説明

シュレッダーダストの再利用方法及び製鋼用原燃料体

【課題】 シュレッダーダストを製鋼用電気炉に投入し、製鋼用電気炉の熱源として再利用する際に、シュレッダーダストから選別・加工し回収された樹脂類を製鋼用電炉の熱源として有効に利用する。
【解決手段】 本発明では、まず、シュレッダーダストから樹脂類を選別・加工して回収する。次いで、回収された樹脂類と鉄類とを混合し、混合された混合物を加熱圧縮して原燃料体を成形する。この原燃料体の成形には、押出成形機を用いることができる。成形された原燃料体は、そのかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるように、樹脂類と鉄類との比率が調整されている。成形された原燃料体は電気炉に投入され、熱源及び加炭源として機能することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃自動車や廃家電等をシュレッダーで破砕する際に発生するシュレッダーダストを再利用する技術に関する。詳しくは、シュレッダーダストから選別・加工した樹脂類を製鋼用電気炉の熱源等として再利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シュレッダーダストにはプラスチック類、ゴム類、繊維類など(以下、樹脂類という)が多量に含まれており、この樹脂類を再利用することが検討されている。シュレッダーダストに含まれる樹脂類を再利用する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1の技術では、シュレッダーダストから金属成分を取り除き、金属成分が取り除かれたシュレッダーダストをバインダーとして鉄屑を固めて原燃料体を成形する。成形された原燃料体は製鋼用電気炉に投入される。原燃料体のうち鉄屑は鉄源として利用され、シュレッダーダストは熱源として利用される。
【特許文献1】特開2003−64423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、製鋼用プロセスでは、通常、鉄スクラップの昇温に必要な炭素濃度として5%程度が良いとされている(特開平9−143533号公報参照)。電気炉に投入される鉄スクラップの炭素濃度は0.2%程度であるため、溶鋼の炭素濃度を上げるためには、別途炭素源(コークス)を電気炉へ吹き込むことが行われている。また、電気炉内に投入した鉄スクラップが溶解末期となると、溶鋼の上に溶融スラグが浮いた状態となる。この溶解末期には、溶鋼内に酸素及びコークスを吹き込み、コークスを燃焼させることが行われる。コークスの燃焼によって燃焼ガスが発生すると、その燃焼ガスによって溶融スラグが泡状となる。泡状となった溶融スラグは、熱シールドとして機能するため溶鋼が保温され、また、燃焼ガスによって電気炉内の金属蒸気分圧が低下するため、アークの安定が図られるという効果を奏する(いわゆる、フォーミング効果を奏する)。
ここで、原燃料体には炭素分が含まれ、また、燃焼によって燃焼ガスを発生するため、上述した原燃料体で電気炉内に吹き込まれるコークスを代替しようとする試みが検討されている。しかしながら、従来の原燃料体を電気炉内に投入しても、加炭材としての効果を得ることはできず、また、充分なフォーミング効果を奏することもできず、コークスの代替材として用いることができないという問題があった。
【0004】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シュレッダーダストから選別・加工された樹脂類を利用した原燃料体によって、フォーミング効果や加炭材としての効果を奏することを可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
溶解末期において、電気炉内の溶鋼は比重が約7t/mであり、また、溶融スラグの比重は約3t/mであるのに対して、従来の原燃料体に用いられる樹脂類の比重は約1t/mであった。このため、電気炉内に樹脂類を投入しても、その樹脂類は溶融スラグ上に浮いてしまい、溶融スラグ上で燃焼する。したがって、樹脂類が燃焼しても、その燃焼ガスは溶融スラグを泡立てることはなく、また、樹脂類の炭素分が溶鋼の炭素濃度を上昇させることも難しい。この理由によって、従来の樹脂類を電気炉に投入しても、充分なフォーミング効果を奏することはできず、また、加炭材としての代替効果を奏することもできなかった。
【0006】
