説明

シミュレーションシステム及びプログラム

【課題】 半導体製造設備及び搬送ロボットが稼働できるまでの工期を短縮できるシミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】 シミュレーションシステム1は、半導体製造設備に備わる処理装置を制御する制御装置3と、処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットが動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするシミュレーション装置2と、制御装置3と前記シミュレーション装置2とを通信させるシリアル通信ケーブル4とを備える。制御装置3は、搬送ロボットの搬送動作を制御するために搬送ロボットに送信する制御指令をシミュレーション装置2に送信するようになっている。またシミュレーション装置2は、送信された制御指令が動作指令に対応している場合、対応する動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造設備に備わる処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションするシミュレーションシステム、及びそれを実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造設備には、半導体ウェハに熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理または平坦化処理等のプロセス処理を行なうための複数の処理装置と、これら複数の処理装置の処理動作を制御するための制御装置とを備えている。また、半導体製造設備内には、半導体ウェハを各処理装置に搬送するための搬送ロボットが設けられている。搬送ロボットは、制御装置とシリアル通信ケーブル又はパラレル通信ケーブルを介して通信可能に接続されており、制御装置から与えられる制御指令を受けて、移動、取り動作及び置き動作等の搬送動作をするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−28134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造設備の制御装置と搬送ロボットとは製造者が異なっていることが多く、各々の装置内で使用される通信プロトコルが特に決められていない。各製造者は、各装置において独自の通信プロトコルを採用していることが多い。そのため、各装置の通信プロトコルを何れか一方の通信プロトコルに合わせる必要があり、通信プロトコルを合わせる方の装置において、プログラムを修正する必要がある。
【0005】
各装置の通信プロトコルの確認等、各装置で使用されるプログラムにより搬送ロボットを動作させることができるか否かの確認(つまりプログラムの動作確認)は、完成した半導体製造設備及び搬送ロボットで確認する必要がある。また、プログラムの修正は、プログラムの動作確認をしながら修正箇所を特定する必要があり、プログラムの修正に多大な時間が必要である。それ故、半導体製造設備が稼働できるまでに多大な時間を要し、工期が長くなってしまう。また、プログラムの動作確認を実機で行なうと、プログラムに不具合等がある場合、搬送ロボットが半導体製造設備内の干渉部材に干渉して、搬送ロボット及び干渉部材が損傷するおそれがある。
【0006】
そこで本発明の目的は、半導体製造設備及び搬送ロボットが稼働できるまでの工期を短縮できるシミュレーションシステムを提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、搬送ロボットによる稼動テスト時において、搬送ロボットが半導体製造設備内の干渉部材と干渉することを抑えることができるシミュレーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシミュレーションシステムは、半導体製造設備に備わる処理装置を制御する制御装置と、前記処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットが動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするシミュレーション装置と、前記制御装置と前記シミュレーション装置とを通信させる通信手段とを備え、前記制御装置は、前記搬送ロボットの搬送動作を制御するために前記搬送ロボットに送信する制御指令をシミュレーション装置に送信し、前記シミュレーション装置は、送信された前記制御指令が前記動作指令に対応している場合、対応する前記動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするようになっているものである。
【0009】
本発明に従えば、制御指令がシミュレーション装置に送信されると、その制御指令が前記動作指令に対応している場合、対応する動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置がシミュレーションする。搬送動作のシミュレーションが実行されると、前記制御指令に応じて搬送ロボットの搬送動作を実行可能であることが確認できる。逆に、搬送動作のシミュレーションが実行されない場合、制御装置からの制御指令では、搬送ロボットの搬送動作を実行することができないことが確認できる。このように、半導体製造設備の制御装置及びシミュレーション装置があれば、半導体製造設備及び搬送ロボットの製造と並行して制御指令に応じて搬送ロボットが動作するか否かを確認することができる。これにより、半導体製造設備及び搬送ロボットが稼動できるまでの工期が短縮される。
【0010】
