シャッタメガネ
【課題】 透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネを提供する。
【解決手段】 シャッタメガネは、第1パネル、第2パネル及び駆動部を備えている。第1パネルは、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子15Lを有している。第2パネルは、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子15Rと、を有している。駆動部は、第1パネルに第1駆動信号を供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え、第2パネルに第2駆動信号を供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替える。
【解決手段】 シャッタメガネは、第1パネル、第2パネル及び駆動部を備えている。第1パネルは、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子15Lを有している。第2パネルは、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子15Rと、を有している。駆動部は、第1パネルに第1駆動信号を供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え、第2パネルに第2駆動信号を供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シャッタメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体画像を表示するための技術が種々提案されている。上記技術として、例えばアクティブシャッタ方式の液晶シャッタと、時分割方式の液晶表示装置等の表示装置とを用いた立体画像表示技術が知られている。
【0003】
液晶表示装置は、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する。液晶シャッタは、液晶表示装置の画像表示に連動し、左目用の液晶パネル及び右目用の液晶パネルを透過状態(オン)及び非透過状態(オフ)に切替える。
【0004】
液晶表示装置が左目用の画像を表示している間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは透過し、右目用の液晶パネルは遮蔽する。同様に、液晶表示装置が右目用の画像を表示している間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは遮蔽し、右目用の液晶パネルは透過する。これにより、液晶シャッタを装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互にみることとなり、液晶表示装置に表示される平面画像を立体画像のようにみることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−191399号公報
【特許文献2】特開2000−275575号公報
【特許文献3】特開2007−110683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記液晶シャッタにおいては、次に挙げるような問題を有している。
(1)液晶層に電圧を印加して液晶分子の傾き角を制御する必要がある。液晶分子の傾き角を高速に変化させることは困難であるため、透過状態及び非透過状態間の切替えに時間がかかってしまう。
【0007】
(2)屈折率を利用しているため、波長分散の影響を受けることとなる。すなわち、波長に応じて減衰率が異なることとなる。これにより、液晶表示装置が表示する画像を、液晶シャッタを通してみた場合、液晶シャッタを通さずにみた場合に比べて画像の色が異なってしまう。特に、画像が青色に色付いてしまう。
【0008】
(3)液晶層が複屈折を持っていることから光路長が変わるため、液晶シャッタの視野角特性が悪く(視野角が狭く)なってしまう。これにより、液晶表示装置の画面を斜め方向から見ると、コントラストが下がったり、画像の白黒が反転したりしてしまう。
【0009】
(4)液晶シャッタは、偏光板を必要とするため、液晶表示装置が表示する画像を、液晶シャッタを通してみた場合、液晶シャッタを通さずにみた場合に比べて画像の輝度レベルが低下してしまう。
【0010】
(5)液晶シャッタの偏光板の光透過軸と、液晶表示装置が出射する直線偏光の方向とを合わせる必要がある。このため、ユーザの顔が液晶表示装置の画面に正対した位置で、液晶シャッタの偏光板の光透過軸と、液晶表示装置が出射する直線偏光の方向とを合わせた場合、ユーザが寝そべったりして、顔が傾くと、上記光透過軸も傾くため、画像の輝度レベルが著しく下がってしまう。
【0011】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態に係るシャッタメガネは、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子と、を有した第1パネルと、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子と、を有した第2パネルと、
前記第1パネルに第1駆動信号を供給して前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替え、前記第2パネルに第2駆動信号を供給して前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替える駆動部と、を備えていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像表示システムを示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示したシャッタメガネを示す概略構成図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示したシャッタメガネを示す概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示した第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図5】図5は、図1乃至図3に示した第1パネルを示す断面図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図6】図6は、図1乃至図3に示した第1パネルを示す断面図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図7】図7は、図1に示した液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、図7に示したアレイ基板の一部を示す概略構成図である。
【図9】図9は、上記液晶表示装置の画像表示と、第2パネルのON/OFFと、第1パネルのON/OFFと、を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、第2の実施形態に係るシャッタメガネの第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るシャッタメガネの第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図12】図12は、上記第1パネルの第1の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図13】図13は、上記第1パネルの第1の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図14】図14は、上記第1パネルの第2の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図15】図15は、上記第1パネルの第2の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図16】図16は、上記第1パネルの第3の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図17】図17は、上記第1パネルの第3の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。
図1に示すように、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、表示装置としての液晶表示装置2と、を備えている。
【0015】
図1乃至図6に示すように、シャッタメガネ1は、第1パネル3Lと、第2パネル3Rと、メガネフレーム4と、駆動部5と、電源部6と、受信器7と、筐体8とを備えている。メガネフレーム4は、テンプル部4a及びブリッジ部4bを含んでいる。
