サーバ装置、通信システム、制御方法
【課題】映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末との通信を考慮しながら、各クライアント端末で受信エラーが発生しないようにすることが通信システムを提供する。
【解決手段】サーバ装置(1)は、各クライアント端末(2-1〜2-N;Nは、任意の整数)の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末(例えば、2-1)を特定する。そして、その特定したクライアント端末(2-1)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置(1)の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【解決手段】サーバ装置(1)は、各クライアント端末(2-1〜2-N;Nは、任意の整数)の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末(例えば、2-1)を特定する。そして、その特定したクライアント端末(2-1)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置(1)の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データをサーバ装置からクライアント端末に無線伝送する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、図13に示すように、放送アンテナ3'等からサーバ装置1'が受信した映像データ(デジタル放送データ等)を、サーバ装置1'から複数のクライアント端末2-1'〜2-N'(N'は、任意の整数)に無線伝送し、各クライアント端末2-1'〜2-N'において表示装置等に出力表示したり、録画したりする通信システムがある。
【0003】
しかし、無線伝送を行う上述した通信システムにおいては、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信する受信信号の受信電力値が規定の受信電力許容範囲よりも強すぎる場合や弱すぎる場合に、各クライアント端末2-1'〜2-N'において受信エラーが発生してしまう虞がある。
【0004】
受信エラーが発生した場合は、誤り訂正符号やCRC(Cyclic Redundancy Check)などの訂正・検出手法や、再送制御などの手法を用いて、映像再生を復旧させる技術を使用することができる。これらの手法を用いることで、ベストエフォートの通信や、低ビットレートのストリーム通信の場合には、受信エラーが発生しても、その後、問題なく映像再生を復旧することができる。
【0005】
しかし、ハイビジョン映像等の映像データの無線伝送を行う場合には、受信エラーの発生が深刻な問題となる。これは、ハイビジョン映像等の映像データの無線伝送を行う場合には、高ビットレートのストリーム通信を行い、間断なく映像データを伝送する必要があるため、受信エラーが発生してしまうと、ビットレートが低下し、高ビットレートのストリーム通信を行うことができなくなってしまうためである。
【0006】
このようなことから、上述した図13に示す通信システムにおいて、ハイビジョン映像等の高ビットレートを必要とする映像データの無線伝送を行う場合には、各クライアント端末2-1'〜2-N'との通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信エラーが発生しないようにする必要がある。
【0007】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、通信相手から送信されてくる信号を基に、通信相手の送信出力電力を制御する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0008】
特許文献1には、受信信号の電界強度、または、S/N比を測定し、その測定した情報(測定情報)を通信相手側の無線通信装置に送り、相手側の無線通信装置は、測定情報を基に送信出力電力を増減する点が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、移動局において、基地局からの受信信号の受信品質を測定し、その測定受信品質と予め定められた目標受信品質とを比較する。そして、測定受信品質が目標受信品質を下回れば、基地局に対して、下り送信電力を上昇させるような上りTPC(Transmission Power Control)ビットを送出する。逆に、測定受信品質が目標受信品質を上回れば、基地局に対して下り送信電力を下降させるような上りTPCビットを送出する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−180414号公報
【特許文献2】特開2007−36633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1、2に開示されている送信出力電力制御は、一般的な無線通信時に行う手法であり、本発明のように、ハイビジョン映像等の高ビットレートを必要とする映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1'〜2-N'との通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信エラーが発生しないようにするものではない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末との通信を考慮しながら、各クライアント端末で受信エラーが発生しないようにすることが可能なサーバ装置、通信システム、制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0014】
<サーバ装置>
本発明にかかるサーバ装置は、
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0015】
<通信システム>
本発明にかかる通信システムは、
サーバ装置と、複数のクライアント端末と、を有し、映像データを前記サーバ装置から複数のクライアント端末に無線伝送する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0016】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置で行う制御方法であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末との通信を考慮しながら、各クライアント端末で受信エラーが発生しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】通信システムを構成するサーバ装置1及びクライアント端末2-1〜2-Nの内部構成例を示す図である。
【図3】サーバ装置1とある任意のクライアント端末2との間の空間のインピーダンスと、その任意のクライアント端末2で発生する受信エラー率と、を対応付けた一般的な関係式;Aを説明するための図である。
【図4】サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更した場合に、関係式;Aの移動方向を説明するための図である。
【図5】3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在する場合の電力制御の例を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図7】第2の実施形態で使用する関係式;A、Bを説明するための図である。
【図8】第2の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図9】パケット数に応じた重み付けの値を説明するための図である。
【図10】第3の実施形態で使用する関係式;A、B、Cを説明するための図である。
【図11】第4の実施形態の電力制御の例を説明するための図である。
【図12】第4の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図13】本発明と関連する通信システムのシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<通信システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0020】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、複数のクライアント端末2-1〜2-N(Nは、任意の整数)と、を有し、映像データをサーバ装置1から複数のクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送する通信システムである。
【0021】
本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末(例えば、2-1)を特定する。そして、その特定したクライアント端末2-1の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、サーバ装置1は、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
<通信システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。
【0023】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、複数のクライアント端末2-1〜2-N(Nは、任意の整数)と、を有して構成する。
【0024】
サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを、複数のクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送し、各クライアント端末2-1〜2-Nにおいてデジタル放送データを表示装置等に出力表示するように制御する。なお、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nとの無線伝送時に使用する送信電力値を各クライアント端末2-1〜2-N毎に個別に切り替えるのではなく、各クライアント端末2-1〜2-Nとの無線伝送時に使用する送信電力値を一括で一度に切り替えることになる。
【0025】
各クライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1から転送されてくるEPG(Electric Program Guide)を基に、録画予約を行い、その録画予約を行った番組データを各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて録画するように制御する。
【0026】
<サーバ装置1の構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態のサーバ装置1の構成例について説明する。
【0027】
本実施形態のサーバ装置1は、無線通信部11と、記憶部12と、映像生成部13と、送信電力制御部14と、を有して構成する。
【0028】
無線通信部11は、映像生成部13の制御により、放送アンテナ3等から逐次受信したデジタル放送データをバッファ(図示せず)に逐次格納する。無線通信部11が受信したデジタル放送データには、番組データや、EPG(放送番組情報)等の情報が含まれている。また、無線通信部11は、映像生成部13の制御により、バッファ(図示せず)に順次格納したデジタル放送データを各クライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送する。
【0029】
記憶部12は、サーバ装置1を制御する際に使用する各種情報を記憶する。
【0030】
映像生成部13は、映像生成機能(各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて映像データを再生・録画するための機能;TV視聴用アプリケーション等)を実行し、無線通信部11が放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを各クライアント端末2-1〜2-Nに送信する制御を行う。映像生成部13は、各クライアント端末2-1〜2-Nからの指示により、映像生成機能の動作を開始したり、終了したりすることができる。
【0031】
送信電力制御部14は、送信電力制御機能を実行し、無線通信部11がクライアント端末2-1〜2-Nにデジタル放送データを無線伝送する際に使用する送信電力値の切替制御を行う。
【0032】
送信電力制御部14が送信電力値の切替制御を行った場合には、サーバ装置1は、デジタル放送データの送信を一旦中断する必要がある。このため、送信電力制御部14が行う送信電力値の切替回数を低減することが好ましい。これにより、デジタル放送データの中断を抑制することができる。
【0033】
送信電力制御部14は、最悪値特定部141と、電力制御部142と、を有して構成する。最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で最悪な受信エラー率を特定することができる。最悪値特定部141は、インピーダンス算出部1411と、受信エラー率算出部1412と、を有して構成する。
【0034】
インピーダンス算出部1411は、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する。サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスは、以下の式により求めることができる。
【0035】
インピーダンス=送信電力値÷受信電力値
但し、
送信電力値:サーバ装置1で現在使用している送信電力値
受信電力値:各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値
【0036】
受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(図3に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。
【0037】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で最悪な受信エラー率を特定することができる。
【0038】
電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0039】
図3は、サーバ装置1とある任意のクライアント端末2との間の空間のインピーダンスと、その任意のクライアント端末2で発生する受信エラー率と、を対応付けた一般的な関係式;Aを示す。なお、図3に示す関係式;Aは、実験等を行い、予め求めておくことになる。
【0040】
図3に示すように、インピーダンスが低すぎる場合は、クライアント端末2の受信電力が強すぎることになり、その結果、クライアント端末2の受信エラー率が高くなる。また、インピーダンスが高すぎる場合は、クライアント端末2の受信電力が弱すぎることになり、その結果、クライアント端末2の受信エラー率が高くなる。
【0041】
最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値;αよりも高くなると、クライアント端末2において映像ストリームの視聴ができなかったり、正常な通信ができなかったりすることになる(視聴不可)。
【0042】
このため、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更し、図3に示す関係式;Aを、図4に示すように左右に移動させることになる。
【0043】
