説明

サブタイプ選択的アザビシクロアルカン誘導体

化合物、その化合物を含む医薬組成物、ならびにその製造方法および使用方法を開示する。本化合物はある種のアザビシクロアルカンカルボン酸から製造されるアミド、ケトン、およびエステル化合物である。得られる化合物は中枢神経系(CNS)におけるα4β2サブタイプの神経型ニコチン性受容体に対する選択性を示し、高い親和性で該受容体と結合する。本化合物および組成物は、さまざまな疾患または障害の治療および/または予防に使用することができ、例えば、ドーパミン放出のような神経伝達物質放出のニューロモジュレーションに関連する障害を含めて、ニコチン性コリン作動性神経伝達の機能障害を特徴とする障害などに使用される。CNS障害は正常な神経伝達物質の放出が変化することを特徴とし、かかる障害は治療および/または予防し得る障害の別の例である。本化合物は、(i)患者の脳のニコチン性コリン作動性受容体の数を変更する、(ii)神経保護作用を示す、および(iii)有効量で用いた場合には、認められるほどの有害な副作用(例えば、血圧と心拍数の顕著な上昇、胃腸管への著しい悪影響、および骨格筋への重大な影響などの副作用)を起こさない、という能力がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経型ニコチン性アセチルコリン受容体に結合して、その活性をモジュレートする化合物、これらの化合物の製造方法、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、中枢神経系(CNS)の機能障害と関連するものを含めて、さまざまな疾患および障害を治療するためのこれらの化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経型ニコチン性受容体(neuronal nicotinic receptors: NNRs)は、ニコチン性アセチルコリン受容体(nicotinic acetylcholine receptors: nAChRs)としても知られているが、かかる受容体を標的とする化合物の治療薬としての可能性が最近の数本の投稿論文の主題となっている。Breining et al., Ann. Rep. Med. Chem. 40: 3 (2005)、Hogg and Bertrand, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 3: 123 (2004)、Suto and Zacharias, Expert Opin. Ther. Targets 8: 61 (2004)、Dani et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 14: 1837 (2004)、Bencherif and Schmitt, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 349 (2002)を参照されたい(上記各文献をそうした教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる)。NNRリガンドが治療薬として提案されてきた適応症の種類には、中でも、アルツハイマー病、注意欠陥障害、統合失調症を含めた、認知障害および認知機能不全がある。以下を参照されたい:Newhouse et al., Curr. Opin. Pharmacol. 4: 36 (2004)、Levin and Rezvani, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 423 (2002)、Graham et al., Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 387 (2002)、Ripoll et al., Curr. Med. Res. Opin. 20(7): 1057 (2004)、およびMcEvoy and Allen, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 433 (2002)); 疼痛および炎症 (Decker et al., Curr. Top. Med. Chem. 4(3): 369 (2004)、Vincler, Expert Opin. Invest. Drugs 14(10): 1191 (2005)、Jain, Curr. Opin. Inv. Drugs 5: 76 (2004)、Miao et al., Neuroscience 123: 777 (2004)); うつ病および不安症 (Shytle et al., Mol. Psychiatry 7: 525 (2002)、Damaj et al., Mol. Pharmacol. 66: 675 (2004)、Shytle et al., Depress. Anxiety 16: 89 (2002)); 神経変性疾患 (O'Neill et al., Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 399 (2002)、Takata et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 306: 772 (2003)、Marrero et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 309: 16 (2004)); パーキンソン病 (Jonnala and Buccafusco, J. Neurosci. Res. 66: 565 (2001)); 中毒/依存症 (Dwoskin and Crooks, Biochem. Pharmacol. 63: 89 (2002)、Coe et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 15(22): 4889 (2005)); 肥満症 (Li et al., Curr. Top. Med. Chem. 3: 899 (2003)); ならびにトゥレット症候群 (Sacco et al., J. Psychopharmacol. 18(4): 457 (2004)、Young et al., Clin. Ther. 23(4): 532 (2001)); 上記各文献をそうした教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部のニコチン性化合物は、それらが例えば筋肉および神経節の受容体を刺激することによりさまざまな望ましくない副作用を伴うという点で、制限されている。各種の疾患または障害(例えば、CNS障害)を予防および/または治療する(これらの障害の症状を改善することを含む)ための化合物、組成物および方法が存在することが望ましいと考えられるが、その場合に、そうした化合物は(例えば、CNSの機能に対して)有益な効果を伴ってニコチン様の薬理学を示すが、重大な副作用を伴わないものである。さらに、望ましくない副作用(例えば、心血管および骨格筋部位での認めうる活性)を誘発する可能性がある受容体サブタイプには著しい影響を及ぼすことなく、CNS機能に影響を与える化合物、組成物および方法を提供することが大いに望ましいだろう。本発明はそのような化合物、組成物および方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式1の化合物またはその製薬上許容される塩を包含する:
【化1】

【0005】
[式中、破線の結合は単結合または二重結合のいずれかを示し、
nは、0または1であり、
Xは、nが0であるとき、-ORI、-NRIIRIII、-NRIIORIII、または-RIVであり、そして
Xは、nが1であるとき、-NRIIRIII、-NRIIORIII、または-RIVであり、
ここにおいて、RIおよびRIVのそれぞれは、個別に、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換アルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであり、
RIIおよびRIIIのそれぞれは、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換アルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであり、
あるいはRIIとRIIIは、それらが結合している原子と一緒になって、3〜8員環を形成することができ、
ここにおいて、用語「置換」は、1つ以上のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、-ORI、-NRaRb、ハロアルキル、-CN、-NO2、-C≡CRa、-SRa、-N3、-C(=O)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-OC(=O)Ra、-OC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb、-SO2Ra、-SO2NRaRb、または-NRaSO2Rbをさし、ここでRaおよびRbのそれぞれは、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである]。
【0006】
本発明の一実施形態は、単離された形での本発明の化合物を含む。
【0007】
本発明の一実施形態は、nが0である場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-ORIであって、RIがアルキル、ハロゲン置換アルキル、シクロアルキル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-NRIIRIIIであって、RIIが水素またはアルキルであり、RIIIが水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、NH2置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-NRIIORIIIであって、RIIが水素またはアルキルであり、RIIIがアルキルである場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-RIVであって、RIVがアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはハロゲン置換ヘテロアリール、シアノ置換ヘテロアリールもしくはアルキル置換ヘテロアリールである場合を含む。
【0008】
本発明の一実施形態は、nが1である場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-ORIであって、RIがアルキル、ハロゲン置換アルキル、シクロアルキル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-NRIIRIIIであって、RIIが水素またはアルキルであり、RIIIが水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、NH2置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである場合を含む。さらなる実施形態は、Xが-RIVであって、RIVがアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはハロゲン置換ヘテロアリール、シアノ置換ヘテロアリールもしくはアルキル置換ヘテロアリールである場合を含む。
【0009】
本発明の一実施形態は、中枢神経系障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用を含む。
【0010】
本発明の一実施形態は、本発明の化合物を投与することを含む中枢神経系障害の治療または予防方法を含む。さらなる実施形態は、前記障害が加齢に伴う記憶障害、軽度認知機能障害、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、脳卒中、エイズ認知症症候群(AIDS dementia complex)、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア(dyslexia)、統合失調症、統合失調症様障害、および統合失調感情障害からなる群より選択される場合を含む。
【0011】
本発明の一実施形態は、本発明の化合物と1種以上の製薬上許容される希釈剤、賦形剤または不活性担体を含有する医薬組成物を含む。さらなる実施形態は、中枢神経系障害を治療または予防するための医薬組成物を含む。
【0012】
本発明の一実施形態は、以下から選択される化合物またはその製薬上許容される塩を含む:
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-ブタノン、
trans-1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブテン-1-オン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-ペンタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-3-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-3,3-ジメチル-1-ブタノン、
シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロブチル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロペンチル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロヘキシル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
テトラヒドロピラン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
4-フルオロフェニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノン、
3-ブロモフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
3-シアノフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
5-メチル-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
ピリジン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
(2-(ヒドロキシメチル)-1-ピロリジニル)(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-ブタノン、
trans-1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-ブテン-1-オン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-ペンタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-3-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-3,3-ジメチル-1-ブタノン、
シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロブチル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロペンチル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロヘキシル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
テトラヒドロピラン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
4-フルオロフェニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-ブロモフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-シアノフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
5-メチル-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
ピリジン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸エチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸イソプロピル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2-ジメチルプロピル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2-フルオロエチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸1-フルオロプロパ-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロプロピルメチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロブチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロペンチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロヘキシル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ペンタ-4-エン-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ペンタ-4-イン-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロペンタ-3-エン-1-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(テトラヒドロフラン-3-イル)メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸テトラヒドロフラン-3-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸テトラヒドロピラン-4-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(フラン-3-イル)メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ベンジル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-アリル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(2-フラニルメチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-エチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(2-メトキシエチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド、
N-イソプロピル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロプロピル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロブチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロペンチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-プロパルギル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-フェニル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(4-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(ピリジン-3-イル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-ベンジル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(2,3,6-トリヒドロ-ピリジン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(2,6-メチル-モルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)(2,6-ジメチルモルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(1-オキサジナン-2-イル)メタノン、
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-エチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-メトキシエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-イソプロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロプロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロペンチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-プロパルギル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-フェニル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(4-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(ピリジン-3-イル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-ベンジル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-アミノエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-tert-ブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-プロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-アリル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-sec-ブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(シクロプロピルメチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-フルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(3-フルオロプロピル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(3-シクロペンテニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(2,3,6-トリヒドロ-ピリジン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(2,6-メチル-モルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(1-オキサジナン-2-イル)メタノン、
4-モルホリニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン。
【0013】
本発明の一実施形態は、単離された形での上記の選択された化合物を含む。
【0014】
