説明

シリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマー

シリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマーは、式I:


の少なくとも2個の繰り返し単位を含む。
この式中、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;各Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を差し引いたジアミンに相当する二価の残基であり;各Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGと共にそれら両方が結合している窒素と一緒になって複素環基を形成し;各nは独立して0〜1500の整数であり;各pは独立して1〜10の整数であり、pの平均は1.2以上であり;各qは独立して1以上の整数であり、及びすべてのqが同じ整数であることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2009年9月21日に同時出願された、米国特許出願第12/563,311号及び第12/563,258号の優先権を主張し、同出願の開示内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
この発明は、シリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマー並びにコポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シロキサンポリマーは、シロキサン結合の物理的及び化学的特徴に主として由来する特有の性質を有する。これらの性質としては、低いガラス転移温度、熱安定度及び酸化安定度、紫外線への抵抗力、低表面エネルギー及び疎水性、気体に対する高透過性、並びに生体適合性が挙げられる。しかし、シロキサンポリマーは、多くの場合、引張り強度を欠いている。
【0004】
シロキサンポリマーの低引張り強度は、ブロックコポリマーを形成することにより改善することができる。幾つかのブロックコポリマーは、「ソフトな」シロキサンポリマーのブロック又はセグメント及び任意の様々な「ハードな」ブロック又はセグメントを含有する。ポリジオルガノシロキサンポリアミド、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素、及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは、代表的なブロックコポリマーである。
【0005】
ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、アミノ末端処理シリコーンと短鎖ジカルボン酸との縮合反応により調製されてきた。あるいは、これらのコポリマーは、カルボキシ末端処理シリコーンと短鎖ジアミンとの縮合反応により調製されてきた。ポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)及びポリアミドは、多くの場合、溶解度パラメータがかなり異なるために、高重合度の、特にポリオルガノシロキサンセグメントの高い同族体を有するシロキサン系ポリアミドを生成するための反応条件を見出すことは困難となり得る。周知のシロキサン系ポリアミドコポリマーの多くは、30個以下のジオルガノシロキシ(例えば、ジメチルシロキシ)単位を有するセグメントなどの比較的短いポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)のセグメントを含有するか、又はコポリマー内のポリジオルガノシロキサンセグメントの量が比較的少ない。すなわち、得られたコポリマー中のポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)ソフトセグメントの部分(すなわち、重さに基づく量)は、少なくなる傾向がある。
【0006】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素は、別のタイプのブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーは多くの好ましい特性を有するが、これらの幾つかは250℃以上の高温にさらされると分解する傾向がある。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0148474号(LEIRら)に開示されているようなポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、更にもう1つのタイプのブロックコポリマーである。公知のポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは、エチレンジアミンなどのジアミンを、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2つのオキサリルアミノ基を有する前駆体と混合することにより、製造されてきた。得られるコポリマーは、交互にソフトポリジオルガノシロキサンセグメント(S)とハードオキサミドセグメントを有している(つまり、コポリマーは(S−H)タイプである)。これらのポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは、したがって多くの公知のポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマーと比較して、比較的大きな部分のポリジオルガノシロキサンセグメントを有する。このようなポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは、通常、明らかな分解なしに、250℃まで又はそれ以上の高温にさらすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述したことを考慮すると、上述の交互のソフト及びハードセグメントのポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマーは、熱安定性の劣る熱可塑性シリコーンエラストマーを超える改良ではあるが、コポリマー鎖中のハードセグメントの水準及び分布の制御能力を持つことができれば好都合であろうと認識する。
【0009】
つまり、1つの態様においては、本発明は、式Iの少なくとも2個の繰り返し単位を含む、シリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマーを提供する。
【0010】
【化1】

式中、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;各Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を差し引いたジアミンと等価の二価の残基であり;各Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;各nは、独立し、て0〜1500の整数であり;各pは、独立して、1〜10の整数であり、pの平均は1.2以上であり;各qは、独立して、1以上の整数であり、すべてのqが同じ整数であることはない。
【0011】
本発明のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマーは、ハードセグメントのランダムな「連続」を有することができ、qは2以上であり、完全に交互であるソフト及びハードセグメントを有する必要はない。耐溶媒性、モジュラス、硬さ、溶融レオロジー、せん断、及び/又は接着性などの性質は、コポリマー中にハードセグメントの連続を組み込むことにより改良することができる。
【0012】
別の態様においては、本発明は、式I’:
【0013】
【化2】

(式中、R、Y、G、R、n、p、及びqは上に定義されており、すべてのqが同じであることはないが、pの平均は1.2未満である)の少なくとも2個の繰り返し単位を含む、コポリマー材料の製造方法を提供する。
【0014】
この方法は、(a)式II:
【0015】
【化3】

(式中、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、アルコキシカルボニル、若しくはNを通して結合した
【0016】
【化4】

により置換されたアリールであり、各Rは独立して水素、アルキル、又はアリールであるか又はRはともに環を形成している)のシュウ酸エステルを溶媒に加える工程;(b)過剰なモル数のシュウ酸エステルを式III:
【0017】
【化5】

のポリジオルガノシロキサンジアミンと、実質的にポリジオルガノシロキサンジアミンが残らなくなるまで反応させて、式IV:
【0018】
【化6】

の反応生成物を形成する工程、及び
(c)式V:
【0019】
【化7】

の1つ以上のジアミンを式IVの反応生成物に加え、式I’の繰り返し単位を形成する工程を、含む。
【0020】
米国特許出願番号第2007/0148474号(Leirら)に開示された方法などの、以前に公知のポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーの方法は、(S−H)型のみのコポリマーとなる。しかし、本発明の方法はハードセグメントの連続を有する、コポリマーの製造に使用することができる。
【0021】
更に別の態様においては、本発明は下記の式
【0022】
【化8】

