説明

シクロオレフィンコポリマー、その製造方法、及びその使用、並びに触媒

【課題】ラセミ結合した2連子の多環ユニット、および3連子の多環ユニットによって特徴づけられるシクロオレフィンコポリマー、それらの製造方法、およびこれらの方法に使用可能な選択触媒を提供すること。
【解決手段】重心−M−重心を含む平面に対してC対称性を有していないメタロセン触媒の存在下で多環オレフィンを直鎖オレフィンと共重合することによって、上記シクロオレフィンコポリマーを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のミクロ構造を有するラセミ結合したシクロオレフィンコポリマー、該コポリマーの製造方法、該製造方法に使用可能な選択された触媒、およびシクロオレフィンコポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロオレフィンコポリマーの巨視的な性質は、ポリマー鎖のミクロ構造に依存する。ポリマー鎖のミクロ構造は、用いた触媒のタイプに影響される。
R.A.Wendt、G.Fink、Macromol.Chem.Phys.,2001,202,3490は、様々な触媒系を用いて製造されたエタン/ノルボルネンコポリマーのミクロ構造について研究している。ノルボルネンは、ブロックを形成する傾向をほとんど示さないため、もっとも良く知られた触媒を過剰のノルボルネンと共に用いた場合、交互コポリマーが生成する。しかしながら、ラセミ結合およびメソメリー結合したノルボルネン2連子(diad)の例も記載されている。例えば、ラセミ結合したノルボルネン2連子は、触媒系Me2C(Cp)(Flu)ZrCl2(Me=メチル、Cp=シクロペンタジエニル、Flu=フルオレニル)を用いて製造することができる。さらに、メソメリー結合した2連子を有するエタン/ノルボルネンコポリマーは、Me2Si[Ind]2ZrCl2触媒(Ind=インデニル)を用いて製造され、13C-NMRスペクトルで34.5〜40.5ppmにシグナルを示す。これらのシグナルは、おそらくノルボルネン3連子(triad)に帰属されるはずである。しかしながら、著者らは、ラセミ結合した2連子を含み、また、13C-NMRスペクトルで34.5〜40.5ppmにシグナルを示すコポリマーを製造することに成功しなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、本発明の目的は、ラセミ結合した2連子の多環ユニットおよび3連子の多環ユニットを有し、さらに13C-NMRスペクトルで34.5〜40.5ppmの範囲にノルボルネン-エチレン系のシグナルを含む、新規のミクロ構造を有するシクロオレフィンコポリマー、その製造方法、および該製造方法に使用可能な選択触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、独立請求項1および13の特徴事項によって達成される。
本発明の具体的実施態様は、従属請求項に規定されている。
意外なことに、重心−金属−重心を含む平面に対してCS対称を示さない特別なメタロセン触媒は、シクロオレフィンと1-オレフィンとの共重合に適しており、該触媒を用いることによって特別なミクロ構造を有するコポリマーを提供できることがわかった。
【0005】
このミクロ構造は、ラセミ2連子の繰り返し多環単位の存在、また、さらなる繰り返し多環単位によって特徴づけられている。エチレン−ノルボルネンコポリマー内のラセミ結合されたノルボルネン2連子は13C-NMRにおいて特徴的なシグナルを有する。この特徴的シグナルは、29.44ppmおよび31.24ppmの化学シフトを示す(用いられた溶媒はC22Cl4であり、平均溶媒シグナルは74.00ppmの化学シフトを有する)。さらなる繰り返し多環ユニットの場合、該ユニットは、エチレン−ノルボルネンコポリマーの場合13C-NMRスペクトルで34.5〜40.5ppmにさらなるシグナルを生成するラセミシクロオレフィン3連子であると考えられる。2連子は、互いに直接連結した2個の多環オレフィンユニットと定義され、3連子は互いに直接連結した3個の多環オレフィンユニットと定義される。
【0006】
本発明では、重心は、錯形成によって金属と連結されるシクロペンタジエニル環の中心を意味すると理解されるべきである。これは、シクロペンタジエニル配位子、または置換されたシクロペンタジエニル配位子、又は、高い縮合度を有し、シクロペンタジエニル環を有し、任意に置換されてもよい配位子であり得る。
【0007】
対称平面を示す平面は、金属原子と2つの重心からなる中心によって定義される。本発明による方法に用いられる触媒は、この平面に対してCS対称ではない。
これらのメタロセン触媒の中には、すでに1−オレフィンの重合に用いられているものがある。
【0008】
Fierro、Ricardoらの論文「プロピレン重合の触媒のためのジルコノセン不斉前駆体」、J.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.,1994,32(15)、2817-24の中で、ラセミイソプロピリデン(1−η5−シクロペンタジエニル)−(η5−インデニル)−ジクロロジルコニウムおよびその3−メチルインデニル誘導体を用いたプロピレン重合について記載されている。両誘導体は、プロピレン重合において類似の生成物を作り出す。
【0009】
JP−A−05/043619は、トルエン中のイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジリコニウムジクロリドおよびメチルアルミノキサン存在下でのエテンの重合について記載している。該重合では、分枝ポリエチレンが、コモノマーの付加なしに形成される。
【0010】
Leino、Rekoらの論文「C1対称群4アンサ−メタロセン触媒でのシンジオ特異性プロピレン重合」、Macromolecules(2001)、34(7)、2072〜2082の中には、架橋され置換されたシクロペンタジエニル−3−R−インデニルメタロセンについて記載されている。該触媒を用いたプロペンの重合により、シンジオタクティックポリプロピレンが形成される。
【0011】
JP−A−52/02124は、メタロセン触媒およびアルミノキサン存在下での1−オレフィンの重合について記載する。メタロセン触媒は、架橋されたシクロペンタジエニルサンドウィッチ構造を有し、シクロペンタジエニル環の一つが置換されている。
【0012】
Yoon、Sung Cheolらの「アンサ−ジルコノセン、Me2X(Cp)(RInd)ZrCl(X=C、Si、R=2−p−トリルまたは3−p−トリル)の合成、構造および触媒特性」、J.Organomet.Chem.,1997,534(1-2)、81〜87は、シンジオタクティックポリプロペンを製造するための触媒を提供する目的で開発された新規のメタロセン錯体について述べている。しかしながら、合成された錯体は、わずかなシンジオ特異性を示すのみである。
【0013】
Gomez、Fernando J.らの論文「C1−対称アンサ−メタロセン触媒を用いるシンジオ特異性プロピレン重合:置換基および架橋効果」、Macromolecules(2002)、35(9)、3358−3368は、多数のC1−対称アンサ−メタロセン([MeX(Cp)(2−R−3−R−Ind)]ZrCl、X=C、Si、R=H、Me;R=Me、Et、CHSiMe)の合成、およびプロペン重合における該触媒挙動について記載する。置換基の大きさ、置換基パターンおよび架橋単位によって、異なる高いシンジオタクティック度([rrrr]=28−66%)を有するポリプロピレンが得られた。
【0014】
本発明に従って、1−オレフィンとシクロオレフィンとの共重合方法が提供される。本方法は、少なくとも1個の下記式(I)のシクロオレフィン:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、
nは、0または1であり、
mは、0または正の整数、好ましくは0、1または2であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに独立的に、水素、ハロゲン、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびC1-40-アルコキシ基からなる群より選択され、
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、互いに独立的に、水素および脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、
17、R18、R19、R20は、互いに独立的に、水素、ハロゲンおよび脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、R17とR18は、単一環、または複数環を含む環系を形成するような方法で、互いに結合することが可能であり、該環(類)は飽和または不飽和であることが可能である。)
を、少なくとも1個の式(II)の1−オレフィン:
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R21およびR22は、互いに独立的に、水素および炭化水素基からなる群より選択される。)
と、選択されたメタロセン触媒の存在下で重合させることを含む。
【0019】
好ましくは、式(I)のシクロオレフィン(式中、nは0であり、mは0または1であり、R、R、R15、R16,R17およびR19は水素であり、さらに、R1、R2、R5、R、R18およびR20は、互いに独立的に、水素、C6-10-アリール基およびC1-8アルキル基からなる群より選択される)を用いる。
【0020】
さらに好ましくは、式(II)の1−オレフィン(式中、R21及びR22は、互いに独立的に、水素、C6-10アリール基およびC1-20アルキル基からなる群より選択される。)を用いる。式(II)の1−オレフィンの特に好ましい例は、エテンおよびプロペンである。
【0021】
エテンとノルボルネンの共重合が特に好ましい。
本発明によるコポリマーは、環保存重合(ring-retaining polymerization)で製造される、すなわち、使用されたモノマーユニットの二環構造または多環構造が重合中に保存される。
【0022】
本発明に従って、用いられた触媒系は、以下の式(III)のメタロセン化合物:
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、Mは、元素周期表のIIIb、IVb、VbおよびVIb族の金属であり、好ましくはIV族の金属、特に好ましいのはジルコニウムであり、
31及びR32は、同一であるか又は異なっていて、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、これらのアルキル基はすべて、飽和または不飽和であってよく、R31及びR32は好ましくはハロゲン、特に好ましくは塩素であり、LおよびLは、互いに独立的に、各々の場合で、少なくとも1個のシクロペンタジエニル環を含む配位子であり、メタロセン化合物が重心―M―重心を含む平面に対してCS対称でないように、基R31、R32、L1およびL2を選択する)
を含む触媒系である。
【0025】
配位子L1およびL2の例は、不飽和および飽和のシクロペンタジエニル配位子又は不飽和および飽和のインデニル配位子である。
本発明に従って、以下の式(IIIa)のメタロセン化合物:
【0026】
【化4】