本発明の一実施形態は、選択された化合物を投与することを含む中枢神経系障害の治療または予防方法を含む。本発明の一実施形態は、選択された化合物の塩を投与することを含む中枢神経系障害の治療または予防方法を含む。かかる実施形態において、さらなる実施形態は、前記障害が加齢に伴う記憶障害、軽度認知機能障害、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、脳卒中、エイズ認知症、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア(dyslexia)、統合失調症、統合失調症における認知障害、統合失調症における認知機能不全、統合失調症様障害、および統合失調感情障害からなる群より選択される場合を含む。さらなる実施形態では、前記障害が軽度から中程度のアルツハイマー型認知症、注意欠陥障害、軽度認知機能障害、および加齢に伴う記憶障害からなる群より選択される。
【0015】
本発明の一実施形態は、製薬上許容される塩としての化合物3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチルを含む。
【0016】
本発明の一実施形態は、化合物N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミドまたはその製薬上許容される塩を含む。
【0017】
本発明は態様および実施形態のあらゆる組み合わせを包含する。
【0018】
本発明は、ある種のヘテロアリールカルボン酸とある種のジアザビシクロアルカンから形成されるアミド化合物に関する。これらのアミド化合物(ヘテロアリールカルボキサミド)は、中枢神経系(CNS)に存在するα4β2サブタイプの神経型ニコチン性受容体に高い親和性で結合し、やはりCNSに存在するα7 NNRサブタイプに対してよりもα4β2サブタイプに対して優れた選択性を示す。
【0019】
本発明はまた、これらのアミド化合物から製造された製薬上許容される塩およびその医薬組成物に関し、それらは、さまざまな疾患または障害、特にニコチン性コリン作動性神経伝達の機能障害またはニコチン性コリン作動性ニューロンの変性を特徴とする障害、の治療および/または予防に使用することができる。
【0020】
本発明はさらに、CNS障害のような、障害を治療または予防するための方法、そしてまた、ある種の疾患を治療する(すなわち、疼痛および炎症を改善する)ための方法にも関する。これらの方法は、被験者に、治療に有効な量の本化合物(塩を含む)または本化合物を含有する医薬組成物を投与することを含む。さらに、加齢に伴う記憶障害、軽度認知機能障害、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、脳卒中、エイズ認知症、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア(dyslexia)、統合失調症、統合失調症における認知機能不全、統合失調症様障害、および統合失調感情障害からなる群より選択される障害を治療するための方法を提供する。さらにまた、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症、注意欠陥障害、軽度認知機能障害、加齢に伴う記憶障害、および統合失調症における認知機能不全からなる群より選択される障害を治療するための方法を提供する。
【0021】
医薬組成物は本発明の化合物を含有し、かかる化合物は、有効量で用いた場合には、被験者の関連するニコチン性受容体部位と相互作用し、その結果さまざまな疾患および障害を治療および予防するための治療薬として使用可能である。医薬組成物は、これらの組成物に含まれる化合物が、有効量で用いた場合、(i)ニコチン様の薬理学を示して、関連するニコチン性受容体部位に影響を及ぼす(例えば、ニコチン性受容体を活性化する薬理学的アゴニストとしての機能を果たす)ことが可能である、および/または(ii)神経伝達物質の分泌を促がし、それゆえに、これらの疾患に伴う症状を予防および抑制することが可能であるという点で、かかる障害に罹患してその臨床症状を呈している個体に治療上の効果をもたらす。その上、これらの化合物は、(i)患者の脳のニコチン性コリン作動性受容体の数を増加させる、(ii)神経保護作用を示す、および/または(iii)有効量で用いた場合には、認められるほどの有害な副作用(例えば、血圧と心拍数の顕著な上昇、胃腸管への著しい悪影響、および骨格筋への重大な影響)を生じさせない、という能力がある。
【0022】
上述のおよび他の本発明の実施形態については、以下に記載する詳細な説明および実施例で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】化合物A(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチル)で経口的に処置したラットにおける新物体認識(novel object recognition)に関する研究の結果を示す図である。結果は用量(mg/kg)に対する認識指数(%)の関数として示してある。
【図2】化合物B(N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド)で経口的に処置したラットにおける新物体認識に関する研究の結果を示す図である。結果は用量(mg/kg)に対する認識指数(%)の関数として示してある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
サブタイプ選択的化合物、該化合物を含む医薬組成物、該化合物の製造方法、ならびに該化合物を用いる治療および/または予防方法について以下で詳しく説明する。
【0025】
下記の定義は、定義される用語を明確にするためのものであって、限定するものではない。本明細書中で用いる特定の用語が明確に定義されていなくとも、そうした用語を不明確とみなすべきでない。むしろ、そうした用語は一般に容認されたそれらの意味の範囲内で用いられる。
【0026】
本明細書中で用いる用語「アルキル」とは、1〜12個の炭素原子(好ましくは1〜6個)を有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素をさし、本明細書中でさらに説明するように該炭化水素は場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。本明細書中で用いる「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、およびn-ペンチルが挙げられる。
【0027】
本明細書全体を通して、炭素原子のような原子の好ましい数は例えば「Cx-Cyアルキル」という語句で表されており、これは特定した数の炭素原子を含むアルキル基(本明細書中で定義したとおり)をさす。同様の語句が他の好ましい用語と範囲にも適用される。本発明の一実施形態には、炭素原子数1〜6の、いわゆる「低級」アルキル鎖が含まれる。こうして、C1-C6アルキルは上記した低級アルキル鎖を表す。
【0028】
本明細書中で用いる用語「アルケニル」とは、2〜12個の炭素原子(好ましくは2〜6個)を有しかつ1個以上の炭素-炭素二重結合を含む直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素をさし、本明細書中でさらに説明するように該炭化水素は場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。本明細書中で用いる「アルケニル」の例としては、限定するものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが挙げられる。
【0029】
本明細書中で用いる用語「アルキニル」とは、2〜12個の炭素原子(好ましくは2〜6個)を有しかつ1個以上の炭素-炭素三重結合を含む直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素をさし、本明細書中でさらに説明するように該炭化水素は場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。本明細書中で用いる「アルキニル」の例としては、限定するものではないが、ビニル、アリル、およびプロパルギルが挙げられる。
【0030】
本明細書中で用いる用語「シクロアルキル」とは、部分的にまたは完全に飽和された、非芳香族の、3〜12員の、単環式、二環式、または架橋型の炭化水素環をさし、該環は場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。本明細書中で用いる「シクロアルキル」の例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル、ならびに1以上の不飽和度を含む環(ただし、芳香族の環を除く)、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルが挙げられる。
【0031】
本明細書中で用いる用語「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」とは、1個以上のヘテロ原子を含み、場合により1以上の不飽和度を含んでいてもよい、単環式または多環式の環系をさし、該環系は本明細書中でさらに説明するように場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。代表的なヘテロ原子としては窒素、酸素、または硫黄原子(N-オキシド、S-オキシド、およびジオキシドを含む)がある。好ましくは、前記環は3〜12員からなり、完全に飽和されているかまたは1以上の不飽和度を有する。かかる環は1個以上の別のヘテロ環またはシクロアルキル環に縮合していてもよい。本明細書中で用いる「ヘテロ環」基の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキサニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、オキサジナニル、ピペリジニル、テトラヒドロチオピラニル、およびテトラヒドロチオフェニルが挙げられる。
【0032】
本明細書中で用いる用語「アリール」とは、1価のベンゼン環または縮合ベンゼン環系をさし、該環または環系は本明細書中でさらに説明するように場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。用いる「アリール」基の例としては、限定するものではないが、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、アントラセン、およびフェナントレンが挙げられる。好ましくは、アリールはフェニルまたはナフチルである。
【0033】
「アリール」という用語に含まれる、本明細書中で用いる縮合ベンゼン環系には、縮合多環式炭化水素、すなわち最多数より少ない非集積二重結合をもつ環式炭化水素が含まれ、例えば、飽和炭化水素環(シクロアルキル、例えばシクロペンチル環)が芳香環(アリール、例えばベンゼン環)と縮合して、例えばインダニルやアセナフタレニルのような基を形成する場合が含まれ、さらにまた、非限定的な例としてのジヒドロナフタレンおよびヘキサヒドロシクロペンタ-シクロオクテンのような基も含まれる。
【0034】
本明細書中で用いる用語「アリールアルキル」とは、2価のアルキレンリンカーを介して結合される、本明細書中で定義したとおりの「アリール」基をさす。一例として、この用語にはベンジルが含まれる。
【0035】
本明細書中で用いる用語「ヘテロアリール」とは、単環式の5〜7員芳香環、または2個のそのような芳香環を含む縮合二環式芳香環系をさし、該芳香環または環系は本明細書中でさらに説明するように場合により置換されていてもよく、その際、複数の置換度が可能である。これらのヘテロアリール環は1個以上の窒素、硫黄、および/または酸素原子を含み、その場合にN-オキシド、S-オキシド、およびジオキシドが容認されるヘテロ原子置換である。本明細書中で用いる「ヘテロアリール」基の例としては、限定するものではないが、フラニル、チオフェニルもしくはチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インドリニル、インダゾール、ベンズイミダゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、プリニル、ピラゾロピリジニル、およびピラゾロピリミジニルが挙げられる。
【0036】
本明細書中で、特に指定しない限り、用語「ハロ」および「ハロゲン」はフッ素、ヨウ素、塩素、または臭素である。
【0037】
本明細書全体から分かるように、本発明の化合物の環上の置換基の数および性質は、立体化学的に望ましくない組み合わせを避けるように選択される。
【0038】
いくつかの本発明の化合物名はコンピュータソフトウェア(ACDLabs 8.0/Name(IUPAC))を用いて命名されたものである。
【0039】
適当な製薬上許容される塩の例には以下が含まれる:無機酸付加塩、例えば塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩; 有機酸付加塩、例えば酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩; 酸性アミノ酸との塩、例えばアスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩; アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩およびカリウム塩; アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩; アンモニウム塩; 有機塩基塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩; ならびに塩基性アミノ酸との塩、例えばリシン塩およびアルギニン塩。これらの塩は場合により水和物またはエタノール溶媒和物であってもよい。代表的な塩は、Dullらへの米国特許第5,597,919号、Dullらへの同第5,616,716号、およびRuecroftらへの同第5,663,356号に記載のとおりに得られる。
【0040】
当業者には理解されるように、本発明の化合物は、溶媒和されていない形態のみならず、溶媒和された形態、例えば水和された形態で存在することができる。さらに、本化合物は共結晶としても存在することができる。本発明はそのような形態のすべてを包含する。
【0041】
誤解を避けるために述べるならば、本発明は先に挙げた形態のいずれかの塩に関し、明確には、本明細書中で先に挙げた塩のいずれか1つの形をした、本明細書中で挙げた特定の化合物のいずれか1つを提供する。さらに、述べたように、本発明には本明細書に記載した化合物の溶媒和物が含まれ、塩の溶媒和物といった混合形態も含まれる。上述したとおり、本発明の化合物は非溶媒和形態だけでなく溶媒和(例えば水和)形態で存在することができ、本発明はそうした形態をすべて包含する。
【0042】
本明細書中で記載したように、本発明は単離された形での本発明の化合物を含む。本明細書中で用いる語句「単離された形での」は、他の化合物(副生成物、不純物、合成試薬など)が実質的に存在しない本化合物を規定する。本明細書中で用いる語句「実質的に存在しない」は、記載したそのような他の成分が95%程度取り除かれていると解釈すべきである。
【0043】
本明細書中で用いる「アゴニスト」とは、その結合パートナー(典型的には受容体)を刺激する物質のことである。刺激は、特定のアッセイとの関係において定義されるか、あるいは、当業者には理解されるように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」もしくは「アンタゴニスト」として受け入れられた因子または物質との比較を行う本明細書中での考察からおのずと明らかになろう。刺激は、アゴニストまたは部分アゴニストと結合パートナーとの相互作用により誘導される特定の効果または機能の増加に関して定義され、アロステリック効果を含むことがある。
【0044】
本明細書中で用いる「アンタゴニスト」とは、その結合パートナー(典型的には受容体)を阻害する物質のことである。阻害は、特定のアッセイとの関係において定義されるか、あるいは、当業者には理解されるように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」もしくは「アンタゴニスト」として受け入れられた因子または物質との比較を行う本明細書中での考察からおのずと明らかになろう。阻害は、アンタゴニストと結合パートナーとの相互作用により誘導される特定の効果または機能の低下に関して定義され、アロステリック効果を含むことがある。
【0045】
本明細書中で用いる「部分アゴニスト」とは、その結合パートナーに対する刺激のレベルが、フルまたは完全アンタゴニストと、容認されたアゴニスト活性の基準により規定されるアゴニストとの、中間にある物質のことである。刺激(それゆえに阻害)は、任意の物質または物質のカテゴリーがアゴニスト、アンタゴニスト、または部分アゴニストとして規定されるように、内因的に定義されることが理解されよう。
【0046】
本明細書中で用いる「内因活性」または「効力」は、結合パートナー複合体の生物学的有効性のある分量に関係している。受容体の薬理学に関して、内因活性または効力が規定されるべき状況は、結合パートナー(例えば、受容体/リガンド)複合体がおかれている状況と、特定の生物学的転帰に関係する活性の考察とに依存するだろう。例えば、ある状況においては、関与する特定の第二メッセンジャー系に応じて内因活性が変化しうる。Hoyer, D. and Boddeke, H., Trends Pharmacol. Sci. 14(7): 270-5 (1993) を参照されたい。そのような状況から見た特定の評価がどこに関係しているのか、また、それらが本発明の状況のもとでどのように関係しているのかは、当業者に明らかだろう。
【0047】
本明細書中で用いる受容体のモジュレーションには、受容体のアゴニズム(受容体活性化作用)、部分アゴニズム、アンタゴニズム(受容体拮抗作用)、部分アンタゴニズム、または逆アゴニズムが含まれる。
【0048】
本明細書中で用いる神経伝達物質(その放出に本明細書に記載の化合物が介在する)には、限定するものではないが、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、およびグルタメートが含まれる。本明細書に記載の化合物はCNS NNRsのα4β2サブタイプでモジュレーターとして機能する。
【0049】
当業者には理解されるように、本発明の化合物はキラルである。そうした化合物のあらゆる立体異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)とそれらの混合物が本発明に含まれる。したがって、本発明の範囲には、立体異性体の混合物だけでなく、精製されたエナンチオマー、またはエナンチオマー的に/ジアステレオマー的に富化された混合物も含まれる。さらに、本発明の範囲には、本発明の式により表される化合物の個々の異性体、ならびに全体的または部分的に平衡化されたそれらの混合物も入る。本発明はまた、上記式により表される化合物の個々の異性体を、1以上のキラル中心が逆になっている異性体との混合物として包含する。
【0050】
本発明の代表的な化合物には、具体的に例示されかつ同定されたものが含まれる。誤解を避けるために述べるならば、本発明は本明細書中に記載した特定の化合物のいずれか1つに関する。
【0051】
化合物の製造
本発明の化合物は多種多様な合成法を用いて製造することができる。有利には、それらは保護されたアザ二環式カルボン酸(すなわち、アミン官能基が適当な誘導体化によって非反応性にされているもの)の誘導体化を経て製造することができる。本発明の化合物の製造に用いるアザ二環式カルボン酸を製造するための方法は多数存在する。
【0052】
適当な3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン中間体の合成方法は多様である。例えば、Flynn et al., Tetrahedron 53(1): 1-20 (1996)は、適切に官能化された3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンへの2つのアプローチを提供する。この文献をかかる合成教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる。第1のアプローチは、酢酸2-トリメチルシリルメチル-2-プロペン-1-イルとマレイン酸ジメチルとのパラジウム触媒による[3+2]環化付加反応を含む。得られるジエステルをけん化し、無水酢酸で処理して熱分解すると、縮合環状無水物のテトラヒドロ-5-メチレン-1H-シクロペンタ[c]フラン-1,3(3aH)-ジオンが得られる。アンモニアで処理し、続いて塩化アセチルを用いて環化すると、イミド、すなわちテトラヒドロ-5-メチレン-1H-シクロペンタ[c]ピロール-1,3(2H,2aH)-ジオンが得られる。水素化アルミニウムリチウムにより還元し、遊離アミンを二炭酸ジ-tert-ブチルで保護すると、7-メチレン-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンが得られる。このメチレン化合物を用いて、後続の変換反応が可能である。例えば、7-メチレン-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンのオゾン分解は、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-オンをもたらすだろう。これとは別に、7-メチレン-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンをボランで処理し、次いで塩基性過酸化水素水溶液で処理すると、7-(ヒドロキシメチル)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンが生成するだろう。このアルコールを、有機合成分野の当業者に知られている多様な方法で酸化すると、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸が生成し、この化合物は本発明の化合物を合成するための鍵中間体である。
【0053】
第2のアプローチでは、Flynnら(Tetrahedron 53(1): 1-20 (1996))が、適切に官能化された3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンを生成するためにPauson-Khand法を採用している。この文献をかかる合成教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる。このアプローチを用いると、N-boc-アリルプロパルギルアミンヘキサカルボニルジコバルト錯体(Becker and Flynn, Tetrahedron 49: 5047-5054 (1993))の環化により、一段階で上記の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-オンが得られる。この文献をかかる合成教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる。その後、上記ケトンをそのエノールトリフレートに変換し(例えば、リチウムヘキサメチルジシラジドとN-(5-クロロピリジン-2-イル)-ビス-トリフルオロメタンスルフィンアミドを使用する)、続いてパラジウム触媒を用いたカルボメトキシ化(例えば、Peterson et al., J. Med. Chem. 37: 275-286 (1994))を行うと、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチルが得られる。この文献をかかる合成教示内容に関して参照により本明細書に組み入れる。この化合物は本発明の化合物を合成するための鍵中間体へとさらに変換することができる。例えば、水素化により対応するアルカン、すなわち3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチルが得られる。その後tert-ブトキシカルボニル保護基を除去(酸性条件)すると、3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチルが得られる。あるいはまた、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチルを温和な塩基水溶液中で加水分解して、対応するカルボン酸、すなわち3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸を得ることもでき、この化合物も本発明の化合物を合成するためのもう一つの鍵中間体である。