を有する新規の化合物及びその幾何異性体を提供する。
【0023】
式VIの化合物は、少なくとも2個の式I’の繰り返し単位を有するコポリマー材料の製造の発明の方法に有用である。更に、この化合物は次の好ましい性質を有している。これは非常に反応性である(例えば、シュウ酸ジエチルなどの従来のシュウ酸エステルより反応性が高い)。この化合物の副生成物(すなわち、メチルエチルケトンオキシム)は揮発性の液体であり、出発物質は比較的安価であり、容易に入手できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマーは、式I:
【0025】
【化9】

(式中、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;各Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を差し引いたジアミンと等価の二価の残基であり;各Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGとそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えばRHN−G−NHRはピペラジン又はその同類である)形成し;各nは、独立して、0〜1500の整数であり;各pは、独立して、1〜10の整数であり、pの平均は1.2以上であり;各qは、独立して、1以上の整数であり、すべてのqが同じ整数であることはない)の少なくとも2個の繰り返し単位を含む。
【0026】
式IにおけるRのための好適なアルキル基は、典型的には、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、及びイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。Rのための好適なハロアルキル基は、多くの場合、ハロゲンで置換された対応するアルキル基の水素原子の一部を有するに過ぎない。例示のハロアルキル基としては、1〜3個のハロ原子及び3〜10個の炭素原子のクロロアルキル及びフルオロアルキル基が挙げられる。Rに好適なアルケニル基は、2〜10個の炭素原子を有することが多い。例示のアルケニル基は、多くの場合、例えばエテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルなどのように、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。Rのための好適なアリール基は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有する。フェニルは、例示的なアリール基である。アリール基は、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)、又はハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)によって置換されないか、又は置換さてもよい。Rのための好適なアラルキル基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基を有する。幾つかの例示的アラルキル基においては、アリール基はフェニルであり、アルキレン基は1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子(すなわち、アラルキルの構造は、アルキレン−フェニルであり、ここでアルキレンがフェニル基に結合している)を有する。
【0027】
幾つかの実施形態において、式Iの幾つかの繰り返し単位中、R基の少なくとも40パーセント、及び好ましくは少なくとも50パーセントが、メチルである。例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のR基が、メチルであることができる。残りのR基は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールから選択することができる。
【0028】
式I中の各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレン基は典型的には、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、又は4個以下の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を有する。幾つかの例示的アラルキレン基においては、前記アリーレン部分はフェニレンである。すなわち、二価アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、フェニレンは、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用するとき、基Yに関して、「これらの組み合わせ」とは、アルキレン基及びアラルキレン基から選択される2つ又はそれ以上の基の組み合わせを意味する。例えば、組み合わせは、単一のアルキレンに結合した単一のアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせにおいては、アリーレンはフェニレンであり、各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0029】
式I中の基Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つのアミノ基(すなわち、−NHR基)を差し引いたジアミン化合物に等しい残基単位である。Gが結合である場合には、コポリマーはシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドである。幾つかの実施形態においては、Gは結合であり、各Rは水素である。
【0030】
Gが残基単位である場合には、コポリマーはシリコーンポリオキサミドである。ジアミンは、第一級又は第二級アミノ基を有することができる。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、RHN−G−NHRはピペラジンである)を形成する。ほとんどの実施形態においては、Rは、水素又はアルキルである。多くの実施形態では、ジアミンの両方のアミノ基は、第一級アミノ基であり(すなわち、両方のR基が水素である)、ジアミンは、式HN−G−NHである。
【0031】
幾つかの実施形態では、Gは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレンは、多くの場合、2〜10個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、などが挙げられる。好適なヘテロアルキレンは、多くの場合、少なくとも2つのエチレン単位を有するポリオキシエチレン、少なくとも2つのプロピレン単位を有するポリオキシプロピレン、又はこれらのコポリマーなどのポリオキシアルキレンである。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を含有する。幾つかの例示的アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、フェニレンが、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用するとき、基Gに関して、「これらの組み合わせ」とは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、及びアラルキレンから選択される2つ又はそれ以上の基の組み合わせを意味する。例えば、組み合わせは、アルキレンに結合したアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせにおいては、アリーレンはフェニレンであり、各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0032】