上記発明において、前記シミュレーション装置は、前記半導体製造設備に備わる干渉部材の位置を入力可能になっており、搬送動作をシミュレーションする際に、入力された前記干渉部材の位置に基づいて前記干渉部材が配置される半導体製造設備内における搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションするようになっていることが好ましい。
【0011】
上記構成に従えば、予め干渉部材の位置をシミュレーション装置に入力しておくことで、半導体製造設備内を搬送ロボットがどのように動作するかをシミュレーションにより確認することができる。これにより、搬送ロボット及び半導体ウェハが半導体製造設備内の干渉部材に干渉するか否かを予め確認しておくができ、搬送ロボットの稼動テスト時において、搬送ロボットが半導体製造設備の干渉部材に干渉することを抑えることができる。従って、搬送ロボットの稼動テスト時に、搬送ロボット及び半導体製造設備が損傷することを抑えることができる。
【0012】
上記発明において、前記シミュレーション装置は、前記搬送ロボットの搬送動作を表示する表示部を有することが好ましい。上記構成に従えば、搬送ロボットの搬送動作の確認が視覚的に可能となり、制御指令及び搬送動作との関係が把握しやすくなる。
【0013】
上記発明のプログラム、半導体製造設備に備わる処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットが動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置にてシミュレーションさせるためのプログラムであって、半導体製造設備に備わる処理装置の処理動作を制御する制御装置から前記搬送ロボットに送信して前記搬送ロボットの搬送動作を制御する制御指令が通信手段を介してシミュレーション装置に送信されると、送信された前記制御指令が前記動作指令に対応する場合、対応する前記動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置にシミュレーションさせるようになっているものである。
【0014】
上記構成に従えば、制御指令がシミュレーション装置に送信されると、その制御指令が前記動作指令に対応している場合、対応する動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置にシミュレーションさせることができる。搬送動作のシミュレーションが実行されると、前記制御指令に応じて搬送ロボットの搬送動作を実行可能であることが確認できる。逆に、搬送動作のシミュレーションが実行されない場合、制御装置からの制御指令では、搬送ロボットの搬送動作を実行することができないことが確認できる。このように、半導体製造設備の制御装置及びシミュレーション装置があれば、半導体製造設備及び搬送ロボットの製造と並行して制御指令に応じて搬送ロボットが動作するか否かを確認することができる。これにより、半導体製造設備及び搬送ロボットが稼動できるまでの工期が短縮される。
【0015】
上記発明において、前記搬送動作のシミュレーション時において、前記シミュレーション装置に入力される前記半導体製造設備に備わる干渉部材の位置に基づいて、前記干渉部材が配置される半導体製造設備内における搬送ロボットの搬送動作を前記シミュレーション装置にシミュレーションさせることが好ましい。
【0016】
上記構成に従えば、予め干渉部材の位置をシミュレーション装置に入力しておくことで、半導体製造設備内を搬送ロボットがどのように動作するかをシミュレーション装置にシミュレーションさせることができる。これにより、搬送ロボット及び半導体ウェハが半導体製造設備内の干渉部材に干渉するか否かを予め確認しておくができ、搬送ロボットの稼動テスト時において、搬送ロボットが半導体製造設備の干渉部材に干渉することを抑えることができる。従って、搬送ロボットの稼動テスト時に、搬送ロボット及び半導体製造設備が損傷することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、半導体製造設備及び搬送ロボットの製造と並行して製造装置からの制御指令に応じて搬送ロボットが動作するか否かを確認でき、半導体製造設備及び搬送ロボットが稼働できるまでの工期を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムを概略的に示す図面である。
【図2】シミュレーションシステムの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】シミュレーションシステムでシミュレーションされる搬送ロボットの斜視図である。
【図4】図3に示す搬送ロボットの平面図である。
【図5】シミュレーション装置における通信プロトコルの概略を説明するための図面である。
【図6】制御装置からシミュレーション装置にSERV信号が送信されたときの通信状態を示す図である。
【図7】制御装置からシミュレーション装置にHOMA信号が送信されたときの通信状態等を示す図であり、(a)は、HOMA信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、(b)は、HOMA信号に応じたハンド部の搬送動作を示す斜視図であり、(c)は、HOMA信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボットの姿勢を示す平面図である。
【図8】制御装置からシミュレーション装置にMOVP信号が送信されたときの通信状態等を示す図であり、(a)は、MOVP信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、(b)は、MOVP信号に応じたハンド部の搬送動作を示す斜視図であり、(c)は、MOVP信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボットの姿勢を示す平面図である。
