ゴム栓付き蓋体およびその製造方法
【課題】プラスチック製蓋体本体2に対するゴム栓3の接着強度が大きくかつインサート成形によって簡単に大量生産することができるゴム栓付き蓋体1およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ゴム栓3をインサートとして用いてプラスチック製蓋体本体2をインサート成形することによって、蓋体本体2とこの蓋体本体2の内側面に接合されているゴム栓3とを備えているゴム栓付き蓋体1を製造する。この場合、ゴム栓3を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下である。
【解決手段】ゴム栓3をインサートとして用いてプラスチック製蓋体本体2をインサート成形することによって、蓋体本体2とこの蓋体本体2の内側面に接合されているゴム栓3とを備えているゴム栓付き蓋体1を製造する。この場合、ゴム栓3を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体およびその製造方法に関するものであって、特に、医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体として最適なゴム栓付き蓋体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液剤などの医薬品のための容器として、プラスチック製の容器本体とゴム栓付き蓋体とを有するものが使用されている。このような医薬品用容器のゴム栓付き蓋体は、例えば特許文献1に開示されているように、ゴム栓と、このゴム栓が取り付けられたプラスチック製の蓋体本体とから構成されている。この場合、ゴム栓は、未架橋ゴムシートとその上下の外側面に貼り合わせた上下一対のラミネート用のフィルム材とを上下一対の金型の間に配置してから加熱および加圧することによって、金型成形される。そして、このゴム栓は、ゴム製のゴム栓本体と、このゴム栓本体の外周面に形成されたプラスチック製のラミネート膜とから構成されている。また、ゴム栓を蓋体本体に取り付ける際には、予め成形された蓋体本体にゴム栓を重ね合わせてから、両者を加熱圧着させるようにしている。このために、ゴム栓のラミネート膜が蓋体本体に融着するので、ゴム栓を蓋体本体に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている上述のような医薬品用容器のゴム栓付き蓋体の場合には、ゴム栓は、未架橋ゴムシートとその上下の外側面に貼り合わせた上下一対のラミネート用フィルム材とを上下一対の金型の間に配置してから加熱および加圧することによって、ラミネート成形される。このために、この場合には、ゴム栓の製造工程が煩雑になる。
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【0005】
本発明は、上述のような従来のゴム栓付き蓋体およびその製造方法の欠点を是正すべく発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その第1の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0007】
また、本発明は、その第2の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体
に係るものである。
【0008】
また、本発明は、その第3の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0009】
また、本発明は、その第4の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0010】
また、本発明は、その第5の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0011】
また、本発明は、その第6の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0012】
また、本発明は、その第7の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0013】
また、本発明は、その第8の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤の量(換言すれば、総和)が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0014】
また、本発明は、その第9の観点においては、上記第1〜8の観点におけるゴム栓付き蓋体を製造する方法であって、インサートとしてのゴム栓が第1の成形型のキャビティに、上記ゴム栓の上板部の上面側が上記キャビティの外部に露出する状態において、配置され、この際、上記ゴム栓の上記上板部の外周面のほぼ全体が上記第1の成形型に設けられたほぼ環形状の突出部によって覆われており、ついで、第2の成形型が上記第1の成形型と組み合わされ、ついで、インサート成形が行われることを特徴とするゴム栓付き蓋体の製造方法に係るものである。
【0015】
本発明の上記第1〜第9の観点における第1の態様においては、上記蓋体本体がほぼキャップ形状に構成されているキャップ本体であることができる。また、上記第1〜第9の観点における第2の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体がビンのための蓋体であることができる。
【0016】
本発明の上記第1〜第9の観点における第3の態様においては、上記上記ゴム用鉱物系軟化剤および上記ゴム用植物系軟化剤のうちでパラフィンオイルのみが上記ゴム組成物に含まれていることができる。また、上記第1〜第9の観点における第4の態様においては、上記ゴム組成部のゴム成分がブタジエンゴムであることができる。また、上記第1〜第9の観点における第5の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体が医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体であることができる。また、上記第1〜第9の観点における第6の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体が滅菌精製水を収容するためのビンのためのほぼキャップ形状の蓋体であることができる。また、本発明の上記第1〜第9の観点における第7の態様においては、上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.01〜0.5重量%の範囲であるのが好ましい。この場合、上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.02〜0.1重量%の範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第1〜第9の観点における第9の態様においては、上記ゴム組成物のうちのゴム成分の量が、20〜60重量%の範囲であることができる。この範囲は、25〜55重量%であるのが好ましく、30〜50重量%であるのがさらに好ましい。
【0017】
本発明の上記第1〜第9の観点における第9の態様においては、上記ゴム組成物のゴム用添加剤のうちの補強剤、加硫促進剤などの無機成分の量が、上記ゴム組成物のうちの40〜80重量%の範囲であることができる。この範囲は、45〜75重量%であるのが好ましく、50〜70重量%であるのがさらに好ましい。この場合、上記無機成分中のうちのカーボンブラック、ケイ酸アルミニウムなどの補強剤の量が、30〜70重量%の範囲であることができる。この範囲は、35〜65重量%であるのが好ましく、40〜60重量%であるのがさらに好ましい。また、上記無機成分のうちの酸化マグネシュウムなどの加硫促進剤の量が、上記ゴム組成物のうちの2〜25重量%の範囲であることができる。この範囲は、4〜18重量%であるのが好ましく、6〜16重量%であるのがさらに好ましい。
【0018】
本発明の上記第1〜第9の観点における第10の態様においては、上記ゴム組成物のゴム用添加剤のうちのゴム用軟化剤(換言すれば、ヘキサン可溶分)、酸化防止剤(換言すれば、THF可溶分)、メタノール可溶分などの有機成分の量が、0.3〜8重量%の範囲であることができる。この範囲は、0.6〜6重量%であるのが好ましく、1〜4重量%であるのがさらに好ましい。
【0019】
本発明の上記第1〜第9の観点における第11の態様においては、上記蓋体本体が、上板部と、この上板部の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ環形状である環状の側板部とを備え、上記ゴム栓が、上記環状側板部の内径よりも小さい直径を有するように構成されるとともに、上記上板部の内側面に接合され、上記ゴム栓の上板部の外周面と上記環状側板部の内周面との間にほぼ対応する上記蓋体本体の上記上板部の内側面に、ほぼ環形状の溝が設けられているのが好ましい。
【0020】
本発明の上記第9の観点における第12の態様においては、上記ほぼ環形状の突出部が上記ゴム栓の上記上板部の上面よりも上記キャビティの開口側の外部に向かって突出しているのが好ましい。この場合、上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが2mm以下であることがでいる。また、上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.1〜1.5mmの範囲であるのが好ましく、上記突出の高さが0.2〜1mmの範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第9の観点における第13の態様においては、上記インサート成形が射出成形によるインサート成形であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1〜8、11、12、18および23に係る発明によれば、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体を、予め成形されたゴム栓をインサートとして用いたインサート成形によって、簡単に大量生産することができる。