図4(a)は、サーバ装置1の送信電力値を増加した場合の関係式;A'を示す。サーバ装置1の送信電力値を増加することで、図3に示す関係式;Aは、図4(a)の関係式;A'のように、インピーダンスが高い方向に移動することになる。
【0044】
図4(b)は、サーバ装置1の送信電力値を低減した場合の関係式;A'を示す。サーバ装置1の送信電力値を低減することで、図3に示す関係式;Aは、図4(b)の関係式;A'のように、インピーダンスが弱い方向に移動することになる。
【0045】
3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在する場合の電力制御の例を図5に示す。この場合、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末(C1,C2,C3)で測定した受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末(C1,C2,C3)との間の空間のインピーダンスを算出する。
【0046】
受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末(C1,C2,C3)のインピーダンスを、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を基にした関係式(インピーダンスと受信エラー率との関係式;A)上にプロットする。各クライアント端末(C1,C2,C3)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした状態を図5(a)に示す。
【0047】
図5(a)に示す状態の場合は、クライアント端末(C2,C3)の受信エラー率は、所定の閾値;α以下であるため、サーバ装置1とクライアント端末(C2,C3)との間の通信状態が良いことがわかる。しかし、クライアント端末(C1)の受信エラー率は、所定の閾値;αよりも大きいため、サーバ装置1とクライアント端末(C1)との間の通信状態が悪いことがわかる。
【0048】
このため、電力制御部142は、クライアント端末(C1)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更することになる。サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更した場合の各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を図5(b)に示す。図5(b)に示すように、サーバ装置1の送信電力値を低減し、図5(a)に示す関係式;Aを左に移動させ、図5(b)に示す関係式;A'にすることで、クライアント端末(C1)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができる。このため、電力制御部142は、クライアント端末(C1)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を低減する。これにより、各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を最適化することができる。
【0049】
<クライアント端末2-1〜2-Nの構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nの構成例について説明する。
【0050】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1から無線伝送されてきたデジタル放送データを取得し、その取得したデジタル放送データを表示装置等に表示したり、録画したりする。本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、無線通信部21と、記憶部22と、映像再生部23と、受信電力監視部24と、を有して構成する。
【0051】
無線通信部21は、映像再生部23の制御により、サーバ装置1から無線転送されたデジタル放送データを受信する。
【0052】
記憶部22は、クライアント端末2を制御する際に使用する各種情報を記憶する。例えば、クライアント端末2において録画予約の設定が行われた際の録画予約情報等を記憶する。
【0053】
映像再生部23は、映像再生機能(クライアント端末2において映像データを再生・録画するための機能)を実行し、無線通信部21が受信したデジタル放送データを表示装置等に出力したり、録画したりする。例えば、映像再生部23は、クライアント端末2の表示装置上にデジタル放送データを表示したり、外部の表示装置上にデジタル放送データを表示したりする。また、映像再生部23は、記憶部22に記憶された録画予約情報を基に、無線通信部21が受信したデジタル放送データを録画したりする。
【0054】
受信電力監視部24は、無線通信部21が受信する信号の受信電力の監視制御を行う。受信電力監視部24は、受信電力測定部241と、受信電力通知部242と、を有して構成する。
【0055】
受信電力測定部241は、無線通信部21が受信する受信信号の受信電力値を測定する。受信電力値の測定方法は、無線通信部21が受信する受信信号の受信電力値を測定することが可能であれば、特に限定せず、様々な公知の測定方法が適用可能である。
【0056】
受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値を無線通信部21でサーバ装置1に通知する。
【0057】
<通信システムにおける処理動作例>
次に、図6を参照しながら、本実施形態の通信システムにおける処理動作例について説明する。
【0058】
本実施形態の通信システムは、クライアント端末2-1〜2-Nにおいて再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証する必要がある。このため、クライアント端末2-1〜2-Nの映像再生機能が動作している最中は、サーバ装置1の送信電力制御機能を動作させ、サーバ装置1がデジタル放送データを送信する際の送信電力の出力制御を実行することにしている。
【0059】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図6を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0060】
クライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生部23が映像再生機能の動作を開始した場合に(ステップA0/Yes)、受信電力監視部24は、受信電力の監視を開始し(ステップA1)、受信電力測定部241が受信電力値を測定する(ステップA2)。
【0061】
受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知する(ステップA3)。
【0062】
次に、受信電力監視部24は、映像再生機能が動作中か否かを判定し(ステップA4)、映像再生機能が動作中の場合は(ステップA4/Yes)、受信電力測定部241が受信電力値を測定する(ステップA5)。受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知する(ステップA6)。
【0063】
送信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知した場合は(ステップA6)、受信電力監視部24は、再び、映像再生機能が動作中か否かを判定する(ステップA4)。
【0064】
受信電力監視部24は、映像再生機能が動作中でないと判定した場合は(ステップA4/No)、受信電力の監視を停止する(ステップA7)。
【0065】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生機能動作開始時に、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知し、クライアント端末2-1〜2-Nが受信する信号の受信電力値に応じて、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値をサーバ装置1において変更し、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないように、サーバ装置1の送信電力を変更することができる。
【0066】
更に、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生機能動作中に、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知し、クライアント端末2-1〜2-Nが受信する信号の受信電力値に応じて、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値をサーバ装置1において変更し、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないように、サーバ装置1の送信電力を変更することができる。
【0067】
これにより、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-N側で受信エラーが発生しないようにすることができる。その結果、各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証することができる。
【0068】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図6を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。なお、以下の説明では、複数のクライアント端末2-1〜2-Nの中で、1つのクライアント端末を示す場合は、クライアント端末2として説明する。
【0069】
サーバ装置1は、クライアント端末2からの指示により、映像生成部13が映像生成機能の動作を開始した場合に、送信電力制御部14は、送信電力制御を開始する。
【0070】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。
【0071】
なお、最悪値特定部141は、1台のクライアント端末2から受信電力値が通知された場合に、そのクライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定したり、全てのクライアント端末2-1〜2-Nから受信電力値が通知された場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信電力が更新されたか否かを判定したりすることも可能である。
【0072】
最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0073】
インピーダンスは、以下の式(1)で算出する。
式(1)
インピーダンス=送信電力値÷受信電力値
但し、
送信電力値:サーバ装置1で現在使用している送信電力値
受信電力値:各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値
【0074】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図5(a)に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。これにより、受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-N(図5では、C1,C2,C3)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした際に得られる受信エラー率を算出することができる。
【0075】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0076】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0077】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図5(b)に示す関係式;A'を得るための送信電力値)を算出する。
【0078】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0079】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、電力制御部142は、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更する(ステップB5)。
【0080】
電力制御部142は、最適な送信電力値に変更した場合は、所定時間待機し(ステップB6)、最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分の受信電力値を取得したか否かを判定する(ステップB7)。
【0081】
ステップB5においてサーバ装置1の送信電力値を最適な送信電力値に変更した場合は、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信する受信信号の受信電力値が変更することになる。このため、ステップB6において所定時間待機することで、送信電力値変更後の新たな受信電力値を各クライアント端末2-1〜2-Nから取得することができる。
【0082】
最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分の受信電力値を取得した場合は(ステップB7/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0083】
本実施形態のサーバ装置1のインピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値を基に、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間の空間のインピーダンスを算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、最悪な受信エラー率を特定する。電力制御部142は、最悪値特定部141が特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0084】
これにより、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nとの間で映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。その結果、各クライアント端末2-1〜2-Nで再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証することができる。
【0085】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、その特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、本実施形態のサーバ装置1は、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0087】
第1の実施形態では、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を均一に算出することにした。
【0088】