【図9】制御装置からシミュレーション装置にGETS信号が送信されたときの通信状態等を示す図であり、(a)は、GETS信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、(b)は、GETS信号に応じたハンド部の搬送動作を示す斜視図であり、(c)は、GETS信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボットの姿勢を示す平面図である。
【図10】制御装置からシミュレーション装置にPUTS信号が送信されたときの通信状態等を示す図であり、(a)は、PUTS信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、(b)は、PUTS信号に応じたハンド部の搬送動作を示す斜視図であり、(c)は、PUTS信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボットの姿勢を示す平面図である。
【図11】制御装置からシミュレーション装置に複数の制御指令が順に送信されたときの通信状態を示す図である。
【図12】搬送ロボットが干渉部材に干渉したときの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るシミュレーションシステム1を概略的に示す図面である。図2は、シミュレーションシステム1の電気的な構成を示すブロック図である。半導体製造設備は、半導体ウェハに電子回路等を実装して半導体を製造するための装置であり、熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理または平坦化処理等のプロセス処理を行なうための複数の処理装置と、これら複数の処理装置の処理動作を制御するための制御装置とを備えている。また、半導体製造設備には、半導体ウェハを各処理装置へと搬送するための搬送ロボットが備わっている。搬送ロボットは、入力される動作指令に応じて搬送動作をするようになっている。搬送ロボットは、制御装置と通信可能に接続されており、制御装置から送信される制御指令を受け、この制御指令が何れかの動作指令に対応していると、その対応する動作指令に応じた搬送動作をするようになっている。
【0020】
図1に示すシミュレーションシステム1は、上記のような搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションするためのシステムであり、シミュレーション装置2と、半導体製造設備の制御装置3とを備える。シミュレーション装置2と制御装置3とは、シリアル通信ケーブル4により通信可能に接続されている。なお、シミュレーション装置2と制御装置3とを通信可能に接続する通信手段は、シリアル通信ケーブル4に限定するものではなく、パラレル通信ケーブルであってもよい。またこれらケーブルのように有線通信による通信手段に限定するものでもなく、赤外線及びブルートゥース等の無線通信が可能な通信手段であってもよい。
【0021】
シミュレーション装置2は、搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションし、その搬送動作を表示するための装置である。シミュレーション装置2は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理ユニット)11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、通信部15とを備え、記憶部12、表示部13、入力部14及び通信部15がCPU11と電気的に接続されている。
【0022】
CPU11は、記憶部12に記憶される種々のデータ及びプログラムに基づいて、後述する仮想搬送ロボット30を表示部13に表示させると共に、入力部14又は通信部15から入力される動作指令に応じて搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションし、シミュレーションの結果を表示部13に表示するようになっている。「仮想搬送ロボット30」とは、シミュレーション上の搬送ロボットであり、搬送ロボットの実機については、単に「搬送ロボット」という。
【0023】
表示部13は、本実施形態において、液晶ディスプレイで構成され、入力部14は、キーボードで構成されている。但し、表示部13は、CRTディスプレイであってもよく、シミュレーション結果を表示可能なものであればよい。また入力部14は、バーコードリーダであってもよく、動作指令を入力可能なものであればよい。通信部15には、シリアル通信ケーブル4が機械的及び電気的に接続されている。CPU11は、シリアル通信ケーブル4を介して、制御装置3に通信できるようになっている。
【0024】
制御装置3は、前述の通り、図示しない半導体製造設備の各処理装置の処理動作を制御するための装置である。また、制御装置3は、搬送ロボットに制御指令を与えて搬送ロボットの搬送動作を制御し、各処理装置間における半導体ウェハの移動を制御するようになっている。制御装置3は、パーソナルコンピュータであり、演算部21と、制御装置側記憶部22と、制御装置側入力部23と、制御装置側通信部24とを備え、制御装置側記憶部22、制御装置側入力部23及び制御装置側通信部24が演算部21に電気的に接続されている。
【0025】
演算部21は、制御装置側記憶部22に記憶される種々のデータ及びプログラムに基づいて各処理装置に処理指令を送信し、各処理装置を作動させるようになっている。制御装置側入力部23は、種々の指令を演算部21に入力可能になっている。制御装置側通信部24は、シリアル通信ケーブル4を機械的及び電気的に接続可能になっており、このシリアル通信ケーブル4によって演算部21がシミュレーション装置2に通信可能に接続される。