そこで、本願発明のシュレッダーダストの再利用方法は、シュレッダーダストを製鋼用電気炉に投入し、製鋼用電気炉の熱源として再利用する方法であり、シュレッダーダストから樹脂類を選別・加工して回収する工程と、回収された樹脂類と鉄類とを混合する工程と、混合された混合物を加熱圧縮して原燃料体を成形する工程と、成形された原燃料体を電気炉に投入する工程と、を有する。そして、原燃料体のかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるように、樹脂類と鉄類との比率が調整されていることを特徴とする。
この方法では、シュレッダーダストから回収された樹脂類を利用して成形された原燃料体のかさ密度が1.5〜2.5t/mとなっている。フォーミング状態の溶融スラグは、泡立っているため、実際のかさ比重は3t/mより小さくなる。このため、原燃料体のかさ密度を1.5〜2.5t/mとすれば、その原燃料体は溶融スラグ中に留まることができ、溶融スラグ中で燃焼して燃焼ガスを発生する。これによって、溶融スラグが泡立ち、フォーミング効果を得ることができる。また、原燃料体が溶融スラグ内に留まるため、その炭素分によって溶鋼の炭素濃度が上昇し、加炭材としても機能する。
【0007】
上記の方法において、成形工程は、押出成形機を用いて樹脂類と鉄類とを押し出し成形することが好ましい。樹脂類と鉄類を押出成形機で押出成形することによって、樹脂類と鉄類の混合・加熱・圧縮を同時に行うことができる。
また、成形工程では、樹脂類と鉄類とを押出成形するときの樹脂類のせん断発熱のみによって樹脂類が溶融していることが好ましい。樹脂類のせん断発熱のみによって樹脂類が溶融すると、樹脂類を溶融固化するための熱源を不要とすることができる。
さらに、成形工程は200℃以下の温度で行われることが好ましい。200℃以下で樹脂類の加熱圧縮を行うことで、樹脂類からの有害ガスの発生を抑制することができる。
【0008】
また、本願発明は、製鋼用電気炉の熱源に好適に用いることができる新規な原燃料体を提供する。すなわち、本願発明の原燃料体は、シュレッダーダストから選別・加工して回収された樹脂類と、鉄類とを押出成形して製造される製鋼用原燃料体であり、樹脂類と鉄類との比率が、そのかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるように調整されている。
この原燃料体でも、そのかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるため、充分なフォーミング効果を奏することができ、また、加炭材としての代替効果を奏することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具現化した一実施形態について図面を参照して説明する。まず、廃自動車や廃家電等を処理するシュレッダープラントと、そのシュレッダープラントで発生するシュレッダーダスト(以下、ASRともいう)をリサイクルするリサイクルプラントについて説明する。図1はシュレッダープラントとリサイクルプラントの全体構成を示す図である。
シュレッダープラント10では、まず、納入される廃自動車等をプレシュレッダー12で粗く切断し、切断された廃自動車等をシュレッダー本体14に投入する。投入された廃自動車等は、シュレッダー本体14でさらに細かく切断される。
シュレッダー本体14から排出される切断物は、風力分別16によって重量物と軽量物に分別される。風力分別16によって軽量物とされたものはサイクロンによって回収され、シュレッダーダスト24となる。また、シュレッダー本体14から排出される空気中に含まれるダストもサイクロン等によって回収され、シュレッダーダスト24となる。
風力分別16によって重量物とされたものは、さらに、磁選機18で鉄スクラップ20、非鉄金属22及びシュレッダーダスト24のいずれかに分別される。シュレッダープラント10で分別された鉄スクラップ20や非鉄金属22は資源として再利用され、一方、シュレッダーダスト24はリサイクルプラント26で再利用が図られる。
【0010】
リサイクルプラント26では、まず、シュレッダーダスト24が回転ふるい28にかけられる。回転ふるい28から落下した落下物は、風力分別によってガラス30と軽量物に分別される。軽量物は、後述する溶融固化機46に投入される。
回転ふるい28上に残ったシュレッダーダスト24は、破砕機32によって破砕される。破砕機32によって破砕されたシュレッダーダスト24は、非鉄分別36によってアルミ34、鉄37及び樹脂類に分別される。非鉄分別36によって分別された樹脂類は、さらに粉砕機38で粉砕される。粉砕機38で粉砕されたシュレッダーダスト24は、風力分別及び比重分別によって銅42、粒状樹脂類44が選別され、それ以外の樹脂類は溶融固化機46に投入される。
