説明

サブミクロン粒子に基づく治療活性物質の経粘膜送達のための医薬組成物

本発明は、経粘膜投与のための改良された組成物、すなわち、迅速で、効果的に持続可能で、予測可能な、一貫した治療効果を得るために、治療活性物質の迅速かつ効率的な取り込みを可能にする組成物に関する。特に、該組成物は頬側および/または舌下送達を意図したものである。本発明は、中枢神経系に影響を及ぼす治療活性物質を投与するのに特に適しており、この効果の迅速な発現が望ましいまたは有益である場合に、より一層適している。本発明はまた、低い溶解度の塩基または酸形態の活性物質を投与するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経粘膜投与のための改良された組成物、すなわち、迅速で、効果的に持続可能で、予測可能な、一貫した治療効果を得るために、治療活性物質の迅速かつ効率的な取り込みを可能にする組成物に関する。特に、該組成物は該活性物質の頬側(buccal)送達および/または舌下送達を意図したものである。本発明は、中枢神経系に影響を及ぼす治療活性物質を投与するのに特に適しており、この効果の迅速な発現が望ましいまたは有益である場合に、より一層適している。本発明はまた、低い溶解度の塩基または酸形態の活性物質を投与するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
多数の薬物の薬理学的に活性な形態は塩基化学的形態であり、またはより少数の場合には酸化学的形態であるが、胃腸(GI)管の液中の活性物質のこれらの化学的形態の溶解度は低く、そしてしばしば変動しうるものであるため、ヒトを含む哺乳動物にこれらの化学的形態が経口経路で投与されることは稀である。活性物質の、多数の塩基化学的形態および或る種の酸化学的形態の、より低く、そして潜在的に変動しうる、GI液中での溶解特性は、むしろ、これらの活性物質の塩形態または時にはエステル形態を含む医薬品の方が開発されることを意味している。例えば、活性物質を含有する医薬の経口投与後の薬物動態または他のバイオアベイラビリティパラメーターを改善するために、活性物質のそれほど溶解性でない塩基形態は、水溶性および/もしくは溶解速度の改善ならびに/または溶解度変動性の軽減のために、しばしば、より溶解性の塩酸塩形態に変換される。薬物の難溶性酸形態の場合、活性物質を含有する医薬の経口投与後の水溶性および/もしくは溶解速度の改善ならびに/または溶解度変動性の軽減のために、これらは、例えば、酸化学的形態のナトリウム塩に変換されうる。しかし、患者の血流内に一旦吸収されたら、通常、薬理活性の前駆状態として、薬物の遊離の塩基または酸化学的形態の解離が生じるはずである。迅速な作用発現および/または中枢(CNS)治療作用が望まれる場合には、乏しい及び/または変動性の経口薬物吸収を招く難溶解性の問題が克服されうるのであれば、即時に薬理学的に活性のある塩基化学的形態または時には酸化学的形態の薬物を、血流内、適当な場合には脳脊髄液内に送達できることが好都合であろう。その結果、多くの薬物がヒトに投与されたことがなく、経口経路で投与されたことがなく、また、塩形態以外の医薬または経口医薬として製造され、登録され、または販売されたことがない。
【0003】
胃腸管を介した吸収につながる経口投与は、現在、薬物送達、特に塩またはエステル化学的形態で投与される活性物質の送達の最も一般的な経路であるが、このタイプの投与に関連した多数の欠点が存在し、理想的とは言えない種々の状況が存在する。
【0004】
医薬活性物質のGI投与は、吸収された活性物質の効力に影響を及ぼす薬力学および薬物動態学的吸収における変動性の一因となる「食物作用(food effect)」により影響される。
【0005】
医薬組成物のGI投与はGI障害(悪心および嘔吐を含む)によっても悪影響を受けうる。これらの状態(これらは、該医薬組成物により治療されるべき状態に関連づけられることが可能であり、あるいは投与されている組成物により実際に引き起こされうる)は、送達される用量に関する不確実性、ならびに送達された用量の、吸収および効力の変動性を招く。
【0006】
医薬組成物がGI管に投与されると、該組成物およびそれに含有される活性物質は、該活性物質の分解を引き起こしてそれにより薬物効力の変動性および低下を招きうる酸および酵素にさらされるであろう。
【0007】
GI管を通じた治療活性物質の投与は、該活性物質がGI粘膜を通過する際のまたは肝臓における流出および/または代謝(腸-肝代謝)によっても悪影響を受けうる。これは、「初回通過」代謝と一般に称される効果による、活性物質の異常に低いかそうでなくても乏しいバイオアベイラビリティまたは変動性の分布、代謝および/もしくは排泄を招きうる。
【0008】
最後に、いくつかの場合、例えば、活性物質が、GI管を横切った能動輸送(飽和性輸送メカニズムを含む)を受けるかまたはシトクロムP450もしくは他の代謝インヒビターである場合には、1つの活性物質が、同じまたは別の治療用物質の吸収または代謝を遮断しうる。これは、そのような薬物がGI管に投与された場合に、望ましくない及び潜在的に危険な薬物相互作用を招きうる。
【0009】
GI管を通じた活性物質の経口投与および吸収に関連したこれらの欠点の幾つかまたは全ては、胃前経粘膜送達経路を採用することにより克服されうる。頬側、舌下、食道、咽頭、鼻および肺粘膜からの活性物質の取り込みの速度は、GI管を通じた投与の結果として観察されるものより遥かに速いことが十分に確認されている。さらに、活性物質が、これらの粘膜、特に頬腔(舌下領域を含む)から全身循環内に迅速に移行できる場合には、これは、GI管経由の輸送から生じる「食物作用」、腸-肝代謝、GI管経由の能動輸送および/またはシトクロム媒介代謝、GI障害(GI運動性、吸収、吸収、悪心または嘔吐を含む)ならびにGI機能低下のうち1以上を回避する。
【0010】
その結果、経粘膜投与は、高い再現性、効力および迅速な作用発現を伴う薬物送達をもたらす能力を有する。しかし、経粘膜送達用に提供されている公知製剤は、この投与経路の治療潜在力がまだ十分に実現されていないことを意味する問題点に悩まされている。
【0011】
舌下または頬側粘膜を通じた経口経粘膜送達のための製剤は公知であるが、それらはしばしば、活性物質の用量の大部分が飲み込まれ、それによりGI管において非局所的に吸収され、遅い変動性の治療効果をもたらすことになる。これらの公知製剤は、しばしば、錠剤または棒付き飴(lollipop)のような一体型で提供される。これらは、しばしば、粘膜に長時間接触したまま維持されることを要し、これは不便であり、効果が変動しやすく、不快でありうる。また、用量が適切かつ完全に投与されることが保証されるかどうかは、患者からの良好な協力が得られるかどうかにかかっている。同様に、シロップ剤、溶液剤または懸濁剤のような経口液剤は経粘膜投与されることが公知である。これらの液剤中に溶解させた分子が粘膜との接触を保つのを促すために、被投与者は、その液体を口内で数分間保持するよう指示されることがある。そのような実施を行うことは幾つかの理由により望ましくない。特に、該製剤は、ある時間にわたって口内に保持した場合に刺すような痛みを与えたり、不快な味であったり、および/または毒性であったりする溶媒をしばしば含むので、それは被投与者にとって不快でありうる。さらに、錠剤、棒付き飴または液体である製剤を被投与者が一定時間にわたり口内に保持することを当てにすることは、吸収される活性物質の量が非常に変動性となり、過少投与および更には過剰投与が一般的となることを意味する。かなりの割合の活性物質が飲み込まれる可能性もある。
【0012】
急速崩壊系(例えば、錠剤、チュアブル錠、ウエハースなどによるもの)が開発されているが、これらは活性物質の最適な経粘膜吸収をもたらさない。なぜなら、そのような組成物は、通常、口内粘膜表面と接触する前にかなり湿り、それにより、粘膜への該組成物および/または活性物質の効率的な付着が妨げられ、かなりの割合の活性物質が飲み込まれるからである。
【0013】
口への送達または口を経由する送達のためのエアゾール系は、一般に、比較的低用量の薬物に限定され、噴霧活性物質のかなりの割合は口内粘膜に付着またはそこで残存することがなく、噴霧後の比較的短時間のうちに飲み込まれる。
【発明の概要】
【0014】
前記を考慮すると、患者への投与の際の活性物質の経粘膜吸収を改善するための医薬組成物を提供することが望ましい。該改善は以下の方法の1以上において達成されうる:(i)該組成物および/または薬物の粘膜付着の促進または増強、(ii)所望の治療効果のための、粘膜組織内への/それを横切った薬物の十分な流動を達成するための、粘膜における該組成物および/または薬物の維持の促進または増強;(iii)粘膜領域にわたる該組成物および/または薬物の拡散の促進または増強、(iv)局所的または全身的に所望の治療効果を達成するために十分な量の薬物を送達するための、経粘膜流動の促進または増強、(v)所望の全身治療効果をより迅速に達成するために十分な量の薬物を送達するための、経粘膜流動の促進または増強、(vi)所望の中枢(CNS)治療効果をより迅速に達成するために十分な量の薬物を送達するための、経粘膜流動の促進または増強、ならびに(vii)食物と共に投与される場合とそうではない場合の投与から生じる薬物動態学的/薬力学的プロファイルにおける相違を回避する並びに/または「初回通過」(肝)代謝を回避する舌下領域および/もしくは頬側領域からの治療的に有効な投与を達成するために十分な量の薬物を送達するための、経粘膜流動の促進または増強。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】520±18 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 04の粒径分布を示す。
【図2】488±27 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 05の粒径分布を示す。
【図3】527±14 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 06の粒径分布を示す。
【図4】バッチ1、2および3を調製するために用いたプロセスを流れ図で示す。
【図5】バッチ4および5を調製するために用いたプロセスを流れ図で示す。
【図6】各バッチの溶解試験測定の結果をグラフで示す。
【図7】0.1M HCl中のパラセタモールの放出率測定の結果をグラフで示す。
【図8】水中のパラセタモールの放出率測定の結果をグラフで示す。
【図9】フランツセルを図示する。
【図10】フランツセルを用いて測定された、時間の関数としての単位面積当たりに透過したスマトリプタンの平均累積量(μg/cm2)を示す。
【図11】エマルション調製に用いた装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の態様においては、治療活性物質のサブミクロン粒子を含んでなり、該活性物質が、低い水溶性特性を有する、組成物を提供する。本発明の組成物は固体剤形として提供されうる。1つの可能な具体例は錠剤である。好ましくは、該組成物は自由流動性粉末または顆粒の形態でありうる。
【0017】
本明細書における「経粘膜」は、主に、「胃前」吸収、すなわち、胃より上かつ口もしくは鼻より後の領域において、頬、舌下、食道、咽頭、鼻および/または肺の粘膜を横切って生じる吸収を表すために用いられる。
【0018】
GI管の粘膜裏打ち層は、好ましくは、本発明の組成物の経粘膜吸収の主要標的ではないが、それは、該薬物が全くGI管を介して吸収されないことを意味するものではなく、また、そのような一定の吸収が望ましくないとか治療的価値を有さないことを意味するものでもない。明瞭化のために説明すると、「胃前」領域からの薬物吸収は、最大薬物濃度を達成するのに要する時間(tmax)を短縮するために特に重要であり、一方、GI管からのいずれかを含む後続の吸収は、ピーク用量濃度(Cmax)および「合計」用量(曲線下面積またはAUC)パラメーターにより定義される望ましい全体的薬物動態学的挙動を達成するのに重要かもしれない。
【0019】
サブミクロン粒子は、粒子の大多数が10μm未満、好ましくは1μm未満の直径を有する粒子の集合体と定義される。本発明の好ましい実施形態においては、該サブミクロン粒子の大多数は少なくとも100nmであって10μm未満の直径を有し、より好ましくは、150nm〜5μm、150〜999nm、150〜990nm、または150〜950nmの直径を有する。好ましくは、該サブミクロン粒子の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%は、前記範囲の1以上に該当する直径を有する。
【0020】
もう1つの実施形態においては、本発明のサブミクロン粒子の平均または中央値直径は200nm〜5μm、300nm〜2μm、400〜900nm、または約500nmである。
【0021】
低い水溶性特性を示す治療用物質は、本明細書においては、水に不溶性または難溶性であることとして特徴づけられる。好ましくは、該治療用物質は、少なくとも30(体積)部の水中で(25℃において)薬物1(重量)部の溶解度を有する。いくつかの実施形態においては、該薬物は、少なくとも100(体積)部の水、少なくとも1,000(体積)部の水、少なくとも5,000(体積)部の水または少なくとも10,000(体積)部の水中で(25℃において)薬物1(重量)部の溶解度を有する。
【0022】
該サブミクロン粒子は、(異なる形態の同一治療用物質を含む)2以上の治療用物質を含みうる。いくつかの実施形態においては、該サブミクロン粒子は、(異なる形態の同一治療用物質を含む)1以上の治療用物質からなる。
【0023】
多くの場合、難溶性または不溶性治療用物質は該物質の塩基形態である。通常の医薬組成物においては、物質の可溶性塩形態が含まれるのが一般的である。なぜなら、これらは、より溶解性であり、したがって、例えばGI管を介して送達された場合には簡単に剤形から放出されるからである。
【0024】
本発明の組成物において、水においてせいぜい難溶性である治療用物質の形態を用いる理由は、粘膜表面付近または粘膜表面における微小環境以外のいずれの部位での活性物質の湿潤および溶解も実際には望ましくないことにある。経粘膜送達を最適化するためには、活性物質は、粘膜と接触したまま維持される必要がある。すなわち、それは、粘膜表面に付着し次いで経粘膜的に吸収される形態で、維持される必要がある。これは、頬粘膜または舌下粘膜を介して吸収が生じる場合に特に重要である。
【0025】
患者の口は水性環境であり、物質の飲み込みを助けるために唾液が存在する。しかし、一部の活性物質に伴う種々のADME(吸収、分布、代謝、排泄)に関する問題を克服するために経粘膜送達が求められている場合には特に、活性物質の飲み込みは最小限に維持されなければならない。飲み込まれた場合に「食物作用」、腸-肝代謝、GI障害、GI機能低下の1以上を示す活性物質の薬物動態学的プロファイルは、ある量の薬物が経粘膜的に、例えば頬側または舌下領域から吸収される場合のものと異なるであろう。飲み込まれた活性物質の少なくとも一部は最終的にGI管から吸収されうるため、飲み込まれた活性物質は最終的に失われないかもしれないが、飲み込まれた活性物質は所望の迅速な効果をもたらさず、またその効果が変動性で予測困難となる可能性がある。活性物質が水に容易に溶解する場合、頬側または舌下経粘膜送達のための頬腔内導入に際して、該活性物質の少なくとも一部は、存在する唾液に溶解し、口内粘膜表面の周囲の微小環境に付着したり該微小環境中に維持されるようには誘導されず、活性物質のかなりの割合が飲み込まれると予想される。
【0026】
本発明においては、活性物質は、粘膜に隣接した微小環境中に配置されるまで、実質的に未溶解状態で維持されることが好ましく、また活性物質は、十分な量の活性物質が吸収されるのに十分な程度に長くそこに留まるべきである。
【0027】
好ましい実施形態においては、不溶性活性物質のサブミクロン粒子は、該活性物質用量の少なくとも5%が経粘膜的に吸収されることが可能になるよう、粘膜表面に付着し、および/または粘膜表面付近の微小環境中に維持される。より有利には、活性物質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%が吸収される。95%、96%、97%、98%または99%までの吸収が観察されうる。1つの実施形態においては、活性物質の投与量の約60%または定量供給された用量の約60%が吸収される。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態においては、活性物質の用量の20%超が、GI/腹部領域ではなく頭部および頚部領域で全身循環に入るべきである。好ましくは、活性物質の用量の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%がこの領域で全身循環に入るべきである。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態においては、活性物質の用量の少なくとも約2%が、投与後15〜30分以内に全身循環に入るべきである。好ましくは、活性物質の用量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70、少なくとも80%または少なくとも90%が、投与後15〜30分以内に全身循環に入るべきである。
【0030】
いくつかの実施形態においては、低い水溶性を有する、本発明の組成物中に含められる活性物質は、より高い脂溶性をも有することが望ましい。これは全身循環内への経粘膜吸収およびいずれかの所望の後続のCNS内吸収を促進しうる。好ましくは、活性物質の脂溶性は、迅速な粘膜吸収、ならびにCNS活性が望まれる場合には血液脳関門を越え脳および脳幹内への迅速な移行を促進するのに十分な程度に高い。本発明の幾つかの実施形態においては、活性物質は、15未満、好ましくは10未満、8未満または5未満の親水親油バランス(HLB)値を有する。HLB数値の計算方法に関しては、(i) Griffin WC: "Classification of Surface-Active Agents by 'HLB'" Journal of the Society of Cosmetic Chemists 1 (1949): 311, (ii) Griffin WC: "Calculation of HLB Values of Non-Ionic Surfactants" Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5 (1954): 259 および(iii) Davies JT: "A quantitative kinetic theory of emulsion type, I. Physical chemistry of the emulsifying agent" Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interface. Proceedings of the International Congress of Surface Activity (1957): 426-438を参照されたい。
【0031】
多くの活性物質の塩基形態は血流内に迅速に取り込まれ、ついで塩形態よりも迅速に血液脳関門を通過することが可能であり、したがって中枢神経系への効果の発揮において、より良好であると認識されている。したがって、本発明の特に好ましい実施形態においては、該組成物中に含まれる治療用物質は塩基形態である。もう1つの好ましい実施形態においては、該治療用物質はジメチル化形態である。
【0032】
活性物質のサブミクロン粒子が本発明の組成物中で使用されるのは、それらが、高い表面エネルギーを示し、したがって本質的に「付着性」であるからである。これらのサブミクロン粒子が粘膜に局所投与されると、それらは粘膜表面に付着し、活性物質が経粘膜吸収されるのに十分な程度に長い間、該粘膜に隣接したままとなる傾向にある。
【0033】
溶解している個々の分子または急速溶解性粒子(例えば、公知散剤、錠剤、チュアブル錠、ウエハースなどによるもの)には、水に難溶性でありうるサブミクロン粒子が好ましい。なぜなら、溶解したまたは溶解性の分子は、粘膜表面付近の微小環境において、優先的に高い濃度では存在せず、また、それらは、優先的に高い濃度では粘膜に付着せず、活性物質のかなりの割合が、経粘膜吸収される前に飲み込まれる可能性があるからである。
【0034】
本発明の好ましい実施形態においては、十分な且つ十分に迅速な粘膜局所吸収を促進するのに十分な量の活性物質の付着を可能にするために粘膜に十分に密接して投与されうる、活性物質の固形製剤が提供される。
【0035】
微粒子形態の活性物質を本発明の組成物中に含有させることは、十分な量の物質により十分な且つ十分に迅速な粘膜局所吸収を促進させるよう、粘膜の微小環境における十分な粘膜付着、維持および局所溶解を可能にする。好ましくは、活性物質の微粒子の大きな割合がサブミクロン範囲内である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態においては、該組成物は更に、1以上の不活性物質を含む。これらの不活性物質は、好ましくは、生理学的に許容されるものである。好ましくは、活性物質は、1以上の不活性物質中に分散させた活性物質のサブミクロン粒子を与えるよう処理される。好ましくは、不活性物質は粒子の形態で提供され、該粒子内に活性物質のサブミクロン粒子が分散している。不活性物質の1以上の粒子内にサブミクロン活性物質粒子が包埋され、それにより不活性物質がマトリックスとして機能すると言われうるように、サブミクロン活性粒子は、粉砕、共粉砕(co-milling)、顆粒化、噴霧造粒、噴霧乾燥、噴霧凝固、噴霧蒸発、沈殿、共沈、超音波噴霧、超臨界流体プロセシングなどにより形成されうる。
【0037】
活性物質のサブミクロン粒子を不活性物質の粒子内に分散させる場合、不活性物質の粒子は、好ましくは、該粒子の容易な取り扱い、すなわち、良好な流動性など、ならびに粘膜表面付近の微小環境において望ましい濃度で活性物質のサブミクロン粒子を放出するための十分に迅速な溶解を可能にする直径を有する。
【0038】
1つの実施形態においては、不活性物質の粒子(その中に分散している活性物質を含む)は、1μm〜1000μm、例えば1μm〜710μmの直径を有する。この粒径は、良好な操作性をもたらし、該粒子が粉末中の他の粒子と容易かつ均一に混合されるようにする。これらの粒子が頬腔に投与される場合には、少なくとも10μmの直径を有する粒子が好ましい。なぜなら、この粒径は、肺における沈着を招きうる偶発的な吸入のリスクを最小にするからである。
【0039】
重量および内容物均一性、付着性、溶解度特性などの理由により、800μm未満、例えば500μm未満の直径を有する粒子が好ましい。より好ましくは、10〜600μmの範囲の粒子、最も好ましくは、45〜500μmの粒子が好ましい。
【0040】
不活性物質内に包埋される活性物質のサブミクロン粒子のサイズは、該不活性物質を溶解し、未溶解活性物質のそのサイズを測定することにより決定されうる。好ましくは、活性物質のこれらのサブミクロン粒子のサイズは100nm〜1.5μmである。より好ましくは、該サイズ範囲は200〜1000nm、300〜900nm、または400〜750nmである。
