説明

ゴムローラの製造方法

【解決手段】液状ゴムに配合剤を配合して混練し、脱泡した後、ローラ状に成形して架橋硬化させるゴムローラの製造方法において、上記配合剤の一として光重合開始剤を配合すると共に、遊星式混合装置を用いて上記混練操作を行い、かつ紫外線照射によって上記架橋硬化を行うことを特徴とするゴムローラの製造方法を提供する。
【効果】低硬度で圧縮永久歪みが小さい優れた特性を有するゴムローラを良好な寸法精度をもって効率的に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低硬度でかつ低圧縮永久歪みの良好な特性を有するゴムローラを良好な寸法精度をもって製造することができるゴムローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴム製品を製造する場合、まず、原料ゴムに補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤などの配合剤を配合して混練することによりゴム組成物を調製し、次にこのゴム組成物に架橋(加硫)剤、架橋(加硫)促進剤などを添加して未架橋ゴム組成物を調製し、これを所望の形状に成形した後、架橋硬化を行うか、又は成形と同時に架橋硬化を行ってゴム架橋物を得る方法が採られている。
【0003】
この場合、上記補強剤や充填剤などは粉末状であることが多く、原料ゴムとの混練時に飛散しやすい。そのため、短時間で混練を完了するにはこれら配合剤の飛散を防止するため密閉式混練機を使用する必要があり、バンバリーやニーダーなどの密閉式混練機を用いて混練作業が行われている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【0004】
ここで、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置などに用いられる各種ローラやブレードなどの用途では、ゴム材料の低硬度化が要求される場合が多く、このような場合にはゴム製品の硬度を低減化(低硬度化)したり、製造時の加工性を改善する目的で原料ゴムに多量の液状ゴムを配合することも行われている(例えば、下記特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、液状ゴムを固形ゴムに混合する方法では、圧縮永久歪みと硬度の両方を十分に低減化することは困難であり、求められる要求に十分に応えることができない場合がある。また、原料ゴムに液状ゴムと他の配合剤を混練するため、これらの各材料を上記密閉式混練機に投入して混練することになるが、その場合には液状ゴムが密閉式混練機のローター表面に付着して他の配合剤が液状ゴム中に分散し難くなり、混練効率が低下するという問題がある。
【0006】
また、電子写真装置に使用される現像ローラには、シリコーンゴムやウレタンゴムに導電剤を配合して成形した導電性ローラが多く用いられており(例えば、下記特許文献3参照)、これらはいずれも2液型のLIM成形機を用いた射出成形により製造されるのが一般的である。
【0007】
しかしながら、このLIM成形機を用いた射出成形法により導電性ゴムローラを作製する場合には、架橋を行う成形時間が長く、良好な生産性を得るためには多数の射出成形機が必要になるという問題がある。また、環境保護の観点から成形後の研磨工程を省略することも行われており、そのために非常に精度の高い高価格の金型が大量に必要になり、製造コストが増大するという問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開2000−129037公報
【特許文献2】特開2005−154545公報
【特許文献3】特開2004−74431公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低硬度で圧縮永久歪みの小さい良好な性能を有するゴムローラを良好な寸法精度をもって容易に製造することができるゴムローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ゴムに必要に応じた所望の配合剤を配合して混練し、ローラ状に成形し架橋硬化させてゴムローラを製造する場合に、上記混練操作を、遊星式混合装置、特に対象物を収容した容器が自転しながら公転して対象物を混練しながら脱泡する遊星式混合・脱泡装置を用いて行うことにより、ゴム原料として低分子量の末端アクリル変性ブタジエンゴムや末端アクリル変性イソプレンゴムなどの液状ゴムを用いても、これら液状ゴムに配合剤が十分かつ良好に分散し、気泡も非常に少ない良好な未架橋ゴム組成物を、液状ゴムの付着などによる不都合を生じることなく効率よく調製することができ、低硬度でかつ圧縮永久歪みの小さい良好な特性を有するゴムローラが得られることを見出した。更に、上記配合剤の一として光重合開始剤を配合し、紫外線照射によって架橋硬化を行うことにより、短時間で良好に架橋硬化が完了し安価に効率よくゴムローラを製造することができると共に、熱架橋を行う場合のような大きな収縮を生じることなく寸法精度の高いローラを確実に得ることができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0011】
