説明

コールセンタ装置

【目的】
カスタマからのサービス要求に応答するコールセンタ装置であって、音声応答に視覚的サービスを付加して応答可能なコールセンタ装置を提供する。
【構成】
通信網を介してカスタマの通信端末から着信呼があると、予め定められたプロシージャに基づいてIVR部が自動応答を開始する。次に通信端末がブラウザ機能を有するか否かを端末判定部が判断し、通信端末にウェブ機能があると判断すれば、ウェブ画面通信機能部がウェブサーバからウェブ画面のダウンロードを行って、該画面データをIVR部の音声データと合わせて送信する。通信端末にウェブ機能がないと判断すれば、IVR部による音声データのみを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介してカスタマからの問い合わせ等のサービス要求に応答するコールセンタ装置に関し、特に、カスタマからの電話を受信して自動応答を行う音声自動応答装置(Interactive Voice Response、以下IVRと称する)を備えたコールセンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業では、顧客サポートや通信販売におけるカスタマからの増大する注文や登録、多岐に亘る問い合わせ等に効率的に対処するために、コールセンタにおいて、IVR機能を有するCTI(Computer Telephony Integration)サーバを含むコールセンタ装置が用いられている。CTIサーバは、IVR機能を用いてカスタマからの電話着信に対して自動受付、自動応答、及び自動転送を行うことができる。CTIサーバは、従来の電話に対する音声応答のみならず、コールセンタにおいてLANで接続されている各種サーバやコンピュータを介して、ウェブ、Eメール、FAX及びオペレータによる応答などの各種チャネルでの対応を可能にした。
【特許文献1】特開2007−243395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかるコールセンタ装置では、カスタマからの問い合わせが電話によるものであった場合に、応答方法としてIVRによる音声ガイダンスのみが行われ、例えカスタマが画像表示の可能な携帯電話やIP電話端末を用いていたとしても、音声ガイダンスと共に視覚的なサービスを提供することはなかった。
【0004】
そのため、従来のコールセンタ装置では、問い合わせを行っているカスタマは、音声ガイダンスの提供する順番に従って指示される操作方法を聞くまでは、所望するサービスを要求する操作を行うことができなかった。例えばオペレータとの直接対話等を所望する場合に、当該行為を選択するための操作方法が音声ガイダンスの最後で説明される場合、当該ガイダンスを最後まで聞いて、そのサービスを選択するための操作方法(例えばプッシュするボタンの番号等の指示)を知って、初めて操作可能であった。また、所望する行為の選択方法を聞き損ねたり理解できなかった場合には、ガイダンスを再度始めから聞く必要があったり、繰り返しての操作説明がない場合には、電話を掛けなおす必要があった。
【0005】
さらに、例えば、カスタマがIVRとの応答の結果としてオペレータによる応答を選択してオペレータが対応する場合であっても、カスタマに対して、機械の音声に替わりオペレータの音声のみの説明が行われるため、カスタマにとってはやはり説明を理解するのが大変であり、一方対応したオペレータの負荷も大きかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコールセンタ装置は、CTIサーバ及びウェブサーバを含み、ネットワークを介して通信端末からのサービス要求呼の着信があると予め定められたプロシージャに基づいて該通信端末に音声ガイダンスを介してインタラクティブに応答を行うコールセンタ装置であって、該CTIサーバは、該通信端末がブラウザ機能を有するや否やを判別する端末判定手段と、該端末判定手段によって該通信端末がブラウザ機能を有すると判断された場合に、該ウェブサーバから該音声ガイダンスに対応する画面データを取得して、該音声ガイダンスと該ウェブサーバからのウェブ画面のデータとを連携させて該通信端末に送信するウェブ画面通信手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