【0016】
第1パネル3Lは、一対の基板(第1基板10及び第2基板20)と、基板間に充填されたオイル層30と、を有している。
第1基板10は、透明な絶縁基板としてのガラス基板11と、このガラス基板11上に形成された絶縁膜12、複数のスイッチング素子としての複数のTFT(薄膜トランジスタ)13、複数の第1MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子15L、複数の走査線16、及び複数の信号線17を有している。
【0017】
絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなどを利用することができる。複数の第1MEMS素子15Lは、マトリクス状に配置されている。複数の走査線16及び複数の信号線17は、互いに交差して格子状に配置されている。また、ガラス基板11上には、駆動回路(集積回路:IC)14が設けられている。駆動回路14には、走査線16及び信号線17が接続されている。
【0018】
駆動回路14は、複数の第1MEMS素子15Lを駆動するものである。駆動回路14は、順次、あるいは一括して走査線16にオンパルス信号を与える。駆動回路14は、任意の1フレームの期間中あるいは期間の一部に信号線17に黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間中あるいは期間の一部に信号線17に白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0019】
複数の第1MEMS素子15Lは、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態(ON)及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態(OFF)に切替え可能である。
【0020】
第2基板20は、透明な絶縁基板としてのガラス基板21と、このガラス基板21上に形成された遮光層22と、を有している。同様に、絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなどを利用することができる。遮光層22には、開口部22aが形成されている。
【0021】
第1基板10及び第2基板20は、図示しない複数のスペーサにより、所定の隙間を保持して対向配置されている。スペーサとしては、第1基板10に形成された柱状スペーサやストライプ状のスペーサ等を利用することができる。そして、第1基板10及び第2基板20は、これら両基板の周縁部に配置された図示しないシール材により互いに接合されている。オイル層30は、第1基板10、第2基板20及びシール材で囲まれた領域に充填されている。
【0022】
第1MEMS素子15Lのシャッタ部は、透過状態において開口部22aと対向した領域から外れて位置し、非透過状態において開口部22aと対向した領域に重なって位置している。第1MEMS素子15Lは、例えばスライド型である。
【0023】
第2パネル3Rは、上記第1パネル3Lと同様に形成されている。第2パネル3Rは、一対の基板(第1基板10及び第2基板20)と、基板間に充填されたオイル層30と、を有している。第1基板10は、複数の第1MEMS素子15Lの替わりに複数の第2MEMS素子15Rを有している。複数の第2MEMS素子15Rは、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態(ON)及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態(OFF)に切替え可能である。
【0024】
なお、第1パネル3L及び第2パネル3Rにおいて、図示しないが、これらの形状やこれらに形成される端子の位置は互いに異なっていてもよく、これにより、例えば、第1パネル3L及び第2パネル3Rが左目用及び右目用の何れであるのか識別することができる。
【0025】
ここで、第1スイッチング素子として、第1パネル3LのTFT13は、複数の第1MEMS素子15Lに接続され、駆動部5から駆動回路14を介して供給される第1駆動信号VLを複数の第1MEMS素子15Lに供給するのかどうかを切替えるものである。
【0026】
第2スイッチング素子として、第2パネル3RのTFT13は、複数の第2MEMS素子15Rに接続され、駆動部5から駆動回路14を介して供給される第2駆動信号VRを複数の第2MEMS素子15Rに供給するのかどうかを切替えるものである。
【0027】
図1及び図3に示すように、第1パネル3L及び第2パネル3Rは、メガネフレーム4に取付けられている。
図2に示すように、駆動部5は、フレキシブル配線基板(FPC)等を介して第1パネル3L及び第2パネル3Rそれぞれの駆動回路14に電気的に接続されている。駆動部5は、第1パネル3L及び第2パネル3Rそれぞれの駆動回路14に高電位電圧Vdd及び低電位電圧Vssを印加可能である。
【0028】
さらに、駆動部5は、第1パネル3L(駆動回路14)に第1駆動信号VLを供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え可能である。また、駆動部5は、第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替え可能である。
【0029】
電源部6及び受信器7は、駆動部5に接続されている。電源部6は、駆動部5に電力を供給するものである。受信器7は、有線又は無線通信によりデータ(同期信号)を受信するものである。駆動部5は、受信器7で受信したデータに基づいて、第1パネル3L及び第2パネル3Rに駆動信号を供給するものである。筐体8は、駆動部5、電源部6及び受信器7を収容し、メガネフレーム4に取付けられている。
【0030】
上記のようにシャッタメガネ1が形成されている。なお、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの構成及び動作については、一般に知られている技術を適用することが可能である。例えば、特表2008−532068号公報に開示されている技術を適用することが可能である。
【0031】
図1及び図7に示すように、液晶表示装置2は、液晶表示パネル50、バックライトユニット90、及び制御部100を備えている。液晶表示パネル50は、アレイ基板60と、アレイ基板60に対向配置された対向基板70と、アレイ基板60及び対向基板70間に挟持された液晶層80とを備えている。
【0032】
図7及び図8に示すように、アレイ基板60は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板61を備えている。ガラス基板61上には、複数の信号線62と、複数の走査線63とが形成されている。信号線62及び走査線63は、互いに直交して形成されている。また、ガラス基板61上には、走査線63に平行な複数の補助容量線64が形成されている。この実施形態において、隣合う2本の信号線62及び隣合う2本の走査線63で囲まれた各領域には画素PXが形成されている。これらの画素PXは、ガラス基板61上にマトリクス状に配置されている。
【0033】
次に、画素PXを1つ取り出して詳述する。
画素PXは、信号線62及び走査線63の交差部近傍に形成されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)65と、TFT65に接続された画素電極66と、画素電極66に接続された補助容量素子67と、を有している。補助容量線64は、補助容量素子67の一方の電極を形成している。
【0034】
図示しないが、ガラス基板61上に、赤色、緑色及び青色の複数の着色層を有したカラーフィルタが形成されている。なお、上記画素電極66はITO等の透明な導電材料でカラーフィルタ上に形成されている。また、カラーフィルタ上には、スペーサとして、例えば複数の柱状スペーサ68が形成されている。上記のように、ガラス基板61上にアレイパターン60Pが形成されている。ガラス基板61及びアレイパターン60P上に配向膜69が形成されている。
【0035】
対向基板70は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板71を備えている。ガラス基板71上に、対向電極72及び配向膜73が順に形成されている。なお、配向膜69及び配向膜73には同一方向に配向処理(ラビング)が施されている。このように、対向基板70が形成されている。
【0036】
アレイ基板60及び対向基板70間の隙間は、複数の柱状スペーサ68により保持されている。アレイ基板60及び対向基板70は、表示領域の外周に沿って配置されたシール材81により接合されている。液晶層80は、アレイ基板60、対向基板70及びシール材81で囲まれた領域に充填されたネマティック液晶で形成されている。