従って、本発明は、液状ゴムに配合剤を配合して混練し、脱泡した後、ローラ状に成形して架橋硬化させるゴムローラの製造方法において、上記配合剤の一として光重合開始剤を配合すると共に、遊星式混合装置を用いて上記混練操作を行い、かつ紫外線照射によって上記架橋硬化を行うことを特徴とするゴムローラの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゴムローラの製造方法によれば、低硬度で圧縮永久歪みが小さい優れた特性を有するゴムローラを良好な寸法精度をもって効率的に製造することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴムローラの製造方法は、上記のように、液状ゴムに光重合開始剤を配合してローラ形状に成形し、これを紫外線照射によって架橋硬化させるものである。
【0014】
本発明で用いられる上記液状ゴムとしては、常温で液状を示し、光重合開始剤を用いることによって光重合により架橋して弾性を示すものであれば特に制限はなく、ゴムローラの用途等に応じて適宜選択し得、例えば末端アクリル変性液状ブタジエンゴム、末端アクリル変性水添液状ブタジエンゴム、末端アクリル変性液状イソプレンゴム、末端アクリル変性水添液状イソプレンゴム、メタクリロイル変性液状イソプレンゴムなどが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも本発明には、メタクリロイル変性液状イソプレンゴム、末端アクリル変性液状イソプレンゴム、末端アクリル変性液状ブタジエンゴムなどが好ましく用いられる。また、本発明に用いられる液状ゴムは、特に数平均分子量2000〜50000のものが好適である。
【0015】
ここで、場合によっては2種以上の液状ゴムを混合して用いてもよい。また、場合によっては液状ゴムに固形ゴムを本発明の目的を逸脱しない範囲で配合することもできるが、本発明では、固形ゴムを一切配合することなく、原料ゴム成分としては液状ゴムのみを用いることが好ましく、これにより低硬度で圧縮永久歪みの小さいゴム架橋物をより確実に得ることができる。なお、固形ゴムを配合する場合の固形ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどが挙げられる。
【0016】
本発明では、上記液状ゴムに光重合開始剤を配合して紫外線照射によって架橋硬化を行う。この場合、光重合開始剤としては、特に制限はなく公知のものを使用することができる。例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が例示され、これらの1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア184D」)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア819」)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンチバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア1173」)が好ましく用いられる。この光重合開始剤の配合量は、用いる重合開始剤の種類や液状ゴムの種類、更には成形方法などに応じて適宜設定されるが、通常は液状ゴム成分100質量部に対して0.05〜10質量部、特に0.1〜5質量部とすることが好ましい。
【0017】
本発明では、この光重合開始剤を上記液状ゴムに添加し混練し脱泡して、まず未架橋の液状ゴム組成物を調製するが、この未架橋ゴム組成物には、上記光重合開始剤の他にも、必要に応じて充填剤、導電剤、架橋促進剤、補強剤、軟化剤、老化防止剤などの公知の配合剤を適量添加配合することができる。
【0018】
上記充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウムなどが例示される。
【0019】
導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤のいずれも用いることができ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック,アセチレンブラックなどのガスブラック,インクブラックを含むオイルファーネスブラック,サーマルブラック,チャンネルブラック,ランプブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。また、イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,ラウリルトリメチルアンモニウムなどのドデシルトリメチルアンモニウム,ステアリルトリメチルアンモニウムなどのオクタデシルトリメチルアンモニウム,ヘキサデシルトリメチルアンモニウム,ベンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などのアンモニウム塩;リチウム,ナトリウム,カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,トリフルオロメチル硫酸塩,スルホン酸塩などが例示される。なお、本発明では紫外線照射により架橋硬化を行うため組成物の透明性を低下させることのないイオン導電剤が好ましく使用される。
