説明

ショックアブソーバ

【課題】 慣性の影響で乗り心地が悪化することを抑制する。
【解決手段】 圧縮行程においては、ボールねじ軸31が電気モータ50に対して上方向に相対移動して、ボールねじナット32の上端面32bがロータ60の平坦面60cpと当接する。これにより、ボールねじナット32の回転がロータ60に伝達される。伸長行程においては、ボールねじナット32の下端面32cが第1平歯車71の上面に当接する。これにより、ボールねじナット32の回転が第1平歯車71、第2平歯車72、ロータ内歯車73を介してロータ60に伝達される。従って、圧縮行程と伸長行程との両方において、ロータ60が同一方向に回転するため、ロータ60の慣性力が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね上部とばね下部との接近・離間動作により電気モータを発電させて、ばね上部とばね下部との接近・離間動作を減衰させるいわゆる電磁式ショックアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ばね上部とばね下部との接近・離間動作により電気モータを回転させ、その回転により電気モータで発生した誘導起電力を利用してばね上部とばね下部との接近・離間動作を減衰させる電磁式ショックアブソーバが特許文献1等にて知られている。この特許文献1に提案された電磁式ショックアブソーバにおいては、ボールねじ軸とボールねじナットとを噛合させたボールねじ機構と、ボールねじ機構に連結される電気モータとを備えており、車両のばね上部とばね下部との接近動作または離間動作に伴うボールねじ機構の上下伸縮動作により電気モータを発電させ、その発電による抵抗力で減衰力を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36943号公報
【発明の概要】
【0004】
車両の乗り心地を向上させるためには、ばね下部を軽量化してばね下部の慣性を低減することが有効である。ところが、電磁式ショックアブソーバにおいては、電気モータのロータやボールねじ機構の慣性がばね下部の慣性と等価となり、慣性質量が著しく増加してしまう。このため、慣性の影響で乗り心地が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、電磁式ショックアブソーバにおいて、慣性の影響で車両の乗り心地が悪化することを抑制することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、電気モータと、ばね上部とばね下部との接近・離間動作を前記電気モータのロータの回転動作に変換する動作変換機構とを有し、前記ロータの回転動作により前記電気モータに発電電流が流れて前記ばね上部とばね下部との接近・離間動作に対して減衰力を発生させるショックアブソーバにおいて、
前記動作変換機構は、ボールねじ軸(31,310)と、前記ボールねじ軸に螺合するボールねじナット(32,320)とを有し、前記ばね上部とばね下部との接近・離間動作に伴って、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとが軸方向に相対移動するとともに軸回りに相対回転するボールねじ機構(30,300)と、前記ボールねじ機構が相対回転する力を、前記相対回転の方向に関わらず、前記ロータの回転方向が一定方向となるように、前記ロータに伝達する回転力伝達機構(70,60c,32b,32c,311a,311b)とを備えたことにある。
【0007】
本発明においては、ばね上部とばね下部とが接近・離間動作(接近動作および離間動作)すると、その力がボールねじ機構に伝達される。これにより、ボールねじ軸とボールねじナットとが軸方向に相対移動するとともに軸回りに相対回転する。ボールねじ機構は、例えば、ボールねじ軸を回転不能に固定した場合には、ばね上部とばね下部との接近・離間動作によりボールねじナットが回転し、ボールねじナットを回転不能に固定した場合には、ばね上部とばね下部との接近・離間動作によりボールねじ軸が回転する。また、回転方向は、ばね上部とばね下部との接近動作と、ばね上部とばね下部との離間動作とで逆となる。従って、ボールねじ機構が相対回転する力をそのまま電気モータのロータに伝達すると、ロータが正逆交互に回転することになり、ロータの回転方向が切り替わるときに、ロータやボールねじ機構(回転する部材)の慣性力が大きくなる。この慣性力が車両の乗り心地を低下させてしまう。
【0008】
そこで、本発明においては、回転力伝達機構を備え、ボールねじ機構が相対回転する力を、相対回転の方向に関わらず、ロータの回転方向が一定方向となるようにロータに伝達する。従って、ばね上部とばね下部とが接近動作と離間動作とを交互に繰り返しても、ロータは、常に同じ方向に回転する。この結果、ロータやボールねじ機構の慣性力が少なくなり、車両の乗り心地を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記回転力伝達機構は、前記ボールねじ機構における前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの一方である回転可能側となる回転部材(32,310)の回転方向と、前記ロータの回転方向とが反対方向となるように、前記回転部材の回転する力を前記ロータに伝達する歯車機構(70)を備え、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が回転する力を前記歯車機構を介さずに前記ロータに伝達し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が回転する力を前記歯車機構を介して前記ロータに伝達することにある。
