説明

シリカおよびエポキシ樹脂

BET表面積175±15m2/g、および該BET表面積に基づく18mPas・g/m2よりも大きい増粘効果を有する凝集した一次粒子形態でのフュームド二酸化ケイ素粉末がポリジメチルシロキサンで疎水化される。この疎水性フュームドシリカはBET表面積110±25m2/gを有する。それをエポキシ樹脂中で使用できる。それらのエポキシ樹脂は接着剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性および疎水性フュームド(即ち熱分解法で製造された)シリカ、その製造方法、およびそれらのシリカを含むエポキシ樹脂に関する。
【0002】
フュームドシリカはUllmann’s Encyclopadie der technischen Chemie, 第21巻, 464ページ以降, 第四版(1982)から公知である。
【0003】
それらは蒸発可能なハロゲン含有シリカ、例えばSiCl4またはメチルトリクロロシランの、例えば酸水素炎(高温火炎加水分解)中での火炎加水分解によって製造される。
【0004】
二酸化ケイ素製造のための火炎加水分解は、産業上で実施されている古くからの方法である。この方法において、蒸発した、またはガス状の加水分解可能なシリコンハライドを、水形成、水素含有燃料と酸素含有ガスとの燃焼によって形成される火炎を用いて化合する。この燃焼火炎はシリコンハライドの加水分解のための水、および加水分解反応のために充分な熱を供給する。反応の残留ガス中に同伴される二酸化ケイ素粉末は、従来の冷却および固形物の分離工程に供される。通常は四塩化ケイ素が使用される。しかしながら、ジクロロシランまたはトリクロロシランの使用もまた公知である。炭素含有原料、例えばメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、エチルトリクロロシランおよびプロピルトリクロロシランなどを用いる場合、炭素を二酸化炭素に変換するための酸化作業もある。
【0005】
以上で、生じる反応の種類が火炎加水分解または酸化、または両方の組み合わせである工程において形成された二酸化ケイ素粉末を、フュームド二酸化ケイ素と称する。
【0006】
反応過程において、まず高分散の無孔質一次粒子を形成し、それが反応のさらなる過程において一緒になって成長して凝集物を形成し、それがさらに付着して凝塊を形成する。それらの一次粒子のBET表面積は、一般に5〜600m2/gの値を有する。該粉末はその表面上に遊離ヒドロキシル基を有する。
【0007】
このように製造された、該二酸化ケイ素粉末は多くの分野の用途、例えばポリマー中、ポリエステル樹脂などの中の増粘剤としての使用が見出されている。
【0008】
従って本発明の課題は、BET表面積175±15m2/gで高い増粘作用を示す二酸化ケイ素を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる課題は、二酸化ケイ素粉末の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明は、BET表面積175±15m2/g、および該BET表面積に基づく18mPas・g/m2よりも大きい増粘効果を保有する、一次粒子の凝集物の形態でのフュームド二酸化ケイ素粉末を提供する。
【0011】
該BET表面積は好ましくは175±10m2/g、およびより好ましくは175±5m2/gであってよい。
【0012】
さらに、塩化物含有率が250ppm未満である本発明のフュームド二酸化ケイ素粉末が好ましいことがある。150ppm未満の塩化物含有率が特に好ましい。
【0013】
さらに、炭素含有率が100ppm未満である本発明のフュームド二酸化ケイ素が好ましいことがある。25ppm未満の炭素含有率が特に好ましい。
【0014】
本発明の二酸化ケイ素粉末は、初期粘度1300±100mPas(23℃)を有する、スチレン中の溶液のポリエステル樹脂中、2.0質量%の濃度で、3400mPasより高い増粘をもたらすことができる。
【0015】
本発明はさらに、本発明の二酸化ケイ素粉末の製造方法であって、
・ ケイ素化合物(SiCl4)を蒸発させ、その蒸気を、必要であればキャリアガスを用いて混合室内に移送し、
・ 且つ別途、燃料ガス、一次空気(必要であれば加熱され、および/または酸素で濃縮されていてもよい)を、混合室内に移送し、
・ ケイ素塩化物の蒸気と、燃料ガスと、一次空気とを含む混合物にバーナー内で点火し、そしてその火炎を反応室内に燃焼して入れ、
・ 火炎を取り囲む二次空気を反応室内に導入し、二次空気/一次空気比は0.05〜3、好ましくは0.15〜2の範囲内に位置し、且つ
・ その後、固形物をガス状物質から分離し、その後、該固形物を250℃〜750℃にて水蒸気で処理し、
・ 酸素の総量は少なくとも燃料ガスとケイ素化合物とを完全に燃焼させるために充分であり、且つ
・ ケイ素化合物、燃料ガスおよび一次空気を含む一次原料の量は、断熱火炎温度Tad 1840〜1900℃をもたらすように選択される(前記Tad=原料の温度+二酸化ケイ素、水、塩化水素、二酸化炭素、酸素、窒素、および適宜、キャリアガスが空気または窒素ではない場合にはキャリアガスを含む反応室から出る物質の副反応/熱容量の反応エンタルピーの合計(それらの物質の1000℃での比熱容量を基準にして)
方法を提供する。
【0016】
比熱容量は例えば、VDI Warmeatlas(段落7.1および3.7、第8版)を用いて測定できる。
【0017】
酸素と燃料ガスとの存在中のケイ素化合物の反応は、二酸化ケイ素、水、塩酸、炭素含有燃料ガスの場合、二酸化炭素を生じる。それらの反応の反応エンタルピーは、当業者に公知の標準的な方法によって計算できる。
【0018】
適した燃料ガスは、水素、メタン、エタン、プロパン、および/または天然ガスであり、水素が好ましい。
【0019】
供給原料の温度は、最高沸点のケイ素化合物の沸点よりも高い限り、制限はない。90℃±40℃の原料温度が有利であることが証明されている。
【0020】
混合室から反応室への反応混合物の出口速度が10〜80m/秒である場合、さらに有利である場合がある。
【0021】
エポキシ樹脂中のシリコーン油で疎水化されたフュームドシリカの使用は公知である。公知の疎水性フュームドシリカの欠点は、それらが固化する粘度が低すぎることである。