【0020】
また、架橋促進剤としては、エチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなどが例示され、軟化剤としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルなどが例示され、老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などが例示される。
【0021】
また、用途によっては紫外線吸収剤や光安定剤を配合することも好ましく、紫外線吸収剤としては2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が例示され、光安定剤としてはビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが例示される。
【0022】
上記のように、本発明では、まず液状ゴム、光重合開始剤及びその他の配合剤を混練し、脱泡して未架橋の液状ゴム組成物を調製する。この場合、本発明では、上記混練操作はバンバリーミキサーやニーダーなどではなく、遊星式混合装置を用いて行われる。用いられる遊星式混合装置としては、パドル、撹拌アーム、撹拌羽根などが自転しながら公転(遊星運動)する所謂プラネタリーミキサーなどの一般的な遊星式混合装置を用いることもできるが、特に対象物を収容した容器が自転しながら公転して対象物を混練しながら脱泡する遊星式混合・脱泡装置が特に好ましく用いられる。このような遊星式混合・脱泡装置を用いることにより、液状ゴムの付着に関する不都合を生じることなく、上記配合剤を均一かつ効率的に液状ゴム中に分散することができ、かつ混練,混合操作と同時に脱泡を行うことにより気泡のほとんどない非常に高品質な未架橋液状ゴム組成物を効率的に得ることができる。なお、このような遊星式混合・脱泡装置としては、株式会社シンキー社製のAR−100,ARV−200,AR−250,AR−500,ARV−1000,ARV−300や倉敷紡績株式会社のマゼルスターKK−50S,KK−100,KK−300,KK−10000などの市販の装置を用いることができる。
【0023】
なお、混合,混練の条件(撹拌速度、撹拌温度、撹拌時間など)については特に制限はなく、液状ゴム、配合剤の種類や配合剤の配合量などに応じて適宜設定すればよい。
【0024】
上記混練操作により調製された未架橋のゴム組成物は、ローラ形状に成形され紫外線照射によって架橋硬化してゴムローラとされる。この場合、この液状ゴム組成物の成形は、特に制限されるものではないが、ダイコータを用いてシャフトの外周に未架橋液状ゴム組成物を塗布する方法が好ましく採用され、これによりシャフトの外周にゴム層が形成されたローラを効率的に成形することができる。
【0025】
そして、このシャフトの外周に成形された未架橋液状ゴム組成物からなるゴム層に紫外線を所定時間照射して架橋硬化させ、シャフトの外周にゴム架橋物からなる弾性層が形成されたゴムローラを得ることができる。この場合、光重合によって架橋硬化したシャフト外周のゴム層は、収縮などによる寸法変化をほとんど生じることなく架橋硬化し、寸法精度や平滑性に優れたゴムローラを確実に得ることができる。なお、紫外線照射の条件は、上記ゴム層の厚み、ゴム組成物の配合組成、光源の強さなどに応じた通常の条件とすることができる。
【0026】
本発明の製造方法により得れたゴムローラは、上記のように低硬度で低圧縮永久歪みの物性を有するものであるが、その用途に特に制限はなく、本発明の製造方法により種々の用途のゴムローラを製造することができる。この場合、得られるゴムローラは、分散配合された充填剤や導電剤などの配合剤の均一性が高く、かつ低硬度で圧縮永久歪みが小さく、更に寸法精度に優れるものであり、その特性,性能が有効に発揮される用途としては、プリンターや複写機などの電子写真装置や静電記録装置に用いられるトナー搬送ローラ、現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ、紙送りローラなどが挙げられ、中でも現像ローラとして特に好適に用いられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜3]
下記表1に示した組成でゴムに配合剤を配合し、遊星式混合・脱泡装置((株)シンキー社製「AR−25」)を用いて下記条件で混練し、脱泡して、未架橋の液状ゴム組成物を調製した。なお下記表1中の配合は重量部である。
混練条件
機器:遊星式混合・脱泡装置
自転速度:400rpm
公転速度:800rpm
混練時間:5分
【0028】