【0022】
また、請求項1〜10、13〜16および18に係る発明によれば、プラスチック製の蓋体本体に対するゴム栓の接着強度が大きい、滅菌精製水などを収容する医療用、医薬用などのビンなどのためのほぼキャップ形状などのゴム栓付き蓋体を提供することができる。
【0023】
さらに、請求項17〜22に係る発明によれば、ゴム用軟化剤の量が少なくても、予め成形されたゴム栓をインサートとして用いてプラスチック製の蓋体本体をインサート成形するときに、ゴム栓の上面に存在しているゴム組成物が加熱流動化したプラスチックによって径方向外方などに流動して、プラスチック製の蓋体本体の色調などに悪影響を与えるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例によるゴム栓付きキャップの、斜め上方から見た斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示すゴム栓付きキャップを容器本体の口部に装着した状態を示す縦断面図である。(実施例1)
【図3】図1に示すゴム栓付きキャップに用いられるゴム栓の平面図である。(実施例1)
【図4】図3のA−A線における断面図である。(実施例1)
【図5】図3に示すゴム栓の、斜め上方から見た斜視図である。(実施例1)
【図6】図3に示すゴム栓の、斜め下方から見た斜視図である。(実施例1)
【図7】図1に示すゴム栓付きキャップの変形例における図1と同様の斜視図である。(実施例2)
【図8】図1に示すゴム栓付きキャップを製造する方法の一実施例における第1の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図9】図8に示すキャップ製造方法における第2の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図10】図8に示すキャップ製造方法における第3の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図11】図8に示すキャップ製造方法における第4の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図12】図11における領域Iの拡大図である。(実施例1)
【図13】プラスチック製キャップ本体に対するゴム栓の接着強度を測定する一例を示す縦断面図である。(参考例1)
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
つぎに、本発明によるゴム栓付き蓋体およびその製造方法の実施例を、「1、ゴム栓付き蓋体の構造」、「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」および「3、ゴム栓の組成」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
1、ゴム栓付き蓋体の構造
本発明の一実施例によるゴム栓付き蓋体としてのゴム栓付きキャップ1は、図1および図2に示すように、蓋体本体としてのプラスチック製のキャップ本体2と、このキャップ本体2の内側面に取り付けられたゴム製のゴム栓3とから構成されている。キャップ本体2は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、その他の各種のプラスチックから製造されることができるが、ポリプロピレン樹脂から製造されるのが特に好ましい。また、ゴム栓3は、ゴム成分とゴム用添加剤とから成るゴム組成物でもって構成されたものであってよい。特に、ゴム栓3は、既述のようなラミネート膜を備えていないのが1つの特徴である。そして、ゴム栓3のゴム成分としては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、その他の各種のゴムを用いることができるが、ブタジエンゴムを用いるのが特に好ましい。なお、ゴム栓3のゴム成分に添加されるゴム用添加剤については、後記の「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0027】
キャップ本体2は、図1および図2に示すように、ほぼ円板形状などのほぼ板形状であってよい上板部4と、この上板部4の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ円環形状などのほぼ環形状であってよい環状側板部5とから構成されている。そして、環状側板部5の内周面には、らせん状に延在する突条部6によって雌ねじ部7が形成されている。また、環状側板部5の下端側には、複数個の細幅の連結部8を介して環状下端部9が一体的に連設されている。換言すれば、環状側板部5と環状下端部9との間には、ほぼ環状のスリット31が形成されている。そして、連結部8は、このスリット31に存在している。また、環状側板部5の下端側には、複数個のスペーサ部32および複数個の切断幇助部33が一体的に連設されている。さらに、環状下端部9の上端側には、複数個の切断幇助部33にそれぞれ対応するように、複数個の切断幇助部34が一体的に連設されている。そして、これら複数個のスペーサ部32および複数個の切断幇助部33、34も、スリット31に存在している。なお、これらの連結部8、スペーサ部32および切断幇助部33、34の構造は、周知であるから、その詳細な説明を省略する。
【0028】
上板部4の内側面の外周囲付近には、環状側板部5の内側面にほぼ沿って、ほぼ円環形状などのほぼ環形状の溝10が設けられている。そして、この溝10は、ゴム栓3の上板部11の外周面に径方向外方において隣接している。したがって、溝10は、上板部11の外周面と環状側板部5の内側面との間において、上板部4の内側面に形成されている。なお、この溝10が設けられている理由については、後記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項において詳述する。
【0029】
ゴム栓3は、図2〜図6に示すように、ほぼ円板形状などのほぼ板形状であってよいゴムパッキン本体としての上板部11と、この上板部11の下面から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ円環形状などのほぼ環形状であってよい環状側板部12とから構成されている。なお、環状側板部12は、上板部11よりもかなり径小であって、この上板部11の保形機能および補強機能を有している。また、上板部11の上面には、環状側板部12の内周面の形状にほぼ対応した浅い凹部13が形成されている。そして、キャップ本体2の上板部4の下側面には、この浅い凹部13の形状にほぼ対応した形状を有する低い突出部14が形成されている。さらに、環状側板部12の外周面には、複数本のほぼ環状の突条部15が形成されている。
【0030】
上板部11の上面には、浅い凹部13に向かって径方向内方に突出している複数個の短い突出部16も形成されている。そして、ゴム栓3の上板部11の上面のうちの浅い凹部13のさらに外側の部分(換言すれば、外周囲における環状部分)には、ほぼ等間隔でもって複数個の径小の突起部17が一体的に突設されている。また、ゴム栓3の環状側板部12の下面にも、同様に、ほぼ等間隔でもって複数個の径小の突起部18が一体的に突設されている。そして、これら径小の突起部17、18は、ゴム栓3の製造工程において、複数個のゴム栓3を互いに重ね合わせたときにゴム栓3同士が不必要にくっつくのを防止する機能を有している。なお、ゴム栓3は、キャップ本体2の上板部4の内側面に取り付けられているが、この点については、後記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」および「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0031】
ゴム栓付きキャップ1は、図2に示すように、容器本体としてのビン21の口部22に取り付けられることができる。このために、口部22の外周囲には、雄ねじ部23が形成されている。そして、この雄ねじ部23には、キャップ本体2の雌ねじ部7がねじ戻し可能にねじ込まれることができる。この場合、環状下端部9は、その詳細を省略するが、周知のように容器本体21の口部22の下部の外周面にねじ戻し方向へは回動できないように圧入される。このために、上記ねじ戻し時には、連結部8が切断されることによって、環状下端部9が環状側板部5から分離される。また、上記ねじ込み時には、ゴム栓3の上板部11の外周囲付近の下面が口部22の上端付近に気密状態で圧着される。したがって、ゴム栓3は、容器本体21の口部22に対して、ゴムパッキンとして機能する。なお、容器本体21は、キャップ本体2と同様に、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、その他の各種のプラスチックから製造されることができるが、キャップ本体2と実質的に同一のプラスチックから製造されるのが好ましく、具体的には、ポリプロピレン樹脂から製造されるのが好ましい。
【0032】
図7には、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1の変形例が示されている。この図7において、図1〜図6と共通の部分には、同一の符号を付して、その説明を必要に応じて省略する。
【0033】