【0041】
好ましくは、不活性物質は、迅速に溶解または分散し、それにより不活性物質の中に分散している活性物質のサブミクロン粒子を該不活性物質が該組成物の投与に際して放出するように、選ばれる。適当な不活性物質には、GRAS(Generally Recognised As Safe)、薬局方および/または規制機関の承認もしくは承認可能性を有するものが含まれる。適当な不活性物質の具体例には、水、他の水性媒体(例えば、水-エタノール混合物および等張性水-グリセロール混合物)または非水性媒体(ヒトまたは動物への投与に適した、医薬品における残留レベルを与えるもの);界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン、陽イオンおよび両性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、Tween)、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル(例えば、Span、ソルビタンモノステアラート)、例えばソルビタンラウラート、ソルビタンオレアート、ソルビタンパルミタート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンステアラート、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート、スクロースエステル、ポロキサマー(例えば、Pluronic)、例えばポロキサマー188、ポロキサマー407およびポロキサレン、ポリオキシルひまし油、ポリオキシル硬化ひまし油、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコールラウラート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノパルミトステアラート、キラヤ、ジアセチル化モノグリセリド、ジエチレングリコールモノパルミトステアラート、p-ジ-イソブチル-フェノキシポリエトキシエタノール、エチレングリコールモノステアラート、自己乳化グリセリルモノステアラート、マクロゴールセトステアリルエーテル、セトマクロゴール、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、マクロゴール15ヒドロキシステアラート、マクロゴールラウレルエーテル、ラウレス4、ラウロマクロゴール400、マクロゴールモノメチルエーテル、マクロゴールオレイルエーテル、メンフェゴール、モノ-およびジ-グリセリド、ノノキシノール、オクトキシノール、グリセリルジステアラート、グリセリルモノリノレアート、グリセリルモノオレアート、チロキサポール、遊離脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸)ならびにそれらの塩およびエステル(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、セトステアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、軟せっけん、硫酸化ひまし油、グリセリルベヘナート)、リン脂質およびリン脂質含有物質、例えばホスファチジルコリン、レシチン、コルフォセリル(colfosceril)パルミタート、ホスファチジルグリセロール、ルシナクタント(Lucinactant)、動物肺抽出物および改変動物肺抽出物;ラウリル硫酸ナトリウムおよびドクサートナトリウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミドおよびノニルフェノール、ならびに他の乳化剤(高分子物質を含む);可溶性小分子、例えばアミノ酸(例えば、タウリン、アスパルテーム)および特に生物付着性物質、例えば糖、糖アルコール、デキストラート、デキストリン、デキストランおよび水和化剤、特に尿素;ならびに可溶性大分子、特に、比較的迅速に溶解または分散しうる生分解性高分子、例えば天然および半合成高分子、例えばリン脂質、および特に、粘膜表面への付着および/または粘膜表面を横切った拡散を助けることができるもの(例えば、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、コルフォセリルパルミタート、ホスファチジルグリセロール、およびそのような物質の混合物(チロキサポール、セチルアルコール、遊離脂肪酸との混合物を含む)、ビタミン、天然油、例えばオレンジ、レモン、ベルガモット、アニス;アルコール、例えばメントールおよびセチルアルコールならびにコレステロール、天然高分子、例えばキサンタン、グアーおよびアルギナート、合成高分子、例えばPVPおよびPVA、半合成高分子、例えばセルロース誘導体(例えば、HPMCおよびHPC)およびデンプン誘導体が含まれる。好ましい不活性物質としては、HPMCおよびマンニトールが挙げられる。
【0042】
界面活性剤は、本発明の組成物の投与に際してマトリックスからのサブミクロン粒子の放出を制御することにより、活性物質の経粘膜吸収を最適化するための重要な成分であるらしい。
【0043】
本発明の組成物中の界面活性剤に溶媒が加えられうる。適当な溶媒には、アルコールおよび油(例えば、メントール、シネオール、オレンジ油、レモン油など)が含まれる。共溶媒、例えばポリエチレングリコールも含まれうる。1つの好ましい溶媒はメントールである。
【0044】
界面活性剤、溶媒および他の不活性成分は、(i)エマルションの場合には、後に乾燥されうるサブミクロン物質の製造の際に乳化剤として作用することにより、(ii)マイクロカプセル化の場合には、後に乾燥されうるサブミクロンマイクロカプセル物質の製造の際に作用物質として作用することにより、(iii)沈殿の場合には、乾燥によりまたは遠心分離、濾過などにより回収されうるサブミクロン粒子を得るために、溶液、および次いでアンチ(または非)ソルベント系が生成されるようにすることにより、および(iv)粉砕または共粉砕によるサブミクロン物質の製造の場合には、より効率的または効果的な微粒化を促進するための粉砕補助剤として作用することにより、該組成物を改善する。
【0045】
不活性粒子マトリックスまたは不活性粒子のマトリックス内に包埋されたサブミクロン粒子を提供する利点は、個々のサブミクロン活性物質粒子がお互いから離れて維持されうることであり、これは凝集アグロメレーションを妨げるために望ましい。サブミクロン規模の粒子は、表面自由エネルギー効果により引き起こされる凝集により自己アグロメレーションを引き起こして直径3〜5μmまたは更にはそれ以上の凝集体を形成する傾向にある。活性物質粒子のこれらの凝集塊は望ましくない。それらは、個別のサブミクロン粒子より低い表面エネルギーを有し、したがって、粘膜に付着する可能性がより低い。さらに、たとえ該凝集体が粘膜に付着したとしても、比較的少数のサブミクロン粒子しか粘膜に直に隣接して配置されず、したがって、それより少数の活性物質しか経粘膜吸収されないと予想されるであろう。さらに、活性物質粒子の凝集塊は、粘膜表面付近の微小環境において、低下した溶解速度を有するであろう。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態においては、該組成物は更に、他の物質、好ましくは粒子形態の他の物質を含む。したがって、いくつかの実施形態においては、該組成物は、活性物質のサブミクロン粒子(好ましくは、1以上の不活性物質の、より大きな1以上の粒子の中または該粒子と共に包埋されたもの)および別物質の粒子を含む。該別物質は、投与すべき活性物質の量が少ない場合に特に、希釈剤として作用するよう含有されうる。あるいは、該別物質は、該組成物の感覚刺激特性を改善するために含有されうる。
【0047】
口内感触および快適さ(嵩体積、口内乾燥効果、唾液産生効果などを考慮)の理由で許容されるためには、いずれかの1回で投与される本発明の組成物の合計量(不活性成分および活性成分の両方を含む)は最大量未満の質量に制限されるべきである。正確な用量の予備計量または計量の理由で許容されるためには、いずれかの1回で投与される本発明の組成物の合計量(不活性成分および活性成分の両方を含む)は、最小量を超える質量に制限されるべきである。好ましくは、頬腔への送達のための最大質量はせいぜい3gであるべきである。好ましくは、最小質量は少なくとも1mgであるべきである。より好ましくは、送達される粉末質量は5mg〜2g、50mg〜1.5gであるべきであり、あるいは約1gであるべきである。好ましくは、舌下領域への送達のための最大質量はせいぜい1gであるべきであり、最小質量は少なくとも1mgであるべきである。より好ましくは、舌下送達される粉末質量は5mg〜500mg、50mg〜250mgであるべきであり、あるいは約150mgであるべきである。これらの範囲内の実際の最も好ましい質量は、例えば、薬物の用量の大きさ、薬物の溶解度特性、薬物の粘膜付着および透過特性、患者の年齢、治療すべき治療状態、患者の唾液産生能などの種々の要因に左右されるであろう。
【0048】
本発明の組成物は、疎性(loose)粉末、疎性または圧縮粉末を含有するカプセル、ブリスター、または疎性または圧縮粉末を含有する他の単位投与剤形の形態で提供されることが可能であり、あるいはそれらは錠剤、好ましくは、粉末組成物を圧縮することにより形成された錠剤の形態でありうる。
【0049】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は頬側または舌下投与用である。該組成物は頬腔の適当な部分に配置され、サブミクロン粒子が粘膜表面に付着し、ついで活性物質が経粘膜吸収されて、局所または全身効果をもたらす。活性物質のサブミクロン粒子が不活性物質の1以上のより大きな粒子中に包埋されている場合、該不活性物質は、それが頬腔内で一旦湿れば迅速に溶解し、それにより、個々のほとんど凝集していない活性物質サブミクロン粒子を放出し、そしてこの粒子は粘膜表面に付着し、吸収される。
【0050】
好ましい実施形態においては、該組成物は疎性(loose)粉末の形態で頬腔内に配置される。疎性粉末は粘膜表面上で拡散できることが明らかであり、より多くの該活性物質が粘膜と直接接触し、したがって吸収のために理想的に配置されることが保証される。頬腔内の該粉末の拡散は該組成物の迅速な湿潤および活性物質のサブミクロン粒子の「放出」をも改善する。
【0051】
本発明の組成物の粉末形態は他の利点を有する。例えば、活性物質の用量が投与され、後にそれが頬腔から除去されないことを確実にすることが重要である場合、粉末の投与は、一旦頬腔内に配置されるとその粉末の用量を除去することを、不可能でないにしても困難にする。したがって、粉末は、例えば統合失調症、双極性障害およびうつ病のような状態を治療するためにまたは小児を治療するために薬物を投与するための魅力的な形態である。
【0052】
頬腔内に配置されると崩壊し、活性物質のサブミクロン粒子を迅速に放出するものである限り、頬腔への送達には他の剤形も適している。そのような剤形には、圧縮錠剤、カプセル剤、ウエハースなどが含まれる。迅速な崩壊を保証するために、本発明の組成物中に追加的な成分を含有させることが望ましいかもしれない。適当な崩壊剤は公知であり、デンプン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)、ナトリウムデンプングリコラート、架橋PVP(クロスポビドン)、ガス共役体(gas couple)(例えば、炭酸塩およびフルーツ酸)およびイオン交換樹脂を包含する。あるいは、該組成物中に含有される不活性物質は、所望の迅速な崩壊およびサブミクロン粒子の放出をもたらすよう選ばれうる。
【0053】
それを鼻粘膜に投与する場合、本発明の組成物は、好ましくは、疎性粉末の形態である。なぜなら、これは患者にとって最も快適だからである。活性物質の胃前投与の幾つかの場合には、粘膜表面における最小の不快さまたは刺激を保証するために、等張性(浸透圧モル濃度および浸透圧重量モル濃度)および/またはイオン強度を調節することが必要または望ましいかもしれない。これらの特性の調節は、無機酸もしくは有機酸、アルカリおよび/または塩および/または他の緩衝剤を適当な濃度で使用して達成されうる。
【0054】
本発明の組成物の頬腔への投与に際して、頬粘膜および/または舌下粘膜がどのように活性物質の吸収のための主要標的領域となるかは前記に記載されている。該組成物は、偶然に飲み込まれる活性物質の量を減少させるために、サブミクロンサイズの形態の難溶性活性物質を送達する。このようにして頬側および/または舌下経粘膜吸収を促進することは、治療作用の迅速な発現および一定かつ予測可能な用量の投与を保証する。しかし、活性物質の少なくとも一部は飲み込まれ、飲み込まれた活性物質は、それがGI管を介して吸収された場合に治療効果を示す可能性がある。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態においては、該組成物が、頬粘膜および/または舌下粘膜を介した一次吸収に加えて、GI管を介した活性物質の二次吸収をもたらすことが望ましい。この二次吸収は、一次吸収により生じる初期の迅速な効果に加えて、二次的な遅効性治療効果をもたらしうる。したがって、本発明の組成物は、迅速な治療作用の発現と組み合わせて遅効性および/または持続性作用をもたらしうる。速効性および遅効性および/または持続性作用を有する活性物質は同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態においては、該組成物は更に、飲み込まれてGI管から吸収されるべき活性物質を含む粒子を含む。これらの粒子は、例えば、頬腔内の活性物質の放出を妨げることにより活性物質の飲み込み及びGI管での放出を促すコーティングを含みうる。適当なコーティングはよく知られており、エチルセルロース、HPMC、HEC、HPC、CAPならびに他のセルロースエーテルおよびエステル、PVPを単独でまたは一緒に含む。GI吸収を促進するために用いられうるもう1つの手段は、活性物質の水溶性塩形態もしくは無定形形態、または塩形態もしくは無定形形態とより低い溶解度の塩基もしくは酸形態との混合物を使用することである。該可溶性活性物質は、頬腔内に存在する唾液中に溶解し飲み込まれることになる可能性が高い。
【0057】
活性物質のサブミクロン粒子の製造方法、ならびに/またはGRAS、薬局方および/もしくは規制機関の承認可能性または承認を有する他の通常の不活性成分の比較的迅速に溶解または分散するマトリックス内に分散したそのようなサブミクロン粒子を含有するマトリックス粒子の製造方法には、乳化、乳化およびそれに続く溶媒蒸発/架橋および乳化重合、ならびに単相液系、二相液系または多相系に溶解している活性物質からのサブミクロン粒子の回収が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
「比較的迅速」なる語は、2時間以下の時間内の、粘膜表面におけるマトリックス(多様な不活性成分粒子を含むサブミクロン薬物粒子、またはサブミクロン薬物粒子、を含有する、単一の、より大きな粒子と定義される)の溶解または分散を含む。サブミクロン粒子マトリックスとの混合、その乳化またはそれへの配合のための適当な不活性成分には、水、他の水性媒体(例えば、水-エタノール混合物、等張水-グリセロール混合物)または非水性媒体(ヒトまたは動物への投与に適した、医薬品における残留レベルを与えるもの)、界面活性剤、他の乳化剤(高分子物質を含む);高分子、比較的迅速に溶解または分散する生分解性高分子、生物粘着性物質、例えば糖、糖アルコール、高分子、生分解性高分子、天然分子、例えば尿素、リン脂質、例えばホスファチジルコリン、および半合成変異体(例えばコルフォセリルパルミタート、ホスファチジルグリセロールなど)、またはそのような物質の混合物、ビタミン、天然油、アルコールならびにコレステロールが含まれる。
【0059】
サブミクロン粒子の固体物質またはサブミクロン粒子を含有する固体物質の製造方法には、限定的ではないが、以下のものが含まれる:活性物質単独または活性物質と前記に挙げられているような他の成分との組合せのサブミクロン粒子の、凝集法によるコロイド、ミセルまたは他の形態の製造;マイクロカプセル化;沈殿、例えば、水性、有機および超臨界流体法を用いる沈殿(例えば、DELOS(膨張性液状有機溶液の除圧)、RESS(超臨界溶体急速膨張法)およびGAS(ガスアンチソルベント法));高圧均質化、例えばコロイド粉砕;他の粉砕方法、例えば湿式粉砕、乾燥粉砕(微粒化)、共粉砕(co-milling)、音波振動粉砕、極低温粉砕;噴霧法、例えば噴霧乾燥、噴霧冷却(小球化(prilling))、噴霧流体床乾燥(spray fluid bed drying)、スピンフラッシュ乾燥(トルネード/サイクロン乾燥)、超音波噴霧回収法、例えば超音波噴霧乾燥、エレクトロスプレー回収、例えばエレクトロスプレー乾燥法、超臨界流体回収、例えばSCF噴霧乾燥法;流動床プロセシング法、例えば圧力スイング法および凍結乾燥法。
【0060】
本発明の組成物の製造に適したまたはそのような組成物を製造するために適合化されうる方法およびプロセスは、WO 2004/011537、WO 2005/073296、WO 2005/075546、WO 2005/073300、WO 2005/075547、US 2004/0191324、US 2004/0197417およびUS 2004/0253316として公開されている先行特許出願に開示されている。
【0061】
本発明において使用される粒子の、1つの好ましい製造方法は、噴霧乾燥法である。水不溶性活性物質を、前記のとおりの適当な溶媒、界面活性剤および他の不活性物質と共に、溶液、懸濁液またはエマルション中に含有させる。ついでこの混合物を噴霧乾燥して、マトリックス中に包埋された活性物質を含む粒子を得る。これらの粒子が溶解すると、それらは、経粘膜吸収されうる該活性物質の粒子を放出する。当業者であれば認識しているであろうが、噴霧乾燥された粒子のサイズおよび他の特性は、噴霧乾燥パラメーター、および噴霧乾燥される溶液または懸濁液の特性により制御されうる。適当な噴霧乾燥法に関する更に詳しい情報は実施例に記載されている。
【0062】
噴霧乾燥された粒子は、噴霧乾燥された粒子の水分含量を調節するために二次乾燥工程に付されるのが望ましいかもしれない。これは、噴霧乾燥された粒子が水分に対して特に感受性である場合に最も当てはまると考えられる。周囲空気が低湿度を有する場合および/または乾燥した圧縮空気を用いて噴霧乾燥を行う場合には、そのような二次乾燥は恐らく必要ないであろう。
【0063】
もう1つの好ましい方法においては、該粒子は粉砕工程により製造される。活性物質および界面活性剤の粉砕は、例えば、2μm未満(好ましくは約1.47μm)の平均粒径を有する粒子を与えうる。この目的のための1つの適当なミル(粉砕機)は極低温ミルである。この及び他の適当な粉砕法に関する更に詳しい情報は実施例に記載されている。
【0064】
該サブミクロン粒子中の活性物質は、好ましくは、結晶形態である。なぜなら、これはより安定だからである。しかし、いくつかの実施形態においては、特に、活性物質が安定性の問題を被らない場合または湿気の侵入が問題となることなく該組成物が保存されうる場合には、ある程度の無定形物質が存在することが可能である。
【0065】
経粘膜送達のための本発明の組成物における使用には、多数の薬物が魅力的な候補である。これらの薬物は以下の特性で規定することが可能であり、記載されている例は、特に示されていない限り塩基形態である。
【0066】
1)高い(>25%)「初回通過」代謝を示す薬物。
このような薬物の具体例には、シルデナフィル(sildenafil)、タダラフィル(tadalafil)、バルデナフィル(vardenafil)、クロピドグレル(clopidogrel)(および不溶性硫酸水素塩形態)、レボドーパ(levodopa)、イルベサルタン(irbesartan)(酸)、アリピプラゾール(aripiprazole)、アプレピタント(aprepitant)、メトプロロール(metoprolol)、プロプラノロール(propranolol)、リドカイン(lidocaine)、プロパフェノン(propafenone)、ベラパミル(verapamil)、ニトログリセリン(nitroglycerin)の酸、塩基または塩が含まれる。
【0067】
2)「食物作用(food effect)」を示す薬物。
これらの薬物は、「絶食」状態 対「食物供給」状態において薬物が投与された場合に、薬物動態学的尺度、例えばtmax、CmaxもしくはAUCおよび/または薬物効力の薬力学的尺度における有意差を示す。そのような薬物の具体例には、シルデナフィル(sildenafil)および他のPDE5インヒビター、例えばタダラフィル(tadalafil)、バルデナフィル(vardenafil)およびレボドーパ(levodopa)、バルサルタン(valsartan)(酸形態)、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、ニカルジピン(nicardipine)、アムロジピン(amlodipine)、メベベリン(mebeverine)、ベタヒスチン(betahistine)、アタザナビル(atazanavir)、インジナビル(indinavir)、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)が含まれる。
【0068】
3)GI障害により変動性のまたは低い吸収を示す薬物。