次いで、ダイコーターを用い、得られた上記未架橋液状ゴム組成物を金属シャフト(直径10mm)の外周に塗布し、金属シャフトの外周に厚さ3mmのゴム層を長さ240mmに亘って形成した。これを紫外線照射装置の中に移動させ、ウシオ電気(株)製UV照射装置(250Wタイプ)を用いて、700mW/cm2の照射強度で10秒間紫外線を照射して液状ゴム組成物からなる上記ゴム層を架橋硬化させ、シャフトの外周にゴム層が形成された導電性ゴムローラを作製した。このときの積算光量は1.2J/cm2であった。
【0029】
[比較例1]
まず、下蓋と円筒状金型と上蓋とからなるローラ成形用金型を準備した。そして、下蓋を外嵌した円筒状金型内に、シャフトとして表面を接着用プライマーで処理した芯金(直径10mm、SUS304製)を同心的に垂直にセットした後、この芯金と円筒状金型との空隙部に導電性カーボンブラックを配合した液状シリコーンの未架橋ゴムを射出充填し、これを150℃×45分の条件で加熱した。その後、これを脱型して外形20mm長さ285mmの導電性ローラを得た。
【0030】
[比較例2]
比較例1と同様の金型内に同様にして芯金をセットし、この芯金と円筒状金型との空隙部に2種類のモノマー成分を混合射出し、重合反応させた。その後、これを脱型して外形20mm長さ285mmの導電性ローラを得た。
【0031】
上記実施例1〜3及び比較例1,2で得られた各ゴムローラにつき、以下の項目を評価した。結果を表1に示す。
[アスカーC硬度]
得られたローラつき、JIS K6253に規定された加硫ゴム硬さ試験法に準拠して測定を行った。
[圧縮永久歪み]
JIS K6262に規定された加硫ゴム圧縮永久ひずみ試験方法に準拠して測定を行った。
[ローラ体積抵抗]
ローラの両端にそれぞれ500gの荷重をかけて銅板に押し付け、抵抗率計R8340A(アドバンテスト社製)を用い、100Vの電圧を印加して抵抗値を測定した。なお、測定は室温(23℃)で行った。
[ローラの表面性状]
三次元マイクロスコープを用いてローラ表面を測定し、平滑性を評価した。
[ローラ振れ]
(株)ミツトヨ社製レーザースキャンマイクロメーター「LSM−3100」を用い、ローラをその軸を中心にして回転させたときのローラ外周面の振れ幅を測定した。
【0032】
【表1】

UC203:クラレ社製液状イソプレンゴム
TE2000:日本曹達社製液状ブタジエンゴム
BAC−45:大阪有機化学工業社製末端アクリル変性液状ブタジエンゴム
イルガキュア184D:チバスペシャルティーケミカルズ社製光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
導電剤: 昭島化学工業社製イオン導電剤「MP−100」(過塩素酸ナトリウムポリオール錯塩)
【0033】
表1の通り、本発明のゴムローラの製造方法によれば、低硬度で圧縮永久歪みが小さく良好な特性を有し、かつ寸法精度に優れた高性能なゴムローラを確実に得ることができることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状ゴムに配合剤を配合して混練し、脱泡した後、ローラ状に成形して架橋硬化させるゴムローラの製造方法において、上記配合剤の一として光重合開始剤を配合すると共に、遊星式混合装置を用いて上記混練操作を行い、かつ紫外線照射によって上記架橋硬化を行うことを特徴とするゴムローラの製造方法。
【請求項2】
上記液状ゴムが、末端アクリル変性液状ブタジエンゴム、末端アクリル変性水添液状ブタジエンゴム、末端アクリル変性液状イソプレンゴム、末端アクリル変性水添液状イソプレンゴム、及び、メタクリロイル変性液状イソプレンゴムからなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載のゴムローラの製造方法。
【請求項3】
上記液状ゴムが数平均分子量2000〜50000のものである請求項1又は2記載のゴムローラの製造方法。
【請求項4】
上記光重合開始剤が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴムローラの製造方法。
【請求項5】
上記遊星式混合装置として、対象物を収容した容器が自転しながら公転して対象物を混練しながら脱泡する遊星式混合・脱泡装置を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴムローラの製造方法。
【請求項6】
配合剤の一として導電剤を配合する請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴムローラの製造方法。
【請求項7】
導電剤がイオン導電剤である請求項6記載のゴムローラの製造方法。
【請求項8】
液状ゴムに配合剤を配合して混練し、脱泡した未架橋液状ゴム組成物をダイコータを用いてシャフトの外周に塗布することにより、未架橋液状ゴム組成物をローラ状に成形する請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴムローラの製造方法。

【公開番号】特開2007−130787(P2007−130787A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323448(P2005−323448)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】