【0054】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-オンを構築するための別のアプローチは、DartらのPCT WO 04/016604に報告されている。前記文献のかかる合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる。このアプローチでは、cis-テトラヒドロフタルイミドを水素化アルミニウムリチウムで対応するアミンへと還元し、続いてこのアミンを二炭酸ジ-tert-ブチルで保護する。その後、このアルケンを酸化的に開裂させる(過ヨウ素酸ナトリウムおよび触媒の酸化ルテニウム(IV)水和物)と、cis-1-(tert-ブトキシカルボニル)-3,4-ビス(カルボキシメチル)ピロリジンが得られる。無水酢酸および酢酸ナトリウムと共に加熱することにより、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-オンが得られる。
【0055】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン類の製造方法はさまざまである。3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸への別の経路が、Flynn and Zabrowski, J. Org. Chem. 55: 3673-3674 (1990)およびFlynn et al., Tetrahedron Lett., 33(48): 7281-82 (1992)に記載されている。前記文献のかかる合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる。この経路では、アリルマロン酸ジエチルを最初にヨウ素化して2-ヨード-2-アリルマロン酸ジエチルとする。その後、このマロン酸エステルをN-(tert-ブトキシカルボニル)アリルアミンおよびビス(トリブチルスズ)と反応させ、続いてトリエチルアミン中で加熱すると、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7,7-ジカルボン酸ジエチルが得られる。酸加水分解(自然発生的な脱カルボキシル化を伴う)と、その後のアミンの二炭酸ジ-tert-ブチルによる再保護により、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸が得られ、この化合物は本発明の化合物を合成するための鍵中間体である。
【0056】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン類への別のアルケン環化経路が、Minakata et al., Heterocycles, 60: 289-98 (2003)に記載されており、そこではクロラミン-Tと硝酸銀を用いて2,2-ジアリルマロン酸ジエチルのタンデム環化反応が行われる。前記文献のそのような合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる。その結果生じる3-トシル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7,7-ジカルボン酸ジエチルを酸水溶液中で加水分解すると、3-トシル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸が得られ、この化合物は本発明の化合物を製造するために使用される。
【0057】
本発明の化合物を製造するのに好適な3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体の合成方法は多様である。Speckamp et al., Tetrahedron 27: 3143-56 (1971)およびStetter and Reinartz, Chem. Ber. 105(9): 2773-2779 (1972)には、各種のN-保護-4-ピペリドンピロリジンエナミンをα-ブロモメタクリル酸エチルまたは対応するβ,β'-ジブロモイソブチレートのいずれかと縮合させてN-保護-3-アザ-9-オキソ-ビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸エチルを得ることが記載されている。前記文献のそのような合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる。続いて、対応するヒドラゾンまたは置換ヒドラゾンを経て、9位のカルボニルを脱酸素化することにより(有機合成分野の当業者には公知の方法)、N-保護-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸エチルが得られる。このエステルを加水分解すると、本発明の化合物を合成するための鍵中間体であるN-保護-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸が得られる。
【0058】
tert-ブトキシカルボニル基や他のアミン保護基の導入および除去方法は当業者には周知の方法であり、さらにT. W. Greene and P.G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, New York (1999)に記載されている。前記文献のそのような合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0059】
アザ二環式カルボン酸の本発明の化合物への変換はいろいろな手段により達成することができ、それらはすべて有機合成分野の当業者に周知である。こうして、酸安定性のN-保護基を有するN-保護-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸は、強酸の存在下でアルコールと反応させることにより、対応するエステルに直接変換することができる。これとは別に、N-保護-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカップリング(脱水)試薬の存在下でアルコールと反応させて、対応するエステルを生成することもできる。後の方の反応は酸感受性のN-保護基が存在する状態でも利用しうる。その他のエステル合成法、例えば対応する酸塩化物またはスルホン酸混合無水物を中間体として利用する方法、が当業者には公知である。こうした反応の多くがアザビシクロアルケンカルボン酸のエステルへの変換にも応用可能である。
【0060】
アザ二環式カルボン酸を対応するアミドに変換する方法も多数ある。例えば、N-保護-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸およびN-保護-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸は、カップリング試薬(例えば、ペプチド合成用に開発されたもの)を用いて、種々のアミンと直接カップリングさせることが可能である。そのような試薬として以下が挙げられる: N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-ビス(テトラメチレン)ウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HBPyU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレート(TBTU)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ならびに1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)。他のカップリング試薬も当業者によく知られている(例えば、Kiso and Yajima, Peptides, pp 39-91, Academic Press, San Diego, CA (1995)を参照されたい;この文献のそのような合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる)。これらの試薬はポリマーに担持された修飾体として市販されていることがあるが、そうした修飾体はカップリング生成物の単離を大いに促進する。この種の試薬の例としては、ポリスチレン結合型N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(PS-DCC)がある。
【0061】
アザ二環式カルボン酸を対応するアミドに変換する方法はさまざまである。こうして、適当な保護アザビシクロアルカンカルボン酸が、例えば塩化オキサリルを用いて、その対応する酸塩化物に変換される。その酸塩化物を適当な塩基(多くの場合、三級アミン)の存在下で一級または二級アミンと反応させるとアミドが得られる。この反応および上記反応の多くはアザビシクロアルケンカルボン酸のアミドへの変換にも応用可能である。
【0062】
アザ二環式カルボン酸を対応するケトンに変換する方法は多数ある。こうして、N-保護-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸およびN-保護-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸を、酸塩化物(すでに記載した)を経て、ケトン誘導体に変換することができるが、ここでは酸塩化物をジアルキル銅酸リチウムまたはジアルキルカドミウム試薬と反応させる。これとは別に、カルボン酸を(先に記載したように)そのN-メチル-N-メトキシアミドに変換することもでき、このアミドは有機リチウム試薬およびグリニャール試薬と容易に反応してケトンを生成する。上記の反応の多くはアザビシクロアルケンカルボン酸のアミドへの変換にも応用可能である。ある種のケトンは、酸塩化物とトリメチルシリルジアゾメタンとの反応によっても製造することができる。これは対応するα-ジアゾケトンをもたらし、このα-ジアゾケトンを各種の誘導体(例えば、α-ブロモケトン)に変換することができる。
【0063】
有機合成分野の当業者であれば、さまざまな診断用途に適する放射性同位元素で標識した本発明の化合物を製造する手段が多数存在することを理解するだろう。例えば、11C-アミンをN-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸塩化物またはN-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸塩化物のいずれかと、上記の方法を用いて縮合させ、その後tert-ブトキシカルボニル基を除去すると、ポジトロン放出断層撮影で使用するのに適した化合物が得られる。
【0064】
治療の方法
本明細書中で用いる用語「防止」または「予防」には、疾患、障害または症状の進行をさまざまな程度に抑える、またはその発症を遅らせることが含まれる。この用語は、特定の疾患、障害または症状に対して保護効果をもたらすこと、ならびに疾患、障害または症状の再発を予防することを含む。したがって、別の態様では、本発明は、NNRまたはnAChR介在性障害を発症もしくは再発しているか、またはそのリスクがある被験者を治療するための方法を提供する。例えばCNS機能障害の被験者においては、本発明の化合物および医薬組成物を用いて有益な治療または予防効果を達成することができる。
【0065】
上述したように、本発明の化合物は、CNSに特徴的なα4β2 NNRサブタイプのモジュレーターであり、α4β2 NNRsをモジュレートすることにより、さまざまな疾患または障害(CNSの疾患・障害を含む)を予防または治療するために、かかる疾患または障害に罹患しているか罹患しやすい被験者において、使用することができる。本化合物はα4β2 NNRsと選択的に結合してニコチン様薬理学を示し、例えば、上記のようにアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストとしての機能を果たす能力がある。例えば、本発明の化合物は、それを必要とする患者に有効量で投与したとき、CNS障害の進行をある程度防止し、すなわち、保護効果、CNS障害の症状改善、CNS障害の再発防止、またはこれらの組合せをもたらす。
【0066】
本発明の化合物は、他の種類のニコチン性化合物が治療薬として提案されているか、または治療薬として有用であることが示されている、そうしたタイプの疾患および障害の治療または予防に使用することができる。例えば、先に挙げた文献ならびに以下を参照されたい:Williams et al., Drug News Perspec. 7(4): 205 (1994)、Arneric et al., CNS Drug Rev. 1(1): 1-26 (1995)、Arneric et al., Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1): 79-100 (1996)、Bencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 279: 1413 (1996)、Lippiello et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 279: 1422 (1996)、Damaj et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 291: 390 (1999)、Chiari et al., Anesthesiology 91: 1447 (1999)、Lavand'homme and Eisenbach, Anesthesiology 91: 1455 (1999)、Holladay et al., J. Med. Chem. 40(28): 4169-94 (1997)、Bannon et al., Science 279: 77 (1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、PCT WO 96/40682、ならびにBencherifらへの米国特許第5,583,140号、Dullらへの同第5,597,919号、Smithらへの同第5,604,231号、およびCosfordらへの同第5,852,041号。前記文献のそのような治療に関する教示内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0067】
本化合物とそれらの医薬組成物は、神経変性障害、神経精神障害、神経障害、および中毒(依存症)を含めた、さまざまなCNS障害の治療または予防に有用である。本化合物およびそれらの医薬組成物を用いて、認知障害および認知機能不全(加齢に関係したものなど)、注意欠陥障害および認知症(病原体または代謝異常によるものを含む)を治療または予防すること; 神経保護効果をもたらすこと; 痙攣および多発性脳梗塞を治療すること; 気分障害、強迫行為および嗜癖的行動を治療すること; 無痛覚をもたらすこと; 炎症(例えば、サイトカインおよび核内因子κBが介在する炎症)を抑えること; 炎症性障害を治療すること; 疼痛緩和をもたらすこと; ならびに、細菌、真菌、およびウイルス感染治療用の抗感染症薬として感染症を治療すること; が可能である。これらの障害、疾患および症状の中でも、本発明の化合物と医薬組成物は以下の治療または予防に使用することができる:加齢に伴う記憶障害(AAMI)、軽度認知機能障害(MCI)、加齢に関係した認知低下(ARCD)、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、痴呆ではない認知障害(cognitive impairment no dementia: CIND)、レビー小体型認知症、HIV認知症、エイズ認知症症候群(AIDS dementia complex)、血管性認知症、ダウン症候群、頭部外傷、外傷性脳損傷(TBI)、拳闘家認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病およびプリオン病、脳卒中、虚血、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア(dyslexia)、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、統合失調症における認知機能不全、統合失調症における認知障害、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、グァム島のパーキンソン・認知症、前頭側頭型認知症パーキンソン型(FTDP)、ピック病、ニーマン・ピック病、ハンチントン病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進、進行性核上性麻痺、進行性核上性不全麻痺、むずむず脚症候群(restless leg syndrome)、クロイツフェルト・ヤコブ病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患(MND)、多系統萎縮症(MSA)、大脳皮質基底核変性症、ギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、てんかん、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、躁病、不安症、うつ病、月経前不快気分障害、パニック障害、過食症、食欲不振、ナルコレプシー、日中の過剰な眠気、双極性障害、全般性不安障害、強迫性障害、激しい怒りの爆発(rage outburst)、反抗的行為障害、トゥレット症候群、自閉症、薬物・アルコール中毒、タバコ中毒、肥満症、悪液質、乾癬、狼瘡、急性胆管炎、アフタ性口内炎、潰瘍、喘息、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、痙性ジストニー、下痢、便秘、回腸嚢炎、ウイルス性肺炎、関節炎(慢性関節リウマチおよび変形性関節炎を含む)、内毒素血症、敗血症、アテローム性動脈硬化症、特発性肺線維症、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害、尿失禁、糖尿病、ならびに新生物。
【0068】
認知障害または認知機能不全は、以下のような精神医学的障害または疾患と関連している可能性がある:統合失調症と他の精神病性障害(限定するものではないが、精神病、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、および一般身体疾患による精神病性障害を含む)、認知症と他の認知障害(限定するものではないが、軽度認知機能障害、初老期認知症、アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、加齢に関係した記憶障害、レビー小体型認知症、血管性認知症、エイズ認知症症候群、ディスレクシア(dyslexia)、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、パーキンソン病の認知障害および認知症、多発性硬化症の認知障害、外傷性脳損傷に起因する認知障害、他の一般身体疾患による認知症を含む)、不安障害(限定するものではないが、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、特定恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害および一般身体疾患による全般性不安障害を含む)、気分障害(限定するものではないが、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性うつ病、双極性躁病、双極I型障害、躁状態、うつ状態または混合状態を伴ううつ病、双極II型障害、気分循環性障害、および一般身体疾患による気分障害を含む)、睡眠障害(限定するものではないが、睡眠異常障害、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、睡眠時異常行動障害、悪夢障害、睡眠時驚愕障害、および夢遊病を含む)、精神遅滞、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、広汎性発達障害、注意欠陥および破壊的行動障害、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、幼児期、小児期または成人期の摂食障害、チック障害、排泄障害、物質関連障害(限定するものではないが、物質依存症、物質濫用、物質中毒、物質禁断症状、アルコール関連障害、アンフェタミンもしくはアンフェタミン類似物質関連障害、カフェイン関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、幻覚剤関連障害、吸入剤関連障害、ニコチン関連障害、アヘン関連障害、フェンシクリジンもしくはフェンシクリジン類似物質関連障害、および鎮静剤-、催眠薬-または抗不安薬-関連障害を含む)、人格障害(限定するものではないが、強迫性人格障害および衝動制御障害を含む)。
【0069】
上記の疾患および障害は、例えばAmerican Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(アメリカ精神医学会:精神障害の診断・統計マニュアル), 第4版, 改訂版, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000において定義されている。このマニュアルは物質の使用、濫用、依存と関連した症状および診断上の特徴に関しても非常に詳しく言及しており、そうした内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0070】
上記の疾患、障害および症状の治療または予防は、認められるほどの有害な副作用(例えば、血圧と心拍数の顕著な上昇、胃腸管に対する著しい悪影響、および骨格筋に対する重大な影響)を引き起こすことなく行うことが好ましい。
【0071】
本発明の化合物は、有効量で用いたとき、ヒト神経節(本化合物が副腎クロマフィン組織においてニコチン様機能を誘発する能力を欠失していることにより実証される)または骨格筋(本化合物が筋型ニコチン性受容体を発現している細胞試料においてニコチン様機能を誘発する能力を欠失していることにより実証される)に特徴的なニコチン性サブタイプと認めうるほどに相互作用することなく、α4β2 NNRsの活性をモジュレートすることができる。したがって、これらの化合物は、神経節および神経筋部位で重大な副作用に結びつく活性を引き出すことなく、疾患、障害および症状を治療または予防することができる。こうして、本化合物の投与は、特定の疾患、障害および症状の治療が可能でありかつ特定の副作用が回避される治療窓(therapeutic window)をもたらすと考えられる。すなわち、本化合物の有効投与量は、疾患、障害または症状に望ましい効果を与えるのに十分であるが、望ましくない副作用をもたらすには不十分である(すなわち、十分高いレベルではない)。
【0072】
したがって、本発明は、治療(例えば、上記した治療のいずれか)において使用するための、本発明の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0073】
さらに別の態様において、本発明は、上記した疾患、障害または症状のような、CNS障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症、注意欠陥障害、軽度認知機能障害、加齢に伴う記憶障害、および統合失調症における認知機能不全を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0075】
診断用途
本化合物は、特にそれらが適切な標識を含むように修飾されている場合には、プローブのような診断組成物中で使用することができる。プローブを用いると、例えば、特定の受容体(特にα4β2受容体サブタイプ)の相対数および/または機能を調べることが可能である。そのためには、本発明の化合物を11C、18F、76Br、123I または 125Iのような放射性同位元素で標識することが最も好ましい。
【0076】
投与した化合物は、用いた標識に適する公知の検出方法により検出することができる。検出方法の例としては、ポジトロン放出断層撮影(PET)および単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)が挙げられる。上記の放射性標識はPET (例えば、11C、18Fまたは76Br)およびSPECT (例えば、123I)によるイメージングに有用であり、11Cの半減期が約20.4分、18Fが約109分、123Iが約13時間、そして76Brが約16時間である。飽和に達しない濃度で所定の受容体サブタイプを可視化するためには高い比放射能が望まれる。投与される量は典型的には毒性域よりも少なく、しかも高コントラスト画像を提供できる量である。本化合物は無毒性レベルでの投与が可能であると予想される。投与量の決定は、放射性標識イメージング分野の当業者に知られた方法で行う。例えば、Londonらへの米国特許第5,969,144号を参照されたい。