しかし、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している特定のクライアント端末の受信エラー率が高くなると、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画していない通常のクライアント端末よりも映像品質の低下が顕著に現れることになる。また、無線環境では、周囲の環境変化に応じて、クライアント端末の受信電力値の変動が発生するため、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している特定のクライアント端末の受信エラー率は、インピーダンスの変動に対してある程度の余裕を持たせる必要がある。
【0089】
このため、本実施形態の通信システムでは、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している通常のクライアント端末よりも受信エラー率を高くした状態で、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。以下、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の通信システムは、第1の実施形態と同様に構成し、クライアント端末2-1〜2-N及びサーバ装置1で行う処理動作が異なるだけであるため、第2の実施形態では、処理動作例についてのみ説明する。
【0090】
3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在し、クライアント端末(C3)に対しは、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しており、クライアント端末(C1,C2)に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している場合の電力制御の例を図7に示す。
【0091】
この場合、クライアント端末(C1,C2)に対しては、第1の実施形態で使用した通常の関係式;Aを用いて受信エラー率を算出し、クライアント端末(C3)に対しては、通常の関係式;Aに対して所定の重み付けを行った関係式;Bを用いて受信エラー率を算出する。
【0092】
これにより、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、通常の関係式;Aを用いて算出した場合の受信エラー率よりも高い受信エラー率として算出することができる。その結果、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、インピーダンスの変動に対してある程度の余裕を持たせることができる。
【0093】
図7(a)に示す状態の場合は、クライアント端末(C1,C2)の受信エラー率は、所定の閾値;α以下であるため、サーバ装置1とクライアント端末(C1,C2)との間の通信状態が良いことがわかる。しかし、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、所定の閾値;αよりも大きいため、サーバ装置1とクライアント端末(C3)との間の通信状態が悪いことがわかる。
【0094】
このため、電力制御部142は、クライアント端末(C3)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更することになる。サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更した場合の各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を図7(b)に示す。図7(b)に示すように、サーバ装置1の送信電力値を増加し、図7(a)に示す関係式;A、Bを右に移動させ、図7(b)に示す関係式;A'、B'にすることで、クライアント端末(C3)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができる。このため、電力制御部142は、クライアント端末(C3)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を増加する。これにより、各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を最適化することができる。
【0095】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図8を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0096】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している場合には、受信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知する際に、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知する(ステップA'3,A'6)。なお、図8では、受信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知する際に、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知することにした。しかし、受信電力値と、動作状態と、を別々にサーバ装置1に通知するように構築することも可能である。
【0097】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図8を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0098】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0099】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0100】
本実施形態の受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する場合に、動作状態を受け付けた特定のクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。
【0101】
例えば、受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図7(a)に示す関係式;A)を予め把握していると仮定する。また、受信エラー率算出部1412は、図7(a)に示す関係式;Aに対して所定の重み付けを施した関係式;Bを予め把握していると仮定する。この場合、受信エラー率算出部1412は、動作状態を受け付けていない通常のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Aを用いて算出し、動作状態を受け付けた特定のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Bを用いて算出する。
【0102】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)を特定することができる(ステップB'2)。
【0103】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB'3)。
【0104】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図7(b)に示す関係式;A',B'を得るための送信電力値)を算出する。
【0105】
なお、ステップB4〜ステップB7の処理動作は、第1の実施形態とほぼ同様な処理動作であるため、具体的な処理動作については割愛する。
【0106】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している通常のクライアント端末よりも受信エラー率を高くした状態で、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。
【0107】
なお、上記実施形態では、受信エラー率算出部1412は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送していない通常のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Aを用いて算出し、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Bを用いて算出することにした。しかし、本実施形態は、関係式;A、Bの2つの関係式に限定するものではなく、特定のアプリケーションの映像データの種別や映像データのビットレートに応じて重み付けを異ならせた複数の関係式を用いて、各クライアント端末の受信エラー率を算出するように構成することも可能である。例えば、ハイビジョン映像等のストリーム映像データ、通常のストリーム映像データ、通常のインターネットアクセスによるストリーム映像データ等の種別に応じて重み付けを異ならせた複数の関係式を用いて、各クライアント端末の受信エラー率を算出することも可能である。
【0108】
これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、その特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することができる。
【0109】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0110】
第2の実施形態では、各クライアント端末2-1〜2-Nは、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している場合には、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知し、サーバ装置1は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することにした。
【0111】
第3の実施形態では、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数に応じた重み付けを行い、パケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。これにより、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出することができる。以下、第3の実施形態について説明する。
【0112】
本実施形態の通信システムでは、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'を各クライアント端末2-1〜2-N毎に測定する。そして、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、各クライアント端末のパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0113】
サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けの値の例を図9に示す。図9に示すように、パケット数;n'が0〜nまでの範囲の場合は、重み付けの値を1とし、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率をそのまま用いることにする。また、パケット数;n'がnより大きい場合には、重み付けの値をF(n'/n)とし、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、パケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0114】
なお、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'をサーバ装置1で把握することが可能であれば、そのパケット数の測定方法は特に限定せず、例えば、サーバ装置1側で測定しても良く、また、クライアント端末2-1〜2-N側で測定し、その測定したパケット数;n'をサーバ装置1に通知するように構成することも可能である。
【0115】
但し、サーバ装置1側でパケット数;n'を測定するように構築することが好ましい。これは、クライアント端末2-1〜2-Nからサーバ装置1にパケット数;nを通知する必要がないため、ネットワークの負荷を軽減したり、クライアント端末2-1〜2-Nでの処理動作量を軽減したりすることができるためである。
【0116】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図6、図8を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0117】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1側でパケット数;n'を測定する場合は、図6に示す第1の実施形態と同様な処理を行うことになる。
【0118】
また、クライアント端末2-1〜2-N側でパケット数;n'を測定する場合は、図8に示す第2の実施形態と同様な処理を行うことになる。この場合、クライアント端末2-1〜2-Nは、クライアント端末2-1〜2-N側で測定したパケット数;n'を動作状態としてサーバ装置1に通知することになる(ステップA'3,A'6)。
【0119】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図8を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0120】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0121】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0122】
本実施形態の受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する場合に、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0123】
例えば、受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図10(a)に示す関係式;A)を予め把握している。
【0124】
受信エラー率算出部1412は、関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。この場合、図9に示すように、パケット数;n'が0〜nまでの範囲のクライアント端末は、重み付けの値を1とし、図10(a)に示す関係式;Aを用いて受信エラー率を算出する。また、図9に示すように、パケット数;n'がnより大きいクライアント端末は、重み付けの値をF(n'/n)とし、図10(a)に示す関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;B、Cを用いて受信エラー率を算出する。
【0125】
図10の場合は、クライアント端末(C1)は、パケット数;n'が0〜nまでの範囲であるため、関係式;Aを用いて受信エラー率を算出している。また、クライアント端末(C2)は、パケット数;n'がnより大きいため、関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;Bを用いて受信エラー率を算出している。また、クライアント端末(C3)は、パケット数;n'がnより大きいため、関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;Cを用いて受信エラー率を算出している。これにより、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように受信エラー率を算出することができる。
【0126】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)を特定することができる(ステップB'2)。