GI障害には、治療すべき状態(例えば、片頭痛およびてんかん)またはGI管における薬物自体の存在から生じる変動性のまたは低下した運動性、ならびに治療すべき状態(例えば、片頭痛および運動障害)により引き起こされるまたは薬物誘発性である(例えば、化学療法および薬理学的物質により引き起こされる)悪心および嘔吐のような作用が含まれる。そのような薬物の具体例には、抗片頭痛薬、例えばプロクロルペラジン(prochlorperazine)、アミトリプチリン(amitriptyline)、スマトリプタン(sumatriptan)、エレトリプタン(eletriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、アルモトリプタン(almotriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)など; ロキサピン(loxapine)、ブスピロン(buspirone)、抗嘔吐薬、例えばオンダンセトロン(ondansetron)、アプレピタント(aprepitant)など、プロトンポンプインヒビター、例えばオメプラゾール(omeprazole)、エソメプラゾール(esomeprazole); モキシシレート(moxisylate)、ナフチドフリル(naftidofuryl)、エフェドリン(ephedrine)、エロプロステノール(eroprostenol)、フォンダパリヌクス(fondaparinux)、プロタミン(protamine)、クロピドグレル(clopidogrel)、ジピリダモール(dipyridamole)、エタミシレート(etamsylate)、コレスチポール(colestipol)、エゼチミベ(ezetimibe)、ベザフィブレート(bezafibrate)、シプロフィブレート(ciprofibrate)、フェノフィブレート(fenofibrate)、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、アトルバスタチン(atorvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、シムバスタチン(simvastatin)、モンテルカスト(montelukast)、セチリジン(cetirizine)、アリピプラジド(aripiprazide)、モダフィニル(modafinil)、シブトラミン(sibutramine)、シンナリジン(cinnarizine)、シクリジン(cyclizine)、スピロノラクトン(spironolactone)、トリアムテレン(triamterene)、アミロリド(amiloride)、フロセミド(furosemide)、トラセミド(torasemide)、フレカイニド(flecainide)、プロカイナミド(procainamide)、メキシレチン(mexiletine)、カプトプリル(captopril)、シラザプリル(cilazapril)、エナラプリル(enalapril)、フォシノプリル(fosinopril)、イミドプリル(imidopril)、リシノプリル(lisinopril)、モエキシプリル(moexipril)、ペリノプリル(perinopril)、キナプリル(quinapril)、ラミプリル(ramipril)、トランドラプリル(trandolapril)、テルミサルタン(telmisartan)、レルカニジン(lercanidine)、ニカルジピン(nicardipine)、ニモジピン(nimodipine)、ベラパミル(verapamil)、ニコランジル(nicorandil)、シロスタゾール(cilostazol)、メクロジン(meclozine)、プロメタジン(promethazine)、クロプロマジン(chlorpromazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、ドムペリドン(domperidone)、メトクロプラミド(metoclopramide)、ドラセトロン(dolasetron)、グラニセトロン(granisetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、トロピセトロン(tropisetron)、アプレピタント(aprepitant)、デキサメタゾン(dexamethasone)を伴うアプレピタント、ブデソジド(budesonide)を伴うアプレピタント、フルチカゾン(fluticasone)、または他のステロイド、ナビロン(nabilone)、ヒオスシン(hyoscine)、ネフォパム(nefopam)、エルゴタミン(ergotamine)、メチセルジド(methysergide)、エトスクシミド(ethosuximide)、ガバペンチン(gabapentin)、レビタラセタム(levitaracetam)、トピラメート(topiramate)、バルプロ酸/バルプロアート(valproate)、レボドーパ(levodopa)、コベネルドーパ(co-beneldopa)、コカレルドーパ(co-careldopa)、アモンタジン(amontadine)、アポモルヒネ(apomorphine)、エンタカポン(entacapone)、リスリド(lisuride)、プラミペキソール(pramipexole)、ロピニロール(ropinirole)、セレギリン(selegiline)、トリヘキシフェニジル(trihexyphenidyl)、リルゾール(riluzole)、テトラベナジン(tetrabenazine)、アカムプロセート(acamprosate)、ジスルフィラム(disulfiram)、ブプロピオン(bupropion)、ニコチン(nicotine)、ドネペジル(donepezil)、ガランタミン(galantamine)、リアスチグミン(riastigmine)、フルコナゾール(fluconazole)、グリセオフルビン(griseofulvin)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ザルシタビン(zalcitabine)、アシクロビル(aciclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)、バラシクロビル(valaciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、ザナミビル(zanamivir)、アレンドロン酸/アレンドロナート(alendronate)、パミドロン酸、エリドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸(risedronic acid)、クロドロン酸、チルドロン酸(tiludronic acid)、ゾレドロン酸(zoledronic acid)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、キナゴリド(quinagolide)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン(goserelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、ナファレリン(nafarelin)、トリプトレリン(triptorelin)、リトドリン(ritodrine)、ミコフェノレート(mycophenolate)、タクロリムス(tacrolimus)、ファモチジン(famotidine)、ラベプラゾール(rabeprazole)、パントプラゾール(pantoprazole)、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ランソプラゾール(lansoprazole)、プロベネシド(probenecid)、ホスカルネット(foscarnet)、アデフォビル(adefovir)、オセルタミビル(oseltamivir)、アルテメーテル(artemether)、ルメファントリン(lumefantrine)、クロロキン(chloroquine)、メフロキン(mefloquine)、プリマキン(primaquine)、プログアニル(proguanil)、アトバクォン(atovaquone)、キニン(quinine)、メパクリン(mepacrine)、ピペラジン(piperazine)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリクラジド(gliclazide)、グリメピリド(glimepiride)、グリピジド(glipizide)、グリキドン(gliquidone)、トルブタミド(tolbutamide)、メトフォルミン(metformin)、アカルボース(acarbose)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、レパグリニド(repaglinide)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)の酸、塩基または塩が含まれる。
【0069】
4)化学的または酵素的分解を受ける薬物。
この分解は胃において(例えば、酸加水分解)または腸において(例えば、胆汁酸、混合エステラーゼ攻撃など)生じる傾向にある。
【0070】
5)中枢神経系に主要作用部位を有する薬物。
これらの薬物は、意図される作用部位に接近するためには血液脳関門を越えなければならない。
【0071】
6)症状の迅速なまたは緊急の治療を与えることが意図される薬物。
これらの薬物には、CNS内に作用部位を有するものが含まれる。迅速な作用発現を伴うまたは伴わないCNS作用を有する薬物の具体例には、アプレピタント(aprepitant)、抗卒中薬、例えばクロピドグレル(clopidogrel)(および不溶性硫酸水素塩形態)、ニモジピン(nimodipine); 抗うつ薬、例えばトリプトファン(tryptophan)、ミアンセリン(mianserin)、モクロベミド(moclobemide)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、フェネルジン(phenelzine)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、デュロキセチン(duloxetine)、ミルタゼピン(mirtazepine)、アミトリプチリン(amitriptyline)、クロミプラミン(clomipramine)、ドチエピン(dothiepin)、イミプラミン(imipramine)、ロフェプラミン(lofepramine)、マプロチリン(maprotiline)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)、トリミプラミン(trimipramine)、ドキセピン(doxepin)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、レボキセチン(reboxetine)、ベンラファキシン(venlafaxine)、セルトラリン(sertraline)、ネファゾドン(nefazodone)、トラゾドン(trazodone)、ヒペリクム・ペルフォラツム(hypericum perforatum); 抗コリン作動薬および抗ムスカリン薬、例えばベンズヘキソール(benzhexol)、トリヘキシフェニジル(trihexyphenidyl)、ベンズトロピン(benztropine)、オルフェナドリン(orphenadrine)、プロシクリジン(procyclidine); ベンゾジアゼピン抗不安薬/催眠薬、例えばアルプラゾラム(alprazolam)、ブロマゼパム(bromazepam)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロバザム(clobazam)、デスメチルクロバザム(desmethylclobazam)、クロラゼペート(clorazepate)、ジアゼパム(diazepam)、ロラゼパム(lorazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、トリアゾラム(triazolam)、テマゼパム(temazepam)、ニトラゼパム(nitrazepam)、フルニトラゼパム(flunitrazepam)、フルラゼパム(flurazepam)、ロプラゾラム(loprazolam)、ロルメタゼパム(lormetazepam); 非ベンゾジアゼピン抗不安薬、例えばブスピロン(buspirone)、プロプラノロール(propranolol)、オクスプレノロール(oxprenolol); 非ベンゾジアゼピン催眠薬、例えばクロラール(chloral)、クロメチアゾール(clomethiazole)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、プロメタジン(promethazine)、ザレプロン(zaleplon)、ゾルピデム(zolpidem)、ゾピクロン(zopiclone); 抗精神病薬/神経遮断薬、例えばセルチノドール(sertindole)、スルプリド(sulpride)、アミスルプリド(amisulpride)、フェノチアジン、例えばクロザピン(clozapine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)、ペリシアジン(pericyazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロマジン(promazine)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、オランザピン(olanzapine)、ケチアピン(quetiapine)、ゾテピン(zotepine); チオキサンチン、例えばフルペンチキソール(flupenthixol)、ズクロペンチキソール(zuclopenthixol); ブチロフェノン、例えばベンペリドール(benperidol)、ハロペリドール(haloperidol)、ドロペリドール(droperidol); 他の抗精神病薬/神経遮断薬、例えばピモジド(pimozide)、アリピプラゾール(aripiprazole); デヒドロアリピプラゾール(dehydroaripiprazole); 抗コリンエステラーゼ薬、例えばドネゼピル(donezepil)、ガランタミン(galantamine)、リバスチグミン(rivastigmine); 抗てんかん薬、例えばカルバマゼピン(carbamazepine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、バルプロ(valproic)(酸); フェニトイン(phenytoin)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)、チアガビン(tiagabine)、ビガバトリン(vigabatrin)、フェノバルビタール(phenobarbital)、プリミドン(primidone)、ラモトリジン(lamotrigine); ADHD薬、例えばメチルフェニデート(methylphenidate)、アンフェタミン、例えばデキサンフェタミン(dexamphetamine); 鎮痛薬、例えばモルヒネ(morphine)、コデイン(codeine)および他のオピオイドまたはオピエート誘導体、例えばオキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、ジアモルヒネ(diamorphine)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ジピパノン(dipipanone)、エチルモルヒネ(ethylmorphine)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、メサドン(methadone)、レボメサドン(levomethadone)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、ナルブフィン(nalbuphine)、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ペンタモルフォン(pentamorphone)、ペチジン(pethidine)、フェンタニル(fentanyl)、アルフェンタニル(alfentanil)、カルフェンタニル(carfentanil)、レミフェンタニル(remifentanil)、スフェンタニル(sufentanil)、トレフェンタニル(trefentanil); アセクロフェナック(aceclofenac)、アンピロキシカム(ampiroxicam)、アスピリン(aspirin)(酸)、ベノリレート(benorylate)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベジトラミド(bezitramide)、ブロムフェナック(bromfenac)、ブフェキサマック(bufexamac)、ブマジゾン(bumadizone)、ブピボカイン(bupivocaine)、レボブプバカイン(levobupvacaine)、リドカイン(lidocaine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、テトラカイン(tetracaine)、ロピバカイン(ropivacaine); 禁煙薬、例えばニコチン(nicotine)、ブプロピオン(bupropion)、ブチブフェン(butibufen)、ブトルファノール(butorphanol)、カプサイシン(capsaicin)、カルバスピリン(carbaspirin)、カルプロフェン(carprofen)、デクストロモラミド(dextromoramide)、デクストロプロポキシフェン(dextropropoxyphene)、ジクロフェナック(diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、ドロキシカム(droxicam)、エトドラック(etodolac)、エトルフィン(etorphine)、フェルビナック(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロフェナック(fenclofenac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フルプロフェン(furprofen)、イブフェナック(ibufenac)、イブプロフェン(ibuprophen)、イブプロキサム(ibuproxam)、イミダゾール(imidazole)、インドメタシン(indomethacin)、インドプロフェン(indoprofen)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラック(ketorolac)、ロピニロール(ropinirole)、ロナゾラック(lonazolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、リシンアスピリン(lysine aspirin)、メクロフェナメート(meclofenamate)、メファナム(mefanamic)(酸)、メロキシカム(meloxicam)、モフェゾラック(mofezolac)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)(酸)、ネフォパム(nefopam)、ニコボキシル(nicoboxil)、ニフェナゾン(nifenazone)、オキシンダナック(oxindanac)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、パラセタモール(paracetamol)、ペンタゾシン(pentazocine)、フェナゾシン(phenazocine)、フェナゾン(phenazone)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ピケタプロフェン(piketaprofen)、ピラゾラック(pirazolac)、ピリトラミド(piritramide)、ピロキシカム(piroxicam)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロパセタモール(propacetamol)、スリンダク(sulindac)、スプロフェン(suprofen)、テノキシカム(tenoxicam)、トラマドール(tramadol)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ゾメピラック(zomepirac)のような薬物の酸、塩基または不溶性塩が含まれる。
全身作用を有する非CNS薬の具体例には、シリデナフィル(sildenafil)、タダラフィル(tadalafil)、バルデナフィル(vardenafil)、イソソルビド(isosorbide)、ジシクロベリン(dicycloverine)、ヒヨスチン(hyoscine)、アルベリン(alverine)、ロペラミド(loperamide)、アミロリド(amiloride)、アミオダロン(amiodarone)、プロプラノロール(propranolol)、ビソプロロール(bisoprolol)、カルベジロール(carvedilol)、セレプロロール(celeprolol)、エスモロール(esmolol)、ラベタロール(labetalol)、メトプロロール(metoprolol)、オクスプレノロール(oxprenolol)、ソタロール(sotalol)、ピンドロール(pindolol)、ナドロール(nadolol)、アテノロール(atenolol)、チモロール(timolol)、ヒドララジン(hydralazine)、カンデサルタン(candesartan)、ロサルタン(losartan)、オルメサルタン(olmesartan)、アムロジピン(amlodipine)、ジルチアゼム(diltiazem)、ドーパミン(dopamine)、ドペキサミン(dopexamine)、ワルファリン(warfarin)(酸)、コレスチポール(colestipol)、サルブタモール(salbutamol)、テルブタリン(terbutaline)、バンブテロール(bambuterol)、フェノテロール(fenoterol)、フォルモテロール(formoterol)、サルメテロール(salmeterol)、エフェドリン(ephedrine)、オルシプレナリン(orciprenaline)、イプラトロピウム(ipratropium)、チオトロピウム(tiotropium)、グリコピロニウム(glycopyrronium)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、フルチカゾン(fluticasone)、モメタゾン(mometasone)、デスロラタジン(desloratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadine)、アリメマジン(alimemazine)、ブロムフィラミン(bromphiramine)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、シプロヘプタジン(cyproheptadine)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、プロメタジン(promethazine)、トリプロリジン(triprolidine)、ドキサプラム(doxapram)、メシステイン(mecysteine)、プソイドエフェドリン(pseudoephedrine)、アルモトリプタン(almotriptan)、ナラトリプタン(naratriptan)、リザトリプタン(rizatriptan)、スマトリプタン(sumatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、イソメテプテン(isometheptene)、クロニジン(clonidine)、ラモトリジン(lamotrigine)、チアガビン(tiagabine)、ベンザトロピン(benzatropine)、オルフェナドリン(orphenadrine)、プロシクリジン(procyclidine)、メマンチン(memantine)、アバカビル(abacavir)、ジダノシン(didanosine)、テノフォビル(tenofovir)、アマンタジン(amantadine)、オセルタミビル(oseltamivir)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、コルチゾン(cortisone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドジゾン(prednisone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)、テストステロン(testosterone)、シプロテロン(cyproterone)、アルフゾシン(alfuzosin)、プラゾシン(prazosin)、タムスロシン(tamsulosin)、ベタネコール(bethanechol)、ジスチグミン(distigmine)、フラボキセート(flavoxate)、オキシブチニン(oxybutynin)、プロパンテリン(propantheline)、プロピベリン(propiverine)、トルテロジン(tolterodine)、トロスピラン(trospiran)、レボブピバカイン(levobupivacaine)、ブピバカイン(bupivacaine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、テトラカイン(tetracaine)、ロピバカイン(ropivacaine)およびリドカイン(lidocaine)の薬物の酸、塩基または不溶性塩が含まれる。