【0037】
アレイ基板60の外面上に、光学補償フィルム51及び偏光板52が順に形成されている。対向基板70の外面上に、光学補償フィルム53及び偏光板54が順に形成されている。偏光板52及び偏光板54は、配向方向に対して略45°で交差するようにクロスニコル配置されている。上記のように、液晶表示パネル50は、OCBモードの液晶パネルである。ここで、液晶表示パネル50は、電圧を印加しない状態で光透過状態となるノーマリーホワイト型である。
【0038】
図7に示すように、バックライトユニット90は、アレイ基板60の外面側に設けられている。バックライトユニット90は、偏光板52と対向した導光板を含む導光体92と、導光体92の一側縁に対向配置された、例えば冷陰極線管やLEDからなる光源93及び反射板94を有している。
【0039】
次に、画像表示システムを用いて立体画像を表示する場合の上記シャッタメガネ1及び液晶表示装置2の動作について説明する。
図7及び図9に示すように、制御部100は、立体画像を表示する場合、例えば120Hzのフレーム周波数で左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示するよう、液晶表示パネル50の駆動を制御する。ここで、1フレーム(1F)とは、全ての画素PXを順次走査し再び同一の画素PXを走査するまでの時間である。
上記のことから、液晶表示装置2は、実質60Hzの周波数で解像度の低下なく立体画像の表示を可能にしている。
【0040】
図1、図2及び図9に示すように、任意の1フレームの期間、駆動部5は、液晶表示装置2による右目用の画像表示に同期を取って第1パネル3Lを非透過状態(OFF)に切替えている間、第2パネル3Rを透過状態(ON)に切替える。
【0041】
続く、1フレームの期間、駆動部5は、液晶表示装置2による左目用の画像表示に同期を取って第1パネル3Lを透過状態(ON)に切替えている間、第2パネル3Rを非透過状態(OFF)に切替える。
【0042】
その後も、液晶表示装置2の画像表示に同期を取って第1パネル3L及び第2パネル3Rを交互に透過状態に切替える。駆動部5は、それぞれ第1パネル3L及び第2パネル3Rを透過状態(ON)に切替える際、前回、透過状態(ON)に切替えてから60分の1秒後に切替えている。これにより、シャッタメガネ1を装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互にみることができ、ユーザに立体画像を表示することができる。
【0043】
上記のように構成された第1の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。
【0044】
駆動部5は、第1パネル3Lに第1駆動信号VLを供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え、第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替えることができる。
【0045】
第1パネル3L及び第2パネル3Rは、透過状態及び非透過状態を機械的に切替えることができる。このため、液晶層に電圧を印加して液晶分子の傾き角を制御する液晶シャッタメガネに比べて、シャッタメガネ1は、透過状態及び非透過状態を高速に切替えることが可能である。
【0046】
シャッタメガネ1は、液晶層を有しておらず、液晶層の屈折率を利用するものではない。このため、ユーザは、液晶表示装置2が表示する画像をシャッタメガネ1を通してみても、シャッタメガネ1を通さずにみた場合と同様の(同様の色味の)画像をみることができる。
【0047】
また、シャッタメガネ1は、複屈折を持つ液晶層を有していないため、視野角特性がよい(視野角が狭くならない)ものである。これにより、液晶表示装置2の画面を斜め方向から見ても、コントラストが下がったり、画像の白黒が反転したりすることはない。
【0048】
さらに、液晶シャッタメガネに必要な偏光板を、シャッタメガネ1は必要としないため、画像の輝度レベルの低下を抑制することができる。またさらに、ユーザが寝そべったりして顔を傾けても、輝度レベルの低下無しに画像をみることができる。
【0049】
液晶表示装置2は120Hzの周波数で左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示し、第1パネル3L及び第2パネル3Rは120Hzの周波数で透過状態(ON)及び非透過状態(OFF)に交互に切替えられるため、実質60Hzの周波数で画像を表示した場合と同等の鮮明な立体画像をシャッタメガネ1を装着したユーザに表示することができる。
【0050】
第1パネル3L及び第2パネル3RはTFT13を有しているため、個々の第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rを選択的に透過状態に切替えることができる。例えば、左目や右目に入射される光の透過量を、TFT13を一括して選択することのみならず、順次走査する、あるいはそのタイミングを制御することにより、個々の第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの時間開口率を独立に調整することも可能であり、画像を所望の輝度レベルに調整してみることができる。また、TFT13を介して印加される電圧を制御することで、その開口の度合いを制御し、これにより画像を所望の輝度レベルに調整してみることもできる。
【0051】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0052】
次に、第2の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0053】
シャッタメガネ1は、例えば120Hzで単に交互に全面白黒を表示させればよく、必ずしもマトリクス(走査)駆動する必要は無い。
図10に示すように、第1基板10は、駆動回路14を有していないが、走査線16用のパッド18及び信号線17用のパッド19を有している。パッド18には複数の走査線16が一括して接続され、パッド19には複数の信号線17が一括して接続されている。
【0054】
駆動部5は、パッド18を介して全ての走査線16にオンパルス信号を与える。駆動部5は、パッド19を介して全ての信号線17に一括して第1駆動信号VLを供給する。詳しくは、駆動部5は、任意の1フレームの期間に全ての信号線17に一括して黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間に全ての信号線17に一括して白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0055】
上記のように構成された第2の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。このため、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
シャッタメガネ1は、高価な上記駆動回路14を必要としないため製造コストの高騰を抑制することができ、また、配線の引き回し領域や、駆動回路14を設けるための基板面積を大幅に減少させることができるため、第1パネル3L及び第2パネル3Rの狭額縁化を図ることができる。
【0057】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0058】
次に、第3の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。この実施形態において、上記第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
シャッタメガネ1は、例えば120Hzで単に交互に全面白黒を表示させればよく、必ずしもTFT13を介して第1MEMS素子15L又は第2MEMS素子15Rに電圧を印加する必要は無い。
【0060】
図11に示すように、第1基板10は、TFT13、走査線16、及びパッド18を有していない。
第1パネル3Lの複数の信号線17は、複数の第1MEMS素子15Lに接続され、第1駆動信号VLを複数の第1MEMS素子15Lに一括して供給可能とする第1共通配線COM1を形成している。第2パネル3Rの複数の信号線17は、複数の第2MEMS素子15Rに接続され、第2駆動信号VRを複数の第2MEMS素子15Rに一括して供給可能とする第2共通配線COM2を形成している。
【0061】
駆動部5は、パッド19を介して全ての信号線17に一括して第1駆動信号VLを供給する。詳しくは、駆動部5は、任意の1フレームの期間に全ての信号線17に一括して黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間に全ての信号線17に一括して白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0062】