式I中の各添字nは、独立して0〜1500の整数である。例えば、添字nは、1000以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、又は10以下の整数であることができる。nの値は、多くの場合、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも40である。例えば、添字nは、40〜1500、0〜1000、40〜1000、0〜500、1〜500、40〜500、1〜400、1〜300、1〜200、1〜100、1〜80、1〜40、又は1〜20の範囲内であることができる。
【0033】
各添字pは、独立して、1〜10の整数である。例えば、pの値は、多くの場合、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下の整数である。pの値は、1〜8、1〜6、又は1〜4の範囲内であることができる。pの平均は1.2又はそれ以上である。
【0034】
各添字qは、独立して、1又はそれ以上の整数であり、すべてのqが同じ整数であることはない。幾つかの実施形態においては、各添字qは1〜10の整数である。
【0035】
本発明のコポリマーは、式−R−(CO)−NH−(式中Rはアルキレン)を有する基を持たない傾向がある。コポリマー材料の主鎖に沿ったすべてのカルボニルアミノ基は、オキサリルアミノ基(つまり、−(CO)−(CO)−NH−基)の一部である。すなわち、コポリマー材料の主鎖に沿った任意のカルボニル基は、別のカルボニル基に結合しており、オキサリル基の一部である。より具体的には、本発明のコポリマーは複数のアミノオキサリルアミノ基を有する。
【0036】
本発明のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマーは、線状ブロックコポリマー(すなわち、これらはハードブロック及びソフトブロックを含む)であり、弾性的であり得る。これらは、公知のポリジオルガノシロキサンポリオキサミドより良好な耐溶剤性を有する傾向がある。本発明の幾つかのコポリマーは、例えばトルエン又はテトラヒドロフランにさえも不溶性である。本発明の目的のために、下記の方法によりコポリマーが特定の溶媒に「不溶性」であるかどうかが判定される。約1gの試料コポリマーを瓶に入れ、目的の溶媒を約100g加え、瓶を閉じ周囲温度で約4時間ローラーに乗せる。重量が一定となるまで乾燥後、最初の質量の≧90%が保持されていれば、コポリマー試料は不溶性と考えられる。
【0037】
本発明のコポリマーは、改善された熱安定性も有する傾向がある。本発明の幾つかのコポリマーは、例えば、約220℃以下、約260℃以下、又は約300℃以下においてさえ、流動しない。本発明の目的のために、コポリマーが流動する温度は、コポリマーがARES平行平板レオメータ(TA Instruments,New Castle,DEから入手可能)で、2mmの厚さに圧縮する程度に十分柔らかい温度と、定義される。
【0038】
本発明のコポリマーは光学的に透明であり得る。本明細書で使用するとき、用語「光学的に透明」とは、人間の目に透明に見える材料を意味する。光学的に透明なコポリマー材料は、多くの場合、少なくとも90パーセントの視感透過率、2パーセント未満の曇度、及び400〜700nmの波長帯での1パーセント未満の不透明度を有する。視感透過率及び曇度の両方は、例えば、ASTM−D 1003−95の方法を使用して決定することができる。
【0039】
更に、コポリマーは低い屈折率を有し得る。本明細書で使用するとき、用語「屈折率」とは、材料(例えば、コポリマー材料)の絶対屈折率を意味し、自由空間内での電磁放射線速度の、対象材料中での電磁放射線速度に対する比である。電磁放射線は白色光である。屈折率は、例えばFisher Instruments of Pittsburgh,PAから市販されている、Abbe屈折計を使用して測定する。屈折率測定は、ある程度、使用する特定の屈折計に依存する場合がある。コポリマー材料は、通常、1.41〜1.50の範囲内の屈折率を有する。
【0040】
機能性成分、粘着性付与剤、可塑剤、及び他の性能変性剤を、本発明のコポリマーに加えてよい。好ましい任意の添加物は、ホットメルト加工性ではない。すなわち、本発明のコポリマーが溶融して流動する温度において、これらは溶融して流動しない。
【0041】
機能性成分としては、例えば、帯電防止添加物、紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、染料、着色剤、色素、酸化防止剤、スリップ剤、低粘着性材料、導電性材料、耐摩耗性材料、光学的成分、形状安定剤、接着剤、粘着性付与剤、難燃剤、燐光材料、蛍光材料、ナノ粒子、落書き防止剤、結露防止剤、耐荷重剤、ケイ酸塩樹脂、ヒュームドシリカ、ガラス玉、ガラス球、ガラス繊維、鉱物繊維、粘土粒子、有機繊維、例えばナイロン、ケブラー、金属粒子などが挙げられる。このような任意の添加物は、組み込まれる場合、このような添加物が最終ポリマー製品の機能及び機能性に有害ではないならば、本発明のコポリマー100部に対して100部以下の量で添加することができる。その他の添加物、例えば、光拡散材料、光吸収材料及び光学的光沢剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、相溶剤、酸化亜鉛などの抗菌剤、電気伝導体;酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの熱伝導体、並びに有機及び/又は無機粒子を含むニッケル粒子、若しくはこれらの任意の数又は組み合わせを、これらのシステムに混合できる。上に列挙した機能性成分は、組み込みで得られる製品に望ましくない程の悪影響を与えないならば、本発明のコポリマーに組み込んでもよい。
【0042】
ポリマー材料に有用な粘着性付与材料又は可塑剤は、好ましくは、分子レベルで相溶性があり、例えば、エラストマー材料又は熱可塑性エラストマー材料の任意の又はすべてのポリマーセグメントに可溶である。粘着性付与材料が存在するとき、それは、100重量部のポリマー材料基準で、一般には5〜300重量部、より典型的には200重量部以下含まれる。本発明に好適な粘着性付与剤の例として、シリコーン流体、液体ゴム、炭化水素樹脂、ロジン、二量化又は水素添加バルサム及びエステル化アビエチン酸等の天然樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、及びロジンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤の例として、ポリブテン、パラフィン系油、ワセリン、及びジトリデシルフタレートなどの長脂肪族側鎖を有する特定のフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
その他好適な粘着性付与剤として、ケイ酸塩粘着性付与樹脂が挙げられる。好適なケイ酸塩粘着性付与樹脂としては、次の構造単位、M(すなわち、一価のRSiO1/2単位)、D(すなわち、二価のRSiO2/2単位)、T(すなわち、三価のRSiO3/2単位)、及びQ(すなわち、四価のSiO4/2単位)、並びにこれらの組み合わせで構成されている樹脂が挙げられる。典型的な例示のケイ酸塩樹脂としては、MQケイ酸塩粘着性付与樹脂、MQDケイ酸塩粘着性付与樹脂、及びMQTケイ酸塩粘着性付与樹脂が挙げられる。これらのケイ酸塩粘着性付与樹脂は、通常100〜50,000の範囲の又は500〜15,000の範囲の数平均分子量を有し、一般に、メチルR基を有する。