【0072】
迅速な全身作用を有する非CNS薬の具体例には、シリデナフィル(sildenafil)、タダラフィル(tadalafil)、バルデナフィル(vardenafil)、レボブピバカイン(levobupivacaine)、ブピバカイン(bupivacaine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、テトラカイン(tetracaine)、ロピバカイン(ropivacaine)、リドカイン(lidocaine)、イロプロスト(iloprost)、クロニジン(clonidine)、グアネチジン(guanethidine)、アルテプラーゼ(alteplase)、クロピドグレル(clopidogrel)、ヒヨスチン(hyoscine)、アルベリン(alverine)、ロペラミド(loperamide)、サルブタモール(salbutamol)、テルブタリン(terbutaline)、バムブテロール(bambuterol)、フェノテロール(fenoterol)、フォルモテロール(formoterol)、サルメテロール(salmeterol)、デスロラタジン(desloratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadine)、アリメマジン(alimemazine)、ブロムフィラミン(bromphiramine)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、プソイドエフェドリン(pseudoephedrine)、アルモトリプタン(almotriptan)、ナラトリプタン(naratriptan)、リザトリプタン(rizatriptan)、スマトリプタン(sumatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、イソメテプテン(isometheptene)、クロニジン(clonidine)、ラモトリジン(lamotrigine)、チアガビン(tiagabine)、ファモチジン(famotidine)、ラベプラゾール(rabeprazole)、パントプラゾール(pantoprazole)、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ランソプラゾール(lansoprazole)、エソメプラゾール(esomeprazole)、オメプラゾール(omeprazole)の薬物の酸、塩基または不溶性塩が含まれる。
【0073】
7)酸/GI不安定性薬物。
このような薬物の具体例には、タンパク質およびペプチド(例えば、インスリン、カルシトニン、ヘパリンなど)ならびに通常、腸溶コーティングされて提供されるまたは腸溶コーティングから利益を受ける薬物が含まれる。
【0074】
8)脂質取り込みメカニズムにより体内に取り込まれる薬物。
このような薬物の具体例には、シクロスポリン(cyclosporine)およびグラチラマー(glatiramer)が含まれる。
【0075】
9)低溶解度の塩基形態、酸形態または特定の塩形態であるかどうかを問わず、特にサブミクロン形態の薬物。
【0076】
10)低溶解度の塩基形態、酸形態または特定の塩形態であるかどうかを問わず、特に界面活性剤、油、アルコールの1以上と組合せて送達される薬物。
【0077】
11)低溶解度の塩基形態、酸形態または特定の塩形態であるかどうかを問わず、特にサブミクロン形態の場合にFDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスII-高透過性、低溶解度、に該当する薬物。
このようなクラスIIの薬物の具体例には、グリベンクラミド(glibenclamide)、フェニトイン(phenytoin)、ダナゾール(danazol)、ケトコナゾール(ketoconazole)、メフェナム酸、ニフェジピン(nifedipine)、ラファンピシン(rifampicin)、エタンブトール(ethambutol)、ピラジナミド(pyrazinamide)、イソニアジド(isoniazid)、キニジン(quinidine)、クロロキン(chloroquine)、メベンダゾール(mebendazole)、ニクロサミド(niclosamide)、プラシカンテル(prasiquantel)、アテノロール(atenolol)、ピロキシカム(piroxicam)およびアミトリプチリン(amitriptyline)が含まれる。
【0078】
12)低溶解度の塩基形態、酸形態または特定の塩形態であるかどうかを問わず、特に界面活性剤、油、アルコールの1以上と組合せて送達された場合にFDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスII-高透過性、低溶解度、に該当する薬物。
このようなクラスIIの薬物の具体例は前記に記載されている。
【0079】
13)特に経粘膜的に、特に舌下/頬粘膜を介して送達される場合にFDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIII-低透過性、高溶解度、に該当する薬物。
このようなクラスIIIの薬物の具体例には、タンパク質およびペプチド、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、アシクロビル(acyclovir)、ネオマイシン(neomycin)B、カプトプリル(captopril)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ナプロキセン(naproxen)(酸形態)、カルバマゼピン(carbamazepine)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、バルサルタン(valsartan)(酸形態)ならびにオルメサルタン(olmesartan)、カンデサルタン(candesartan)、ボセンタン(bosentan)、テルミサルタン(telmisartan)、ロサルタン(losartan)、イルベサルタン(irbesartan)など(すべて酸形態)が含まれる。
【0080】
14)特に塩基形態であり、経粘膜的に、特に舌下/頬粘膜を介して送達され、FDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIV-低透過性、低溶解度、に該当する薬物。
このようなクラスIVの薬物の具体例には、タキソール(taxol)、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)およびフロセミド(furosemide)が含まれる。
【0081】
15)サブミクロン形態で提供され、経粘膜的に送達され、FDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIII-低透過性、高溶解度、に該当する薬物。
このようなクラスIIIの薬物の具体例は前記に記載されている。
【0082】
16)界面活性剤、油、アルコールの1以上と組合せて経粘膜的に送達される場合にFDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIII-低透過性、高溶解度、に該当する薬物。
そのようなクラスIIIの薬物の具体例は前記に記載されている。
【0083】
17)サブミクロン形態で提供され、経粘膜的に送達され、FDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIV-低透過性、低溶解度、に該当する薬物。
そのようなクラスIVの薬物の具体例は前記に記載されている。
【0084】
18)界面活性剤、油、アルコールの1以上と組合せて経粘膜的に送達される場合にFDA(CDER)「生物医薬分類系(biopharmaceutical classification system)(BCS)」カテゴリー:クラスIV-低透過性、低溶解度、に該当する薬物。
そのようなクラスIVの薬物の具体例は前記に記載されている。
【0085】
19)経粘膜送達のための、サブミクロン塩基形態で提供され、60Å2(平方オングストローム)より大きな極性表面積を有する非中枢全身送達のための薬物分子。
【0086】
20)経粘膜送達のための、サブミクロン塩基形態で提供され、140Å2(平方オングストローム)未満の極性表面積を有するCNSへの全身循環を介した送達のための薬物分子。
【0087】
21)能動輸送メカニズムによる全身循環内への取り込みを必要とし、他の薬物または高濃度の同じ薬物によるこの輸送メカニズムの改変または遮断が吸収に悪影響を及ぼすような薬物、例えばガバペンチン(gabapentin)、プレガルバリン(pregabalin)およびバクロフェン(baclofen)。
【0088】
特に頭部および頚部領域における経粘膜送達は、投与された薬物がCNS内の作用部位に到達するのを助けることに注目すべきである。なぜなら、この領域の血流は、活性物質が、肝臓または他の体容積の初回通過を伴うことなく、より高い濃度で即座に頭蓋動脈に到達するのを可能にしうるからである。
【0089】
以下の治療クラスの薬物は、それらを本発明の組成物への配合に特に適したものにする性質を有する薬物タイプおよび具体的な薬物の一例である。挙げられている薬物の全ては、より可溶性の塩形態で既に登録されている。特に示されている場合を除き、以下に挙げる薬物は全て、前記の理由により本発明において塩形態よりも有益に使用されうる可能な塩基形態を意味する。
【0090】
1.酸-ペプシンおよび運動性障害の治療薬、緩下薬、止しゃ薬、結腸直腸薬、膵酵素および胆汁酸。
2.不整脈および心不全の治療薬、抗狭心症薬、利尿薬、抗高血圧薬、循環障害の治療薬、抗凝固薬、抗血栓症薬およびフィブリン溶解薬、止血薬、高脂血症用薬、貧血および好中球減少症の治療薬。
3.催眠薬、不安寛解薬、抗精神病薬、抗うつ薬および気分安定薬、制吐薬、抗痙攣薬、神経変性疾患の治療薬、睡眠構造の調整のための薬物ならびにADHDおよびナルコレプシーの治療薬。
4.鎮痛薬、下熱薬および片頭痛治療薬。
5.筋骨格障害の治療薬、NSAID、疾患修飾抗リウマチ薬、痛風治療薬、筋弛緩薬、神経筋薬。
6.男性性障害の治療薬、コルチコステロイド、成長ホルモン、成長障害の治療薬、甲状腺および抗甲状腺薬、骨代謝に影響を及ぼす薬物、尿崩症の治療薬。
7.インスリン、経口血糖降下薬、低血糖症の治療薬。
8.感染症および寄生虫感染症の治療薬、抗生物質および抗細菌薬、抗真菌薬、抗結核薬および抗らい薬、抗マラリア薬、駆虫薬および殺アメーバ薬、ヘルペス治療薬、肝炎および他のウイルス感染症の治療薬、ワクチンならびに免疫グロブリン、免疫調節薬。
9.性感染症、尿道感染症、腎臓および膀胱感染症の治療薬。
10.先天性代謝異常症の治療薬、抗肥満薬。
11.気管支拡張薬および抗炎症薬、去痰薬、鎮咳薬、粘液溶解薬ならびに充血除去薬。
12.鼻に対する局所作用薬、口咽頭用製剤、耳用製剤。
13.眼抗感染症薬および抗炎症薬、緑内障治療薬、眼潤滑薬。
14.抗アレルギー薬、減感作剤。
15.避妊薬。
16.癌治療薬。
17.月経困難症、月経過多、子宮内膜症、月経前障害、乳腺疾患、閉経障害、産科、不妊症の治療薬。
18.中毒、薬物およびアルコール依存症の治療薬。
19.麻酔薬および前投薬用薬。
20.粘膜炎治療薬。
【0091】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、1以上の三環系抗うつ薬、例えばアミトリプチリン(amitriptyline)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、クロミプラミン(clomipramine)およびイミプラミン(imipramine)、SSRI、例えばフルオキセチン(fluoxetine)、パロキセチン(paroxetine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロウラム(escitalopram)およびセルトラリン(sertraline)ならびに/またはSNRI、例えばデュロキセチン(duloxetine)およびベンラファキシン(venlafaxine)を含む。好ましくは、該組成物は、うつ病および/または睡眠障害の治療用である。
【0092】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、1以上の抗片頭痛薬、例えばスマトリプタン(sumatriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、エレトリプタン(eletriptan)、アルモトリプタン(almotriptan)、ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine)ならびに/または鎮痛薬、例えばNSAIDおよびパラセタモール(paracetamol)を含む。好ましくは、該組成物は片頭痛の治療または予防用である。
【0093】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、モルヒネ(morphine)、コデイン(codeine)、他のオピエートおよびオピオイド、例えばオキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、ヒドロコドン(hydrocodone)、フェンタニル(fentanyl)、スフェンタニル(sufentanyl)、アルフェンタニル(alfentanyl)およびブプレノルフィン(buprenorphine)、三環系薬、例えばアミトリプチリン(amitriptyline)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)ならびに鎮痛薬、例えばNSAIDおよびパラセタモール(paracetamol)の1以上を含む。好ましくは、該組成物は疼痛の治療または予防用である。
【0094】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、不安寛解薬および/または催眠薬、例えばベンゾジアゼピン、例えばデスメチルクロバザム(desmethylclobazam)、ならびに非ベンゾジアゼピン、例えばブスピロン(buspirone)、プロプラノロール(propranolol)、オクスプレノロール(oxprenolol); クロラール(chloral)、クロメチアゾール(clomethiazole)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、プロメタジン(promethazine)、ザレプロン(zaleplon)、ゾルピデム(zolpidem)塩基およびゾピクロン(zopiclone)の1以上を含む。
【0095】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、1以上の抗精神病薬および/または神経遮断薬、例えばセルチノドール(sertindole)、スルプリド(sulpride)、アミスルプリド(amisulpride)、フェノチアジン、ベンゾイソオキサゾール、チオキサンチン、ブチロフェノン、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、ピモジド(pimozide)、アリピプラゾール(aripiprazole)、デヒドロアリピプラゾール(dehydroaripiprazole)および抗コリンエステラーゼ薬を含む。
【0096】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、1以上の抗痙攣薬、例えばベンゾジアゼピン、カルバマゼピン(carbamazepine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、バルプロ(valproic)(酸); フェニトイン(phenytoin)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)、チアガビン(tiagabine)、ビガバトリン(vigabatrin)、フェノバルビタール(phenobarbital)、プリミドン(primidone)およびラモトリジン(lamotrigine)を含む。
【0097】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、1以上の制吐薬、例えば5HT3アンタゴニスト、例えばパロノセトロン(palonosetron)、ドラセトロン(dolasetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)、抗コリン作動薬、例えばヒヨスチン(hyoscine)、抗ドーパミン作動薬、例えばメトクロプラミド(metoclopramide)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、プロメタジン(promethazine)およびNK-1アンタゴニスト、例えばアプレピタント(aprepitant)を含む。好ましくは、該組成物は嘔吐の治療または予防用である。
【0098】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、アカンプロセート(acamprosate)、タウリン(taurine)、ナルトレキソン(naltrexone)、メサドン(methadone)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ナロキソン(naloxone)、ニコチン(nicotine)、ブプロピオン(bupropion)、シチシン(cytisine)およびバレニクリン(varenicline)塩基を含む1以上の薬物を含む。好ましくは、該組成物は薬物依存症の治療用である。
【0099】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、PDE5インヒビター、例えばシルデナフィル(sildenafil)塩基、タダラフィル(tadalafil)およびバルデナフィル(vardenafil)、ドーパミンアゴニスト、例えばアポモルヒネ(apomorphine)、アルプロスタジル(alprostadil)、SSRI、例えばフルオキセチン(fluoxetine)、パロキセチン(paroxetine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)およびセルトラリン(sertraline)、SNRI、例えばデュロキセチン(duloxetine)およびベンラファキシン(venlafaxine)、TCA、例えばノルトリプチリン(nortriptyline)、クロミプラミン(clomipramine)およびロフェプラミン(lofepramine)およびトラゾドン(trazodone)を含む1以上の薬物を含む。好ましくは、該組成物は性機能不全の治療用である。
【0100】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、抗血小板薬、例えばチロフィバン(tirofiban)、エプチフィバチド(eptifibatide)、アブシキシマブ(abciximab)、クロピドグレル(clopidogrel)およびジピリダモール(dipyridamole)、抗凝固薬、例えばヘパリン、ヘパリノイドおよびプロスタグランジン、アンジオテンシンIIアゴニスト、例えばイルベサルタン(irbesartan)、カンデサルタン(candesartan)、ロサルタン(losartan)およびオルメサルタン(olmesartan)を含む1以上の薬物を含む。好ましくは、該組成物は、CVA、狭心症または心筋梗塞に関連した状態の治療用である。
【0101】
本発明の1つの実施形態においては、該組成物は、ACEインヒビター、ベータブロッカー、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、プラゾシン(prazosin)、ニコチン酸、ニコチン酸イノシトール、モキシシリト(moxisylyte)、シロスタゾール(cilostazol)、キサンチン(xanthine)およびナフチドロフリル(naftidrofuryl)塩基を含む1以上の薬物を含む。好ましくは、該組成物は循環障害、例えばレイノー病の治療用である。
【0102】
本発明の実施形態においては、該組成物は、1以上の経口血糖降下薬、例えばチアゾリジンジオン、例えばピオグリタゾン(pioglitazone)およびロシグリタゾン(rosiglitazone)、ビグアニド(biguanide)、例えばメトフォルミン(metformin)、スルホニル尿素、例えばグリピジド(glipizide)、ナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)およびインスリン(insulin)を含む。
【実施例】
【0103】
実施例1A - スマトリプタン製剤の製造(噴霧乾燥)
この実施例は、噴霧乾燥スマトリプタン(sumatriptan)製剤に関するものである。目標バッチサイズは噴霧乾燥粉末を少なくとも200gであった。200gを超える噴霧乾燥粉末を製造するためには、(回収率50%に基づくと)400gまでの固体を噴霧乾燥させる必要があると予想された。12.5g/Lの供給濃度では、これは32Lの液体非含有体積(1.25%(w/v)固体で噴霧乾燥供給)および22時間の推定噴霧乾燥時間と同等であった。
【0104】
噴霧乾燥時間が比較的長いため(また6〜8時間後にフィルターバッグを清掃する必要があるため)、200gの最小限の標的回収を伴う処理の終了時に一連のバッチを噴霧乾燥させ、ついでプールした。最初の2つのバッチは12Lの供給体積で150gのスマトリプタンを含有し、(回収率50gに基づくと)75gの推定収量を与えるべきものであった。ついで、第3バッチにおいて噴霧乾燥させる量を、最初の2つのバッチからの回収に基づいて調節した。
【0105】
以下の物質を使用した。
【表1】

