説明

サイクリン依存キナーゼ(CDK)インヒビターとしての3−(カルボニル)1H−インダゾール化合物

本発明は、式(I)で表される化合物:
【化1】


[式中、
Eは、O、S又はNHであり;Gは、水素;環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;並びに必要に応じて置換された非環式C1−8ヒドロカルビル基から選択されたものであり;但し、E−Gは、OH又はSHではなく、さらにE−Gは、基O−Oを含まないものであり;R、R、R及びRから選択された2つの隣接する部分が、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成し;R、R、R及びRから選択された他の2つの部分は、同一又は異なり、それぞれが出願明細書において定義されてものである]を提供する。本発明はまた、サイクリン依存キナーゼの抑制としての使用、およびサイクリン依存キナーゼが介在している疾病状態または条件の使用を提案する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、サイクリン依存キナーゼ(CDK)の活性を阻害又は調節する3−置換三環式インダゾール化合物、この化合物のサイクリン依存キナーゼが介在している疾病状態又は条件の治療又は予防における使用、及びサイクリン依存キナーゼ阻害又は調節活性を有する新規な化合物に関する。また、上記化合物及び新規な化学中間体を含有する医薬組成物も提供される。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼは、細胞内の多種多様なシグナル形質導入プロセスの制御に関与する大きな系統群の構造的に関連した酵素を構成する(Hardie,G.及びHanks,S.(1995)The Protein Kinase Facts Book.I及びII,Academic Press,カリフォルニア州サンディエゴ)。キナーゼは、それらがリン酸化する基質によりファミリーに分類される(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質等)。これらのキナーゼファミリーの各々に一般的に対応する配列モチーフが同定された(例えば、Hanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J,9:576−596(1995);Knighton,等,Science,253:407−414(1991);Hiles,等,Cell,70:419−429(1992);Kunz,等,Cell,73:585−596(1993);Garcia−Bustos,等,EMBO J.,13:2352−2361(1994))。
【0003】
タンパク質キナーゼは、それらの調節機構により特徴付けることができる。これらの機構には、例えば、自動リン酸化、他のキナーゼによるトランスリン酸化、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用及びタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用などがある。個々のタンパク質キナーゼは、複数の機構により調節できる。
【0004】
キナーゼは、リン酸基を標的タンパク質に付加することにより、増殖、分裂、アポプトシス、運動性、転写、翻訳及び他の信号伝達プロセス等の数多くの異なる細胞プロセスを調節するが、これらには限定されない。これらのリン酸化は、標的タンパク質の生物学的機能を調節又は調整することができる分子のオン/オフスイッチとしての役割を果たす。標的タンパク質のリン酸化は、種々の細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖分化因子等)、細胞サイクル、環境又は栄養上のストレス等に反応して生じる。適切なタンパク質キナーゼは、シグナル伝達経路において、例えば、代謝性酵素、調節タンパク質、レセプター、細胞骨格タンパク質、イオンチャネル若しくはポンプ、又は転写調節因子を(直接又は間接的に)活性化又は不活性化する役割を果たす。タンパク質リン酸化の欠陥のある制御により未制御のシグナル伝達が、多数の疾病、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾病及び状況、中枢神経系の疾病及び状況、並びに血管形成に係わってきた。
【0005】
真核細胞分裂のプロセスが、G1、S、G2及びMと称される一連の連続フェーズに大きく分割できる。細胞サイクルの種々のフェーズを介した正しい進行は、サイクリン依存キナーゼ(CDK)として知られているタンパク質のファミリー及びサイクリンと称されるそれらの同系のタンパク質パートナーの多様な集まりの部分的及び一時的調節に臨界的依存していることが判明した。CDKは、配列依存に関連して種々のポリペプチドのリン酸化において基質としてATPを利用することができる、cdc2(CDK1としても知られている)相同セリン−スレオニンキナーゼタンパク質である。サイクリンは、特定のCDKパートナータンパク質への結合及びそれについての選択性を規定するのに使用される「サイクリンボックス」と称される約100個のアミノ酸を含む相同領域によって特徴付けられるタンパク質のファミリーである。
【0006】
細胞サイクル全体を通じて種々のCDK及びサイクリンの発現レベル、分解率及び活性化レベルの調節により、CDKが酵素的に活性である一連のCDK/サイクリン複合体の循環形成を生じる。これらの複合体の形成により、ディスクリート細胞サイクルチェックポイントを介する通路が制御され、それにより細胞分裂のプロセスが継続できる。一定の細胞サイクルチェックポイントで必須の生化学的基準を満足しない、すなわち、必要とするCDK/サイクリン複合体を形成しないと、細胞サイクル停止及び/又は細胞アポプトシスを生じることがある。癌において現れる異常な細胞増殖は、しばしば正しい細胞サイクル制御の損失に起因することがある。したがって、CDK酵素活性の阻害により、異常に分裂した細胞が、それらの分裂停止及び/又は殺生を生じることがある手段が提供される。CDKの多様性及びCDK錯体並びに細胞サイクルを介在するそれらの極めて重要な役割により、定義された生化学的根拠の基準に基づいて選択される広範囲のタンパク質治療標的が提供される。
【0007】
細胞サイクルのG1フェーズからSフェーズへの進行は、D及びE型サイクリンのメンバーとの関連を介してCDK2、CDK3、CDK4及びCDK6により主に調節される。D型サイクリンは、G1制限点を超えて通過するのに役立つと思われる。ここで、CDK2/サイクリンE複合体は、G1フェーズからSフェーズへの遷移に重要である。続いてのSフェーズを介した進行及びG2フェーズへのエントリーには、CDK2/サイクリンA複合体が必要であると思われる。細胞分裂と、それを引き起こすG2フェーズからMフェーズへの遷移の両方は、CDK1とA及びB型サイクリンとの複合体により調製される。
【0008】
G1フェーズ中、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)及び関連するポケットタンパク質、例えば、p130は、CDK(2、4、及び6)/サイクリン複合体の基質である。G1を介する進行は、高リン酸化、及びしたがって、CDK(4/6)/サイクリン−D複合体によるRb及びp130の不活性化により部分的に容易になる。Rb及びp130の高リン酸化により、転写因子、例えば、E2Fの放出、及びしたがって、G1を介した進行のため、及びSフェーズへのエントリーのために必要な遺伝子、例えば、サイクリンEの遺伝子の発現を生じる。サイクリンEの発現により、Rbのさらなるリン酸化を介してE2Fレベルを増幅又は維持するCDK2/サイクリンE複合体の形成が容易となる。また、CDK2/サイクリンE複合体は、ヒストン生合成に関与するNPAT等のDNA複製に必要な他のタンパク質をリン酸化する。また、G1進行及びG1/S遷移は、CDK2/サイクリンE経路に送り込まれるマイトジェン刺激Myc経路を介して調整される。また、CDK2は、p21レベルのp53調整を介して、p53介在DNA損傷応答経路に接続される。p21は、CDK2/サイクリンEのタンパク質インヒビターであり、したがって、G1/S遷移をブロック又は遅延することができる。したがって、CDK2/サイクリンE複合体は、Rb、Myc及びp53経路からの生化学的刺激がある程度一体化する点を表すことができる。したがって、CDK2及び/又はCDK2/サイクリンE複合体は、異常に分裂する細胞における細胞サイクルの停止又は回復制御するように設計された治療の良好な標的を示す。
【0009】
細胞サイクルにおけるCDK3の正確な役割は、明確ではない。まだ同系サイクリンパートナーが同定されていないが、主要な負型のCDK3がG1における細胞を遅延させた。このことは、CDK3が、G1/S遷移を調整する役割を有することを示唆している。
【0010】
ほとんどのCDKが細胞サイクルの調整に係わっているが、一定数のCDKファミリーが、他の生化学的プロセスに関与している確証がある。これは、正しい神経発達に必要であり且ついくつかの神経タンパク質、例えば、Tau、NUDE−1、シナプシン1、DARPP32及びMunc18/シンタキシン1A複合体のリン酸化に係わったCDK5により示される。神経CDK5は、p35/p39タンパク質への結合により通常どおり活性化される。しかしながら、CDK5活性は、p35のトランケーテッドバージョンであるp25の結合により自由とされることができる。p35からp25への転化及び続いてのCDK5活性の自由化は、虚血、興奮毒性及びβ−アミロイドペプチドにより誘発できる。その結果、p25は、神経変性病、例えば、アルツハイマー病の病因に関連し、したがって、これらの疾病に対する治療の標的として重要である。
【0011】
CDK7は、cdc2CAK活性を有し且つサイクリンHに結合する核タンパク質である。CDK7は、RNAポリメラーゼII C末端ドメイン(CTD)活性を有するTFIIH転写複合体の成分として同定された。これは、Tat介在生化学経路を介したHIV−1転写の調節と関連していた。CDK8は、サイクリンCを結合し、RNAポリメラーゼIIのCTDのリン酸化に関連していた。同様に、CDK9/サイクリン−T1複合体(P−TEFb複合体)は、RNAポリメラーゼIIの伸張制御に関連していた。また、PTEF−bは、サイクリンT1との相互作用を介したウイルス性トランス活性化因子TatによるHIV−1ゲノムの転写の活性化に必要とされる。したがって、CDK7、CDK8、CDK9及びP−TEFb複合体は、抗ウイルス治療の可能性のある標的である。
【0012】
分子レベルで、CDK/サイクリン複合体活性の介在には、一連の促進及び阻害リン酸化又は脱リン酸化が必要である。CDKリン酸化は、CDK活性化キナーゼ群(CAK)及び/又はキナーゼ、例えば、wee1、Myt1及びMik1により実施される。脱リン酸化は、ホスファターゼ、例えば、cdc25(a及びc)、pp2a又はKAPにより実施される。
【0013】
CDK/サイクリン複合体活性は、さらに内生の細胞タンパク性インヒビターの2つのファミリーにより調整できる:Kip/Cipファミリー又はINKファミリー。INKタンパク質は、CDK4及びCDK6を特異的に結合する。p16ink4(MTS1としても知られている)は、多数の原発性癌において突然変異又は欠失される可能性のある腫瘍サプレッサ遺伝子である。Kip/Cipファミリーは、タンパク質、例えば、p21Cip1,Waf1,p27Kip1及びp57kip2を含有している。上記したように、p21は、p53により誘発され、CDK2/サイクリン(E/A)及びCDK4/サイクリン(D1/D2/D3)複合体を不活性化することができる。乳癌、大腸癌及び前立腺癌において、典型的に低いレベルのp27発現が観察された。逆に、固形癌におけるサイクリンEの過発現が、悪い患者の予後と相関があることが示された。サイクリンD1の過発現は、食道癌、乳癌、扁平上皮癌及び非小細胞性肺癌と関連があった。
【0014】
増殖性細胞における細胞サイクルを調整及び駆動する際のCDKの重要な役割及びそれらの関連タンパク質は、上記で概要を述べた通りである。CDKが重要な役割を果たす生化学的経路の一部についても、説明がなされている。したがって、一般的にCDK又は特異的CDKを標的とした治療を用いた、癌等の増殖性障害の治療のための単剤療法の開発は、場合によっては非常に望ましい。CDKインヒビターは、とりわけウイルス感染、自己免疫病及び神経変性病等の他の条件を治療するのにも使用できると思われる。また、CDK標的治療も、既存又は新しい治療剤との併用療法に使用したときに、上記した疾病の治療において臨床的に有利なことがある。CDK標的抗癌療法は、DNAと直接相互作用せず、したがって、二次腫瘍発現の危険を減少するので、数多くの現在の抗腫瘍剤に対して利点があると思われる。
【0015】
WO02/34721(Du Pont)は、サイクリン依存キナーゼのインヒビターとしてインデノ[1,2−c]ピラゾール−4−オンの種類を開示している。
【0016】
WO01/81348(Bristol Myers Squibb)は、サイクリン依存キナーゼインヒビターとして5−チオ−、スルフィニル−及びスルホニルピラゾロ[3,4−b]−ピリジンの使用を記載している。
【0017】
WO00/62778(Bristol Myers Squibb)は、タンパク質チロシンキナーゼインヒビターの種類を開示している。
【0018】
WO01/72745A1(Cyclacel)は、2−置換4−ヘテロアリール−ピリミジン及びそれらの調製、それらを含有する医薬組成物並びにサイクリン依存キナーゼ(CDK)のインヒビターとしてのそれらの使用及びしたがって、増殖性障害、例えば、癌、白血病、乾癬等の治療におけるそれらの使用を記載している。
【0019】
WO99/21845(Agouron)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、例えば、CDK1、CDK2、CDK4及びCDK6を阻害するための4−アミノチアゾール誘導体を記載している。また、本発明は、このような化合物を含有する医薬組成物の治療又は予防における使用、及びこのような化合物の有効量を投与することにより、悪性腫瘍及び他の障害を治療する方法に関する。
【0020】
WO01/53274(Agouron)は、CDKキナーゼインヒビターとして、N−含有複素環式基に連結したアミド−置換ベンゼン環を含んでなることができる化合物の種類を開示している。インダゾール化合物は、一般的に述べられていないが、例示された化合物の一つは、メチルスルファニル基を介してピラゾロピリミジンに連結したインダゾール3−カルボン酸アニリド部分を含んでなる。
【0021】
WO01/98290(Pharmacia&Upjohn)は、タンパク質キナーゼインヒビターとして3−アミノカルボニル−2−カルボキサミドチオフェン誘導体の種類を開示している。これらの化合物は、複数のタンパク質キナーゼ活性を有することが述べられている。
【0022】
US3,705,175号及びDE2,135,398(いずれもEgyt)は、6,7−ジメトキシインダゾール−3−カルボン酸アミドを抗炎症薬及び鎮痛薬として開示している。
【0023】
US3,457,269(Sterling Drug)は、降圧剤としてアニリド類及びピリジルアミド類等のインダゾール−3−カルボン酸アミドを開示している。
【0024】
WO01/53268及びWO01/02369(Agouron)は、サイクリン依存性キナーゼ又はチロシンキナーゼ等のタンパク質キナーゼの阻害を介して細胞増殖を介在又は阻害する化合物を開示している。Agouron化合物は、直接又はCH=CH又はCH=N基を介して、インダゾール環の3位に結合しているアリール又はヘテロアリール環を有している。
【0025】
WO02/10137(Signal Pharmaceuticals)は、JNKキナーゼの選択的インヒビターとしてインダゾール誘導体の種類を開示している。インダゾール誘導体は、アルキレン又はアルケニレン基を介してインダゾール3位に連結してアリール、ヘテロアリール又は複素環式基を有している。
【0026】
US6,340,685(Scios)は、選択的P38MAPキナーゼインヒビターとして二環式複素環式化合物の種類を開示している。インダゾール類は、具体的には開示されていない。
【0027】
WO02/24635(Fujisawa)は、β−3アドレナリン受容体アゴニストとしてアミノアルコール誘導体の種類を開示している。これらの化合物は、インダゾール3−カルボン酸アニリド基をアミノアルコール基に連結して含むことができる。
【0028】
JP01117882(Dainippon)は、一定の胃腸の状況を治療するのに有用であるとされている複素環式カルボキサミド誘導体の種類を開示している。
【0029】
WO00/18738(Zeneca)は、p38キナーゼインヒビターであり且つサイトカインの産生を阻害するビス−アリールアミド類の種類を開示している。インダゾール類の例には、触れられていない。
【0030】
WO00/63215(Sanofi−Synthelabo)は、5−HT又は5−HTアンタゴニストとして有用である種々のインダゾールカルボキサミドを記載している。開示されている一部の化合物は、インダゾール1位及び7位を連結している鎖により形成された第三環を有している。
【0031】
WO01/58869(Bristol Myers Squibb)は、カンナビノイド受容体モジュレータとしてのインダゾール類の種類を開示している。
【0032】
WO01/83472(Acadia Pharmaceuticals)は、ムスカリン様アゴニストとしての活性を有し且つ神経障害の治療に有用な、インダゾールカルボキサミド類等の種々の二環複素環式化合物を記載している。三環インダゾール化合物は、開示されていない。
【0033】
WO96/02537(SmithKline Beecham)は、5HT2B/2Cアンタゴニストとしての種々の複素環式カルボキサミド誘導体を開示している。インダゾール類は、具体的には開示されていない。
【発明の概要】
【0034】
本発明によれば、サイクリン依存キナーゼ阻害又は調節活性を有し、且つサイクリン依存キナーゼが介在する疾病の状態又は状況を予防又は治療するのに有用であろう化合物が提供される。
【0035】
したがって、本発明の一態様によれば、本明細書に記載の式(I)で表される新規な化合物が提供される。
【0036】
また、本発明によれば、サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療に使用される本明細書に記載の式(I)で表される化合物が提供される。
【0037】
また、本発明によれば、サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療用の薬剤の製造のための、本明細書に記載の式(I)で表される化合物の使用が提供される。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療の方法であって、予防又は治療を必要としている被検者に、本明細書に記載の式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0039】
また、本発明によれば、哺乳動物における異常細胞成長を含むか又はそれから生じる疾病又は状況を治療する方法であって、哺乳動物に、異常細胞成長を阻害するのに有効な量の本明細書に記載の式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0040】
さらに、本発明によれば、哺乳動物における異常細胞成長を含むか又はそれから生じる疾病又は状況を治療する方法であって、哺乳動物に、CDK2活性を阻害するのに有効な量の本明細書に記載の式(I)で表される化合物を投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0041】
本発明の別の態様によれば、サイクリン依存キナーゼを阻害する方法であって、前記キナーゼを、本明細書に記載の式(I)で表されるキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる、方法が提供される。
【0042】
さらに、本発明によれば、本明細書に記載の式(I)で表される化合物を用いてサイクリン依存キナーゼの活性を阻害することにより、細胞過程(例えば、細胞分裂)を調節する方法が提供される。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載の式(I)で表される新規な化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物が提供される。
【0044】
また、本発明によれば、医薬に使用される式(I)で表される化合物が、提供される。
【発明の具体的説明】
【0045】
本発明の化合物は、一般式(I)で表される:
【化1】