【0077】
本化合物は公知の手法を用いて投与することができる。例えば、Londonらへの米国特許第5,969,144号を参照されたい(かかる手法に関して参照により本明細書に組み入れる)。本化合物は、他の成分、例えば診断組成物を処方するのに有用な種類の成分、を含んだ処方組成物として投与しうる。本発明の実施に基づいて有用な化合物は高純度の形態で用いることが最も好ましい。Elmalchらへの米国特許第5,853,696号を参照されたい。
【0078】
本化合物を被験者(例えば、ヒト被験者)に投与した後、所定のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプの存在、量および機能を示すために、被験者の体内の該化合物の存在を適切な技法でイメージングして定量化することができる。ヒトのほかに、本化合物はマウス、ラット、イヌ、サルなどの動物にも投与可能である。SPECTおよびPETイメージングはどのような適切な技法・装置を用いて行ってもよい。代表的なイメージング技法の開示内容に関しては、Arnericら(編) Neuronal Nicotinic Receptors: Pharmacology and Therapeutic Opportunities(神経型ニコチン性受容体:薬理学および治療機会), 235-250 (1998)に掲載されるVillemagneら、およびElmalchらへの米国特許第5,853,696号を参照されたい;各文献のかかる教示内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0079】
放射性標識された化合物は、選択的nAChRサブタイプ(例えば、α4β2)と高い親和性で結合するが、他のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプ(例えば、筋肉と神経節に関連する受容体サブタイプ)との非特異的結合は無視できるほど低いことが好ましい。こうして、本化合物は、被験者の体内(特に、さまざまなCNS疾患・障害と関連した診断のために脳内)のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプの非侵襲的イメージングのための造影剤として使用可能である。
【0080】
一態様において、診断組成物は、ヒト患者のような被験者の疾患を診断する方法において使用することができる。この方法は、本明細書に記載したような、検出可能に標識した化合物を患者に投与し、所定のニコチン性受容体サブタイプ(例えば、α4β2受容体サブタイプ)への該化合物の結合を検出することを含む。PETやSPECTなどの診断ツールを用いる分野の当業者であれば、本明細書に記載した放射性標識化合物を用いて、中枢神経系と自律神経系の機能障害に関連した疾患および障害を含めて、さまざまな疾患および障害を診断することができる。そうした障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症をはじめとする多種多様なCNS疾患および障害が含まれる。評価可能なこれらの疾患・障害および他の代表的な疾患・障害には、本明細書に記載したものだけでなく、Bencherifらへの米国特許第5,952,339号(全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるものも含まれる。
【0081】
別の態様では、診断組成物を、ヒト患者のような被験者の選択的ニコチン性受容体サブタイプをモニタリングする方法において使用することができる。この方法は、本明細書に記載したような、検出可能に標識した化合物を患者に投与し、所定のニコチン性受容体サブタイプ(例えば、α4β2受容体サブタイプ)への該化合物の結合を検出することを含む。
【0082】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は本発明の化合物を含有し、該化合物は、有効量で用いたとき、被験者の関係するニコチン性受容体部位と相互作用して、さまざまな疾患および障害を治療または予防するための治療薬として機能する。かかる医薬組成物は、障害に罹患しているかまたは障害の臨床徴候を示している個体に治療効果をもたらすが、それは、こうした組成物に含まれる本化合物が、有効量で用いたとき、(i)ニコチン様薬理学を示して、関係するニコチン性受容体部位に影響を及ぼす(例えば、薬理学的アゴニストとして作用してニコチン性受容体を活性化することによる)、または(ii)神経伝達物質の分泌を引き出すことによって、そうした疾患に関連した症状を予防および抑制する、ことができるからである。
【0083】
本発明の化合物は、(i)それを必要とする被験者の脳のニコチン性コリン作動性受容体の数を増加させる;(ii)神経保護作用を示す;および(iii)有効量で用いたとき、認められるほどの有害な副作用(例えば、血圧と心拍数の顕著な上昇、胃腸管に対する著しい悪影響、または骨格筋に対する重大な影響)を起こさない;という能力がある。
【0084】
本発明はさらに、有効量の上記式の本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。上記式の本発明の化合物(その塩および溶媒和物を含む)は本明細書中に記載したとおりである。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と適合しかつ医薬組成物の服用者に対して有害でないという意味で、許容されるものでなければならない。
【0085】
本発明の別の態様によると、医薬組成物の調製方法が提供されるが、この方法は、上記式の本発明の化合物(その塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む。
【0086】
本化合物の投与方法はいろいろある。好ましくは、本組成物は経口的に(例えば、水性もしくは非水性液体などの溶媒中の液剤として、または固体担体中に加えて)投与される。好適な経口投与用の組成物としては、丸剤、錠剤、カプセル剤(硬質ゼラチンカプセルおよび徐放性カプセルを含む)、カプレット剤、シロップ剤、および溶液剤が挙げられる。組成物は単位剤形として、または複数回用量もしくはサブユニット用量として製剤化しうる。好ましい組成物は液体または半固体の形態である。
【0087】
製薬上不活性な液状担体(例えば、水)または製薬上適合性の他の液体もしくは半固体を含む組成物が用いられる。そのような液体および半固体の使用は当業者によく知られている。
【0088】
本組成物は注射による投与も可能であり、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、くも膜下腔内、および脳室内に投与しうる。静脈内投与が好ましい注射の方法である。適当な注射用の担体は当業者によく知られており、5%デキストロース液、生理食塩水、およびリン酸緩衝食塩水などがある。本化合物は注入液または輸液として(例えば、製薬上許容される液体もしくは混合液体中の懸濁液剤または乳剤として)投与することも可能である。
【0089】
本製剤はまた、その他の手段を用いて、例えば直腸投与により、投与することもできる。直腸投与に適する座薬のような製剤は当業者に周知である。本化合物はさらに、吸入により(例えば、鼻腔内に、またはBrooksらへの米国特許第4,922,901号(その全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるタイプのデリバリー器具を用いて、エーロゾル剤として);局所的に(例えば、ローション剤として);経皮的に(例えば、経皮吸収型パッチ剤を用いて、Novartis and Alza Corporationから市販されている技法を用いて、または粉末射出により);あるいは口腔または鼻腔吸収により、投与することもできる。本化合物を原料薬品(bulk active chemical)の形で投与することが可能であるが、効率的かつ効果的に投与するために各化合物を医薬組成物または製剤の形で提供することが好ましい。
【0090】
そうした化合物の典型的な投与方法は当業者には明らかだろう。これらの製剤の有効性は、用いる個々の組成物と、治療を受ける個々の被験者によって変わりうる。例えば、本組成物は錠剤、硬質ゼラチンカプセル剤、または徐放性カプセル剤として投与することができる。これらの製剤は液状担体(油性、水性、もしくは乳化性でありうる)を含んでいてもよいし、投与様式に適したある種の溶媒を含んでいてもよい。
【0091】
本明細書に記載した医薬組成物は間欠的に、段階的に、連続的に、一定の速度で、または制御された速度で温血動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、サルなどの哺乳類)に投与することができるが、有利にはヒトに投与することが好ましい。さらに、医薬組成物が投与される1日の時間帯および1日あたりの回数はさまざまでありうる。
【0092】
本化合物の適切な投与量は、患者が罹患している障害の発症を予防するか、またはそのような障害の何らかの症状を治療するのに有効な量である。「有効量」、「治療量」または「有効投与量」とは、所望の薬理効果または治療効果を引き出すのに十分な量であって、結果的に障害の効果的な予防または治療をもたらす量を意味する。こうして、CNS障害を治療する場合に、化合物の有効量は、被験者の血液脳関門を通過し、被験者の脳内の関係する受容体部位に結合して、関係するニコチン性受容体サブタイプの活性をモジュレートする(例えば、神経伝達物質の分泌をモジュレートして、結果的に障害の効果的な予防または治療をもたらす)のに十分な量である。障害の予防は、その障害の発症が遅れることで明らかになる。障害の治療は、その障害に伴う症状が軽減されるか、またはその障害の症状の再発が防止されることにより明らかになる。
【0093】
有効投与量は、患者の状態、障害の重症度、医薬組成物の投与様式などの諸要因に応じて変化しうる。ヒト患者では、典型的な化合物の有効投与量は、一般に、疾患関連受容体をモジュレートして神経伝達物質(例えば、ドーパミン)の放出に影響を及ぼすのに十分な量で本化合物を投与する必要があるが、かかる量は骨格筋と神経節に対してかなりの程度に影響を及ぼすには不十分であるべきである。当然のことながら、化合物の有効投与量は患者ごとに相違し、一般的には、CNS効果または他の望ましい治療効果が生じる量から開始するが、筋肉および神経節への影響が認められる量よりも少なくする。
【0094】
典型的には、有効投与量で投与するために、化合物を5mg/kg(患者体重)より少ない量で投与する必要がある。多くの場合、化合物を約1mg/kg(患者体重)未満から約100μg/kg(患者体重)未満の量で投与し、場合によっては約10μg/kgから100μg/kg(患者体重)未満の量で投与する。上記の有効投与量は一般的に、1回分の用量として投与される量、または24時間にわたって1回分以上の用量として投与される量を表す。ヒト患者では、本化合物の有効投与量は、少なくとも約1mg/24時間/患者の量であるが、最高で約1000mg/24時間/患者の量、多くの場合はせいぜい約500mg/24時間/患者の量で化合物を投与する必要がある。
【0095】
診断薬として有用な組成物は、Elmalchらへの米国特許第5,853,696号およびLondonらへの同第5,969,144号(これらの内容を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるとおりに、利用することができる。本化合物はまた、他の成分(例えば、診断組成物を処方する際に有用な種類の成分)を含む処方組成物として投与することもできる。
【0096】
本発明はまた、NNRまたはnAChRが介在する障害を被験者において治療または予防するための併用療法をも包含する。併用療法は、被験者に、治療上または予防上有効な量の本発明の化合物を投与し、さらに化学療法、放射線療法、遺伝子治療、または免疫療法を含む他の治療法を施すことを含む。
【0097】
本発明の一実施形態では、本発明の化合物を他の治療用化合物と併用して投与することができる。特に、本発明の化合物は以下の物質と組み合わせて用いることが有利である:他のNNRリガンド(例えば、バレニクリン)、抗酸化剤(例えば、フリーラジカル消去剤)、抗菌剤(例えば、ペニシリン系抗生物質)、抗ウイルス薬(例えば、ジドブジンやアシクロビルのようなヌクレオシド類似物質)、抗凝血剤(例えば、ワーファリン)、抗炎症剤(例えば、NSAIDs)、解熱剤、鎮痛薬、麻酔薬(例えば、手術で用いるもの)、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジルおよびガランタミン)、抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、クロザピン、オランザピンおよびクエチアピン)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンおよびメトトレキセート)、神経保護剤、ステロイド(例えば、ステロイドホルモン)、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾンおよびヒドロコルチゾン)、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、抗うつ薬(例えば、イミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム(escitalopram)、セルトラリン、ベンラファキシンおよびデュロキセチン)、抗不安薬(例えば、アルプラゾラムおよびバスピロン)、抗てんかん薬(例えば、フェニトインおよびガバペンチン)、血管拡張薬(例えば、プラゾシンおよびシルデナフィル)、気分安定剤(例えば、バルプロ酸塩およびアリピプロゾール)、抗癌薬(例えば、抗増殖薬)、抗高血圧薬(例えば、アテノロール、クロニジン、アムロピジン、ベラパミルおよびオルメサルタン)、下剤、便秘薬、利尿薬(例えば、フロセミド)、鎮痙薬(例えば、ジサイクロミン)、抗ジスキネジア薬、ならびに抗潰瘍薬(例えば、エソメプラゾール)。
【0098】
本発明の化合物は単独で用いてもよいし、他の治療薬(本発明の他の化合物を含む)と組み合わせて用いてもよい。そのような薬剤の組み合わせは一緒にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合には、同時に投与してもよいし、任意の順序で逐次投与してもよい。所望の治療効果が達成されるように、化合物または薬剤の量と相対的な投与タイミングを選択する。上記式の本発明の化合物(その塩または溶媒和物を含む)と他の治療薬との併用投与は、(1)双方の化合物を含む単一の医薬組成物、または(2)一方の化合物をそれぞれ含む別個の医薬組成物、として同時に投与することによる併用でありうる。あるいはまた、一方の治療薬を最初に投与してから他方を投与する(またはその逆)逐次的方法で、組合せ治療薬を別々に投与してもよい。そのような逐次投与は時間的に接近していても離れていてもよい。本発明の化合物はさまざまな障害および疾患の治療に用いることができ、そのため、そうした障害や疾患の治療および/または予防に有用な種々の他の好適な治療薬と組み合わせて、本発明の化合物を使用することができる。
【0099】
以下の実施例は本発明を例示するために提供されるものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。これらの実施例において、すべての部およびパーセントは、特に指定しない限り、重量基準である。
【0100】
略語リスト
本明細書中で用いる略語の次の定義は、定義される用語を明確にするためのもので、それらを限定するものではない。本明細書で用いる特定の略語が具体的に定義されない場合には、その略語を不明確であるとみなすべきでない。むしろ、そうした略語は当技術分野で受け入れられたそれらの意味の範囲内で用いるものとする。
【0101】
THF (テトラヒドロフラン)
DIPEA (ジイソプロピルエチルアミン)
DMF (ジメチルホルムアミド)
HBTU (O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート)
DMAP (4-N,N-ジメチルアミノピリジン)
CMA 90 (クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウム水溶液 (90:9:1))
DCC (N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)
PS-DCC (ポリスチレン結合型N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)
HOBt (1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)
TFA (トリフルオロ酢酸)
HPLC (高速液体クロマトグラフィー)
MLA (methyllycaconitine:メチルリカコニチン)
NOR (novel object recognition:新物体認識)
ND (not determined:未決定)
【0102】

【0103】
(生物学的アッセイ)
【実施例1】
【0104】
CNS nAChRsでの放射性リガンドの結合
α4β2 nAChRサブタイプ
体重150〜250gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明暗サイクルで飼育し、水と餌(PMI Nutrition International社から供給されたもの)を自由に摂取できるようにした。動物に70%CO2で麻酔をかけてから首を切断した。脳を摘出し、よく冷えた台の上に載せた。大脳皮質を取り出し、20容(重量:体積)の氷冷調製バッファー(137mM NaCl、10.7mM KCl、5.8mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、20mM HEPES (遊離酸)、5mM ヨードアセトアミド、1.6mM EDTA、pH7.4)の中に入れた。メタノール中に100μMの最終濃度で溶解したPMSFを添加し、この懸濁液をポリトロン(Polytron)でホモジナイズした。ホモジネートを18,000×g、4℃で20分遠心し、生じたペレットを20容の氷水に再懸濁した。氷上で60分インキュベーションしてから18,000×g、4℃で20分遠心することにより、新たなペレットを回収した。この最終ペレットを10容のバッファーに再懸濁してから−20℃で保存した。アッセイ当日、組織を解凍して18,000×gで20分遠心し、その後氷冷PBS (ダルベッコリン酸緩衝食塩水、138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH7.4) 中に約4mgタンパク質/mLの最終濃度で再懸濁した。タンパク質は、標準品としてウシ血清アルブミンを用いて、Lowry et al., J. Biol. Chem. 193: 265 (1951)に記載の方法により測定した。
【0105】
[3H]ニコチンの結合は、Romano et al., Science 210: 647 (1980)およびMarks et al., Mol. Pharmacol. 30: 427 (1986)に記載された方法の改良法を用いて測定した。[3H]ニコチン(比活性=81.5Ci/mmol)はNEN Research Products社から入手した。4℃で3時間インキュベーションすることにより[3H]ニコチンの結合を測定した。インキュベーションは48ウェル型マイクロタイタープレートで実施し、最終インキュベーション容積300μL中に約400μg/ウェルのタンパク質が含まれていた。インキュベーションバッファーとしてPBSを用い、[3H]ニコチンの最終濃度を5nMとした。Brandel組織ハーベスターを4℃で用いて、リガンドが結合しているタンパク質をガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel社)上で濾過することにより、結合反応を終了させた。非特異的結合を減らすために、0.33%のポリエチレンイミンを含む脱イオン水の中にフィルターを浸した。各フィルターを氷冷バッファー(3×1mL)で洗った。非特異的結合は、所定のウェルに10μMの非放射性L-ニコチン(Acros Organics社)を加えることにより測定した。
【0106】
試験化合物による[3H]ニコチン結合の阻害を調べるため、所定のウェルに試験化合物を7つの異なる濃度で加えた。各濃度につき3回反復して測定した。IC50値は特異的[3H]ニコチン結合の50パーセントを阻害する化合物の濃度として求めた。nMで記録される阻害定数(Ki値)は、Cheng et al., Biochem. Pharmacol. 22: 3099 (1973)に記載の方法を用いてIC50値から算出した。
【0107】
α7 nAChRサブタイプ
体重150〜250gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明暗サイクルで飼育し、水と餌(PMI Nutrition International社から供給されたもの)を自由に摂取できるようにした。動物に70%CO2で麻酔をかけてから首を切断した。脳を摘出し、よく冷えた台の上に載せた。海馬を取り出し、10容(重量:体積)の氷冷調製バッファー(137mM NaCl、10.7mM KCl、5.8mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、20mM HEPES (遊離酸)、5mM ヨードアセトアミド、1.6mM EDTA、pH7.4)の中に入れた。メタノール中に100μMの最終濃度で溶解したPMSFを添加し、この組織懸濁液をポリトロンでホモジナイズした。ホモジネートを18,000×g、4℃で20分遠心し、生じたペレットを10容の氷水に再懸濁した。氷上で60分インキュベーションしてから18,000×g、4℃で20分遠心することにより、新しいペレットを回収した。この最終ペレットを10容のバッファーに再懸濁してから−20℃で保存した。アッセイ当日、組織を解凍して18,000×gで20分遠心し、その後氷冷PBS (ダルベッコリン酸緩衝食塩水、138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH7.4)中に再懸濁して約2mgタンパク質/mLの最終濃度とした。タンパク質は、標準品としてウシ血清アルブミンを用いて、Lowry et al., J. Biol. Chem. 193: 265 (1951) に記載の方法により測定した。
【0108】
[3H]MLAの結合は、Davies et al., Neuropharmacol. 38: 679 (1999) に記載の方法の改良法を用いて測定した。[3H]MLA (比活性=25〜35Ci/mmol) はTocris社から入手した。21℃で2時間インキュベーションすることにより[3H]MLAの結合を測定した。インキュベーションは48ウェル型マイクロタイタープレートで実施し、最終インキュベーション容積300μL中に約200μg/ウェルのタンパク質が含まれていた。インキュベーションバッファーとしてPBSを用い、[3H]MLAの最終濃度を5nMとした。Brandel組織ハーベスターを室温で用いて、リガンドが結合しているタンパク質をガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel社)で濾過することにより、結合反応を終了させた。非特異的結合を減らすために、0.33%のポリエチレンイミンを含む脱イオン水の中にフィルターを浸した。各フィルターを室温にてPBS (3×1mL)で洗った。非特異的結合は、所定のウェルに50μMの非放射性MLAを加えることにより測定した。
【0109】
試験化合物による[3H]MLA結合の阻害を調べるため、所定のウェルに試験化合物を7つの異なる濃度で加えた。各濃度につき3回反復して測定した。特異的[3H]MLA結合の50パーセントを阻害する化合物の濃度としてIC50値を求めた。nMで記録される阻害定数(Ki値)は、IC50値からCheng et al., Biochem. Pharmacol. 22: 3099-3108 (1973)に記載の方法を用いて算出した。.
【実施例2】
【0110】
ドーパミン放出の測定