【0027】
を含む触媒系が、用いられることが好ましい。Mは、元素周期表のIIIb、IVb、VbおよびVIB族の金属である。Mは、好ましくはIV族の金属、特に好ましいのはジルコニウムである。
【0028】
31およびR32は、同一であるか又は異なっていて、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基及びC7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、アルキル基はすべて飽和または不飽和であり得る。R31およびR32は、好ましくはハロゲンであり、特に好ましくは塩素である。
【0029】
33、R34、R35、R37、R38、R39、R310、R311およびR312は、同一であっても、異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、アルキル基はすべて飽和又は不飽和であることが可能である。基R33、R34、R35およびR37からの1組以上のα-置換されているペア、および基R38、R39、R310、R311およびR312からの1組以上のα-置換されているペアは、1個以上の環を形成するように、一緒にアルキル鎖を形成して良い。R37およびR38は、好ましくはC1-20-アルキレン架橋を形成し、特に好ましくはメチレン架橋、特にアルキル-置換又はアリール-置換(特に2つのフェニルラジカルまたは2つのメチルラジカルによって置換されている)のメチレン架橋を形成する。
【0030】
式IIIaの化合物に決定的に重要なことは、置換基R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R310、R311およびR312は、メタロセン化合物が重心―M―重心を含む平面に対してCS対称を持たないように、選択されることである。
【0031】
式IIIaの触媒(式中、R37およびR38は一緒になってC1-C20-アルキレン架橋を、特にアルキル-置換またはフェニル-置換されたメチレン架橋を形成し、R33、R34、R35およびR36は水素であり、R39およびR312は、互いに独立的に、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、さらに、R310およびR311は、異なっており、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、すべてのアルキル基が飽和されているか又は不飽和であることが可能である。)を、用いることが特に好ましい。
【0032】
式(IV)のメタロセン化合物
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、
Mは、元素周期表のIIIb、IVb、VbおよびVIb族の金属であり、好ましくはIV族の金属、とりわけ特に好ましくはジルコニウムであり、
313およびR313aは、互いに独立的に、水素、C1-C4-アルキルまたはアリールからなる群から選択され、特に水素、メチルおよびフェニルから選択され、好ましくは基R313またはR313aの少なくとも一つは水素ではなく、
311は、水素、C1-C4-アルキルおよびアリールからなる群、好ましくはメチル、エチル、イソプロパニル、tert-ブチルおよびフェニルからなる群より選択され、また、
312は、水素およびC1-C4-アルキルからなる群、好ましくは水素およびメチルからなる群より選択される)
を用いることが、とりわけ特に好ましい。
【0035】
式IV化合物(式中、基R311、R312、R313またはR313aの少なくとも一つがアリール、好ましくはフェニルであるか、または、式中、R311若しくはR312がtert-ブチルである)は新規化合物であり、本発明の主題でもある。アリール置換基を含む化合物は、共重合において長期間の活性を保証する、錯体の高い安定性によって特徴づけられる。
【0036】
同様に特に好ましく用いられるメタロセン触媒の例は、以下に示す式(1)〜(7)の化合物:
【0037】
【化6】