通信端末が有するブラウザ機能と従来の音声ガイダンスとを連携させることによって、IVRが視覚的補助を得てより有効に用いられると共に、提供サービスの選択において時間短縮を可能にしてカスタマのストレスを減らすことが出来るので顧客獲得に有利である。また、電話を掛けたカスタマと応答したオペレータとの間で、ウェブの画面の共有も可能となり応答するオペレータの負担を軽減することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明による実施例を示し、コールセンタ装置10を含む全体の構成を示している。
【0010】
コールセンタ装置10は、CTIサーバ20、ウェブサーバ30、音声認識サーバ40、データベース(以下、DBと称する)50、複数のオペレータ端末60、及びゲートウェイ70から構成される。各々は、10BASE−Tの如きLANにより相互に接続されている。コールセンタ装置10には、電話網またはインターネット網(以下、IP網と称する)を介して、携帯電話、固定電話端末である複数の通信端末80a〜80cが接続される。固定電話端末は、PSTN端末並びにIP電話端末及びソフトフォンなどである。なお、本実施例では、理解を容易にするために1つずつの携帯電話及び各固定電話端末が示されている。
【0011】
CTIサーバ20は、カスタマの通信端末80からの発信が電話網またはIP網及びゲートウェイ70を介して最初にアクセスするサーバである。ここで、CTIサーバ20は、外線及び内線のテレフォニーボードを実装したサーバであって、ACD(Automatic Call Distributor)、インテリジェント・ルーティング等の機能を有していてもよく、また、これらの機能を外付けのPBXやハードウェアに有していてもよい。CTIサーバ20は、通信機能部210、IVR部220、端末判定機能部230、及びウェブ画面通信機能部240を含み、カスタマからのサービス要求に対応するための各種プロシージャを有している。
【0012】
通信機能部210は、外線からの呼の発着信及びLAN等で接続されているコールセンタ装置内の各サーバ等へ/からの転送等の通信制御を担っている。
【0013】
IVR部220はIVR機能を提供し、カスタマの通信端末80からのサービス要求呼が着信すると、自動音声で受付を行う。次に、カスタマが所望するサービスの提供を受けることができるように通信端末80とインタラクティブに信号の交換を行って音声ガイダンスにより誘導する。インタラクティブな信号交換には、例えば、音声認識サーバ40による信号の検知機能を用いてもよい。またはカスタマの通信端末でのプッシュボタン(PB)押下による信号データを受信してこれを用いてもよい。
【0014】
端末判定手段である端末判定機能部230は、かかるインタラクティブな信号交換や着信呼に含まれる発信電話番号、DB50から抽出された情報等を用いて、通信端末80がブラウザ機能を有するか否かを判断する。
【0015】
ウェブ画面通信手段であるウェブ画面通信機能部240は、端末判定機能部230が通信端末80にブラウザ機能が搭載されていると判断すると、IVR部220による音声ガイダンスに対応したウェブ画面のダウンロードをウェブサーバ30へ指示してこれを取得し、音声ガイダンスと連携させて送信を行う。
ウェブサーバ30は、ウェブ画面通信機能部240の指示により、ウェブ画面のダウンロードを行う。
【0016】
音声認識サーバ40は、音声認識機能を有するサーバである。
【0017】
DB50は、カスタマ情報を記憶し、オペレータ端末60及びCTIサーバ20からアクセス可能である。CTIサーバ20への通信端末80からの着信と同時に、着信呼に含まれる発信元電話番号等の基本情報が記憶されてもよい。
【0018】
オペレータ端末60の各々は、オペレータによる応答やコールバック等のサービスを提供するためのコンピュータ端末である。カスタマからの着信呼についての呼情報をCTIサーバ20から取得して表示し、またCTIサーバによりオペレータ端末60への電話転送時に転送される呼に関するカスタマ情報がDB50から抽出されて、オペレータ端末60の表示部に表示されてもよい。さらに、オペレータ端末60を介してカスタマ情報の追加、変更等が可能であってもよい。
【0019】
次に、実施例の装置における、カスタマの通信端末80に対しウェブ画面を音声ガイダンスと連携させて送信する場合を含む、着信から切断までの一連の動作を説明する。図2は、コールセンタ装置の処理手順を示すフローチャートである。かかる処理手順について、図1に示される構成要素を適宜参照して説明する。
【0020】