【0044】
MQケイ酸塩粘着性付与樹脂は、RSiO1/2単位(「M」単位)及びSiO4/2単位(「Q」単位)を有するコポリマー樹脂であり、式中、M単位はQ単位に結合し、その各々は少なくとも1つの他のQ単位に結合している。SiO4/2単位(「Q」単位)の幾つかは、ヒドロキシルラジカルに結合して、HOSiO3/2単位(「TOH」単位)となり、したがって、ケイ酸塩粘着性付与樹脂のシリコン結合ヒドロキシル含量の原因となり、幾つかは他のSiO4/2単位にのみ結合している。
【0045】
このような樹脂は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,John Wiley & Sons,New York,(1989),pp.265〜270,及び米国特許第2,676,182号(Daudtら)、同第3,627,851号(Brady)、同第3,772,247号(Flannigan)、及び同第5,248,739号(Schmidtら)に、記載されている。他の例は、米国特許第5,082,706号(Tangney)に記載されている。上記樹脂は、一般に、溶媒中で調製される。乾燥又は無溶媒Mシリコーン粘着性付与樹脂は、米国特許第5,319,040号(Wengroviusら)、同第5,302,685号(Tsumuraら)、及び同第4,935,484号(Wolfgruberら)に記載の方法により調製することができる。
【0046】
特定のMQケイ酸塩粘着性付与樹脂は、米国特許第2,676,182号(Daudtら)に記載され、同第3,627,851号(Brady)、及び同第3,772,247号(Flannigan)によって改良された、シリカヒドロゾル末端保護プロセスにより調製することができる。これらの修正プロセスは、多くの場合、ケイ酸ナトリウム溶液の濃度、及び/又はケイ酸ナトリウム中のシリコン対ナトリウム比、及び/又は中和されたケイ酸ナトリウム溶液をキャッピングする前の時間の制限により、一般に、Daudtらによって開示されたものよりも、値を下げることを包含する。中和されたシリカヒドロゾルは、多くの場合、中和された後できる限り速やかに、2−プロパノールなどのアルコールによって安定化させ、RSiO1/2シロキサン単位でキャップする。シリコン結合ヒドロキシル基(すなわち、シラノール)のMQ樹脂上の濃度は、ケイ酸塩粘着性付与樹脂の重量に基づき、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.0重量%以下、又は0.8重量%以下まで減らすことができる。これは、例えばヘキサメチルジシラザンをケイ酸塩粘着性付与樹脂と反応させることによって実現することができる。このような反応は、例えばトリフルオロ酢酸によって触媒してもよい。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをケイ酸塩粘着性付与樹脂と反応させてもよく、この場合、触媒は必要ではない。
【0047】
MQDシリコーン粘着性付与樹脂は、米国特許第2,736,721号(Dexter)にて教示されているように、RSiO1/2単位、(「M」単位)、SiO4/2単位(「Q」単位)、及びRSiO2/2単位(「D」単位)、を有するターポリマーである。MQDシリコーン粘着性付与樹脂においては、RSiO2/2単位(「D」単位)のメチルR基の幾つかは、ビニル(CH=CH−)基(「DVi」単位)によって置き換えることができる。
【0048】
MQTケイ酸塩粘着性付与樹脂は、米国特許第5,110,890号(Butler)及び日本特許公開平2−36234号にて教示されているように、RSiO1/2単位、SiO4/2単位及びRSiO3/2単位(「T」単位)を有するターポリマーである。
【0049】
好適なケイ酸塩粘着性付与樹脂は、Dow Corning,Midland,MI;Momentive Performance Materials,Albany,NY;及びRhodia Silicones,Rock Hill,SCなどの供給元から市販されている。特に有用なMQケイ酸塩粘着性付与樹脂の例としては、SR−545及びSR−1000の商標名にて入手可能なものが挙げられ、それらは両方ともMomentive Performance Materials,Albany,NYから市販されている。このような樹脂は、一般に、有機溶媒の中に入れて供給され、そのままで本発明の接着剤の処方に用いてよい。2つ又はそれ以上のケイ酸塩樹脂のブレンドが、接着剤組成物内に含まれ得る。
【0050】
本発明のコポリマーは、溶液からキャスト又はキャストしてフィルムとして重合、様々な形状への金型加工若しくはエンボス加工、又はフィルムへの押出成形ができる。コポリマーの高い熱安定性により、これらにはフィルム形成の押出法が適している。フィルムは光学的に透明であり得る。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを含む多層フィルムは、例えば、米国特許出願第2007/0177272号(Bensonら)に述べられている。
【0051】
本発明のコポリマーは、様々な物品に有用である。物品としては、例えば、本発明のコポリマー及び1つ以上の光学基材を含む層が挙げられる。例えば、本発明のコポリマーは、第1の基材に隣接した層内にあるか、又は第1の基材と第2の基材との間に位置することができる。すなわち、物品は、第1の基材、本発明のコポリマー含む層、第2の基材の順番で配置することができる。本明細書で使用するとき、用語「隣接した」とは、第2の層に接触する、又は当該第2層の近傍に配置されてはいるが当該第2の層からは1種類以上の追加の層によって分離されている第1の層を意味する。
【0052】
本発明のコポリマーは、粘着性付与剤を含有する感圧接着剤及び加熱活性化接着剤などの接着剤組成物へ処方することができる。このような接着剤組成物は、例えば、米国特許第7,371,464号(Shermanら)に更に述べられている。
【0053】
その上に、本発明のコポリマーはホットメルト接着剤としても使用できる。通常、ホットメルト接着剤は、粘着性付与剤をほとんど含有しないか又は全く含有しない。例えば、ホットメルト接着剤を使用して、2つ表面を一体に結合させて複合材料にすることが可能である。すなわち、ホットメルト接着剤は、第1の基材及び第2の基材との間に位置するホットメルト接着剤によって第1基板を第2の基材へ結合させるために使用することができる。基材表面などの表面へ適用する際に、ホットメルト接着剤は、当該表面を完全に濡らし、表面が粗い場合であっても空洞が残らないようにするのに十分に流動性であることが望ましい。通常、このような接着剤組成物は、適用時に低粘度を有し、次に冷却によって固体となる。結合力は冷却によって発現する。あるいは、ホットメルト接着剤組成物は、粘度を十分に下げて表面を濡らすことができるような溶媒又はキャリアを用いて配合することができる。次に、溶媒又はキャリアを除去して、結合力を有する固体コーティングを提供することができる。
【0054】
本発明のコポリマーは、低接着性のバックサイドコーティングとしても役立つ。
【0055】
本発明のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドコポリマー(及び他のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジド共重合体)は、本発明の方法により調製できる。少なくとも2つの、式I’:
【0056】
【化10】