【0127】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB'3)。
【0128】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図10(b)に示す関係式;A',B',C'を得るための送信電力値)を算出する。
【0129】
なお、ステップB4〜ステップB7の処理動作は、第1の実施形態とほぼ同様な処理動作であるため、具体的な処理動作については割愛する。
【0130】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。これにより、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行って算出した受信エラー率を基に、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。
【0131】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0132】
上述した第1〜第3の実施形態では、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することにした。しかし、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができない場合もある。
【0133】
この例を、図11に示す。図11では、クライアント端末(C1,C4)のインピーダンスの差が大きすぎる場合を示す。この場合、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更し、図11(a)に示す関係式;Aを左右にずらしたとしても、全てのクライアント端末(C1,C2,C3,C4)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができない。
【0134】
このため、本実施形態では、最悪な受信エラー率のクライアント端末(C4)を制御対象から除外し、残りのクライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、残りのクライアント端末(C1,C2,C3)で受信エラーが発生しないようにすることができる。以下、図12を参照しながら、本実施形態の通信システムについて説明する。
【0135】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図12を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0136】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、図6に示す第1の実施形態と同様な処理を行うことになる。
【0137】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図12を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0138】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。
【0139】
最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0140】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図11(a)に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。これにより、受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした際に得られる受信エラー率を算出することができる。
【0141】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C4の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0142】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0143】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C4の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値を算出する。
【0144】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0145】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更した場合に、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)を視聴可な範囲に収められるか否かを判定する(ステップC1)。
【0146】
電力制御部142は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)を視聴可能な範囲に収められないと判定した場合は(ステップC1/No)、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を制御対象外にする(ステップC4)。そして、最悪値特定部141は、再び、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0147】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0148】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で再度特定した最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値を算出する。
【0149】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0150】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更した場合に、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)を視聴可な範囲に収められるか否かを判定する(ステップC1)。
【0151】
電力制御部142は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)を視聴可能な範囲に収められると判定した場合は(ステップC1/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更する(ステップB5)。
【0152】
電力制御部142は、最適な送信電力値に変更した場合は、所定時間待機し(ステップB6)、最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)分の受信電力値を取得したか否かを判定する(ステップB7)。
【0153】
最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信電力値を取得した場合は(ステップB7/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0154】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1の電力制御部142は、サーバ装置1の無線伝送時に使用する送信電力値を変更した場合に、全てのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)の受信エラー率が所定の閾値以下にならない場合には、最悪値特定部141で特定したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を除外する。そして、最悪値特定部141は、電力制御部142で除外したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を除いた残りのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高い別のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1)を特定する。そして、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0155】
これにより、本実施形態のサーバ装置1は、全てのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができない場合でも、最悪な受信エラー率のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を制御対象から除外し、残りのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)で受信エラーが発生しないようにすることができる。
【0156】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0157】
例えば、上述した通信システムでは、図1に示すように、サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データをクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送することを前提とした。しかし、サーバ装置1は、デジタル放送データ(EPGを含む)をサーバ装置1で管理し、そのサーバ装置1で管理するデジタル放送データをクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送するように構築することも可能である。
【0158】
また、上述した通信システムでは、サーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、その特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することにした。しかし、上記特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下の場合でも、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を逐次変更するようにすることも可能である。これにより、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下であっても、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を随時変更することができる。
【0159】
また、上述した通信システムは、クライアント端末2-1〜2-Nとサーバ装置1とを宅内に設置してプライベートな無線伝送を行うことを前提とした。しかし、宅内に限定せず、一般公衆向けの環境にサーバ装置1を設置し、不特定多数のクライアント端末2-1〜2-Nとパブリックな無線伝送を行うように構築することも可能である。
【0160】
また、上述した本実施形態における通信システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0161】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0162】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0163】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0164】
また、本実施形態における通信システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0165】
1 サーバ装置
11 無線通信部
12 記憶部
13 映像生成部
14 送信電力制御部
141 最悪値特定部
1411 インピーダンス算出部
1412 受信エラー率算出部
142 電力制御部
2−1〜2−N クライアント端末
21 無線通信部
22 記憶部
23 映像再生部
24 受信電力監視部
241 受信電力測定部
243 受信電力通知部
3 放送アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データをサーバ装置からクライアント端末に無線伝送する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、図13に示すように、放送アンテナ3'等からサーバ装置1'が受信した映像データ(デジタル放送データ等)を、サーバ装置1'から複数のクライアント端末2-1'〜2-N'(N'は、任意の整数)に無線伝送し、各クライアント端末2-1'〜2-N'において表示装置等に出力表示したり、録画したりする通信システムがある。
【0003】
しかし、無線伝送を行う上述した通信システムにおいては、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信する受信信号の受信電力値が規定の受信電力許容範囲よりも強すぎる場合や弱すぎる場合に、各クライアント端末2-1'〜2-N'において受信エラーが発生してしまう虞がある。
【0004】
受信エラーが発生した場合は、誤り訂正符号やCRC(Cyclic Redundancy Check)などの訂正・検出手法や、再送制御などの手法を用いて、映像再生を復旧させる技術を使用することができる。これらの手法を用いることで、ベストエフォートの通信や、低ビットレートのストリーム通信の場合には、受信エラーが発生しても、その後、問題なく映像再生を復旧することができる。
【0005】
しかし、ハイビジョン映像等の映像データの無線伝送を行う場合には、受信エラーの発生が深刻な問題となる。これは、ハイビジョン映像等の映像データの無線伝送を行う場合には、高ビットレートのストリーム通信を行い、間断なく映像データを伝送する必要があるため、受信エラーが発生してしまうと、ビットレートが低下し、高ビットレートのストリーム通信を行うことができなくなってしまうためである。
【0006】
このようなことから、上述した図13に示す通信システムにおいて、ハイビジョン映像等の高ビットレートを必要とする映像データの無線伝送を行う場合には、各クライアント端末2-1'〜2-N'との通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信エラーが発生しないようにする必要がある。
【0007】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、通信相手から送信されてくる信号を基に、通信相手の送信出力電力を制御する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0008】
特許文献1には、受信信号の電界強度、または、S/N比を測定し、その測定した情報(測定情報)を通信相手側の無線通信装置に送り、相手側の無線通信装置は、測定情報を基に送信出力電力を増減する点が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、移動局において、基地局からの受信信号の受信品質を測定し、その測定受信品質と予め定められた目標受信品質とを比較する。そして、測定受信品質が目標受信品質を下回れば、基地局に対して、下り送信電力を上昇させるような上りTPC(Transmission Power Control)ビットを送出する。逆に、測定受信品質が目標受信品質を上回れば、基地局に対して下り送信電力を下降させるような上りTPCビットを送出する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−180414号公報