【0010】
本発明においては、ばね上部とばね下部とが接近・離間動作すると、ボールねじ軸とボールねじナットとが軸方向に相対移動するが、その相対移動方向の一方を特定方向と定義する。回転力伝達機構は、ボールねじ軸とボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向となるとき、ボールねじ機構の回転部材が回転する力を歯車機構を介さずにロータに伝達する。また、ボールねじ軸とボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向に対して反対方向となるとき、ボールねじ機構の回転部材が回転する力を歯車機構を介してロータに伝達する。
【0011】
歯車機構は、ボールねじ軸とボールねじナットとの一方である回転可能側となる回転部材の回転方向と、ロータの回転方向とが反対方向となるように、回転部材の回転する力をロータに伝達する。ここで、「回転可能側となる回転部材」とは、ボールねじ軸とボールねじナットの何れか一方を回転不能に固定して構成されるボールねじ機構の回転可能側となる部材を表す。例えば、ボールねじナットを回転不能にしてボールねじ軸が回転するようにボールねじ機構を構成した場合には、ボールねじ軸が回転部材に相当し、逆に、ボールねじ軸を回転不能にしてボールねじナットが回転するようにボールねじ機構を構成した場合には、ボールねじナットが回転部材に相当する。
【0012】
ボールねじ機構の回転部材の回転方向は、ボールねじ軸とボールねじナットとが相対移動する方向(軸方向の一方)に応じて正逆切り替わる。従って、ボールねじ軸とボールねじナットとが特定方向に対して反対方向に相対移動する場合にのみ歯車機構を機能させることにより、回転部材の回転方向に関わらず、ロータの回転方向が一定方向となる。この結果、ロータやボールねじ機構の慣性力が少なくなり、乗り心地を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記回転力伝達機構は、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材(32,311)が前記ロータ(60,60c)に当接して前記回転部材が回転する力を前記ロータに直接伝達し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が前記歯車機構(71)に当接して、前記回転部材が回転する力を前記歯車機構を介して前記ロータに伝達することにある。
【0014】
本発明においては、ボールねじ軸とボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向となるとき、ボールねじ機構の回転部材がロータに当接して、ロータが回転部材と同じ方向に回転する。一方、ボールねじ軸とボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向に対して反対方向となるとき、ボールねじ機構の回転部材が歯車機構に当接して、ロータが回転部材と反対方向に回転する。これにより、ロータは、回転部材の回転方向に関わらず、一定方向に回転する。従って、本発明によれば、回転力伝達機構を簡単に構成することができる。
【0015】
本発明の他の特徴は、前記ロータは、前記ボールねじ機構の回転部材の外周を隙間をあけて囲む円筒壁部(60a)と、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向となるとき前記回転部材(32,311)と当接する当接壁部(60c)と、前記円筒壁部に形成され前記歯車機構から回転力が伝達される歯列(73)とを有し、前記歯車機構(70)は、前記ボールねじ軸が遊挿され外周に歯列が形成されたリング板状の第1歯車(71)と、前記ロータの歯列(73)と前記第1歯車の歯列との両方に噛合する第2歯車(72)とを有し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記第1歯車のリング状板面(71c)に前記ボールねじ機構の回転部材が当接することにある。
【0016】
本発明においては、ボールねじ軸とボールねじナットとが特定方向に相対移動した場合には、回転部材がロータの当接壁部に当接して、回転部材が回転する力がロータに直接伝達される。これにより、ロータが回転部材と同じ方向に回転する。また、ボールねじ軸とボールねじナットとが特定方向に対して反対方向に相対移動した場合には、回転部材が第1歯車のリング状板面に当接して、回転部材が回転する力が第1歯車に伝達される。これにより、第1歯車が回転部材と同じ方向に回転する。この第1歯車の回転は、第2歯車を介してロータに伝達される。従って、ロータは、回転部材とは反対方向に回転する。これにより、ロータは、回転部材の回転方向に関わらず、一定方向に回転する。従って、本発明によれば、回転力伝達機構を簡単に構成することができる。