[式中、
Eは、O、S又はNHであり;
Gは、水素;環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;並びに非環式C1−8ヒドロカルビル基(前記非環式C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記非環式C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;但し、E−Gは、OH又はSHではなく、さらにE−Gは、基O−Oを含まないものであり;
、R、R及びRから選択された2つの隣接する部分が、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成し;R、R、R及びRから選択された他の2つの部分は、同一又は異なり、各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素又はC1−4ヒドロカルビルであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)から選択されたものである]。
【0046】
本明細書で使用される「炭素環式」基及び「複素環式」基は、基G又はいずれかの他の置換基について、特記のない限りは、芳香族環系と非芳香族環系との両方を含む。したがって、例えば、用語「環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、未飽和、部分飽和及び完全飽和炭素環系及び複素環系を含む。
【0047】
炭素環式基又は複素環式基は、環員数が5〜12、より一般的には環員数5〜10のアリール基又は複素アリール基であることができる。本明細書で使用される用語「アリール」は、芳香族性を有する炭素環式基を意味し、本明細書で使用される用語「複素アリール」は、芳香族性を有する複素環式基を意味する。用語「アリール」及び「複素アリール」は、一つ以上の環が、非芳香族であるが、但し少なくとも一つの環が芳香族である、多環式(例えば、二環式)環系を含む。このような多環系において、部分Eは、芳香環又は非芳香環に結合することができる。アリール基又は複素アリール基は、単環式基又は二環式基であることができ、一つ以上の置換基、例えば、以下で定義する一つ以上の基R10で置換されていなくても、置換されていてもよい。
【0048】
複素アリール基としては、例えば、環員数が5〜12の単環式基及び二環式基であり、より一般的には環員数が5〜10である。複素アリール基は、例えば、5員又は6員単環式環であるか、又は縮合5員環及び6員環又は2つの縮合6員環から形成された二環構造であることができる。各環は、典型的に窒素、イオウ及び酸素から選択された約4個以下の異種原子を含んでいてもよい。典型的には、複素アリール環は、3個以下の異種原子、より一般的には2個以下の異種原子、例えば、1個の異種原子を含む。一実施態様によれば、複素アリール環は、少なくとも一個の環窒素原子を含む。複素アリール環における窒素原子は、ピラゾール、イミダゾール又はピリジンの場合のように塩基性であるか、又はインドール又はピロール窒素の場合のように実質的に非塩基性であることができる。一般的に、環のアミノ基置換基を含む複素アリール基に存在する塩基性窒素原子数は、5個より少ない。
【0049】
複素アリール基としては、例えば、ピリジル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズフラニル、ベンズチオフェニル、クロマニル、チオクロマニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリル及びベンズイソチアゾール、イソベンゾフラニル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾリル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、イソクロメニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル及びプテリジニルなどがあるが、これらには限定されない。
【0050】
芳香環及び非芳香環を含む多環アリール基及び複素アリール基としては、例えば、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンズチエニル、ジヒドロヘンズフラニル、インドリニル及びインダニルなどがあげられる。
【0051】
基Gに関連して、具体的なヘテロアリール基(Eに直接結合しているか、又はヒドロカルビル基を介して結合しているかとは無関係に)には、O、S及びNから選択される3個以下の異種原子(好ましくは2個以下)を含む単環式5又は6員環があげられる。現在のところ好ましい基は、イミダゾイル、ピリジル及びイソキサゾールなどである。
【0052】
炭素環式アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、インデニル及びテトラヒドロナフチルなどがあげられる。
【0053】
基Gに関連して、好ましいアリール基(Eに直接結合しているか、又はヒドロカルビル基を介して結合しているかとは無関係に)は、ベンゼン環に基づく基である。したがって、例えば、未置換のフェニル基であってもよいし、又は、本明細書に記載の一つ以上の置換基R10を有するフェニル基であってもよい。
【0054】
非芳香族複素環式基としては、例えば、環員数が3〜12、より一般的には環員数が5〜10の基があげられる。このような基は、例えば、単環式又は二環式であることができ、典型的には、通常窒素、酸素及びイオウから選択される、異種原子環員数が1〜5(より一般的には、異種原子環員数が1個、2個、3個又は4個)である。複素環式基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサンの場合のように)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンの場合のように)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンの場合のように)、環状アミド(例えば、ピロリジノン、ピペリドン又はカプラクタム)、環状スルホンアミド(例えば、イソチアゾリジン1,1−ジオキシド、[1,2]チアジナン1,1−ジオキシド又は[1,2]チアゼパン1,1−ジオキシド)、環状スルホン(例えば、スルホラン及びスルホレンの場合のように))、環状スルホキシド、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0055】
具体例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、4−ピペリジニル及び3−ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、3−ピロリジニル及び2−ピロリジニル)、ピロリドン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、ピペラジン及びN−アルキルピペラジン類、例えば、N−メチルピペラジンなどがある。一般的に、基Gに関連して、好ましい非芳香族複素環式基には、テトラヒドロピラン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン及びピロリジンなどがある。
【0056】
非芳香族炭素環式基としては、例えば、シクロアルカン基、例えば、シクロヘキシル及びシクロペンチルなどがある。
【0057】
炭素環式基及び複素環式基は、各々未置換であっても、又はハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−4ヒドロカルビルから選択されたものであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)から選択された一つ以上の置換基R10により置換されていてもよい。
【0058】
置換基R10が、炭素環式基又は複素環式基を含んでなるか、それを含む場合には、前記炭素環式基又は複素環式基は、未置換であってもよいし、又はそれ自体、一つ以上のさらなる置換基R10で置換されていてもよい。式(I)で表される化合物の一つのサブグループにおいて、このようなさらなる置換基R10には、炭素環式基又は複素環式基などがあるが、これらは、典型的にはそれら自体はさらには置換されていない。式(I)で表される化合物の別のサブグループにおいては、前記のさらなる置換基は、炭素環式基又は複素環式基を含まず、R10の定義において上記であげた基から選択される。
【0059】
ハロゲン置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などがあげられる。フッ素及び塩素が、特に好ましい。
【0060】
上記式(I)で表され且つ以下で使用される化合物の定義において、用語「ヒドロカルビル」は、特記のない限りは、全炭素の主鎖を有する脂肪族基、脂環族基及び芳香族基を含む一般用語である。一定の場合において本明細書で定義されているように、炭素主鎖を構成する炭素原子の一つ以上は、特定の原子又は原子群により置き換えてもよい。このような基としては、例えば、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環式アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、及び炭素環式アラルキル、アラルケニル及びアラルキニル基などがある。このような基は、未置換であっても、又は本明細書で定義される一つ以上の置換基により置換されていてもよい。以下で示す例及び好ましいものは、特記のない限りは、式(I)で表される化合物についての種々の置換基の定義において言及される、ヒドロカルビル置換基又はヒドロカルビル含有置換基の各々に適用される。
【0061】
一般的に、例えば、ヒドロカルビル基は、特記のない限りは、炭素数8以下のものであることができる。炭素数1〜8のヒドロカルビル基のサブセットには、特に、例えば、C1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基(例えば、C1−3ヒドロカルビル基又はC1−2ヒドロカルビル基)が含まれ、具体例として、C、C、C、C、C、C、C及びCから選択されたいずれかの個別値又は値の組み合わせのヒドロカルビル基があげられる。
【0062】
用語「アルキル」は、直鎖及び分岐鎖の両方のアルキル基を含む。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル及びn−ヘキシル及びその異性体などがある。炭素数1〜8のアルキル基のサブセット内に含まれるものの具体例として、C1−6アルキル基、例えば、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基又はC1−2アルキル基)などがある。
【0063】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタンから得られるものがある。シクロアルキル基のサブセット内に含まれるシクロアルキル基は、炭素数3〜8のものであり、具体例としては、C3−6シクロアルキル基があげられる。
【0064】
アルケニル基としては、例えば、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、ブタ−1,4−ジエニル、ペンテニル及びヘキセニルなどがあげられるが、これらには限定されない。アルケニル基のサブセット内に含まれるアルケニル基は、炭素数2〜8個のものであり、具体例としては、C2−6アルケニル基、例えば、C2−4アルケニル基があげられる。
【0065】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル及びシクロヘキセニルなどがあるが、これらには限定されない。シクロアルケニル基のサブセット内に含まれるシクロアルケニル基は、炭素数3〜8個のものであり、具体例としては、C3−6シクロアルケニル基があげられる。
【0066】
アルキニル基としては、例えば、エチニル及び2−プロピニル(プロパルギル)基などがあるが、これらには限定されない。アルキニル基のサブセット内に含まれるアルキニル基は、炭素数2〜8個のものであり、具体例としては、C2−6アルキニル基、例えば、C2−4アルキニル基があげられる。
【0067】
炭素環式アリール基としては、例えば、置換及び未置換のフェニルなどがある。
【0068】
シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、炭素環式アラルキル基、アラルケニル基及びアラルキニル基としては、例えば、フェネチル基、ベンジル基、スチリル基、フェニルエチニル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロプロピルメチル基及びシクロペンテニルメチル基などがある。
【0069】
本明細書で使用される定義「R−R」には、炭素環部分又は複素環部分(例えば、基Gに関連て述べたのと同様に)に存在する置換基に関してか、又は式(I)で表される化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、とりわけ、Rが、結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NRC(O)、OC(S)、SC(S)、NRC(S)、OC(NR)、SC(NR)、NRC(NR)、C(O)O、C(O)S、C(O)NR、C(S)O、C(S)S、C(S)NR、C(NR)O、C(NR)S、C(NR)NR、OC(O)O、SC(O)O、NRC(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NRC(S)O、OC(NR)O、SC(NR)O、NRC(NR)O、OC(O)S、SC(O)S、NRC(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NRC(S)S、OC(NR)S、SC(NR)S、NRC(NR)S、OC(O)NR、SC(O)NR、NRC(O)NR、OC(S)NR、SC(S)NR、NRC(S)NR、OC(NR)NR、SC(NR)NR、NRC(NRNR、S、SO、SO、NR、SONR及びNRSO(ここで、Rは、上記で定義した通りである)から選択されたものである化合物が含まれる。
【0070】
部分Rは、水素でもよいし、環員数3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)の炭素環式基及び複素環式基並びに上記で定義された置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基から選択された基であってもよい。
【0071】
ヒドロカルビル基、炭素環式基及び複素環式基としては、例えば、上記であげたものがある。
【0072】
ヒドロカルビル基が存在するときには、この基は、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ並びに環員数が3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)の単環式若しくは二環炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい置換基には、フッ素等のハロゲンなどがある。したがって、例えば、置換基は、トリフルオロメチル等の部分フッ素化又は過フッ素化基であることができる。一実施態様によれば、好ましい置換基には、環員数が3〜7である単環炭素環式基及び複素環式基などがある。
【0073】
アミノ基が2個のヒドロカルビル置換基を有する場合、これらは、それらが結合する窒素原子とともに、及び必要に応じて別の異種原子、例えば、窒素、硫黄又は酸素とともに、連結して環員数が4〜7の環構造を形成することができる。
【0074】
1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)X(式中、X及びXは、上記で定義した通りである)により置き換わっていてもよい。例えば、ヒドロカルビル基の炭素原子1個、2個、3個又は4個は、上記した原子又は基のうちの一つにより置き換わっていてもよく、置き換わる原子又は基は、同一であっても、異なっていてもよい。ヒドロカルビル基の炭素原子が上記で定義した置き換え原子又は基により置き換えられた基としては、例えば、エーテル類及びチオエーテル類(O又はSにより置き換えられたC)、アミド類、エステル類、チオアミド類及びチオエステル類(XC(X)又はC(X)Xにより置き換えられたC)、スルホン類及びスルホキシド類(SO又はSOにより置き換えられたC)及びアミン類(NRにより置き換えられたC)などがある。
【0075】
式(I)で表される化合物において、R,R、R及びRから選択された2つの隣接する部分は、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7である縮合複素環式基を形成する。したがって、例えば、縮合複素環式基は、RとRとの組み合わせ、RとRとの組み合わせ、又はRとRとの組み合わせから、それらがそれぞれ結合した炭素原子とともに形成できる。一つの好ましい化合物群において、R及びRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり且つN、O及びSから選択された1個、2個又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成する。
【0076】
縮合複素環式基は、芳香族でも、非芳香族でもよいが、好ましくは芳香族である。
【0077】
縮合複素環としては、例えば、5員環及び6員環、例えば、チアゾロ縮合環、イソチアゾロ縮合環、オキサゾロ縮合環、イソキサゾロ縮合環、ピロロ縮合環、ピリド縮合環、チエノ縮合環、フラノ縮合環、ピリミド縮合環、ピラゾロ縮合環、ピラジノ縮合環及びイミダゾロ縮合環などがある。5員環が、好ましい。
【0078】
縮合複素環式基は、チアゾロ基、オキサゾロ基、イミダゾロ基及びピリド基から選択されたものであることが好ましい。チアゾロ基が、特に好ましい。
【0079】
縮合複素環式基は、必要に応じて上記で定義した一つ以上の基R10により置換されることができる。一実施態様によれば、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜7(典型的には5又は6)である単環炭素環式基及び複素環式基、基R−R[式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、S0、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素及びC1−8ヒドロカルビル基(このC1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよく、且つ前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよく;及びR、X及びXは、上記で定義した通りである)から選択されたものである]から選択されたものでよい。
【0080】
縮合複素環上の好ましい置換基には、アミノ、モノ又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、ヒドロキシル若しくはアミノにより置換されていてもよいC1−4ヒドロカルビル、並びにN、O及びSから選択された1個、2個又は3個の異種原子を含むN−結合単環複素環式基などがある。置換基の具体例としては、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロプロピルアミノ、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、N−ピロリジニル及びN−イミダゾリルなどがある。
【0081】
縮合複素環の一部分を形成しないR、R、R及びRから選択された他の2つの基は、同一又は異なり、各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基;基R−R[式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)である単環炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−4ヒドロカルビルから選択されたものであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである]から選択されたものである。
【0082】
縮合複素環の一部分を構成しない他の2つの基R〜Rは、水素並びに小さな置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メチル、エチル、シクロプロピル、トリフルオロメチル又はアミノから選択されたものであることが好ましい。より好ましくは、前記基は、水素、メチル、フッ素又は塩素から選択されたものであり、最も好ましくはこれらは、各々水素である。
【0083】
部分Eは、O、S及びNHから選択されたものであり、好ましくはO又はNH、より好ましくはNHである。
【0084】
基Gは、水素;環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;並びに非環式C1−8ヒドロカルビル基(前記非環式C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記非環式C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;但し、E−Gは、OH又はSHではなく、さらにE−Gは、基O−Oを含まないものである。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、基Gは、以下で定義する式A−B−Rで表される基であることができる。
【0086】
Gが、置換されていてもよいヒドロカルビル基であるときには、例えば、置換されていてもよいC1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基、又はC1−3ヒドロカルビル基又はC1−2ヒドロカルビル基であることができる。具体例としては、置換されていてもよいC、C及びCヒドロカルビル基である。
【0087】
別の実施態様によれば、基Gは、(CH−R−B−R、及び(CH−R(式中、mは0〜4であり、R、R及びBは以下で定義した通りである)から選択されたものであることができる。
【0088】
さらなる実施態様によれば、Gは、水素;環員数5又は6の単環炭素環式基及び複素環式基;及び非環式C1−4ヒドロカルビル基(ここで、C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、並びに環員数が5又は6である単環炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)から選択されたものであるが、但し、E−Gは、OH又はSHではない。
【0089】
基E−Gの具体例を、下表1に示す。
【0090】
【表1】