【特許文献2】特開2007−36633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1、2に開示されている送信出力電力制御は、一般的な無線通信時に行う手法であり、本発明のように、ハイビジョン映像等の高ビットレートを必要とする映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1'〜2-N'との通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1'〜2-N'で受信エラーが発生しないようにするものではない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末との通信を考慮しながら、各クライアント端末で受信エラーが発生しないようにすることが可能なサーバ装置、通信システム、制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0014】
<サーバ装置>
本発明にかかるサーバ装置は、
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0015】
<通信システム>
本発明にかかる通信システムは、
サーバ装置と、複数のクライアント端末と、を有し、映像データを前記サーバ装置から複数のクライアント端末に無線伝送する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0016】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置で行う制御方法であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末との通信を考慮しながら、各クライアント端末で受信エラーが発生しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】通信システムを構成するサーバ装置1及びクライアント端末2-1〜2-Nの内部構成例を示す図である。
【図3】サーバ装置1とある任意のクライアント端末2との間の空間のインピーダンスと、その任意のクライアント端末2で発生する受信エラー率と、を対応付けた一般的な関係式;Aを説明するための図である。
【図4】サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更した場合に、関係式;Aの移動方向を説明するための図である。
【図5】3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在する場合の電力制御の例を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図7】第2の実施形態で使用する関係式;A、Bを説明するための図である。
【図8】第2の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図9】パケット数に応じた重み付けの値を説明するための図である。
【図10】第3の実施形態で使用する関係式;A、B、Cを説明するための図である。
【図11】第4の実施形態の電力制御の例を説明するための図である。
【図12】第4の実施形態の通信システムにおける処理動作例を示す図である。
【図13】本発明と関連する通信システムのシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<通信システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0020】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、複数のクライアント端末2-1〜2-N(Nは、任意の整数)と、を有し、映像データをサーバ装置1から複数のクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送する通信システムである。
【0021】
本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末(例えば、2-1)を特定する。そして、その特定したクライアント端末2-1の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、サーバ装置1は、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
<通信システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。
【0023】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、複数のクライアント端末2-1〜2-N(Nは、任意の整数)と、を有して構成する。
【0024】
サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを、複数のクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送し、各クライアント端末2-1〜2-Nにおいてデジタル放送データを表示装置等に出力表示するように制御する。なお、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nとの無線伝送時に使用する送信電力値を各クライアント端末2-1〜2-N毎に個別に切り替えるのではなく、各クライアント端末2-1〜2-Nとの無線伝送時に使用する送信電力値を一括で一度に切り替えることになる。
【0025】
各クライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1から転送されてくるEPG(Electric Program Guide)を基に、録画予約を行い、その録画予約を行った番組データを各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて録画するように制御する。
【0026】
<サーバ装置1の構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態のサーバ装置1の構成例について説明する。
【0027】
本実施形態のサーバ装置1は、無線通信部11と、記憶部12と、映像生成部13と、送信電力制御部14と、を有して構成する。
【0028】
無線通信部11は、映像生成部13の制御により、放送アンテナ3等から逐次受信したデジタル放送データをバッファ(図示せず)に逐次格納する。無線通信部11が受信したデジタル放送データには、番組データや、EPG(放送番組情報)等の情報が含まれている。また、無線通信部11は、映像生成部13の制御により、バッファ(図示せず)に順次格納したデジタル放送データを各クライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送する。
【0029】
記憶部12は、サーバ装置1を制御する際に使用する各種情報を記憶する。
【0030】
映像生成部13は、映像生成機能(各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて映像データを再生・録画するための機能;TV視聴用アプリケーション等)を実行し、無線通信部11が放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを各クライアント端末2-1〜2-Nに送信する制御を行う。映像生成部13は、各クライアント端末2-1〜2-Nからの指示により、映像生成機能の動作を開始したり、終了したりすることができる。
【0031】
送信電力制御部14は、送信電力制御機能を実行し、無線通信部11がクライアント端末2-1〜2-Nにデジタル放送データを無線伝送する際に使用する送信電力値の切替制御を行う。
【0032】
送信電力制御部14が送信電力値の切替制御を行った場合には、サーバ装置1は、デジタル放送データの送信を一旦中断する必要がある。このため、送信電力制御部14が行う送信電力値の切替回数を低減することが好ましい。これにより、デジタル放送データの中断を抑制することができる。
【0033】
送信電力制御部14は、最悪値特定部141と、電力制御部142と、を有して構成する。最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で最悪な受信エラー率を特定することができる。最悪値特定部141は、インピーダンス算出部1411と、受信エラー率算出部1412と、を有して構成する。
【0034】
インピーダンス算出部1411は、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する。サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスは、以下の式により求めることができる。
【0035】
インピーダンス=送信電力値÷受信電力値
但し、
送信電力値:サーバ装置1で現在使用している送信電力値
受信電力値:各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値
【0036】
受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(図3に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。
【0037】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で最悪な受信エラー率を特定することができる。
【0038】
電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0039】
図3は、サーバ装置1とある任意のクライアント端末2との間の空間のインピーダンスと、その任意のクライアント端末2で発生する受信エラー率と、を対応付けた一般的な関係式;Aを示す。なお、図3に示す関係式;Aは、実験等を行い、予め求めておくことになる。
【0040】
図3に示すように、インピーダンスが低すぎる場合は、クライアント端末2の受信電力が強すぎることになり、その結果、クライアント端末2の受信エラー率が高くなる。また、インピーダンスが高すぎる場合は、クライアント端末2の受信電力が弱すぎることになり、その結果、クライアント端末2の受信エラー率が高くなる。
【0041】
最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値;αよりも高くなると、クライアント端末2において映像ストリームの視聴ができなかったり、正常な通信ができなかったりすることになる(視聴不可)。
【0042】
このため、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更し、図3に示す関係式;Aを、図4に示すように左右に移動させることになる。
【0043】
図4(a)は、サーバ装置1の送信電力値を増加した場合の関係式;A'を示す。サーバ装置1の送信電力値を増加することで、図3に示す関係式;Aは、図4(a)の関係式;A'のように、インピーダンスが高い方向に移動することになる。
【0044】
図4(b)は、サーバ装置1の送信電力値を低減した場合の関係式;A'を示す。サーバ装置1の送信電力値を低減することで、図3に示す関係式;Aは、図4(b)の関係式;A'のように、インピーダンスが弱い方向に移動することになる。
【0045】
3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在する場合の電力制御の例を図5に示す。この場合、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末(C1,C2,C3)で測定した受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末(C1,C2,C3)との間の空間のインピーダンスを算出する。
【0046】
受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末(C1,C2,C3)のインピーダンスを、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を基にした関係式(インピーダンスと受信エラー率との関係式;A)上にプロットする。各クライアント端末(C1,C2,C3)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした状態を図5(a)に示す。
【0047】
図5(a)に示す状態の場合は、クライアント端末(C2,C3)の受信エラー率は、所定の閾値;α以下であるため、サーバ装置1とクライアント端末(C2,C3)との間の通信状態が良いことがわかる。しかし、クライアント端末(C1)の受信エラー率は、所定の閾値;αよりも大きいため、サーバ装置1とクライアント端末(C1)との間の通信状態が悪いことがわかる。
【0048】
このため、電力制御部142は、クライアント端末(C1)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更することになる。サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更した場合の各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を図5(b)に示す。図5(b)に示すように、サーバ装置1の送信電力値を低減し、図5(a)に示す関係式;Aを左に移動させ、図5(b)に示す関係式;A'にすることで、クライアント端末(C1)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができる。このため、電力制御部142は、クライアント端末(C1)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を低減する。これにより、各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を最適化することができる。
【0049】
<クライアント端末2-1〜2-Nの構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nの構成例について説明する。
【0050】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1から無線伝送されてきたデジタル放送データを取得し、その取得したデジタル放送データを表示装置等に表示したり、録画したりする。本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、無線通信部21と、記憶部22と、映像再生部23と、受信電力監視部24と、を有して構成する。
【0051】
無線通信部21は、映像再生部23の制御により、サーバ装置1から無線転送されたデジタル放送データを受信する。
【0052】
記憶部22は、クライアント端末2を制御する際に使用する各種情報を記憶する。例えば、クライアント端末2において録画予約の設定が行われた際の録画予約情報等を記憶する。
【0053】
映像再生部23は、映像再生機能(クライアント端末2において映像データを再生・録画するための機能)を実行し、無線通信部21が受信したデジタル放送データを表示装置等に出力したり、録画したりする。例えば、映像再生部23は、クライアント端末2の表示装置上にデジタル放送データを表示したり、外部の表示装置上にデジタル放送データを表示したりする。また、映像再生部23は、記憶部22に記憶された録画予約情報を基に、無線通信部21が受信したデジタル放送データを録画したりする。