ドーパミンの放出は、ラット脳から得られた線条体シナプトソームを用いて、Rapier et al., J. Neurochem. 54: 937 (1990) に記載の手順に従って測定した。体重150〜250gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明暗サイクルで飼育し、水と餌(PMI Nutrition International社から供給されたもの)を自由に摂取できるようにした。動物に70%CO2で麻酔をかけてから首を切断した。脳をすばやく摘出し、線条体を切り裂いた。2匹のラットのそれぞれから得られた線条体組織をプールし、ガラス/ガラスホモジナイザーを使って、5mM HEPES(pH7.4)を含む氷冷0.32Mスクロース(5mL)中でホモジナイズした。次に組織を1,000×gで10分間遠心した。ペレットを廃棄し、上清を12,000×gで20分間遠心した。得られたペレットを、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を含む灌流バッファー (128mM NaCl、1.2mM KH2PO4、2.4mM KCl、3.2mM CaCl2、1.2mM MgSO4、25mM HEPES、1mM アスコルビン酸、0.02mM 塩酸パルギリン(pargyline)、および10mM グルコース、pH7.4) 中に再懸濁し、25,000×gで15分間遠心した。すぐに使用するため最終ペレットを灌流バッファー(1.4mL)中に再懸濁した。
【0111】
このシナプトソーム懸濁液を37℃で10分間インキュベーションして代謝活性を復活させた。[3H]ドーパミン([3H]DA、比活性=28.0Ci/mmol、NEN Research Products社)を0.1μMの最終濃度で添加し、この懸濁液を37℃でさらに10分間インキュベーションした。組織のアリコート(50μL)と灌流バッファー(100μL)をBrandelスーパーフュージョンシステム(シリーズ2500、Gaithersburg、MD)のスーパーフュージョンチャンバーに入れた。灌流バッファー(室温)を3mL/分の速度で8分の洗浄期間にわたりチャンバー内にポンプで送った。その後試験化合物(10μM)またはニコチン(10μM)を灌流ストリーム中に40秒間添加した。この実験全体を通して各チャンバーから画分(それぞれ12秒)を連続的に回収して基礎放出とアゴニスト誘発ピーク放出をとらえ、また、アゴニスト添加後にベースラインを再確立した。灌流液をシンチレーションバイアルに直接回収し、そこにシンチレーション液を加えた。放出された[3H]DAをシンチレーション計測により定量化した。各チャンバーにつき、積分したピーク面積をそのベースラインに対して正規化した。
【0112】
放出は等濃度のL-ニコチンにより得られた放出のパーセンテージとして表した。それぞれのアッセイにおいて、各試験化合物を2〜3個のチャンバーで反復測定し、それらの反復測定の平均をとった。適宜に、試験化合物の用量応答曲線を作成した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発された最大活性化のパーセンテージとして求めた。さらに、特定のイオン流出の50%(half maximal)活性化(EC50)をもたらす化合物濃度も決定した。
【実施例3】
【0113】
末梢nAChRsに対する選択性
ヒト筋nAChRサブタイプでの相互作用
筋型nAChRsの活性化はヒトクローン株TE671/RDで行ったが、このクローン株は胎児性横紋筋肉腫に由来するものであった(Stratton et al., Carcinogen 10: 899 (1989))。これらの細胞は、筋型nAChRに類似した薬理学的(Lukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251: 175 (1989))、電気生理学的(Oswald et al., Neurosci. Lett. 96: 207 (1989))、および分子生物学的プロファイル(Luther et al., J. Neurosci. 9: 1082 (1989))を有する受容体を発現する。
【0114】
TE671/RD細胞は一般的なプロトコル(Bencherif et al., Mol. Cell. Neurosci. 2: 52 (1991)およびBencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991))に従って増殖成長期において維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL社)、5%ウシ胎仔血清(HyClone社、Logan UT)、1mM ピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミン、および50,000ユニットのペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific社)を含むダルベッコ改変イーグル培地 (Gibco/BRL社)で培養した。細胞が80%コンフルエントに達したとき、それらを12ウェルのポリスチレンプレート(Costar社)に移して培養した。細胞が100%コンフルエントに達したとき、実験を開始した。
【0115】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukas et al., Anal. Biochem. 175: 212 (1988)に記載の方法に従って、86Rb+流出を用いてアッセイした。実験当日、ウェルから増殖培地を静かに取り出し、塩化86ルビジウム(106μCi/mL)を含む増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低でも3時間インキュベートした。ローディング期間後、過剰の86Rb+を除き、細胞を乱さないように注意しながら、ラベルフリーのダルベッコリン酸緩衝食塩水(138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH.7.4)を用いて細胞を2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのL-ニコチン(Acros Organics社)またはバッファーのみのいずれかに4分間暴露した。暴露期間後、放出された86Rb+を含む上清を取り出してシンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を添加して、放出された放射能を液体シンチレーションカウンターにより計測した。
【0116】
それぞれのアッセイにおいて、各ポイントでは2回反復して測定し、それらの平均をとった。86Rb+の放出量を陽性対照(100μMのL-ニコチン)および陰性対照(バッファーのみ)の両方と比較して、L-ニコチンのそれに対する放出パーセントを求めた。
【0117】
適切な場合には、試験化合物の用量応答曲線を作成した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発された最大活性化のパーセンテージとして求めた。さらに、特定のイオン流出の50%(half maximal)活性化(EC50)をもたらす化合物濃度も決定した。
【0118】
ラット神経節nAChRサブタイプでの相互作用
ラット神経節nAChRsの活性化は褐色細胞腫クローン株PC12で行ったが、このクローン株は、ラット副腎髄質の腫瘍に由来する、神経冠起源の連続クローン細胞株であった。これらの細胞は神経節様nAChRsを発現する(Whiting et al., Nature 327: 515 (1987); Lukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251: 175 (1989); Whiting et al., Mol. Brain Res. 10: 61 (1990)を参照されたい)。
【0119】
ラットPC12細胞は一般的なプロトコル(Bencherif et al., Mol. Cell. Neurosci. 2: 52 (1991)およびBencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991))に従って増殖成長期において維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL社)、5%ウシ胎仔血清(HyClone社、Logan UT)、1mM ピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミン、および50,000ユニットのペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific社)を含むダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL社)で培養した。細胞が80%コンフルエントに達したとき、それらを、0.03%のポリ-L-リシン(Sigma社、100mMホウ酸中に溶解したもの)をコーティングした12ウェルのNuncプレート(Nunclon社)に移して培養した。細胞が80%コンフルエントに達したとき、実験を開始した。
【0120】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukas et al., Anal. Biochem. 175: 212 (1988)に記載の方法に従って、86Rb+流出を用いてアッセイした。実験当日、ウェルから増殖培地を静かに取り出し、塩化86ルビジウム(106μCi/mL)を含む増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低でも3時間インキュベートした。ローディング期間後、過剰の86Rb+を除き、ラベルフリーのダルベッコリン酸緩衝食塩水(138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH.7.4)を用いて、細胞を乱さないように注意しながら、細胞を2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのニコチンまたはバッファーのみのいずれかに4分間暴露した。暴露期間後、放出された86Rb+を含む上清を取り出し、シンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を添加して、放出された放射能を液体シンチレーションカウンターにより計測した。
【0121】
それぞれのアッセイにおいて、各ポイントでは2回反復して測定し、それらの平均をとった。86Rb+の放出量を陽性対照(100μMのニコチン)および陰性対照(バッファーのみ)の両方と比較して、L-ニコチンのそれに対する放出パーセントを求めた。
【0122】
適切な場合には、試験化合物の用量応答曲線を作成した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発された最大活性化のパーセンテージとして求めた。さらに、特定のイオン流出の50%(half maximal)活性化(EC50)をもたらす化合物濃度も決定した。
【0123】
ヒト神経節nAChRサブタイプでの相互作用
細胞株SH-SY5Yは、親細胞株SK-N-SHの逐次サブクローニングにより誘導された連続細胞株であるが、この親細胞株はもともとヒト末梢神経芽細胞腫から得られたものである。SH-SY5Y細胞は神経節様nAChRを発現する (Lukas et al., Mol. Cell. Neurosci. 4: 1 (1993))。
【0124】
ヒトSH-SY5Y細胞は一般的なプロトコル(Bencherif et al., Mol. Cell. Neurosci. 2: 52 (1991)およびBencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991))に従って増殖成長期において維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL社)、5%ウシ胎仔血清(HyClone社、Logan UT)、1mM ピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミン、および50,000ユニットのペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific社)を含むダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL社)で培養した。細胞が80%コンフルエントに達したとき、それらを12ウェルのポリスチレンプレート(Costar社)に移して培養した。細胞が100%コンフルエントに達したとき、実験を開始した。
【0125】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukas et al., Anal. Biochem. 175: 212 (1988)に記載の方法に従って、86Rb+流出を用いてアッセイした。実験当日、ウェルから増殖培地を静かに取り出し、塩化86ルビジウム(106μCi/mL)を含む増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低でも3時間インキュベートした。ローディング期間後、過剰の86Rb+を除き、ラベルフリーのダルベッコリン酸緩衝食塩水(138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH.7.4)を用いて、細胞を乱さないように注意しながら、細胞を2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのニコチンまたはバッファーのみのいずれかに4分間暴露した。暴露期間後、放出された86Rb+を含む上清を取り出し、シンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を添加して、放出された放射能を液体シンチレーションカウンターにより計測した。
【0126】
それぞれのアッセイにおいて、各ポイントでは2回反復して測定し、それらの平均をとった。86Rb+の放出量を陽性対照(100μMのニコチン)および陰性対照(バッファーのみ)の両方と比較して、L-ニコチンのそれに対する放出パーセントを求めた。
【0127】
適切な場合には、試験化合物の用量応答曲線を作成した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発された最大活性化のパーセンテージとして求めた。さらに、特定のイオン流出の50%(half maximal)活性化(EC50)をもたらす化合物濃度も決定した。
【実施例4】
【0128】
非ニコチン性受容体での結合の測定
ムスカリン性M3サブタイプ
ヒトクローン株TE671/RDは胎児性横紋筋肉腫に由来するものであり(Stratton et al., Carcinogen 10: 899 (1989))、このクローン株を用いてムスカリン性M3受容体サブタイプへの結合を調べた。薬理学的(Bencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991)およびLukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251: 175 (1989))、電気生理学的(Oswald et al., Neurosci. Lett. 96: 207 (1989))、および分子生物学的研究(Luther et al., J. Neurosci. 9: 1082 (1989))から明らかなように、これらの細胞は筋様ニコチン性受容体を発現する。TE671/RD細胞は一般的なプロトコル(Bencherif et al., Mol. Cell. Neurosci. 2: 52 (1991)およびBencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991))に従って増殖成長期において維持した。それらを20〜150mm組織培養用プレート(tissue culture treated plates)上でコンフルエントに達するまで増殖させた。その後培地を取り除き、80mLのPBS(ダルベッコリン酸緩衝食塩水、138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco社、pH7.4)を用いて細胞をこすり落とし、その後1000rpmで10分間遠心した。次いで、上清を吸引除去し、使用するまでペレットを−20℃で保存した。
【0129】
アッセイ当日、ペレットを解凍してPBSに再懸濁し、18,000×gで20分間遠心し、再度PBSに懸濁して約4mgタンパク質/mLの最終濃度とし、ポリトロンでホモジナイズした。タンパク質は、標準品としてウシ血清アルブミンを用いて、Lowry et al., J. Biol. Chem. 193: 265 (1951) に記載の方法により測定した。
【0130】
[3H]QNBの結合は、Bencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 257: 946 (1991)に記載の方法の改良法を用いて測定した。[3H]QNB (比活性=30〜60Ci/mmol)をNEN Research Products社から入手した。4℃で3時間インキュベーションすることにより[3H]QNBの結合を測定した。インキュベーションは48ウェル型マイクロタイタープレートで実施し、最終インキュベーション容積300μL中に約400μg/ウェルのタンパク質が含まれていた。インキュベーションバッファーとしてPBSを用い、[3H]QNBの最終濃度を1nMとした。Brandel組織ハーベスターを4℃で用いて、リガンドが結合しているタンパク質をガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel社)上で濾過することにより、結合反応を終了させた。非特異的結合を減らすために、0.33%のポリエチレンイミンを含む脱イオン水の中にフィルターを浸した。各フィルターを氷冷バッファー(3×1mL)で洗った。非特異的結合は、所定のウェルに10μMの非放射性アトロピンを加えることにより測定した。
【0131】
試験化合物による[3H]QNB結合の阻害を調べるため、所定のウェルに試験化合物を7つの異なる濃度で加えた。各濃度につき3回反復して測定した。IC50値は特異的[3H]QNB結合の50パーセントを阻害する化合物の濃度として求めた。nMで記録される阻害定数(Ki値)は、Cheng et al., Biochem. Pharmacol. 22: 3099 (1973)に記載の方法を用いてIC50値から算出した。
【0132】
(合成実施例)
以下の合成実施例は本発明を例示するために提供されるものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。これらの実施例において、すべての部およびパーセントは、特に指定しない限り、重量基準である。すべての試薬および溶媒は、特に指定しない限り、商業的供給源から入手したものを使用し、また、すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
【実施例5】
【0133】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸の合成
中間体である3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸は、次の手順を用いて合成した。
【0134】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7,7-ジカルボン酸ジエチル:
Flynn and Zabrowski, J. Org. Chem. 55: 3673-3674 (1990) (この文献の合成教示内容を参照により本明細書に組み入れる) に記載の方法に従って、アリルマロン酸ジエチル(18.0g、90.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF) (50mL)に溶解した。この反応に水素化ナトリウム(11.5g、288mmol、油中の60%分散体)を添加した。周囲温度で30分撹拌した後、THF (100mL)中にN-ヨードスクシンイミド(21.9g、97.2mmol)を溶解した溶液を添加し、この反応を暗所にて周囲温度で15分撹拌した。反応混合物を100gのシリカゲル上に注いだ。この内容物を400mLのエーテルで希釈してから、ガラス棒を使って撹拌した。その後、焼結漏斗でシリカゲル(100g)のベッドを通して内容物を濾過した。シリカゲルをエーテル(4×400mL)で洗った。一緒に合わせた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮して、2-アリル-2-ヨードマロン酸ジエチルを黄色がかったオレンジ色の液体として取得し、すぐに次の反応で使用した。
【0135】
その2-アリル-2-ヨードマロン酸ジエチルとN-(tert-ブトキシカルボニル)アリルアミン(20.8g、132mmol)をベンゼン(300mL)に溶解した。この反応にビス(トリブチルスズ) (3.6mL、7.1mmol)を添加し、反応混合物を太陽灯(GE、275W)に35分露光した。光源を取り除き、この反応にジイソプロピルエチルアミン(100mL)を添加して、混合物を一晩加熱還流した。反応混合物を周囲温度へと冷却し、水(200mL)で洗浄し、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し(ロータリーエバポレーター)、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製すると、13.0g (アリルマロン酸ジエチルから40.6%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7,7-ジカルボン酸ジエチルがオイルとして得られた。
【0136】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸:
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7,7-ジカルボン酸ジエチル(10.5g、29.5mmol)に水(25mL)と濃(12N)塩酸(75mL)を加えた。この混合物を8時間加熱還流した。揮発性物質を蒸発させ、残留物を水(10mL)に溶解し、この溶液のpHを10%炭酸水素ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。tert-ブタノール(60mL)中の二炭酸ジ-tert-ブチル(8.5g、39mmol)を添加して、この反応を周囲温度で一晩撹拌した。酢酸エチル(100mL)を反応混合物に添加し、この溶液のpHを2M塩酸でpH3に調整した。水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を水(2×200mL)と食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し(ロータリーエバポレーター)、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製すると、5.1gの3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸が白色固体として得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.59-3.40 (m, 2H), 3.36-3.05 (m, 2H), 3.02-2.76 (m, 2H), 2.65-2.60 (m, 1H), 2.24-2.04 (m, 2H), 1.85-1.66 (m, 2H), 1.46 (s, 9H); MS (m/z): 256 (M+1), 200 (M+1-56))。
【実施例6】
【0137】
N-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミドの合成