【0106】
医薬適用のために改造されたNiro Mobile Minorを使用して、噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥機の上流に乾燥空気ファンを取り付けた。すなわち、正の乾燥室圧力下で該乾燥機を運転した。耐圧クランプで蓋を密封した。Niro 2流体空気噴霧化ノズルを使用して、噴霧化を行った(空気圧はHydrovane油非含有コンプレッサにより供給された)。供給速度100ml/分までの能力を有するIsmaTec(登録商標)歯車ポンプを使用して、液体供給を行った。
【0107】
該バッチの調製にあたり、以下の化合物を計り取り、別々の密封容器内に保存した。
【表2】

【0108】
スマトリプタンを7.2Lのエタノール(バッチ25#37/03では1.8L)に加え、室温で一晩攪拌した。
【0109】
翌日、HMPCを該スマトリプタン溶液に加え、攪拌して均一懸濁液を製造した。ついで以下の溶質を4.8 L(バッチ25#37/03では1.2 L)の脱イオン水:前記表に記載されている量のマルチトール、ポリデキストロース、Lutrol F127、Tween 80に加えることにより、水溶液を調製した。該水溶液をスマトリプタン/HPMC懸濁液に加えた。得られた懸濁液は透明な黄色溶液になった。
【0110】
使用のためにNiro Mobile Minorを調整し、以下の設定で平衡化した(液体供給物として50%エタノール溶液を使用)。
【表3】

【0111】
該スマトリプタン溶液をこれらの設定で噴霧乾燥させた。バッチ25#37/01および02について、生成物収集タンクを交換し、内容物を回収した(4回)。該溶液の全てが噴霧化された後、乾燥を停止させ、噴霧乾燥された粉末を回収した。噴霧乾燥実施の終了時に、以下のパラメーターを記録した。
【表4】

【0112】
噴霧乾燥機を、更なる使用の前に掃除し、乾燥させた。生成した噴霧乾燥物質の各サンプルについて、25mgのスマトリプタン含有粉末を26mlの蒸留水中に分散させた。時には、分散を助けるために、ボルテックスミキサーを使用した。Malvern Nano S Instrumentを使用して、溶液中の粒径を測定した。サイズを平均化し標準偏差を計算できるように粒径測定は3回重複して行った。3つの結果の間の標準偏差が10%未満である場合にのみ、測定は正確であると判定された。
【0113】
各サンプルについて、50mgの粉末(1用量と同等である20mgを含有)を、50rpmで頭上パドル攪拌を行いながら37℃で1000mlの蒸留水に溶解した。各溶液のアリコートを5分、10分および15分の時点で採取した。ついでこれらの分散液を、UV特徴づけのために0.1mol/L HCl溶液で希釈した。得られたデータから、溶解率(%)を計算した。
【0114】
2回の実施から得られた回収を以下に示す。
【表5】

【0115】
レーザー回折に基づいて粒径を計算するSympatec Helos Laser Sizerを使用して、粉末粒径を得た。気流中に分散している乾燥粉末サンプルに関して、そのサイズ決定(sizing)が行われる。
【0116】
(Rodos乾燥粉末分散機として知られる)圧縮空気流中の乾燥粉末として該粒子を分散させた。Aspiros送達ユニットを使用して、約50mgの該粉末をRodos内に供給した。
【0117】
初期粒径を損なうことなく該粉末を完全に分散させるためには3〜6 barの圧力で十分であったことが確認されたため、5 barの空気分散圧を使用して、該サンプルをサイズ決定した。0.5〜175μmのレンジを有するレンズを使用して、レーザー回折パターンを収集した。
【表6】

【0118】
ついで該サンプルを、水に分散させる場合の溶解速度および粒径に関して特性解析した。まず、該サンプルの溶解速度を、一般に認められているようにして測定した。結果は以下のとおりであった。
【表7】

【0119】
最後のバッチは、最初の5分における溶解が、その他のバッチと比較して遅かったものの、3つのサンプルすべてから得たデータは完全に合致した。さらに、最後のバッチはまた、幾分大きな粉末粒子を含有していた。篩い分け後に該粉末のそれぞれの90重量%(wt%)超が回収された。ついで、篩い分けされた粉末を、(該粉末の安定性を促すために)残留溶媒が残存していないことが保証されるように、真空下、室温で12時間乾燥させた。ついで該乾燥篩い分け粉末に関して溶解データを記録した。
【表8】

【0120】
該乾燥篩い分けサンプルに関する溶解データは、5分以内のほぼ完全な溶解と遥かに良く合致した。
【0121】
標準的な実験室用真空オーブン内で、真空下、室温で該サンプルを12時間乾燥させた際の重量の減少を測定することにより、該サンプルの水分含量(水および/またはいずれかの残留溶媒)を計算した。この乾燥工程の後、該物質の揮発物部分は既に除去されており、そして該物質は乾燥したと推定された。以下の結果により示されるとおり、該サンプルは1重量%未満の水分/残留溶媒を含有していた。
【表9】