溶融固化機46は、投入されたシュレッダーダスト24を加熱圧縮し、溶融固化物48を製造する。溶融固化機46には、例えば特開2003−211139号公報に記載のものも用いることができる。すなわち、溶融固化機46は、ケーシングと、ケーシング内に配置された2本のスクリュウと、加熱手段とを有することができる。2本のスクリュウは、互いに係合しながら反対方向に回転する。ケーシングの一端にシュレッダーダスト24を投入すると、投入されたシュレッダーダスト24はスクリュウの回転によってケーシング内を圧縮されながら搬送される。ケーシング内を搬送されるシュレッダーダスト24は加熱手段によって加熱され、これによって、シュレッダーダスト中に含まれる熱可塑性樹脂が溶融し、溶融固化物48が製造される。
【0011】
本実施形態では、上述したリサイクルプラント26で製造される粒状樹脂類44を利用して製鋼用電気炉の原燃料体を製造する。本実施形態の原燃料体は、粒状樹脂類44と切削屑(鉄材)とを所定の割合で混合し、両者を加熱圧縮することによって減容固化して成形される。
粒状樹脂類44と切削屑(鉄材)の混合比率(重量比)は、4:6〜2:8の範囲で調整されている。この場合に、原燃料体の嵩比重が1.5〜2.5t/mとなるように、粒状樹脂類44と切削屑(鉄材)との混合比率が調整されていることが好ましい。嵩比重が1.5t/m以下となると、原燃料体が軽すぎて溶融スラグに浮いてしまうためである。一方、嵩比重を2.5t/m以上とすると、粒状樹脂類44の量が少なくなりすぎ、助燃材としての機能を発揮することができなくなるためである。
なお、粒状樹脂類44と切削屑の重量比は、粒状樹脂類44の性状等に応じて、適宜決定することができる。
【0012】
原燃料体の製造は、上述した溶融固化機46(特開2003−211139号公報に記載の押出成形機)を用いることができる。この場合に、粒状樹脂類44と切削屑の混合物は、スクリュウの回転による粒状樹脂類44のせん断熱のみによって、粒状樹脂類44が溶融することが好ましい。このような構成によると、溶融固化機46の加熱手段が不要となる。
また、原燃料体を溶融固化機46を用いて製造する際は、粒状樹脂類44の温度が200℃以下の状態で行うことが好ましい。粒状樹脂類44の温度を200℃以下に抑えることによって、粒状樹脂類44からの有害ガス(例えば、塩素系ガス)の発生を抑えることができる。
【0013】
上述した原燃料体は、電炉製鋼の加熱源及び加炭源として用いることができる。電炉製鋼とは鉄スクラップを鋼材に再生するプロセスをいう。図2は電炉製鋼に用いられる電気炉の構成を模式的に示している。図2に示すように、電気炉50は、上方が開放された炉体51と、炉体51の上方を閉じる蓋53を備えている。蓋53には、電極52が取付けられている。電極52は、電気炉50内に進退動可能となっている。
【0014】
ここで、電炉製鋼の操業パターンの一例を簡単に説明しておく。電炉製鋼プロセスでは、まず、鉄スクラップをリフティングマグネットで吸着し、装入バケット内に投入する。電気炉50の蓋53を開放し、次いで、装入バケット内に投入された鉄スクラップを装入バケットごと炉体51の上方に運び、炉体51の上方から炉体51内に鉄スクラップを装入する(初装)。炉体51の蓋53を閉じ、電極棒52からアークを発生させ、そのアークによって電気炉50内の鉄スクラップを溶解する(第1溶解期)。
電気炉50内の鉄スクラップがある程度溶解したら、初装と同様の手順で電気炉50内にスクラップを投入する(追装)。再び電極棒52からアークを発生させ、そのアークによって電気炉50内のスクラップを溶解する(第2溶解期)。最後にフォーミングをして電気炉50内の溶鋼56を昇温し、しかる後、電気炉50内の溶鋼56を出鋼する。
【0015】
上述した原燃料体は、電炉製鋼プロセスの初装の段階で電気炉50に装入することもでき、また、追装の段階で電気炉50に装入することもできる。初装の段階で電気炉50に装入する場合は、原燃料体を炉体51の下部、中心又は上部のいずれにも装入することができる。すなわち、炉下部に装入しても、後述するように原燃料体は穏やかに熱分解・燃焼するため、突沸の危険性がないためである。
【0016】