【0091】
本発明の化合物の一つのサブグループは、一般式(II)により表される:
【化2】

[式中、
Aは、基R又はCH−R(式中、Rは、環員数が3〜12である炭素環式基又は複素環式基である)であり;
Bは、結合、又はC、N、S及びOから選択された、連結鎖長さが3原子以下である非環式リンカー基であり;
は、水素、又はSO、SONR、CONR、NR及び環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基から選択された基であり;
及びRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成し;
及びRは、同一又は異なり、各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素又はC1−4ヒドロカルビルであり;
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、R及び環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択されたものであり;
は、R、COR及びSOから選択されたものであり;
又はNR又はNRは、各々環員数5〜12の複素環式基を形成してもよい]。
【0092】
本発明の化合物の別のサブグループは、一般式(III)により表される:
【化3】

(式中、J、L及びMは、各々独立して=N−、−S−、−O−及び=CR11から選択されたものであり、R11は、水素又は基R10であり、ここでR、R、R10、E及びGは、前記で定義した通りである)。
【0093】
J、L及びMのうちの少なくとも一つが、窒素原子以外であることが好ましい。
【0094】
J、L及びMのうちの少なくとも一つが、=CR11であることがより好ましい。
【0095】
式(III)で表される化合物群に含まれる化合物の好ましいサブグループは、式(IV)で表される:
【化4】

【0096】
式(IV)で表される化合物群において、R及びRは、好ましくは水素、又はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はアミノから選択された小さな置換基であり、水素が特に好ましい。
【0097】
式(IV)で表される化合物の具体例として、E−Gが上記表1に記載の基A〜AIのいずれか一つである化合物があげられる。
【0098】
式(IV)に関連して、R11としては、例えば、水素、並びにハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、モノ−C1−4アルキルアミノ又はジ−C1−4アルキルアミノ、環員数が5〜7である炭素環式基及び複素環式基;並びにC1−4ヒドロカルビル基(前記C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、アミノ及びモノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)から選択された基などがある。
【0099】
具体的な基R11には、アミノ、モノ−C1−4アルキルアミノ又はジ−C1−4アルキルアミノ、環員数が5〜6であり且つN、O及びSから選択された2以下の異種原子を含む複素環式基;及びC1−4ヒドロカルビル基(前記C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びモノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)などがある。
【0100】
11の具体例としては、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロプロピルアミノ、メチル、エチル、ヒドロキシエチル及びピロリルなどがある。
【0101】
化合物の別のサブグループにおいて、R及びRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数5〜7であり且つN、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成する。
【0102】
本発明の新規化合物の一つのサブグループは、一般式(V)で表される:
【化5】

(式中、R〜R、A及びBは、上記で定義した通りである)。
【0103】
式(V)で表される化合物のサブグループに含まれる好ましい化合物には、Aが、基R(ここで、Rは、環員数が6であるアリール基である)であり、Bが、結合又はメチレン基である化合物がある。
【0104】
式(V)で表される化合物に含まれる別の好ましい化合物群は、R及びRが、水素及びC1−4アルキルから選択されたものであるか、又はR及びRが、窒素原子とともに、1個又は2個の異種原子を有する飽和5員又は6員複素環を形成する化合物群である。
【0105】
このような化合物としては、例えば、R及びRが、窒素原子とともに、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ及びピロリジノから選択された飽和複素環を形成する化合物などがある。
【0106】
さらなる具体例に、Rが水素であり、Rが水素又はメチルである化合物がある。
【0107】
本発明のさらなる新規な化合物群は、一般式(IV)で表される:
【化6】

(式中、R〜R及びAは、上記で定義した通りであり、Het’は、環員数が3〜7である複素環式基である)。
【0108】
本発明の新規化合物の別のサブグループは、式(V)により表される:
【化7】

(式中、R〜Rは、上記で定義した通りであり、R12は、水素、又はハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択された一つ以上の置換基を表す)。
【0109】
式(VII)で表される化合物の具体例としては、R12が、水素、又は1個又は2個のフッ素原子、好ましくは1個のフッ素原子である化合物があげられる。
【0110】
本発明の一つの一般的な実施態様によれば、式(I)で表される化合物は、AがRであり、Rが環員数6であり且つパラ位にC1−6アルキル基又はハロゲン基を置換基として有するアリール基であるとき、基B−Rは、前記アリール基のメタ位に位置している未置換又は置換ベンズアミド基以外のものでよい。
【0111】
別の一般的な実施態様によれば、式(I)で表される化合物は、AがRであり、Rが環員数6であるアリール基であるとき、基B−Rは、前記アリール基のメタ位に位置する置換フェニルカルバモイル基以外のものであり、前記置換フェニルカルバモイル基は、オルト位にC1−6アルキル又はハロゲンを置換基として有し、パラ位にアミド基を有するものでよい。
【0112】
別の実施態様によれば、R、R、R及びRから選択された2つの隣接する部分がそれらが結合する炭素原子とともに形成した前記縮合複素環式基は、1,2,3−トリアゾロ環以外のものである。
【0113】
さらに一般的な実施態様によれば、式(I)で表される化合物は、3−アミノカルボニル−2−カルボキサミド−チオフェン部分を含む化合物以外のものである。
【0114】
別の一般的な実施態様によれば、式(I)で表される化合物が、EがNHであり、Gが、5員又は6員ヘテロアリール基、フェニル基、キノリニル基及びイソキノリニル基から選択されたアリール基又はヘテロアリール基である場合には、前記アリール基又はヘテロアリール基が、C1−6アルキル、ハロゲン、CF、NR及びOR(ここで、R、R及びRは、独立して水素、C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキルである)以外の置換基を有する。
【0115】
別の一般的な実施態様によれば、基E−Gが、式:
【化8】

