声データを受話したか、前記通信部のメーラーが、前記他コールセンタより所定テキストデータを記載したメールを受信したか、前記通信部のインスタントメッセンジャーが、前記他コールセンタより所定テキストデータを受信したか、前記通信部のチャット用アプリケーションが所定テキストデータを受信したことを受けて、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する、
ことを特徴とする請求項2に記載のコールセンタ管理システム。
【請求項4】
前記転送実行部は、
前記案件IDに加えて、稼電時に得られる利用者の電話番号、記憶部に予め保持する利用者個人情報より前記利用者の電話番号をキーに得られる前記利用者の個人情報、および記憶部に予め保持する稼電対応業務の内容、の少なくともいずれかの情報を含む稼電情報を、前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコールセンタ管理システム。
【請求項5】
前記記憶部は、稼電の処理件数、処理した稼電の業務内容、および稼電の処理に要した対応時間、の少なくともいずれかに応じた単位課金額のデータを格納しており、
前記課金処理部は、前記対応履歴情報を前記記憶部の稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した対応履歴情報を特定し、ここで特定した対応履歴情報の件数、対応履歴情報が示す業務内容、および対応時間の少なくともいずれかの情報を前記記憶部の単位課金額のデータに照合し、前記対応履歴情報が示す稼電に関する課金額を特定し、当該課金額について自コールセンタに対し課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコールセンタ管理システム。
【請求項6】
前記稼働率取得部は、自コールセンタから稼電の転送を受け入れ中である他コールセンタの管理システムから、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納し、前記他コールセンタに関する他センタ稼働率を前記受入依頼部に通知し、
前記受入依頼部は、前記他センタ稼働率の通知を受けて、この他センタ稼働率と所定基準とを比較し、前記他センタ稼働率が所定基準以上となった時、自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタをあらためて特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコールセンタ管理システム。
【請求項7】
他コールセンタの管理システムより、前記稼電受け入れ依頼を前記通信部を介して受信した時、前記稼働率算定部より自コールセンタにおける稼働率を取得し、この稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以下である時、前記他コールセンタの管理システムに宛てて稼電受け入れ可能との応答を送信する、受入応答部と、
他コールセンタからの稼電転送を受けて自コールセンタ所属のオペレータ端末においてなされた稼電への対応結果の情報をCTI装置より取得し、前記対応結果として取得した該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して前記他コールセンタの管理システムに送信する履歴送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコールセンタ管理システム。
【請求項8】
他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部とを備えたコールセンタの管理システムが、
自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する処理と、
他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する処理と、
自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する処理と、
前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する処理と、
自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する処理と、
を実行することを特徴とするコールセンタ管理方法。
【請求項9】
他コールセンタの管理システムとネットワークを介して通信する通信部と、他コールセンタの管理システムのネットワーク上のアドレスと、他コールセンタの電話番号とを記憶する記憶部とを備えたコールセンタの管理システムに、
自コールセンタ所属のオペレータ端末における稼電への対応状況を監視するCTI装置より、稼電対応中オペレータの情報を取得し、全オペレータに占める稼電対応中オペレータの割合を示す稼働率を算出し、この稼働率の情報を前記通信部を介して他コールセンタの管理システムに送信する処理と、
他コールセンタの管理システムから送信されてくる、他コールセンタにおける稼働率の情報を前記通信部を介して受信し、これを他センタ稼働率として記憶部に格納する処理と、
自コールセンタの稼働率と所定基準とを比較し、前記稼働率が所定基準以上である時、前記記憶部において他センタ稼働率が所定基準以下である他コールセンタを特定し、該当他コールセンタの管理システムに対し、前記通信部を介して稼電受け入れ依頼を送信する処理と、
前記他コールセンタの管理システムより稼電受け入れ可能との応答を受信した場合、利用者からの稼電に際して当該稼電に対応する案件IDを採番し、この案件IDを含む稼電情報を記憶部に登録し、前記案件IDを前記他コールセンタの管理システムに対し前記通信部を介して送信し、前記記憶部における前記他コールセンタの電話番号に宛てて前記稼電を転送する処理と、
自コールセンタへの稼電について対応を行った他コールセンタの管理システムより、該当稼電の案件IDと対応内容の情報とを含む対応履歴情報を前記通信部を介して受信し、この対応履歴情報を、前記記憶部に登録されている前記稼電情報と照合し、少なくとも案件IDが一致した時、前記対応履歴情報について課金可との通知を前記他コールセンタの管理システムに返信する処理と、
を実行させることを特徴とするコールセンタ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−23892(P2011−23892A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165969(P2009−165969)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】