【0017】
尚、モータは、ロータに電機子コイルを設け、ステータに永久磁石を設けたブラシ付モータであってもよいし、ロータに永久磁石を設け、ステータに電機子コイルを設けたブラシレスモータであってもよい。
【0018】
また、上記説明において、括弧内に示した符号は、発明の理解を助けるためのものであり、発明の各構成要件を前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るショックアブソーバを備えたサスペンション装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る電気モータの概略構成を表す断面図である(圧縮動作時)。
【図3】第1実施形態に係る電気モータの概略構成を表す断面図である(伸長動作時)。
【図4】第1実施形態に係る回転力伝達機構の断面図である。
【図5】第1実施形態に係る電気モータの外部回路を表す回路図である。
【図6】第2実施形態に係るショックアブソーバを備えたサスペンション装置の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る電気モータの概略構成を表す断面図である(圧縮動作時)。
【図8】第2実施形態に係る電気モータの概略構成を表す断面図である(伸長動作時)。
【図9】変形例に係る電気モータの外部回路を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバを備えた車両用サスペンション装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用サスペンション装置の概略構成を表す。
【0021】
サスペンション装置1は、図1に示すように、車輪(図示略)を支持するロアアームLAと、車体の一部であるマウント部材Bとの間に設けられる。このサスペンション装置1は、路面から受ける衝撃を吸収し乗り心地を高めるとともに車体の重量を弾性的に支持するばね装置10と、ばね装置10の上下振動に対して減衰力を発生させる電磁式のショックアブソーバ20とを備える。このばね装置10に支えられる側、つまり、車体側の部材がばね上部SUである。また、ばね装置10を支持する側、つまり車輪側の部材が、ばね下部SDである。
【0022】
ばね装置10は、同軸異径パイプを構成する上チューブ11,下チューブ12と、コイルスプリング13とを備える。上チューブ11は、取り付け部材15の下面に固定され、取り付け部材15から下方向に延びている。取り付け部材15は、弾性部材からなるアッパーサポート部材16を介して車体側のマウント部材Bに組み付けられる。下チューブ12は、上チューブ11よりも大径で、上チューブ11に対して上下方向に相対移動可能に設けられ、その底部がロアアームLAと連結される。下チューブ12の外周面には、ばね受け12aが設けられる。コイルスプリング13は、サスペンションスプリングを構成するもので、ばね受け12aと取り付け部材15との間に圧縮状態で介装される。
【0023】
上チューブ11には、上端外周面にバウンドストッパ17が設けられ、下端外周面にリバウンドストッパ18が設けられる。また、下チューブ12の上端内周面には、中央ストッパ19が設けられる。このばね装置10では、車両が走行中に、ばね下部SDとばね上部SUとが接近・離間動作する場合、上チューブ11と下チューブ12とが軸方向(上下方向)に相対移動してコイルスプリング13が伸縮することにより、路面から受ける衝撃を吸収し乗り心地を高めるとともに車体の重量を支持する。この場合、上チューブ11に対する下チューブ12の上下可動ストロークを中央ストッパ19とバウンドストッパ17,リバウンドストッパ18とにより規制している。
【0024】
ショックアブソーバ20は、ボールねじ機構30と電気モータ50とを備える。ボールねじ機構30は、ねじ溝31aが形成されたボールねじ軸31と、このボールねじ軸31のねじ溝31aに螺合するボールねじナット32(図2参照)とを備える。ボールねじ31軸は、上チューブ11の上端部に固定した支持部材35とスプライン嵌合して、支持部材35に対して回転不能、かつ、軸方向に移動可能に支持される。ボールねじ軸31の下方端は、下チューブ12の底面に固着されている。また、ボールねじ軸31の上端側は、電気モータ50内に挿入されている。
【0025】
電気モータ50は、取り付け部材15の上面に固定される。電気モータ50の内部には、図2に示すように、ボールねじ軸31の上端側が上下方向に移動できる空間SPが形成されている。従って、ばね下部SDとばね上部SUとが接近・離間動作する場合、ボールねじ軸31は、電気モータ50に対して相対的に上下方向(軸方向)に移動できるようになっている。以下、ボールねじ軸31の中心軸が電気モータの回転中心軸となるため、ボールねじ軸31の中心軸をモータ中心軸と呼び、このモータ中心軸の向く方向を軸方向と呼ぶ。
【0026】