上記のように構成された第3の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。このため、上述した第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
第1パネル3L及び第2パネル3Rの製造工程において、TFT13を製造しなくともよいため、製造工程が容易となる。また、遮光層22が開口部22aを大きく取ることができるようになったり、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの開口率を向上させることが可能となったりするため、より輝度レベルが向上したシャッタメガネ1を得ることができる。
【0064】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0065】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
例えば、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rは、スライド型に限定されるものではなく、種々変形可能である。スライド型の場合、第1MEMS素子15L又は第2MEMS素子15Rを隠すための遮光層22の面積が必要であり、開口率(光利用効率)の向上を図ることが困難である。
【0067】
図12及び図13に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rを立て屏風型とすることにより、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0068】
また、図14及び図15に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rをアコーディオン型としてもよく、この場合も、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、図16及び図17に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rをブラインド型としてもよく、この場合も、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0070】
複数の第1MEMS素子15L及び複数の第2MEMS素子15Rは、それぞれ、ガラス基板11及びガラス基板21間に設けられていればよい。
【0071】
第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの保護のため、第1パネル3L及び第2パネル3Rにはオイル層30が設けられているが、これに限らず、種々変形可能であり、オイル層30は必要に応じて設けられていればよい。第1基板10及び第2基板20間は、真空排気されていてもよい。
【0072】
遮光層22は、第1基板10に限らず、第2基板20に形成されていてもよい。なお、遮光層22はTFT13の誤動作や配線での反射を気にして配置したものであり、第1パネル3L及び第2パネル3Rは、遮光層22無しに形成されていてもよい。
【0073】
第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの個数及びサイズは限定されるものではなく種々変形可能であり、また、開口部22aの個数及びサイズも限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの面積をより大きくすることにより、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの開口率を向上させることができ、より輝度レベルが向上したシャッタメガネ1を得ることができる。
【0074】
上記実施形態において、液晶表示装置2は120Hzの周波数で左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示し、第1パネル3L及び第2パネル3Rは120Hzの周波数で透過状態(ON)及び非透過状態(OFF)に交互に切替えられるが、これらの周波数は120Hzに限定されるものではなく、より高い周波数、例えば240Hzで駆動するなど、種々変形可能である。
【0075】
駆動部5は、筐体8に収容されているが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、例えば、一部又は全てが第1パネル3L及び第2パネル3Rに設けられていてもよい。
【0076】
駆動部5は、複数の第1MEMS素子15Lが透過状態に切替わっている間に第1パネル3Lへの第1駆動信号VLの供給を停止し、複数の第2MEMS素子15Rが透過状態に切替わっている間に第2パネル3Rへの第2駆動信号VRの供給を停止してもよい。
【0077】
駆動部5が第1パネル3Lに第1駆動信号VLを供給しない場合、複数の第1MEMS素子15Lは、自発的に透過状態に切替わり、安定する。駆動部5が第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給しない場合、複数の第2MEMS素子15Rは、自発的に透過状態に切替わり、安定する。
これにより、シャッタメガネ1の使用後など、使用していない時に、シャッタメガネ1を透過状態(明状態)に保持することができる。
【0078】
上記表示装置は、液晶表示装置2に限定されるものではなく、種々変形可能であり、PDP(Plasma Display Panel)やCRT(cathode-ray tube)表示装置等の表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…シャッタメガネ、2…液晶表示装置、3L…第1パネル、3R…第2パネル、5…駆動部、6…電源部、7…受信器、8…筐体、10…第1基板、11…ガラス基板、13…TFT、14…駆動回路、15L…第1MEMS素子、15R…第2MEMS素子、16…走査線、17…信号線、18,19…パッド、20…第2基板、21…ガラス基板、22…遮光層、22a…開口部、30…オイル層、50…液晶表示パネル、60…アレイ基板、70…対向基板、80…液晶層、90…バックライトユニット、100…制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シャッタメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体画像を表示するための技術が種々提案されている。上記技術として、例えばアクティブシャッタ方式の液晶シャッタと、時分割方式の液晶表示装置等の表示装置とを用いた立体画像表示技術が知られている。
【0003】
液晶表示装置は、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する。液晶シャッタは、液晶表示装置の画像表示に連動し、左目用の液晶パネル及び右目用の液晶パネルを透過状態(オン)及び非透過状態(オフ)に切替える。
【0004】
液晶表示装置が左目用の画像を表示している間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは透過し、右目用の液晶パネルは遮蔽する。同様に、液晶表示装置が右目用の画像を表示している間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは遮蔽し、右目用の液晶パネルは透過する。これにより、液晶シャッタを装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互にみることとなり、液晶表示装置に表示される平面画像を立体画像のようにみることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−191399号公報
【特許文献2】特開2000−275575号公報
【特許文献3】特開2007−110683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記液晶シャッタにおいては、次に挙げるような問題を有している。
(1)液晶層に電圧を印加して液晶分子の傾き角を制御する必要がある。液晶分子の傾き角を高速に変化させることは困難であるため、透過状態及び非透過状態間の切替えに時間がかかってしまう。
【0007】
(2)屈折率を利用しているため、波長分散の影響を受けることとなる。すなわち、波長に応じて減衰率が異なることとなる。これにより、液晶表示装置が表示する画像を、液晶シャッタを通してみた場合、液晶シャッタを通さずにみた場合に比べて画像の色が異なってしまう。特に、画像が青色に色付いてしまう。
【0008】