(式中、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;各Gは、独立して、結合または式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を差し引いたジアミンに相当する二価の残基であり;各Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRは、Gと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;各nは、独立して、0〜1500の整数であり;各pは、独立して、1〜10の整数であり;各qは独立して、1以上の整数であり、すべてのqが同じ整数であることはない)の繰り返し単位を含むコポリマー材料の製造に、次の方法が使用できる。
【0057】
、Y、G、及びRの好適な例は、式Iに関して上に述べたものと同じである。
【0058】
本発明の方法の第1のステップは、式II:
【0059】
【化11】

(式中、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、アルコキシカルボニルで置換されたアリール、又はNを通した結合
【0060】
【化12】

であり、式中各Rは、独立して水素、アルキル、若しくはアリールであるか、又はRはともに環を形成する)のシュウ酸エステルを溶媒に加える工程を含む。
【0061】
式IIのシュウ酸エステル中の2つのR基は、同一であるか又は異なることができる。幾つかの方法においては、2つのR基は異なり、下記の式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンと異なった反応性を有する。
【0062】
のための好適なアルキル基及びハロアルキル基は、多くの場合、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。第三級アルキル(例えば、t−ブチル)及びハロアルキル基を使用することが可能ではあるが、多くの場合、隣接したオキシ基に直接付着した(すなわち、結合した)、第一級又は第二級炭素原子が存在する。例示的アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチルが挙げられる。例示的ハロアルキル基としては、クロロアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられ、ここで、対応するアルキル基上の水素原子のいくらか(すべてではない)が、ハロ原子により置き換えられている。例えば、前記クロロアルキル基又はフルオロアルキル基は、クロロメチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、などであることができる。Rのための好適なアリール基としては、6〜12個の炭素原子を有するもの、例えば、フェニルなどが挙げられる。アリール基は、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルのような、1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシのような、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、若しくはプロポキシカルボニルのような、2〜5個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル)によって非置換であるか又は置換されることができる。
【0063】
式IIのシュウ酸エステルは、例えば式R−OHのアルコールをシュウ酸ジクロライドと反応させることにより調製できる。式IIを持つ市販のシュウ酸エステル(例えば、Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI及びVWR International,Bristol,CTからの)としては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、シュウ酸ジ−t−ブチル、シュウ酸ビス(フェニル)、シュウ酸ビス(ペンタフルオロフェニル)、シュウ酸−1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)、及びシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
式IIの特に有用なシュウ酸エステルとしては、例えば、フェノール、メチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム、及びトリフルオロエタノールのシュウ酸エステルが挙げられる。
【0065】
適切な溶媒には、例えば、テトラヒドロフラン、メチル第三級−ブチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルムなど、又は望ましい反応を防げることのない任意の溶媒が挙げられる。
【0066】
シュウ酸エステルが溶媒に加えられた後、式III:
【0067】
【化13】

のポリジオルガノシロキサンジアミンが加えられ、シュウ酸エステルのモル過剰の状態で反応させる。この反応は、典型的には、不活性雰囲気のもとで行われる。
【0068】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンは、任意の既知の方法により調製することができ、例えば700〜150,000g/molの範囲の平均分子量のような、任意の好適な分子量を有することができる。幾つかの望ましい実施形態においては、式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンは、約1000g/mol〜約50,000g/molの数平均分子量を有する。好適なポリジオルガノシロキサンジアミン及びポリジオルガノシロキサンジアミンの製造方法については、例えば、米国特許第3,890,269号(Martin)、同第4,661,577号(Jo Laneら)、同第5,026,890号(Webbら)、同第5,276,122号(Aokiら)、同第5,214,119号(Leirら)、同第5,461,134号(Leirら)、同第5,512,650号(Leirら)、及び同第6,355,759号(Shermanら)に記載されている。幾つかのポリジオルガノシロキサンジアミンは、例えばShin Etsu Silicones of America,Inc.,Torrance,CA及びGelest Inc.,Morrisville,PAから市販されている。
【0069】
2,000g/mol超又は5,000g/mol超の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンは、米国特許第5,214,119号(Leirら)、同第5,461,134号(Leirら)、及び同第5,512,650号(Leirら)に記載されている方法を使用して調製可能である。記載されている方法の1つは、反応条件下にてかつ不活性雰囲気下(a)にて、次式:
【0070】
【化14】

(式中、Y及びRは、式I’について定義されたものと同一である)を有するアミン官能性末端ブロック剤;(b)2,000g/mol未満の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを形成するために、アミン官能性末端ブロック剤と反応するのに十分な環状シロキサン;並びに(c)次式:
【0071】
【化15】

(式中、Y及びRは、式I’で定義されたものと同一であり、Mは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンである)を有する無水アミノアルキルシラノレート触媒を混ぜ合わせる工程を伴う。ほぼすべてのアミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続し、次に、追加の環状シロキサンを加えて、分子量を増大させる。追加する環状シロキサンは多くの場合、ゆっくりと加えられる(例えば、滴下)。多くの場合、反応温度は80℃〜90℃の範囲内とされ、反応時間は5〜7時間である。得られたポリジオルガノシロキサンジアミンは、高純度で有り得る(例えば、2重量%未満、1.5重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満のシラノール不純物)。アミン官能性末端ブロック剤対環状シロキサンの比を変更することによって、得られる式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンの分子量を変えることができる。
【0072】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するもう1つの方法は、反応条件下かつ不活性環境下(a)において、次式:
【0073】
【化16】

(式中、R及びYは、式I’について記載されたものと同一であり、添字xが、1〜150の整数に等しい)を有するアミン官能性末端ブロック剤;(b)アミン官能性末端ブロック剤の平均分子量より大きい平均分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを得るのに十分な環状シロキサン;並びに(c)水酸化セシウム、セシウムシラノレート、ルビジウムシラノレート、セシウムポリシロキサノレート、ルビジウムポリシロキサノレート、及びこれらの混合物から選択される触媒を、混ぜ合わせる工程を含む。ほぼすべてのアミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続する。この方法は更に、米国特許第6,355,759 B1号(Shermanら)に記載されている。この手順を使用して、任意の分子量を持つポリジオルガノシロキサンジアミンを調製することができる。
【0074】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するための更に別の方法は、米国特許第6,531,620 B2号(Braderら)に記載されている。本方法では、次の反応に示すように、環状シラザンは、ヒドロキシ末端基を有するシロキサン材料と反応する。
【0075】
【化17】