図7に示すゴム栓付きキャップ1が図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1と実質的に相違している点は、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1のキャップ本体2の上板部4が中央貫通孔を有していないのに対し、図7に示すゴム栓付きキャップ1のキャップ本体2の上板部4が中央貫通孔24を有している点のみである。このために、図7に示すゴム栓付きキャップ1の場合には、ゴム栓3の上板部11の上面が中央貫通孔24を介して外部に露出している。したがって、容器本体21に収容されている医薬品などの液体を取り出すときに、注射器(図示せず)の注射針をこの中央貫通孔24を通してゴム栓3の上板部11に突き刺してこの上板部11を貫通させることによって、医薬品などの液体を上記注射針を通して上記注射器内に注入させることができる。
【0034】
図1〜図6に示すゴム栓付きキャップ1および図2に示す容器本体21を備えた容器25と、図7に示すゴム栓付きキャップ1および図2に示す容器本体21を備えた容器25とは、医療用、医薬品用などの容器(換言すれば、ビン)として用いられることができる。特に、図1〜図6に示すゴム栓付きキャップ1を備えた容器25は、滅菌精製水、その他の各種の医薬品用などの液体を収容する容器として、好適に用いられることができる。また、図7に示すゴム栓付きキャップ1を備えた容器25は、注射液を収容する容器として、好適に用いられることができる。
【0035】
2、ゴム栓付き蓋体の製造方法
ゴム栓付き蓋体としてのゴム栓付きキャップ1を製造するに際しては、まず、ゴム組成物から構成されたゴム栓3が製造される。このゴム栓3の製造に際しては、ゴム成分、ゴム用添加剤および架橋剤から成る成形材料から射出成形などの各種の金型成形などによってゴム栓3を製造することができる。なお、ゴム栓3を構成しているゴム組成物については、後記の「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0036】
ついで、図8〜図12に示すようにゴム栓3をインサートとして金型内に配置した状態でもってキャップ本体2を射出成形することによって、ゴム栓付きキャップ1をインサート成形する。
【0037】
このインサート成形に当たっては、まず、図8および図9に示すように、第1の成形型としての下側の主金型(換言すれば、雄型)41のキャビティ42にインサートとしてのゴム栓3を、上板部11の上面側が外部に露出する状態において、嵌合させる。
【0038】
ついで、図9および図10に示すように、第2の成形型としての上側の主金型(換言すれば、雌型)43を下側の主金型41に上方から被せることによって、これら一対の主金型41、43の一対のランド41a、43aを後述の補助金型47a、47bを介して互いに突き合わせる。この突き合わせによって、下側の主金型41およびゴム栓3と、上側の主金型43との間には、図10に示すように、図1および図2に示すキャップ本体2とほぼ同形のプラスチック成形用キャビティ45が形成される。
【0039】
以上においては、金型としては、主として下側の主金型41および上側の主金型43のみについて説明した。しかし、実際には、周知のように、図1および図2に示すキャップ本体2の連結部8、スリット31、スペーサ部32および切断幇助部33、34を形成するための複数個の補助金型47a、47bが用いられる必要がある。
【0040】
ついで、加熱されて流動化したプラスチックが、図11および図12に示すように、射出ラム(図示せず)によってプラスチック成形用キャビティ45内に押し込まれて、インサート成形される。この結果、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1が射出成形によってインサート成形される。
【0041】
なお、下側の主金型41のうちのゴム栓3の上面の外周囲と隣接するほぼ環形状の部分46は、図10〜図12に示すように、ゴム栓3の上面よりも上方に突出してほぼ環形状の突出部を形成している。このために、プラスチック成形用キャビティ45に流入してきた加熱流動化プラスチックは、このほぼ環形状の突出部46に行く手を遮られるために、ゴム栓3の上面に沿って径方向外方に流動することはほとんどない。したがって、ゴム栓3の上面に存在しているゴム組成物が加熱流動化プラスチックによって径方向外方などに流動して、キャップ本体2の色調などに悪影響を与えるおそれがない。この点は、後記の表1に示す実験例1および2の場合も同様である。換言すれば、後記の表1に示す実験例1および2の場合には、ゴム組成物中のゴム用添加剤の有機成分のうちのパラフィン系軟化剤の量が、この種のゴム栓3のゴム組成物として従来用いられているゴム組成物(すなわち、後記の表1の参考例の場合における4.08重量%)に較べて0.06重量%および0.01重量%ときわめて少ない。しかし、このようにパラフィン系軟化剤の量がきわめて少ない上記実験例1および2の場合さえ、図10〜図12に示す金型構造が用いられることによって、上述のようなゴム組成物の径方向外方などへの流動を効果的に防止することができる。
【0042】
図示の実施例においては、図12に示すように、ほぼ環形状の突出部46の突出高さHは約0.35mmであり、突出幅(換言すれば、径方向の長さ)Wは約1.25mmである。しかし、上記突出高さH(換言すれば、溝10の深さ)は、実用性の観点から見て一般的に、0〜2mmの範囲であるのが好ましく、0.1〜1.5mmの範囲であるのがさらに好ましく、0.2〜1mmの範囲であるのが最も好ましい。また、上記突出幅Wは、実用性の観点から見て一般的に、0.4〜6mmの範囲であるのが好ましく、0.6〜4.5mmの範囲であるのがさらに好ましく、0.8〜3mmの範囲であるのが最も好ましい。換言すれば、ゴム栓3の上板部11の側面(換言すれば、外周面)全体がほぼ環形状の突出部46によって覆われていて、プラスチック成形用キャビティ45に露出していないのが好ましい。さらに換言すれば、ゴム栓3の上面(具体的には、上板部11の上面)が環形状の突出部46よりもプラスチック成形用キャビティ45側に(換言すれば、下側の主金型41のキャビティ42の開口側の外部に向かって)突出していないのが好ましい。
【0043】
3、ゴム栓の組成
前記「1、ゴム栓付き蓋体の構造」および「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項に記載したように、金型成形などによって製造されたゴム栓3を構成しているゴム組成物は、ブタジエンゴムなどのゴム成分と、このゴム成分に添加された各種のゴム用添加剤とから実質的に構成されている。このゴム用添加剤は、無機成分および有機成分の両方であってよい。上記無機成分は、例えば、上記ゴム組成物のうちの約60重量%であってよい。そして、この無機成分としては、例えば、補強剤としてのカーボンブラック約30重量%、補強剤としてのカオリンクレー(すなわち、ケイ酸アルミニウム)20重量%および加硫促進剤としての酸化マグネシュウム約10重量%を用いることができる。また、有機成分は、例えば、上記ゴム組成物のうちの約2重量%であることができる。そして、この有機成分としては、例えば、ゴム用のパラフィン系軟化剤としてのパラフィンオイル約0.06重量%、ゴム用の酸化防止剤としてのIrganox1076(登録商標)約1.90重量%およびメタノール可溶分(すなわち、メタノールに溶けた成分)約0.01重量%を用いることができる。したがって、上記ゴム組成物中のゴム成分は、例えば、約38重量%であってよい。つぎの表1における実験例1は、上述のゴム組成物を示している。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1における実験例2は、ゴム用のパラフィン系軟化剤としてのパラフィンオイルをさらに少量にしたものである。この場合、パラフィンオイルは、上記ゴム組成物のうちの0.01重量%以下で添加されている。また、上記表1における参考例は、特許文献1に示すゴム栓のようにラミネート膜を有する場合のゴム栓本体のゴム組成物として従来一般的に用いられているものを示している。
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【0046】
表1におけるキャップ本体2とのゴム栓3の接着性は、図13に示すようにして測定された。この図13において、キャップ本体2は、図1および図2に示すキャップ本体において、図7に示すように中央貫通孔24を設けたものである。したがって、図13におけるキャップ本体2は、図7に示すキャップ本体と実質的に同一の構造であってよい。また、図13に示すゴム栓3は、図1および図2(換言すれば、図7)に示すゴム栓と実質的に同一の形状であってよい。さらに、図13における符号51は、細長い円柱形状などのスチール製などの金属棒を示している。
【0047】
表1における「キャップ本体2との接着性」の項において、「良好」とは、図13において、60〜80Nの力を金属棒51にその長さ方向の下方に向かって加えても、ゴム栓3がキャップ本体2から剥離しないことを意味している。また、「不良」とは、4〜6Nの力を金属棒51にその長さ方向の下方に向かって加えただけで、ゴム栓3がキャップ本体2から剥離することを意味している。ここで、「N(ニュートン)」とは、MKS系の力の単位であって、万国基準のkg質量に1m/sec2の加速度を与える力を意味している。
【0048】
表1における「ゴム組成物の元素分析」は、ゴム栓3を構成しているゴム組成物全体(換言すれば、ゴム栓3全体)を元素分析した数値を示している。一方、ゴム栓3の上板部11の上面(換言すれば、キャップ本体2の上板部4と接着している面)の約0.05mm厚の表面層(換言すれば、ゴム栓3のうちでキャップ本体2との接着に実質的に寄与している部分)を元素分析した数値は、ゴム組成物全体を元素分析した数値(換言すれば、表1に示す数値)と実質的に同一であった。したがって、表1におけるキャップ本体2とのゴム栓3の接着性は、実質的には、ゴム組成物全体の組成に応じて決まることが判明した。