【0054】
受信電力監視部24は、無線通信部21が受信する信号の受信電力の監視制御を行う。受信電力監視部24は、受信電力測定部241と、受信電力通知部242と、を有して構成する。
【0055】
受信電力測定部241は、無線通信部21が受信する受信信号の受信電力値を測定する。受信電力値の測定方法は、無線通信部21が受信する受信信号の受信電力値を測定することが可能であれば、特に限定せず、様々な公知の測定方法が適用可能である。
【0056】
受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値を無線通信部21でサーバ装置1に通知する。
【0057】
<通信システムにおける処理動作例>
次に、図6を参照しながら、本実施形態の通信システムにおける処理動作例について説明する。
【0058】
本実施形態の通信システムは、クライアント端末2-1〜2-Nにおいて再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証する必要がある。このため、クライアント端末2-1〜2-Nの映像再生機能が動作している最中は、サーバ装置1の送信電力制御機能を動作させ、サーバ装置1がデジタル放送データを送信する際の送信電力の出力制御を実行することにしている。
【0059】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図6を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0060】
クライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生部23が映像再生機能の動作を開始した場合に(ステップA0/Yes)、受信電力監視部24は、受信電力の監視を開始し(ステップA1)、受信電力測定部241が受信電力値を測定する(ステップA2)。
【0061】
受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知する(ステップA3)。
【0062】
次に、受信電力監視部24は、映像再生機能が動作中か否かを判定し(ステップA4)、映像再生機能が動作中の場合は(ステップA4/Yes)、受信電力測定部241が受信電力値を測定する(ステップA5)。受信電力通知部242は、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知する(ステップA6)。
【0063】
送信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知した場合は(ステップA6)、受信電力監視部24は、再び、映像再生機能が動作中か否かを判定する(ステップA4)。
【0064】
受信電力監視部24は、映像再生機能が動作中でないと判定した場合は(ステップA4/No)、受信電力の監視を停止する(ステップA7)。
【0065】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生機能動作開始時に、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知し、クライアント端末2-1〜2-Nが受信する信号の受信電力値に応じて、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値をサーバ装置1において変更し、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないように、サーバ装置1の送信電力を変更することができる。
【0066】
更に、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像再生機能動作中に、受信電力測定部241が測定した受信電力値をサーバ装置1に通知し、クライアント端末2-1〜2-Nが受信する信号の受信電力値に応じて、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値をサーバ装置1において変更し、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないように、サーバ装置1の送信電力を変更することができる。
【0067】
これにより、本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-N側で受信エラーが発生しないようにすることができる。その結果、各クライアント端末2-1〜2-Nにおいて再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証することができる。
【0068】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図6を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。なお、以下の説明では、複数のクライアント端末2-1〜2-Nの中で、1つのクライアント端末を示す場合は、クライアント端末2として説明する。
【0069】
サーバ装置1は、クライアント端末2からの指示により、映像生成部13が映像生成機能の動作を開始した場合に、送信電力制御部14は、送信電力制御を開始する。
【0070】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。
【0071】
なお、最悪値特定部141は、1台のクライアント端末2から受信電力値が通知された場合に、そのクライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定したり、全てのクライアント端末2-1〜2-Nから受信電力値が通知された場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信電力が更新されたか否かを判定したりすることも可能である。
【0072】
最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0073】
インピーダンスは、以下の式(1)で算出する。
式(1)
インピーダンス=送信電力値÷受信電力値
但し、
送信電力値:サーバ装置1で現在使用している送信電力値
受信電力値:各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値
【0074】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図5(a)に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。これにより、受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-N(図5では、C1,C2,C3)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした際に得られる受信エラー率を算出することができる。
【0075】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0076】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0077】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図5(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図5(b)に示す関係式;A'を得るための送信電力値)を算出する。
【0078】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0079】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、電力制御部142は、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更する(ステップB5)。
【0080】
電力制御部142は、最適な送信電力値に変更した場合は、所定時間待機し(ステップB6)、最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分の受信電力値を取得したか否かを判定する(ステップB7)。
【0081】
ステップB5においてサーバ装置1の送信電力値を最適な送信電力値に変更した場合は、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信する受信信号の受信電力値が変更することになる。このため、ステップB6において所定時間待機することで、送信電力値変更後の新たな受信電力値を各クライアント端末2-1〜2-Nから取得することができる。
【0082】
最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分の受信電力値を取得した場合は(ステップB7/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0083】
本実施形態のサーバ装置1のインピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nで測定した受信信号の受信電力値を基に、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間の空間のインピーダンスを算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、最悪な受信エラー率を特定する。電力制御部142は、最悪値特定部141が特定した最悪な受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0084】
これにより、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nとの間で映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。その結果、各クライアント端末2-1〜2-Nで再生や録画を行うデジタル放送データの映像品質を保証することができる。
【0085】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、その特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、本実施形態のサーバ装置1は、映像データの無線伝送を行う場合に、各クライアント端末2-1〜2-Nとの通信を考慮しながら、各クライアント端末2-1〜2-Nで受信エラーが発生しないようにすることができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0087】
第1の実施形態では、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を均一に算出することにした。
【0088】
しかし、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している特定のクライアント端末の受信エラー率が高くなると、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画していない通常のクライアント端末よりも映像品質の低下が顕著に現れることになる。また、無線環境では、周囲の環境変化に応じて、クライアント端末の受信電力値の変動が発生するため、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している特定のクライアント端末の受信エラー率は、インピーダンスの変動に対してある程度の余裕を持たせる必要がある。
【0089】
このため、本実施形態の通信システムでは、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している通常のクライアント端末よりも受信エラー率を高くした状態で、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。以下、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の通信システムは、第1の実施形態と同様に構成し、クライアント端末2-1〜2-N及びサーバ装置1で行う処理動作が異なるだけであるため、第2の実施形態では、処理動作例についてのみ説明する。
【0090】
3台のクライアント端末(C1,C2,C3)が存在し、クライアント端末(C3)に対しは、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しており、クライアント端末(C1,C2)に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している場合の電力制御の例を図7に示す。
【0091】
この場合、クライアント端末(C1,C2)に対しては、第1の実施形態で使用した通常の関係式;Aを用いて受信エラー率を算出し、クライアント端末(C3)に対しては、通常の関係式;Aに対して所定の重み付けを行った関係式;Bを用いて受信エラー率を算出する。
【0092】
これにより、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、通常の関係式;Aを用いて算出した場合の受信エラー率よりも高い受信エラー率として算出することができる。その結果、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、インピーダンスの変動に対してある程度の余裕を持たせることができる。
【0093】
図7(a)に示す状態の場合は、クライアント端末(C1,C2)の受信エラー率は、所定の閾値;α以下であるため、サーバ装置1とクライアント端末(C1,C2)との間の通信状態が良いことがわかる。しかし、クライアント端末(C3)の受信エラー率は、所定の閾値;αよりも大きいため、サーバ装置1とクライアント端末(C3)との間の通信状態が悪いことがわかる。
【0094】
このため、電力制御部142は、クライアント端末(C3)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更することになる。サーバ装置1で現在使用している送信電力値を変更した場合の各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を図7(b)に示す。図7(b)に示すように、サーバ装置1の送信電力値を増加し、図7(a)に示す関係式;A、Bを右に移動させ、図7(b)に示す関係式;A'、B'にすることで、クライアント端末(C3)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができる。このため、電力制御部142は、クライアント端末(C3)の受信エラー率が所定の閾値;α以下となるように、サーバ装置1で現在使用している送信電力値を増加する。これにより、各クライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率を最適化することができる。
【0095】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図8を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0096】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している場合には、受信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知する際に、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知する(ステップA'3,A'6)。なお、図8では、受信電力通知部242が受信電力値をサーバ装置1に通知する際に、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知することにした。しかし、受信電力値と、動作状態と、を別々にサーバ装置1に通知するように構築することも可能である。