【0026】
このシリアル通信ケーブル4は、シミュレーション装置2に代えて搬送ロボットと接続可能になっている。演算部21は、制御装置側記憶部22に記憶される種々のデータ及びプログラムに基づいて、搬送ロボットの搬送動作を制御するための制御指令をこのシリアル通信ケーブル4を介して搬送ロボットに送信するようになっている。搬送ロボットは、送信される制御指令に応じて搬送動作を実行するようになっている。
【0027】
図3は、シミュレーションシステム1でシミュレーションされる仮想搬送ロボット30の斜視図である。図4は、図3に示す仮想搬送ロボット30の平面図である。シミュレーション装置2では、種々の搬送ロボットに関するデータが記憶部12に記憶されている。シミュレーション装置2では、記憶される種々の搬送ロボット中から1つの搬送ロボットを入力部14により選択することで、前記仮想搬送ロボット30が図1に示すような形で表示部13に表示される。シミュレーション装置2では、選択された搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションすることができるようになっている。本実施形態では、図3及び4で示すような仮想搬送ロボット30について説明するが、仮想搬送ロボット30は、一例に過ぎず、本実施形態のロボットに限定するものではない。
【0028】
仮想搬送ロボット30は、所謂水平3軸ロボットであり、基台31を備えている。基台31には、図示しない昇降装置が設けられている。この昇降装置には、第1リンク32が軸線L1を中心に回動可能に設けられている。また、昇降装置は、軸線L1に沿って第1リンク32を昇降するようになっている。
【0029】
第1リンク32は、長尺に形成され、その長手方向一端部が昇降装置に連結されている。第1リンク32の長手方向他端部には、第2リンク33が軸線L2を中心に回動可能に設けられている。第2リンク33もまた、長尺に形成され、長手方向一端部が第1リンク32に回動可能に連結されている。第2リンク33の長手方向他端部には、第3リンク34が軸線L3を中心に回動可能に連結されている。第3リンク34は、その基端部に第2リンク33の長手方向他端部に連結されており、先端部に二股状になっているハンド部35を有する。仮想搬送ロボット30は、このハンド部35に後述する半導体ウェハ42を載せて搬送するようになっている。
【0030】
また、シミュレーション装置2では、搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションする際、搬送ロボットが設置される周辺環境、即ち半導体製造設備内の一部の部材(以下、単に「構成部材」ともいう)と共にシミュレーションすることができるようになっている。半導体製造設備内の構成部材として、本実施形態では、8つの干渉部材41と搬送対象である6つの半導体ウェハ42があり、シミュレーション装置2の入力部14により前記構成部材41,42の形状及び位置(例えば、搬送ロボットとの相対位置)を入力することでCPU11に前記構成部材41,42の形状及び位置を認識させることができる。これにより、CPU11は、搬送ロボットが設置される周辺環境を表示部13に表示させる。なお、本実施形態において、シミュレーション上の半導体製造設備を「仮想半導体製造設備40」ともいい、半導体製造設備の実機を単に「半導体製造設備」ともいう。
【0031】
このように構成される仮想搬送ロボット30は、記憶部12に記憶されるプログラムを実行してシミュレーション用のアプリケーションを起動させることで表示部13に表示される。前記アプリケーションを起動すると、シミュレーション装置2は、シリアル通信ケーブル4からCPU11に入力される指令、例えば、制御装置3からの制御指令に対応する動作指令が記憶部12に記憶されているかをCPU11が判断する。対応する動作指令がある場合、その動作指令に応じた搬送動作を前記仮想搬送ロボット30に実行させる、つまりシミュレーションさせるようになっている。このように、シミュレーション装置2では、制御装置3からの制御指令により搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションできるようになっている。
【0032】
図5では、シミュレーション装置2における通信プロトコルの概略を説明するための図面である。次に、本実施形態のシミュレーション装置2で採用される通信プロトコルについて説明する。シミュレーション装置2で採用される通信プロトコル及び記憶部12に記憶される動作指令は、搬送ロボットで実際に使用される通信プロトコル及び動作指令と同じに設定されている。シミュレーション装置2の通信プロトコルでは、制御装置3からシミュレーション装置2に制御指令であるCommand信号(例えばSERV信号、HOMA信号、MOVP信号、GETS信号及びPUTS信号)が送信されると、このCommand信号に対応する動作指令が記憶されていないか、CPU11が判断する。対応する動作指令が記憶されていないとCPU11が判断すると、CPU11がシリアル通信ケーブル4を介して制御装置3に動作指令でないことを示すNak信号を返信する。逆に、対応する動作指令が記憶されているとCPU11が判断すると、CPU11がシリアル通信ケーブル4を介して制御装置3に動作指令を受けたことを示すAck信号を返信する。
【0033】
CPU11は、Ack信号を返信した後、Command信号に応じた搬送動作(Action)を仮想搬送ロボット30に実行させる。Command信号に応じた搬送動作が終了すると、CP11は、搬送動作が終了したことを示すResponse信号を制御装置3へと送信する。さらに制御装置3が仮想搬送ロボット30を動作させる場合、Response信号を受信した後、再びCommand信号が制御装置3の演算部21からシミュレーション装置2に送信される。