基R及び基Yは、式I’について記載されたものと同一である。添字mは、1より大きい整数である。
【0076】
ポリジオルガノシロキサンジアミンの例としては、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
シュウ酸エステル及びポリジオルガノシロキサンジアミンの混合物を、測定(例えば滴定により)によるポリジオルガノシロキサンジアミンが実質的に残らないようになるまで、反応させる。その結果、式IV:
【0078】
【化18】

の反応生成物が形成される。
【0079】
得られる反応混合物は、多少のエステル末端のポリジオルガノシロキサンジアミンを含み、そのpは使用したシュウ酸エステルの量及び使用した溶媒の性質に依存する。反応混合物は、式IIの未反応のシュウ酸エステルも多少含んでいる。残存するシュウ酸エステルは、次のステップにより生成する、ランダム長さのハードセグメントの連続(例えば、式I’の繰り返し単位における2以上のq)を可能にする。
【0080】
次に、1つ以上の式Vのジアミンが、式IVの反応生成物に加えられ、式I’の繰り返し単位を形成する。
【0081】
【化19】

ジアミンは、典型的には、残存するエステル基を消費する量加えられる。
【0082】
式Vのジアミンは、有機ジアミンとして分類されることがある。有機ジアミンには、例えば、アルキレンジアミン、ヘテロアルキレンジアミンン、アリーレンジアミン、アラルキレンジアミン、又はアルキレン−アラルキレンジアミンから選択されるものが挙げられる。ジアミンは2つのアミノ基しか持たないので、得られるポリジオルガノシロキサンポリオキサミド及びポリオキサミド−ヒドラジドは、多くの場合エラストマーで、高温で溶融し、幾つかの普通の溶媒に可溶である線状ブロックコポリマーである。ジアミンは、3つ以上の第一級又は第二級アミノ基を有するポリアミンを有しない。式IVの反応生成物と反応しない第三級アミンが存在してよい。更に、ジアミンはいかなるカルボニルアミノ基も有しない。すなわち、ジアミンはアミドではない。
【0083】
例示的なポリオキシアルキレンジアミン(すなわち、Gはヘテロ原子が酸素であるヘテロアルキレンである)としては、Huntsman,The Woodlands,TXから、JEFFAMINE D−230(すなわち、230g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFAMINE D−400(すなわち、400g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFAMINE D−2000(すなわち、2,000g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFAMINE HK−511(すなわち、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方を備え、220g/molの平均分子量を有するポリエーテルジアミン)、JEFFAMINE ED−2003(すなわち、ポリプロピレンオキシドでキャップした、2,000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール)、及びJEFFAMINE EDR−148(すなわち、トリエチレングリコールジアミン)の商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
例示的アルキレンジアミン(すなわち、Gはアルキレン)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミン(すなわち、DuPont,Wilmington,DEからDYTEK Aの商標名で市販されている)、1,3−ペンタンジアミン(DupontからDYTEK EPの商標名で市販されている)、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン(DupontからDHC−99の商標名で市販されている)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
例示的アリーレンジアミン(すなわち、Gはフェニレンなどのアリーレン)としては、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アラルキレンジアミン(すなわち、Gはアルキレン−フェニルなどのアラルキレン)としては、4−アミノメチル−フェニルアミン、3−アミノメチル−フェニルアミン、及び2−アミノメチル−フェニルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキレン−アラルキレンジアミン(すなわち、Gはアルキレン−フェニレン−アルキレンなどのアルキレン−アラルキレン)としては、4−アミノメチル−ベンジルアミン、3−アミノメチル−ベンジルアミン、及び2−アミノメチル−ベンジルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
例示的なヒドラジン(すなわち、Gは結合)としては、ヒドラジン及びN,N’−ジアミノピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
幾つかの好ましい実施形態においては、式Vのジアミンは、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、及びm−キシリレンジアミンからなる群から選択される。
【0088】
任意の好適な反応装置(例えば、攪拌機を備えたガラス容器又は普通の釜)又はプロセスが、本発明の方法によるコポリマー材料の調製に使用することができる。反応は、バッチプロセス、半バッチプロセス、又は連続プロセスを使用して実施することができる。
【実施例】
【0089】
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。実施例内のすべての部分、割合、比率等は、別段の定めがある場合を除き、重量による。使用した溶媒及び他の試薬は、特に断りのない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI又はEMD Chemicals,Gibbstown,NJから入手した。
【0090】
【表1】