【0038】
である。
本発明による方法では、アルミノキサンは、好ましくは線状型の式VIaおよび/または環状型の式VIbを有し、
【0039】
【化7】

【0040】
(式VIaおよび式VIbの中で、基Rは、同一であるか又は異なっており、C1-C6アルキル基、C6-C18-アリール基、ベンジルまたは水素であり、また、pは、2−50の整数、好ましくは10−35であり、好ましくは助触媒として用いられる。好ましくは、基Rは同一であり、メチル、イソブチル、フェニルまたはベンジル、好ましくはメチルである。
【0041】
基Rが異なる場合、Rは、好ましくは、メチルと水素、または、メチルとイソブチルであり、水素またはイソブチルは、好ましくは(基Rの)0.01〜40%の割合の数で存在する。
【0042】
アルミノキサンを、既知の方法を用いた様々な方法で製造できる。ある方法では、例えば、アルミニウム−炭化水素化合物および/またはヒドリドアルミニウム−炭化水素化合物を、水(気体、固体、液体または結合された状態、例えば結晶水として)と、不活性溶媒(例えばトルエン)中で反応させる。異なるアルキル基Rを有するアルミノキサンの製造では、2つの異なるトリアルキルアルミニウム(AlR’3+AlR”3)を、望ましい組成で、水と反応させる(S.Pasynkiewicz、Polyhedron,9,1990,429、EP−A−302 424)。アルミノキサンの正確な三次元構造は未知である。
【0043】
製造方法に関係なく、すべてのアルミノキサン溶液に共通なことは、未反応アルミニウム出発化合物の含量が様々であることであり、該化合物は遊離型または付加物として存在する。また、アルミノキサンを担体に付着させ、それを担体の形で懸濁液として用いることが可能である。担体に付着させるための複数の方法が知られており、例えばEP−A−578,838に記載されている。シリカゲルを担体として用いることができる。
【0044】
触媒、特にアルミノキサンを用いた重合反応に用いる前に、本発明の方法に用いられるメタロセンを前もって活性化することが可能である。この活性化は、その後の重合活性を増加させる。
【0045】
遷移金属化合物の前活性化(preactivation)は、溶液中で行われる。好ましくは、メタロセンを不活性炭化水素中のアルミノキサン溶液中に溶解する。適当な不活性炭化水素は、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素である。好ましくはトルエンを用いる。
【0046】
溶液中のアルミノキサン濃度は、約1重量%から飽和限界までの範囲であり、好ましくはそれぞれの場合で全溶液を基準にして、5〜30重量%である。メタロセンも同濃度で用いることができるが、好ましくはアルミノキサン1モルに対して10-4〜1モルの範囲で用いられる。前活性化時間は、5分〜6時間であり、好ましくは5〜60分である。用いられる温度は、−78〜100℃、好ましくは0〜70℃である。
【0047】
メタロセンを用いて前重合(prepolymerization)を行うことができる。単独で重合に用いられるオレフィン又は重合に用いられる複数のオレフィンの一つを前重合に用いることが好ましい。
【0048】
また、メタロセンを担体に付着させることもできる。好適な担体は、例えば、シリカゲル、アルミナ、固体アルミノキサンまたはその他の無機担体物質である。その他の好適な担体物質は、微細粉砕型のポリオレフィン粉末である。
【0049】
本発明の方法の更に期待される展開として、式R3NH4−xBR44または式R33PHBR44の塩様化合物を助触媒として、アルミノキサンの代わりに、またはアルミノキサンに加えて用いる。ここでは、x=1、2または3であり、R3’=アルキルまたはアリールであり、同一または異なっており、また、R4’=アリールであり、フッ素化、または部分的にフッ素化されていてもよい。この場合、触媒は、該化合物(EP−A−277004)の一つとメタロセンの反応生成物からなる。
【0050】
溶媒を反応混合物に加える場合、脂肪族あるいは環状脂肪族炭化水素、ガソリン留分あるいは水素化ディーゼル油留分またはトルエンのような慣用の不活性溶媒を、本目的のために用いても良い。
【0051】
メタロセンは、好ましくは、遷移金属を基準として、反応器容量1dmあたり10-1〜10-8モル、好ましくは10-2〜10-7モル、特に好ましくは10-3〜10-7モルの遷移金属/dm3(反応容量)の濃度で用いられる。アルミノキサンは、アルミニウム含量を基準として、濃度10-4から10-1、好ましくは10-4〜2×10-2モルで用いられる。しかしながら、原理的には、より高い濃度もまた可能である。
【0052】
本発明により製造されたコポリマーは、新たなミクロ構造によって特徴づけられる。これらのコポリマーを、任意の好ましい型の成形製品に用いることができる。任意の所望の成型方法、例えば、射出成形、射出ブロー成形または押出しを用いることが可能である。