【0034】
このような通信プロトコルにおいて、受信するCommand信号に含まれる文字の送信間隔が予め定められる時間T1を超える場合、Command信号を送信してからAck信号を受信するまでの返信間隔が予め定められる時間T2を越える場合、及びAck信号を受信してからResponse信号を受信するまでの動作間隔が予め定められる時間T3を超える場合、CPU11及び演算部21では、通信不能であると判断し、シミュレーション装置2での搬送動作のシミュレーションが中断される。
【0035】
以下では、制御装置3から制御指令の一例であるSERV信号、HOMA信号、MOVP信号、GETS信号及びPUTS信号が送信された場合にシミュレーション装置2で得られるシミュレーション結果について説明する。以下の例では、シミュレーション装置2と制御装置3とで同じ通信プロトコルが採用され、制御装置3からの制御指令がシミュレーション装置2における動作指令と対応付けられているものとし、各制御指令に対応する動作指令が記憶部12に記憶されているものとする。
【0036】
図6は、制御装置3からシミュレーション装置2にSERV信号が送信されたときの通信状態を示す図である。SERV信号は、第1乃至第3リンク32〜34を夫々回動させるための3つのサーボモータ(図示せず)の電源を入れるための制御指令である。制御装置3からシミュレーション装置2にSERV信号が送信されると、CPU11は、SERV信号を受信し、そのSERV信号に対応する動作指令が記憶されていると判断し、Ack信号を制御装置3に返信する。次にCPU11は、仮想搬送ロボット30において、SERV信号に応じて3つのサーボモータが駆動可能状態になったとし、サーボモータを駆動可能状態にした旨のResponse信号を制御装置3に送信する。
【0037】
図7は、制御装置3からシミュレーション装置2にHOMA信号が送信されたときの通信状態等を示す図である。図7(a)は、HOMA信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、図7(b)は、HOMA信号に応じたハンド部35の搬送動作を示す斜視図であり、図7(c)は、HOMA信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボット30の姿勢を示す平面図である。HOMA信号は、第1乃至第3リンク32〜34を原点へと復帰させるための制御指令である。原点とは、第1乃至3リンク32〜34を各軸線L1,L2,L3を中心に夫々回動させる際の基準となる姿勢である。本実施形態において、原点は、図7(c)に示すように、平面視で第1乃至第3リンク32〜34が重なるような姿勢(位置)である。
【0038】
制御装置3からシミュレーション装置2にHOMA信号が送信されると、CPU11は、SERV信号の場合と同様に、制御装置3からのHOMA信号に対応する動作指令が記憶されていると判断し、Ack信号を制御装置3に返信する。次にCPU11は、HOMA信号に応じて復帰動作のシミュレーションを実行し、その復帰動作を表示部13で表示する。復帰動作とは、第1乃至第3リンク32〜34を回動させて原点に復帰させる動作である。
【0039】
更に具体的に説明すると、復帰動作では、図3及び4に示すような状態から図7(b)のように軸線L3を中心に第3リンク34を回動させて第3リンク34を原点へと復帰させ、図7(c)に示すように全てのリンク32〜34を原点に復帰させる動作である。復帰動作が終了すると、CPU11は、復帰動作が終了した旨のResponse信号を制御装置3に送信する。
【0040】
図8は、制御装置3からシミュレーション装置2にMOVP信号が送信されたときの通信状態等を示す図である。図8(a)は、MOVP信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、図8(b)は、MOVP信号に応じたハンド部35の搬送動作を示す斜視図であり、図8(c)は、MOVP信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボット30の姿勢を示す平面図である。MOVP信号は、ハンド部35を所定の位置まで移動させるための制御指令である。所定の位置とは、例えばハンド部35により半導体ウェハ42を取る前及びハンド部35に載せられた半導体ウェハ42を置く前に待機する位置である。
【0041】
MOVP信号は、ポート名、ロケーション名及びカセット名から成るパラメータを有している。ポート名は、半導体ウェハを格納可能なポートの名称又は番号であり、半導体ウェハを取りに行く又は置きに行くポートを示すものである。ロケーション名は、ハンド部35を移動させる目的が半導体ウェハを取りに行くのか置きに行くのかを示すものである。カセット名は、半導体ウェハを格納する段の名称であり、ポート内に形成される複数の段のうち何れの段を対象としているのかを示すものである。
【0042】
制御装置3からシミュレーション装置2にMOVP信号が送信されると、CPU11は、SERV信号等の場合と同様に、制御装置3からのMOVP信号に対応する動作指令と判断し、Ack信号を制御装置3に返信する。次にCPU11は、MOVP信号に応じて移動動作のシミュレーションを実行し、移動動作を表示部13で表示する。移動動作とは、第1乃至第3リンク32〜34を回動させ、図8(b)示すように、パラメータに応じた位置にハンド部35を移動させる動作である。
【0043】
更に具体的に説明すると、移動動作では、例えば、図7(c)で示すような原点姿勢から全てのリンク32〜34を回動させて、図8(c)に示すようにハンド部35を半導体ウェハに正対する位置へと移動させる動作である。移動動作が完了した後、CPU11は、移動動作が完了した旨のResponse信号を制御装置3に送信する。