【0049】
本発明者は、まず、表1において参考例(換言すれば、従来例)として示されているゴム組成物を有するゴム栓3の場合には、前記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項に記載したような射出成形などによるインサート成形によってはゴム栓3をキャップ本体2に強固に接着することができないことを知得した。そこで、本発明者は、ゴム栓付きキャップ1を射出成形などによるインサート成形によって成形するための成形材料の各成分の種類、これら各成分の含有量、各種の成形条件について、試行錯誤を繰り返した。そして、本発明者は、この試行錯誤の過程と表1に示す結果とから、ゴム栓3を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用パラフィン系軟化剤の量を調整することによって、上述のような射出成形などによるインサート成形によっても、ゴム栓3をキャップ本体2に強固に接着し得ることを見出して、本発明に想到した。
【0050】
本発明においては、ゴム栓3のゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用のパラフィン系軟化剤(換言すれば、ヘキサン可溶分であり、さらに換言すれば、上記有機成分のうちのゴム用軟化剤)の上限は、ゴム組成物のうちの1.0重量%であるのが好ましく、0.5重量%であるのがさらに好ましく、0.1重量%であるのが最も好ましい。また、上記パラフィン系軟化剤の下限は、ゴム組成物のうちの0重量%よりも大きいのが好ましく、0.01重量%であるのがさらに好ましく、0.02重量%であるのが最も好ましい。なお、これらの好ましい場合、さらに好ましい場合および最も好ましい場合においては上記パラフィン系軟化剤の下限が0重量%よりも大きい理由は、カーボンブラックなどの分散性やゴム組成物の加工性などがあまり低下しない方がよい場合があるからである。
【0051】
本発明において、ゴム栓3のゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤として、上述のようにゴム用鉱物系軟化剤(換言すれば、ゴム用鉱物油系軟化剤)としてのパラフィン系軟化剤(具体的には、パラフィンオイル)を用いるのに代えて、あるいは、上述のようにパラフィン系軟化剤を用いるのに加えて、他のゴム用鉱物系軟化剤としてのナフテン(換言すれば、シクロアルカン)などのナフテン系軟化剤およびアロマオイルなどのアロマ系軟化剤、ならびに、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの群のうちから選ばれた少なくとも一種を用いることができる。そして、この場合にも、この少なくとも一種の軟化剤とパラフィン系軟化剤とを併せた鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量(換言すれば、重量%)については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載が同様に当てはまる。また、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の群から選ばれた少なくとも一種を上記ゴム用植物系軟化剤の群にさらに加えた場合にも、鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載がほぼ同様に当てはまることをきわめて容易に推定することができる。また、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの群から選ばれた少なくとも一種を上記ゴム用植物系軟化剤の群にさらに加えた場合にも、鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載がほぼ同様に当てはまることを容易に推定することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ゴム栓付きキャップ(ゴム栓付き蓋体)
2 キャップ本体(蓋体本体)
3 ゴム栓
4 キャップ本体の上板部
5 環形状の側板部
10 環形状の溝
11 ゴム栓の上板部
21 容器本体(ビン)
41 下側の主金型(第1の成形型および雄型)
42 キャビティ
43 上側の主金型(第2の成形型および雌型)
46 ほぼ環形状の突出部
H 突出高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体およびその製造方法に関するものであって、特に、医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体として最適なゴム栓付き蓋体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液剤などの医薬品のための容器として、プラスチック製の容器本体とゴム栓付き蓋体とを有するものが使用されている。このような医薬品用容器のゴム栓付き蓋体は、例えば特許文献1に開示されているように、ゴム栓と、このゴム栓が取り付けられたプラスチック製の蓋体本体とから構成されている。この場合、ゴム栓は、未架橋ゴムシートとその上下の外側面に貼り合わせた上下一対のラミネート用のフィルム材とを上下一対の金型の間に配置してから加熱および加圧することによって、金型成形される。そして、このゴム栓は、ゴム製のゴム栓本体と、このゴム栓本体の外周面に形成されたプラスチック製のラミネート膜とから構成されている。また、ゴム栓を蓋体本体に取り付ける際には、予め成形された蓋体本体にゴム栓を重ね合わせてから、両者を加熱圧着させるようにしている。このために、ゴム栓のラミネート膜が蓋体本体に融着するので、ゴム栓を蓋体本体に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている上述のような医薬品用容器のゴム栓付き蓋体の場合には、ゴム栓は、未架橋ゴムシートとその上下の外側面に貼り合わせた上下一対のラミネート用フィルム材とを上下一対の金型の間に配置してから加熱および加圧することによって、ラミネート成形される。このために、この場合には、ゴム栓の製造工程が煩雑になる。
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【0005】
本発明は、上述のような従来のゴム栓付き蓋体およびその製造方法の欠点を是正すべく発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その第1の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0007】
また、本発明は、その第2の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体
に係るものである。
【0008】
また、本発明は、その第3の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0009】
また、本発明は、その第4の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0010】
また、本発明は、その第5の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0011】
また、本発明は、その第6の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0012】
また、本発明は、その第7の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0013】
また、本発明は、その第8の観点においては、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤の量(換言すれば、総和)が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体に係るものである。
【0014】
また、本発明は、その第9の観点においては、上記第1〜8の観点におけるゴム栓付き蓋体を製造する方法であって、インサートとしてのゴム栓が第1の成形型のキャビティに、上記ゴム栓の上板部の上面側が上記キャビティの外部に露出する状態において、配置され、この際、上記ゴム栓の上記上板部の外周面のほぼ全体が上記第1の成形型に設けられたほぼ環形状の突出部によって覆われており、ついで、第2の成形型が上記第1の成形型と組み合わされ、ついで、インサート成形が行われることを特徴とするゴム栓付き蓋体の製造方法に係るものである。
【0015】
本発明の上記第1〜第9の観点における第1の態様においては、上記蓋体本体がほぼキャップ形状に構成されているキャップ本体であることができる。また、上記第1〜第9の観点における第2の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体がビンのための蓋体であることができる。
【0016】