【0022】
それらの欠点を有さない疎水性のフュームドシリカを製造することが本発明のさらなる課題である。
【0023】
本発明はさらに、ジメチルシロキサンで疎水化され、且つ110±25m2/gのBET表面積を有することを特徴とする疎水性のフュームドシリカを提供する。
【0024】
本発明のシリカはさらに、53257±500nm2の平均凝集表面積を有してもよい。
【0025】
平均凝集円周は、3605±500nmであってよい。
【0026】
平均最大凝集直径は394±5nmであってよい。
【0027】
平均最小凝集直径は242±5nmであってよい。
【0028】
平均一次粒子直径は18±5nmであってよい。
【0029】
本発明はさらに、本発明の疎水性フュームドシリカの製造方法であって、BET比表面積175±15m2/gを有する、親水性のフュームドシリカをポリジメチルシロキサンで噴霧した後、混合し、そしてその後、1〜6時間の熱処理をすることを特徴とする方法を提供する。
【0030】
本発明はさらに、本発明の疎水性のフュームドシリカを含むエポキシ樹脂を提供する。
【0031】
本発明の疎水性のフュームド二酸化ケイ素は、エポキシ樹脂中で過比例的に上昇した増粘をもたらす。従って、該エポキシ樹脂は接着剤として使用するのに適している。
【0032】
本発明はさらに、シラン処理された本発明のフュームドシリカを含み、且つエポキシ樹脂に基づく接着剤を提供する。
【0033】
本発明はさらに、接着剤中のシラン処理されたフュームドシリカの使用を提供する。
【0034】
接着剤は、表面接着および内部強度によって被着物を接合できる非金属材料として定義される。先行技術において、公知の多数の異なる接着剤があり、使用される接着剤の大多数が有機化合物に基づく組成物を有している。物理的に固化する接着剤と化学的に硬化する接着剤とが本質的に区別される。物理的に固化する接着剤は、最終的な接着物質、しばしばポリマーがそのまま使用され、且つその後、物理的な工程が該接着剤に凝固を引き起こすものである。
【0035】
従って例えば、ホットメルト接着剤、分散剤ベースの接着剤、有機溶剤を含有する湿式接着剤、および接触式接着剤が公知である。それらの種類の接着剤の全てに共通する特徴は、初めに接着剤を処理可能な形態で適用し、そしてその後、例えば溶剤の蒸発または冷却の結果として凝固が生じることである。
【0036】
化学的に硬化する接着剤の場合、個々の構成要素を適用し、そして引き続き、個々の構成要素の化学反応によって新規の生成物を形成し、且つ凝固させる。反応性の接着剤の中では、2成分系と1成分系とが区別される。2成分系の場合、接着剤は分離した成分からもたらされ、そして化学反応を通じて凝固する。1成分接着剤の場合、接着剤は環境条件、例えば温度上昇、空気の移入、蒸発、水分または大気酸素における変化の結果としての化学反応によって硬化する。
【0037】
化学的に硬化する接着剤の群は、例えばシアノアクリレート接着剤、メチルメタクリレート接着剤、嫌気性硬化接着剤、照射−硬化接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、シリコーン、シラン−架橋ポリマー接着剤、ポリイミド接着剤、エポキシ樹脂接着剤、およびポリウレタン接着剤を含む。様々な接着剤の概要はUllmann’s Enzyklopaedie der Chemie,第四版,第14巻,227ページ以降 (1997)内に見出される。
【0038】
接着剤中での種々の添加物の使用もまた公知である; とりわけ、例えば効果的なチキソトロープ剤である熱分解法(フュームド)シリカはエポキシ樹脂に基づく接着剤中で使用される(デグサ顔料パンフレットシリーズ(Degussa Pigments brochure series) (2001) No.27および54)。
【0039】
シラン処理された表面を保有する、熱分解法によって製造されたシリカは先行技術から公知である。EP0672731号A1はシラン処理されたシリカについて記載している。
【0040】
かかるシリカの使用に関連する欠点は、それらの増粘効果が低く、従ってそれらを比較的高濃度で使用しなければならないことである。
【0041】
さらには、それらのシリカは望ましくないことに、貯蔵時間を通じて増粘性能を失う。
【0042】
従って、本発明が取り組む技術課題は、接着剤の増粘が生じ、且つ該接着剤が処理可能なままで流動性能を改善するために、シラン処理されたフュームドシリカが混合された接着剤を提供することである。
【0043】
この技術課題は、表面に固定された疎水性基を含有する、シラン処理された、熱分解法によって製造されたシリカを含む接着剤を用いて、本発明で解決される。それらは以下の物理化学的特性を有している:
BET表面積 m2/g: 25〜400
平均一次粒径 nm: 5〜50
pH: 3〜10
炭素含有率 %: 0.1〜10
DBP数 %: <200あるいは測定不可。
【0044】
シラン処理されたシリカは先行技術DE10239424号A1から公知であり、そこでは該シリカがコーティング材料中で使用されて該コーティングの表面の耐引掻性を改善する。EP0672731号A1も同様に、シラン処理された熱分解法シリカを開示し、該シリカがコーティング材料および樹脂の増粘剤として使用されている。
【0045】
驚くべきことに、本発明による、シラン処理された、熱分解法によって製造されたシリカは接着剤中で、EP0672731号A1内に記載された先行技術とは対照的に、改善された貯蔵安定性と関連して、増粘効果において顕著な改善をもたらすことが観察された。
【0046】
【表1−1】

【0047】
【表1−2】

【0048】
1つの好ましい実施態様において、該接着剤はそのベースポリマーとして、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、シラン末端ポリマー、ビニルエステル樹脂、アクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化炭化水素、ポリアミド、飽和ポリエステルおよびコポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−/レソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリスルホンまたはそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。