ボールねじナット32は、電気モータ50の内部において、ボールねじ軸31と螺合する。ボールねじナット32は、内周面にねじ溝32aが形成されており、このねじ溝32aとボールねじ軸31のねじ溝31aとの間に複数のボール33が介装されることにより、ボールねじ軸31と螺合する。尚、図示しないが、ボールねじナット32には、ボール33が循環できる通路が形成されている。
【0027】
電気モータ50は、第1ハウジング51と第2ハウジング52とから構成される本体ハウジング53内に、ボールねじナット32の回転により発電する構成を備えている。第1ハウジング51は、ボールねじ軸31が挿通される有底円筒形状であって取り付け部材15の上面に固定される。第2ハウジング52は、第1ハウジング51を上方から覆うように組み付け固定される。
【0028】
本体ハウジング53内には、ロータ60が回転可能に設けられる。ロータ60は、電気モータ50における電機子鉄心を構成するものであり、ボールねじナット32の外周を隙間をあけて囲むように設けられる大径円筒壁部60aと、ボールねじナット32よりも上方でボールねじ軸31の外周を隙間をあけて囲むように設けられる小径円筒壁部60bと、ボールねじナット32の上端を上から覆うように大径円筒壁部60aと小径円筒壁部60bとを連結するリング状当接壁部60cとを一体形成して構成される。
【0029】
ロータ60は、小径円筒壁部60bと第2ハウジング52との間に設けたボールベアリング54により、本体ハウジング53に対して回転可能、軸方向移動不能に支持される。大径円筒壁部60aには、複数のコイル巻回溝60dが形成されており、このコイル巻回溝60dに電機子コイル61が巻回される。また、大径円筒壁部60aの下端内周面には歯列73が周上に形成されている。この歯列73は、後述する歯車機構70の一部としてロータ60の内歯車を構成するものである。以下、この歯列73をロータ内歯車73と呼ぶ。
【0030】
小径円筒壁部60bには、その外周に整流子62が設けられる。この整流子62には、その表面を摺動接触する1対のブラシ63が設けられる。一対のブラシ63は、図5に示すように、端子66a,66bを介して外部回路80に接続される。この外部回路80は、電機子コイル61に発電電流を流すために、2つの端子66a,66b間を電気抵抗器81を介して接続する回路である。
【0031】
大径円筒壁部60aと小径円筒壁部60bとを連結するリング状当接壁部60cは、本発明の当接壁部に相当するもので、ボールねじナット32の上端面32bと向かい合う位置に、モータ中心軸に直交する向きの平坦面60cpが形成されている。従って、ボールねじナット32が上方に移動したときに、ボールねじナット32の上端面32bがリング状当接壁部60cの平坦面60cpと密着(面接触)できるようになっている。
【0032】
第1ハウジング51の円筒壁51aの内周面には、ロータ60の大径円筒壁部60aに向かい合う位置に界磁石として用いる永久磁石64が固着される。また、第1ハウジング51は、永久磁石64とともに磁気回路を構成するヨークを兼用している。第1ハウジング51の底部51bには、後述する歯車機構70を支持する歯車支持部材65が設けられる。歯車支持部材65は、中央にボールねじ軸31が遊挿される貫通孔65aを有するリング状体で、その底面が第1ハウジング51の底部51bに固着される。歯車支持部材65の上面には、歯車機構70が設けられる。
【0033】
歯車機構70は、図4にも示すように、外周に歯列71bが形成されたリング平板状の第1平歯車71と、ロータ60の下端内周面に形成したロータ内歯車73と、第1平歯車71とロータ内歯車73の間に設けられ両歯車71,73と噛合する第2平歯車72とから構成される。第1平歯車71は、中央に貫通孔71aが穿設されており、この貫通孔71aにボールねじ軸31を遊挿した状態で、ボールベアリング74(スラストベアリング)を介して歯車支持部材65の上面にモータ回転軸を中心に回転可能に支持される。この第1平歯車71は、ボールねじナット32の下端面32cに向かい合い、モータ中心軸に直交する向きのリング状の平坦面71cを備えている。従って、ボールねじナット32が下方に移動したときに、ボールねじナット32の下端面32cが第1平歯車71の平坦面71cと密着(面接触)できるようになっている。
【0034】
第2平歯車72は、ボールベアリング75を介して歯車支持部材65に回転可能に支持される。第2平歯車72は、図4に示すように、モータ中心軸を中心として等角度間隔で複数組配置される。本実施形態においては、第2平歯車72は、4組設けられるが任意の数でよい。この歯車機構70においては、第1平歯車71がモータ中心軸を中心に回転すると、その回転力が第2平歯車72、ロータ内歯車73を介してロータ60に伝達される。この場合、図4に矢印で示すように、第2平歯車72が第1平歯車71とは反対方向に回転(自転)するため、ロータ内歯車73を形成したロータ60は第1平歯車71とは反対方向に回転する。
【0035】