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF) (50mL)中の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(0.930g、3.65mmol)、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.71g、7.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA) (3.24mL、18.3mmol)の混合物に、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HBTU) (2.07 g、5.48 mmol)を添加し、この混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)中に注ぎ、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製すると、0.94g(収率86%)のN-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミドがオイルとして得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.69 (s, 3H), 3.6-3.42 (m, 2H), 3.36-3.05 (m, 3H), 3.18 (s, 3H), 2.82-2.57 (m, 2H), 2.08-2.02 (m, 2H), 1.82-1.65 (m, 2H), 1.46 (d, 9H); MS (m/z: 299 (M+1), 243 (M+1-56))。
【実施例7】
【0138】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のケトン誘導体
方法A: 3-アザビシクロ[3.3.0]オクタンのある種のアシル(ケトン)類似体は、3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸から、N-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド誘導体とアリール-およびアルキルリチウム試薬との反応を介して、製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0139】
2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩:
−78℃のTHF (15mL)中に溶解した2-ブロモフラン(0.295g、2.00mmol)の溶液をn-ブチルリチウム(n-BuLi)溶液(2.5Mへキサン溶液、0.85mL、2.1mmol)で処理し、この混合物を1時間撹拌した。THF (3mL)中に溶解したN-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド(0.60g、2.0mmol)の溶液を添加し、この混合物を8時間かけて周囲温度へと温めた。この混合物に水(0.5mL)を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(20mL)で希釈し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。残留物をシリカゲルカラムにかけてヘキサン中酢酸エチルの濃度勾配により溶出して精製すると、トランス異性体(アシル基がピロリジン環に対してトランス位置にある)(0.12g、最初に溶出する)、シス異性体(アシル基がピロリジン環に対してシス位置にある)(0.17g、二番目に溶出する)、およびこれらの異性体の混合物(0.1g)のサンプルが得られ、総収率は62%に達した。分離したサンプルを脱保護し、ジクロロメタン(5mL)中でトリフルオロ酢酸(TFA)と反応させることによりそれらのトリフルオロ酢酸塩に変換し、続いてアセトニトリルと0.05%TFA水溶液を移動相として用いてHPLCで精製すると、trans-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩(0.065g)、cis-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩(0.106g)、およびシス異性体とトランス異性体の混合物(0.075g)が得られた (トランス異性体の1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 7.81 (dd, J = 1.71, 0.73 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 3.42, 0.73 Hz, 1H), 6.66 (dd, J = 3.66, 1.71 Hz, 1H), 3.89-3.78 (m, 1H), 3.58-3.47 (m, 2H), 3.28-2.95 (m, 4 H), 2.19-2.10 (m, 2H), 1.94-1.85 (m, 2H); MS (m/z): 206 (M+1); シス異性体の1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 7.81 (dd, J = 1.71, 0.73 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 3.66, 0.73 Hz, 1H), 6.66 (dd, J = 3.66, 1.71 Hz, 1H), 3.83-3.72 (m, 1H), 3.39-3.32 (m, 2H), 3.25-3.19 (m, 2 H), 3.07-2.98 (m, 2H), 2.39-2.28 (m, 2H), 1.81-1.70 (m, 2H); MS (m/z): 206 (M+1))。
【0140】
上記手順と同様にして、表1の化合物を含む種々のアシル(ケトン)誘導体を製造した。ある場合にはシス/トランス異性体をクロマトグラフィーで分離し、またある場合には分離しなかった。
【表1】



【0141】
方法B: いくつかの他のアシル誘導体(ケトン)は、N-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミドとハロゲン化アルキルマグネシウム試薬(グリニャール試薬)との反応により製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0142】
シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩:
0℃のTHF (4.0mL)中に溶解したN-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド(0.20g、0.67mmol)の溶液に臭化シクロプロピルマグネシウム溶液(0.50Mエーテル溶液、5.4mL、2.7mmol)を添加し、この反応を周囲温度で一晩撹拌した。この混合物に2%酢酸水溶液(10mL)を加えて反応を停止させ、水相を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中酢酸エチルの濃度勾配により溶出して精製すると、純粋なシス異性体(後から溶出する)とトランス異性体(先に溶出する)(それぞれ0.06gおよび0.07g)(総収率69%)が得られた。分離した異性体を脱保護し、ジクロロメタン(5mL)中でトリフルオロ酢酸(TFA)と反応させることによりそれらのトリフルオロ酢酸塩に変換し、続いてアセトニトリルと0.05%TFA水溶液を移動相として用いてHPLCで精製すると、trans-シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩(0.026g)、cis-シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩(0.023g)がオイルとして得られた (トランス異性体の1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 3.59-3.40 (m, 2H), 3.37-3.29 (m, 1H), 3.02-2.90 (m, 4H), 2.16-2.03 (m, 3H), 1.87-1.80 (m, 2H), 0.96-0.91 (m, 4H); MS (m/z): 180 (M+1); シス異性体の1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 3.38-3.21 (m, 3H), 3.18-3.14 (m, 2H), 3.04-2.94 (m, 2H), 2.38-2.23 (m, 2H), 2.15-2.07 (m, 1H), 1.72-1.61 (m, 2H), 0.97-0.91 (m, 4H); MS (m/z): 180 (M+1))。
【0143】
上記手順と同様にして、表2の化合物を含む種々のアシル(ケトン)誘導体を製造した。一般的に、シス/トランス異性体を分離しなかった。
【表2】

【0144】
方法C: ある種のアシル誘導体(ケトン)は、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸塩化物をトリメチルシリルジアゾメタンと反応させ、その後変換反応を行うことにより製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0145】
1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン:
ジクロロメタン(10mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(0.580g、2.27mmol)の溶液に塩化オキサリル(1.45g、11.4mmol)と1滴のDMFを添加した。この反応を周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、酸塩化物をエーテル/アセトニトリル(20mL、9:1)中に溶解した。トリメチルシリルジアゾメタンの溶液(2.0Mヘキサン溶液、3.5mL、7.0mmol)を添加し、この反応を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残った黄色のオイルをエーテル(20mL)に溶解した。激しく撹拌しながら臭化水素酸水溶液(47%、1.0mL)をすばやく添加した。1分後、固体の炭酸水素ナトリウム(1.0g)を加えて反応を停止させ、この混合物を15分撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中20%〜30%酢酸エチルで溶出して精製すると、0.54g (収率74%)の1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノンがオイル(シス/トランス混合物)として得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.94および3.92 (s, 2H), 3.58-3.10 (m, 5H), 2.82-2.63 (m, 2H), 2.23-2.00 (m, 2H), 1.84-1.62 (m, 2H), 1.45および1.44 (s, 9H); MS (m/z): 332 (M+H), 334 (M+H+2))。
【0146】
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩:
ベンゼン(10mL)中の1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン(0.126g、0.380mmol)、フッ化カリウム(0.067g、1.15mmol)および18-クラウン-6 (0.050g、0.19mmol)の混合物を一晩加熱還流した。この混合物を濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中20%〜30%酢酸エチルで溶出して精製することにより、1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノンのシス異性体(0.022g)、トランス異性体(0.030g)、およびシス/トランス混合物(0.040g)をオイルとして得た。分離した異性体を脱保護し、ジクロロメタン(5mL)中でトリフルオロ酢酸と反応(周囲温度、1時間)させることによりそれらのトリフルオロ酢酸塩に変換した。溶媒を蒸発させ、生成物を減圧により乾燥させると、シスおよびトランス異性体としての1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩が得られた(それぞれ0.025gおよび0.032g)(トランス異性体の1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 5.08 (s, 1H), 4.93 (s, 1H), 3.37-3.29 (m, 2H), 3.24-3.16 (m, 3H), 3.00-2.95 (m, 2H), 2.34-2.22 (m, 2H), 1.69-1.58 (m, 2H); MS (m/z): 172 (M+1); シス異性体の1H-NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 5.13 (s, 1H), 4.98 (s, 1H), 3.60-3.52 (m, 2H), 3.78-3.67 (m, 2H), 3.12-2.96 (m, 3H), 2.38-2.15 (m, 2H), 1.91-1.64 (m, 2H); MS (m/z): 172 (M+1))。シス異性体は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ6.8nMおよび6.3nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。トランス異性体は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ154nMおよび176nMであり、α7でのKi値が>10,000nMであった。
【0147】
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩:
メタノール(4.0mL)中の1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン(0.126g、0.360mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(0.10g、0.39mmol)、および炭酸銀(0.10g、0.36mmol)の混合物を暗所にて周囲温度で2日間撹拌した。この反応混合物を濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中30%〜40%酢酸エチルで溶出して精製することにより、0.062g (収率61%)の1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノンをオイルとして得た。これをジクロロメタン(2.0mL)に溶解し、TFA (0.5mL)で処理して、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、残留物を減圧下で乾燥させると、0.045gの1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩が灰白色固体(シス/トランス異性体の混合物)として得られた (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 4.17 (s, 2H), 3.39 (s, 3H), 3.36-3.30 (m, 2H), 3.19-3.12 (m, 3H), 3.00-2.91 (m, 2H), 2.30-2.20 (m, 2H), 1.64-1.75 (m, 2H); MS (m/z): 184 (M+1))。この物質は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ32nMおよび31nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。
【0148】
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩:
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩の製造について先に記載した手順に従って、1-(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン(0.087g、0.27mmol)およびイソプロパノールから、1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン・トリフルオロ酢酸塩を製造し、シス/トランス異性体の混合物を得た (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 4.21および4.20 (s, 2H), 3.64 (heptet, J = 6.1 Hz, 1H), 3.54-3.42 (m, 1H), 3.24-3.15 (m, 2H), 2.98-2.90 (m, 4H), 2.37-2.22および2.06-1.99 (m, 2H), 1.82-1.75および1.65-1.54 (m, 2H), 1.18 (d, J = 6.1 Hz, 6H); MS (m/z): 212 (M+1))。この物質は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ427nMおよび261nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。
【実施例8】
【0149】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のエステル誘導体
方法A: 3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のある種のエステル誘導体は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカップリング剤を用いて、そのN-保護された酸から直接製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0150】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2,2-トリフルオロエチルのトリフルオロ酢酸塩:
ジクロロメタン(20mL)中の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(0.150g、0.588mmol)、2,2,2-トリフルオロエタノール(0.118g、1.18mmol)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP) (0.143g、1.18mmol)、およびポリマーに担持されたジシクロヘキシルカルボジイミド(PS-DCC) (0.8g、負荷量3.2mmol/g)の混合物を周囲温度で一晩撹拌した。この反応混合物を濾過して、濾液を濃縮した。残留物を、移動相としてアセトニトリルと0.05%TFA水溶液を用いてHPLCにより精製すると、0.053g (収率27%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2,2-トリフルオロエチルがオイルとして得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 4.48 (q, J = 8.30 Hz, 2H), 3.58-3.46 (m, 2H), 3.26-2.92 (m, 4H), 2.82-2.63 (m, 1H), 2.28-2.07 (m, 2H, 1.84-1.65 (m, 2H), 1.45 (s, 9H); MS (m/z): 338 (M+1), 282 (M+1-56))。3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2,2-トリフルオロエチルをジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、TFA (2.0mL)で処理し、この反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、移動相としてアセトニトリルと0.05%TFA水溶液を用いてHPLCで精製すると、0.023gの3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2,2-トリフルオロエチルのトリフルオロ酢酸塩(シス/トランス混合物)がオイルとして得られた(1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 4.62 (q, J = 8.79 Hz, 2H), 3.64-3.42 (m, 1H), 3.3.38-3.32 (m, 1H), 3.22-3.05 (m, 2H), 3.02-2.95 (m, 3H), 2.42-2.07 (m, 2H), 1.96-1.63 (m, 2H); MS (m/z): 238 (M+1))。
【0151】
上記手順と同様にして、表3の化合物を含む種々のエステル誘導体を製造した。典型的には、シス/トランス異性体を分離しなかった。
【表3】



【0152】
方法B: 3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のメチルエステルを、以下に記載する別の手順で製造した。
【0153】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチルの塩酸塩:
0℃のメタノール(5mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(0.15g、0.59mmol)の溶液に、黄色の色が持続するまで、トリメチルシリルジアゾメタンの溶液(約4.0mL、2Mへキサン溶液)を添加した。5分後、1滴の酢酸を加え、この反応混合物を濃縮してオイル(0.152g)を得た。このエステルを酢酸エチル(4.0mL)に溶解し、1,4-ジオキサン(1.0mL)中の4M塩酸を添加した。この反応を周囲温度で一晩撹拌した。生じた固体を濾過により回収し、酢酸エチル(10mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させると、0.11g (収率91%)の3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチルの塩酸塩(シス/トランス混合物)が白色のふわふわした固体として得られた (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 3.74 (s, 3H), 3.57-3.32 (m, 2H), 3.222-3.16 (m, 2H), 3.05-2.88 (m, 3H), 2.38-2.03 (m, 2H), 1.83-1.61 (m, 2H); MS (m/z): 170 (M+1))。この物質は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ20nMおよび8nMであったが、α7でのKi値は>10,000nMであった。
【実施例9】
【0154】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のアミド誘導体
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のある種のアミド誘導体は酸塩化物を介して製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0155】
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩:
ジクロロメタン(5mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(0.100g、0.392mmol)の溶液に塩化オキサリル(0.250g、1.96mmol)と1滴のDMFを加えて、この混合物を周囲温度で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物(酸塩化物)を減圧乾燥させた。アセトニトリル(5mL)中のこの酸塩化物にDIPEA (0.200mL、1.15mmol)と2,2,2-トリフルオロエチルアミン(0.080g、0.081mmol)を加え、この混合物を周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗アミドをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、ヘキサン中酢酸エチルの濃度勾配で溶出して精製することにより、0.075gのN-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド(シス/トランス異性体の混合物)をオイルとして得た。このサンプルの大部分(0.065g、0.19mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、TFA (2mL)で処理して、周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を、移動相としてアセトニトリルと0.05%TFA水溶液を用いてHPLCで精製すると、0.050gのN-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩(シス/トランス異性体の混合物)がオイルとして得られた (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 3.93 (q, J = 9.28 Hz, 2H), 3.38-3.21 (m, 4H), 3.02-2.80 (m, 3H), 2.32-2.22 (m, 2H), 1.74-1.62 (m, 2H); MS (m/z): 238 (M+1))。この物質は、ヒトα4β2でのKi値が261nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。