カスタマの通信端末80からの発信(ステップS100)が電話網またはIP網及びゲートウェイを介してCTIサーバ20の通信機能部210に着信する(ステップS110)。CTIサーバ20のIVR部220は、予め記憶されている処理プロシージャに従って自動応答を開始して、着信受付を行う(ステップS120)。次に、端末判定機能部220は、通信端末80がブラウザ機能を有するか否かを判断する(ステップS130)。判断方法としては、先ず、着信呼としての呼情報から通信端末80が例えば携帯端末やPHS等、またはソフトフォン等であることを識別してブラウザ機能を有するか否かを判断してもよい。次に、DB50からのカスタマ登録情報に基づいて判断してもよい。例えば、サービス提供が会員を対象に限定されていて会員情報として電話番号やブラウザ機能の有無が登録されている場合や、過去の応答履歴から着信電話番号に対応する通信端末がブラウザ機能を有するか否かが記憶されている場合などにDB50から情報を得て判断することが可能である。さらに、かかる処理とともに、またはかかる処理を用いずに、音声ガイダンスによるインタラクティブな方法で通信端末80がブラウザ機能を有するか否かを判断してもよい。IVR部220による音声ガイダンスのブラウザ機能を有するか否かの問いに対して通信端末80から供給される応答の音声信号を通信機能部210が受信し、音声認識サーバ40に転送して信号変換を行った結果に基づき端末判定機能部230が判断する。または、音声信号に替えて通信端末80から供給されるPB信号によるインタラクティブな信号交換が行われてもよく、かかる問いに対する応答としてPB信号を受信してもよい。PB信号は、通信端末80において、例えば、ブラウザ機能を有する場合に1、無い場合に2のボタンを押下することによって生成される。ウェブ画面によるサービス提供を希望しない等の適当な項目を追加してPBをアサインしてもよい。通信機能部210がこのPB信号を受信すると、端末判定機能部230に送信する。端末判定機能部230は、このPB信号を検知して、発信端末80がブラウザ機能を有するか否かを判断する。
【0021】
端末判定機能部230は、通信端末80がVoIP端末や携帯端末等のブラウザ機能を有する端末80a、bであると判断した場合には、ウェブ画面通信機能部240へ通知する。ウェブ画面通信機能部240は、通知を受けるとウェブサーバ30に、提供サービスを案内する最初のウェブ画面のダウンロードの開始を指示する(ステップS140)。
【0022】
ダウンロードが完了すると、ウェブ画面送信機能部240は、最初の画面の画面データとともに対応する音声ガイダンスの音声データを通信機能部210を介して送信開始する(ステップS150)。このとき、音声データと画面データとは、統合されたデータパケットに成されてパケット内でフィールドを分けて一緒に送信されてもよく、またそれぞれ別のデータパケットとして続けて送信されてもよい。また、送信されるウェブ画面のデータは、カスタマ側端末のブラウザの種類を問わないようPDFデータ等が用いられてもよい。ここで、通信端末80が、例えばソフトフォンなどTCP/IPに基づく通信を行っている場合は、そのままウェブ画面データも送信可能であるが、通信端末80が例えば携帯電話80bである場合には、携帯電話の画面表示部にウェブ画面を表示させるために、音声パスを維持したまま、最初のウェブ画面にアクセスするためのURLをショートメッセージサービスまたはEメールで送信し、携帯電話80bからのアクセスを待ってウェブ画面データ及びIVR音声データの送信を行ってもよい。また、ウェブ画面の画像データ自体をEメールに添付して送信してもよい。
【0023】
次の画面への遷移は、音声認識サーバ40を用いている場合は通信端末80a、bにおける次の画面を選択する音声信号の検知、またはPB信号を用いている場合は予め定めたPB信号の検知を契機として行われる(ステップS160)。ウェブ画面通信機能部240は検知した信号から次の画面へ遷移するか否かを判断する。次の画面への遷移が選択されている場合には、ウェブサーバ30からウェブ画面を取得する処理(ステップS150)へ戻る。以下次の画面への遷移が選択されなくなるまで繰り返す。
【0024】
次の画面への遷移が選択されなかった場合、IVR部220は、オペレータへ転送するか否かについて選択する音声ガイダンスを送信して選択を促す(ステップS170)。
【0025】
オペレータへの転送が選択されない場合、IVR部220による音声ガイダンスの終了案内により処理プロシージャが終了され、通信端末80の切断を確認して、または一定時間経過後に通信機能部210は全ての通信接続を終了する(ステップS190)。
【0026】