【0097】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図8を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0098】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0099】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0100】
本実施形態の受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する場合に、動作状態を受け付けた特定のクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。
【0101】
例えば、受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図7(a)に示す関係式;A)を予め把握していると仮定する。また、受信エラー率算出部1412は、図7(a)に示す関係式;Aに対して所定の重み付けを施した関係式;Bを予め把握していると仮定する。この場合、受信エラー率算出部1412は、動作状態を受け付けていない通常のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Aを用いて算出し、動作状態を受け付けた特定のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Bを用いて算出する。
【0102】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)を特定することができる(ステップB'2)。
【0103】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB'3)。
【0104】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図7(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図7(b)に示す関係式;A',B'を得るための送信電力値)を算出する。
【0105】
なお、ステップB4〜ステップB7の処理動作は、第1の実施形態とほぼ同様な処理動作であるため、具体的な処理動作については割愛する。
【0106】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出する。これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末に対しては、特定のアプリケーションの映像データ以外の通常の映像データを無線伝送している通常のクライアント端末よりも受信エラー率を高くした状態で、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。
【0107】
なお、上記実施形態では、受信エラー率算出部1412は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送していない通常のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Aを用いて算出し、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送している特定のクライアント端末の受信エラー率は、図7(a)に示す関係式;Bを用いて算出することにした。しかし、本実施形態は、関係式;A、Bの2つの関係式に限定するものではなく、特定のアプリケーションの映像データの種別や映像データのビットレートに応じて重み付けを異ならせた複数の関係式を用いて、各クライアント端末の受信エラー率を算出するように構成することも可能である。例えば、ハイビジョン映像等のストリーム映像データ、通常のストリーム映像データ、通常のインターネットアクセスによるストリーム映像データ等の種別に応じて重み付けを異ならせた複数の関係式を用いて、各クライアント端末の受信エラー率を算出することも可能である。
【0108】
これにより、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、その特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することができる。
【0109】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0110】
第2の実施形態では、各クライアント端末2-1〜2-Nは、特定のアプリケーション(例えば、ハイビジョン映像等の高ビットレート)の映像データを再生・録画している場合には、特定のアプリケーションの映像データを再生・録画している旨の動作状態をサーバ装置1に通知し、サーバ装置1は、特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することにした。
【0111】
第3の実施形態では、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数に応じた重み付けを行い、パケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。これにより、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出することができる。以下、第3の実施形態について説明する。
【0112】
本実施形態の通信システムでは、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'を各クライアント端末2-1〜2-N毎に測定する。そして、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、各クライアント端末のパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0113】
サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けの値の例を図9に示す。図9に示すように、パケット数;n'が0〜nまでの範囲の場合は、重み付けの値を1とし、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率をそのまま用いることにする。また、パケット数;n'がnより大きい場合には、重み付けの値をF(n'/n)とし、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、パケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0114】
なお、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'をサーバ装置1で把握することが可能であれば、そのパケット数の測定方法は特に限定せず、例えば、サーバ装置1側で測定しても良く、また、クライアント端末2-1〜2-N側で測定し、その測定したパケット数;n'をサーバ装置1に通知するように構成することも可能である。
【0115】
但し、サーバ装置1側でパケット数;n'を測定するように構築することが好ましい。これは、クライアント端末2-1〜2-Nからサーバ装置1にパケット数;nを通知する必要がないため、ネットワークの負荷を軽減したり、クライアント端末2-1〜2-Nでの処理動作量を軽減したりすることができるためである。
【0116】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図6、図8を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0117】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、サーバ装置1側でパケット数;n'を測定する場合は、図6に示す第1の実施形態と同様な処理を行うことになる。
【0118】
また、クライアント端末2-1〜2-N側でパケット数;n'を測定する場合は、図8に示す第2の実施形態と同様な処理を行うことになる。この場合、クライアント端末2-1〜2-Nは、クライアント端末2-1〜2-N側で測定したパケット数;n'を動作状態としてサーバ装置1に通知することになる(ステップA'3,A'6)。
【0119】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図8を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0120】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0121】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0122】
本実施形態の受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する場合に、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。
【0123】
例えば、受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図10(a)に示す関係式;A)を予め把握している。
【0124】
受信エラー率算出部1412は、関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。この場合、図9に示すように、パケット数;n'が0〜nまでの範囲のクライアント端末は、重み付けの値を1とし、図10(a)に示す関係式;Aを用いて受信エラー率を算出する。また、図9に示すように、パケット数;n'がnより大きいクライアント端末は、重み付けの値をF(n'/n)とし、図10(a)に示す関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;B、Cを用いて受信エラー率を算出する。
【0125】
図10の場合は、クライアント端末(C1)は、パケット数;n'が0〜nまでの範囲であるため、関係式;Aを用いて受信エラー率を算出している。また、クライアント端末(C2)は、パケット数;n'がnより大きいため、関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;Bを用いて受信エラー率を算出している。また、クライアント端末(C3)は、パケット数;n'がnより大きいため、関係式;Aに対し、パケット数;n'に応じた重み付けF(n'/n)を施した関係式;Cを用いて受信エラー率を算出している。これにより、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように受信エラー率を算出することができる。
【0126】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)を特定することができる(ステップB'2)。
【0127】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB'3)。
【0128】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図10(a)では、クライアント端末C3の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値(例えば、図10(b)に示す関係式;A',B',C'を得るための送信電力値)を算出する。
【0129】
なお、ステップB4〜ステップB7の処理動作は、第1の実施形態とほぼ同様な処理動作であるため、具体的な処理動作については割愛する。
【0130】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率に対し、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行い、パケット数;n'が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。これにより、サーバ装置1と、各クライアント端末2-1〜2-Nと、の間で送受信するパケット数;n'に応じた重み付けを行って算出した受信エラー率を基に、その受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができる。
【0131】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0132】
上述した第1〜第3の実施形態では、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することにした。しかし、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができない場合もある。
【0133】
この例を、図11に示す。図11では、クライアント端末(C1,C4)のインピーダンスの差が大きすぎる場合を示す。この場合、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更し、図11(a)に示す関係式;Aを左右にずらしたとしても、全てのクライアント端末(C1,C2,C3,C4)の受信エラー率を所定の閾値;α以下にすることができない。
【0134】
このため、本実施形態では、最悪な受信エラー率のクライアント端末(C4)を制御対象から除外し、残りのクライアント端末(C1,C2,C3)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。これにより、残りのクライアント端末(C1,C2,C3)で受信エラーが発生しないようにすることができる。以下、図12を参照しながら、本実施形態の通信システムについて説明する。
【0135】
<クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例>
まず、図12を参照しながら、クライアント端末2-1〜2-Nの処理動作例について説明する。
【0136】
本実施形態のクライアント端末2-1〜2-Nは、図6に示す第1の実施形態と同様な処理を行うことになる。
【0137】
<サーバ装置1の処理動作例>
次に、図12を参照しながら、サーバ装置1の処理動作例について説明する。
【0138】
最悪値特定部141は、クライアント端末2から通知された受信電力値を基に、クライアント端末2の受信電力が更新されたか否かを判定する(ステップB0)。
【0139】
最悪値特定部141は、受信電力が更新されたと判定した場合に(ステップB0/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0140】
次に、受信エラー率算出部1412は、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスを基に、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を算出する。受信エラー率算出部1412は、インピーダンスと、受信エラー率と、を対応付けた関係式(例えば、図11(a)に示す関係式;A)を予め把握しており、その関係式;Aを基に、インピーダンス算出部1411で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nのインピーダンスに応じた受信エラー率を算出することになる。これにより、受信エラー率算出部1412は、各クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)のインピーダンスを関係式;A上にプロットした際に得られる受信エラー率を算出することができる。