【0049】
1つの好ましい実施態様において、シラン処理された、熱分解法で製造されたシリカをエポキシ樹脂中に導入し、この樹脂をその後、接着剤に混合してもよい。
【0050】
接着剤は、それらそれぞれの化学組成および被着物への適用時に優勢な物理状態によって、表面を濡らし、且つそれらの結合した接合部において被着物の間での力の伝搬のために必要な接着層を形成する製品である。密封剤と同様に、接着剤はベースポリマーの他に類似した成分、例えば溶剤(例えばケトン)、水、充填材(例えばチョーク)、チキソトロープ剤(例えば熱分解法シリカ)、付着促進剤(例えばシラン)、カラーペースト(例えば顔料グレードのカーボンブラック)、およびさらなる添加剤(例えば触媒、エージング防止剤)などを含む。
【0051】
密封剤と比較して、接着剤はより高い引張り剪断強度およびより低い伸長値を有する; 言い換えれば、接着剤は弾性になり難く、且つ密封剤は弾性〜可塑性である。
【0052】
エポキシ樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。エポキシ樹脂を例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとエピクロロヒドリンとを塩基性媒体中で縮合することによって製造する。用いられる両方の作用物質の等量に依存して、その生成物は異なるモル質量を有するグリシジルエーテルである。近年、ビスフェノールFからのエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、および脂環式および複素環式エポキシ樹脂もまた重要性を得てきている。
【0053】
エポキシ樹脂はそれ自身では膜形成しにくいので、適した架橋剤を用いた分子量の増大が必要とされる。エポキシ樹脂用に使用される架橋剤の例は、ポリアミン、ポリアミノアミド、カルボン酸無水物およびジシアンジアミドを含む。アミン硬化剤の中で、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミンおよび芳香脂肪族(araliphatic)ポリアミンが区別される。硬化は反応生成物の脱離なく生じる。それは一般に、反応性水素原子をエポキシド基へ付加し、ヒドロキシル基を形成することを必要とする。
【0054】
不飽和ポリエステル樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。それらは不飽和および飽和ジカルボン酸またはポリカルボン酸とアルコールとの重縮合によって得られる。適した反応レジームだとすれば、二重結合は該酸および/またはアルコール内に残り、且つ不飽和モノマー、例えばスチレンとの重合反応を可能にする。好ましく使用される不飽和ジカルボン酸は以下の通りである: マレイン酸無水物、マレイン酸、フマル酸。
【0055】
好ましく使用される飽和ジカルボン酸は以下の通りである: オルト−フタル酸およびオルト−フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸。
【0056】
好ましく使用されるグリコールは以下の通りである: プロピレン1,2−グリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ジシクロペンタジエン。
【0057】
架橋のために好ましく使用されるモノマーは以下の通りである: スチレン、アルファ−メチルスチレン、メタ−およびパラ−メチルスチレン、メチルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート。
【0058】
このリストは可能性のある多数の出発材料を余すところなく述べたわけではない。当業者は、原料の状態に依存して、他の化合物も同様に使用することができる。さらには、ジシクロペンタジエンの添加が通例であり、且つ、結果として樹脂の反応性が変性される。生成される"不飽和ポリエステル樹脂"を、そのままで、または反応性モノマーで希釈して使用できる。反応性モノマーはスチレン、スチルベン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ジアリルフタレート、および他の不飽和化合物であるが、但し、それらは充分に低い粘度および不飽和ポリエステル樹脂との適切な混和性を有している。
【0059】
ポリウレタン樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。該ポリウレタンはイソシアン酸から誘導される。極度に反応性の化合物なので、それは活性水素原子を保有する化合物と非常に素早く付加される。この反応の過程で、窒素と炭素との間の二重結合が開裂し、活性水素が窒素に結合し、且つ酸素含有基が炭素に結合して、ウレタン基を形成する。接着剤および密封剤層に必要とされる類の、より高い分子量の架橋したポリウレタンを得るためには、少なくとも2つの官能基を有する出発材料である反応相手、例えばジ−またはトリイソシアネート、例えばポリマー部分を有するジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート(MDI)、またはトリレンジイソシアネート(TDI)とポリオールとの反応生成物、および多価アルコール(ジオールまたはポリオール、2つまたはそれより多くのヒドロキシル基を分子中に有する化合物)を提供することが必要である。この種のアルコールは、例えば、過剰なポリアルコールを用いて製造される飽和ポリエステルの形態で存在してもよい。
【0060】
2成分の反応性接着剤は、低分子量のポリイソシアネート、および同様に比較的低分子量のポリエステルポリオール、例えばポリアルキレンポリアジペートで構成される。2つの成分を混合した後、ウレタン基が接着剤または接着層中で形成される。
【0061】