【0053】
特に、本発明によるコポリマーは、フィルム、光学成分または透明容器の製造に用いられる。フィルムは、好ましくは、光学フィルムとして、ブリスターフィルムとして、または他の型のパッケージングフィルムとして用いられる。光学部品の領域では、好ましくは、レンズ、プリズムおよび光学ウェーブガイドプレートまたは診断に用いられるミクロタイタープレートの名があげられてよい。透明容器は、好ましくは医療技術、例えばシリンジバレルに用いられる。
【0054】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、これによって制限されるものではない。
【実施例】
【0055】
重合実験に用いられるメタロセンを、文献に記載されている一般的な合成方法によって製造した。有機金属化合物の空気との反応性および水分との反応性のため、全作業を、圧力軽減バルブを有する閉鎖系装置内で、Schlenkテクニックによってアルゴン不活性ガス大気下で行った。使用前にガラス装置を真空にして不活性ガスをフラッシュした。大気圧を超える不活性ガス圧力による閉鎖系G3フリットを通してろ過を行った。触媒合成のろ過の場合、ろ過が妨害されないために、Celite(登録商標)層(約3cm)をさらに適用した。用いられた不活性ガスは、Messer社から入手した純度99.998%を有するアルゴンであった。
【0056】
化合物(5)([Ph2C(Cp)(3-MeInd)]ZrCl2)の合成は、用いたメタロセン製造の典型例として記載されるべきである。
1−メチルインデン/3-メチルインデンの合成
トルエン中の2.5M n-ブチルリチウム溶液140ml(0.35mol) を、0℃で、滴下漏斗を装備した500ml四ツ口フラスコ内に入れた200mlTHF中の45.0gインデン(0.35mol)溶液に、30分かけて滴下した。室温まで加温した後、溶液をさらに1時間攪拌した。その後、再度0℃に冷却し、99.4g(0.70mol)のヨードメタンを2時間かけて滴下した。室温まで加温した後、攪拌をさらに24時間行った。溶媒を、浴温40℃、100mbarで、ロータリーエバポレーターで蒸留した。200mlペンタンでの振とうを3回繰り返して、黒色残留物を抽出した。ペンタン留分を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した後、粗生成物を25cmビグルー(Vigreux)カラムで分画した。28.6g(0.22mol:収率63%)の無色のメチルインデンを、ダイアフラムポンプを用いて得られた真空(19mbar)下、上部温度71−73℃で得た。1H−NMRスペクトルは、1−および3−メチリンデンの異性体混合物(比率1:1)を示している。
1H-NMR(CDCl3、TMS、δppm):7.44−7.16(4H、m、芳香族プロトン);6.76(1H、dd、C環上のオレフィンプロトン;1-メチルインデン);6.46(1H、dd、C環上のオレフィンプロトン;1-メチルインデン);6.18(1H、m、C環上のオレフィンプロトン;3-メチルインデン);3.47(1H、m、C環上の脂肪族プロトン;1-メチルインデン);3.29(2H、m、C環上の脂肪族プロトン;3-メチルインデン);2.16(3H、m、-CH3;3-メチルインデン);1.30(3H、d、-CH3;1-メチルインデン)
6,6−ジフェニルフルベンの合成
最初に、78.0g(0.24mol)のナトリウムメチラート溶液を、50℃で500mlの四つ口フラスコに入れ、次に、45.6g(0.25mol)のベンゾフェノンを加えた。完全に溶解したのち、20g(0.30mol)の新たに蒸留されたシクロペンタジエンを、30分かけて45〜50℃で滴下した。滴下終了後、さらに2時間室温で攪拌すると、暗赤色の懸濁液が形成された。これをG3フリットでろ過し、固体を一回当たり25mlのエタノールで4回洗浄した。オイルポンプで真空にして乾燥させた後、47.1g(0.20mol;収率82%)の赤色6,6-ジフェニルフルベンを得た。
H-NMR(CDCl3、TMS、δppm):7.42−7.32(10H、芳香族プロトン);6.62(2H、m、オレフィンプロトン);6.32(2H、m、オレフィンプロトン)
1−(シクロペンタ−1,3−ジエニルジフェニルメチル)−3−メチル−1H−インデンの合成