【0156】
上記手順と同様にして、表4の化合物を含む種々のアミド誘導体を製造した。ある場合にはシスおよびトランス異性体をクロマトグラフィーで分離したが、多くの場合にはそれらを分離しなかった。
【表4】



【実施例10】
【0157】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸の誘導体
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸のある種の不飽和類似体、すなわち、3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸のエステル、アミドおよびケトン誘導体は、例示した手法を用いて以下の手順により製造することができる。
【0158】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル:
−78℃のTHF (50mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-オン(4.08g、18.1mmol) (DartらがPCT WO 04/016604に記載するようにして得られる)の溶液にリチウムヘキサメチルジシラジドの溶液(1.00M THF溶液、21.8mL、21.8mmol)を加え、この反応混合物を−78℃で45分撹拌した。THF (10mL)中に溶解したN-(5-クロロピリジン-2-イル)-ビス-トリフルオロメタンスルホンイミド(8.53g、21.8mmol)の溶液を添加し、この反応混合物を1.5時間かけて周囲温度へと温めた。溶媒を蒸発させ、生成物をフラッシュシリカゲルカラムにかけてヘキサン中20%〜30%酢酸エチルで溶出して精製すると、6.3gの3-(tert-ブトキシカルボニル)-7-(トリフルオロメチルスルホニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エンがオイルとして得られた。これをDMF-メタノール(120mL、3:2)中で酢酸パラジウム(0.20g、0.88mmol)、トリフェニルホスフィン(0.46g、1.8mmol)、およびトリエチルアミン(4.94mL、35.3mmol)と混合し、この溶液の中に一酸化炭素ガスを15分間吹き入れた。この反応混合物を一酸化炭素雰囲気下に周囲温度で20時間撹拌した。この反応にエーテル(300mL)を加え、反応混合物を水(500mL)、続いて10%塩化ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し(ロータリーエバポレーター)、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中10%〜20%酢酸エチルで溶出して精製すると、3.5g (収率72%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]-オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチルがオイルとして得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 6.60 (bs, 1H), 3,74 (s, 1H), 3.74-3.61 (m, 1H), 3.58-3.41 (m, 3H), 3.08-2.85 (m, 2H), 2.82-2.74 (m, 1H), 2.50-2.44 (m, 1H), 1.43 (s, 9H); MS (m/z): 268 (M+1), 212 (M+1-56))。
【0159】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチルの塩酸塩:
酢酸エチル(2mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル(0.095g、0.36mmol)の溶液に1,4-ジオキサン(2.0mL)中の4M塩酸を加え、この反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。エーテル(20mL)を添加し、生じた固体を濾過により回収して減圧乾燥させると、0.055g (収率77%)の3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル塩酸塩が白色固体として得られた (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 6.59 (bs, 1H), 3.80-3.74 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.52-3.40 (m, 2H), 3.38-3.30 (m, 1H), 3.24-3.18 (m, 1H), 3.12-3.04 (m, 1H), 3.00-2.88 (m, 1H), 2.61-2.50 (m, 1H); MS (m/z): 168 (M+1))。この物質は、ラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ5nMおよび2nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。
【0160】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸:
THF-メタノール(6.0mL、1:1)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル(0.350g、1.31mmol)の溶液に水酸化リチウムの溶液(水1mL中に0.100g、3.94mmol)を加え、この反応を周囲温度で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を1M塩酸でpH4に酸性化してから酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を水(50mL)と食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮すると、0.31g (収率92%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸が白色固体として得られた (1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 6.76 (bs, 1H), 3.76-3.62 (m, 1H), 3.58-3.42 (m, 2H), 3.11-2.94 (m, 2H), 2.84-2.67 (m, 1H), 2.46-2.23 (m, 1H), 1.42 (s, 9H); MS (m/z): 254 (M+1), 198 (M+1-56))。
【0161】
N-メトキシ-N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩:
ジクロロメタン(3.0mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸(0.080g、0.32mmol)の溶液に塩化オキサリル(0.20g、1.6mmol)を加え、続いて1滴のDMFを加えた。1時間撹拌してから、反応混合物を真空濃縮し、残存する酸塩化物をアセトニトリル(3.0mL)中に溶解した。DIPEA (0.17mL、0.96mmol)とN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.042g、0.43mmol)を添加し、この反応を周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中80%〜90%酢酸エチルで溶出して精製することにより、0.078g (収率82%)のN-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミドをオイルとして得た。これをジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、TFA (2.0mL)で処理してから周囲温度で1時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させて、残留物を減圧乾燥させると、0.07gのN-メトキシ-N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩がオイルとして得られた (1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 6.29 (bs, 1H), 3.80-3.89 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.54-3.41 (m, 2H), 3.38-3.30 (m, 1H), 3.26 (s, 3H), 3.22-3.03 (m, 3H), 2.66-2.59 (m, 1H); MS (m/z): 197 (M+1))。
【0162】
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸の他のアミド誘導体を上記の手順を用いて製造した。そうした誘導体のいくつかを表5に示す。
【表5】

【0163】
2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩:
−78℃のTHF(3mL)中に溶解した2-ブロモフラン(0.11g、0.74mmol)の溶液にn-BuLi溶液(2.5Mへキサン溶液、0.30mL、0.75mmol)を添加し、この混合物を1時間撹拌した。THF (2mL)中に溶解したN-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド(0.20g、0.65mmol)の溶液を加えて、この混合物を8時間かけて周囲温度へと温めた。水(0.2 mL)を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(20mL)で希釈し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてからロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて精製すると、0.10gの2-フラニル(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノンが得られ、また、0.06gの出発物質が回収された。2-フラニル(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノンのサンプル(0.050g、0.16mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、TFA (2.0mL)で処理して周囲温度で1時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させて、生成物を減圧乾燥させると、0.047gの2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩が得られた(1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 7.81-7.80 (m, 1H), 7.38-7.36 (m, 1H), 6.91-6.88 (m, 1H), 6.65 (dd, J = 3.66, 1.71 Hz), 3.95-3.86 (m, 1H), 3.56-3.40 (m, 3H), 3.27-3.16 (m, 1H), 3.14-3.02 (m, 2H), 2.77-2.68 (m, 1H); MS (m/z): 204 (M+1))。この物質はラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ8nMおよび2nMであったが、α7についてのHTSには合格しなかった。
【実施例11】
【0164】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸の合成
鍵中間体である3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸を次の手順で合成したが、これはSpeckamp et al., Tetrahedron 27: 3143-56 (1971)に記載の方法を改良したものである。前記文献をかかる合成教示内容に関して参照により本明細書中に組み入れる。
【0165】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-9-オキソ-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチル:
ベンゼン(200mL)中に溶解した4-オキソピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(15.2g、76.3 mmol)の溶液にピロリジン(13.9g、195mmol)を加えた。得られた溶液をDean-Starkトラップを用いて16時間還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、残留物を高減圧下で乾燥させ、無水アセトニトリル(200mL)中に再溶解した。この溶液をトリエチルアミン(17.3g、170mmol)と合わせて、3-ブロモ-2-(ブロモメチル)プロパン酸メチル(20g、77mmol)を滴下しながら還流下で維持した。この反応をさらに4時間還流し、周囲温度へと冷却してから水(200mL)で希釈し、周囲温度で16時間撹拌した。揮発性溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物をクロロホルムと水(各200mL)とに分配した。水層をクロロホルム(2×100mL)で抽出した。有機抽出物を一緒に合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥してからロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を、ヘキサン中酢酸エチルの濃度勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、15.8g (収率69.8%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-9-オキソ-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチルが無色のシロップとして得られた (1H NMR (CDCl3): δ 4.43-4.2 (m, 2H), 3.7 (s, 3H), 3.12-3.0 (m, 2H), 2.55-2.43 (m, 2H), 2.41-2.35 (m, 4H), 1.52 (s, 9H); LC-MS (MH+): 298)。
【0166】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチル:
無水THF (250mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-9-オキソ-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチル(14.76g、49.63mmol)の溶液にトシルヒドラジン(11.1g、59.6mmol)を加え、この混合物を周囲温度で2時間撹拌した。この反応混合物を65℃に加熱し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(12.5g、198mmol)を添加し、この混合物を65℃で16時間撹拌した。反応混合物を周囲温度へと冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を、ヘキサン中酢酸エチルの濃度勾配を用いるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、8.71g (収率61.9%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチルが無色の固体として得られた (1H NMR (CDCl3): δ 3.97-3.8 (m, 2H), 3.65 (s, 3H), 2.85-2.75 (m, 2H), 2.57-2.47 (m, 1H), 2.38-2.20 (m, 2H), 2.0-1.7 (m, 4H), 1.68-1.60 (m, 1H), 1.52-1.41 (m, 1H), 1.41 (s, 9H); LC-MS (MH+): 284)。
【0167】
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸:
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチル(1.62g、5.72mmol)をTHF/水/メタノールの2:1:2混合溶媒(25mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(0.721g、17.2mmol)を加えた。この反応混合物を30℃で16時間撹拌した。揮発性溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物を2N塩酸で酸性化してから酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機抽出物を一緒に合わせ、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから真空濃縮すると、1.53g (粗製収率100%)の3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸が無色の固体として得られた (1H NMR (CDCl3): δ 3.95-3.8 (m, 2H), 2.85-2.75 (m, 2H), 2.60-2.47 (m, 1H), 2.20-2.12 (m, 2H), 2.0-1.85 (m, 4H), 1.60-1.70 (m, 2H), 1.41 (s, 9H); (LC-MS (MH+): 270)。
【実施例12】
【0168】
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸のアミド誘導体
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸のある種のアミド誘導体は、酸塩化物を介して製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0169】
N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩:
3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸(0.10g、0.37mmol)を無水ジクロロメタン(3mL)に溶解して塩化オキサリル(0.23g、1.9mmol)で処理した。この反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した後、減圧下で濃縮し、残留物を高真空で乾燥させた。この残留物を無水THF (5mL)に溶解し、この溶液を0.92mLのメチルアミン(2M THF溶液)で処理して3時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製して24mgの無色のシロップを得た。これを無水ジクロロメタンとTFAの1:1混合溶媒(1mL)に溶解した。周囲温度で1時間撹拌した後、この反応混合物を濃縮し、残留物を高真空で乾燥させると、23mg (全収率20%)の N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩が無色のシロップとして得られた (1H NMR (CD3OD): δ 3.26-3.08 (m, 4H), 2.84-2.78 (m, 1H), 2.95 (s, 3H), 2.34-2.18 (m, 4H), 1.85-1.60 (m, 4H); LC-MS (MH+): 182.9)。この物質はラットおよびヒトα4β2でのKi値がそれぞれ6nMおよび2nMであったが、α7でのKi値は>10,000nMであった。
【0170】
上記と同様の手順を用いて、表6の化合物を含む種々のアミド誘導体を製造した。
【表6】





【実施例13】
【0171】
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸のケトン誘導体
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸のある種のアシル(ケトン)誘導体は、N-メトキシ-N-メチル-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミドをアリール-およびアルキルリチウム試薬と反応させることにより製造することができる。次の手順は典型的な例である。
【0172】
2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩:
無水THF (3mL)中にN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.068g 0.70mmol)を含む懸濁液に、−10℃でトリメチルアルミニウム(2.0M トルエン溶液、0.35mL、0.70mmol)を加えた。−10℃で10分撹拌した後、THF (1mL)中に溶解した3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボン酸メチル(0.100g、0.353mmol)の溶液を加えた。この反応混合物を周囲温度へ温めて1時間撹拌した。その後、この反応を−70℃に冷却し、新しく調製した2-フラニルリチウムのTHF (5mL)溶液で処理した(注:2-フラニルリチウムは、−78℃でフラン(0.24g、3.5mmol)をn-BuLi (2.5M THF溶液、1.4mL、3.5mmol)で処理することにより調製した)。この反応混合物を1時間かけて周囲温度へと温め、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加えて反応を停止させた。揮発性物質を減圧下で除き、残留物を酢酸エチル(2×10mL)でトリチュレーションした。有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮してHPLCで精製すると、2-フラニル(3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン(0.018g、収率16%)が得られた。この物質の一部(4.5mg、14μmol)を無水ジクロロメタンとTFAの1:1混合溶媒に溶解した。周囲温度で1時間撹拌した後、揮発性物質を蒸発させ、生じた残留物を高真空で乾燥させると、3.2mg (収率68%)の2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン・トリフルオロ酢酸塩が淡黄色のオイルとして得られた (1H NMR (CD3OD): δ 7.68 (s, 1H), 6.75 (d, J= 2.68 Hz, 1H), 6.58 (m, 1H), 4.16-4.11 (m, 1H), 3.52-3.14 (m, 3H), 2.64-2.57 (m, 1H), 2.25-1.87 (m, 8H) (LC/MS (MH+): 220)。