【0044】
図9は、制御装置3からシミュレーション装置2にGETS信号が送信されたときの通信状態等を示す図である。図9(a)は、GETS信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、図9(b)は、GETS信号に応じたハンド部35の搬送動作を示す斜視図であり、図9(c)は、GETS信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボット30の姿勢を示す平面図である。GETS信号は、ハンド部35により半導体ウェハ42を取らせるための制御指令である。GETS信号は、ポート名、カセット名から成るパラメータを有している。
【0045】
制御装置3からシミュレーション装置2にGETS信号が送信されると、CPU11は、SERV信号等の場合と同様に、制御装置3からのGETS信号に対応する動作指令があると判断し、Ack信号を制御装置3に返信する。次にCPU11は、GETS信号に応じて取り動作のシミュレーションを実行し、その動作を表示部13で表示する。取り動作とは、パラメータにより指定されるポートの段に配置された半導体ウェハ42を取るための動作である。
【0046】
更に具体的に説明すると、取り動作では、図9(b)示すように、まず第1乃至第3リンク32〜34を回動させ、パラメータにより指定されるポートの段に配置された半導体ウェハ42の下方にハンド部35を移動させる。次に、ハンド部35を昇降装置により上昇させてハンド部35の上に半導体ウェハ42を載せる。そして、第1乃至第3リンク32〜34を回動させて、ハンド部35を引き戻す。具体的には、図8(c)で示すような所定の位置から全てのリンク32〜34を回動させて、図9(c)に示すようにハンド部35を半導体ウェハの下方へと移動させ、その後、前記ハンド部35を上昇させて半導体ウェハ42を取る。取り動作が完了した後、CPU11は、取り動作が終了した旨のResponse信号を制御装置3に送信する。
【0047】
図10は、制御装置3からシミュレーション装置2にPUTS信号が送信されたときの通信状態等を示す図である。図10(a)は、PUTS信号が送信されたときの通信状態を示す図面であり、図10(b)は、PUTS信号に応じたハンド部35の搬送動作を示す斜視図であり、図10(c)は、PUTS信号に応じた搬送動作をした後の仮想搬送ロボット30の姿勢を示す平面図である。PUTS信号は、ハンド部35により半導体ウェハ42を取らせるための制御指令である。PUTS信号は、ポート名、カセット名から成るパラメータを有している。
【0048】
制御装置3からシミュレーション装置2にPUTS信号が送信されると、CPU11は、SERV信号等の場合と同様に、PUTS信号に対応する動作指令が記憶されていると判断し、Ack信号を制御装置3に返信する。次にCPU11は、PUTS信号に応じて取り動作のシミュレーションを実行し、その動作を表示部13で表示する。置き動作とは、ハンド部35に載せられた半導体ウェハ42をパラメータにより指定されたポートの段に置くための動作である。
【0049】
更に具体的に説明すると、置き動作では、図10(b)に示すように、まず第1乃至第3リンク32〜34を回動させ、パラメータにより指定されるポートの段の上方にハンド部35を移動させる。次に、ハンド部35を昇降装置により下降させてハンド部35上の半導体ウェハ42を指定された段に置く。そして、第1乃至第3リンク32〜34を回動させて、ハンド部35を引き戻す。このような置き動作により、所定の位置から全てのリンク32〜34を回動させて、例えば図10(c)に示すように、ハンド部35を指定された段の上方へと移動させてから下降させ、指定された段に半導体ウェハ42を置く。置き動作が完了した後、CPU11は、ハンド部35を所定の位置へと移動させた旨のResponse信号を制御装置3に送信する。
【0050】
シミュレーション装置2では、このように、各種の制御指令に応じて搬送ロボットの搬送動作のシミュレーションが実行され、その搬送動作が表示部13に表示される。このように搬送動作のシミュレーションが実行されて搬送動作が表示部13に表示されるのは、制御装置3とシミュレーション装置2で採用される通信プロトコルが同じであり、且つ制御指令に対応する動作指令が記憶部12に記憶されている場合だけである。即ち、所望の搬送動作のシミュレーションが実行されて表示部13に表示されると、制御装置3とシミュレーション装置2で採用される通信プロトコルが同じであり、且つ制御指令に対応する動作指令が記憶部12に記憶されていることが判断できる。例えば、制御装置3からのPUT信号に対して仮想搬送ロボット30が置き動作をすることを表示部13により確認できれば、制御装置3とシミュレーション装置2で採用される通信プロトコルが同じであり、また、シミュレーション装置2において、PUT信号に対応する動作指令が置き動作を指令するものであることが確認できる。
【0051】
他方、制御装置3からの制御指令を送信する前に制御指令を送信する旨の信号を予め送信する等、制御装置3とシミュレーション装置2とで採用される通信プロトコルが異なる場合や制御指令に対応する動作指令が記憶部12に記憶されていない場合、制御指令が送信されても、CPU11が前記制御指令を動作指令として認識せず、搬送ロボットの搬送動作のシミュレーションが実行されない。それ故、表示部13にて仮想搬送ロボット30が動かない。
【0052】
また、送信間隔、前記返信間隔及び前記動作間隔の何れかが予め定められる時間T1,T2,T3を越える場合についても、同様にシミュレーション装置2での搬送動作のシミュレーションが実行されず、表示部13にて仮想搬送ロボット30が動かない。