トルエン中の2.5Mのn-ブチルリチウム溶液(31.4ml、78.3mmol)を、滴下漏斗を装備した250mlの4ツ口フラスコ内に入れた100mlのジエチルエーテル中の10.2g(78.3mmol)の1−メチルインデン/3−メチルインデン溶液に、0℃で5分間かけて加えた。室温に加温した後、溶液をさらに1時間攪拌した。その後、再び0℃に冷却し、10mlのジエチルエーテル中に18.0g(78.3mmol)の6,6-ジフェニルフルベンを含む溶液を10分間かけて滴下した。さらに3時間室温で攪拌した。ベージュ色の懸濁液を、氷水/5.9g(1eq)の氷酢酸上に注いだ。相を分離し、水相を一回につき30mlのジメチルエーテルで3回抽出した。集めた有機相を1回あたり30mlの水で3回、30mlの飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、黄色のオイルを−20℃で一晩保存した。種入れ後、白色の結晶が晶出し、これを約0℃で10mlのペンタン中に懸濁し、フリット上で吸引ろ過した。オイルポンプで真空にして乾燥した後、15.5g(43.0mmol;収率55%)の白色粉末(配位子化合物)が得られた。1H-NMRスペクトルは、1−(シクロペンタ−1,3−ジエニルジフェニルメチル)−3−メチル−1H−インデンおよび1−(シクロペンタ−1,4−ジエニルジフェニルメチル)−3−メチル−1H−インデンの異性体混合物を示している。
1H−NMR(CDCl3、TMS、δppm):7.45−6.89(14H、m、芳香族プロトン、ブロード);6.43−6.16(4H、m、C環上プロトン、ブロード);4.87(1H、m、インデン上のメチンプロトン);3.04(2H、s、Cp上のメチレンプロトン);1.86(3H、m、-C3)。
【0057】
化合物(5)([Ph2C(Cp)(3−MeInd)]ZrCl2)の合成
トルエン中の2.5Mのn-ブチルリチウム溶液8.4ml(21mmol)を、100mlの三ツ口フラスコ中に入れた50mlトルエン/3.2ml(40mmol)THF中の1−(シクロペンタ−1,3−ジエニルジフェニルメチル)−3−メチル−1H−インデン3.6g(10mmol)溶液に、0℃で2分間かけて滴下した。オレンジ色の溶液を2時間50℃で攪拌した。0℃に冷却した後、2.3g(10mmol)の四塩化ジルコニウムを一回で加えた。室温まで加温した後、赤色懸濁液をさらに3時間攪拌した。この懸濁液を80℃の200mlトルエンに注ぎ入れた。5分間攪拌を行い、懸濁液を、Celite層を有するG3フリットでろ過し、ろ過残さを80℃の20mlトルエンで3回洗浄した。集めたろ液を約150mlになるまで真空で濃縮し、−20℃に一晩置いた。晶出した固体をG3フリットで溶かし、少量の冷トルエンで洗浄した。オイルポンプで真空にして乾燥させた後、4.1g(6.33mmol、収率63%、トルエンを含まないものとして計算した)のオレンジ色の[Ph2C(Cp)(3−MeInd)]ZrCl2を得た。メタロセンは未だ58mol%のトルエンを含んでいた。
1H-NMR(CDCl3、δppm):7.83−6.66;6.23(14H、m、C環上のプロトン);6.56−6.50;5.52−5.47(5H、m、C5環上のプロトン);2.39(3H、s、-C3
実施例1−51
重合実験はすべて、以下に記載の方法に従って、1.5リットルのスチールオートクレーブ内で行った。最大許容内部操作圧力は25barであった。過熱水蒸気とプロセス水をポンプで循環させ、自動調温を行った。磁気クラッチを通して直接運転されるクロスビームスターラーを用いて徹底的に混合した。70℃、トルエン溶媒中で重合を行った。攪拌速度は850rpmであった。
【0058】
重合に必要なメタロセンの量を、20〜30gのポリマーが得られるように算出した。触媒溶液を製造するために、通常、約10mgのメタロセンを正確に計り取り、10mlのメチルアルミノキサン(=MAO)(トルエン中10重量%のMAO)中に溶解した。必要量の触媒溶液をシリンジで計り取り、MAO溶液で最大で5mlにした。非常に弱い活性触媒系の場合、メタロセンを直接計り取り、5mlのMAO中に溶解した。個別の実験に用いたメチルアルミノキサンの総量は、1.34gのMAO(21.4mmolのAl)であった。
【0059】
個々の重合の前に、オートクレーブに1リットルのExxsol(登録商標)に10mlのMAO溶液を入れて90℃で煮沸することによって、オートクレーブを洗浄した。ノルボルネンをアルゴン逆流でオートクレーブ内に導入し、10mlのMAO溶液を加えた。所望の反応温度でコモノマーを自動調温した後、触媒溶液をシリンジで加えた。必要なエテン圧力を攪拌で加え、全反応時間の間、圧力減少剤(装置)によって一定に保った。エテンの消費をフローメーターによってモニターした。反応容量は600ml、反応時間は15分間であった。
【0060】
重合の後、エテン供給を停止し、過剰な圧力を放出した。反応溶液を、スクリューキャップの付いた瓶に移し、約300mlのトルエンで希釈した。コポリマーを沈殿させるために、希釈反応溶液を約1リットルのアセトン中に激しく攪拌しながら(Ultra Turrax)
(登録商標)、ゆっくり加え、さらに、3mlの37%塩酸を加えた。沈殿したコポリマーをブフナー漏斗上でろ過して取り、アセトンおよび水で再度洗浄した。真空乾燥オーブン内、60℃で一晩乾燥させた。
【0061】
重合実験では、以下のメタロセンを触媒として用いた。
【0062】
【化8】