本発明の上記第1〜第9の観点における第3の態様においては、上記上記ゴム用鉱物系軟化剤および上記ゴム用植物系軟化剤のうちでパラフィンオイルのみが上記ゴム組成物に含まれていることができる。また、上記第1〜第9の観点における第4の態様においては、上記ゴム組成部のゴム成分がブタジエンゴムであることができる。また、上記第1〜第9の観点における第5の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体が医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体であることができる。また、上記第1〜第9の観点における第6の態様においては、上記ゴム栓付き蓋体が滅菌精製水を収容するためのビンのためのほぼキャップ形状の蓋体であることができる。また、本発明の上記第1〜第9の観点における第7の態様においては、上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.01〜0.5重量%の範囲であるのが好ましい。この場合、上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.02〜0.1重量%の範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第1〜第9の観点における第9の態様においては、上記ゴム組成物のうちのゴム成分の量が、20〜60重量%の範囲であることができる。この範囲は、25〜55重量%であるのが好ましく、30〜50重量%であるのがさらに好ましい。
【0017】
本発明の上記第1〜第9の観点における第9の態様においては、上記ゴム組成物のゴム用添加剤のうちの補強剤、加硫促進剤などの無機成分の量が、上記ゴム組成物のうちの40〜80重量%の範囲であることができる。この範囲は、45〜75重量%であるのが好ましく、50〜70重量%であるのがさらに好ましい。この場合、上記無機成分中のうちのカーボンブラック、ケイ酸アルミニウムなどの補強剤の量が、30〜70重量%の範囲であることができる。この範囲は、35〜65重量%であるのが好ましく、40〜60重量%であるのがさらに好ましい。また、上記無機成分のうちの酸化マグネシュウムなどの加硫促進剤の量が、上記ゴム組成物のうちの2〜25重量%の範囲であることができる。この範囲は、4〜18重量%であるのが好ましく、6〜16重量%であるのがさらに好ましい。
【0018】
本発明の上記第1〜第9の観点における第10の態様においては、上記ゴム組成物のゴム用添加剤のうちのゴム用軟化剤(換言すれば、ヘキサン可溶分)、酸化防止剤(換言すれば、THF可溶分)、メタノール可溶分などの有機成分の量が、0.3〜8重量%の範囲であることができる。この範囲は、0.6〜6重量%であるのが好ましく、1〜4重量%であるのがさらに好ましい。
【0019】
本発明の上記第1〜第9の観点における第11の態様においては、上記蓋体本体が、上板部と、この上板部の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ環形状である環状の側板部とを備え、上記ゴム栓が、上記環状側板部の内径よりも小さい直径を有するように構成されるとともに、上記上板部の内側面に接合され、上記ゴム栓の上板部の外周面と上記環状側板部の内周面との間にほぼ対応する上記蓋体本体の上記上板部の内側面に、ほぼ環形状の溝が設けられているのが好ましい。
【0020】
本発明の上記第9の観点における第12の態様においては、上記ほぼ環形状の突出部が上記ゴム栓の上記上板部の上面よりも上記キャビティの開口側の外部に向かって突出しているのが好ましい。この場合、上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが2mm以下であることがでいる。また、上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.1〜1.5mmの範囲であるのが好ましく、上記突出の高さが0.2〜1mmの範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第9の観点における第13の態様においては、上記インサート成形が射出成形によるインサート成形であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1〜8、11、12、18および23に係る発明によれば、プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体を、予め成形されたゴム栓をインサートとして用いたインサート成形によって、簡単に大量生産することができる。
【0022】
また、請求項1〜10、13〜16および18に係る発明によれば、プラスチック製の蓋体本体に対するゴム栓の接着強度が大きい、滅菌精製水などを収容する医療用、医薬用などのビンなどのためのほぼキャップ形状などのゴム栓付き蓋体を提供することができる。
【0023】
さらに、請求項17〜22に係る発明によれば、ゴム用軟化剤の量が少なくても、予め成形されたゴム栓をインサートとして用いてプラスチック製の蓋体本体をインサート成形するときに、ゴム栓の上面に存在しているゴム組成物が加熱流動化したプラスチックによって径方向外方などに流動して、プラスチック製の蓋体本体の色調などに悪影響を与えるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例によるゴム栓付きキャップの、斜め上方から見た斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示すゴム栓付きキャップを容器本体の口部に装着した状態を示す縦断面図である。(実施例1)
【図3】図1に示すゴム栓付きキャップに用いられるゴム栓の平面図である。(実施例1)
【図4】図3のA−A線における断面図である。(実施例1)
【図5】図3に示すゴム栓の、斜め上方から見た斜視図である。(実施例1)
【図6】図3に示すゴム栓の、斜め下方から見た斜視図である。(実施例1)
【図7】図1に示すゴム栓付きキャップの変形例における図1と同様の斜視図である。(実施例2)
【図8】図1に示すゴム栓付きキャップを製造する方法の一実施例における第1の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図9】図8に示すキャップ製造方法における第2の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図10】図8に示すキャップ製造方法における第3の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図11】図8に示すキャップ製造方法における第4の工程を示す縦断面図である。(実施例1)
【図12】図11における領域Iの拡大図である。(実施例1)
【図13】プラスチック製キャップ本体に対するゴム栓の接着強度を測定する一例を示す縦断面図である。(参考例1)
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
つぎに、本発明によるゴム栓付き蓋体およびその製造方法の実施例を、「1、ゴム栓付き蓋体の構造」、「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」および「3、ゴム栓の組成」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
1、ゴム栓付き蓋体の構造
本発明の一実施例によるゴム栓付き蓋体としてのゴム栓付きキャップ1は、図1および図2に示すように、蓋体本体としてのプラスチック製のキャップ本体2と、このキャップ本体2の内側面に取り付けられたゴム製のゴム栓3とから構成されている。キャップ本体2は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、その他の各種のプラスチックから製造されることができるが、ポリプロピレン樹脂から製造されるのが特に好ましい。また、ゴム栓3は、ゴム成分とゴム用添加剤とから成るゴム組成物でもって構成されたものであってよい。特に、ゴム栓3は、既述のようなラミネート膜を備えていないのが1つの特徴である。そして、ゴム栓3のゴム成分としては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、その他の各種のゴムを用いることができるが、ブタジエンゴムを用いるのが特に好ましい。なお、ゴム栓3のゴム成分に添加されるゴム用添加剤については、後記の「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0027】
キャップ本体2は、図1および図2に示すように、ほぼ円板形状などのほぼ板形状であってよい上板部4と、この上板部4の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ円環形状などのほぼ環形状であってよい環状側板部5とから構成されている。そして、環状側板部5の内周面には、らせん状に延在する突条部6によって雌ねじ部7が形成されている。また、環状側板部5の下端側には、複数個の細幅の連結部8を介して環状下端部9が一体的に連設されている。換言すれば、環状側板部5と環状下端部9との間には、ほぼ環状のスリット31が形成されている。そして、連結部8は、このスリット31に存在している。また、環状側板部5の下端側には、複数個のスペーサ部32および複数個の切断幇助部33が一体的に連設されている。さらに、環状下端部9の上端側には、複数個の切断幇助部33にそれぞれ対応するように、複数個の切断幇助部34が一体的に連設されている。そして、これら複数個のスペーサ部32および複数個の切断幇助部33、34も、スリット31に存在している。なお、これらの連結部8、スペーサ部32および切断幇助部33、34の構造は、周知であるから、その詳細な説明を省略する。
【0028】
上板部4の内側面の外周囲付近には、環状側板部5の内側面にほぼ沿って、ほぼ円環形状などのほぼ環形状の溝10が設けられている。そして、この溝10は、ゴム栓3の上板部11の外周面に径方向外方において隣接している。したがって、溝10は、上板部11の外周面と環状側板部5の内側面との間において、上板部4の内側面に形成されている。なお、この溝10が設けられている理由については、後記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項において詳述する。