試験方法
PDMSジアミンのアミン当量(AEW)を決定する滴定方法
PDMSジアミンのアミン当量(AEW)は、テトラヒドロフラン(THF)中で、標準HCL(1N)を使用して、ブロモフェノールブルーの終点に対して滴定して、決定した。
【0091】
固有粘度(IV)
平均固有粘度(IV)は、27℃においてCanon−Fenske粘度計(Model No.50 P296)を使用して、THF溶液中で0.2g/dLの濃度で測定した。固有粘度は4回以上の測定を平均した。平均固有粘度を決定するための任意の変法は、具体例に記述されている。値はdL/g単位で報告した。
【0092】
180°剥離強度
本剥離接着性試験は、ASTM D 3330−90に記載された試験方法と類似しており、ガラス基板、ポリメチルメタクリレート基板、又はポリカーボネート基板を試験方法に記載のステンレス鋼基板と置き換えた。
【0093】
特に断りのない限り、プライマー処理したPET(Mitsubishi Polyester Film Inc,Greer,SCから得られる、HOSTAPHAN 3SABプライマー処理したポリエステルフィルム)上の接着剤コーティングを1.27センチメートルX15センチメートルの片に切断した。各片は次に、2キログラムのローラーを使用してその片上に一度通過させた、10センチメートルX20センチメートルの清潔な溶媒洗浄されたガラス製試片に付着させた。固着させた集合体を、室温で約1分経過後、180°剥離接着力について、IMASS滑り/剥離試験機(型式3M90、Instrumentors Inc.,Strongsville,OHから市販)を用い、5秒間のデータ収集時間にわたって2.3メートル/分(90インチ/分)の速度で試験した。2つの試料を試験した。報告した剥離接着値は、2つの試料の各々からの剥離接着値の平均値であった。剥離接着値は、オンス/インチで記録され、ニュートン/デシメートル(N/dm)に変換された。
【0094】
せん断強度
本せん断強度試験は、ASTM D 3654−88に記載された試験方法に類似している。特に断りのない限り、ポリエステルフィルム上の接着剤コーティングを、1.27センチメートル(0.5インチ)×15センチメートル(6インチ)の片に切断した。次に、各片の1.27センチメートル×1.27センチメートルの部分がパネルとしっかりと接触し、テープの1つの終端部分が自由となるように各片をステンレス鋼パネルに接着した。コーティングされた片を取り付けたパネルをラック内に保持し、パネルが、伸ばしたテープ自由端と178°の角度を形成し、この自由端は1キログラムの力の適用によって引っ張られ、これがコーティングされた片の自由端からの吊り下げ重さとなるようにした。この178°は、あらゆる剥離力を打ち消し、従って、せん断強度力(shear strength forces)のみが確実に測定され、試験されるテープの保持力をより正確に決定するために使用された。実施例の各テープが試験用パネルから分離するまでの経過時間を、せん断強度として記録した。本明細書にて報告されたすべてのせん断強度破壊(接着剤が10,000分未満で破壊した場合)は、接着剤の凝集破壊であった。接着剤がより短い時間(上記のように)で破壊した場合を除いて、各試験は、10,000分にて終了した。
【0095】
物質の流動
物資の流動は、物資がARES平行平板レオメータ(TA Instruments,New Castle,DE)中で流動し、2mmの厚さに圧縮される程度に柔らかい温度として測定した。温度測定は、増分を20℃として行った。
【0096】
複合溶融粘度
本発明のポリマーの複合溶融粘度は、ARESレオメータ(TA Instruments,New Castle,DE)を使用して、ギャップを2.0mmとし、300℃の温度で、せん断速度を100ラジアン/秒として得た。
【0097】
屈折率
屈折率は、633nmで、例えば、Fisher Instruments、Pittsburgh,PAから市販されているAbbe屈折計を使用して測定した。
【0098】
コポリマーの調製
本発明のコポリマーは下記の方法により調製した。反応性のシュウ酸エステルを好適な溶媒に加えた。ポリジメチルシロキサンジアミン(PDMSジアミン)を加え、滴定により測定されるアミンがなくなるまで反応させた。シュウ酸エステルのジアミンに対するモル比は、1:1より大きかった。次いで、望ましいハードセグメントジアミンを、残存するエステル基の大部分を消費する量を加えた。
【0099】
(実施例1)
ジフェニルシュウ酸エステルを使用するCHCl溶液における、シリコーンポリオキサミドの調製及び特性評価
【0100】
【化20】

16oz(0.47L)のガラス瓶に、ジフェニルシュウ酸エステル(1.147g、TCI America,Portland,ORから入手可能)、CHCl(200mL)、及びアンストリップ25kPDMSジアミン(AEW=14103g/mol、66.78g、−NHが4.735mmol)を加えた。瓶に蓋をし、ローラーに2hかけた。エチレンジアミン(トルエン溶液3.00mL、4.735mmolの−NH)を加え、瓶の蓋をし、ローラーに5日間かけ、高粘性で透明な溶液をテフロン(Teflon)(商標)皿に注いだ。室温で48h、次いで真空炉で150℃において48hかけて溶媒を蒸発した。得られた透明で固いエラストマーは、2.235dL/g(0.2g/dL、THF中、27℃)のIVを有していた。13C NMRの定量分析を行い、米国特許第7,501,184号に従い調製された、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーと比較した。13C NMR分析により、q≧2のセグメントを確認した。
【0101】
(実施例2)
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)シュウ酸エステルを使用する、CHCl溶液におけるシリコーンポリオキサミドの調製と特性評価
【0102】
【化21】

実施例1に従い、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)シュウ酸エステルを、アンストリップ25k PDMSジアミン及びエチレンジアミンで処理した。得られた透明で、固いエラストマーは、1.494dL/g(0.2g/dL、THF、27℃)のIVを有していた。
【0103】
(実施例3〜19)
ジフェニルシュウ酸エステル及び種々のハードセグメントジアミンを使用するCHCl溶液中におけるシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドの調製と特性評価
【0104】
【化22】

新規のシリコーンポリオキサミド及びシリコーンポリオキサミド−ヒドラジドを、実施例1に従い、表1に概要を示したハードセグメントジアミン又はヒドラジンを使用して調製した。
【0105】
【表2−1】

【0106】
【表2−2】

(実施例20〜24)
ジフェニルシュウ酸エステルを使用する、種々の溶媒中における、シリコーンポリオキサミドの調製及び特性評価
実施例1に従い、ジフェニルシュウ酸エステル、表2に示された溶媒、12,050g/molのアミン当量を有するPDMSジアミン、及びエチレンジアミンを使用して、新規のシリコーンポリオキサミドを調製した。溶解度、流動特性及び溶融レオロジー特性を測定した。
【0107】
【表3】

(実施例25〜35)
シリコーンポリオキサミドを使用する感圧接着剤製剤
実施例1に従い、PDMSジアミン及び表3に概略を示したハードセグメントジアミンを使用して、シリコーンポリオキサミドエラストマーを調製し、分離した。シリコーンポリオキサミドエラストマーをTHF中において、MQ樹脂(Dow Corning 2−7066、キシレン中62.6%)と、エラストマー/MQ比が50/50(w/w乾燥固体)、合計固体含有量が25%になるように混合した。溶液を、プライマー処理PET(HOSTAPHAN 3SABプライマー処理ポリエステルフィルム、Mitsubishi Polyester Film Inc,Greer,SCから入手)上に、乾燥厚さ約51μm(0.002インチ)でナイフ塗布した。塗布したフィルムを65℃の炉で60分乾燥した。乾燥したフィルムを、22℃、55%相対湿度で一晩保存した。得られた感圧接着剤は、前に概略を述べた試験方法を使用して、ガラスに対する180°剥離及びせん断強度を試験した。
【0108】
【表4】