初装や追装の段階で電気炉50内に装入された原燃料体は、電気炉50内で加熱され、鉄スクラップを溶解するための熱源として機能する。この際、樹脂よりも熱容量の大きい切削屑(鉄材)が含まれているため、その熱分解速度が遅くなって、燃焼が穏やかに進行する。これによって、急激に燃焼ガスが発生することはなく、その燃焼熱が効果的に鉄スクラップに着熱する。また、燃焼ガス量が急激に増大することがないため、小さな排ガス処理設備で排ガスを処理することができる。
また、溶解末期に電気炉50内に投入される原燃料体は、比重が大きく、溶融スラグ中に留まることができる。このため、溶融スラグ中で燃焼して燃焼ガスを発生する。発生した燃焼ガスは、溶融スラグを泡立て、フォーミング効果を奏することができる。また、原燃料体が溶融スラグ中に留まることができるため、その炭素分によって溶鋼の炭素濃度を上昇することができる(加炭効果)。
なお、原燃料体の揮発分は熱源として利用され、灰分は製鋼スラグとして残るが、この製鋼スラグは路盤材などへ利用することができる。
【0017】
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、シュレッダーダストから回収した樹脂類と切削屑(鉄材)を混合・溶融固化して原燃料体を製造する。この原燃料体は、嵩比重が大きくなるように樹脂類と切削屑(鉄材)の混合比が調整されているため、溶融スラグ内に留まることができる。これによって、本実施形態の原燃料体は、フォーミング効果を奏することができ、また、加炭材として機能することができる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明の実施例では、廃自動車のシュレッダーダストを用いて原燃料体を製造し、その原燃料体を製鋼プロセスに用いた。表1に実施例に用いたシュレッダーダスト(ASR)と、そのシュレッダーダスト(ASR)から得られた粒状樹脂類44と溶融固化物48の性状を示している。
【0019】
【表1】

【0020】
表1に示す溶融固化物48とプレス屑(鉄片)を4:6の割合(重量比)で混合し、ベーラマシンによって直方体にプレス成形して原燃料体を製作した。原燃料体の形状は、600mm×500mm×500mmとし、その嵩比重は約2.6t/mであった。以下、この原燃料体を「実験材料2」とする。
また、表1に示す粒状樹脂類44と鉄スクラップ(ダライ粉屑)を重量比3対7で混合し、溶融固化機46によって溶融固化して原燃料体を製作した。原燃料体の形状はΦ130mm×150〜200mmであり、嵩比重約2.5t/mであった。なお、表1に示す粒状樹脂類44を用いる場合、原燃料体の嵩比重を1.5〜2.5t/mとするためには、図6に示すように原燃料体の鉄含有率を60〜80重量%に調整すればよい。以下、この原燃料体を「実験材料1」とする。
さらに、比較例として、一次解体した廃自動車を、そのまま固めたものを製作した。以下では、「廃自動車」と記載している。
【0021】
電気炉50には、初装入及び追装入で、主原料である鉄スクラップをバケットにて投入した。実験材料(2種類の原燃料体、廃自動車材)は、初装入時に鉄スクラップと同時に装入した。初装入時の投入量は実験材料と鉄スクラップの合計が約95t(うち実験材料3t)とし、追装入時の投入量は鉄スクラップ約59tとした。実験時間は、初装入が2〜3分、第1溶解期が20分、追装入が2〜3分、第2溶解期が20分、昇熱が20分、出鋼が5分であった。
【0022】
まず、実験材料の装入位置を決めるため、実験材料1の装入位置(下部、中心、上部)を変え、装入直後の電気炉50内の火炎の状況を観察し、装入直後の電気炉50の上部温度を測定した。測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
表中、目視による火炎発生状況に関しては、1:通常と同じ、2:火炎発生がやや多い、3:火炎発生が多い、として評価した。また、装入直後の電気炉上部温度に関しては、1:通常と同じ、2:温度がやや高い、3:温度が高い、として評価した。
表2から明らかなように、実験材料の装入位置を初装上部とすると火炎が発生し、かつ、電気炉上部の温度も上昇した。一方、実験材料の装入位置を初装下部と初装中心のいずれとしても、火炎は発生せず、温度の上昇も認められなかった。ただし、作業性の観点から初装下部が好ましいため、以下の測定は初装下部に装入して行った。
【0025】
【表3】

【0026】
表3は、実験材料1、実験材料2、廃自動車を電気炉50に装入して製鋼プロセスを行ったときの熱収支を示している。また、比較例として通常操業における熱収支を示している。