1成分の反応性接着剤は、大気水分と反応することによって固化する比較的高分子量のポリウレタンから構成される。原理的には、この状況も同様に、2つの互いに反応する化学成分の1つであるが、しかし1つの物理成分のみが接着工程のために供給される。水分との反応において、単純な低分子量ポリイソシアネートは低い強度値を有する比較的硬質且つ脆性な接着層を形成するので、1成分系はプレポリマーとして公知の予め架橋されたポリマーから出発する。それらの化合物は、比較的高分子量のポリオールから、化学量論的に過剰なイソシアネートを用いて製造される。この方法において、存在する化合物は既にウレタン結合を保有しているが、しかしさらに反応性のイソシアネート基も保有しており、そのことは水分との反応に適している。水との反応はウレア結合を形成しながら進行する。分解反応の過程中に形成される第一級アミンは、即座にさらなるイソシアネート基と反応してポリウレタンを形成する。従って1成分系の場合、完全に硬化されたポリマーはウレタン化合物だけでなくウレア化合物も含有する。
【0062】
溶剤型のポリウレタン接着剤は、物理的な固化系として、且つ化学的な反応系として利用可能である。物理的な硬化系の場合、該ポリマーは高分子量ヒドロキシルポリウレタンの形態をとり、使用される溶剤は例えばメチルエチルケトンである。化学的な反応系は、追加的なヒドロキシルポリウレタンおよびさらなるポリイソシアネートを架橋剤として、且つ第二の成分として含む。
【0063】
分散液ベースの接着剤は、水中の分散液中で高分子量ポリウレタンを含む。
【0064】
熱で活性化可能なポリウレタン接着剤の場合、イソシアネート成分は、イソシアネート成分が比較的高い温度でのみ離脱する化合物中で"キャップされた"または"ブロックされた"形態である。
【0065】
反応性のポリウレタンホットメルト接着剤は、比較的高分子量で、結晶性且つ溶解可能なジオールおよびイソシアネート成分を使用することによって製造される。それらの成分はホットメルト接着剤として約70℃〜120℃の温度で被着物に適用される。冷却後、該結合は充分な初期強度を得て、それが素早いさらなる処理を可能にする。引き続き、まだ存在する反応性イソシアネート基のさらなる水分暴露の結果として、架橋がウレア基を介して起こり、接着層のポリマーを形成する。
【0066】
シラン末端ポリマーが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0067】
用語"シラン末端ポリマー"または"シラン変性ポリマー"は、鎖端または懸垂のいずれかで、少なくとも1つの加水分解可能な結合を有するシリル基を有するがしかしそれらのポリマー主鎖がシロキサンの典型であるシロキサン結合を含有しない、プレポリマーの全てを包含する。
【0068】
一般に、その化学的構造にかかわらず、いかなるシラン変性ポリマーも複合の品質を有するとみなされる: 硬化はシリコーンのものに類似しており、且つ他の特性はシリル基の間の様々な可能なポリマー主鎖によって形成される。シラン末端ポリマーまたはシラン変性ポリマーを、ポリウレタンとシリコーンとの間のそれらの構造の観点で分類できる。
【0069】
シラン変性ポリマーの合成は、多数の段階を包含している。初めのベースは、二価、または三価のポリオキシプロピレングリコールであり、それが相応するビスアリル化合物に変換される。該化合物が反応して所望の最終生成物、ビス(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)ポリオキシプロピレンを形成する。
【0070】
それによって、鎖内に導入されるシリル基が、シリコーン化学において公知の種類の機構を介して、即ち、少量の水またはメタノールの離脱で互いに架橋し、従って弾性且つ不溶性のネットワークが得られる。
【0071】
シリコーン変性ポリマーに基づく密封剤および接着剤を得る、さらなる可能な方法があり、例えばNCO末端プレポリマーと、それに応じた反応性のアミノシランまたはメルカプトシランとの反応である。該ポリマー主鎖は、考えられるだけの全ての合理的な構造要素、例えばエーテル、エステル、チオエーテルまたはジスルフィドブリッジを含有してよい。NH2−、SH−またはOH−末端プレポリマーがイソシアネートシランと反応できる逆の場合も同様に考えられる。プレポリマー中、またはシラン中のいずれかでの末端メルカプト基のC−C二重結合への付加は、技術的に興味深いさらなる経路を提供する。
【0072】
ビニルエステル樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。化学的な側面では、ビニルエステル樹脂はUP樹脂に対して、特に硬化反応、処理技術、および用途の分野に関する限り、特定の関連性を保有する。それらの樹脂は液体エポキシ樹脂とアクリル酸との付加重合体(polyadduct)である。分子鎖中でのエステル基の還元の結果として、それらの樹脂は、効果的な弾力性および衝撃強さと並んで、より良好な加水分解耐性を有する。架橋に使用されるモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂、特にスチレンのためのものと同じである。
【0073】
アクリレートが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。集合用語"アクリレートベースの接着剤"は、アクリル基の炭素−炭素二重結合を介して硬化が起きる、反応性接着剤の全てを包含する。
【0074】
メタクリル酸エステルおよびアルファ−シアノアクリル酸エステルが、接着剤の配合物の中で特に重要性を得ている。アクリレート接着剤の硬化を付加重合によって実施し、その過程において、開始剤が連鎖反応を開始させて接着剤の連続的な硬化をみちびく。"アクリレート"接着剤の重合を、遊離ラジカルによって、または選択的にアルファ−シアノアクリレートの場合はアニオンによって開始できる。硬化のために使用される重合機構によって、アクリレート接着剤はまた、以下の群に細分化される:
アニオン性硬化接着剤: アルファ−シアノアクリレート1成分接着剤、
遊離ラジカル性硬化接着剤: 嫌気性1成分接着剤、
遊離ラジカル性硬化接着剤: 2成分接着剤。
【0075】
ポリアクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルコポリマーおよびポリメタクリル酸エステルに基づく密封剤の場合、溶剤型と水性の系とが区別される。ポリアクリレート密封剤は、溶剤の蒸発、または分散液の水の蒸発によって、物理的に硬化する。