(式中、Uは、アルキレン基であり、Rmは、水素又はアルキル基であり、Rnは、アリール、アルキル又はアリールアルキルであり、nは、1又は2である)
で表される基ではない。
【0116】
疑問のないように、基Rの各一般的且つ具体的な優先性、実施態様及び例は、基R及び/又はR及び/又はR及び/又はR及び/又はR及び/又はE及び/又はGの各一般的且つ具体的な優先性、実施態様及び例と組み合わせることができ、全てのこのような組み合わせは、本願の範囲内である。
【0117】
式(I)の化合物を構成する種々の官能基及び置換基は、典型的には式(I)で表される化合物の分子量が、1000を超えないように選択される。より一般的には、化合物の分子量は、750未満、例えば、700未満又は650未満又は600未満又は550未満である。より好ましくは、分子量は、525未満であり、例えば、500以下である。
【0118】
本発明の具体的な新規化合物には、
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[4−(アセチルアミノ−メチル)−フェニル]−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸フェニルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−スルファモイル−フェニル)−アミド;
4−[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロヘキシルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[2−(1H−イミダゾール−4−イル)−エチル]−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ベンジルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロペンチルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(3−モルホリン−4−イル−プロピル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(2−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−アミド;
4−{[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル エステル;
3−[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ピペリジン−3−イルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(ピリジン−4−イルメチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−エチル]−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(5−メチル−イソキサゾール−3−イルメチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸4−メトキシ−ベンジルアミド;
2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミド;
2−メチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−ピロール−1−イル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−シクロプロピルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−ヒドロキシメチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(ピペリジン−4−イルメチル)−アミド;
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−エチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミド;及び
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−フェニル−エチル)−アミドなどがある。
【0119】
式(I)で表される数多くの化合物は、塩、例えば、酸付加塩又はある場合には、有機塩基及び無機塩基の塩、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩及びホスホン酸塩の形態で存在する。全てのこのような塩は、本発明の範囲内であり、式(I)で表される化合物には、それらの化合物の塩の形態が含まれる。
【0120】
酸付加塩は、無機及び有機の両方の多種多様の酸で形成できる。酸付加塩としては、例えば、塩酸、よう化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸及びラクトビオン酸ととに形成された塩が含まれる。
【0121】
化合物が、アニオン性であるか、又はアニオン性でよい官能基(例えば、−COOHは、−COOであることができる)を有する場合には、塩は、好適なカチオンとともに形成できる。好適な無機カチオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、例えば、Na及びK、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+並びに他のカチオン、例えば、Al3+が挙げられるが、これらには限定されない。好適な有機カチオンとしては、例えば、アンモニウムイオン(すなわち、NH)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)などがあるが、これらには限定されない。一部の好適な置換アンモニウムイオンとしては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、 ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミンだけでなく、アミノ酸類、例えば、リジン及びアルギニン由来のものがある。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CHがあげられる。
【0122】
式(I)で表される化合物がアミン官能を含む場合には、これらは、例えば、当業者に周知方法によるアルキル化剤との反応により第四級アンモニウム塩を形成できる。このような第四級アンモニウム化合物は、式(I)の範囲内である。
【0123】
アミン官能を含む式(I)で表される化合物も、N−酸化物を形成できる。アミン官能を含む式(I)で表される化合物は、N−酸化物も含む。
【0124】
化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、一つ以上の窒素原子を酸化して、N−酸化物を形成できる。N−酸化物の具体例として、窒素含有複素環の第三アミン又は窒素原子のN−酸化物である。
【0125】
N−酸化物は、酸化剤、例えば、過酸化水素又は過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)で対応のアミンを処理することにより形成できる(例えば、Advanced Organic Chemistry(最新有機化学),Jerry March,第4版、Wiley Interscience参照)。より具体的には、N−酸化物は、L.W.Deady(Syn.Comm.1977,7,509−514)に記載の方法により調製できる。この方法では、アミン化合物を、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と、例えば、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタンと反応させる。
【0126】
エステル類、例えば、カルボン酸基又はヒドロキシル基を有する式(I)で表される化合物のカルボン酸エステル及びアシロキシエステルも、式(I)で表される化合物に含まれる。エステル類としては、例えば、基−C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20複素環式基又はC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)を含む化合物があげられる。エステル基の具体例には、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH及び−C(=O)OPhなどがあるが、これらには限定されない。アシロキシ(逆エステル)基としては、例えば、−OC(=O)R(式中、Rは、アシロキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20複素環式基又はC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表されるものがあげられる。アシロキシ基の具体例としては、例えば、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Ph及び−OC(=O)CHPhなどがあるが、これらには限定されない。
【0127】
上記式で表される化合物は、多数の異なる幾何異性型及び互変異性型で存在することができ、式(I)で表される化合物には、このような形態の全てが含まれる。不明確となるのを避けるために、化合物は、いくつかの幾何異性型又は互変異性型のうちの一つの形態で存在でき且つ一つのみが具体的に記載され又は示されている場合には、他の全てのものも式(I)に含まれる。
【0128】
また、式(I)には、化合物の多形相、化合物の溶媒和物(例えば、水和物)、錯体(例えば、シクロデキストリン等の化合物との包接錯体又は包接化合物、又は金属との錯体)、及び化合物のプロドラッグがある。「プロドラッグ」は、例えば、生体内で式(I)で表される生物活性化合物に転化する化合物を意味する。
【0129】
例えば、一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生物学的に許容される代謝的不安定エステル)である。代謝中、エステル基(−C(=O)OR)を開裂して活性ドラッグを得る。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかと、適切な親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護したものでエステル化した後、必要に応じて脱保護することにより形成できる。
【0130】
このような代謝不安定エステルとしては、例えば、式−C(=O)OR(式中、Rは、
1−7アルキル
(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);
1−7アミノアルキル
(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);及び
アシロキシ−C1−7アルキル
(例えば、アシロキシメチル;
アシロキシエチル;
ピバロイルオキシメチル;
アセトキシメチル;
1−アセトキシエチル;
1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;
1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;
1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;
シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;
1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;及び
1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチルである))
で表されるものなどがある。
【0131】
また、一部のプロドラッグは、酵素的に活性化されて活性化合物を生じるか、又はさらなる化学反応により活性化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPT等のような)を生じる化合物が得られる。例えば、プロドラッグは、糖誘導体又は他の配糖体であってもよいし、又はアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0132】
式(I)で表される化合物は、キラル中心を含む場合には、全ての個々の光学型、例えば、エナンチオマー, エピマー及びジアステレオ異性体、並びに化合物のラセミ混合物は、式(I)の範囲内である。
【0133】
式(I)で表される化合物は、サイクリン依存キナーゼのインヒビターである。これらは、これら自体が、異常分裂細胞における細胞サイクルを阻害する手段又は回復制御する手段を提供するのに有用であると思われる。したがって、化合物は、癌等の増殖性疾患を治療又は予防するのに有用であることが予想される。また、本発明の化合物は、ウイルス感染、自己免疫病及び神経変性病等の状態を治療するのに有用であることが予想される。
【0134】
CDKは、細胞サイクル、アポプトシス、転写、細胞分化及びCNS機能を調節する役割を果たす。したがって、CDKインヒビターは、増殖、アプトシス又は細胞分化、例えば、癌の疾患がある疾病の治療に有用であろう。特に、RB+ve腫瘍は、特にCDKインヒビターに感受性がある。
【0135】
阻害できる癌としては、例えば、下記のものが含まれるが、これらには限定されない:癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、大腸癌(例えば、直腸腺癌及び直腸腺腫のような結腸直腸の癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、例えば、腺癌、小細胞性肺癌及び非小細胞性肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、例えば、外分泌膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌又は皮膚癌、例えば、扁平上皮癌;リンパ球系の造血腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセルリンパ腫又はバーケットリンパ腫;骨髄系の造血腫瘍、例えば、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は骨髄球性白血病;甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍、例えば、線維肉腫又は横紋筋肉種;中枢又は末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞種、神経膠腫又は神経鞘腫;黒色腫;精上皮種;奇形癌;骨肉種;色素性乾皮症;角化棘細胞種;甲状腺濾胞状癌;又はカポジ肉腫。
【0136】
CDKは、アポプトシス、増殖、分化及び転写においても役割を果たすことが知られており、したがって、CDKインヒビターは、以下の癌以外の治療にも有用である:ウイルス感染、例えば、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、エプスタイン‐バーウィルス、シンドビスウィルス、アデノウィルス、HIV、HPV、HCV及びHCMV;HIV感染個体におけるAIDS発現の予防;慢性炎症性疾患、例えば全身ループスエリテマトーサ、自己免疫介在糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾せん、炎症性腸疾患及び自己免疫性糖尿病;心血管系疾患、例えば、心臓肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、AIDSによる痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮及び小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、脳卒中及び再灌流障害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、トキシン誘発又はアルコール関連肝疾患、血液病、例えば、慢性貧血及び再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症及び関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓病及び癌疼痛。
【0137】
また、一部のサイクリン依存キナーゼインヒビターは、他の抗癌剤と組み合わせて使用できることが分かった。例えば、サイクリン依存キナーゼインヒビターフラボピリドールの細胞障害活性が、併用療法において他の抗癌剤とともに使用されてきた。
【0138】
したがって、異常細胞成長を含む疾病又は状態を治療するための本発明の医薬組成物、使用又は方法において、一実施態様による異常細胞成長を含む疾病又は状態は、癌である。
【0139】
癌の具体的なサブセットには、乳癌、卵巣癌、大腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌及び非小細胞性肺癌などがある。
【0140】
サイクリン依存キナーゼのインヒビターとしての本発明の化合物の活性は、以下の実施例に記載のアッセイを用いて測定でき、一定の化合物により示される活性レベルは、IC50値により定義できる。本発明の好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のIC50値を有する化合物である。
【0141】
式(I)で表される化合物の調製方法
EがNHである式(I)で表される化合物は、式HN−Gで表されるアミンと、
式(X)で表されるインダゾール3−カルボン酸とを反応させることにより調製できる:
【化9】

(式中、R〜Rは、上記で定義した通りである)。アミンとカルボン酸(X)との間のカップリング反応は、酸クロリド等の酸の活性化誘導体を形成し(例えば、塩化チオニルとの反応により)、その後上記酸クロリドを上記アミンと、例えば、Zh.Obs.Khim.31,201(1961)に記載の方法及び米国特許第3,705,175号に記載の方法により反応させることにより実施できる。
【0142】
別法として、及びより好ましくは、カルボン酸(X)とアミンとの間のカップリング反応を、ペプチド結合を形成するのに一般的に使用されている種類のアミドカップリング試薬の存在下で実施できる。このような試薬としては、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sheehan等,J.Amer.Chem Soc.1955,77,1067)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Sheehan等,J.Org.Chem.,1961,26,2525)、ウロニウム系カップリング剤、例えば、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HATU)(L.A.Carpino,J.Amer.Chem.Soc.,1993,115,4397)及びホスホニウム系カップリング剤、例えば、1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェート(PyBOP)(Castro等,Tetrahedron Letters,1990,31,205)などがある。カルボジイミド系カップリング剤は、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBt)(Konig等,Chem.Ber.,103,708,2024−2034)と組み合わせて使用するのが有利である。好ましいカップリング試薬には、EDC及びDCCとHOBtとの組み合わせなどがある。
【0143】
カップリング反応は、典型的にはジクロロメタン、ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジン等の非水性非プロトン溶媒中で実施される。反応は、室温、又は反応物の反応性が小さい場合(例えば、スルホンアミド基等の電子吸引性基を有する電子プアアニリンの場合)、適当な高温で実施できる。反応は、非妨害塩基、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で実施できる。
【0144】
式(X)で表されるインダゾールカルボン酸は、標準方法により水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を用いた対応のエステル(例えば、エチルエステル又はメチルエステル)の加水分解により調製できる。エステルは、公知の合成化学法及び容易に入手できる試薬を用いた種々のルートにより調製できる。例えば、式(X)で表されるインダゾールカルボン酸のエステル(R及びRは、結合した炭素原子とともに、チアゾール環を形成する)は、以下で述べる方法を用いて調製できる。
【0145】
カルボン酸と式NH−Gで表される化合物とのカップリングに対する別法として、本発明の三環インダゾール化合物は、適切に置換した二環インダゾール化合物の環付加により調製できる。したがって、例えば、上記式(IV)(式中、R及びRは、それらの結合炭素原子とともにチアゾール環を形成し、置換基R11はアミノ基である)で表される化合物は、式(XI)で表される5−アミノ−4−ブロモ−1H−インダゾールから調製できる:
【化10】

(式中、Qは、基NH−G又はO−Gであり、R、R及びGは、上記で定義した通りである)。式(XI)で表される化合物を、適切に置換されたイソチオシアネート(例えば、アルカリ、アラルカイル又はシクロアルキル置換イソチオシアネート、例えば、エチルイソチオシアネート又はシクロプロピルイソチオシアネート)と反応させて置換アミノチアゾロ化合物とすることができる。反応は、極性溶媒、例えば、メタノールと、例えば、約120℃以下の温度で加熱しながら実施することができる。反応は、電子レンジでの加熱を用いて実施するのが都合がよい。
【0146】
式(XI)の化合物は、式(XII)のアミノ化合物を臭素化することにより調製できる。
【化11】

【0147】
臭素化は、Br又は臭素化剤、例えば、N−ブロモスクシンイミドを用いて、硫酸等の酸の存在下で穏やかな条件下で実施できる。反応は、典型的には極性水混和性溶媒、例えば、メタノール又はテトラヒドロフラン中、減少した温度、例えば、−5℃〜0℃で実施される。
【0148】
式(XII)のアミンは、好適な還元剤により還元することにより、対応の式(XIII)のニトロ化合物から調製できる。典型的な還元条件には、炭に担持したパラジウムで、水素による触媒還元などがある:
【化12】

【0149】
ニトロ化合物は、対応の式(XIV)で表される5−ニトロ−インダゾールカルボン酸から調製できる。
【化13】

【0150】
式(XIII)(式中、Qは、基NH−Gである)で表される化合物がアミドである場合、カルボン酸(XIV)を、式G−NHで表される化合物と、上記したアミドカップリング条件下で反応できる。式(XIII)(式中、Qが基O−Gである)で表される化合物がエステルである場合、カルボン酸を、式HO−G(例えば、エタノールやメタノールのようなアルカノール)で表されるヒドロキシ化合物(例えば、アルコール)と、標準エステル化条件下で、例えば、塩酸等の酸触媒の存在下、カルボン酸及びヒドロキシル化合物の溶液を加熱することにより反応できる。
【0151】
式(XIV)のニトロ化合物は、市販されているものを使用するか、又は5位に水素原子を有する対応のインダゾール化合物をニトロ化することにより調製できる。ニトロ化は、当業者に周知の標準条件下で、例えば、硝酸カリウムと濃硫酸との混合物を用いて、約0℃〜室温の間の温度で、ニトロ化混合物をインダゾール化合物に添加して必要に応じて氷冷しながら実施できる。
【0152】
式(IV)(式中、置換基R11は、置換されていてもよいヒドロカルビル基である)で表されるチアゾロ−インダゾール化合物は、以下の式(XIX)のカルボン酸と式HN−Gのアミンとを、上記のアミドカップリング法を用いて反応することにより調製できる。カルボン酸(XIX)は、以下のスキーム1に示される式(XV)のカルボン酸エステルから出発する一連の反応により調製できる。
【0153】
【化14】

【0154】
アミン(XV)は、基R’CO(式中、R’は、上記R11の定義内である置換されていてもよいヒドロカルビル基である)を導入するためのアシル化剤と反応できる。必要に応じて、R’に存在するヒドロキシル基等の置換基は、例えば、エステルの形態の好適な保護基により保護できる。塩化アシルであることができるアシル化剤は、式(XV)の化合物と、有機塩基、典型的には第三アミン、例えば、トリエチルアミンの存在下で、通常低温、例えば、−78℃で反応させる。
【0155】
次に、第一アミド基のカルボニル基の酸素原子を、加硫剤、例えば、ローソン試薬((H.Zechner等、J.Amer.Chem.Soc.78,5018(1956)及びM.P Cava等. Tetrahedron,41,5061−5087(1985))を用いてイオウと置き換え、加熱して環化を生じさせてトリアゾロ−インダゾール(XIX)とする。
【0156】
上記式(X)で表される三環インダゾールカルボン酸は、例えば、上記スキーム1において示した合成法を用いて好適に置換された二環式カルボン酸又はエステル誘導体の環付加により調製できる。置換された二環インダゾールカルボン酸は、式(XX):
【化15】