(3)液晶層が複屈折を持っていることから光路長が変わるため、液晶シャッタの視野角特性が悪く(視野角が狭く)なってしまう。これにより、液晶表示装置の画面を斜め方向から見ると、コントラストが下がったり、画像の白黒が反転したりしてしまう。
【0009】
(4)液晶シャッタは、偏光板を必要とするため、液晶表示装置が表示する画像を、液晶シャッタを通してみた場合、液晶シャッタを通さずにみた場合に比べて画像の輝度レベルが低下してしまう。
【0010】
(5)液晶シャッタの偏光板の光透過軸と、液晶表示装置が出射する直線偏光の方向とを合わせる必要がある。このため、ユーザの顔が液晶表示装置の画面に正対した位置で、液晶シャッタの偏光板の光透過軸と、液晶表示装置が出射する直線偏光の方向とを合わせた場合、ユーザが寝そべったりして、顔が傾くと、上記光透過軸も傾くため、画像の輝度レベルが著しく下がってしまう。
【0011】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態に係るシャッタメガネは、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子と、を有した第1パネルと、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子と、を有した第2パネルと、
前記第1パネルに第1駆動信号を供給して前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替え、前記第2パネルに第2駆動信号を供給して前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替える駆動部と、を備えていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像表示システムを示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示したシャッタメガネを示す概略構成図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示したシャッタメガネを示す概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示した第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図5】図5は、図1乃至図3に示した第1パネルを示す断面図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図6】図6は、図1乃至図3に示した第1パネルを示す断面図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図7】図7は、図1に示した液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、図7に示したアレイ基板の一部を示す概略構成図である。
【図9】図9は、上記液晶表示装置の画像表示と、第2パネルのON/OFFと、第1パネルのON/OFFと、を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、第2の実施形態に係るシャッタメガネの第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るシャッタメガネの第1パネルの第1基板の配線構造を示す平面図である。
【図12】図12は、上記第1パネルの第1の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図13】図13は、上記第1パネルの第1の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図14】図14は、上記第1パネルの第2の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図15】図15は、上記第1パネルの第2の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【図16】図16は、上記第1パネルの第3の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が非透過状態に切替えられている図である。
【図17】図17は、上記第1パネルの第3の変形例を示す図であり、複数の第1MEMS素子が透過状態に切替えられている図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。
図1に示すように、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、表示装置としての液晶表示装置2と、を備えている。
【0015】
図1乃至図6に示すように、シャッタメガネ1は、第1パネル3Lと、第2パネル3Rと、メガネフレーム4と、駆動部5と、電源部6と、受信器7と、筐体8とを備えている。メガネフレーム4は、テンプル部4a及びブリッジ部4bを含んでいる。
【0016】
第1パネル3Lは、一対の基板(第1基板10及び第2基板20)と、基板間に充填されたオイル層30と、を有している。
第1基板10は、透明な絶縁基板としてのガラス基板11と、このガラス基板11上に形成された絶縁膜12、複数のスイッチング素子としての複数のTFT(薄膜トランジスタ)13、複数の第1MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子15L、複数の走査線16、及び複数の信号線17を有している。
【0017】
絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなどを利用することができる。複数の第1MEMS素子15Lは、マトリクス状に配置されている。複数の走査線16及び複数の信号線17は、互いに交差して格子状に配置されている。また、ガラス基板11上には、駆動回路(集積回路:IC)14が設けられている。駆動回路14には、走査線16及び信号線17が接続されている。
【0018】
駆動回路14は、複数の第1MEMS素子15Lを駆動するものである。駆動回路14は、順次、あるいは一括して走査線16にオンパルス信号を与える。駆動回路14は、任意の1フレームの期間中あるいは期間の一部に信号線17に黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間中あるいは期間の一部に信号線17に白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0019】
複数の第1MEMS素子15Lは、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態(ON)及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態(OFF)に切替え可能である。
【0020】
第2基板20は、透明な絶縁基板としてのガラス基板21と、このガラス基板21上に形成された遮光層22と、を有している。同様に、絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなどを利用することができる。遮光層22には、開口部22aが形成されている。
【0021】
第1基板10及び第2基板20は、図示しない複数のスペーサにより、所定の隙間を保持して対向配置されている。スペーサとしては、第1基板10に形成された柱状スペーサやストライプ状のスペーサ等を利用することができる。そして、第1基板10及び第2基板20は、これら両基板の周縁部に配置された図示しないシール材により互いに接合されている。オイル層30は、第1基板10、第2基板20及びシール材で囲まれた領域に充填されている。
【0022】
第1MEMS素子15Lのシャッタ部は、透過状態において開口部22aと対向した領域から外れて位置し、非透過状態において開口部22aと対向した領域に重なって位置している。第1MEMS素子15Lは、例えばスライド型である。
【0023】
第2パネル3Rは、上記第1パネル3Lと同様に形成されている。第2パネル3Rは、一対の基板(第1基板10及び第2基板20)と、基板間に充填されたオイル層30と、を有している。第1基板10は、複数の第1MEMS素子15Lの替わりに複数の第2MEMS素子15Rを有している。複数の第2MEMS素子15Rは、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態(ON)及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態(OFF)に切替え可能である。
【0024】
なお、第1パネル3L及び第2パネル3Rにおいて、図示しないが、これらの形状やこれらに形成される端子の位置は互いに異なっていてもよく、これにより、例えば、第1パネル3L及び第2パネル3Rが左目用及び右目用の何れであるのか識別することができる。