【0053】
更に、制御指令及びそれに対応する動作指令において、各々のパラメータのポート名、ロケーション名及びカセット名を規定する順序が異なっている場合、仮想搬送ロボット30が意図しない動作をする、例えば意図しない位置に移動する。
【0054】
このようにシミュレーション装置2では、制御装置3とシミュレーション装置2で採用される通信プロトコルが異なる、又は制御指令と動作指令とが対応していない場合、制御装置3からの制御指令に対して仮想搬送ロボット30が不所望な動作をする。即ち、制御装置3からの制御指令に対して仮想搬送ロボット30が不所望な動作をすることを表示部13で確認されると、制御装置3とシミュレーション装置2とで採用される通信プロトコルが異なるか、又は制御指令と動作指令とが対応していないことが判断できる。
【0055】
シミュレーション装置2では、搬送ロボットのシミュレーションにおいて、搬送ロボットと同じ通信プロトコル及び動作指令を採用している。また、シミュレーション装置2では、動作指令に対して搬送ロボットが実行する動作と同じ動作を仮想搬送ロボット30がするようになっている。それ故、前述のように制御装置3からの制御指令を仮想搬送ロボット30及び搬送ロボットに送信した場合、仮想搬送ロボット30及び搬送ロボットで同じ動作をする。つまり、制御装置3からの制御指令に対して仮想搬送ロボット30が所望の動作をすると、搬送ロボットでも所望の動作をし、逆に、仮想搬送ロボット30が不所望な動作をすると、搬送ロボットでも不所望な動作をする。
【0056】
従って、シミュレーション装置2及び制御装置3により搬送ロボットの搬送動作のシミュレーションをすれば、搬送ロボットがなくても、制御指令に対して搬送ロボットがどのような動作をするかを確認することができる。これにより、半導体製造設備内に搬送ロボットが完成する前であっても、制御指令に対する搬送ロボットの動作を確認することができ、更に通信プロトコル及び制御指令を含めた制御装置3に組み込まれるプログラム及び搬送ロボットに組み込まれるプログラムの互換性を確認してそれらのプログラムを修正することができる。それ故、半導体製造設備及び搬送ロボットの製造と並行して、制御装置3又は搬送ロボットのプログラムの修正を行うことができ、半導体製造設備及び搬送ロボット完成から稼働までの時間を短縮できる。従って、半導体製造設備及び搬送ロボットの工期を従来よりも短縮することができる。
【0057】
制御装置3により搬送ロボットを動作させる場合、前述のように1つの制御指令を独立して搬送ロボットに送信することは少なく、複数の制御指令が組み合わせることが多い。シミュレーション装置2では、このような複数の制御指令が組み合わされて送信される場合についてもシミュレーションすることができる。以下では、3つのサーボモータが起動し、その後半導体ウェハ42を取りに行かせ、更にその半導体ウェハ42を所定位置に置きに行かせるような動作を搬送ロボットに実行させる場合を例に挙げて説明する。なお、上記のような動作は、単に一例であり、前述する複数の制御指令を組み合わせることによって、様々な動作を搬送ロボットに実行させることができ、またその搬送動作をシミュレーション装置2でシミュレーションすることができる。
【0058】
図11は、制御装置3からシミュレーション装置2に複数の制御指令が順に送信されたときの通信状態を示す図である。図12は、仮想搬送ロボット30が干渉部材41に干渉したときの状態を示す平面図である。上記のような動作をさせるために、制御装置3の制御装置側記憶部22には、まずSERV信号が送信し、その後、HOMA信号、MOVP信号、GETS信号及びPUTS信号を順に送信するプログラムが記憶されており、このプログラムが演算部21で実行される。
【0059】
前記プログラムが実行されると、シミュレーション装置2にSERV信号が送信される。シミュレーション装置2は、このSERV信号を受けると、Ack信号を返信し、仮想搬送ロボット30の3つのサーボモータが起動する。そして、シミュレーション装置2は、Respose信号を制御装置3に送信する。
【0060】
制御装置3は、Respose信号を受けると、次に、HOMA信号をシミュレーション装置2に送信する。シミュレーション装置2は、このHOMA信号を受けると、Ack信号を返信し、仮想搬送ロボット30の第1乃至第3リンク32〜34を原点に戻す。そして、シミュレーション装置2は、Respose信号を制御装置3に送信する。
【0061】
同様の流れで、制御装置3は、MOVP信号を送信し、Respose信号を受けると、GETS信号を送信する。シミュレーション装置2は、MOVP信号及びGETS信号を受けると、Ack信号を夫々返信し、仮想搬送ロボット30のハンド部35を所定の位置まで移動させた後、取り動作を行う。更に、制御装置3は、GETS信号に伴うResponse信号を受けると、PUTS信号を送信する。シミュレーション装置2は、PUTS信号を受けると、Ack信号を夫々返信し、仮想搬送ロボット30に置き動作をさせる。
【0062】
このような連続的な動作を仮想搬送ロボット30に行わせた場合、パラメータの入力値の間違い及び移動時の慣性力が作用する等して、第1乃至第3リンク32〜34が意図しない動作をすることがある。半導体製造設備40内には種々の構成部材41,42が設けられており、第1乃至第3リンク32〜34が意図しない動作をすることにより前記構成部材41,42に干渉することがある。例えば、MOVP信号に応じて移動した際にハンド部35の先端が干渉部材41に干渉することがある。この干渉がシミュレーションされた場合、シミュレーション装置2では、MOVP信号に基づいてCPU11により演算された軌跡上を移動するハンド部35の先端部が干渉部材41に干渉し、干渉した地点でハンド部35が移動を止める(図12参照)。これにより、表示部13に表示されるハンド部35から移動中にハンド部35が干渉部材41に干渉することを知らせることができ、また干渉時の状況を知らせることができる。これにより、制御装置3からの制御指令では、半導体製造設備内において、搬送ロボットも同様の干渉が起こり得ることを知らせることができ、プログラム等を修正しなければならないことを半導体製造設備及び搬送ロボットが完成する前に確認することができる。