【0173】
上記と同様の手順を用いて、表7の化合物を含む種々のアシル(ケトン)誘導体を製造した。
【表7】

【実施例14】
【0174】
受容体結合の要約
本発明を代表する表1〜7の化合物は、α4β2サブタイプ(ラットまたはヒトまたは双方)で1nM〜2000nMの範囲の阻害定数(Ki値)を示す。これらの化合物の大部分は、α4β2サブタイプ(ラットまたはヒトまたは双方)で500nMより低いKi値を示し、多くは100nMより低いKi値を示す。表1〜7の化合物は、多くの場合、α7サブタイプでのKi値を求めるためのハイスループット・スクリーニング(HTS)基準に不合格である。α7サブタイプでのHTS基準を満たした場合に、α7サブタイプでその後測定されたKi値は10μMより高かった(>10,000nM)。一般的に、これらの同じ化合物はヒト筋またはヒト神経節サブタイプで比較的小さい機能活性を示すが、例外は表5の化合物である。しかし、不飽和の類似体でさえも、総じて、筋または神経節サブタイプでよりもα4β2サブタイプにおいて強力であった。
【0175】
α7サブタイプに関して本明細書中で用いる「HTSに不合格」という記載は、本化合物が5μM濃度で5nMの3H-MLA(メチルリカコニチン)の結合を少なくとも50%阻害することができなかったことを意味する。
【0176】
いくつかの例示した化合物はNOR(novel object recognition:新物体認識)タスクで評価した。これは認知機能障害、注意欠陥障害、および認知症を治療する際の本発明の化合物の有効性および効力、ならびにこれらの化合物のヒト治療への可能性を示すものである。
【0177】
図1は、化合物A(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチル)がNORタスク(経口、ラット)において0.1mg/kgの用量で活性であることを示している。これらの結果は、用量(mg/kg)に対する認識指数(%)の関数として示してある。
【0178】
図2は、化合物B(N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド)がNORタスク(経口、ラット)において1mg/kgの用量で活性であることを示している。これらの結果は、用量(mg/kg)に対する認識指数(%)の関数として示してある。
【0179】
試験化合物は遊離の形態または塩の形態で用いた。
【0180】
観察された特定の薬理学的応答は、選択した個々の活性化合物、製薬上の担体の存在または不存在、ならびに用いる製剤の種類および投与様式に応じて、変化することがあり、そうした予測される結果の変動または差異は本発明の実施に伴い意図されるものである。
【0181】
本発明の具体的な実施形態を本明細書中で例示し、詳細に説明してきたが、本発明はそれらに限定されるものではない。上記の詳細な説明は本発明の典型的な例として提供されており、本発明の制限を構成するものとして解釈されるべきでない。当業者であれば、さまざまな修飾が自明であり、本発明の精神から逸脱しない修飾は添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物またはその製薬上許容される塩:
【化1】

[式中、破線の結合は単結合または二重結合のいずれかを示し、
nは、0または1であり、
Xは、nが0であるとき、-ORI、-NRIIRIII、-NRIIORIII、または-RIVであり、そして
Xは、nが1であるとき、-NRIIRIII、-NRIIORIII、または-RIVであり、
ここにおいて、RIおよびRIVのそれぞれは、個別に、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換アルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであり、
RIIおよびRIIIのそれぞれは、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換アルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルであり、
あるいはRIIとRIIIは、それらが結合している原子と一緒になって、3〜8員環を形成することができ、
ここにおいて、用語「置換」は、1つ以上のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、-ORI、-NRaRb、ハロアルキル、-CN、-NO2、-C≡CRa、-SRa、-N3、-C(=O)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-OC(=O)Ra、-OC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb、-SO2Ra、-SO2NRaRb、または-NRaSO2Rbをさし、ここでRaおよびRbのそれぞれは、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである]。
【請求項2】
単離された形である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが-ORIであり、そしてRIがアルキル、ハロゲン置換アルキル、シクロアルキル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Xが-NRIIRIIIであり、RIIが水素またはアルキルであり、そしてRIIIが水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、NH2置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが-NRIIORIIIであり、RIIが水素またはアルキルであり、そしてRIIIがアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが-RIVであり、そしてRIVがアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはハロゲン置換ヘテロアリール、シアノ置換ヘテロアリール、もしくはアルキル置換ヘテロアリールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xが-ORIであり、そしてRIがアルキル、ハロゲン置換アルキル、シクロアルキル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルである、請求項1、2または8に記載の化合物。
【請求項10】
Xが-NRIIRIIIであり、RIIが水素またはアルキルであり、そしてRIIIが水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、NH2置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項1、2または8に記載の化合物。
【請求項11】
Xが-RIVであり、そしてRIVがアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、またはハロゲン置換ヘテロアリール、シアノ置換ヘテロアリール、もしくはアルキル置換ヘテロアリールである、請求項1、2または8に記載の化合物。
【請求項12】
中枢神経系障害の治療用の医薬の製造における請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
【請求項14】
前記障害が加齢に伴う記憶障害、軽度認知機能障害、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、脳卒中、エイズ認知症症候群、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア、統合失調症、統合失調症様障害、および統合失調感情障害からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物および1種以上の製薬上許容される希釈剤、賦形剤、または不活性担体を含有する医薬組成物。
【請求項16】
中枢神経系障害の治療用または予防用である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
以下から選択される化合物またはその製薬上許容される塩:
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-ブタノン、
trans-1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-ブテン-1-オン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-1-ペンタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-2-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-3-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)-3,3-ジメチル-1-ブタノン、
シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロブチル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロペンチル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
シクロヘキシル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
テトラヒドロピラン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
4-フルオロフェニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)メタノン、
3-ブロモフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
3-シアノフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
5-メチル-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
ピリジン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
(2-(ヒドロキシメチル)-1-ピロリジニル)(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)メタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-フルオロ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-ブロモ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メトキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-イソプロポキシ-1-エタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-ブタノン、
trans-1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-ブテン-1-オン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-1-ペンタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-2-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-3-メチル-1-ブタノン、
1-(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)-3,3-ジメチル-1-ブタノン、
シクロプロピル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロブチル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロペンチル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
シクロヘキシル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
テトラヒドロピラン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
4-フルオロフェニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
フラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-ブロモフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-シアノフラン-2-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
5-メチル-2-フラニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
ピリジン-4-イル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボン酸メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸エチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸イソプロピル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2,2-ジメチルプロピル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸2-フルオロエチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸1-フルオロプロパ-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロプロピルメチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロブチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロペンチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロヘキシル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ペンタ-4-エン-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ペンタ-4-イン-2-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸シクロペンタ-3-エン-1-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(テトラヒドロフラン-3-イル)メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸テトラヒドロフラン-3-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸テトラヒドロピラン-4-イル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸(フラン-3-イル)メチル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸ベンジル、
3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-アリル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(2-フラニルメチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-エチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(2-メトキシエチル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド、
N-イソプロピル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロプロピル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロブチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-シクロペンチル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-プロパルギル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-フェニル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(4-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-(ピリジン-3-イル)-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
N-ベンジル-3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボキサミド、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(2,3,6-トリヒドロ-ピリジン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(2,6-メチル-モルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-6-エン-7-イル)(2,6-ジメチルモルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.0]オクタ-7-イル)(1-オキサジナン-2-イル)メタノン、
3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-エチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-メトキシエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N,N-ジメチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-イソプロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロプロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-シクロペンチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-メトキシ-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-メチル-N-プロパルギル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-フェニル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(4-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(ピリジン-3-イル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-ベンジル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-アミノエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-tert-ブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-プロピル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-アリル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-フルオロフェニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-sec-ブチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(シクロプロピルメチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2-フルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(3-フルオロプロピル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
N-(3-シクロペンテニル)-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミド、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(2,3,6-トリヒドロ-ピリジン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(2,6-メチル-モルホリン-1-イル)メタノン、
(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)(1-オキサジナン-2-イル)メタノン、
4-モルホリニル(3-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-7-イル)メタノン。
【請求項18】
単離された形である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
請求項17に記載の化合物を投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
【請求項20】
請求項17に記載の化合物の塩を投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
【請求項21】
前記障害が加齢に伴う記憶障害、軽度認知機能障害、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年期認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、脳卒中、エイズ認知症症候群、注意欠陥障害、注意欠陥・多動性障害、ディスレクシア、統合失調症、統合失調症における認知障害、統合失調症における認知機能不全、統合失調症様障害、および統合失調感情障害からなる群より選択される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記障害が軽度から中程度のアルツハイマー型認知症、注意欠陥障害、軽度認知機能障害、および加齢に伴う記憶障害からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
製薬上許容される塩としての化合物 3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-7-カルボン酸メチル。
【請求項24】
化合物 N-メチル-3-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-カルボキサミドまたはその製薬上許容される塩。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−523495(P2010−523495A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501213(P2010−501213)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/058384
【国際公開番号】WO2008/121686
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】