【0063】
これらの実験により得られたポリマーを、13C-NMR分光器で測定した。測定は、BruckerのDMX 500 NMRスペクトロメーターで、353Kで行った。この目的のために、200〜300mgのポリマーを、10mm NMRチューブ中、3mlの1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中で温度を上げて溶解した。完全な13C-NMRスペクトルを得るために、逆ゲート付きデカップリング法(inverse gated decoupling method)で測定を行った。スピン-格子緩和および核オーバーハウザー効果(NOE)は、その後もはやシグナル強度に全く影響を与えない。ケミカルシフトは、1,1,2,2−テトラクロロエタン、74.24ppmを基準とした。スペクトルは、BruckerからのWIN-NMRプログラムを用いて評価した。最も重要なパラメーターを以下に示す。
【0064】
測定周波数 125.75 MHz
測定温度 353 K
スイープ幅 39682 Hz
緩和時間 7.4 秒
スキャン数 5104
溶媒 C22Cl4
ガラス遷移温度を、Perkin−Elmer社(DSC 7型)の装置を用いた示差走査熱量計(DSC)によって測定した。この目的のために、4〜6mgのポリマーをアルミニウムるつぼ内に計り取り、−10℃から200〜300℃までの温度範囲で溶解した。ガラス転移温度を第二加熱曲線の測定から決定した。加熱速度および冷却速度は20K/分であった。
【0065】
ポリマーの換算粘度(粘度数)を、Ubbelohde粘度計(キャピラリー0a)を用いて測定した。この目的のために、溶媒およびポリマー溶液の動的粘性を測定した。ポリマー溶液の濃度は、100mlデカリン中の500mgポリマー(135℃)であり、室温でのデカリン容量に変換するための補正率は0.9であった、1g/LのIrganox 1010(登録商標)を熱安定化のためにデカリンに加えた。135℃でLauda社のプロセス粘度測定システムPVS1(バージョン2.45)を用いて、測定を行った。
【0066】
【数1】