【0063】
このように搬送ロボットと半導体製造設備内の構成部材との干渉が、搬送ロボットを用いずとも確認することができるので、搬送ロボットと前記構成部材との干渉及びこの干渉に伴う半導体製造設備及び搬送ロボットの損傷を抑えることができる。
【0064】
また、半導体製造設備内の構成部材の形状及び位置をシミュレーション装置2に入力することで、構成部材と搬送ロボットとの干渉を確認することができる。従って、半導体製造設備内のレイアウトを変更した場合でも、構成部材の形状及び位置を入力し直すだけで、前記構成部材と搬送ロボットとの干渉を容易に確認することができる。
【0065】
更に、半導体製造設備及び搬送ロボットを稼動中に搬送ロボットが構成部材に干渉などした場合、そのときに実行されたプログラムに基づいて搬送動作のシミュレーションをすることにより、干渉時の状況を把握することが容易にできる。
【0066】
本実施形態では、シミュレーション装置2及び制御装置3がパーソナルコンピュータであるが、ワークステーションなどであってもよく、シミュレーション
及び制御指令を送信可能な装置であればよい。また、上述した通信プロトコル、制御指令及び動作指令は、一例に過ぎず、上記以外の通信プロトコル、制御指令及び動作指令であっても、同様に作用効果を得ることができる。
【0067】
本実施形態では、仮想搬送ロボット30が水平3軸ロボットであるが、垂直3軸ロボット及び6軸ロボット等の多軸ロボット又は直動ロボットであってもよく、半導体製造設備に設けられる搬送ロボットであればよい。
【0068】
本実施形態では、表示部13の仮想搬送ロボット30の搬送動作により、制御装置3とシミュレーション装置2と信号のやり取りを確認可能になっているが、より具体的なやり取りの確認を可能にするために、通信履歴等を含む通信ログを表示部13に表示してもよい。
【0069】
なお、本発明は、実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 シミュレーションシステム
2 シミュレーション装置
3 制御装置
4 シリアル通信ケーブル
30 搬送ロボット
40 半導体製造設備
41 干渉部材
42 半導体ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造設備に備わる処理装置を制御する制御装置と、
前記処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットが動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするシミュレーション装置と、
前記制御装置と前記シミュレーション装置とを通信させる通信手段とを備え、
前記制御装置は、前記搬送ロボットの搬送動作を制御するために前記搬送ロボットに送信する制御指令をシミュレーション装置に送信し、
前記シミュレーション装置は、送信された前記制御指令が前記動作指令に対応している場合、対応する前記動作指令に応じて実行する搬送動作をシミュレーションするようになっていることを特徴とするシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記シミュレーション装置は、前記半導体製造設備に備わる干渉部材の位置を入力可能になっており、搬送動作をシミュレーションする際に、入力された前記干渉部材の位置に基づいて前記干渉部材が配置される半導体製造設備内における搬送ロボットの搬送動作をシミュレーションするようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記シミュレーション装置は、前記搬送ロボットの搬送動作を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーションシステム。
【請求項4】
半導体製造設備に備わる処理装置に半導体ウェハを搬送する搬送ロボットが動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置にてシミュレーションさせるためのプログラムであって、
半導体製造設備に備わる処理装置の処理動作を制御する制御装置から前記搬送ロボットに送信して前記搬送ロボットの搬送動作を制御する制御指令が通信手段を介してシミュレーション装置に送信されると、送信された前記制御指令が前記動作指令に対応する場合、対応する前記動作指令に応じて実行される搬送動作をシミュレーション装置にシミュレーションさせるようになっていることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記搬送動作のシミュレーション時において、前記シミュレーション装置に入力される前記半導体製造設備に備わる干渉部材の位置に基づいて、前記干渉部材が配置される半導体製造設備内における搬送ロボットの搬送動作を前記シミュレーション装置にシミュレーションさせることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−214556(P2010−214556A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65705(P2009−65705)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】