【0141】
最悪値特定部141は、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C4の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0142】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0143】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C4の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値を算出する。
【0144】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0145】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更した場合に、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)を視聴可な範囲に収められるか否かを判定する(ステップC1)。
【0146】
電力制御部142は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)を視聴可能な範囲に収められないと判定した場合は(ステップC1/No)、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を制御対象外にする(ステップC4)。そして、最悪値特定部141は、再び、受信エラー率算出部1412で算出した各クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信エラー率を基に、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する。これにより、最悪値特定部141は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3の受信エラー率)の中で最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)を特定することができる(ステップB2)。
【0147】
次に、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定した最悪な受信エラー率を改善できる最適な送信電力値を算出する(ステップB3)。
【0148】
具体的には、電力制御部142は、最悪値特定部141で再度特定した最悪な受信エラー率(図11(a)では、クライアント端末C1の受信エラー率)が所定の閾値;α以下となるような送信電力値を算出する。
【0149】
次に、電力制御部142は、上記算出した最適な送信電力値と、サーバ装置1が現在使用している送信電力値と、を比較し、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なるか否かを判定する(ステップB4)。
【0150】
電力制御部142は、最適な送信電力値が現在使用している送信電力値と異なる場合は(ステップB4/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更した場合に、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)を視聴可な範囲に収められるか否かを判定する(ステップC1)。
【0151】
電力制御部142は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)を視聴可能な範囲に収められると判定した場合は(ステップC1/Yes)、現在使用している送信電力値を上記算出した最適な送信電力値に変更する(ステップB5)。
【0152】
電力制御部142は、最適な送信電力値に変更した場合は、所定時間待機し(ステップB6)、最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)分の受信電力値を取得したか否かを判定する(ステップB7)。
【0153】
最悪値特定部141は、全クライアント端末2-1〜2-N分(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信電力値を取得した場合は(ステップB7/Yes)、インピーダンス算出部1411は、各クライアント端末2-1〜2-Nから通知された受信電力値と、サーバ装置1で現在使用している送信電力値と、を基に、サーバ装置1と各クライアント端末2-1〜2-Nとの間の空間のインピーダンスを算出する(ステップB1)。
【0154】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1の電力制御部142は、サーバ装置1の無線伝送時に使用する送信電力値を変更した場合に、全てのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)の受信エラー率が所定の閾値以下にならない場合には、最悪値特定部141で特定したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を除外する。そして、最悪値特定部141は、電力制御部142で除外したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を除いた残りのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高い別のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1)を特定する。そして、電力制御部142は、最悪値特定部141で特定したクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更する。
【0155】
これにより、本実施形態のサーバ装置1は、全てのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3,C4)の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することができない場合でも、最悪な受信エラー率のクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C4)を制御対象から除外し、残りのクライアント端末(図11(a)では、クライアント端末C1,C2,C3)で受信エラーが発生しないようにすることができる。
【0156】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0157】
例えば、上述した通信システムでは、図1に示すように、サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データをクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送することを前提とした。しかし、サーバ装置1は、デジタル放送データ(EPGを含む)をサーバ装置1で管理し、そのサーバ装置1で管理するデジタル放送データをクライアント端末2-1〜2-Nに無線伝送するように構築することも可能である。
【0158】
また、上述した通信システムでは、サーバ装置1は、各クライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定し、その特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を変更することにした。しかし、上記特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下の場合でも、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を逐次変更するようにすることも可能である。これにより、全てのクライアント端末2-1〜2-Nの受信エラー率が所定の閾値以下であっても、サーバ装置1の無線伝送に使用する送信電力値を随時変更することができる。
【0159】
また、上述した通信システムは、クライアント端末2-1〜2-Nとサーバ装置1とを宅内に設置してプライベートな無線伝送を行うことを前提とした。しかし、宅内に限定せず、一般公衆向けの環境にサーバ装置1を設置し、不特定多数のクライアント端末2-1〜2-Nとパブリックな無線伝送を行うように構築することも可能である。
【0160】
また、上述した本実施形態における通信システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0161】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0162】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0163】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0164】
また、本実施形態における通信システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0165】
1 サーバ装置
11 無線通信部
12 記憶部
13 映像生成部
14 送信電力制御部
141 最悪値特定部
1411 インピーダンス算出部
1412 受信エラー率算出部
142 電力制御部
2−1〜2−N クライアント端末
21 無線通信部
22 記憶部
23 映像再生部
24 受信電力監視部
241 受信電力測定部
243 受信電力通知部
3 放送アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記送信電力値を変更した場合に、全てのクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下にならない場合には、前記特定手段で特定したクライアント端末を除外し、
前記特定手段は、
前記制御手段で除外した前記クライアント端末を除いた残りのクライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高い別のクライアント端末を特定することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記特定手段は、
各クライアント端末で測定した受信信号の受信電力値を基に、前記サーバ装置と、各クライアント端末と、の間の空間のインピーダンスを算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段で算出した各クライアント端末のインピーダンスを基に、各クライアント端末の受信エラー率を算出する第2の算出手段と、を有し、
前記第2の算出手段で算出した各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定することを特徴とする請求項1または2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記第2の算出手段は、
特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記第2の算出手段は、
各クライアント端末の受信エラー率に対し、前記サーバ装置と、各クライアント端末と、の間で送受信するパケット数に応じた重み付けを行い、前記パケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末の受信エラー率を算出することを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項6】
サーバ装置と、複数のクライアント端末と、を有し、映像データを前記サーバ装置から複数のクライアント端末に無線伝送する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置で行う制御方法であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記送信電力値を変更した場合に、全てのクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下にならない場合には、前記特定手段で特定したクライアント端末を除外し、
前記特定手段は、
前記制御手段で除外した前記クライアント端末を除いた残りのクライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高い別のクライアント端末を特定することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記特定手段は、
各クライアント端末で測定した受信信号の受信電力値を基に、前記サーバ装置と、各クライアント端末と、の間の空間のインピーダンスを算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段で算出した各クライアント端末のインピーダンスを基に、各クライアント端末の受信エラー率を算出する第2の算出手段と、を有し、
前記第2の算出手段で算出した各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定することを特徴とする請求項1または2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記第2の算出手段は、
特定のアプリケーションの映像データを無線伝送しているクライアント端末の受信エラー率に対しては、特定のアプリケーションの映像データに応じた重み付けを行い、受信エラー率が高くなるように算出することを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記第2の算出手段は、
各クライアント端末の受信エラー率に対し、前記サーバ装置と、各クライアント端末と、の間で送受信するパケット数に応じた重み付けを行い、前記パケット数が多いほど受信エラー率が高くなるように、各クライアント端末の受信エラー率を算出することを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項6】
サーバ装置と、複数のクライアント端末と、を有し、映像データを前記サーバ装置から複数のクライアント端末に無線伝送する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
映像データを複数のクライアント端末に無線伝送するサーバ装置で行う制御方法であって、
各クライアント端末の受信エラー率の中で、受信エラー率が最も高いクライアント端末を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定したクライアント端末の受信エラー率が所定の閾値以下となるように、前記サーバ装置の前記無線伝送に使用する送信電力値を変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−130027(P2011−130027A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284456(P2009−284456)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
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