【0029】
ゴム栓3は、図2〜図6に示すように、ほぼ円板形状などのほぼ板形状であってよいゴムパッキン本体としての上板部11と、この上板部11の下面から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ円環形状などのほぼ環形状であってよい環状側板部12とから構成されている。なお、環状側板部12は、上板部11よりもかなり径小であって、この上板部11の保形機能および補強機能を有している。また、上板部11の上面には、環状側板部12の内周面の形状にほぼ対応した浅い凹部13が形成されている。そして、キャップ本体2の上板部4の下側面には、この浅い凹部13の形状にほぼ対応した形状を有する低い突出部14が形成されている。さらに、環状側板部12の外周面には、複数本のほぼ環状の突条部15が形成されている。
【0030】
上板部11の上面には、浅い凹部13に向かって径方向内方に突出している複数個の短い突出部16も形成されている。そして、ゴム栓3の上板部11の上面のうちの浅い凹部13のさらに外側の部分(換言すれば、外周囲における環状部分)には、ほぼ等間隔でもって複数個の径小の突起部17が一体的に突設されている。また、ゴム栓3の環状側板部12の下面にも、同様に、ほぼ等間隔でもって複数個の径小の突起部18が一体的に突設されている。そして、これら径小の突起部17、18は、ゴム栓3の製造工程において、複数個のゴム栓3を互いに重ね合わせたときにゴム栓3同士が不必要にくっつくのを防止する機能を有している。なお、ゴム栓3は、キャップ本体2の上板部4の内側面に取り付けられているが、この点については、後記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」および「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0031】
ゴム栓付きキャップ1は、図2に示すように、容器本体としてのビン21の口部22に取り付けられることができる。このために、口部22の外周囲には、雄ねじ部23が形成されている。そして、この雄ねじ部23には、キャップ本体2の雌ねじ部7がねじ戻し可能にねじ込まれることができる。この場合、環状下端部9は、その詳細を省略するが、周知のように容器本体21の口部22の下部の外周面にねじ戻し方向へは回動できないように圧入される。このために、上記ねじ戻し時には、連結部8が切断されることによって、環状下端部9が環状側板部5から分離される。また、上記ねじ込み時には、ゴム栓3の上板部11の外周囲付近の下面が口部22の上端付近に気密状態で圧着される。したがって、ゴム栓3は、容器本体21の口部22に対して、ゴムパッキンとして機能する。なお、容器本体21は、キャップ本体2と同様に、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、その他の各種のプラスチックから製造されることができるが、キャップ本体2と実質的に同一のプラスチックから製造されるのが好ましく、具体的には、ポリプロピレン樹脂から製造されるのが好ましい。
【0032】
図7には、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1の変形例が示されている。この図7において、図1〜図6と共通の部分には、同一の符号を付して、その説明を必要に応じて省略する。
【0033】
図7に示すゴム栓付きキャップ1が図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1と実質的に相違している点は、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1のキャップ本体2の上板部4が中央貫通孔を有していないのに対し、図7に示すゴム栓付きキャップ1のキャップ本体2の上板部4が中央貫通孔24を有している点のみである。このために、図7に示すゴム栓付きキャップ1の場合には、ゴム栓3の上板部11の上面が中央貫通孔24を介して外部に露出している。したがって、容器本体21に収容されている医薬品などの液体を取り出すときに、注射器(図示せず)の注射針をこの中央貫通孔24を通してゴム栓3の上板部11に突き刺してこの上板部11を貫通させることによって、医薬品などの液体を上記注射針を通して上記注射器内に注入させることができる。
【0034】
図1〜図6に示すゴム栓付きキャップ1および図2に示す容器本体21を備えた容器25と、図7に示すゴム栓付きキャップ1および図2に示す容器本体21を備えた容器25とは、医療用、医薬品用などの容器(換言すれば、ビン)として用いられることができる。特に、図1〜図6に示すゴム栓付きキャップ1を備えた容器25は、滅菌精製水、その他の各種の医薬品用などの液体を収容する容器として、好適に用いられることができる。また、図7に示すゴム栓付きキャップ1を備えた容器25は、注射液を収容する容器として、好適に用いられることができる。
【0035】
2、ゴム栓付き蓋体の製造方法
ゴム栓付き蓋体としてのゴム栓付きキャップ1を製造するに際しては、まず、ゴム組成物から構成されたゴム栓3が製造される。このゴム栓3の製造に際しては、ゴム成分、ゴム用添加剤および架橋剤から成る成形材料から射出成形などの各種の金型成形などによってゴム栓3を製造することができる。なお、ゴム栓3を構成しているゴム組成物については、後記の「3、ゴム栓の組成」の項において詳述する。
【0036】
ついで、図8〜図12に示すようにゴム栓3をインサートとして金型内に配置した状態でもってキャップ本体2を射出成形することによって、ゴム栓付きキャップ1をインサート成形する。
【0037】
このインサート成形に当たっては、まず、図8および図9に示すように、第1の成形型としての下側の主金型(換言すれば、雄型)41のキャビティ42にインサートとしてのゴム栓3を、上板部11の上面側が外部に露出する状態において、嵌合させる。
【0038】
ついで、図9および図10に示すように、第2の成形型としての上側の主金型(換言すれば、雌型)43を下側の主金型41に上方から被せることによって、これら一対の主金型41、43の一対のランド41a、43aを後述の補助金型47a、47bを介して互いに突き合わせる。この突き合わせによって、下側の主金型41およびゴム栓3と、上側の主金型43との間には、図10に示すように、図1および図2に示すキャップ本体2とほぼ同形のプラスチック成形用キャビティ45が形成される。
【0039】
以上においては、金型としては、主として下側の主金型41および上側の主金型43のみについて説明した。しかし、実際には、周知のように、図1および図2に示すキャップ本体2の連結部8、スリット31、スペーサ部32および切断幇助部33、34を形成するための複数個の補助金型47a、47bが用いられる必要がある。
【0040】
ついで、加熱されて流動化したプラスチックが、図11および図12に示すように、射出ラム(図示せず)によってプラスチック成形用キャビティ45内に押し込まれて、インサート成形される。この結果、図1および図2に示すゴム栓付きキャップ1が射出成形によってインサート成形される。
【0041】
なお、下側の主金型41のうちのゴム栓3の上面の外周囲と隣接するほぼ環形状の部分46は、図10〜図12に示すように、ゴム栓3の上面よりも上方に突出してほぼ環形状の突出部を形成している。このために、プラスチック成形用キャビティ45に流入してきた加熱流動化プラスチックは、このほぼ環形状の突出部46に行く手を遮られるために、ゴム栓3の上面に沿って径方向外方に流動することはほとんどない。したがって、ゴム栓3の上面に存在しているゴム組成物が加熱流動化プラスチックによって径方向外方などに流動して、キャップ本体2の色調などに悪影響を与えるおそれがない。この点は、後記の表1に示す実験例1および2の場合も同様である。換言すれば、後記の表1に示す実験例1および2の場合には、ゴム組成物中のゴム用添加剤の有機成分のうちのパラフィン系軟化剤の量が、この種のゴム栓3のゴム組成物として従来用いられているゴム組成物(すなわち、後記の表1の参考例の場合における4.08重量%)に較べて0.06重量%および0.01重量%ときわめて少ない。しかし、このようにパラフィン系軟化剤の量がきわめて少ない上記実験例1および2の場合さえ、図10〜図12に示す金型構造が用いられることによって、上述のようなゴム組成物の径方向外方などへの流動を効果的に防止することができる。
【0042】
図示の実施例においては、図12に示すように、ほぼ環形状の突出部46の突出高さHは約0.35mmであり、突出幅(換言すれば、径方向の長さ)Wは約1.25mmである。しかし、上記突出高さH(換言すれば、溝10の深さ)は、実用性の観点から見て一般的に、0〜2mmの範囲であるのが好ましく、0.1〜1.5mmの範囲であるのがさらに好ましく、0.2〜1mmの範囲であるのが最も好ましい。また、上記突出幅Wは、実用性の観点から見て一般的に、0.4〜6mmの範囲であるのが好ましく、0.6〜4.5mmの範囲であるのがさらに好ましく、0.8〜3mmの範囲であるのが最も好ましい。換言すれば、ゴム栓3の上板部11の側面(換言すれば、外周面)全体がほぼ環形状の突出部46によって覆われていて、プラスチック成形用キャビティ45に露出していないのが好ましい。さらに換言すれば、ゴム栓3の上面(具体的には、上板部11の上面)が環形状の突出部46よりもプラスチック成形用キャビティ45側に(換言すれば、下側の主金型41のキャビティ42の開口側の外部に向かって)突出していないのが好ましい。
【0043】
3、ゴム栓の組成