【0067】
式中、ηred 換算粘度(粘度数) ml/g
η 溶液の動的粘性 mPas
η0 溶媒の動的粘性 mPas
c 濃度 g/ml
重合実験のさらなる実験条件および結果を以下の表に示す。個々の実験でのスペクトルを添付図に示す。
【0068】
【表1−1】

【0069】
【表1−2】

【0070】
【表2−1】

【0071】
【表2−2】

【0072】
【表2−3】

【0073】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】メタロセン(V1)、(V2)、(5)および(7)のそれぞれについてMAOと組み合わせて製造したエテン/ノルボルネンコポリマーの13C-NMRスペクトル(X≒0.53)。
【図2】[Me2C(Cp)(3-PhInd)ZrCl2(7)/MAOの系を用いて製造した、ノルボルネン含量の異なるエテン/ノルボルネンコポリマーの13C-NMRスペクトル。
【図3】[PhC(Cp)(Flu)]ZrCl(V2)/MAOの系を用いて製造した、ノルボルネン含量の異なるエテン/ノルボルネンコポリマーの13C-NMRスペクトル。
【図4】[MeC(Cp)(3-MeInd)]ZrCl(1)/MAOの系を用いて製造した、エテン/ノルボルネンコポリマー(X=0.67)の13C-NMRスペクトル。
【図5】[MeC(Cp)(3-iPrInd)]ZrCl(3)/MAOの系を用いて製造した、エテン/ノルボルネンコポリマー(X=0.67)の13C-NMRスペクトル。
【図6】[PhC(Cp)(3-MeInd)]ZrCl(5)/MAOの系を用いて製造した、エテン/ノルボルネンコポリマー(X=0.67)の13C-NMRスペクトル。
【図7】[MeC(Cp)(2,3-MeInd)]ZrCl(6)/MAOの系を用いて製造した、エテン/ノルボルネンコポリマー(X=0.66)の13C-NMRスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィンコポリマーの製造方法であって、
a)少なくとも1個の一般式(I)のシクロオレフィン:
【化1】

(式中、
nは0または1であり、
mは0または正の整数であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに独立的に、水素、ハロゲン、環状および非環状の分枝鎖および直鎖脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基からなる群より選択され、
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、互いに独立的に、水素および脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、
17、R18、R19、R20は、互いに独立的に、水素、ハロゲンおよび脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、
また、R17とR18は、単一の環、または複数の環を含む環系を形成するような方法で、互いに結合することが可能であり、該環は飽和または不飽和であることが可能である。)
を、
b)少なくとも1個の式(II)の1−オレフィン:
【化2】

(式中、R21およびR22は、互いに独立的に、水素およびC1-20-アルキル基からなる群より選択される。)
と一緒に重合することによる製造方法であって、前記シクロオレフィンコポリマーを製造するために、前記シクロオレフィンおよび前記コモノマーを、一般式(III)のメタロセン化合物:
【化3】

(式中、
Mは、元素周期表のIIIb、IVb、VbおよびVIb族の金属であり、
31およびR32は、同一または異なっており、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、該アルキル基はすべて、飽和または不飽和であることが可能であり、また、
1およびL2は、互いに独立的に、それぞれの場合に、少なくとも1個のシクロペンタジエニル環を含む配位子であり、基R31、R32、L1およびL2は、メタロセン化合物が重心−M−重心を含む平面に関してCS対称を持たないように選択される。)
を含む触媒系の存在下で重合させる、前記シクロオレフィンコポリマーの製造方法。
【請求項2】
用いたメタロセン化合物が、一般式(IIIa)の化合物:
【化4】