で表される化合物から、開環、ジアゾ化、還元及び環化を含む一連の反応により調製できる。置換イサチン類似体を開環してオルト−アミノ−グリオキシル酸誘導体を得ることは、アルカリ水溶液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、適度に加熱、例えば、35℃の温度で加熱しながらおこなうことができる。次に、亜硝酸(例えば、亜硝酸ナトリウムと硫酸から生成したもの)で低温(例えば、約5℃)での処理により、アミンを、ジアゾニウム塩に転化できる。ジアゾニウム塩を、還元剤、例えば、塩化錫(II)を用いて還元して、ヒドラジンを形成した後、シクロ縮合反応によりインダゾールに対して環化する。
【0157】
式(XX)で表されるイサチン類似体は、種々の公知の方法により調製できる。
【0158】
例えば、Hewawasam等、Tetrahedron Letters,1994,35,7303−7306に記載の方法によれば、N保護アミノベンゼン環を、オルト−リチウム化でき、リチウム化した中間体をシュウ酸ジエチルと反応させてα−ケトエステルとし、アミノ基を脱保護して環化によりイサチン類似体を得ることができる。
【0159】
Garden等、Tetrahedron Letters,1997,38,1501−1504の方法によれば、置換アミノベンゼン環を、トリクロロアセトアルデヒド及びヒドロキシルアミンと、酸の存在下で反応させてα−イソニトロソアセチルアミノベンゼン環とし、環化してイサチン類似体を得る。
【0160】
Kraynack等、Tetrahedron Letters,1998,39,7679−7682の方法によれば、置換イサチン類似体は、対応の三環2−オキソ−インドリン誘導体のγ−ジ臭素化及び続いて得られたジブロモ化合物を加水分解することにより形成できる。
【0161】
三環インダゾールカルボン酸を得るための環付加用原料として使用できる置換インダゾール3−カルボン酸は、H.Harada等、Chem.Pharm.Bull.,43(11),1912−1930(1995)に記載されている。置換インダゾール3−カルボン酸及びエステルを製造するための合成方法のさらなる例が、WO01/58869(Bristol Myers Squibb)に記載されている。
【0162】
また、式(I)の化合物は、好適な置換基及び好適な反応基を有する式(I)の他の化合物から調製することもできる。例えば、R〜Rの一つ以上が臭素又はヨウ素、特にヨウ素である化合物は、式(I)の他の化合物の調製のための中間体として使用できる。R〜Rの一つ以上がアミン基である化合物を使用して、ピロリル基等のN連結複素環式置換基を調製し、アミノ基又はヒドロキシル基からなるか、又はそれを含む基を、標準法により転化してアミド、エステル及びエーテルとすることができる。
【0163】
官能基相互転化の他の例が、Fiesers’ Reagentsfor Organic Synthesis,第1〜17巻、John Wiley、Mary Fieser編(ISBN:0−471−58283−2)及びOrganic Syntheses、第1〜8巻、John Wiley、Jeremiah P.Freeman編(ISBN:0−471−31192−8),1995に記載されている。
【0164】
上記した反応の数多くのものでは、分子上の望ましくない位置で反応が生じるのを防ぐために一つ以上の基を保護することが必要なことがある。保護基並びに保護及び脱保護官能基の方法が、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(T.Green及びP.Wuts;第3版;John Wiley and Sons,1999)に記載されている。ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(−OR)又はエステル(−OC(=O)R)として、例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)又はトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリル又はt−ブチルジメチルシリルエーテル;又はアセチルエステル(−OC(=O)CH、−OAc)として保護することができる。アルデヒド又はケトン基は、例えば、第一級アルコールとの反応により、カルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR))に転化されるアセタール(R−CH(OR))又はケタール(RC(OR))として保護できる。アルデヒド基又はケトン基は、酸の存在下で、過剰の水を用いて加水分解により容易に再生される。アミン基は、例えば、アミド(−NRCO−R)又はウレタン(−NRCO−OR)として、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz)として;t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Boc)として;2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Bpoc)として、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)として、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)として、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)として、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)として、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)として又は2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として保護できる。アミン、例えば、環状アミン類及び複素環式N−H基のための他の保護基には、トルエンスルホニル(トシル)及びメタンスルホニル(メシル)基並びにベンジル基、例えば、パラ−メトキシベンジル(PMB)基などがある。カルボン酸基は、エステル、例えば、C1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例えば、C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;又はC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);又はアミド、例えば、メチルアミドとして保護できる。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)として保護できる。
【0165】
式(I)の化合物を調製するのに使用できるプロセスを、以下の具体例で詳細に説明する。
【0166】
式(X)〜(XX)の化学的中間体は、本発明のさらなる態様である。
【0167】
医薬製剤
また、本発明によれば、医薬組成物の形態の上記で定義した式(I)の化合物が提供される。
【0168】
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与又は経皮投与に好適な形態であることができる。組成物が非経口投与を意図している場合には、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に製剤化してもよいし、注射、注入又は他の供給手段により標的臓器又は組織に直接供給できるように製剤化してもよい。
【0169】
経口投与に好適な医薬剤形には、錠剤、カプセル剤、カプレット、丸剤、ロゼンジ、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠剤、カシェ剤又はパッチ剤及び頬側パッチ剤などがある。
【0170】
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の方法に準じて製剤化できる(例えば、Remington‘s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing社、イーストン、ペンシルバニア州、米国参照)。
【0171】
したがって、錠剤組成物は、一回量の活性化合物を、不活性希釈剤又は担体、例えば、糖又は糖アルコール、例えば;乳糖, ショ糖, ソルビトール又は マンニトール;及び/又は非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム又はセルロース又はその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びデンプン、例えば、トウモロコシデンプンとともに含有できる。また、錠剤は、標準的な成分、例えば、結合及び造粒剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、膨潤性架橋ポリマー、例えば、架橋カルボキシメチルセルロース)、平滑剤(例えば、 ステアリン酸塩)、防腐剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液又はクエン酸緩衝液)、及び発泡剤、例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物を含有してもよい。このような賦形剤は、周知であり、ここでは詳細には説明する必要がない。
【0172】
カプセル剤は、硬質ゼラチン状又は軟質ゼラチン状でよく,固体、半固体又は液体状の活性成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチン又はその合成若しくは植物由来の等価物から形成できる。
【0173】
固形投与剤形(例えば、錠剤、カプセル剤等)を、コーティングを施したものでも、コーティングを施さないものでもよいが、典型的には例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックス又はワニス)又は放出制御コーティングを施す。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で活性成分が放出されるように設計できる。したがって、コーティングは、胃腸管内の一定pH条件下で分解して、選択的に胃又は回腸若しくは十二指腸において化合物を放出するように選択できる。
【0174】
コーティングの代わり又はコーティングの他に、薬剤を、固体マトリックスで用いることができる。この固体マトリックスは、胃腸管における酸性又はアルカリ性を変化させる条件下で化合物を選択的に放出するようにすることができる放出制御剤、例えば、放出遅延剤を含む。別法として、マトリックス材料又は放出遅延コーティングは、剤形が胃腸管を通過するにつれて実質的に連続的に浸食する浸食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。さらなる別法として、活性化合物は、化合物の放出の浸透制御する供給系で製剤化することができる。浸透放出及び他の遅延放出又は持続放出製剤は、当業者に周知の方法にしたがって調製できる。
【0175】
局所使用のための組成物には、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ剤、ゲル剤、液滴及び挿入物(例えば、眼内挿入物)などがある。このような組成物は、公知の方法により製剤化できる。
【0176】
非経口投与用の組成物は、典型的には無菌水性若しくは油状溶液又は微細懸濁液として提供されるが、注射用無菌水で即座に構成できる微細無菌粉末の形態で提供してもよい。
【0177】
直腸又は膣内投与用の製剤としては、例えば、ペッサリー及び坐薬などがあり、これらは、例えば、活性化合物を含有する付形成形性又はワックス状物質から形成できる。
【0178】
吸入投与用組成物は、吸入可能粉末組成物又は液状若しくは粉末スプレーの形態をとることができ、粉末吸入装置又はエアゾールディスペンシング装置を用いて標準的な形態で投与できる。このような装置は、周知である。吸入による投与用の粉末製剤は、典型的には活性化合物を、ラクトース等の不活性固体粉末希釈剤とともに含んでなる。
【0179】
本発明の化合物は、一般的に一回量投与形態で提供され、それ自体典型的には所望レベルの生物学的活性を得るのに十分な化合物を含有する。例えば、経口投与を意図する製剤は、活性成分0.1mg〜2g、より一般的には10mg〜1g、例えば、50mg〜500mgを含有する。
【0180】
活性成分は、それを必要としている患者(例えば、ヒト又は動物患者)に対して、所望の治療効果を得るのに十分な量を投与する。
【0181】
治療方法
式(I)で表される化合物は、サイクリン依存キナーゼが介在する一連の疾病状態又は状況の予防又は治療に有用であろう。このような疾病状態及び状況としては、例えば、上記したものがある。
【0182】
式(I)の化合物は、一般的にこのような投与を必要としている被験者、例えば、ヒト又は動物患者、好ましくはヒトに投与する。
【0183】
化合物は、典型的に治療的又は予防的に有用である量で投与し、且つ一般的に非毒性である量で投与される。しかしながら、一定の状況(例えば、生命をおびやかす疾病においては)式(I)で表される化合物を投与するメリットは、毒作用又は副作用の欠点よりも価値がある。このような場合では、化合物を、一定の毒性と関連する量で投与することが望ましいと考えられる。
【0184】
化合物の典型的な一日量は、体重1キログラム当たり100ピコグラム〜100ミリグラム、より典型的には体重1キログラム当たり10ナノグラム〜10ミリグラムであるが、必要に応じてより高い投与量又はより低い投与量を投与してもよい。究極的には、投与される化合物の量は、治療される疾病の性質又は生理学的条件と見合うものであり、医師の裁量による。
【0185】
式(I)で表される化合物は、単一の治療剤として投与してもよいし、又は特定の疾病状態、例えば、腫瘍性疾患、例えば、上記で定義した癌を治療する一種以上の他の化合物の併用療法で投与してもよい。式(I)で表される化合物とともに投与(同時に投与するか、異なる時間間隔で投与するかとは無関係に)できる他の治療剤としては、例えば、細胞障害剤、細胞増殖又は放射線治療を防止する薬剤などがある。このような薬剤としては、例えば、トポイソメラーゼインヒビター、アルキル化剤、代謝拮抗薬、DNA結合剤及び微小管インヒビター、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサン類及びマイトマイシンCなどがあるが、これらには限定されない。
【0186】
抗真菌性用途
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義した式(I)で表される化合物の抗真菌剤としての使用が提供される。
【0187】
式(I)の化合物は、動物医薬(例えば、ヒト等の哺乳動物の治療)、植物の処理(例えば、農業及び園芸)、又は一般的な抗真菌剤、例えば、保存剤及び殺菌剤として使用できる。
【0188】
本発明の一実施態様によれば、ヒト等の哺乳動物における真菌感染の予防又は治療に使用される、上記で定義した式(I)で表される化合物が提供される。
【0189】
また、式(I)で表される化合物の、ヒト等の哺乳動物における真菌感染の予防又は治療に使用される薬剤の製造のための使用が提供される。
【0190】
例えば、本発明の化合物は、生物のなかでもとりわけカンジダ属(Candida)種、白癬菌属(Trichophyton)種、小胞子菌属(Microsporum)種又は表皮糸状菌属(Epidermophyton)種により生じる局所的真菌感染、又はカンジダアルビカンス(例えば、鵞口瘡及び膣カンジダ症)により生じる粘膜感染を患っているか、又はその危険のあるヒト患者に投与できる。また、本発明の化合物は、例えば、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルスフラーブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルスフミガタス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオディエス(Coccidiodies)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)又はブラストミセス(Blastomyces)により生じる全身性真菌感染の治療又は予防のために投与することもできる。
【0191】
本発明の別の態様によれば、式(I)で表される化合物を農学的に許容できる希釈剤又はキャリアとともに含んでなる、農業(園芸を含む)用途に使用される抗真菌組成物が提供される。
【0192】
さらに、本発明によれば、真菌感染を患った動物(ヒト等の哺乳動物を含む)、植物又は種子の処置方法であって、前記動物、植物若しくは種子、又は前記植物又は種子の遺伝子座を、式(I)で表される化合物の有効量で処置することを含む方法が提供される。
【0193】
また、本発明によれば、植物又は種子における真菌感染の処置方法であって、前記植物又は種子を、抗真菌的に有効な量の上記で定義した殺菌組成物で処置することを含んでなる、方法が提供される。
【0194】
異なるスクリーニングアッセイを使用して、非ヒトCDK酵素に対する特異性を用いて本発明の化合物を選択することができる。真核生物病原体のCDK酵素に対して特異的に作用する化合物を、抗菌又は抗寄生剤として使用できる。CandidaCDKキナーゼのインヒビターであるCKSIは、カンジダ症の治療に使用できる。抗菌剤は、上記で定義した種類の感染、又は日和見感染症(衰弱及び免疫抑制性患者、例えば、白血病及びリンパ腫を患った患者、免疫抑制療法を受けているヒト、並びに誘発しやすい状態、例えば、糖尿病又はAIDSの患者、さらには非免疫抑制患者において一般的に発生する)に対して使用できる。
【0195】
当該技術分野に記載されているアッセイを使用して、真菌症、例えば、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、ブラストミセス症、ゲオトリクム症、クリプトコックス症、クロモブラストミコーシス、コクシジオイデス症、コニジオスポローシス、ヒストプラスマ症、マズラミコーシス、リノスポリジウム症、ノカイジオシス、パラアクチノミセス症、ペニシリウム症、モノリアシス又はスポロトリクス症に関与する少なくとも一種の真菌を抑制するのに有効なことがある薬剤をスクリーニングできる。ディファレンシャルスクリーニングアッセイを使用して、酵母、例えば、アスペルギルスフミガタス(Aspergillus fumigatus)、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルスニデュランス(Aspergillus nidulans)又はアスペルギルステレウス(Aspergillus terreus)からクローニングしたCDK遺伝子を利用することにより、アスペルギルス症の治療において治療的価値がある可能性のある抗菌剤を同定できる。また、真菌感染がムコンニコシスである場合には、CDKアッセイは、酵母、例えば、リゾプスアルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプスオリザエ(Rhizopus oryzae)、アブシディア コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア ラモサ(Absidia ramosa)又はムコルプシルス(Mucorpusillus)由来のものであることができる。他のCDK酵素のソースには、病原体ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)などがある。
【0196】
例えば、化合物の抗菌活性の生体外評価は、最小発育阻止濃度(MIC)を測定することにより実施することができる。最小発育阻止濃度(MIC)は、特定の微生物の成長が生じない、好適な媒体における試験化合物の濃度である。実際には、一連のアガープレート(各々が試験化合物を特定の濃度で含有する)に、例えば、Candida albicansの標準培養を接種し、次に、各プレートを、37℃で適切な期間インキュベーションする。次に、プレートを、真菌の成長の有無について試験し、適切なMIC値を得る。
【0197】
化合物の生体内評価を、一連の投与量レベルで、腹腔内又は静脈内注射によるか、又は経口投与により、真菌、例えば、Candida albicans又はAspergillus flavus菌株を接種したマウスに投与することにより実施できる。化合物の活性を、マウスの未処理群の死亡後のマウスの処理群の生存を基準にして評価できる。活性を、化合物が、感染の致死効果に対して50%の保護が得られる化合物の投与量レベル(PD50)で測定できる。
【0198】
ヒト抗菌用途のためには、式(I)で表される化合物は、単独で投与してもよいし、又は投与の意図する経路及び標準的な薬務にしたがって選択される医薬担体と混合して投与してもよい。したがって、例えば、式(I)で表される化合物は、上記の「医薬製剤」と題する節で説明した処方により、経口投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与又は皮下投与できる。
【0199】
ヒト患者に対する経口及び非経口投与の場合には、式(I)で表される抗菌化合物の1日投与量レベルは、とりわけ経口又は非経口経路で投与したときの化合物の有効性に応じて0.01〜10mg/kg(分割投与)である。化合物の錠剤又はカプセルは、例えば、活性化合物の5mg〜5gを含有したものを、必要に応じて一度又は2回以上に分けて投与できる。いずれにしても、医師は、個々の患者に最適である実際の投与量(有効量)を決定する。投与量は、個々の患者の年齢、体重及び反応により異なる。
【0200】
別法として、式(I)で表される抗菌化合物を、坐剤又はペッサリーの形態で投与してもよいし、又はローション剤、液剤、クリーム、軟膏又は粉剤の形態で局所的に投与してもよい。例えば、これらを、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルジョンからなるクリームに含有させてもよいし、又は1〜10%の濃度で、白ろう又は白色軟質パラフィン基剤からなる軟膏に、必要に応じて安定化剤及び保存剤とともに含有させることができる。
【0201】
上記した治療目的の使用の他に、このようなディファレンシャルスクリーニングアッセイにより開発された抗菌剤は、例えば、食料における保存剤、家畜の体重増加を促進するための飼料のサプリメント、又は無生物の処置、例えば、診療器具及び部屋を除毒するための殺菌製剤に使用できる。同様にして、哺乳動物CDK及び昆虫CDK、例えば、Drosophilia CDK5遺伝子(Hellmich等(1994)FEBS Lett 356:317−21の阻害を並列比較することにより、本明細書に記載の化合物から、ヒト/哺乳動物と昆虫酵素との間を識別するインヒビターを選択できる。したがって、本発明は、ショウジョウバエのような昆虫の管理に使用する等の殺虫剤に本発明の化合物の製剤を使用することを意図する。
【0202】
さらに別の実施態様によれば、一定の対象CDKインヒビターは、哺乳動物酵素に対する植物CDKについての阻害特異性に基づいて選択できる。例えば、植物CDKは、ヒト酵素の一つ以上を用いたディファレンシャルスクリーンに配置して、植物酵素を阻害する最大選択性の化合物を選択できる。したがって、本発明は、具体的には枯れ葉剤等の形態におけるような農業用途の対象CDKインヒビターの製剤を意図している。
【0203】
農業及び園芸の目的では、本発明の化合物は、特定の使用及び意図する目的に適当なように処方した組成物の形態で使用できる。したがって、化合物は、粉剤又は顆粒剤、種子粉衣、水溶液、分散液又は乳剤、ディップ、スプレー、エアゾル剤又はスモークの形態で適用できる。また、組成物は、水和剤、顆粒剤又は粒子の形態で供給するか、又は濃縮物の形態で供給して使用前に希釈してもよい。このような組成物は、農業及び園芸において知られ且つ許容できる通常の担体、希釈剤又は補助剤を含有することができ、これらは、通常の方法にしたがって製造される。また、組成物は、他の活性成分、例えば、除草活性若しくは殺虫活性を有する化合物又はさらなる殺菌剤も含有できる。化合物及び組成物は、多数の方法で適用でき、例えば、植物の葉、茎、枝、種子若しくは根又は土壌や他の成長媒体に直接適用することができ、これらは、病気を根絶するためだけでなく、植物又は種子を攻撃から予防的に保護するのに使用できる。例えば、組成物は、活性成分を、0.01〜1重量%含有することができる。畑に使用するためには、活性成分の適当な適用率は、50〜5000g/ヘクタールであることができる。
【0204】
また、本発明は、式(I)で表される化合物を、木材腐朽菌の防除及び植物が成長する土壌、苗用水田、又は潅流用水の処理に使用することを意図している。また、本発明は、式(I)で表される化合物を使用して保存穀物及び他の非植物遺伝子座に真菌類が蔓延するのを防止することも意図している。
【実施例】
【0205】
以下、本発明を、以下の実施例に記載される具体的実施態様を参照して説明するが、本発明は、これらには限定されない。
【0206】
以下の実施例において、調製した化合物は、2つのシステムを用いた液体クロマトグラフィーと質量分析により特徴付けた。その詳細を、以下で説明する。塩素が存在する場合には、化合物についての質量は、35Clについてである。これらの2つのシステムは、同一のクロマトグラフィーカラムを備えており、同じ動作条件下で実施されるように構成した。使用動作条件も、以下に示す。
【0207】
Platformシステム:
システム:Waters2790/Platform LC
質量分析検出器:Micromass Platform LC
PDA検出器:Waters996PDA
【0208】
分析条件:
溶離剤A:CHCN5%をHO95%に添加したもの(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:10〜95%溶離剤B
流速:1.2ml/分
カラム:Synergi4μm Max−RP C12、80A、50×4.6mm(Phenomenex)
【0209】
MS条件:
キャピラリー電圧:3.5kV
コーン電圧:30V
ソース温度:120℃
【0210】
FractionLynxシステム:
システム:Waters FractionLynx(二重分析/分取)
質量分析検出器:Waters−Micromass ZQ
PDA検出器:Waters2996PDA
【0211】
分析条件:
溶離剤A:CHCN5%をHO95%に添加したもの(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:5〜95%溶離剤B
流速:1.2ml/分
カラム:Synergi4μm Max−RP C12、80A、50×4.6mm(Phenomenex)
【0212】
MS条件:
キャピラリー電圧:3.5kV
コーン電圧:30V
ソース温度:120℃
脱溶媒温度:300℃
【0213】
各例に用いた原料は、特記のない限りは市販のものである。
【0214】
例1
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミドの調製
1A.5−ニトロ−1H−インダゾール−3−カルボン酸の調製
【化16】