【0025】
ここで、第1スイッチング素子として、第1パネル3LのTFT13は、複数の第1MEMS素子15Lに接続され、駆動部5から駆動回路14を介して供給される第1駆動信号VLを複数の第1MEMS素子15Lに供給するのかどうかを切替えるものである。
【0026】
第2スイッチング素子として、第2パネル3RのTFT13は、複数の第2MEMS素子15Rに接続され、駆動部5から駆動回路14を介して供給される第2駆動信号VRを複数の第2MEMS素子15Rに供給するのかどうかを切替えるものである。
【0027】
図1及び図3に示すように、第1パネル3L及び第2パネル3Rは、メガネフレーム4に取付けられている。
図2に示すように、駆動部5は、フレキシブル配線基板(FPC)等を介して第1パネル3L及び第2パネル3Rそれぞれの駆動回路14に電気的に接続されている。駆動部5は、第1パネル3L及び第2パネル3Rそれぞれの駆動回路14に高電位電圧Vdd及び低電位電圧Vssを印加可能である。
【0028】
さらに、駆動部5は、第1パネル3L(駆動回路14)に第1駆動信号VLを供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え可能である。また、駆動部5は、第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替え可能である。
【0029】
電源部6及び受信器7は、駆動部5に接続されている。電源部6は、駆動部5に電力を供給するものである。受信器7は、有線又は無線通信によりデータ(同期信号)を受信するものである。駆動部5は、受信器7で受信したデータに基づいて、第1パネル3L及び第2パネル3Rに駆動信号を供給するものである。筐体8は、駆動部5、電源部6及び受信器7を収容し、メガネフレーム4に取付けられている。
【0030】
上記のようにシャッタメガネ1が形成されている。なお、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの構成及び動作については、一般に知られている技術を適用することが可能である。例えば、特表2008−532068号公報に開示されている技術を適用することが可能である。
【0031】
図1及び図7に示すように、液晶表示装置2は、液晶表示パネル50、バックライトユニット90、及び制御部100を備えている。液晶表示パネル50は、アレイ基板60と、アレイ基板60に対向配置された対向基板70と、アレイ基板60及び対向基板70間に挟持された液晶層80とを備えている。
【0032】
図7及び図8に示すように、アレイ基板60は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板61を備えている。ガラス基板61上には、複数の信号線62と、複数の走査線63とが形成されている。信号線62及び走査線63は、互いに直交して形成されている。また、ガラス基板61上には、走査線63に平行な複数の補助容量線64が形成されている。この実施形態において、隣合う2本の信号線62及び隣合う2本の走査線63で囲まれた各領域には画素PXが形成されている。これらの画素PXは、ガラス基板61上にマトリクス状に配置されている。
【0033】
次に、画素PXを1つ取り出して詳述する。
画素PXは、信号線62及び走査線63の交差部近傍に形成されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)65と、TFT65に接続された画素電極66と、画素電極66に接続された補助容量素子67と、を有している。補助容量線64は、補助容量素子67の一方の電極を形成している。
【0034】
図示しないが、ガラス基板61上に、赤色、緑色及び青色の複数の着色層を有したカラーフィルタが形成されている。なお、上記画素電極66はITO等の透明な導電材料でカラーフィルタ上に形成されている。また、カラーフィルタ上には、スペーサとして、例えば複数の柱状スペーサ68が形成されている。上記のように、ガラス基板61上にアレイパターン60Pが形成されている。ガラス基板61及びアレイパターン60P上に配向膜69が形成されている。
【0035】
対向基板70は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板71を備えている。ガラス基板71上に、対向電極72及び配向膜73が順に形成されている。なお、配向膜69及び配向膜73には同一方向に配向処理(ラビング)が施されている。このように、対向基板70が形成されている。
【0036】
アレイ基板60及び対向基板70間の隙間は、複数の柱状スペーサ68により保持されている。アレイ基板60及び対向基板70は、表示領域の外周に沿って配置されたシール材81により接合されている。液晶層80は、アレイ基板60、対向基板70及びシール材81で囲まれた領域に充填されたネマティック液晶で形成されている。
【0037】
アレイ基板60の外面上に、光学補償フィルム51及び偏光板52が順に形成されている。対向基板70の外面上に、光学補償フィルム53及び偏光板54が順に形成されている。偏光板52及び偏光板54は、配向方向に対して略45°で交差するようにクロスニコル配置されている。上記のように、液晶表示パネル50は、OCBモードの液晶パネルである。ここで、液晶表示パネル50は、電圧を印加しない状態で光透過状態となるノーマリーホワイト型である。
【0038】
図7に示すように、バックライトユニット90は、アレイ基板60の外面側に設けられている。バックライトユニット90は、偏光板52と対向した導光板を含む導光体92と、導光体92の一側縁に対向配置された、例えば冷陰極線管やLEDからなる光源93及び反射板94を有している。
【0039】
次に、画像表示システムを用いて立体画像を表示する場合の上記シャッタメガネ1及び液晶表示装置2の動作について説明する。
図7及び図9に示すように、制御部100は、立体画像を表示する場合、例えば120Hzのフレーム周波数で左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示するよう、液晶表示パネル50の駆動を制御する。ここで、1フレーム(1F)とは、全ての画素PXを順次走査し再び同一の画素PXを走査するまでの時間である。
上記のことから、液晶表示装置2は、実質60Hzの周波数で解像度の低下なく立体画像の表示を可能にしている。
【0040】
図1、図2及び図9に示すように、任意の1フレームの期間、駆動部5は、液晶表示装置2による右目用の画像表示に同期を取って第1パネル3Lを非透過状態(OFF)に切替えている間、第2パネル3Rを透過状態(ON)に切替える。
【0041】
続く、1フレームの期間、駆動部5は、液晶表示装置2による左目用の画像表示に同期を取って第1パネル3Lを透過状態(ON)に切替えている間、第2パネル3Rを非透過状態(OFF)に切替える。
【0042】
その後も、液晶表示装置2の画像表示に同期を取って第1パネル3L及び第2パネル3Rを交互に透過状態に切替える。駆動部5は、それぞれ第1パネル3L及び第2パネル3Rを透過状態(ON)に切替える際、前回、透過状態(ON)に切替えてから60分の1秒後に切替えている。これにより、シャッタメガネ1を装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互にみることができ、ユーザに立体画像を表示することができる。
【0043】
上記のように構成された第1の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。
【0044】
駆動部5は、第1パネル3Lに第1駆動信号VLを供給して複数の第1MEMS素子15Lを透過状態及び非透過状態に交互に切替え、第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給して複数の第2MEMS素子15Rを透過状態及び非透過状態に交互に切替えることができる。
【0045】
第1パネル3L及び第2パネル3Rは、透過状態及び非透過状態を機械的に切替えることができる。このため、液晶層に電圧を印加して液晶分子の傾き角を制御する液晶シャッタメガネに比べて、シャッタメガネ1は、透過状態及び非透過状態を高速に切替えることが可能である。
【0046】
シャッタメガネ1は、液晶層を有しておらず、液晶層の屈折率を利用するものではない。このため、ユーザは、液晶表示装置2が表示する画像をシャッタメガネ1を通してみても、シャッタメガネ1を通さずにみた場合と同様の(同様の色味の)画像をみることができる。
【0047】
また、シャッタメガネ1は、複屈折を持つ液晶層を有していないため、視野角特性がよい(視野角が狭くならない)ものである。これにより、液晶表示装置2の画面を斜め方向から見ても、コントラストが下がったり、画像の白黒が反転したりすることはない。