(式中、M、R31およびR32は、請求項1に定義した意味を持ち、また、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R310、R311およびR312は、同一または異なっており、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、該アルキル基はすべて、飽和または不飽和であることが可能であり、また、R37およびR38はC1-20-アルキレン架橋を形成することが可能であり、基R33、R34、R35、R36およびR37からなる群からの1組以上のα−置換されているペア、及び、R38、R39、R310、R311およびR312からなる群からの1組以上のα−置換されているペアが一緒になって、1個以上の環が形成されるように分枝鎖または直鎖のC3-18-アルキル基を形成することが可能であり、また、メタロセン化合物が重心−M−重心を含む平面に関してCS対称を持たないように、置換基R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R310、R311およびR312を選択する。)
である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Mが元素周期表のIV族の金属からなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Mがジルコニウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
37およびR38は一緒になってC1-C20-アルキレン架橋、特にアルキル置換またはアリール置換メチレン架橋を形成し、
33、R34、R35およびR36は水素であり、
39およびR312は、互いに独立的に、水素、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、また、
310およびR311は異なっており、ハロゲン原子、C1-40-アルキル基、C1-40-アルコキシ基、C6-10-アリール基、C6-10-アリールオキシ基、C7-40-アリールアルキル基、C7-40-アルキルアリール基からなる群より選択され、アルキル基のすべてが飽和または不飽和であることが可能である、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
メタロセン化合物が、式(IV):
【化5】

(式中、
Mは、元素周期表のIIIb、IVbおよびVIb族の金属であり、
313およびR313aは、互いに独立的に、水素、C1-C4-アルキルまたはアリールからなる群より選択され、
311は、水素、C1-C4-アルキルおよびアリールからなる群より選択され、また、
312は、水素およびC1-C4-アルキルからなる群より選択される。)
に相当する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
Mは、IV族の金属であり、ジルコニウムが特に好ましく、
313およびR313aは、互いに独立的に、水素、メチルおよびフェニルからなる群より選択され、ラジカルR313またはR313aの少なくとも一つは水素ではなく、
311は、メチル、エチル、イソプロパニル、tert-ブチルおよびフェニルからなる群より選択され、
312は水素およびメチルからなる群より選択される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
触媒が、以下の式の化合物:
【化6】

からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
式Vaおよび/またはVbの1以上のアルミノキサン:
【化7】

(式Vaおよび式Vb中、基Rは、同一であるか又は異なっており、C1-C6-アルキル基、C-C18-アリール基、ベンジルまたは水素であり、また、Pは2〜50、好ましくは10〜35の整数である。)
を助触媒として用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
エテンおよびノルボルネンをコモノマーとして用いる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式R3xNH4−xBR44または式R33PHBR44の塩様化合物(式中、X=1、2または3であり、R3’=アルキルまたはアリールであり、同一であるか又は異なっており、また、R4’=アリールでありフッ素化または部分的にフッ素化されていてよい)を助触媒として用いる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)のメタロセン化合物。
【化8】

(式中、
Mは、元素周期表IIIb、IVb、VbおよびVIb族の金属であり、
313およびR313aは、互いに独立的に、水素、C1-C4-アルキルおよびアリールからなる群より選択され、
311は、水素、C1-C4-アルキルおよびアリールからなる群より選択され、また、
312は、水素およびC1-C4-アルキルからなる群より選択される、ただし、
基R311、R312、R313及びR314の少なくとも一つがアリール、好ましくはフェニルであるか、またはR311またはR312がtert-ブチルである。)
【請求項13】
非開環重合によって製造される、シクロオレフィンコポリマーであって、
a)少なくとも1個の一般式(I)のシクロオレフィン:
【化9】

(式中、
nは0または1であり、
mは0または正の整数であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに独立的に、水素、ハロゲン、環状ならびに非環状の分枝鎖および直鎖脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基ならびにアルコキシ基からなる群より選択され、
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、互いに独立的に、水素および脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、
17、R18、R19、R20は、互いに独立的に、水素、ハロゲンおよび脂肪族炭化水素基からなる群より選択され、
17とR19は、互いに結合して、単一の環、または複数の環を含む環系を形成することが可能であり、該環は、飽和または不飽和であることが可能である。)
を、
b)少なくとも1個の式(II)の1−オレフィン:
【化10】

(式中、R21およびR22は、互いに独立的に、水素およびC1-20-アルキル基からなる群より選択され、シクロオレフィンコポリマーは、繰り返し多環単位のラセミ2連子、さらに繰り返し多環単位のラセミ3連子を含む。)
と、非開環重合させることによって製造される前記シクロオレフィンコポリマー。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された方法によって製造される、請求項13に記載のシクロオレフィンコポリマー。
【請求項15】
該コポリマーが、ノルボルネンおよびエチレン、そして所望によりそれらと共重合可能な更なるモノマーから誘導される、請求項13または14に記載のシクロオレフィンコポリマー。
【請求項16】
13C-NMRスペクトルで34.5〜40.5ppmの範囲にシグナルを有する、請求項15に記載のシクロオレフィンコポリマー。
【請求項17】
成形品の製造のための、請求項13〜16のいずれか一項に記載のシクロオレフィンコポリマーの使用。
【請求項18】
成形品が、フィルム、透明容器または透明部品である、請求項に17記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−285656(P2008−285656A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−85887(P2008−85887)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(506168679)トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】