(実施例36)
高屈折率、フェニル含有シリコーンポリオキサミドの調製
【0109】
【化23】

シリコーンポリオキサミドエラストマーの調製
90モルパーセントのD及び10モルパーセントのオクタフェニルDから調製したアンストリップのシリコーンジアミンを、ジフェニルシュウ酸エステル及びエチレンジアミンとCHClの中で、実施例1に従い、反応させた。分離後、得られたポリマーは、2.813dL/g(0.2g/dL、THF中、27℃)のIV及び1.447の屈折率を有していた。
【0110】
(実施例37)
q=1であり、Gが結合である、シリコーンポリオキサミド−ヒドラジドの調製
【0111】
【化24】

米国特許第7,501,184号に従い調製された、次の構造の材料(式中Yはプロピルであり、Rはメチルである)を、
【0112】
【化25】

ヒドラジンにより、モル比を約1:1として処理する。反応は、溶媒の存在又は不存在で行う。エラストマー製品を実施例1の方法に従い、分離する。
【0113】
(実施例38)
式VIの化合物及びそのエラストマーの調製
【0114】
【化26】

上部の攪拌機、添加ロト、氷浴、温度プローブ、及び窒素導入口を備えた1Lフラスコに、2−ブタノンオキシム(93.23g)及びMTBE(500mL)を加えた。内容物を10℃に冷却し、内部温度を15℃未満に保ちながら、オキサリルクロライド(67.9g)を30minかけて加えた。次いで、外部冷却により内部温度を30℃未満に保ちながら、30minかけて、トリエチルアミン(108g)を滴下して加えた。得られた固体を溶解するのに十分な水を加え、次いで水層を除いた。有機層を0.1N HClにより2回、2M炭酸ナトリウムで1回洗浄し、その後MgSOにより乾燥し、セライトのパッドを通して濾過した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、120gの式VIの化合物を透明で無色の油として得た。H NMR(CDCl)は、立体異性体の混合物として存在する提案された構造と一致した。
【0115】
実施例1の方法に従い、4oz(0.12L)瓶に、式VIの化合物(0.343g)、THF(70.0g)、及びアンストリップ25k PDMSジアミン(AEW=14,103g/mol、21.25g)を加えた。瓶をローラーに1h乗せ、次いでエチレンジアミン(0.754gの1.982m当量/gトルエン溶液)を加えた。粘稠な材料をテフロン皿に注ぎ、60℃で20h乾燥し、透明で固いエラストマーを得た。
【0116】
本明細書中に引用される刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により援用される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ若しくはハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;
各Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を引いた、ジアミンと等価の二価の残基であり;
基Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRはG及びそれら両方が結合している窒素と共に複素環基を形成し;
各nは、独立して、0〜1500の整数であり;
各pは、独立して、1〜10の整数であり、pの平均が1.2以上であり;及び
各qは、独立して、1又はそれ以上の整数であり、すべてのqが同じ整数であることはない)
の少なくとも2個の繰り返し単位を含むコポリマー。
【請求項2】
各Rがメチルである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
各Yが、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンに結合したフェニレン、1〜10個の炭素原子を有する第1のアルキレン及び1〜10個の炭素原子を有する第2のアルキレンに結合したフェニレン、である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項4】
Gが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はこれらの組合せである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項5】
Gが結合であり、各Rが水素である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項6】
nが少なくとも40である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項7】
各Rが水素である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項8】
前記コポリマーがトルエンに不溶性である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項9】
前記コポリマーがテトラヒドロフランに不溶性である、請求項8に記載のコポリマー。
【請求項10】
前記コポリマーが約220℃以下において流動しない、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項11】
前記コポリマーが約260℃以下において流動しない、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項12】
前記コポリマーが約300℃以下において流動しない、請求項11に記載のコポリマー。
【請求項13】
式I’:
【化2】

(式中、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせであり;
各Gは、独立して、結合又は式RHN−G−NHRから2つの−NHR基を引いたジアミンと等価の二価の残基であり;
各基Rは、独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はRはG及びそれら両方が結合している窒素と共に複素環基を形成し;
各nは、独立して、0〜1500の整数であり;
各pは、独立して1〜10の整数であり;
各qは、独立して、1又はそれ以上の整数であって、すべてのqが同じ整数であることはない)
の少なくとも2個の繰り返し単位を含むコポリマー材料の製造方法であって、
前記方法が、
(a)式II:
【化3】

(式中、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、アルコキシカルボニルで置換されたアリール、又はNを通して結合した
【化4】

であり、式中各Rは、独立して水素、アルキル、又はアリールであるか、又はRはともに環を形成している)のシュウ酸エステルを溶媒に加える工程;
(b)モル過剰の前記シュウ酸エステルを式III:
【化5】

のポリジオルガノシロキサンジアミンと、実質的にポリジオルガノシロキサンジアミンが残らなくなるまで反応させ、
式IV:
【化6】

の反応生成物を形成する工程;
並びに
(c)式V:
【化7】

の1つ又はそれ以上のジアミンを式IVの反応生成物に加え、式I’の繰り返し単位を生成する工程を含む、方法。
【請求項14】
式IIの前記シュウ酸エステルが、フェノール、メチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム、及びトリフルオロエタノールのシュウ酸エステルからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒がテトラヒドロフラン、メチル第三級ブチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、及びクロロホルムからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
式IIIの前記ポリジオルガノシロキサンジアミンが、約1000g/mol約〜50,000g/molの数平均分子量を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
式Vの前記ジアミンが、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、及びm−キシリレンジアミンからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
物品が、感圧接着剤、フィルム、混合物、又は低接着バックサイズである、請求項1に記載のコポリマーを含む物品。
【請求項19】
次式:
【化8】

を有する化合物及びこれらの幾何異性体。

【公表番号】特表2013−505333(P2013−505333A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529842(P2012−529842)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/048728
【国際公開番号】WO2011/034839
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】