【0048】
さらに、液晶シャッタメガネに必要な偏光板を、シャッタメガネ1は必要としないため、画像の輝度レベルの低下を抑制することができる。またさらに、ユーザが寝そべったりして顔を傾けても、輝度レベルの低下無しに画像をみることができる。
【0049】
液晶表示装置2は120Hzの周波数で左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示し、第1パネル3L及び第2パネル3Rは120Hzの周波数で透過状態(ON)及び非透過状態(OFF)に交互に切替えられるため、実質60Hzの周波数で画像を表示した場合と同等の鮮明な立体画像をシャッタメガネ1を装着したユーザに表示することができる。
【0050】
第1パネル3L及び第2パネル3RはTFT13を有しているため、個々の第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rを選択的に透過状態に切替えることができる。例えば、左目や右目に入射される光の透過量を、TFT13を一括して選択することのみならず、順次走査する、あるいはそのタイミングを制御することにより、個々の第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの時間開口率を独立に調整することも可能であり、画像を所望の輝度レベルに調整してみることができる。また、TFT13を介して印加される電圧を制御することで、その開口の度合いを制御し、これにより画像を所望の輝度レベルに調整してみることもできる。
【0051】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0052】
次に、第2の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0053】
シャッタメガネ1は、例えば120Hzで単に交互に全面白黒を表示させればよく、必ずしもマトリクス(走査)駆動する必要は無い。
図10に示すように、第1基板10は、駆動回路14を有していないが、走査線16用のパッド18及び信号線17用のパッド19を有している。パッド18には複数の走査線16が一括して接続され、パッド19には複数の信号線17が一括して接続されている。
【0054】
駆動部5は、パッド18を介して全ての走査線16にオンパルス信号を与える。駆動部5は、パッド19を介して全ての信号線17に一括して第1駆動信号VLを供給する。詳しくは、駆動部5は、任意の1フレームの期間に全ての信号線17に一括して黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間に全ての信号線17に一括して白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0055】
上記のように構成された第2の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。このため、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
シャッタメガネ1は、高価な上記駆動回路14を必要としないため製造コストの高騰を抑制することができ、また、配線の引き回し領域や、駆動回路14を設けるための基板面積を大幅に減少させることができるため、第1パネル3L及び第2パネル3Rの狭額縁化を図ることができる。
【0057】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0058】
次に、第3の実施形態に係るシャッタメガネを備えた画像表示システムについて詳細に説明する。この実施形態において、上記第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
シャッタメガネ1は、例えば120Hzで単に交互に全面白黒を表示させればよく、必ずしもTFT13を介して第1MEMS素子15L又は第2MEMS素子15Rに電圧を印加する必要は無い。
【0060】
図11に示すように、第1基板10は、TFT13、走査線16、及びパッド18を有していない。
第1パネル3Lの複数の信号線17は、複数の第1MEMS素子15Lに接続され、第1駆動信号VLを複数の第1MEMS素子15Lに一括して供給可能とする第1共通配線COM1を形成している。第2パネル3Rの複数の信号線17は、複数の第2MEMS素子15Rに接続され、第2駆動信号VRを複数の第2MEMS素子15Rに一括して供給可能とする第2共通配線COM2を形成している。
【0061】
駆動部5は、パッド19を介して全ての信号線17に一括して第1駆動信号VLを供給する。詳しくは、駆動部5は、任意の1フレームの期間に全ての信号線17に一括して黒電圧(第1MEMS素子15Lが非透過状態となる電圧)を印加し、続く1フレームの期間に全ての信号線17に一括して白電圧(第1MEMS素子15Lが透過状態となる電圧)を印加する。
【0062】
上記のように構成された第3の実施形態に係るシャッタメガネ1を備えた画像表示システムによれば、画像表示システムは、シャッタメガネ1と、左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示する液晶表示装置2とを備えている。シャッタメガネ1は、複数の第1MEMS素子15Lを有した第1パネル3Lと、複数の第2MEMS素子15Rを有した第2パネル3Rと、駆動部5と、を備えている。このため、上述した第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
第1パネル3L及び第2パネル3Rの製造工程において、TFT13を製造しなくともよいため、製造工程が容易となる。また、遮光層22が開口部22aを大きく取ることができるようになったり、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの開口率を向上させることが可能となったりするため、より輝度レベルが向上したシャッタメガネ1を得ることができる。
【0064】
上記のことから、透過状態及び非透過状態間の高速切替えを行うことができ、透過画像の品位に優れ、ユーザの姿勢の制限を低減することができるシャッタメガネ1及びシャッタメガネ1を備えた画像表示システムを得ることができる。
【0065】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
例えば、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rは、スライド型に限定されるものではなく、種々変形可能である。スライド型の場合、第1MEMS素子15L又は第2MEMS素子15Rを隠すための遮光層22の面積が必要であり、開口率(光利用効率)の向上を図ることが困難である。
【0067】
図12及び図13に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rを立て屏風型とすることにより、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0068】
また、図14及び図15に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rをアコーディオン型としてもよく、この場合も、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、図16及び図17に示すように、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rをブラインド型としてもよく、この場合も、第1の実施形態に比べて開口率(光利用効率)の向上を図ることができる。
【0070】
複数の第1MEMS素子15L及び複数の第2MEMS素子15Rは、それぞれ、ガラス基板11及びガラス基板21間に設けられていればよい。
【0071】
第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの保護のため、第1パネル3L及び第2パネル3Rにはオイル層30が設けられているが、これに限らず、種々変形可能であり、オイル層30は必要に応じて設けられていればよい。第1基板10及び第2基板20間は、真空排気されていてもよい。
【0072】
遮光層22は、第1基板10に限らず、第2基板20に形成されていてもよい。なお、遮光層22はTFT13の誤動作や配線での反射を気にして配置したものであり、第1パネル3L及び第2パネル3Rは、遮光層22無しに形成されていてもよい。
【0073】
第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの個数及びサイズは限定されるものではなく種々変形可能であり、また、開口部22aの個数及びサイズも限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの面積をより大きくすることにより、第1MEMS素子15L及び第2MEMS素子15Rの開口率を向上させることができ、より輝度レベルが向上したシャッタメガネ1を得ることができる。