ボールねじナット32は、その上端面32bがロータ60のリング状当接壁部60cと向かい合い、下端面32cが歯車機構70の第1平歯車71と向かいあう。ロータ60は、本体ハウジング53(第2ハウジング52)に回転可能に支持されており、軸方向の移動が規制されている。また、第1平歯車71は、本体ハウジング53(第1ハウジング51)に固定された歯車支持部材65に回転可能に支持されており、軸方向の移動が規制されている。従って、ボールねじナット32を上下で囲むリング状当接壁部60cの平坦面60cpと第1平歯車71の平坦面71cとの距離Aは一定となっている。そして、ボールねじナット32の軸方向の寸法Bは、この距離Aよりも僅かに短く設定されている。以下、この寸法差(A−B)をアキシャルガタと呼ぶ。
【0036】
次に、ショックアブソーバ20の動作について説明する。上述したように、ボールねじ軸31は、支持部材35により、回転不能かつ軸方向移動可能に支持されている。従って、ばね上部SUおよびばね下部SDの振動に伴って、ばね下部SDとばね上部SUとが接近・離間動作すると、ボールねじ軸31は、電気モータ50に対して相対的に上下方向(軸方向)に移動する。ショックアブソーバ20は、ばね下部SDとばね上部SUとの接近動作時において圧縮動作し、ばね下部SDとばね上部SUとの離間動作時において伸長動作する。
【0037】
ショックアブソーバ20の圧縮行程においては、ボールねじ軸31が電気モータ50に対して相対的に上方向に移動する。ボールねじ機構30においては、ボール33とねじ溝31a,32aとの間に軸方向の隙間が存在するため、ボールねじ軸31に上方向へ移動する力が加わると、ボール33がボールねじナット32のねじ溝32aの上面に接触して、ボールねじナット32を上方へ押し上げる。ボールねじナット32は、図2に示すように、アキシャルガタで許容される限界まで上方へ移動すると、その上端面32bがロータ60のリング状当接壁部60cの平坦面60cpと当接し、それ以上の上方向の移動が規制される。一方、ボールねじ軸31は、そのまま上方向に移動する。従って、ボールねじナット32は、ボールねじ軸31に対して軸方向に相対移動し、それに伴って回転する。つまり、ボールねじ軸31の上方向の直線運動がボールねじナット32の回転運動に変換される。このとき、ボールねじナット32の上端面32bとリング状当接壁部60cの平坦面60cpとの摩擦により、ボールねじナット32の回転する力がロータ60に伝達される。従って、ロータ60は、ボールねじナット32と一体となって回転する。
【0038】
このとき電気モータ50は、ロータ60に設けた電機子コイル61が、第1ハウジング51に設けた永久磁石64から発生する磁束を横切ることによって、電機子コイル61に誘導起電力を発生させる。従って、図5に示すように、電機子コイル61には、外部回路80(電気抵抗器81)を介して発電電流が流れる。これにより、ロータ60の回転を止めようとする抵抗力が発生し、この抵抗力がショックアブソーバ20の減衰力として働く。ショックアブソーバ20の減衰力(減衰係数)は、外部回路80の電気抵抗器81の抵抗値調整により調整することが可能となる。
【0039】
一方、ショックアブソーバ20の伸長行程においては、ボールねじ軸31が電気モータ50に対して相対的に下方向に移動する。この場合、ボール33がボールねじナット32のねじ溝32aの下面に接触して、ボールねじナット32を下方へ押し下げる。ボールねじナット32は、図3に示すように、アキシャルガタで許容される限界まで下方へ移動すると、その下端面32cが歯車機構70の第1平歯車71の平坦面71cに当接し、それ以上の下方向の移動が規制される。一方、ボールねじ軸31は、そのまま下方向に移動する。従って、ボールねじナット32は、ボールねじ軸31に対して軸方向に相対移動し、それに伴って回転する。この場合、ボールねじナット32の回転方向は、ショックアブソーバ20の圧縮行程における回転方向とは反対方向となる。ボールねじナット32の回転する力は、ボールねじナット32の下端面32cと第1平歯車71の平坦面71cとの摩擦により、第1平歯車71に伝達される。従って、第1平歯車71は、ボールねじナット32と一体となって回転する。
【0040】
この第1平歯車71の回転により、第2平歯車72が回転し、第2平歯車72に噛合するロータ内歯車73を形成したがロータ60が回転する。これにより、電機子コイル61に発電電流が流れ、ロータ60の回転を止めようとする抵抗力が発生する。この抵抗力がショックアブソーバ20の減衰力として働く。この場合、ロータ60は、ボールねじナット32の回転方向と反対方向に回転する。一方、ボールねじナット32の回転方向は、ショックアブソーバ20の伸長行程における回転方向と反対方向となる。従って、ロータ60の回転方向は、ショックアブソーバ20の伸長行程における回転方向と同じ方向となる。つまり、ショックアブソーバ20の伸長行程と圧縮行程のどちらにおいても、ロータ60は常に同一方向に回転する。
【0041】