【0215】
インダゾール−3−カルボン酸(Fluka)(5g、31mmol)を濃HSO(30ml)に添加して調製した懸濁液に、0℃で、KNO(3.13g、31mmol)を添加した。室温で一晩攪拌して反応させた後、水で希釈し、生成物を、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥した。蒸発乾固して、残留物として、生成物を7−ニトロ異性体との7:3混合物の黄色固体として得た;LCMS2.58分、m/z[M+H]208。
【0216】
1B.5−ニトロ−1H−インダゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化17】

【0217】
ルボン酸1A(2.5g、12.1mmol)をメタノール(40ml)に添加して調製した懸濁液に、濃塩酸(3滴)を添加した。一晩加熱還流して反応させた。反応液を、室温に冷却した。固形分を、濾取し、真空オーブンで乾燥して黄色固体を得た;LCMS3.30分、m/z[M+H]222及び[2M+H]443。
【0218】
1C.5−アミノ−1H−インダゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化18】

【0219】
トロ−インダゾール1B(1.23g、5.57mmol)をエタノール(10ml)に添加して調製した懸濁液に、窒素雰囲気下、酢酸エチル(50ml)を添加し、その後Pd/C(56mg)を添加した。雰囲気をHに交換し、反応混合物に、Hを5分間バブリングした。3時間後、化合物が完全に溶解したことが確認された。反応混合物を、セライト濾過し、濾液を蒸発乾固して生成物アミン[7−ニトロ異性体を約25%含有する]を黄色固体として得た;LCMS2.68分、[M+H]=192。
【0220】
D.2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸メチルエステルの調製
【化19】

【0221】
ンダゾール1C(50mg、0.26mmol)をメタノール(1ml)に添加して調製した溶液に、−5℃で、KSCN(28mg、0.29mmol)を添加した後、臭素(7μl、.13mmol)をゆっくりと添加した。−5℃で2時間反応させた。褐色懸濁液が、形成した。室温まで温めて反応させ、濾過した。生じた固形物を、メタノールで洗浄し、真空オーブンで乾燥して、灰色固体を得た;LCMS1.85分、m/z[M+H]249。
【0222】
E.2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸の調製
【化20】

【0223】
メチルエステル1D(790mg、3.19mmol)をテトラヒドロフラン(THF):HO(24ml、3:1)に懸濁し、LiOH・HO(268mg、6.37mmol)を添加した。反応液を、50℃に温め、一晩攪拌した。次に、反応混合物を中和し、溶媒を蒸発させ、エタノールを添加した。得られた混合物を、沸騰するまで加熱し、生じた塩を濾去した。濾液を蒸発させ、生成物を真空オーブンで乾燥して、カルボン酸を赤色固体として得た;LCMS1.53分、m/z[M+H]235。
【0224】
1F.7−アミノ−1H−ピラゾロ[3’,4’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化21】

【0225】
例1Dのメタノール系濾液に、チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加し、得られた褐色沈殿物を濾過して、不純物含有付加物1.5gを得た。そのうちの50mgを、分取HPLCにより精製して標題化合物約8mgを得た。
【0226】
1G.2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミドの調製
【化22】

【0227】
カルボン酸1E(12mg、0.05mmol)にN−メチルピロリジン(NMP)(1.5ml)を添加したものに、室温で、EDC(16mg、0.10mmol)、HOBT(14mg、0.10mmol)、NMM(11μl、0.10mmol)を添加後、(4−アミノフェニル)−N−メチルメタンスルホンアミド(15mg、0.8mmol)を添加した。80℃に加熱し、2時間反応させた後、冷却した。酢酸エチル及びNaCO(飽和水溶液)を添加(30ml、1:1)し、有機層を分離した。水層を、ふたたび酢酸エチルで洗浄し、有機層をいっしょにし、水洗した後、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。得られた生成物を、濾過し、蒸発乾固した。分取HPLCにより精製して、生成物を黄色固体として得た;LCMS2.21分、m/z[M+H]417。
【0228】
例2
一般的なアミド分取法A
カルボン酸1E(12mg、0.05mmol)にN−メチルピロリジン(NMP)(1.5ml)を添加したものに、室温で、EDC(16mg、0.10mmol)、HOBT(又はHOAt)(0.10mmol)、NMM(11μl、0.10mmol)及び対応のアミン又は適切に置換したアニリン(0.08mmol、1.6当量)を添加した。反応混合物を、80℃に加熱し、2時間反応させた後、冷却した。酢酸エチル及びNaCO(水溶液)を添加(30ml、1:1)し、有機層を分離した。水層を、ふたたび酢酸エチルで洗浄し、有機層をいっしょにし、水洗した後、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。得られた生成物を、濾過し、蒸発乾固した。化合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、上記したシステムのどちらかを用いた液体クロマトグラフィー及び質量分析により特徴付けた。
【0229】
例3
一般的なアミド分取法B
カルボン酸1E(0.59g、2.5mmol)をN−メチルピロリジン(NMP)(10ml)に添加して調製した溶液に、対応のアミン(1.2当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.6ml、9.0mmol、3.6当量)及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.05g、2.75mmol、1.1当量)を添加した。混合物を、24〜72時間攪拌し、必要に応じてさらにO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。水(10ml)及びジクロロメタン(10ml)により、反応を停止させた。得られた化合物を、析出した生成物を濾取した後、得られた固形物を水及びジクロロメタンで粉砕することにより、精製した。生成物を、上記したシステムのどちらかを用いて液体クロマトグラフィー及び質量分析により特徴付けした。
【0230】
分取法A又は分取法Bを使用して、以下の化合物を調製した。
【0231】
例4
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[4−(アセチルアミノ−メチル)−フェニル]−アミドの合成
【化23】

【0232】
HOBTを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.05分、m/z[M+H]381。
【0233】
例5
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸フェニルアミドの合成
【化24】

【0234】
HOBTを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.23分、m/z[M+H]310。
【0235】
例6
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−スルファモイル−フェニル)−アミドの合成
【化25】

【0236】
HOBTを用いて、方法Aを実施した。LCMS1.86分、m/z[M+H]389。
【0237】
例7
4−[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの合成
【化26】

【0238】
方法Bを、実施した。LCMS2.08分、m/z[M+H]389。
【0239】
例8
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロヘキシルアミドの合成
【化27】

【0240】
方法Bを、実施した。LCMS2.3分、m/z[M+H]316。
【0241】
例9
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[2−(1H−イミダゾール−4−イル)−エチル]−アミドの合成
【化28】

【0242】
HOBTを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.49分、m/z[M+H]328。
【0243】
例10
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ベンジルアミドの合成
【化29】

【0244】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.23分、m/z[M+H]324。
【0245】
例11
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの合成
【化30】

【0246】
4−アミノ−1−BOC−ピペリジンを、方法Aにおいて概略説明した標準EDC/HOBTカップリングでカルボン酸1Eに結合させた。次に、BOC化合物(20mg、0.06mmol)を、HCl飽和EtOAc(5ml)で処理し、室温で一晩攪拌した。析出した固体を、濾取し、分取HPLCで精製して、オフホワイト固体の生成物を得た;LCMS0.4分、m/z[M+H]317。
【0247】
例12
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミドの合成
【化31】

【0248】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.44分、m/z[M+H]346。
【0249】
例13
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
【化32】

【0250】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.32分、m/z[M+H]327。
【0251】
例14
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロペンチルアミドの合成
【化33】

【0252】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.09分、m/z[M+H]301。
【0253】
例15
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(3−モルホリン−4−イル−プロピル)−アミドの合成
【化34】

【0254】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.52分、m/z[M+H]361。
【0255】
例16
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(2−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−アミドの合成
【化35】

【0256】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS1.81分、m/z[M+H]346。
【0257】
例17
4−{[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化36】

【0258】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.46分、m/z[M+H]431。
【0259】
例18
3−[(2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化37】

【0260】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.46分、m/z[M+H]417。
【0261】
例19
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸ピペリジン−3−イルアミドの合成
【化38】

【0262】
上記化合物18(0.1g、0.24mmol)をCHCl(2ml)に添加して調製した懸濁液に、TFA(0.2ml)を添加し、反応液を、室温で1時間撹拌した。析出した固体を、濾過し、CHClで洗浄した後、エーテルで洗浄した。生成物を、真空オーブンで乾燥して、オフホワイト固体を得た;LCMS0.62分、m/z[M+H]317。
【0263】
例20
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(ピリジン−4−イルメチル)−アミドの合成
【化39】

【0264】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.61分、m/z[M+H]324。
【0265】
例21
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
【化40】

【0266】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.49分、m/z[M+H]331。
【0267】
例22
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミドの合成
【化41】

【0268】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.70分、m/z[M+H]422。
【0269】
例23
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミドの合成
【化42】

【0270】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.51分、m/z[M+H]330。
【0271】
例24
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミドの合成
【化43】

【0272】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.71分、m/z[M+H]331。
【0273】
例25
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−エチル]−アミドの合成
【化44】

【0274】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.61分、m/z[M+H]342。
【0275】
例26
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミドの合成
【化45】

【0276】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS1.71分、m/z[M+H]332。
【0277】
例27
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(5−メチル−イソキサゾール−3−イルメチル)−アミドの合成
【化46】

【0278】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS1.80分、m/z[M+H]329。
【0279】
例28
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミドの合成
【化47】

【0280】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS0.67分、m/z[M+H]318。
【0281】
例29
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アミドの合成
【化48】

【0282】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.63分、m/z[M+H]346。
【0283】
例30
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸アミドの合成
【化49】

【0284】
化合物1E(0.1g、0.43mmol)を、NMP(1ml)に懸濁し、2−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート[TOTT](0.2g、0.64mmol)で処理した後、DIPEA(0.14ml、0.85mmol)及び塩化アンモニウム(0.046g、0.85mmol)で処理した。反応液を、室温で2時間撹拌した後、CHClで希釈して固体を析出させた。この固体を、分取HPLCで精製して、オフホワイト固形物の生成物を得た;LCMS2.71分、m/z[M+H]234。
【0285】
例31
2−アミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸4−メトキシ−ベンジルアミドの合成
【化50】

【0286】
HOAtを用いて、方法Aを実施した。LCMS2.15分、m/z[M+H]354。
【0287】
例32
2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)アミドの合成
32A.5−ニトロ−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミドの調製
【化51】