前記「1、ゴム栓付き蓋体の構造」および「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項に記載したように、金型成形などによって製造されたゴム栓3を構成しているゴム組成物は、ブタジエンゴムなどのゴム成分と、このゴム成分に添加された各種のゴム用添加剤とから実質的に構成されている。このゴム用添加剤は、無機成分および有機成分の両方であってよい。上記無機成分は、例えば、上記ゴム組成物のうちの約60重量%であってよい。そして、この無機成分としては、例えば、補強剤としてのカーボンブラック約30重量%、補強剤としてのカオリンクレー(すなわち、ケイ酸アルミニウム)20重量%および加硫促進剤としての酸化マグネシュウム約10重量%を用いることができる。また、有機成分は、例えば、上記ゴム組成物のうちの約2重量%であることができる。そして、この有機成分としては、例えば、ゴム用のパラフィン系軟化剤としてのパラフィンオイル約0.06重量%、ゴム用の酸化防止剤としてのIrganox1076(登録商標)約1.90重量%およびメタノール可溶分(すなわち、メタノールに溶けた成分)約0.01重量%を用いることができる。したがって、上記ゴム組成物中のゴム成分は、例えば、約38重量%であってよい。つぎの表1における実験例1は、上述のゴム組成物を示している。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1における実験例2は、ゴム用のパラフィン系軟化剤としてのパラフィンオイルをさらに少量にしたものである。この場合、パラフィンオイルは、上記ゴム組成物のうちの0.01重量%以下で添加されている。また、上記表1における参考例は、特許文献1に示すゴム栓のようにラミネート膜を有する場合のゴム栓本体のゴム組成物として従来一般的に用いられているものを示している。
【特許文献1】特開平2−1275号公報
【0046】
表1におけるキャップ本体2とのゴム栓3の接着性は、図13に示すようにして測定された。この図13において、キャップ本体2は、図1および図2に示すキャップ本体において、図7に示すように中央貫通孔24を設けたものである。したがって、図13におけるキャップ本体2は、図7に示すキャップ本体と実質的に同一の構造であってよい。また、図13に示すゴム栓3は、図1および図2(換言すれば、図7)に示すゴム栓と実質的に同一の形状であってよい。さらに、図13における符号51は、細長い円柱形状などのスチール製などの金属棒を示している。
【0047】
表1における「キャップ本体2との接着性」の項において、「良好」とは、図13において、60〜80Nの力を金属棒51にその長さ方向の下方に向かって加えても、ゴム栓3がキャップ本体2から剥離しないことを意味している。また、「不良」とは、4〜6Nの力を金属棒51にその長さ方向の下方に向かって加えただけで、ゴム栓3がキャップ本体2から剥離することを意味している。ここで、「N(ニュートン)」とは、MKS系の力の単位であって、万国基準のkg質量に1m/sec2の加速度を与える力を意味している。
【0048】
表1における「ゴム組成物の元素分析」は、ゴム栓3を構成しているゴム組成物全体(換言すれば、ゴム栓3全体)を元素分析した数値を示している。一方、ゴム栓3の上板部11の上面(換言すれば、キャップ本体2の上板部4と接着している面)の約0.05mm厚の表面層(換言すれば、ゴム栓3のうちでキャップ本体2との接着に実質的に寄与している部分)を元素分析した数値は、ゴム組成物全体を元素分析した数値(換言すれば、表1に示す数値)と実質的に同一であった。したがって、表1におけるキャップ本体2とのゴム栓3の接着性は、実質的には、ゴム組成物全体の組成に応じて決まることが判明した。
【0049】
本発明者は、まず、表1において参考例(換言すれば、従来例)として示されているゴム組成物を有するゴム栓3の場合には、前記の「2、ゴム栓付き蓋体の製造方法」の項に記載したような射出成形などによるインサート成形によってはゴム栓3をキャップ本体2に強固に接着することができないことを知得した。そこで、本発明者は、ゴム栓付きキャップ1を射出成形などによるインサート成形によって成形するための成形材料の各成分の種類、これら各成分の含有量、各種の成形条件について、試行錯誤を繰り返した。そして、本発明者は、この試行錯誤の過程と表1に示す結果とから、ゴム栓3を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用パラフィン系軟化剤の量を調整することによって、上述のような射出成形などによるインサート成形によっても、ゴム栓3をキャップ本体2に強固に接着し得ることを見出して、本発明に想到した。
【0050】
本発明においては、ゴム栓3のゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用のパラフィン系軟化剤(換言すれば、ヘキサン可溶分であり、さらに換言すれば、上記有機成分のうちのゴム用軟化剤)の上限は、ゴム組成物のうちの1.0重量%であるのが好ましく、0.5重量%であるのがさらに好ましく、0.1重量%であるのが最も好ましい。また、上記パラフィン系軟化剤の下限は、ゴム組成物のうちの0重量%よりも大きいのが好ましく、0.01重量%であるのがさらに好ましく、0.02重量%であるのが最も好ましい。なお、これらの好ましい場合、さらに好ましい場合および最も好ましい場合においては上記パラフィン系軟化剤の下限が0重量%よりも大きい理由は、カーボンブラックなどの分散性やゴム組成物の加工性などがあまり低下しない方がよい場合があるからである。
【0051】
本発明において、ゴム栓3のゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤として、上述のようにゴム用鉱物系軟化剤(換言すれば、ゴム用鉱物油系軟化剤)としてのパラフィン系軟化剤(具体的には、パラフィンオイル)を用いるのに代えて、あるいは、上述のようにパラフィン系軟化剤を用いるのに加えて、他のゴム用鉱物系軟化剤としてのナフテン(換言すれば、シクロアルカン)などのナフテン系軟化剤およびアロマオイルなどのアロマ系軟化剤、ならびに、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの群のうちから選ばれた少なくとも一種を用いることができる。そして、この場合にも、この少なくとも一種の軟化剤とパラフィン系軟化剤とを併せた鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量(換言すれば、重量%)については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載が同様に当てはまる。また、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の群から選ばれた少なくとも一種を上記ゴム用植物系軟化剤の群にさらに加えた場合にも、鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載がほぼ同様に当てはまることをきわめて容易に推定することができる。また、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの群から選ばれた少なくとも一種を上記ゴム用植物系軟化剤の群にさらに加えた場合にも、鉱物系および植物系の軟化剤全体の総重量については、1つ前の段落に記載した数値に関する記載がほぼ同様に当てはまることを容易に推定することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ゴム栓付きキャップ(ゴム栓付き蓋体)
2 キャップ本体(蓋体本体)
3 ゴム栓
4 キャップ本体の上板部
5 環形状の側板部
10 環形状の溝
11 ゴム栓の上板部
21 容器本体(ビン)
41 下側の主金型(第1の成形型および雄型)
42 キャビティ
43 上側の主金型(第2の成形型および雌型)
46 ほぼ環形状の突出部
H 突出高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項2】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項3】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項4】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項5】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項6】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項7】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項8】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤の総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項9】
上記蓋体本体がほぼキャップ形状に構成されているキャップ本体であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項10】
ビンのための蓋体であることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項11】
上記ゴム用鉱物系軟化剤および上記ゴム用植物系軟化剤のうちでパラフィンオイルのみが上記ゴム組成物に含まれていることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項12】
上記ゴム組成部のゴム成分がブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項13】