【0122】
水26 ml当たり25 mgの濃度の各バッチ(乾燥および篩い分け後)の粒径を記録した。該データを図1、2および3に示す。図1は、520±18 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 04の粒径分布を示す。図2は、488±27 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 05の粒径分布を示す。図3は、527±14 nmの平均粒径を有していたバッチ05/25/54-UT 06の粒径分布を示す。第2バッチ(05/25/54-UT 05)がその他の2つのバッチより若干小さな粒径を示したことには注意すべきであるが、この場合もまた、それらの3つのバッチは非常に再現性のあるものである。
【0123】
乾燥後、サブミクロン粒子を他の不活性成分と乾式混合して、官能的に許容される投与用粉末を製造した。
【0124】
実施例1B - スマトリプタン製剤の製造(噴霧乾燥)
この実施例は他の噴霧乾燥スマトリプタン製剤に関するものである。
【0125】
以下の物質を使用した。
【表10】

【0126】
【表11】

【0127】
スマトリプタンを無水エタノールに加え、室温(19〜25℃)で一晩攪拌した。
【0128】
翌日、該スマトリプタン溶液にHMPC 5を加え、1時間攪拌して、均一な懸濁液を製造した。ついで、マルチトール、ポリデキストロース、Lutrol F127、Tween 80を精製水に加え、1時間攪拌することにより、水溶液を調製した。該水溶液を該スマトリプタン/HPMC懸濁液に加え、30分間攪拌して、透明溶液を得た。ついで、サイクロンおよびカートリッジフィルターを備えたNiro Mobile Minor(商標)2000噴霧乾燥プラントを使用して、該溶液を噴霧乾燥させた。圧縮空気である乾燥気体は電子ヒーターにより加熱され、天井部(ceiling)気体分散機を通って乾燥室に入る。シリコーンホースを有する蠕動ポンプが供給物を、該室の最上部に配置された二流体ノズルへ送り出す。得られた生成物はサイクロンの底から帯電防止ポリエチレンバッグ内に放出される。
【0129】
以下のパラメーターで噴霧乾燥を行った。
【表12】

【0130】
【表13】

【0131】
バッチ1:
約1時間の噴霧乾燥の後、工程中の分析試験のためのサンプル(バッグ1)を取得するために帯電防止ポリエチレンバッグを交換した。その回収バッグ内の小さな穴のため、3時間の噴霧乾燥の後に同じプロセスを行った。その穴を有する帯電防止バッグ(バッグ2)を新たなバッグ(バッグ3)と交換した。
【0132】
それらの3つのバッグの内容物を一緒に混合し、ステンレス鋼トレー上に載せ、真空乾燥オーブン内で室温および200mbarの絶対圧力で一晩乾燥した。真空乾燥のために使用した装置は、ステンレス鋼トレーおよびVacuubrand MZ 2C真空ポンプを備えたKendro VT 6130 M真空乾燥オーブンであった。該真空乾燥段階の全体にわたって、若干の窒素流を該オーブンに進入させた。翌日、真空乾燥粉末を秤量し、2つの帯電防止ポリエチレンバッグに入れた。
【0133】
ついで、該帯電防止バッグ内に回収された生成物をステンレス鋼プレート上に載せ、真空オーブン内で室温および200mbarの絶対圧力で一晩乾燥させた。該真空乾燥段階の全体にわたって、若干の窒素流を該オーブンに進入させた。乾燥工程の後、真空乾燥粉末を秤量し、2つの帯電防止ポリエチレンバッグに入れた。
【0134】
バッチ2および3:
該帯電防止ポリエチレンバッグ内に回収された生成物をステンレス鋼プレート上に載せ、真空乾燥オーブン内で室温および200mbarの絶対圧力で一晩乾燥させた。該真空乾燥段階の全体にわたって、若干の窒素流を該オーブンに進入させた。翌日、真空乾燥粉末を秤量し、2つの帯電防止ポリエチレンバッグに入れた。
【0135】
バッチ4および5:
サイクロンに接続された帯電防止ポリエチレンバッグ内に集められた噴霧乾燥生成物を秤量し、2つの帯電防止ポリエチレンバッグに入れた。
【0136】
バッチ1、2および3を調製するために用いたプロセスを、図4に示す流れ図に要約する。一方、バッチ4および5を調製するために用いたプロセスを、図5に示す流れ図に要約する。
【0137】
結果
【表14】

【0138】
噴霧乾燥後の生成物の回収はバッチ間で有意には異ならなかった。真空乾燥後に幾らかの生成物損失が存在した(バッチ1〜3を参照されたい)。さらに、水分含量の減少(次段落で説明する)は、そのような高い生成物損失を正当化するのに十分なほど高くない。
【0139】
水分含量(乾燥に際しての損失)
1〜2gの該噴霧乾燥粉末をMettler-Toledo LJ 16熱天秤, コードMS-301上に載せた。該粉末を70℃で20分間乾燥させた。
【表15】

【0140】
真空乾燥オーブン内での一晩の乾燥後の乾燥減少に基づく損失は約0.23〜0.4%、すなわち、噴霧乾燥後の乾燥値に基づく損失で13%〜33%である。
【0141】
粒径測定 - 噴霧乾燥粉末の粒径
Rodos空気分配装置, コードApp. 106Bを備えたSympatec Helosレーザーサイザーを使用して、噴霧乾燥バッチのサイズ分析を行った。数百ミリグラムの粉末を、振動供給装置(vibratory feeder)を使用して該分配装置内に供給し、5.0 barの分散圧で分散させた。
【表16】

【0142】
バッチ1の調製の際、バッグ1サンプルを集めた後、供給速度を14 g/分から17 g/分へ増加させた。これが、おそらく、バッチ1粒子のサイズがバッグ1と最終(真空乾燥)サンプルとの間で減少した原因であろう。
【0143】
粒径測定 - ナノ粒子サイズ決定
分散を補助するためにボルテックスミキサー(Vortes Genie 2 G560E, コードMS-181)を使用して、各粉末の25mg(天秤Sartorius A 200S, コードMS-209)を20mlの脱イオン水中に分散させた。3mlの該分散液をキュベット内に入れ、3秒間超音波処理(Bandelin Sonorex RK 156, コードMS-328)して、気泡を除去した。ついで、21.5℃で、ナノ粒子分析を行うために、該キュベットをSympatec NANOPHOX, コードApp. 111中に導入した。特に示さない限り3回重複して、粒子サイズ決定の測定を行った。
【表17】

【0144】
それらのバッチ間に有意差は存在しなかった。
【0145】
UVアッセイ
各サンプルに関して、12.5mgの粉末(5mgのスマトリプタンを含有)を、Sartorius A 200 S天秤, コードMS-209を使用して秤量し、100mlのメスフラスコに移した。ついで100mlの0.1mol/L HCl溶液を100mlフラスコ内に入れ、完全に溶解するまで混合した。スマトリプタン溶液のアリコートをCecil CE 3021 UV-Vis分光光度計, コードApp. 104B内に導入した。検量線を得るために、一定範囲の濃度のスマトリプタンを0.1 mol/L HCl溶液中で調製した。該UV検量線のために使用したスマトリプタンの濃度の範囲は0.0016 mg/ml〜0.08 mg/mlであった。その線は全濃度範囲にわたって線形性であった。該スマトリプタン溶液を283 nmのUVで定量した。UVアッセイ測定は3回重複して行った。
【表18】

【0146】
それらのバッチ間に有意差は存在しなかった。
【0147】
溶解試験
Sartorius A 200 S天秤, コードMS-209を使用して、各サンプルに関して、50mgの粉末(20mgのスマトリプタンを含有)を秤量した。Sotax AT 7 Smart溶解試験, コードMS-334の水浴を37℃に設定した。1000mlの脱イオン水を溶解試験ガラス容器内に配置し、温度を平衡化させるために攪拌を50rpmに設定した。該温度平衡化を少なくとも1時間継続した。連続的攪拌下、該粉末を該脱イオン水中に加えた。各溶液のアリコート2mlを5分、10分および15分の時間間隔で2mlガラスピペットで採取した。ついで、UV評価のために該分散液を0.2 mol/L HCl溶液で希釈した。すなわち、2 mlの0.2 mol/L HClを2mlの分散液に加えた(UVスペクトルが得られうる酸性化水性媒体中の0.1 mol/L HClの完全に分子状に溶解したスマトリプタン溶液を形成させるため)。
【0148】
該スマトリプタン溶液を283nmのUVにより定量した。遊離計算のために、UVアッセイ分析のために得た検量線を使用した。溶解試験測定は2回重複して行った。
【表19】

【0149】
これらの結果は図6のグラフにも示されている。バッチ5は最初の5分間その他のバッチより速く溶解したものの、全5個のバッチから得られたデータは完全に合致した。また、バッチ5に含有されている粒子はその他のバッチにおけるものより小さいようであり、これが恐らく、より速い溶解速度に寄与したのであろう。
【0150】
実施例2 - スマトリプタン製剤の製造(共粉砕)
この実施例は共粉砕(co-milled)スマトリプタン製剤に関するものである。目標バッチサイズは共粉砕粉末を少なくとも200gであった。200gを超える共粉砕粉末を製造するためには、(回収率50%に基づくと)約400gの固体を粉砕する必要があると予想された。2g/分の供給濃度では、これは約3時間の推定共粉砕時間と同等であった。
【0151】
ミルに進入する前に界面活性剤成分がスマトリプタン粉末と密接に混合されることが保証されるよう、回転ブレンダーを使用して、活性および不活性成分を乾式混合した。以下の種類および量の物質を使用した。
【表20】

【0152】
極低温ミル(ミクロナイザー)を使用して、共粉砕を行った。粉砕後、サブミクロン粒子を他の不活性成分と乾式混合して、官能的に許容される投与用粉末を製造した。
【0153】
実施例3 - 経口投与用のアテノロールHClおよびアテノロール塩基 - 急速拡散粘膜製剤の製造
この実施例は凍結乾燥アテノロールHClおよびアテノロール塩基製剤に関する。目標バッチサイズは凍結乾燥粉末の約50gであった。
【0154】
凍結乾燥に進む前に界面活性剤成分がオクスプレノロール成分と密接に混合されることが保証されるよう、活性成分および界面活性剤成分を一緒にアルコールに溶解した。糖アルコールであるマンニトールおよび界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムのような他の不活性成分の添加の場合には、凍結乾燥前に、薬物/界面活性剤を含有する該アルコール溶液を、マンニトールを含有する水に60%の比率で加えた。以下の種類および量の物質を使用した。
【表21】

【0155】
通常条件下で作動させたEdwards High Vacuum実験室用凍結乾燥機を使用して、凍結乾燥を行った。
【0156】
凍結乾燥後、マトリックス粒子を10μm未満の粒子サイズに粉砕し、他の不活性成分と乾式混合して、官能的に許容される投与用粉末を得た。
【0157】
実施例4 - 経口投与用の急速溶解パラセタモール - 溶解結果
2型溶解(Type 2 Dissolution)装置を使用して、2つの噴霧乾燥パラセタモール製剤(バッチ番号025#21/01および025#21/02)に関して溶解試験を行った。該サンプルをUV評価により分析した。
【0158】
それらの2つの製剤は以下の組成を有していた。
【表22】

【0159】
用いた方法の詳細を以下に要約する。
【表23】

【0160】
パラセタモールの放出(%)を種々の時点(分)で測定した結果を以下の表に示す。
【表24】

【0161】
これらの結果を図7および8のグラフに示す。図7は、0.1M HCl中の50%(w/w)(容器1〜3)および80%(w/w)(容器4〜6)噴霧乾燥パラセタモールに関する結果を示す。図8は、水中の50%(w/w)(容器1〜3)および80%(w/w)(容器4〜6)噴霧乾燥パラセタモールに関する結果を示す。
【0162】
これらの結果から、バッチ025#21/01および025#21/02は0.1M HClと水とにおいて同様に挙動したことが認められうる。「0.1M HCl中」サンプルは5分の時点で79〜96%を放出し、全サンプルが10分以内に95%超を放出した。「水中」サンプルは5分の時点で85〜98%を放出し、全サンプルが15分以内に95%以上を放出した。溶解試験中、最初は粉末が媒体の表面上に分散するが、急速に容器の底に沈むことが認められた。
【0163】
実施例5 - 経粘膜投与用のパクリタキセル - 噴霧乾燥サブミクロン粒子の封入効率
乳化剤を使用して、パクリタキセルおよび生体高分子ポリアクチドグリコリド(PLGA)を含有するサブミクロン粒子を製造した。合成高分子、例えばポリビニルアルコール(PVA)、または天然高分子、例えばリン脂質およびコレステロールを使用して、サブミクロン薬物サイズおよびサイズ分布、薬物封入効率、薬物の形態学的特性、粘膜拡散およびin vitro放出プロファイルを制御できるかどうかについて個々の乳化剤の選択がなされる。薬物を生体高分子の塩化メチレン(ジクロロメタンとしても知られる)と共に有機溶媒に溶解する。ついで、得られた溶液を、任意の水溶性不活性成分、例えば高分子および糖アルコールを含有する蒸留水に加える。その乳化剤を、油相または水相中に、その溶解度特性に応じて加えることが可能である。ついで、得られたエマルションを噴霧乾燥させる。
【0164】
以下の表中の数字から理解されうるとおり、この実施例においては、PVAと比較して、リン脂質は、より小さいサイズ、より狭いサイズ分布およびより高い封入効率(EE)を与える。リン脂質はPVAよりも効果的な乳化剤であることも判明した。この実施例においては、同じ乳化効果を得るために必要なリン脂質の量はPVAの僅か1/40(重量比で)であった。
【表25】

【0165】
不飽和脂質は乳化において有効でないことが判明した。また、種々の飽和脂質のなかでも、より短い鎖を有するものはより良好な結果をもたらす。例えば、以下の表中の数字により示されるとおり、DDPCは、より小さいサイズ、より狭いサイズ分布および遥かに高いEEを与えうる。
【表26】

【0166】
実施例6 - ブタの皮膚での実験およびデータ
この研究で用いた分析方法を以下の表に示す。
【表27】

【0167】
該研究のために選択した受容液はPBS中の10%エタノールであった。なぜなら、これは1.933mg/mlの最大溶解度を示しており、それは該受容液中への該薬物の透過を制限しないと考えられたからである。4℃、25℃、37℃および-20℃で48時間保存した場合の、該受容液中の原料薬物(スマトリプタン)の溶解度を決定した。
【表28】