【0076】
ポリ酢酸ビニルが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリ酢酸ビニルは酢酸ビニルの重合生成物である。強極性の酢酸基が分子中に存在するおかげで、ポリ酢酸ビニルは多くの被着物表面に対して非常に良好な付着特性を保有する。主として、約50%〜60%の固体含有率を有する分散液ベースの接着剤として使用され、時として(例えば塩化ビニルとの)酢酸ビニルコポリマーにも基づいている。
【0077】
ポリビニルアルコールが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0078】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルと他の類似したポリエステルとの加水分解の生成物として生じる。分子量に依存して、ポリビニルアルコールは多かれ少なかれ高粘度を有する液体の形態をとる。それは例えば、セルロース系材料、例えば紙、ボール紙、木材等を結合するために使用され、且つ、分散液ベースの接着剤の固化速度を安定化させ且つ増加するための保護コロイドとしても使用される。
【0079】
ポリビニルエーテルが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリビニルエーテルの中で、以下の3つのポリマーが接着剤用のベース材料として特に興味深い: ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル。
【0080】
中程度の重合でのポリビニルエーテルは、多孔質およびなめらかな表面に対して非常に良好な付着特性を保有する粘着性の可塑化樹脂である。ポリビニルメチルエーテルは特に、その水溶性のおかげで再度湿らされ、従って例えばデキストリンまたは獣膠との混合物として、ラベル用紙上のゴムとして使用され、それらに改善された付着性を寄与する事に関して注目に値する。それらの恒久的な粘着性のため、ポリビニルエーテルは感圧性接着剤の中でも用いられる。
【0081】
エチレン−酢酸ビニル、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。分子構造において、酢酸ビニル分子はエチレン鎖中にランダムに混合されている。酢酸の脱離がポリ酢酸ビニルを温度負荷の下で比較的不安定にする一方、エチレンとのコポリマーは著しく、酸化および熱劣化の観点での耐性がより高い。この理由のために、約40%の酢酸ビニル部分とのEVAコポリマーは、ベースのホットメルト接着剤材料の重要な群に入っている。
【0082】
エチレン−アクリル酸コポリマーが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。それらはエチレンとアクリル酸および/またはアクリル酸エステルとのコポリマーである。
【0083】
ポリエチレンの化学的耐性と酸および/またはエステル部分の良好な特性とを組み合わせたそれらのコポリマーは、ホットメルト接着剤用の重要なベースポリマーを代表する。使用されるエステル成分は、好ましくはエチルアクリレートである。
【0084】
ポリビニルアセタールが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリビニルアセタールはアルコールにおけるアルデヒドの作用を通じて生じる。接着剤の製造に最も重要なアセタールは、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラールである。両者はフェニール樹脂ベースの接着剤用の可塑化成分としてはたらく。ポリビニルブチラールはさらに、貼合わせ安全ガラスにおける接着膜としての用途が見出されている。
【0085】
ポリスチレンが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。該モノマーは、主として、可塑化モノマー、特にブタジエンとのコポリマーとして、スチレン−ブタジエン分散液の製造のためと、"重合可能な"溶剤として、不飽和ポリエステルとの共重合のためとの2つの領域において、接着剤のベース材料用の成分として使用されている。
【0086】
ポリ塩化ビニルが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。それはより特定には、プラスチゾル接着剤のために、および塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーを溶剤ベースの接着剤、分散液ベースの接着剤、ヒートシール接着剤中でもたらすための酢酸ビニルとのコポリマーとして、および高周波溶接の助剤として使用される。
【0087】
スチレン−ブタジエンゴムが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。スチレン−ブタジエンゴムは熱可塑性エラストマーの典型的な例であり、エラストマーの適用特性と熱可塑性の特性とを兼備している。スチレン−ブタジエンコポリマー(SBS)およびスチレン−イソプレンコポリマー(SIS)は、トリブロックコポリマーと称されるものであり、個々のブロック内で連続的な同一のモノマー単位で直線状に構成されている。末端のブロックはポリスチレンセグメントである一方、中央のブロックはポリブタジエン(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、SBS)またはイソプレン(スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、SIS)である。
【0088】
スチレン部分とブタジエン部分との比、またはスチレン部分とイソプレン部分との比は、約1:3である。弾性特性が可塑剤の添加に帰する接着層のポリマーとは異なり、この方法においては"内部可塑化"が達成される。それらのゴムコポリマーの特定の利点は、良好な付着特性および高い柔軟性を有する接着層を形成する能力である。従って重要な用途は、接着性の結合をした被着物が高い歪み応力で実用される物、例えば、ゴム/ゴム、もしくはゴム/金属の結合を有する履物等であるという状況で存在する。