表3より明らかなように「廃自動車」は、排ガス温度が高く、排ガスの持ち去る熱量が最も大きくなった。全体の着熱効率を溶鋼の保有熱÷小計とすると、通常操業,実験材料2,実験材料1,廃車の順に着熱効率が悪くなった。
【0027】
また、実験材料中の樹脂の着熱効率を、着熱効率=(材料熱量−熱ロス1−熱ロス2)÷材料熱量、として評価した。
ここで、熱ロス1は{樹脂材料を使用した当該ケースにおける(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}−{通常操業における(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}とし、熱ロス2=通常操業と比較した当該ケースでのCO濃度の増加分を熱量換算−{通常操業における(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}とした。
表4に、実験材料中の樹脂の着熱効率の評価結果を示している。表4中の各数値の単位はMcal/Mtである。
【0028】
【表4】

【0029】
表4から明らかなように、「廃自動車」を用いた場合は、その樹脂による燃焼熱が鉄スクラップに着熱しておらず、一方、実験材料1,2を用いた場合は、その樹脂の燃焼熱が鉄スクラップに着熱している。これは、実験材料1,2では、樹脂分が溶融固化されて穏やかに燃料するため、その燃焼熱が安定的に鉄スクラップに着熱しているためと考えられる。
【0030】
【表5】

【0031】
表5は加炭効果の評価結果を示している。実験材料1,2では加炭材原単位が低くなっており、実験材料1,2が加炭材として機能していることが確認された。また、「廃自動車」では、加炭材原単位が高くなり、この材料が加炭材として機能していないことが確認された。
【0032】
以上、本発明の好適ないくつかの実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
なお、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態のシュレッダープラントとリサイクルプラントの全体構成を示す図
【図2】電気炉の構成を模式的に示す断面図
【図3】原燃料体の嵩比重と鉄含有率の関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0034】
10・・シュレッダープラント
26・・リサイクルプラント
44・・粒状樹脂類
48・・溶融固化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュレッダーダストを製鋼用電気炉に投入し、製鋼用電気炉の熱源として再利用する方法であり、
シュレッダーダストから樹脂類を選別・加工して回収する工程と、
回収された樹脂類と鉄類とを混合する工程と、
混合された混合物を加熱圧縮して製鋼用原燃料体を成形する工程と、
成形された製鋼用原燃料体を電気炉に投入する工程と、を有し、
前記製鋼用原燃料体のかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるように、樹脂類と鉄類との比率が調整されていることを特徴とするシュレッダーダストの再利用方法。
【請求項2】
前記成形工程は、押出成形機を用いて樹脂類と鉄類とを押し出し成形することを特徴とする請求項1に記載のシュレッダーダストの再利用方法。
【請求項3】
前記成形工程では、樹脂類と鉄類とを押出成形するときの樹脂類のせん断発熱のみによって樹脂類が溶融していることを特徴とする請求項2に記載のシュレッダーダストの再利用方法。
【請求項4】
前記成形工程は200℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシュレッダーダストの再利用方法。
【請求項5】
シュレッダーダストから選別・加工し回収された樹脂類と、鉄類とを押出成形して製造される製鋼用原燃料体であり、樹脂類と鉄類との比率が、そのかさ密度が1.5〜2.5t/mとなるように調整されていることを特徴とする製鋼用原燃料体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−21445(P2007−21445A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210542(P2005−210542)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】