【0168】
図9に示すように、供与区画21と受容区画22との間に配置された口内ブタ粘膜23を使用して、フランツ(Franz)・セルをセットアップした。定量化可能な量の薬物が該受容液中で検出されうる時間の長さを調べるために、透過性試験を行った。
【0169】
該サブミクロン粒子製剤からのスマトリプタンの透過性を測定するために、それぞれ約0.6cm2および2mlの平均表面積および体積を有する個々に校正されたフランツ・セルを使用した。該口内ブタ粘膜を、粘膜側を該供与区画に向けてフランツ・セルの真ん中の位置に配置した。クランプ取り付けラグ24を有する受容区画22を受容液27(PBS中の10%エタノール)で満たし、水中磁気攪拌機により駆動されPTFEでコーティングされた磁性従動子(follower)で絶えず攪拌し、水浴内で37℃で維持した。約5mgの各製剤26を供与区画21内に配置し、該試験全体を通して該供与区画をパラフィルム(登録商標)で覆った。その薬物製剤の適用の後、例えば1、2、4、6、24および48時間後、受容液27(200μl)をサンプリングアーム25を用いて受容区画22から回収し、HPLCにより分析した。それぞれの取り出したサンプルを、予め加温(37℃)された等体積の新たな受容液により置換した。
【0170】
該実験の終了時に、物質収支試験を以下のとおりに行った。
【0171】
A.表面薬物(S)(該口内粘膜の表面は各製剤を含有している)を、一連の乾燥および湿潤綿棒を使用して注意深く拭き取った。各フランツ・セルからの綿棒を、5mlの受容液を含有するガラスバイアル内にまとめて浸漬した。該バイアルを振動振とう機内に配置し、一晩放置した。ついで該サンプルの1mlのアリコートを取り出し、HPLCにより分析した。
【0172】
B.該口内粘膜を、5mlの受容液を含有するガラスバイアル内に配置し、振とう機上、室温で一晩配置した。ついで該サンプルの1mlのアリコートを取り出し、HPLCにより分析した。
【0173】
C.フランツ・セル受容画分インターフェース(供与区画との連結部)を綿棒でぬぐった。各フランツ・セルからの綿棒を、5mlの受容液を含有するガラスバイアル内にまとめて浸漬した。ついで該バイアルを振動振とう機内に配置し、一晩放置した。ついで該サンプルの1mlのアリコートを取り出し、HPLCにより分析した。
【0174】
D.フランツ・セル供与画分インターフェース(受容区画との連結部)および供与区画の内側面を綿棒でぬぐった。一緒にして、各フランツ・セルからの綿棒を、5mlの受容液を含有するガラスバイアル内に浸漬した。ついで該バイアルを振動振とう機内に配置し、一晩放置した。ついで該サンプルの1mlのアリコートを取り出し、HPLCにより分析した。
【0175】
サブミクロンスマトリプタン製剤(実施例1A, バッチ25#37/01に対応する再調製バッチ)(n=6)、純粋な未加工スマトリプタン(n=3)、およびブランク(n=2)すなわち製剤が適用されていないセル、を使用して、この実験を行った。結果を図10に示す。これは、時間(時間)の関数としての、単位面積当たりに透過したスマトリプタンの平均累積量(μg/cm2)を示している。試験項目1は40%スマトリプタンサブミクロン粒子製剤(約5mgを粘膜表面に適用, N=6±SD)であり、試験項目2は未加工スマトリプタン原料物質(約5mgを粘膜表面に適用, N=3±SD)であり、ブランクには試験項目が適用されない(n=2)。
【0176】
物質収支試験後に各マトリックスから回収されたスマトリプタンの平均量を以下に示す。
【表29】

【0177】
適用した各製剤の重量に基づく、理論回収量と比較した回収総量。
【表30】

【0178】
実施例7 - エマルションからのパラセタモール粒子
図11に示す装置を使用して、以下の組成のエマルション(乳剤)を調製した。
【0179】
油相:
ダイズ油 36.6重量%
ソルビタンモノオレアート 5.3重量%
ポリ(オキシエチレン)硬化ひまし油 1.1重量%

水相:
脱イオン水(Milli-Q) 55.3重量%
パラセタモール(Sigma) 1.7重量%
【0180】
図11に示す装置は、分散相を収容するための容積500cm3の上部容器を含む。上部容器1は、温度制御水ジャケット2、攪拌シャフト4のための中央口および物質添加のための口5を有する蓋3を有する。上部容器1の底は出口6となっており、これに、流量制御装置として働くクリップ8を有する或る長さのPVC管7が取り付けられている。
【0181】
出口6の下には、最初は連続相を、そしてエマルションが形成したら該エマルションを収容するための下部容器9が固定されている。下部容器9は水ジャケット10をも有する。ホモジナイザー11は、下部容器9の内容物を攪拌するよう配置される。
【0182】
上部容器1内に水を入れ、70℃に加熱した。ついで上部容器の蓋における小さな頚部を通じてパラセタモールを該水に加え、該パラセタモールの全てが溶解するまで該溶液を攪拌した。
【0183】
下部容器9に油相を加え、70℃に加熱した。ホモジナイザー11を16000rpmで起動し、該水相を該油中にゆっくり滴下させるようPVC管7上のクリップ8を緩めた。エマルションが形成し始めるにつれて流量を増加させるために、該クリップを経時的に徐々に緩めた。該水相の全てを加えたら、ホモジナイゼーションの速度を数分間、24000rpmの最大速度まで増加させた。ついで低速ホモジナイゼーションを行いながら、該エマルションを毎時20℃の速度で冷却した。該粒子を、該エマルションを真空下で濾過することにより単離し、少量の冷水で洗浄した。あるいは凍結乾燥および噴霧乾燥により乾燥粒子を調製した。
【0184】
実施例8 - マイクロエマルションからのBSA粒子
生物学的高分子であるウシ血清アルブミン(分子量=67,000)の粒子を、以下の物質を使用して、以下に記載する方法により調製する。
【0185】
1)60mg/cm3のBSAをpH 5.0の50mM酢酸ナトリウム(NaAC)バッファーに溶解することにより調製したウシ血清アルブミン(BSA)の水性緩衝溶液。
【0186】
2)pH 5.0の水性50mM酢酸ナトリウムバッファー中に調製した、沈殿性物質である硫酸アンモニウムの飽和溶液。
【0187】
3)油性イソプロピルミリスタート。
【0188】
4)界面活性剤であるジオクチルスルホスクシナートナトリウム塩。
全ての水溶液の調製において脱イオン水を使用する。
【0189】
2つの別々のマイクロエマルションを30cm3バイアル内で外界温度で調製する。各マイクロエマルションに関して、5gの該界面活性剤および10gの該油を一緒にし、迅速に攪拌する。それぞれの油中水型マイクロエマルションを調製する際に、等体積の該BSA水溶液および該硫酸アンモニウム溶液を該迅速に攪拌した界面活性剤-油混合物に滴下する。
【0190】
各マイクロエマルションにおいて混合する水溶液の量は、界面活性剤に対する水の所望のモル比(R = [水/界面活性剤]、例えばR = 25)が得られるよう選択する。連続油相中の分散水プールの半径は、Rを変化させることにより変化しうる。Rは、好ましくは、20〜56の範囲である。
【0191】
2つのマイクロエマルションの形成の後、それらの2つの油中水型マイクロエマルションを100mlバイアル内で一緒に迅速に混合する。液滴間でその後に生じる交換プロセス(後記)のために、該マイクロエマルションの混合は、該水滴内の該ウシ血清アルブミンタンパク質の沈殿により該ウシ血清アルブミンのサイズ制御微結晶を与える。
【0192】
硫酸アンモニウムの溶液の濃度を変化させることにより、該結晶形態ならびに該タンパク質粒子の形状およびサイズを制御することが可能である。また、温度依存的溶解度を有するタンパク質の場合には、沈殿を該タンパク質の結晶化と組み合わせるために該バイアルの温度を制御することが可能である。例えば、該混合マイクロエマルションの温度を8〜17℃に維持すると、球状凝集体が形成し、一方、該温度を18〜37℃に維持すると、非球状結晶が形成する。該粒子は濾過により単離される。ついで該粒子を過剰の該硫酸アンモニウム溶液中で洗浄することにより、界面活性剤の濃度を減少させる。凍結乾燥および噴霧乾燥により、乾燥粒子を調製した。
【0193】
交換プロセスの動力学
混合油中水型マイクロエマルションにおける沈殿は分散水滴内に限られるため、沈殿前の必要な工程は、同じ液滴内への反応物の導入である。何らかの所定の系における該プロセスの生じやすさは、ミセル間交換速度定数kexおよび拡散制御液滴衝突kdiffにより決定される。これらの交換および拡散の速度はそれぞれの個々の油中水型エマルション系の関数であり、界面活性剤の温度、性質および/または量を変化させることにより、ならびに添加物質を加えることにより制御されうる。
【0194】
実施例9 - エマルション結晶化からのパラセタモール粒子
この実施例はエマルション結晶化技術の利用を例示するものであり、該技術は、低い多分散性を有するパラセタモール粒子/結晶を結晶化するためにパラセタモールの温度溶解度依存性を利用する。
【0195】
以下の液相を使用する。
【0196】
1.70℃の100gの脱イオン水に65gのパラセタモールを溶解することにより調製した、パラセタモールの飽和溶液。飽和したら、該溶液を貯蔵容器内に濾過する。望ましくない沈殿/結晶化を避けるために、該溶液を、該溶液の飽和温度より数度高い約70℃に維持する。
【0197】
2.ダイズ油および界面活性剤ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびソルビタンモノオレアートを含有する油相。41gのダイズ油、1.5gのポリオキシエチレンひまし油誘導体および7.5gのソルビタンモノオレアートを温度制御ジャケット化容器内で一緒にし、70℃で強く攪拌した。
【0198】
150gの該飽和パラセタモール溶液を、制御された流速で、毛細管を通じて該攪拌油中に滴下する。強力な攪拌下、エマルションの形成に際して、該エマルションの温度を低下させることにより、パラセタモールの結晶化を水滴内で誘導する。結晶化の制御は、飽和温度および結晶化温度の間の温度低下を変化させることにより、ならびに結晶化容器における所定の温度勾配を使用し、それにより、核形成およびそれに続くパラセタモール粒子/結晶の成長を制御することにより達成されうる。
【0199】
該エマルションにおいて混合するパラセタモール溶液の量は、界面活性剤に対する水の所望のモル比(R = [水]/[界面活性剤]、例えばR = 25)が得られるよう選択する。分散水プールの半径、すなわち、該液滴の半径は、Rを変化させることにより変化しうる。Rは、好ましくは、25〜56の範囲である。
【0200】
真空下の濾過および適当な溶媒での洗浄により、パラセタモールの結晶を該エマルションから分離する。あるいは該エマルションの揮発性成分を蒸留により除去することが可能である。あるいは凍結乾燥および噴霧乾燥により乾燥粒子を製造した。
【0201】
実施例10 - エマルション(I)からのデキサメタゾン粒子
この実施例は以下の組成の水中油型エマルションの使用を例示する。
【0202】
ヒマシ油(デキサメタゾンで飽和) 15重量%
ソルビタンモノオレアート 4.25重量%
ポリオキシエチレン-(20)-ソルビタンモノオレアート 0.75重量%
水 80重量%
【0203】
該界面活性剤(ソルビタンモノオレアートおよびポリオキシエチレン-(20)-ソルビタンモノオレアート)を70℃のヒマシ油/デキサメタゾンに溶解する。該水を70℃に加熱し、約700rpmで攪拌しながら該ヒマシ油/界面活性剤混合物を加える。高せん断ミキサーを使用して、該エマルションを1分間ホモジナイズし、連続的攪拌下、室温に冷却させる。
【0204】
該デキサメタゾンの固体粒子の形成は、水可溶性沈殿剤物質を加えることにより、または温度を減少させることにより、またはpHを変化させることにより誘発されうる。あるいは凍結乾燥および噴霧乾燥により乾燥粒子を製造した。
【0205】
実施例11 - エマルション(II)からのデキサメタゾン粒子
この実施例は以下の組成の界面活性剤非含有エマルションの使用を例示する。
【0206】
ダイズ油(デキサメタゾンで飽和) 20重量%
水 75重量%
ポリアクリル酸 5重量%
【0207】
該ダイズ油および該水を別々に75℃に加熱し、700pmでの攪拌下で一緒にする。該エマルションを高せん断ミキサーで1分間ホモジネートし、ついでポリアクリル酸を、攪拌しながら該エマルション中に分散させる。凍結乾燥および噴霧乾燥により乾燥粒子を製造した。
【0208】
実施例12 - 多重エマルションからのデキサメタゾン粒子
この実施例は、多重エマルション、特に水中油中水型エマルションの使用を例示する。
【0209】
第1段階において、以下の組成の一次エマルションを調製する。
【0210】
一次エマルション
油中水型
A グリセリルモノステアラート 3%
ソルビタンモノオレアート 3%
ダイズ油 29%