【0089】
クロロプレンゴム(CR)が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。クロロプレンゴムは、クロロプレン(2−クロロブタジエン)の重合生成物および共重合生成物として生じる。良好な付着特性の他に、直線的な高分子が結晶化の強い傾向を保有し、そのことが接着層の部分における比較的高い強度に寄与する。それらのポリマーおよびコポリマーは接触式接着剤用の重要なベース材料である。ポリクロロプレン分子内に存在する二重結合が、相応する反応性分子基とのさらなる架橋の実施を可能にする。この目的のために使用される熱硬化性成分は、イソシアネートおよびフェノール樹脂を含む。
【0090】
ニトリルゴム(NBR)が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ニトリルゴムはブタジエンと約20〜40%のアクリロニトリル部分とのコポリマーである。高いアクリロニトリル部分が、それらのポリマーに効果的な可塑剤持続性を与え、従ってそれらを例えば可塑化プラスチックの結合のために高適性にする。
【0091】
ブチルゴムが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ブチルゴムは大部分のイソブチレンとイソプレンとで構成されるコポリマーである。長いポリイソブチレンセグメントの形態でそこに存在するこの直鎖分子の中で、もはや架橋しない、飽和した特性の非常に高い鎖部分が可能になる。唯一の架橋可能な成分はイソプレン分子であり、従ってブチルゴム全体の特性はイソプレンによって予め決定された二重結合の数の部分によって決定される。その反応性は塩素または臭素を含有するモノマーの混合によってさらに影響される。
【0092】
ポリスルフィドが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリスルフィド密封剤用の原料は、商標Thiokol(登録商標)の下で昔から知られている。ポリスルフィドポリマーはジクロロエチルホルマールと多硫化ナトリウムとを反応させることによって得られる。液体ポリマーの分子量は3000〜4000である。酸化剤、例えば二酸化マンガンとの反応によって、それらは完全なゴム−弾性状態へと変換される。
【0093】
ポリエチレンが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。2〜2000g/10分の範囲を示す溶融を有する低分子量型は、粘着性樹脂とマイクロワックスとを組み合わせて、紙およびボール紙産業におけるホットメルト接着剤としての用途を見出されている。
【0094】
ポリプロピレンが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリプロピレンは中くらいの強度特性を有するホットメルト接着剤用のベース材料として、より特定にはアタクチックのポリプロピレンの形態で使用されている。
【0095】
フッ素化炭化水素が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリフルオロ−エチレン−プロピレンはテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーであり、且つ、ホットメルト接着剤用材料のベースとして研究されている。それらの製品の利点は、長期的な温度耐久性である。
【0096】
ポリアミドが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリアミドは、物理的に固化するホットメルト接着剤用のいくつかの最も重要なベース材料を代表する。ポリアミドの製造に適しているのは、以下に記載される反応:ジアミンとジカルボン酸との重縮合; アミノカルボン酸の重縮合; ラクタムからの重縮合; ジアミンと二量化脂肪酸との重縮合であり、それは典型的には溶融物中、窒素雰囲気下で生じる。
【0097】
飽和ポリエステルおよびコポリエステルが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。飽和ポリエステルおよびコポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとの重縮合を通じて生じる。それらはホットメルト接着剤用の重要なベース材料である。
【0098】
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。それらのポリマーはフェノールとホルムアルデヒドとの間の重縮合反応を通じて生じ、例えば航空機製造のための接着剤用のベース材料として使用される高架橋のフェノール樹脂を形成する。純粋なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は一般に脆過ぎる。この理由のために、それらは熱可塑性ポリマーを用いて、例えばポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、エポキシ樹脂またはエラストマー、例えばポリクロロプレンおよびニトリルゴムとの重縮合または共縮合によって変性される。
【0099】
クレゾール−/レソルシノール−ホルムアルデヒド樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ホルムアルデヒド縮合物用の出発モノマーとしてのフェノールの他に、フェノール誘導体、例えばクレゾールおよびレソルシノールが共反応物質として使用される。
【0100】
ウレア−ホルムアルデヒド樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。多数の窒素含有有機化合物がアルデヒドと重縮合できる。接着剤として適用するためには、ウレアおよびメラミンが特に重要性を得ている。ウレア−ホルムアルデヒド樹脂を用いると、反応シーケンスは初めに弱酸性溶液中での付加反応の形態で生じる。ポリマーの接着層の形成をみちびく、実際の重縮合反応は、エーテル橋またはメチレン橋のいずれかの形成を介した高架橋ポリマーをもたらす。