【0288】
5−ニトロ−1H−インダゾール−3−カルボン酸、1A(6.5g、31.5mmol、1.0当量)を、DMF(200ml)に添加して調製した溶液に、4−フルオロアニリン(33.3ml、34.6mmol、1.1当量)、HOBT(5.1g、37.7mmol、1.2当量)及びEDC(7.2g、37.7mmol、1.2当量)を添加した。得られた混合物を、72時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を、酢酸エチル及び炭酸水素ナトリウム水溶液に懸濁させた。析出物を集め、炭酸水素ナトリウム水溶液に再懸濁し、10分間攪拌した。固形物を集め、真空オーブンで乾燥して、標題化合物(7.77g、82%)を、7−ニトロ異性体との8:2混合物として得た;LCMS3.83分、m/z[M+H]300。
【0289】
32B.5−アミノ−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミドの調製
【化52】

【0290】
窒素雰囲気下の化合物32A(7.3g、24.3mmol)と、10%Pd/C(0.7g)と、エタノール(200ml)と、DMF(200ml)との混合物を、水素雰囲気下で18時間攪拌した。次に、触媒を除去し、濾液を蒸発乾固して、標題化合物(4.94g、75%)を、7−ニトロ異性体との8:2混合物として得た;LCMS1.95分、m/z[M+H]270。
【0291】
32C.5−アミノ−4−ブロモ−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミドの調製
【化53】

【0292】
32B(4.9g、18.3mmol)をMeOH(10.5ml)に添加して調製した懸濁液を攪拌しながら、−5℃で、臭素を滴下した。反応混合物を、−5℃で1時間攪拌した後、温めて10℃とした。反応物を、チオ硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ、得られた懸濁液を攪拌した。生じた固体を集め、水洗した後、真空オーブンで乾燥して標題化合物32C(6.9g)を得た。この化合物は、さらなる精製をおこなうことなく使用した;LCMS2.89分、m/z[M+H]348。
【0293】
32D.2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの調製
【化54】

【0294】
化合物32C(100mg、0.287mmol)をメタノール(5ml)に添加して調製した溶液に、エチルイソチオシアネート(27.5mg、0.315mmol)を添加し、反応混合物を、電子レンジにより、150℃(50W)で10分間加熱した。溶媒を、蒸発させて除去し、粗精製物を、分取LCMSにより精製し、生成物含有画分を蒸発させて、生成物13mg(12.8%)を得た;LCMS2.65分、m/z[M+H]356。
【0295】
例33
2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミドの合成
33A.5−ニトロ−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミドの調製
【化55】

【0296】
化合物1Aをジクロロメタン(8ml)に添加したものに、(4−アミノ−フェニル)−N−メチル−メタンスルホンアミド(1.2当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.2ml、7.2mmol、3.6当量)及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(0.84g、2.20mmol、1.1当量)を添加した。得られた混合物を、24〜72時間攪拌した後、水(8ml)及びジクロロメタン(8ml)により反応を停止した。水とジクロロメタンを濾過により除去し、固形物を、水とジクロロメタンで粉砕した。標題化合物を、さらに分取クロマトグラフィーにより精製した;LCMS3.30分、m/z[M+H]390。
【0297】
33B.2−エチルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−メチルスルファモイルメチル−フェニル)−アミドの調製
【化56】

【0298】
インダゾール33A(150mg、0.39mmol)をエタノール:DMF(1:1、2ml)に添加して調製した懸濁液に、窒素雰囲気下でPd/C(40mg)を添加した。雰囲気を、Hに置き換え、Hを、反応混合物に5分間バブリングした。16時間後、反応混合物を、セライト濾過し、濾液を、蒸発乾固して生成物を得た。得られたアミン(200mg、0.56mmol)をMeOH(3.5ml)に添加して調製した懸濁液に、−5℃で、エチルイソチオシアネート(55μl、0.61mmol)及び臭素(14μl、0.28mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を、−5℃で1時間攪拌し、室温に温めて、16時間その状態とした。反応物を、チオ硫酸ナトリウム(飽和水溶液)に注ぎ、生成物を、EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、水、食塩水で洗浄後、MgSOで乾燥した。生成物を、濾過し、減圧下で蒸発して、赤色固体の臭化物を得た。この臭化物(50mg、0.11mmol)を、MeOH(0.7ml)に入れ、エチルイソチオシアネート(0.113μl、1.25mmol)を添加した。反応物を、70℃で16時間加熱した。HPLCにより精製したところ、桃色の固体が得られた;LCMS2.20分、m/z[M+H]445。
【0299】
例34
2−メチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
34A.5−アミノ−4−ブロモ−1H−インダゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化57】

【0300】
アミン1C(50mg、0.26mmol)をTHF(1ml)に添加して調製した溶液に、−5℃で、一滴の濃HSO及びNBS(46mg、0.26mmol)をゆっくりと添加した。反応物を、−5℃で90分間保持した。NaCO約100mgを添加後、チオ硫酸ナトリウム(飽和水溶液)を添加した。反応物を温めて室温にし、生成物を、EtOAc(×2)で抽出した。有機層を合わせ、水、食塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥した。生成物を、濾過し、減圧下で蒸発させた。生成物を、フラッシュクロマトグラフィーで精製して、無色結晶の臭化物34Aを得た;LCMS2.41分、m/z[M+H]270/272。
【0301】
34B.1−アセチル−5−アセチルアミノ−4−ブロモ−1H−インダゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化58】

【0302】
インダゾール34A(2.0g、7.4mmol)をDCM(25ml)に添加して調製した懸濁液に、−78℃で、EtN(1.23ml、8.9mmol)を添加後、塩化アセチル(0.7ml、8.1mmol)を滴下した。反応物を、−78℃で1時間攪拌した後、温めて室温とした。反応を、NaCO(飽和水溶液)により停止させ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせ、水及び食塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥した。生成物を、濾過し、減圧下で蒸発させて、褐色固体を得た。得られた化合物を、真空オーブンで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:EtOAcで勾配溶出)により精製して、黄色固体の2種類の生成物を得た;LCMS2.92分、m/z[M+H]312/314;LCMS3.34分、m/z[M+H]353/355。
【0303】
34C.6−アセチル−2−メチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸メチルエステルの調製
【化59】

【0304】
インダゾール34B(100mg、0.28mmol)をトルエン(2.0ml)に添加して調製した懸濁液に、N下でローソン試薬(59mg、0.14)を添加した。得られた混合物を、1時間加熱還流した。反応物を、冷却し、シリカカラム(勾配溶出EtOAc:DCM)で濾過した。濾液を、減圧下で蒸発乾固させた。メタノールを添加すると、生成物である34Cが析出した。これを、濾過し、粗精製物のまま次の反応に用いた;LCMS3.91分、m/z[M+H]290。
【0305】
34D.2−メチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸の調製
【化60】

【0306】
メチルエステル34C(24mg、0.08mmol)を、テトラヒドロフラン(THF):HO(3ml、3:1)に懸濁し、LiOH・HO(7μg、0.17mmol)を添加した。反応混合物を、温めて50℃にし、一晩攪拌した。溶媒を、蒸発除去させ、エタノールを添加した。得られた混合物を、沸騰するまで加熱した後、濾過した。得られた固形物を、真空オーブンで乾燥して、標題のカルボン酸を得た;LCMS2.06分、m/z[M+H]234。
【0307】
34E.2−メチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
【化61】

【0308】
HOAt、化合物34D及び4−フルオロアニリンを用いて、方法Aを実施した;LCMS3.62分、m/z[M+H]327。
【0309】
例35
2−ピロール−1−イル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
35A.2−ピロール−1−イル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸メチルエステルの調製
【化62】

【0310】
インダゾール1D(100mg、0.40mmol)を酢酸(1.3ml)に添加して調製した混合物に、酢酸ナトリウム(0.66mg、0.48mmol)及び2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(0.117ml、0.89mmol)を添加した。反応液を、120℃で3.5時間加熱した。反応液を、冷却し、水(10ml)により反応を停止させた。析出物を、濾過し、減圧乾燥し、トルエンを用いて2回蒸発操作をおこない、固体35Aを得た。この固体を、次の反応に用いた;LCMS3.64分、m/z[M+H]299。
【0311】
35B.2−ピロール−1−イル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸の調製
【化63】

【0312】
メチルエステル35Aを、上記したようにして水酸化リチウムを用いて加水分解した。得られた固形物を、真空オーブンで乾燥してカルボン酸35Bを得た;LCMS3.05分、m/z[M+H]285。
【0313】
35C.2−ピロール−1−イル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの調製
【化64】

【0314】
HOAt、35B及び4−フルオロアニリンを用いて、方法Aを実施した;LCMS4.55分、m/z[M+H]378。
【0315】
例36
2−シクロプロピルアミノ−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
【化65】

【0316】
5−アミノ−4−ブロモ−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド(化合物32C)(200mg、0.57mmol)をメタノール(5ml)に添加して調製した溶液に、シクロプロピルイソチオシアネート(59μl、0.63mmol)を添加し、反応混合物を、電子レンジにより、120℃(50W)で15分間加熱した。溶媒を、蒸発除去し、粗生成物を、分取LC/MSにより精製し、生成物含有画分を蒸発させて、褐色固体の生成物10mg(4.8%)を得た;LC/MS2.90分、m/z[M+H]367.66。
【0317】
例37
2−ヒドロキシメチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
37A.1−(2−アセトキシ−アセチル)−5−(2−アセトキシ−アセチルアミノ)−4−ブロモ−1H−インダゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化66】

【0318】
インダゾール34A(780mg、2.89mmol)をDCM(9.6ml)に添加して調製した懸濁液に、−78℃で、EtN(922μl、6.64mmol)を添加した後、アセトキシアセチルクロリド(704μl、6.35mmol)を滴下した。反応物を、−78℃で2時間攪拌した後、温めて室温とし、さらに2時間攪拌した。反応を、NaCO(飽和水溶液)により停止し、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせ、水及び食塩水で洗浄後、MgSOで乾燥した。生成物を、濾過し、減圧下で蒸発させて、褐色固体を得た。化合物37Aを真空オーブンで乾燥し、次の反応に用いた;LCMS3.26分、m/z[M+H]470/472。
【0319】
37B.6−(2−アセトキシ−アセチル)−2−(2−アセトキシ−メチル)−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸メチルエステルの調製
【化67】

【0320】
インダゾール37A(320mg、0.68mmol)をトルエン(4.5ml)に添加して調製した懸濁液に、N下、ローソン試薬(165mg、0.41)を添加した。得られた混合物を、16時間加熱還流した。反応物を、冷却し、シリカカラムで濾過(EtOAc:MeOH=1:1で溶離)した。濾液を、減圧下で蒸発乾固した。MeOHを添加すると、生成物が析出した。この析出物を、濾過し、真空オーブンで乾燥した。生成物37B(粗精製物)を、次の反応に用いた;LCMS3.59分、m/z[M+H]406。
【0321】
37C.2−ヒドロキシメチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸の調製
【化68】

【0322】
メチルエステル37Bを、上記したようにして水酸化リチウムで加水分解した。得られた固形物を、真空オーブンで乾燥してカルボン酸37Cを得た;LCMS1.70分、m/z[M+H]249。
【0323】
37D.2−ヒドロキシメチル−6H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−8−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミドの合成
【化69】

【0324】
HOBT、37C及び4−フルオロアニリンを用いて、方法Aを実施した;LCMS2.92分、m/z[M+H]343。
【0325】
例38〜43
上記した合成方法及び適当な原料を用いて、下表2の化合物を調製した。
【0326】
【表2】