B 水(テルブタリンまたはイプラトロピウムで飽和) 61%
NaCl 4%
【0211】
該ダイズ油および該界面活性剤を一緒に混合して混合物Aを形成させ、これを75℃に加熱する。該塩化ナトリウムを該水に溶解して溶液Bを得、これも75℃に加熱する。溶液Bを、700rpmで攪拌しながら混合物Aに加える。得られた一次エマルションを高せん断ミキサー上で1分間ホモジナイズし、500rpmで攪拌しながら75℃に維持する。
【0212】
ついで以下の組成の多重エマルションを調製する。凍結乾燥、噴霧乾燥またはいずれかの他の適当な乾燥方法により、乾燥粒子を製造することが可能である。
【0213】
二次エマルション
水(2)中油中水(1)型
C 一次エマルション 60%
D ポロキサマー(POE/POPブロック共重合体) 2%
水 15%
E NaCl 2%
F 水 20%
ポリアクリル酸 0.2%
【0214】
該ポロキサマーを5℃の水に溶解して、溶液Dを得、これを5℃に維持する。ついで塩化ナトリウム(E)および一次エマルションを、700rpmで攪拌しながら溶液Dに加えて、エマルションを形成させる。溶液Dと接触して一次エマルションが冷却するにつれて、テルブタリンまたはイプラトロピウムの結晶化が生じる。ついで、均一なゲルが形成されるまで該ポリアクリル酸を水に加えることにより、溶液Fを調製する。ついでFを、400rpmで攪拌しながら該エマルションに少量ずつ加える。Fが完全に分散するまで、300rpmでの攪拌を継続する。
【0215】
該固体粒子の形成の際、該油は半透膜として作用することが可能であり、水滴と連続相との間の拡散速度を制御する。ダイズ油に溶解する油溶性活性物質、例えばデキサメタゾンを使用することも可能である。その場合、油滴の内部または外部から結晶化が誘導されうる。凍結乾燥、噴霧乾燥またはいずれかの他の適当な乾燥方法により、乾燥粒子を製造することが可能である。
【0216】
本出願において言及されている特許および特許出願を含む全ての参考文献を、可能な限り完全な程度で、参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書および以下の特許請求の範囲の全体にわたり、文脈に矛盾しない限り、「含む」なる語ならびに「含んでなる」および「含み」のような派生語は、示されている整数または工程または整数の群の包含を意味し、いずれの他の整数または工程または整数もしくは工程の群の除外をも意味するものではないと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に難溶解性または不溶性である治療活性物質を含むサブミクロン粒子を含んでなる、該活性物質の経粘膜送達用組成物。
【請求項2】
経口投与のための、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
治療活性物質が、水に難溶性または不溶性である塩基形態である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
該活性物質が塩形態でのみヒトに投与されたことがあるものである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
該活性物質が経口的にのみヒトに投与されたことがあるものである、請求項3または4記載の組成物。
【請求項6】
該活性物質が登録医薬品中に含められたことがないものである、請求項3〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
塩基形態でなければBCSカテゴリー3に含まれる活性物質に典型的な低い透過性のために低い経口バイオアベイラビリティを有する、塩基形態の治療活性物質のサブミクロン粒子を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
塩基形態でなければBCSカテゴリー4に含まれる活性物質に典型的な低い水溶性および透過性のために低い経口バイオアベイラビリティを有する、塩基形態の治療活性物質のサブミクロン粒子を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
治療活性物質が、水に難溶性または不溶性である酸形態である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項10】
結晶形態の該活性物質を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
該サブミクロン粒子が、水に難溶性または不溶性である無定形形態の該活性物質を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
該サブミクロン粒子が粘膜付着できる、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
該サブミクロン粒子が2分間以上、粘膜表面に留まることができる、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
該サブミクロン粒子が、該粒子が最初に適用された面積の1.5倍以上と同等の粘膜表面の面積に拡散することができる、請求項1〜13のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
該サブミクロン粒子の大多数が100nm〜10μmの直径を有する、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
該サブミクロン粒子の大多数が150nm〜999nmの直径を有する、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
該活性物質が、25℃で少なくとも30(体積)部の水中に薬物1(重量)部の溶解度を有する、請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物。
【請求項18】
該サブミクロン粒子が1以上の活性物質からなる、請求項1〜17のいずれか1項記載の組成物。
【請求項19】
該サブミクロン粒子が1以上の活性物質および1以上の不活性成分を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の組成物。
【請求項20】
該活性物質の投与量の少なくとも1%が胃前経粘膜吸収により送達される、請求項1〜19のいずれか1項記載の組成物。
【請求項21】
該活性物質の投与量の少なくとも5%が胃前経粘膜吸収により送達される、請求項1〜20のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
該活性物質の投与量の少なくとも15%が胃前経粘膜吸収により送達される、請求項1〜21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
該サブミクロン粒子が、マトリックスを形成する1以上の不活性物質内に分散している、請求項1〜22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
該マトリックス物質が、サブミクロン活性物質粒子を含有する少なくとも1つの粒子の形態であり、該マトリックス粒子が少なくとも1μmの直径を有する、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
該サブミクロン粒子が不活性物質の粒子間に分散している、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
該不活性物質が水性環境中に迅速に溶解または分散し、好ましくは、該不活性物質が、GRAS、薬局方および/または規制機関の承認もしくは承認可能性を有する、請求項23〜25のいずれか1項記載の組成物。
【請求項27】
該不活性物質が、水、他の水性媒体(例えば、水-エタノール混合物および等張性水-グリセロール混合物)、または非水性媒体であってヒトまたは動物への投与に適した、医薬品における残留レベルを与えるもの;界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン、陽イオンおよび両性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、Tween)、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル(例えば、Span、ソルビタンモノステアラート)、例えばソルビタンラウラート、ソルビタンオレアート、ソルビタンパルミタート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンステアラート、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート、スクロースエステル、ポロキサマー(例えば、Pluronic)、例えばポロキサマー188、ポロキサマー407およびポロキサレン、ポリオキシルひまし油、ポリオキシル硬化ひまし油、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコールラウラート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノパルミトステアラート、キラヤ、ジアセチル化モノグリセリド、ジエチレングリコールモノパルミトステアラート、p-ジ-イソブチル-フェノキシポリエトキシエタノール、エチレングリコールモノステアラート、自己乳化グリセリルモノステアラート、マクロゴールセトステアリルエーテル、セトマクロゴール、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、マクロゴール15ヒドロキシステアラート、マクロゴールラウレルエーテル、ラウレス4、ラウロマクロゴール400、マクロゴールモノメチルエーテル、マクロゴールオレイルエーテル、メンフェゴール、モノ-およびジ-グリセリド、ノノキシノール、オクトキシノール、グリセリルジステアラート、グリセリルモノリノレアート、グリセリルモノオレアート、チロキサポール、遊離脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸)ならびにそれらの塩およびエステル(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、セトステアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、軟せっけん、硫酸化ひまし油、グリセリルベヘナート)、リン脂質およびリン脂質含有物質、例えばホスファチジルコリン、レシチン、コルフォセリル(colfosceril)パルミタート、ホスファチジルグリセロール、ルシナクタント(Lucinactant)、動物肺抽出物および改変動物肺抽出物;ラウリル硫酸ナトリウムおよびドクサートナトリウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミドおよびノニルフェノール、ならびに他の乳化剤(高分子物質を含む);可溶性小分子、例えばアミノ酸(例えば、タウリン、アスパルテーム)および特に生物付着性物質、例えば糖、糖アルコール、デキストラート、デキストリン、デキストランおよび水和化剤、特に尿素;ならびに可溶性大分子、特に、比較的迅速に溶解または分散しうる生分解性高分子、例えば天然および半合成巨大分子、例えばリン脂質、および特に、粘膜表面への付着および/または粘膜表面を横切った拡散を助けることができるもの(例えば、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、コルフォセリルパルミタート、ホスファチジルグリセロール、およびそのような物質の混合物(チロキサポール、セチルアルコール、遊離脂肪酸との混合物を含む))、ビタミン、天然油、例えばオレンジ、レモン、ベルガモット、アニス;アルコール、例えばメントールおよびセチルアルコール、ならびにコレステロール、天然高分子、例えばキサンタン、グアーおよびアルギナート、合成高分子、例えばPVPおよびPVA、半合成高分子、例えばセルロース誘導体(例えば、HPMCおよびHPC)およびデンプン誘導体のうち1以上から選ばれる、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
溶媒を更に含み、好ましくは、該溶媒がアルコールまたは油である、請求項1〜27のいずれか1項記載の組成物。
【請求項29】
活性物質の用量の少なくとも15%が、「食物作用」によるまたはGI障害による影響を受けることなく「初回通過」代謝されずに送達される、請求項1〜28のいずれか1項記載の組成物。
【請求項30】
舌下粘膜、頬粘膜、食道粘膜、咽頭粘膜、鼻粘膜および/または肺粘膜を介する該活性物質の胃前送達のための、請求項1〜29のいずれか1項記載の組成物。
【請求項31】
該活性物質の治療効果の迅速な発現をもたらす、請求項1〜30のいずれか1項記載の組成物。
【請求項32】
該活性物質の用量の少なくとも約5%が投与後15〜30分以内に全身循環に入る、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
適切な薬力学的尺度が、投与後15〜30分以内に治療活性を示す、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
該治療用物質が中枢神経系に迅速に送達される、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
該活性物質が、高い「初回通過」代謝を示す薬物、「食物作用」を示す薬物、GI障害により変動性のまたは低い吸収を示す薬物、胃または腸において化学的または酵素的分解を受ける薬物、中枢神経系に主要作用部位を有する薬物、症状の迅速なまたは急性の治療をもたらすことが意図される薬物、酸またはGI不安定性薬物、脂質取り込みメカニズムにより体内に取り込まれる薬物、低溶解度の塩基形態である薬物、BCSクラスII薬物、BCSクラスIII薬物および/またはBCSクラスIV薬物である、請求項1〜34のいずれか1項記載の組成物。
【請求項36】
サブミクロン物理形態の治療活性物質の塩基化学形態を含んでなり、該活性物質の全身循環へのおよび血液脳関門を越えての両方の迅速な送達のための組成物。
【請求項37】
遅効性および/または持続性治療効果を得るのに適した形態の、さらなる治療活性物質を含む、請求項1〜36のいずれか1項記載の組成物。
【請求項38】
さらなる治療活性物質がGI管を通じて吸収される、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
さらなる治療活性物質が溶解性形態であるか、または味マスキングを可能にするコーティングを含む腸溶性もしくは他の機能性コーティングが施されて提供される、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
該組成物が疎性(loose)粉末、疎性粉末を含有するカプセル、または固体剤形に圧縮された粉末である、請求項1〜39のいずれか1項記載の組成物。
【請求項41】
経粘膜送達用医薬の製造における、水に難溶性または不溶性である治療活性物質の使用。
【請求項42】
治療活性物質が塩基形態である、請求項41記載の使用。
【請求項43】
経粘膜送達用医薬の製造のための、塩基形態の治療活性物質の使用。
【請求項44】
経粘膜送達を始めとする経口投与のための医薬の製造のための、塩基形態の治療活性物質の使用であって、該活性物質が従前は塩形態でのみ製造されまたはヒトに投与されたことがあるものである、使用。
【請求項45】
治療活性物質がサブミクロン粒子の形態である、請求項41〜44のいずれか1項記載の使用。
【請求項46】
請求項1〜40のいずれか1項記載の組成物を舌下粘膜および/または頬粘膜に送達するためのデバイス。
【請求項47】
治療活性物質を含むサブミクロン粒子を含んでなる、該活性物質の経粘膜送達のための組成物であって、該活性物質がスマトリプタンでありかつ水に難溶性または不溶性である、組成物。
【請求項48】
経口投与のための、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
スマトリプタンが、水に難溶性または不溶性である塩基形態である、請求項47または48記載の組成物。
【請求項50】
結晶形態のスマトリプタンを含む、請求項47〜49のいずれか1項記載の組成物。
【請求項51】
該サブミクロン粒子が、水に難溶性または不溶性である無定形形態のスマトリプタンを含む、請求項47〜50のいずれか1項記載の組成物。
【請求項52】
該サブミクロン粒子が粘膜付着できる、請求項47〜51のいずれか1項記載の組成物。
【請求項53】
該サブミクロン粒子が2分間以上、粘膜表面に留まることができる、請求項47〜52のいずれか1項記載の組成物。
【請求項54】
該サブミクロン粒子が、該粒子が最初に適用された面積の1.5倍以上と同等の粘膜表面の面積に拡散することができる、請求項47〜53のいずれか1項記載の組成物。
【請求項55】
該サブミクロン粒子の大多数が100nm〜10μmの直径を有する、請求項47〜54のいずれか1項記載の組成物。
【請求項56】
該サブミクロン粒子の大多数が150nm〜999nmの直径を有する、請求項55記載の組成物。
【請求項57】
スマトリプタンが、25℃で少なくとも30(体積)部の水中に薬物1(重量)部の溶解度を有する、請求項47〜56のいずれか1項記載の組成物。
【請求項58】
該サブミクロン粒子がスマトリプタンおよび1以上の他の活性物質を含むまたはからなる、請求項47〜57のいずれか1項記載の組成物。
【請求項59】
該サブミクロン粒子がスマトリプタンおよび1以上の不活性成分を含むまたはからなる、請求項47〜58のいずれか1項記載の組成物。
【請求項60】
スマトリプタンの投与量の少なくとも1%が胃前経粘膜吸収により送達される、請求項47〜59のいずれか1項記載の組成物。
【請求項61】
該投与量の少なくとも5%または15%が胃前経粘膜吸収により送達される、請求項60記載の組成物。
【請求項62】
該サブミクロン粒子が、マトリックスを形成する1以上の不活性物質内に分散している、請求項47〜61のいずれか1項記載の組成物。
【請求項63】
該マトリックス物質が、サブミクロン活性物質粒子を含有する少なくとも1つの粒子の形態であり、該マトリックス粒子が少なくとも1μmの直径を有する、請求項62記載の組成物。
【請求項64】
該サブミクロン粒子が不活性物質の粒子間に分散している、請求項62記載の組成物。
【請求項65】
該不活性物質が水性環境中に迅速に溶解または分散し、好ましくは、該不活性物質が、GRAS、薬局方および/または規制機関の承認もしくは承認可能性を有する、請求項62〜64のいずれか1項記載の組成物。
【請求項66】
該不活性物質が、水、他の水性媒体(例えば、水-エタノール混合物および等張性水-グリセロール混合物)、または非水性媒体であってヒトまたは動物への投与に適した、医薬品における残留レベルを与えるもの;界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン、陽イオンおよび両性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、Tween)、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル(例えば、Span、ソルビタンモノステアラート)、例えばソルビタンラウラート、ソルビタンオレアート、ソルビタンパルミタート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンステアラート、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート、スクロースエステル、ポロキサマー(例えば、Pluronic)、例えばポロキサマー188、ポロキサマー407およびポロキサレン、ポリオキシルひまし油、ポリオキシル硬化ひまし油、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコールラウラート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノパルミトステアラート、キラヤ、ジアセチル化モノグリセリド、ジエチレングリコールモノパルミトステアラート、p-ジ-イソブチル-フェノキシポリエトキシエタノール、エチレングリコールモノステアラート、自己乳化グリセリルモノステアラート、マクロゴールセトステアリルエーテル、セトマクロゴール、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、マクロゴール15ヒドロキシステアラート、マクロゴールラウレルエーテル、ラウレス4、ラウロマクロゴール400、マクロゴールモノメチルエーテル、マクロゴールオレイルエーテル、メンフェゴール、モノ-およびジ-グリセリド、ノノキシノール、オクトキシノール、グリセリルジステアラート、グリセリルモノリノレアート、グリセリルモノオレアート、チロキサポール、遊離脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸)ならびにそれらの塩およびエステル(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、セトステアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、軟せっけん、硫酸化ひまし油、グリセリルベヘナート)、リン脂質およびリン脂質含有物質、例えばホスファチジルコリン、レシチン、コルフォセリル(colfosceril)パルミタート、ホスファチジルグリセロール、ルシナクタント(Lucinactant)、動物肺抽出物および改変動物肺抽出物;ラウリル硫酸ナトリウムおよびドクサートナトリウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミドおよびノニルフェノール、ならびに他の乳化剤(高分子物質を含む);可溶性小分子、例えばアミノ酸(例えば、タウリン、アスパルテーム)および特に生物付着性物質、例えば糖、糖アルコール、デキストラート、デキストリン、デキストランおよび水和化剤、特に尿素;ならびに可溶性大分子、特に、比較的迅速に溶解または分散しうる生分解性高分子、例えば天然および半合成巨大分子、例えばリン脂質、および特に、粘膜表面への付着および/または粘膜表面を横切った拡散を助けることができるもの(例えば、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、コルフォセリルパルミタート、ホスファチジルグリセロール、およびそのような物質の混合物(チロキサポール、セチルアルコール、遊離脂肪酸との混合物を含む))、ビタミン、天然油、例えばオレンジ、レモン、ベルガモット、アニス;アルコール、例えばメントールおよびセチルアルコールならびにコレステロール、天然高分子、例えばキサンタン、グアーおよびアルギナート、合成高分子、例えばPVPおよびPVA、半合成高分子、例えばセルロース誘導体(例えば、HPMCおよびHPC)およびデンプン誘導体のうち1以上から選ばれる、請求項65記載の組成物。
【請求項67】
溶媒を更に含み、好ましくは、該溶媒がアルコールまたは油である、請求項47〜66のいずれか1項記載の組成物。
【請求項68】
活性物質の用量の少なくとも15%が、「食物作用」によるまたはGI障害による影響を受けることなく「初回通過」代謝されずに送達される、請求項47〜67のいずれか1項記載の組成物。
【請求項69】
舌下粘膜、頬粘膜、食道粘膜、咽頭粘膜、鼻粘膜および/または肺粘膜を介する該活性物質の胃前送達のための、請求項47〜68のいずれか1項記載の組成物。
【請求項70】
スマトリプタンの治療効果の迅速な発現をもたらす、請求項47〜69のいずれか1項記載の組成物。
【請求項71】
スマトリプタンの用量の少なくとも約5%が投与後15〜30分以内に全身循環に入る、請求項70記載の組成物。
【請求項72】
適切な薬力学的尺度が、投与後15〜30以内に治療活性を示す、請求項71記載の組成物。
【請求項73】
スマトリプタンが中枢神経系に迅速に送達される、請求項72記載の組成物。
【請求項74】
遅効性および/または持続性治療効果を得るのに適した形態の、さらなる治療活性物質を含む、請求項47〜73のいずれか1項記載の組成物。
【請求項75】
さらなる治療活性物質がGI管を通じて吸収される、請求項74記載の組成物。
【請求項76】
さらなる治療活性物質が溶解性形態であるか、または味マスキングを可能にするコーティングを含む腸溶性もしくは他の機能性コーティングが施されて提供される、請求項75記載の組成物。
【請求項77】
該組成物が疎性(loose)粉末、疎性粉末を含有するカプセル、または固体剤形に圧縮された粉末である、請求項47〜76のいずれか1項記載の組成物。
【請求項78】
経粘膜送達用医薬の製造における、水に難溶性または不溶性であるスマトリプタンの使用。
【請求項79】
スマトリプタンが塩基形態である、請求項78記載の使用。
【請求項80】
経粘膜送達用医薬の製造のための、スマトリプタン塩基の使用。
【請求項81】
スマトリプタンがサブミクロン粒子の形態である、請求項78〜80のいずれか1項記載の使用。
【請求項82】
請求項47〜77のいずれか1項記載の組成物を舌下粘膜および/または頬粘膜に送達するためのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−513449(P2010−513449A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542232(P2009−542232)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050766
【国際公開番号】WO2008/075102
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(508170508)ファーマコデックス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】