【0101】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ウレアと同様に、メラミンもホルムアルデヒドと反応してメチロール化合物を形成する。ウレア反応の場合と同様に、それらの化合物との重縮合もメチレンまたはメチレンエーテル結合を介して進行して高分子量高架橋の硬質な、および時として脆性の接着層を形成する。
【0102】
ポリイミドが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリイミドを使用した実験は、使用のために高温を必要とする有機ベースの接着剤を得るための研究に由来する。技術的に有用なポリイミドの製造は、四塩基性の無水物、例えばピロメリット酸無水物と、芳香族ジアミン、例えばジアミノジフェニル酸化物との反応によって達成される。接着剤としての使用は、溶液または膜の形態での初期縮合物から出発して達成される。
【0103】
ポリベンズイミダゾールが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。
【0104】
ポリベンズイミダゾールも同様に、高耐熱性の接着剤として分類される。それらは芳香族テトラミンとジカルボン酸との重縮合反応を通じて生じる。
【0105】
ポリスルホンが、接着剤用のベースポリマーとして好ましく使用される。ポリスルホンも同様に、耐熱性接着剤の群に属している。それらは例えばジヒドロキシジフェニルスルホンとビスフェノールAとの重縮合反応を通じて得られる。
【0106】
記載されたシリカを本発明の接着剤中に混合でき、且つ改善された長期的な性能と関連した粘度に関して高い水準を示すことは驚くべきことである。
【0107】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明することを意図している。
【0108】
実施例
増粘作用: 増粘作用(mPas)を不飽和ポリエステル樹脂、例えばオルト−またはメタ−フタル酸、およびマレイン酸またはフマル酸、またはそれらの無水物、および低分子量ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオールまたはネオペンチルグリコール((CH32C(CH2OH)2)、またはポリオール、例えばペンタエリトリトールの、好ましくは溶剤としてのオレフィン反応性希釈液中、例えばモノスチレン等の溶液中、30質量%〜80質量%で、好ましくは60質量%〜70質量%での共縮合物中の二酸化ケイ素粉末分散液中で測定する該ポリエステル樹脂の粘度は22℃の温度で1300±100mPasである。7.5gの二酸化ケイ素粉末を142.5gのポリエステル樹脂に22℃の温度で添加し、そして溶解機を用いて3000分-1で分散させる。60gのこの分散液をさらに90gの不飽和ポリエステル樹脂と混合し、そして分散作業を繰り返す。
【0109】
増粘作用は、回転粘度計を使用して2.7秒-1の剪断速度で測定された、25℃での分散液のmPasでの粘度値である。適した不飽和ポリエステル樹脂の例は、BASF製のLudopal(登録商標)P6である。
【0110】
実施例1: 親水性二酸化ケイ素粉末の製造
100kg/時間の四塩化ケイ素を気化し、そしてバーナーの混合室に移送する。同時に、53Nm3/時間の水素および155Nm3/時間の一次空気を混合室に導入する。該混合物の温度は90℃である。それを点火し、そして火炎中で反応室内へと焼き入れる。さらに、その火炎を取り囲む55Nm3/時間の二次空気を反応室内に導入する。
【0111】
反応ガスおよび形成された二酸化ケイ素を、冷却系を通して減圧を適用することによって引き出し、そして100〜160℃の水準に冷却する。フィルター又はサイクロン中で、固形物を流出ガス流から分離し、引き続き、約450℃の温度にて水蒸気で処理する。
【0112】
【表2】

(*) H2、一次空気およびSiCl4の混合物について
(+) H2、一次空気およびSiCl4の混合物についてのバーナーからの出口速度
(++) H2、一次空気およびSiCl4の混合物について。
【0113】
【表3】

【0114】
実施例1による本発明のシリカは、20.08mPas・g./.m2の表面積に関する増粘作用を示す。
【0115】
比較シリカ アエロジル150は、16.08mPas・g./.m2の表面積に関する増粘作用を示す。
【0116】
実施例2(比較例): 疎水性の比較用シリカの製造
2kgのアエロジル(登録商標)150をミキサー内に導入し、そして二流体ノズルを用いて0.42kgのRhodorsilオイル47V 100(ポリジメチルシロキサン)と混合しながら噴霧した。噴霧終了後、混合を15分間実施し、その後、該反応混合物を360℃で3時間、窒素雰囲気下で熱処理した。
【0117】
実施例3 (本発明): 疎水性の本発明のシリカの製造
実施例1と同様に2kgのアエロジル175をミキサー内に導入し、そして二流体ノズルを用いて0.62kgのRhodorsilオイル 47V 100(ポリジメチルシロキサン)と混合しながら噴霧した。噴霧終了後、混合を15分間実施し、その後、該反応混合物を360℃で3時間、窒素雰囲気下で熱処理した。
【0118】
【表4】

【0119】
アエロジル(登録商標)150は、比表面積150m2/gを有する親水性のフュームドシリカであり、以下の物理化学的特性を示す(表2参照):
【表5】

【0120】
本発明の疎水性のフュームドシリカはエポキシ樹脂中で使用される。
【0121】
その際、それは過比例的な増粘挙動(実施例4を参照)を示す。
【0122】
実施例4: 流動特性
流動特性を、実施例3の通り、本発明で使用される熱分解性シリカ、および比較用シリカについて、エポキシ樹脂Renlam M1 (Huntsman)中で測定する。この場合、硬化剤の添加前後で粘度を測定する。
【0123】
流動特性を以下に記載される方法によって測定する。
【0124】
A) 配合
64.42% Renlam M1 (Huntsman製の低粘度エポキシ樹脂)
3.85% シリカ
28.85% Aradur 250 (低粘度ポリアミノアミド、Schering製の硬化剤)
2.88% Accelerator 960−lCH (第三級アミン、Ciba−Geigy製の硬化促進剤)。
【0125】
B) ベース混合物の製造