この結果、本実施形態のショックアブソーバ20によれば、伸長行程、圧縮行程に関わらず、常にロータ60が同一方向に回転するため、ロータ60やボールねじ機構30の慣性力が少なくなる。つまり、従来のショックアブソーバでは、伸縮動作に合わせてロータが正逆回転するため、その回転速度が正の値から負の値まで広い範囲で変化し、特に、回転方向の切り替わり時に大きな慣性力が発生する。これに対して、本実施形態のショックアブソーバ20では、ロータ60の回転方向の切り替わりがなく、回転速度の変化幅が半分になるため、その分、ロータ60やボールねじ機構30の慣性力が少なくなる。従って、車両の乗り心地を向上させることができる。また、本実施形態のショックアブソーバ20においては、ロータ60とボールねじナット32とのアキシャルガタ内でのボールねじナット32の軸方向移動により、ロータ60の回転力を伝達する伝達経路を切り替える、つまり、ボールねじナット32の回転力をロータ60に直接伝達する状態と、歯車機構70を介在させて伝達する状態とを切り替えるため、非常に簡単に伝達経路を切り替えることができる。
【0042】
次に、第2実施形態のショックアブソーバについて説明する。図6は、第2実施形態のショックアブソーバ200を備えた車両用サスペンション装置100の概略構成を表し、図7,図8は、アブソーバ200における電気モータ500の内部概略構造を表す。第2実施形態のショックアブソーバ200は、電気モータ500に対してボールねじナット320を相対的に上下動可能に設け、ボールねじ軸310を相対的に回転可能に設けたものである。以下、第1実施形態と相違する構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6に示すように、第2実施形態のショックアブソーバ200は、上チューブ11内にボールねじ軸310とボールねじナット320からなるボールねじ機構300が設けられる。ボールねじ軸310は、上チューブ11の上端部に設けた支持部材350により支持される。この支持部材350は、第1実施形態の支持部材35と異なり、ボールねじ軸310を回転可能かつ軸方向に摺動可能に支持する。ボールねじ軸310は、支持部材350で支持される位置よりも下方側にねじ溝310aが形成されており、そのねじ溝310aにボールねじナット320が螺合される。ボールねじナット320は、内周面にねじ溝320aが形成されており、このねじ溝320aとボールねじ軸310のねじ溝310aとの間に複数のボール330が介装されることにより、ボールねじ軸310と螺合する。
【0044】
ボールねじナット320の下端には、下方に延びたインナチューブ340が連結固定される。インナチューブ340は、その下端が下チューブ12の底面に固定される。従って、ボールねじナット320は、下チューブ12に対して、相対回転不能で、かつ、軸方向の相対移動が不能に設けられる。
【0045】
ボールねじ軸310の上端は、図7,図8に示すように、電気モータ500の本体ハウジング53内に回転可能に挿入される。第1実施形態の電気モータ50においては、内部にボールねじ機構30を設けているが、この第2実施形態においては、電気モータ500の外部にボールねじ機構300を設け、電気モータ500内にはボールねじ軸310の上端のみが挿入される。
【0046】
ボールねじ軸310の上端には、その径が段状に大きくなった大径円柱部311が一体的に形成されている。大径円柱部311の上端には、軸方向と直交する円形の平坦面311aが形成される。この平坦面311aの外周側は、ロータ60のリング状当接壁部60cの平坦面60cpと向かい合う。また、大径円柱部311の下端となる段部にも、軸方向と直交するリング状の平坦面311bが形成される。この平坦面311bは、歯車機構70の第1平歯車71の平坦面71cと向かい合う。
【0047】
大径円柱部311の軸方向寸法は、ロータ60のリング状当接壁部60cと、歯車機構70の第1平歯車71との間の軸方向距離よりアキシャルガタ分だけ大きく設計されている。また、大径円柱部311の外径は、ロータ60の大径円筒壁部60aの内径よりも小さく設計されている。従って、大径円柱部311は、ロータ60のリング状当接壁部60c、大径円筒壁部60a、歯車機構70で囲まれる空間内を回転可能で、かつ、アキシャルガタ分だけ軸方向に移動可能となっている。尚、電気モータ500内において、大径円柱部311の外周側の構成については、第1実施形態と同一である。また、第2実施形態においては、ボールねじ軸310の上下方向の移動が規制されるため、本体ハウジング53にはボールねじ軸310の軸方向移動空間を設ける必要はない。
【0048】
次に、第2実施形態のショックアブソーバ200の動作について説明する。上述したように、ボールねじナット320は、下チューブ12に対して固定されるため、ばね下部SDに対して相対的に軸方向移動および回転不能となっている。一方、ボールねじナット320と螺合するボールねじ軸310は、電気モータ500に対して回転可能で、かつ、軸方向移動が規制されている。従って、ばね上部SUおよびばね下部SDの振動に伴って、ばね下部SDとばね上部SUとが接近・離間動作すると、ボールねじナット320は、電気モータ500に対して相対的に上下方向(軸方向)に移動し、これに伴ってボールねじ軸310が正逆回転する。
【0049】