【0074】
上記実施形態において、液晶表示装置2は120Hzの周波数で左目用の画像(映像)と右目用の画像(映像)とを交互に表示し、第1パネル3L及び第2パネル3Rは120Hzの周波数で透過状態(ON)及び非透過状態(OFF)に交互に切替えられるが、これらの周波数は120Hzに限定されるものではなく、より高い周波数、例えば240Hzで駆動するなど、種々変形可能である。
【0075】
駆動部5は、筐体8に収容されているが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、例えば、一部又は全てが第1パネル3L及び第2パネル3Rに設けられていてもよい。
【0076】
駆動部5は、複数の第1MEMS素子15Lが透過状態に切替わっている間に第1パネル3Lへの第1駆動信号VLの供給を停止し、複数の第2MEMS素子15Rが透過状態に切替わっている間に第2パネル3Rへの第2駆動信号VRの供給を停止してもよい。
【0077】
駆動部5が第1パネル3Lに第1駆動信号VLを供給しない場合、複数の第1MEMS素子15Lは、自発的に透過状態に切替わり、安定する。駆動部5が第2パネル3Rに第2駆動信号VRを供給しない場合、複数の第2MEMS素子15Rは、自発的に透過状態に切替わり、安定する。
これにより、シャッタメガネ1の使用後など、使用していない時に、シャッタメガネ1を透過状態(明状態)に保持することができる。
【0078】
上記表示装置は、液晶表示装置2に限定されるものではなく、種々変形可能であり、PDP(Plasma Display Panel)やCRT(cathode-ray tube)表示装置等の表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…シャッタメガネ、2…液晶表示装置、3L…第1パネル、3R…第2パネル、5…駆動部、6…電源部、7…受信器、8…筐体、10…第1基板、11…ガラス基板、13…TFT、14…駆動回路、15L…第1MEMS素子、15R…第2MEMS素子、16…走査線、17…信号線、18,19…パッド、20…第2基板、21…ガラス基板、22…遮光層、22a…開口部、30…オイル層、50…液晶表示パネル、60…アレイ基板、70…対向基板、80…液晶層、90…バックライトユニット、100…制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、前記基板間に設けられ、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子と、を有した第1パネルと、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子と、を有した第2パネルと、
前記第1パネルに第1駆動信号を供給して前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替え、前記第2パネルに第2駆動信号を供給して前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替える駆動部と、を備えていることを特徴とするシャッタメガネ。
【請求項2】
前記駆動部が前記第1パネルに前記第1駆動信号を供給しない場合、前記複数の第1MEMS素子は、自発的に前記透過状態に切替わり、安定し、
前記駆動部が前記第2パネルに前記第2駆動信号を供給しない場合、前記複数の第2MEMS素子は、自発的に前記透過状態に切替わり、安定することを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記複数の第1MEMS素子が前記透過状態に切替わっている間に前記第1パネルへの前記第1駆動信号の供給を停止し、前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態に安定させ、
前記複数の第2MEMS素子が前記透過状態に切替わっている間に前記第2パネルへの前記第2駆動信号の供給を停止し、前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態に安定させることを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項4】
前記第1パネルは、前記複数の第1MEMS素子に接続され、前記駆動部から供給される前記第1駆動信号を前記複数の第1MEMS素子に供給するのかどうかを切替える複数の第1スイッチング素子をさらに有し、
前記第2パネルは、前記複数の第2MEMS素子に接続され、前記駆動部から供給される前記第2駆動信号を前記複数の第2MEMS素子に供給するのかどうかを切替える複数の第2スイッチング素子をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項5】
前記第1パネルは、前記複数の第1MEMS素子に接続され、前記第1駆動信号を前記複数の第1MEMS素子に一括して供給可能とする第1共通配線をさらに有し、
前記第2パネルは、前記複数の第2MEMS素子に接続され、前記第2駆動信号を前記複数の第2MEMS素子に一括して供給可能とする第2共通配線をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項1】
一対の基板と、前記基板間に設けられ、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第1MEMS素子と、を有した第1パネルと、
一対の基板と、前記基板間に設けられ、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な複数の第2MEMS素子と、を有した第2パネルと、
前記第1パネルに第1駆動信号を供給して前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替え、前記第2パネルに第2駆動信号を供給して前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態及び非透過状態に交互に切替える駆動部と、を備えていることを特徴とするシャッタメガネ。
【請求項2】
前記駆動部が前記第1パネルに前記第1駆動信号を供給しない場合、前記複数の第1MEMS素子は、自発的に前記透過状態に切替わり、安定し、
前記駆動部が前記第2パネルに前記第2駆動信号を供給しない場合、前記複数の第2MEMS素子は、自発的に前記透過状態に切替わり、安定することを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記複数の第1MEMS素子が前記透過状態に切替わっている間に前記第1パネルへの前記第1駆動信号の供給を停止し、前記複数の第1MEMS素子を前記透過状態に安定させ、
前記複数の第2MEMS素子が前記透過状態に切替わっている間に前記第2パネルへの前記第2駆動信号の供給を停止し、前記複数の第2MEMS素子を前記透過状態に安定させることを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項4】
前記第1パネルは、前記複数の第1MEMS素子に接続され、前記駆動部から供給される前記第1駆動信号を前記複数の第1MEMS素子に供給するのかどうかを切替える複数の第1スイッチング素子をさらに有し、
前記第2パネルは、前記複数の第2MEMS素子に接続され、前記駆動部から供給される前記第2駆動信号を前記複数の第2MEMS素子に供給するのかどうかを切替える複数の第2スイッチング素子をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【請求項5】
前記第1パネルは、前記複数の第1MEMS素子に接続され、前記第1駆動信号を前記複数の第1MEMS素子に一括して供給可能とする第1共通配線をさらに有し、
前記第2パネルは、前記複数の第2MEMS素子に接続され、前記第2駆動信号を前記複数の第2MEMS素子に一括して供給可能とする第2共通配線をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のシャッタメガネ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−155078(P2012−155078A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13057(P2011−13057)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
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