医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体であることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項14】
滅菌精製水を収容するためのビンのためのほぼキャップ形状の蓋体であることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項15】
上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.01〜0.5重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項16】
上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.02〜0.1重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項17】
上記蓋体本体が、上板部と、この上板部の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ環形状である環状の側板部とを備え、
上記ゴム栓が、上記環状側板部の内径よりも小さい直径を有するように構成されるとともに、上記上板部の内側面に接合され、
上記ゴム栓の上板部の外周面と上記環状側板部の内周面との間にほぼ対応する上記蓋体本体の上記上板部の内側面に、ほぼ環形状の溝が設けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項18】
請求項1〜17のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体を製造する方法であって、
インサートとしてのゴム栓が第1の成形型のキャビティに、上記ゴム栓の上板部の上面側が上記キャビティの外部に露出する状態において、配置され、
この際、上記ゴム栓の上記上板部の外周面のほぼ全体が上記第1の成形型に設けられたほぼ環形状の突出部によって覆われており、
ついで、第2の成形型が上記第1の成形型と組み合わされ、
ついで、インサート成形が行われることを特徴とするゴム栓付き蓋体の製造方法。
【請求項19】
上記ほぼ環形状の突出部が上記ゴム栓の上記上板部の上面よりも上記キャビティの開口側の外部に向かって突出していることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが2mm以下であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.1〜1.5mmの範囲であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.2〜1mmの範囲であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項23】
上記インサート成形が射出成形によるインサート成形であることを特徴とする請求項17〜22のうちのいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項1】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項2】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムおよびラウリン酸カルシウムの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項3】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項4】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸およびラウリン酸の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項5】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィンオイル、ナフテンおよびアロマオイルの量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項6】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤としてのパラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤およびアロマ系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤としてのパルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、綿実油、大豆油、ひまし油、パーム油、パインタール油、トール油およびファクチスの量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項7】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちの、ゴム用鉱物系軟化剤の量と、ゴム用植物系軟化剤の量との総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項8】
プラスチック製の蓋体本体とこの蓋体本体の内側面に接合されているゴム栓とを備えているゴム栓付き蓋体において、
上記ゴム栓を構成しているゴム組成物のゴム用添加剤の有機成分のうちのゴム用軟化剤の総和が、上記ゴム組成物のうちの1.0重量%以下であり、
上記ゴム栓をインサートとして用いて上記蓋体本体をインサート成形することによって構成されていることを特徴とするゴム栓付き蓋体。
【請求項9】
上記蓋体本体がほぼキャップ形状に構成されているキャップ本体であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項10】
ビンのための蓋体であることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項11】
上記ゴム用鉱物系軟化剤および上記ゴム用植物系軟化剤のうちでパラフィンオイルのみが上記ゴム組成物に含まれていることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項12】
上記ゴム組成部のゴム成分がブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項13】
医療用容器および/または医薬品用容器のための蓋体であることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項14】
滅菌精製水を収容するためのビンのためのほぼキャップ形状の蓋体であることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項15】
上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.01〜0.5重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項16】
上記総和が、上記ゴム組成物のうちの0.02〜0.1重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項17】
上記蓋体本体が、上板部と、この上板部の外周囲から下方に向かって一体的に延在していて、全体としてほぼ環形状である環状の側板部とを備え、
上記ゴム栓が、上記環状側板部の内径よりも小さい直径を有するように構成されるとともに、上記上板部の内側面に接合され、
上記ゴム栓の上板部の外周面と上記環状側板部の内周面との間にほぼ対応する上記蓋体本体の上記上板部の内側面に、ほぼ環形状の溝が設けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体。
【請求項18】
請求項1〜17のうちのいずれか1つに記載のゴム栓付き蓋体を製造する方法であって、
インサートとしてのゴム栓が第1の成形型のキャビティに、上記ゴム栓の上板部の上面側が上記キャビティの外部に露出する状態において、配置され、
この際、上記ゴム栓の上記上板部の外周面のほぼ全体が上記第1の成形型に設けられたほぼ環形状の突出部によって覆われており、
ついで、第2の成形型が上記第1の成形型と組み合わされ、
ついで、インサート成形が行われることを特徴とするゴム栓付き蓋体の製造方法。
【請求項19】
上記ほぼ環形状の突出部が上記ゴム栓の上記上板部の上面よりも上記キャビティの開口側の外部に向かって突出していることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが2mm以下であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.1〜1.5mmの範囲であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
上記ほぼ環形状の突出部の上記突出の高さが0.2〜1mmの範囲であることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項23】
上記インサート成形が射出成形によるインサート成形であることを特徴とする請求項17〜22のうちのいずれか1つに記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−155646(P2010−155646A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17(P2009−17)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]