ショックアブソーバ200の圧縮行程においては、ボールねじナット320が電気モータ500に対して相対的に上方向に移動する。ボールねじ機構300においては、ボール330とねじ溝310a,320aとの間に軸方向の隙間が存在するため、ボールねじナット320に上方向に移動する力が加わると、ボール330がボールねじナット320のねじ溝320aの下面に接触して、ボールねじ軸310を上方へ押し上げる。ボールねじ軸310は、図7に示すように、アキシャルガタで許容される限界まで上方へ移動すると、大径円柱部311の上端の平坦面311aがロータ60のリング状当接壁部60cの平坦面60cpと当接し、それ以上の上方向の移動が規制される。一方、ボールねじナット320は、電気モータ500に対してそのまま上方向に移動する。従って、ボールねじ軸310は、ボールねじナット320に対して軸方向に相対移動し、それに伴って回転する。つまり、ボールねじナット320の上方向の直線運動がボールねじ軸310の回転運動に変換される。このとき、ボールねじ軸310の上端の平坦面311aと、ロータ60のリング状当接壁部60cの平坦面60cpとの摩擦により、ボールねじ軸310の回転する力がロータ60に伝達される。従って、ロータ60は、ボールねじ軸310と一体となって回転する。
【0050】
一方、ショックアブソーバ200の伸長行程においては、ボールねじナット320が電気モータ500に対して相対的に下方向に移動する。この場合、ボール330がボールねじナット320のねじ溝320aの上面に接触して、ボールねじ軸310を下方へ押し下げる。ボールねじ軸310は、図8に示すように、アキシャルガタで許容される限界まで下方へ移動すると、大径円柱部311の下端の平坦面311bが歯車機構70の第1平歯車71の平坦面71cに当接し、それ以上の下方向の移動が規制される。一方、ボールねじナット320は、そのまま下方向に移動する。従って、ボールねじ軸310は、ボールねじナット320に対して軸方向に相対移動し、それに伴って回転する。この場合、ボールねじ軸310の回転方向は、ショックアブソーバ200の圧縮行程における回転方向とは反対方向となる。ボールねじ軸310の回転する力は、大径円柱部311の下端の平坦面311bと第1平歯車71の平坦面71cとの摩擦により、第1平歯車71に伝達される。従って、第1平歯車71は、ボールねじ軸310と一体となって回転する。
【0051】
この第1平歯車71の回転により、第2平歯車72が回転し、第2平歯車72に噛合するロータ内歯車73を形成したがロータ60が回転する。この場合、ロータ60は、ボールねじ軸310の回転方向と反対方向に回転する。一方、ボールねじ軸310の回転方向は、ショックアブソーバ200の伸長行程における回転方向と反対方向となる。従って、ロータ60の回転方向は、ショックアブソーバ200の伸長行程における回転方向と同じ方向となる。つまり、ショックアブソーバの伸長行程と圧縮行程のどちらにおいても、ロータ60は常に同一方向に回転する。
【0052】
この結果、第2実施形態にショックアブソーバ200においても、第1実施形態と同様に、伸長行程、圧縮行程に関わらず、常にロータ60が同一方向に回転するため、ロータ60やボールねじ機構300の慣性力が少なくなり、車両の乗り心地を向上させることができる。また、ロータ60とボールねじ軸310とのアキシャルガタ内でのボールねじ軸310の軸方向移動により、ロータ60の回転力を伝達する伝達経路を切り替える、つまり、ボールねじ軸310の回転力をロータ60に直接伝達する状態と、歯車機構70を介在させて伝達する状態とを切り替えるため、非常に簡単に伝達経路を切り替えることができる。
【0053】
以上、本実施形態のショックアブソーバを備えたサスペンション装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、本実施形態においては、電気モータ50,500としてブラシ付DCモータを採用しているが、ロータ60に永久磁石を固定し、本体ハウジング(ステータ)53に電機子コイルを巻回するように構成したブラシレスDCモータを採用することもできる。
【0055】
また、本実施形態においては電気抵抗器81からなる外部回路80を端子66a,66b間に設けて電機子コイル61に発電電流を流す構成を採用しているが、例えば、図9に示すように、電気モータ50(500)で発生した誘起電力で車載バッテリBatに充電電流(回生電流)を流す充電回路90を設けることもできる。この構成では、電気抵抗器81の両端から充電通路91を接続するとともに、車載バッテリBatから電気モータ50に通電しないように、充電通路91にダイオード92を設ける。従って、電気モータ50で発生した誘起電力がバッテリ電圧を上回る場合にのみ、発電電流の一部が車載バッテリBatに充電電流として流れる。これにより、電気抵抗器81の発熱を低減するとともに、電気モータ50で発生した電気エネルギーを車載バッテリBatの充電に有効利用することができる。また、この場合、電気モータ50のロータ60の回転方向が一定方向であるため、発電電流の流れる方向も一定となり、充電回路90の構成が非常に簡単となる。
【0056】
また、電気抵抗器80を可変抵抗器にして、電気抵抗値の調整により発電電流を調整してショックアブソーバの減衰係数を可変できるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態においては、ロータ60のリング状当接壁60cを上方側、第1平歯車71を下方側にして、ボールねじナット32あるいはボールねじ310の大径円柱部311を上下方向(軸方向)で囲むようにしているが、上下関係を逆にすることもできる。つまり、ロータ60のリング状当接壁60cを下方側、第1平歯車71を上方側に配置することもできる。