オペレータへの転送が選択された場合には、通信機能部210はオペレータ端末60へ通信中の呼の転送を行う。このとき、呼情報、音声ガイダンスの使用状況や転送が行われた時点のウェブ画面データ及びDB50から抽出されたカスタマ情報等もオペレータ端末60へ送信されて端末表示画面に表示されてもよい。オペレータは端末表示画面を参照しながら応答を行う(ステップS180)。また、オペレータによるウェブ画面の選択表示が行われて、当該画面をカスタマに送信して同じ画面を参照してもよい。オペレータが直接の応答が不要と判断した場合には、ウェブ画面及び/または音声ガイダンスを指定してCTIサーバ20へ通話中の呼を戻してもよい。
【0027】
オペレータは、通話が終了すると呼切断を行い通信接続を終了させる(ステップS190)。
【0028】
端末判定機能部230は、通信端末80がブラウザ機能を有していないPSTN端末80cと判断した場合には、IVR部220がそのまま音声ガイダンスの送信を続ける(ステップS200)。次の音声ガイダンスへの遷移は、音声認識サーバ40を用いている場合は発信端末60から供給される次の画面を選択する音声信号の検知、またはPB信号を用いている場合は予め定めたPB信号の検知を契機として行われる(ステップS210)。次の音声ガイダンスへの遷移が選択されている場合には、予め定めたプロシージャに従ってIVR部220は処理ステップS200に戻る。以下次の音声ガイダンスへ遷移が選択されなくなるまで繰り返す。
【0029】
次の音声ガイダンスへの遷移が選択されなかった場合、オペレータへ転送するか否かについて選択する音声ガイダンスを送信して選択を促す(ステップS170)。以後、上記したステップS180乃至ステップS190と同様の処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例であり、コールセンタ装置を含む全体の構成を示しているブロック図である。
【図2】本発明の実施例であり、コールセンタ装置における、ウェブ画面を音声ガイダンスと連携させて送信する処理を含めた着信から通信終了までの一連の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10 コールセンタ装置
20 CTIサーバ
30 ウェブサーバ
40 音声認識サーバ
50 データベース
60 オペレータ端末
70 ゲートウェイ
80 通信端末
210 通信機能部
220 IVR部
230 端末判定機能部
240 ウェブ画面通信機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTIサーバ及びウェブサーバを含み、ネットワークを介して通信端末からのサービス要求呼の着信があると予め定められたプロシージャに基づいて前記通信端末に音声ガイダンスを介してインタラクティブに応答を行うコールセンタ装置であって、
前記CTIサーバは、
前記通信端末がブラウザ機能を有するや否やを判別する端末判定手段と、
前記端末判定手段によって前記通信端末がブラウザ機能を有すると判断された場合に、前記ウェブサーバから前記音声ガイダンスに対応する画面データを取得して、前記音声ガイダンスと前記ウェブサーバからのウェブ画面のデータとを連携させて前記通信端末に送信するウェブ画面通信手段と、
を有することを特徴とするコールセンタ装置。
【請求項2】
前記端末判定手段は、前記通信端末から供給される音声信号またはPB信号に基づいてブラウザ機能の有無を判別することを特徴とする請求項1記載のコールセンタ装置。
【請求項3】
前記端末判定手段は、前記通信端末がブラウザ機能を有すると判断したときに、前記通信端末にウェブ画面を表示させるべく対応するURLをショートメッセージまたはメールにて送信することを特徴とする請求項2記載のコールセンタ装置。
【請求項4】
カスタマ情報を記憶するデータベースをさらに含み、
前記端末判定手段は、前記通信端末からの着信呼があると、前記データベースから前記着信呼に含まれる発信元電話番号に対応するカスタマ情報を抽出してブラウザ機能の有無を判断することを特徴とする請求項1記載のコールセンタ装置。
【請求項5】
前記端末判定手段によって前記通信端末がブラウザ機能を有していないと判断された場合に、前記通信端末に、引き続き前記音声ガイダンスを送信することを特徴とする請求項1記載のコールセンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−182836(P2009−182836A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21270(P2008−21270)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】