【0327】
生物活性
例44
CDK2キナーゼ制御作用(IC50)の測定
本発明の化合物を、以下のプロトコールを用いてキナーゼ阻害活性について試験した。
【0328】
活性CDK2/サイクリンA(Upstate Biotechnology、10U/μl)1.7μlを、アッセイ緩衝液(10×濃度アッセイ緩衝液(250μl)(200mM MOPS pH7.2、250mM β−グリセロホスフェート、50mM EDTA、150mM MgCl)、10mM ATP11.27μl、1M DTT2.5μl、100mM オルトバナジウム酸ナトリウム25μl、HO 708.53μl)に希釈し、10μlを、ヒストン基質混合物(ウシヒストンH1 60μl(Upstate Biotechnology、5mg/ml)10μl、HO 940μl、35μCiγ33P−ATP)と混合し、96ウエルプレートに、試験化合物をDMSO(2.5%まで)に種々の希釈率で希釈したもの(5μl)とともに添加した。反応を5時間おこなった後、過剰量のオルト−リン酸(濃度2%、30μl)により停止する。
【0329】
ヒストンH1に組み込まれないままであるγ33P−ATPを、Millipore MAPHフィルタープレートでリン酸化ヒストンH1から分離する。MAPHプレートのウエルを、0.5%オルトリン酸で湿潤した後、反応物をMillipore真空濾過装置でウエルを介して濾過する。濾過後、残留物を、0.5%オルトリン酸200μlで2回洗浄する。フィルターを乾燥後、Microscint20シンチラント25μlを添加した後、Packard Topcountで30秒間カウントする。
【0330】
CDK2活性の阻害率(%)を算出し、プロットして、CDK2活性の50%を阻害するのに必要な試験化合物の濃度(IC50)を求める。
【0331】
例1D、1F、1G及び4〜43の化合物は、全てIC50値が20マイクロモル未満であるか、又は0.03マイクロモルの濃度での少なくとも50%の阻害率を示し、大多数のIC50値は、1マイクロモル未満である。
【0332】
医薬製剤
例45
(i)錠剤
化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mg、滑剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、公知の方法で圧縮して錠剤を形成することにより、式(I)の化合物を含有する錠剤組成物を調製する。
【0333】
(ii)カプセル剤
式(I)の化合物100mgとラクトース100mgを混合し、得られた混合物を標準不透明硬質ゼラチンカプセルに充填することにより、カプセル剤を調製する。
【0334】
例46
抗真菌活性の測定
式(I)の化合物の抗真菌活性を、以下のプロトコールを用いて測定する。
【0335】
化合物を、カンジダパラプシローシス、カンジダトロピカリス、カンジダアルビカンス−ATCC36082及びクリプトコックスネオフォルマンスを含む真菌のパネルに対して試験する。試験生物を、4℃のSabourahd Dextrose Agarの斜面に維持する。0.05モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)を添加したアミノ酸(ミシガン州デトロイトにあるDifco社)、pH7.0を含有する酵母−窒素塩基ブロス(YNB)中、回転ドラム上で酵母を27℃で一晩成長させることにより、各生物の単一体懸濁液を調製する。次に、懸濁液を、遠心分離し、0.85%NaClで2回洗浄してから、洗浄した細胞懸濁液を、4秒間で超音波処理する(コネチカット州ダンバリーにあるBranson Sonifier社、モデル350)。単一体出芽胞子を、血球計算器でカウントし、0.85%NaClで所望濃度に調整する。
【0336】
試験化合物の活性を、ブロス微量希釈法の改良法を用いて測定する。試験化合物を、DMSOに希釈して1.0mg/ml比とした後、MOPS(フルコナゾールは、対照として使用する)を添加したYNBブロス(pH7.0)で64μg/mlに希釈することにより、各化合物の希釈標準溶液を調製する。96ウェルプレートを用いて、ウエル1及びウエル3〜12を、YNBブロスを用いて調製し、化合物溶液の10倍希釈液を、ウェル2〜11(濃度範囲は、64〜0.125μg/ml)に調製する。ウエル1は、不妊症の対照及び分光光度アッセイのブランクとしての役割を果たす。ウエル12は、成長の対照としての役割を果たす。マイクロタイタープレートに、ウェル2〜11の各々の10μlを接種する(最終接種材料サイズは、生物10/mlである)。接種したプレートを、35℃で48時間インキュベーションする。ボルテックスミキサー(ニューヨーク州BolemiaにあるScientific Industries社、Vorte−Genie2ミキサー)で2分間プレートを攪拌した後、420nm(デラウエア州ウィルミントンにあるDuPont Instruments社、Automatic Microplate Reader)で吸光度を測定することにより、MIC値を、分光光度法で測定する。MIC終点は、対照ウエルと比較して成長の約50%(又はそれ以上)の減少を示す最低薬剤濃度として定義される。濁度アッセイにより、これは、ウエルにおける濁度が対照の50%未満である最低薬剤濃度(IC50)として定義される。96ウエルプレートから全てのウエルをSabourahd Dextrose Agar(SDA)プレート上に継代培養し、35℃で1〜2日間インキュベーションした後、生存度を確認することにより、最小細胞溶解濃度(MCC)を測定する。
【0337】
例47
生体内全植物真菌感染の対照の生物学的評価のプロトコル
式(I)の化合物をアセトンに溶解して、順次連続希釈して一連の所望の濃度とした。病原体に応じて、0.05%Tween−20(商標)水溶液又は0.01%Triton X−100(商標)水溶液の9容を添加することにより最終処理量を得る。
【0338】
次に、組成物を使用して、以下のプロトコルを用いて、トマト胴枯れ病(ファイトフィソラインフェスタンス(Phytophthora infestans))に対する本発明の化合物の活性を試験する。トマト(品種Rutgers)を、種子から、土壌−少量ピート系ポッティング混合物で、苗が10〜20cmの高さになるまで成長させる。次に、植物に、試験化合物を100ppmの割合でスプレーした。24時間後、試験植物に、ファイトフィソラインフェスタンスの水性胞子嚢懸濁液を噴霧して接種し、デューチャンバーに一晩保持する。次に、植物を温室に移し、未処理対照植物に病気が発生するまで保つ。
【0339】
また、同様のプロトコルを使用して、コムギ赤さび病(Puccinia)、コムギうどんこ病(Ervsiphe vraminis)、コムギ(Monon品種)、コムギ葉枯病(Septoria tritici)及びコムギふ枯病(Leptosphaeria nodorum)の防除についての本発明の化合物の活性についての試験をおこなう。
【0340】
均等
上記の実施例は、本発明を説明する目的で記載したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。非常に数多くの修正及び変更を、本発明の原理から逸脱することなく、上記に記載し且つ実施例で説明した本発明の具体的実施態様に対しておこなうことができることは、容易に理解されるところであろう。全てのこのような修正及び変更は、本願に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物:
【化1】

[式中、
Eは、O、S又はNHであり;
Gは、水素;環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;並びに非環式C1−8ヒドロカルビル基(前記非環式C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記非環式C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;但し、E−Gは、OH又はSHではなく、さらにE−Gは、基O−Oを含まないものであり;
、R、R及びRから選択された2つの隣接する部分が、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成し;R、R、R及びRから選択された他の2つの部分は、同一又は異なり、各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素又はC1−4ヒドロカルビルであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)から選択されたものである]。
【請求項2】
及びRは、それらが結合している炭素原子とともに、縮合複素環式基を形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記縮合複素環が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−4ヒドロカルビルから選択されたものであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)
から選択された一つ以上の基R10により置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
10は、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜7である単環炭素環式基及び複素環式基、基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素及びC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置換されていてもよい)から選択されたものであり;R、X及びXは、上記で定義したとおりである)から選択されたものである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記縮合複素環上の前記置換基R10は、アミノ、モノ又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、C1−4ヒドロカルビル(前記C1−4ヒドロカルビルは、ヒドロキシル又はアミノにより置換されていてもよい)、並びにN、O及びSから選択された1、2又は3個の異種原子を含むN結合単環複素環式基から選択されたものである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記置換基R10は、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロプロピルアミノ、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、N−ピロリジニル及びN−イミダゾリルから選択されたものである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記縮合複素環の一部分を構成していない他の2つの基R〜Rが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メチル、エチル、シクロプロピル、トリフルオロメチル又はアミノから選択されたものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記基が、水素、メチル、フッ素又は塩素から選択されたものである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記基が、各々水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記縮合複素環が、芳香環である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記縮合複素環が、5員又は6員環、好ましくは5員環である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記縮合環が、チアゾロ縮合環、イソチアゾロ縮合環、オキサゾロ縮合環、イソキサゾロ縮合環、ピロロ縮合環、ピリド縮合環、チエノ縮合環、フラノ縮合環、ピリミド縮合環、ピラゾロ縮合環、ピラジノ縮合環及びイミダゾロ縮合環から選択されたものである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記縮合環が、チアゾロ、オキサゾロ、イミダゾロ及びピリドから選択されたものである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記縮合環が、チアゾロである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Eが、O及びNHから選択されたものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
Eが、NHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Gは、水素;環員数が5又は6である単環炭素環式基及び複素環式基;並びに非環式C1−4ヒドロカルビル基(前記非環式C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、、ハロゲン、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が5又は6である単環炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)から選択されたものであり;但し、E−Gは、基OH又はSHでない、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
Gが、炭素環式基及び複素環式基から選択されたものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
Gが、環員数が5又は6である単環炭素環式基及び複素環式基から選択されたものである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Gが、アリール基又はヘテロアリール基である、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項21】
前記基Gが、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズフラニル、ベンズチオフェニル、クロマニル、チオクロマニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリル及びベンズイソチアゾール、イソベンゾフラニル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾリル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、イソクロメニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル及びプテリジニルから選択されたものである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Gが、フェニル、イミダゾリル、ピリジル及びイソキサゾール基から選択されたものである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Gが、フェニル基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
Gが、シクロヘキシル又はシクロペンチル等の非芳香族炭素環式基である、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項25】
Gが、非芳香族複素環式基である、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項26】
前記非芳香族複素環式基が、モルホリン、ピペリジン(例えば、4−ピペリジニル及び3−ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、3−ピロリジニル及び2−ピロリジニル)、ピロリドン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、ピペラジン、及びN−アルキルピペラジン類、例えば、N−メチルピペラジンから選択されたものである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記非芳香族基が、テトラヒドロピラン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン及びピロリジンから選択されたものである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Gが、未置換炭素環式基又は複素環式基である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Gが、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−4ヒドロカルビルから選択されたものであり;そして
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)
から選択された一つ以上の置換基R10により置換された炭素環式基又は複素環式基である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
Gが、非環式C1−8ヒドロカルビル基(前記非環式C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記非環式C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
前記基Gは、非環式C1−8ヒドロカルビル基(前記非環式C1−8ヒドロカルビル基は、環員数が3〜12である一つ以上の炭素環式基及び複素環式基により置換されていてもよい)である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記炭素環式基及び複素環式基が、未置換のものである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
前記炭素環式基及び複素環式基が、請求項29に記載の一つ以上の基R10で置換されている、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
前記置換されていてもよい非環式C1−8ヒドロカルビル基は、C1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基、例えば、C、C又はCヒドロカルビル基である、請求項30〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
E−Gが、本明細書における表1に記載の基のいずれか一つである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
式(II)により表される化合物:
【化2】

[式中、
Aは、基R又はCH−R(式中、Rは、環員数が3〜12である炭素環式基又は複素環式基である)であり;
Bは、結合、又はC、N、S及びOから選択された、連結鎖長さが3原子以下である非環式リンカー基であり;
は、水素、又はSO、SONR、CONR、NR及び環員数が3〜7である炭素環式基及び複素環式基から選択された基であり;
及びRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成し;
及びRは、同一又は異なり、各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;Rは、水素、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基並びにC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
及びRは、同一又は異なり、各々が水素又はC1−4ヒドロカルビルであり;
は、O、S又はNR及びXは=O、=S又は=NRである)から選択されたものであり;
は、水素及びC1−8ヒドロカルビル基(前記C1−8ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよく、前記C1−8ヒドロカルビル基の一つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xにより置き換えられていてもよい)から選択されたものであり;
は、R及び環員数が3〜12である炭素環式基及び複素環式基から選択されたものであり;
は、R、COR及びSOから選択されたものであり;
又はNR又はNRは、各々環員数5〜12の複素環式基を形成してもよい]。
【請求項37】
式(III)で表される化合物:
【化3】

(式中、J、L及びMは、各々独立して=N−、−S−、−O−及び=CR11から選択されたものであり、R11は、水素又は基R10であり、ここでR、R、R10、E及びGは、前記請求項のいずれか1項で定義した通りである)。
【請求項38】
J、L及びMのうちの少なくとも一つが、窒素原子以外である、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
J、L及びMのうちの少なくとも一つが、=CR11である、請求項37又は38に記載の化合物。
【請求項40】
式(IV)で表される、請求項37に記載の化合物:
【化4】

【請求項41】
及びRが、水素、又はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はアミノから選択された小さな置換基である、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
及びRが、水素である、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
E−Gは、表1に記載の基A〜AIのいずれか一つである、請求項40〜42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
11が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、モノ−C1−4アルキルアミノ又はジ−C1−4アルキルアミノ、環員数が5〜7である炭素環式基及び複素環式基;並びにC1−4ヒドロカルビル基(前記C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、アミノ及びモノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)から選択されたものである、請求項40〜43のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
11が、アミノ、モノ−C1−4アルキルアミノ又はジ−C1−4アルキルアミノ、環員数が5〜6であり且つN、O及びSから選択された2以下の異種原子を含む複素環式基;及びC1−4ヒドロカルビル基(前記C1−4ヒドロカルビル基は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びモノ−又はジ−C1−4ヒドロカルビルアミノから選択された一つ以上の置換基により置換されていてもよい)から選択されたものである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
11は、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロプロピルアミノ、メチル、エチル、ヒドロキシエチル及びピロリルから選択されたものである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
及びRは、それらが結合する炭素原子とともに、環員数が5〜7であり、N、O及びSから選択された1、2又は3個の環異種原子を有する縮合複素環式基を形成する、請求項1及び3〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
式(V)で表される化合物:
【化5】

(式中、R〜R、A及びBは、前記請求項のいずれか1項で定義した通りである)。
【請求項49】
Aが、基R(ここで、Rは、環員数が6であるアリール基である)であり、Bが、結合又はメチレン基である、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
及びRは、水素及びC1−4アルキルから選択されたものであるか、又はR及びRは、窒素原子とともに、1個又は2個の異種原子を有する飽和5員又は6員複素環を形成する、請求項48又は49に記載の化合物。
【請求項51】
及びRは、窒素原子とともに、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ及びピロリジノから選択された飽和複素環を形成する、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
は、水素であり、Rは、水素又はメチルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
式(VI)で表される化合物:
【化6】

(式中、R〜R及びAは、前記請求項のいずれか1項で定義した通りであり、Het’は、環員数が3〜7である複素環式基である)。
【請求項54】
式(V)で表される化合物:
【化7】

(式中、R〜Rは、前記請求項のいずれか1項で定義した通りであり、R12は、水素、又はハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択された一つ以上の置換基を表す)。
【請求項55】
12が、水素、又は1個又は2個のフッ素原子、好ましくは1個のフッ素原子である、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
AがRであり、Rが環員数6であり且つパラ位にC1−6アルキル基又はハロゲン基を置換基として有するアリール基であるとき、基B−Rは、前記アリール基のメタ位に位置している未置換又は置換ベンズアミド基以外のものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項57】
AがRであり、Rが環員数6であるアリール基であるとき、基B−Rは、前記アリール基のメタ位に位置する置換フェニルカルバモイル基以外のものであり、前記置換フェニルカルバモイル基は、オルト位にC1−6アルキル又はハロゲンを置換基として有し、パラ位にアミド基を有するものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項58】
、R、R及びRから選択された2つの隣接する部分がそれらが結合する炭素原子とともに形成した前記縮合複素環式基は、1,2,3−トリアゾロ環以外のものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
3−アミノカルボニル−2−カルボキサミド−チオフェン部分を含む化合物以外のものである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項60】
EがNHであり、Gが、5員又は6員ヘテロアリール基、フェニル基、キノリニル基及びイソキノリニル基から選択されたアリール基又はヘテロアリール基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基が、C1−6アルキル、ハロゲン、CF、NR及びOR(ここで、R、R及びRは、独立して水素、C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキルである)以外の置換基を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項61】
前記基E−Gが、式:
【化8】

(式中、Uは、アルキレン基であり、Rmは、水素又はアルキル基であり、Rnは、アリール、アルキル又はアリールアルキルであり、nは、1又は2である)
で表される基ではない、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項62】
塩又は溶媒和物(水和物等)の形態である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
N−オキシドの形態である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項64】
サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療に使用される、請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項65】
サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項66】
サイクリン依存キナーゼが介在する疾病状態又は状況の予防又は治療の方法であって、予防又は治療を必要としている被検者に、請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項67】
哺乳動物における異常細胞成長を含むか又はそれから生じる疾病又は状況を治療する方法であって、哺乳動物に、異常細胞成長を阻害するのに有効な量の請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項68】
哺乳動物における異常細胞成長を含むか又はそれから生じる疾病又は状況を治療する方法であって、哺乳動物に、CDK2活性を阻害するのに有効な量の請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項69】
サイクリン依存キナーゼを阻害する方法であって、前記キナーゼを、請求項1〜63のいずれか1項に記載のキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項70】
請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物を用いてサイクリン依存キナーゼの活性を阻害することにより、細胞過程(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
【請求項71】
請求項1〜63のいずれか1項に記載の新規な化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項72】
医薬に使用される、請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項73】
抗真菌剤に使用される、請求項1〜63のいずれか1項に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−502133(P2006−502133A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527046(P2004−527046)
【出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003474
【国際公開番号】WO2004/014922
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(504162110)アステックス、セラピューティックス、リミテッド (45)
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
【Fターム(参考)】