350mlビーカー内で、167.5gのRenlam M1および10gのシリカを計量し、且つ溶解機のディスクを完全に浸漬させる。その後、蓋を閉じ、該シリカをそれが完全に混合するまでn1=1000rpmの速度で均質化する。該シリカが完全に混合するとすぐに、速度をn2=3000rpmに上昇させ、且つ減圧下で3分間、分散を行う。
【0126】
C) 硬化剤混合物の製造
75.0gのAradur 250および7.5gのAccelerator 960−1を180mlのビーカー内に計量投入し、且つスパチュラを用いて1分間均質化する。該混合物をその後、真空キャビネット内で脱気し、且つ水浴中、25℃で少なくとも90分間、貯蔵する。
【0127】
D) 架橋用混合物の製造
ベース混合物(176.5g)および硬化剤混合物(82.5g)を、350mlのビーカー内に導入し、そしてスパチュラを用いて1分間、均質化する。バブルが形成されてはならない。
【0128】
E) 測定の実施
E1) 硬化剤添加前の粘度の測定
ベース混合物を180mlのビーカー内に、それがほぼ満たされるまで導入する。遅れることなく、レオメーターの測定ヘッドを該混合物中に完全に浸漬させ、且つ以下の通りに測定を行う:
2.5rpmの値を60秒後に読み取る
20rpmの値を30秒後に読み取る。
【0129】
E2) 硬化剤添加後の粘度の測定
製造された混合物を180mlのビーカー内に、それがほぼ満たされるまで導入する。遅れることなく、レオメーターの測定ヘッドを該混合物中に完全に浸漬させ、且つ以下の通りに測定を行う:
2.5rpmの値を60秒後に読み取る
20rpmの値を30秒後に読み取る。
【0130】
E3) 硬化中の粘度の測定
上述の測定を、15、30、45分間後に繰り返す(硬化が開始するまで同様に)。それぞれの場合、該混合物の温度を、測定の開始に先だって1分間測定する。
【0131】
E4) 粘度
それぞれのrpmでの粘度[Pa*秒]によって値を読み取る。
【0132】
粘度を、Brookfield DV IIIレオメーターを使用して測定する。報告される粘度値は、室温、25℃で得られた。硬化剤の添加に先立つ測定をスピンドル7を使用して行い、且つ、硬化剤添加後はスピンドル6を使用して行う。
【0133】
表3に結果を示す。
【0134】
【表6】

【0135】
表3は実施例2の比較用シリカの粘度がエポキシ樹脂に添加された際により低いことを示している。それと比較して、実施例3の本発明のシリカの添加はエポキシ樹脂の粘度において明確な上昇をもたらし、且つ、硬化剤の添加後でさえも該粘度は全体的に高い水準のままである。
【0136】
上記の手順からわずかに修正された実験手順において、粘度プロファイルから時間にわたる貯蔵安定性をモニターする。
【0137】
F) 配合
201.92g(92.15%) Renlam M1 (Huntsman製の低粘度エポキシ樹脂)
8.08g(3.85%) シリカ。
【0138】
G) 手順
201.92g(92.15%)のRenlam M1および8.08g(3.85%)のシリカを350mlのPEビーカー内に計量投入する。
【0139】
溶解機のディスクをビーカーの中央まで浸漬させ、且つ該試料を1000rpmで均質化する。
【0140】
この場合、該ビーカーを穴のある蓋で閉じて、シリカが粉塵として離脱することを防ぐ。
【0141】
シリカが完全に混合したらすぐに、該ディスクをビーカーの底の上10mmまで浸漬させ、且つ3000rpmの速度で3分間、減圧下で脱気しながら分散を行う。
【0142】
分散された試料を250mlのガラス瓶に移す。
【0143】
該試料を水浴中、25℃で90分間、貯蔵する。
【0144】
H) 0および7日後の測定
90分後、該試料をスパチュラを用いて1分間攪拌し、その後、Brookfield DV IIIを使用してその粘度を測定する。該測定の後、該試料を乾燥キャビネット内で、50℃で7日間、貯蔵する。
【0145】
7日後、該試料を水浴中、25℃で1分間、熱処理し、スパチュラを用いて攪拌し、そして再度、Brookfieldを使用して測定する。
【0146】
I) Brookfieldを用いた測定の実施
Brookfieldレオメーターのスピンドルを印まで浸漬させ、以下の通りに測定を行う:
I 1:
5rpm−値を60秒後に読み取る
50rpm−値を30秒後に読み取る
I 2:
2.5rpm−値を60秒後に読み取る
20rpm−値を30秒後に読み取る。
【0147】
J) 評価
0および7日後の測定を互いに比較する。
【0148】
【表7】

【0149】
【表8】

【0150】
表4および5の結果は、実施例3の本発明のシリカが実施例2の比較用シリカよりも非常に高い粘度を示すことを表し、粘度は貯蔵後でさえも比較すると非常に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET表面積175±15m2/g、および該BET表面積に基づく18mPas/m2よりも大きい増粘効果を有する凝集した一次粒子形態でのフュームド二酸化ケイ素粉末。
【請求項2】
ポリジメチルシロキサンで疎水化され、且つBET表面積110±25m2/gを有することを特徴とする、疎水性のフュームドシリカ。
【請求項3】
請求項1に記載の親水性フュームドシリカをポリジメチルシロキサンで噴霧した後、混合し、その後、1〜6時間熱処理すること特徴とする、請求項2に記載の疎水性のフュームドシリカの製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の疎水性のフュームドシリカを含むことを特徴とするエポキシ樹脂。
【請求項5】
請求項4に記載のエポキシ樹脂の、接着剤としての使用。
【請求項6】
請求項2に記載の疎水性のフュームドシリカを含み、且つエポキシ樹脂に基づくことを特徴とする接着剤。

【公表番号】特表2011−516373(P2011−516373A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549070(P2010−549070)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051475
【国際公開番号】WO2009/109442
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】