【0058】
また、本実施形態においては、サスペンションスプリングとしてコイルスプリング13を採用しているが、エアスプリングを採用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1,100…サスペンション装置、10…ばね装置、11…上チューブ、12…下チューブ、13…コイルスプリング、20,200…ショックアブソーバ、30,300…ボールねじ機構、31,310…ボールねじ軸、31a,310a…ねじ溝、32,320…ボールねじナット、32a,320a…ねじ溝、32b…上端面、32c…下端面、33,330…ボール、35,350…支持部材、50,500…電気モータ、53…本体ハウジング、60…ロータ、60a…大径円筒壁部、60b…小径円筒壁部、60c…リング状当接壁部、60cp…平坦面、61…電機子コイル、62…整流子、63…ブラシ、64…永久磁石、65…歯車支持部材、70…歯車機構、71…第1平歯車、72…第2平歯車、73…ロータ内歯車、80…外部回路、81…電気抵抗器、311…大径円柱部、311a…平坦面、311b…平坦面、90…充電回路、91…充電通路、92…ダイオード、SU…ばね上部、SD…ばね下部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータと、ばね上部とばね下部との接近・離間動作を前記電気モータのロータの回転動作に変換する動作変換機構とを有し、前記ロータの回転動作により前記電気モータに発電電流が流れて前記ばね上部とばね下部との接近・離間動作に対して減衰力を発生させるショックアブソーバにおいて、
前記動作変換機構は、
ボールねじ軸と、前記ボールねじ軸に螺合するボールねじナットとを有し、前記ばね上部とばね下部との接近・離間動作に伴って、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとが軸方向に相対移動するとともに軸回りに相対回転するボールねじ機構と、
前記ボールねじ機構が相対回転する力を、前記相対回転の方向に関わらず、前記ロータの回転方向が一定方向となるように、前記ロータに伝達する回転力伝達機構と
を備えたことを特徴とするショックアブソーバ。
【請求項2】
前記回転力伝達機構は、
前記ボールねじ機構における前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの一方である回転可能側となる回転部材の回転方向と、前記ロータの回転方向とが反対方向となるように、前記回転部材の回転する力を前記ロータに伝達する歯車機構を備え、
前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が特定方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が回転する力を前記歯車機構を介さずに前記ロータに伝達し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が回転する力を前記歯車機構を介して前記ロータに伝達することを特徴とする請求項1記載のショックアブソーバ。
【請求項3】
前記回転力伝達機構は、
前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が前記ロータに当接して前記回転部材が回転する力を前記ロータに直接伝達し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記ボールねじ機構の回転部材が前記歯車機構に当接して、前記回転部材が回転する力を前記歯車機構を介して前記ロータに伝達することを特徴とする請求項2記載のショックアブソーバ。
【請求項4】
前記ロータは、前記ボールねじ機構の回転部材の外周を隙間をあけて囲む円筒壁部と、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向となるとき前記回転部材と当接する当接壁部と、前記円筒壁部に形成され前記歯車機構から回転力が伝達される歯列とを有し、
前記歯車機構は、前記ボールねじ軸が遊挿され外周に歯列が形成されたリング板状の第1歯車と、前記ロータの歯列と前記第1歯車の歯列との両方に噛合する第2歯車とを有し、前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットとの相対移動の方向が前記特定方向に対して反対方向となるとき、前記第1歯車のリング状板面に前記ボールねじ機構の回転部材が当接することを特徴とする請求項3記載のショックアブソーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196507(P2011−196507A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65987(P2010−65987)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】